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特許7571012配列決定用ライブラリーを調製するための方法および手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】配列決定用ライブラリーを調製するための方法および手段
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20241015BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20241015BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20241015BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/6806 Z
C12N15/11 Z
C40B40/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021514960
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 US2019066272
(87)【国際公開番号】W WO2020131626
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】62/780,812
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スティーマーズ, フランク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ポコロック, ディミトリー ケー.
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアンセン, レナ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521354(JP,A)
【文献】SCIENTIFIC REPORTS,2017年12月26日,VOL:7, NR:1,PAGE(S:):2451(1-9),https://doi.org/10.1038/s41598-017-02547-w
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
C12N 15/
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を配列決定する方法であって、前記方法が、
核酸を含む試料を用意することと、
前記試料を、DNA色素を含むDNA結合分子と接触させることと、
前記試料を挿入酵素複合体と接触させて、タグ付き核酸断片を生成することであって、前記挿入酵素複合体が、前記DNA結合分子によって阻害される、生成することと、
前記タグ付き核酸断片を配列決定して、配列リードを生成することと、を含み、
前記試料が、一次核酸及び二次核酸を含み、前記一次核酸が、核DNAを含み、前記二次核酸が、ミトコンドリアDNA(mtDNA)又は染色体外DNAを含み、前記DNA結合分子が、一次核酸に対して二次核酸に優先的に結合する、方法。
【請求項2】
前記試料が、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DNA色素が、HoechstTM色素、SYBRTM Gold、SytoxTM Orange、PicoGreenTM、又はQubitTMを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記挿入酵素複合体が、トランスポザーゼを含むトランスポソームである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
配列決定が、トランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)のためのアッセイによって、又は全ゲノム配列決定によって実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ATAC-seqが、バルクATAC-seq又は単一細胞ATAC-seqを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、二次核酸の配列決定リードを阻害、低減、又は排除する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
二次核酸の配列決定リードを阻害、低減、又は排除する方法であって、
一次核酸及び二次核酸を含む試料を用意することであって、前記一次核酸が、核DNAを含み、前記二次核酸が、ミトコンドリアDNA(mtDNA)又は染色体外DNAを含む、ことと、
前記試料を、二次核酸に優先的に結合するDNA色素を含むDNA結合分子と接触させることと、
DNA転位をオープンクロマチン上で実施することと、を含み、前記二次核酸が、転位されないか、又は前記一次核酸よりも低い効率で転位される、方法。
【請求項9】
前記試料が、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記DNA色素が、HoechstTM色素、SYBRTM Gold、SytoxTM Orange、PicoGreenTM、又はQubitTMを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記DNA転位が、トランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)、又はgDNAからの若しくは単一細胞からの全ゲノム配列決定のためのアッセイを使用して実施される、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ATAC-seqが、バルクATAC-seq又は単一細胞ATAC-seqを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記試料を前記DNA結合分子と接触させることが、前記二次核酸への転位を遮断又は低減する、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記核DNAを配列決定することを更に含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に提供されるシステム、方法、及び組成物は、酵素反応を選択的に制御するためのアッセイに関する。具体的には、本明細書に開示される態様は、オープンクロマチン配列決定、全ゲノム配列決定、又は標的化配列決定からの二次DNA配列決定リードを阻害、低減、又は排除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素は、ゲノム編集、ゲノミクスアッセイ、配列決定、医薬用途、及び診断にわたる広範な用途空間において多様な数の工程を実施し得るため、分子生物学及びゲノミクスにおいて有用なツールである。天然及び遺伝子操作酵素は、過去10年間を通して、用途及び開発の急増を経験してきた。特異性及び効率性に強い焦点が置かれ、主焦点は酵素システムの改善であった。しかしながら、酵素システムは、オフターゲット効果を示し、結果の分析を困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、酵素が基質と相互作用する能力を妨害し、これにより酵素反応中に典型的に存在するノイズ又はエラーを低減又は排除する、交絡基質をタグ付けすることによって、酵素反応を選択的に制御するためのシステム、方法、及び組成物に関する。
【0004】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、核DNAのためのトランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)のためのアッセイから得られる配列決定リードなどの、配列決定から得られる一次配列決定リードを含む核酸ライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、全ゲノム配列決定又は染色体DNAのためのアッセイからの配列決定リードを含む。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、ミトコンドリアDNA(mtDNA)などの二次配列決定リードを含まないか、又はその低減された表現を有する。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、細菌DNA、プラスミド、又は染色体外DNAに関する。
【0005】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、二次核酸を配列決定することなく、又は二次核酸の配列決定を低減した、核酸を配列決定する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、核酸を含む試料を用意することと、試料をDNA結合分子と接触させることと、試料を挿入酵素複合体と接触させて、タグ付き核酸断片を生成することと、タグ付き核酸断片を配列決定して、配列リードを生成することと、を含む。
【0006】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)配列決定リードなどの二次DNA配列決定リードを阻害、排除、又は低減する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、二次核酸及び一次核酸を含む試料を用意することと、試料をmtDNAなどの二次核酸に優先的に結合するDNA結合分子と接触させることと、DNA転位をオープンクロマチン上で実施することと、を含み、二次核酸は、転位されないか、又は低い効率で転位される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】酵素の特異性を制御するための標的の修飾を示す概略図である。基質(1、2、又は3)は、全て酵素(5)の基質である。4によって修飾された基質3は、修飾(4)に起因して酵素(5)の基質ではない。修飾(4)は、DNA染色剤、アフィニティータグ、分子、リガンド、酵素、ペプチド、又は他の修飾であり得る。
【0008】
図2A】Hoechst色素の量を増加させることによって、転位実験におけるmtDNAリードが低減され、それによって、望ましくないmtDNAリードを排除又は低減することを示す棒グラフを示す。左から右へ、Hoechst色素の濃度は、8μM(図2A)、80μM(図2B)、及び800μM(図2C)である。
図2B】Hoechst色素の量を増加させることによって、転位実験におけるmtDNAリードが低減され、それによって、望ましくないmtDNAリードを排除又は低減することを示す棒グラフを示す。左から右へ、Hoechst色素の濃度は、8μM(図2A)、80μM(図2B)、及び800μM(図2C)である。
図2C】Hoechst色素の量を増加させることによって、転位実験におけるmtDNAリードが低減され、それによって、望ましくないmtDNAリードを排除又は低減することを示す棒グラフを示す。左から右へ、Hoechst色素の濃度は、8μM(図2A)、80μM(図2B)、及び800μM(図2C)である。
