(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】圃場給水システム
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
A01G25/00 501Z
(21)【出願番号】P 2021163494
(22)【出願日】2021-10-04
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁
(72)【発明者】
【氏名】末吉 康則
(72)【発明者】
【氏名】三木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】藤本 好宏
(72)【発明者】
【氏名】陳 巨壹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 美穂
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146799(JP,A)
【文献】特開2001-161192(JP,A)
【文献】特開2001-275501(JP,A)
【文献】特開2020-108372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0170778(US,A1)
【文献】特開2019-180400(JP,A)
【文献】特開2019-179293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場への給水を管理する給水装置が設けられた各圃場へ水を供給するための圃場給水システムであって、
前記給水装置は、
ポンプから圧送される水が圃場へ流入する流入口を開閉する給水栓を備え、前記給水栓が開かれた第一状態と、前記給水栓が閉じられた第二状態と、に切り替え可能であり、
前記圃場給水システムは、
前記各圃場の給水装置のうち、前記第一状態に切り替えられる給水装置の数を示す給水台数を算出する算出部と、
前記給水台数の算出結果が
0である場合に前記ポンプの動作を停止させるとともに、前記給水台数の算出結果が1以上であっても、2以上の値に設定される第一閾値未満となる場合に
は、前記ポンプの動作を停止させる制御部と、
を具備する、
圃場給水システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記給水台数が第二閾値以上となる場合に、前記ポンプの動作を再開させる、
請求項1に記載の圃場給水システム。
【請求項3】
前記第二閾値には、
前記第一閾値よりも大きい値が設定される、
請求項2に記載の圃場給水システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ポンプの動作の停止に伴い給水が停止される圃場がある場合、所定の報知を行う、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の圃場給水システム。
【請求項5】
前記各圃場には、当該各圃場の前記給水装置を前記第一状態に切り替えることができる給水時間帯が割り当てられ、
前記制御部は、
前記各圃場の中に、前記ポンプの動作の停止に伴い給水が停止される給水停止圃場がある場合、当該給水停止圃場に対して、前記給水時間帯とは別に、前記給水装置を前記第一状態に切り替えることができる追加給水時間帯を追加で割り当てる、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の圃場給水システム。
【請求項6】
前記給水停止圃場に追加で割り当てる前記追加給水時間帯には、
当該給水停止圃場とは異なる圃場に割り当てられた給水時間帯が含まれる、
請求項5に記載の圃場給水システム。
【請求項7】
前記給水停止圃場に追加で割り当てる前記追加給水時間帯には、
いずれの圃場の前記給水時間帯も割り当てられていない空き時間帯が含まれる、
請求項5又は請求項6に記載の圃場給水システム。
【請求項8】
前記制御部は、
所定の圃場に割り当てられた前記給水時間帯に前記ポンプの動作を停止させる場合、当該圃場に割り当てられた次回の前記給水時間帯に前記給水台数に関わらず前記ポンプを動作させる、
請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の圃場給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場へ水を供給するための圃場給水システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場へ水を供給するための圃場給水システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の用水管理システムは、ファームポンドに貯留された水を圃場へ供給するためのものである。前記用水管理システムは、ファームポンドの水を汲み上げて圃場へ向けて送るポンプ、及びポンプからの水を各圃場へ流入させる経路を開閉する給水栓等を具備する。前記用水管理システムでは、各圃場のうち、給水栓が開状態である圃場へポンプからの水を供給できる。
【0004】
