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特許7571008インターフェロンラムダでのデルタ肝炎ウイルス感染処置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】インターフェロンラムダでのデルタ肝炎ウイルス感染処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/60 20170101AFI20241015BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241015BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20241015BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61K47/60
A61P31/14
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K38/21
A61K31/506
A61K31/675
A61K31/7072
A61K31/522 ZNA
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021510076
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019048038
(87)【国際公開番号】W WO2020041778
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】62/721,763
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,530
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/831,548
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516326575
【氏名又は名称】アイガー・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Eiger Biopharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】イングリッド・チュン
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・ブルーノ・マーティンズ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/143253(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 31/33- 33/44
A61P 1/00- 43/00
A61K 38/21
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デルタ肝炎ウイルス(HDV)感染を処置するためのペグ化インターフェロンラムダ-1aを含む医薬組成物であって、
第一処置期間中対象にペグ化インターフェロンラムダ-1aを120マイクログラム~200マイクログラム/週を皮下投与する;および
第一処置期間後の第二処置期間中対象にペグ化インターフェロンラムダ-1aを70マイクログラム~150マイクログラム/週を皮下投与する
ことを含む方法において使用されることを特徴とし、
ここで該処置がHDVウイルス負荷の持続的低減に到達するおよび/または検出不能なレベルまでのHDV RNAの低減をもたらすものであり、
ここで、
(i) 対象が500/mm未満の絶対好中球数(ANC)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルが正常上限(ULN)の≧15~20倍、総ビリルビン(TBILI)<グレード2または国際標準比(INR)<グレード2の1以上を有する時第一処置期間が終了する;そして対象が≧400/mm~<850/mmのANC、1000/mmを超えるANC、50,000未満の血小板レベルまたはALTレベルがULNの10倍未満の1以上を有する時第二処置期間が開始される;または
(ii) 第一有害事象≧グレード3を経験した時第一処置期間を終了し、第一有害事象が解消するか≦グレード1である時第二処置期間を開始するものである、
医薬組成物。
【請求項2】
方法が第一処置期間中180マイクログラム/週のペグ化インターフェロンラムダ-1aを投与し、第二処置期間中70マイクログラム~120マイクログラム/週のペグ化インターフェロンラムダ-1aを投与することを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
方法が第一処置期間中120マイクログラム/週のペグ化インターフェロンラムダ-1aを投与し、第二処置期間中80マイクログラム~110マイクログラム/週のペグ化インターフェロンラムダ-1aを投与することを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
方法が第二期間の後の第三処置期間において80マイクログラム~120マイクログラム/週でペグ化インターフェロンラムダ-1aを投与することをさらに含む、請求項1~3の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
ペグ化インターフェロンラムダ-1aが少なくとも12週間投与される、請求項1~4の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
対象が≧400/mm~<850/mmの絶対好中球数(ANC)を有する時第二処置期間が開始される、請求項1~5の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
対象が500/mm未満のANCを有する時第一処置期間が終了する、請求項1~6の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
対象が1000/mmを超えるANCを有するおよび/または50,000未満の血小板レベルを有するとき第二処置期間が開始される、請求項1~7の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
対象がALT(またはAST)正常上限(ULN)の≧15~20倍、総ビリルビン(TBILI)<グレード2および/または国際標準比(INR)<グレード2を有する時第一処置期間が終了し、対象がALT/ASTがULNの10倍未満となったとき第二処置期間が開始される、請求項1~8の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
対象が第一有害事象≧グレード3を経験した時第一処置期間を終了し、第一有害事象が解消するか≦グレード1である時第二処置期間を開始する、請求項1~9の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
対象が≧グレード3の2回目の有害事象を経験した時第二処置期間を終了し、有害事象が解消するかまたは1グレード改善した時、対象への第三処置期間のペグ化インターフェロンラムダ-1aの皮下投与を開始する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
第一処置期間が第二処置期間より長い、請求項1~11の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
第一処置期間が8~12週間の期間である、請求項1~12の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
処置が対象におけるHDVウイルス負荷の少なくとも2.0log HDV RNAIU/mL血清の低減をもたらす、請求項1~13の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
処置が検出限界未満であるHDVウイルス負荷をもたらす、請求項1~14の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
対象がULNを超えるベースライン血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有し、処置過程が、対象における血清ALTレベルを、ULN以内のレベルまで改善する、請求項1~15の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
方法が対象にヌクレオシドアナログまたはヌクレオチドアナログを投与することをさらに含む、請求項1~16の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
ヌクレオシドアナログまたはヌクレオチドアナログがラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビルまたはテノフォビルである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
対象が硬変を伴うか、または伴わない代償性肝疾患を有する、請求項1~18の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
対象が最大10 HDV RNAコピー/mLの血清または血漿ベースラインウイルス負荷を有する、請求項1~19の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
対象が2~6のChild-Turcotte-Pughスコアを有する、請求項1~20の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
処置過程が持続可能なウイルス応答(DVR)をもたらす、請求項1~21の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
DVRが対象において処置後1週~24週に観察される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
処置が対象におけるHBsAgの少なくとも1.0log低減をもたらす、請求項1~23の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
対象のHBsAgレベルが処置後低減し続ける、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
対象が投与24週後にALT正常化を示す、請求項1~25の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項27】
対象が処置中一過性ALT増加を経験し、処置後正常化する、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
一過性ALT増加が先のレベルまたはベースラインを300~1100%を超える、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
対象がHDV力価のベースラインからの上昇を経験し、ここで、HDVレベルの上昇が対象のベースラインHDV力価の25~200%である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項30】
対象のHDV力価上昇が治療開始後2週間以内に起こる、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
対象の上昇したHDV力価が治療開始の3週間以内にベースライン未満へ低下する、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
対象が1以上の肝臓機能パラメータの改善を示す、請求項1~31の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項33】
1以上の肝臓機能パラメータが血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビンまたはガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の1以上を含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
対象が処置後または処置中肝線維症の改善を示す、請求項1~33の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項35】
肝線維症が組織分析、一過性超音波エラストグラフィまたは磁気共鳴エラストグラフィでの生検の1以上により評価される、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
対象が肝線維症の5~40%の改善を示す、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項37】
改善がベースラインと比較した血清マーカーの改善または肝線維症の改善の1個以上により測定される、請求項34に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デルタ肝炎ウイルス(HDV)感染が原因のウイルス性肝炎を処置する方法を提供し、故に、化学、医薬品化学、医学、分子生物学および薬理学の分野に関する。
【0002】
関連出願との相互参照
本出願は、仮出願番号62/831,548(2019年4月9日出願)、62/823,530(2019年3月25日出願)および62/721,763(2018年8月23日出願)に基づく優先権を主張し、これら各々は引用によりここに包含させる。
【0003】
EFS-WEBを介してテキストファイルとして提出した配列表に関する記載
配列表の正式なコピーは、ASCII形式配列表としてEFS-Webを介して電子的に提供し、ファイル名097854-1152075-002410PC_SL.TXTであり、2019年8月8日に作成し、1.97MBサイズを有し、本明細書と同時に提出している。このASCII形式ドキュメントに含まれる配列表は本明細書の一部であり、引用によりその全体を本明細書に包含させる。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
デルタ型肝炎ウイルス(HDV)は、慢性ウイルス性肝炎の最も重篤な形態を引き起こす。HDVは、B型肝炎ウイルス(HBV)との共感染として存在する。慢性HDVおよびHBV共感染は、既存のHBV関連肝障害を悪化させ、肝硬変、肝代償不全および肝細胞癌をもたらす。Negro, Cold Spring Harb Perspect Med, 2014, 4:a021550; Hoener zu Siederdissen, Visc Med, 2016, 32:86-94; Lau, Hepatology, 1999, 30:546-549を参照。HDVとHBVの両方に共感染した対象は、HBVに単独で感染した対象と比較して、肝疾患の合併症で死亡する可能性がより高い。Alavian et al., J Res Med Sci, 2012, 17:967-974を参照。
【0005】
HDVの処置のためのインターフェロンアルファ治療は報告されている。2011年に公開されたHep-Net International Delta Intervention Trial 1 (HIDIT-1)治験において、ペグインターフェロンアルファ-2a治療を受けた対象の28%が、処置終了後、24週間HDV RNAが除去されていることが判明した。Wedemeyer et al., N Engl J Med, 2011, 364:322-331。しかしながら、HIDIT-1治験で処置した対象の5年間長期フォローアップでは、50%を超える対象が後期HDV RNA再発を示したことが判明した。Heidrich et al., Hepatology, 2014, 60:87-97。
【0006】
多くの異なる細胞型によって広く発現されるインターフェロンアルファ受容体を介したシグナル伝達によってその効力を伝えるインターフェロンアルファとは対照的に、インターフェロンラムダは、異なる種類の受容体である、限定された細胞発現パターンを有するインターフェロンラムダ受容体を介してシグナル伝達する。インターフェロンラムダはまた、インターフェロン受容体の発現の差異に一部起因して、インターフェロンアルファとは異なる抗ウイルス活性を示す。HBVの処置のためのペグ化インターフェロンアルファおよびペグ化インターフェロンラムダの比較研究(Chan et al., J. Hepatology, 2016, 64:1011-1019)、において、ペグ化インターフェロンラムダは、処置の中間点(24週間)において、ペグ化インターフェロンアルファと比較してウイルス血症においてより顕著な減退を生じるが、処置期間の終わりまでには、ペグ化インターフェロンアルファおよびペグ化インターフェロンラムダ処置の間に差異はなく、処置後には、ペグ化インターフェロンラムダ処置群において、より大きなウイルス学的リバウンドがあることが見出された。ペグ化インターフェロンアルファを4週間投与したHBV/HDV共感染マウスはHDV-RNAレベルの2.2log低減を示したが、ペグ化インターフェロンラムダを4週間投与したマウスはHDV-RNAレベルの1.5log低減を示した(Giersch et al., 2013)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日まで、HDVの処置のための長期ペグ化インターフェロンラムダ治療の有効性は報告されていない。引き続きHDV感染を処置する薬剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
