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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20241015BHJP
   F02B 25/16 20060101ALI20241015BHJP
   F02M 61/04 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
F02M21/02 V
F02M21/02 S
F02M21/02 X
F02B25/16 R
F02M61/04 G
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021101575
(22)【出願日】2021-06-18
(62)【分割の表示】P 2020102462の分割
【原出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021181783
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】PA 2019 70373
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・バッハ・メルガルド
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-124713(JP,A)
【文献】国際公開第2014/061343(WO,A1)
【文献】特開2015-014273(JP,A)
【文献】特開2016-089703(JP,A)
【文献】特開2013-040579(JP,A)
【文献】特開2013-007320(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098174(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/104735(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/02 - 21/06
F02B 43/00
F02D 13/00 - 28/00
F02D 41/00 - 41/40
F02D 43/00 - 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダを有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関であって、前記複数のシリンダの各々は、シリンダ壁と、前記シリンダの底部に配置された掃気入口とを有し、ここにおいて、前記2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、燃料ガスタンクに流体的に接続可能な燃料ガス供給システムを介して、燃料ガスを前記複数のシリンダの各々に噴射するように構成されており、前記燃料ガス供給システムは、各シリンダに対して、少なくとも部分的に前記シリンダ壁において配置されかつ圧縮ストローク中に燃料ガスを前記シリンダに流入させるように構成された第1のグループの燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが、前記掃気入口からの掃気と混合することを可能にし、掃気と燃料ガスとの混合物が、点火される前に圧縮されることを許容し、
前記燃料ガス供給システムが、各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁の上流に配置された安全弁をさらに備えることを特徴とし、前記第1のグループの燃料ガス弁は、前記安全弁を介して前記燃料ガスタンクに流体的に接続可能であ
前記燃料ガス供給システムは、燃料ガスを噴射圧力で前記安全弁に提供するように構成され、エンジンは、1つ以上の制御ユニットをさらに備え、前記1つ以上の制御ユニットは、1つ以上の燃料ガス弁の第1のグループが閉じられた後まで、前記安全弁を開いた状態に保つように構成され、前記1つ以上の燃料ガス弁の第1のグループは、任意の弁が前記安全弁と前記1つ以上の燃料ガス弁の第1のグループとの間に配置されることなく、前記安全弁を介して前記燃料ガスタンクに流体的に接続可能であり、前記安全弁と第1の燃料ガス弁との間の容積内の圧力は、前記安全弁と前記第1の燃料ガス弁の両方が閉じられたとき、前記噴射圧力に等しい、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項2】
前記安全弁は、前記第1のグループの燃料ガス弁が開くように構成される前に開くように、および前記第1のグループの燃料ガス弁が閉じるように構成された後に閉じるように構成されており、それによって、燃料ガスが前記安全弁を通って前記第1のグループの燃料ガス弁に流れることが許容される制限された時間期間を作成する、請求項1に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項3】
前記燃料ガス供給システムは、前記安全弁の各々に作動可能に接続されかつ各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁が閉じている時間期間の間、前記安全弁を閉じた状態に保つように構成された1つ以上の制御ユニットを備え、これによって、加圧ガスが、前記安全弁と前記第1のグループの燃料ガス弁との間の容積において捕獲される、請求項1または2に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項4】
前記2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、各シリンダに対して、前記安全弁と前記第1のグループの燃料ガス弁との間の容積内に配置された圧力センサをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項5】
前記第1のグループの燃料ガス弁は、140度未満に及ぶ、前記シリンダの外周の一部に沿って配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項6】
各シリンダに対して、前記安全弁の下流の前記燃料ガス供給システムの内部容積は、15リットル未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項7】
各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁は、第1の燃料ガス弁から成る、請求項1~6のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項8】
