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特許7571041多孔質金属体、照明装飾具、照明機器及び、多孔質金属体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】多孔質金属体、照明装飾具、照明機器及び、多孔質金属体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/11 20060101AFI20241015BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20241015BHJP
   C22C 47/00 20060101ALI20241015BHJP
   C22C 49/11 20060101ALI20241015BHJP
   C22C 14/00 20060101ALN20241015BHJP
【FI】
B22F3/11 C
B22F1/00 R
C22C47/00 Z
C22C49/11
C22C14/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021556064
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2020041425
(87)【国際公開番号】W WO2021095643
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019204974
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 恭彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋介
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-146659(JP,A)
【文献】特開2007-262571(JP,A)
【文献】特表2007-532778(JP,A)
【文献】特開2015-134958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00,3/11,3/24
C22C 1/08,1/10,14/00,47/00,49/11
F21V 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン含有繊維間に区画された複数個の孔部を有する多孔質金属体であって、
前記孔部が、大きさの異なる少なくとも七種類の孔部を含み、前記七種類の孔部が、
50μm2より大きく且つ100μm2以下の投影面積を有する孔部、
100μm2より大きく且つ500μm2以下の投影面積を有する孔部、
500μm2より大きく且つ1000μm2以下の投影面積を有する孔部、
1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の投影面積を有する孔部、
5000μm2より大きく且つ10000μm2以下の投影面積を有する孔部、
10000μm2より大きく且つ50000μm2以下の投影面積を有する孔部、及び、
50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の投影面積を有する孔部
であり、
前記多孔質金属体が、前記チタン含有繊維を覆う酸化被膜層を有し、
当該多孔質金属体に向けて光を照射した状態で撮影された当該多孔質金属体の画像で、各ピクセルの輝度Vを、RGBカラーモデルに基づいて、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により算出したとき、
輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル、
輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル、及び
輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセル
がいずれも存在し、
各範囲の前記ピクセルのそれぞれのピクセル数の割合のうち、最もピクセル数の割合が大きい最大割合と、最もピクセル数の割合が小さい最小割合との差が、8%~30%である多孔質金属体。
【請求項2】
前記七種類の孔部のうち、最も個数が少ない前記孔部の個数である最少個数に対する、最も個数が多い前記孔部の個数である最多個数の比(最多個数/最少個数)が、2.0~12.0である請求項1に記載の多孔質金属体。
【請求項3】
平面視の視野が3000μm×2210μmである観察領域内で、前記七種類の孔部の総個数が100個~450個であり、前記観察領域内に占める前記七種類の孔部の総投影面積の割合が、25%~45%である請求項1又は2に記載の多孔質金属体。
【請求項4】
前記多孔質金属体が三次元網目構造を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
【請求項5】
前記酸化被膜層が二酸化チタンを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
【請求項6】
前記最大割合が40%以下である請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
【請求項7】
厚みが0.1mm~0.4mmであるシート状をなす請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
【請求項8】
照明装飾具に用いられる請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔質金属体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の多孔質金属体を備える照明装飾具。
【請求項10】
請求項9に記載の照明装飾具と、光源とを備える照明機器。
【請求項11】
異なる向きで互いに結合した複数本のチタン含有繊維、及び、前記チタン含有繊維間に区画された複数個の孔部を有する多孔質金属体を製造する方法であって、
複数本のチタン含有繊維を堆積させる繊維堆積工程と、前記繊維堆積工程で堆積させたチタン含有繊維を焼結により互いに結合させて、前記チタン含有繊維の焼結体を得る焼結工程と、前記焼結体の厚み及び孔部の投影面積を確認し、当該厚みが狙いの厚みの±30%以内であり且つ当該投影面積が200000μm2より大きい孔部が無い焼結体を、多孔質金属体とする検品工程とを含む、多孔質金属体の製造方法。
【請求項12】
前記焼結工程の後に、前記焼結体に対してプレス加工又はロール圧延を施す厚み調整工程をさらに含む、請求項11に記載の多孔質金属体の製造方法。
【請求項13】
前記焼結工程の後、前記焼結体の前記チタン含有繊維に対して酸化処理を施す酸化工程をさらに含む、請求項11又は12に記載の多孔質金属体の製造方法。
【請求項14】
前記繊維堆積工程で、横断面形状が多角形状である前記チタン含有繊維を用いる、請求項11~13のいずれか一項に記載の多孔質金属体の製造方法。
【請求項15】
