(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】3D小惑星ダイナミックマップの生成方法及びポータブル型端末
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241015BHJP
G06T 7/10 20170101ALI20241015BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241015BHJP
【FI】
G06T7/00 C
G06T7/10
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2021542464
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019112246
(87)【国際公開番号】W WO2020151268
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-08-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】201910057169.3
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520159673
【氏名又は名称】影石創新科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ARASHI VISION INC.
【住所又は居所原語表記】Room 1101, 1102, 1103, 11th Floor, Building 2, Jinlitong Financial Center, 1100 Xingye Road, Haiwang Community, Xin’an Street, Bao’an District, Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 瑞東
(72)【発明者】
【氏名】薑 文傑
(72)【発明者】
【氏名】朱 力
【合議体】
【審判長】畑中 高行
【審判官】樫本 剛
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-7180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0124155(US,A1)
【文献】特開2021-149972(JP,A)
【文献】特開2006-53694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0041722(US,A1)
【文献】特開2014-7715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D小惑星ダイナミックマップの生成方法であって、
パノラマ画像を取得するステップと、
パノラマ画像を認識して、空領域、人物領域、地面領域に分割するステップと、
空領域、人物領域および地面領域に対してパノラマ深度マップをそれぞれに計算するステップと、
パノラマ画像及びパノラマ深度マップを、それぞれ小惑星画像及び小惑星深度マップ
に変換して生成するステップと、
仮想視点での小惑星ビューを生成するステップと、
複数枚の仮想視点での小惑星ビューをレンダリングして、3D小惑星ダイナミックマップを生成するステップと、を含み、
前記パノラマ深度マップを計算することは、前記空領域、人物領域及び地面領域の深度値をそれぞれ計算することであり、
ことを特徴とする3D小惑星ダイナミックマップの生成方法。
【請求項2】
前記パノラマ画像を認識して、空領域、人物領域、地面領域に分割することは、
パノラマ画像における空領域と人物領域を認識し、パノラマ画像から空領域と人物領域とが分割され、残りの部分を地面領域とすることである、
ことを特徴とする請求項1に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法。
【請求項3】
前記仮想視点での小惑星ビューを生成することは、
仮想視点の座標を設定することと、
小惑星画像及び小惑星深度マップに基づいて、3Dワーピングアルゴリズムにより仮想
視点での小惑星ビューを生成することと、を含み、
3Dワーピングアルゴリズムは、
小惑星画像RGBマップにおける2次元画像の座標の小惑星深度マップに対応する深度値を取得し、2次元座標点qを実際の3次元座標点Pに逆投影するステップと、
実際の3次元座標点Pを回転又は平行移動して、P’を生成するステップと、
回転又は平行移動された仮想3次元座標点P’を仮想視点での2次元画像平面に再投影して、2次元座標点q’を生成するステップと、を含み、深度値は、投影中に、3次元物体間の前後のオクルージョン関係を反映し、
仮想視点での小惑星ビューの投影式は式(11)に示され、
ことを特徴とする請求項1に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法。
【請求項4】
ことを特徴とする請求項3に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法。
【請求項5】
3Dワーピングアルゴリズムにより仮想視点での小惑星ビューを生成することにおいて、元の小惑星画像において物体の前後のオクルージョンによって生成された画素情報のないボイド領域は、隣接する画素で埋められる、
ことを特徴とする請求項3に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法。
【請求項6】
前記複数枚の仮想視点での小惑星ビューをレンダリングして、3D小惑星ダイナミックマップを生成することは、
単位円軌道上のn個の仮想視点によって生成されたn枚の仮想視点での小惑星ビューを順番で合成およびレンダリングして、3D小惑星ダイナミックマップを生成することであり、nは正の整数である
ことを特徴とする請求項1に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法。
【請求項7】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、プロセッサによって実行されると、請求項1~6のいずれか1項に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のステップを実現するコンピュータプログラムを記憶した、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項8】
ポータブル型端末であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
メモリと、