前記安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記第1の燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記安全弁の前記弁ハウジングは、前記第1の燃料ガス弁の前記弁ハウジングに直接的に接続されており、これにより、前記安全弁の前記出口は、前記第1の燃料ガス弁の前記入口に直接的に接続されている、請求項7に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項9】
前記燃料ガス供給システムは、第1のグループの前記複数のシリンダの各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁を前記燃料ガスタンクに流体的に接続するように適合された第1の主燃料ガス供給管と、前記第1の主燃料ガス供給管を前記燃料ガスタンクに流体的に接続するための第1の主安全弁と、前記第1の主燃料ガス供給管を噴出システムに流体的に接続するように適合された第1の噴出弁と、前記第1の主安全弁、前記第1の噴出弁、および前記第1のグループのシリンダの各シリンダの前記安全弁に作動可能に接続されている1つ以上の制御ユニットとをさらに備え、ここにおいて、前記1つ以上の制御ユニットは、前記第1のグループのシリンダの各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁の状態を監視し、燃料ガス弁の動作不良が起きた場合に、
・前記動作不良を起こしている燃料ガス弁の前記安全弁に、前記安全弁を閉じるように制御する制御信号を送る、
・前記第1の主安全弁に、前記第1の主安全弁を閉じるように制御する制御信号を送る、および
・前記噴出弁に、前記噴出弁を開くように制御する制御信号を送る、
ように構成されており、
ここにおいて、燃料ガス供給システムは、前記第1の主安全弁の下流の前記燃料ガス供給システムにおいて存在する前記燃料ガスの大部分(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)を、前記主燃料ガス供給管および前記噴出弁を介して、前記噴出システムへと誘導するように適合される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項10】
前記2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、前記燃料ガス供給システムが前記複数のシリンダの各々に燃料ガスを供給する第1の状態と、前記燃料ガス供給システムが、前記複数のシリンダのうちの少なくとも1つのシリンダの前記安全弁を閉じた状態に保つことによって、前記少なくとも1つのシリンダへの燃料ガスの送出を遮断するように構成されている第2の状態とで動作可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
【請求項11】
燃料ガス弁と安全弁とを備え、前記安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、第1の燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、ここにおいて、前記安全弁の前記弁ハウジングは、前記燃料ガス弁の前記弁ハウジングに直接的に接続されており、これにより、前記安全弁の前記出口は、前記燃料ガス弁の前記入口に直接的に接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の燃料ガス供給システムのための弁アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストローク内燃機関および弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、およびタンカーのような船舶において推進エンジンとして使用される。内燃機関からの望ましくない排出ガスの低減は、ますます重要になっている。
【0003】
望ましくない排出ガスの量を低減させるための効果的な方法が、燃料油、例えば、重油(HFO)から燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスは、圧縮されたときにシリンダ内のガスが達成する高温によって、またはパイロット燃料の点火によってのいずれかで、それがただちに点火され得る圧縮ストロークの最後にシリンダに噴射され得る。しかしながら、圧縮ストロークの最後にシリンダに燃料ガスを噴射することは、シリンダ内の高圧を克服するために、噴射より前に燃料ガスを圧縮するための高圧ガスコンプレッサを必要とする。
【0004】
しかしながら、高圧ガスコンプレッサは、製造および保守整備するのに高価で複雑である。高圧コンプレッサの必要性を回避するための1つの方法が、シリンダ内の圧力が著しくより低い圧縮ストロークの始めに燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を有することである。
【0005】
EP3015679は、このような燃料ガス弁を開示している。
【0006】
2ストロークユニフロー掃気内燃機関にとっては、これは、燃料ガス弁がシリンダにおける比較的低い位置に配置されることを必要とし、燃料ガスがピストンより下にある掃気空間に放出され得るので、燃料ガス弁の故障を非常に問題があるものにする。これは、次のエンジンサイクルにおいてシリンダカバーの持ち上げを引き起こす高すぎるシリンダ圧力をもたらすか、あるいは点火不良またはノッキングをもたらし得る。さらに、燃料ガス弁の漏れを検出することは、特に、漏れが少ない、例えば、わずかに損傷した弁座エリアによるものである場合、困難になり得る。未検出の少量の漏れはまた、環境に有害なメタンスリップ(methane slip)を増大させることになる。
【0007】
したがって、より安全な内燃機関を提供することが依然として課題となっている。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、複数のシリンダを有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関に関し、複数のシリンダの各々は、シリンダ壁と、シリンダの底部に配置された掃気入口とを有し、ここにおいて、2ストロークユニフロー掃気内燃機関は、燃料ガスタンクに流体的に接続可能な燃料ガス供給システムを介して、燃料ガスを複数のシリンダの各々に噴射するように構成されており、燃料ガス供給システムは、各シリンダに対して、少なくとも部分的にシリンダ壁において配置されかつ圧縮ストローク中に燃料ガスをシリンダに流入させるように構成された第1のグループの燃料ガス弁を備え、燃料ガスが、掃気と混合することを可能にし、掃気入口からの掃気と燃料ガスとの混合物が、点火される前に圧縮されることを許容し、ここにおいて、燃料ガス供給システムは、各シリンダに対して、第1のグループの燃料ガス弁の上流に配置された安全弁をさらに備え、第1のグループの燃料ガス弁は、安全弁を介して燃料ガスタンクに流体的に接続可能である。