前記繊維堆積工程で、1~9mmの長さを有するチタン含有繊維を用いる、請求項11~14のいずれか一項に記載の多孔質金属体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば照明器具の装飾具等に用いて好適な多孔質金属体、照明装飾具、照明機器及び、多孔質金属体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔質金属体には、純チタン又はチタン合金等からなるチタン含有繊維もしくは粉末を堆積させ、これを加熱して焼結により互いに結合させてシート状に形成したものがある。この種の多孔質金属体は一般に、高温融体用のフィルター、ニッケル水素電池やリチウム電池その他の電池の電極ないし基材、燃料電池の一部等に用いられ得る。これに関連する技術としては、たとえば、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-94663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、チタン含有繊維で構成されたチタン系の多孔質金属体は、チタンの優れた材料特性より、上述した電極等の既存の用途以外にも使用できる見込みがある。
【0005】
その一例としては、チタン系の多孔質金属体を、照明器具の光源の周辺に、特には光源の周囲を取り囲んで配置される照明装飾具に用いることが考えられる。この場合、チタンの優れた耐食性及び軽量さの故に、該照明装飾具は、その光沢度が長期間にわたって維持されるとともに、ハンドリングが容易である。また、チタン系の多孔質金属体を用いた装飾具は、脆性を有するガラス製のもの等とは異なり、弾性変形もしくは塑性変形により衝撃をある程度吸収できて安全性が高いという利点もある。
【0006】
加えて、チタン系の多孔質金属体を用いた照明装飾具は、光源からの光を受けた際に、チタン特有の光の反射態様により、他の材料からなるものとは異なる視覚的な印象を与えることができる可能性があった。特許文献1は、このような観点については何ら着目していない。
【0007】
この発明の目的は、光が照射された際に独特な視覚的印象を与えることができる多孔質金属体、照明装飾具、照明機器及び、多孔質金属体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は鋭意検討の結果、チタン含有繊維を不規則に配置することにより、製造されるチタン系の多孔質金属体に、チタン含有繊維間に区画されて所定の大きさの孔部を所定の種類存在させることを案出した。そして発明者は、このようなチタン系の多孔質金属体であれば、照射された光が他のものとは異なる態様で反射されて、独特な視覚的印象を与えることができるとの知見を得た。
【0009】
この発明の多孔質金属体は、チタン含有繊維間に区画された複数個の孔部を有するものであって、前記孔部が、大きさの異なる少なくとも七種類の孔部を含み、前記七種類の孔部が、50μm2より大きく且つ100μm2以下の投影面積を有する孔部、100μm2より大きく且つ500μm2以下の投影面積を有する孔部、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の投影面積を有する孔部、1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の投影面積を有する孔部、5000μm2より大きく且つ10000μm2以下の投影面積を有する孔部、10000μm2より大きく且つ50000μm2以下の投影面積を有する孔部、及び、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の投影面積を有する孔部であるというものである。
【0010】
上記の多孔質金属体では、前記七種類の孔部のうち、最も個数が少ない前記孔部の個数である最少個数に対する、最も個数が多い前記孔部の個数である最多個数の比(最多個数/最少個数)が、2.0~12.0であることが好ましい。
【0011】
また、上記の多孔質金属体では、平面視の視野が3000μm×2210μmである観察領域内で、前記七種類の孔部の総個数が100個~450個であり、前記観察領域内に占める前記七種類の孔部の総投影面積の割合が、25%~45%であることが好ましい。
【0012】
上記の多孔質金属体は、前記チタン含有繊維を覆う酸化被膜層を有することができる。該酸化被膜層により、様々な色彩を表現できる。
【0013】
上記の多孔質金属体は、当該多孔質金属体に向けて光を照射した状態で撮影された当該多孔質金属体の画像で、各ピクセルの輝度Vを、RGBカラーモデルに基づいて、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により算出したとき、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル、及び輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセルがいずれも存在し、各範囲の前記ピクセルのそれぞれのピクセル数の割合のうち、最もピクセル数の割合が大きい最大割合と、最もピクセル数の割合が小さい最小割合との差が、8%~40%であることが好適である。
【0014】
この場合、前記最大割合は40%以下であることが好ましい。
【0015】
なお、上記の多孔質金属体は、厚みが0.1mm~0.4mmであるシート状をなすものとすることができる。
【0016】
上記の多孔質金属体は、たとえば、照明装飾具に用いられ得るものである。
【0017】
この発明の照明装飾具は、上記のいずれかの多孔質金属体を備えるものである。
【0018】
この発明の照明機器は、上記の照明装飾具と、光源とを備えるものである。
【0019】
この発明の多孔質金属体の製造方法は、異なる向きで互いに結合した複数本のチタン含有繊維、及び、前記チタン含有繊維間に区画された複数個の孔部を有する多孔質金属体を製造する方法であって、複数本のチタン含有繊維を堆積させる繊維堆積工程と、前記繊維堆積工程で堆積させたチタン含有繊維を焼結により互いに結合させて、前記チタン含有繊維の焼結体を得る焼結工程と、前記焼結体の厚み及び孔部の投影面積を確認し、当該厚みが狙いの厚みの±30%以内であり且つ当該投影面積が200000μm2より大きい孔部が無い焼結体を、多孔質金属体とする検品工程とを含むものである。
【0020】
上述した多孔質金属体の製造方法は、前記焼結工程の後に、前記焼結体に対してプレス加工又はロール圧延を施す厚み調整工程をさらに含むことがある。
【0021】
また、上述した多孔質金属体の製造方法は、前記焼結工程の後、前記焼結体の前記チタン含有繊維に対して酸化処理を施す酸化工程をさらに含むことがある。
【0022】
上述した多孔質金属体の製造方法では、前記繊維堆積工程で、横断面形状が多角形状である前記チタン含有繊維を用いることが好ましい。
【0023】
上述した多孔質金属体の製造方法では、前記繊維堆積工程で、1~9mmの長さを有するチタン含有繊維を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、多孔質金属体は、光が照射された際に独特な視覚的印象を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の一の実施形態の多孔質金属体を示す斜視図である。
