特許 7570962 弁装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-10-11

(45)【発行日】2024-10-22

(54)【発明の名称】弁装置

(51)【国際特許分類】

   F16K 31/04 20060101AFI20241015BHJP

【ＦＩ】

F16K31/04 Z

【請求項の数】 3

(21)【出願番号】P 2021063126

(22)【出願日】2021-04-01

(65)【公開番号】P2022158330

(43)【公開日】2022-10-17

【審査請求日】2022-12-06

(73)【特許権者】

【識別番号】000143949

【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所

(74)【代理人】

【識別番号】100134315

【弁理士】

【氏名又は名称】永島 秀郎

(74)【代理人】

【識別番号】100213757

【弁理士】

【氏名又は名称】竹内 詩人

(72)【発明者】

【氏名】北見 雄希

【審査官】大内 俊彦

(56)【参考文献】

【文献】特開２００５－９８４７１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００４－１１６５８８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－１８０４８５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－１２８００２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０００－９７３５８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００６－３２９３４７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１５－４４３５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ１６Ｋ ２７／００－２７／１２

Ｆ１６Ｋ ３１／００－３１／０５

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

側面に開口部が形成された円筒状の弁ハウジングと、前記弁ハウジングの内側の弁室内に設けられる弁体と、前記開口部に挿通されることで前記弁ハウジングに接続される円筒状の継手部材と、を備えた弁装置であって、
前記継手部材の外周面は、当該継手部材が正規深さまで挿通された状態において、前記開口部の内周面に対向し得る対向可能領域と、前記対向可能領域よりも先端側において前記弁室内に配置される内側領域と、を有し、
前記外周面のうち少なくとも前記対向可能領域には、複数の凸状部分が周方向に間隔を開けて形成され、
各々の前記凸状部分は、１又は複数の凸部によって構成されて前記継手部材の延在方向に沿って延びており、
前記弁ハウジングの周方向において前記開口部の寸法が最大となるように、前記弁ハウジングを軸方向に直交する面で切断した断面において、前記開口部の内周面の一端部のうち前記弁ハウジングの肉厚方向における中央部と、他端部のうち当該弁ハウジングの肉厚方向における中央部と、を結ぶ仮想線分が、前記弁ハウジングの内周面のうち前記開口部の形成位置に対応する仮想円弧と交差し、
前記凸状部分は、少なくとも前記対向可能領域の全体に亘るように延在方向に沿って延びていることを特徴とする弁装置。

【請求項2】

前記凸状部分は、前記継手部材の挿入側の端部にまで到達していないことを特徴とする請求項１に記載の弁装置。

【請求項3】

前記継手部材の外周面には、前記凸状部分と凹部とが周方向に交互に並ぶことにより、凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の弁装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、弁装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、弁装置として、パイプ状の素材が加工された弁本体部の側面に対し、冷媒の出入口用の配管が挿入固定される電動弁が提案されている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１に記載された電動弁では、配管のうち弁本体の側壁に当接する位置にディンプルを設けることにより、接合の確実化を図っている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００６－３２９３４７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１には、弁本体部（弁ハウジング）に挿入される配管（継手部材）に形成されるディンプル（凸部）の数について記載はないものの、継手部材の傾きを抑制するためには、周方向に沿って複数の凸部が設けられていることが好ましい。しかしながら、円筒状の弁ハウジングの側面に開口部が形成されている場合、平板に開口部が形成される構成とは異なり、開口部が三次元的な形状を有することとなる。従って、継手部材の延在方向における所定位置に、周方向に並ぶように複数の凸部を設けた場合、一部の凸部は開口部の内周面に当接するものの、他の凸部が開口部の内周面に当接しなくなってしまう可能性がある。このとき、凸部の機能を得ることができず、継手部材のガタツキ等が生じ、固定構造が不安定化しやすい。

