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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】窒化ホウ素粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/064 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
C01B21/064 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021562574
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043468
(87)【国際公開番号】W WO2021111910
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2019221273
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 建治
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-038163(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107161960(CN,A)
【文献】特開2010-180066(JP,A)
【文献】特開2019-085446(JP,A)
【文献】特表2016-531972(JP,A)
【文献】米国特許第03469941(US,A)
【文献】TANG, C. et al.,Synthetic Routes and Formation Mechanisms of Spherical Boron Nitride Nanoparticles,Advanced Functional Materials,2008年10月30日,Vol.18,pp.3653-3661,DOI: 10.1002/adfm.200800493
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/064
C04B 35/583 - 35/5835
C08L 101/00
C08K 3/38
CAplus/REGISTRY(STN)
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ酸エステルを含む第1のガスと、アンモニアを含む第2のガスとを、筒状の反応器の一端面からそれぞれ別個に反応器内に導入し、前記反応器内において、前記ホウ酸エステル及び前記アンモニアを750℃以上で反応させて窒化ホウ素粒子の前駆体を得る反応工程と、
前記窒化ホウ素粒子の前駆体を1000℃以上で加熱して窒化ホウ素粒子を得る加熱工程と、
を備える窒化ホウ素粒子の製造方法であって、
前記反応工程において、前記第1のガスを2つ以上の導入口から前記反応器内に導入すると共に、前記第2のガスを2つ以上の導入口から前記反応器内に導入する、製造方法。
【請求項2】
前記2つ以上の導入口から導入される前記第1のガスのうち、少なくとも1つの導入口から導入される前記第1のガスが、その導入方向の延長線上に前記反応器の側面が位置するように導入される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記2つ以上の導入口から導入される前記第2のガスのうち、少なくとも1つの導入口から導入される前記第2のガスが、その導入方向の延長線上に前記反応器の側面が位置するように導入される、請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ホウ素粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ、サイリスタ、CPU等の電子部品においては、使用時に発生する熱を効率良く放熱することが重要な問題となっている。そのため、このような電子部品と共に、高い熱伝導性を有する放熱部材が用いられる。