IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】外科用ステープラ用バットレスの構成
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021537808
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 IB2019060819
(87)【国際公開番号】W WO2020136491
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】16/235,488
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バートン・トレバー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】クルマナカー・デビッド・ティ
(72)【発明者】
【氏名】リッジリー・パメラ・エム
(72)【発明者】
【氏名】シェリン・エミリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スパソルト・レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ストラング・ヘザー
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0235626(US,A1)
【文献】特表2017-509456(JP,A)
【文献】特表2018-525137(JP,A)
【文献】特表2018-534059(JP,A)
【文献】特表2018-512218(JP,A)
【文献】特表2015-513959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織をステープル留めするための外科用システムであって、
(a)エンドエフェクタを有する外科用ステープラであって、前記エンドエフェクタが、アンビル、及び前記アンビルに対して移動可能に取り付けられたステープルカートリッジを含む、外科用ステープラと、
(b)バットレス・アプライヤ・カートリッジであって、
(i)ハウジングであって、前記ハウジングに沿って長手方向に延びる第1の間隙と第2の間隙とを画定し、前記第1の間隙及び前記第2の間隙のそれぞれが、前記外科用ステープラの前記エンドエフェクタの第1の部分、及び前記エンドエフェクタの第2の部分を受け入れるように構成されている、ハウジングと、
(ii)前記ハウジングに接続され、前記第1の間隙と前記第2の間隙との間で延在し、前記ハウジングにより支持されているプラットホームと、を含む、バットレス・アプライヤ・カートリッジと、
c)前記プラットホーム上に配置され、前記ハウジングの前記第1の間隙内で露出している第1のバットレス組立体であって、前記第1のバットレス組立体が、
(i)組織に接して受け入れられ、前記組織内で形成されるステープルを支持するように構成されている第1のバットレスと、
(ii)前記ハウジングの前記第1の間隙内で露出し、前記エンドエフェクタの前記第1の部分又は前記第2の部分に対して前記第1のバットレスを剥離可能に付着させるように構成されている、前記第1のバットレス上の第1の接着剤層であって、前記第1の接着剤層が前記第1のバットレスに平行であり、第1の接着剤外形を有する第1の接着剤パターンを画定する、第1の接着剤層と、を含む、第1のバットレス組立体と、
d)前記プラットホーム上に配置され、前記ハウジングの前記第2の間隙内で露出している第2のバットレス組立体であって、前記第2のバットレス組立体が、
(i)組織に接して受け入れられ、前記組織内で形成される前記ステープルを支持するように構成されている第2のバットレスと、
(ii)前記ハウジングの前記第2の間隙内で露出し、前記エンドエフェクタの前記第1の部分又は前記第2の部分に対して前記第2のバットレスを剥離可能に付着させるように構成されている、前記第2のバットレス上の第2の接着剤層であって、前記第2の接着剤層が前記第2のバットレスに平行であり、第2の接着剤外形を有する第2の接着剤パターンを画定する、第2の接着剤層と、を含む、第2のバットレス組立体と、を含み、
前記第1のバットレス組立体及び前記第2のバットレス組立体は、前記エンドエフェクタの前記第1の部分及び前記第2の部分に対して、入れ替え可能となるように、前記第2の間隙内で露出した前記第2の接着剤外形が、前記第1の間隙内で露出した前記第1の接着剤外形と同一であり、
前記第1の接着剤層は、第1の接着表面積で前記アンビルに付着し、第2の接着表面積で前記ステープルカートリッジに付着するように構成され、前記第2の接着剤層は、前記第1の接着表面積で前記アンビルに付着し、前記第2の接着表面積で前記ステープルカートリッジに付着するように構成され、前記第2の接着表面積は前記第1の接着表面積より大きく、これにより、前記第1の接着剤層の前記ステープルカートリッジに対する接着力が前記第1の接着剤層の前記アンビルに対する接着力よりも大きくなり、前記第2の接着剤層の前記ステープルカートリッジに対する接着力が前記第2の接着剤層の前記アンビルに対する接着力よりも大きくなる、外科用システム。
【請求項2】
前記第2の接着剤層の前記第2の接着剤パターンが、前記プラットホームを通して、前記第1の接着剤層の前記第1の接着剤パターンの鏡像になっている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項3】
前記プラットホームが、前記第1の間隙に沿って延在する第1の表面と、前記第2の間隙に沿って延在する、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備え、前記第1のバットレス組立体が前記第1の表面上に配置され、前記第2のバットレス組立体が前記第2の表面上に配置され、これにより前記第1のバットレス組立体が、前記第2のバットレス組立体から横断方向にオフセットしている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項4】
前記プラットホームが、前記第1の間隙に沿って延在する第1の表面と、前記第2の間隙に沿って延在する、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備え、前記第1のバットレスが前記第1の表面上に配置され、前記第2のバットレスが前記第2の表面上に配置され、前記第1のバットレスが前記第1の表面に対向する内向き面とその反対側を向く外向き面とを有し、前記第1の接着剤層が前記第1のバットレスの前記外向き面上に配置され、前記第2のバットレスが前記第2の表面に対向する内向き面とその反対側を向く外向き面とを有し、前記第2の接着剤層が前記第2のバットレスの前記外向き面上に配置され、これにより前記第1の接着剤層が、前記第2の接着剤層から横断方向にオフセットしており、前記第1の接着剤外形が前記第2の接着剤外形と、前記長手方向と前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直の短手方向とにおいて位置合わせされている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項5】
前記プラットホームが、前記第1の間隙に沿って延在する第1の表面と、前記第2の間隙に沿って延在する、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備え、前記第1のバットレス組立体が前記第1の表面上に配置され、前記第2のバットレス組立体が前記第2の表面上に配置され、これにより前記第1のバットレス組立体が、前記第2のバットレス組立体から横断方向にオフセットしている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項6】
前記第1のバットレス組立体が、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直の短手方向に、第1の短手方向バットレス幅を有し、前記第2のバットレス組立体が、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直の前記短手方向に、第2の短手方向バットレス幅を有し、前記第1の短手方向バットレス幅及び前記第2の短手方向バットレス幅がそれぞれ同一である、請求項5に記載の外科用システム。
【請求項7】
前記第1の短手方向バットレス幅及び前記第2の短手方向バットレス幅がそれぞれ10.414mm(0.41インチ)である、請求項6に記載の外科用システム。
【請求項8】
前記第1のバットレス組立体及び前記第2のバットレス組立体がそれぞれ、前記長手方向に長さ、短手方向に幅、横断方向に厚さを有する、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項9】
前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形がそれぞれ、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直な前記短手方向において、その接着剤外形に付着した前記ステープルカートリッジのステープラカートリッジ外形内に前記短手方向にて収まるように構成されており、前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形がそれぞれ、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直な前記短手方向において、その接着剤外形に付着した前記アンビルのアンビル外形を超えて前記短手方向に延びるように構成されている、請求項8に記載の外科用システム。
【請求項10】
記ステープルカートリッジが、前記第1のバットレス組立体及び前記第2のバットレス組立体のうちの一方に取り外し可能に付着し、前記アンビルが、前記第1のバットレス組立体及び前記第2のバットレス組立体のうちの他方に取り外し可能に付着し、前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形のうちの一方が、前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形のうちの前記一方に付着した前記ステープルカートリッジの前記ステープラカートリッジ外形内に前記短手方向において収まり、前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形のうちの他方が、前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形のうちの前記他方に付着した前記アンビルの前記アンビル外形を超えて前記短手方向に延びている、請求項9に記載の外科用システム。
【請求項11】
前記第1のバットレス及び前記第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、前記第1のバットレス及び前記第2のバットレスのうちの前記少なくとも一方に沿って長手方向に延びるプレカットスリットを有し、前記プレカットスリットが、前記第1のバットレス組立体及び前記第2のバットレス組立体のうちの前記少なくとも一方を分離するためのナイフを受け入れるように構成されている、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項12】
前記第1のバットレス及び前記第2のバットレスのうちの前記少なくとも一方が、遠位バットレス端部、近位バットレス端部、及び、前記遠位バットレス端部と前記近位バットレス端部との間に延びる中間バットレス部分を含み、前記プレカットスリットが、前記近位バットレス端部を通って、前記近位バットレス端部の近位端まで長手方向に延びる近位端スリット、前記遠位バットレス端部を通って、前記遠位バットレス端部の遠位端まで長手方向に延びる遠位端スリット、及び、前記中間バットレス部分を通って長手方向に延びる中間スリットのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の外科用システム。
