(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】塵芥収集車のテールゲート開閉機構及びそれを備えた塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20241015BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B65F3/00 D
B60P3/00 Q
(21)【出願番号】P 2021118190
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河津 翔吾
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-23102(JP,U)
【文献】特開2019-202887(JP,A)
【文献】特開2012-240779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥投入箱の塵芥投入口に対しテールゲートを上下に移動させて開閉させる駆動アクチュエータを有する塵芥収集車のテールゲートの開閉機構であって、
上記塵芥投入口の周縁部に設けられた被係合部と、
上記テールゲートに配設されると共に上記被係合部に係合することにより上記テールゲートを少なくとも全閉位置で固定する係合部材と、
上記テールゲートの外面に固定され、上記係合部材を上記被係合部に対して係脱させるための操作レバーが設けられたハンドルと、
上記テールゲートが全閉位置にあることを検知する扉全閉検知センサと、
上記操作レバーが操作されて上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知するロック解除検知センサと、
上記扉全閉検知センサ及び上記ロック解除検知センサからの信号に基づいて上記駆動アクチュエータのオンオフ制御をする制御部とを備え、
上記制御部は、上記扉全閉検知センサが上記テールゲートの全閉位置を検知した状態で、上記ロック解除検知センサが、上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知すると、上記駆動アクチュエータを駆動して上記テールゲートの開き動作を開始するように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車のテールゲート開閉機構。
【請求項2】
請求項1において、
上記テールゲートが全開位置にあることを検知する扉全開検知センサを更に備え、
上記制御部は、上記扉全開検知センサが上記テールゲートの全開位置を検知した状態で、上記ロック解除検知センサが、上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知すると、上記駆動アクチュエータを駆動して上記テールゲートの閉じ動作を開始するように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車のテールゲート開閉機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
上記塵芥投入口の下部近傍には、上記テールゲートを閉動作させるための扉閉スイッチが設けられ、
上記被係合部は、上記テールゲートの全開位置における上記係合部材に対応する位置に設けられていない
ことを特徴とする塵芥収集車のテールゲート開閉機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つにおいて、
上記制御部は、上記テールゲートの開き動作又は閉じ動作の途中で、上記ロック解除検知センサが、上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知すると、上記駆動アクチュエータの駆動を減速させて停止すると共に、その後、一定時間、上記ロック解除検知センサからの信号入力を無視するように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車のテールゲート開閉機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つにおいて、
上記駆動アクチュエータは、電動モータであり、該電動モータには、該電動モータの回転運動の制動又は保持を行うモータブレーキが付設されており、
上記制御部は、上記テールゲートが全開位置と全閉位置の場合、及び、該テールゲートの開閉動作中に上記電動モータの過負荷による電流を検知した場合に、上記電動モータの回転運動の制動を行う一方、該テールゲートの開閉動作中であって上記電動モータの過負荷による電流を検知していない場合には該電動モータの回転運動の保持を行うように、上記モータブレーキを制御し、
さらに、上記制御部は、上記扉全閉検知センサが上記テールゲートの全閉位置を検知すると共に上記ロック解除検知センサが上記係合部材の係合解除位置への移動を検知したことに基づいて、上記モータブレーキの制動を解除すると共に上記電動モータを駆動して上記テールゲートの開き動作を開始した後、上記扉全閉検知センサが検知中に上記電動モータの過負荷による電流を検知すると、その後一定時間、上記電動モータに駆動力をかけず上記モータブレーキによる上記電動モータの回転運動の制動も行わないフリー状態にするように構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車のテールゲート開閉機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つにおいて、
上記被係合部は上記塵芥投入口の左右にそれぞれ設けられ、上記係合部材は上記テールゲートの左右にそれぞれ設けられており、
左右一対の上記係合部材及び上記被係合部のうちいずれか一方側は、手動開閉用係合部材及び手動開閉用被係合部となっており、
上記手動開閉用被係合部は、上記テールゲートの全閉位置及び全開位置に対応して少なくとも2つ設けられており、
さらに、上記駆動アクチュエータの作動中は上記手動開閉用係合部材と上記手動開閉用被係合部とのロックが解除された位置に上記手動開閉用係合部材を常時固定する一方、上記駆動アクチュエータの駆動を停止して手動開閉を行うときは、当該固定を解除するための係合部材固定装置を備え、
上記係合部材固定装置により上記手動開閉用係合部材の固定を解除し、上記全閉位置及び上記全開位置において上記操作レバーの操作により上記手動開閉用係合部材を上記手動開閉用被係合部に対して係脱させることで、ロック又はロック解除可能に構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車のテールゲート開閉機構。
【請求項7】
上記塵芥投入箱と、
上記塵芥投入箱により押し込まれた塵芥を収容する塵芥収容箱と、
上記請求項1から6のいずれか1つに記載の塵芥収集車のテールゲート開閉機構とを備える
ことを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥投入箱の塵芥投入口に対しテールゲートを上下にスライド移動させて開閉させる駆動アクチュエータを有する塵芥収集車のテールゲート開閉機構及びそれを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車における塵芥投入箱の塵芥投入口には、上下にスライド移動されて塵芥投入口を開閉するテールゲート(ホッパードア、上下開閉扉ともいう)が設けられている。塵芥を投入する場合には、テールゲートを開いて保持した状態で塵芥投入口から投入するように構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1の塵芥収集車のテールゲートの開閉機構では、塵芥投入口の左右周縁に上下に延びるように設けられた左側ガイドレール及び右側ガイドレールと、テールゲートに設けられ、左側ガイドレールにガイドされる左側案内部材及び右側ガイドレールにガイドされる右側案内部材と、左側ガイドレール又は該左側ガイドレールの近傍に設けられた左側被係合部及び右側ガイドレール又は該右側ガイドレールの近傍に設けられた右側被係合部と、テールゲートの内面側に配設されてテールゲートを所定位置で固定する、左側被係合部に係合する左側係合部材及び右側被係合部に係合する右側係合部材と、左側係合部材を左側被係合部の方へ付勢する左側付勢部材及び右側係合部材を右側被係合部の方へ付勢する右側付勢部材と、テールゲートの外面に固定され、操作可能な操作レバーがそれぞれ設けられた左側ハンドル及び右側ハンドルと、テールゲートの内面側に配設され、左側ハンドルの左側操作レバーにおける、テールゲートの内面側に位置する左側操作レバー内側部分と左側係合部材とを接続する左側ワイヤーケーブル及び右側ハンドルの右側操作レバーにおける、テールゲートの内面側に位置する右側操作レバー内側部分と右側係合部材とを接続する右側ワイヤーケーブルとを備えている。