ある態様では、ヒト対象におけるデルタ肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法が提供される。ある実施態様では、方法は、少なくとも48週間、治療有効量のペグ化インターフェロンラムダ-1aを対象に皮下投与することを含む。
【0009】
ある実施態様では、ペグ化インターフェロンラムダ-1aは180マイクログラムの用量で週1回(QW)投与される。ある実施態様では、ペグ化インターフェロンラムダ-1aの120マイクログラム用量をQWで投与される。ある実施態様では、(i)第一処置期間において160~180マイクログラム/週のペグ化インターフェロンラムダ-1a、次いで第二処置期間において150~70マイクログラム/週;または(ii)第一処置期間において180マイクログラム/週、次いで第二処置期間において170~120マイクログラム/週が投与され、ここで、(i)および(ii)の用量は、週あたり1回を超える投与に分けてよい。
【0010】
ある実施態様では、方法は、ペグ化インターフェロンラムダ-1aを第一処置期間において180マイクログラムの用量をQWで、次いで第二処置期間において120マイクログラムの用量をQWで投与することを含む。ある実施態様では、方法は、ペグ化インターフェロンラムダ-1aを第一処置期間において120マイクログラムの用量をQWで、次いで第二処置期間において80マイクログラムの用量をQWで投与することを含む。ある実施態様では、第一処置期間は、第二処置期間より長い。ある実施態様では、第二処置期間は、第一処置期間より長い。ある実施態様では、第一処置期間および第二処置期間は、同じ長さである。ある実施態様では、第一処置期間は少なくとも8週間である。ある実施態様では、第一処置期間は8~12週間である。ある実施態様では、方法は、第三処置期間においてペグ化インターフェロンラムダ-1aの80マイクログラム用量をQWで投与することをさらに含む。ある実施態様では、方法は、第一処置期間において、ペグ化インターフェロンラムダ-1aの180マイクログラム用量をQWで、次いで第二処置期間において120マイクログラム用量をQWで投与し、続いて第三処置期間において60マイクログラム~110マイクログラム用量をQWで投与することを含む。
【0011】
ある実施態様では、方法は、ペグ化インターフェロンラムダ-1aを、第一処置期間において180マイクログラムの第一用量をQWで、第二処置期間において120マイクログラムの第二用量をQWで、そして第三処置期間において110~80マイクログラムの第三用量をQEで投与することを含む。ある実施態様では、第一処置期間は少なくとも8週間の期間を有する。ある実施態様では、第一処置期間は8~12週間、1~8週間または2~12週間である。
【0012】
ある実施態様では、処置は、対象におけるHDVウイルス負荷の少なくとも2.0log HDV RNAIU/mL血清の低減をもたらす。ある実施態様では、処置は、検出限界未満(BLQ)のHDVウイルス負荷をもたらす。ある実施態様では、処置開始前、対象は正常上限(ULN)を超える血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有し、処置過程が、対象の血清ALTレベルを、ULN以下のレベルまで改善する。
【0013】
ある実施態様では、処置前、対象は、最大約10 HDV RNAコピー/mL血清または血漿のベースラインウイルス負荷を有する。
【0014】
ある実施態様では、低ウイルス負荷を有する対象は、処置48週間および24週間後のBLQ応答パーセンテージが高い。
【0015】
ある実施態様では、Lambda180μg処置群で、応答率は、高(>4log)対低(≦4log)ベースラインウイルス負荷の対象間で違った。ある実施態様では、48週目、高対低ベースラインウイルス負荷の対象のそれぞれ38~43%および33~40%がBLQのHDV RNAレベルに達した。他の実施態様では、72週目、これら2群間の差異はより顕著となり、低ベースラインウイルス負荷の対象の50~60%がBLQに達し、対して高ベースラインウイルス負荷の25~29%がこのエンドポイントを満たした。
【0016】
ある実施態様では、48週目、高対低ベースラインウイルス負荷の対象のそれぞれ25~29%および33~40%が、HDV RNAレベルが検出不能(BLQ)に達した。ある実施態様では、72週目で、これら2群間の差異は48週目測定に一致し、低ベースラインウイルス負荷の対象の33~40%がBLQに達し、対して高ベースラインウイルス負荷の25~29%がこのエンドポイントを満たした。
【0017】
ある実施態様では、方法は、対象にヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログを投与することをさらに含む。ある実施態様では、ヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログはラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビルまたはテノフォビルである。
【0018】
ある実施態様では、対象は、硬変を伴うまたは伴わない代償性肝疾患を有する。ある実施態様では、対象は、硬変を伴う代償性肝疾患を有する。
【0019】
他の態様および実施態様を下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】インターフェロンラムダは、24週目までにHDV RNAの急速な低減を示す。HDV RNAのlogの24週目までの平均変化を示す。
【0021】
図2】インターフェロンラムダは、48週目までHDV RNAの急速な低減を示す。HDV RNAの48週目までのlogの平均変化を示す。挿入表は、4週目、8週目、12週目、24週目および48週目でのHDV RNAの≧2log10低減を示す対象の数およびパーセンテージならびに定量限界未満のHDV RNAレベルを示す対象の数およびパーセンテージを示す。
【0022】
図3】180mcgでのインターフェロンラムダは、120mcgでのインターフェロンラムダと比較して、高い応答率をもたらす。グラフは、180mcgまたは120mcg インターフェロンラムダで処置した対象の48週目までの平均HDV RNAの低減を示す。挿入表は、120mcgおよび180mcg用量でのHDV RNAの平均log低減、HDV RNAの≧2log10低減を有する対象の数およびパーセンテージならびに定量限界未満のHDV RNAレベルを有する対象の数およびパーセンテージを示す。
【0023】
図4】ウイルス応答の持続性を示す。
【0024】
図5】インターフェロンラムダでのALT正常化を示す。
【0025】
図6】表5と共に、インターフェロンラムダに対する応答が持続可能であることを示す。
【0026】
図7】インターフェロンラムダでのHBsAg低減を示す。
【0027】
図8】処置48週目の応答者のHDV RNAの経時変化を示す。
【0028】
図9】ウイルス応答の持続性をさらに示す。
【0029】
図10】ALT正常化および≧2log10低減またはBLQの複合性エンドポイントを示す。
【0030】
図11】Lambda対PEG INFアルファの比較であって、PEG INFアルファで達成された0%持続性ウイルス応答(SVR)およびLambdaで達成された36%持続可能ウイルス応答(DVR)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な記載
I. 定義
本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、ここで用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、限定することを意図するものではない。異なる定義をしない限り、ここで用いられる全ての技術的および科学的用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。この明細書および後に続く特許請求の範囲において、異なる意図が明白でない限り以下の意味を有すると定義されるべき多くの用語につき言及する。いくつかの場合において、通常理解される意味を有する用語が明確性および/または即時引用のためにここで定義され、ここにおいてそのような定義が包含されることは、本技術分野において一般的に理解される用語の定義に対する本質的な相異を表すものと解釈されてはならない。
【0032】
ここに記載のものと同様または同等の任意の方法および物質が本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法、デバイスおよび物質がここに記述される。ここで引用される全ての技術文献および特許文献は、その全体が引用により本明細書に包含される。ここのいかなる記載も、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきでない。
【0033】
範囲を含む全ての数値表示、例えばpH、温度、時間、濃度および分子量は、必要に応じて、0.1または1.0の増分で(+)または(-)変化する近似値である。必ずしも明示的に示されていなくても、全ての数値表示はその前に用語「約」が付くと解されるべきである。
【0034】
単数表現は、他に文脈により明らかに指示されない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物」への言及は、複数の化合物を含む。
【0035】
用語「投与」は、本開示の化合物、組成物または薬剤を、ヒトなどの宿主に導入することをいう。本明細書において、薬剤の投与の1つの好ましい投与経路は、皮下投与である。他の投与経路は、静脈内投与および経口投与である。
【0036】
用語「ベースライン」は、他に明記されていないかまたは文脈から明らかでない限り、治療過程前に得られた測定値(例えば、ウイルス負荷、対象の状態、ALTレベル)をいう。
【0037】
用語「含む」は、化合物、組成物および方法が列挙される要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味することが意図される。「から本質的になる」は、化合物、組成物および方法を定義するために用いられるならば、特許請求の範囲に係る発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響する他の要素を除外することを意味するものとする。これらの移行句のそれぞれにより定義される実施態様は、本発明の範囲内である。
【0038】
用語「処置過程」および「治療過程」は、ここでは交換可能に使用され、対象が診断された後、例えば、HDVに感染し、医学的介入を必要とする場合の医療介入をいう。医療介入には、一定期間、典型的には、HDV感染対象につき、少なくとも1か月、典型的には数か月または何か月もまたは数年もの間の薬物の投与が含まれるが、これに限定されない。
【0039】
ヒト血清または血漿サンプルの「HDV RNAウイルス負荷」または「ウイルス負荷」という用語は、所定の量のヒト血清または血漿サンプルにおけるHDV RNAの量をいう。HDV RNAは、一般に、定量的リアルタイム逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)アッセイによって検出される。そのようなアッセイでは、アッセイ中に生成されるシグナル量は、サンプル中のHDV RNA量に比例する。試験サンプルからのシグナルは、定量化されたデルタ型肝炎RNA標準の希釈系列のシグナルと比較され、ゲノムコピーのコピー数が計算される。例えば、Kodani et al., 2013, J. Virol. Methods, 193(2), 531; Karatayli et al., 2014, J. Clin. Virol, 60(1), 11を参照。HDV RNAウイルス負荷は、1mL血清(または血漿)あたりのRNAコピーまたは1mL血清(または血漿)あたりの国際単位(IU)を用いて報告され得る。Chudy et al., 2013, Collaborative Study to establish a World Health Organization International standard for hepatitis D virus RNA for nucleic acid amplification technique (NAT)-based assays.” WHO Expert Committee on Biological Standardization WHO/BS/2013.2227を参照。市販のアッセイは、ARUP Laboratories(Salt Lake City, UT)から入手可能である。ARUP HDV RNAアッセイの検出限界は31IU/mLと報告されている。Analytik Jena AG(Germany)は、抗ウイルス治療への反応を評価するために、WHO標準規格でCE-IVD認定を取得したRoboGene(登録商標)HDV RNA定量キット2.0を提供している。RoboGene(登録商標)アッセイの検出限界は6IU/mLであると報告されている。特定の単位のない「ウイルス負荷」(例えば、「ウイルス負荷が100未満」)とは、別段の指示がない限りまたは文脈から明らかでない限り、血清1mL当たりのHDV RNAのコピーをいう。特に明記されていない限り、「検出レベル未満」への言及は15IU/mL未満を意味する。
【0040】
HDVレベルはlog10単位を用いて提示される。HDV RNAレベルは、「1mL当たりのRNAコピー」または「1mL当たりの国際単位(IU)」の単位で提示することができる。See, Chudy et al., 2013, Collaborative Study to establish a World Health Organization International standard for hepatitis D virus RNA for nucleic acid amplification technique (NAT)-based assays.” WHO Expert Committee on Biological Standardization WHO/BS/2013.2227を参照。両方の単位がここで用いられる。ここで用いられるならば、「1mL当たりHDV RNAコピー」(例えば、実施例に示すとおり、特に明記されず、臨床試験結果に関連する記載を含まないとき)の記載は、明細書の記載の目的でまたは基礎として、「HDV RNAコピー/mLまたはHDVIU/mL」として読まれるべきである。特定の量の1mL当たりのHDV RNAコピーが記載される場合、明細書の記載およびサポートのために、HDV RNAコピー/mLの量をIU/mLの量に変換するため1.2の乗数を適用することができる。例えば、「1mL当たり120HDV RNAコピー」は、「120コピー/mLまたは100IU/mL」と読まれるべきである。
【0041】
HDV RNAレベルの変化は、ウイルス学の通常の慣習に従う「log低減」として表すことができる。例えば、ウイルス負荷における1log低減(すなわち、-1log10)(例えば、7log10から6log10)は、10倍の低減であり、ウイルス負荷における2log低減(すなわち、-2log10)である例えば、7log10から5log10まで)は、100倍の低減である。4logRNAコピー/mLから3logRNAコピー/mLへの低減は、4log10IU/mLから3log10IU/mLへの低減と同等である。
【0042】
ヒト(宿主)に関して用語「HDV感染」は、宿主がHDV感染を罹患しているという事実をいう。典型的に、HDV感染ヒト宿主は、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約2log10HDV RNAコピーまたは宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10コピー、多くの場合、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約3log10HDV RNAコピーまたは宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10コピー、また、多くの場合、特に何れの治療も受けていない対象について、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約4log10HDV RNAコピーまたは宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10コピー、例えば、宿主血清もしくは血漿1mL当たり約4log10HDV RNAコピー~宿主血清もしくは血漿1mL当たり8log10HDV RNAコピーまたは宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10~10コピーなどのHDV RNAウイルス負荷を有する。ここで用いられるならば、ヒト宿主に関する用語「慢性HDV感染」は、陽性HDV抗体(Ab)試験により記述されるとおり、および/またはqRT-PCRにより検出可能なように、少なくとも6か月間、ヒト宿主において持続したHDV感染をいう。HDVの診断および病因は、例えば、Wedemeyer et al., Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol, 2010, 7:31-40に記載される。
【0043】
用語「定量下限」は、所定の信頼限界内の特定のアッセイによって確実に定量化され得る分析物(例えば、ウイルス力価)の物質の最低濃度をいう。
