(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】減速機構
(51)【国際特許分類】
F16H 1/08 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
F16H1/08
(21)【出願番号】P 2021151262
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】時崎 哲平
(72)【発明者】
【氏名】小林 幹明
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190614(JP,A)
【文献】特表2021-502045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/08
F16H 55/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ギヤおよび第2ギヤを備えた減速機構であって、
前記第1ギヤは、
前記第1ギヤの軸方向と交差する方向の断面が円形に形成された本体部と、
前記本体部の周囲に設けられ、前記第1ギヤの軸方向に螺旋状に延び、かつ前記第1ギヤの軸方向と交差する方向の断面が三日月形に形成された1つの螺旋状歯と、
を有し、
前記第2ギヤは、前記螺旋状歯が噛み合わされる複数の斜歯を有し、
前記斜歯は、
当該斜歯の先端側に設けられる歯先部と、
前記斜歯の基端側に設けられる歯底部と、
前記歯先部と前記歯底部との間に設けられ、前記螺旋状歯が噛み合わされる噛合部と、
を備え、
前記第2ギヤの軸方向視において、
前記噛合部の形状が、前記斜歯の歯厚方向に窪んだインボリュート曲線の形状に形成されていることを特徴とする、
減速機構。
【請求項2】
前記歯底部が、前記第2ギヤの回転方向に直線状に延びていることを特徴とする、
請求項1に記載の減速機構。
【請求項3】
請求項2に記載の減速機構において、
前記噛合部と前記歯底部との間に、前記噛合部と前記歯底部とを滑らかに繋ぐ円弧状接続部が設けられていることを特徴とする、
減速機構。
【請求項4】
前記螺旋状歯と前記斜歯との圧力角が、10degから33degとなっていることを特徴とする、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の減速機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されるワイパ装置やパワーウィンドウ装置等の駆動源には、小型でありながら大きな出力が得られるようにするために、減速機構が設けられている。このような車載用の駆動源に用いられる減速機構が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された減速機構は、1つの螺旋状歯を有するピニオンギヤ(第1ギヤ)と複数の斜歯を有するヘリカルギヤ(第2ギヤ)とを備えており、1つの螺旋状歯を複数の斜歯に噛み合わせることで、ピニオンギヤの高速回転がヘリカルギヤの低速回転となる。これにより、小型軽量化を図りつつ、減速比をより大きくすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載された技術では、断面が円形に形成された螺旋状歯と、ヘリカルギヤの斜歯との噛み合わせに起因した問題点、すなわち、第1ギヤと第2ギヤとの芯間ピッチが寸法誤差等によりずれることで生じる圧力角の大きな変化(動力伝達効率の大きなばらつき)を抑えるべく、斜歯の形状を様々な形状に工夫している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、実際に製品化するには未だ動力伝達効率のばらつき(圧力角の変動)が大きく、量産に耐えられるように螺旋状歯と斜歯との動力伝達効率をさらに向上させる必要が生じていた。
【0007】
本発明の目的は、第1ギヤと第2ギヤとの芯間ピッチがばらついても、圧力角を小さい値側で安定させることができ、ひいては製品毎に動力伝達効率をばらつくことなく向上させることが可能な減速機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、第1ギヤおよび第2ギヤを備えた減速機構であって、前記第1ギヤは、前記第1ギヤの軸方向と交差する方向の断面が円形に形成された本体部と、前記本体部の周囲に設けられ、前記第1ギヤの軸方向に螺旋状に延び、かつ前記第1ギヤの軸方向と交差する方向の断面が三日月形に形成された1つの螺旋状歯と、を有し、前記第2ギヤは、前記螺旋状歯が噛み合わされる複数の斜歯を有し、前記斜歯は、当該斜歯の先端側に設けられる歯先部と、前記斜歯の基端側に設けられる歯底部と、前記歯先部と前記歯底部との間に設けられ、前記螺旋状歯が噛み合わされる噛合部と、を備え、前記第2ギヤの軸方向視において、前記噛合部の形状が、前記斜歯の歯厚方向に窪んだインボリュート曲線の形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、斜歯を形成する歯先部と歯底部との間に、螺旋状歯が噛み合わされる噛合部が設けられ、第2ギヤの軸方向視において、噛合部の形状が、斜歯の歯厚方向に窪んだインボリュート曲線の形状に形成されている。