【0004】
一方、特許文献2のような、駆動モータを用いてテールゲートを開閉駆動する塵芥収集車が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6756862号公報
【文献】特開2019-202887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のような塵芥収集車では、テールゲートを開閉駆動する駆動モータに駆動モータの回転運動の制動又は保持を行うモータブレーキが付設されていたので、テールゲート開閉機構の自動開閉時において全閉位置や全開位置でロックするような構造を有していなかった。
【0007】
しかしながら、製造誤差を吸収する、及びテールゲートを滑らかに開閉駆動するために、各部品の連結部には遊びが設けられており、塵芥収集車が悪路を走行することにより振動が発生するときなどには、その遊び分だけテールゲートが動いてしまう。このため、干渉音が発生したりモータブレーキや駆動モータに負荷がかかったりするという問題がある。また、油圧式の開閉テールゲート構造であっても同様に、油圧シリンダの力でテールゲートを閉じてはいるものの、トラブルなどで作動油が抜けた場合には車両走行中の振動によりテールゲートが勝手に開いてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動開閉式のテールゲートにおいて、全閉時にがたつかず、走行時などに駆動アクチュエータなどに負担をかけないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、
塵芥投入箱の塵芥投入口に対しテールゲートを上下に移動させて開閉させる駆動アクチュエータを有する塵芥収集車のテールゲートの開閉機構を前提とし、
上記塵芥収集車のテールゲートの開閉機構は、
上記塵芥投入口の周縁部に設けられた被係合部と、
上記テールゲートに配設されると共に上記被係合部に係合することにより上記テールゲートを少なくとも全閉位置で固定する係合部材と、
上記テールゲートの外面に固定され、上記係合部材を上記被係合部に対して係脱させるための操作レバーが設けられたハンドルと、
上記テールゲートが全閉位置にあることを検知する扉全閉検知センサと、
上記操作レバーが操作されて上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知するロック解除検知センサと、
上記扉全閉検知センサ及び上記ロック解除検知センサからの信号に基づいて上記駆動アクチュエータのオンオフ制御をする制御部とを備えている。
【0010】
そして、上記制御部は、上記扉全閉検知センサが上記テールゲートの全閉位置を検知した状態で、上記ロック解除検知センサが、上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知すると、上記駆動アクチュエータを駆動して上記テールゲートの開き動作を開始するように構成されている。
【0011】
上記の構成によると、テールゲートが全閉位置にあるときには、扉全閉検知センサが全閉位置を検知する。このとき、係合部材が被係合部に係合しているので、走行時などでもテールゲートはがたつかない。このため、駆動アクチュエータとテールゲートとを連結する各部品に遊びがあっても、全閉時にテールゲートを全閉位置で確実に固定することができ、駆動アクチュエータなどに負担がかかることはない。一方、全閉位置からテールゲートを開くときには、ハンドルの操作レバーを操作して係合部材と被係合部との係合を解除する。すると、ロック解除検知センサがロックの解除を検知し、駆動アクチュエータの駆動によりテールゲートを自動で開くことができる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記テールゲートが全開位置にあることを検知する扉全開検知センサを更に備え、
上記制御部は、上記扉全開検知センサが上記テールゲートの全開位置を検知した状態で、上記ロック解除検知センサが、上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知すると、上記駆動アクチュエータを駆動して上記テールゲートの閉じ動作を開始するように構成されている。
【0013】
上記の構成によると、テールゲートの全開位置にあるときには、扉全開検知センサが全開位置を検知する。全開位置からテールゲートを閉じるときには、ハンドルの操作レバーを操作すると、ロック解除検知センサが、係合部材が被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知し、駆動アクチュエータが駆動することによって、テールゲートを自動で閉じることができる。
【0014】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記塵芥投入口の下部近傍には、上記テールゲートを閉動作させるための扉閉スイッチが設けられ、上記被係合部は、上記テールゲートの全開位置における上記係合部材に対応する位置に設けられていない。
【0015】
上記の構成によると、テールゲートの全開位置では、係合部材と被係合部と係合することはく、仮にテールゲートの全開位置で操作レバーを操作し、ロック解除検知センサにより係合部材がロック解除位置に移動していることを検知させた後、すぐに操作レバーの操作を辞めたとしても、係合部材が被係合部に引っ掛かるようなことがない。また、テールゲートを全開にするのは、塵芥積込作業時であり、基本的に車両走行時にはテールゲートを全閉にするので、テールゲートの全開位置に被係合部がなくても、車両走行時にテールゲートが動いてしまう問題は気にする必要がない。これにより、テールゲートの閉じ動作を滑らかにできると共に、不要な被係合部の形成を省略できる。
【0016】
また、テールゲートの全開位置では、操作レバーが上方に移動している。作業者がテールゲートを閉じる際、操作レバーの操作で行う場合には、作業者は手を上方に持っていく必要がある。特に大型の塵芥収集車で作業者の身長が低い場合には、テールゲートの全開位置において作業者が操作レバーを操作することが困難になるおそれがある。これに対し、塵芥投入口の下部近傍に扉閉スイッチを設けたことにより、作業者は、手を上方に持っていく必要がなく容易にテールゲートを閉じることができる。また、扉閉スイッチの操作によってテールゲートを閉じる場合、操作レバーの操作は行われないが、テールゲートの全開位置の係合部材に対応する位置に被係合部が設けられていないので、係合部材が被係合部に引っ掛かることなくテールゲートを滑らかに閉じることができる。
【0017】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記制御部は、上記テールゲートの開き動作又は閉じ動作の途中で、上記ロック解除検知センサが、上記係合部材が上記被係合部との係合を解除する位置まで移動したことを検知すると、上記駆動アクチュエータの駆動を減速させて停止すると共に、その後、一定時間、上記ロック解除検知センサからの信号入力を無視するように構成されている。
【0018】
上記の構成によると、テールゲートの自動開閉操作中には通常、操作レバーから手を離しているが、開き動作又は閉じ動作の途中で、再び操作レバーの操作が行われると、安全のために、自動で減速して停止する。その後しばらくの間、開閉操作を無視することで、誤動作を防止することができる。
【0019】
第5発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記駆動アクチュエータは、電動モータであり、該電動モータには、該電動モータの回転運動の制動又は保持を行うモータブレーキが付設されており、