【請求項13】
前記プレカットスリットが、前記近位端スリット、前記遠位端スリット、及び前記近位端スリットと前記遠位端スリットとの間の前記中間スリットのそれぞれを含み、前記中間スリットが、前記近位端スリット及び前記遠位端スリットのそれぞれから、長手方向に離間している、請求項12に記載の外科用システム。
【請求項14】
前記第1のバットレス及び前記第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、一対の外側層の間に挟まれたコア層を有する、請求項1に記載の外科用システム。
【請求項15】
前記コア層がポリグラクチン910材料であり、前記外側層がそれぞれ、ポリジオキサノンフィルム材料である、請求項14に記載の外科用システム。
【請求項16】
前記第1の接着剤パターンは、前記第1のバットレス組立体の長手方向中央線に平行に延在する第1の複数の細長い部分を含み、前記第1の接着剤層は、前記第1のバットレスの表面の接着剤の無い複数の領域を取り囲んでおり、
前記第2の接着剤パターンは、前記第2のバットレス組立体の長手方向中央線に平行に延在する第2の複数の細長い部分を含み、前記第2の接着剤層は、前記第2のバットレスの表面の接着剤の無い複数の領域を取り囲んでいる、請求項1に記載の外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の状況では、切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、いくつかの形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療送達デバイス、及び、超音波振動、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達デバイスなど)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易にし得る。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを駆動することによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。例示的に過ぎない外科用ステープラが、1989年2月21日に発行された、米国特許第4,805,823号、名称「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」、1995年5月16日に発行された、米国特許第5,415,334号、名称「Surgical Stapler and Staple Cartridge」、1995年11月14日に発行された、米国特許第5,465,895号、名称「Surgical Stapler Instrument」、1997年1月28日に発行された、米国特許第5,597,107号、名称「Surgical Stapler Instrument」、1997年5月27日に発行された、米国特許第5,632,432号、名称「Surgical Instrument」、1997年10月7日に発行された、米国特許第5,673,840号、名称「Surgical Instrument」、1998年1月6日に発行された、米国特許第5,704,534号、名称「Articulation Assembly for Surgical Instruments」、1998年9月29日に発行された、米国特許第5,814,055号、名称「Surgical Clamping Mechanism」、2005年12月27日に発行された、米国特許第6,978,921号、名称「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」、2006年2月21日に発行された、米国特許第7,000,818号、名称「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」、2006年12月5日に発行された、米国特許第7,143,923号、名称「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」、2007年12月4日に発行された、米国特許第7,303,108号、名称「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」、2008年5月6日に発行された、米国特許第7,367,485号、名称「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」、2008年6月3日に発行された、米国特許第7,380,695号、名称「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」、2008年6月3日に発行された、米国特許第7,380,696号、名称「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」、2008年7月29日に発行された、米国特許第7,404,508号、名称「Surgical Stapling and Cutting Device」、2008年10月14日に発行された、米国特許第7,434,715号、名称「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」、2010年5月25日に発行された、米国特許第7,721,930号、名称「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」、2013年4月2日に発行された、米国特許第8,408,439号、名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」、及び2013年6月4日に発行された、米国特許第8,453,914号、名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」に開示されている。上に引用した米国特許の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。単なる例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ以上の臓器に到達させることができる。このような処置では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び処置において使用され得る。
【0004】
特に開胸術での使用に適し得る外科用ステープラの例は、2015年11月17日に発行された、米国特許第9,186,142号、名称「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」、2017年8月1日に発行された、米国特許第9,717,497号、名称「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」、2016年12月13日に発行された、米国特許第9,517,065号、名称「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」、2017年12月12日に発行された、米国特許第9,839,421号、名称「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」、2018年1月16日に発行された、米国特許第9,867,615号、名称「Surgical Instrument with Articulation Lock having a Detenting Binary Spring」、2017年4月18日に発行された、米国特許第9,622,746号、名称「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」、2014年8月28日に公開された、米国特許公開第2014/0239037号、名称「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」、2017年10月24日に発行された、米国特許第9,795,379号、名称「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」、及び、2017年11月7日に発行された、米国特許第9,808,248号、名称「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」に開示されている。上に引用した米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
更なる手術用ステープル留め器具が、米国特許第8,801,735号、名称「Surgical Circular Stapler with Tissue Retention Arrangements」(2014年8月12日発行)、米国特許第8,141,762号、名称「Surgical Stapler Comprising a Staple Pocket」(2012年3月27日発行)、米国特許第8,371,491号、名称「Surgical End Effector Having Buttress Retention Features」(2013年2月12日発行)米国特許第9,597,082号、名称「Method and Apparatus for Sealing End-to-End Anastomosis」(2017年3月21日)、米国特許第9,398,911号、名称「Rotary Powered Surgical Instruments with Multiple Degrees of Freedom」(2016年7月26日発行)、米国特許出願公開第2013/0206813号、名称「Linear Stapler」(2013年8月15日公開)、米国特許出願公開第2008/0169328号、名称「Buttress Material for Use with a Surgical Stapler」(2008年7月17日公開)、米国特許第9,848,871号、名称「Woven and Fibrous Materials for Reinforcing a Staple Line」(2017年12月16日発行)、米国特許第9,936,954号、名称「Devices and Methods for Sealing Staples in Tissue」(2018年4月10日発行)、及び米国特許出願公開第2016/0089146号、名称「Radically Expandable Staple Line」(2016年3月31日公開)に開示されている。上に引用した米国特許、米国特許公開、及び、米国特許出願それぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
場合によっては、ステープルでもたらされる組織の機械的締結を補強するため、手術用ステープル留め器具にバットレス材料を取り付けることが望ましい場合がある。かかるバットレスは、適用後のステープルが組織から抜けるのを防止でき、あるいは、ステープルの適用部位又はその付近の組織が裂けるリスクを低減することができる。そのようなバットレス材料を、バットレス・アプライヤ・カートリッジにより外科用ステープル留め器具に適用することができる。バットレス・アプライヤ・カートリッジは、適用前にバットレス材料を保持し、外科用ステープル留め器具に適用されると、バットレス材料を解放する。そのようなバットレス・アプライヤ・カートリッジの例は、米国特許出願公開第2017/0056016(2017年3月2日公開、名称「Surgical Stapler Buttress Applicator with End Effector Actuated Release Mechanism」)に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0007】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】一例としての上部ジョー用バットレス組立体、及び一例としての、別の、下部ジョー用バットレス組立体を担持する、バットレス・アプライヤ・カートリッジの例を含む、例示的なバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体の斜視図である。