【0009】
結果として、燃料ガス弁への燃料ガスの送出は、効果的かつ高速に停止され得る。したがって、損傷した燃料ガス弁を通って流れることが許容される燃料ガスの量は制限され得、これによって、エンジンへの損傷のリスクを低下させる。
【0010】
内燃機関は、好ましくは、シリンダ毎に少なくとも400kWの動力を有する、海洋船舶を推進するためのユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージ2ストローククロスヘッド内燃機関である。燃焼機関システムは、内燃機関によって発生した排出ガスによって駆動されかつ掃気を圧縮するように構成されたターボチャージャーを備え得る。内燃機関は、燃料ガスで動くとき、オットーサイクルモードを有し、代替燃料、例えば、重油または船舶用ディーゼル油で動くとき、ディーゼルサイクルモードを有する、複式燃料機関(dual-fuel engine)であり得る。このような複式燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用燃料供給システムを有しており、この燃料供給システムはまた、燃料ガスと掃気との混合物を点火するためにオットーサイクルモードで動作するとき、パイロット燃料の噴射のために使用され得る。
【0011】
内燃機関は、パイロット燃料の必要な量だけが使用されるように、ちょうどの量が燃料ガスと掃気との混合物に点火できるように正確にその分量をはかられた、例えば、重油または船舶用ディーゼル油などの、少量のパイロット燃料を噴射することが可能であるパイロット燃料システムのような専用点火システムを備え得る。このようなパイロット燃料システムは、代替燃料のための専用燃料供給システムと比較して、サイズがはるかに小さく、正確な量のパイロット燃料を噴射するのにより好適であり、これは、コンポーネントの大きいサイズがこの目的に適さないことに起因する。
【0012】
パイロット燃料は、内燃機関の燃焼室に流体的に接続されている予燃室に噴射され得る。代替として、燃料ガスと掃気との混合物は、スパークプラグまたはレーザ点火装置を備える手段によって点火され得る。各シリンダには、シリンダの底部に1つ以上の掃気入口と、シリンダの最上部(top)に排出口とが設けられ得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、安全弁は、第1のグループの燃料ガス弁が開くように構成される前に開くように、および第1のグループの燃料ガス弁が閉じるように構成された後に閉じるように構成されており、それによって、燃料ガスが安全弁を通って第1のグループの燃料ガス弁に流れることを許容される制限された時間期間を作成する。
【0014】
いくつかの実施形態では、燃料ガス弁は、下死点からの0度から160度内で、下死点からの0度から130度内で、または、下死点からの0度から90度内で、圧縮ストローク中に燃料ガスをシリンダに噴射するように構成されている。
【0015】
燃料ガスの例は、天然ガス、メタン、エタン、および液化石油ガスである。
【0016】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、安全弁の各々に作動可能に接続されかつ各シリンダに対して、第1のグループの燃料ガス弁が閉じている時間期間の間、安全弁を閉じた状態に保つように構成された1つ以上の制御ユニットを備え、これによって、加圧ガスが、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積(volume)において捕獲される。
【0017】
結果として、例えば、圧力変化または温度変化について、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁のとの間の比較的小さい容積を監視することによって、閉じた状態の燃料ガス弁を通して微量の燃料ガスのみが漏れている早期に、動作不良を起こしている燃料ガス弁を検出することが可能になる。
【0018】
安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積は、安全弁の閉鎖部材および第1のグループの燃料ガス弁の閉鎖部材の下流の容積、例えば、安全弁の弁板と、第1のグループの燃料ガス弁の弁板との間の容積として定義される。
【0019】
いくつかの実施形態では、2ストローク内燃機関は、各シリンダに対して、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積内に配置された第1のセンサをさらに備え、第1のセンサは、動作不良を起こしている燃料ガス弁を示す、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積における圧力変化を直接的または間接的に検出するように構成されている。
【0020】
結果として、異なるタイプの燃料弁動作不良を確実な方法で検出することが可能になる。
【0021】
第1のセンサは、圧力変化を直接的に検出するように構成された圧力センサであり得る。代替として、第1のセンサは、例えば、温度センサなどの、圧力変化を間接的に検出するように構成された別のセンサであり得る。第2のセンサが、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積においてさらに配置され得、例えば、第1のセンサは、圧力センサであり得、第2のセンサは、温度センサであり得る。内燃機関は、第1のセンサ(また、場合によっては、第2のセンサ)に作動可能に接続されている制御ユニットをさらに備え得る。制御ユニットは、第1のセンサから受信されるセンサ信号を監視し、例えば、損傷した弁板または弁座、あるいは動かなくなった弁シャフトのいずれかを示す、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積における圧力降下が検出された場合など、動作不良を起こしている燃料ガス弁が検出された場合に、アラームを発するように構成され得る。制御ユニットは、アラームに応答してアクションを行うように構成され得、例えば、制御ユニットは、動作不良を起こしている燃料ガス弁の安全弁が永続的に閉じられていること(permanently closed)を確保し、および/または、燃料ガス供給システムからガスを噴出させるためのブロー動作を開始し、および/または、ガスモードから、例えば、ディーゼルモードなどの、代替モードに切り替わるようにエンジンを制御し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、制御ユニットは、第1のグループの燃料ガス弁が閉じられた後まで、安全弁を開いた状態に保つように構成されている。