一方、窒化ホウ素粒子は、高熱伝導性及び高絶縁性を有しているため、放熱部材における充填材として幅広く利用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、高い熱伝導性を示しパワー半導体デバイスなどで必要とされる放熱シートに非常に有用な窒化ホウ素凝集粒子組成物として、平均粒子径(D50)が1μm~200μmの窒化ホウ素凝集粒子の組成物であって、所定の条件を満たすことを特徴とする窒化ホウ素凝集粒子組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-036190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電子部品を搭載したデバイスでは、信号の高速伝送化や大容量化が進んでいるため、放熱部材にもそれに寄与するような特性が求められている。具体的には、低誘電率かつ低誘電正接の放熱部材が望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、低誘電率かつ低誘電正接の放熱部材を実現できる窒化ホウ素粒子を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが検討したところ、ホウ酸エステル及びアンモニアから窒化ホウ素粒子を得る製造方法において、低誘電率かつ低誘電正接の放熱部材を実現できる窒化ホウ素粒子を得るためには、ホウ酸エステルを含むガス及びアンモニアを含むガスの反応器への導入方法が重要であることが見出された。
【0008】
本発明の一側面は、ホウ酸エステルを含む第1のガスと、アンモニアを含む第2のガスとを、筒状の反応器の一端面からそれぞれ別個に反応器内に導入し、反応器内において、ホウ酸エステル及びアンモニアを750℃以上で反応させて窒化ホウ素粒子の前駆体を得る反応工程と、窒化ホウ素粒子の前駆体を1000℃以上で加熱して窒化ホウ素粒子を得る加熱工程と、備える窒化ホウ素粒子の製造方法であって、反応工程において、第1のガスを2つ以上の導入口から反応器内に導入すると共に、第2のガスを2つ以上の導入口から反応器内に導入する、製造方法である。
【0009】
2つ以上の導入口から導入される第1のガスのうち、少なくとも1つの導入口から導入される第1のガスは、その導入方向の延長線上に反応器の側面が位置するように導入されてよい。
【0010】
2つ以上の導入口から導入される第2のガスのうち、少なくとも1つの導入口から導入される第2のガスは、その導入方向の延長線上に反応器の側面が位置するように導入されてよい。
【0011】
本発明の他の一側面は、体積基準の粒度分布において、平均粒子径が1μm以下であり、かつ、10%累積粒子径と100%累積粒子径との差が10μm以下である、窒化ホウ素粒子である。
【0012】
窒化ホウ素粒子の平均円形度は、0.8以上であってよい。
【0013】
本発明の他の一側面は、樹脂と、上記の窒化ホウ素粒子と、を含有する樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低誘電率かつ低誘電正接の放熱部材を実現できる窒化ホウ素粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る窒化ホウ素粒子の製造方法で用いられる反応器の一例を示す斜視図である。
図2】(a)は図1の反応器を第1の導入管側から見た側面図であり、(b)は図1の反応器を第2の導入管側から見た側面図である。
図3】(a)は他の一実施形態における反応器を第1の導入管側から見た側面図であり、(b)は他の一実施形態における反応器を第2の導入管側から見た側面図である。
図4】(a)は比較例1における反応器を第1の導入管側から見た側面図であり、(b)は比較例2における反応器を第1の導入管側から見た側面図である。
図5】(a)は比較例3における反応器を第2の導入管側から見た側面図であり、(b)は比較例4における反応器を第2の導入管側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態は、ホウ酸エステルとアンモニアとを750℃以上で反応させて窒化ホウ素粒子の前駆体を得る反応工程と、窒化ホウ素粒子の前駆体を1000℃以上で加熱して窒化ホウ素粒子を得る加熱工程と、を備える、窒化ホウ素粒子の製造方法である。
【0017】
反応工程では、ホウ酸エステルを含む第1のガスと、アンモニアを含む第2のガスとをそれぞれ別個に反応器内に導入する。
【0018】
図1は、反応器の一例を示す斜視図である。図1に示すように、反応器1は、例えば、両端がそれぞれ開口している(両端面が開口面である)円筒状となっており、一端面1aと他端面1bとの間に位置する内部空間Sを有している。反応器1の長さは、例えば、1000mm以上であってよく、1600mm以下であってよい。反応器1の内径は、例えば、30mm以上であってよく、100mm以下であってよい。
【0019】