特許文献1のような用水管理システムでは、一般的に24時間ポンプが駆動され、給水栓が開状態の圃場へいつでも水を供給できるようにしている。しかし、上記構成では、開状態の給水栓の数に関わらず常にポンプが駆動されるため、例えば開状態の給水栓の数が少ない場合にはポンプの動作に無駄が生じる可能性があり、省エネの観点から改善が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ポンプの消費電力の低減を図ることが可能な圃場給水システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、圃場への給水を管理する給水装置が設けられた各圃場へ水を供給するための圃場給水システムであって、前記給水装置は、ポンプから圧送される水が圃場へ流入する流入口を開閉する給水栓を備え、前記給水栓が開かれた第一状態と、前記給水栓が閉じられた第二状態と、に切り替え可能であり、前記圃場給水システムは、前記各圃場の給水装置のうち、前記第一状態に切り替えられる給水装置の数を示す給水台数を算出する算出部と、前記給水台数の算出結果が0である場合に前記ポンプの動作を停止させるとともに、前記給水台数の算出結果が1以上であっても、2以上の値に設定される第一閾値未満となる場合には、前記ポンプの動作を停止させる制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記給水台数が第二閾値以上となる場合に、前記ポンプの動作を再開させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記第二閾値には、前記第一閾値よりも大きい値が設定されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記制御部は、前記ポンプの動作の停止に伴い給水が停止される圃場がある場合、所定の報知を行うものである。
【0012】
請求項5においては、前記各圃場には、当該各圃場の前記給水装置を前記第一状態に切り替えることができる給水時間帯が割り当てられ、前記制御部は、前記各圃場の中に、前記ポンプの動作の停止に伴い給水が停止される給水停止圃場がある場合、当該給水停止圃場に対して、前記給水時間帯とは別に、前記給水装置を前記第一状態に切り替えることができる追加給水時間帯を追加で割り当てるものである。
【0013】
請求項6においては、前記給水停止圃場に追加で割り当てる前記追加給水時間帯には、当該給水停止圃場とは異なる圃場に割り当てられた給水時間帯が含まれるものである。
【0014】
請求項7においては、前記給水停止圃場に追加で割り当てる前記追加給水時間帯には、いずれの圃場の前記給水時間帯も割り当てられていない空き時間帯が含まれるものである。
【0015】
請求項8においては、前記制御部は、所定の圃場に割り当てられた前記給水時間帯に前記ポンプの動作を停止させる場合、当該圃場に割り当てられた次回の前記給水時間帯に前記給水台数に関わらず前記ポンプを動作させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、給水台数が少ない場合にポンプの動作を停止させ、ポンプの消費電力の低減を図ることができる。
【0018】
請求項2においては、給水台数に応じてポンプの動作を適宜再開させることができる。
【0019】
請求項3においては、比較的多くの圃場に給水が必要な場合にポンプの動作を再開させ、ポンプを有効に活用することができる。
【0020】
請求項4においては、圃場への給水が停止されることを報知できる。
【0021】
請求項5においては、追加給水時間帯を追加で割り当てることにより、給水が停止される圃場(給水停止圃場)への給水機会を確保することができる。
【0022】
請求項6においては、給水停止圃場と、当該給水停止圃場とは異なる圃場と、にまとめて給水することができる。
【0023】
請求項7においては、給水停止圃場へ空き時間帯に給水を行って、空き時間帯を有効に活用することができる。
【0024】
請求項8においては、特定の圃場への給水が連続して停止するのを防止し、ポンプの動作の停止及び再開を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る圃場給水システムを示す説明図。
【
図4】(a)「6~9時の時間帯」におけるポンプの状態を示す説明図。(b)「9~12時の時間帯」におけるポンプの状態を示す説明図。
【
図5】(a)「12~15時の時間帯」におけるポンプの状態を示す説明図。(b)「15~18時の時間帯」におけるポンプの状態を示す説明図。
【
図7】(a)変形例の「6~9時の時間帯」におけるポンプの状態を示す説明図。(b)変形例の「12~15時の時間帯」におけるポンプの状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の一実施形態に係る圃場給水システム10について説明する。
【0027】
図1に示す圃場給水システム10は、圃場Hへ水(用水)を供給するためのものである。圃場給水システム10は、揚水機場11、給水路12、給水装置13、利用者端末14及び給水管理サーバ15を具備する。
【0028】
揚水機場11は、水源(本実施形態では本川(本流河川R))から水を取り入れて、後述する給水路12へ送るためのものである。揚水機場11は、ファームポンド11a及びポンプ11bを具備する。
【0029】
ファームポンド11aは、水を貯留するためのものである。ファームポンド11aは、河川Rと接続される。ファームポンド11aには、河川Rからの水が貯留される。
