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特許7571022異常検知装置、異常検知方法、および、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】異常検知装置、異常検知方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241015BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G05B23/02 302T
G05B23/02 T
G08G1/00 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021533792
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042426
(87)【国際公開番号】W WO2021149340
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2020007096
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田崎 元
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇光
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-096191(JP,A)
【文献】特開2015-026252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 ~ 23/02
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する取得部と、
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する前記車両の前記車両情報を評価するための評価モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルと、前記車両情報とに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、当該異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、を備え
前記判定部は、前記異常度が閾値以上の場合において、前記評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを生成する際に使用されたデータの数の総和である評価データ数が第1の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが低減するように前記異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、前記車両情報が異常であるか否かを判定する
異常検知装置。
【請求項2】
車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する取得部と、
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する前記車両の前記車両情報を評価するための評価モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルと、前記車両情報とに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、当該異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、を備え
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定部は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数より多い
異常検知装置。
【請求項3】
車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する取得部と、
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する前記車両の前記車両情報を評価するための評価モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルと、前記車両情報とに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、当該異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、を備え
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定部は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから前記第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数より多い
異常検知装置。
【請求項4】
車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する取得部と、
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する前記車両の前記車両情報を評価するための評価モデルを記憶するモデル記憶部と、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルと、前記車両情報とに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、当該異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、を備え
前記取得部は、前記車両情報を逐次取得し、
前記判定部は、前記異常度を逐次算出し、前記車両情報が異常であるか否かを逐次判定し、判定結果を逐次出力し、
さらに、
前記判定部から逐次出力される前記判定結果と、当該判定結果に対応する前記位置情報とを互いに紐づけて逐次記憶する蓄積部と、
前記判定部から出力された第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、前記蓄積部に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、前記第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、前記第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する異常系列判定部と、を備える
異常検知装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記異常度が閾値以上の場合に、前記車両情報が異常であると判定する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記異常度が閾値以上の場合において、前記評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを生成する際に使用されたデータの数の総和である評価データ数が第1の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが低減するように前記異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、前記車両情報が異常であるか否かを判定する
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記異常度が前記閾値以上の場合において、前記評価データ数が前記第1の所定の数より小さな第2の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが、前記車両情報が正常である旨を示すまで低減するように、前記異常度を補正する
請求項1または請求項6に記載の異常検知装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記異常度が前記閾値以上の場合において、前記評価データ数が前記第1の所定の数未満であるときには、前記異常度に、前記第1の所定の数に対する前記評価データ数の割合を乗じることで、前記異常度を補正する
請求項1または請求項6に記載の異常検知装置。
【請求項9】
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定部は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数より多い
請求項1請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項10】
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定部は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから前記第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数より多い
請求項1請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記車両情報を逐次取得し、
前記判定部は、前記異常度を逐次算出し、前記車両情報が異常であるか否かを逐次判定し、判定結果を逐次出力し、
さらに、
前記判定部から逐次出力される前記判定結果と、当該判定結果に対応する前記位置情報とを互いに紐づけて逐次記憶する蓄積部と、
前記判定部から出力された第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、前記蓄積部に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、前記第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、前記第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する異常系列判定部と、を備える