図2】バットレス・アプライヤ・カートリッジから取り外したバットレス組立体を示す、図1のバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体の部分的な分解斜視図である。
図3図1のバットレス組立体の斜視図である。
図4図3のバットレス組立体の分解斜視図である。
図5】上部ジョーに対する、図1のバットレス組立体の底面図である。
図6】予め形成されたスリットを示す、図1のバットレス組立体の遠位端部の拡大底面図である。
図7】上部ジョーのための図1のバットレス組立体の平面図であり、バットレス組立体上の上部ジョーの外形を示す。
図8】下部ジョーのための図1のバットレス組立体の平面図である。
図9】下部ジョーのための図1のバットレス組立体の底面図であり、バットレス組立体上の下部ジョーの外形を示す。
図10A】上部ジョー及び下部ジョーが開位置の状態でエンドエフェクタに接近する図1のバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体を示す、例示的な外科用器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図10B図10Bに類似するが、閉位置において上部ジョーと下部ジョーとの間に位置する図1のバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体を示す、エンドエフェクタの斜視図である。
図10C図10Bに類似するが、開位置において上部ジョー及び下部ジョーにそれぞれ固定されたバットレス組立体を示す、エンドエフェクタの斜視図である。
図11A】上部ジョー及び下部ジョーが開位置にある状態で、組織がバットレス組立体の間に配置され、図1のバットレス組立体がエンドエフェクタに適用された状態の図10Bのエンドエフェクタの一部の、側面断面図である。
図11B図11Aに類似するが、閉位置における上部ジョー及び下部ジョーを示す、エンドエフェクタ及びバットレス組立体の一部の側面断面図である。
図11C図11Bに類似するが、ステープルが組織内で形成された状態で組織に固定されたバットレス組立体を示す、バットレス組立体の側面断面図である。
図12A図10Cの下部ジョーに固定された図10Cのバットレス組立体、及び、当該バットレス組立体を通して遠位に駆動されるエンドエフェクタのナイフの斜視図である。
図12B図12Aに類似するが、バットレス組立体を通して遠位に駆動されている間に、バットレス組立体の近位部分を切断するナイフを示す、バットレス組立体及び下部ジョーの斜視図である。
図12C図12Bに類似するが、バットレス組立体を通して遠位に駆動されている間に、バットレス組立体の中間部分を切断するナイフを示す、バットレス組立体及び下部ジョーの斜視図である。
図12D図12Cに類似するが、バットレス組立体を通して遠位に駆動されている間に、バットレス組立体の遠位部分を切断するナイフを示す、バットレス組立体及び下部ジョーの斜視図である。
図13図11Cに示すようにエンドエフェクタにより組織に固定され、図12Dに示すように切断された、図12Dのバットレス組立体及びステープルの斜視図を示す。
【0009】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0011】
「近位」及び「遠位」といった用語は、以下で論じる、外科用及び切断用器具(110)、並びに、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体(10)といった外科用器具を把持する臨床医に対して、本明細書において使用されるものと理解されるべきである。便宜上、また明確にするため、本明細書では「直立」、「逆さま」、「上方」、「下方」、「底部」、及び「頂部」といった空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されたい。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0012】
I.例示的なバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体
場合によっては、図1に示す例示的なバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体(10)を使用して、バットレス(14)と共に組織内でステープルを形成するために外科用器具にバットレス組立体(12)を取り付けることが望ましい場合がある。そのようなバットレス(14)は、形成されたステープルが、組織から抜けることを防止し、これによって、形成されたステープルの部位にて、又はこの付近にて、組織が引き裂かれるリスクが低下する。ステープルのラインに構造的支持及び一体性を提供することに加えて又はそれに代えて、バットレス(14)は、空隙若しくは間隙の充填、治療薬の投与、及び/又は別の効果などの、様々な他の種類の効果を提供し得る。外科用器具により用いる前に、1つ以上のバットレス(14)は、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)上で解放可能に保持され、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)は、例示的外科用器具(18)においてより詳細に以下で論じるように、使用のために、バットレス組立体(10)を外科用器具上に配置するように構成されている(図10Aを参照のこと)。
【0013】
更なる機構を、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体(10)の以下の例と適合可能に組み合わせることができる。そのような機構は、米国特許出願第[代理人整理番号END8634USNP.0663974]、名称「Adhesive Distribution on Buttress for Surgical Stapler」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END8636USNP.0663978]、名称「Surgical Stapler Buttress with Tissue In-Growth Promotion」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END8637USNP.0663981]、名称「Applicator for Surgical Stapler Buttress」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END8638USNP.0663983]、名称「Packaging for Surgical Stapler Buttress」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END9071USNP1.0714576]、名称「Method of Applying Buttresses to Surgically Cut and Stapled Sites」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END9072USNP1.0714574]、名称「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Opening Feature for Curved Tip Alignment」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END9073USNP1.0714572]、名称「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Proximal Alignment Features」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、及び米国特許出願第[代理人整理番号END9075USNP1.0714570]、名称「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Compression Layer Pocket Feature」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END8639USDP.0663985]、名称「Applicator for a Surgical Stapler Buttress」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END8640USDP.0663994]、名称「Buttress for Surgical Stapler」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END8641USDP.0663996]、名称「Tray for Surgical Stapler Buttress Applicator」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、米国特許出願第[代理人整理番号END9080USDP1.0714568]、名称「Applicator for a Surgical Stapler Buttress」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)、及び米国特許出願第[代理人整理番号END9081USDP1.0714566]、名称「Buttress Assembly for a Surgical Stapler」(本明細書と共に同日付にて出願されたもの)に記載されており、これらの開示は参照により、本明細書に組み込まれる。
【0014】
A.例示的なバットレス・アプライヤ・カートリッジ
図1図2は、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)上で解放可能に保持される、一対のバットレス組立体(12)を含むバットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体(10)を示し、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)は、使用前にバットレス組立体(12)を支持して保護し、外科用器具(110)上にバットレス組立体(12)を装填するのを更に補助する(図10Aを参照のこと)。本実施例のバットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)は、開放端部(18)及び閉鎖端部(20)を含む。開放端部(18)は、更に詳細に以下で記載するように、エンドエフェクタ(112)を受け入れるように構成されている(図10A)。バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)は、それぞれ、一般に「U」字型を画定して、開放端部(18)を呈する、上部ハウジング(26)及び下部ハウジング(28)を有するハウジング組立体(24)を更に含む。様々な構成要素が、上部ハウジングと下部ハウジング(26、28)の間に介在する。具体的に言えば、これらの構成要素は、プラットホーム(30)、アーム(34)を有する一対のアクチュエータスレッド(32)、及びシャーシ(36)を含む。
【0015】