【0044】
用語「対象」、「宿主」または「対象」は、互換的に用いられ、以前にHDVに感染し、ウイルスが除去された対象を含む、HDVに感染したヒトをいう。
【0045】
用語「医薬組成物」は、対象への投与に適した組成物を包含することを意味する。一般的に「医薬組成物」は無菌で、対象内で所望しない反応を誘発し得る汚染物質を有しない(例えば、医薬組成物中の一または複数の化合物が医薬品グレードである)ことが好ましい。医薬組成物は、経口、静脈内、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内、筋肉内、皮下、吸入などを含む多くの異なる投与経路により、それを必要とする対象または対象へ投与するために設計され得る。
【0046】
HDVウイルス負荷の「持続的低減」は、一定期間(例えば、1か月、3か月、6か月、1年またはそれより長い)ウイルス負荷の低減(例えば、少なくとも1.5log10 HDV RNAIU/mL血清、少なくとも2.0log10 HDV RNAコピー/mL血清または少なくとも2.5log10 HDV RNAIU/mL血清の低減または検出不能なレベルまでのHDV RNAの低減)を意味する。持続的低減は、処置過程がなお継続中である期間でも、処置過程が終了したのちの期間でもあり得る。
【0047】
ここで用いられる用語「治療有効量」は、疾患、障害または病態をある程度処置する、例えば処置されている疾患すなわち感染の症状の1つ以上を緩和する、投与される物質(例えば、化合物、阻害剤または薬物)の実施態様の量および/または処置されている対象が発症しているかまたは発症する危険性がある疾患、すなわち感染の症状の1つ以上をある程度防止する量をいう。
【0048】
用語「処置」および「処置する」は、疾患、障害もしくは病態の薬理学的および/または生理的影響および/またはその症状を低下させるかまたは改善するために、薬剤を用いて疾患、障害または病態に対処することとして定義される。ここで用いられる「処置」は、ヒト対象における疾患のあらゆる処置を含み、(a)疾患に罹患しやすいと判定されたが疾患に感染したとしてまだ診断されていない対象において疾患の発生の危険性を低下させること、(b)疾患の発現を阻害することおよび/または(c)疾患を緩和すること、すなわち疾患の退縮を引き起こすことおよび/または1つ以上の疾患症状を緩和することを含む。「処置」はまた、疾患または病態の非存在下でも薬理効果を提供する阻害剤の送達を包含することを意味する。例えば「処置」は、対象において強化された効果または望ましい効果(例えば、ウイルス負荷の低減、疾患症状の低減など)を提供する薬剤の送達を含む。
【0049】
HDV RNAレベルに関して使用される「検出不能な」または「検出レベル未満」または「BLD」という用語は、使用されるアッセイ方法によってHDV RNAコピーが検出されないことを意味する。ある実施態様では、アッセイは定量的RT-PCRである。
【0050】
ここで用いられる用語「持続可能ウイルス応答」または「DVR」は、処置終了後1週間以上または最終処置の2~12週間または最終処置12~24週間後または最終処置12~48週間後の、定量限界未満(BLQ)のHDV RNAの対象における処置後応答をいう。
【0051】
II. 処置方法
ある態様では、本発明は、HDV感染対象にインターフェロンラムダ治療を投与することによる、HDV感染を処置する方法を提供する。ある実施態様では、インターフェロンラムダのペグ化形態(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)が投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ治療)を受ける対象は、抗ウイルスヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログ(例えば、抗HBVヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ)でも処置される。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ治療)を受ける対象は、例えば、インターフェロンラムダ治療の期間またはインターフェロンラムダ治療が投与される期間の一部、ロナファルニブ治療またはロナファルニブおよびリトナビル治療でも処置される。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ治療)を受ける対象は、抗ウイルスヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログ治療を投与されない。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ治療)を受ける対象は、ロナファルニブ治療またはロナファルニブおよびリトナビル治療を投与されない。
【0052】
インターフェロンラムダ
インターフェロンは、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節するポリペプチドである。それらのシグナル伝達に介在する受容体のタイプに基づいて、ヒトインターフェロンは3つの主要な型(I型、II型、およびIII型)に分類されてきた。全てのI型IFNは、IFNAR1およびIFNAR2鎖からなるIFN-アルファ受容体(IFNAR)として知られる特定の細胞表面受容体複合体に結合する。ヒトに存在するI型インターフェロンは、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-イプシロンおよびIFN-オメガである。II型IFNは、IFNGR1およびIFNGR2鎖からなるIFN-ガンマ受容体(IFNGR)に結合する。ヒトにおけるII型インターフェロンは、IFN-ガンマである。III型インターフェロン群は、IFN-ラムダ1、IFN-ラムダ2およびIFN-ラムダ3と呼ばれる(それぞれIL29、IL28AおよびIL28Bとも呼ばれる)、3つのIFN-ラムダ分子からなる。これらのIFNは、IL10R2(CRF2-4とも呼ばれる)およびIFNLR1(CRF2-12とも呼ばれる)からなる受容体複合体を介してシグナル伝達する。
【0053】
ここで使用される「インターフェロン-ラムダ」または「IFN-λ」という用語は、天然IFN-λ;合成IFN-λ;誘導体化IFN-λ(例えば、PEG化IFN-λ、グリコシル化IFN-λなど);および天然または合成IFN-λのアナログを含む。ある実施態様では、IFN-λは、血清半減期などの一定の特性を変更するために誘導体化された(例えば天然ペプチドと比較して化学的に修飾された)IFN-λの誘導体を包含する。すなわち、用語「IFN-λ」は、ポリエチレングリコールで誘導体化されたIFN-λ(「PEG化IFN-λ」)などを含む。PEG化IFN-λ(例えば、PEG化IFN-λ-1a)およびその作製方法は、例えば、米国特許6,927,040、7,038,032、7,135,170、7,157,559および8,980,245;ならびにWO2005/097165、2007/012033、2007/013944および2007/041713に記載され;その全ては、その全体が引用により本明細書に包含される。ある実施態様では、IFN-λは、PCT/US2017/018466に記載されIFN-λであり、それはその全体が引用により本明細書に包含される。ある実施態様では、PEG化IFN-λ-1aは、米国特許7,157,559に記載される構造を有し、それは、その全体が引用により本明細書に包含される。
【0054】
ある実施態様では、本明細書中に記載される治療方法における使用のためのインターフェロンは、ペグ化IFN-λ1(例えば、ペグ化IFN-λ-1a)、ペグ化IFN-λ-2またはペグ化IFN-λ-3である。ある実施態様では、インターフェロンはペグ化IFN-λ1(例えば、ペグ化IFN-λ-1a)である。
【0055】
ある実施態様では、ペグ化IFN-λ1は下記アミノ酸配列を有する(線は鎖内ジスルフィド結合を示す)[配列番号1]。
【化1】
【0056】
対象集団
ある実施態様では、ここに記載のインターフェロンラムダで処置される対象は、HDV感染、急性HDV感染または慢性HDV感染を有する対象である。ある実施態様では、処置される対象は、陽性HDV抗体(Ab)試験および/またはqRT-PCRによって検出され得るHDV RNAで記録された、少なくとも6か月の持続性の慢性HDV感染を有する。ある実施態様では、ここに記載の治療方法で処置される対象は、新たに診断されたか、そうでなければ6か月以上にわたってその対象において存在しなかったと考えられる、急性HDV感染を有する対象である。HDVの診断および病理検査は、例えば、Wedemeyer et al., Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol, 2010, 7:31-40に記載される。HDVは、様々なサブタイプで存在することが知られている。ここに記載の方法は、HDVのサブタイプにかかわらず、全てのHDV対象を処置するのに適している。ある実施態様では、対象は成人(18歳以上)であり、他の実施態様では、対象は小児である。
【0057】
ある実施態様では、処置される対象は、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは血清または血漿1mL当たり少なくとも10IU、例えば血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IUのベースラインウイルス負荷を有する。ある実施態様では、処置される対象は、最大約10 HDV RNAコピー/mL血清または血漿または最大約10IU/mL血清または血漿であるベースラインウイルス負荷を有する。ある実施態様では、処置される対象は、最大約10 HDV RNAコピー/mL血清または血漿または最大約10IU/mL血清または血漿であるベースラインウイルス負荷を有する。ある実施態様では、処置される対象は、最大約10 HDV RNAコピー/mL血清または血漿または最大約10IU/mL血清または血漿であるベースラインウイルス負荷を有する。
【0058】
ある実施態様では、HDVウイルス負荷は、対象からの血清サンプルを使用して測定する。ある実施態様では、HDVウイルス負荷は、対象からの血漿サンプルを使用して測定する。ある実施態様では、ウイルス負荷は定量的RT-PCRにより測定する。血清または血漿中のHDV RNAの定量のためのqRT-PCRアッセイは、例えば、上記のとおり、当分野で知られる。
【0059】
ある実施態様では、処置される対象は、肝機能不全の1つ以上の症状を示す。ある実施態様では、対象は、健康な対照(例えば、HDVまたはHBVに感染していない対象)の正常なパラメータの外にある1つ以上の肝機能パラメータを示す。ある実施態様では、肝機能パラメータは、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびプロトロンビン活性からなる群から選択される。ある実施態様では、対象は、正常上限(ULN)の少なくとも2倍(例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍またはそれ以上)の血清ALTレベルを有する。肝機能パラメータは文献に記載されている。例えば、Limdi et al., Postgrad Med J, 2003, 79:307-312を参照。これらの肝機能パラメータを測定する方法は当分野で知られ、また、市販されている。
【0060】
ある実施態様では、対象は、肝硬変を伴うまたは伴わない、代償性肝疾患(例えば、Child-Turcotte-Pugh分類システムに従って分類されたもの)を有する。Child-Turcotte-Pugh分類システムは、肝疾患の重篤度を分類するために使用され、血清アルブミンレベル、ビリルビンレベル、プロトロンビン時間レベルの国際標準比、腹水形成および脳症を評価することによって決定されることが、当業者に認識される。ある実施態様では、対象は、Child-Turcotte-Pughスコア5~6(クラスA)を有する。ある実施態様では、対象はChild-Turcotte-Pughスコア1~6を有する。ある実施態様では、対象はChild-Turcotte-Pughスコア1~2または1~3または2~4または3~4または2~5または3~5または2~6を有する。ある実施態様では、対象は、肝硬変を伴う代償性肝疾患を有する。ある実施態様では、対象は、肝硬変を伴わない代償性肝疾患を有する。
【0061】
ある実施態様では、対象は、例えば、肝生検、肝機能試験、超音波検査、肝静脈圧較差(HVPG)測定、ALTレベル、その他血液検査またはアルブミンレベルの1以上で決定して、慢性肝炎を有すると診断される。ある実施態様では、生検は、処置前6か月以内である。ある実施態様では、生検は、ここに提供する方法による処置開始前18か月以内である。ある実施態様において、生検は、処置前1日~24か月以内である。ある実施態様において、対象は、スクリーニング前6か月以内の肝生検に基づき、慢性肝炎の証拠を有する。ある実施態様では、対象は、処置前24週間以内および/または処置開始時、処置前24か月以内、処置前24か月~1か月または処置前12か月~1日以内に、正常上限(ULN)を超える血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有する。種々の実施態様では、対象は、実施例1における独立して選択された適格基準の1以上を満たす。
【0062】
インターフェロンラムダ投与レジメン
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、対象にインターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)を180マイクログラム(mcg)/週の用量で、120mcg/週、110mcg/週、100mcg/週、90mcg/週、80mcg/週、120~70mcg/週、200~120mcg/週、170~130mcg/週の用量で投与することを含む。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、180mcg QWの用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、90mcg週2回の用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、90mcgを3~4日毎の用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、80mcg週2回の用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、80mcgを3~4日毎の用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、100~70mcg週2回の用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、100~70mcgを3~4日毎の用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、120mcg QWの用量で投与される。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、80mcg QWの用量で投与される。
【0063】
ある実施態様では、HDV感染について処置される対象は、処置過程中、インターフェロンラムダ治療の投与レジメンの調節がなされる。ある実施態様において、対象は、1以上の後の用量が、1以上のそれ以前の用量より低い点でインターフェロンラムダの用量の低減を受ける。ある実施態様では、対象が許容されない副作用を示すならば、用量が低減される。ある実施態様では、インターフェロンラムダでの処置過程において、対象は複数回の用量低減を受け得る。ある実施態様では、対象に投与される投与量は、第一投与量(例えば、180mcg QWの第一投与量)での8週間の処置前または第一投与量での1週間または2週間または3週間または4週間または5週間または6週間または7週間の処置前に低減されない。ある実施態様では、対象に投与される投与量は、第一投与量(例えば、180mcg QWの第一投与量)での9~12週間の処置前に低減されない。
【0064】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、第一処置期間について、180マイクログラム/週の用量で対象にインターフェロンラムダを投与し、続いて第二処置期間について、120マイクログラム/週の用量で対象にインターフェロンラムダを投与することを含む。ある実施態様では、第一処置期間の長さは、第二処置期間の長さと同じである。ある実施態様では、第一処置期間および第二処置期間は、異なる期間の長さである。ある実施態様では、第一処置期間(すなわち、180mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)は、第二処置期間(すなわち、120mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)より長い。ある実施態様では、第二処置期間(すなわち、120mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)は、第一処置期間(すなわち、180mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)より長い。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、第三処置期間について対象に110~80マイクログラム/週の用量でインターフェロンラムダを投与することをさらに含む。ある実施態様では、第三処置期間の長さは、第一および/または第二処置期間の長さと同じである。ある実施態様では、第三処置期間および第一および/または第二処置期間は、異なる期間の長さである。ある実施態様では、第三処置期間(すなわち、110~80mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)は、第一および/または第二処置期間より長い。ある実施態様では、第三処置期間(すなわち、80mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)は、第一および/または第二処置期間より短い。
