(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】開き窓
(51)【国際特許分類】
E06B 3/263 20060101AFI20241015BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20241015BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20241015BHJP
E06B 3/40 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
E06B3/263 A
E06B5/16
E06B1/18 M
E06B3/40
(21)【出願番号】P 2021102377
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】竜 泰之
(72)【発明者】
【氏名】柚木 一弥
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-113277(JP,U)
【文献】特開平07-082819(JP,A)
【文献】特開2012-087455(JP,A)
【文献】特開2005-163265(JP,A)
【文献】国際公開第2021/079298(WO,A1)
【文献】特開2004-316108(JP,A)
【文献】特開2009-133129(JP,A)
【文献】特開2001-355378(JP,A)
【文献】実開昭58-097260(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/52
E06B 5/16
E06B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠と、障子と、前記窓枠に前記障子を開閉可能に連結した連結部品とを備える開き窓であって、
前記障子は、面材と、框体とを備え、
前記框体を構成する框は、前記面材を保持する框本体と、前記面材の室内側に配置される室内側框材と、前記框本体と前記室内側框材とを
内外周方向で連結する断熱材とを有し、
前記断熱材は、前記障子の見込み方向において前記面材よりも室内側に配置され、
前記連結部品は、前記框本体と前記窓枠とに固定されている
ことを特徴とする開き窓。
【請求項2】
請求項1に記載の開き窓において、
前記框本体は、前記面材の室外側に配置される室外保持片と、前記面材の室内側に配置される室内保持片と、前記室外保持片および前記室内保持片を連結する見込み面部と、前記室内保持片から室内側に延出された連結片部とを備え、
前記室内側框材は、前記連結片部に対して障子内周側に間隔を空けて配置され、
前記断熱材は、前記框の見付け方向に沿って配置されて、前記連結片部と前記室内側框材とを連結する
ことを特徴とする開き窓。
【請求項3】
請求項2に記載の開き窓において、
前記連結片部は、前記框の見付け方向において、前記見込み面部よりも障子内周側に配置され、
前記連結部品は、前記連結片部と前記窓枠とに固定されている
ことを特徴とする開き窓。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の開き窓において、
前記各框の各室内側框材は、隣り合う他の框の室内側框材と連結されている
ことを特徴とする開き窓。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の開き窓において、
前記窓枠は、室内枠と、室外枠と、前記室内枠および前記室外枠を連結する断熱材とを備えて構成され、
前記連結部品は、前記室内枠に固定され、
前記室内枠は、建物躯体に取り付けられている
ことを特徴とする開き窓。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の開き窓において、
前記窓枠は、室内枠と、室外枠と、前記室内枠および前記室外枠を連結する断熱材とを備えて構成され、
前記室内枠は、室内上枠、室内下枠および左右の室内縦枠で構成され、
前記室外枠は、室外上枠、室外下枠および左右の室外縦枠で構成され、
前記室内上枠および前記室外上枠を連結する断熱材と、
前記室内下枠および前記室外下枠を連結する断熱材と、
前記室内縦枠および前記室外縦枠を連結する断熱材との少なくともいずれかの断熱材は、中空部を有する1つの断熱材で構成されている