【0011】
これにより、第1ギヤと第2ギヤとの芯間ピッチがばらついても、圧力角を小さい値側で安定させることができ、ひいては製品毎に動力伝達効率をばらつくことなく向上させることが可能となる。よって、量産に耐えられる減速機構を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】減速機構付モータをコネクタ接続部側から見た斜視図である。
【
図2】減速機構付モータを出力軸側から見た斜視図である。
【
図3】減速機構付モータの内部構造を説明する斜視図である。
【
図4】減速機構の噛み合い部分を拡大した斜視図である。
【
図6】ヘリカルギヤの斜歯の形状を説明する断面図である。
【
図7】インボリュート曲線を説明する模式図である。
【
図8】芯間ピッチのずれ量と圧力角の変化(本発明)を説明する図である。
【
図9】芯間ピッチのずれ量と圧力角の変化(比較例)を説明する図である。
【
図10】本発明および比較例の圧力角の変化を比較したグラフである。
【
図11】動力伝達効率と圧力角との関係を示すグラフである。
【
図12】実施の形態2を示す
図6に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は減速機構付モータをコネクタ接続部側から見た斜視図を、
図2は減速機構付モータを出力軸側から見た斜視図を、
図3は減速機構付モータの内部構造を説明する斜視図を、
図4は減速機構の噛み合い部分を拡大した斜視図を、
図5は
図4のA-A線に沿う断面図を、
図6はヘリカルギヤの斜歯の形状を説明する断面図を、
図7はインボリュート曲線を説明する模式図を、
図8は芯間ピッチのずれ量と圧力角の変化(本発明)を説明する図を、
図9は芯間ピッチのずれ量と圧力角の変化(比較例)を説明する図を、
図10は本発明および比較例の圧力角の変化を比較したグラフを、
図11は動力伝達効率と圧力角との関係を示すグラフをそれぞれ示している。
【0015】
図1および
図2に示される減速機構付モータ10は、例えば、自動車等の車両に搭載されるワイパ装置(図示せず)の駆動源に用いられる。具体的には、減速機構付モータ10は、フロントガラス(図示せず)の前方側に配置され、かつフロントガラス上に揺動自在に設けられたワイパ部材(図示せず)を、所定の払拭範囲(下反転位置と上反転位置との間)で揺動させる。
【0016】
減速機構付モータ10は、その外郭を形成するハウジング11を備えている。ハウジング11の内部には、
図3に示されるように、ブラシレスモータ20および減速機構30が回転自在に収容されている。ここで、ハウジング11は、アルミ製のケーシング12およびプラスチック製のカバー部材13から形成される。
【0017】
図1および
図2に示されるように、ケーシング12は、溶融されたアルミ材料を射出成形することで、略お椀形に形成されている。具体的には、ケーシング12は、底壁部12aと、その周囲に一体に設けられた側壁部12bと、ケーシング12の開口側(
図1および
図2の左側)に設けられたケースフランジ12cと、を備えている。
【0018】
底壁部12aの略中央部分には、出力軸34を回転自在に保持する筒状のボス部12dが一体に設けられている。ボス部12dの径方向内側には、所謂メタルと呼ばれる筒状の軸受部材(図示せず)が装着されており、これにより出力軸34は、ボス部12dに対してがたつくこと無くスムーズに回転可能となっている。
【0019】
また、ボス部12dの径方向外側には、ボス部12dを中心に放射状に延びる複数の補強リブ12eが一体に設けられている。これらの補強リブ12eは、ボス部12dと底壁部12aとの間に配置され、外観が略三角形となっている。補強リブ12eは、ボス部12dの底壁部12aに対する固定強度を高めるものであり、ボス部12dが底壁部12aに対して傾斜する等の不具合の発生を防止する。
【0020】
さらに、底壁部12aのボス部12dから偏心した位置には、軸受部材収容部12fが一体に設けられている。軸受部材収容部12fは有底筒状に形成され、ボス部12dの突出方向と同じ方向に突出されている。そして、軸受部材収容部12fの内部には、
図3に示されるように、ピニオンギヤ31の先端側を回転自在に支持するボールベアリング33が収容される。
【0021】
なお、
図2に示されるように、ボス部12dと出力軸34との間には、止め輪12gが設けられている。これにより、出力軸34がボス部12dの軸方向にがたつくことが防止される。よって、減速機構付モータ10の静粛性が確保される。
【0022】