【0030】
ポンプ11bは、ファームポンド11aの水を汲み上げて給水路12へ圧送するためのものである。ポンプ11bは、ファームポンド11aに対して少なくとも1台設けられる。
図1には、ポンプ11bを2台設けた例を示している。
図1に示す2台のポンプ11bは、圧送する水の量に応じて同時に運転するか、1台のみが運転するかが適宜切り替えられる。ポンプ11bは、外部の機器と通信するための通信機能を有する。
【0031】
給水路12は、揚水機場11から各圃場Hまで水を案内するための流路である。給水路12は、適宜分岐して各圃場Hと接続される。本実施形態の給水路12は複数のパイプを繋げることで構成された管水路(パイプライン)となっている。なお給水路12の構成は特に限定されるものではなく、各圃場H周辺の地域の地形等に応じて適宜変更可能である。例えば給水路12は、開水路により構成されてもよい。
【0032】
給水装置13は、圃場Hへの給水を管理するためのものである。給水装置13は、各圃場Hに設けられる。給水装置13は、外部の機器と通信するための通信機器と、ポンプ11bから圧送される水が圃場Hへ流入する流入口(給水路12と圃場Hとの接続部分)を開閉するための給水栓と、を具備する(不図示)。給水装置13は、前記給水栓を開閉させることで、開状態と閉状態との切り替えを行うことができる。
【0033】
開状態は、給水栓が開かれた状態である。給水装置13が開状態に切り替えられることで、圃場Hにはポンプ11bからの水が流入される。また給水装置13は、給水栓の開度に応じて圃場Hへの給水量を調整することができる。なお、後述するように本実施形態ではポンプ11bの動作が停止される場合がある。この場合には、給水装置13が開状態であったとしても給水路12から圃場Hへ水が流入されなくなり、圃場Hへの給水は停止される。以下では、このような開状態であるにも関わらず、ポンプ11bの動作の停止に伴い給水が停止される圃場Hを「給水停止圃場Ha」と称する。
【0034】
閉状態は、給水栓が閉じられた状態である。給水装置13が閉状態に切り替えられることで、圃場Hへの給水は停止される。
【0035】
上述の如く構成される給水装置13は、給水栓の開閉を制御する制御モードとして、一定湛水モード、かけ流しモード及び停止モード等を具備する。
【0036】
一定湛水モードは、給水栓の開閉を自動で制御するモードである。一定湛水モードでは、圃場Hの作物の生育に適した水位(設定水位)となるように給水栓が自動的に制御される。具体的には一定湛水モードでは、
図2に示すように、圃場Hの水位が設定水位になった場合に給水栓が閉状態となって圃場Hへの給水が停止される。一方、一定湛水モードでは、設定水位よりも制御幅だけ低い制御水位を圃場Hの水位が下回った場合に、給水栓が開状態となって圃場Hへの給水が行われる。なお制御幅は、給水栓を開状態にするか否かを判定するために用いられる幅である。制御幅は、圃場Hの減水深(単位時間当たりにどの程度水位が減少するか)等に基づいて予め設定される。
【0037】
かけ流しモードは、圃場Hへの給水を行うためのモードである。かけ流しモードでは、圃場Hの水位等に関わらず、給水栓が開状態となる。また、かけ流しモードでは、圃場Hの排水口に設けられた排水装置(不図示)によって圃場Hの水が適宜排水される。より詳細には、かけ流しモードでは、圃場Hの水をせき止める排水装置の昇降体の高さ(排水高さ)が、設定水位よりも落水マージンだけ高くなる。なお落水マージンは、予め設定される。こうしてかけ流しモードでは、圃場Hの水位が設定水位よりもある程度(落水マージンを超える程度)高くなると、圃場Hの水が排水装置から溢れて排水される。
【0038】
停止モードは、圃場Hへの給水を停止するためのモードである。停止モードでは、圃場Hの水位等に関わらず、給水栓が閉状態となる。
【0039】
図1に示す利用者端末14は、利用者(圃場給水システム10を利用して圃場Hへの給水を管理する者)が使用する端末である。利用者端末14は、演算処理を実行可能な演算装置、プログラム等が記憶された記憶装置、情報を入力可能な入力装置及び演算処理の結果等を表示可能な出力装置等を具備する。利用者端末14は、パーソナルコンピュータやスマートフォン等によって構成される。
【0040】
給水管理サーバ15は、外部の機器からの要求に応じて種々の処理を行うものである。給水管理サーバ15は、演算処理を実行可能な演算装置、プログラム等が記憶された記憶装置等を具備する。給水管理サーバ15は、通信機能を有し、外部の機器と通信することができる。本実施形態の給水管理サーバ15は、揚水機場11のポンプ11b、給水装置13及び利用者端末14と通信することができる。
【0041】
給水管理サーバ15は、ポンプ11bへ信号を送信することで当該ポンプ11bの動作を制御できる。例えば給水管理サーバ15は、ポンプ11bの動作を停止させたり、当該ポンプ11bの動作を開始させることができる。また給水管理サーバ15は、ポンプ11bから信号を受信することで、当該ポンプ11bの状態(動作しているか否か)を取得することができる。また給水管理サーバ15は、ポンプ11bの動作を自動で制御するポンプ制御処理を実行することができる。ポンプ制御処理の内容については後述する。
【0042】