メモリに格納され、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、請求項1~6のいずれか1項に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のステップを実現するように構成される1つ又は複数のコンピュータプログラムと、を含む
ポータブル型端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分野に属し、特に、3D小惑星ダイナミックマップの生成方法及びポータブル型端末に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、画像から3D効果を持つビューを生成することが実現できる方法はいくつかあり、例えば、マイクロレンズ技術により3Dビューを生成することができる。マイクロレンズのレンズは、わずかに異なる角度から見たときに異なる画像を拡大するように設計された拡大鏡アレイである。3Dビューを生成するためには、まず、12視点以上の視点画像などの多視点画像を生成し、次にこの多視点画像を合成画像に合成する必要がある。多視点画像を合成することは、多視点画像から適切な画素を抽出し、それらを原画像の多視点情報を含む新しい画像に合成するプロセスである。マイクロレンズのレンズは、これらの多視点角度を異なる視野角で表示するために使用され、最後に、マイクロレンズプレートを介して見ると、視聴者の左目と右目で異なる画像が見られて3D効果が生じる。この方法の欠点は、マイクロレンズプレートが必要であり、裸眼で見ることができないことである。
【0003】
他の通常用いられる方法は、2D画像を手動で多視点画像に変換することである。この場合、オペレーターは、通常、スキンを作成してターゲット画像から対象を抽出し、自分の判断に従ってこれらのスキンに対して深度情報を決定する必要がある。深度情報は、元の2D画像と同じサイズのグレースケール画像を有し、グレースケール画像では、画像の各部分の深さがグレーで表されている。手動で作成された深度情報は、元の2D画像の画素を移動して新しい視点マップを形成するようにコンピューターをガイドするために使用される。深度マップは強力な3D表示効果を生み出すことができるが、この既存の方法を使用して3Dビューを生成するには、数時間又は数日かかる。
【0004】
要約すると、画像から3Dビューを生成するための既存の方法及びシステムは、ツール又は長い処理時間を要するなどの欠点を有し、ユーザ体験が良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、3D小惑星ダイナミックマップの生成方法、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、及びポータブル型端末を提供し、仮想視点での小惑星ビューを自動的に生成し、合成・レンダリングすることにより、パノラマ画像から3D効果を有する小惑星ダイナミックマップを生成することを目的としている。この方法は効率的で、画質は良く、ユーザ体験がいい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、パノラマ画像を取得すること、パノラマ画像を認識して、空領域、人物領域、地面領域に分割すること、空領域、人物領域および地面領域に対してパノラマ深度マップをそれぞれに計算すること、パノラマ画像及びパノラマ深度マップを、それぞれ小惑星画像及び小惑星深度マップに変換して生成すること、仮想視点での小惑星ビューを生成すること、3D小惑星ダイナミックマップをレンダリングして生成すること、を含む3D小惑星ダイナミックマップの生成方法を提供する。
【0007】
本発明の第2の態様は、プロセッサによって実行されると、第1の態様に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のステップを実現するコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0008】
本発明の第3の態様は、1つ又は複数のプロセッサと、メモリと、メモリに格納され、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、第1の態様に記載の3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のステップを実現するように構成される1つ又は複数のコンピュータプログラムと、を含むポータブル型端末を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の技術案によれば、画像深度マップを計算することによって仮想視点での小惑星ビューを自動的に生成し、合成・レンダリングし、パノラマ画像から3D効果を有する小惑星ダイナミックマップを生成することを実現し、視覚効果を高めるだけでなく、処理速度が速いなどのメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1によって提供される3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1によって提供されるパノラマ深度マップの例である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1によって提供される小惑星画像をパノラマ画像にマッピングする方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1によって提供される仮想視点での小惑星ビューを生成する方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施例3によって提供されるポータブル型端末の概略的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、技術案および有益な効果をより明確にするために、以下、添付した図面および実施例を参照して本発明を詳細に説明する。本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0012】
本発明の技術案を説明するために、以下、特定の実施例により説明する。
【0013】
<実施例1>
図1を参照して、本発明の実施例1によって提供される3D小惑星ダイナミックマップの生成方法は以下のステップを含む。
【0014】
S101では、パノラマ画像を取得する。
【0015】
パノラマ画像を取得する場合、前記パノラマ画像は、オプティカルフロースティッチングアルゴリズムで少なくとも2枚の魚眼レンズによって撮影された複数枚のフィッシュアイ画像によって生成されたパノラマ画像であってもよく、パノラマ画像の内容は、撮影者がパノラマカメラを保持して撮影した写真を含んでもよい。
【0016】
S102では、パノラマ画像を認識して、空領域、人物領域、地面領域に分割する。
【0017】
パノラマ画像の内容に対して空領域と人物領域を認識し、主に空領域、人物領域、地面領域という3つの領域に分割するセマンティックセグメンテーションを行う。
【0018】