【0005】

本発明の目的は、弁ハウジングと継手部材との固定構造を安定化させることができる弁装置を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の弁装置は、側面に開口部が形成された円筒状の弁ハウジングと、前記弁ハウジングの内側の弁室内に設けられる弁体と、前記開口部に挿通されることで前記弁ハウジングに接続される円筒状の継手部材と、を備えた弁装置であって、前記継手部材の外周面は、当該継手部材が正規深さまで挿通された状態において、前記開口部の内周面に対向し得る 対向可能領域と、前記対向可能領域よりも先端側において前記弁室内に配置される内側領域と、を有し、前記外周面のうち少なくとも前記対向可能領域には、複数の凸状部分が周方向に間隔を開けて形成され、各々の前記凸状部分は、１又は複数の凸部によって構成されて前記継手部材の延在方向に沿って延びていることを特徴とする。

【0007】

以上のような本発明によれば、凸状部分が継手部材の延在方向に沿って延びていることで、弁ハウジングの開口部の内周面に当接しやすくなる。即ち、弁ハウジングが円筒状であり側面に開口部が形成されることから、継手部材を正規深さまで挿入した際、対向可能領域のうち実際に内周面に対向する位置（延在方向位置）は、周方向位置に依存する。このように内周面との対向位置が変化しても、凸状部分が継手部材の延在方向に沿って延びることで対応することができる。このように凸状部分が開口部の内周面に当接しやすいことで、弁ハウジングと継手部材との固定構造を安定化させることができる。

【0008】

この際、本発明の弁装置では、前記弁ハウジングの周方向において前記開口部の寸法が最大となるように、前記弁ハウジングを軸方向に直交する面で切断した断面において、前記開口部の内周面の一端部のうち前記弁ハウジングの肉厚方向における中央部と、他端部のうち当該弁ハウジングの肉厚方向における中央部と、を結ぶ仮想線分が、前記弁ハウジングの内周面のうち前記開口部の形成位置に対応する仮想円弧と交差することが好ましい。このような構成によれば、仮想線分と仮想円弧とが交差する場合、即ち弁ハウジングの径に対して開口部の径が比較的大きく、弁ハウジングの肉厚が薄い場合であっても、凸状部分を開口部の内周面に当接させやすくすることができる。

【0009】

また、本発明の弁装置では、前記凸状部分は、少なくとも前記対向可能領域の全体に亘るように延在方向に沿って延びていることが好ましい。このような構成によれば、凸状部分を開口部の内周面にさらに当接させやすくすることができる。

【0010】

また、本発明の弁装置では、前記継手部材の外周面には、前記凸状部分と凹部とが周方向に交互に並ぶことにより、凹凸部が形成されていてもよい。このような構成によれば、継手部材のガタツキをさらに抑制しやすくすることができる。

【発明の効果】

【0011】

本発明の弁装置によれば、弁ハウジングと継手部材との固定構造を安定化させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の一例である実施形態にかかる弁装置を示す断面図である。

【図2】前記弁装置における弁ハウジングと継手部材との接続部を示す断面図である。

【図3】前記継手部材を示す断面図である。

【図4】前記継手部材を示す側面図である。

【図5】変形例の弁装置における前記継手部材を示す正面図である。

【図6】前記継手部材を示す側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の弁装置としての電動弁１は、例えばパッケージエアコンやルームエアコン等の空気調和機の冷凍サイクルシステムに用いられるものであって、図１に示すように、弁ハウジング２と、ガイド部材３と、主弁体４と、副弁体５と、駆動部６と、を備える。主弁体４及び副弁体５は所定の軸方向に沿って移動するように設けられており、以下では、この軸方向をＺ方向とし、Ｚ方向に直交する２方向をＸ方向及びＹ方向とし、Ｚ方向における上下は図１を基準とする。

【0014】

弁ハウジング２は、例えば黄銅やステンレス等により円筒状に形成されており、その内側に主弁室（弁室）２Ｒを有している。ここで、「円筒状」とは、断面形状が完全な円となるものだけでなく、完全な円から多少歪んだ形状も含むものとする。弁ハウジング２は、その側面においてＸ方向の一方側に開口した第１ポート（開口部）２１と、Ｚ方向下側に開口した第２ポート２２と、を有する。第１ポート２１には、Ｘ方向に沿って延びる円筒状の第１継手管（継手部材）１１が接続され、第２ポート２２には、Ｚ方向に沿って延びる円筒状の第２継手管１２が接続され、第１継手管１１及び第２継手管１２は主弁室２Ｒに連通する。第１継手管１１及び第２継手管１２は、例えばろう付け等によって弁ハウジング２に対して固着されればよい。