請求項1、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項12】
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記異常系列判定部は、前記判定部から出力された前記第1の判定結果が異常である旨を示す場合に、前記第1の判定結果に対応する前記速度情報により示される前記走行速度に応じて前記所定の距離を定める
請求項4または請求項11に記載の異常検知装置。
【請求項13】
さらに、前記地図の少なくとも一部を表示部に表示させる表示制御部を備え、
前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合に、第1の判定結果に対応する前記第1のグリッドと、前記第2の判定結果に対応する前記第1のグリッドとを異常グリッドであると定め、
前記表示制御部は、前記異常グリッドが他のグリッドと異なる表示形式で表示されるように、前記地図の少なくとも一部を前記表示部に表示させる
請求項4、請求項11、請求項12のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【請求項14】
前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合において、前記第1の判定結果に対応する第1の異常グリッドと、前記第2の判定結果に対応する第2の異常グリッドとが所定の関係にあるときに、前記第1の異常グリッドと前記第2の異常グリッドとの間に存在するグリッドをも前記異常グリッドであると定める
請求項13に記載の異常検知装置。
【請求項15】
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果が異常である旨を示す場合に、前記第1の判定結果に対応する前記速度情報により示される前記走行速度に応じて前記所定の関係を定める
請求項14に記載の異常検知装置。
【請求項16】
前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合において、前記第1の判定結果に対応する第1の異常グリッドと、前記第2の判定結果に対応する第2の異常グリッドとに隣接するグリッドが存在するときに、当該グリッドにおける道路の面積率が所定の面積率未満であれば、当該グリッドをも前記異常グリッドであると定める
請求項13に記載の異常検知装置。
【請求項17】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置が行う異常検知方法であって、
前記車両情報を取得し、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、
判定結果を出力し、
前記判定は、前記異常度が閾値以上の場合において、前記評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを生成する際に使用されたデータの数の総和である評価データ数が第1の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが低減するように前記異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、前記車両情報が異常であるか否かを判定する
異常検知方法。
【請求項18】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置が行う異常検知方法であって、
前記車両情報を取得し、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、
判定結果を出力し、
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数より多い
異常検知方法。
【請求項19】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置が行う異常検知方法であって、
前記車両情報を取得し、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、
判定結果を出力し、
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから前記第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数より多い
異常検知方法。
【請求項20】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置が行う異常検知方法であって、
前記異常検知装置は、蓄積部を備え、
前記異常検知方法は、
前記車両情報を取得し、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、
判定結果を出力し、
前記取得は、前記車両情報を逐次取得し、
前記判定は、前記異常度を逐次算出し、前記車両情報が異常であるか否かを逐次判定し、
前記出力は、判定結果を逐次出力し、
さらに、
前記判定から逐次出力される前記判定結果と、当該判定結果に対応する前記位置情報とを互いに紐づけて前記蓄積部に逐次記憶し、
前記判定から出力された第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、前記蓄積部に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、前記第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、前記第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する
異常検知方法。
【請求項21】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置に異常検知処理を実行させるためのプログラムであって、
前記異常検知処理は、
前記車両情報を取得するステップと、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出するステップと、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定するステップと、
判定結果を出力するステップと、を含み、
前記判定するステップは、前記異常度が閾値以上の場合において、前記評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを生成する際に使用されたデータの数の総和である評価データ数が第1の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが低減するように前記異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、前記車両情報が異常であるか否かを判定する
プログラム。
【請求項22】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置に異常検知処理を実行させるためのプログラムであって、
前記異常検知処理は、
前記車両情報を取得するステップと、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出するステップと、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定するステップと、
判定結果を出力するステップと、を含み、
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定するステップは、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数より多い
プログラム。
【請求項23】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置に異常検知処理を実行させるためのプログラムであって、
前記異常検知処理は、
前記車両情報を取得するステップと、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出するステップと、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定するステップと、
判定結果を出力するステップと、を含み、
前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記判定するステップは、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、
前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから前記第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数より多い
プログラム。
【請求項24】
複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置に異常検知処理を実行させるためのプログラムであって、
前記異常検知装置は、蓄積部を備え、
前記異常検知処理は、
前記車両情報を取得するステップと、
前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出するステップと、
前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定するステップと、
判定結果を出力するステップと、を含み、
前記取得するステップは、前記車両情報を逐次取得し、
前記判定するステップは、前記異常度を逐次算出し、前記車両情報が異常であるか否かを逐次判定し、
前記出力するステップは、判定結果を逐次出力し、
さらに、
前記判定するステップから逐次出力される前記判定結果と、当該判定結果に対応する前記位置情報とを互いに紐づけて前記蓄積部に逐次記憶し、