図2図1の多孔質金属体の一部を拡大して示す模式的な平面図である。
図3】多孔質金属体の孔部の投影面積の測定方法を示すものであり、図3(a)は多孔質金属体のSEM画像、図3(b)は当該SEM画像の明るさを最大にした画像、図3(c)はさらに当該画像に輝度エリア抽出のヒストグラム抽出を使用した画像、図3(d)は孔部の投影面積を算出した画像である。
図4図1の多孔質金属体を含む照明装飾具を示す斜視図である。
図5図5(a)は多孔質金属体について輝度の算出に用いる画像の取得方法を示す概略図、図5(b)は図5(a)のb-b線に沿う拡大断面図である。
図6】実施例1の多孔質金属体のSEM写真である。
図7】実施例1の多孔質金属体について所定の範囲の投影面積を有する孔部の個数分布を示すグラフである。
図8図8(a)は比較例1の和紙の明るさを最大にしたSEM画像、図8(b)は比較例2の和紙の明るさを最大にしたSEM画像、図8(c)は比較例3のステンレスメッシュの明るさを最大にしたSEM画像、図8(d)は比較例4のステンレスメッシュの明るさを最大にしたSEM画像である。
図9図9(a)は光照射時の実施例1の多孔質金属体を示す写真、図9(b)は光照射時の実施例2の多孔質金属体を示す写真、図9(c)は光照射時の実施例3の多孔質金属体を示す写真、図9(d)は光照射時の実施例4の多孔質金属体を示す写真、図9(e)は画像解析の対象領域を示す図である。
図10図10(a)は光照射時の比較例1の和紙を示す写真、図10(b)は光照射時の比較例2の和紙を示す写真、図10(c)は光照射時の比較例3のステンレスメッシュを示す写真、図10(d)は光照射時の比較例4のステンレスメッシュを示す写真、図10(e)は光照射時の比較例5のセロハンを示す写真、図10(f)は光照射時の比較例6のセロハンを示す写真である。
図11図11(a)は光照射時の実施例1の多孔質金属体での輝度の分布を示すグラフ、図11(b)は光照射時の実施例2の多孔質金属体での輝度の分布を示すグラフ、図11(c)は光照射時の実施例3の多孔質金属体での輝度の分布を示すグラフ、図11(d)は光照射時の実施例4の多孔質金属体での輝度の分布を示すグラフである。
図12図12(a)は光照射時の比較例1の和紙での輝度の分布を示すグラフ、図12(b)は光照射時の比較例2での和紙の輝度の分布を示すグラフ、図12(c)は光照射時の比較例3のステンレスメッシュでの輝度の分布を示すグラフ、図12(d)は光照射時の比較例4のステンレスメッシュでの輝度の分布を示すグラフ、図12(e)は光照射時の比較例5のセロハンでの輝度の分布を示すグラフ、図12(f)は光照射時の比較例6のセロハンでの輝度の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に、この発明の一の実施形態の多孔質金属体1を示す。多孔質金属体1は、たとえば、所定の厚みのシート状ないし、平板その他の板状等をなす。多孔質金属体1は、図2に部分拡大平面図で例示するように複数個の孔部3を有するが、多孔質金属体1の外縁に基づいて、全体としてシート状等の形状をなすものであることが把握できる。より詳細には、多孔質金属体1は、異なる向きで互いに結合した複数本のチタン含有繊維2と、チタン含有繊維2間に区画されてシートの厚み方向に貫通する複数個の孔部3とを有し、いわゆる三次元網目構造のような構造を備えるものである。なお、上記の「異なる向き」とは平面視においてチタン含有繊維2の長さ方向が異なる方向を向いていることを意味する。多孔質金属体1は厚みを有し、実際には平面上の方向のみならず厚み方向においてもチタン含有繊維2の方向を概念することが可能であるが、本実施形態では平面視において異なる向きのチタン含有繊維2どうしが焼結などにより結合していることを確認できればよい。また、図4のように多孔質金属体1が筒状に形成されている場合は図1のようにシート状に展開してチタン含有繊維2の方向や孔部の投影面積を確認できる。
【0027】
なおここで、チタン含有繊維2はその材質として、チタンを含有するものであれば種々のものを用いることができる。具体的には、JIS H 460:2012の純チタン1~4種、チタン合金は、Fe、Sn、Cr、Al、V、Mn、Zr、Mo等の金属との合金であり、具体例としては、Ti-6-4(Ti-6Al-4V)、Ti-5Al-2.5Sn、Ti-8-1-1(Ti-8Al-1Mo-1V)、Ti-6-2-4-2(Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo-0.1Si)、Ti-6-6-2(Ti-6Al-6V-2Sn-0.7Fe-0.7Cu)、Ti-6-2-4-6(Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Mo)、SP700(Ti-4.5Al-3V-2Fe-2Mo)、Ti-17(Ti-5Al-2Sn-2Zr-4Mo-4Cr)、β-CEZ(Ti-5Al-2Sn-4Zr-4Mo-2Cr-1Fe)、TIMETAL555、Ti-5553(Ti-5Al-5Mo-5V-3Cr-0.5Fe)、TIMETAL21S(Ti-15Mo-2.7Nb-3Al-0.2Si)、TIMETAL LCB(Ti-4.5Fe-6.8Mo-1.5Al)、10-2-3(Ti-10V-2Fe-3Al)、Beta C(Ti-3Al-8V-6Cr-4Mo-4Cr)、Ti-8823(Ti-8Mo-8V-2Fe-3Al)、15-3(Ti-15V-3Cr-3Al-3Sn)、BetaIII(Ti-11.5Mo-6Zr-4.5Sn)、Ti-13V-11Cr-3Al等のチタン合金を挙げることができる。チタン含有繊維2はその材質として、JIS H 460:2012の純チタン1~4種としてよく、同純チタン1~2種としてよい。
【0028】
図示の多孔質金属体1は、図2に例示するところから解かるように、複数本のチタン含有繊維2が不規則に異なる向きで配置されていることにより、それらのチタン含有繊維2で区画される複数個の孔部3が、不均一で大小様々な大きさ及び形状のものになっている。多くの場合、多孔質金属体1中のチタン含有繊維2は、ランダムに配向している。これに基づき、多孔質金属体1は、例えば平面視において様々な形状、様々な大きさの孔部3を備える。すなわち、多くの場合、多孔質金属体1に形成される孔部3の平面視における形状および大きさはランダムとなる。
【0029】
そしてここでは、孔部3は、大きさの異なる少なくとも七種類の孔部3を含むものとする。具体的には、七種類の孔部3とは、50μm2より大きく且つ100μm2以下の投影面積を有する孔部3、100μm2より大きく且つ500μm2以下の投影面積を有する孔部3、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の投影面積を有する孔部3、1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の投影面積を有する孔部3、5000μm2より大きく且つ10000μm2以下の投影面積を有する孔部3、10000μm2より大きく且つ50000μm2以下の投影面積を有する孔部3、及び、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の投影面積を有する孔部3を意味する。多孔質金属体1は典型的には、投影面積が200000μm2より大きい孔部が存在しない。