【0023】
結果として、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁との間の容積内で捕獲された燃料ガスの初期圧力は、噴射圧力に等しくなり、それによって、少量の漏れを検出することをより容易にしている。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のグループの燃料ガス弁は、140度未満、90度未満、または60度未満に及ぶ、シリンダの外周(periphery)の一部に沿って配置されている。
【0025】
結果として、第1のグループの燃料ガス弁の(1つまたは複数の)燃料ガス弁を、外周の小さい部分に沿って配置することによって、配管がより単純になり、安全弁と第1のグループの燃料ガス弁の(1つまたは複数の)燃料ガス弁との間の容積は、小さくなり得る。
【0026】
第1のグループの燃料ガス弁は、好ましくは、単一の燃料ガス弁から成るが、それはまた、2つ以上の燃料ガス弁を備え得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、各シリンダに対して、安全弁の下流の燃料ガス供給システムの内部容積(internal volume)は、15リットル未満、10リットル未満、または8リットル未満である。
【0028】
結果として、安全弁の下流の容積を低く保つことによって、損傷した燃料ガス弁を通って漏れることが許容される燃料ガスの量は、ほぼ相応に(approximately correspondingly)低くなり得る。
【0029】
安全弁の下流の燃料ガス供給システムの内部容積は、例えば、安全弁の弁板の下流などの、安全弁の閉鎖部材の下流の燃料ガス供給システムの内部容積として定義される。
【0030】
いくつかの実施形態では、各シリンダに対して、第1のグループの燃料ガス弁は、第1の燃料ガス弁から成る。
【0031】
結果として、各燃料ガス弁には、専用の安全弁が設けられている。これは、安全弁の下流の容積を最小化し、動作不良を起こしている燃料ガス弁の高速かつ正確な識別を可能にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、第1の燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、ここにおいて、安全弁の弁ハウジングは、第1の燃料ガス弁の弁ハウジングに直接的に接続されており、これにより、安全弁の出口は、第1の燃料ガス弁の入口に直接的に接続されている。
【0033】
結果として、安全弁の下流の容積は低下し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、安全弁の弁ハウジングおよび第1の燃料ガス弁の弁ハウジングは、一体化され、すなわち、1つの要素として形成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、安全弁の可動部品は、燃料ガス弁の可動部品と同一である。
【0036】
結果として、保守整備および製造が、より単純になり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、各シリンダに対して、安全弁は、第1のグループの燃料ガス弁についての噴射の前後の(around the time of)所定の期間の間だけ開いているように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、第1のグループの複数のシリンダの各シリンダに対して、第1のグループの燃料ガス弁を燃料ガスタンクに流体的に接続するように適合された第1の主燃料ガス供給管と、第1の主燃料ガス供給管を燃料ガスタンクに流体的に接続するための第1の主安全弁と、第1の主燃料ガス供給管を噴出システムに流体的に接続するように適合された第1の噴出弁と、第1の主安全弁、第1の噴出弁、および第1のグループのシリンダの各シリンダの安全弁に作動可能に接続されている1つ以上の制御ユニットとをさらに備え、ここにおいて、1つ以上の制御ユニットは、第1のグループのシリンダの各シリンダに対して、第1のグループの燃料ガス弁の状態を監視し、燃料ガス弁の動作不良が起きた場合に、
・動作不良を起こしている燃料ガス弁の安全弁に、安全弁を閉じるように制御する制御信号を送る、
・第1の主安全弁に、第1の主安全弁を閉じるように制御する制御信号を送る、および ・噴出弁に、噴出弁を開くように制御する制御信号を送る、
ように構成されており、ここにおいて、燃料ガス供給システムは、第1の主安全弁の下流の燃料ガス供給システムにおいて存在する燃料ガスの大部分(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)を、主燃料ガス供給管および噴出弁を介して、噴出システムへと誘導するように適合される。
【0039】
結果として、燃料ガス弁に燃料ガスを供給し、および、燃料ガスの燃料ガス供給システムを空にするために、同じ燃料ガス管を使用することによって、著しくより単純なシステムがもたらされ、すなわち、緊急事態の際に燃料ガスを受けるための専用の噴出システムは、もはや必要がなくなる。
【0040】
いくつかの実施形態では、2ストローク内燃機関は、燃料ガス供給システムが、複数のシリンダの各々に燃料ガスを供給する第1の状態と、燃料ガス供給システムが、複数のシリンダのうちの少なくとも1つのシリンダの安全弁を閉じた状態に保つことによって、少なくとも1つのシリンダへの燃料ガスの送出を遮断するように構成されている第2の状態とで動作可能である。
【0041】
結果として、シリンダは、保守整備のために遮断され得、2ストローク内燃機関がガスモードで動作可能であることを可能にする。
【0042】
第2の態様によれば、本発明は、燃料ガス弁と安全弁とを備える、第1の態様に関連して開示されたような2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の燃料ガス供給システムのための弁アセンブリに関し、安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、ここにおいて、安全弁の弁ハウジングは、燃料ガス弁の弁ハウジングに直接的に接続されており、これにより、安全弁の出口は、燃料ガス弁の入口に直接的に接続されている。