前記判定するステップから出力された第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、前記蓄積部に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、前記第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、前記第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両に係る異常を検知する異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に係る異常を検知する異常検知装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-026252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に係る異常を検知する異常検知装置において、異常検知の精度向上が望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、従来よりも異常検知の精度を向上することができる異常検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る異常検知装置は、車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する取得部と、複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する前記車両の前記車両情報を評価するための評価モデルを記憶するモデル記憶部と、前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルと、前記車両情報とに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、当該異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る異常検知方法は、複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置が行う異常検知方法であって、前記車両情報を取得し、前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置に異常検知処理を実行させるためのプログラムであって、前記異常検知処理は、前記車両情報を取得するステップと、前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出するステップと、前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定するステップと、判定結果を出力するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る異常検知装置等によれば、従来よりも異常検知の精度を向上することができる異常検知装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る車載ネットワークの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る監視サーバにより実現される機能の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態に係る異常検知装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、複数のグリッドに領域分割された地図の一例を示す模式図である。
図6図6は、実施の形態に係る車両情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
図7図7は、実施の形態に係る車両情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
図8図8は、実施の形態に係る評価モデルのデータ構造の一例を示す模式図である。
図9図9は、実施の形態に係る異常検知処理のフローチャートである。
図10図10は、実施の形態に係る情報処理システムのシーケンス図である。
図11図11は、評価グリッドの決定方法の一例を示すフローチャートである。
図12A図12Aは、評価グリッドの一例を示す模式図である。
図12B図12Bは、評価グリッドの一例を示す模式図である。
図12C図12Cは、評価グリッドの一例を示す模式図である。
図13図13は、評価グリッドの決定方法の一例を示すフローチャートである。
図14A図14Aは、評価グリッドの一例を示す模式図である。
図14B図14Bは、評価グリッドの一例を示す模式図である。
図14C図14Cは、評価グリッドの一例を示す模式図である。
図15図15は、異常度の補正方法の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、車両情報が異常であるか否かを判定する判定方法の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、異常系列の判定方法の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、異常系列の判定方法の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、異常グリッドの補間方法の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、異常グリッドの補間方法の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、実施の形態に係る表示部に表示させる画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
自動車等の車両には、複数の電子制御ユニット(Electronic Control Unit、以下ECUとも称する。)が搭載されている。各ECU間をつなぐ車載ネットワークを介して通信を行うことにより、車両の制御が実現される。CAN(Controller Area Network)は、このような車載ネットワークの規格のひとつであり、広く用いられる規格である。
【0012】
CANのプロトコルに準拠する車載ネットワークは1台の車両で閉じた通信経路として構築可能である。しかしながら、車両には、外部からのアクセスが可能なネットワークとして構築された車載ネットワークが搭載されることは珍しくない。例えば車載ネットワークには、ネットワークに流れる情報を車載の各システムの診断に利用する目的で外部に取り出すためのポートが設置されたり、外部のネットワークに接続可能な無線LANに接続する機能を備えるカーナビゲーションシステムが接続されたりしている。車載ネットワークへの外部からのアクセスが可能になることで車両のユーザにとっての利便性は向上し得るが、その一方で脅威も増大する。
【0013】
例えば2013年には、車載ネットワークの外部からの駐車支援機能等の悪用による不正な車両制御が可能であることが実証された。また、2015年には特定の車種の遠隔からの不正制御が可能であることが実証され、この実証が発端となって当該車種のリコールに発展した。
【0014】
車載ネットワークへの攻撃の一手法としては、ネットワークに接続されるECUに外部からアクセスしてこのECUを乗っ取り、このECUから攻撃のためのフレーム(以下では攻撃フレームともいう)を送信させて自動車を不正に制御するものがある。攻撃フレームは、攻撃されていない車載ネットワークを流れる正常なフレームとは何らかの点で異なる異常なフレームである。
【0015】
このような車載ネットワークの異常検知を行う技術として、例えば、特許文献1に、車両の走行データに対して統計的手法を適用する方法が開示されている。
【0016】
この異常検知技術は、異常検知の基準となる特徴あるいは機械学習等のパラメータ群等を評価モデルとして生成し、評価モデルから逸脱するか否かをもとに判定を行う技術である。しかしながら、このような従来技術は、広範囲にわたる走行領域で観測された走行データをもとに評価モデルを生成するため、様々な走行環境における走行データが含まれた評価モデルが生成されるこのような評価モデルを用いた異常検知では、例えば、一般道路で攻撃による不正な加速指示が行われたとしても、その速度が高速道路で観測され得る程度であれば、正常な加速指示と見なされ、異常と判定することができない。
【0017】
この例のように、従来技術には、車両の位置に応じて異常と判定できない攻撃が存在し、検知精度が低下するという課題を有していた。
【0018】
そこで、発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意実験、検討を重ねた。その結果、発明者らは、下記異常検知装置、異常検知方法、および、プログラムに想到した。
【0019】
本開示の一態様に係る異常検知装置は、車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する取得部と、複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する前記車両の前記車両情報を評価するための評価モデルを記憶するモデル記憶部と、前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルと、前記車両情報とに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、当該異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、を備える。
【0020】
上記異常検知装置は、車両の位置と所定の位置関係にある評価グリッドの評価モデルに基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する。このため、上記異常検知装置によると、車両の位置に応じた局所的な領域の評価モデルに基づいて、車両に係る異常を検知することができる。従って、上記異常検知装置によると、従来よりも異常検知の精度を向上することができる。
【0021】
また、前記判定部は、前記異常度が閾値以上の場合に、前記車両情報が異常であると判定するとしてもよい。
【0022】
また、前記判定部は、前記異常度が閾値以上の場合において、前記評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを生成する際に使用されたデータの数の総和である評価データ数が第1の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが低減するように前記異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、前記車両情報が異常であるか否かを判定するとしてもよい。