また給水管理サーバ15は、給水装置13から信号を受信することで、給水装置13の状態(開状態及び閉状態のいずれであるのか)等を取得することができる。また給水管理サーバ15は、給水装置13へ信号を送信することで開状態及び閉状態の切り替えを行うことができる。なお、給水管理サーバ15は、給水装置13と直接通信するだけでなく、他のサーバを介して間接的に給水装置13と通信し、給水装置13の状態の取得や開状態及び閉状態の切り替えを行う構成としてもよい。
【0043】
また給水管理サーバ15は、利用者端末14と信号をやり取りすることで、種々の情報を利用者端末14へ提供したり、利用者端末14から情報の入力を受け付けることができる。本実施形態の給水管理サーバ15は、CGI(Common Gateway Interface)プログラム等による動的なWebページを作成することで、利用者端末14への情報提供等を行うことができる。なお、給水管理サーバ15が作成するWebページ(画面)については後述する。
【0044】
以下では、本実施形態に係る圃場給水システム10による各圃場Hへの給水方法について説明する。
【0045】
各圃場Hへの給水は、個別に行われるのではなく、グループ単位で行われる。具体的には、
図1に示すように、各圃場Hは圃場グループGにグループ分けされている。なお圃場グループGは、圃場Hの集まりである。圃場グループGには、少なくとも1つの圃場Hが含まれる。圃場グループGは、所定の基準(圃場Hの所有者や場所等)に基づいて複数個設定される。各圃場Hがどの圃場グループGに属しているのかは、給水管理サーバ15により管理される。
【0046】
本実施形態では、この圃場グループGごとに給水できる時間帯が予め割り当てられている。また給水できる時間帯は、各圃場グループGで重複しないように適宜調整されている。以下では、圃場グループGが給水できる時間帯を「給水時間帯」と称する。各圃場グループGの給水時間帯は、給水管理サーバ15により管理される。
【0047】
給水装置13は、給水時間帯になると、上述した制御モード(一定湛水モード等)の動作により、適宜開状態に切り替えられる。具体的には給水装置13は、一定湛水モードの実行中に圃場Hの水位が制御水位(
図2参照)を下回った場合、及び、かけ流しモードが実行された場合に、開状態に切り替えられる。開状態に切り替えられた給水装置13は、給水時間帯が過ぎると給水管理サーバ15から指示を受け、閉状態へ切り替えられる。こうして本実施形態では、圃場H(圃場グループG)ごとに給水に一定の制限をかけ、各圃場Hで略平等に給水できるようにしている。
【0048】
ここで、圃場Hでは作物の生育状況等により給水が不要な時期がある。例えば圃場Hで稲を生育する場合、圃場Hを乾かす中干しの時期等に給水が不要となる。こうした給水が不要な時期に入った圃場Hが多数を占める圃場グループGでは、給水時間帯になっても給水装置13のほとんどで、給水栓を閉状態にする停止モードが実行される可能性がある。また一定湛水モードが実行されていたとしても、大雨が降って圃場Hの水位が上昇した場合、給水装置13のほとんどが閉状態となる可能性がある。このような状態でポンプ11bを稼働させたとしても給水する圃場Hの数が少なく、ポンプ11bを効率的に動作できない可能性がある。
【0049】
そこで給水管理サーバ15は、ポンプ11bを自動制御するポンプ制御処理を実行することで、給水する圃場Hの数が少ない場合に全てのポンプ11bの動作を停止させ、ポンプ11bの動作の効率化を図っている。以下、
図3を参照してポンプ制御処理を説明する。
【0050】
ポンプ制御処理は、定期的に実行される。例えばポンプ制御処理は、前回のポンプ制御処理が終了してから所定時間経過後に実行される。給水管理サーバ15は、ポンプ制御処理の実行を開始すると、ステップS110へ移行する。
【0051】
ステップS110において給水管理サーバ15は、給水台数を算出する。なお給水台数とは、各圃場Hの給水装置13のうち、給水時間帯に該当している圃場グループGの圃場Hの中で、開状態に切り替えられる給水装置13の台数を示すものである。給水管理サーバ15は、各圃場Hの給水装置13と通信して給水装置13の状態(開状態であるか否か)を取得し、その結果を集計することで給水台数を算出する。なお給水台数を算出する機器は給水管理サーバ15に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば給水装置13の動作を制御する所定のサーバ等が給水台数を算出してもよい。給水管理サーバ15は、ステップS110の処理が終了するとステップS120へ移行する。
【0052】
ステップS120において給水管理サーバ15は、ポンプ11bからの信号に基づいて、ポンプ11bが動作中であるか否かを判定する。給水管理サーバ15は、ポンプ11bが動作中である場合に(ステップS120:Yes)、ステップS130へ移行する。一方給水管理サーバ15は、ポンプ11bが停止中である場合に(ステップS120:No)、ステップS180へ移行する。
【0053】
ステップS130において給水管理サーバ15は、ステップS110で算出した給水台数がポンプ停止開栓数未満であるか否かを判定する。ポンプ停止開栓数は、ポンプ11bの動作を停止させるか否かを判定するための閾値である。ポンプ停止開栓数は、予め設定される。給水管理サーバ15は、給水台数がポンプ停止開栓数未満である場合(ステップS130:Yes)、ステップS140へ移行する。一方給水管理サーバ15は、給水台数がポンプ停止開栓数以上である場合(ステップS130:No)、ポンプ制御処理を終了する。こうして給水管理サーバ15は、ポンプ11bの動作中に給水台数がポンプ停止開栓数未満とならない限りは、ポンプ11bの動作を継続させる。