【0009】
図3A】様々なDNA染色色素の転位効率を示すDNAゲルを示す。図3Aは、Hoechst及びSYBR Gold染色を示し、図3Bは、Sytox Orange及びPico Green染色を示し、図3Cは、Qubit染色又は染色なしを示す。高分子量DNA生成物は、非効率的な転位を示す。SYBR Gold及びSytox Orangeの両方において、100μMを超える濃度で阻害が観察される。
図3B】様々なDNA染色色素の転位効率を示すDNAゲルを示す。図3Aは、Hoechst及びSYBR Gold染色を示し、図3Bは、Sytox Orange及びPico Green染色を示し、図3Cは、Qubit染色又は染色なしを示す。高分子量DNA生成物は、非効率的な転位を示す。SYBR Gold及びSytox Orangeの両方において、100μMを超える濃度で阻害が観察される。
図3C】様々なDNA染色色素の転位効率を示すDNAゲルを示す。図3Aは、Hoechst及びSYBR Gold染色を示し、図3Bは、Sytox Orange及びPico Green染色を示し、図3Cは、Qubit染色又は染色なしを示す。高分子量DNA生成物は、非効率的な転位を示す。SYBR Gold及びSytox Orangeの両方において、100μMを超える濃度で阻害が観察される。
【0010】
図4】Hoechst(100μM)、SYBR Gold(100μM及び10μM)、Sytox Orange(100μM)、Pico Green(100μM)、Qubit(100μM又は10μM)、及び色素なしを含む、様々な試験色素の結果を示す。結果は、二次DNA配列決定リードを低減又は排除するために、選択された色素のみが好適であることを示す。
【0011】
図5】8μM、80μM、及び800μMでの、様々な時間(2分又は20分)にわたる、Hoechst染色の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の「発明を実施するための形態」では、本明細書の一部を形成する、添付図面を参照する。図面では、同様の記号は、文脈がそうでない旨を指示しない限り、典型的には同様の構成要素を識別する。「発明を実施するための形態」、「図面」、及び「特許請求の範囲」に記載される例示的な実施形態は、限定することを意図するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、他の変更が行われ得る。本開示の態様は、本明細書に一般的に記載されるように、かつ図に示されるように、幅広い種類の異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離、及び設計され得、それらの全ては、本明細書に明示的に企図されることが容易に理解される。
【0013】
本明細書で提供されるシステム、方法、及び組成物の実施形態は、酵素が交絡基質、例えば、酵素が通常結合するが、対象の基質の適切な分析を妨害する基質などに結合するのを妨害することによって、酵素反応を制御することに関する。
【0014】
従来の酵素反応は、密接に関連する基質間の差異を分析するために必要な特異性を欠く。例えば、核酸に対する酵素は、核DNAと比較して、ミトコンドリアDNA(mtDNA)などの、様々な種類の核酸間の区別が不十分である。その結果、従来の酵素反応によって、標的分析物並びにオフターゲット分析物の両方に結果が提供され、それによって、結果を混乱させ、分析における時間、コスト、及び複雑性をもたらす。しかしながら、多くの用途では、酵素反応の選択性を制御することが望ましい。
【0015】
一実施形態は、望ましくない標的を低減、阻害、又は排除することによって、対象の分析物のみを特異的に標的とするシステム及び方法である。図1は、基質結合に対する酵素の概念を概略的に示す。図1では、酵素5は、異なる基質1、2、及び3を認識し、結合することができ、次いで、酵素によって酵素的に触媒作用が及ぼされる。しかしながら、基質3は、酵素5が基質3を認識し、結合しないように、修飾4によって修飾されている。図1は、一般的な概略における方法及びシステムを示す。本明細書で提供される実施形態では、この概念は、トランスポザーゼ及び核酸の観点から、具体的には、一次DNA配列決定リード(これは、例えば、核DNAを含む、対象のDNAの配列決定リードである)、及び二次DNA配列決定リード(これは、例えば、ミトコンドリアDNA(mtDNA)、又は染色体外DNAを含む、望ましくないDNAの配列決定リードである)の観点から記載される。しかしながら、一般的な方法及びシステムは、他の酵素/基質システムに適用可能であることを理解されたい。システム、方法、及び組成物の実施形態は、酵素反応の特異性を改善し、それによって、オフターゲット効果を低減することにより酵素分析が改善される。
【0016】
例えば、特定の染色剤、又は一般的にはDNA結合分子が、周知のアフィニティータグを使用して、特定の標的にもたらされ得るように、この手法が適用され得る。これらのアフィニティータグは、望ましくない酵素活性を遮断するために、抗体複合体及びDNAハイブリダイゼーションプローブを含み得る。特定の種類のDNAを特異的に遮断するが、他のものを遮断しないことによって、特定の酵素で見出される望ましくないオフターゲット効果を減少させ得る。代替的に、特定のアフィニティータグ(「ブロッカー」)を使用して、酵素を特定の標的にもたらし得る。そのような用途は、CRISPR酵素などの広く使用されているタンパク質のオフターゲット活性を遮断することを含み得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、DNA結合分子は、全てのDNAに結合し得るが、例えば、DNA結合分子のサイズ、電荷、又は疎水性を含む様々な因子によって決定されるアクセス可能性に起因して、特定のDNAへの優先的なアクセスを有する分子を指す。その結果、特定のDNA種類が優先的に遮断される一方で、他のものは、配列決定ライブラリーを生成し得る酵素システムにアクセス可能である。したがって、いくつかの実施形態では、DNAへのディファレンシャルアクセスは、DNAが、酵素反応に向かう活性を低下させるように、DNA結合分子との結合によって、特定の種類のDNAにおいて可能である。例えば、DNA染色剤は、核に入らないが、mtDNAに入り得、それによって、mtDNAを優先的に遮断する。
【0018】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、核酸ライブラリーに関する。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、一次DNA(核DNAなど)のためのトランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)のためのアッセイから得られる配列決定リードを含むが、mtDNAなどのオフターゲット核酸(二次DNA)からの配列決定リードを含まないか、又はその低減された量を含む。いくつかの実施形態では、二次DNAからの配列決定リードは、二次DNAに優先的に結合するDNA結合分子に起因して、排除、低減、又は阻害される。いくつかの実施形態では、DNA結合分子は、DNA色素、アフィニティータグ、リガンド、酵素、ペプチド、又は生体分子を含む。いくつかの実施形態では、DNA色素は、Hoechst色素、SYBR Gold、Sytox Orange、Pico Green、又はQubitを含む。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核から生成される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「核酸ライブラリー」は、様々な異なる形式において、合成的又は生合成的のいずれかで調製され得る核酸の意図的に作成された集合(例えば、可溶性分子のライブラリー、及び樹脂ビーズ、シリカチップ、又は他の固体支持体につながれたオリゴヌクレオチドのライブラリー)である。追加的に、用語「アレイ」は、本質的に任意の長さの核酸(例えば、長さ1~約1000のヌクレオチドモノマー)を基質上にスポットすることによって調製され得る核酸のライブラリーを含むことを意味する。
【0020】
アレイは、異なるマイクロフィーチャが、相対的な位置に従って互いから区別され得るように、表面と会合するか又は取り付けられるポリヌクレオチドを含むマイクロフィーチャなどの、異なるマイクロフィーチャの集団を指し得る。アレイの個々のフィーチャは、マイクロフィーチャの単一のコピー、又はアレイの個々のフィーチャにおけるマイクロフィーチャの集団として存在し得るマイクロフィーチャの複数のコピーを含み得る。各フィーチャにおけるマイクロフィーチャの集団は、典型的には均質であり、単一の種のマイクロフィーチャを有する。したがって、単一の核酸配列の複数のコピーは、例えば、同じ配列を有する複数の核酸分子上のフィーチャにおいて存在し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、マイクロフィーチャの不均質集団は、フィーチャにおいて存在し得る。いくつかの実施形態では、フィーチャは、単一のマイクロフィーチャ種のみを含み得る。いくつかの実施形態では、フィーチャは、異なる配列を有する核酸の混合物などの、複数の異なるマイクロフィーチャ種を含み得る。アレイの隣接するフィーチャは、互いに不連続であり得る。フィーチャは、互いに隣接してもよいか、又は間隙によって分離されてもよい。フィーチャが、離間している実施形態では、隣接する部位は、例えば、100μm、50μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm、100nm、50nm、10nm、5nm、1nm、0.5nm未満の距離、又は上記の距離のうちのいずれか2つの範囲内の任意の距離だけ分離され得る。アレイ上のフィーチャのレイアウトはまた、隣接するフィーチャ間の中心間距離の観点から理解され得る。本発明において有用なアレイは、約100μm、50μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm、100nm、50nm、10nm、5nm、1nm、0.5nm未満の中心間間隔、又は上記の距離のうちのいずれか2つの範囲内の任意の距離を有する隣接するフィーチャを有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される距離値は、アレイの隣接するフィーチャ間の平均距離を表し得る。したがって、例えば、距離が、アレイの全ての隣接するフィーチャ間の閾値距離を構成するという特定の記述によって、特に反対の指示がない限り、全ての隣接するフィーチャは、指定された範囲に収まる必要はない。実施形態は、様々な密度でフィーチャを有するアレイを含み得る。特定の実施形態の密度の例示的な範囲としては、約10,000,000フィーチャ/cm~約2,000,000,000フィーチャ/cm、約100,000,000フィーチャ/cm~約1,000,000,000フィーチャ/cm、約100,000フィーチャ/cm~約10,000,000フィーチャ/cm、約1,000,000フィーチャ/cm~約5,000,000フィーチャ/cm、約10,000フィーチャ/cm~約100,000フィーチャ/cm、約20,000フィーチャ/cm~約50,000フィーチャ/cm、約1,000フィーチャ/cm~約5,000フィーチャ/cm、又は上記の密度のうちのいずれか2つの範囲内の任意の密度が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「表面」は、試薬、ビーズ、又は分析物と接触するためにアクセス可能である基質又は支持構造体の一部を指し得る。