【0030】
このような大きさが比較的広範囲にわたる少なくとも七種類の孔部3が含まれることにより、多孔質金属体1に光が照射された場合に、当該光が、かかる七種類の孔部3を区画するチタン含有繊維2で特有の態様で反射される。規則性の無い配置のチタン含有繊維2であれば、その傾向が顕著になる。その結果として、光が照射された際に独特な視覚的印象を与えることができる。
【0031】
孔部3の投影面積は、シート状の多孔質金属体1について、その厚み方向に沿って平面上に影を映した場合に、その投影面で孔部3に対応する箇所の面積を意味し、次のようにして求める。まず、走査電子顕微鏡(SEM)により多孔質金属体1を撮影し、図3(a)に示すような倍率100倍、視野3000μm×2210μm(面積:6630000μm2)のSEM画像(明るさ70程度)を得る。次いで、SEM画像の明るさを255(最大)まで上げる変換の処理を行い、図3(b)に示すような画像を得る。その後、輝度120以下の箇所を白色、輝度120より大きい箇所を黒色とする。このような輝度レンジが0~120である輝度エリア抽出のヒストグラム抽出機能を使用した処理を行う。これによりチタン含有繊維は黒色で表現され、孔部は白色で表現される。SEM画像にはバックグラウンドも入り込んでいるため、バックグラウンド由来のノイズ除去を行うことが好ましい。例えば、孔部の中に黒色のまだら模様が残ることがあるので、このような場合には、明らかにチタン含有繊維2でない微小な黒色ピクセル群(例えば1000ピクセル以下のサイズのもの)を白色ピクセルに変換してノイズを除去する。さらに、明らかにチタン含有繊維2と思われる領域に意図せず白色のピクセル群(例えば500ピクセル以下のサイズのもの)が入り込むこともあり得る。そのような場合は該白色ピクセルを黒色ピクセルに変換してノイズを除去する。以上のような処理により、図3(c)に示すような画像を得る。孔部3に対応する箇所(図3(c)の白色の箇所)のそれぞれの面積を、図3(d)に示すように画像解析により算出する。なおここでは、画像の周囲(最も端)に一部が位置する孔部3もそれぞれ、一個の孔部3とみなす。
なお、多孔質金属体1の視野3000μm×2210μm中に存在する孔部の総個数や孔部の総投影面積の割合を求める場合は、このような画像解析を、多孔質金属体1の異なる五視野について行い、それにより算出された値の平均値を、孔部の総個数または孔部の総投影面積の割合とする。
【0032】
多孔質金属体1は、投影面積が、50μm2より大きく且つ100μm2以下の範囲、100μm2より大きく且つ500μm2以下の範囲、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の範囲、孔面積が1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の範囲、5000μm2より大きく且つ10000μm2以下の範囲、10000μm2より大きく且つ50000μm2以下、及び、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の範囲である七つの各範囲に含まれる七種類の孔部3が存在するものであればよい。すなわち、投影面積について上述した七つの範囲の全てに、それぞれの該範囲に含まれる孔部3が一つでも存在することにより、先述した独特な視覚的印象を与える効果を奏することができる。ここでいう七種類の孔部3の「種類」とは、単に投影面積の大きさのみについて共通するものを分類するための用語として用いており、形状等については問わないものとする。
【0033】
上記のようにして算出した各孔部3の投影面積より、先述した七つの範囲のそれぞれに入る孔部3の個数をそれぞれ求めることができる。この場合、七種類の孔部3のうち、最も個数が少ない孔部3の個数である最少個数に対する、最も個数が多い孔部3の個数である最多個数の比(最多個数/最少個数)は、2.0~12.0であることが好ましい。たとえば、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の孔部3の個数が最も多く、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の孔部3の個数が最も少ない場合、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の孔部3の個数を最多個数とし、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の孔部3の個数を最少個数として、最少個数に対する最多個数の比が2.0~12.0になることが好適である。最少個数に対する最多個数の比が2.0~12.0であった場合は、その範囲を外れる場合に比して、他の金属材料からなるものやセロハン等に光を当てたときとは異なる独特の視覚的印象をより明確に与えることができる。このような観点から、最少個数に対する最多個数の比は、4.0~10.0であることがより一層好ましい。最少個数に対する最多個数の比は、5.0~8.0であることがより一層好ましい。なお、横軸を上述した七つの投影面積を含むものとし、縦軸を孔部3の個数としたグラフを作成すれば、孔部3の投影面積の分布を把握することができる。
【0034】
また、多孔質金属体1の平面視で、視野3000μm×2210μm、すなわち面積が6630000μm2である観察領域を設定したとき、その観察領域内に存在する上述した七種類の孔部3のそれぞれの個数の合計である孔部3の総個数は、好ましくは100個~450個、より好ましくは200個~400個である。また、上記の観察領域内に占める七種類の孔部3のそれぞれの投影面積の合計である孔部3の総投影面積の割合、すなわち、観察領域の面積に対する総投影面積の割合は、好ましくは25%~45%、より好ましくは30%~40%である。これにより、好適な視覚的印象を達成できる。孔部3の個数を450個以下にすることにより、各孔部3の大きさがある程度確保されるので、和紙のように明るくぼやっとした印象が抑制されて、強弱のある特徴的な光が発揮されやすくなる。孔部3の個数を100個以上とすることにより、ステンレスメッシュのような単調な光になることを抑制することができる。なおここでは、七種類の孔部3以外の孔部3、つまり、投影面積が50μm2以下の孔部3があったとしても、当該孔部3については上記の総個数及び総投影面積の算出に含めない。
上記孔部3の総個数は、より一層好ましくは250個~350個である。
【0035】
ところで、多孔質金属体1は、チタン含有繊維2に対して、後述する酸化工程が行われたこと等により、チタン含有繊維2を覆う酸化被膜層を有することが好ましい。酸化被膜層は、チタン含有繊維2の主としてチタンが酸化された結果として、ルチル型、アナターゼ型等の二酸化チタン(TiO2)その他の酸化チタンが含まれ得る。その他、酸化被膜層は、電解液由来のアニオンや水から選択される少なくとも一種が含まれることもある。
この場合、チタン含有繊維2及び、それを有する多孔質金属体1は、光環境下で、チタン含有繊維2を覆う酸化被膜層により桜色、青色、緑色、橙色又は黄色等といった様々な色を呈することができる。