【0023】
また、前記判定部は、前記異常度が前記閾値以上の場合において、前記評価データ数が前記第1の所定の数より小さな第2の所定の数未満であるときには、前記異常度合いが、前記車両情報が正常である旨を示すまで低減するように、前記異常度を補正するとしてもよい。
【0024】
また、前記判定部は、前記異常度が前記閾値以上の場合において、前記評価データ数が前記第1の所定の数未満であるときには、前記異常度に、前記第1の所定の数に対する前記評価データ数の割合を乗じることで、前記異常度を補正するとしてもよい。
【0025】
また、前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、前記判定部は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドの数より多いとしてもよい。
【0026】
また、前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、前記判定部は、前記速度情報により示される前記走行速度が第1の速度未満である場合に、前記所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、前記走行速度が前記第1の速度以上である場合に、前記所定の位置関係を第2の所定の位置関係と定め、前記第2の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数は、前記第1の所定の位置関係における前記第2のグリッドのうち、前記第1のグリッドから前記第1の方向に並ぶ前記第2のグリッドの数より多いとしてもよい。
【0027】
また、前記取得部は、前記車両情報を逐次取得し、前記判定部は、前記異常度を逐次算出し、前記車両情報が異常であるか否かを逐次判定し、判定結果を逐次出力し、さらに、前記判定部から逐次出力される前記判定結果と、当該判定結果に対応する前記位置情報とを互いに紐づけて逐次記憶する蓄積部と、前記判定部から出力された第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、前記蓄積部に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、前記第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、前記第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する異常系列判定部と、を備えるとしてもよい。
【0028】
また、前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、前記異常系列判定部は、前記判定部から出力された前記第1の判定結果が異常である旨を示す場合に、前記第1の判定結果に対応する前記速度情報により示される前記走行速度に応じて前記所定の距離を定めるとしてもよい。
【0029】
また、さらに、前記地図の少なくとも一部を表示部に表示させる表示制御部を備え、前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合に、第1の判定結果に対応する前記第1のグリッドと、前記第2の判定結果に対応する前記第1のグリッドとを異常グリッドであると定め、前記表示制御部は、前記異常グリッドが他のグリッドと異なる表示形式で表示されるように、前記地図の少なくとも一部を前記表示部に表示させるとしてもよい。
【0030】
また、前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合において、前記第1の判定結果に対応する第1の異常グリッドと、前記第2の判定結果に対応する第2の異常グリッドとが所定の関係にあるときに、前記第1の異常グリッドと前記第2の異常グリッドとの間に存在するグリッドをも前記異常グリッドであると定めるとしてもよい。
【0031】
また、前記車両情報は、さらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果が異常である旨を示す場合に、前記第1の判定結果に対応する前記速度情報により示される前記走行速度に応じて前記所定の関係を定めるとしてもよい。
【0032】
また、前記異常系列判定部は、前記第1の判定結果と前記第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合において、前記第1の判定結果に対応する第1の異常グリッドと、前記第2の判定結果に対応する第2の異常グリッドとに隣接するグリッドが存在するときに、当該グリッドにおける道路の面積率が所定の面積率未満であれば、当該グリッドをも前記異常グリッドであると定めるとしてもよい。
【0033】
本開示の一態様に係る異常検知方法は、複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置が行う異常検知方法であって、前記車両情報を取得し、前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出し、前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する。
【0034】
上記異常検知方法は、車両の位置と所定の位置関係にある評価グリッドの評価モデルに基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する。このため、上記異常検知方法によると、車両の位置に応じた局所的な領域の評価モデルに基づいて、車両に係る異常を検知することができる。従って、上記異常検知方法によると、従来よりも異常検知の精度を向上することができる異常検知装置が提供される。
【0035】
本開示の一態様に係るプログラムは、複数のグリッドに領域分割された地図の前記複数のグリッドそれぞれについて、当該グリッドに位置する車両の状態に係る車両情報であって、前記車両の位置情報を含む車両情報を評価するための評価モデルを記憶する異常検知装置に異常検知処理を実行させるためのプログラムであって、前記異常検知処理は、前記車両情報を取得するステップと、前記評価モデルのうち、前記位置情報により示される前記車両の位置を含む第1のグリッドと、当該第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなる評価グリッドについての評価モデルに基づいて、前記車両情報の異常度合いを示す異常度を算出するステップと、前記異常度に基づいて前記車両情報が異常であるか否かを判定するステップと、判定結果を出力するステップと、を含む。
【0036】
上記異常検知プログラムは、車両の位置と所定の位置関係にある評価グリッドの評価モデルに基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する。このため、上記異常検知プログラムによると、車両の位置に応じた局所的な領域の評価モデルに基づいて、車両に係る異常を検知することができる。従って、上記異常検知プログラムによると、従来よりも異常検知の精度を向上することができる異常検知装置が提供される。
【0037】
以下、本開示の一態様に係る異常検知装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0038】
(実施の形態)
以下、実施の形態に係る異常検知装置について説明する。この異常検知装置は、車両に係る異常、例えば、車両に対するサイバー攻撃等による異常を検知する装置である。
【0039】
<異常検知装置の構成>
図1は、実施の形態に係る異常検知装置100を利用して、車両30に係る異常を監視する情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
図1に示すように、情報処理システム1は、監視サーバ10と、車両30と、ネットワーク40とを含んで構成される。
【0041】
監視サーバ10は、いわゆるコンピュータ装置であって、プロセッサ(図示されず)と、メモリ(図示されず)と、通信インターフェース(図示されず)と、記憶装置(図示されず)と、ディスプレイ(図示されず)とを備える。
【0042】
監視サーバ10は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することで、異常検知装置100と表示部130とを実現する。
【0043】
車両30は、通信機能を有し、車載ネットワーク20を搭載する。車両30は、例えば自動車である。
【0044】
ネットワーク40は、インターネット等の広域ネットワークであって、その接続先に、異常検知装置100と、車載ネットワーク20とを含む。
【0045】
図2は、車載ネットワーク20の構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、車載ネットワーク20は、外部通信装置210と、各種ECU(Electronic Control Unit)と、バス220とを含んで構成される。
【0047】
車載ネットワーク20では、例えば、CANプロトコルに従って通信が行われる。なお、車載ネットワーク20は、CANに限定される必要はなく、例えば、Ethernet(登録商標)、FlexRay(登録商標)等に基づく通信ネットワークであってもよい。
【0048】
バス220は、各ECUと外部通信装置210とに接続され、接続される装置間の信号を伝達する。
【0049】
外部通信装置210は、ネットワーク40とバス220とに接続され、バス220に流れる信号をネットワーク40に送信し、ネットワーク40から受信した信号をバス220に流す。
【0050】
車両30に搭載されるECUとしては、例えば、ステアリング、ブレーキ、エンジン、ドアまたはウィンドウ等に関連したECUがある。ECUは、例えば、プロセッサ、メモリ等のデジタル回路、アナログ回路、通信回路等を含む装置である。メモリは、ROM、RAM等であり、プロセッサにより実行されるプログラムを記憶することができる。ECUは、例えば、プロセッサが、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。各ECUは、例えば、CANプロトコルに従ってバス220を介してデータの送受信を行う。
【0051】