表面は、実質的に平坦又は平面であり得る。代替的に、表面は丸みを帯びていてもよいか、又は輪郭付けされてもよい。表面に含まれ得る例示的な輪郭は、ウェル、くぼみ、柱、隆起部、チャネルなどである。基質又は支持構造体として使用され得る例示的な材料としては、変性又は機能化ガラスなどのガラス;アクリル、ポリスチレン若しくはスチレンと別の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、又はテフロン(登録商標)などのプラスチック;アガロース又はセファロースなどの多糖類又は架橋多糖類;ナイロン;ニトロセルロース;樹脂;シリカ又はケイ素及び変性ケイ素を含むシリカ系材料;炭素繊維;金属;無機ガラス;光ファイバ束、又は様々な他のポリマーが挙げられる。いくつかの異なる材料の単一材料又は混合物は、本発明において有用な表面を形成し得る。いくつかの実施形態では、表面はウェルを含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ビーズ」は、剛性又は半剛性材料から作製される小さな本体を指し得る。本体は、規則的又は不規則な寸法を有するかどうかにかかわらず、例えば、球、楕円、微小球、又は他の認識された粒子形状を特徴とする形状を有し得る。ビーズとして有用である例示的な材料としては、変性又は機能化ガラスなどのガラス;アクリル、ポリスチレン若しくはスチレンと別の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、又はテフロン(登録商標)などのプラスチック;アガロース又はセファロースなどの多糖類又は架橋多糖類;ナイロン;ニトロセルロース;樹脂;シリカ又はケイ素及び変性ケイ素を含むシリカ系材料;炭素繊維;金属;無機ガラス;光ファイバ束、又は様々な他のポリマーが挙げられる。例示的なビーズとしては、制御された細孔のガラスビーズ、常磁性ビーズ、トリアゾル、セファロースビーズ、ナノ結晶、及び当該技術分野において既知の他のビーズが挙げられる。ビーズは、生物学的又は非生物学的材料から作製され得る。磁気ビーズは、磁石を使用した磁気ビーズの操作の容易さに起因して特に有用である。特定の実施形態で使用されるビーズは、0.1μm~100μmの直径、幅、又は長さを有し得る。ビーズサイズは、フィーチャを分析するのに十分な信号を維持しながら、低減されたサイズを有する、したがって、増加した密度を有するように選択され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」、又はそれらの文法的等価物は、1つ以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して少なくとも部分的に形成される複合体を形成する反応を指し得る。水素結合は、Watson-Crick塩基ペアリング、Hoogstein結合、又は任意の他の配列特異的様式で発生し得る。複合体は、二重構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3つ以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズする鎖、又はこれらの任意の組み合わせを有し得る。鎖はまた、水素結合に加えて、架橋されるか、又はさもなければ力によって結合され得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「伸長する」、「伸長」、又はそれらの任意の文法的等価物は、ポリメラーゼなどの伸長酵素によるプライマー、ポリヌクレオチド、又は他の核酸分子へのdNTPの付加を指し得る。例えば、本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、得られる伸長プライマーは、核酸の配列情報を含む。いくつかの実施形態はDNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ、又は逆転写酵素を使用して伸長を実施するものとして論じられているが、伸長は、当該技術分野において周知の任意の他の様式で実施され得る。例えば、伸長は、対象の鎖にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドなどの、オリゴヌクレオチドを一緒にライゲートすることによって実施され得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ライゲーション」又は「ライゲートする」、又はそれらの他の文法的等価物は、ホスホジエステル結合による2本のヌクレオチド鎖の結合を指し得る。ライゲーションは、化学的ライゲーションを含み得る。そのような反応は、リガーゼによって触媒作用が及ぼされ得る。リガーゼは、ATP又は同様のトリホスフェートの加水分解によって、この反応に触媒作用を及ぼす酵素のクラスを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、互換的に使用され得、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指し得る。したがって、これらの用語は、一本鎖、二本鎖、又は多重鎖DNA又はRNAを含む。ポリヌクレオチドの例としては、遺伝子又は遺伝子断片、全ゲノムDNA、ゲノムDNA、エピゲノム、ゲノムDNA断片、ミトコンドリアDNA(mtDNA)、核DNA、リボソームDNA、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、レギュラトリーRNA、トランスファーRNA、リボソームRNA、PIWIインタラクティングRNA(piRNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、及び長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)などのノンコーディングRNA(ncRNA)、短鎖ヘアピン(shRNA)、短鎖核RNA(snRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖核小体RNA(snoRNA)、及びウイルスRNA、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、プライマー、又は上記のうちのいずれかの増幅されたコピーが挙げられる。ポリヌクレオチドとしては、非天然塩基を有するヌクレオチドを含むメチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチド、アザ又はデアザ-プリンなどの修飾天然塩基を有するヌクレオチドを挙げることができる。ポリヌクレオチドは、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、及びチミン(T)の特定の配列から構成され得る。ウラシル(U)もまた、例えば、ポリヌクレオチドがRNAである場合、チミンの天然置換として存在し得る。ウラシルは、DNAにも使用され得る。用語「核酸配列」は、天然及び非天然塩基を含む、ポリヌクレオチド又は任意の核酸分子のアルファベット表現を指し得る。追加的に、DNAは、非天然塩基対(複数可)(UBP)を含有し得る。UBPは、実験室で作成され、自然界では発生しないDNAの設計されたサブユニット(又は核酸塩基)である。
【0028】
本明細書で使用される場合、一次核酸は、対象の核酸である。いくつかの実施形態では、一次核酸は核DNAである。一次核酸は、試料中で分析されることが望ましい任意の核酸であり得る。本明細書で使用される場合、二次核酸は、試料中に見られるが、対象の核酸ではない核酸であり、したがって、対象の核酸の分析関連において干渉である。いくつかの実施形態では、二次核酸は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)又は染色体外DNAである。二次核酸は、試料中に見られるが分析対象ではなく、対象の核酸をより効率的かつ正確に分析するために、分析から阻害、低減、又は排除することが望ましい任意の核酸であり得る。染色体外DNAは、細胞の核の外側に見られる任意のDNAである。また、核外DNA又は細胞質DNAとも称される。
【0029】
核酸は、ホスホジエステル結合を含有し得、例えば、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイト、並びにペプチド核酸の骨格及び連結を含む他の種類の骨格を含み得る。核酸は、デオキシリボ及びリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンタニン、ヒポキサンタニン、イソシトシン、イソグアニン、及びニトロピロール(3-ニトロピロールを含む)並びにニトロインドール(5-ニトロインドールを含む)などの塩基類似体を含む塩基の任意の組み合わせを含有し得る。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも1つの無差別塩基を含み得る。無差別塩基は、2つ以上の異なる種類の塩基を有する塩基対であり得、例えば、ゲノムDNA試料などの複雑な核酸試料中のランダムハイブリダイゼーションのために使用されるオリゴヌクレオチドプライマー又はインサートに含まれる場合、有用であり得る。無差別塩基の例としては、アデニン、チミン、又はシトシンと対になり得るイノシンが挙げられる。他の例としては、ヒポキサンチン、5-ニトロインドール、非環式5-ニトロインドール、4-ニトロピラゾール、4-ニトロイミダゾール、及び3-ニトロピロールが挙げられる。少なくとも2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の種類の塩基と、塩基対を形成し得る無差別塩基が使用され得る。
【0030】
トランスポザーゼアクセス可能なクロマチンを使用する配列決定(ATAC-seq)のためのアッセイは、統合的エピゲノム分析の迅速かつ敏感な方法を指す。ATAC-seqは、オープンクロマチン部位を捕捉し、オープンクロマチン、DNA結合タンパク質、個々のヌクレオソームのゲノム位置間の相互作用、及びヌクレオチド分解能を有するレギュラトリー領域におけるより高次のコンパクションを明らかにする。ヌクレオソームを厳密に回避する、許容し得る、又はそれと重複する傾向があるDNA結合因子のクラスが見出されている。ATAC-seqを使用して、安静時のヒトT細胞の連続的な毎日のエピゲノムが測定され、標準的な採血を介してプロバンドから評価され、健康及び疾患を監視するための臨床的時間スケールにおける個人的エピゲノムの読み取りの実現可能性を実証した。より具体的には、ATAC-seqは、単一細胞からのクロマチンを挿入酵素複合体で処理して、ゲノムDNAのタグ付き断片を生成することによって実施され得る。この工程では、クロマチンは、クロマチン内のオープン領域内のゲノムDNAを切断し、断片の両端にアダプターを付加するTn5又はMuAなどの挿入酵素を使用して、タグメンテーションされる(例えば、同じ反応で断片化及びタグ付けされる)。いくつかの実施形態では、この適用は、全ゲノム配列決定又はエピゲノムプロファイリングである。