ハウジング11を形成するカバー部材13は、溶融されたプラスチック材料を射出成形することで、略平板状に形成されている。具体的には、カバー部材13は、本体部13aと、その周囲に一体に設けられたカバーフランジ13bと、を備えている。そして、カバーフランジ13bは、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して、ケースフランジ12cに突き当てられている。これにより、ハウジング11内への雨水等の進入が防止される。
【0023】
また、カバー部材13の本体部13aには、ブラシレスモータ20(
図3参照)を収容するモータ収容部13cが一体に設けられている。モータ収容部13cは有底筒状に形成され、ケーシング12側とは反対側に突出されている。モータ収容部13cは、カバー部材13をケーシング12に装着した状態で、ケーシング12の軸受部材収容部12fと対向する。そして、モータ収容部13cの内側には、ブラシレスモータ20のステータ21(
図3参照)が固定される。
【0024】
さらに、カバー部材13の本体部13aには、車両側の外部コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部13dが一体に設けられている。コネクタ接続部13dの内側には、ブラシレスモータ20に駆動電流を供給する複数のターミナル部材13e(
図1では1つのみ示す)の一端側が露出されている。これらのターミナル部材13eを介して、外部コネクタからブラシレスモータ20に駆動電流が供給される。
【0025】
なお、複数のターミナル部材13eの他端側とブラシレスモータ20との間には、ブラシレスモータ20の回転状態(回転数や回転方向等)を制御する制御基板(図示せず)が設けられている。これにより、出力軸34の先端側に固定されたワイパ部材が、フロントガラス上の所定の払拭範囲で揺動される。なお、制御基板は、カバー部材13における本体部13aの内側に固定されている。
【0026】
図3に示されるように、ハウジング11の内部に収容されるブラシレスモータ20は、環状のステータ(固定子)21を備えている。ステータ21は、カバー部材13におけるモータ収容部13c(
図1参照)の内部に、回り止めされた状態で固定される。
【0027】
ステータ21は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成され、その径方向内側には複数のティース(図示せず)が設けられている。これらのティースには、U相,V相,W相のコイル21aが、それぞれ集中巻き等により複数回巻装されている。これにより、それぞれのコイル21aに所定のタイミングで交互に駆動電流を供給することで、ステータ21の径方向内側に設けられたロータ22が、所定の回転方向に所定の駆動トルクで回転される。
【0028】
ステータ21の径方向内側には、微小隙間(エアギャップ)を介してロータ(回転子)22が回転自在に設けられている。ロータ22は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して略円柱状に形成されたロータ本体22aを備えており、その外周部分には、筒状の永久磁石22bが設けられている。ここで、永久磁石22bは、その周方向にN極およびS極が交互に並ぶように着磁されている。そして、永久磁石22bはロータ本体22aに対して、接着剤等により固定されている。
【0029】
このように、本実施の形態に係るブラシレスモータ20は、ロータ本体22aの表面に永久磁石22bを固定したSPM(Surface Permanent Magnet)構造のブラシレスモータとなっている。ただし、SPM構造のブラシレスモータに限らず、ロータ本体22aに複数の永久磁石を埋め込んだIPM(Interior Permanent Magnet)構造のブラシレスモータを採用することもできる。
【0030】
また、筒状に形成された1つの永久磁石22bに換えて、ロータ本体22aの軸線と交差する方向に沿う形状が略円弧状となった複数の永久磁石を、ロータ本体22aの周方向に磁極が交互に並ぶよう等間隔で配置したものでも良い。さらには、永久磁石22bの極数は、ブラシレスモータ20の仕様に応じて、2極あるいは4極以上等、任意に設定することができる。
【0031】
図3に示されるように、ハウジング11の内部に収容される減速機構30は、略棒状に形成されたピニオンギヤ(第1ギヤ)31と、略円盤状に形成されたヘリカルギヤ(第2ギヤ)32とを備えている。
【0032】
ここで、ピニオンギヤ31の軸線およびヘリカルギヤ32の軸線は互いに平行となっている。これにより、減速機構30では、互いの軸線が交差するウォームおよびウォームホイールを備えたウォーム減速機よりも、その体格をよりコンパクトにすることが可能である。
【0033】