【0054】
ステップS140において給水管理サーバ15は、ポンプ11bへ信号を送信し、全てのポンプ11bの動作を停止させる。給水管理サーバ15は、ステップS140の処理が終了するとステップS150へ移行する。
【0055】
ステップS150において給水管理サーバ15は、開状態であるにも関わらずポンプ11bの動作の停止に伴い給水が停止される給水停止圃場Haがあるか否かを判定する。給水管理サーバ15は、ステップS110で算出した給水台数が1以上である場合に給水停止圃場Haがあると判定し(ステップS150:Yes)、ステップS160へ移行する。一方給水管理サーバ15は、給水停止圃場Haがない場合(ステップS150:No)、ポンプ制御処理を終了する。
【0056】
ステップS160において給水管理サーバ15は、ステップS140の処理により給水が停止される給水停止圃場Haに対して、追加給水時間帯を追加で割り当てる。追加給水時間帯とは、給水停止圃場Haが属する圃場グループGに割り当てられた給水時間帯(以下、「既存の給水時間帯」と称する)とは別に、給水停止圃場Haの給水装置13を開状態へ切り替えることができる時間帯である。給水管理サーバ15は、既存の給水時間帯以外の時間帯を、追加給水時間帯として給水停止圃場Haに割り当てることができる。具体的には、給水管理サーバ15は、給水停止圃場Haが属する圃場グループGとは異なる他の圃場グループGに割り当てられた給水時間帯や、いずれの圃場グループGの給水時間帯も割り当てられていない空き時間帯を、追加給水時間帯として割り当てることができる。
【0057】
本実施形態の給水管理サーバ15は、ステップS160において直近の空き時間帯を、追加給水時間帯として給水停止圃場Haに割り当てる。給水管理サーバ15は、ステップS160の処理が終了するとステップS170へ移行する。
【0058】
ステップS170において給水管理サーバ15は、給水停止圃場Haの関係者(利用者や給水停止圃場Haで作業を行う作業者や給水停止圃場Haの所有者等)に報知を行う。具体的には給水管理サーバ15は、関係者が所有する機器(例えば利用者端末14や作業者及び所有者が所有する端末等)に、給水が停止されたことを示すメッセージを送信する。また給水管理サーバ15は、割り当てた追加給水時間帯がいつであるのかを示すメッセージ等も送信する。給水管理サーバ15は、メッセージアプリやメール等により、これらメッセージの送信を行うことができる。
【0059】
なお報知の方法はメッセージ送信に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば給水管理サーバ15は、音声の出力により報知を行ってもよい。また報知する情報は特に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば給水が停止されたことを直接的に報知するのではなく、給水が停止されたことを示唆する情報を報知してもよい。給水管理サーバ15は、ステップS170の処理が終了するとポンプ制御処理を終了する。
【0060】
ステップS120でポンプ11bが停止中である場合に移行するステップS180において給水管理サーバ15は、ステップS110で算出した給水台数がポンプ再運転開栓数以上であるか否かを判定する。ポンプ停止開栓数は、ポンプ11bの動作を再開させるか否かを判定するための閾値である。ポンプ停止開栓数は、予め設定される。給水管理サーバ15は、給水台数がポンプ再運転開栓数以上である場合に(ステップS180:Yes)、ステップS190へ移行する。一方給水管理サーバ15は、給水台数がポンプ再運転開栓数未満である場合に(ステップS180:No)、ポンプ制御処理を終了する。こうして給水管理サーバ15は、ポンプ11bの停止中に給水台数がポンプ再運転開栓数以上とならない限りは、ポンプ11bの動作の停止を継続させる。
【0061】
ステップS190において給水管理サーバ15は、ポンプ11bへ信号を送信し、当該ポンプ11bの動作を開始させる。給水管理サーバ15は、ステップS190の処理が終了するとポンプ制御処理を終了する。こうして給水管理サーバ15は、給水台数が多い場合にポンプ11bを動作させ、多くの圃場Hへ給水を行うことができる。これにより給水管理サーバ15はポンプ11bを効率的に動作させることができる。
【0062】
なお、上述したポンプ制御処理のステップS160で追加給水時間帯を割り当てた場合、給水管理サーバ15は、その割り当てた時間帯(本実施形態では空き時間帯)にポンプ11bを動作させる。これにより、追加給水時間帯に給水停止圃場Haへの給水を確実に行うことができる。
【0063】
以下では、
図4及び
図5を参照し、ポンプ制御処理の具体例について説明する。なお
図4及び
図5では、説明を簡略化するために、給水装置13の制御モードがかけ流しモード又は停止モードのいずれかであるものとしている。また、
図4及び
図5では、給水装置13がかけ流しモードとなった圃場Hを「開栓」と記載すると共に、給水装置13が停止モードとなった圃場Hを「閉栓」と記載している。