【0031】
全ゲノム配列決定(WGS)は、次世代配列決定による全ゲノム配列決定のための、10×、20×、及び40×フォーマットなどの多くの倍数によってゲノムを読み取る方法を指す。標的化配列決定は、試料中の選択されたDNA遺伝子座又は遺伝子のDNA配列を決定する、例えば、選択された群の癌関連遺伝子を配列決定する方法又はアッセイを指す。
【0032】
場合によっては、条件は、クロマチン内の望ましい挿入レベル(例えば、オープン領域内で、平均して50~200塩基対毎に発生する挿入)を得るように調整され得る。本方法で使用されるクロマチンは、任意の好適な方法によって作製され得る。いくつかの実施形態では、核は単離、溶解され得、クロマチンは、例えば、核エンベロープから更に精製され得る。他の実施形態では、クロマチンは、単離された核を反応緩衝剤と接触させることによって単離され得る。これらの実施形態では、単離された核は、反応緩衝剤(挿入酵素複合体及び他の必要な試薬を含む)と接触すると溶解し得、これにより挿入酵素複合体がクロマチンにアクセスすることが可能になる。これらの実施形態では、本方法は、細胞の集団から核を単離することと、単離された核をトランスポザーゼ及びアダプターと組み合わせることと、を含み得、組み合わせることによって、核を溶解して当該クロマチンを放出すること、及びゲノムDNAのアダプタータグ付き断片を生成することの両方がもたらされる。クロマチンは、他の方法(例えば、ChIP-SEQ法)にあるような架橋を必要としない。いくつかの実施形態では、酵素反応は、細胞から直接発生する。
【0033】
クロマチンが断片化され、タグ付けされて、ゲノムDNAのタグ付き断片を生成した後、アダプタータグ付き断片の少なくとも一部が配列決定されて、複数の配列リードを生成する。断片は、任意の好適な方法を使用して配列決定され得る。例えば、断片は、Illuminaの可逆的ターミネーター法、Rocheのピロ配列決定法(454)、Life Technologiesのライゲーションによる配列決定(SOLiDプラットフォーム)、又はLife TechnologiesのIon Torrentプラットフォームを使用して配列決定され得る。そのような方法の例は、以下の参考文献:Margulies et al.(Nature 2005 437:)376-80);Ronaghi et al.(Analytical Biochemistry 1996 242:84-9);Shendure et al.(Science 2005 309:1728-32);Imelfort et al.(Brief Bioinform.2009 10:609-18);Fox et al.(Methods Mol Biol.2009;553:79-108);Appleby et al.(Methods Mol Biol.2009;513:19-39)、及びMorozova et al.(Genomics.2008 92:255-64)に記載されており、これらは、全ての出発生成物、ライブラリー調製のための方法、試薬、及び工程の各々での最終生成物を含む、方法及び方法の特定の工程の一般的な説明について、参照により本明細書に組み込まれる。明らかなように、選択された次世代配列決定プラットフォームと互換性のある順方向及び逆方向配列決定プライマー部位が、増幅工程中に断片の末端に付加され得る。特定の実施形態では、断片は、断片に付加されたタグにハイブリダイズするPCRプライマーを使用して増幅され得、PCRに使用されるプライマーは、特定の配列決定プラットフォームと互換性のある5’尾部を有する。ATAC-seqを実施する方法は、国際出願第US2014/038825号に記載されており、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「クロマチン」は、真核細胞の核中に見られるような、タンパク質及びポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)を含む分子の複合体を指す。クロマチンは、ヌクレオソーム、ゲノムDNA、及びゲノムDNAに一般に結合される他のDNA結合タンパク質(例えば、転写因子)を形成するヒストンタンパク質の一部で構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象の標的核酸を更に分析することを更に含む。分析としては、例えば、DNA分析、RNA分析、タンパク質分析、タグメンテーション、核酸増幅、核酸配列決定、核酸ライブラリー調製、連続維持転位(CPT-seq)、単一細胞コンビナトリアルインデックス配列決定(SCI-seq)、又は単一細胞ゲノム増幅、単一細胞からの又は細胞の集団からの全ゲノム配列決定、エピゲノミクス、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0036】
DNA分析は、DNAを増幅、配列決定、又はさもなければ分析するために使用される任意の技術を指す。DNA増幅は、PCR技術を使用して達成され得る。DNA分析はまた、非標的化、非PCRベースのDNA配列決定(例えば、メタゲノミクス)技術も含み得る。非限定的な例として、DNA分析としては、16S rDNA(リボソームDNA)のハイパー可変領域を配列決定すること、及びDNAを介した種識別のための配列決定を使用することを挙げることができる。いくつかの実施形態では、DNAは、精製されたDNAを含み得る。
【0037】
RNA分析は、RNAを増幅、配列決定、又はさもなければ分析するために使用される任意の技術を指す。DNAを分析するために使用される同じ技術を使用して、RNAを増幅及び配列決定し得る。DNAよりも安定でないRNAは、刺激に応じたDNAの翻訳である。したがって、RNA分析は、コミュニティの代謝的に活性なメンバーのより正確な写真を提供し得、試料中の生物のコミュニティ機能に関する情報を提供するために使用され得る。核酸配列決定は、DNA又はRNAなどの核酸分子の配列中のヌクレオチドの順序を決定するための配列決定の使用を指す。いくつかの実施形態では、DNA分析はまた、増幅を必要としないか、又は使用しない方法も含み得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「配列決定」は、ポリヌクレオチドの少なくとも10個の連続ヌクレオチドの同一性(例えば、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個、又は少なくとも200個以上の連続ヌクレオチドの同一性)が得られる方法を指す。
【0039】
用語「次世代配列決定」又は「ハイスループット配列決定」又は「NGS」は、一般に、ハイスループット配列決定技術を指し、超並列シグネチャ配列決定、ハイスループット配列決定、ライゲーションによる配列決定(例えば、SOLiD配列決定)、プロトンイオン半導体配列決定、DNAナノボール配列決定、単一分子配列決定、及びナノ細孔配列決定が挙げられるが、これらに限定されず、Illumina、Life Technologies、又はRocheなどによって現在用いられている、合成による並列化された配列決定プラットフォーム又はライゲーションによる配列決定プラットフォームを指し得る。次世代配列決定方法はまた、ナノ細孔配列決定法、又はLife Technologiesによって商業化されたIon Torrent技術、若しくはPacific Biosciences及び/若しくはBGI Microfluidicsによって商業化された単一分子蛍光ベース法などの電子検出ベース法を挙げることができる。
【0040】
例示的な配列決定技術としては、標的化配列決定、単分子リアルタイム配列決定、電子顕微鏡ベースの配列決定、トランジスタ媒介配列決定、直接配列決定、ランダムショットガン配列決定、サンガージデオキシターミネーション配列決定、標的化配列決定、エクソン配列決定、全ゲノム配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定(例えば、マイクロアレイなどのアレイ)、パイロ配列決定、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動、デュプレックス配列決定、サイクル配列決定、単一塩基伸長配列決定、固相配列決定、ハイスループット配列決定、超並列ショットガン配列決定、エマルジョンPCR、低修飾温度での共増幅PCR(COLD-PCR)、マルチプレックスPCR、可逆的色素ターミネーターによる配列決定、ペアエンド配列決定、短期配列決定、エキソヌクレアーゼ配列決定、ライゲーションによる配列決定、短リード配列決定、単一分子配列決定、合成による配列決定、リアルタイム配列決定、可逆的ターミネーター配列決定、イオン半導体配列決定、ナノボール配列決定、ナノ細孔配列決定、454配列決定、Solexa Genome Analyzer配列決定、miSeq(Illumina)、HiSeq2000(Illumina)、HiSeq2500(Illumina)、Illumina Genome Analyzer(Illumina)、Ion Torrent PGM(商標)(Life Technologies)、MinION(商標)(Oxford Nanopore Technologies)、リアルタイムSMRT(商標)技術(Pacific Biosciences)、Probe-Anchor Ligation(cPAL(商標))(Complete Genomics/BGI)、SOLiD(登録商標)配列決定、MS-PET配列決定、質量分析、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、配列決定は、測定器を使用して、配列決定生成物を検出することを含み、測定器としては、例えば、ABI PRISM(登録商標)377 DNA Sequencer、ABI PRISM(登録商標)310、3100、3100-Avant、3730、又は373OxI Genetic Analyzer、ABI PRISM(登録商標)3700 DNA Analyzer、又はApplied Biosystems SOLiD(商標)System(全て、Applied Biosystems)、Genome Sequencer20 System(Roche Applied Science)、又は質量分析計が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、配列決定は、エマルジョンPCRを含む。特定の実施形態では、配列決定は、ハイスループット配列決定技術を含む。特定の実施形態では、配列決定は、全ゲノム配列決定を含む。特定の実施形態では、配列決定は、超並列配列決定(例えば、超並列ショットガン配列決定)を含む。代替の実施形態では、配列決定は、標的化配列決定を含む。
【0041】