【0036】
酸化被膜層の厚みは、典型的には0.001μm~1.0μmである。酸化被膜層の厚みをコントロールすることにより、所望の色を実現することができる。酸化被膜層の厚みの測定は、集束イオンビーム(FIB)加工で生成したチタン含有繊維2の断面に対し、STEM-EDX等により行う。
酸化被膜層の厚みは、0.01μm~1.0μmとしてよい。また、0.01μm~0.30μmとしてよい。
【0037】
上述したような多孔質金属体1は、一例として、図4に示すような照明装飾具11に用いることができる。この照明装飾具11は、図1に示すシート状のものをほぼ円筒になるように巻いてシート端部どうしを接触ないし近接させた態様の多孔質金属体1と、その多孔質金属体1の外周側に多孔質金属体1を取り囲んで配置されて、透明もしくは半透明のガラスもしくはプラスチック等の材質からなる円筒容器21とを備えるものである。図4の照明装飾具11では、円筒容器21の底部の下方側に、図5に例示するような、たとえば電源への接続又は電池その他の手段により発光する電球等の光源31が配置される。
【0038】
なおここでは、円筒容器21は、その軸線方向の一端部(図4の下方側の端部)で内側の照明装飾具11を支持する底部21aと、他端部(図4の上方側の端部)に設けられて、該軸線方向に傾斜する平面に沿う傾斜面状の開口端面21bとを有する。但し、円筒容器21は、これに限らず様々な形状とすることができ、また円筒容器21は必ずしも必要ではない。なお、照明装飾具によっては、多孔質金属体1を上記の円筒にロールした態様以外の態様とする場合もある。
【0039】
図4に示す照明装飾具11では、多孔質金属体1は、その下方側の光源31からの光が、先述した大きさの異なる少なくとも七種類の孔部3を区画するチタン含有繊維2の表面にて反射されることにより、多孔質金属体1内で光が広がるような独特の印象を与える輝きを放つ。かかる照明装飾具11、及び、該照明装飾具11と光源31とを備える照明機器は、特に夕方~夜間程度における光量下(暗がり)で好適に使用することができる。
【0040】
図5(a)に示すように、照明装飾具11の円筒容器21の下方側に配置された光源31から、照明装飾具11の多孔質金属体1に向けて光を照射した状態で、多孔質金属体1を含む照明装飾具11の画像を撮影することにより、光源31からの光の反射による多孔質金属体1の明るさを評価することができる。なおここでは、光源31は、図5(b)に示すように、円筒容器21と同程度の外径を有して円筒容器21の下方側に配置される透明な円筒状の外筒32の内側の中央に配置されている。円筒容器21としては、住友化学社製の商品名:スミペックスE(材質:PMMA、厚さ:2mm、全光線透過率:92.6(JIS K7361-1:1997)、屈折率:1.49(JIS K7105:1981))等を用いることができる。
【0041】
そして、カメラ33により、多孔質金属体1を含む照明装飾具11の画像を撮影して取得する。それにより得られた画像について、各ピクセルの輝度Vを、RGBカラーモデルに基づいて、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式により算出する。なお画像は、円筒に巻いた多孔質金属体1の幅方向(図5の左右方向)の中心を画像中心とし、総ピクセル数が718953、縦軸のピクセル数が1101、横軸のピクセル数が653の領域を対象領域とする。
【0042】
この場合、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル、及び、輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセルがいずれも存在することが好適である。さらに、上記の各範囲にあるピクセルのそれぞれのピクセル数の割合(総ピクセル数中における各範囲にあるピクセル数の占める割合の百分率)のうち、最も割合が大きい最大割合と、最も割合が小さい最小割合との差が、8%~40%であることが好ましい。例えば、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル数の割合が最も大きくその値が24%であり、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル数の割合が最も小さくその値が1%である場合、上記最大割合と最小割合との差は23%である。なおここで、より好ましくは、最大割合と最小割合との差は10%~35%、さらに10%~30%である。これにより、陽極酸化後の独特な美観を達成しやすくなる。なお、横軸を上記の輝度Vの各範囲とし、縦軸をピクセル数の割合としたグラフにより、輝度の分布を表すことができる。
上記最大割合と最小割合との差は20%~30%としてよい。
【0043】
またこの場合、最も割合が大きいピクセルの割合である最大割合は、さらに40%以下であることがより一層好ましく、より好ましくは35%以下であることがより一層好ましく、さらに好ましくは30%以下である。最大割合がこのように小さいと、局所的に明るく見える部分が少なく良好な視覚的印象を達成することができる。
【0044】
なお、多孔質金属体1がシート状である場合、そのシート状の多孔質金属体1の厚みは、好ましくは0.1mm~0.4mm、より好ましくは0.1mm~0.3mm、さらに好ましくは0.1mm~0.2mmであることが好ましい。厚みをこのような範囲内とすることにより、光を透過させたときに独特の視覚的印象がより良好に発揮される。多孔質金属体1の厚みは、接触式のプローブにより多孔質金属体1の表面上の9点について厚みを測定し、それらの平均値とする。たとえば、平面形状が矩形のシート状の多孔質金属体1である場合、外縁から長さ方向及び幅方向のそれぞれで等間隔に離れた9点を、測定点とする。
シート状の多孔質金属体1の厚みは0.1mm~0.6mmとしても構わない。
【0045】
多孔質金属体1のポロシティは、たとえば80%~95%とすることができる。ポロシティを求めるには、上記のようにして求めた多孔質金属体1の厚み並びに長さ及び幅の寸法から体積を算出する。次に、当該体積、天秤等で測定した重量から実測密度を求め、この実測密度を真密度(純チタンの場合は4.51g/cm3)で除して、これを百分率で表した相対密度(%)を算出する。ポロシティは、式:ポロシティ(%)=(1-相対密度)×100から求められる。
【0046】
以上に述べたような多孔質金属体1は、たとえば次のようにして製造することができる。
はじめに、複数本のチタン含有繊維2を、たとえば平面上に堆積させる繊維堆積工程を行う。ここで用いるチタン含有繊維2は、たとえば、チタン含有塊ないし板等に対してコイル切削法又はびびり振動切削法等を行うこと等により得ることができる。よって、チタン含有繊維2は折れた形状を有するものや湾曲した形状を有するものが含まれ得る。なお、チタン含有繊維2の長さを測定する場合、後述のとおり直線形状のチタン含有繊維2をピックアップしてそのサイズを求めれば足りる。得られたチタン含有繊維2は、その長手方向に直交する向きの横断面形状が、三本以上の直線で区画される多角形状になることが多く、このような多角形状の横断面形状を有するチタン含有繊維2を用いた場合、製造される多孔質金属体1が光の照射時に、より独特な視覚的印象になるので好ましい。