ここで、空の認識および分割は、論文「Sky Region Detection in a Single Image for Autonomous Ground Robot Navigation」および中国特許CN109003237Aに開示されている方法に限定されない典型的な空検出アルゴリズムを採用してもよい。人物の認識および分割は、「Cascade R-CNN: Delving into High Quality Object Detection」に開示されている方法などに限定されない典型的な画像ターゲット検出アルゴリズムを採用してもよい。空領域と人物領域を分割した後、残りの部分をすべて地面領域に分割し、即ち、地面領域には、高層ビル、住宅、木などが含まれてもよい。
【0019】
S103では、空領域、人物領域および地面領域に対してパノラマ深度マップをそれぞれに計算する。
【0020】
異なる物体間の相対的な深さは、物体間の3次元の位置関係を反映できる。物体の深さは、実際のシーンでの物体とカメラの間の距離を表すので、物体がカメラから離れるほど深度値が大きく、物体がカメラに近いほど深度値が小さい。
【0021】
前記空領域、人物領域、および地面領域に応じてパノラマ深度マップを計算する方法は次のとおりである。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
人物領域深度値、天空領域深度値及び地面領域深度値をそれぞれ計算すると、パノラマ深度マップが得られる。パノラマ深度マップの例については、
図2を参照する。
【0028】
S104では、パノラマ画像及びパノラマ深度マップを、それぞれ小惑星画像及び小惑星深度マップに変換して生成する。
【0029】
図3を参照して、小惑星画像をパノラマ画像にマッピングする方法は次のとおりである。
【0030】
S1041では、小惑星画像の画素を画像座標系から物理座標系に変換する。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
小惑星画像をパノラマ画像にマッピングする上記の方法によれば、逆マッピング方法によりパノラマ画像の小惑星画像を取得することができる。逆マッピング方法は具体的には次のとおりである。
【0039】
小惑星画像の座標値からパノラマ画像の対応する座標値を逆に計算する。
【0040】
計算された座標は浮動小数点データであるので、小惑星ビュー(u、v)座標の画素値を計算するために双線形補間アルゴリズムを使用することが必要である。
【0041】
パノラマ画像のすべての画素をトラバースして、小惑星ビューを計算して生成することができる。
【0042】
ステップS101で取得したパノラマ画像から小惑星画像を生成する。
【0043】
ステップS103で計算されたパノラマ深度マップから小惑星深度マップを生成する。
【0044】
S105では、小惑星画像及び小惑星深度マップに基づいて、仮想視点での小惑星ビューを生成する。
【0045】
図4を参照して、小惑星画像及び小惑星深度マップに基づいて、仮想視点での小惑星ビューを生成する方法のステップは次と通りである。
【0046】
S1051では、仮想視点の座標を設定する。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
S1054では、小惑星画像及び小惑星深度マップに基づいて、3Dワーピングアルゴリズムにより仮想視点での小惑星ビューを生成する。
【0051】
3Dワーピングアルゴリズムは、次のステップを含む。
【0052】
小惑星画像RGBマップにおける2次元画像の座標の小惑星深度マップに対応する深度値を取得し、2次元座標点qを実際の3次元座標点Pに逆投影する。
【0053】
実際の3次元座標点Pを回転又は平行移動して、P´を生成する。
【0054】
回転又は平行移動された仮想3次元座標点P´を仮想視点での2次元画像平面に再投影して、2次元座標点q´を生成する。ここで、深度値は、投影中に、3次元物体間の前後のオクルージョン関係を反映している。
【0055】
【0056】
3Dワーピングアルゴリズムにより仮想視点での小惑星ビューを生成する場合、元の小惑星画像において物体の前後のオクルージョンによって生成された画素情報のないボイド領域は、隣接する画素で埋められる。
【0057】
【0058】
S106では、複数枚の仮想視点での小惑星ビューをレンダリングして、3D小惑星ダイナミックマップを生成する。
【0059】
単位円軌道上のn個の仮想視点によって生成されたn枚の仮想視点での小惑星ビューを、生成された仮想視点での小惑星ビューの順番又は設定された順番で合成およびレンダリングして、3D効果を持つ小惑星ダイナミックマップを生成する。nは正の整数である。
【0060】
<実施例2>
本発明の実施例2は、プロセッサによって実行されると、本発明の実施例1に提供される3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のステップを実現するコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0061】
前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【0062】
<実施例3>
図5は、本発明の実施例3に提供されるポータブル型端末の特定の構造ブロック図を示している。ポータブル型端末100は、1つ又は複数のプロセッサ101と、メモリ102と、1つ又は複数のコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサ101と前記メモリ102とは、バスによって接続され、前記1つ又は複数のコンピュータプログラムは、前記メモリ102に格納され、前記1つ又は複数のプロセッサ101によって実行されると、本発明の実施例1に提供される3D小惑星ダイナミックマップの生成方法のステップを実現するように構成される。
【0063】
当業者であれば分かるように、本発明の実施例において、上記の実施例に係る方法のステップの全部又は一部は、プログラムにより関連するハードウェアを指示することで実現されてもよい。前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。前記記憶媒体は、例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスクなどである。
【0064】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。本発明の精神および原理の範囲内で行われる変更、同等の置換および改善は、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0065】
本発明によれば、画像深度マップを計算することによって仮想視点での小惑星ビューを自動的に生成し、合成・レンダリングし、パノラマ画像から3D効果を有する小惑星ダイナミックマップを生成することを実現し、視覚効果を高めるだけでなく、処理速度が速いなどのメリットもある。