上記制御部は、上記テールゲートが全開位置と全閉位置の場合、及び、該テールゲートの開閉動作中に上記電動モータの過負荷による電流を検知した場合に、上記電動モータの回転運動の制動を行う一方、該テールゲートの開閉動作中であって上記電動モータの過負荷による電流を検知していない場合に該電動モータの回転運動の保持を行うように、上記モータブレーキを制御し、
さらに、上記制御部は、上記扉全閉検知センサが上記テールゲートの全閉位置を検知すると共に上記ロック解除検知センサが上記係合部材の係合解除位置への移動を検知したことに基づいて、上記モータブレーキの制動を解除すると共に上記電動モータを駆動して上記テールゲートの開き動作を開始した後、上記扉全閉検知センサが検知中に上記電動モータの過負荷による電流を検知すると、その後一定時間、上記電動モータに駆動力をかけず上記モータブレーキによる上記電動モータの回転運動の制動も行わないフリー状態にするように構成されている。
【0020】
具体的には、係合部材が被係合部を乗り越える前に、操作レバーから手を離してしまい、係合部材が被係合部との係合位置に戻ってしまうと、電動モータの付勢力で係合部材が被係合部に押し付けられた状態になる。仮にこの状態において電動モータが過負荷になったことに基づいてモータブレーキで制動を行ってテールゲートを停止させてしまうと、係合部材に負担がかかる。また、再びハンドルを握って操作レバーを操作しようとすると、強い抵抗が生じ、強い力で操作レバーを握る必要が生じる。しかし、上記の構成によると、制御部が、引っ掛かりによる電動モータの過負荷による電流を検知すると、その後、一定時間電動モータに駆動力をかけずモータブレーキによる電動モータの回転運動の制動も行わないフリー状態にするので、係合部材の引っ掛かりによる突っ張りが防止される。なお、一定時間経過後は、モータブレーキによる電動モータの回転運動の制動が行われる。
【0021】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
上記被係合部は上記塵芥投入口の左右にそれぞれ設けられ、上記係合部材は上記テールゲートの左右にそれぞれ設けられており、
左右一対の上記係合部材及び上記被係合部のうちいずれか一方側は、手動開閉用係合部材及び手動開閉用被係合部となっており、
上記手動開閉用被係合部は、上記テールゲートの全閉位置及び全開位置に対応して少なくとも2つ設けられており、
さらに、上記駆動アクチュエータの作動中は上記手動開閉用係合部材と上記手動開閉用被係合部とのロックが解除された位置に上記手動開閉用係合部材を常時固定する一方、上記駆動アクチュエータの駆動を停止して手動開閉を行うときは当該固定を解除するための係合部材固定装置を備え、
上記係合部材固定装置により上記手動開閉用係合部材の固定を解除し、上記全閉位置及び上記全開位置において上記操作レバーの操作により上記手動開閉用係合部材を上記手動開閉用被係合部に対して係脱させることで、ロック又はロック解除可能に構成されている。
【0022】
上記構成において、「左右」は、テールゲートを正面側から見た左右でも、背面側から見た左右でもいずれでもよい。
【0023】
上記の構成によると、自動開閉中は、係合部材のロックがなくても駆動アクチュエータ自体の保持機能でテールゲートを保持でき、テールゲートがガタツキやすい走行時などには、通常、テールゲートが閉まっているので、少なくとも全閉位置を左右一方の係合でロックすれば、車両走行中の振動によって駆動アクチュエータに負担がかかることはない。一方、駆動アクチュエータの故障時などに手動で開閉するときには、駆動アクチュエータの保持機能は使えないので、係合部材でロックする必要がある。このため、手動開閉用係合部材を少なくとも全閉位置及び全開位置でロックできるようにすることで、手動開閉が可能となる。
【0024】
なお、大型機などでは、中間位置でもロックできるようにしておくとよい。
【0025】
第7の発明の塵芥収集車は、
上記塵芥投入箱と、
上記塵芥投入箱により押し込まれた塵芥を収容する塵芥収容箱と、
上記第1の発明から第6の発明のいずれか1つに記載の塵芥収集車のテールゲート開閉機構とを備える構成とする。
【0026】
上記の構成によると、操作性及び商品性の高いテールゲートを有する塵芥収集車が得られる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、滑らかに開閉動作できるように各部品に遊びを設けている自動開閉式のテールゲートであっても、全閉時にがたつかず、車両走行時などに駆動アクチュエータなどに負担をかけないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】テールゲートの自動開閉装置及びその周辺を前側上方右側から見た斜視図である。
【
図1B】テールゲートの自動開閉装置及びその周辺を前側上方左側の別の位置から見た斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係る塵芥収集車を示す側面図である。
【
図3】駆動アクチュエータ及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
【
図4】テールゲートの自動開閉装置及びその周辺を後側上方左側から見た斜視図である。
【
図5】駆動アクチュエータ及びその周辺を後側上方左側から拡大して見た斜視図である。
【
図7】テールゲートのリンク機構及びその周辺を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る塵芥収集車の後側を一部破断して示す側面図である。
【
図9A】車両前方から見て全閉状態でロック状態の左側係合部材及びその周辺を示す正面図である。
【
図9B】
図9Aからロック解除した状態の左側係合部材及びその周辺を示す正面図である。
【
図10】PLC及びその周辺を簡略化して示す電気回路図である。
【
図11】塵芥積込装置の簡略化した油圧回路図である。
【
図12】全閉状態でロック状態の左側係合部材及びその周辺の要部を取り出して車両後方から見た斜視図である。
【
図13】左右の係合部材及びその周辺を示す底面図である。
【
図14】左右の被係合部の概要を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
【0030】
-塵芥収集車の構成-
図2A及び
図2Bは、本発明の実施形態の塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1は、走行可能な車台2と、その車台2上に設けられた運転室3及び塵芥収容箱4と、この塵芥収容箱4の後方開口部4aに連設され、塵芥が投入される塵芥投入口7が形成された塵芥投入箱5と、この塵芥投入箱5に設けられて塵芥収容箱4に塵芥を積み込む塵芥積込装置6(
図6参照)と、全開位置Aと全閉位置B(
図6参照)との間をスライド移動することで塵芥投入口7を開閉するテールゲート8とを備えている。なお、塵芥収容箱4内に前後にスライド移動可能な排出板が設けられていてもよいし、塵芥投入箱5を上側の回動軸を中心に回動させて後方開口部4aを開閉可能に構成してもよいし、塵芥収容箱4を傾動可能に構成してもよいが、以下の説明では、その場合の油圧シリンダ等は省略する。以下、「左右」は、車両前方側から塵芥収集車1を見た左右とする。
【0031】
図6及び
図8に示すように、本実施形態の塵芥積込装置6は、例えば、プレス式であり、塵芥投入箱5の両側壁9には溝型鋼で形成された案内溝部材20が補強枠を兼ねて前方上方より後方下部に向かって傾斜するように設けられている。塵芥投入箱5内にはその横幅一杯に広がる昇降板21が収容されている。一方、昇降板21の背面上部の左右端部に設けた支持部には、
図7にも2点鎖線で示すように、昇降板支持軸21aが挿通されている。この昇降板支持軸21aが昇降板21の摺動距離に合致して塵芥投入箱5の側壁9に形成された摺動用開口22を越えて側壁9の内側より外側に突出するように配置されている。塵芥投入箱5の側壁から外側に突出した昇降板支持軸21aと塵芥投入箱5の下部間には、塵芥投入箱5の外側で案内溝部材20の傾斜方向に沿って設けられた昇降シリンダ23が連結されている。この昇降シリンダ23の伸縮作動によって昇降板21を案内溝部材20に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0032】