【0043】
安全弁の弁ハウジングおよび燃料ガス弁の弁ハウジングは、それらを互いに接触して(against each other)配置することによって、直接的に接続され得、例えば、これにより、安全弁の弁ハウジングは、燃料ガス弁の弁ハウジングと隣り合う。代替として、安全弁の弁ハウジングおよび燃料ガス弁は、例えば、それらを(または、それらの少なくとも一部を)組み合わせた単一の要素として成形するなど、それらを一体化された要素として作製することによって、直接的に接続され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、弁アセンブリは、安全弁と燃料ガス弁との間の容積内に配置された圧力センサをさらに備える。
【0045】
本発明の異なる態様は、上記および以下に説明されるような2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関および弁アセンブリなどを含む異なる方法で実現され得、上記で説明された態様のうちの少なくとも1つに関連して説明された利益および利点のうちの1つ以上をそれぞれ生み出し、上記で説明された態様のうちの少なくとも1つに関連して説明された、および/または従属請求項において開示される好ましい実施形態に対応する1つ以上の好ましい実施形態をそれぞれ有している。さらに、本明細書で説明される態様のうちの1つに関連して説明される実施形態は、他の態様に等しく適用され得ることが認識されるだろう。
【0046】
本発明の上記のおよび/または追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明によってさらに明瞭にされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示す。
図2図2は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関のための燃料ガス弁の断面を概略的に示す。
図3a図3aは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示す。
図3b図3bは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の断面を概略的に示す。
図4a図4aは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の一部を概略的に示す。
図4b図4bは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の一部を概略的に示す。
図5図5は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の燃料ガス供給システムのための弁アセンブリの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の説明において、添付の図面への参照がなされ、これは、本発明がどのように実施され得るかを例として示している。
【0049】
図1は、本発明の実施形態による、海洋船舶を推進するための2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関100の断面を概略的に示す。2ストローク内燃機関100は、掃気システム111、排出ガスレシーバ108、およびターボチャージャー109を備える。2ストローク内燃機関は、複数のシリンダ101を有する(断面には単一のシリンダのみが示されている)。各シリンダ101は、掃気を供給するためのシリンダの下部に配置された掃気入口102、ピストン103、シリンダの最上部に配置されたシリンダカバー113、シリンダカバー113に配置された排出弁104、および1つ以上の燃料ガス弁105(概略的に図示されているにすぎない)を備える。掃気入口102は、掃気システムに流体的に接続されている。ピストン103は、その最も低い位置(下死点)において示されている。ピストン103は、クランクシャフト(図示せず)に接続されているピストン棒を有する。燃料ガス弁105は、概略的に示されているにすぎない。燃料ガス弁105は、少なくとも部分的に、シリンダカバー113と掃気入口102との間のシリンダ壁において配置され、燃料ガス供給システムの一部を形成し、かつ、圧縮ストローク中に燃料ガスをシリンダに噴射するように構成されており、燃料ガスが、掃気入口102からの掃気と混合することを可能にし、掃気と燃料ガスとの混合物が、点火される前に圧縮されることを許容し、燃料ガス弁105は、燃料ガスノズルを有し、燃料ガスノズルは、燃料ガスをシリンダの内部に供給するための1つ以上のノズル出口を有する。燃料ガス供給システムは、燃料ガスタンクに流体的に接続可能である。燃料ガス供給システムは、各シリンダのための安全弁112(概略的に図示されているにすぎない)をさらに備え、ここで、燃料ガス弁105は、安全弁112を介して、燃料ガスタンクに流体的に接続可能である。安全弁112は、燃料ガス弁105が開くように構成されるよりも短い時間期間前に開くように、および燃料ガス弁105が閉じるように構成されてから短い時間期間後に閉じるように構成されており、それによって、主燃料ガス供給管316からの燃料ガスが、安全弁112を通って燃料ガス弁105に流れることができる制限された時間期間を作成する。これは、通常動作での安全弁112が、燃料ガス弁105と同じだけ起動されることになることを意味し、これは、それが、ガスがシリンダに流入されるガス弁105の開いている期間の直前に開きおよび直後に閉じるからである。安全弁112は、二重の安全機能を有する。第1に、燃焼室へのガスの給気が、正しい給気タイミングでのみ可能であることを確保し、第2に、燃料ガス弁105の故障の際に、それは、燃焼室にガスが入るのを阻止し得、それによって、安全弁の下流の空間における非常に少量のガスのみが燃焼室に入ることになることを保証する。安全弁をエンジンの各回転において起動させていることによる別の利点が、安全弁112が、動かなくならないことであり、これは、まれにしか起こらない故障時にのみ起動される安全弁にとっては、問題になり得る。
【0050】
燃料ガス弁105は、下死点から0度から130度内の圧縮ストロークの始めに、すなわち、クランクシャフトが下死点におけるその向き(orientation)から、0度から130度の間で回転したとき、燃料ガスをシリンダ101に噴射するように構成され得る。好ましくは、燃料ガス弁105は、燃料ガスが排出弁104および掃気入口102を通って流出することを阻止するために、ピストンが掃気入口102を通過するように、クランクシャフト軸が下死点から数度回転した後に、燃料ガスを噴射することを開始するように構成される。掃気システム111は、掃気レシーバ110と空気冷却器106とを備える。