本実施例のプラットホーム(30)は、プラットホーム(30)の一方の側で上部バットレス組立体(12)を、そして、プラットホーム(30)の他方の側で下部バットレス組立体(12)を支持する。プラットホーム(30)は、上部ハウジング及び下部ハウジング(26、28)の「U」字構成のプロングの間に形成される凹部の中で露出する。したがって、上部ハウジング(26)は、プラットホーム(30)の上面に沿って、開放端部(18)へと延びる上部間隙(37)を有し、同様に、下部ハウジング(28)は、プラットホーム(30)の下面に沿って、開放端部(18)へと延びる下部ギャップ(38)を有する。そのような凹部におけるプラットホーム(30)とバットレス組立体(12)の配置により、バットレス組立体(12)と手術室内の他のデバイスとの間の偶発的な接触が防止され得る。換言すれば、上部ハウジング及び下部ハウジング(26、28)は、バットレス組立体(12)をある程度まで物理的に遮蔽し得る。
【0016】
本実施例では、プラットホーム(30)の外縁は、上部ハウジングと下部ハウジング(26、28)との間で捕捉され、上部ハウジング及び下部ハウジング(26、28)を更に係合し、プラットホーム(30)が、上部ハウジング及び下部ハウジング(26、28)に対して摺動するのを防止する、保持機構(図示せず)を含む。一部の変形形態においては、プラットホーム(30)は、高い摩擦係数をもたらす材料から形成され、それにより、そうでない場合には、バットレス組立体(12)がプラットホーム(30)の対応する表面に沿って摺動するいかなる傾向も、低減される。例えば、プラットホーム(30)は、エラストマー材料及び/又は発泡材料を含み得る。場合によっては、プラットホーム(30)は、エンドエフェクタ(112)によって圧縮された後に圧縮形状を維持するように構成された圧縮性発泡材料から形成される(図10Aを参照のこと)。あくまで一例として、プラットホーム(30)は、サントプレーン(Santoprene)、独立気泡ポリウレタン発泡材、任意の他の圧縮性材料、及び/又は幾何学的形状によって圧縮性となり得る材料(例えば、変形可能な起立機構を備えるゴム材料)を含み得る。プラットホーム(30)を形成するために使用され得る種々の好適な材料及び構造的構成が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0017】
シャーシ(36)は、上部ハウジング及び下部ハウジング(26、28)と協働して、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)の構成要素を移動させるための機械的土台を提供し、かつ、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)の構成要素用の構造支持体を提供するように構成されている。シャーシ(30)は、ハウジング組立体(24)の両側に露出する、一体型把持機構(40)を更に含む。把持機構(40)は、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)の使用中に操作者がバットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)を把持することを促進するように構成された幾何学的表面形状を有している。把持機構(40)に対して用いられ得る様々な適切な構成が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなろう。同様に、把持機構(40)に適用され得る様々な表面処理(例えば、エラストマー材料など)が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなろう。
【0018】
アクチュエータスレッド(32)がシャーシ(30)の両面にスライド可能に配置される。アクチュエータスレッド(32)のアーム(34)は、バットレス組立体(12)をプラットホーム(30)に、選択的かつ解放可能に固定するように、短手方向内向きに延びる。具体的に言えば、図1は、バットレス組立体(12)が、アーム(34)の自由端とプラットホーム(30)との間に介在するように配置されたアーム(34)を示す。アーム(34)は、図2に示すように、アーム(34)がバットレス組立体(12)と係合解除するように、短手方向外向きに移動可能であり、これにより、バットレス組立体(12)がプラットホーム(30)から取り外され得る。本実施例では、アーム(34)は、バットレス組立体(12)と当接し、これにより、バットレス組立体(12)をプラットホーム(30)に対して挟み込むように構成されている。アーム(34)がバットレス組立体(12)と係合し得る他の好適な方式が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0019】
B.例示的なバットレス組立体
図2は、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)から取り外された上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)を示す一方で、図3及び図4は、より詳細に上部バットレス組立体(12)を示す。特に、本実施例では、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)は、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)上で保持される上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)の相対位置を除いて、構造的に同一である。したがって、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体(10)は、外科用器具(110)と共に、2つ以上の向きで使用され得る(図10Aを参照)。上部バットレス組立体(12)の以下の説明は、それぞれの向きを除いて、下部バットレス組立体(12)に同様に適用されることが理解されよう。
【0020】
図3及び図4に関して、上部バットレス組立体(12)は、バットレス(14)及び上部接着剤層(42)を含む。本実施例のバットレス(14)は、より具体的には、2つの外側層(46)に挟まれたコア層(44)を含む3層のポリマー構造を有し、これにより、ステープル列を支持するように全体として強靭だが可撓性があるものとなっている。本実施例では、コア層(44)はポリグラクチン910材料であり、これは、Ethicon,Inc.(Somerville、New Jersey)によりVICRYLとして製造販売されている。一方で、各外側層は、ポリジオキサノン(PDO)フィルム材料である。より具体的に言うと、一実施例におけるコア層(44)のポリグラクチン910材料は、206マイクロメートルの横断方向厚さを有する一方で、各外側層(46)のポリジオキサノン(PDO)フィルム材料は、8マイクロメートルの横断方向厚さを有する。別の実施例において、各外側層(46)のポリジオキサノン(PDO)フィルム材料は、9.5マイクロメートルの横断方向厚さを有する。本実施例のバットレス(14)は、所定圧力、所定温度、及び所定時間の下、複数の外側層(46)の間にコア層(44)を積層することにより形成される。一実施例において、一旦積層されると、コア層(44)のポリグラクチン910材料は、161.5マイクロメートルの横断方向厚さを有する。一実施例において、そのような層(44、46)の材料は、各バットレス組立体(12)に沿った長手方向に延びる向きから45度の向きに延びるように配置され、材料の短手方向への延伸を制御する繊維で構成される。バットレス(14)は更に、機械的に切断して寸法決めされ、これにより、感度の高い組織を損傷し得る、バリ及び/又は層間剥離といった損傷性の縁を防止する。バットレス(14)を切断する代替方法、例えばレーザ切断又はホットナイフ切断も同様に使用され得ることが理解されよう。
【0021】
単に更なる例として、各バットレス(14)は、グンゼ社(日本、京都府)製のNEOVEIL吸収性PGAフェルト、SEAMGUARDポリグリコール酸:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)補強材(W.L.Gore & Associates,Inc.(Flagstaff、Arizona)製)、Baxter Healthcare Corporation(Deerfield、Illinois)製のPERI-STRIPS DRY with VERITAS Collagen Matrix(PSDV)補強材、Cook Medical(Bloomington、Indiana)製のBIODESIGN生物学的移植片材料、及び/又は、Ethicon,Inc.(Somerville、New Jersey)製のSURGICEL NU-KNIT止血材料のうちの1つ以上の部分を含み得る。各バットレス(14)を形成するために使用され得る更に他の適切な材料が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなろう。
【0022】
追加的にあるいは代替的に、各バットレス(14)は、例えば、血液を凝固させるのを支援し、かつ組織に沿って切断及び/又はステープル留めされた手術部位における出血を低減するために、フィブリンなどの止血剤を含む材料を含み得る。別の単なる例示的な実施例として、それぞれのバットレス(14)が、血液を凝固させ、かつ手術部位における出血量を低減させることを支援し得るように、それぞれのバットレス(14)は、他の添加剤を含んでもよく、又はトロンビンなどの止血剤を用いてもよい。それぞれのバットレス(14)に組み入れられ得る他の添加剤又は試薬として、薬液又はマトリックス成分を更に挙げることができるが、これらに限定されない。各バットレス(14)を形成するために使用され得る材料、並びに各バットレス(14)の中に別様に組み入れられ得る材料の単なる説明のための例が、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年3月25日出願の米国特許出願第14/667,842号、名称「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。
【0023】
単に更なる例として、各バットレス(14)は、米国特許公開第2012/0241493号、名称「Tissue Thickness Compensator Comprising Controlled Release and Expansion」(2012年9月27日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2013/0068816号、名称「Surgical Instrument and Buttress Material」(2013年3月21日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第9,999,408号、名称「Surgical Instrument with Fluid Fillable Buttress」(2018年6月19日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第8,814,025号、名称「Fibrin Pad Matrix with Suspended Heat Activated Beads of Adhesive」(2014年8月26日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第8,899,464号、名称「Attachment of Surgical Staple Buttress to Cartridge」(2014年12月2日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第9,492,170号、名称「Device for Applying Adjunct in Endoscopic Procedure」(2016年11月15日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第8,998,060号、名称「Resistive Heated Surgical Staple Cartridge with Phase Change