反応器1の両端は、反応器1の外部と内部空間Sとを遮断可能なように(必要に応じて内部空間Sを閉鎖系にできるように)、その両端がそれぞれ保持部材2に保持されている。反応器1は、その両端面1a,1b間の一部(以下「加熱部」という)Hのみを加熱するために、加熱部Hが抵抗加熱炉(図示せず)内に位置するように設置されている。加熱部Hの長さ(反応器1の長手方向の長さ)は、例えば、500mm以上であってよく、900mm以下であってよい。反応器1の加熱部Hが加熱されることにより、加熱部Hにおいて、ホウ酸エステルとアンモニアとが反応する。加熱部Hの温度は、例えば、750℃以上であってよく、1500℃以下であってよい。
【0020】
反応器1の一端面1aには、反応器1の外部から内部空間Sへガスを導入可能なように、第1の導入管3及び第2の導入管4がそれぞれ別個に取り付けられている。図2(a)は、反応器1を第1の導入管3側から見た側面図である。図2(b)は、反応器1を第2の導入管4側から見た側面図である。
【0021】
図1及び図2(a)に示すように、第1の導入管3は、例えば、円筒状の先端が分岐して2つの方向に折れ曲がった形状(Y字状)をしている。第1の導入管3は、反応器1の一端面1aから他端面1bへ延びる延在方向(一端面1aを起点として他端面1bへ向けて延びる延在方向)Dと略平行に延びるように、反応器1の外部から内部空間Sへ導入されると共に、内部空間S内において、一端面1aからの距離が例えば10~40mmの位置で2つの折り曲げ方向d11,d12へ向かって折れ曲がって延びている。第1の導入管3の各折り曲げ方向d11,d12の先端面は開口しており、第1のガスを導入するための導入口3a,3bとなっている。すなわち、第1の導入管3は、2つの導入口3a,3bを有している。
【0022】
第1の導入管3の一方の折り曲げ方向d11と反応器1の延在方向Dとのなす角度はθ11となっており、第1の導入管3の他方の折り曲げ方向d12と反応器1の延在方向Dとのなす角度はθ12となっている。第1の導入管3の折り曲げ方向d11,d12は、それぞれ第1の導入管3の導入口3a,3b(先端面)に垂直な方向として定義される。
【0023】
図1及び図2(b)に示すように、第2の導入管4は、例えば、円筒状の先端が分岐して2つの方向に折れ曲がった形状(Y字状)をしている。第2の導入管4は、反応器1の一端面1aから他端面1bへ延びる延在方向(一端面1aを起点として他端面1bへ向けて延びる延在方向)Dと略平行に延びるように、反応器1の外部から内部空間Sへ導入されると共に、内部空間S内において、一端面1aからの距離が例えば10~40mmの位置で2つの折り曲げ方向d21,d22へ向かって折れ曲がって延びている。第2の導入管4の各折り曲げ方向d21,d22の先端面は開口しており、第1のガスを導入するための導入口4a,4bとなっている。すなわち、第2の導入管4は、2つの導入口4a,4bを有している。
【0024】
第2の導入管4の一方の折り曲げ方向d21と反応器1の延在方向Dとのなす角度はθ21となっており、他方の折り曲げ方向d22と反応器1の延在方向Dとのなす角度はθ22となっている。第2の導入管4の折り曲げ方向d21,d22は、それぞれ第2の導入管4の導入口4a,4b(先端面)に垂直な方向として定義される。
【0025】
反応工程では、ホウ酸エステルを含む第1のガスが、第1の導入管3を通じて、第1の導入管3の2つの導入口3a,3bのそれぞれから、反応器1の内部空間Sへ導入される。また、第1のガスとは別個に、アンモニアを含む第2のガスが、第2の導入管4を通じて、第2の導入管4の2つの導入口4a,4bのそれぞれから、反応器1の内部空間Sへ導入される。
【0026】
第1のガスは、例えば、不活性ガスを液状のホウ酸エステルに通過させることにより得られる。この場合は、第1のガスは、ホウ酸エステル及び不活性ガスからなるガスである。ホウ酸エステルは、例えばアルキルホウ酸エステルであってよく、好ましくはホウ酸トリメチルである。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス、及び窒素ガスが挙げられる。第2のガスは、例えば、アンモニアからなるガスである。
【0027】
ホウ酸エステルの導入量に対するアンモニアの導入量のモル比(アンモニア/ホウ酸エステル)は、例えば、1以上であってよく、10以下であってよい。
【0028】
