(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】本人確認装置
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20241015BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G06F21/32
G06T1/00 400H
(21)【出願番号】P 2021121571
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020127944
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 篤士
(72)【発明者】
【氏名】西山 高徳
(72)【発明者】
【氏名】木村 茂孝
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106005(JP,A)
【文献】特開2002-024913(JP,A)
【文献】特開平11-066273(JP,A)
【文献】特開2002-042204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対する本人確認を行う本人確認装置であって、
前記ユーザが本人確認の操作を実行可能な表示操作部と、
本人確認用の書類を含む所定の対象物を載置可能な設置台と、
前記設置台に載置された前記対象物を表面から照射する表面照明部または前記設置台に載置された前記対象物を裏面から照射する裏面照明部と、
前記表面照明部または前記裏面照明部の少なくとも何れかを使用して、前記設置台に載置された前記対象物の
所定面を撮影する対象物撮影部と、
前記ユーザの顔画像を撮影する顔撮影部と、
前記対象物撮影部が撮影した前記対象物の撮影画像及び前記顔撮影部が撮影した前記ユーザの顔画像に基づいて、前記書類の真贋判定と前記書類の所有者が前記ユーザであることの認証とを実行し、これらの実行結果に基づいて、前記書類に示される人物が前記ユーザ本人であることの本人確認を行う制御部と、
を備え、
前記設置台は、前記対象物を載置する際の入口側を正面としたとき、正面、背面、右側面、及び左側面のうち少なくとも2面が開放された形状を有し、当該開放された面によって連続した空間が形成され
、
前記表面照明部または前記裏面照明部は、可視光を照射する可視光源と特殊光を照射する特殊光源とを有し、
前記対象物撮影部は、前記表面照明部または前記裏面照明部の前記可視光源及び前記特殊光源を使用して、複数種類の撮影画像を撮影し、
前記制御部は、前記対象物撮影部によって撮影された前記書類の複数種類の撮影画像を比較した結果を、当該書類の真贋判定に利用する
ことを特徴とする本人確認装置。
【請求項2】
前記表面照明部と前記裏面照明部とを備え、
前記対象物撮影部は、
前記表面照明部または前記裏面照明部の少なくとも何れかを使用して、前記設置台に載置された前記対象物の表面を撮影する表面撮影部と、
前記表面照明部または前記裏面照明部の少なくとも何れかを使用して、前記設置台に載置された前記対象物を裏返すことなく、当該対象物の裏面を撮影する裏面撮影部と、
を有し、
前記制御部は、前記表面撮影部によって撮影された前記書類の複数種類の撮影画像を比較した結果を、当該書類の真贋判定に利用する
ことを特徴とする請求項
1に記載の本人確認装置。
【請求項3】
前記表面撮影部は、前記裏面照明部から照射される特殊光を使用して、透かしの撮影画像を撮影し、
前記制御部は、前記表面撮影部によって撮影された前記書類の透かしの撮影画像を分析した結果を、当該書類の真贋判定に利用する
ことを特徴とする請求項
2に記載の本人確認装置。
【請求項4】
前記設置台に載置された前記書類から当該書類に搭載されたIC情報を読み取る非接触IC読取部をさらに備え、
前記制御部は、前記非接触IC読取部によって読み取った前記書類のIC情報を当該書類の真贋判定に利用する
ことを特徴とする請求項1に記載の本人確認装置。
【請求項5】
前記設置台は、前記入口側から正面視したときの高さ及び幅が、前記対象物の高さ及び幅以上を確保して形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の本人確認装置。
【請求項6】
前記設置台は、前記右側面または前記左側面の何れか一方が開放された形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の本人確認装置。
【請求項7】
前記対象物には、前記ユーザに割り当てられる識別情報を表示可能なモバイル端末が含まれ、
前記制御部は、前記本人確認において、前記ユーザによって前記表示操作部に入力された前記識別情報または前記対象物撮影部が撮影した前記モバイル端末の撮影画像から取得される前記識別情報と、前記対象物撮影部が撮影した前記書類の撮影画像と、前記顔撮影部が撮影した前記顔画像と、に基づいて、前記ユーザが、前記書類の所有者であり、前記識別情報に対応する本人であるかを判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項
6の何れか1項に記載の本人確認装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記本人確認の結果を前記ユーザに出力し、前記本人確認の最終的な判定をユーザに要求する
ことを特徴とする請求項
7に記載の本人確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、本人確認技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュレス化や業務改革による窓口従業員の業務量低下に伴い、窓口業務のセルフ化を推進することによる効率化が進められている。また、以前より問題になっていたマネーロンダリングの防止、テロ組織への資金流出防止、なりすまし取引の防止を目的として、法改正によりオンライン完結による本人確認方法が新設され、これまで窓口で行っていた、写真付き本人確認書類を用いた本人確認についても、業務の効率化が求められている。
【0003】