また、ピニオンギヤ31は、減速機構付モータ10の入力側(駆動源側)に配置され、ヘリカルギヤ32は、減速機構付モータ10の出力側(駆動対象物側)に配置されている。つまり、減速機構30は、歯数が少ないピニオンギヤ31の高速回転を、歯数が多いヘリカルギヤ32の低速回転に減速する。
【0034】
ここで、ピニオンギヤ31の基端側は、ロータ本体22aの回転中心に圧入等により固定されており、ピニオンギヤ31はロータ本体22aと一体回転する。つまり、ピニオンギヤ31は、減速機構付モータ10の駆動軸としての機能を備えている。
【0035】
また、ピニオンギヤ31の先端側は、ボールベアリング33により回転自在に支持されている。さらには、ヘリカルギヤ32の回転中心には、出力軸34の基端側が圧入等により固定されており、出力軸34はヘリカルギヤ32と一体回転する。
【0036】
減速機構30を形成するピニオンギヤ31は金属製であり、
図3ないし
図5および
図8に示されるような形状となっている。具体的には、ピニオンギヤ31は、その軸方向両側に、略円柱状に形成された固定部31aが設けられている。そして、軸方向基端側の固定部31aがロータ本体22aに固定され、軸方向先端側の固定部31aがボールベアリング33に回転自在に支持されている。すなわち、ピニオンギヤ31(固定部31a)の回転中心C1は、ロータ本体22aおよびボールベアリング33の回転中心に一致している。
【0037】
図5に示されるように、ピニオンギヤ31は、回転中心C1を中心としたピニオン本体31bを備えている。ピニオン本体31bは、ピニオンギヤ31の芯の部分を形成しており、本発明における本体部に相当する。ピニオン本体31bは、ピニオンギヤ31の軸方向と交差する方向の断面が円形に形成されており、固定部31aよりも小径の略円柱状に形成されている。具体的には、ピニオン本体31bの半径R1は、固定部31aの半径R2の略半分となっている(R1≒R2/2)。
【0038】
また、ピニオン本体31bの径方向外側には、ヘリカルギヤ32に噛み合わされる螺旋状歯31cが一体に設けられている。螺旋状歯31cは、ピニオンギヤ31の軸方向に螺旋状に延び、かつピニオンギヤ31の軸方向と交差する方向の断面が三日月形に形成されている(
図5の網掛部分参照)。言い換えれば、
図5に示されるように、ピニオンギヤ31から断面が円形のピニオン本体31bを除いた部分が、三日月形の螺旋状歯31cとなっている。
【0039】
ここで、螺旋状歯31cは、ピニオン本体31bの軸方向に螺旋状に連続して延びており、ピニオンギヤ31には、1つの螺旋状歯31cのみが設けられている。つまり、ピニオンギヤ31の歯数は「1」となっている。ここで、螺旋状歯31cの半径R3は、固定部31aの半径R2よりも小さく、かつピニオン本体31bの半径R1よりも大きくなっている(R1<R3<R2)。
【0040】
そして、螺旋状歯31cの中心C2は、ピニオンギヤ31(ピニオン本体31b)の回転中心C1に対して、所定距離Lの分だけ偏心(オフセット)されている。これにより、螺旋状歯31cの中心C2は、ピニオンギヤ31の回転に伴い、軌跡OCを辿る。すなわち、螺旋状歯31cの中心C2の軌跡OCは、螺旋状歯31cの基準円を形成している。
【0041】
さらに、
図5に示されるように、ピニオンギヤ31の回転中心C1から螺旋状歯31cの中心C2に向けて(図中下方に向けて)補助線ALを引き、当該補助線ALをさらに螺旋状歯31cの表面まで延ばすと、補助線ALと螺旋状歯31cの表面とが交差する。この交差点が、螺旋状歯31cの頂点BPとなる。これにより、頂点BPを含む螺旋状歯31cの一部が、ヘリカルギヤ32の隣り合う斜歯32cの間に入り込んで噛み合わされる。
【0042】
このように、1つの螺旋状歯31cが、ピニオン本体31bの軸方向に螺旋状に連続して延びているため、ピニオン本体31bの軸方向における螺旋状歯31cの頂点BPの近傍が、次々と連続して斜歯32cの間に入り込んで噛み合わされていき、ひいては減速された状態でヘリカルギヤ32が回転される。なお、
図5では、螺旋状歯31cと斜歯32cとが互いに噛み合わされた状態を示している。
【0043】
減速機構30を形成するヘリカルギヤ32はプラスチック製であって、
図3ないし
図8に示されるような形状となっている。具体的には、ヘリカルギヤ32は、略円盤状に形成されたギヤ本体32aを備えており、当該ギヤ本体32aの中心部分に、出力軸34の基端側が圧入等により固定されている。また、ギヤ本体32aの径方向外側には、出力軸34の軸方向に延びる筒状部32bが一体に設けられている。
【0044】
筒状部32bの径方向外側には、筒状部32bの周方向に並ぶようにして、螺旋状歯31cが噛み合わされる複数の斜歯32cが一体に設けられている。これらの斜歯32cは、ピニオンギヤ31の軸方向に対して所定角度で傾斜しており、これにより、螺旋状歯31cの回転に伴って、ヘリカルギヤ32は回転される。
【0045】