【0065】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、第一処置期間について、120マイクログラム/週の用量で対象にインターフェロンラムダを投与し、続いて第二処置期間について、110~80マイクログラム/週の用量でインターフェロンラムダを投与することを含む。ある実施態様では、第一処置期間の長さは、第二処置期間の長さと同じである。ある実施態様では、第一処置期間および第二処置期間は、異なる期間の長さである。ある実施態様では、第一処置期間(すなわち、120mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)は、第二処置期間(すなわち、80mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)より長い。ある実施態様では、第二処置期間(すなわち、80mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)は、第一処置期間(すなわち、120mcg/週の用量でのインターフェロンラムダ)より長い。
【0066】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、第一処置期間で、インターフェロンラムダ180マイクログラムの第一用量をQWで、第二処置期間で170~120マイクログラムの第二用量をQEで、そして第三処置期間で110~80マイクログラムの第三用量をQEで投与することを含む。ある実施態様では、第一処置期間は少なくとも8週間または1~8週間または1~12週間の期間である。ある実施態様では、第一処置期間は8~12週間の期間である。
【0067】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、第一処置期間で、インターフェロンラムダを160~180マイクログラム/週の第一用量を、第二処置期間で170~120マイクログラム/週の第二用量を、そして第三処置期間で110~60マイクログラム/週の第三用量を投与することを含む。ある実施態様では、第一処置期間は少なくとも8週間または1~8週間または1~12週間の期間である。ある実施態様では、第一処置期間は8~12週間の期間である。用量を、週用量に等しいマイクログラム数で、週あたり複数用量で与えてよい。
【0068】
ある実施態様では、処置期間(例えば、第一処置期間、第二処置期間および/または第三処置期間)は少なくとも1週間の期間、例えば、少なくとも2週間、3週間、4週間またはそれより長期である。ある実施態様では、処置期間(例えば、第一処置期間、第二処置期間および/または第三処置期間)は少なくとも2週間の期間、例えば、少なくとも4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間、48週間またはそれより長期である。ある実施態様では、処置期間は少なくとも8週間の期間である。ある実施態様では、処置期間は最大約4週間の期間または最大約6週間、8週間、10週間、12週間、16週間、20週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間または48週間の期間である。ある実施態様では、処置期間は最大約8週間の期間である。ある実施態様では、処置期間は最大約12週間の期間である。
【0069】
用量低減を受ける対象について、ある実施態様では、第一用量での処置期間は、第二の低用量でのその後の処置期間の開始前に休薬または停止される。例えば、ある実施態様では、第一処置期間(例えば、180mcg/週の用量)は、第二処置期間(例えば、120mcg/週の用量)開始前になくとも1週間、2週間、3週間、4週間またはそれより長期に休薬または停止される。
【0070】
ある実施態様では、対象は、用量低減前に、180マイクログラムをQWの第一用量を少なくとも8週間投与される。ある実施態様では、対象は、用量低減前に、180マイクログラムをQWの第一用量を、少なくとも8~12週間投与される。
【0071】
ある実施態様では、対象が≧500/mm~<750/mmまたは≧400/mm~<650/mmまたは≧400/mm~<850/mmの絶対好中球数(ANC)を有するならば、対象は第二処置期間を開始する。
【0072】
ある実施態様では、対象が<500/mmのANCを有するならば、対象への投与対象のANCが>1000/mmになるまで対象への投与は中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。他の実施態様では、対象が<400/mmのANCを有するならば、対象への投与対象のANCが>750/mmになるまで対象への投与は中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。
【0073】
ある実施態様では、対象が<50,000の血小板レベルを有するならば、対象は第二処置期間を開始するまたは対象が<25,000の血小板レベルを有するならば、対象は処置を中断する。
【0074】
ある実施態様では、対象が総ビリルビン(TBILI)>2.5×上限正常範囲(ULN)および直接ビリルビン(DB)>3×ULNを有するならば、対象への投与は、対象がTBILI≦1.5×ULNを有するまで停止し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。
【0075】
ある実施態様では、対象がTBILI>3×ULNおよびDB>3×ULNを有するならば、TBILI≦1.5×ULNまで対象の投薬を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。
【0076】
ある実施態様では、対象がALT(またはAST)≧20×ULNおよびTBILIおよび/または国際標準比(INR)<グレード2を有するならば、対象の投薬をALT/AST<10XULNまで中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。ある実施態様では、対象が2回目のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST))≧20×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、対象の投与を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。
【0077】
ある実施態様では、対象がALT(またはAST)≧15~20×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、対象の投与をALT/AST<10XULNまで中断、次いで第二処置期間のための投与を再開する;または対象が2回目のALT(またはAST)≧15~20×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、対象の投与をALT/AST<10XULNまで中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。
【0078】
ある実施態様では、中断後の投与続行を、中断1週間、2週間、3週間または4週間後に再開する。
【0079】
ある実施態様では、対象がALT(またはAST)≧15×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、対象の投薬をALT/AST<10XULNまで中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。ある実施態様では、対象が2回目のANCのALT(またはAST)≧15×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、対象への投与を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する。
【0080】
ある実施態様では、対象がALT(またはAST)≧5×ULNおよびTBILIおよび/またはINR≧グレード2を有するならば、対象の処置を終了する。
【0081】
ある実施態様では、対象がALT(またはAST)≧10×ULNおよびTBILIおよび/またはINR≧グレード3を有するならば、対象の処置を終了する。
【0082】
ある実施態様では、対象が有害事象≧グレード3を経験したならば、事象が解消するかまたは≦グレード1まで対象の投与を中断し、第二処置期間のための投与を再開する。
【0083】
ある実施態様では、対象が≧グレード3の第二有害事象を経験したならば、対象の投与を中断し、次いで第三処置期間のための投与を再開する。
【0084】
ある実施態様では、対象が<50mL/分のクレアチニン・クリアランスレベルを有するならば、対象の処置を中止する。
【0085】
ある実施態様では、肝胆道異常に基づき、処置中断、低減および/または中止の基準を満たす対象は、次の1以上を含む臨床精密検査を受け得る。自己免疫性マーカー(抗核抗体[ANA]、抗平滑筋抗体[例えば、抗SMA]、抗LC1、抗SLA肝腎ミクロソーム1型およびIII型抗体[例えば、抗LKM1,3]);C3、C4およびCH50;急性ウイルス性肝炎;急性A型肝炎およびE型肝炎の血清試験(IgM);HCV、E型肝炎のPCR(便および血液);例えば、PCRによりサイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)または単純ヘルペスウイルス1および2(HSV);肝臓のドプラUSでの胆汁うっ滞精密検査;既存肝疾患(HBV以外)のレビュー;併用薬または生薬および肝毒性であることが知られる物質のレビュー、必要であれば、アルコールおよびアセトアミノフェンおよび薬物の濫用試験;ビリルビンレベルがベースラインより1.5倍を超えて高い対象については、ドプラを含む肝臓の超音波検査を実施しなければならない;臨床上実行可能であるならば、肝生検を実施しなければならない;経皮生検が禁忌であるならば、経頸静脈生検が検討され得る;ビリルビンがベースライン値に戻るまで、肝臓および生化学試験を毎週実施しなければならない(最小限ALT、AST、ビリルビン、INR、アルカリホスファターゼおよびガンマ-GTを含む);HBV DNAおよびHDV RNAを、Bili<1.5×ULNまで毎週モニターしなければならない;5mlの血清+5mlの血漿を、後のバイオマーカー分析の可能性のために採取しなければならない。
【0086】
ある実施態様では、何れかの処置期間でベースラインGGT、ALT/ASTまたはアルカリホスファターゼの4倍増加または>Bili 1.5mg/dL、直接ビリルビン>0.6(ジルベール症候群が存在するならば)の対象には、「肝保護」のためにウルソデオキシコール酸を処方してよい。
【0087】
ある実施態様では、対象は、B型肝炎処置用テノフォビルDFまたはエンテカビルも投与される。
【0088】
ある実施態様では、ステージ0~III疾患を有する対象であって、対象がベースラインで≦11.4kPaを有し、投与中断、次いで低減、次いで中止は連続して次のとおり必要とされる:Alb>3.5g/dLおよびINR<1.5および総ビリルビン<3mg/dLの対象では、ALT>20×ULN(>1000IU/mL)で投与中断1およびALT<10×ULN(<500IU/mL)のとき次の低ラムダ用量で再開およびALT 20×ULN(>1000IU/mL)で次の投与中断2、次いでALT<10×ULN(<500IU/mL)のとき次の低ラムダ用量で再開または80mg用量でビリルビンが3.0mg/dL以上であるならば、中止する。
【0089】
ここで、次の略語が使用される:AE、有害事象;ALT、アラニンアミノトランスフェラーゼ;ANC、絶対好中球数;AST、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;CTCAE、有害事象共通用語規準;DB、直接ビリルビン;DILI、薬剤誘発性肝傷害;PT、プロトロンビン時間;SAE、重度有害事象;TBILI、総ビリルビン;ULN、正常域の上限。
【0090】
処置期間および処置エンドポイント
対象は、所定の期間、不特定の期間またはエンドポイントに達するまで、インターフェロンラムダ治療を受け得る。処置は、少なくとも2~3か月間毎日連続的に継続され得る。ある実施態様では、治療は、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも150日間または少なくとも180日間である。ある実施態様では、治療は、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも1年間、少なくとも15か月間、少なくとも18か月間または少なくとも2年間継続される。ある実施態様では、治療は、少なくとも6週間、12週間、18週間、24週間、30週間、36週間、42週間、48週間、60週間、72週間、84週間または96週間である。他の実施形態では、処置は、対象の残りの人生の間または有意義な治療上の利益を提供する十分に低いレベルでウイルスを維持することでは投与がもはや有効でなくなるまで、継続される。
【0091】
ここでの方法によって、一部HDV対象は、検出不能なレベルまでウイルスを除去することにより、ここに記載する治療に応答する。ある実施態様では、HDV RNAレベルが検出レベル未満の対象について、HDVレベルが検出可能なレベルに戻らない限り、またはレベルに戻るまで処置を中断する。他の対象は、ウイルス負荷低減および症状改善を経験するが、検出不能なレベルまでウイルスを除去しないが、規定された期間(例えば、約1年、約2年、約3年またはそれ以上)または治療利益が提供される限り治療を継続する。
【0092】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療での処置は、8週間の治療後に測定した場合、対象において、少なくとも1.5log10HDV RNAコピー/mL血清のHDVウイルス負荷の低減を生じる。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療での処置は、48週間処置後に測定したとき、対象において、少なくとも2.0log10 HDV RNAコピー/mL血清のHDVウイルス負荷の低減を生じる。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療での処置は、48週間の治療後に測定したとき、対象において、少なくとも2.5log10 HDV RNAコピー/mL血清のHDVウイルス負荷の低減を生じる。
【0093】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療での処置は、処置過程がまだ進行している間の一定期間(例えば、1か月、3か月、6か月、1年またはそれ以上)持続するHDVウイルス負荷の持続的低減(例えば、少なくとも1.5log10 HDV RNAIU/mL血清、少なくとも2.0log10 HDV RNAコピー/mL血清または少なくとも2.5log10 HDV RNAIU/mL血清への低減、またはHDV RNAの検出不能なレベルへの低下)をもたらす。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療での処置は、処置過程が終了した後の一定期間(例えば、1か月、3か月、6か月、1年またはそれより長い期間)持続するHDVウイルス負荷の持続的な低減をもたらす。ある実施態様では、治療過程は、1,000コピー/mL未満のHDV RNAレベル(例えば、血清HDV RNAレベルまたは血漿HDV RNAレベル)を生じる。ある実施態様では、HDV RNAレベルは、少なくとも1か月、少なくとも3か月、少なくとも1年またはそれ以上の間、1,000コピー/mL未満のままである。ある実施態様では、治療過程は、100コピー/mL未満のHDV RNAレベル(例えば、血清HDV RNAレベルまたは血漿HDV RNAレベル)を生じる。「未満である」なる用語は、当初値より高くない当初測定値の決定後、一定期間、例えば、1か月(または他の特定の期間)、ウイルス負荷測定の当初測定値(例えば、100コピー/mLまたは100IU/mL)より低いままであることをいう。ある実施態様では、対象は、特定期間インターフェロンラムダ治療を受けない。ある実施態様では、対象は、特定期間あらゆる抗HDV処置を受けない。
【0094】
ある実施態様では、本明細書に記載の治療は、HDV RNAレベルが3log10 HDV RNAコピー/mL未満(1,000コピー/mL未満)となるまで、または場合によりHDV RNAレベルが2log10 HDV RNAコピー/mL未満(100コピー/mL)もしくは検出レベル未満となるまで、一定期間継続される。ある実施態様では、治療は、ウイルス負荷が許容可能な低いレベル(例えば、検出不能なレベル)に低下した後一定期間(例えば1~3か月以上)継続され得る。ある実施態様では、HDVウイルス負荷が検出不能なレベルに低下するまで、治療は継続される。
【0095】