【0064】
まず、本具体例の前提条件について説明する。本具体例では、ポンプ停止開栓数及びポンプ再運転開栓数がそれぞれ「2」であるものとする。また
図4(a)に示すように、本具体例では圃場グループGとして、「Aグループ」、「Bグループ」及び「Cグループ」が設定されるものとする。「A~Cグループ」には、給水時間帯が順に割り当てられるものとする。
【0065】
具体的には「Aグループ」には、給水時間帯として「6~9時の時間帯」が割り当てられるものとする。また「Bグループ」には、「9~12時の時間帯」が割り当てられるものとする。また「Cグループ」には、「12~15時の時間帯」が割り当てられるものとする。またその後の「15~18時の時間帯」は、空き時間帯であるものとする。
【0066】
以下、「6~9時の時間帯」から順に、ポンプ制御処理の内容を説明する。なお「6~9時の時間帯」となった時点では、ポンプ11bが動作しているものとする。
【0067】
図4(a)に示すように、「6~9時の時間帯」では、「Aグループ」の1つの圃場Hがかけ流しモード(開状態)となっている。このように給水台数(1台)がポンプ停止開栓数(2)未満である場合(ステップS110、S120:Yes、ステップS130:Yes)、給水管理サーバ15はポンプ11bの動作を停止させる(ステップS140)。これによりポンプ11bの消費電力を低減できる。また給水管理サーバ15は、「Aグループ」の給水停止圃場Haに対して追加給水時間帯(「15~18時の時間帯」)を割り当てると共に、当該給水停止圃場Haの関係者に報知を行う(ステップS150:Yes、ステップS160・S170)。
【0068】
図4(b)に示すように、「9~12時の時間帯」では、「Bグループ」の2つの圃場Hがかけ流しモード(開状態)となっている。このように給水台数(2台)がポンプ再運転開栓数(2)以上である場合(ステップS110、S120:No、ステップS180:Yes)、給水管理サーバ15は、ポンプ11bの動作を再開させる(ステップS190)。こうして「Bグループ」の開状態の圃場Hへ給水が行われる。
【0069】
図5(a)に示すように、「12~15時の時間帯」では、「Cグループ」の1つの圃場Hがかけ流しモード(開状態)となっている。このため給水管理サーバ15は、「6~9時の時間帯」と同様にポンプ11bの動作を停止させる。また給水管理サーバ15は「Cグループ」の給水停止圃場Haに対して追加給水時間帯(「15~18時の時間帯」)を割り当てると共に、当該給水停止圃場Haの関係者に報知を行う。こうして複数の圃場グループGの給水停止圃場Haには、1つの空き時間帯である「15時から17時の時間帯」が追加給水時間帯として割り当てられる。
【0070】
図5(b)に示すように、給水停止圃場Haの追加給水時間帯である「15~18時の時間帯」にはポンプ11bが動作される。「Aグループ」及び「Cグループ」の給水停止圃場Haの関係者は、給水装置13をかけ流しモード(開状態)へ切り替えることで、当該給水停止圃場Haへの給水を行うことができる。また前記関係者は、給水装置13を一定湛水モードへ切り替えることでも、圃場Hの水位が低ければ給水停止圃場Haへの給水を行うことができる。このように、複数の給水停止圃場Haに対して共通の空き時間帯を追加給水時間帯として追加で割り当てることで、空き時間帯に給水停止圃場Haへの給水をまとめて行うことができ、ポンプ11bの有効活用を図ることができる。
【0071】
以下では給水管理サーバ15が作成する画面について説明する。
【0072】
給水管理サーバ15は、上述したポンプ制御処理に関する種々の画面を生成することができる。
図6に示す監視設定画面20は、その一例を示すものである。以下、監視設定画面20について説明する。
【0073】
監視設定画面20は、CGIプログラム等による動的なWebページである。監視設定画面20は、利用者端末14のブラウザで表示することができる。監視設定画面20には、ポンプ停止開栓数及びポンプ再運転開栓数の現在の設定値が表示される。また監視設定画面20では、表示された設定値を変更して設定ボタン21を押下することで、ポンプ停止開栓数及びポンプ再運転開栓数の設定値を任意に変更することができる。
【0074】
また監視設定画面20では、ポンプ11bの吐出圧力の変動に応じた警報タイミング(警報するか否かを判定する際に用いる閾値の大きさ)を設定できる。また監視設定画面20では、非かんがい期等の区分に応じてポンプ11bからの送水量の上限も設定できる。
【0075】
上述の如く構成される監視設定画面20により、給水管理サーバ15は、ポンプ停止開栓数及びポンプ再運転開栓数を変更可能である。こうしてポンプ停止開栓数等を任意に変更することで、適切なタイミングでポンプ11bの動作の停止及び再開を行うことができる。
【0076】
例えばポンプ再運転開栓数をポンプ停止開栓数よりも大きな値に設定することで、給水管理サーバ15は、給水台数(開状態の給水装置13の台数)がある程度増えてから、ポンプ11bの動作を再開できる。これによりポンプ11bの動作の再開時に、より多くの圃場Hへ給水を行うことができ、ポンプ11bの有効活用を図ることができる。
【0077】
またポンプ停止開栓数及びポンプ再運転開栓数を「0」に設定すれば、ポンプ11bを常時動作させることができる。
【0078】