【0015】

弁ハウジング２の下端部には、Ｚ方向を軸方向として主弁室２Ｒ側に（上側に向かって）突出した円筒状の主弁座２３が形成され、この主弁座２３の内側が主弁ポート２３ａとなっており、主弁ポート２３ａと第２ポート２２とが連通する。即ち、第２継手管１２が主弁ポート２３ａを介して主弁室２Ｒに導通される。本実施形態では、電動弁１は、第１ポート２１を一次側とするとともに第２ポート２２を二次側とし、第１継手管１１から主弁室２Ｒに流入した流体（冷媒）が第２継手管１２から流出するように使用されるものとするが、電動弁１は、双方向に流体が流れ得るサイクルに組み込まれてもよい。

【0016】

ガイド部材３は、弁ハウジング２の上端の開口部に取り付けられるものであって、弁ハウジング２の内周面内に圧入される圧入部３１と、圧入部３１の内側に位置する略円柱状のガイド部３２と、ガイド部３２の上部に延設されたホルダ部３３と、ホルダ部３３の上方に設けられたストッパ部３４と、ガイド部３２の外周に位置するリング状のフランジ部３５と、を有している。圧入部３１、ガイド部３２、ホルダ部３３及びストッパ部３４は樹脂製の一体品として構成されている。また、フランジ部３５は、例えば、黄銅やステンレス等により構成された金属板であり、このフランジ部３５は、インサート成形により樹脂製の圧入部３１及びホルダ部３３と共に一体に設けられている。

【0017】

ガイド部材３は、弁ハウジング２に組み付けられ、フランジ部３５において弁ハウジング２の上端部に溶接により固定されている。また、ガイド部材３には、Ｚ方向を軸方向とする円筒形状のガイド孔３２ａがガイド部３２に形成され、ガイド孔３２ａと同軸の挿通孔３３ａがホルダ部３３の中心に形成されている。また、ストッパ部３４の中心には、ガイド孔３２ａ及び挿通孔３３ａと同軸の雌ねじ部（ねじ孔）３４ａが形成されている。

【0018】

主弁体４は、ホルダ部３３のガイド孔３２ａ内に配置されるものであって、全体がＺ方向を軸方向とする円筒状に形成されている。主弁体４は、ＸＹ平面に沿って延在し副弁体５が接近又は離隔する隔壁部４１と、隔壁部４１から主弁ポート２３ａとは反対側（上側）に向かって延びる筒状部４２と、主弁座２３に対して接近又は離隔する主弁部４３と、を一体に有する。

【0019】

隔壁部４１は、筒状部４２の下端部に設けられた副弁座部であり、所定の板厚（Ｚ方向寸法）を有する板状に形成されている。隔壁部４１と筒状部４２とによって有底筒状の部分が形成され、この有底筒状の部分の内部が副弁室４Ｒとなる。隔壁部４１の中央部には、貫通孔である副弁ポート４１ａが形成されている。

【0020】

筒状部４２は、円筒状に形成され、その内周面がニードルガイド孔４２ａとなる。筒状部４２のニードルガイド孔４２ａ内には、後述する弁軸５１に取り付けられたワッシャ５３とガイド用ボス部５４とが挿通されるとともに、この筒状部４２の上端にはリング状のリテーナ４４が嵌合固着または溶接等により固着されている。また、リテーナ４４とガイド孔３２ａの上端部との間には、主弁ばね４ａが配設され、この主弁ばね４ａにより主弁体４は主弁座２３の方向（Ｚ方向下側；閉方向）に付勢されている。筒状部４２には、その内外を連通する連通路４２１が形成され、主弁室２Ｒと副弁室４Ｒと副弁ポート４１ａと主弁ポート２３ａとが連通するようになっている。

【0021】

主弁部４３は、筒状部４２を隔壁部４１よりも下側に延長するように略円筒状に形成されている。主弁部４３は、全閉状態において主弁座２３に対して着座（当接）するように設けられている。