Sealant」(2015年4月7日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第9,393,018号、名称「Surgical Staple Assembly with Hemostatic Feature」(2016年7月19日、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第9,101,359号、名称「Surgical Staple Cartridge with Self-Dispensing Staple Buttress」(2015年8月11日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第9,198,644号、名称「Anvil Cartridge for Surgical Fastening Device」(2015年12月1日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2013/0075447号、名称「Adjunct Therapy for Applying Hemostatic Agent」(2013年3月28日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第9,211,120号、名称「Tissue Thickness Compensator Comprising a Plurality of Medicaments」(2015年12月15日発行、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2015/0351758号、名称「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」(2015年12月10日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2017/0049444号、名称「Implantable Layers for a Surgical Instrument」(2017年2月23日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2017/0055986号、名称「Drug Eluting Adjuncts and Methods of Using Drug Eluting Adjuncts」(2017年3月2日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2017/0086837号、名称「Compressible Adjunct with Crossing Spacer Fibers」(2017年3月30日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は米国特許公開第2017/0086842号、名称「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」(2017年3月30日公開、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従い、構成され得る。
【0024】
更に、バットレス(14)は、バットレス(14)の近位部分(50)から、バットレス(14)の中間部分(52)に沿って、更に、バットレス(14)の遠位部分(54)を通って、以下でより詳細に論じるように、内側の縁が切断された組織に隣接するように、ナイフ(114)(図12Aを参照)により切断されるように構成されている。バットレス(14)は、長手方向に延びるプレカットスリット(58)を更に含む。プレカットスリット(58)は、ナイフ(114)(図12Aを参照)を受け入れ、内側の縁がバットレス(14)に沿って形成されるにつれ、バットレス(14)の短手方向部分の分離を補助するように構成されている。プレカットスリット(58)はそれ故、使用中の、ナイフ(114)(図12Aを参照)上での摩耗もまた低減する。
【0025】
本実施例のプレカットスリット(58)は、コア層及び外側層(44、46)により長手方向に分離される、3つの別個の部分を有する。図5及び図6に関して、プレカットスリット(58)の近位部分は、横断方向にバットレス(14)を貫通して延びる、バットレス(14)の近位端部分(50)内の近位端スリット(60)を含む。プレカットスリット(58)の中間部分は、横断方向にバットレス(14)を貫通して延びる、バットレス(14)の中間部分(52)内の中間スリット(62)を含む。更に、プレカットスリット(58)の遠位部分は、横断方向にバットレス(14)を貫通して延びる、遠位端スリット(64)を含む。本実施例では、近位端スリット(60)、中間スリット(62)、及び遠位端スリット(64)は、バットレス(14)の短手方向の両半体を短手方向に二分する中心長手軸に沿って長手方向に整列している。中間スリット(62)は、スリット(60、62、64)間のバットレス(14)の部分が切断されないまま残るように、近位端スリット及び遠位端スリット(60、64)のそれぞれから離間している。「ブリッジ」部分とも呼ばれ得る、そのような切断されていない部分は、組み立て、貯蔵、及び組織への適用の間に無傷のままとなるのに十分大きな寸法であるが、バットレス(14)の切断中に抵抗を実質的に低下させるのに十分小さな寸法である。しかし、バットレス(14)の短手方向の両半体の間での切断性を更に補助するために、いくつかの更なる穿孔が、代替実施形態において中心長手軸に沿って形成されてよいことが理解されるであろう。
【0026】
プレカットスリット(58)の近位端スリット(60)及び遠位端スリット(64)は、それぞれ、近位端開口部(68)、及び遠位端開口部(70)を更に含む。近位端スリット(60)の近位端開口部(68)は、中心長手軸を中心に、バットレス(14)の近位端(72)まで対称に広がる一方で、遠位端スリット(64)の遠位端開口部(70)は、中心長手軸を中心に、バットレス(14)の遠位端(74)まで対称に広がる。そのような広がった近位端開口部及び遠位端開口部(68、70)はそれぞれ、以下により詳細に論じるように、切断の間に、ナイフ(114)の導入、及びバットレス(14)からの離脱を補助するように構成されている。
【0027】
図7に関して、上部接着剤層(42)は、外科用器具(110)(図10Aを参照)のエフェクタ(112)(図10Aを参照)内にバットレス(14)を付着させるために、バットレス(14)の外側層(46)の上に提供される。バットレス(14)の付着は、感圧接着剤が挙げられるがこれに限定されない様々なメカニズムによって生じることができる。いくつかの変形例では、各接着剤層(42)が感圧性接着剤材料を含む。接着剤層(42)を形成するために使用され得る様々な適切な材料の例が、米国特許公開第2016/0278774号、名称「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」(2016年9月29日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。あるいは、任意の他の好適な材料が使用され得る。本実施例に示すように、接着剤層(42)を塗布し、連続外側シールを形成して、エンドエフェクタ(112)に適用される(図10Aを参照)と、寿命を向上させる。
【0028】
本明細書で用いられる「接着剤」という用語は、粘着性の材料、更には、柔軟又は蝋様であり、変形及び適合によって複雑な幾何学的形状にも付着する材料を包含し得ることが理解されるべきである(ただし、それらに限定はされない)。いくつかの適切な接着剤は、不可避的に高度な初期粘着性を与えることなく、変形及び適合によって複雑な幾何学的形状にも付着するように、そのような柔軟性を与え得る。いくつかの事例では、粘着性の低い接着剤は、表面からよりきれいに除去され得る。本明細書の教示を考慮することで、接着剤層(42)を形成するために使用され得る様々な適切な材料が当業者には明らかとなろう。
【0029】
概して上で論じられるように、そして、図5図9を参照すると、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)は、構造的に同一である。これに関して、図5は、下部横断方向からの、上部バットレス組立体(12)の下面を示し、一方で、図8は、上部横断方向からの、下部バットレス組立体(12)の上面を示す。本実施例の、これらの下面及び上面は、同一の短手方向幅及び長手方向長さを有する。同様に、図7は、上部横断方向からの、上部バットレス組立体(12)の上面を示し、一方で、図9は、下部横断方向からの、下部バットレス組立体(12)の下面を示す。本実施例における各事例において、これらの下面及び上面は、同一の短手方向幅及び長手方向長さを有する。更に、対応する各バットレス組立体(12)の接着剤層(42)は、所定の接着剤パターンで、接着ビーズ層(42)として形成される。図7及び図9にそれぞれ示す、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)のそれぞれの接着剤パターンもまた同一であり、同一の短手方向幅及び長手方向長さを有する。接着剤パターンの短手方向幅及び長手方向長さは共に、ステープルカートリッジ(120)のアンビル(116)及びデッキ(118)の両方に対応する寸法となった、着剤外形を画定する。すなわち、接着剤層(42)の着剤外形並びにバットレス(14)は、アンビル(116)及びデッキ(118)に対して、入れ替え可能であり、使用のために末端のバットレス組立体(12)を装填する際に、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体(10)を、直立方向で使用でき、又は、中心長手軸を中心に逆さまの向きに反転させ得るようになっている。
【0030】
このために、接着剤層(42)の接着剤パターンと、デッキ(118)及びアンビル(116)の裏面(122)との界面を示すため、図7は、上部バットレス組立体(12)に重なり合ったンビル外形(117)を示し、図9は、下部バットレス組立体(12)に重なり合ったッキ外形(119)を示す。本実施例の接着剤パターンは、プラットホーム(30)上で互いにオフセットして配置されたとき(図1を参照)に、上部接着剤層(42)が、短手方向及び長手方向の位置合わせにおいて下部接着剤層(42)の鏡像となるように、中心長手軸を中心に対称となっている。より具体的に言うと、本実施例の各接着剤層(42)は、ッキ外形(119)の短手方向幅に概して等しいが、ンビル外形(117)の短手方向幅よりも大きい短手方向幅を有する。そのため、接着剤層(42)は、デッキ(118)と接着剤層(42)との間の接着力が大きくなるような、デッキ(118)に対する大きな接触表面積で、図9ッキ外形(119)内に収まる。しかしながら、接着剤層(42)は、図7ンビル外形(117)よりも短手方向に広く、ンビル外形(117)を超えて短手方向に延びており、アンビルの裏面(122)との接触表面積はより小さく、アンビルの裏面(122)と接着剤層(42)との間の接着力は小さくなる。より具体的に言うと、本実施例の各接着剤層(42)は、約0.41インチの短手方向幅を有する。これに対し、デッキ(118)は、アンビル(116)の裏面(122)よりも幅が広く、デッキ(118)は約0.41インチの短手方向幅を有し、アンビル(116)の裏面(122)は、約0.37インチの短手方向幅を有する。
【0031】
上で言及したようにアンビル(116)とデッキ(118)間で入れ替え可能となっていることにより、バットレス組立体(12)の装填が簡単になり、不適切な装填が生じ難くなる一方で、アンビル(116)の裏面(122)と接着剤層(42)との間の、接触表面積の減少により、アンビル(116)からのバットレス組立体(12)の取り外しが容易になる。一実施例において、アンビル(116)の裏面(122)は、バットレス組立体(12)の、デッキ(118)に対する比較的小さい接着力よりも、比較的大きい接着力で、接着剤層(42)を介してバットレス(14)に付着する、比較的滑らかな材料である。故に、デッキ(118)との接触表面積に対して、接着剤層(42)と、アンビル(116)の裏面(122)との間の接触表面積を小さくすることにより、アンビル(116)及びデッキ(118)からの、バットレス組立体(12)のより均等になった、かつ/又は予想可能な取り外し力がもたらされ得る。