反応器1内に導入されたホウ酸エステル及びアンモニアは、加熱された反応器1内で反応し、窒化ホウ素粒子の前駆体(白色粉末)を生成する。生成した窒化ホウ素粒子の前駆体の一部は反応器1内に付着するが、窒化ホウ素粒子の前駆体の多くは、不活性ガスや未反応のアンモニアガスにより、反応器1の他端面1b側に取り付けられた回収容器(図示せず)に送られて回収される。ホウ酸エステルとアンモニアとを反応させる反応時間は、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径を小さくしやすい観点から、好ましくは、30秒間以内である。反応時間は、ホウ酸エステル及びアンモニアが反応器1の加熱部Hにとどまる時間であり、第1のガス及び第2のガスを導入する際のガス流量と、加熱部Hの長さとによって、調整することができる。
【0029】
以上説明した反応工程において、第1の導入管3及び第2の導入管4がそれぞれ2つの導入口を有していることから、第1のガス及び第2のガスがそれぞれ2つの導入口から反応器1内に導入される。この場合、第1のガス及び第2のガスをそれぞれ1つの導入口から反応器内に導入する場合に比べて、第1のガス及び第2のガスが互いに均一に混合しやすく、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径のばらつきが低減されると推察される。そして、粒子径のばらつきが低減された窒化ホウ素粒子を用いると、放熱部材の誘電率及び誘電正接を低くすることができる。
【0030】
上記実施形態においては、上記角度θ11及びθ12は、第1の導入管3の折り曲げ方向d11,d12の延長線上に反応器1の側面(延在方向Dに沿った側面。以下同様。)1cが位置する(第1の導入管3の折り曲げ方向d11,d12の延長線が反応器1の側面1cに交わる)ような角度となっている。同様に、上記角度θ21及びθ22は、第2の導入管4の折り曲げ方向d21,d22の延長線上に反応器1の側面1cが位置する(第2の導入管4の折り曲げ方向d21,d22の延長線が反応器1の側面1cに交わる)ような角度となっている。
【0031】
この場合、第1のガスも、反応器1の延在方向Dとのなす角が上述したような角度θ11及びθ12となる導入方向d11,d12へ導入される。同様に、第2のガスも、反応器1の延在方向Dとのなす角が上述したような角度θ21及びθ22となる導入方向d21,d22へ導入される。つまり、この実施形態では、第1のガスの導入方向d11,d12の延長線上及び第2のガスの導入方向d21,d22の延長線上には、反応器1の側面1cが位置している。なお、第1のガスの導入方向d11,d12は、第1の導入管3の折り曲げ方向d11,d12と同様に、第1の導入管3の導入口3a,3bに垂直な方向として定義される。第2のガスの導入方向d21,d22は、第2の導入管4の折り曲げ方向d21,d22と同様に、第2の導入管4の導入口4a,4bに垂直な方向として定義される。
【0032】
このような実施形態においては、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径のばらつきを更に低減できる。その理由は定かではないが、第1のガス及び第2のガスのそれぞれが、反応器1の側面1cにぶつかりながら、反応器1の延在方向Dに対して角度をもって反応器1内を進むため、例えば、第1のガス及び第2のガスを反応器1の延在方向Dと平行に導入する場合に比べて、第1のガス及び第2のガスが互いにより均一に混合しやすいことが理由であると推察される。そして、粒子径のばらつきが更に低減された窒化ホウ素粒子を用いると、放熱部材の誘電率及び誘電正接を更に低くすることができる。
【0033】
角度θ11、θ12、θ21及びθ22は、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径のばらつきを更に低減できる観点から、それぞれ、好ましくは50°以上、より好ましくは60°以上、更に好ましくは65°以上、特に好ましくは70°以上である。角度θ11、θ12、θ21及びθ22は、それぞれ、90°未満であり、例えば80°以下であってよい。言い換えれば、角度θ11、θ12、θ21及びθ22について、tanθ11、tanθ12、tanθ21及びtanθ22は、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径のばらつきを更に低減できる観点から、それぞれ、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.7以上、更に好ましくは2.1以上、特に好ましくは2.7以上である。tanθ11、tanθ12、tanθ21及びtanθ22は、それぞれ、例えば11.4以下であってよい。