タンパク質分析は、タンパク質の研究を指し、プロテオミクス分析、対象のタンパク質の翻訳後修飾の決定、タンパク質発現レベルの決定、又は他のタンパク質を有する若しくは核酸を有することを含む他の分子とのタンパク質相互作用の決定を含み得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「タグメンテーション」は、トランスポゾン末端配列を含むアダプターと複合体化されたトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾を指す。タグメンテーションは、DNAの同時断片化及び二重断片の両方の鎖の5’末端へのアダプターのライゲーションをもたらす。トランスポザーゼ酵素を除去する精製工程に続いて、追加の配列が、例えば、PCR、ライゲーション、又は当業者に既知の任意の他の好適な手順によって、適合された断片の末端に付加され得る。
【0043】
連続維持転位配列決定(CPT-seq)は、標的核酸に隣接するテンプレート核酸断片の会合を維持するために、トランスポザーゼの使用による連続情報を維持しながらの配列決定の方法を指す。例えば、CPTは、DNA上などの核酸上で実施され得る。CPT核酸は、独自のインデックス又はバーコードを有する相補的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって捕捉され、固体支持体上に固定化され得る。いくつかの実施形態では、固体支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドは、バーコードに加えて、プライマーバインダー部位、独自の分子インデックスを更に含み得る。有利なことには、断片化された核酸の物理的近接性を維持するためのトランスポソームのそのような使用は、同じ元の分子、例えば、染色体からの断片化された核酸が、固体支持体上に固定されたオリゴヌクレオチドから同じ独自のバーコード及びインデックス情報を受け取る可能性を高める。これは、独自のバーコードを有する連続して連結された配列決定ライブラリーをもたらす。連続して連結された配列決定ライブラリーを配列決定して、連続配列情報を導き出すことができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「連続情報」は、共有情報に基づく2つ以上のDNA断片間の空間的関係を指す。情報の共有された態様は、隣接する、区画的、距離空間関係に関し得る。tumにおけるこれらの関係に関する情報は、DNA断片に由来する配列リードの階層的アセンブリ又はマッピングを容易にする。この連続情報は、そのようなアセンブリ又はマッピングの効率及び精度を改善させる。なぜなら、従来のショットガンの配列決定に関連付けられて使用される従来のアセンブリ又はマッピング方法は、個々の配列リードが由来する2つ以上のDNA断片間の空間的関係に関連するので、個々の配列リードの相対的なゲノム起源又は座標を考慮しないためである。
【0045】
したがって、本明細書に記載される実施形態によれば、連続情報を捕捉する方法は、隣接する空間的関係を決定するための短距離連続法、区画的空間関係を決定するための中間範囲連続法、又は距離空間関係を決定するための長距離連続法によって達成され得る。これらの方法は、DNA配列アセンブリ又はマッピングの精度及び品質を促進し、本明細書に記載されるものなどの任意の配列決定法とともに使用され得る。
【0046】
連続情報は、個々の配列リードが由来する2つ以上のDNA断片間の空間的関係に関連するので、個々の配列リードの相対的なゲノム起源又は座標を含む。いくつかの実施形態では、連続情報は、非重複配列リードからの配列情報を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、標的核酸配列の連続情報は、ハプロタイプ情報を示す。いくつかの実施形態では、標的核酸配列の連続情報は、ゲノム変異体を示す。
【0048】
単一細胞コンビナトリアルインデックス配列決定(SCI-seq)は、例えば、全ゲノム、メチル化、RNA、同時DNA及びRNA、若しくはHi-C、若しくはライブラリーの他の分析、又はこれらの任意の組み合わせを含む、様々な分析のために数千の単一細胞ライブラリーを同時に生成するための配列決定技術である。
【0049】
転位反応は、1つ以上のトランスポゾンが、ランダムな部位又はほぼランダムな部位で標的核酸に挿入される反応である。転位反応の構成要素としては、トランスポザーゼ(又はインテグラーゼなどの、本明細書に記載される核酸を断片化及びタグ付けすることができる他の酵素)、及びトランスポザーゼ(又は本明細書に記載されるような他の酵素)に結合する二本鎖トランスポゾン末端配列を含むトランスポゾン要素、及び2つのトランスポゾン末端配列のうちの1つに取り付けられたアダプター配列が挙げられる。二本鎖トランスポゾン末端配列の1つの鎖は、標的核酸の1つの鎖に転写され、相補的なトランスポゾン末端配列鎖は(非転写トランスポゾン配列)ではない。アダプター配列は、必要に応じて又は所望に応じて、1つ以上の機能的配列又は構成要素(例えば、プライマー配列、アンカー配列、ユニバーサル配列、スペーサー領域、又はインデックスタグ配列)を含み得る。
【0050】
トランスポゾンベース技術は、例えば、NEXTERA(商標)XT及びFLEX DNA試料調整キット(Illumina,Inc.)のワークフローに例示されているように、DNAを断片化するために利用され得、ゲノムDNAなどの標的核酸は、標的の断片化及びタグ付け(タグメンテーション)を同時に行うトランスポソーム複合体で処理され、それによって、断片の末端に独自のアダプター配列でタグ付けされた断片化された核酸分子の集団を作成する。
【0051】
本明細書で使用される場合、挿入酵素複合体は、ポリヌクレオチドと組み合わされて、断片化し、ポリヌクレオチドにアダプターを付加する挿入酵素及び2つのアダプター分子(「トランスポゾンタグ」)を含む複合体を指す。したがって、挿入酵素複合体は、「トランスポソーム複合体」であり得、少なくとも1つのトランスポザーゼ(又は本明細書に記載されるような他の酵素)及びトランスポゾン認識配列から構成される。いくつかのそのようなシステムでは、トランスポザーゼは、トランスポゾン認識配列に結合して、転位反応に触媒作用を及ぼすことができる機能的複合体を形成する。いくつかの態様では、トランスポゾン認識配列は、二本鎖トランスポゾン末端配列である。トランスポザーゼは、標的核酸内のトランスポザーゼ認識部位に結合し、トランスポザーゼ認識配列を標的核酸内に挿入する。いくつかのそのような挿入事象では、トランスポゾン認識配列(又は末端配列)の1本の鎖が標的核酸に転写され、切断事象がもたらされる。本開示のトランスポザーゼとともに使用するために容易に適合され得る例示的な転位手順及びシステムは、例えば、国際公開第10/048605号、米国特許公開第2012/0301925号、米国特許公開第2012/13470087号、又は米国特許公開第2013/0143774号に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
本明細書で提供される特定の実施形態とともに使用され得る例示的なトランスポザーゼとしては、以下のものが挙げられる(又は以下のものによってコード化される):Tn5トランスポザーゼ(Reznikoff et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.1999,266,729-734を参照)、Sleeping Beauty(SB)トランスポザーゼ、Vibrio harveyi(Agilentにより特徴付けられ、SureSelect QXT生成物で使用されるトランスポザーゼ)、MuAトランスポザーゼ、並びにR1及びR2末端配列を含むMuトランスポザーゼ認識部位(Mizuuchi,K.,Cell,35:785,1983;Savilahti,H,et al.,EMBO J.,14:4893,1995)、Staphylococcus aureus Tn552(Coleoo,O.et al.,J.Bacteriol.,183:2384-8,2001;Kirby,C.et Al.,Mol.Microbiol.,43:173-86,2002)、Ty1(Devine & Boeke,Nucleic Acids Res.,22:3765-72,1994、及び国際公開第95/23875号)、Transposon Tn7(Craig,N.L.,Science,271:1512,1996;Craig,N.L.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.,204:27-48,1996)、Tn/O、及びIS10(Kleckner N.et al.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.,204:49-82,1996)、Marinerトランスポザーゼ(Lampe,D.J.et al.,EMBO J.,15:5470-9,1996)、Tc1(Plasterk,R.H.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.,204:125-43,1996)、P Element(Gloor,G.B.,Methods Mol.Biol.,260:97-114,2004)、Tn3(Ichikawa & Ohtsubo,J.Biol.Chem.,265:18829-32,1990)、細菌挿入配列(Ohtsubo & Sekine,Curr.Top.Microbiol.Immunol.204:1-26,1996)、レトロウイルス(Brown et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:2525-9,1989)、並びに酵母のレトロトランスポゾン(Boeke & Corces,Ann.Rev.Microbiol.43:403-34,1989)。更なる例としては、IS5、Tn10、Tn903、IS911、及びトランスポザーゼファミリー酵素の遺伝子操作型(Zhang et al.,(2009)PLoS Genet.5:e1000689.Epub Oct.16;Wilson C.et al.(2007)J.Microbiol.Methods 71:332-5)が挙げられ、トランスポザーゼに関して本明細書に引用される参考文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される方法はまた、トランスポザーゼの組み合わせも含み得、単一のトランスポザーゼのみではない。
【0053】