業務の効率化に期待できる従来技術として、例えば特許文献1には、情報記録媒体に記録された情報を読み取る情報読取装置が開示されている。特許文献1に開示された情報読取装置は、情報記録媒体の出し入れを行うことなく情報記録媒体の両面の情報を光学的に読み取ることが可能な構造を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来例によれば、情報記録媒体の出し入れを行うことなく情報記録媒体の両面の情報を光学的に読み取ることが可能となる。しかし、当該従来技術では、限定された情報記録媒体しか対応できず(具体的には、読取口に挿入された場合に、読み取りのための所定の位置まで入り込むことが可能な程度に薄く小さい情報記録媒体しか対応できず)、大サイズ画面を有するスマートフォンやタブレット端末といったモバイル端末のように、対象物のサイズが大きい場合には、対象物からの情報の読み取りに対応できないという課題があった。また、前記従来例における情報読取装置は画面による操作案内や操作する機能を有しておらず、操作及び制御を行うための上位装置が必要で、顧客本人によるセルフ操作が不可能という課題があった。
【0006】
本発明の目的は上記問題点を解決すること、すなわち、本人確認において情報または画像を取得する対象物のサイズが大きい場合にも対応可能で、且つ、顧客本人によるセルフ操作が可能な本人確認装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、ユーザに対する本人確認を行う本人確認装置であって、前記ユーザが本人確認の操作を実行可能な表示操作部と、本人確認用の書類を含む所定の対象物を載置可能な設置台と、前記設置台に載置された前記対象物を表面から照射する表面照明部または前記設置台に載置された前記対象物を裏面から照射する裏面照明部と、前記表面照明部または前記裏面照明部の少なくとも何れかを使用して、前記設置台に載置された前記対象物の所定面を撮影する対象物撮影部と、前記ユーザの顔画像を撮影する顔撮影部と、前記対象物撮影部が撮影した前記対象物の撮影画像及び前記顔撮影部が撮影した前記ユーザの顔画像に基づいて、前記書類の真贋判定と前記書類の所有者が前記ユーザであることの認証とを実行し、これらの実行結果に基づいて、前記書類に示される人物が前記ユーザ本人であることの本人確認を行う制御部と、を備え、前記設置台は、前記対象物を載置する際の入口側を正面としたとき、正面、背面、右側面、及び左側面のうち少なくとも2面が開放された形状を有し、当該開放された面によって連続した空間が形成され、前記表面照明部または前記裏面照明部は、可視光を照射する可視光源と特殊光を照射する特殊光源とを有し、前記対象物撮影部は、前記表面照明部または前記裏面照明部の前記可視光源及び前記特殊光源を使用して、複数種類の撮影画像を撮影し、前記制御部は、前記対象物撮影部によって撮影された前記書類の複数種類の撮影画像を比較した結果を、当該書類の真贋判定に利用する、本人確認装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本人確認において情報または画像を取得する対象物のサイズが大きい場合にも対応可能であり、且つ、顧客本人によるセルフ操作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る本人確認装置200の接続構成例を示す図である。
【
図2】本人確認装置200の内部構成例を示す図である。
【
図5】本人確認装置200の下部の内部構造例を示す図である。
【
図6】テレビ電話機能を有する本人確認装置200Aの外観図の一例を示す図である。
【
図7】本人確認処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図8】真贋判定処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図9】顔認識処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図10】生体認識処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図11】S104におけるモバイル端末180の画面表示例(その1)を示す図である。
【
図12】S104におけるモバイル端末180の画面表示例(その2)を示す図である。
【
図13】S202における表示操作部210の画面表示例を示す図である。
【
図14】オペレータ表示操作部211の画面表示例を示す図である。
【
図15】本人確認装置200による2次元コードの読み取りのイメージ例(その1)を示す図である。
【
図16】本人確認装置200による2次元コードの読み取りのイメージ例(その1)を示す図である。
【
図17】本人確認装置200の外観図の別例(第1例)を示す図である。
【
図18】本人確認装置200の外観図の別例(第2例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスであればよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つであればよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/Oインターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでもよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイスであって、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし、二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0011】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例であって、一つ以上のメモリデバイスである。メモリは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよく、典型的には主記憶デバイスである。