ある実施態様では、本明細書に記載の方法に従って処置された対象は、処置過程の間に検出不能なレベルへのHDVウイルス負荷の低減を示し、処置終了後少なくとも12週間、検出不能なレベルのHDVウイルス負荷の低減を維持する。ある実施態様では、ここに記載の方法に従って処置された対象は、処置過程の間に検出不能なレベルへのHDVウイルス負荷の低減を示し、処置終了後少なくとも24週間、検出できないレベルのHDVウイルス負荷の低減を維持する。
【0096】
ある実施態様では、対象のHDV力価は、処置過程の間、ベースライン未満へ低下する前に、ベースラインから上昇する。いくつかの実施形態では、対象のHDVレベルは、ベースラインの150%超、またはベースラインの200%超に上昇する。ある実施態様において、力価上昇はベースラインの25~50%またはベースラインの25~100%またはベースラインの50~200%である。ある実施態様では、力価の上昇は、治療開始後2週間以内に起こる。ある実施態様では、対象の上昇したHDV力価は、治療開始の2週間以内または3週間以内にベースライン未満へ低下する。
【0097】
ある実施態様では、本明細書に記載の方法に従って処置された対象は、1つ以上の肝機能パラメータの改善を示す。ある実施態様では、肝機能の改善は、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビン、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)などの1つ以上の血清マーカー(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれを超えるマーカー)の改善である。ある実施態様では、本明細書に記載の方法に従って処置された対象は、肝線維症の改善(例えば、組織分析、一過性超音波エラストグラフィ(例えば、FibroScan)または磁気共鳴エラストグラフィによる生検によって評価される)を示す。ある実施態様では、処置は、治療開始前と比較して、対象の肝機能パラメータの1つ以上において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも100%または5~50%または10~80%または50~100%改善またはそれを超える改善(例えば、血清マーカーの改善または肝線維症の改善)を生じる。ある実施態様では、処置は、HDVまたはHBVに感染していない健康なコントロール対象のレベルまでの、1つ以上の肝機能パラメータの改善(例えば、血清マーカーの改善または肝線維症の改善)を生じる。ある実施態様では、対象は、血清ALTレベルの正常値上限内のレベルへの改善を示す。
【0098】
ある実施態様では、ここに記載の方法に従って処置された対象は、処置開始時のベースラインレベルと比較して、および/または対象のHDVウイルス負荷を低減させるのに有効な処置を受けていない同様の感染対象と比較して、HBVウイルス負荷の低減を示す。ある実施態様では、処置は、HBVウイルス負荷の少なくとも1log10低減を生じる。
【0099】
ある実施態様では、ここに記載の方法に従って処置された対象は、実施例1に記載される1つ以上のパラメータの改善を示す。ある実施態様では、本発明の方法に従って処置された対象は、HDVおよび/またはHBVウイルス負荷の低減を示す。処置前に、対象のHDVおよび/またはHBVウイルス負荷を測定し、ベースラインウイルス負荷を決定する。一定の処置期間後(例えば、12週間の処置後)、対象のウイルス負荷はベースラインと比較して低減する。ある実施態様では、一定の処置期間後(例えば、12週間の処置後)、対象のウイルス負荷は、ベースラインと比較して、非常に低いレベルまでまたは検出できないレベルまでなどに、実質的に低減する。ある実施態様では、処置は、HBVウイルス負荷の少なくとも2log10低減を生じる。ある実施態様では、ここに記載の方法に従って処置された対象は、HBsAgレベルの低減またはHBsAg抗原のクリアランスの改善を示す。処置前に、対象のHBsAgレベルを測定し、ベースラインを決定する。ある処置期間後(例えば、12週間の処置後)、対象のHBsAgレベルはベースラインと比較して低減する。ある実施態様では、ここに記載の方法に従って処置された対象は、抗HBs抗体の存在を示す。
【0100】
ある実施態様では、180μgのインターフェロンラムダで処置された対象集団で、応答率は高(>4log10)対低(≦4log10)ベースラインウイルス負荷の対象で異なる。ある実施態様では、48週目、高対低ベースラインウイルス負荷の対象のそれぞれ38~43%および33~40%がBLQのHDV RNAレベルに達した。他の実施態様では、72週目、これら2群間の差異はより顕著となり、低ベースラインウイルス負荷の対象の50~60%がBLQに達し、対して高ベースラインウイルス負荷の25~29%がこのエンドポイントを満たした。
【0101】
ある実施態様では、対象でALTレベル正常化をもたらす処置の可能性は約11%~約14%可能性は約12.1%~約42.4%である。他の実施態様では、対象のHDV RNAがBLQとなる処置の可能性は15.1%~約39.4%である。他の実施態様では、約-1.18log10 HDV RNA~約-2.35log10 HDV RNAのウイルス負荷低減が48週間の処置で観察される。ある実施態様では、投与中より最後の投与後、対象のALT正常化および>2log10低減が達成される可能性が高く、ある場合には、最後の投与は、投与4週目~48週目の間である。他の実施態様では、対象で、180mcg/週で投与したとき、処置の約36~45%の率で、投与24週後でALT正常化がもたらされる。ある実施態様では、対象が処置中第二用量に低減する可能性は、対象の約26~36%である;投与中断の率は約5~9%または処置中止は約21~26%の率である。
【0102】
ある実施態様では、180mcg/週用量が投与される対象のパーセントは、次の1以上を有する:用量低減(約30~36%)、中断(約7~9%)および処置中止(約21~24%)。他の実施態様では、120mcg/週用量が投与される対象のパーセントは、次の1以上を有する :用量低減(約26~30%)、中断(約5~9%)および処置中止(約24~26%)。他の実施態様では、180マイクログラム/週の出発用量を受け、最後の投与後の高(>4log10)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の38~43%対象は、48週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した。他の実施態様では、180マイクログラム/週の出発用量を受け、最後の投与後の高(>4log)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の25~29%は、処置後24週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した。他の実施態様では、180マイクログラム/週の出発用量を受け、最後の投与後の低(≦4log10)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の33~40%は、48週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した。他の実施態様では、180マイクログラム/週の出発用量を受け、最後の投与後の低(≦4log10)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の50~60%は、処置後24週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した。他の実施態様では、180マイクログラム/週の出発用量を受け、最後の投与後の高(>4log10)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の25~29%は、処置48週および24週後に検出不能なHDV RNAレベルを達成した。他の実施態様では、180マイクログラム/週の出発用量を受け、最後の投与後の低(≦4log10)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の33~40%は、処置48週および24週後に検出不能なHDV RNAレベルを達成した。
【0103】
他の実施態様では、最後の投与後、120マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の16~21%は、BLQのHDV RNAレベルを達成した;120マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の21~29%は、>2log10低減を達成した;120マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の11~14%は、ALT正常化を達成した;120マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の5~7%は、ALT正常化+>210低減を達成した;の1項以上が該当した。他の実施態様では、最後の投与24週間後、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の16~21%は、BLQのHDV RNAレベルを達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の11~14%は、>2log10低減を達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の26~36%は、ALT正常化を達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の11~14%は、ALT正常化+>2log10低減を達成した;の1項以上が該当した。他の実施態様では、最後の投与後、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の36~45%は、BLQのHDV RNAレベルを達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の50~64%は、>2log10低減を達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の14~18%は、ALT正常化を達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の4~18%は、ALT正常化+>2log10低減を達成したが該当した。他の実施態様では、最後の投与24週間後、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の36~45%は、BLQのHDV RNAレベルを達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の36~45%は、>2log10低減を達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の36~45%は、ALT正常化を達成した;180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の29~36%は、ALT正常化+>210低減を達成した;の1項以上が該当した。
【0104】
抗ウイルス共治療
ある実施態様では、本発明によりインターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、ヌクレオシドおよびヌクレオチドアナログ、HBV感染の処置に使用される化合物および他の医薬などの1以上の他の抗ウイルス剤でも処置され得る。
【0105】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、HBVの処置に使用される抗ウイルス剤で処置される。インターフェロン以外に現在承認されている抗HBV薬は、逆転写酵素を阻害し、ヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログである。これらの医薬は、HBVに対して有効であるが、HDVが複製に必要とするHBsAgを除去しないため、HDVに対して有効ではない。現在承認されている抗HBVヌクレオシド/ヌクレオチドアナログは、ラミブジン(Epivir-HBV(登録商標)、Zeffix(登録商標)またはHeptodin(登録商標))、アデフォビルジピボキシル(Hepsera(登録商標))、エンテカビル(Baraclude(登録商標))、テルビブジン(Tyzeka(登録商標)またはSebivo(登録商標))、クレブジン(Korea/Asia)、テノフォビル(Viread(登録商標)またはVemlidy(登録商標))を含む。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、ラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビル、テノフォビルまたはクレブジンのような、しかし、これらに限定されないヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログも投与される。ある実施態様では、対象は、インターフェロンラムダ治療開始前にヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログ治療を受ける。ある実施態様では、ヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログ治療はインターフェロンラムダ治療開始時またはインターフェロンラムダ治療の経過中に開始される。
【0106】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、ロナファルニブで処置される。HDVの処置のためのロナファルニブ治療は、引用により本明細書に包含させるUS2017/0042862に開示される。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、50~200mg/日、例えば、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日または200mg/日の総1日用量でロナファルニブ治療も受ける。ロナファルニブ治療は、1日1回(QD)または1日2回(BID)投与され得る。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、25mg BID、50mg BID、75mg BID、100mg BID、50mg QD、75mg QDまたは100mg QDの用量のロナファルニブ治療も受ける。ある実施態様では、ロナファルニブ治療はインターフェロンラムダ治療開始時またはインターフェロンラムダ治療の経過中に開始される。
【0107】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、ロナファルニブおよびCYP3A阻害剤共治療、例えばリトナビルまたはコビシスタットで処置される。ある実施態様では、CYP3A阻害剤はリトナビルである。ロナファルニブおよびリトナビル共治療は、引用により本明細書に包含させるWO2015/168648およびWO2017/079009に開示される。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、1日あたり50~200mgのロナファルニブ(例えば、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日または200mg/日のロナファルニブ)および1日あたり100~200mgのリトナビル(例えば、100mg/日、150mg/日または200mg/日のリトナビル)の総1日用量でロナファルニブ-リトナビル共治療も受ける。ロナファルニブ-リトナビル共治療は、1日1回(QD)または1日2回(BID)投与され得る。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療を投与されている対象は、25mg BID、50mg BID、75mg BID、100mg BID、50mg QD、75mg QDまたは100mg QDの用量のロナファルニブおよび50mg BIDまたは100mg BIDの用量のリトナビルも投与される。ある実施態様では、ロナファルニブ-リトナビル共治療はインターフェロンラムダ治療開始時またはインターフェロンラムダ治療の経過中に開始される。
【0108】
インターフェロンラムダ治療を受けているHDV感染対象に有益な効果を有し、投与され得る他の治療化合物は、チアゾリド;プロテアーゼ阻害剤;ポリメラーゼ阻害剤;ヘリカーゼ阻害剤;クラスC CpGトール様受容体7および/または9アンタゴニスト;両親媒性ヘリックス破壊因子またはNS4B阻害剤;スタチンまたは他のHMG CoAレダクターゼ阻害剤;免疫調節剤;抗炎症剤;第二プレニル化阻害剤;シクロフィリン阻害剤;およびアルファ-グルコシダーゼ阻害剤を含む。
【0109】
種々の実施態様では、インターフェロンラムダは、標準ヌクレオシドHBV薬およびUS2017/0042862に記載の有望な新規抗HDV治療、例えば、ロナファルニブ治療を、所望により最適な治療有効性のためにリトナビルなどの効力強化剤と組み合わせて、投与する。他の抗HBVまたはHDV医薬と組み合わせて投与されるとき、医師は、本発明により、80~180mcgの一般範囲の任意の1日用量で、例えば、180mcg/日、120mcg/日または80mcg/日の出発用量で、インターフェロンラムダの投与を開始し得る。パキスタンの一部対象は、おそらく、ビリルビン輸送に影響する遺伝子の遺伝的変異によりここに記載するインターフェロンラムダ治療で望まない副作用(高ビリルビンレベル)を示しており、医師は、まず他の処置レジメンを実施することを採用し、何れにしてもこのような対象は、このような副作用の出現について、それらを排除するために投薬を中断または低減することを確実にするために、緻密な監視を行う。