ことを特徴とする開き窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠に障子を開閉可能に連結する連結部品を備えた開き窓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、窓枠内に障子を開閉自在に納めて構成される縦すべり出し窓が開示されている。障子は、上框、下框、左右の縦框からなる框体と、框体内に納められたパネル体とを備え、各框は、室内側と室外側の各金属部材を、断熱性を有するブリッジ材で連結して一体化している。パネル体は、室外側の金属部材と、室内側の金属部材に設けられる押縁部材とで挟持されて固定されている。そして、各框の室内側の金属部品を、縦すべり出しアーム(ヒンジ)などの連結部品で窓枠に連結することで、障子は開閉自在に窓枠に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記縦すべり出し窓では、ブリッジ材で連結された室外側の金属部材と、室内側の金属部材に設けられた押縁部材とでパネル体を挟持しているため、火災時などにブリッジ材が溶融した場合、室内外の各金属部材が分離してパネル体が脱落する。このため、断熱性能と防火性能とを両立できないという課題がある。
このような課題は、縦すべり出し窓に限定されず、窓枠と障子とを連結部品で開閉自在に連結した各種の開き窓に共通するものである。
【0005】
本発明の目的は、断熱性能と防火性能とを両立できる開き窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開き窓は、窓枠と、障子と、前記窓枠に前記障子を開閉可能に連結した連結部品とを備える開き窓であって、前記障子は、面材と、框体とを備え、前記框体を構成する框は、前記面材を保持する框本体と、前記面材の室内側に配置される室内側框材と、前記框本体と前記室内側框材とを連結する断熱材とを有し、前記断熱材は、前記障子の見込み方向において前記面材よりも室内側に配置され、前記連結部品は、前記框本体と前記窓枠とに固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の開き窓によれば、障子の各框は、框本体と室内側框材とを断熱材で連結しており、室外側に露出する框本体と室内側に露出する室内側框材との間を断熱できるので断熱性能を向上できる。また、断熱材が火災時に溶融しても、面材を保持する框本体を連結部品で窓枠に連結されているので、面材および框本体を保持できるため、面材の脱落も防止できる。このため、本発明の開き窓によれば、断熱性能と防火性能とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の開き窓である縦すべり出し窓を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態の開き窓である縦すべり出し窓を示す横断面図である。
【
図3】第2実施形態の開き窓である横すべり出し窓を示す縦断面図である。
【
図4】第2実施形態の開き窓である横すべり出し窓を示す横断面図である。
【
図5】第3実施形態の開き窓である外倒し窓を示す縦断面図である。
【
図6】第3実施形態の開き窓である外倒し窓を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を
図1および
図2に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の開き窓である縦すべり出し窓1の縦断面図であり、
図2は縦すべり出し窓1の横断面図である。
縦すべり出し窓1は、建物の開口に設置されるものであり、窓枠2と、窓枠2内に配置された障子3と、窓枠2を障子3に縦すべり出し式に開閉可能に連結した連結部品5(10A,10B)とを備えている。
【0010】
窓枠2は、上枠11、下枠12および左右の縦枠13を枠組みして構成されている。
障子3は、上框31、下框32、左右の縦框33とを枠組みして構成される框体30と、框体30で保持されるガラスパネル等の面材40とで構成されている。なお、本実施形態では、複層ガラスの面材40を用いているが、面材40は1枚のガラスでもよいし、3枚のガラスでもよい。
ここで、
図1,2に示すX,Y,Z軸方向は互いに直交しており、X軸方向は左右の縦框33の見付け方向に沿っており、Y軸方向は上框31および下框32の見付け方向に沿っており、Z軸方向は縦すべり出し窓1の見込み方向に沿っている。
【0011】
[窓枠の構造]