ここで、ヘリカルギヤ32に設けられる斜歯32cの数は「40」となっている。すなわち、本実施の形態では、ピニオンギヤ31およびヘリカルギヤ32からなる減速機構30の減速比は「40」となっている。
【0046】
図5および
図6に示されるように、斜歯32cは、当該斜歯32cの先端側(図中上側)に設けられる歯先部32c1と、斜歯32cの基端側(図中下側)に設けられる歯底部32c2と、歯先部32c1と歯底部32c2との間に設けられ、ピニオンギヤ31の螺旋状歯31cが噛み合わされる噛合部32c3と、を備えている。具体的には、
図6に示されるように、1つの斜歯32cに対して、1つの歯先部32c1と、当該歯先部32c1の両側に配置される一対の歯底部32c2および一対の噛合部32c3と、が設けられている。なお、
図6では、これらの歯先部32c1,歯底部32c2および噛合部32c3の境界部分に、境界線BL(一点鎖線)を施している。
【0047】
図6に示されるように、歯先部32c1を形成する外形線L1(図中破線)は、ヘリカルギヤ32の歯先円の一部を形成しており、ヘリカルギヤ32の周方向に略真っ直ぐに延びている。また、歯底部32c2を形成する外形線L2(図中一点鎖線)は、半径R4の円弧により形成されている。ここで、歯底部32c2の外形線L2の半径R4は、螺旋状歯31cの半径R3よりも若干大きい寸法となっている(R4>R3)。これにより、螺旋状歯31cは斜歯32cに確りと噛み合うことができ、かつバックラッシ(遊び)β(
図8参照)が小さくて済む。
【0048】
また、噛合部32c3を形成する外形線L3(図中実線)の形状、つまりヘリカルギヤ32の軸方向視における噛合部32c3の形状は、斜歯32cの歯厚方向(図中左右方向)に窪んだインボリュート曲線の形状に形成されている。具体的には、長さが徐々に長くなるとともに、半径が徐々に大きくなる円弧a1,a2,a3,a4,a5を繋いだ曲線の形状に形成されている。
【0049】
なお、「インボリュート曲線」とは、
図7に示される曲線のことであり、円筒に糸を巻きつけて弛みなく引きほどいたときに、糸の先端が描く曲線を指す。
図7においては、円筒CCを、中心Ctを中心に30度間隔で12等分して、糸(法線)の先端を破線円1ないし12で示している。そして、
図7に示されるインボリュート曲線を形成する円弧a1(破線円6-7間の円弧),a2(破線円7-8間の円弧),a3(破線円8-9間の円弧),a4(破線円9-10間の円弧),a5(破線円10-11間の円弧)は、それぞれ
図6の円弧a1ないしa5に相当する。
【0050】
すなわち、
図6に示されるように、噛合部32c3を形成する外形線L3の最も長さが短くかつ半径が小さい円弧a1側が、歯先部32c1を形成する外形線L1に接続されている。これに対し、噛合部32c3を形成する外形線L3の最も長さが長くかつ半径が大きい円弧a5側が、歯底部32c2を形成する外形線L2に接続されている。なお、外形線L1ないしL3は、角部が形成されないように互いに滑らかに接続されている。
【0051】
このように、螺旋状歯31cが噛み合わされる斜歯32cの噛合部32c3の形状(外形線L3の形状)を、インボリュート曲線の形状とすることで、螺旋状歯31cと斜歯32cの噛み合い状態を、インボリュート歯車と同等にしている。これにより、ピニオンギヤ31の回転中心C1とヘリカルギヤ32の回転中心C3(
図3参照)との離間距離に誤差が生じた場合でも、螺旋状歯31cと斜歯32cとの噛み合いの始まりから終わりまでにおいて圧力角α(
図8参照)を略一定にでき、ひいては動力伝達効率の低下を抑制することが可能となっている。よって、プラスチック製の斜歯32cの摩耗等の不具合の発生も効果的に抑えられる。
【0052】
ここで、ピニオンギヤ31の回転中心C1とヘリカルギヤ32の回転中心C3(
図3参照)との離間距離の誤差の有無に関わらず、
図5に示されるように、螺旋状歯31cと斜歯32cとの噛み合い状態において、螺旋状歯31cの頂点BPの部分と、斜歯32cの歯底部32c2との間には、所定の隙間Sが形成される。隙間Sには、減速機構30の動作をスムーズにする潤滑油G(
図5のみに示す)が収容されている。つまり、隙間Sは、潤滑油Gを保持する潤滑油保持部として機能する。また、
図5および
図8において、噛合部32c3上の黒点は、螺旋状歯31cと斜歯32cとの噛合点EPを示している。
【0053】
次に、以上のように形成された減速機構30において、ピニオンギヤ31の回転中心C1とヘリカルギヤ32の回転中心C3(
図3参照)との離間距離がばらついた場合における、噛合点EPの変位に伴う圧力角αおよびバックラッシβの変化について、図面を用いて詳細に説明する。
【0054】
なお、ピニオンギヤ31の回転中心C1とヘリカルギヤ32の回転中心C3(
図3参照)との離間距離を「芯間ピッチ」とし、当該芯間ピッチの基準値(≒設計値)を「±0」としたときに、芯間ピッチが広くなる方向へのずれを「+方向」のずれとし、芯間ピッチが狭くなる方向へのずれを「-方向」のずれとして説明する。