【0047】
チタン含有繊維2の長さは1mm~9mmとしてよく、1mm~6mmであることが好ましい。製造しようとする多孔質金属体1を独特の視覚的印象が与えられるものとするためである。チタン含有繊維2の長さが短すぎると、多孔質金属体1に形成される孔部3が小さくなりすぎるか、大きくなりすぎるおそれがある。また、チタン含有繊維2の長さが長すぎると、多孔質金属体1でチタン含有繊維2の向きが揃いやすくなる。なお、チタン含有繊維2の直径は、20μm~90μmとすることができる。直径がこの範囲にあるチタン含有繊維2を用いることにより、良好な多孔質金属体1を製造することができる。チタン含有繊維2の長さ及び直径は、光学顕微鏡を用いて測定する。光学顕微鏡では、視野中のチタン含有繊維2で、目視で確認して短辺側で最も太い部分の長さを直径、長辺側で最も長い部分を長さとして定義する。
より具体的な測定方法は、キーエンス製光学顕微鏡VHX-6000で、倍率100倍でランダムに50検体のデータを採取し、その平均値とする。なお、測定の際に、曲がっているサンプルは除外する。
【0048】
繊維堆積工程では、チタン含有粉末ではなくチタン含有繊維2を用いることにより、先述したような大きさの異なる少なくとも七種類の孔部3を有する多孔質金属体1が得られやすくなる。なお、チタン含有粉末を用いた場合は、より均一な機械強度及び空隙の多孔質金属体が製造されるが、このような多孔質金属体は、所定の孔部及び、それによる上述したような独特な視覚的印象が得られにくい。
ここでいうチタン含有繊維2の「繊維」とは、長さ/直径が5以上かつ350以下のものを意味する。
【0049】
チタン含有繊維2の堆積は、たとえば、手作業によりチタン含有繊維2を、平面の上方側から振り落とすことにより行うことができる。これによると、チタン含有繊維2が平面上に、不規則に異なる向きで堆積することになるので好ましい。あるいは、特開2007-262571号に記載されたような装置を用いて、チタン含有繊維2を堆積させてもよい。
【0050】
次いで、繊維堆積工程で堆積させたチタン含有繊維2を焼結により互いに結合させて、チタン含有繊維2の焼結体を得る焼結工程を行う。ここでは、堆積させたチタン含有繊維2を、好ましくは900℃~1200℃、より好ましくは900℃~1100℃に加熱する。また好ましくは、加熱は、10-4Pa~10-2Pa、さらには10-3Pa~10-2Paの真空雰囲気下で行う。あるいは、He又はArガス雰囲気でもよい。なお、所定の厚みになるように、スペーサーを配置して焼結してもよい。
【0051】
その後、必要に応じて、厚み調整工程を行うことができる。厚み調整工程では、上記の焼結体に対してプレス加工又はロール圧延を施して、焼結体の厚みを減少させ、たとえば先述した多孔質金属体1の厚みの範囲内にする。厚み調整工程では、焼結体の厚みが不均一である場合に、その厚みを均一化することができる。これにより、歩留まりを向上できる場合がある。
【0052】
焼結工程の後、又は、厚み調整工程を行った場合は厚み調整工程の後、検品工程で、前記焼結体について、先述した方法により厚み及び孔部3の投影面積を測定する。そして、厚みが狙いの厚みの±30%以内であり且つ当該投影面積が200000μm2より大きい孔部が無い焼結体を、多孔質金属体とする。投影面積が200000μm2より大きい孔部が存在すると、特定部位から漏れる光の量が多く、所望する視覚的印象が得られない。また、厚みが狙いの厚みの±30%を超えると光の通過に過剰の偏りが生じて所望する視覚的印象が得られない。狙いの厚みは、たとえば、0.1mm~0.4mm、より好ましくは0.1mm~0.3mm、さらに好ましくは0.1mm~0.2mmの範囲内とすることができる。
【0053】
場合によっては、焼結工程の後に、焼結体のチタン含有繊維に対して酸化処理を施す酸化工程が行われ得る。酸化工程は、焼結工程の後であれば、焼結工程の後かつ厚み調整工程の前、厚み調整工程の後かつ検品工程の前、又は、検品工程の後のいずれの時期に行ってもよい。
【0054】
酸化工程では、公知の手法にて、所定の電解浴を用いた陽極酸化等により、チタン含有繊維に酸化処理を施すことができる。これにより、チタン含有繊維を覆う酸化被膜層厚を調整し、その酸化被膜層によりチタン含有繊維が所定の色に着色される。ここでは、酸化被膜層の厚みを制御するように電解条件を適宜設定することで、酸化被膜層により覆われたチタン含有繊維が所望の色を呈するものになる。
【0055】
酸化処理の条件は公知のものを適宜採用可能であり特に限定されないが、例えば以下のような酸化処理にて酸化工程を行うことができる。まず、焼結工程を経た焼結体である多孔質金属体を脱脂処理および酸洗処理に供する。脱脂処理は酸化被膜形成時の濡れ性を向上し、色むら抑制するために行う。エタノールやアセトン、アルカリ性溶液を用いて脱脂処理を行うことができる。酸洗処理は表面粗さを均一にする、スマットを除去するために実施する。酸洗処理は1回でもよいし複数回行ってもよい。例えばフッ酸-硝酸混合液やフッ酸-過酸化水素系水溶液を用いて酸洗処理を行うことができる。チタンイオンをキレート化し安定化させることで、より均一な表面を得られることから、フッ酸-過酸化水素系水溶液を用いて酸洗処理を行うことが好ましい。
その後、酸化処理を実施することができる。酸化処理の手順の一例は以下の通りである。非導電性電解槽中(プラスチック製、ガラス製、塩化ビニル製等)に硫酸銅(II)水溶液を注入する。非導電性電解槽内部にステンレスまたはチタン製の陰極を挿入する。多孔質金属体をクリップで挟み込み陽極とし、硫酸銅(II)水溶液に浸漬する。狙いの干渉色が発色する電圧に調整して通電する。電圧の変化によって発色を変化させることが可能である。酸化被膜層形成後は通電を停止し、非導電性電解槽から多孔質金属体を取り出し、水洗する。水洗後、変色防止の目的で適宜表面塗装等をしてもよい。
【実施例
【0056】
次に、この発明の多孔質金属体を試作し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
【0057】
(実施例)
多角形状の横断面形状を有し、長さ:3mm、直径:30μmでJIS規格2種相当のチタン含有繊維2.11gを平面上に堆積させた後、これを1000℃、10-3Pa~10-2Pa範囲内の真空条件下で加圧して焼結させ、シート状の焼結体を得た。その後、シート状の焼結体に対して、最終厚さ0.20mmt狙いの条件でロール圧延を施した。その焼結体を複数作製し、それらの焼結体について検品を行ったところ、不合格と判断されたものは20%であった。
実施例1では、酸化工程を行わず、上述した検品工程で問題がなかった焼結体を多孔質金属体とした。この多孔質金属体の厚みは0.22mm、縦は250mm、横は100mm、ポロシティ(空隙率)は89.5%であった。なお、参考までに、実施例1の多孔質金属体の部分的なSEM写真を図6に示す。
【0058】
実施例1の多孔質金属体について、先述したようにして、孔部の投影面積を算出し、投影面積が所定の範囲にある孔部の個数を求めた。SEMは、キーエンス社製のVHX-D510を用いて、明るさは255段階、255で最大とし、対象視野は3000μm×2210μmとし、5視野観察した。