図1、2に示すように、上枠11は、室内上枠111と、室外上枠112と、断熱材113とを備えて構成され、下枠12は、室内下枠121と、室外下枠122と、断熱材123とを備えて構成され、縦枠13は、室内縦枠131と、室外縦枠132と、断熱材133とを備えて構成される。ここで、室内上枠111、室外上枠112、室内下枠121、室外下枠122、室内縦枠131、室外縦枠132は、それぞれアルミ押出形材で構成されている。
室内上枠111、室内下枠121、室内縦枠131には、見付け方向、つまり室内上枠111、室内下枠121ではY軸方向、室内縦枠131ではX軸方向に延出された戸当り部114、124、134が形成されている。戸当り部114、124、134の室外面には、障子3の室内面に当接するタイト材14が取り付けられている。なお、戸当り部124は、断面略矩形状の中空部とされ、戸当り部114、134は、断面略矩形状の中空部と、中空部から突出されてタイト材14を保持する保持片とを備えて構成されている。
【0012】
室内上枠111は、断熱材113に連結する連結部115と、連結部115から下方に延出された段差部116と、段差部116から室内側に延出されて戸当り部114に連結された下面部117と、互いに近づく方向に突設された一対の係止片118とを有する。段差部116の室外面にはタイト材15が取り付けられている。
室内下枠121は、断熱材123に連結する連結部125と、連結部125から室内側に延出されて戸当り部124に連結されたフラットな上面部127と、互いに近づく方向に突設された一対の係止片128とを有する。
室内縦枠131は、断熱材133に連結する連結部135と、連結部135から室内側に延出されて戸当り部134に連結されたフラットな側面部137と、互いに近づく方向に突設された一対の係止片138とを有する。
上枠11の係止片118および下枠12の係止片128には、上枠11を建物躯体に固定する図示略のアンカーが取り付けられる。
【0013】
室内上枠111、室内下枠121の下面部117、上面部127と、戸当り部114、124とにはそれぞれビスホール16が形成されている。これにより、室内上枠111、室内下枠121の左右の各端面を室内縦枠131に当接させ、室内縦枠131から室内上枠111、室内下枠121の各ビスホール16にタッピングねじをねじ込むことで、室内上枠111、室内下枠121、左右の室内縦枠131が枠組みされて、室内枠10Aを構成している。
【0014】
室外上枠112、室外下枠122にはビスホール17が形成され、室外上枠112、室外下枠122の左右の各端面を室外縦枠132に当接させ、室外縦枠132から室外上枠112、室外下枠122のビスホール17にタッピングねじをねじ込むことで、室外上枠112、室外下枠122、左右の室外縦枠132が枠組みされて、室外枠10Bを構成している。
【0015】
室内縦枠131および室外縦枠132は、略板状の2枚の断熱材133で連結されている。一方、室内上枠111、室内下枠121と、室外上枠112、室外下枠122とは、中空部を有する1枚の断熱材113、123で連結されている。なお、本実施形態では、各断熱材113、123、133は、室内外の枠にかしめによって連結されているが、室内外の枠を連結して形成し、連結部分に設けた凹溝状のキャビティにウレタン樹脂材などを注入して硬化させた後に、連結部分を切断することで室内外の枠を断熱材で連結してもよい。
【0016】
[障子の構造]
図1、2に示すように、上框31は、上框本体310と、室内側上框材311と、断熱材312とを備えて構成され、下框32は、下框本体320と、室内側下框材321と、断熱材322とを備えて構成され、縦框33は、縦框本体330と、室内側縦框材331と、断熱材332とを備えて構成される。このため、本実施形態では、障子3の框本体は、上框本体310、下框本体320、縦框本体330によって構成され、室内側框材は、室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331によって構成される。
上框本体310は、上框材313と、室外保持片314とを備える。上框材313は、室外保持片314が係合される室外側係合部315と、室外側係合部315から室内側に延出された見込み面部316と、見込み面部316の室内側端部から見付け方向(Y軸方向)に延出されて面材40の室内側に配置される室内保持片317と、室内保持片317から室内側に延出された連結片部318とを備える。なお、見込み面部316の室内側端部から上方に突片が突出され、この突片にタイト材15に当接されている。