【0022】

副弁体５は、ニードル弁であって、後述するロータ軸６１の下端部に設けられており、ロータ軸６１側に連なる弁軸５１と、弁軸５１の下端に連なるニードル部５２と、を一体に有している。副弁体５は、弁軸５１に配設された円環状のワッシャ５３と、弁軸５１に固着されたガイド用ボス部５４と、をさらに有している。ガイド用ボス部５４は弁軸５１と別体として固着されているが、ガイド用ボス部５４は弁軸５１と一体に形成されたものであってもよい。ワッシャ５３及びガイド用ボス部５４は、ニードルガイド孔４２ａ内に摺動可能に挿通されている。

【0023】

駆動部６は、弁ハウジング２の上端に固定されたケース２４の内外に設けられたものであって、ステッピングモータ６Ａと、ステッピングモータ６Ａの回転により副弁体５を進退させるねじ送り機構６Ｂと、ステッピングモータ６Ａの回転を規制するストッパ機構６Ｃと、を有する。ケース２４は、弁ハウジング２に対して例えば溶接等によって気密に固定されている。

【0024】

ステッピングモータ６Ａは、ロータ軸６１と、ケース２４の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ６２と、ケース２４の外周においてマグネットロータ６２に対して対向配置された不図示のステータコイルと、その他、図示しないヨークや外装部材等により構成されている。ロータ軸６１はブッシュを介してマグネットロータ６２の中心に取り付けられ、このロータ軸６１におけるガイド部材３側の外周には雄ねじ部６１ａが形成されている。この雄ねじ部６１ａはガイド部材３の雌ねじ部３４ａに螺合されており、これにより、ガイド部材３はロータ軸６１をＺ方向に沿った軸線上に支持している。そして、ガイド部材３の雌ねじ部３４ａとロータ軸６１の雄ねじ部６１ａとが、ねじ送り機構６Ｂを構成している。

【0025】

ここで、電動弁１における主弁体４及び副弁体５の開閉動作の詳細について説明する。ステッピングモータ６Ａの駆動によってマグネットロータ６２及びロータ軸６１が回転すると、ロータ軸６１の雄ねじ部６１ａとガイド部材３の雌ねじ部３４ａとのねじ送り機構６Ｂにより、ロータ軸６１がＺ方向に沿って移動する。これにより、副弁体５がＺ方向に進退移動して副弁ポート４１ａに対して接近又は離隔し、副弁ポート４１ａの弁開度が制御される。また、副弁体５（ワッシャ５３）が主弁体４（リテーナ４４）に係合し、主弁体４は副弁体５と共に移動して、主弁座２３に対して接近又は離隔する。これにより、第１継手管１１から第２継手管１２に向かって流れる冷媒の流量が制御される。

【0026】

ガイド部材３のストッパ部３４の外周面には、雄ねじ状のガイド溝３４ｂが形成され、このガイド溝３４ｂには、スライダ６３が設けられている。スライダ６３は、マグネットロータ６２に当接し、マグネットロータ６２の回転に伴ってガイド溝３４ｂに沿って回転かつ上下動する。そして、スライダ６３は、ガイド溝３４ｂの上端または下端に当接することで、マグネットロータ６２の回転を規制するストッパ機構６Ｃを構成している。このストッパ機構６Ｃにより、ロータ軸６１およびマグネットロータ６２の最下端位置および最上端位置が規制される。

【0027】

ここで、弁ハウジング２と第１継手管１１との接続構造の詳細について、図２～４を参照しつつ説明する。弁ハウジング２には、Ｘ方向から見て円状の第１ポート２１が形成されていることから、ＸＹ平面に沿った面で弁ハウジング２を切断する場合、切断位置がＺ方向において変化すると、断面における第１ポート２１の開口寸法（Ｙ方向寸法）が変化する。図２は、第１ポート２１の開口寸法が最大となるような断面である。このとき、第１ポート２１の内周面のうちＹ方向一方側（図中上側）の端部を一端部２１１とし、他方側（図中下側）の端部を他端部２１２とする。一端部２１１のうち、弁ハウジング２の肉厚方向（図２においてはＸ方向）における中央部２１１Ａと、他端部２１２のうち、弁ハウジング２の肉厚方向における中央部２１２Ａと、を仮想的に結ぶ線分を仮想線分Ｌ１とする。また、弁ハウジング２の内周面のうち第１ポート２１の形成位置に対応する円弧（第１ポート２１が形成される前に存在していた部分であり、弁ハウジング２のうち第１ポート２１以外の円弧を延長した部分）を仮想円弧Ｃ１とする。仮想線分Ｌ１と仮想円弧Ｃ１とが交差するようになっている。