5視野観察結果の平均値を図7に示す。図7に示すグラフは、横軸を孔部の投影面積の所定の範囲(0μm2より大きく且つ10μm2以下の範囲、10μm2より大きく且つ50μm2以下の範囲、50μm2より大きく且つ100μm2以下の範囲、100μm2より大きく且つ500μm2以下の範囲、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の範囲、1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の範囲、5000μm2より大きく且つ10000μm2以下の範囲、10000μm2より大きく且つ50000μm2以下の範囲、及び、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の範囲)とし、縦軸をそれらの各範囲に入る孔部の個数としたものである。
図7より、実施例1の多孔質金属体は、所定の七種類の孔部が全て存在することが解かる。また、この多孔質金属体の孔部の最多個数/最少個数は、6.4であった。観察領域内に占める前記七種類の孔部の総投影面積の割合は36%であった。前記七種類の孔部の総個数は245個であった。その内訳は、0μm2より大きく且つ10μm2以下の範囲:0個、10μm2より大きく且つ50μm2以下の範囲:0個、50μm2より大きく且つ100μm2以下の範囲:9個、100μm2より大きく且つ500μm2以下の範囲:56個、500μm2より大きく且つ1000μm2以下の範囲:22個、1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の範囲:58個、5000μm2より大きく且つ10000μm2以下の範囲:35個、10000μm2より大きく且つ50000μm2以下の範囲:56個、50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の範囲:9個であった。
【0059】
実施例2は、実施例1と同様のシート状の焼結体に対し、さらに陽極酸化(電解液CuSO4 5wt%、電圧90V)の条件による酸化工程を行って着色し、検品工程で問題がなかったものを、多孔質焼結体(厚み:0.17mm、空隙率:86.5%)とした。実施例3は、酸化工程の条件で電圧を60Vとしたことを除いて実施例2と同様にして、多孔質金属体(厚み:0.22mm、空隙率:89.9%)を得た。実施例4は、酸化工程の条件で電圧を70Vとしたことを除いて実施例2と同様にして、多孔質金属体(厚み:0.19mm、空隙率:90.2%)を得た。実施例2の多孔質焼結体は青色、実施例3の多孔質焼結体は橙色、実施例4の多孔質焼結体は桜色であった。なお、実施例1の多孔質焼結体は銀白色(金属チタン色)である。実施例2~4の多孔質金属体は、孔部の投影面積及び個数が、実施例1のものとほぼ同様であった。
【0060】
(比較例)
比較例1は、厚み:0.17mm、縦:250mm、横:100mmの和紙(阿波和紙、銀和紙、W-16)とした。
比較例2は、厚み:0.16mm、縦:250mm、横:100mmの和紙(阿波和紙、雁皮紙(手漉き))とした。
【0061】
比較例3は、メッシュ状のステンレスメッシュ(ステンレスメッシュ40)とし、厚み:0.39mm、縦:250mm、横:100mm、開き目:0.425mm、空間率:42%、線径:190μm、空隙率:73.4%である。
比較例4は、メッシュ状のステンレスメッシュ(ステンレスメッシュ80)とし、厚み:0.27mm、縦:250mm、横:100mm、開き目:0.18mm、空間率:31%、線径:120μm、空隙率:53.7%である。
なお、上記の空間率は、:((開き目)×(開き目))÷((開き目+線径)×(開き目+線径))×100により求めた値である。
比較例1~4の和紙及びステンレスメッシュの各SEM画像で明るさを最大(255)にしたものを図8に示す。なお、和紙はチャージアップ防止(導電性確保)のためにPt蒸着を行ってからSEM画像を得た。
【0062】
比較例5は、厚み0.02mm、縦250mm、横100mmのオレンジ色のセロハンとした。
比較例6は、厚み0.02mm、縦250mm、横100mmの青色のセロハンとした。
【0063】
実施例1と同様の手法にて孔部の投影面積を求めた(5視野の平均値)。その結果は次のとおりである。
比較例1の和紙は50000μm2より大きく且つ200000μm2以下の孔部が存在しなかった。なお、比較例1の孔部の最多個数/最少個数は24.5であった。
比較例2の和紙は1000μm2より大きい、すなわち1000μm2より大きく且つ200000μm2以下の範囲において孔部が存在しなかった。
比較例3のステンレスメッシュは1000μm2より大きく且つ5000μm2以下の範囲、及び、10000μm2より大きく且つ50000μm2以下の範囲の孔部のみが存在した。
比較例4のステンレスメッシュは5000μm2より大きい、すなわち5000μm2より大きい範囲の孔部のみが存在した。なお、比較例4のステンレスメッシュはメッシュサイズが大きいため、300000μm2以上の孔部が多数存在した。
なお、比較例5~6は孔部が存在しない。
【0064】
(評価)
実施例1~4及び比較例1~6のそれぞれを用いて、図4~5に示すような円筒容器を有する照明装飾具を作製し、円筒容器の底部の下方側に配置した光源の電球から、図9及び図10に示すように光を照射させ、暗室内で画像を撮影した。ここで、カメラ:ソニー社製のα200、シャッター速度:0.8s、しぼり:9.0、カメラレンズと電球との距離:30cm、アクリルの種類:スミペックスE押出材(組成:PMMA、厚さ:2mm、全光線透過率:92.6(JIS K7361-1:1997)、屈折率:1.49(JIS K7105:1981))、LED電球の種類:放熱基板付3W白色パワーLEDとした。LED電球の仕様は、標準電流(IF):70mA、順方向電圧降下(VF):3.5-4.5V、全光束:180-200lm、色温度(CCT):6500K、色度座標:x=0.31、y=0.33、PD:3150mWである。
それらの各画像について画像解析を行い、ピクセルの輝度の分布を求めたところ、図11及び図12に示す結果を得た。画像解析では、図9(e)に四角の枠で示す領域内の718953(縦軸のピクセル数が1101、横軸のピクセル数が653)ピクセルを対象とし、輝度は、V=0.299×R+0.587×G+0.114×Bで算出した。なお、ここで、(R,G,B)は、0~255の値をとる。
【0065】
図9(a)~(d)から、実施例1~4の多孔質金属体では、光の照射時に、ある種柔らかな印象を与えるように輝くことが解かる。これは、多孔質金属体が有する様々な大きさの孔部を区画するチタン含有繊維で光が反射することによるものと考えられる。また、実施例1~4の多孔質金属体は、かかる孔部を光が通過するので、図10(a)及び(b)に示す比較例1及び2の和紙と比較して、適切な強さの光の強度が得られている。
図10(a)~図10(b)に示す比較例1~2の和紙では、全体に渡り光の強弱がない。言いかえれば、輪郭がなくぼやけた照明であった。