室外側係合部315にはビスホール34が形成されている。見込み面部316の上面には、サブタイト材35が取り付けられている。室外保持片314は、断面略L字状に形成された押縁材であり、室外側係合部315に係合されている。
【0017】
室内側上框材311は、略板状に形成され、連結片部318に対向する上面にビスホール36が形成されている。室内側上框材311は、連結片部318の下方に間隔を空けて配置され、2つの断熱材312で連結片部318に固定されている。
断熱材312は、連結片部318および室内側上框材311の全長に渡って配置された長尺板状に形成されており、障子3の見込み方向に離れて配置されている。そして、室外側の断熱材312の上下両端は、連結片部318および室内側上框材311の室外側端部にかしめによって固定され、室内側の断熱材312の上下両端は、連結片部318および室内側上框材311の室外側端部にかしめによって固定されている。
このため、室内側上框材311は、面材40の面内方向つまり上框31における見付け方向であるY軸方向に沿って配置される2つの断熱材312で、上框本体310の連結片部318に連結されている。
なお、断熱材312は、かしめで固定される両端に対して中間部が折曲されており、断熱材312および断熱材312で連結される各部材によって、フラットな平面が構成されている。
【0018】
下框本体320は、上框本体310と類似する構造であり、下框材323と、室外保持片324とを備える。下框材323は、室外保持片324が係合される室外側係合部325と、室外側係合部325から室内側に延出された見込み面部326と、見込み面部326の室内側端部から見付け方向(Y軸方向であり、上方向)に延出されて面材40の室内側に配置される室内保持片327と、室内保持片327から室内側に延出された連結片部328とを備える。
室外側係合部325にはビスホール34が形成され、見込み面部326の下面にはサブタイト材35が取り付けられている。室外保持片324は、断面略L字状に形成された押縁材であり、室外側係合部325に係合されている。
【0019】
室内側下框材321は、室内側上框材311と同一断面形状の板材であり、連結片部328に対向する下面にビスホール36が形成されている。室内側下框材321は、連結片部328の上方に間隔を空けて配置され、室内外の両端部に配置された2つの断熱材322で連結片部328に固定されている。断熱材322の固定構造や形状は断熱材312と同一であるため、説明を省略する。
【0020】
縦框本体330は、上框本体310、下框本体320と類似する構造であり、縦框材333と、室外保持片334とを備える。縦框材333は、室外保持片334が係合される室外側係合部335と、室外側係合部335から室内側に延出された見込み面部336と、見込み面部336の室内側端部から見付け方向(X軸方向である左右方向)に延出されて面材40の室内側に配置される室内保持片337と、室内保持片337から室内側に延出された連結片部338とを備える。
見込み面部336の外周面つまり縦枠13に対向する側面には、サブタイト材35と、タイト材37が取り付けられている。室外保持片334は、断面略L字状に形成された押縁材であり、室外側係合部335に係合されている。
【0021】
室内側縦框材331は、室内側上框材311、室内側下框材321と同様に板材であるが、ビスホールは形成されていない。室内側縦框材331は、連結片部338の内側に間隔を空けて配置され、室内外の両端部に配置された2つの断熱材332で連結片部338に固定されている。断熱材332の固定構造や形状は断熱材312、322と同一であるため、説明を省略する。
【0022】
框体30は、上框31および下框32の左右の端面を縦框33に当接させ、縦框33から上框31、下框32のビスホール34、36にタッピングねじをねじ込むことで枠組みされている。このため、框本体である上框本体310、下框本体320、縦框本体330は互いに連結されて枠状に組まれ、室内側框材である室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331も互いに連結されて枠状に組まれている。
框体30内に配置される面材40と、下框本体320および縦框本体330との間にはセッティングブロック41、42が配置されている。これにより、面材40の下面および側面は、セッティングブロック41、42で位置決めされる。また、面材40の室内面と上框材313、下框材323、縦框材333との間、および、面材40の室外面と室外保持片314、324、334との間には、それぞれバックアップ材38およびシール材39が充填されている。