各ECUは、バス220に対して、CANのプロトコルに従ったデータを送受信する。例えば、バス220から他のECUが送信したデータを受信し、また、他のECUに送信したい内容を含むデータを生成してバス220に送信する。具体的には、各ECUは、受信したデータの内容に応じた処理を行い、また、ECUに接続されている機器、センサ等の状態を示すデータもしくは他のECUへの指示値(制御値)等のデータを生成して送信する。
【0052】
図3は、監視サーバ10により実現される機能の一例を示すブロック図である。
【0053】
図3に示すように、監視サーバ10は、異常検知装置100と表示部130とを実現する。
【0054】
異常検知装置100は、ネットワーク40と表示部130とに接続される。異常検知装置100は、車両30に係る異常を検知する異常検知処理を実行し、その結果を表示部130に出力する。異常検知処理については後述する。
【0055】
表示部130は、異常検知装置100に接続され、異常検知装置100から出力された信号に基づく画像を表示する。表示部130が表示する画像については後述する。
【0056】
例えば、情報処理システム1を利用するユーザは、表示部130が表示する表示内容を視認することで、車両30に係る異常を認知することができる。
【0057】
図4は、異常検知装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0058】
図4に示されるように、異常検知装置100は、取得部1001と、モデル記憶部1002と、判定部1003と、異常系列判定部1004と、蓄積部1005と、表示制御部1006とを備える。
【0059】
取得部1001は、車両30の状態に係る車両情報であって、少なくとも車両30の位置を示す位置情報を含む車両情報を取得する。取得部1001は、例えば、所定時間毎に、車両情報を逐次取得する。
【0060】
取得部1001は、例えば、ネットワーク40を介して車両30と通信することで、車両30から、車載ネットワーク20の通信プロトコルに則った車両制御信号を受信し、受信した車両制御信号を解析することで、車両情報を取得する。
【0061】
ここでは、車両情報は、位置情報に加えて、車両30の走行速度を示す速度情報(単に「速度」と称することもある。)を含むとして説明する。車両情報は、さらに、例えば、旋回曲率、加速度、ヨーレート、アクセル開度、操舵量、シフトポジション等を含んでもよい。
【0062】
取得部1001は、逐次取得した車両情報を逐次判定部1003と蓄積部1005とに出力すると共に、最新の車両情報を保持する。
【0063】
モデル記憶部1002は、複数のグリッドに領域分割された地図の複数のグリッドのそれぞれについて、グリッドに位置する車両30の車両情報を評価するための評価モデルを記憶する。評価モデルのデータ構造については、後述する図8を用いて後程説明する。
【0064】
図5は、複数のグリッドに領域分割された地図の一例を示す模式図である。ここでは、各グリッドの形状は、図5に例示されるように、互いに同じ形状となる正方形であるとして説明する。グリッドの一辺の長さは、例えば、車両30が走行路の道幅であってもよいし、例えば、車両30が単位時間あたりに進む距離であってもよいし、例えば、50mであってもよい。
【0065】
なお、ここでは、各グリッドの形状は、互いに同じ形状となる正方形であるとして説明するが、必ずしも、互いに同じ形状となる正方形に限定される必要はなく、任意の形状であってよい。
【0066】
再び図4に戻って、異常検知装置100の説明を続ける。
【0067】
判定部1003は、まず、取得部1001が車両情報を逐次取得する毎に、車両情報に含まれる位置情報を参照し、車両30の位置に基づいて、異常検知処理で参照する評価モデルに対応する評価グリッドを決定する。ここでは、判定部1003は、位置情報により示される車両30の位置を含む第1のグリッドと、第1のグリッドと所定の位置関係にある1以上の第2のグリッドとからなるグリッドを、評価グリッドと決定する。
【0068】
判定部1003は、次に、モデル記憶部1002から、決定した評価グリッドの評価モデルを取得する。そして、取得した評価モデルと車両情報とに基づいて、車両情報の異常度合いを示す異常度を算出する。
【0069】
判定部1003は、次に、算出した異常度に基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定し、判定結果を出力する。この際、判定部1003は、算出した異常度が閾値以上の場合において、評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを作成する際に使用されたデータ数の総和である評価データ数が、第1の所定の数未満であるときには、異常度合いが低減するように異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する。ここでは、判定部1003は、算出した異常度が閾値以上の場合において、評価データ数が、第1の所定の数未満であるときには、異常度に、第1の所定の数に対する評価データ数の割合を乗じることで異常度を補正するとする。
【0070】
判定部1003は、さらに、算出した異常度が閾値以上の場合において、評価データ数が、第1の所定の数よりも小さな第2の所定の数未満であるときには、異常度合いが、車両情報が正常である旨を示すまで低減するように異常度を補正し、補正した異常度に基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する。
【0071】
蓄積部1005は、判定部1003から逐次出力される判定結果と、判定結果に対応する位置情報とを互いに紐づけて逐次記憶する。ここでは、蓄積部1005は、取得部1001から車両情報が出力されると、一旦その車両情報を記憶し、その後、判定部1003から、その車両情報に対応する判定結果が出力されると、その判定結果を、その車両情報に紐付けして記憶する。蓄積部1005が記憶する、判定結果に紐付けされる前の車両情報のデータ構造については、後述する図6を用いて後程説明する。
【0072】
異常系列判定部1004は、判定部1003から逐次出力される判定結果(以下、この判定結果を「第1の判定結果」と称する。)を取得する。そして、異常系列判定部1004は、第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、蓄積部1005に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定し、判定結果を出力する。
【0073】
また、異常系列判定部1004は、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合に、第1の判定結果に対応する第1のグリッドと、第2の判定結果に対応する第1のグリッドとを異常グリッドであると定める。
【0074】
また、異常系列判定部1004は、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合において、第1の判定結果に対応する第1の異常グリッドと、第2の判定結果に対応する第2の異常グリッドとが所定の関係にあるときに、第1の異常グリッドと第2の異常グリッドとの間に存在するグリッドをも異常グリッドであると定める。
【0075】
また、異常系列判定部1004は、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定した場合において、第1の異常グリッドと第2の異常グリッドとに隣接するグリッドが存在するときに、このグリッドにおける道路の面積率が所定の面積率未満であれは、このグリッドをも異常グリッドであると定める。
【0076】
蓄積部1005は、異常系列判定部から、第1の判定結果と第2の判定結果とが同一の異常系列である旨の判定結果が出力されると、第1の判定結果に紐付けされた車両情報と、第2の判定結果に紐付けされた車両情報とに、同一の異常系列識別子を紐付けして、紐付けされた車両情報を記憶する。蓄積部1005が記憶する、判定部1003による判定結果、および、異常系列識別子に紐付けされた後の車両情報のデータ構造については、後述する図7を用いて後程説明する。
【0077】
表示制御部1006は、複数のグリッドに領域分割された地図の少なくとも一部を表示部130に表示させる。より具体的には、表示制御部1006は、異常系列判定部1004により定められた異常グリッドが他のグリッドと異なる表示形式で表示されるように、上記地図の少なくとも一部を表示部130に表示させる。
【0078】
<データ構造>
次に、異常検知装置100が取り扱うデータの構造について説明する。
【0079】
図6は、蓄積部1005が記憶する、判定部1003による判定結果に紐付けされる前の車両情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
【0080】
車両情報は、取得部1001が、ネットワーク40を介して車両30から車両制御信号を受信して、車両制御信号を解析する毎に生成される。
【0081】
図6に示すように、判定結果に紐付けされる前の車両情報は、車両情報の識別子である車両情報IDと、車両30の識別子である車両IDと、タイムスタンプと、車両30の位置を示す位置情報と、車両30の位置を含むグリッド(すなわち、第1のグリッド)の識別子であるグリッドIDと、車両30の走行状態を示す情報(ここでは、走行速度、操舵角、ヨーレート、縦加速度、および、横加速度)とから構成される。
【0082】
図7は、蓄積部1005が記憶する、判定部1003による判定結果、および、異常系列識別子に紐付けされた後の車両情報のデータ構造の一例を示す模式図である。
【0083】
図7に示すように、判定結果、および、異常系列識別子に紐付けされた後の車両情報は、図6に示す判定結果に紐付けされる前の車両情報に対して、さらに、判定部1003による判定結果、判定部1003により算出された異常度、および、異常系列判定部1004により判定された異常系列の識別子である異常系列IDとを含んで構成される。
【0084】
図8は、モデル記憶部1002が記憶する評価モデルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【0085】
図8に示すように、評価モデルは、グリッドの識別子であるグリッドIDと、グリッドの領域を特定するための、グリッドの領域の四隅の経度および緯度と、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数と、車両の走行状態を示す情報(ここでは、走行速度、操舵角、ヨーレート、縦加速度、および、横加速度)の最小値および最大値とから構成される。