いくつかの実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5、MuA、又はVibrio harveyiトランスポザーゼ、又はこれらの活性変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその活性変異体である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、過活性Tn5トランスポザーゼ(例えば、Reznikoffら、国際公開第2001/009363号、米国特許第5,925,545号、同第5,965,443号、同第7,083,980号、及び同第7,608,434号、並びにGoryshin and Reznikoff,J.Biol.Chem.273:7367,1998)、又はその活性変異体である。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、国際公開第2015/160895号に記載されているようなTn5トランスポザーゼであり、それは、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼ融合タンパク質は、融合伸長因子Ts(Tsf)タグを含む。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、野生型配列に対するアミノ酸54、56、及び372における変異を含む、過活性Tn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態では、過活性Tn5トランスポザーゼは、融合タンパク質であり、任意選択的に、融合タンパク質は、伸長因子Ts(Tsf)である。いくつかの実施形態では、認識部位は、Tn5型のトランスポザーゼ認識部位である(Goryshin and Reznikoff,J.Biol.Chem.,273:7367,1998)。一実施形態では、過活性Tn5トランスポザーゼ(例えば、EZ-Tn5(商標)トランスポザーゼ、Epicentre Biotechnologies、Madison,Wis.)と複合体を形成するトランスポザーゼ認識部位が使用される。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、野生型Tn5トランスポザーゼである。
【0054】
本明細書に記載される方法、組成物、又はシステムの実施形態のうちのいずれかでは、トランスポゾンは、トランスポゾン末端配列を含む。いくつかの実施形態では、トランスポゾン末端配列は、モザイク末端(ME)配列である。いくつかの実施形態では、DNAはタグメンテーションを使用してタグ付けされ、DNAはタグでタグ付けされ、タグに含まれるものは、ME配列などのトランスポゾン特異的配列である。したがって、DNAは、トランスポゾン特異的配列に基づいて、試料中のRNAから区別される。
【0055】
本明細書に記載される方法、組成物、又はシステムの実施形態のうちのいずれかでは、トランスポゾンは、アダプター配列を含む。アダプター配列は、プライマー配列、アンカー配列、ユニバーサル配列、スペーサー領域、インデックス配列、キャプチャ配列、バーコード配列、切断配列、配列決定関連配列、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の機能的配列又は構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、アダプター配列は、プライマー配列を含む。他の実施形態では、アダプター配列は、プライマー配列及びインデックス又はバーコード配列を含む。プライマー配列はまた、ユニバーサル配列であり得る。本開示は、使用され得るアダプター配列の種類に限定されず、当業者であれば、ライブラリー調製及び次世代配列決定に使用し得る追加の配列を認識する。ユニバーサル配列は、2つ以上の核酸断片に共通であるヌクレオチド配列の領域である。任意選択的に、2つ以上の核酸断片はまた、配列の違いの領域も有する。複数の核酸断片の異なるメンバーに存在し得るユニバーサル配列は、ユニバーサル配列に相補的である単一のユニバーサルプライマーを使用して、複数の異なる配列の複製又は増幅を可能にし得る。
【0056】
アダプターとしては、一本鎖核酸などの核酸が挙げられる。アダプターとしては、約5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド未満、それらを超える、若しくはそれらに等しい、又は上記のサイズのうちのいずれか2つの間の範囲の長さを有する短い核酸を挙げることができる。
【0057】
実施形態のうちのいずれかでは、A14-ME、ME、B15-ME、ME’、A14、B15、及びMEを含むアダプター配列又はトランスポゾン末端配列が、以下に提供される。
A14-ME:5’-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3’(配列番号1)
B15-ME:5’-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3’(配列番号2)
ME’:5’-phos-CTGTCTCTTATACACATCT-3’(配列番号3)
A14:5’-TCGTCGGCAGCGTC-3’(配列番号4)
B15:5’-GTCTCGTGGGCTCGG-3’(配列番号5)
ME:AGATGTGTATAAGAGACAG(配列番号6)
【0058】
いくつかの実施形態では、プライマー配列は、配列決定用ライブラリーを調製するために含まれる。いくつかの実施形態では、プライマー配列は、P5プライマー配列又はP7プライマー配列である。P5及びP7プライマーは、様々なIlluminaプラットフォーム上で配列決定するために、Illumina,Inc.によって販売されている市販のフローセルの表面上で使用される。プライマー配列は、米国特許公開第2011/0059865(A1)号に記載されており、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。5’末端でアルキン末端であり得るP5及びP7プライマーの例としては、以下のものが挙げられる:
P5:AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC(配列番号7)
P7:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号8)
【0059】
及びこれらの誘導体又は類似体。いくつかの例では、P7配列は、G位における修飾グアニン、例えば、8-オキソ-グアニンを含む。他の例では、は、Gと隣接する3’Aとの間の結合が、ホスホロチオエート結合であることを示す。いくつかの例では、P5及び/又はP7プライマーは、非天然リンカーを含む。任意選択的に、P5及びP7プライマーの一方又は両方は、ポリT尾部を含み得る。ポリT尾部は、一般に、上記の配列の5’末端、例えば、5’塩基と末端アルキン単位との間に位置するが、場合によっては、3’末端に位置し得る。ポリT配列は、任意の数のTヌクレオチド、例えば2~20個を含み得る。P5及びP7プライマーは、例として与えられるが、本明細書に提示される例では、任意の好適なプライマーが使用され得ることを理解されたい。P5及びP7プライマー配列を含むプライマー配列を有するインデックス配列は、配列決定用ライブラリーを活性化するために、P5及びP7を付加するのに役立つ。
【0060】
核酸結合分子は、DNA又はRNAなどの核酸に優先的に結合する分子である。DNA結合分子などの核酸結合分子は、他の種類の核酸に結合することなく、特定の種類の核酸に特異的であり得る。例えば、DNA結合分子は、mtDNAに優先的に結合し得るが、核DNAなどの他の核酸に結合しないか、又はより少ない程度で結合する。核酸結合分子の例としては、色素若しくは染色剤、タンパク質、酵素、生体分子、アフィニティータグ、粒子、蛍光ラベル、ペプチド、リガンド、又は核酸に特異的に結合することができる他の分子が挙げられる。したがって、いくつかの例では、核酸結合分子は、Hoechst色素、シアニン色素(例えば、SYBRグリーン、SYBRゴールドなどのSYBR色素、オキサゾールイエロー、チアゾールオレンジ、PicoGreen、Safeグリーンを含む)、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、又はSytox色素(例えば、Sytoxグリーン又はSytoxオレンジを含む)である。他の核酸結合分子としては、例えば、7-AAD(7-アミノ-アクチノマイシンD)、アクリジンオレンジ、アクリジンレッド、Alexa Fluor594、Alexa Fluor610 R-フィコエリスリンストレプトアビジンpH7.2、Alexa Fluor647 R-フィコエリスリンストレプトアビジンpH7.2、Alexa Fluor633、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、Alexa Fluor750、アロフィコシアニン(APC)、BOBO-3-DNA、BOBO-3、Bodipy650/665-X、Cy5.5、Cy5、DDAO、Draq5、臭化エチジウム、エチジウムモノアジド、エチジウムホモダイマー、エチジウムホモダイマー-1(EthD-1)、エチジウムホモダイマー-1-DNA、エチジウムホモダイマー-2、LDS751、LDS751(DNA)、LOLO-1、MitoTrackerレッド、Nileブルー-EtOH、OliGreen、dsDNA、定量試薬、POPO-1-DNA、PO-PRO-1-DNA、ヨウ化プロピジウム(PI)、ヨウ化プロピジウム-DNA、Ribogreen、SYPRO Ruby、SYTO60、SYTO61、SYTO62、SYTO63、SYTO64、Texas Red、TO-PRO-1-DNA、TO-PRO-3、TO-PRO-5、TOTO-1-DNA、TOTO-3、YO-PRO-1-DNA、YO-PRO-3、YOYO-1、YOYO-1-DNA、及びYOYO-3を挙げることができる。これらの核酸結合分子は、使用され得る例示的な分子であり、当業者は、対象の標的核酸とオフターゲット核酸とを区別する任意の核酸結合分子が使用され得ることを認識する。
【0061】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、核酸を配列決定する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、核酸を含む試料を用意することと、試料をDNA結合分子と接触させることと、試料を挿入酵素複合体と接触させて、タグ付き核酸断片を生成することと、タグ付き核酸断片を配列決定して、配列リードを生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、試料は、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核である。いくつかの実施形態では、試料は、mtDNA及び核DNAを含み、DNA結合分子は、mtDNAに結合するが核DNAには結合しない。いくつかの実施形態では、DNA結合分子は、DNA色素、アフィニティータグ、リガンド、酵素、ペプチド、又は生体分子を含む。いくつかの実施形態では、DNA色素は、Hoechst色素、SYBR Gold、Sytox Orange、Pico Green、又はQubitを含む。いくつかの実施形態では、挿入酵素複合体は、トランスポザーゼを含むトランスポソームである。いくつかの実施形態では、配列決定は、ATAC-seqにより実施される。いくつかの実施形態では、ATAC-seqは、バルクATAC-seq又は単一細胞ATAC-seqを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、mtDNA配列決定リードを阻害、低減、又は排除する。いくつかの実施形態では、核酸結合分子は、特定のDNA配列(複数可)に優先的に結合する。