この際、面材40の室内側に配置されるバックアップ材38、シール材39は、室内保持片317、327、337、室外側の断熱材312、322、332、室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331によって形成されるフラットな平面と、面材40との間に充填されている。また、シール材39の露出面は、室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331の表面(見込み面)と、タイト材14および戸当り部114、124、134のタイト材14を保持する部分とは、面一とされており、障子3を閉じた際の縦すべり出し窓1の内観意匠を向上させている。
以上のように、上框本体310、下框本体320、縦框本体330は、室外保持片314、324、334と、見込み面部316、326、336と、室内保持片317、327、337とで構成される保持溝を有し、面材40は、バックアップ材38およびシール材39を介して前記保持溝に保持されている。そして、面材40の外周面(見込み方向に沿った面)は、前記保持溝の開口よりも保持溝内部側(見込み面部316、326、336側)に位置しており、仮にバックアップ材38、シール材39や断熱材312が火災などで溶融しても、面材40は上框本体310、下框本体320、縦框本体330つまり框本体で保持される。すなわち、面材40の上面は、上框材313、室外保持片314の下端よりも上方つまり見込み面部316側に位置しており、面材40の側面は、縦框材333、室外保持片334の内端よりも見込み面部336側に位置している。また、面材40の下面は、下框材323、室外保持片324の上端よりも下方つまり見込み面部326側に位置している。
【0023】
障子3は、上框31および下框32と、上枠11および下枠12間に設けられる連結部品5によって開閉自在に連結される。第1実施形態の開き窓は、縦すべり出し窓1であるため、連結部品5は、縦すべり出しアーム(ステイやヒンジとも言う)である。
すなわち、上枠11の下面部117と、上框31の連結片部318とには上側の連結部品5が取り付けられ、下枠12の上面部127と、下框32の連結片部328とには下側の連結部品5が取り付けられている。
【0024】
また、左右の縦框33のうち、戸先側の縦框33にはハンドル45が取り付けられている。戸先側の縦框33に対向する縦枠13には、ハンドル45が係止される受け部品47が固定されている。なお、ハンドル45は、グレモンハンドルでもよいし、カムラッチハンドルでもよく、さらにオペレーターハンドルでもよい。
【0025】
[第1実施形態の作用効果]
縦すべり出し窓1によれば、面材40を保持する框本体である上框本体310、下框本体320、縦框本体330と、面材40の室内側に配置される室内側框材である室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331とを断熱材312、322、332で連結しているので、框本体から室内側框材への熱伝導を防止でき、断熱性能を向上できる。断熱材312、322、332は、框本体と室内側框材との連結部分に設けられているので、面材40を保持する框本体に断熱材を配置する必要が無い。また、框本体は、連結部品5によって窓枠2に固定されている。このため、火災時に断熱材312、322、332が溶融しても、窓枠2に連結部品5で固定された框本体によって面材40を保持し続けることができ、面材40の脱落を防止できる。したがって、断熱性能と防火性能とを両立できる縦すべり出し窓1を提供することができる。
【0026】
框本体である上框本体310、下框本体320、縦框本体330の連結片部318、328、338の内周側に、室内側框材である室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331を配置し、各框の見付け方向に沿って配置される断熱材312、322、332で連結している。そして、窓枠2の戸当り部114、124、134に室内側框材が当接されているので、框本体が室内側に露出することを防止でき、結露の発生も防止できる。
【0027】
各框の連結片部318、328、338の見付け方向の位置を、見込み面部316、326、336よりも障子3の内周側としたので、窓枠2と見込み面部316、326、336との間隔に比べて、窓枠2と連結片部318、328、338との間隔を大きくできる。このため、窓枠2と連結片部318、328、338との間に連結部品5を配置した場合でも、窓枠2と見込み面部316、326、336との間隔を小さくでき、縦すべり出し窓1の外観において窓枠2や框体30の見付け寸法を小さくでき、面材40以外のフレーム部分をスリムにできて、縦すべり出し窓1の外観意匠を向上できる。