【0034】
第1のガス及び第2のガスの導入方法は、上記実施形態以外の他の実施形態をとり得る。図3(a)は、他の一実施形態における反応器を第1の導入管側から見た側面図であり、図3(b)は、他の一実施形態における反応器を第2の導入管側から見た側面図である。
【0035】
図3(a)に示すように、他の一実施形態では、第1の導入管13の2つの導入口13a,13bから導入される第1のガスのうち、一方の導入口13aから導入される第1のガスのみが、その導入方向d11の延長線上に反応器1の側面1cが位置するように、反応器1の延在方向Dとのなす角度θ11をもって、反応器1内に導入される。このときの角度θ11の好ましい範囲は、上述した角度θ11と同様である。第1の導入管13の他方の導入口13bから導入される第1のガスの導入方向d14は、例えば、反応器1の延在方向Dに略平行な方向(すなわち、第1のガスの導入方向d14と反応器1の延在方向Dとのなす角度が略0°となる方向)であってよい。
【0036】
図3(b)に示すように、他の一実施形態では、第2の導入管14の2つの導入口14a,14bから導入される第2のガスのうち、一方の導入口14aから導入される第2のガスのみが、その導入方向d21の延長線上に反応器1の側面1cが位置するように、反応器1の延在方向Dとのなす角度θ21をもって、反応器1内に導入される。このときの角度θ21の好ましい範囲は、上述した角度θ21と同様である。第2の導入管14の他方の導入口14bから導入される第2のガスの導入方向d24は、例えば、反応器1の延在方向Dに略平行な方向(すなわち、第2のガスの導入方向d24と反応器1の延在方向Dとのなす角度が略0°となる方向)であってよい。
【0037】
このような実施形態においても、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径のばらつきを更に低減できる。ただし、得られる窒化ホウ素粒子の粒子径のばらつきをより低減できる観点から、図2(a)に示す実施形態のように、第1の導入管3の2つの導入口3a,3bから導入される第1のガスの両方が、その導入方向d11,d12の延長線上に反応器1の側面1cが位置するように、反応器1の延在方向Dとのなす角度θ11,θ12をもって、反応器1内に導入されることがより好ましい。同様に、図2(b)に示す実施形態のように、第2の導入管4の2つの導入口4a,4bから導入される第2のガスの両方が、その導入方向d21,d22の延長線上に反応器1の側面1cが位置するように、反応器1の延在方向Dとのなす角度θ21,θ22をもって、反応器1内に導入されることがより好ましい。
【0038】
また、上記の各実施形態では、第1の導入管3(13)の各先端が分岐することにより、2つの導入口3a,3b(13a,13b)が設けられているが、他の一実施形態では、第1の導入管として、別個独立に2つの導入管を反応器1内に挿入し、当該2つの導入管に1つずつ導入口を設けることにより、全体として、2つの導入口から第1のガスを反応器1内に導入してもよい。同様に、上記の各実施形態では、第2の導入管4(14)の各先端が分岐することにより、2つの導入口4a,4b(14a,14b)が設けられているが、他の一実施形態では、第2の導入管として、別個独立に2つの導入管を反応器1内に挿入し、当該2つの導入管に1つずつ導入口を設けることにより、全体として、2つの導入口から第2のガスを反応器1内に導入してもよい。
【0039】
また、上記の各実施形態では、第1のガスを導入するための導入口3a,3b(13a,13b)が2つ設けられているが、第1のガスを導入するための導入口の数は2つ以上であればよく、例えば3つ以上であってもよい。同様に、上記の各実施形態では、第2のガスを導入するための導入口4a,4b(14a,14b)が2つ設けられているが、第2のガスを導入するための導入口の数は2つ以上であればよく、例えば3つ以上であってもよい。これらの場合、3つ以上の導入口から導入される第1のガスのうち、少なくとも1つの導入口から導入される第1のガスが、その導入方向の延長線上に反応器1の側面1cが位置するように導入されることが好ましく、3つ以上の導入口から導入される第2のガスのうち、少なくとも1つの導入口から導入される第2のガスが、その導入方向の延長線上に反応器1の側面1cが位置するように導入されることが好ましい。
【0040】