昇降板21の下端には、塵芥投入箱5内の横幅一杯に広がる圧縮板24の一端が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板24の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。圧縮板24の背面に突設した接続部と昇降板21の背面上部に設けられた支持部との間には、揺動シリンダ25が連結され、この揺動シリンダ25の伸縮作動によって圧縮板24を前後に揺動させるようにしている。なお、塵芥積込装置6は、油圧シリンダで往復回動する押込板と、回転駆動される回転板とを備えた回転板式であってもよい。
【0033】
テールゲート8は、
図13に下方から示すように、テールゲート8の表面を形成し、金属製で薄く湾曲した形状の主面部材を有する略矩形板状である。
【0034】
塵芥収集車1は、塵芥投入口7に対しテールゲート8を上下にスライド移動させて開閉させるテールゲート開閉機構39を備えている。具体的には、
図1A及び
図1Bに示すように、塵芥投入口7の左右周縁部に上下に延びるように左側及び右側ガイドレール8b,8b’が設けられている。例えば、左側及び右側ガイドレール8b,8b’は、互いに略平行に上下に延びた断面コ字状のフレームよりなり、その開口部が互いに向き合うように塵芥投入口7を挟んで設けられている。
【0035】
一方、テールゲート8の左右端部には、左側及び右側ガイドレール8b,8b’にガイドされる左側及び右側案内部材8a,8a’が設けられている。例えば、左側及び右側案内部材8a,8a’は、テールゲート8の左右端部に設けられたローラよりなり、左右に複数対設けられていてもよい。
【0036】
図12及び
図14に例示するように、左側ガイドレール8bの近傍には、例えば円柱状の左側係合部材75を係合するための左側被係合部82が設けられている。この左側被係合部82は、全閉位置に対応する左側ガイドレール8bの下端側に設けられている。この左側被係合部82は、左側被係合部82の上方から左側係合部材75を下方へ移動させたときに左側係合部材75が乗り越える傾斜面82aと、この傾斜面82aに連続して、左側係合部材75の先端を係合するかえり部82bを有する突起よりなる。
【0037】
一方、
図14に例示するように、右側ガイドレール8b’の近傍には、右側係合部材75’を係合するための右側被係合部82’が設けられている。この右側被係合部82’は、例えば、右側ガイドレール8b’の所定位置に対応して上中下3箇所に設けられている。下側の右側被係合部82’は、全閉位置に対応し、右側被係合部82’の上方から右側係合部材75’を下方へ移動させたときに右側係合部材75’が乗り越える傾斜面82a’と、この傾斜面82a’に連続して、右側係合部材75’の先端を係合するかえり部82b’を有する突起よりなる。一方、上側の右側被係合部82’は、全開位置に対応し、右側被係合部82’の下方から右側係合部材75’を上方へ移動させたときに右側係合部材75’が乗り越える傾斜面82a’と、この傾斜面82a’に連続して、右側係合部材75’の先端を係合するかえり部82b’を有する。
図14に示すように、中間位置には、上側の右側被係合部82’と下側の右側被係合部82’とが間隔を開けて設けられている。
【0038】
上記右側係合部材75’は、本発明における手動開閉用係合部材に該当し、上側、中間、下側の右側被係合部82’は、本発明における手動開閉用被係合部に該当している。
【0039】
テールゲート8の内面側には、上記左側被係合部82及び右側被係合部82’にそれぞれ対応するように、テールゲート8を例えば、全開位置、中間位置及び全閉位置で固定する、左側被係合部82に係合する左側係合部材75及び右側被係合部82’に係合する右側係合部材75’が、それぞれ機構取付ベースフレーム39aに立設させた一対の山型ブラケット77,77に設けられている。なお、
図12では、左右内側の山型ブラケット77のみを示している。
【0040】
左側係合部材75は、左側被係合部82の方へ常に付勢された円柱状部材で構成されている。左側係合部材75の付勢は、例えば、左側係合部材75に外嵌されると共に左側一対の山型ブラケット77,77の間に配設された圧縮コイルバネである左側付勢部材80により行われる。同様に、右側係合部材75’は、右側被係合部82’の方へ常に付勢された円柱状部材で構成されている。右側係合部材75’の付勢は、例えば、右側係合部材75’に外嵌されると共に右側一対の山型ブラケット77,77の間に配設された圧縮コイルバネである右側付勢部材80’により行われる。
【0041】
テールゲート8の外面における下側には、左右に所定の間隔を空けて作業者が手を掛けることができる適度に湾曲した左側及び右側ハンドル71,71’がボルト等により固定されている。この左側及び右側ハンドル71,71’は、テールゲート8の開閉操作時に作業者が手を掛けるだけでなく、テールゲート8を開いた状態で、作業者が手を掛けて塵芥投入箱5の上側に昇ることができる手掛け部材としても使用可能な強度が確保されている。これら左側及び右側ハンドル71,71’には、作業者が手を掛けた状態で、指で操作可能な左側及び右側の操作レバー72,72’がそれぞれ設けられている。操作レバー72,72’は、係合部材75,75’を被係合部82,82’に対して係脱させるためのものである。
【0042】
そして、
図12及び
図13に示すように、左側操作レバー72は、テールゲート8の内面側に位置する左側操作レバー内側部分72aを有している。左側操作レバー内側部分72aは、左側操作レバー72を操作するとテールゲート8の車幅方向中央側へ移動するようになっている。また、テールゲート8の内面側には、左側操作レバー内側部分72aと左側係合部材75とを接続する左側ワイヤーケーブル73が設けられている。具体的には、左側操作レバー内側部分72aには、上下方向に延びる矩形板状の左側ワイヤー取付ブラケット72eがボルト等により固定されており、この左側ワイヤー取付ブラケット72eには、左側ハンドル貫通孔72bが設けられている。
【0043】
また、
図13に示すように、右側操作レバー72’は、テールゲート8の内面側に位置する右側操作レバー内側部分72a’を有している。右側操作レバー内側部分72a’は、右側操作レバー72’を操作するとテールゲート8の車幅方向中央側へ移動するようになっている。また、テールゲート8の内面側には、右側操作レバー内側部分72a’と右側係合部材75’とを接続する右側ワイヤーケーブル73’が設けられている。具体的に、右側操作レバー内側部分72a’には、上下方向に延びる矩形板状の右側ワイヤー取付ブラケット72e’がボルト等により固定されている。この右側ワイヤー取付ブラケット72e’には、左側ワイヤー取付孔及び右側ワイヤー取付孔(共に図示省略)が設けられている。
【0044】
左側ワイヤーケーブル73は、左側係合部材75に接続されると共に左側操作レバー内側部分72aの左側ワイヤー取付ブラケット72eに設けた左側ハンドル貫通孔72bを通過し、他端は右側ワイヤー取付ブラケット72e’の左側ワイヤー取付孔に取り付けられている。より具体的には、左側ワイヤーケーブル73は、左側ハンドル貫通孔72bを通過した後、右側ハンドル71’と右側係合部材75’との間に設けたU字状に折り曲げられた右側パイプ状部材83を通って折り返され、さらに右側ワイヤー取付ブラケット72e’の左側ワイヤー取付孔に対し右側係合部側75’側から通過している。そして、その端部には、左側ワイヤー抜け止め部材72f’が取り付けられている。左側ワイヤー端部抜け止め部材72f’は、ダブルナット等よりなっている。
【0045】
これにより、右側操作レバー72’を操作すると、左側ワイヤー端部抜け止め部材72f’が右側操作レバー内側部分72a’に右側ワイヤー取付ブラケット72e’を介して係合して、左側ワイヤーケーブル73も、左側係合部材75と左側被係合部82との係合を解除する方向に移動する。
【0046】
また、
図12に一部拡大して示すように、左側ワイヤーケーブル73には、左側ストッパ部材72gが設けられている。この左側ストッパ部材72gは、左側操作レバー72を操作して左側操作レバー内側部分72aが左側ワイヤーケーブル73を引っ張る方向(車幅方向中央側)に移動させた場合に、左側ワイヤー取付ブラケット72eの左側ハンドル貫通孔72b周縁に引っ掛かるように設けられている。
【0047】