【0032】
C.バットレスの外科用ステープラへの例示的な付着、及びバットレス組立体と組織の切断
上記のとおり、及び、図10Aに関してより詳細に以下で論じるように、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)は、対応するバットレス(14)を、ステープルカートリッジ(120)のアンビル(116)及びデッキ(118)の裏面(122)に付着させる、上部接着剤層(42)及び下部接着剤層(42)(又は、他の形態の接着物質)を含む。そのような接着剤は、エンドエフェクタ(112)の作動前及び作動中におけるバットレス本体(14)の適切な位置付けをもたらし得、次いで、バットレス(14)のその後の適切な機能を損なうのに実質的に十分な損傷をバットレス(14)に引き起こすことなく、エンドエフェクタ(112)が作動された後に、バットレス(14)をエンドエフェクタ(112)から分離させることを可能にし得る。
【0033】
バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)を使用してエンドエフェクタ(112)を装填するために、操作者は最初に、図10Aに示すようにエンドエフェクタ(112)がバットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)の開放端部(18)と整列するように、バットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)及びエンドエフェクタ(112)を配置するであろう。操作者は次いで、エンドエフェクタ(40)を遠位側に前進させて(かつ/又はバットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)を近位側に後退させて)、プラットホーム(30)及びバットレス組立体(12)をアンビル(116)とステープルカートリッジ(120)との間に配置する。バットレス組立体(12)をエンドエフェクタ(112)に装填するために、操作者は、図10Bに示す状態に達するようアンビル(116)をステープルカートリッジ(120)に向かって枢動させることによって、エンドエフェクタ(112)を簡単に閉鎖する。示すように、エンドエフェクタ(40)の閉鎖により、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(120)がアクチュエータスレッド(32)と当接し、これにより、バットレス組立体(12)をバットレス・アプライヤ・カートリッジ(16)からロック解除するように、アーム(34)が付勢される。上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)の接着剤層(42)は、図10Cに示すように、アンビル(116)及びデッキ(118)に対して十分に圧縮され、組織をステープル留めするために、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)をエンドエフェクタ(112)に保持する。
【0034】
この目的のために、図11A図11Cは、バットレス組立体(12)を装填されたエンドエフェクタ(112)が作動されて、2つの並置された組織層(T、T)を通して複数のステープル(124)を駆動し、バットレス組立体(12)がステープル(124)によって同じ組織層(T、T)に固定されるシーケンスを示す。具体的には、図11Aは、アンビル(116)とステープルカートリッジ(120)との間に位置付けられた組織層(T、T)を示し、アンビル(116)は、開位置にある。上部バットレス組立体(12)は、接着剤層(42)を介してアンビル(116)の裏面(122)に付着しており、一方で、下部バットレス組立体(12)は、接着剤層(42)を介してステープルカートリッジ(120)のデッキ(118)に付着している。したがって、組織層(T、T)は、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)の間に置かれている。次に、図11Bに示すように、トリガ(図示せず)を枢動してアンビル(116)を閉位置に駆動させる。この段階において、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)が、組織層(T、T)の両表面と係合して、組織層(T、T)がアンビル(116)とステープルカートリッジ(120)との間で圧迫される。次いで、上述のようにエンドエフェクタ(112)が作動され、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)、並びに組織層(T、T)を通してステープル(124)を駆動する。図11Cに示すように、駆動されたステープル(124)のクラウン部(126)は、組織層(T)に対して下部バットレス組立体(12)を捕捉し、かつ保持する。ステープル(124)の変形した脚部(128)が、組織層(T)に対して上部バットレス組立体(12)を捕捉し、かつ保持する。
【0035】
一連のステープル(124)が組織(T、T)の層に対して上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)を同様に捕捉及び保持し、それによって、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)が組織(T、T)に固定されることを理解されたい。図12A図12Dにおいても見られるように、更にナイフ(114)がバットレス組立体(12)の中央線を通して切り開き、各バットレス組立体(12)を対応する一対のセクションに分離することによって、各セクションが組織(T、T)のそれぞれの切断領域に固定された状態に維持される。例えば、図11Cに示すように、組織(T、T)がステープル留めされた状態で、ナイフ(114)は、近位位置から遠位に駆動され、組織(T、T)と上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)を切断する。
【0036】
図12A図12Dは、図11Cに示す、バットレス組立体(12)と組織(T、T)を切断するナイフを示すが、組織(T、T)、上部バットレス組立体(12)、及びアンビル(116)は、一層の明確性のために隠している。図12A図12Bに示すように、ナイフ(114)は近位端開口部(68)内に、及び、近位端スリット(60)の残部を更に通るように導入される。近位端スリット(60)はこれにより、組織(T、T)が、バットレス(14)の近位部分(50)に対して圧縮されない場合において、バットレス(14)がナイフ(114)上で集まり、ねじれてむらのある切断が生じることを防止する。
【0037】
図12Cに関して、ナイフ(114)はプレカットスリット(58)の近位端スリット(60)から遠位に並進し、プレカットスリット(58)の中間スリット(62)内に受け入れられるまで、バットレス(14)の近位部分及び中間部分(50、52)を切断する。組織(T、T)が近位部分(50)に対してのみ圧縮され、バットレス(14)の中間及び遠位部分(52、54)に接して存在しない場合、中間スリット(62)により、バットレス(14)の中間部分及び/又は遠位部分(52、54)を誤って引き裂く可能性が低下する。ナイフ(114)が、バットレス(14)の中間部分(52)からバットレス(14)の遠位部分(54)を通って切断するとき、図12Dは、バットレス組立体(12)を切断して一対の短手方向半体にした後、遠位端開口部(70)を通って遠位位置へと離脱するナイフ(114)を示す。操作者が手動で、バットレス(14)の残りの遠位部分を切り裂く、又は切断することを必要とせず、完了時に、確実に、バットレス組立体(12)が完全に2つの短手方向半体に切断されるように、遠位端スリット(64)は、ナイフ(114)の遠位位置の特定の位置に関連する製造公差を許容するような寸法となっている。
【0038】
図13に関して、エンドエフェクタ(112)(図12Dを参照)が、ステープル(124)、並びに上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)を実装した後で、組織(T、T)から離れる方へ引かれると、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)はエンドエフェクタ(112)から係合解除され、上部バットレス組立体(12)及び下部バットレス組立体(12)は、ステープル(124)により組織(T、T)に固定されたままとなる。したがって、バットレスを取り付けた組織(T、T)が、ステープル(124)列に構造的な補強をもたらす。上記に加えて、本明細書で説明した様々なバットレス組立体のいずれもが、米国特許公開第2016/0278774号、名称「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」(2016年9月29日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)の少なくともいくつかの教示に従い、更に構成され、操作可能となり得ることが理解されなければならない。
【0039】
II.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0040】
組織をステープル留めするための外科用システムであって、(a)バットレス・アプライヤ・カートリッジであって、(i)ハウジングであって、ハウジングに沿って長手方向に延びる第1の間隙と第2の間隙とを画定し、第1の間隙及び第2の間隙のそれぞれが、外科用ステープラのエンドエフェクタの第1の部分、及びエンドエフェクタの第2の部分を受け入れるように構成されている、ハウジングと、(ii)ハウジングに接続され、第1の間隙と第2の間隙との間で横断方向に露出し、ハウジングにより支持されているプラットホームと、を含む、バットレス・アプライヤ・カートリッジと、(b)プラットホーム上に配置され、ハウジングの第1の間隙内で露出している第1のバットレス組立体であって、第1のバットレスが、(i)組織に接して受け入れられ、組織内で形成されるステープルを支持するように構成されている第1のバットレスと、(ii)ハウジングの第1の間隙内で露出し、エンドエフェクタの第1の部分又は第2の部分に対して第1のバットレスを剥離可能に付着させるように構成されている、第1のバットレス上の第1の接着剤層であって、第1の接着剤層が第1のバットレスに平行であり、第1の着剤外形を有する第1の接着剤パターンを画定する、第1の接着剤層と、を含む、第1のバットレス組立体と、(c)プラットホーム上に配置され、ハウジングの第2の間隙内で露出している第2のバットレス組立体であって、第2のバットレスが、(i)組織に接して受け入れられ、組織内で形成されるステープルを支持するように構成されている第2のバットレスと、(ii)ハウジングの第2の間隙内で露出し、エンドエフェクタの第1の部分又は第2の部分に対して第2のバットレスを剥離可能に付着させるように構成されている、第2のバットレス上の第2の接着剤層であって、第2の接着剤層が第2のバットレスに平行であり、第2の着剤外形を有する第2の接着剤パターンを画定する、第2の接着剤層と、を含む、第2のバットレス組立体と、を含み、第1のバットレス組立体及び第2のバットレス組立体が、外科用器具のエンドエフェクタの第1の部分及び第2の部分に対して、入れ替え可能となるように、横断方向の、露出した第2の着剤外形が、反対の横断方向の、露出した第1の着剤外形と同一である、外科用システム。
【実施例2】
【0041】
第2の接着剤層の第2の接着剤パターンが、プラットホームを通して、第1の接着剤層の第1の接着剤パターンの鏡像になっている、実施例1に記載の外科用システム。
【実施例3】
【0042】