図10(c)~(d)に示す比較例3及び4のステンレスメッシュでは、下方側の光源付近は特に強く輝いているのに対し、光源から離れた上方側の部分は輝きが弱くなった。一方、実施例1~4の多孔質金属体では、比較例3及び4のステンレスメッシュに比して、光源から離れた上方側の部分まで光が分散されて良好な輝きを放っている。
また、実施例1~4の多孔質金属体では、図10(e)~(f)に示す比較例5及び6のセロハンよりも、微小な各点の輝きがあり独特の視覚的印象を醸し出しているといえる。
【0066】
図11(a)~(d)より、実施例1~4はいずれも、比較的広範囲の輝度においてピクセルが存在することが解かる。
実施例1は、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル数の割合:存在するが0.1%未満、輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル数の割合:存在するが0.1%未満、輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル数の割合:0.6%、輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル数の割合:2.1%、輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル数の割合:5.8%、輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル数の割合:11.7%、輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル数の割合:20.0%、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル数の割合:35.0%、輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセル数の割合:24.8%であった。
実施例2は、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル数の割合:1.4%、輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル数の割合:4.2%、輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル数の割合:7.6%、輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル数の割合:10.8%、輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル数の割合:12.8%、輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル数の割合:13.9%、輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル数の割合:17.1%、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル数の割合:27.6%、輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセル数の割合:4.6%であった。
実施例3は、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル数の割合:1.4%、輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル数の割合:3.9%、輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル数の割合:7.2%、輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル数の割合:10.8%、輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル数の割合:13.9%、輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル数の割合:15.1%、輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル数の割合:16.3%、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル数の割合:24.9%、輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセル数の割合:6.5%であった。
実施例4は、輝度Vが50より大きく且つ75以下の範囲にあるピクセル数の割合:7.7%、輝度Vが75より大きく且つ100以下の範囲にあるピクセル数の割合:10.6%、輝度Vが100より大きく且つ125以下の範囲にあるピクセル数の割合:12.4%、輝度Vが125より大きく且つ150以下の範囲にあるピクセル数の割合:12.9%、輝度Vが150より大きく且つ175以下の範囲にあるピクセル数の割合:12.6%、輝度Vが175より大きく且つ200以下の範囲にあるピクセル数の割合:12.2%、輝度Vが200より大きく且つ225以下の範囲にあるピクセル数の割合:11.6%、輝度Vが225より大きく且つ250以下の範囲にあるピクセル数の割合:13.4%、輝度Vが250より大きく且つ275以下の範囲にあるピクセル数の割合:1.4%であった。なお、実施例4は輝度Vが50以下のピクセルの割合が5.2%であった。
【0067】
なお、輝度が各範囲のピクセルのピクセル数の割合のうち、最大割合は、実施例1で35.0%、実施例2で27.6%、実施例3で24.9%、実施例4で13.4%であった。
また、最大のピクセル割合と最小のピクセル割合の差は、実施例1が35.0%、実施例2が26.2%、実施例3が23.5%、実施例4が12.0%であった。
酸化工程を経た実施例2~4では、実施例1と比較して、輝度の分布がなだらかに変化した。このように、酸化工程によって酸化被膜層を形成することで、チタン含有繊維の有する独特の視覚的印象を際立たせることが可能である。
【0068】
比較例1~6では、全体的または局所的に明るく見えてしまう部分が目立ち、所望する視覚的印象からは程遠いものであった。ピクセル数の最大割合は、比較例1で100%、比較例2で100%、比較例3で28.0%、比較例4で53.1%、比較例5で41.8%、比較例6で31.5%であった。
なお、ステンレスメッシュを使用した比較例3~4では輝度Vが125以下のピクセル数が少なすぎる。セロハンを使用した比較例5~6は微量の範囲が多数存在するものの広い輝度範囲でピクセルが存在する。しかし、多孔体でないことおよび金属材料を使用していないことから光がセロハンをほぼ均等に透過させてしまうと考えられ、柔らかな印象を与えるように輝くという所望する視覚的印象を実現できていない。
【符号の説明】
【0069】
1 多孔質金属体
2 チタン含有繊維
3 孔部
11 照明装飾具
21 円筒容器
21a 底部
21b 開口端面
31 光源
32 外筒
33 カメラ
Tp 厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
図12