【0012】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例であって、一つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)であり、具体的には例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)等である。
【0013】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、上記したメモリ又は永続記憶装置の少なくともいずれかであればよい。
【0014】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスであればよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
実施形態の概要の一例は、例えば、次の通りである。すなわち、本人確認装置は、ユーザに対する本人確認を行う本人確認装置であって、前記ユーザが本人確認の操作を実行可能な表示操作部と、本人確認用の書類を含む所定の対象物を載置可能な設置台と、前記設置台に載置された前記対象物の表面及び裏面を撮影する対象物撮影部と、前記ユーザの顔画像を撮影する顔撮影部と、前記対象物撮影部が撮影した前記対象物の撮影画像及び前記顔撮影部が撮影した前記ユーザの顔画像に基づいて、前記書類の真贋判定と前記書類の所有者が前記ユーザであることの認証とを実行し、これらの実行結果に基づいて、前記書類に示される人物が前記ユーザ本人であることの本人確認を行う制御部と、を備え、前記設置台は、前記対象物を載置する際の入口側を正面としたとき、正面、背面、右側面、及び左側面のうち少なくとも2面が開放された形状を有し、当該開放された面によって連続した空間が形成される。また、上記本人確認装置は、前記設置台に載置された前記対象物を表面から照射する表面照明部と、前記設置台に載置された前記対象物を裏面から照射する裏面照明部と、をさらに備え、前記対象物撮影部は、前記表面照明部または前記裏面照明部の少なくとも何れかを使用して、前記設置台に載置された前記対象物の表面を撮影する表面撮影部と、前記表面照明部または前記裏面照明部の少なくとも何れかを使用して、前記設置台に載置された前記対象物を裏返すことなく、当該対象物の裏面を撮影する裏面撮影部と、を有してもよい。さらに、上記本人確認装置は、前記表面照明部及び前記裏面照明部の少なくとも何れかは、可視光を照射する可視光源と特殊光を照射する特殊光源とを有し、前記表面撮影部は、前記表面照明部または前記裏面照明部の前記可視光源及び前記特殊光源を使用して、複数種類の撮影画像を撮影し、前記制御部は、前記表面撮影部によって撮影された前記書類の複数種類の撮影画像を比較した結果を、当該書類の真贋判定に利用する、としてもよい。また、本人確認装置において、前記表面撮影部は、前記裏面照明部から照射される特殊光を使用して、透かしの撮影画像を撮影し、前記制御部は、前記表面撮影部によって撮影された前記書類の透かしの撮影画像を分析した結果を、当該書類の真贋判定に利用する、としてもよい。また、本人確認装置において、前記設置台に載置された前記書類から当該書類に搭載されたIC情報を読み取る非接触IC読取部をさらに備え、前記制御部は、前記非接触IC読取部によって読み取った前記書類のIC情報を当該書類の真贋判定に利用する、としてもよい。また、本人確認装置において、前記設置台は、前記入口側から正面視したときの高さ及び幅が、前記対象物の高さ及び幅以上を確保して形成される、としてもよい。また、本人確認装置において、前記設置台は、前記右側面または前記左側面の何れか一方が開放された形状を有するとしてもよい。また、上記何れかの本人確認装置は、前記対象物には、前記ユーザに割り当てられる識別情報を表示可能なモバイル端末が含まれ、前記制御部は、前記本人確認において、前記ユーザによって前記表示操作部に入力された前記識別情報または前記対象物撮影部が撮影した前記モバイル端末の撮影画像から取得される前記識別情報と、前記対象物撮影部が撮影した前記書類の撮影画像と、前記顔撮影部が撮影した前記顔画像と、に基づいて、前記ユーザが、前記書類の所有者であり、前記識別情報に対応する本人であるかを判定する、としてもよい。さらに上記本人確認装置において、前記制御部は、前記本人確認の結果を前記ユーザに出力し、前記本人確認の最終的な判定をユーザに要求する、としてもよい。上記のように構成された本発明の本人確認装置により、本人確認書類の真贋判定に使用する画像撮影、本人確認書類の所有者本人であることの確認する顔画像の撮影、他人によるなりすましされないことを確認する顔画像の撮影を顧客本人がセルフ操作で行うことができ、店舗の窓口業務を効率化できるという効果が得られる。また、本人確認において情報または画像を取得する対象物のサイズが大きい場合にも対応可能であるという効果が得られる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る本人確認装置200の接続構成例を示す図である。
図2は、本人確認装置200の内部構成例を示す図である。
図5は、本人確認装置200の下部の内部構造例を示す図である。本接続図および内部構成図を用いて、本人確認装置200を利用したシステムの概略構造を説明する。
【0018】
図1において、店舗100内に、受付端末110、取引窓口端末120、自動取引装置130、ルータ140、本人確認制御部190、および本人確認装置200が備えられる。受付端末110、取引窓口端末120、自動取引装置130、本人確認制御部190および本人確認装置200の各々は、例えば、インターフェース装置、記憶装置およびそれらに接続されたプロセッサを備えた装置で実現される。また、受付端末110、取引窓口端末120、自動取引装置130、本人確認制御部190および本人確認装置200の少なくとも一つは、顧客から入力を受け付ける入力デバイスと、情報を出力する表示デバイスとを有するように構成されてよく、入力デバイスと表示デバイスは一体でもよい。また、入力デバイスおよび表示デバイスは、ユーザインターフェースデバイスであってもよい。
【0019】