【0055】
また、
図9は比較例を示しており、ピニオンギヤ31は本発明と同じものを採用し、ヘリカルギヤ100については、斜歯101を形成する歯底部および噛合部が、いずれも同じ半径Rの円弧状に形成されたものを採用している。つまり、ヘリカルギヤ100は、本発明のようなインボリュート曲線の形状の噛合部を備えず、単純な円弧状の噛合部を備えたものとなっている。なお、半径Rは、螺旋状歯31cの半径R3よりも若干大きくなっている(R>R3)。
【0056】
[芯間ピッチが±0(ずれ無)の場合]
芯間ピッチのずれ量が0mmの場合には、
図8の中段に示されるように、本発明における噛合点EPは、噛合部32c3の歯先部32c1寄りの部分に配置される。これに対し、
図9の中段に示されるように、比較例における噛合点EPにおいても、斜歯101の歯先寄りの部分に配置される。
【0057】
ここで、
図5,
図8および
図9では、噛合点EPがピニオンギヤ31の図中左側に配置されているが、これは、
図5,
図8および
図9が、それぞれピニオンギヤ31が時計回り方向に回転し、ヘリカルギヤ32が反時計回り方向に回転する場合を示しているからである。言い換えれば、ピニオンギヤ31が反時計回り方向に回転し、ヘリカルギヤ32が時計回り方向に回転する場合には、噛合点EPはピニオンギヤ31の図中右側に配置される。
【0058】
図8および
図9の中段において、圧力角αにおいては、
図10に示されるように、本発明(実線)および比較例(破線)のいずれにおいても、約30degの値を示した(α≒30deg)。これに対し、バックラッシβにおいては、
図8および
図9に示されるように、本発明の方が比較例よりも小さい値を示した。このような圧力角αが約30degの場合には、
図11に示されるように動力伝達効率は85%以上(約86.5%)を示し、本発明および比較例のいずれにおいても、十分に使用に耐え得る高効率な減速機構を実現可能であることが判った。
【0059】
[芯間ピッチが-方向(ずれ有)の場合]
芯間ピッチのずれが-(マイナス)方向で、具体的には-0.05mmの場合には、
図8の下段に示されるように、本発明における噛合点EPは、噛合部32c3の略中央部(
図6の円弧a4の部分)に配置される。これに対し、
図9の下段に示されるように、比較例における噛合点EPは、大きく変位して歯底部の最も深い部分寄りに配置される。
【0060】
図8および
図9の下段において、圧力角αにおいては、
図10に示されるように、本発明(実線)においては約29degの値を示した(α≒29deg)。一方、比較例(破線)においては約40degの値を示した(α≒40deg)。また、バックラッシβにおいては、
図8および
図9に示されるように、本発明の方が比較例よりも小さい値を示した。さらに、
図11に示されるように、本発明(α≒29deg)においては、動力伝達効率は85%以上(約87%)の十分な値を示し、比較例(α≒40deg)においては、動力伝達効率が80%を下回り(約76%)、動力伝達効率が不十分となることが判った。
【0061】
[芯間ピッチが+方向(ずれ有)の場合]
芯間ピッチのずれが+(プラス)方向で、具体的には+0.11mmの場合には、
図8の上段に示されるように、本発明における噛合点EPは、芯間ピッチのずれ量が0mmの場合よりも、噛合部32c3のさらに歯先部32c1寄りの部分に配置される。これに対し、
図9の上段に示されるように、比較例における噛合点EPにおいても、斜歯101のさらに歯先寄りの部分に配置される。
【0062】
図8および
図9の上段において、圧力角αにおいては、
図10に示されるように、本発明(実線)においては約31degの値を示した(α≒31deg)。一方、比較例(破線)においては約24degの値を示した(α≒24deg)。また、バックラッシβにおいては、
図8および
図9に示されるように、本発明の方が比較例よりも少しだけ小さい値を示した。さらに、
図11に示されるように、本発明(α≒31deg)においては、動力伝達効率は約85%の十分な値を示し、比較例(α≒24deg)においては、動力伝達効率が90%を超える十分な値(約91%)を示すことが判った。
【0063】
このように、ピニオンギヤ31とヘリカルギヤ32との芯間ピッチが、製造誤差等でばらついた場合において、圧力角αについては、比較例では約24degから40degの間で大きくばらつき、本発明では約29degから31degの間で安定する(ばらつかない)ことが判った(
図10参照)。さらには、本発明の減速機構30では、比較例の減速機構に比して、バックラッシ(遊び)βにおいても、小さい値側で変化することが判った(
図8および
図9参照)。
【0064】