【0110】
製剤および投与
インターフェロンラムダは、あらゆる治療に適切な経路による投与のために製剤され得る。ある実施態様では、インターフェロンラムダは、静脈内または皮下投与による投与のために製剤される。全身および局所投与経路を含む、薬物送達に適する他の経路を使用し得る。
【0111】
ある実施態様では、インターフェロンラムダは皮下投与(例えば、皮下注射)により投与される。注射部位は、大腿、腹部、上腕領域または上殿部領域への注射を含むが、これらに限定されない。
【0112】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ)は、インターフェロンラムダおよび防腐剤、界面活性剤(例えば、ポリソルベートまたはポロクサマー)または着色剤(例えば、薬学的に許容される色素、無機色素および天然着色剤)などの1以上の添加物を含む、医薬製剤として製剤される。多様な薬学的に許容される添加物が当分野で知られる。薬学的に許容される添加物は、例えば、A. Gennaro (2000) “Remington: The Science and Practice of Pharmacy,” 20th edition, Lippincott, Williams, & Wilkins; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H.C. Ansel et al., eds., 7th ed., Lippincott, Williams, & Wilkins; and Handbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A.H. Kibbe et al., eds., 3rd ed. Amer. Pharmaceutical Assoc.を含む、多様な刊行物に多数記載されており、この各々は引用により本明細書に包含させる。
【0113】
ある実施態様では、インターフェロンラムダは、所望により、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤および防腐剤などの慣用の添加物と共に、植物油または他の類似油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪族酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの水性または非水性溶媒にインターフェロンラムダを溶解、懸濁または乳化することにより、注射用製剤に製剤され得る。注射または静脈内投与のための単位投与形態は、無菌水、生理食塩水または他の薬学的に許容される担体中に溶液として組成物を含み得る。インターフェロンラムダの単位用量形態のための活性医薬成分の適切な量は、ここに提供される。
【0114】
ある実施態様では、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ1aなどのインターフェロンラムダ1)またはそのアナログは、引用により本明細書に包含させる、米国特許6,927,040、7,038,032、7,135,170、7,157,559および8,980,245、US2009/0326204、US2010/0222266、US2011/0172170またはUS2012/0036590の特許公報の1つに記載されるとおり製剤および/または投与および/または修飾される。
【実施例
【0115】
III. 実施例
次の実施例は、本願発明を例示するために提供されるものであって、限定するものではない。
【0116】
実施例1. ペグ化インターフェロンラムダでHDV対象を処置するための臨床治験プロトコール
この実施例は、慢性HDV感染を有する対象におけるペグ化インターフェロンラムダ単剤療法の安全性、忍容性および薬力学を評価するためのフェーズ2臨床治験プロトコールを記載する。
【表1】
【0117】
全48週処置期間をとおして、総治験薬物用量の少なくとも80%を受け、1日目(ベースライン)および処置終了時(48週目)治験来院時にHDVウイルス負荷データが利用可能である対象コホートからの少なくとも1対象は、プロトコールに記載する1以上のエンドポイントで改善を示す。ある実施態様では、対象は、ベースラインと比較して、処置終了時HDVウイルス負荷の低減を示す。ある実施態様では、対象は、ベースラインと比較して、処置終了時HBVウイルス負荷の低減を示す。ある実施態様では、インターフェロンラムダ治療は、HDVウイルスを、処置終了12週間後測定して検出不能なレベルのような実質的低減を示す。ある実施態様では、対象は、ベースラインと比較して、処置終了時HBsAgレベルの低減を示す。ある実施態様では、対象は、HBsAg抗原除去の改善を示す。ある実施態様では、対象は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの低減を示す。ある実施態様では、処置開始前正常上限(ULN)を超える血清ALTを有する対象は、ULN内であるレベルまでの血清ALTレベルの改善を示す。
【0118】
実施例2. HDV処置のためのペグ化インターフェロンラムダ単剤療法
この実施例は、実施例1に記載するプロトコールに従い実施したフェーズ2ペグ化インターフェロンラムダ-1a(LIMT)臨床治験の24週目までの中間データを記載する。
【0119】
バックグラウンド:世界中で1500~2000万人がデルタ型肝炎(HDV)とB型肝炎(HBV)ウイルスに同時感染している。インターフェロン(IFN)またはペグ化(PEG)IFN-アルファは、慢性HDVを有する対象で試験されている。対象の最大25%がHDV PCR陰性になり得るが、大部分が治療中止後再発し、忍容性プロファイルは満足できるものではない。PEG IFNラムダ-1a(「Lambda」)はIII型IFNである。Lambdaのより少ない受容体分布により、LambdaがHDV応答を誘発するが、IFN-アルファより副作用が少ないとの仮説が立てられた。LIMT HDVは、硬化を含む、慢性HDV感染を有する対象におけるLambdaの初めての治験である。
【0120】
慢性HDVを有する対象における48週間毎週皮下注射により投与されるLambda120μgまたは180μgの無作為化オープンラベル治験。主な編入基準は、qPCRにより陽性HDV RNA、ALT上昇<10×ULN、代償性肝疾患および血小板≧90,000細胞/μLであった。HDV RNA(Robogene 2.0、LLOQ 14IU/mL)、ALT、ビリルビンおよび他のパラメータは各来院時に評価した。テノフォビルまたはエンテカビルをベースライン(BL)で開始し、治験終了まで継続した。プライマリーエンドポイントはHDVウイルス負荷のベースラインからの変化であった。
【0121】
計33対象が登録された。Lambda(120μgまたは180μg)の皮下注射を、慢性HDVを有する対象に48週間毎週間投与した。16対象をLambda180μg/週に無作為化し、17対象を120μg/週に無作為化した。対象のベースラインの中央特徴値を下表2に示す。パキスタンのカラチ地区での肝臓関連SAE頻度増加のため(7/15[46.7%]対象で観察)、カラチ地区で180mcg/週に無作為化した6対象は全員120mcg/週に低減した(最初の投与前)。投与レジメンのこの変化の結果として、ここに提示する有効性および安全性評価について、対象を無作為化処置群ではなく、出発Lambda用量により分類する:14/33対象がLambda180mcg(「180用量」)および19/33対象がLambda120mcg(「120用量」)。
【表2】

ALT正常範囲=10~35U/ml(女性);10~50U/ml(男性)
ビリルビン正常範囲=0~1.2mg/dL
【0122】
中間解析時点で、全対象は、少なくとも治療が4週目に達しており、一部対象は、治療が8週目、12週目または24週目に達していた。図1は、インターフェロンラムダで処置した対象がHDV RNAの迅速な低減を示したことを示す。下表3に示すとおり、治療24週目に達していた対象について、50%がHDV RNAの≧2.0低減を達成した。対象の40%はHDV PCR陰性であった。軽度乃至中程度頭痛、発熱、疲労および筋肉痛が最も一般的に報告されたAEであった。プロトコールによる用量低減(12%)、中断(12%)および処置中止(15%)は、主に肝臓AE(ALTフレアおよび/または高ビリルビン血症)によるものであった。ALTフレアおよび肝機能異常は、一般にHDVウイルス負荷低減と相関した。臨床的代償不全の例は観察されなかった。
【表3】
【0123】
この中間解析は、毎週Lambda - 120μgまたは180μg - がHDVに対する抗ウイルス活性を有し、一部対象は、治療8週目で既にPCR陰性となることを示す。Lambdaは、処置24週目で古典的PEG-アルファと同等の抗HDV活性を示す。さらに、Lambda治療は、大部分の対象で忍容性が良好であった。
【0124】
実施例3. HDV処置のためのペグ化インターフェロンラムダ単剤療法
この実施例は、実施例1および実施例2に記載するフェーズ2ペグ化インターフェロンラムダ-1a(LIMT)臨床治験の48週目の処置終了時データを記載する。方法および対象のベースライン特性は、上の実施例2および表2に記載するとおりである。
【0125】
33対象中23対象が48週目(処置終了)に達し、10対象が処置を中止した。図2に示すとおり、インターフェロンラムダで処置した対象がHDV RNAの迅速な低減を示した。33対象中、20(60.6%)が、48週目でHDV RNAの≧2log10低減またはHDV RNA定量限界未満または検出限界未満(BLQ/BLD)として定義される応答者であった。BLQについて、定量限界は14IU/mLであった。BLDについて、検出限界は8IU/mLであった。HDV RNAデータを下表4にも示す。インターフェロンラムダの抗HDV活性は、ペグ化インターフェロン-アルファの古典的データと同等である。
【表4】

BLQ=定量限界(14IU/mL)未満;BLD=検出限界(8IU/mL)未満
【0126】
図3に示すとおり、180mcg Lambda用量で処置された対象は、プロトコールによる用量低減にかかわらず、120mcg Lambda用量で処置された対象より応答率が高いことが示された。180mcg インターフェロンラムダで処置された対象について、48週目で-2.35log10 HDV RNAの平均低減があり、それに対して、120mcg インターフェロンラムダで処置された対象について-1.18log10 HDV RNAであった。180mcg処置群でHDV RNAの≧2log10低減を示す対象数は多く(6対象、37.5%)、HDV RNA BLD/BLQ(5対象、31.2%)を有した。まとめると、インターフェロンラムダ処置は忍容性が良好であり、ペグ化インターフェロンアルファと同等な抗HDV活性を示す。
【0127】
実施例4. LIMT HDV治験からの治験終了時結果:慢性デルタ肝炎ウイルス感染を有する対象におけるペグ化インターフェロンラムダ単剤療法での24週間後処置の36%持続可能ウイルス学的応答
バックグラウンド:デルタ肝炎ウイルス(HDV)感染は、ヒトウイルス性肝炎の最も攻撃的な形態に至る。承認された治療はない。HDV感染の世界有病率は1500~2000万である。PEG IFN-ラムダ-1a(Lambda)は、>3000 HBVおよびHCV対象において良好な忍容性プロファイルを先に示しており、PEG IFN-アルファ(アルファ)と比較して、血球減少症、インフルエンザ様症状および精神症状が少ない。この治験、LIMTは、HDVを有する対象におけるインターフェロンラムダ単剤療法(」Lambda」)の安全性および有効性を評価するために設計された。
【0128】
これは、慢性HDVを有する対象における48週間Lambda120μgまたは180μgを毎週SC注射、続いて24週間後処置の無作為化、オープンラベル治験であった。
【0129】
選択基準は、qPCRにより陽性HDV RNA(Robogene(登録商標) 2.0、BLQ 14IU/mL)、ALT<10×ULNおよび代償性肝疾患であった。テノフォビルまたはエンテカビルをベースライン(BL)で開始した。
【0130】
この治験において、33対象をLambda180μg(N=14)または120μg(N=19)に無作為化した。BL平均値:HDV RNA 4.1log10IU/mL(SD±1.4);ALT 106IU/L(35-364)およびビリルビン0.5mg/dL(0.2-1.2)。下表5参照。
【表5】

低ベースラインウイルス負荷=HDV RNA≦4log10IU/mL
**その出発用量の
***治験を完了し、投与を中断しなかった全対象
【0131】
48週目、Lambda180mcg群の対象の36%~45%が、LLOQ(BLQ)未満のHDV RNAレベルを有した。HDV RNAレベルBLQのこれら対象の割合は、ベースラインで高対低ウイルス負荷で同等であった(それぞれ38%[3/8]および33%[2/6])(表5)。
【0132】
投与後24週目で、BLQはLambda180mcg群(36~45%)でEOT時と同等なままであり、ベースラインで高対低ウイルス負荷の中でEOT時の結果と全体的に同等であった(それぞれ25%[2/8]および50%[3/6]))(表5)。
【0133】
Lambda180mcg/週処置後、対象の29~36%(4/14総対象、4/11完了対象)が、48週目および投与後24週目でHDV RNAが検出不能であると報告され(表8)、Lambdaのウイルス応答の持続性をさらに示した。
【0134】
Lambda180μg(14中5、36%)の持続可能ウイルス応答(DVR=処置24週間後のBLQ)のITT率は、アルファ180μg(0%)での検出不能性についての歴史的率に対して良好であった(Wedemeyer, 2019)。低BLウイルス負荷(VL)対象(≦4log10)の50%DVRがLambda180mcg QWで示された。
【0135】
一般的処置中AEは、軽度乃至中程度インフルエンザ様症状およびアミノ基転移酵素レベル上昇を含んだ。アルファで先に処置された対象は、Lambdaでの副作用が顕著に少ないことが示された。黄疸例およびビリルビン上昇の発生の増加がパキスタンコホートで示された。代償不全の症状を示す対象はおらず、すべて用量低減または投与中断に良好に応答した。ALTおよびビリルビン動力学のDILIsym(登録商標)モデリングは、観察されたビリルビン上昇のトランスポーターベースの機構を示す。
【0136】
Lambda180μgは、アルファ180mcgの古典的データと比較して、良好な忍容性を伴う良好な抗ウイルス活性を有した。持続可能BLQウイルス応答がLambda180mcgで処置24週間後に観察された。
【0137】
図4は、Lambda180および120mcg QW両方での処置24週間後(72週)の持続可能ウイルス学的応答(DVR)を示す。持続可能ウイルス応答(DVR)は、HDV RNA BLQの処置24週間後応答として定義された。HDV RNAの2log10低減は、生存の改善をもたらし得るHDVウイルス負荷の臨床的に意義ある低減と考えることができる(Farci et al 2004)。PEG IFNアルファは、48週目患者の23%がHDV RNAが検出不能であり、処置24週間後患者の0%が検出不能であったことを示した。
【0138】
驚くべきことに、ここで示されたのは、Lambdaでの処置がアルファで得られる約25%応答より良好である、約36~45%持続可能応答率の改善をすることである。図9および表6は、48週間処置後にBLQを達成したLambdaで処置した対象の36~45%が、処置24週間後HDV RNA BLQを維持することをさらに示す。
【0139】
Lambda180mcg/週群の対象で、50~64%が48週目にHDV RNAのベースラインからの>2log10低減を示した。最終投与後24週目、36~45%が臨床的に意義があるHDV RNAのベースラインからの>2log10低減を示した(図9および表6)。
【0140】
Lambda120mcg/週で処置した対象で、EOTおよび最終投与後24週目の応答率は、180mcg/週群でみられる応答率より低かった。しかしながら、EOTでの応答率は、休薬フォローアップで同様に維持された。72週目、120mcg/週群の対象の16~21%(3/19)が、HDV RNA BLQを示し、11~14%(2/19)がHDV RNAのベースラインからの>2log10低減を示した(図9および表6)。
【0141】
48週目、Lambda180mcg/週および120mcg/週用量で処置した対象のそれぞれ14~18%および11~14%が、ALT正常化を示した。最終投与後24週目、これらの数値はそれぞれ36~45%および26~36%に改善した。
【0142】
プロトコールによる用量低減(対象の26~36%)、中断(対象の3~15%)および処置中止(21~26%対象)の大部分で、大部分は肝胆道臨床検査値異常(ALT、AST、GGTおよび/またはビリルビン増加)であった。治験薬物処置を中止した8(24.2%)対象中、5例(62.5%)がパキスタン、カラチ地区であり、薬理ゲノミクスおよび/または環境因子が寄与する可能性がある。臨床的代償不全の例は観察されなかった。180mcg/週用量が投与される対象の括弧内に示すパーセントが次の1以上を示す :用量低減(約12~35%)、中断(約7~15%)および処置中止(約15~21%)。
【0143】
120mcg/週用量が投与される対象の括弧内に示すパーセントが、次の1以上を示す :用量低減(約12~35%)、中断(約7~15%)および処置中止(約15~21%)。