本人確認装置200および受付端末110は、店舗100(例えば、金融機関の本店または支店)に設置され、本人確認制御部190によって制御される。本人確認制御部190は、構内ネットワークの有線LAN(Local Area Network)またはWiFi(登録商標)で接続されたルータ140を経由して、サーバ160に接続されている。なお、本人確認制御部190は、本人確認装置200または自動取引装置130に内蔵される構成であってもよい。取引窓口端末120および自動取引装置130も同様に店舗100に設置され、構内ネットワークの有線LANで接続されたルータ140を経由して、サーバ160に接続されている。
【0020】
顧客(本人)が事前に予約と情報の入力を行う場合は、顧客が、顧客のモバイル端末180をネットワーク170(例えばWiFiまたは携帯電話網)を利用してサーバ160に接続し、取引事項、個人情報許諾、および個人情報をモバイル端末180経由でサーバ160に入力することにより、店舗100での取引日時の予約をモバイル端末180経由でサーバ160に対して行う。予約完了後に、サーバ160は、予約した本人を特定する本人識別番号(No.)とその本人識別番号をコード化した2次元コードとを生成し、生成した本人識別番号と2次元コードとが記載されたEメールを、顧客から入力された個人情報に含まれるEメールアドレス宛に送信する。このようにして、サーバ160では、取引事項、個人情報許諾、および個人情報の登録がなされ、予約の情報(例えば、取引日時の予約を表す情報を含む)が登録され、それらの情報が、例えば、生成された本人識別番号に紐付けられてサーバ160により管理される。本段落で言う「本人識別番号(No.)」は、顧客自身を識別する識別番号でもよいし、顧客によってなされた予約を識別する識別番号でもよい。いずれにしても、本人識別番号から、少なくとも顧客(本人)が特定可能であればよい。「個人情報」は、例えばEメールアドレス(電子メールアドレス)を含むが、Eメールアドレスに代えてまたは加えて、他種の情報(例えば、氏名、住所、生年月日)を含んでもよい。また、本例では、本人識別番号及び本人識別番号をコード化した2次元コードは、Eメールにより顧客に通知されるが、それらの通知方法は、Eメールに代えてまたは加えて、他種の通知方法(例えば、SMS(Short Message Service)に従うメールでの通知)が採用されてもよい。
【0021】
顧客は、店舗へ入店後、事前予約がある場合は、Eメールに記載された2次元コードをモバイル端末180の画面に表示し、その2次元コードを受付端末110のバーコードリーダに読み取らせる。事前予約がない場合は、顧客は、店舗100内に設置された受付端末110へ移動し、顧客のモバイル端末180のバーコードリーダ(例えば、2次元コードを読み取るためのアプリ)に、受付端末110に表示された2次元コードを読み取らせる。なお、顧客が自身のモバイル端末180を使用しない場合は、顧客は店舗100でモバイル端末180を借用し、借用したモバイル端末180を使用して、上記の処理を行う。
【0022】
事前予約がある場合は、受付端末110における2次元コードの読み取りに基づいて、当該事前予約で予約された取引に対する本人確認の開始契機となる所定の受付情報が、2次元コードを読み取った受付端末110から本人確認制御部190を経由して、サーバ160と取引窓口端末120に転送される。事前予約がない場合は、モバイル端末180が、WiFi、USB(Universal Serial Bus)、又はBluetooth(登録商標)のいずれかを利用して本人確認制御部190に接続されて、モバイル端末180が読み取った2次元コードが表すURL(Uniform Resource Locator)に従うアクセス先に、取引事項、個人情報許諾、および個人情報が入力され、それらの情報を含んだ受付情報がサーバ160に転送される。上記アクセス先がサーバ160の場合、取引事項、個人情報許諾、および個人情報が、モバイル端末180からサーバ160に入力される。本段落で言う「受付情報」は、例えば、本人識別情報(No.)、取引事項、個人情報許諾、および個人情報を含んでよく、それらの情報の少なくとも一部は、2次元コードから読み取られた情報であってもよい。
【0023】
取引事項、個人情報許諾、および個人情報がサーバ160に入力されたとき、サーバ160から本人確認が必要な場合は、サーバ160が、モバイル端末180に、顧客に対する呼出案内(例えば、本人確認が必要であることの呼出と案内)とともに、顧客を特定する2次元コード(例えば、受付情報を基に得られた本人識別番号を含む情報を含んだ2次元コード)と本人識別番号(例えば、受付情報を基に得られた本人識別番号)とを送信する。顧客は、モバイル端末180に表示されている2次元コードを本人確認装置200に読み取らせ、顧客自身で本人確認装置200に対するセルフ操作を行う。当該操作に応答して、本人確認装置200が、本人確認書類(例えば、書類の表裏)や顧客の顔を撮影する。このようにして、本人確認書類(例えば、書類の表裏)の撮影画像や顧客の顔の撮影画像といった画像であって、本人確認に必要な情報の一部となる画像が得られる。なお、本人確認装置200は、2次元コードを読み取ることができなかった場合は、モバイル端末180に表示されている本人識別番号の手入力を顧客から受け付ける。
【0024】
本人確認装置200は、本人確認に必要な情報(例えば、本人確認書類や顔の撮影画像を含む)の取得を完了すると、モバイル端末180へその情報を転送する。モバイル端末180が受信した情報を表示することで、本人確認装置200に取得された情報(本人確認に必要な情報)を本人が確認することが可能である。本人による上記情報の確認の結果、問題がなければ、本人から、モバイル端末180経由で(または非経由で)本人確認装置200へ完了が通知される。本人確認装置200は、その完了通知を受け取ると、確認が完了したことと、本人確認に必要な情報(本人により問題ないと確認された情報(例えば、撮影画像を含む))とを、取引窓口端末120に転送する。そして窓口担当者が、取引窓口端末120が受け取って表示した情報(例えば、確認が完了したことと、本人確認に必要な情報)を基に、総合判定を行う。総合判定の結果が正常であれば(例えば、取引窓口端末120が総合判定の結果が「正常」である旨の入力を窓口担当者から受けた場合)、取引窓口端末120は、モバイル端末180へ、本人を取引窓口端末120または自動取引装置130へ呼び出すための呼出案内とともに、顧客を特定する2次元コードと本人識別番号とを送信する。例えば、本人確認に必要な情報は、本人識別番号、取引事項、個人情報許諾、および個人情報の少なくとも一部を含んでよく、故に、例えばEメールアドレスを含んでもよい。この場合、取引窓口端末120は、当該Eメールアドレス宛に、呼出案内と2次元コードと本人識別番号とを記載したEメールを送信してもよい。