【0028】
室内側框材である室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331は矩形枠状に組まれて構成されるため、火災時に一部の断熱材312、322、332が溶融しても、残りの断熱材によって枠状の室内側框材を保持できる。また、すべての断熱材312、322、332が溶融した場合でも、枠状に組まれているために戸当り部114、124、134などに係止されて、室内側框材が窓枠2から脱落するリスクを軽減できる。
【0029】
室内枠10Aおよび室外枠10Bを断熱材113、123、133で連結して窓枠2を構成しているので、窓枠2の断熱性能を向上できる。また、室内枠10Aは建物躯体に取り付けられているので、窓枠2の断熱材113、123、133が火災時に溶融しても、面材40を保持する框本体は、連結部品5および室内枠10Aを介して建物躯体で支持できるため、面材40や框本体の脱落を防止できる。
【0030】
室内上枠111および室外上枠112を連結する断熱材113と、室内下枠121および室外下枠122を連結する断熱材123とは、中空部を有する1つの断熱材で構成しているので、2枚以上の断熱材で連結する場合に比べて連結部分の見付け寸法を小さくでき、スリムな意匠にできる。また、断熱材113、123は中空部を有するため、1つの断熱材で連結した場合でも、2枚の断熱材で連結した場合と同等の連結強度を確保できる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、第2実施形態の開き窓である横すべり出し窓1Bの縦断面図であり、
図2は横すべり出し窓1Bの横断面図である。なお、横すべり出し窓1Bにおいて、第1実施形態の縦すべり出し窓1と同一あるいは対応する構成には同一符号を付し、説明を省略または簡略する。以下の各実施形態においても同様である。
横すべり出し窓1Bは、
図4に示すように、すべり出しアームで構成された連結部品5Bが、縦枠13の側面部137と、縦框33の連結片部338とに固定され、
図3に示すように、ハンドル45Bが下框32の室内側下框材321に取り付けられ、受け部品47Bが下枠12の上面部127に固定される点が縦すべり出し窓1と相違し、その他の構成は縦すべり出し窓1と同じである。
【0032】
[第2実施形態の作用効果]
このような横すべり出し窓1Bにおいても、縦すべり出し窓1と同様の構成を備えることで、同様の作用効果を奏することができる。
また、横すべり出し窓1Bは、連結部品5B、ハンドル45B、受け部品47Bの取付け位置が縦すべり出し窓1と相違するだけであり、窓枠2や障子3の構成は縦すべり出し窓1と共通しているので、製造コストを低減できる。
【0033】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、第3実施形態の開き窓である外倒し窓1Cの縦断面図であり、
図6は外倒し窓1Cの横断面図である。
外倒し窓1Cは、ヒンジで構成された連結部品5Cが、下枠12と、下框32とに固定されている点が第1実施形態の縦すべり出し窓1と相違し、その他の構成は縦すべり出し窓1と同じであるため、同一符号を付して説明を省略または簡略する。以下の各実施形態においても同様である。
連結部品5Cは、室内下枠121および室外下枠122に跨がって配置され、室内下枠121および室外下枠122の両方にねじで固定されている。また、連結部品5Cは、下框32の見込み面部326にねじで固定されている。
なお、外倒し窓1Cは、図示を省略するが、一般的な外倒し窓と同様に、縦枠13および縦框33間にはダンパーが設けられ、上枠11および上框31にはラッチ機構が設けられる。
【0034】
[第3実施形態の作用効果]
このような外倒し窓1Cにおいても、縦すべり出し窓1と同様の構成を備えることで、同様の作用効果を奏することができる。
また、外倒し窓1Cは、連結部品5C等の障子3を開閉する部品や機構が縦すべり出し窓1や横すべり出し窓1Bと相違するが、窓枠2や障子3の構成は縦すべり出し窓1、横すべり出し窓1Bと共通しているので、製造コストをさらに低減できる。
【0035】
[変形例]
本発明の開き窓としては、前記各実施形態の窓種に限らず、外開き窓や突出し窓等にも適用できる。さらに、段窓や連窓に設けられる開き窓にも適用できる。すなわち、開き窓の窓枠としては、段窓の無目や連窓の方立も含むものである。