【0086】
判定部1003は、例えば、車両情報により示される車両の走行状態が、評価モデルにより示される最大値または最小値を超えて逸脱している逸脱度合いに応じて、異常度を算出する。
【0087】
また、判定部1003は、例えば、評価グリッドが複数存在する場合には、複数の評価モデルにより示される最も大きな最大値、または、最も小さな最小値を超えて逸脱している逸脱度合いに応じて、異常度を算出する。
【0088】
また、判定部1003は、例えば、予め学習された機械学習モデルを用いて、車両情報と評価モデルとから、異常度を算出するとしてもよい。この場合には、評価モデルは、必ずしも、車両の走行状態を示す情報の最大値および最小値を含んで構成される必要はない。
【0089】
<異常検知装置の動作>
上述したように、異常検知装置100は、車両30に係る異常を検知する異常検知処理を行う。
【0090】
以下、異常検知装置100が行う異常検知処理について説明する。
【0091】
図9は、異常検知処理のフローチャートである。
【0092】
図10は、異常検知装置100が異常検知処理を行う際における、情報処理システム1のシーケンス図である。
【0093】
異常検知処理は、車両30が、ネットワーク40を介して異常検知装置100に車両制御信号を送信することで開始される(ステップS10)。
【0094】
車両制御信号は、例えば、CANメッセージであってもよいし、車両30に搭載されたセンサ、または、車両30の外部装置によって計測された信号であってもよい。ここで、CANメッセージとは、各ECU間でバス220を介して送受信される、CANプロトコルに従ったデータのことをいう。
【0095】
異常検知処理が開始されると、取得部1001は、車両制御信号を受信し、受信した車両制御信号を解析することで、車両情報を取得する(ステップS11)。
【0096】
車両情報が取得されると、判定部1003は、車両情報に含まれる位置情報を参照し、車両30の位置に基づいて、異常検知処理で参照する評価モデルに対応する評価グリッドを決定する(ステップS12)。具体的な評価グリッドの決定方法については、後述する図11図14Cを用いて後程説明する。
【0097】
評価グリッドが決定されると、判定部1003は、モデル記憶部1002から、決定した評価グリッドの評価モデルを取得し、取得した評価モデルと車両情報とに基づいて、車両情報の異常度合いを示す異常度を算出する(ステップS13)。
【0098】
異常度が算出されると、判定部1003は、評価データ数に基づいて、異常度を補正する(ステップS14)。具体的な異常度の補正方法については、後述する図15を用いて後程説明する。
【0099】
異常度が補正されると、判定部1003は、補正された異常度に基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する(ステップS15)。具体的な判定方法については、後述する図16を用いて後程説明する。
【0100】
車両情報が異常であるか否かが判定されると、異常系列判定部1004は、判定部1003から出力される第1の判定結果が異常である旨を示す場合において、蓄積部1005に前回記憶された第2の判定結果が異常である旨を示すときに、第1の判定結果に対応する第1の位置情報により示される第1の位置と、第2の判定結果に紐付けされた第2の位置情報により示される第2の位置との距離が、所定の距離未満であれば、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する(ステップS16)。具体的な異常系列の判定方法については、後述する図17図18を用いて後程後述する。
【0101】
異常系列が判定されると、異常系列判定部1004は、異常グリッドを補間する(ステップS17)。具体的な異常グリッドの補間方法については、後述する図19図20を用いて後程説明する。
【0102】
異常グリッドが補完されると、表示制御部1006は、表示部130に表示信号を出力することで、異常グリッドが他のグリッドと異なる表示形式で表示されるように表示内容を制御して、複数のグリッドに領域分割された地図の少なくとも一部を表示部130に表示させる(ステップS18)。
【0103】
ステップS18の処理が終了すると、異常検知装置100は、その異常検知処理を終了する。
【0104】
異常検知処理において、表示信号が出力されると、表示部130は、表示信号を取得し、取得した表示信号に基づく画像を表示する(ステップS19)。表示部130が表示する画像の一例については、後述する図21を用いて後程説明する。
【0105】
図11は、判定部1003が行う評価グリッドの決定方法の一例を示すフローチャートである。この決定方法は、車両30が含まれる第1のグリッドを中心として放射状に位置するグリッドを第2のグリッドに決定する決定方法の一例となっている。
【0106】
判定部1003は、速度情報により示される車両30の走行速度が第1の速度(例えば時速30km)未満である場合、すなわち、車両30が低速走行をしている場合に(ステップS21:低速走行)、第1のグリッドを中心として放射状に位置する、第1のグリッドを中心とする「3×3グリッド」の計9グリッドから第1のグリッドを除いた8グリッドを第2のグリッドと決定する(ステップS22)。すなわち、第1のグリッドを含む3×3グリッドを評価グリッドと決定する。
【0107】
図12Aは、判定部1003が決定した上記8グリッドを示す模式図である。
【0108】
判定部1003は、速度情報により示される車両30の走行速度が第1の速度以上第2の速度(例えば、時速60km)未満である場合、すなわち、車両30が中速走行をしている場合に(ステップS21:中速走行)、第1のグリッドを中心として放射状に位置する、第1のグリッドを中心とする「5×5グリッド」の計25グリッドから第1のグリッドを除いた24グリッドを第2のグリッドと決定する(ステップS23)。すなわち、第1のグリッドを含む5×5グリッドを評価グリッドと決定する。
【0109】
図12Bは、判定部1003が決定した上記24グリッドを示す模式図である。
【0110】
判定部1003は、速度情報により示される車両30の走行速度が第2の速度以上である場合、すなわち、車両30が高速走行をしている場合に(ステップS21:高速走行)、第1のグリッドを中心として放射状に位置する、第1のグリッドを中心とする「7×7グリッド」の計49グリッドから第1のグリッドを除いた48グリッドを第2のグリッドと決定する(ステップS24)。すなわち、第1のグリッドを含む7×7グリッドを評価グリッドと決定する。
【0111】
図12Cは、判定部1003が決定した上記48グリッドを示す模式図である。
【0112】
このように、判定部1003は、車両30の走行速度が第1の速度未満である場合において、所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、走行速度が第1の速度以上である場合に、所定の位置関係を、第2の所定の位置関係と定めるとき、第2の所定の位置関係における第2のグリッドの数が、第1の所定の位置関係における第2のグリッドの数より多くなるように、第1の所定の位置関係と第2の所定の位置関係とを定める。
【0113】
図13は、判定部1003が行う評価グリッドの決定方法の他の一例を示すフローチャートである。この決定方法は、車両30が含まれる第1のグリッドに対して特定の方向に位置するグリッドを第2のグリッドに決定する決定方法の一例となっている。
【0114】
判定部1003は、速度情報により示される車両30の走行速度が第1の速度(例えば時速30km)未満である場合、すなわち、車両30が低速走行をしている場合に(ステップS31:低速走行)、第1のグリッドを中心として放射状に位置する、第1のグリッドを中心とする「3×3グリッド」の計9グリッドから第1のグリッドを除いた8グリッドを第2のグリッドと決定する(ステップS32)。すなわち、第1のグリッドを含む3×3グリッドを評価グリッドと決定する。
【0115】
図14Aは、判定部1003が決定した上記8グリッドを示す模式図である。
【0116】
判定部1003は、速度情報により示される車両30の走行速度が第1の速度以上第2の速度(例えば、時速60km)未満である場合、すなわち、車両30が中速走行をしている場合に(ステップS31:中速走行)、上記8グリッドに対して、車両進行方向における車両前方に位置する3グリッドと、車両進行方向における車両後方に位置する3グリッドとを加えた計14グリッドを第2のグリッドと決定する(ステップS33)。すなわち、第1のグリッドを含む3×3グリッドと、車両進行方向前後各3グリッドとを評価グリッドと決定する。
【0117】
図14Bは、判定部1003が決定した上記14グリッドを示す模式図である。
【0118】
判定部1003は、速度情報により示される車両30の走行速度が第2の速度以上である場合、すなわち、車両30が高速走行をしている場合に(ステップS31:高速走行)、上記14グリッドに対して、車両進行方向における車両前方に位置する3グリッドと、車両進行方向における車両後方に位置する3グリッドとを加えた計20グリッドを第2のグリッドと決定する(ステップS34)。すなわち、第1のグリッドを含む3×3グリッドと、車両進行方向前後各6グリッドとを評価グリッドと決定する。
【0119】
図14Cは、判定部1003が決定した上記20グリッドを示す模式図である。
【0120】
このように、判定部1003は、車両30の走行速度が第1の速度未満である場合において、所定の位置関係を第1の所定の位置関係と定め、走行速度が第1の速度以上である場合に、所定の位置関係を、第2の所定の位置関係と定めるとき、第2の所定の位置関係における第2のグリッドのうち、第1のグリッドから第1の方向(ここでは車の進行方向)に並ぶ第2のグリッドの数が、第1の所定の位置関係における第2のグリッドのうち、第1のグリッドから第1の方向に並ぶ第2のグリッドの数より多くなるように、第1の所定の位置関係と第2の所定の位置関係とを定める。
【0121】
図15は、判定部1003が行う異常度の補正方法の一例を示すフローチャートである。
【0122】