第1のバットレス組立体が、第2のバットレス組立体から横断方向にオフセットしており、第2のバットレス組立体と横断方向において位置合わせされている、実施例1~2のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例4】
【0043】
第1の着剤外形が、第2の着剤外形から横断方向にオフセットしており、第2の着剤外形と横断方向において位置合わせされている、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例5】
【0044】
第1の接着剤層が第1の接着ビーズ層であり、第2の接着剤層が第2の接着ビーズ層である、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例6】
【0045】
第1のバットレス組立体が、長手方向及び横断方向に対して垂直の短手方向に、第1の短手方向バットレス幅を有し、第2のバットレス組立体が、長手方向及び横断方向に対して垂直の短手方向に、第2の短手方向バットレス幅を有し、第1の短手方向バットレス幅及び第2の短手方向バットレス幅がそれぞれ同一である、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例7】
【0046】
第1の短手方向バットレス幅及び第2の短手方向バットレス幅がそれぞれ0.41インチである、実施例6に記載の外科用システム。
【実施例8】
【0047】
第1の接着剤層及び第2の接着剤層がそれぞれ、エンドエフェクタのアンビル、及びエンドエフェクタのステープルカートリッジに付着するように構成されており、第1の接着剤層及び第2の接着剤層がそれぞれ、アンビルに対する接着力が比較的小さくなるように、より小さな接着表面積でアンビルに付着するように構成され、第1の接着剤層及び第2の接着剤層が、ステープルカートリッジに対する接着力が比較的大きくなるように、より大きな接着表面積でステープルカートリッジに付着するように構成されている、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例9】
【0048】
第1の着剤外形及び第2の着剤外形がそれぞれ、長手方向及び横断方向に対して垂直な短手方向において、その着剤外形に付着したステープルカートリッジのテープラカートリッジ外形内に短手方向にて収まるように構成されており、第1の着剤外形及び第2の着剤外形がそれぞれ、長手方向及び横断方向に対して垂直な短手方向において、その着剤外形に付着したアンビルのンビル外形を超えて短手方向に延びるように構成されている、実施例8に記載の外科用システム。
【実施例10】
【0049】
エンドエフェクタを有する外科用ステープラを更に含み、エンドエフェクタが、アンビルに対して移動可能に取り付けられたステープルカートリッジを含み、ステープルカートリッジが、第1のバットレス組立体又は第2のバットレス組立体のうちの一方に取り外し可能に付着し、アンビルが、第1のバットレス組立体又は第2のバットレス組立体のうちの他方に取り外し可能に付着し、第1の接着剤外形又は第2の接着剤外形のうちの一方が、第1の接着剤外形又は第2の接着剤外形のうちの一方に付着したステープルカートリッジのテープラカートリッジ外形内に短手方向において収まり、第1の接着剤外形又は第2の接着剤外形のうちの他方が、第1の接着剤外形又は第2の接着剤外形のうちの他方に付着したアンビルのンビル外形を超えて短手方向に延びている、実施例9に記載の外科用システム。
【実施例11】
【0050】
第1のバットレス又は第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、第1のバットレス又は第2のバットレスのうちの少なくとも一方に沿って長手方向に延びるプレカットスリットを有し、プレカットスリットが、第1のバットレス組立体又は第2のバットレス組立体のうちの少なくとも一方を分離するためのナイフを受け入れるように構成されている、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例12】
【0051】
第1のバットレス又は第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、遠位バットレス端部、近位バットレス端部、及び、遠位バットレス端部と近位バットレス端部との間に延びる中間バットレス部分を含み、プレカットスリットが、近位バットレス端部を通って、近位バットレス端部の近位端まで長手方向に延びる近位端スリット、遠位バットレス端部を通って、遠位バットレス端部の遠位端まで長手方向に延びる遠位端スリット、又は、中間バットレス部分を通って長手方向に延びる中間スリットのうちの少なくとも1つを含む、実施例11に記載の外科用システム。
【実施例13】
【0052】
プレカットスリットが、近位端スリット、遠位端スリット、及び近位端スリットと遠位端スリットとの間の中間スリットのそれぞれを含み、中間スリットが、近位端スリット及び遠位端スリットのそれぞれから、長手方向に離間している、実施例12に記載の外科用システム。
【実施例14】
【0053】
第1のバットレス又は第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、一対の外側層の間に挟まれたコア層を有する、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の外科用システム。
【実施例15】
【0054】
コア層がポリグラクチン910材料であり、外側層がそれぞれ、ポリジオキサノンフィルム材料である、実施例14に記載の外科用システム。
【実施例16】
【0055】
バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体であって、(a)プラットホーム上に配置され、ハウジングの間隙内にて露出されるように構成されたバットレス組立体であって、バットレス組立体が(i)近位バットレス端部から遠位バットレス端部まで長手方向に延び、近位バットレス端部と遠位バットレス端部との間に延びる中間バットレス部分を有する、バットレスであって、バットレスが、組織に接して受け入れられ、組織内で形成されるステープルを支持するように構成されている、バットレスと、(ii)バットレス上で、長手方向、及び、長手方向に垂直な短手方向に延びる接着剤層であって、接着剤層が、ハウジングの間隙内にて露出されるように構成され、外科用ステープラのエンドエフェクタに対してバットレスを剥離可能に付着するように更に構成されている、接着剤層と、(iii)バットレスを通って長手方向に延び、ナイフが、近位バットレス端部を通り、中間バットレス部分を通って遠位バットレス端部まで切断する際に、ナイフを受け入れるように構成されている、プレカットスリットであって、プレカットスリットが、バットレスの第2の短手方向部分からのバットレスの第1の短手方向部分の分離を促進するように構成されている、プレカットスリットと、を含む、バットレス組立体を含む、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体。
【実施例17】
【0056】
プレカットスリットが、近位バットレス端部を通って、近位バットレス端部の近位端まで長手方向に延びる近位端スリットを含む、実施例16に記載のバットレス・アプライヤ・カートリッジ。
【実施例18】
【0057】
プレカットスリットが、遠位端部を通って、遠位バットレス端部の遠位端まで長手方向に延びる遠位端スリットを含む、実施例16~17のいずれか1つ以上に記載のバットレス・アプライヤ・カートリッジ。
【実施例19】
【0058】
プレカットスリットが、中間バットレス部分を通って長手方向に延びる中間スリットを含む、実施例16~18に記載のバットレス・アプライヤ・カートリッジ。
【実施例20】
【0059】
バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体であって、(a)プラットホーム上に配置され、ハウジングの間隙内にて露出されるように構成されたバットレス組立体であって、バットレス組立体が(i)組織に接して受け入れられ、組織内で形成されるステープルを支持するように構成されているバットレスであって、バットレスが(A)第1の外側フィルム層と、(B)第2の外側フィルム層と、(C)第1の外側層と第2の外側層との間に積層されたコアメッシュ層と、を含む、バットレスと、(ii)ハウジングの間隙内にて露出されるように構成され、外科用ステープラのエンドエフェクタに対してバットレスを剥離可能に付着させるように更に構成された、第1の外側層上の接着剤層と、を含む、バットレス組立体を含み、第1の外側フィルム層及び第2の外側フィルム層、コアメッシュ層、並びに、接着剤層のそれぞれが、組織により吸収されるように構成されている、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体。
【0060】
III.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0061】
上記に加えて、本明細書で説明した様々なバットレス組立体のいずれもが、米国特許公開第2016/0278774号、名称「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」(2016年9月29日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2017/0049444号、名称「Implantable Layers for a Surgical Instrument」(2017年2月23日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許公開第2017/0086837号、名称「Compressible Adjunct with Crossing Spacer Fibers」(2017年3月30日公開、その開示が参照により本明細書に組み込まれる)、及び米国特許公開第2017/0086842号、名称「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」(2017年3月30日公開、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従い更に構成され、操作可能となり得ることも理解されるべきである。更に、本明細書で説明した方法に加えて、本明細書で説明した様々なバットレス組立体のいずれもが、米国仮特許出願第62/209,041号、名称「Method and Apparatus for Applying a Buttress to End Effector of a Surgical Stapler」(2015年8月24日出願、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は、米国特許公開第2017/0086842号、名称「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」(2017年3月30日公開、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる)の少なくともいくつかの教示に従い、エンドエフェクタ(40)に適用され得る。本明細書の教示が上記の引用文献の様々な教示と組み合わされ得る様々な適切な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0062】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0063】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0064】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は手技の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0065】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0066】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0067】