以上の如く、本実施形態に係る圃場給水システム10は、圃場Hへの給水を管理する給水装置13が設けられた各圃場Hへ水を供給するための圃場給水システム10であって、前記給水装置13は、ポンプ11bから圧送される水が圃場Hへ流入する流入口を開閉する給水栓を備え、前記給水栓が開かれた開状態(第一状態)と、前記給水栓が閉じられた閉状態(第二状態)と、に切り替え可能であり、前記圃場給水システム10は、前記各圃場Hの給水装置13のうち、前記開状態に切り替えられる給水装置13の数を示す給水台数を算出する算出部(給水管理サーバ15)と、前記給水台数の算出結果が所定のポンプ停止開栓数(第一閾値)未満となる場合に、前記ポンプ11bの動作を停止させる制御部(給水管理サーバ15)と、を具備するものである。
【0079】
このように構成することにより、給水台数が少ない場合にポンプ11bの動作を停止させ、ポンプ11bの消費電力の低減を図ることができる。
【0080】
また、前記制御部(給水管理サーバ15)は、前記給水台数がポンプ再運転開栓数(第二閾値)以上となる場合に(ステップS110、ステップS120:No、ステップS180:Yes)、前記ポンプ11bの動作を再開させるものである(ステップS190)。
【0081】
このように構成することにより、給水台数に応じてポンプ11bの動作を適宜再開させることができる。
【0082】
また、前記ポンプ再運転開栓数には、前記ポンプ停止開栓数よりも大きい値が設定されるものである。
【0083】
このように構成することにより、ポンプ11bを有効に活用することができる。
【0084】
また、前記制御部(給水管理サーバ15)は、前記ポンプ11bの動作の停止に伴い給水が停止される圃場Hがある場合(ステップS110、S120:Yes、ステップS130:Yes、ステップS140、ステップS150:Yes)、所定の報知を行うものである(ステップS170)。
【0085】
このように構成することにより、利用者は給水が停止されることを容易に把握できる。
具体的には、給水装置13が開状態に切り替えられていたとしても、ポンプ11bの動作が停止された場合、関係者の知らないところで圃場Hへの給水が停止されることになる。制御部(給水管理サーバ15)は、所定の報知を行うことで、そのことを関係者に通知できる。これによって関係者は給水が停止されることを容易に把握できる。
【0086】
また、前記各圃場Hには、当該各圃場Hの前記給水装置13を前記開状態に切り替えることができる給水時間帯が割り当てられ、前記制御部(給水管理サーバ15)は、前記各圃場Hの中に、前記ポンプ11bの動作の停止に伴い給水が停止される給水停止圃場Haがある場合、当該給水停止圃場Haに対して、前記給水時間帯とは別に、前記給水装置13を前記開状態に切り替えることができる追加給水時間帯を追加で割り当てるものである(ステップS160)。
【0087】
このように構成することにより、給水が停止される圃場H(給水停止圃場Ha)への給水機会を確保することができる。これにより、給水が停止されることによる影響を緩和できる。例えば、圃場Hの水位を作物の生育に適した水位に調整するタイミングが大幅に遅れるのを防止できる。
【0088】
また、前記給水停止圃場Haに追加で割り当てる前記追加給水時間帯には、いずれの圃場Hの前記給水時間帯も割り当てられていない空き時間帯が含まれるものである。
【0089】
このように構成することにより、空き時間帯を有効に活用することができる。
【0090】
なお、本実施形態に係る給水管理サーバ15は、本発明に係る算出部及び制御部の実施の一形態である。
【0091】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0092】
例えば本実施形態においては、圃場給水システム10自身が各圃場Hへの給水を管理する給水装置13を具備している例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、圃場給水システム10は、外部に別途設けられた給水装置13と連携して、ポンプ11bの動作を制御することも可能である。
【0093】
また給水装置13の制御モードには、一定湛水モード、かけ流しモード及び停止モードが含まれるものとしたが、制御モードの構成はこれに限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば制御モードは、一定湛水モード、かけ流しモード及び停止モードに加えて別のモードをさらに含むものでもよいし、一定湛水モード、かけ流しモード及び停止モードの中の一部のモードのみを含むものでもよい。
【0094】
また本実施形態では、開状態となった給水装置13の台数に基づいてポンプ11bの動作を制御する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、給水装置13が開状態となるタイミングとポンプ11bの動作の制御のタイミングは、前後してもよい。例えば、ステップS190でポンプ11bの動作を再開させる場合、このポンプ11bの動作の再開と連動して、給水装置13を開状態に切り替えることも可能である。すなわち、ポンプ11bの動作の再開と同時に、又は、ポンプ11bの動作の再開後に、給水装置13を開状態に切り替えることができる。
【0095】