ここで、十分に使用に耐え得る動力伝達効率は、減速機構30を駆動するブラシレスモータ20の仕様(ワイパ装置の駆動源用として必要な出力等)に合わせて、80%以上とするのが望ましい。ただし、単に動力伝達効率を大きくすべく斜歯の歯たけを大きくして圧力角を小さくすると、今度は減速機構30の作動時においてピニオンギヤ31のピニオン本体31bがヘリカルギヤ32の斜歯32cに干渉してしまう。つまり、ピニオンギヤ31とヘリカルギヤ32との噛み合いが成り立たなくなる。そこで、ピニオンギヤ31とヘリカルギヤ32との噛み合いを成立させる圧力角αを調査したところ、10deg以上とするのが望ましいことが判った。
【0065】
言い換えれば、ピニオンギヤ31とヘリカルギヤ32との噛み合いを成立させ、かつ両者の動力伝達効率を80%以上とすることが、減速機構30を形成する上での必要条件となる。これを纏めると、
図11に示されるように、螺旋状歯31cと斜歯32cとの圧力角αが10degから33degとなる基準領域AR1(網掛部分参照)の範囲に入るように、減速機構30を形成すれば良いことが判った。
【0066】
なお、本実施の形態における減速機構30は、上述のように圧力角αの変動範囲が約29degから31degとなっており、基準領域AR1(圧力角α=10degから33deg)の範囲に入っていることが判る。なお、圧力角が33degを超えるNG領域AR2では、十分な動力伝達効率が得られず、圧力角が10degを下回るNG領域AR3では、ピニオンギヤ31とヘリカルギヤ32との噛み合いを成立させるのが難しくなる。
【0067】
以上詳述したように、実施の形態1では、斜歯32cを形成する歯先部32c1と歯底部32c2との間に、螺旋状歯31cが噛み合わされる噛合部32c3が設けられ、ヘリカルギヤ32の軸方向視において、噛合部32c3の形状が、斜歯32cの歯厚方向に窪んだインボリュート曲線の形状に形成されている。
【0068】
これにより、ピニオンギヤ31とヘリカルギヤ32との芯間ピッチがばらついても、圧力角αを小さい値側で安定させることができ、ひいては製品毎に動力伝達効率をばらつくことなく向上させることが可能となる。よって、量産に耐えられる減速機構30を実現することができる。
【0069】
また、実施の形態1では、螺旋状歯31cと斜歯32cとの圧力角αが、10degから33degとなっているので、1つの螺旋状歯31cを有し、かつ複数の斜歯32cを有する減速機構30において、螺旋状歯31c(ピニオンギヤ31)と斜歯32c(ヘリカルギヤ32)との噛み合いを成立させ、かつ両者の動力伝達効率を80%以上とすることができる。よって、ワイパ装置の駆動源として好適に用いることが可能となる。
【0070】
さらに、実施の形態1では、製品毎に動力伝達効率がばらつくことを抑えて、ひいては不良品の発生を抑制できるので、製造に関わるエネルギーの省力化を図ることが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)において、特に目標7(手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る)に貢献することができる。
【0071】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
図12は実施の形態2を示す
図6に対応した図を示している。
【0073】
図12に示されるように、実施の形態2の減速機構40では、実施の形態1に比して、ヘリカルギヤ32の斜歯32cの形状のみが異なっている。具体的には、斜歯32cは、当該斜歯32cの先端側(図中上側)に設けられる歯先部32c1と、斜歯32cの基端側(図中下側)に設けられる歯底部41と、を備えている。また、斜歯32cは、歯先部32c1と歯底部41との間のうちの歯先部32c1寄りに設けられ、ピニオンギヤ31の螺旋状歯31cが噛み合わされる噛合部42と、歯先部32c1と歯底部41との間のうちの歯底部41寄りに設けられ、歯底部41と噛合部42とを滑らかに繋ぐ円弧状接続部43と、を備えている。
【0074】
より具体的には、
図12に示されるように、1つの斜歯32cに対して、1つの歯先部32c1と、当該歯先部32c1の両側に配置される一対の歯底部41,一対の噛合部42および一対の円弧状接続部43と、が設けられている。
【0075】
噛合部42を形成する外形線L4(図中実線)の形状、つまりヘリカルギヤ32の軸方向視における噛合部42の形状は、実施の形態1(
図6参照)と同様に、斜歯32cの歯厚方向(図中左右方向)に窪んだインボリュート曲線の形状に形成されている。ただし、実施の形態2では、実施の形態1に比して接続関係が逆となっている。つまり、噛合部42を形成する外形線L4の最も長さが長くかつ半径が大きい円弧a5側が、歯先部32c1を形成する外形線L1に接続されている。一方、噛合部42を形成する外形線L4の最も長さが短くかつ半径が小さい円弧a1側が、円弧状接続部43を形成する外形線L5に接続されている。
【0076】