【0025】
窓口で取引が必要な場合、顧客は、窓口担当者が操作する取引窓口端末120を介して取引を行う。また、自動取引装置130で取引が可能な場合には、顧客は、モバイル端末180に表示されている2次元コードを自動取引装置130に読み取らせ、セルフ操作によって取引を行うことができる。自動取引装置130で2次元コードが読み取れない場合、顧客は、モバイル端末180に表示されている本人識別番号を自動取引装置130に手入力する。
【0026】
取引完了後、顧客は店舗100から退店する。なお、顧客は、店舗100でモバイル端末180を借用した場合は、モバイル端末180を返却し、このとき個人情報が完全に削除されたことを確認する。
【0027】
図2を参照しながら、本人確認装置200(後述する
図6の本人確認装置200Aと読み換えてもよい)の内部構成について詳しく説明する。本人確認装置200は、操作及び表示に関する機能を有しており、利用者(典型的には顧客)が自ら操作して本人確認を行う装置である。
図2に示すように、本人確認装置200は、制御部201、IO制御部202、電源部203、表示操作部210、オペレータ表示操作部211、表面撮影部212、裏面撮影部213、顔撮影部214、表面照明部215、裏面照明部216、非接触IC読取部217、音声出力部218、および音声入力部219を備える。なお、
図5の内部構造例では、本人確認装置200における操作及び表示に関する各部の配置構成が例示されている。
【0028】
制御部201は、USBやHDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)等の有線接続端子およびBluetooth等の無線接続端子を有し、本人確認制御部190にUSBまたはBluetoothで接続される。表示操作部210は、制御部201に接続され、案内表示を行う表示部と操作用にタッチパネル機能を有する操作部とを備える。表示操作部210は、操作部における案内画面の表示や音声出力部218から出される音声などの指示によって、操作部に対するタッチ操作をユーザ(顧客本人)に行わせる。表示操作部210は、プライバシーフィルムを搭載することにより、操作者以外から見え難くすることでセキュリティーの確保が可能である。また、表示操作部210が、空中タッチ操作ディスプレイである場合は、表示された案内画面に加えて空中に操作ボタンが表示され、画面などに直接手を触れることなく清潔に操作することが可能である。また、操作においては、音声入力部219のマイクへ操作に関する音声を入力することにより、音声認識による操作も可能であり、この場合、画面などに直接手を触れることなく清潔に操作することが可能となる。
【0029】
図2に示す本人確認装置200において、本人確認書類の真贋判定は、例えば次のようにして行われる。すなわち、表示操作部210の表示部(例えば画面)に案内(
図13参照)が表示される。顧客が、その案内に従い、本人確認書類の表面を撮影部側に向けて本人確認書類を置く。本人確認書類は、例えば運転免許証等のような書類が想定され、本人の写真付きの書類であってもよい。制御部201に接続された表面撮影部212が、複数の光源を照射可能なIO制御部202から制御された表面照明部215の照明と、複数の光源を照射可能なIO制御部202から制御された裏面照明部216の透過用光源の照明とで、本人確認書類の表面を撮影する。表面照明部215及び裏面照明部216は、それぞれ、複数の光源として可視光及び特殊光(例えば特殊塗料を発光させるための紫外線や、透かした画像を撮影するための透過光)の光源を搭載することができる。そして本人確認書類の表面の撮影では、表面撮影部212が上記した可視光及び特殊光を使用して複数種類の画像を撮影し、真贋判定では、これら複数種類の撮影画像をそれぞれ比較することにより、精度の高い真贋判定を行うことができる。また例えば、本人確認書類の表面の撮影では、表面撮影部212が、裏面照明部216の透過用光源を使用して透かしの撮影画像を撮影し、真贋判定において透かしの撮影画像を分析することによって、精度の高い真贋判定を行うようにしてもよい。裏面の撮影は、顧客が本人確認書類を裏返す操作をすることなく、本人確認書類を置いた状態のまま、制御部201に接続された裏面撮影部213が、複数の光源を照射可能な裏面照明部216の照明で撮影することができる。表面撮影部212及び裏面撮影部213は上記のように本人確認書類を撮影することにより、本人確認装置200における所定の載置場所で本人確認書類の表裏を顧客に入れ替させる作業を必要とせずに、本人確認書類の両面を撮影することができる。また、裏面照明部216には、撮影用の光源の他に、殺菌を目的とした紫外線光源(UV-C)が搭載されており、本人確認処理を行っている間に表面撮影部212の上面を殺菌することができる。本人確認書類に搭載された非接触IC情報の読み取りについても、表面の撮影で本人確認書類を置いた状態のまま、IO制御部202から制御された非接触IC読取部217によって読み取ることができる。なお、非接触IC情報の読み取りについては、本人確認書類により暗証番号の入力が必要な場合があるが、表示操作部210に表示されたソフトウェアキーによって暗証番号の入力が可能となっている。以上のように、本人確認書類の表裏面を撮影した画像、および、それらの画像から認識した文字情報や非接触IC情報によって、例えば制御部201が、本人確認書類の真贋判定及び判定に必要な情報(本人確認に必要な情報(例えば、撮影画像を含む))を取得することが可能となる。
【0030】