なお、例えばこのような場合、ポンプ11bの制御の契機となる給水台数(ステップS110参照)は、実際に開状態に切り替えられた給水装置13の台数を集計するのではなく、開状態に切り替えられる予定の給水装置13の台数を集計することで算出することができる。具体的には、開状態へと切り替える条件(例えば、一定湛水モードにおいて圃場Hの水位が制御水位を下回る、かけ流しモードに切り替えられる、など)が成立した給水装置13の台数を給水台数として集計し、ポンプ11bの制御を行うこともできる。
【0096】
また本実施形態では、ポンプ11bの動作を停止した後で追加給水時間帯の割り当てや関係者への報知を行うものとしたが(ステップS140・S160・S170)、追加給水時間帯の割り当て等を行うタイミングは、これに限定されるものではない。追加給水時間帯の割り当て等は、ポンプ11bの動作を停止させると判定された後であれば(ステップS130:Yes)、任意のタイミングで実行可能である。例えば、ポンプ11bの動作を停止する前に、追加給水時間帯の割り当て等を行うことが可能である。
【0097】
また本実施形態では、圃場グループGごとに給水時間帯が割り当てられるものとしたが(
図4(a)参照)、給水時間帯を割り当てる単位は圃場グループGに限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば、圃場Hごとに給水時間帯を割り当ててもよい。
【0098】
また給水管理サーバ15は、特定の圃場グループGや圃場Hの給水時間帯にポンプ11bの動作を停止させる場合、当該圃場グループGや圃場Hの次回の給水時間帯には給水台数に関わらずポンプ11bを動作させてもよい。このように構成することにより、特定の圃場グループGや圃場Hへの給水が連続して停止するのを防止することができる。これにより、ポンプ11bの動作の停止及び再開を適切に制御することができる。
【0099】
また本実施形態では、給水停止圃場Haがある場合に報知を行うものとしたが(ステップS170)、これに限定されるものではなく、報知を行わないものでもよい。また報知を行うか否かを関係者が選択可能であってもよい。
【0100】
また本実施形態では、給水停止圃場Haの追加給水時間帯として、空き時間帯を割り当てるものとしたが(
図5(b)参照)、これに限定されるものではなく、空き時間帯以外の時間帯を追加給水時間帯として割り当て可能である。
図7は、空き時間帯以外の時間帯を追加給水時間帯として割り当てた、変形例に係るポンプ制御処理の具体例を示すものである。
【0101】
図7に示す変形例において給水停止圃場Haには、空き時間帯ではなく、他の圃場グループGの給水時間帯が追加給水時間帯として割り当てられる。具体的には
図7(a)に示すように、「6~9時の時間帯」でポンプ11bの動作を停止させた場合、「Aグループ」の給水停止圃場Haに対して、「12~15時の時間帯」(次の圃場グループGの給水時間帯)が追加給水時間帯として割り当てられる。これにより
図7(b)に示すように、「12~15時の時間帯」において、「Aグループ」の給水停止圃場Haと「Bグループ」の圃場Hとにまとめて給水を行うことができる。
【0102】
このように、前記給水停止圃場Haに追加で割り当てる前記追加給水時間帯には、当該給水停止圃場Haとは異なる圃場Hに割り当てられた給水時間帯が含まれるものである。
【0103】
このように構成することにより、給水停止圃場Haと、当該給水停止圃場Haとは異なる圃場Hと、にまとめて給水することができる。
【0104】
また給水停止圃場Haに対してどの時間帯を追加給水時間帯として割り当てるのかは、本実施形態や上記変形例に限られない。例えば給水管理サーバ15は、空き時間帯や他の圃場グループGの給水時間帯であるかを考慮せずに、給水停止圃場Haの給水時間帯のすぐ後の時間帯を追加給水時間帯として割り当て可能である。上述した
図7の変形例を例に挙げると、「Aグループ」の給水停止圃場Haに対して、「Aグループ」の給水時間帯(「6~9時の時間帯」)のすぐ後の「9~12時の時間帯」を追加給水時間帯として割り当て可能である。これにより給水停止圃場Haへの給水タイミングを早めることができる。また給水管理サーバ15は、ある1つの空き時間帯をさらに細かい時間帯に分け、その分けた1つの時間帯を追加給水時間帯として1つの給水停止圃場Haに割り当ててもよい。
【0105】
また給水管理サーバ15は、ポンプ11bの動作を停止させる前に、給水停止圃場Haの関係者に問い合わせることも可能である。この場合給水管理サーバ15は関係者からの回答に応じてポンプ11bの動作を停止するか否かを判定可能である。
【0106】
また本実施形態では、追加給水時間帯(空き時間帯)についてはポンプ11bを動作させるものとしたが、これに限定されるものではなく、ポンプ制御処理を実行する等して給水台数とポンプ停止開栓数との大小関係に応じてポンプ11bの動作を停止させてもよい。また追加給水時間帯にポンプ11bの動作を停止させる場合には、給水停止圃場Haに対してさらに追加給水時間帯を割り当て可能である。
【0107】
また追加給水時間帯には、関係者が手動で給水停止圃場Haの給水装置13を開状態に切り替えるものとしたがこれに限定されるものではなく、システム側で(例えば給水管理サーバ15が)自動的に開状態へ切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 圃場給水システム
11b ポンプ
13 給水装置
H 圃場