【0051】
排出弁は、シリンダカバーの中央に配置され、排出弁のタイミングは、例えば、シリンダ内の圧縮比および/または温度を制御するために、排出弁を閉じることおよび/または開くことが最適化されることができるように可変であり得る。
【0052】
図2は、本発明の実施形態による、2ストローク内燃機関のための燃料ガス弁200の断面を概略的に示す。燃料ガス弁200は、弁シャフト201、弁板202、弁座203、および、ノズル出口206を有する燃料ガスノズル204を備える。弁シャフト201および弁板202は、燃料ガスが燃料ガス弁200を通って流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが燃料ガス弁200を通って流れることを許容される開位置との間で可動である。弁シャフト201および弁板202は、図2では閉位置において示されている。弁シャフト201および弁板202は、制御ユニット(図示せず)によって制御されるアクチュエータ(図示せず)によって、閉位置と開位置との間で可動であり得る。
【0053】
図3aは、本発明の実施形態による、複数のシリンダ301を有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関300の概略図を示す。2ストロークユニフロー掃気内燃機関300は、燃料ガスタンク318に流体的に接続可能な燃料ガス供給システム315 313 316 312 305を介して、燃料ガスを複数のシリンダの各々に噴射するように構成されている。燃料ガス供給システム315 313 316 312 305は、各シリンダ301に対して、圧縮ストローク中に、制御された量の燃料ガスをシリンダ301に流入させるように構成された第1のグループの燃料ガス弁305を備え、燃料ガスが、掃気と混合することを可能にし、掃気と燃料ガスとの混合物が、点火される前に圧縮されることを許容する。燃料ガス供給システム315 313 316 312 305は、各シリンダ301に対して、第1のグループの燃料ガス弁305の上流に配置された安全弁312をさらに備え、第1のグループの燃料ガス弁は、安全弁312を介して、燃料ガスタンク318に流体的に接続可能である。燃料ガス供給システム315 313 316 312 305は、第1のグループの複数のシリンダの各シリンダ301に対して、第1のグループの燃料ガス弁305を燃料ガスタンク318に流体的に接続するように適合された第1の主燃料ガス供給管316と、第1の主燃料ガス供給管316を燃料ガスタンク318に流体的に接続するための第1の主安全弁315と、第1の主燃料ガス供給管316を噴出システム314に流体的に接続するように適合された第1の噴出弁313と、第1の主安全弁315、第1の噴出弁313、および第1のグループのシリンダの各シリンダの安全弁312に作動可能に接続されている1つ以上の制御ユニット(図示せず)とをさらに備える。燃料ガスタンク318は、給気圧力、例えば、3~40バール、好ましくは、10~25バールに、燃料ガスを圧縮するように構成されたコンプレッサ317を通じて第1の主安全弁315に流体的に接続され得る。代替として、燃料ガスタンク318に貯蔵された燃料ガスは、噴射圧力で加圧され得、これによって、燃料ガスタンク318と第1の主安全弁315との間にコンプレッサの必要がなくなる。1つ以上の制御ユニットは、第1のグループのシリンダの各シリンダ301に対して、第1のグループの燃料ガス弁305の状態を監視し、燃料ガス弁305の動作不良が起きた場合に、
・動作不良を起こしている燃料ガス弁の安全弁312に、安全弁312を閉じるように制御する制御信号を送る、
・第1の主安全弁315に、第1の主安全弁315を閉じるように制御する制御信号を送る、および
・噴出弁313に、噴出弁313を開くように制御する制御信号を送る、
ように構成されており、ここにおいて、燃料ガス供給システムは、第1の主安全弁315の下流の燃料ガス供給システムにおいて存在する燃料ガスの大部分(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)を、主燃料ガス供給管316および噴出弁313を介して、例えば、また、残りの安全弁312および/または残りの燃料ガス弁305を閉じることによって、噴出システムへと誘導するように適合される。この実施形態では、第1のグループの複数のシリンダは、全てのシリンダから成るが、他の実施形態では、第1のグループは、より少ない、例えば、2つ以上のシリンダから成り得る。1つ以上の制御ユニットはまた、弁を閉じるおよび/または弁を閉じた状態に保つための制御信号を、第1のグループのシリンダにおける他のシリンダの第1のグループの燃料ガス弁の305および/または安全弁312に送り得る。
【0054】
図3bは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関300の概略図を示す。エンジン300は、燃料ガス供給システムが、各シリンダ301に対して、第2のグループの燃料ガス弁305’、第2のグループの燃料ガス弁305’の上流に配置された第2の安全弁312’をさらに備え、第2のグループの燃料ガス弁305’が、第2の安全弁312’を介して、燃料ガスタンク318に流体的に接続可能であるという違いを伴って、図3aに示されたエンジンと同様である。燃料ガス供給システムは、第1のグループの複数のシリンダの各シリンダ301に対して、第2のグループの燃料ガス弁305’を燃料ガスタンク318に流体的に接続するように適合された第2の主燃料ガス供給管316’と、第2の主燃料ガス供給管316’を燃料ガスタンク318に流体的に接続するための第2の主安全弁315’と、第2の主燃料ガス供給管316’を噴出システム314’に流体的に接続するように適合された第2の噴出弁313’とをさらに備える。
【0055】