また、本人確認処理では、本人確認書類の真贋判定の他に、顔認証技術を利用して、顧客が本人確認書類の所有者本人であることを確認する。顔認証については、本人確認書類の真贋判定において撮影した書類の画像と、制御部201に接続された顔撮影部214で撮影した画像とを、本人確認制御部190(あるいは本人確認装置200)に搭載された顔認証アルゴリズムで認証することにより、本人確認書類の所有者本人であることを確認できる。
【0031】
またさらに、本実施形態では、本人確認処理において、生体認証を行うようにしてもよい。生体認証については、例えば、複数パターンの顔画像を顔撮影部214で撮影し、本人確認制御部190(あるいは本人確認装置200)に搭載された生体認証アルゴリズムで認証することにより、なりすましを防止することができる。
【0032】
なお、本人確認装置200と本人確認制御部190との接続は、
図2に例示した接続形態に限定されるものではなく、他の形態で接続されてもよい。例えば、
図2の接続に替えて、制御部201が本人確認制御部190にUSBで接続され、表示操作部210の表示部がHDMIで本人確認制御部190に接続され、表示操作部210の操作部がUSBで本人確認制御部190に接続され、オペレータ表示操作部211の表示部がHDMIで本人確認制御部190に接続され、オペレータ表示操作部211の操作部がUSBで本人確認制御部190に接続されるようにしてもよい。このように接続された場合、本人確認装置200に搭載された表示操作部210とオペレータ表示操作部211の表示部および操作部は、本人確認制御部190によって制御される。
【0033】
図3,
図4は、本人確認装置200の外観図の一例を示す図である。
図3は、本人確認装置200の前面外観図である。
図3には、直接的なタッチ操作ディスプレイが実装される場合の本人確認装置200が示されているが、前述したように本人確認装置200には空中タッチ操作ディスプレイが実装されてもよい。本人確認装置200が空中タッチ操作ディスプレイを備える場合は、フォログラフィ技術を使用して、操作ボタンが空中に投影され、画面に触れることなく操作することが可能となる。本人確認装置200は、表示操作部210に表示された案内画面や音声出力部218から出される音声などの指示に従い、ユーザ(顧客本人)が表面撮影部212または裏面撮影部213に対してモバイル端末180の画面を向けて2次元コードを読み取らせることにより、本人確認処理を開始する。本人確認書類を読み取らせる場合は、表面を下向きに置いて画像を撮影する。また、表示操作部210に表示された案内画面や音声出力部218から出される音声などの指示に従い、顔撮影部214でユーザの顔の画像を撮影することにより、所有者本人であること、なりすましされていないことを確認する。
図4は、本人確認装置200の背面外観図である。本人確認装置200の背面には、オペレータ表示操作部211を搭載することが可能で、撮影した画像や受け取った情報をオペレータが確認することができる。
【0034】
なお、本実施形態に係る本人確認装置の接続構成は、
図1の例に限定されるものではない。例えば、テレビ電話機能を有する本人確認装置(
図6の本人確認装置200A)を用いる場合には、本人確認装置200Aを店舗100から遠隔の場所に存在する遠隔センタとも接続することにより、顧客が、遠隔センタ内に設置した遠隔取引端末を操作するオペレータ(遠隔センタ側オペレータ)との間で、リモートによる本人確認を実現することができる。詳しくは、遠隔センタにテレビ電話機能付きの遠隔取引端末を設置し、ルータを経由してネットワーク170に接続可能とすることで、遠隔取引端末は、店舗100内のテレビ電話機能付きの取引窓口端末120や本人確認装置200と、テレビ電話によって通信可能となる。そして、本人確認装置200Aにおける本人確認において、オペレータと会話が必要な場合や目視によるリアルタイム顔画像確認が必要な場合には、本人確認装置200Aが、遠隔センタ内の遠隔取引端末や店舗100内の取引窓口端末120と、テレビ電話機能で接続することにより、オペレータと顧客がテレビ電話の画像で、対面による会話を行ったり、顔画像の確認を行ったりすることが可能となる。
【0035】
図6は、テレビ電話機能を有する本人確認装置200Aの外観図の一例を示す図である。本人確認装置200Aは、テレビ電話機能以外は本人確認装置200と共通する構造であると考えてよい。本人確認装置200Aは、遠隔センタの遠隔取引端末とのテレビ電話が可能である。具体的には、本人確認装置200Aが遠隔センタの遠隔取引端末とテレビ電話を行うときは、表示操作部210の表示部が、テレビ電話中の相手(例えば遠隔センタ側のオペレータ)の映像を表示する。また、自身(顧客)の映像は、顔撮影部214によって撮影されて、の遠隔取引端末の表示部に表示される。また、音声出力部218はスピーカの役割を果たし、音声入力部219はマイクの役割を果たす。以上のように、本実施形態では、本人確認装置200に代えて本人確認装置200Aを使用する場合、店舗100にいる顧客が、遠隔センタ側のオペレータとテレビ電話によってコミュニケーションをとることができる。
【0036】
図7は、本人確認処理の処理手順例を示すフローチャートであり、
図11~
図14は、本人確認処理においてモバイル端末180や本人確認装置200の表示操作部210に表示される画面の表示例である。本フロー図及び画面表示例を用いて、本人確認装置200を用いて実行される本人確認処理の流れを説明する。
【0037】
図7によればまず、制御部201が、本人確認が必要であるか判定する(S101)。本人確認が不要の場合は(S101のNO)、制御部201が、取引窓口端末120へ、確認完了通知および情報を転送する(S110)。本人確認が必要の場合は(S101のYES)、呼び出しを待機し(S102)、定期的に呼び出しの有無を判定する(S103)。待機後に呼び出しがあると(S103のYES)、制御部201が、制御部201にWiFi、USB、Bluetoothのいずれかで接続したモバイル端末180(例えば、スマートフォン、タブレット端末、または携帯電話)に、2次元コードおよび本人識別番号(No.)を表示させる(
図11,
図12参照)(S104)。
図11,