以上説明した反応工程に続く加熱工程では、反応工程で得られた窒化ホウ素粒子の前駆体を1000℃以上で加熱して窒化ホウ素粒子を得る。加熱工程は、例えば、窒化ホウ素粒子の前駆体を1000~1600℃で加熱して第1の前駆体を得る第1の加熱工程と、第1の前駆体を1000~1600℃で加熱して第2の前駆体を得る第2の加熱工程と、第2の前駆体を1800~2200℃で加熱して窒化ホウ素粒子を得る第3の加熱工程と、を含んでいてよい。この場合、第1の加熱工程の終了後、第2の加熱工程の開始前に、第1の前駆体が置かれる環境温度を常温(10~30℃)まで一旦下げる。他の一実施形態では、加熱工程において、第1の加熱工程を省略して、第2の加熱工程及び第3の加熱工程を行ってもよい。
【0041】
第1の加熱工程では、反応工程で得られた窒化ホウ素粒子の前駆体を、抵抗加熱炉内に設置された別の反応管(例えばアルミナ管)に入れ、窒素ガス及びアンモニアガスをそれぞれ別々に反応管内に導入する。このとき導入するガスは、アンモニアガスのみであってもよい。窒素ガス及びアンモニアガスの流量は、それぞれ、反応時間が所望の値となるように適宜調整されればよい。例えば、窒素ガス及びアンモニアガスの流量が多いほど、反応時間が短くなる。
【0042】
続いて、反応管を1000~1600℃に加熱する。加熱する時間は、例えば、1時間以上であってよく、10時間以下であってよい。これにより、第1の前駆体が得られる。
【0043】
第1の加熱工程が終了した後、抵抗加熱炉の電源を切り、窒素ガス及びアンモニアガスの導入を停止し、反応管内の温度を常温(10~30℃)まで下げた状態で、第1の前駆体を静置する。静置する時間は、例えば、0.5時間以上であってよく、96時間以下であってよい。
【0044】
第2の加熱工程では、窒素ガス及びアンモニアガスを反応管内に再び導入すると共に、反応管を1000~1600℃に再び加熱する。窒素ガス及びアンモニアガスの流量、並びに加熱する時間の例は、第1の加熱工程で説明したものと同様であってよい。第1の加熱工程の条件と第2の加熱工程の条件は、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。これにより、第2の前駆体が得られる。
【0045】
第3の加熱工程では、第2の加熱工程で得られた第2の前駆体を窒化ホウ素製ルツボに入れ、誘導加熱炉において、窒素雰囲気下で1800~2200℃に加熱する。加熱する時間は、例えば、0.5時間以上であってよく、10時間以下であってよい。これにより、窒化ホウ素粒子が得られる。
【0046】
以上説明した製造方法により、体積基準の粒度分布において、平均粒子径が1μm以下であり、かつ、10%累積粒子径と100%累積粒子径との差が10μm以下である、窒化ホウ素粒子が得られる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、体積基準の粒度分布において、平均粒子径が1μm以下であり、かつ、10%累積粒子径(D10)と100%累積粒子径(D100)との差(D100-D10)が10μm以下である、窒化ホウ素粒子である。
【0047】
窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、窒化ホウ素粒子を含む放熱部材(以下、単に「放熱部材」ともいう)の誘電率を低くする観点から、好ましくは、0.9μm以下、0.8μm以下、又は0.7μm以下であってもよい。窒化ホウ素粒子の平均粒子径は、窒化ホウ素粒子と樹脂とを混合した際の粘度増加を抑制できる観点から、好ましくは、0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、又は0.4μm以上であってもよい。
【0048】
窒化ホウ素粒子のD100-D10は、放熱部材の誘電率を低くする観点から、好ましくは、8μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、又は3μm以下であってもよい。窒化ホウ素粒子のD100-D10は、例えば、0.5μm以上、0.8μm以上、又は1μm以上であってもよい。
【0049】
窒化ホウ素粒子の平均粒子径及びD100-D10は、以下の手順により測定される。