これにより、左側操作レバー72を操作すると、左側ストッパ部材72gが左側ワイヤー取付ブラケット72eの左側ハンドル貫通孔72b周縁に引っ掛かって左側ワイヤー取付ブラケット72eと左側ワイヤーケーブル73とが一体的に移動することになる。その結果、左側ワイヤーケーブル73が左側係合部材75と左側被係合部82との係合を解除する方向に移動するようになっている。
【0048】
一方、右側操作レバー72’を操作する場合には、左側ワイヤーケーブル73の左側ストッパ部材72gは左側ワイヤー取付ブラケット72eの左側ハンドル貫通孔72bから抜きだし方向に移動するだけで左側操作レバー内側部分72aは移動しないようになっている(すなわち、右側操作レバー72’と左側操作レバー72は連動しないようになっている)。
【0049】
なお、左側ワイヤーケーブル73は、機構取付ベースフレーム39aに立設させたワイヤーガイド8eに対応して設けられたガイド孔に掛けられている。
【0050】
一方、右側ワイヤーケーブル73’は、右側係合部材75’に接続されると共に右側操作レバー内側部分72a’の右側ワイヤー取付ブラケット72e’に設けた右側ワイヤー取付孔に接続されている。これにより、右側操作レバー72’を操作すると、右側操作レバー内側部分72a’は、右側ワイヤー取付ブラケット72e’を介して右側ワイヤーケーブル73’を、右側係合部材75’と右側被係合部82’との係合を解除する方向(車幅方向中央側)に移動させるようになっている。
【0051】
右側係合部材75’は、電動モータ11の作動中は右側係合部材75’(手動開閉用係合部材)と右側被係合部82’(手動開閉用係合部)とのロックが解除された位置に常時固定される一方、電動モータ11を停止して手動開閉を行うときは、
図14に示す被係合部82’を設けた全閉位置、中間位置及び全開位置において右側操作レバー72を’操作することでロック又はロック解除可能に構成されている。
【0052】
具体的に本実施形態では、電動モータ11を作動させて自動開閉を行う場合に右側係合部材75’をロック解除位置に固定する一方、電動モータ11を停止して手動開閉を行う場合に当該固定を解除するための係合部材固定装置84が備えられている。係合部材固定装置84はノブボルトとその取付部からなり、ノブボルトを回転させて取り外すことによって、ロックが解除されて右側係合部材75’が移動となるようになっている。
【0053】
なお、本実施形態では、係合部材固定装置84により右側係合部材75’の固定を解除して手動開閉を行う場合、右側操作レバー72’によって右側係合部材75’の右側被係合部82’に対する係脱を行える一方、左側操作レバー72のみを操作しても右側係合部材75’の右側被係合部82’に対する係脱を行えないようになっている。これに対し、左側係合部材75は、テールゲート8の自動開閉と手動開閉のどちらの場合であっても、左側操作レバー72又は右側操作レバー72’を操作することによって、左側被係合部82に対する係脱が行われるようになっている。
【0054】
図12に拡大して示すように、テールゲート8の内面には、左側操作レバー72又は右側操作レバー72’が操作されて左側係合部材75が左側ワイヤーケーブル73に引っ張られて左側被係合部82との係合を解除する位置まで移動するのを検知するロック解除検知センサ81が設けられている。このロック解除検知センサ81は、例えば近接センサであり、左側ワイヤーケーブル73には、近接センサが検知可能な被検知板76が設けられている。なお、ロック解除検知センサ81は、近接センサだけでなく、赤外線センサなどの光学センサや接触式センサでもよい。その場合には、センサに合わせて被検知部を設けるとよい。
【0055】
被検知板76は、線状の左側ワイヤーケーブル73に設けられているので、ねじれが生じやすい。そこで、被検知板76が回り止めされている。具体的に被検知板76には、係止部としての、例えば丸パイプ79が設けられており、この丸パイプ79がテールゲート8の内面の山型ブラケット77に設けた被係止部としての丸棒78に係止することで回り止めされている。このようにすることで、左側ワイヤーケーブル73のねじれで被検知板76が回転してロック解除検知センサ81の検知範囲から外れてしまうのを確実に防止できるようになっている。なお、係止部及び被係止部の組み合わせはこれに限定されない。例えば、被検知板76側に丸棒が設けられ、山型ブラケット77側に丸パイプが設けられていてもよい。
【0056】
テールゲート開閉機構39について以下に説明する。
図7に示すように、テールゲート8の上端部において車幅方向に飛び出す棒状の車幅方向端部8c,8c’に板状のリンク部材40の先端が回動可能に連結されている。リンク部材40の他端には、外側アーム部41の先端がアーム連結ピン41aにより回動可能に連結されている。外側アーム部41の基端側は、側面視で昇降シリンダ23と重なる位置に回動可能に支持されている。
【0057】
外側アーム部41は、基端側のパイプ部材42と、基端側がパイプ部材42の先端に固定され、先端側がリンク部材40の基端側に回動可能に連結される板部材43とを備えている。パイプ部材42は、例えば、鋼製パイプで構成され、側面視で中間部において後方へ折り曲げられ、先端側は更に側壁9に向かって(車幅方向内側へ)折り曲げられている。板部材43は、例えば車幅方向に一対の鋼板よりなり、パイプ部材42に対し溶接等により固定されている。これら一対の鋼板の間をリンク部材40が回動可能となっている。
【0058】
外側アーム部41の基端側は、側壁9における昇降シリンダ23と塵芥投入口7との間に設けられたアーム取付ブラケット44に回動可能に連結されている。アーム取付ブラケット44は、例えば基端が側壁9に固定された角錐台44aを備え、
図4にも示すように、この角錐台44aの先端は、昇降シリンダ23よりも車幅方向外側まで延び、板状の先端部44bが一体に設けられている。板状の先端部44bは、
図7に示すように、側面視で昇降シリンダ23のピストンロッド23aと重なる位置まで前方に向かって下方へ延び、この先端部44bがパイプ部材42の基端側と回動可能に連結されている。
【0059】
図8に示すように、塵芥投入箱5における塵芥積込装置6の上方には、塵芥投入箱5の左右側壁9をつなぐクロスバー10が設けられている。
【0060】
図1A及び
図5に示すように、この左右に延びるクロスバー10の左右中央よりも車両前方側から見て左側には、駆動アクチュエータとしての電動モータ11が固定されている。電動モータ11の電力は、例えば車台2側のバッテリ61(
図10参照)から供給される。
図5にも示すように、電動モータ11には、モータブレーキ46が付設されており、その出力軸11aには、駆動プーリ11bが回転一体に設けられている。モータブレーキ46は、電動モータ11の回転運動の制動又は保持を行うものである。モータブレーキ46は、コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して電動モータ11の回転運動の制動と保持を切換できるように構成されている。モータブレーキ46は、コイルに通電されない場合に電動モータ11の回転運動の制動を行う。また、モータブレーキ46は、テールゲート8が全開位置と全閉位置の場合、及び、テールゲート8の開閉作動中に電動モータ11の過負荷による電流を検知した場合において電動モータ11の回転運動の制動を行う一方、テールゲート8の開閉動作中であって電動モータ11の過負荷による電流を検知していない場合には電動モータ11の回転運動の保持を行うように制御されるようになっている。電動モータ11及びモータブレーキ46は、モータ取付ブラケット11cを介してクロスバー10に固定されている。この駆動プーリ11bに伝動部材としての伝動ベルト12が掛けられている。一方、
図1Bにも示すように、駆動プーリ11bの上方で、塵芥積込装置6の上側には、ベアリングを内蔵した上側支持部13を介して従動プーリ13aが回転可能に支持されている。従動プーリ13aは、左右側壁9の中央から左右いずれか一方にずれた位置(
図1Bでは、車両前方から見て左側)に設けられている。この従動プーリ13aに伝動ベルト12の上端側が掛けられている。このように伝動ベルト12は、上下に延びて駆動プーリ11bと従動プーリ13aとの間で電動モータ11によって駆動されるようになっている。
【0061】
そして、内側アーム部14の一端14aが伝動ベルト12に回動可能に連結されている。具体的には、