【0028】

このような弁ハウジング２の第１ポート２１に対して第１継手管１１を正規深さまで挿入すると、この第１継手管１１の外周面１１Ａは、図４に示すような対向領域（一点鎖線によって囲まれた範囲）Ａ１において第１ポート２１の内周面と対向する。対向領域Ａ１は、曲線帯状に形成されているものの、第１継手管１１の先端にまでは到達していない。また、第１継手管１１をＹ方向紙面奥側から見た場合にも、対向領域Ａ１の形状は同様のものとなっている。

【0029】

このような対向領域Ａ１全体を含むようなＸ方向の範囲が、第１ポート２１の内周面と対向し得る対向可能領域（二点鎖線によって囲まれた範囲）Ａ２となる。即ち、Ｘ方向を軸方向として第１継手管１１を回転させることで、曲線帯状に形成されるとともに実際に対向する対向領域Ａ１は変化するため、このような対向領域Ａ１となる可能性がある領域が対向可能領域Ａ２となる。第１継手管１１の外周面１１Ａは、対向可能領域Ａ１よりも先端側において主弁室２Ｒに配置される内側領域Ａ３をさらに有する。内側領域Ａ３は、外周面１１Ａが全周に亘って主弁室２Ｒに配置される（第１ポート２１の内周面と対向しない）領域となっている。

【0030】

第１継手管１１の外周面１１Ａには、対向可能領域Ａ２の全体および内側領域Ａ３の一部に亘って、第１継手管１１の延在方向（Ｘ方向）に沿って延びる複数（本実施形態においては３つ）の凸部１１１が形成されている。即ち、外周面１１Ａにおいて、１つの凸部１１１によって、Ｘ方向に沿って延びる１つの凸状部分が形成され、３つの凸状部分が周方向に間隔を開けて形成されている。凸部１１１はディンプルであって、この形成位置において、第１継手管１１の内周面に凹部１１２が形成されている。尚、本実施形態では、凸部１１１は、第１継手管１１のうち挿入側（図２における左側）の端部にまでは到達していないが、凸部が第１継手管（継手部材）のうち挿入側の端部にまで到達する構成であってもよい。また、複数の凸部１１１は、周方向において等間隔（本実施形態においては１２０°間隔）で配置されている。

【0031】

凸部１１１がＸ方向に沿って延びるとともに対向可能領域Ａ１の全体に亘っていることで、第１継手管１１をどのような向き（Ｘ方向を軸方向として第１継手管１１を回転させた際の回転角度）で挿入したとしても、第１ポート２１の内周面全体が凸部１１１と当接するようになっている。このように第１ポート２１の内周面と凸部１１１とが当接した状態において、ろう付けによって第１継手管１１が弁ハウジング２に固定される。

【0032】

一方、複数の点状の凸部を周方向に並ぶように形成した場合について考える。これらの点状の凸部は対向可能領域Ａ２に配置されることになるが、全ての凸部が対向領域Ａ１に配置されるとは限らない。仮にある向きの第１継手管１１において全ての凸部を対向領域Ａ１に配置したとしても、第１継手管１１の向きが変わることで対向領域Ａ１も変化することから、凸部が対向領域Ａ１から外れることがある。

【0033】

以上の本実施形態によれば、凸部１１１によって構成された凸状部分が第１継手管１１の延在方向であるＸ方向に沿って延びていることで、弁ハウジング２の第１ポート２１の内周面に当接しやすくなる。これにより、弁ハウジング２と第１継手管１１との固定構造を安定化させることができる。