図12は、S104におけるモバイル端末180の画面表示例(その1,その2)を示す図である。
図11には、モバイル端末180がスマートフォンである場合の表示例が示され、
図12には、モバイル端末180がタブレット端末である場合の表示例が示されている。モバイル端末180において
図11,
図12のような表示が行われることにより、顧客は、表示された内容に従って、2次元コードの読み取りまたは本人識別番号(No.)の手入力を行う。そして、制御部201が、2次元コードを読み取るか、あるいは、本人識別番号(No.)の手入力を受け付ける(S105)ことで、本人確認を開始する。
【0038】
図7に示すように、S105を経て本人確認が開始されるとまず、真贋判定処理が行われる(S106)。
【0039】
図8は、真贋判定処理の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。
図8によれば、まず、制御部201が、本人確認書類の選択を顧客から受け付ける(S201)。次に、制御部201が、本人確認装置200の表示操作部210に、本人確認書類の配置を促す案内表示(
図13参照)を表示し、顧客が、その案内表示に従って、証明に使用する本人確認書類の表面を配置する(S202)。
図13は、S202における表示操作部210の画面表示例を示す図である。表示操作部210は、
図13のような案内表示を行うことにより、顧客に対して、本人確認装置200の所定の場所に本人確認書類を配置する操作の実行を促すことができる。次に、制御部201は、S202で配置された本人確認書類に認証用のICが搭載されているかを確認し(S203)、本人確認書類にICが搭載され、認証においてIC認証及び認証番号の入力が必要な場合には(S203のYES)、制御部201が、表示操作部210の案内に従った顧客による認証番号の入力を受け付ける(S204)。なお、本人確認書類にICが搭載されておらず、認証においてIC認証及び認証番号の入力が不要な場合には(S203のNO)、S204~S208をスキップしてS209に進む。S204の処理後、制御部201は、認証情報の入力可能な残回数に余裕があるかを確認する(S205)。入力残回数に余裕がない場合は(例えば、入力残回数が閾値未満の場合は)(S205のNO)、制御部201は、ICによる真贋判定及び情報の取得(S208)を行わず、S209に進む。入力残回数に余裕がある場合は(S205のYES)、制御部201が、IC認証及び情報取得を行う(S206)。次に、制御部201は、S206におけるIC認証の結果を確認し(S207)、認証結果がNGである場合は(S207のNO)、処理がS204に戻る。S206の認証結果がOKで完了すると(S207のYES)、制御部201は、真贋判定結果(IC認証の判定結果)と情報を取得し(S208)、その後、S209において、本人確認書類の表面及び裏面を撮影する。そして、制御部201は、S209で撮影した本人確認書類の表面画像について、媒体の種類や置き方などをチェックする(S210)。チェック結果が異常であった場合(S210のNG)、制御部201は、所定の案内を表示し(S211)、S202に戻る。チェック結果が正常であった場合(S210のOK)、制御部201は、画像による真贋判定(例えば、本人確認書類から得られた顔画像に、S209で撮影された顔画像が適合するか否かの判定を含んだ判定)を行う(S212)。真贋判定の判定結果が正常であった場合(S212のOK)、制御部201はS212の判定に用いられた情報の少なくとも一部を正常情報として取得し(S214)、真贋判定処理を終了する。一方、真贋判定の判定結果が異常であった場合(S212のNG)、制御部201はS212の判定に用いられた情報の少なくとも一部を異常情報として取得し(S213)、真贋判定処理を終了する。
【0040】
図7に示すように、真贋判定処理(S106)の後は、顔認識処理が行われる(S107)。
【0041】
図9は、顔認識処理の詳細な処理手順例を示すフローチャートである。
図9によれば、まず、制御部201が、顔画像の撮影を行い(S301)、撮影された顔画像を本人確認書類の顔画像と比較判定する(S302)。S302の判定結果が正常である場合(S302のOK)、制御部201は、S302の判定に用いた情報の少なくとも一部を正常情報として取得し(S303)、顔認識処理を終了する。一方、S302の判定の結果が異常である場合は(S302のNG)、制御部201は、予め定めたリトライの上限回数に達しているか(リトライオーバであるかを確認する(S304)。リトライオーバしていなければ(S304のNO)、S301,S302に戻って顔画像撮影及び比較判定を繰り返し、リトライオーバした場合は(S304のYES)、異常結果を表す異常情報を取得し(S305)、顔認識処理を終了する。
【0042】
図7に示すように、顔認識処理(S107)の後は、生体認識処理が行われる(S108)。
【0043】
図10は、生体認識処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図10によれば、まず、制御部201が、表示操作部210の画面に指示された動作の顔画像の撮影を顔撮影部214で行い(S401)、指示の動作と比較判定する(S402)。S402の判定結果が正常である場合(S402のOK)、制御部201は、S402の判定に用いた情報の少なくとも一部を正常情報として取得し(S403)、生体認識処理を終了する。一方、S402の判定結果が異常である場合は(S402のNG)、制御部201は、予め定めたリトライの上限回数に達しているか(リトライオーバであるかを確認する(S404)。リトライオーバしていなければ(S404のNO)、S401,S402に戻って指示の動作と比較判定を繰り返し、リトライオーバした場合は(S404のYES)、異常結果を表す異常情報を取得し(S405)、生体認識処理を終了する。
【0044】