図5に示すように、伝動ベルト12の所定位置に固定された固定部14cには、上側アーム支持部14dが設けられ、この上側アーム支持部14dに内側アーム部14の一端14aが回動可能に支持されている。一方、内側アーム部14の他端14bは、テールゲート8の上端側に設けた下側アーム支持部14eに回動可能に連結されている。
図1Bに示すように、下側アーム支持部14eは、テールゲート8のコ字状断面のアーム取付ブラケット8dに固定されている。これにより、伝動ベルト12の駆動に合わせて内側アーム部14が上下に移動するようになっている。
【0062】
すなわち、電動モータ11を制御して伝動ベルト12を駆動させることで、内側アーム部14が上下に移動し、それによってテールゲート8が
図7に示す全開位置Aと全閉位置Bとの間でスライド移動し、塵芥投入口7が開閉されるようになっている。
【0063】
図10は、塵芥収集車1における制御回路図である。塵芥収集車1には、塵芥積込装置6や塵芥排出機構(図示せず)のアクチュエータの動作制御を行うPLC66が設けられている。モータブレーキ46、電動モータ11を含むテールゲート開閉機構39の制御は、コントロールボード16が行う。
図10に簡略化して示すように、PLC66は、プログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller)であり、適宜プログラムを書き換えることが可能となっている。PLC66への電力供給は、
図10の左上に示すバッテリ61によって行われる。コントロールボード16は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)及びDACを含む。DACは「Digital Analog Converter」の略で、「D/Aコンバーター」ともいわれ、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路又はコンポーネントを意味する。コントロールボード16は、ドライバボード17に接続され、ドライバボード17が電動モータ11に電気的に接続されている。また、コントロールボード16は、モータブレーキ46と電気的に接続されている。上記PLC66及びコントロールボード16が、本発明の制御部を構成している。
【0064】
図1A及び
図1Bに示すように、塵芥投入箱5内には、テールゲート8が全開位置A又は全閉位置Bの手前に移動してきたのを検知する扉全開検知センサ18及び扉全閉検知センサ19がそれぞれ設けられている。具体的には後述するが、扉全閉検知センサ19は、塵芥投入口7の上縁よりも少し上方のクロスバー10の近傍に設けられている。扉全開検知センサ18は、塵芥投入箱5内部の上端近傍に設けられている。
【0065】
一方、テールゲート8の上辺の扉全開検知センサ18及び扉全閉検知センサ19に対応する位置には、上下に延びるプレート状の被検知板26が設けられている。この被検知板26が扉全開検知センサ18及び扉全閉検知センサ19の近傍に移動したときに、その存在が検知されるようになっている。被検知板26の上下長さは、扉全開検知センサ18及び扉全閉検知センサ19によって検知したいテールゲート8の高さに合わせて設定すればよい。
【0066】
具体的には、
図1Bに示すように、扉全開検知センサ18は、テールゲート8が全開位置Aに来て完全に開くよりも所定位置手前で被検知板26を検知するように、扉全開検知センサ取付ブラケット18aを介して塵芥投入箱5の上側に固定されている。
図1Aに示すように、扉全開検知センサ18は、扉全開検知センサ取付ブラケット18aの長孔18b等を利用して上下位置を微調整可能となっている。また、扉全閉検知センサ19は、テールゲート8が全閉位置Bに来て完全に閉じるよりも所定位置手前で被検知板26を検知するように、クロスバー10に扉全閉検知センサ取付ブラケット19aを介して取り付けられている。
図5に示すように、扉全閉検知センサ19も、扉全閉検知センサ取付ブラケット19aの長孔19b等を利用して位置を微調整可能となっている。なお、これら扉全開検知センサ18及び扉全閉検知センサ19は、この位置に限定されず、
図6に示す塵芥投入箱5の左右側壁9の所定位置にそれぞれ設けられていてもよく、また、近接センサではなく、光学センサや接触式センサでもよい。
【0067】
【0068】
塵芥収集車1の運転室3内の前部操作部28及び塵芥投入箱5の後部操作部27には、各種作動スイッチ27aが設けられている。各作動スイッチ27aとして、緊急停止スイッチ36、塵芥積込装置6の積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33、反転スイッチ34が設けられている。また、後部操作部27には、テールゲート8の扉閉スイッチ38が設けられている。また、塵芥投入箱5の塵芥投入口7の下方には、緊急停止プレートスイッチ50も設けられている。
【0069】
コントロールボード16には、オフ状態で扉閉スイッチ38及びロック解除検知センサ81からの信号を全て無効にする主電源スイッチ30が電気的に接続されている。この主電源スイッチ30は、詳しくは図示しないが、前部操作部28に設けられている。主電源スイッチ30を運転室3内に設けて車外から自由に操作できないようにすることで、作業者が積込作業していないときに作業者以外の人がテールゲート8を開いて塵芥投入口7の内部へアクセスするのを防ぐことができるので、安全を確保できる。また、前部操作部28には、電動モータ11の作動中を示すランプや断線などのエラーを示すランプが設けられていてもよい。
【0070】
また、
図6に示すように、塵芥投入箱5内には、昇降板21を昇降させる昇降シリンダ23が最伸長した状態を検知する無接点スイッチLS1、昇降シリンダ23が最収縮した状態を検知する無接点スイッチLS2、圧縮板24を揺動させる揺動シリンダ25が最伸長した状態を検知する無接点スイッチLS4、揺動シリンダ25が最収縮した状態を検知する無接点スイッチLS3等が設けられている。無接点スイッチLS1及びLS2は、塵芥投入箱5と昇降シリンダ23との間において、それぞれ一方に検知体が、他方に被検知体が配設されて切換作動するようになっている。また、無接点スイッチLS3及びLS4は、昇降板21と揺動シリンダ25との間において、それぞれ一方に検知体が、他方に被検知体が配設されて切換作動するようになっている。なお、上記無接点スイッチLS1~LS4は、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25の作動を検知するセンサ部に相当し、当該作動の検知信号をPLC66に送る機能を有している。これらの無接点スイッチLS1~LS4、扉全開検知センサ18及び扉全閉検知センサ19としては、例えば光電スイッチ、近接スイッチ等を使用できる。
【0071】
図11に油圧回路図を簡略化して示すように、この油圧回路は、油圧ポンプP、オイルリザーバT、昇降シリンダ23を伸縮制御する電磁制御弁V1、揺動シリンダ25を伸縮制御する電磁制御弁V2等から構成されている。油圧ポンプPには、車両エンジン(図示省略)の駆動力がPTO(パワーテイクオフ)を介して伝達される。電磁制御弁V1,V2は、例えば6ポート3位置の電磁式の方向切換弁よりなる。電磁制御弁V1はソレノイドSOLa及びSOLbを有し、電磁制御弁V2はソレノイドSOLc及びSOLdを有している。電磁制御弁V1,V2は、各ソレノイドに通電されているときのみ上方位置又は下方位置に切り換わり、通電されていない状態では中立位置に復帰するようになっている。
【0072】
このバッテリ61の正極から
図10の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、イグニッションスイッチ62、PTOスイッチ63、リレーコイル64等が介設されている。
【0073】
また、バッテリ61及びイグニッションスイッチ62の中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリ61に近い側)には、リレーコイル64に対応するリレースイッチ65が介設されている。
【0074】