【0036】
前記実施形態の室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331は、断面略板状の部材で構成されていたが、例えば、断面略L字状の部材でもよく、その形状は窓枠2と障子3の納まりに応じて設定すればよい。
また、断熱材312、322、332は、上框31、下框32、縦框33の見付け方向に沿って配置されるものに限定されない。例えば、第3実施形態の外倒し窓1Cや外開き窓、突出し窓のように、連結部品であるヒンジを見込み面部316、326、336に固定する場合、連結片部318、328、338を設ける必要が無い。このため、上框本体、下框本体、縦框本体を断面略コ字状に形成し、室内側上框材、室内側下框材、室内側縦框材を、室内保持片に対向して配置されて見込み方向に配置された断熱材で室内保持片に連結される固定片部と、面材40の室内面に対向配置されてバックアップ材38やシール材39を受ける受け面部と、固定片部および受け面部を連結する連結面部とを備えて構成してもよい。
すなわち、本発明では、火災時にバックアップ材38やシール材39が溶融しても面材40を保持できる框本体(上框本体310、下框本体320、縦框本体330)と、面材40の室内側に配置される室内側框材(室内側上框材311、室内側下框材321、室内側縦框材331)と、框本体および室内側框材を連結する断熱材312、322、332とを有する框体30(上框31、下框32、縦框33)を用いて障子3を構成すればよい。
【0037】
框本体と室内側框材とは、板状の2枚の断熱材312、322、332で連結する構造に限定されず、断熱材113、123と同様の中空部を有する断熱材を用いてもよいし、3枚以上の断熱材を用いて連結してもよい。さらに、框本体と室内側框材とを連結する断熱材は、かしめで固定されるものに限定されず、キャビティ部分に充填されるウレタン樹脂などで構成されるものでもよい。
窓枠2は、室内枠10Aおよび室外枠10Bを断熱材113、123、133で連結したものに限定されない。例えば、断熱材を備えない窓枠を用いてもよいし、一部の枠、例えば、上枠および縦枠は断熱材を介在させ、下枠は断熱材を備えない一体のものとしてもよい。さらに、各断熱材113、123、133は、それぞれを、中空部を有する1つの断熱材で構成してもよいし、板状の2枚の断熱材で構成してもよく、さらにキャビティ部分に充填されるウレタン樹脂などで構成されるものでもよい。
【0038】
[本発明のまとめ]
本発明は、窓枠と、障子と、前記窓枠に前記障子を開閉可能に連結した連結部品とを備える開き窓であって、前記障子は、面材と、框体とを備え、前記框体を構成する框は、前記面材を保持する框本体と、前記面材の室内側に配置される室内側框材と、前記框本体と前記室内側框材とを連結する断熱材とを有し、前記断熱材は、前記障子の見込み方向において前記面材よりも室内側に配置され、前記連結部品は、前記框本体と前記窓枠とに固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、面材を保持する框本体と、室内側框材とを断熱材を連結しているので、框本体から室内側框材への熱伝導を防止でき、断熱性能を向上できる。また、断熱材は、框本体と室内側框材との連結部分に設けられているので、面材を保持する框本体に断熱材を配置する必要が無い。また、框本体は、連結部品によって窓枠に固定されている。このため、火災時に断熱材が溶融しても、窓枠に連結部品で固定された框本体によって面材を保持し続けることができ、面材の脱落を防止できる。したがって、断熱性能と防火性能とを両立できる開き窓を提供することができる。
【0039】
本発明の開き窓において、前記框本体は、前記面材の室外側に配置される室外保持片と、前記面材の室内側に配置される室内保持片と、前記室外保持片および前記室内保持片を連結する見込み面部と、前記室内保持片から室内側に延出された連結片部とを備え、前記室内側框材は、前記連結片部に対して障子内周側に間隔を空けて配置され、前記断熱材は、前記框の見付け方向に沿って配置されて、前記連結片部と前記室内側框材とを連結することが好ましい。
本発明によれば、框本体の連結片部の内周側に室内側框材を配置し、框の見付け方向に沿って配置される断熱材で連結している。このため、障子を室外側に開く開き窓のように、窓枠に戸当り部を形成し、この戸当り部に室内側框材が当接するようにすることで、框本体が室内側に露出することを防止でき、断熱性能を向上できる。