図4aは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の一部を概略的に示す。シリンダ401と、燃料ガス供給システム412 405の部分とが示されている。燃料ガス供給システムは、シリンダ401に対して、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成された第1のグループの燃料ガス弁405を備える。この実施形態では、第1のグループの燃料ガス弁405は、単一の燃料ガス弁405から成る。燃料ガス供給システムはさらに、シリンダ401に対して、燃料ガス弁405の上流に配置された安全弁412を備え、これにより、燃料ガス弁405は、安全弁412を介して、燃料ガスタンクに流体的に接続可能である。燃料ガス弁405は、燃料ガス弁405を開閉するように構成された第1の制御ユニット320に作動可能に接続されている。これに対応して、安全弁は、安全弁412を開閉するように構成された第2の制御ユニット319に作動可能に接続されている。しかしながら、他の実施形態では、燃料ガス弁と安全弁の両方が、同じ制御ユニットに作動可能に接続され得る。
【0056】
図4bは、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の一部を概略的に示す。シリンダ401と、燃料ガス供給システム412 405 430の部分とが示されている。燃料ガス供給システムは、シリンダ401に対して、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成された第1のグループの燃料ガス弁405 430を備える。この実施形態では、第1のグループの燃料ガス弁405 430は、第1の燃料ガス弁405および第2の燃料ガス弁430を備える。燃料ガス供給システムはさらに、シリンダ401に対して、第1のグループの燃料ガス弁405 430の上流に配置された安全弁412を備え、これにより、第1のグループの燃料ガス弁405 430は、安全弁412を介して、燃料ガスタンクに流体的に接続可能である。第1のグループの燃料ガス弁は、この具体的な実施形態(concrete embodiment)では、略55度である、外周421の一部に沿って配置されている。しかしながら、第1のグループの燃料ガス弁は、任意の数の燃料ガス弁を備え得、例えば、円形ノズルリングを形成するために、外周全体に沿って配置され得る。燃料ガス弁は、内側または外側に開くポペット弁、ボール弁、バタフライ弁、もしくは回転弁、または他の好適な弁であり得る。
【0057】
図5は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の燃料ガス供給システムのための弁アセンブリ690の概略図を示す。弁アセンブリ690は、燃料ガス弁600と安全弁650とを備え、安全弁650は、入口656と出口656とを有する弁ハウジング655を有し、燃料ガス弁600は、弁ノズル604において形成された入口607と出口606とを有する弁ハウジング605を有する。安全弁650は、弁シャフト651、弁板652、および弁座653を備える。弁シャフト651および弁板652は、燃料ガスが安全弁650を通って流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが安全弁650を通って流れることを許容される開位置との間で可動である。弁シャフト651および弁板652は、図5では開位置において示されている。燃料ガス弁600は、弁シャフト601、弁板602、および弁座603を備える。弁シャフト601および弁板602は、燃料ガスが燃料ガス弁600を通って流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが燃料ガス弁600を通って流れることを許容される開位置との間で可動である。弁シャフト651および弁板602は、図5では開位置において示されている。安全弁の弁ハウジング655は、安全弁の弁ハウジング655と、燃料ガス弁の弁ハウジング605の一部とを一体化された要素として形成することによって、第1の燃料ガス弁の弁ハウジング605に直接的に接続されている。弁アセンブリ690は、安全弁650と燃料ガス弁600との間の容積680内に配置された圧力センサ608をさらに備える。
【0058】
さらに、弁アセンブリ690は、弁シャフト601の位置を監視する、例えば、誘導センサなどの、位置センサを備え得る。誘導位置センサと比較した場合の圧力センサを利用することの利点が、圧力センサが、スピンドル位置だけでなく、全弁アセンブリの気密性(tightness)を検証できることである。さらに、単一の圧力センサが、燃料弁と安全弁の両方の機能を同時に監視できる。位置センサの解決策は、2つの弁を監視するために、2つの別個のセンサが必要になる。
【0059】
圧力監視は、噴射パラメータを調整するために、制御システムにおいて、および/または、エンジンの安全戦略において、使用され得る。
【0060】
いくつかの実施形態が、詳細に説明および示されたが、本発明は、それらに限定されず、以下の特許請求の範囲で規定される主題事項の範囲内で、他の方法でも具現化され得る。特に、本発明の範囲から逸脱せずに、他の実施形態が利用され得、構造的および機能的な修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【0061】
いくつかの手段を列挙するデバイスに係る請求項では、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの1つの同じアイテムによって具現化されることができる。ある特定の方策が、相互に異なる従属請求項において記載されている、または異なる実施形態において説明されているという単なる事実は、これらの方策の組合せが有利に用いられることができないことを示すわけではない。
【0062】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises/comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことが強調されるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 複数のシリンダを有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関であって、前記複数のシリンダの各々は、シリンダ壁と、前記シリンダの底部に配置された掃気入口とを有し、ここにおいて、前記2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、燃料ガスタンクに流体的に接続可能な燃料ガス供給システムを介して、燃料ガスを前記複数のシリンダの各々に噴射するように構成されており、前記燃料ガス供給システムは、各シリンダに対して、少なくとも部分的に前記シリンダ壁において配置されかつ圧縮ストローク中に燃料ガスを前記シリンダに流入させるように構成された第1のグループの燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが、前記掃気入口からの掃気と混合することを可能にし、掃気と燃料ガスとの混合物が、点火される前に圧縮されることを許容し、