また、歯底部41は、ヘリカルギヤ32の回転方向に直線状に延びている。歯底部41を形成する外形線L6は、実施の形態1の歯底部32c2を形成する外形線L2よりも、高さ寸法Hの分だけ、ピニオンギヤ31の螺旋状歯31c寄りに配置されている。これにより、実施の形態2では、実施の形態1に比して、ヘリカルギヤ32の歯底部41の部分の肉厚を厚くすることが可能となり、ひいては斜歯32cの剛性アップが図れるようになっている。
【0077】
なお、実施の形態2においても、外形線L1,L4,L5およびL6は、角部が形成されないように互いに滑らかに接続されている。
【0078】
以上のように形成された実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、ヘリカルギヤ32の回転方向に直線状に延びる歯底部41を有しているので、ヘリカルギヤ32の斜歯32cの剛性アップを図ることができる。また、噛合部42と歯底部41との間に、両者を滑らかに繋ぐ円弧状接続部43が設けられているので、ヘリカルギヤ32を成形する際に用いる金型に角部を設けずに済み、当該金型の寿命を延ばすことが可能となる(量産性向上)。ただし、当該作用効果(量産性向上)は、円弧状の噛合部32c3と円弧状の歯底部32c2とを滑らかに繋いだ実施の形態1(
図6参照)においても、同様に奏することができる。
【0079】
本発明は上述した実施の形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。実施の形態1では、
図6に示されるように、噛合部32c3を形成する外形線L3の最も長さが短くかつ半径が小さい円弧a1側を、歯先部32c1を形成する外形線L1に接続し、噛合部32c3を形成する外形線L3の最も長さが長くかつ半径が大きい円弧a5側を、歯底部32c2を形成する外形線L2に接続したが、本発明はこれに限らず、実施の形態2のように、噛合部32c3を形成する外形線L3の接続関係を逆にしても良い。
【0080】
また、実施の形態2では、
図12に示されるように、噛合部42を形成する外形線L4の最も長さが長くかつ半径が大きい円弧a5側を、歯先部32c1を形成する外形線L1に接続し、噛合部42を形成する外形線L4の最も長さが短くかつ半径が小さい円弧a1側を、円弧状接続部43を形成する外形線L5に接続したが、本発明はこれに限らず、実施の形態1のように、噛合部42を形成する外形線L4の接続関係を逆にしても良い。
【0081】
さらに、実施の形態2では、歯底部41を、ヘリカルギヤ32の回転方向に直線状に延ばした形状に形成したが、本発明はこれに限らず、例えば、半径R4(歯底部32c2を形成する外形線L2の半径)よりも大きい半径の円弧状に形成しても良い。
【0082】
また、実施の形態1,2では、減速機構30,40(減速機構付モータ10)を、車両に搭載されるワイパ装置の駆動源に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、パワーウィンドウ装置,サンルーフ装置,シートリフター装置等の他の駆動源にも適用することができる。
【0083】
さらに、実施の形態1,2では、減速機構30,40をブラシレスモータ20で駆動する減速機構付モータ10を示したが、本発明はこれに限らず、ブラシレスモータ20に換えてブラシ付きモータを採用して、当該ブラシ付きモータで減速機構30,40を駆動させることもできる。
【0084】
その他、上述した実施の形態1,2における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の実施の形態1,2に限定されない。
【符号の説明】
【0085】
10:減速機構付モータ,11:ハウジング,12:ケーシング,12a:底壁部,12b:側壁部,12c:ケースフランジ,12d:ボス部,12e:補強リブ,12f:軸受部材収容部,12g:止め輪,13:カバー部材,13a:本体部,13b,カバーフランジ,13c:モータ収容部,13d:コネクタ接続部,13e:ターミナル部材,20:ブラシレスモータ,21:ステータ,21a:コイル,22:ロータ,22a:ロータ本体,22b:永久磁石,30:減速機構,31:ピニオンギヤ(第1ギヤ),31a:固定部,31b:ピニオン本体(本体部),31c:螺旋状歯,32:ヘリカルギヤ(第2ギヤ),32a:ギヤ本体,32b:筒状部,32c:斜歯,32c1:歯先部,32c2:歯底部,32c3:噛合部,33:ボールベアリング,34:出力軸,40:減速機構,41:歯底部,42:噛合部,43:円弧状接続部,100:ヘリカルギヤ,101:斜歯,AL:補助線,AR1:基準領域,AR2,AR3:NG領域,BL:境界線,BP:頂点,C1:ピニオンギヤ31の回転中心,C2:螺旋状歯31cの中心,C3:ヘリカルギヤ32の回転中心,CC:円筒,Ct:円筒CCの中心,EP:噛合点,G:潤滑油,L1~L6:外形線,OC:螺旋状歯31cの中心C2の軌跡,S:隙間,a1~a5:インボリュート曲線の円弧,α:圧力角,β:バックラッシ