通電ラインK3の下流端は、主電源スイッチ30とブレーキ解放スイッチ45と電動モータ11が接続されている。ブレーキ解放スイッチ45は、塵芥投入箱5の左右一方側の側面における、樹脂製サイドカバーと金属製側壁との間に設けられている。ブレーキ解放スイッチ45は、例えばテールゲート8を手動開閉に切り換える場合、通常テールゲート8の全開位置と全閉位置において電動モータ11の回転運動の制動を行っているモータブレーキ46に対し、テールゲート8が全開位置又は全閉位置にあっても制動させないようにするものである。ブレーキ解放スイッチ45がオンにされると、テールゲート8の全可動範囲において、モータブレーキ46のコイルに通電が行われ、電動モータ11の回転運動が許容される状態になる。
【0075】
また、通電ラインK3のリレースイッチ65よりも下流側の位置において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されている。通電ラインK4から分岐されてPLC66に入力される通電ラインが複数設けられており、それら通電ラインには、昇降板21の上昇位置を検知する上昇位置センサ10e、圧縮板24の反転位置を検知する反転位置センサ10f、昇降板21の下降位置を検知する下降位置センサ10g、圧縮板24の圧縮位置を検知する圧縮位置センサ10h等がそれぞれ介設されている。
【0076】
通電ラインK4の下流端には積込排出切換スイッチ51が設けられている。積込排出切換スイッチ51の積込側の接点には、通電ラインK5の上流端が接続されている。通電ラインK5から分岐されてPLC66に入力される通電ラインが複数設けられており、それぞれの通電ラインには、積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33、反転スイッチ34、緊急停止スイッチ36、緊急停止プレートスイッチ50が介設されている。積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33、反転スイッチ34、緊急停止スイッチ36、緊急停止プレートスイッチ50は、PTOスイッチ64のオンによって有効になるように構成されている。
【0077】
また、通電ラインK2上におけるイグニッションスイッチ62とPTOスイッチ63との間には、通電ラインK6の上流端が接続されている。通電ラインK6から分岐されてPLC66に入力される通電ラインが複数設けられており、それら通電ラインには、扉全開検知センサ18、扉全閉検知センサ19、ロック解除検知センサ81、扉閉スイッチ38等がそれぞれ介設されている。扉全開検知センサ18、扉全閉検知センサ19、ロック解除検知センサ81、扉閉スイッチ38は、イグニッションスイッチ62のオンによって有効になるように構成されている。
【0078】
作業者による積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33、反転スイッチ34の操作入力や、上昇位置センサ10e、反転位置センサ10f、下降位置センサ10g、圧縮位置センサ10hの検知信号入力を受けて、PLC66は、電磁制御弁V1,V2に設けられた各電磁弁のソレノイドに切換信号を出すようになっている。すなわち、PLC66には上昇ソレノイド10a、反転ソレノイド10b、下降ソレノイド10c、圧縮ソレノイド10d等が接続されており、これらにPLC66は制御信号を送るようになっている。
【0079】
図10に示すように、これらの各種スイッチ27a、無接点スイッチLS1~LS4、扉全開検知センサ18、扉全閉検知センサ19、ロック解除検知センサ81、ソレノイドSOLa~SOLd等は、PLC66に接続されている。PLC66は、図示省略の信号用電力供給部、中央処理部、各種リレーコイル、リレーコイルのa接点等を有しており、バッテリ61、イグニッションスイッチ62、PTOスイッチ63等と共に電気回路に組み込まれている。このPLC66は、各種スイッチ27a(31~36)、無接点スイッチ10e~10h等の入力状況に基づいて予め設定された手順に従って、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。また、PLC66は、扉全開検知センサ18、扉全閉検知センサ19、ロック解除検知センサ81、扉閉スイッチ38等の入力状況に基づいてコントロールボード16に出力するようにプログラムされている。
【0080】
なお、以下において、ソレノイドSOLa~SOLdへの通電・解除を説明する際、リレーコイルの説明は省略する。
【0081】
上述したように、塵芥積込装置6の積込作動時には、イグニッションスイッチ62及びPTOスイッチ63がいずれも閉じられており、通電ラインK3~K5によってPLC66に通電されている。
【0082】
主電源スイッチ30をオン、かつ、ブレーキ解放スイッチ45をオフにした場合には、コントロールボード16は、扉閉スイッチ38及びロック解除検知センサ81からのコントロールボード16を介した信号入力を有効にして、扉閉スイッチ38又は操作レバー72,72’が操作されたことを判断し、自動で電動モータ11を動作させる。より具体的には、コントロールボード16は、扉全閉検知センサ19がオンのときに操作レバー72,72’が操作されたと判断した場合、自動でモータブレーキ46の制動を解除し電動モータ11を開動作させるようになっている。また、コントロールボード16は、扉全閉検知センサ19がオンのときに操作レバー72,72’が操作されたと判断した場合、自動でモータブレーキ46の制動を解除し電動モータ11を開動作させるようになっている。また、コントロールボード16は、扉全開検知センサ18がオンのときに扉閉スイッチ38又は操作レバー72,72’が操作されたと判断した場合、自動でモータブレーキ46の制動を解除し電動モータ11を閉動作させるようになっている。
【0083】
一方、コントロールボード16は、扉全開検知センサ19がオンのときに扉閉スイッチ38又は操作レバー72,72’が操作されなければモータブレーキ46の制動作用によりテールゲート8をその場で停止させるように制御する。
【0084】
また、主電源スイッチ30をオン、かつ、ブレーキ解放スイッチ45をオンにした場合には、コントロールボード16は、モータブレーキ46による制動を行わないようにし、扉閉スイッチ38及びロック解除検知センサ81からの無効に制御することにより、手動でテールゲート8を開閉可能に構成されている。
【0085】
-テールゲートの開閉動作-
次に、本実施形態に係る塵芥収集車1のテールゲート開閉機構39の作動について説明する。
【0086】
(自動開閉操作時)
図9A、
図12及び
図13に示すように、塵芥収集車1の走行時などには、テールゲート8は閉じられており、その下端部が塵芥投入口7の下端部に位置し、左側係合部材75が下側の左側被係合部82のかえり部82bに係合されている。一方、右側係合部材75’は、係合部材固定装置84のノブボルトを締結して固定することにより、常に引っ込んだ状態であり、いずれの右側被係合部82’にも係合しない。これにより、テールゲート8は、左側係合部材75のロックを解除しない限り、開くことができない。このとき、PLC66は、扉全閉検知センサ19からの信号を受け、「テールゲート8が全閉位置にあること」を検知している。
【0087】
このように、左側係合部材75が左側被係合部82に係合しているので、走行時などでもテールゲート8はがたつかない。このため、各部品に遊びがあっても、全閉時にテールゲート8を確実に固定することができ、モータブレーキ46や電動モータ11などに負担がかかることはない。
【0088】
そして、塵芥収集車1の走行を停止させ、塵芥積込作業を行う等でテールゲート8を開くときには、作業者が左側及び右側の操作レバー72,72’のいずれかを操作する。
【0089】
例えば、左側操作レバー72を操作する場合、その左側操作レバー外側部分72cを引いたときには、
図12に一部拡大して示すように、左側ストッパ部材72gが左側ハンドル貫通孔72b周縁に引っ掛かって左側ワイヤーケーブル73により、左側係合部材75を引いて左側被係合部82のかえり部82bとの係合を解除する。
【0090】
逆に、右側操作レバー72’を操作する場合、
図13に示すように、その右側操作レバー外側部分72’cを引いたときには、左側ワイヤー抜け止め部材72f’が左側ワイヤー取付ブラケット72eに引っ掛かって引かれた左側ワイヤーケーブル73によって左側係合部材75を引いて左側被係合部82のかえり部82bとの係合を解除する。
【0091】