前記燃料ガス供給システムが、各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁の上流に配置された安全弁をさらに備えることを特徴とし、前記第1のグループの燃料ガス弁は、前記安全弁を介して前記燃料ガスタンクに流体的に接続可能である、2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[2] 前記安全弁は、前記第1のグループの燃料ガス弁が開くように構成される前に開くように、および前記第1のグループの燃料ガス弁が閉じるように構成された後に閉じるように構成されており、それによって、燃料ガスが前記安全弁を通って前記第1のグループの燃料ガス弁に流れることが許容される制限された時間期間を作成する、[1]に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[3] 前記燃料ガス供給システムは、前記安全弁の各々に作動可能に接続されかつ各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁が閉じている時間期間の間、前記安全弁を閉じた状態に保つように構成された1つ以上の制御ユニットを備え、これによって、加圧ガスが、前記安全弁と前記第1のグループの燃料ガス弁との間の容積において捕獲される、[1]または[2]に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[4] 前記2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、各シリンダに対して、前記安全弁と前記第1のグループの燃料ガス弁との間の容積内に配置された圧力センサをさらに備える、[1]~[3]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[5] 前記第1のグループの燃料ガス弁は、140度未満、90度未満、または60度未満に及ぶ、前記シリンダの外周の一部に沿って配置されている、[1]~[4]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[6] 各シリンダに対して、前記安全弁の下流の前記燃料ガス供給システムの内部容積は、15リットル未満、10リットル未満、または8リットル未満である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[7] 各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁は、第1の燃料ガス弁から成る、[1]~[6]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[8] 前記安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記第1の燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記安全弁の前記弁ハウジングは、前記第1の燃料ガス弁の前記弁ハウジングに直接的に接続されており、これにより、前記安全弁の前記出口は、前記第1の燃料ガス弁の前記入口に直接的に接続されている、[7]に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[9] 前記燃料ガス供給システムは、第1のグループの前記複数のシリンダの各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁を前記燃料ガスタンクに流体的に接続するように適合された第1の主燃料ガス供給管と、前記第1の主燃料ガス供給管を前記燃料ガスタンクに流体的に接続するための第1の主安全弁と、前記第1の主燃料ガス供給管を噴出システムに流体的に接続するように適合された第1の噴出弁と、前記第1の主安全弁、前記第1の噴出弁、および前記第1のグループのシリンダの各シリンダの前記安全弁に作動可能に接続されている1つ以上の制御ユニットとをさらに備え、ここにおいて、前記1つ以上の制御ユニットは、前記第1のグループのシリンダの各シリンダに対して、前記第1のグループの燃料ガス弁の状態を監視し、燃料ガス弁の動作不良が起きた場合に、
・前記動作不良を起こしている燃料ガス弁の前記安全弁に、前記安全弁を閉じるように制御する制御信号を送る、
・前記第1の主安全弁に、前記第1の主安全弁を閉じるように制御する制御信号を送る、および
・前記噴出弁に、前記噴出弁を開くように制御する制御信号を送る、
ように構成されており、
ここにおいて、燃料ガス供給システムは、前記第1の主安全弁の下流の前記燃料ガス供給システムにおいて存在する前記燃料ガスの大部分(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%)を、前記主燃料ガス供給管および前記噴出弁を介して、前記噴出システムへと誘導するように適合される、
[1]~[8]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[10] 前記2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関は、前記燃料ガス供給システムが前記複数のシリンダの各々に燃料ガスを供給する第1の状態と、前記燃料ガス供給システムが、前記複数のシリンダのうちの少なくとも1つのシリンダの前記安全弁を閉じた状態に保つことによって、前記少なくとも1つのシリンダへの燃料ガスの送出を遮断するように構成されている第2の状態とで動作可能である、[1]~[9]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関。
[11] 燃料ガス弁と安全弁とを備え、前記安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、第1の燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、ここにおいて、前記安全弁の前記弁ハウジングは、前記燃料ガス弁の前記弁ハウジングに直接的に接続されており、これにより、前記安全弁の前記出口は、前記燃料ガス弁の前記入口に直接的に接続されている、[1]~[10]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関の燃料ガス供給システムのための弁アセンブリ。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5