図7に示すように、生体認識処理(S108)が終了すると、制御部201が、制御部201にWiFi、USB、およびBluetoothのいずれかで接続したモバイル端末180へ、これまでの処理で取得した情報及び画像を転送して、顧客本人による判定を行う(S109)。S109における判定結果は、顧客が判定結果に対応する入力をモバイル端末180に行うことにより、制御部201に通知される。そしてS109における顧客判定で問題があると判定された場合(S109のNG)、制御部201は、S104に戻って処理を繰り返す。一方、S109における顧客判定で問題がないと判定された場合は(S109のOK)、制御部201が、完了の通知を顧客から受け付け、本確認が完了したことと、本人確認に必要な情報や画像を取引窓口端末120へ転送する(S110)。そして、窓口担当者は、取引窓口端末120が受信した情報および画像を基に、本人確認処理における最終的な判定結果を決定する総合判定を行い(S111)、本人確認処理を終了する。なお、S110~S111において、制御部201は、S110で取引窓口端末120に転送したデータ(本人確認に必要な情報や画像)を、本人確認装置200背面のオペレータ表示操作部211にも表示(
図14参照)することが可能である。
図14は、オペレータ表示操作部211の画面表示例を示す図である。
図14に示すように、オペレータ表示操作部211においては、顧客が希望する取引の内容や本人確認書類の画像等が表示され、窓口担当者は、これらの表示内容を確認し、問題がなければ「次へ」をタッチすることによって、S111の総合判定を行ってもよい。
【0045】
図15,
図16は、本人確認装置200による2次元コードの読み取りのイメージ例(その1,その2)を示す図である。
図15ではモバイル端末180がスマートフォンである場合を例として、
図16ではモバイル端末180がタブレット端末である場合を例として、モバイル端末180が表示した2次元コードを本人確認装置200の裏面撮影部213または表面撮影部212で読み取らせる際のモバイル端末180の配置イメージが示されている。
図15,
図16に示すように、本実施形態では、モバイル端末180であるスマートフォンやタブレット端末(携帯電話などでもよい)に表示されている2次元コードを読み取る方法の一例として、裏面撮影部213の場合はモバイル端末180の画面を上に向けて配置し、表面撮影部212の場合はモバイル端末180の画面を下に向けて配置する方法が採用されている。
【0046】
図17,
図18は、本人確認装置200の外観図の別例(第1例,第2例)を示す図である。なお、
図17や
図18に示した本人確認装置200B,200Cは、外観は異なるものの、内部構造は、
図3に例示した本人確認装置200(あるいは200A)と同様であると考えてよい。前述した
図3に示した本人確認装置200は、右側面が開放された外観形状とすることにより、タブレット端末のように外観形状の大きいモバイル端末180であっても、開放された空間も利用してモバイル端末180を置きやすく、モバイル端末180の画面に表示された2次元コードの読み取りを容易にしていた。これに対し、
図17に示した本人確認装置200Bの外観形状は、本人確認書類の設置台入口が円形状になっている。また、
図18に示した本人確認装置200Cの外観形状は、表示操作部210背面が薄い形状になっている。さらに、本人確認装置200B,200Cは何れも、設置台の奥側(背面側)に貫通するように穴が形成されている。本人確認装置200B,200Cは、このような外観形状を有することにより、対象物(本人確認書類やモバイル端末180)を設置台に載置するときに、設置台の入口付近で十分な空間が確保されるとともに、入口から奥行方向に制限がない(背面側に貫通するように対象物を載置可能である)ため、一方向にサイズが大きな対象物であっても、余裕をもって好適な位置に対象物を載置することが可能となる。
【0047】
上述したように本実施形態に係る本人確認装置は、様々な外観形状を採用可能であるが、これらの本人確認装置200(200A~200C)は、対象物(例えば、本人確認書類、およびモバイル端末180)の読み取り対象(例えば、本人確認書類の表面および裏面の少なくとも一方、またはモバイル端末180が表示する2次元コード)を読み取るための対象物位置を、下記のいずれかの条件を満たすように形成することにより、タブレット端末の画面などの大きな読み取り対象にも対応可能とすることができる。
・本人確認装置の両側面のうちの少なくとも一側面の一部が、開放されており、開放された部分から対象物位置までが連続した空間となっている。
・本人確認装置の表面(例えば、正面、背面、上面、右側面および左側面)の少なくとも一部が、対象物位置への入口として開放されており、入口の正面視での高さおよび幅が、対象物の高さ(厚さ)および幅以上である。
【0048】
本発明は、上述したような本人確認装置を用いることにより、本人確認書類を用いた本人確認において、非接触ICからの情報取得、券面画像による真贋判定、容貌の画像を用いた顔認証技術を用いた顧客自身による本人確認などの他、各店舗内の取引を含む処理をモバイル端末に表示された2次元コードまたは特定番号により引継ぐことで、店舗内の業務の効率化が可能である。そして、上記本人確認装置によれば、本人確認において情報または画像を取得する対象物のサイズが大きい場合にも対応可能であり、且つ、顧客本人によるセルフ操作が可能である。
【0049】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。例えば、USB、BluetoothおよびWiFiは、それぞれ通信方式の一例であり、これらのうちの少なくとも一つに代えて他種の通信方式が利用されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 ・・・店舗
110 ・・・受付端末
120 ・・・取引窓口端末
130 ・・・自動取引装置
140 ・・・ルータ
160 ・・・サーバ
170 ・・・ネットワーク
180 ・・・モバイル端末
190 ・・・本人確認制御部
200(200A~200C) ・・・本人確認装置
201 ・・・制御部
202 ・・・IO制御部
203 ・・・電源部
211 ・・・表示操作部
212 ・・・表面撮影部
213 ・・・裏面撮影部
214 ・・・顔撮影部
215 ・・・表面照明部
216 ・・・裏面照明部
217 ・・・非接触IC読取部
218 ・・・音声出力部
219 ・・・音声入力部