〔実施の態様〕
(1) 組織をステープル留めするための外科用システムであって、
(a)バットレス・アプライヤ・カートリッジであって、
(i)ハウジングであって、前記ハウジングに沿って長手方向に延びる第1の間隙と第2の間隙とを画定し、前記第1の間隙及び前記第2の間隙のそれぞれが、外科用ステープラのエンドエフェクタの第1の部分、及び前記エンドエフェクタの第2の部分を受け入れるように構成されている、ハウジングと、
(ii)前記ハウジングに接続され、前記第1の間隙と前記第2の間隙との間で横断方向に露出し、前記ハウジングにより支持されているプラットホームと、を含む、バットレス・アプライヤ・カートリッジと、
(b)前記プラットホーム上に配置され、前記ハウジングの前記第1の間隙内で露出している第1のバットレス組立体であって、第1のバットレスが、
(i)組織に接して受け入れられ、前記組織内で形成されるステープルを支持するように構成されている第1のバットレスと、
(ii)前記ハウジングの前記第1の間隙内で露出し、前記エンドエフェクタの前記第1の部分又は前記第2の部分に対して前記第1のバットレスを剥離可能に付着させるように構成されている、前記第1のバットレス上の第1の接着剤層であって、前記第1の接着剤層が前記第1のバットレスに平行であり、第1の接着剤外形を有する第1の接着剤パターンを画定する、第1の接着剤層と、を含む、第1のバットレス組立体と、
(c)前記プラットホーム上に配置され、前記ハウジングの前記第2の間隙内で露出している第2のバットレス組立体であって、第2のバットレスが、
(i)組織に接して受け入れられ、前記組織内で形成される前記ステープルを支持するように構成されている第2のバットレスと、
(ii)前記ハウジングの前記第2の間隙内で露出し、前記エンドエフェクタの前記第1の部分又は前記第2の部分に対して前記第2のバットレスを剥離可能に付着させるように構成されている、前記第2のバットレス上の第2の接着剤層であって、前記第2の接着剤層が前記第2のバットレスに平行であり、第2の接着剤外形を有する第2の接着剤パターンを画定する、第2の接着剤層と、を含む、第2のバットレス組立体と、を含み、
前記第1のバットレス組立体及び前記第2のバットレス組立体が、外科用器具の前記エンドエフェクタの前記第1の部分及び前記第2の部分に対して、入れ替え可能となるように、前記横断方向の、露出した前記第2の接着剤外形が、反対の横断方向の、露出した前記第1の接着剤外形と同一である、外科用システム。
(2) 前記第2の接着剤層の前記第2の接着剤パターンが、前記プラットホームを通して、前記第1の接着剤層の前記第1の接着剤パターンの鏡像になっている、実施態様1に記載の外科用システム。
(3) 前記第1のバットレス組立体が、前記第2のバットレス組立体から横断方向にオフセットしており、前記第2のバットレス組立体と横断方向において位置合わせされている、実施態様1に記載の外科用システム。
(4) 前記第1の接着剤外形が、前記第2の接着剤外形から横断方向にオフセットしており、前記第2の接着剤外形と横断方向において位置合わせされている、実施態様1に記載の外科用システム。
(5) 前記第1の接着剤層が第1の接着ビーズ層であり、前記第2の接着剤層が第2の接着ビーズ層である、実施態様1に記載の外科用システム。
【0068】
(6) 前記第1のバットレス組立体が、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直の短手方向に、第1の短手方向バットレス幅を有し、前記第2のバットレス組立体が、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直の前記短手方向に、第2の短手方向バットレス幅を有し、前記第1の短手方向バットレス幅及び前記第2の短手方向バットレス幅がそれぞれ同一である、実施態様1に記載の外科用システム。
(7) 前記第1の短手方向バットレス幅及び前記第2の短手方向バットレス幅がそれぞれ10.414mm(0.41インチ)である、実施態様6に記載の外科用システム。
(8) 前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層がそれぞれ、前記エンドエフェクタのアンビル、及びエンドエフェクタのステープルカートリッジに付着するように構成されており、前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層がそれぞれ、前記アンビルに対する接着力が比較的小さくなるように、より小さな接着表面積で前記アンビルに付着するように構成され、前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層が、前記ステープルカートリッジに対する接着力が比較的大きくなるように、より大きな接着表面積で前記ステープルカートリッジに付着するように構成されている、実施態様1に記載の外科用システム。
(9) 前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形がそれぞれ、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直な短手方向において、その接着剤外形に付着した前記ステープルカートリッジのテープラカートリッジ外形内に短手方向にて収まるように構成されており、前記第1の接着剤外形及び前記第2の接着剤外形がそれぞれ、前記長手方向及び前記横断方向に対して垂直な前記短手方向において、その接着剤外形に付着した前記アンビルのンビル外形を超えて短手方向に延びるように構成されている、実施態様8に記載の外科用システム。
(10) エンドエフェクタを有する外科用ステープラを更に含み、前記エンドエフェクタが、アンビルに対して移動可能に取り付けられたステープルカートリッジを含み、前記ステープルカートリッジが、前記第1のバットレス組立体又は前記第2のバットレス組立体のうちの一方に取り外し可能に付着し、前記アンビルが、前記第1のバットレス組立体又は前記第2のバットレス組立体のうちの他方に取り外し可能に付着し、前記第1の接着剤外形又は前記第2の接着剤外形のうちの一方が、前記第1の接着剤外形又は前記第2の接着剤外形のうちの前記一方に付着した前記ステープルカートリッジの前記テープラカートリッジ外形内に短手方向において収まり、前記第1の接着剤外形又は前記第2の接着剤外形のうちの他方が、前記第1の接着剤外形又は前記第2の接着剤外形のうちの前記他方に付着した前記アンビルの前記ンビル外形を超えて短手方向に延びている、実施態様9に記載の外科用システム。
【0069】
(11) 前記第1のバットレス又は前記第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、前記第1のバットレス又は前記第2のバットレスのうちの前記少なくとも一方に沿って長手方向に延びるプレカットスリットを有し、前記プレカットスリットが、前記第1のバットレス組立体又は前記第2のバットレス組立体のうちの少なくとも一方を分離するためのナイフを受け入れるように構成されている、実施態様1に記載の外科用システム。
(12) 前記第1のバットレス又は前記第2のバットレスのうちの前記少なくとも一方が、遠位バットレス端部、近位バットレス端部、及び、前記遠位バットレス端部と前記近位バットレス端部との間に延びる中間バットレス部分を含み、前記プレカットスリットが、前記近位バットレス端部を通って、前記近位バットレス端部の近位端まで長手方向に延びる近位端スリット、前記遠位バットレス端部を通って、前記遠位バットレス端部の遠位端まで長手方向に延びる遠位端スリット、又は、前記中間バットレス部分を通って長手方向に延びる中間スリットのうちの少なくとも1つを含む、実施態様11に記載の外科用システム。
(13) 前記プレカットスリットが、前記近位端スリット、前記遠位端スリット、及び前記近位端スリットと前記遠位端スリットとの間の前記中間スリットのそれぞれを含み、前記中間スリットが、前記近位端スリット及び前記遠位端スリットのそれぞれから、長手方向に離間している、実施態様12に記載の外科用システム。
(14) 前記第1のバットレス又は前記第2のバットレスのうちの少なくとも一方が、一対の外側層の間に挟まれたコア層を有する、実施態様1に記載の外科用システム。
(15) 前記コア層がポリグラクチン910材料であり、前記外側層がそれぞれ、ポリジオキサノンフィルム材料である、実施態様14に記載の外科用システム。
【0070】
(16) バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体であって、
(a)プラットホーム上に配置され、ハウジングの間隙内にて露出されるように構成されたバットレス組立体であって、前記バットレス組立体が
(i)近位バットレス端部から遠位バットレス端部まで長手方向に延び、前記近位バットレス端部と前記遠位バットレス端部との間に延びる中間バットレス部分を有する、バットレスであって、前記バットレスが、組織に接して受け入れられ、前記組織内で形成されるステープルを支持するように構成されている、バットレスと、
(ii)前記バットレス上で、長手方向、及び、前記長手方向に垂直な短手方向に延びる接着剤層であって、前記接着剤層が、前記ハウジングの前記間隙内にて露出されるように構成され、外科用ステープラのエンドエフェクタに対して前記バットレスを剥離可能に付着するように更に構成されている、接着剤層と、
(iii)前記バットレスを通って長手方向に延び、ナイフが、近位バットレス端部を通り、前記中間バットレス部分を通って前記遠位バットレス端部まで切断する際に、前記ナイフを受け入れるように構成されている、プレカットスリットであって、前記プレカットスリットが、前記バットレスの第2の短手方向部分からの前記バットレスの第1の短手方向部分の分離を促進するように構成されている、プレカットスリットと、を含む、バットレス組立体を含む、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体。
(17) 前記プレカットスリットが、前記近位バットレス端部を通って、前記近位バットレス端部の近位端まで長手方向に延びる近位端スリットを含む、実施態様16に記載のバットレス・アプライヤ・カートリッジ。
(18) 前記プレカットスリットが、遠位端部を通って、前記遠位バットレス端部の遠位端まで長手方向に延びる遠位端スリットを含む、実施態様16に記載のバットレス・アプライヤ・カートリッジ。
(19) 前記プレカットスリットが、前記中間バットレス部分を通って長手方向に延びる中間スリットを含む、実施態様16に記載のバットレス・アプライヤ・カートリッジ。
(20) バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体であって、
(a)プラットホーム上に配置され、ハウジングの間隙内にて露出されるように構成されたバットレス組立体であって、前記バットレス組立体が
(i)組織に接して受け入れられ、前記組織内で形成されるステープルを支持するように構成されているバットレスであって、前記バットレスが
(A)第1の外側フィルム層と、
(B)第2の外側フィルム層と、
(C)前記第1の外側層と前記第2の外側層との間に積層されたコアメッシュ層と、を含む、バットレスと、
(ii)前記ハウジングの前記間隙内にて露出されるように構成され、外科用ステープラのエンドエフェクタに対して前記バットレスを剥離可能に付着させるように更に構成された、前記第1の外側層上の接着剤層と、を含む、バットレス組立体を含み、
前記第1の外側フィルム層及び前記第2の外側フィルム層、前記コアメッシュ層、並びに、前記接着剤層のそれぞれが、組織により吸収されるように構成されている、バットレス・アプライヤ・カートリッジ組立体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図13