評価モデルの生成には、グリッド内のデータの網羅性を確保するために、一定数のデータが必要である。しかしながら、地図を複数のグリッドに領域分割したことで、グリッド毎に、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数に偏りが生じることがある。このため、判定部1003は、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が十分でない場合には、データ数が十分でない旨が異常度に反映されるように、異常度を補正する。
【0123】
判定部1003は、異常である旨を示す異常度を、異常度の補正の対象とする。このため、判定部1003は、異常度が、異常である旨を示す閾値以上であるか否かを判定し(ステップS41)、異常度が閾値未満であると判定した場合には(ステップS41:No)、異常度を補正しない。
【0124】
判定部1003は、異常度が閾値以上であると判定した場合には(ステップS41:Yes)、評価グリッドに含まれる各グリッドの評価モデルを作成する際に使用されたデータ数の総和である評価データ数を調べる(ステップS42)。
【0125】
ステップS42の処理において、評価データ数が、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が十分である旨を示す第1の所定の数以上である場合には(ステップS42:第1の所定の数≦評価データ数)、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が十分であるため、判定部1003は、異常度を補正しない。
【0126】
ここで、第1の所定の数は、例えば、評価グリッドに含まれるグリッド数に、予め算出された数であって、1グリッド当たりの、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が十分である旨を示す数を乗じた数であってもよい。
【0127】
ステップS42の処理において、評価データ数が、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が不足している旨を示す第2の所定の数以上、第1の所定の数未満である場合には(ステップS42:第2の所定の数≦評価データ数<第1の所定の数)、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が十分ではないが、不足はしていないため、判定部1003は、異常度合いが低減するように異常度を補正する(ステップS44)。この際、判定部1003は、異常度に、第1の所定の数に対する評価データ数の割合を乗じることで、異常度を補正する。
【0128】
ここで、第2の所定の数は、例えば、評価グリッドに含まれるグリッド数に、予め算出された数であって、1グリッド当たりの、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が不足している旨を示す数を乗じた数であってもよい。
【0129】
ステップS42の処理において、評価データ数が、第2の所定の数未満である場合には(評価データ数<第2の所定の数)、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が不足しているため、判定部1003は、異常度合いが、車両情報が正常である旨を示すまで低減するように、すなわち、正常値となるように、異常度を補正する(ステップS43)。
【0130】
図16は、判定部1003が行う、車両情報が異常であるか否かを判定する判定方法の一例を示すフローチャートである。
【0131】
判定部1003は、図15に例示された異常度の補正方法により、補正された、または、補正されなかった異常度が、異常である旨を示す閾値以上であるか否かを判定する(ステップS51)。判定部1003は、ステップS51の処理において、異常度が閾値以上であると判定した場合には(ステップS51:Yes)、車両情報が異常であると判定し(ステップS53)、異常度が閾値未満であると判定した場合には(ステップS51:No)、車両情報が正常であると判定する(ステップS52)。そして、蓄積部1005は、判定部1003による判定結果を車両情報に紐付けして記憶する(ステップS54)。
【0132】
図17は、異常系列判定部1004が行う、異常系列の判定方法の一例を示すフローチャートである。
【0133】
異常系列判定部1004は、判定部1003により、車両情報が異常であると判定された場合に、その異常が、過去に判定された異常から連続して発生する同一の異常系列に属する異常であるか否かを判定する。この判定の判定結果は、例えば、車両30の運転者への通知や、異常に対する対応を行う分析官の分析作業等に役立てることができる。
【0134】
判定部1003により、車両情報が異常であるか否か判定されると、異常系列判定部1004は、その判定結果(以下、「第1の判定結果」とも称する)が異常であるか否かを調べる(ステップS61)。
【0135】
ステップS61の処理において、第1の判定結果が「正常」である場合に(ステップS61:No)、異常系列判定部1004は、第1の判定結果を他の判定結果と同一の異常系列であると判定しない。このため、蓄積部1005は、例えば、第1の判定結果に対応する車両情報の異常系列IDに、特定の異常系列を示さない情報、例えば、記号「-」を割り当てて、その車両情報を記憶する。
【0136】
ステップS61の処理において、第1の判定結果が「異常」である場合に(ステップS61:Yes)、異常系列判定部1004は、第1の判定結果に対応する車両情報により示される第1の位置と、蓄積部1005に記憶された最新の車両情報であって、判定部1003により異常であるとの判定結果(以下、「第2の判定結果」とも称する)となった車両情報により示される第2の位置とから、第1の位置から第2の位置への、車両30の移動距離を算出する(ステップS62)。
【0137】
車両30の移動距離が算出されると、異常系列判定部1004は、車両の移動距離が所定の距離未満であるか否かを判定する(ステップS63)。
【0138】
ステップS63の処理において、車両の移動距離が所定の距離未満であると判定された場合に(ステップS63:Yes)、異常系列判定部1004は、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列であると判定する(ステップS64)。このため、蓄積部1005は、例えば、第1の判定結果に対応する車両情報の異常系列IDに、第2の判定結果に対応する車両情報の異常系列IDと同じ異常系列IDを割り当てて、その車両情報を記憶する。
【0139】
ステップS63の処理において、車両の移動距離が所定の距離以上であると判定された場合に(ステップS63:No)、異常系列判定部1004は、第1の判定結果と第2の判定結果とを同一の異常系列でないと判定する(ステップS65)。このため、蓄積部1005は、例えば、第1の判定結果に対応する車両情報の異常系列IDに、第2の判定結果に対応する車両情報の異常系列IDとは異なる新規の異常系列IDを割り当てて、その車両情報を記憶する。
【0140】
図18は、異常系列判定部1004が行う、異常系列の判定方法の一他の例を示すフローチャートである。
【0141】
図17に例示される異常系列の判定方法は、所定の距離が固定値である場合の判定方法の一例であった。これに対して、図18に示される異常系列の判定方法は、車両30の走行速度に応じて、所定の距離を定める場合の判定方法の一例となっている。
【0142】
このため、図18に例示される異常系列の判定方法の方が、図17に例示される異常系列の判定方法よりも、より精度よく異常系列を判定することができる。
【0143】
図18に例示される異常系列の判定方法は、図17に例示される異常系列の判定方法に対して、ステップS76の処理~ステップS79の処理が追加された判定方法となっている。このため、ここでは、ステップS76の処理~ステップS79の処理を中心に説明する。
【0144】
ステップS62の処理において、車両30の移動距離が算出されると、異常系列判定部1004は、速度情報により示される車両30の走行速度を調べる(ステップS76)。
【0145】
ステップS76の処理において、車両30の走行速度が第1の速度(例えば時速30km)未満である場合、すなわち、車両30が低速走行をしている場合に(ステップS76:低速走行)、異常系列判定部1004は、所定の距離を5mと定める(ステップS77)。
【0146】
ステップS76の処理において、車両30の走行速度が第1の速度以上第2の速度(例えば、時速60km)未満である場合、すなわち、車両30が中速走行をしている場合に(ステップS76:中速走行)、異常系列判定部1004は、所定の距離を15mと定める(ステップS78)。
【0147】
ステップS76の処理において、車両30の走行速度が第2の速度以上である場合、すなわち、車両30が高速走行をしている場合に(ステップS76:高速走行)、異常系列判定部1004は、所定の距離を30mと定める(ステップS79)。
【0148】
ステップS77の処理、ステップS78の処理、または、ステップS79の処理が終了すると、ステップS63の処理に進む。
【0149】
図19は、異常系列判定部1004が行う、異常グリッドの補間方法の一例を示すフローチャートである。
【0150】
グリッドのサイズに比べて車両30が高速に走行している場合や、ノイズ等の影響で位置情報が車両30の位置を正確に示さないような場合には、同一の異常系列であると判定された判定結果に対応する異常グリッドが、必ずしも互いに隣接しないことがある。同一の異常系列であると判定された判定結果に対応する異常グリッドが互いに隣接していない場合に、それら異常グリッドの間に存在するグリッドをも異常グリッドとすることにより、より正確に、車両30に係る異常が発生している区間を定めることができる。
【0151】
異常系列判定部1004は、蓄積部1005に記憶されている車両情報の中から、同一の異常系列IDが割り当てられた車両情報を取得して(ステップS81)、同一の異常系列であると判定された判定結果に対応する異常グリッドの中に、互いに隣接していない異常グリッドが存在するか否かを調べる(ステップS82)。
【0152】
ステップS82の処理において、互いに隣接していない異常グリッドが存在しない場合に(ステップS82:No)、異常系列判定部1004は、処理を終了する。
【0153】
ステップS82の処理において、互いに隣接していない異常グリッドが存在する場合に(ステップS82:Yes)、異常系列判定部1004は、速度情報により示される車両30の走行速度を調べる(ステップS83)。