【0034】

また、弁ハウジング２において、仮想線分Ｌ１と仮想円弧Ｃ１とが交差し、弁ハウジング２の径に対して第１ポート２１の径が比較的大きく、弁ハウジング２の肉厚が薄い場合であっても、凸部１１１によって構成された凸状部分を弁ポート４１ａの内周面に当接させやすくすることができる。

【0035】

また、凸部１１１によって構成された凸状部分が、対向可能領域Ａ２の全体に亘るようにＸ方向に沿って延びていることで、凸部１１１によって構成された凸状部分を第１ポート２１の内周面にさらに当接させやすくすることができる。

【0036】

なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、３つの凸部１１１によって３つの凸状部分が形成され、１２０°間隔で配置されるものとしたが、継手部材には多数の凸状部分が形成されていてもよい。

【0037】

即ち、変形例として図５，６に示すように、継手部材としての第１継手管１３の外周面１３Ａにおいて、凸部１３１によって構成される凸状部分と凹部１３２とが周方向に交互に並ぶことにより、凹凸部１３３が形成されていてもよい。これにより、第１継手管１３の外周面１３Ａには、平ローレット加工が施されている。このとき、凸部１３１はディンプルではなく、内周面側に凹部は形成されない。また、第１継手管１３においても、前記実施形態の第１継手管１１と同様の対向領域と対向可能領域と内側領域とが形成されるものとする。

【0038】

このような変形例によれば、第１継手管１３の外周面１３Ａに凹凸部１３３が形成されていることで、第１継手管１３のガタツキをさらに抑制しやすくすることができる。

【0039】

また、継手部材には、周方向に沿って複数の凸状部分が形成されていればよく、凸状部分の数は２つであってもよいし、４つ以上であってもよい。また、複数の凸状部分は、周方向において等間隔に配置されたものでなくてもよい。

【0040】

また、前記実施形態では、１つの凸部１１１によって１つの凸状部分が構成され、凸部１１１がＸ方向に沿って延びることで、凸状部分もＸ方向に沿って延びるものとしたが、複数の凸部によって１つの凸状部分が構成されていてもよい。例えば、複数の点状の凸部（ディンプル等）が継手部材の延在方向に沿って並ぶように配置されることにより、これらの凸部によって構成される凸状部分が、継手部材の延在方向に延びるようにしてもよい。

【0041】

また、前記実施形態では、凸部１１１によって構成された凸状部分が対向可能領域Ａ２の全体に亘るようにＸ方向に沿って延びているものとしたが、凸状部分は対向可能領域に形成されるとともに継手部材の延在方向に沿って延びるものであればよく、対向可能領域の全体に亘っていなくてもよい。凸状部分が対向可能領域の全体に亘っていない場合であっても、開口部の内周面と凸状部分とを当接させやすくすることができる。

【0042】

また、前記実施形態では、弁ハウジング２において仮想線分Ｌ１と仮想円弧Ｃ１とが交差するものとしたが、仮想線分と仮想円弧とが交差しない場合であっても、例えば継手部材が比較的深く挿入され、継手部材における対向領域よりも先端側に、弁室内に配置される内側領域が形成される場合には、前記実施形態のように継手部材の延在方向に沿って延びる凸状部分が形成されてもよい。

【0043】

また、前記実施形態では、弁装置として、主弁体４及び副弁体５を備えて２段階で流量調節可能な電動弁１を例示したが、弁装置はこれに限定されない。即ち、弁装置は、円筒状の弁ハウジングの側面の開口部に対して継手部材が接続されるものであればよく、１つの弁体のみを備えて１段階で流量調節可能な電動弁であってもよいし、その他の駆動方式を有する弁装置であってもよい。

【0044】

以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。

【符号の説明】

【0045】

１…電動弁（弁装置）、２…弁ハウジング、２１…第１ポート（開口部）、２１１…一端部、２１１Ａ，２１２Ａ…中央部、２１２…他端部、２Ｒ…主弁室（弁室）、４…主弁体（弁体）、１１，１３…第１継手管（継手部材）、１１Ａ，１３Ａ…外周面、１１１，１３１…凸部、１３２…凹部、１３３…凹凸部、Ａ２…対向可能領域、Ａ３…内側領域、Ｌ１…仮想線分、Ｃ１…仮想円弧

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】