【0040】
本発明の開き窓において、前記連結片部は、前記框の見付け方向において、前記見込み面部よりも障子内周側に配置され、前記連結部品は、前記連結片部と前記窓枠とに固定されていることが好ましい。
本発明によれば、見込み面部の框の見付け方向の位置よりも連結片部の位置を障子内周側としたので、窓枠と見込み面部との間隔に比べて、窓枠と連結片部との間隔を大きくできる。このため、窓枠と連結片部との間に連結部品を配置した場合でも、窓枠と見込み面部との間隔を小さくでき、外観における窓枠や框体の見付け寸法が小さく、面材以外のフレーム部分をスリムにできるため、開き窓の外観意匠を向上できる。
【0041】
本発明の開き窓において、前記各框の各室内側框材は、隣り合う他の框の室内側框材と連結されていることが好ましい。
例えば、框体が上框、下框、左右の縦框で構成されている場合に、各框の室内側框材が隣り合う他の框の室内側框材と連結されることで、室内側框材は矩形枠状に組まれて構成される。このため、火災時に一部の断熱材が溶融しても、残りの断熱材によって枠状の室内側框材を保持できる。また、すべての断熱材が溶融した場合でも、枠状に組まれているほうが、戸当り部などに係止される可能性が高い。したがって、室内側框材が窓枠から脱落するリスクを軽減できる。
【0042】
本発明の開き窓において、前記窓枠は、室内枠と、室外枠と、前記室内枠および前記室外枠を連結する断熱材とを備えて構成され、前記連結部品は、前記室内枠に固定され、前記室内枠は、建物躯体に取り付けられていることが好ましい。
室内枠および室外枠を断熱材で連結して窓枠を構成することで、窓枠の断熱性能を向上できる。また、室内枠は建物躯体に取り付けられているので、仮に窓枠の断熱材が火災時に溶融しても、面材を保持する框本体は、連結部品および室内枠を介して建物躯体で支持されるため、面材や框本体の脱落を防止できる。
【0043】
本発明の開き窓において、前記窓枠は、室内枠と、室外枠と、前記室内枠および前記室外枠を連結する断熱材とを備えて構成され、前記室内枠は、室内上枠、室内下枠および左右の室内縦枠で構成され、前記室外枠は、室外上枠、室外下枠および左右の室外縦枠で構成され、前記室内上枠および前記室外上枠を連結する断熱材と、前記室内下枠および前記室外下枠を連結する断熱材と、前記室内縦枠および前記室外縦枠を連結する断熱材との少なくともいずれかの断熱材は、中空部を有する1つの断熱材で構成されていることが好ましい。
中空部を有する1つの断熱材で室内枠と室外枠とを連結することで、2枚以上の断熱材で連結する場合に比べて連結部分の見付け寸法を小さくでき、スリムな意匠にできる。また、断熱材は中空部を有するため、1つの断熱材で連結した場合でも、2枚の断熱材で連結した場合と同等の連結強度を確保できる。
【符号の説明】
【0044】
1…縦すべり出し窓、1B…横すべり出し窓、1C…外倒し窓、2…窓枠、3…障子、5…連結部品、5B…連結部品、5C…連結部品、10A…室内枠、10B…室外枠、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、14…タイト材、15…タイト材、16…ビスホール、17…ビスホール、31…上框、32…下框、33…縦框、34…ビスホール、35…サブタイト材、36…ビスホール、37…タイト材、38…バックアップ材、39…シール材、40…面材、41…セッティングブロック、42…セッティングブロック、45…ハンドル、45B…ハンドル、47…受け部品、47B…受け部品、111…室内上枠、112…室外上枠、113…断熱材、114…戸当り部、115…連結部、116…段差部、117…下面部、118…係止片、121…室内下枠、122…室外下枠、123…断熱材、124…戸当り部、125…連結部、127…上面部、128…係止片、131…室内縦枠、132…室外縦枠、133…断熱材、134…戸当り部、135…連結部、137…側面部、138…係止片、310…上框本体、311…室内側上框材、312…断熱材、313…上框材、314…室外保持片、315…室外側係合部、316…見込み面部、317…室内保持片、318…連結片部、320…下框本体、321…室内側下框材、322…断熱材、323…下框材、324…室外保持片、325…室外側係合部、326…見込み面部、327…室内保持片、328…連結片部、330…縦框本体、331…室内側縦框材、332…断熱材、333…縦框材、334…室外保持片、335…室外側係合部、336…見込み面部、337…室内保持片、338…連結片部。