【0144】
図10および表6は、対象が処置24週間後ALT正常化および≧2log10低減の複合性エンドポイントを達成したことを示し、これもまた臨床的に意味がある。さらに、複合性エンドポイントを達成する対象の割合は、処置が停止された後でさえ増加し、LambdaでのHDV処置の利益の驚くべき発見を示す。ALT正常化とベースラインからの≧2log10のウイルス負荷低減またはHDV RNA BLQとして定義されるHDV RNA応答を合わせるとき、Lambda180mcg/週群において、対象の14~18%が48週目および対象の29~36%が72週目に複合性応答を達成した。Lambda120mcg/週群について、48週目および72週目の複合性応答率はそれぞれ5~7%および11~14%であった。一部対象において、ベースライン測定からのALTフレアが生じ(例えば、一過性増加)、ここで、フレアはベースライン、処置終了測定または正常上限の1以上からの4×である。この治験において、対象の約24~32%がベースライン測定からのALTフレアを有した。処置終了から測定して、対象の12~16%がフレアであった。ベースラインまたは48週目処置終了測定から測定して、フレアを経験した全対象中、44~92%対象がフレア後ALT正常化を経験した。ある実施態様では、一過性ALT増加は、先のレベルまたはベースラインを約300~1100%を超える。
【表6】

出発用量。パキスタン、カラチ地区で肝臓関連SAE頻度増加のため(7/15[46.7%]対象で観察)、カラチ地区で180mcg/週に無作為化した6対象は全員120mcg/週に低減した(可能であれば最初の投与前)。投与レジメンのこの変化の結果として、この速報版報告に示される有効性および安全性評価について、対象を無作為化処置群ではなく、出発Lambda用量により分類する:14/33対象がLambda180mcgおよび19/33対象がLambda120mcg。
出発用量
**治験の全対象
***治験を完了し、投与中止しなかった全対象
【0145】
Lambda180μg処置群において、応答率は、高(>4log10)対低(≦4log10)ベースラインウイルス負荷間で異なった。48週目、高対低ベースラインウイルス負荷の対象のそれぞれ38~43%および33~40%がBLQのHDV RNAレベルに達した。72週目、これら2群間の差異はより顕著となり、低ベースラインウイルス負荷の対象の50~60%がBLQに達し、これに対して高ベースラインウイルス負荷の25~29%がこのエンドポイントを満たす(表6)。
【0146】
48週目、高対低ベースラインウイルス負荷の対象のそれぞれ25~29%および33~40%が、HDV RNAレベルが検出不能に達した。72週目、これら2群間の差異は48週目測定に一致し、低ベースラインウイルス負荷の対象の33~40%がBLQに達し、これに対して高ベースラインウイルス負荷の25~29%がこのエンドポイントを満たす(表6)。
【0147】
処置後この応答の維持は、対象の免疫応答がウイルス複製の制御を獲得したことを示し得る。驚くべきことに、処置24週間後Lambda180mcg QWの29%のHDV RNAが検出不能な患者の高いパーセンテージが、先のHDV治験で報告されたペグ化インターフェロンアルファ-2aと同等であることが観察された(Myr203治験で0%)。
【0148】
図5は、LambdaでのALT正常化を示す。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)正常化は、肝臓健康状態の改善の徴候である。ALT正常化は、Lambda180mcg QWおよびLambda120mcg QW処置対象で、処置終了時それぞれ14%および11%で観察された。ALT正常化は、処置24週間後(72週)まで増加し続けた。
【0149】
図4および6および表7および8は、Lambda180mcg QWが処置中の用量低減(180mcgから120mcgまたは120mcgから80mcg)にもかかわらず、Lambda120mcg QW用量と比較して、大きなHDV RNA低減をもたらすことを示す。
【表7】

出発用量。パキスタン、カラチ地区で肝臓関連SAE頻度増加のため(7/15対象で観察)、カラチ地区で180mcg/週に無作為化した6対象は全員120mcg/週に低減した(可能であれば最初の投与前)。投与レジメンのこの変化の結果として、この筆頭報告に示される有効性および安全性評価について、対象を無作為化処置群ではなく、出発Lambda用量により分類する:14/33対象がLambda180mcgおよび19/33対象がLambda120mcg。
**治験の全対象
***治験を完了し、投与中止しなかった全対象
【0150】
図7は、Lambda処置が一部対象でHBsAgの>1log10低減を示す結果をもたらすことを示す。HBsAgレベルは、一部対象で処置後も低減し続ける。低いHBsAgレベルは、HBeAg喪失およびHBV感染力を反映し得る。
【0151】
図8は、処置48週目の応答者のHDV RNAを示す。応答者は、48週目HDV RNA低減≧2Log10または定量限界未満(BLQ)として定義される。
【0152】
表8は、治験中の対象の性質を示す。例えば、19対象は120mcg用量から、14対象は180mcg用量から開始した。しかしながら、14対象は、72週間の治験をとおして120mcg用量のままであり、11対象は180mcg用量である。ここで、一部データを、登録され、開始された対象数(主要な解析対象集団)(表8で「N」として示す)で計算し、一部データは、表8の「治験滞在集団」(プロトコールによる)数を参照して計算する。
【表8】

出発用量(表記の通り)
【0153】
表9は、この治験におけるLambda処置で、インフルエンザ様症状および精神症状は圧倒的にグレード1であることを示す。血球減少症および血小板減少症(血小板減少症はなかった)は、古典的ペグ化インターフェロンアルファ使用と比較して、はるかに低い頻度であった。本治験においてLambdaでインフルエンザ様症状および精神症状は軽度で、低頻度であり、血小板減少症はなかった。用量低減または処置中止により正常化したビリルビンおよびALTレベル上昇があった。
【表9】

インフルエンザ様症状:発熱、咳嗽、咽頭炎、鼻水/鼻づまり、筋肉痛/関節痛、頭痛、無力症状、嘔吐、下痢
精神症状:うつ病、易怒性、不眠症
18事象中11は、パキスタン地区の4対象が経験した
用量低減または処置中止により検査値正常化
【表10】
【0154】
表10は、この治験で、アルファでの先の治験と比較して、Lambdaで軽度のインフルエンザ様症状および精神症状があったことを示す。血小板減少症事象はなく、造血因子使用はなく、上昇したビリルビンおよびALTレベルは用量低減または処置中止により正常化した。176名のHBV感染対象(LIRA-B)のフェーズ2治験におけるLambda対アルファの直接対決試験において、臨床上注目すべき事象(体質的症状、神経性事象、インフルエンザ様症状、筋骨格症状および精神事象)の全体的頻度は、Lambda180μg群(50.0%)よりアルファ群(72.3%)で高かった。
【0155】
臨床検査値異常は、Lambdaおよびアルファの既知安全性プロファイルに一致し、アルファ群と比較して、Lambda180μg群でALT、ASTおよびビリルビン(グレード1~4およびグレード3/4)の頻度が増加した;そして、Lambda180μg群と比較してアルファ群で血球減少症、特に白血球減少症、好中球減少症および血小板減少症(グレード1~4)の頻度が増加した。アルファなどの他のインターフェロンと比較したとき、Lambdaで観察されるインフルエンザ様症状および精神症状は軽度かつ低頻度であった。血小板減少症の事象は報告されず、造血因子は使用されなかった。ビリルビン、ALTおよび/またはASTレベル上昇の事象について、全ての出現は用量低減または処置中止後正常化した。
【0156】
Lambda180mcg/週群対象において報告された有害事象は、Lambda120mcg/週群と比較して、体質(疲労、無力症状)および神経症状(めまい、頭痛)AEについては重度であったが、検査値異常(ビリルビン、ALT、AST、GGTまたはINR増加;DILI;血中アルブミン減少;異常LFT)の重症度は低かった。表11および12参照。
【表11】

略語:AE=有害事象;ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ;AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;DILI=薬剤誘発性肝傷害;GGT=ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ;INR=国際標準比;LFT=肝機能試験。
【表12】

略語:AE=有害事象;ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ;AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;DILI=薬剤誘発性肝傷害;GGT=ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ;INR=国際標準比;LFT=肝機能試験。
【0157】
本治験では、パキスタンコホートで高ビリルビン血症の発生率が高かった。例えば、次のパラメータが他のコホートと異なった。高ビリルビン血症はパキスタンの4/15(27%)対非パキスタンコホートの2/18(11%);パキスタン対象の3/15(20%)で黄疸観察対非パキスタン対象の0/18(0%);非パキスタンコホートにおける発生率/重症度は、HBVにおける先のLambdaおよびアルファデータに一致する。すなわち、ビリルビンが上昇した対象は、代償不全の徴候または症状を示さず、ビリルビンレベルは用量低減/中断に応答し、対象はビリルビン上昇中も肝臓機能(PT)正常であった。
【0158】
まとめると、48週に達した24対象で:120μg群(N=14)は平均HDV RNA低減=1.5log10を有した;14中6の≧2log10低減(42.9%);180μg群(N=10)は平均HDV RNA低減=2.4log10を有した;そして10中6の≧2log10低減(60.0%)。Lambdaは全体的に忍容性が良好であり、臨床的黄疸およびビリルビン上昇の発生率増加がパキスタンコホートで観察された。これにより、パキスタン地区で治験完了率(15中9、60%)は予測より低くなったが、ビリルビンが上昇した対象で代償不全の症状を示した者はなかった。すべて、用量低減または投与中断に好適に応答した。
【0159】
Lambda180mcg/週用量は、処置中の投与中断もしくは低減または投与中止にも関わらず、Lambda120mcg/週用量より大きな有効性をもたらした。180mcg/週用量の対象の約35~45%が120mg用量に低減した。180mcg/週用量の対象の約7~9%が、2回用量を低減した。
【0160】
48週間のLambda180mcg/週処置後、対象の36~45%は、HDV RNAレベルBLQ(29~36%検出不能)に達し、50%はHDV RNAのベースラインからの>2log10低減を示した。
【0161】
投与24週後(例えば、最終または最後の投与の後)、このウイルス応答は維持され、対象の36~45%はLambda180mcg/週処置でHDV RNAレベルBLQ(29%検出不能)を示した。
【0162】
比較して、慢性HBV/HDV共感染を有する対象におけるMyrcludex BとPEG-IFNαの組み合わせの有効性についてHDV RNAを測定するための同じRoboGeneアッセイ(Kit 2.0)を使用する最近の治験で、48週目で検出不能なHDV RNAの対象は13%(2/15)であり、投与24週後(72週間)0%であることが報告された。(Wedemeyer et al, 2019), ILC 2019;GS-13
【0163】
Lambda180mcg/週群対象において、36~45%が投与24週後にALT正常化が報告され、HBVおよびHCVを有する対象におけるLambdaで実施した先の知見で観察された傾向であり、処置中一過性ALT増加をもたらし、続いて、処置後正常化をもたらす、Lambdaの宿主エフェクター細胞に対する免疫調節作用と関連すると推定される。さらに、180mcg/週用量で、対象の29~36%がALT正常化およびHDV RNA BLQまたはベースラインからの>2log10の低減いずれかの複合応答基準を満たした。
【0164】
48週目、33対象中7対象が、48週間期間中HDV RNAレベルの先の測定から1log10を超える増加でリバウンドした。リバウンドした7対象で、48週終了時BLQを満たすことが判明した者はいなかった。リバウンドした対象の21%は応答者ではなかった。リバウンドした対象の29%は180mcg用量で開始した。
【0165】
LambdaPKは、健常対象およびHCVを有する患者におけるLambdaの単回および複数回SC投与後に特徴づけされている(表12)。最高濃度までの中央時間(Tmax)は、8.00~25.1時間の範囲であった(範囲、1~120時間)。Lambda180μg単回投与後、幾何平均最高観察濃度(Cmax)(変動係数[%CV])値は1.06(102)~2.41(177)ng/mLの範囲であった。複数回投与後、幾何平均Cmax(%CV)は1.54(86.0)ng/mLであり、中程度の蓄積が示された。健常対象およびHCVを有する患者へのLambda180μgの単回SC投与後の0時から無限時まで外挿した濃度-時間曲線下面積(AUCinf)(%CV)は、116.9(73.1)~221(59)ng×時間/mLの範囲であった。一般に、暴露値(濃度-時間曲線下面積[AUC]およびCmax)は、80~240μg用量範囲でほぼ用量比例的であった。平均(標準偏差[SD])消失半減期(T1/2)は50.43(20.47)~74.0(42.7)時間の範囲であった。
【表13】
【0166】
集団PKモデリングは、標準対比成長に一致して、体重がクリアランスに影響することを示した;しかしながら、体重はクリアランスに有意に影響するものの、全体的対象間変動と比較すると影響は小さく、故に、体重ベースの投与を正当化しない。予備的結果は、腎臓機能障害が暴露を増加させることを示している;CmaxおよびAUCは、正常腎臓機能を有する対象と比較して、軽度機能障害を有する対象でそれぞれ約13%および20%大きく、中程度腎機能不全群、重度腎機能不全群および末期腎疾患(ESRD)群にわたり、約2倍大きかった。予備的臨床的結果は、単回180μg用量投与後、LambdaはCYP1A2、CYP2C9およびCYP3A4の軽度阻害剤であり、かつCYP2C19およびCYP2D6の中程度の阻害剤であることを示唆する。
【0167】
本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が引用により組み込まれることが具体的かつ個々に示されているのと同様に引用により本明細書に組み込まれ、そして、刊行物と共に引用される方法および/または材料を開示および説明するために、引用により本明細書に組み込まれる。
【0168】
本発明はある態様、実施態様および所望により存在する特徴により具体的に開示されるが、当業者であれば、そのような態様、実施態様および所望により存在する特徴の改変、改良および変形が当業者によって行われることができ、そのような改変、改良および変形は、本開示の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0169】
本発明は、本明細書に広く一般的に記載されている。一般的な開示の範囲内である、より狭い種および亜属のグループもそれぞれ、本発明の一部を形成する。また、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループによって記載されているならば、当業者は、本発明はまた、マーカッシュグループの何れかの個別の構成要素または構成要素の下位グループによって記載されていると認識する。
さらに、本発明は次の態様を包含する。
1. ヒト対象のデルタ肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法であって、対象にHDVウイルス負荷の持続的低減に到達するかまたは検出不能なレベルまでのHDV RNAの低減の1以上を達成するまで治療有効量のペグ化インターフェロンラムダ-1aを皮下投与することを含む、方法。
2. ペグ化インターフェロンラムダ-1aが少なくとも12週間または24週間または36週間または48週間または54週間または12週間~96週間投与される、項1に記載の方法。
3. ペグ化インターフェロンラムダ-1aが180マイクログラム週1回(QW)または90マイクログラム週2回;または80マイクログラム週2回または180マイクログラム各週の用量で投与される、項1に記載の方法。
4. ペグ化インターフェロンラムダ-1aが120マイクログラムの用量でQW投与されるまたは60マイクログラム週2回または70マイクログラム週2回または120マイクログラム各週の用量で投与される、項1に記載の方法。
5. 方法が(i)第一処置期間において160~180マイクログラムペグ化インターフェロンラムダ-1a/週、次いで第二処置期間において150~70マイクログラム/週;または(ii)第一処置期間において180マイクログラム/週、次いで第二処置期間において170~120マイクログラム/週を投与することを含み、ここで、(i)および(ii)の各々の用量が週あたり1回を超える投与回数に分けられてよい、項1に記載の方法。
6. 対象が第一処置期間終了時に≧500/mm ~<750/mm または≧400/mm ~<650/mm または≧400/mm ~<850/mm の絶対好中球数(ANC)を有するならば、対象は第二処置期間のためのペグ化インターフェロンラムダ-1aが投与される、項1に記載の方法。