ロック解除検知センサ81が、左側係合部材75が左側被係合部82との係合を解除する位置まで移動するのに合わせて被検知板76が検知範囲内に来たことを検知し、PLC66に送信する。すると、PLC66は、その検知信号をコントロールボード16に送信する。コントロールボード16は、そのPLC66からの信号に基づいて、モータブレーキ46の制動を解除すると共にドライバボード17に制御信号を送ることにより、電動モータ11を駆動してテールゲート8の開き動作を開始する。
【0092】
このように、左右いずれか一方の操作レバー72,72’を操作して、左側係合部材75を移動させて左側被係合部82との係合(ロック)を解除してテールゲート8の開き操作を行うことができる。その結果、作業者は、一方の手でゴミ袋を持ちながら他方の手でテールゲート8を開くことができ、作業性に優れる。
【0093】
仮に、作業者が左側操作レバー72の操作後、左側操作レバー72から手をすぐに離してしまった場合など、左側係合部材75が左側被係合部82のかえり部72bを乗り越える前に、付勢部材80に押されて左側係合部材75が左側被係合部82との係合位置に戻ってしまうと、電動モータ11の付勢力で左側係合部材75が左側被係合部82に押し付けられた状態でテールゲート8が停止してしまう。こうなると、左側係合部材75に負担がかかる。また、再びハンドル71を握って左側操作レバー72を操作しようとすると、強い抵抗が生じ、強い力で左側操作レバー72を握る必要が生じる。しかし、本実施形態では、停止後、一定時間(例えば0.5~1秒程度)、電動モータ111に駆動力をかけずモータブレーキ46による電動モータ11の回転運動の制動も行わないフリー状態にする。このため、左側係合部材75の引っ掛かりによる突っ張りが防止される。
【0094】
このように、本実施形態では、コントロールボード16は、扉全閉検知センサ19が検知中に、引っ掛かりにより電動モータ11に発生した、過負荷による電流を検知すると、一定時間、電動モータ11に駆動力をかけずモータブレーキ46による電動モータ11の回転運動の制動も行わないフリー状態にするので、左側係合部材75に引っ掛かりによる突っ張りを確実に防止することができる。
【0095】
そして、テールゲート8の開き動作の途中で、作業者が再び左側操作レバー72を握ると、ロック解除検知センサ81が、被検知板76を検知して左側係合部材75が左側被係合部82との係合を解除する位置まで移動したのを検知する。すると、電動モータ11の駆動を減速させて停止すると共に、その後、一定時間(例えば2~4秒程度)、ロック解除検知センサ81からの信号入力を無視する。これは閉じ動作の途中でも同じである。このように、本実施形態では、テールゲート8の自動開閉操作中に操作レバー72を操作すると、自動で減速して停止するが、その後しばらくの間、開閉操作を無視することで、誤動作を防止することができる。
【0096】
テールゲート8が全開位置にまで移動すると、扉全開検知センサ18の信号がコントロールボード16に送られるので、ドライバボード17に制御信号を送って電動モータ11を停止すると共に、モータブレーキ46により電動モータ11の回転運動に制動をかける。テールゲート8を全開にするのは塵芥積込作業時であって基本的にテールゲート8の全開状態で悪路などを走行することはないので、左側係合部材75のロックがなくても、モータブレーキ46の制動作用で電動モータ11が回転しないよう保持できる。
【0097】
一方、全開位置からテールゲート8を閉じるときには、作業者は、左側ハンドル71の左側操作レバー72、右側ハンドル71’の右側操作レバー72’のいずれかを操作する。すると、ロック解除検知センサ81が、被検知板76が検知範囲内に移動してきたのを検知するので、その信号を受けたモータブレーキ46の制動を解除すると共にドライバボード17に制御信号を送ることにより、電動モータ11を駆動してテールゲート8が自動で閉じる。
【0098】
このように、自動運転中では、テールゲート8がガタツキやすい走行時などには、通常、テールゲート8が閉まっているので、少なくとも全閉位置さえ左側係合部材75でロックできればよい。
【0099】
(手動開閉操作時)
一方、モータブレーキ46の故障時などに手動で開閉するときには、モータブレーキ46の保持機能は使えないので、テールゲート8の全開位置においてモータブレーキ46による制動のかわりにテールゲート8が動かないようにロックする必要がある。このため、右側係合部材75’を少なくとも全閉位置及び全開位置でロックできるようにすることで、手動開閉が可能となる。なお、大型機などでは、足場がないと全開位置まで手が届かない場合もあり、中間位置でもロックできるようにしておくとよい。
【0100】
具体的には、右側係合部材75'の近傍に設けた係合部材固定装置84のノブボルトを取り外してロックを解除し、右側被係合部82'の位置まで移動できるようにすることにより、右側係合部材75'が右側被係合部82’と係合できるようにする。
【0101】
手動の場合も、車両走行時などには、テールゲート8は閉じられており、その下端部が塵芥投入口7の下辺を構成する部材に当接し、左側係合部材75が下側の左側被係合部82のかえり部82bに係合されていると共に、右側係合部材75’が下側の右側被係合部82’のかえり部に係合されている。これにより、テールゲート8は、これらのロックを解除しない限り、開くことができない。
【0102】
そして、全閉位置からテールゲート8を開くときには、左側及び右側の操作レバー72,72’を操作する。
【0103】
開き動作の途中の中間位置で固定する場合には、中間位置の辺りで操作中の右側操作レバー72’から手を離すと、右側係合部材75’が中間位置の上下にある右側被係合部82’のかえり部82b’に上下から挟まれて係合する。
【0104】
さらに、テールゲート8を全開位置まで上昇させたときに右側操作レバー72’から手を離すと、右側係合部材75’が上側の右側被係合部82’のかえり部82b’と係合して全開位置で再びロック状態に戻る。
【0105】
一方、全開位置からテールゲート8を閉じるときには、右側係合部材75’が上側の右側被係合部82’のかえり部82b’に係合されているので、右側操作レバー72'を操作すればよい。
【0106】
したがって、本実施形態に係る塵芥収集車1によると、滑らかに開閉動作できるように各部品に遊びを設けている自動開閉式のテールゲート8であっても、全閉時にがたつかず、車両走行時などにモータブレーキ46や電動モータ11などに負担をかけないようにすることができる。また本実施形態により、操作性及び商品性の高いテールゲート8を有する塵芥収集車1が得られる。
【0107】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0108】
(その他の実施形態)
例えば、上記実施形態では、係合部材固定装置84により右側係合部材75’の固定を解除して手動開閉を行う場合、右側操作レバー72’によって右側係合部材75’の右側被係合部82’に対する係脱を行える一方、左側操作レバー72のみを操作しても右側係合部材75’の右側被係合部82’に対する係脱を行えないようになっていた。本発明はこれに限らず、手動開閉を行う場合に、右側操作レバーと左側操作レバーのどちらを操作しても右側係合部材の右側被係合部に対する係脱を行えるように構成してもよい。
【0109】
さらに、上記実施形態では、ロック解除検知センサ81は左側にのみ設けたが、右側にのみ設けてもよいし、左右両方に設けてもよい。
【0110】
上記実施形態では、電動モータ11の制御は、制御部としてのPLC66及びコントロールボード16が行うように構成したが、本発明はこれに限らず、駆動モータの制御部を、PLCとは別のテールゲート開閉制御専用の部品で構成してもよい。
【0111】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0112】
1 塵芥収集車
5 塵芥投入箱
7 塵芥投入口
8 テールゲート
11 電動モータ(駆動アクチュエータ)
16 コントロールボード(制御部)
18 扉全開検知センサ
19 扉全閉検知センサ
38 扉閉スイッチ
39 テールゲート開閉機構
46 モータブレーキ
66 PLC(制御部)
71 左側ハンドル
71’ 右側ハンドル
72 左側操作レバー
72’ 右側操作レバー
75 左側係合部材
75’ 右側係合部材(手動開閉用係合部材)
81 ロック解除検知センサ
82 左側被係合部
82’ 右側被係合部(手動開閉用被係合部)
84 係合部材固定装置