【0062】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、mtDNA配列決定リードを阻害、低減、又は排除する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、mtDNA及び対象の核酸を含む試料を用意することと、試料を、mtDNAなどの二次DNAに優先的に結合するDNA結合分子と接触させることと、DNA転位をオープンクロマチン上で実施することと、を含み、mtDNAなどの二次DNAは、転位されない。いくつかの実施形態では、試料は、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核である。いくつかの実施形態では、DNA結合分子は、DNA色素、アフィニティータグ、リガンド、酵素、ペプチド、又は生体分子を含む。いくつかの実施形態では、DNA色素は、Hoechst色素、SYBR Gold、Sytox Orange、Pico Green、又はQubitを含む。いくつかの実施形態では、DNA転位は、ATAC-seqを使用して実施される。いくつかの実施形態では、ATAC-seqは、バルクATAC-seq又は単一の細胞ATAC-seqを含む。いくつかの実施形態では、試料をDNA結合分子と接触させることによって、mtDNAへの転位が遮断される。いくつかの実施形態では、対象の核酸は、核DNAを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、核DNAを配列決定することを更に含む。
【0063】
本明細書で使用される場合、試料は、対象の分析物を有する任意の試料を含む。試料は、例えば、全血、血清、間質液、リンパ液、脳脊髄液、痰、尿、便、乳、汗、涙、臍帯、末梢血、骨髄、細胞、又は固体組織を含む、対象の分析物を有する生体試料などの、生体試料であり得る。いくつかの実施形態では、試料は、細胞の集団、細胞、細胞核の集団、又は細胞核である。試料は、被験物から得られてもよく、被験物からの1つ以上の対象の分析物を分析することが望ましい。本明細書で使用される場合、「被験物」とは、処理、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」としては、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に哺乳動物などの冷血並びに温血脊椎動物及び無脊椎動物が挙げられる。「哺乳動物」としては、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特にヒトなどの霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
試料は、環境源から得られた流体又は検体であり得る。例えば、環境源から得られる流体又は検体は、食品(food products)、食品(food produce)、家禽、肉、魚、飲料、乳製品、水(排水を含む)、池、川、貯水池、スイミングプール、土壌、食品加工及び/又は包装工場、農場、ハイドロカルチャー(水耕栽培の食品ファームを含む)、医薬製造工場、動物コロニー施設、又はこれらの任意の組み合わせから得られ得るか、又はこれらに由来し得る。いくつかの実施形態では、試料は、細胞培養物又は微生物コロニーから収集されるか、又はそれに由来する流体又は検体である。
【0065】
本明細書で使用される場合、「分析物」、「標的分析物」、「対象の分析物」は、互換的に使用され、本明細書に開示される方法及びシステムにおいて測定される分析物を指す。いくつかの実施形態では、分析物は、生体分子であり得る。生体分子の非限定的な例としては、ポリヌクレオチド(例えば、DNA又はRNA)、タンパク質、脂質、及び炭水化物などの巨大分子が挙げられる。特定の事例では、分析物は、ホルモン、抗体、増殖因子、サイトカイン、酵素、受容体(例えば、神経、ホルモン、栄養素、及び細胞表面受容体)、又はそれらのリガンド、癌マーカー(例えば、PSA、TNF-アルファ)、心筋梗塞のマーカー(例えば、トロポニン、クレアチンキナーゼなど)、毒素、薬物(例えば、常用薬物)、代謝剤(例えば、ビタミンを含む)などであり得る。タンパク質分析物の非限定的な実施形態としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質断片、タンパク質複合体、融合タンパク質、組み換えタンパク質、リンタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、オリゴヌクレオチドでタグ付けされたタンパク質などが挙げられる。標的分析物は、核DNAなどの核酸であり得る。
【0066】
逆に、オフターゲット分析物は、通常は酵素反応を使用して分析されるが、対象の分析物及びオフターゲット分析物の両方が分析され、よれによって、結果の精度及び信頼性が低下するような、対象の標的分析物ではない分析物である。オフターゲット分析物は、分析しないことが好ましい分析物である。したがって、本明細書で提供される実施形態は、オフターゲット分析物分析を排除、低減、又は阻害する方法及び組成物に関する。
【0067】
標的核酸は、試料中の核酸の平均サイズが、約2kb、1kb、500bp、400bp、200bp、100bp、50bp未満、それらを超える、若しくはそれらに等しい、又は上記のサイズのうちのいずれか2つの間の範囲である試料を含み得る。いくつかの実施形態では、試料中の核酸の平均サイズは、約2000ヌクレオチド、1000ヌクレオチド、500ヌクレオチド、400ヌクレオチド、200ヌクレオチド、100ヌクレオチド、50ヌクレオチド未満、それらを超える、若しくはそれらに等しい、又は上記のサイズのうちのいずれか2つの間の範囲である。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「試薬」は、試料と反応する、試料と相互作用する、試料を希釈する、又は試料に添加するのに有用な薬剤又は2種以上の薬剤の混合物を記載し、溶解、核酸分析、核酸増幅反応、タンパク質分析、タグメンテーション反応、ATAC-seq、CPT-seq、若しくはSCI-seq反応、又は他のアッセイ用の薬剤を含む、本明細書に記載されるアッセイで使用される薬剤を含み得る。したがって、試薬としては、例えば、緩衝剤、化学物質、酵素、ポリメラーゼ、50塩基対未満のサイズを有するプライマー、テンプレート核酸、ヌクレオチド、ラベル、色素、又はヌクレアーゼを挙げることができる。いくつかの実施形態では、試薬としては、リゾチーム、プロテイナーゼK、ランダムヘキサマー、ポリメラーゼ(例えば、Φ29 DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Bsuポリメラーゼ)、トランスポザーゼ(例えば、Tn5)、プライマー(例えば、P5及びP7アダプター配列)、リガーゼ、触媒酵素、デオキシヌクレオチドトリホスフェート、緩衝剤、又は二価カチオンが挙げられる。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「単離される」、「単離する」、「単離」、「精製される」、「精製する」、「精製」、及びこれらの文法的等価物は、本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、試料から、又は材料が単離される源(例えば、細胞)からの少なくとも1つの汚染物質(例えば、タンパク質及び/又は核酸配列など)の量の低減を指す。したがって、精製は、「濃縮」、例えば、試料中の所望のタンパク質及び/又は核酸配列の量の増加をもたらす。
【0070】
本明細書に記載される方法及び組成物の利点としては、例えば、オープンクロマチン配列決定(ATAC-seq)によって対象のDNAを特異的に標的とすること、分析からの望ましくないミトコンドリア配列決定リードを低減、阻害、又は排除すること、望ましくない標的を分離する必要性を低減又は排除して、分離方法への負担を少なくすること、及び望ましくない情報が収集及び分析されないためのコストの低減を挙げることができる。
【0071】
この方法はまた、酵素の反応性及び選択性を制御することによって組み合わされ得る。本明細書に記載される組成物及び方法は、特定の標的を遮断することによって、酵素の活性及び特異性を制御する。当業者には理解されるように、同様の原理は、DNA、タンパク質、RNA、若しくは対象の任意の分析物、又は分析物の組み合わせに関するアッセイにも適用され得る。
【0072】
本明細書で提供されるシステム及び方法の実施形態は、液滴内の試料を単離する際に使用するための液滴パーティショニングシステムとともに使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「パーティショニング」又は「パーティションされる」は、試料を複数の部分又は「パーティション」に分離することを指す。パーティションは、固体又は流体であり得る。いくつかの実施形態では、パーティションは、固体パーティション、例えば、マイクロチャネルである。いくつかの実施形態では、パーティションは、流体パーティション、例えば、液滴である。いくつかの実施形態では、流体パーティション(例えば、液滴)は、不混和性流体(例えば、水及び油)、又はエマルジョンの混合物である。いくつかの実施形態では、流体パーティション(例えば、液滴)は、不混和性キャリア流体(例えば、油)によって囲まれた水滴である。他の実施形態では、流体パーティションは、1つの液滴の内容物が、隣接する液滴に拡散しないように、隣接する水滴から物理的又は化学的に分離される水滴である。例えば、パーティショニングは、対象の核酸を別個にパーティション、単離、及び/又は分析するために、液滴発生器(例えば、BioRadシステム、Dolomite Microfluidicsシステム、Micronit Microfluidicsシステム、油中水型マイクロ流体デバイス、10X Genomicsシステム、又は任意の他の好適な液滴パーティショニングシステム)を使用して実施され得る。
【0073】
本明細書で提供されるシステム及び方法の実施形態は、転位試薬、第1のタグに相補的な第1のプローブ、及び第2のタグに相補的な第2プローブを含有するキットを含み、第1及び第2プローブは、固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、第1プローブ及び第2プローブは、バーコードを含む。いくつかの実施形態では、第1プローブ及び第2プローブは、ポリTプローブである。いくつかの実施形態では、固体支持体は、エッチングされた表面、ウェル、アレイ、フローセルデバイス、マイクロ流体チャネル、ビーズ、磁性ビーズ、カラム、液滴、又は微小粒子である。
【実施例
【0074】
実施例1-ミトコンドリアDNAリードの低減
以下の実施例は、ATAC-seqを使用してmtDNAリードを低減する実施形態を実証する。
【0075】
核DNA及びmtDNAの両方を有する試料を得た。試料を、様々なアリコートに分離し、各アリコートを、8μM、80μM、及び800μMを含む様々な濃度で、Hoechst33258色素と接触させた。次いで、各アリコートを、転位及びATAC-seqに供し、DNAリードを分析した。
【0076】
図2A図2Cに示されるように、Hoechst色素は、選択的に染色されたmtDNAであり、mtDNAへの転位を妨害するが、核DNAの転位を可能にする。表1は、図2A図2Cに示される結果として得られたリードを要約する。Hoechst色素の濃度を増加させると、ATAC-seqを使用してmtDNAリードを減少させた。本方法及び組成物は、バルクATAC-seq又は単一細胞ATAC-seqに使用されて、望ましくないmtDNA配列決定リードを阻害、低減、又は排除し得る。
【表1】
【0077】