7. 対象が<500/mm のANCを有するならば、対象への投与をANCが>1000/mm となるまで停止し、次いで第二処置期間のための投与を再開するかまたは対象が<400/mm のANCを有するならば、対象への投与をANCが>750/mm となるまで投与を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する、項5に記載の方法。
8. 対象が<50,000の血小板レベルを有するならば、対象は第二処置期間のためのペグ化インターフェロンラムダ-1aが投与され、または対象が<25,000の血小板レベルを有するならば、対象は処置を中止される、項5に記載の方法。
9. 対象がALT(またはAST)≧15~20×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、ALT/AST<10XULNとなるまで対象への投与を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開するか、または対象が2回目のALT(またはAST)≧15~20×ULNおよびTBILIおよび/またはINR<グレード2を有するならば、ALT/AST<10XULNとなるまで対象への投与を投与を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する、項5に記載の方法。
10. 対象が有害事象≧グレード3を経験したならば、対象の投薬を事象が解消するかまたは≦グレード1となるまで対象への投与を中断し、次いで第二処置期間のための投与を再開する、項5に記載の方法。
11. 対象が≧グレード3の2回目の有害事象を経験したならば、対象の投与を中断し、次いで有害事象が解消するかまたは1グレード改善したのち、第三処置期間のための投与を再開する、項10に記載の方法。
12. ペグ化インターフェロンラムダ-1aを第一処置期間において120マイクログラム/週、次いで第二処置期間において80マイクログラム/週;または第一処置期間について180~120マイクログラム/週、次いで第二処置期間にについて120~80マイクログラム/週で投与することを含み、ここで、各々の用量が週あたり1回を超える投与回数に分けられてよい、項1に記載の方法。
13. 第一処置期間が第二処置期間より長いか、第二処置期間が第一処置期間より長いか、または第一処置期間および第二処置期間が同じ長さの期間である、項5または12に記載の方法。
14. 第一処置期間が少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも6週間または少なくとも8週間の期間である、項5または12に記載の方法。
15. 第一処置期間が8~12週間の期間である、項5に記載の方法。
16. 方法が第三処置期間において80マイクログラム~120マイクログラム/週でペグ化インターフェロンラムダ-1aを投与することをさらに含む、項5に記載の方法。
17. 方法がペグ化インターフェロンラムダ-1aを、第一処置期間において180マイクログラムの第一用量、第二処置期間において170~120マイクログラム/週の第二用量、そして第三処置期間において120~80マイクログラム/週の第三用量で投与することを含む、項1に記載の方法。
18. 第一処置期間が1~12週間、2~18週間、4~8週間、1~4週間または6~12週間の期間である、項17に記載の方法。
19. 処置が対象におけるHDVウイルス負荷の少なくとも2.0log HDV RNAIU/mL血清の低減をもたらす、項1~12の何れか一項に記載の方法。
20. 処置が検出限界未満であるHDVウイルス負荷をもたらす、項1~12の何れか一項に記載の方法。
21. 処置開始前、対象が正常上限(ULN)を超える血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有し、処置過程が、対象における血清ALTレベルを、ULN以内のレベルまで改善する、項1~12の何れか一項に記載の方法。
22. 方法が対象にヌクレオシドアナログまたはヌクレオチドアナログを投与することをさらに含む、項1~12の何れか一項に記載の方法。
23. ヌクレオシドアナログまたはヌクレオチドアナログがラミブジン、アデフォビル、テルビブジン、エンテカビルまたはテノフォビルである、項22に記載の方法。
24. 対象が硬変を伴うか、または伴わない代償性肝疾患を有する、項1~12の何れか一項に記載の方法。
25. 対象が硬変を伴う代償性肝疾患を有する、項24に記載の方法。
26. 処置前、対象が最大約10 HDV RNAコピー/mLの血清または血漿ベースラインウイルス負荷を有する、項1~12の何れか一項に記載の方法。
27. 持続可能なウイルス応答(DVR)が投与後に対象でみられる、項1、3または4に記載の方法。
28. DVRが約16~約45%または約36~約45%である、項27に記載の方法。
29. DVRが対象において処置後約1週~約24週に観察される、項27に記載の方法。
30. ペグ化インターフェロンラムダ-1aの投与が、インターフェロンアルファでの処置と比較して軽度および/または低頻度のインフルエンザ様症状および精神症状をもたらす、項1に記載の方法。
31. 対象で上昇したビリルビンレベルおよび/またはALTレベル上昇が用量低減により正常化する、項5または12に記載の方法。
32. 対象でALTレベルが正常化する処置の可能性が約11%~約14%である、項31に記載の方法。
33. 処置が対象における≧2Log 10 のHDV RNA低減をもたらす、項1~12の何れか一項に記載の方法。
34. 処置が対象におけるHBsAgの>1log 10 低減をもたらす、項1~12の何れか一項に記載の方法。
35. 対象のHBsAgレベルが処置後低減し続ける、項34に記載の方法。
36. -1.63~-2.35log 10 HDV RNAの平均低減が48週間処置により対象で観察される、項3に記載の方法。
37. デルタ肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法であって、少なくとも4週間約80~約240μgのペグ化インターフェロンラムダ-1a/週を投与することを含み、最後の投与後1日~24週間、対象が持続可能なウイルス応答(DVR)を示す、方法。
38. DVRがHDV RNA BLQ;HDV RNAにおける2log 10 以上の低減;ウイルス負荷におけるHDV 2log 10 以上の低減;ALT正常化;ALT正常化に加えて>2log 10 低減または臨床的に有意なウイルス負荷低減の処置後応答の1個以上を含む、項37に記載の方法。
39. ウイルス負荷低減が-1.09~-2.08または~1.63log 10 ~-2.3log 10 である、項38に記載の方法。
40. 対象でHDV RNAの2log 10 以上の低減をもたらす処置の可能性が約12.1%~約42.4%である、項38に記載の方法。
41. 対象でBLQであるHDV RNAをもたらす処置の可能性が15.1%~約39.4%である、項38に記載の方法。
42. 約-1.18log 10 HDV RNA~約-2.35log 10 HDV RNAのウイルス負荷低減が48週間の処置で観察される、項38に記載の方法。
43. 対象で投与中より最後の投与後ALT正常化および>2log 10 低減の可能性が上がる、項38に記載の方法。
44. 最後の投与が投与4週目~48週目の間である、項43に記載の方法。
45. 対象で、180mcg/週で投与したとき、処置の約36~45%の可能性で、投与24週後でALT正常化がもたらされる、項1に記載の方法。
46. 一過性ALT増加が処置中生じ、続いて処置後正常化する、項45に記載の方法。
47. 一過性ALT増加が先のレベルまたはベースラインを約300~1100%を超える、項46に記載の方法。
48. 処置中第二用量に低減する可能性が対象の約26~36%である;投与中断の可能性が約5~9%または処置中止が約21~26%の可能性である、項1に記載の方法。
49. 低減、中断および中止が主に肝臓有害事象によるものである、項48に記載の方法。
50. 180mcg/週用量が投与される対象のパーセントが次の1以上を有する:用量低減(約30~36%)、処置中断(約7~9%)および処置中止(約21~24%)、項48に記載の方法。
51. 120mcg/週用量が投与される対象のパーセントが次の1以上を有する:用量低減(約26~30%)、処置中断(約5~9%)および処置中止(約24~26%)、項48に記載の方法。
52. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与され、最後の投与後に高(>4log 10 )ベースラインウイルス負荷を有していた対象の38~43%が48週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した、項1に記載の方法。
53. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与され、最後の投与後に高(>4log 10 )ベースラインウイルス負荷を有していた対象の25~29%が処置後24週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した、項1に記載の方法。
54. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与され、最後の投与後に低(≦4log 10 )ベースラインウイルス負荷を有していた対象の33~40%が48週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した、項1に記載の方法。
55. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与され、最後の投与後の低(≦4log 10 )ベースラインウイルス負荷を有していた対象の50~60%が処置後24週目にBLQのHDV RNAレベルを達成した、項1に記載の方法。
56. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与され、最後の投与後に高(>4log)ベースラインウイルス負荷を有していた対象の25~29%が処置48週および24週後に検出不能なHDV RNAレベルを達成した、項1に記載の方法。
57. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与され、最後の投与後に低(≦4log 10 )ベースラインウイルス負荷を有していた対象の33~40%が処置48週および24週後に検出不能なHDV RNAレベルを達成した、項1に記載の方法。
58. 120マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の16~21%がBLQのHDV RNAレベルを達成した、120マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の21~29%が>2log 10 低減を達成した、120マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の11~14%がALT正常化を達成したおよび120マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の5~7%がALT正常化+≧2log 10 低減を達成したという成果の1項以上が最後の投与後に得られた、項1に記載の方法。
59. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の16~21%がBLQのHDV RNAレベルを達成した、180マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の11~14%が>2log 10 低減を達成した、180マイクログラム/週の最初の用量を用よされた対象の26~36%がALT正常化を達成したおよび180マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の11~14%がALT正常化+≧2log 10 低減を達成したという成果の1項以上が最後の投与後24週間得られた、項1に記載の方法。
60. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の36~45%がBLQのHDV RNAレベルを達成した、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の50~64%が≧2log 10 低減を達成した、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の14~18%がALT正常化を達成したおよび180マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の14~18%がALT正常化を達成した+≧2log 10 低減を達成したという成果の1項以上が最後の投与後に得られた、項1に記載の方法。
61. 180マイクログラム/週の最初の用量を投与された対象の36~45%がBLQのHDV RNAレベルを達成した、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の36~45%が>2log 10 低減を達成した、180マイクログラム/週の出発用量を受けた対象の36~45%がALT正常化を達成したおよび180マイクログラム/週の出発用量を投与された対象の29~36%がALT正常化+>2log 10 低減を達成したという成果の1項以上が最後の投与後24週間得られた、項1に記載の方法。
62. 対象がベースラインChild-Turcotte-Pughスコア5~6(クラスA)、1~2、1~3、2~4、3~4、2~5、3~5または2~6を有する、項1に記載の方法。
63. 対象が肝生検、肝機能試験、超音波検査、肝静脈圧較差(HVPG)測定、ALTレベル、その他血液検査またはアルブミンレベルの1以上により肝炎を有すると診断されている、項1に記載の方法。
64. 血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルが処置前24週間以内、処置開始時、24か月以内、24か月~1か月または処置前12か月~1日以内に測定されている、項63に記載の方法。
65. 対象のHDV力価が処置過程中ベースライン未満へ低下する前に、ベースラインから上昇し、ここで、対象のHDVレベルがベースラインの10%超、25%超、50%超、75%超、100%超、150%超または200%超またはベースラインの約25~50%またはベースラインの25~100%またはベースラインの50~200%上昇する、項1に記載の方法。
66. 対象のHDV力価上昇が治療開始後2週間以内に起こる、項65に記載の方法。
67. 対象の上昇したHDV力価が治療開始の2週間以内または3週間以内にベースライン未満へ低下する、項66に記載の方法。
68. 対象が1以上の肝臓機能パラメータの改善を示し、ここで、肝機能改善が1以上の血清マーカーの改善である、項69に記載の方法。
70. 1以上の肝臓機能パラメータが血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビンまたはガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の1以上を含む、項68に記載の方法。
71. 対象が処置後または処置中肝線維症の改善を示す、項1に記載の方法。
72. 肝線維症が組織分析、一過性超音波エラストグラフィまたは磁気共鳴エラストグラフィでの生検の1以上により評価される、項71に記載の方法。
73. 肝線維症の改善が少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、5~40%、10~50、50~100%改善である、項71に記載の方法。
74. 改善が機能的パラメータにより測定され、ここで、機能的パラメータがベースラインと比較して血清マーカーの改善または肝線維症の改善の1個以上である、項71に記載の方法。
75. ベースラインが処置開始時、処置過程中の他の時点または健常対象との比較の1個以上である、項74に記載の方法。
76. 対象がベースラインから測定して処置中HDV RNAレベルのlog 10 を超える増加があるならば、対象は1週間、2週間、3週間または対象のHDVウイルス負荷がベースラインレベルまで安定化されるまで処置を中断する、項1に記載の方法。
77. 処置後、対象の約24~32%がベースライン時の測定からのALTフレアを有する可能性を有するか、または処置終了時の測定から12~16%の可能性を有する、項1に記載の方法。
78. フレアがベースライン値、処置終了値または正常上限の≧4×である一過性増加である、項77に記載の方法。
79. 44~92%の対象がフレア後ALT正常化を経験し、ここで、フレアがベースライン時または処置終了時に測定される、項77に記載の方法。
80. 処置開始前、対象は正常上限(ULN)を超える血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有し、処置過程が、対象における血清ALTレベルを、ULN以内であるレベルまで改善する、項1に記載の方法。
81. 生検が処置前6か月以内、処置前18か月以内または処置前1日~24か月以内に実施される、項63に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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