【0154】
ステップS83の処理において、車両30の走行速度が第1の速度(例えば時速30km)未満である場合、すなわち、車両30が低速走行をしている場合に(ステップS83:低速走行)、異常系列判定部1004は、補間する異常グリッドの数を1グリッドと定める(ステップS84)。
【0155】
ステップS83の処理において、車両30の走行速度が第1の速度以上第2の速度(例えば、時速60km)未満である場合、すなわち、車両30が中速走行をしている場合に(ステップS83:中速走行)、異常系列判定部1004は、補間する異常グリッドの数を2グリッド以下と定める(ステップS85)。
【0156】
ステップS76の処理において、車両30の走行速度が第2の速度以上である場合、すなわち、車両30が高速走行をしている場合に(ステップS83:高速走行)、異常系列判定部1004は、補間する異常グリッドの数を3グリッド以下と定める(ステップS86)。
【0157】
ステップS84の処理、ステップS85の処理、または、ステップS86の処理により、補間する異常グリッドの数が定められると、異常系列判定部1004は、互いに隣接していない異常グリッド間のグリッド数が、定められた異常グリッドの数であるか否かを判定する(ステップS87)。
【0158】
ステップS87の処理において、互いに隣接していない異常グリッド間のグリッド数が、定められた異常グリッドの数である場合には(ステップS87:Yes)、異常系列判定部1004は、異常グリッド間のグリッドをも異常グリッドであると定めることで、異常グリッドを補間する(ステップS88)。
【0159】
ステップS87の処理において、互いに隣接していない異常グリッド間のグリッド数が、定められた異常グリッドの数でない場合には(ステップS87:No)、異常系列判定部1004は、異常グリッド間のグリッドを異常グリッドであると定めないことで、異常グリッドを補間しない。
【0160】
図20は、異常系列判定部1004が行う、異常グリッドの補間方法の他の一例を示すフローチャートである。
【0161】
地図を複数のグリッドに領域分割する場合、グリッドに含まれる道路の面積率が比較的小さくなるグリッドが生じることがある。グリッドに含まれる道路の面積率が比較的小さい場合、そのグリッドにおける車両情報が取得されにくくなる。このため、本来であれば異常グリッドであると定められるべきグリッドが、異常グリッドであると定められないことが想定される。このため、車両30の走行経路上で、グリッドに含まれる道路の面積率が比較的小さく、隣接するグリッドに2グリッド以上異常グリッドが存在するグリッドをも異常グリッドとすることにより、道路の面積率が比較的小さいグリッドを異常グリッドと定めることができる。
【0162】
異常系列判定部1004は、蓄積部1005に記憶されている車両情報の中から、同一の異常系列IDが割り当てられた車両情報を取得する(ステップS91)。
【0163】
車両情報が取得されると、異常系列判定部1004は、取得された車両情報に対応する異常グリッド付近の地図情報を取得する(ステップS92)。
【0164】
地図情報が取得されると、異常系列判定部1004は、地図情報に基づいて、車両30の走行経路上のグリッドのうち、異常グリッドと定められていないグリッドであって、道路の面積率が所定の面積率未満であるグリッドが存在するか否かを判定する(ステップS93)。
【0165】
ステップS93の処理において、該当するグリッドが存在する場合に(ステップS93:Yes)、異常系列判定部1004は、その該当するグリッドが、2グリッド以上の異常グリッドに隣接するか否かを判定する(ステップS94)。
【0166】
ステップS93の処理において、該当するグリッドが存在しない場合(ステップS93:No)に、異常系列判定部1004は、処理を終了する。
【0167】
ステップS94の処理において、2グリッド以上の異常グリッドに隣接する場合に(ステップS94:Yes)、異常系列判定部1004は、その該当するグリッドをも異常グリッドであると定めることで、異常グリッドを補間する(ステップS95)。
【0168】
ステップS94の処理において、2グリッド以上の異常グリッドに隣接しない場合に(ステップS94:No)、異常系列判定部1004は、その該当するグリッドを異常グリッドであると定めないことで、異常グリッドを補間しない。
【0169】
異常系列判定部1004により異常グリッドが補完されると、表示制御部1006は、複数のグリッドに領域分割された地図の少なくとも一部を、異常グリッドが他のグリッドと異なる表示形式で表示されるように、表示部130に表示させる。
【0170】
図21は、表示制御部1006が表示部130に表示させる画像の一例を示す模式図である。図21において、斜線でハッチングされたグリッドは、異常系列判定部1004により定められた異常グリッドであり、黒丸は、判定部1003により異常であると判定された車両情報により示される車両30の位置である。
【0171】
このように、表示制御部1006は、車両30の運転者への通知や、異常に対する対応を行う分析官の分析作業等に役立てるために、異常検知装置100による検知結果を、表示部130に効果的に表示させることができる。
【0172】
<考察>
上述したように、異常検知装置100は、車両30の位置と所定の位置関係にある評価グリッドの評価モデルに基づいて、車両情報が異常であるか否かを判定する。このため、異常検知装置100によると、車両30の位置に応じた局所的な領域の評価モデルに基づいて、車両に係る異常を検知することができる。従って、異常検知装置100によると、従来よりも異常検知の精度を向上することができる。
【0173】
また、異常検知装置100によると、評価グリッドとするグリッドの範囲を、車両30の走行速度により適切に定めることができる。また、異常検知装置100によると、地図を複数のグリッドに領域分割したことで、グリッド毎に、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数に偏りが生じることにより、評価モデルを生成する際に使用されたデータ数が十分でない場合には、データ数が十分でない旨が異常度に反映されるように、異常度を補正することができる。さらに、異常検知装置100によると、過去に判定された異常から連続して発生する異常を、同一の異常系列としてまとめることができる。
【0174】
このように、異常検知装置100によると、車両30に係る異常の検出を、効果的に行うことができる。
【0175】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0176】
(1)実施の形態において、異常検知装置100は、異常系列判定部1004と、蓄積部1005と、表示制御部1006とを含んで構成されるとして説明した。これに対して、他の例として、異常検知装置100は、異常系列判定部1004と、蓄積部1005と、表示制御部1006とを含まずに構成され、異常系列判定部1004と、蓄積部1005と、表示制御部1006とが、外部装置により実現される構成であってもよい。この場合、異常系列判定部1004と、蓄積部1005と、表示制御部1006とは、例えば、監視サーバ10により実現されてもよい。
【0177】
(2)実施の形態において、複数のグリッドに領域分割される地図は、予め準備された地図であってもよいし、ダイナミックマップのように動的に生成される地図であってもよい。動的に生成される地図である場合には、例えば、評価モデルは、新たに地図が生成される毎に更新されてもよい。
【0178】
(3)実施の形態において、異常検知装置100が検知する車両30に係る異常は、例えば、車両30に対するサイバー攻撃等による異常であるとして説明した。しかしながら、異常検知装置100が検知する車両30に係る異常は、これに限定されない。異常検知装置100は、例えば、車両30の運転者の操作等に係る異常も検知することができる。例えば、アクセルペダルの踏み込み量から、誤発進を検知することができる。
【0179】
(4)実施の形態において、車両30は、一例として、自動車であるとして説明した。しかしながら、車両30は、自動車に限定されない。車両30は、例えば、移動体としての建機、移動体としての農機、船舶、鉄道、および、飛行機等のモビリティであってもよい。すなわち、異常検知装置100は、モビリティ、または、モビリティにおけるモビリティネットワークおよびモビリティネットワークシステムに係る異常を検知することもできる。
【0180】
(5)実施の形態において、ステップS21の処理における分岐先、ステップS31の処理における分岐先、ステップS63における分岐先、および、ステップS83における分岐先は、低速走行、中速走行、および、高速走行の3つであるとして説明したが、分岐先はこれに限定されない。分岐先は、2つであってもよいし、3つ以上に細分化されていてもよい。
【0181】
(6)異常検知装置100に含まれる構成要素の一部または全部は、専用または汎用の回路として実現されてもよい。
【0182】
異常検知装置100に含まれる構成要素の一部または全部は、例えば、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0183】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0184】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0185】
(7)本開示の一態様は、このような異常検知装置100だけではなく、異常検知装置100に含まれる特徴的な構成部をステップとする異常検知方法であってもよい。また、本開示の一態様は、異常検知方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本開示は、車両に係る異常を検知する異常検知装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0187】
1 情報処理システム
10 監視サーバ
20 車載ネットワーク
30 車両
40 ネットワーク
100 異常検知装置
130 表示部
210 外部通信装置
220 バス
1001 取得部
1002 モデル記憶部
1003 判定部
1004 異常系列判定部
1005 蓄積部
1006 表示制御部
図1
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