転位及びATAC-seqを実施することに加えて、試料の染色も行った。試料をDAPIで染色し、mtDNAの染色が発生したが、核DNAの活発に転写された(ATAC)領域では行われなかった。DAPIはDNAを染色したが、特定の位置では染色しなかった。RNAは、DAPIが染色しない位置で転写される。mtDNAの特異な染色及び核DNAの活発に転写されていない領域は、mtDNAへの転位を効果的に阻害し、それによって、望ましくないオフターゲット転位を伴わずに、核DNAのATAC-seqの効率が改善された。
実施例2-様々なDNA結合分子の効率
【0078】
以下の実施例は、様々なDNA結合分子を使用することにより、ATAC-seqを使用してmtDNAリードを低減する実施形態を実証する。
【0079】
核DNA及びmtDNAの両方を有する試料を得た。試料を、様々なアリコートに分離し、各アリコートを、様々な濃度で、異なる色素と接触させた。Hoechst(50μM、25μM、12μM、6μM、3μM、及び0.6μMの濃度)、SYBR Gold(500μM、50μM、5μM、0.5μM、及び0.1μMの濃度)、Sytox Orange(500μM、50μM、5μM、0.5μM、及び0.1μMの濃度)、PicoGreen(100μM、10μM、1μM、0.1μM、及び0.02μMの濃度)、及びQubit(100μM、10μM、1μM、0.1μM、及び0.02μMの濃度)を含む、5つの異なる色素を、図3A図3Cに示されるように使用した。任意の色素に曝されなかった別のアリコートを調製した。次いで、各アリコートを、Nextera転位に供し、生成物をゲル上で可視化した。図3Aは、Hoechst及びSYBR Goldのゲルを示す。図3Bは、Sytox Orange及びPicoGreenのゲルを示し、図3Cは、Qubitのゲルを示し、色素を示さない。高分子量DNA生成物は、非効率的な転位を示す。SYBR Gold及びSytox Orangeについて、100μMを超える濃度で阻害が観察される。
【0080】
各アリコートを転位に供し、図4及び図5に示されるように、DNAリードを分析した。図4に示されるように、Hoechst33258は、ATAC-seqプロファイル(ヌクレオソーム配置)を変更せず、ミトコンドリアDNAリードを低減する(図2A図2Cにも示されるように)。Hoechstは、比較的不偏性のATAC-seqプロファイリングを可能にする一方で、ヌクレオソーム配置を変化させない。SYBR Goldなど、いくつかの色素は、DNAに結合するが、非色素対照と比較して、ヌクレオソーム配置(ATAC-seq)に影響を及ぼした。
【0081】
図5に示されるように、mtDNAの特異的な遮断は、核DNA配列決定の特異性を増加させた。これらの結果は、DNA結合分子のインターカレーションが、DNAの酵素的な転位活性を制御するために使用され得ることを実証する。
【0082】
この手法は、より一般的に適用され得、望ましくない酵素活性を遮断するために、抗体複合体及びDNAハイブリダイゼーションプローブを含む周知のアフィニティータグを使用して、特定の染色剤、又は結合分子を、一般的に特定の標的にもたらすことができる。代替的に、特定のアフィニティータグ(「ブロッカー」)を使用して、酵素を特定の標的にもたらし得る。そのような用途は、CRISPR酵素のオフターゲット活性を遮断することを含み得る。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を排除するものではない。
【0084】
上記の記載は、本発明のいくつかの方法及び材料を開示する。本発明は、方法及び材料の修正、並びに製造方法及び装置の変更を受けやすい。そのような修正は、本明細書に開示される本開示の考察又は本発明の実施から当業者には明らかとなる。したがって、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本発明の真の範囲及び趣旨内に入る全ての修正及び代替を包含する。
【0085】
公開及び公開されていない出願、特許、及び参照文献を含むがこれらに限定されない本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、これによって、本明細書の一部をなすものである。参照により組み込まれる出版物及び特許又は特許出願が、本明細書に含有される開示と矛盾する範囲で、本明細書は、任意のそのような矛盾した材料に取って代わる、かつ/又はそれに対して優先することを意図している。
本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
核酸を配列決定する方法であって、
核酸を含む試料を用意することと、
前記試料をDNA結合分子と接触させることと、
前記試料を挿入酵素複合体と接触させて、タグ付き核酸断片を生成することであって、前記挿入酵素複合体が、前記DNA結合分子によって阻害される、生成することと、
前記タグ付き核酸断片を配列決定して、配列リードを生成することと、を含む、方法。
(項目2)
前記試料が、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記試料が、一次核酸及び二次核酸を含み、前記DNA結合分子が、一次核酸に対して二次核酸に優先的に結合する、項目1又は2に記載の方法。
(項目4)
前記一次核酸が、核DNAを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記二次核酸が、ミトコンドリアDNA(mtDNA)又は染色体外DNAを含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記DNA結合分子が、DNA色素、アフィニティータグ、リガンド、酵素、ペプチド、又は生体分子を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記DNA色素が、Hoechst色素、SYBR Gold、Sytox Orange、Pico Green、又はQubitを含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記挿入酵素複合体が、トランスポザーゼを含むトランスポソームである、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
配列決定が、トランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)のためのアッセイによって、又は全ゲノム配列決定によって実施される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
ATAC-seqが、バルクATAC-seq又は単一細胞ATAC-seqを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記方法が、二次配列決定リードを阻害、低減、又は排除する、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
二次配列決定リードを阻害、低減、又は排除する方法であって、
一次核酸及び二次核酸を含む試料を用意することと、
前記試料を、二次核酸に優先的に結合するDNA結合分子と接触させることと、
DNA転位をオープンクロマチン上で実施することと、を含み、前記二次核酸が、転位されないか、又は前記一次核酸よりも低い効率で転位される、方法。
(項目13)
前記試料が、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記DNA結合分子が、DNA色素、アフィニティータグ、リガンド、酵素、ペプチド、又は生体分子を含む、項目12又は13に記載の方法。
(項目15)
前記DNA色素が、Hoechst色素、SYBR Gold、Sytox Orange、Pico Green、又はQubitを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記DNA転位が、トランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)、又はgDNAからの若しくは単一細胞からの全ゲノム配列決定のためのアッセイを使用して実施される、項目12~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
ATAC-seqが、バルクATAC-seq又は単一細胞ATAC-seqを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記試料を前記DNA結合分子と接触させることが、前記二次核酸への転位を遮断又は低減する、項目12~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記一次核酸が、核DNAを含む、項目12~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記核DNAを配列決定することを更に含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記二次核酸が、ミトコンドリアDNA(mtDNA)又は染色体外DNAを含む、項目12~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
DNA配列決定から得られる一次配列決定リードを含む核酸ライブラリーであって、二次配列決定リードを含まないか、又はその低減された表現を有する、核酸ライブラリー。
(項目23)
前記DNA配列決定が、トランスポザーゼアクセス可能なクロマチン配列決定(ATAC-seq)のためのアッセイ、又はgDNAのための全ゲノム配列決定のためのアッセイである、項目22に記載の核酸ライブラリー。
(項目24)
前記一次配列決定リードが、核DNA配列決定リードである、項目22又は23に記載の核酸ライブラリー。
(項目25)
前記二次配列決定リードが、ミトコンドリアDNA(mtDNA)配列決定リード又は染色体外DNA配列決定リードである、項目22~25のいずれか一項に記載の核酸ライブラリー。
(項目26)
前記二次配列決定リードが、二次DNAに優先的に結合するDNA結合分子に起因して、低減、阻害、又は排除される、項目22~26のいずれか一項に記載の核酸ライブラリー。
(項目27)
前記DNA結合分子が、標的とする核酸領域に関する配列決定リード又はライブラリーを排除、低減、又は阻害するために特定の核酸配列に結合することができる、項目26に記載の核酸ライブラリー。
(項目28)
前記DNA結合分子が、DNA色素、アフィニティータグ、リガンド、酵素、ペプチド、又は生体分子を含む、項目26に記載の核酸ライブラリー。
(項目29)
前記DNA色素が、Hoechst色素、SYBR Gold、Sytox Orange、Pico Green、又はQubitを含む、項目28に記載の核酸ライブラリー。
(項目30)
前記核酸ライブラリーが、細胞の集団、単一細胞、細胞核の集団、又は単一細胞核から生成される、項目22~29のいずれか一項に記載の核酸ライブラリー。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【配列表】
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