窒化ホウ素粒子を分散させる分散媒として蒸留水を用い、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用い、0.125質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を調製する。この水溶液中に0.1g/80mLの比率で窒化ホウ素粒子を加え、超音波ホモジナイザー(例えば、日本精機製作所製、商品名:US-300E)により、AMPLITUDE(振幅)80%にて超音波分散を1分30秒間で1回行うことで、窒化ホウ素粒子の分散液を調製する。この分散液を60rpmで撹拌しながら分取し、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコールター社製、商品名:LS-13 320)により体積基準の粒度分布を測定する。このとき、水の屈折率として1.33を用い、窒化ホウ素粒子の屈折率として1.7を用いる。測定結果から、累積粒度分布の累積値50%の粒径(メジアン径、d50)として平均粒子径を算出すると共に、累積粒度分布の累積値100%の粒子径D100から累積値10%の粒子径D10を差し引いた値として、D100-D10を算出する。
【0050】
窒化ホウ素粒子は、放熱部材を作製する際の充填性を向上させ、放熱部材の特性(熱伝導性、誘電率など)を等方的にする観点から、好ましくは、球状、又は球状に近い形状を有している。同様の観点から、窒化ホウ素粒子の平均円形度は、好ましくは、0.8以上、0.82以上、0.84以上、0.86以上、又は0.88以上であってよい。
【0051】
窒化ホウ素粒子の平均円形度は、以下の手順で測定される。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した窒化ホウ素粒子の像(倍率:10,000倍、画像解像度:1280×1024ピクセル)について、画像解析ソフト(例えば、マウンテック社製、商品名:MacView)を用いた画像解析により、窒化ホウ素粒子の投影面積(S)及び周囲長(L)を算出する。投影面積(S)及び周囲長(L)を用いて、以下に式:
円形度=4πS/L
に従って円形度を求める。任意に選ばれた100個の窒化ホウ素粒子について求めた円形度の平均値を平均円形度と定義する。
【0052】
以上説明した窒化ホウ素粒子は、例えば、放熱部材に好適に用いられる。上記の窒化ホウ素粒子を用いることにより、低誘電率かつ低誘電正接の放熱部材が得られる。窒化ホウ素粒子は、放熱部材に用いられる場合、例えば樹脂と共に混合された樹脂組成物として用いられる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、樹脂と、上記の窒化ホウ素粒子とを含有する樹脂組成物である。
【0053】
上記の窒化ホウ素粒子の含有量は、樹脂組成物の全体積を基準として、樹脂組成物の熱伝導率を向上させ、優れた放熱性能が得られやすい観点から、好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上であり、更に好ましくは50体積%以上であり、成形時に空隙の発生、並びに、絶縁性及び機械強度の低下を抑制できる観点から、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。
【0054】
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン等)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、及びAES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂が挙げられる。
【0055】
樹脂の含有量は、樹脂組成物の全体積を基準として、15体積%以上、20体積%以上、又は30体積%以上であってよく、70体積%以下、60体積%以下、又は50体積%以下であってよい。
【0056】
樹脂組成物は、樹脂を硬化させる硬化剤を更に含有していてよい。硬化剤は、樹脂の種類によって適宜選択される。例えば、樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、フェノールノボラック化合物、酸無水物、アミノ化合物、及びイミダゾール化合物が挙げられる。硬化剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上又は1.0質量部以上であってよく、15質量部以下又は10質量部以下であってよい。
【0057】
樹脂組成物は、上記の窒化ホウ素粒子以外の窒化ホウ素粒子(例えば、鱗片状の一次粒子が凝集してなる塊状窒化ホウ素粒子等の公知の窒化ホウ素粒子)を更に含有してもよい。
【実施例
【0058】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0059】
[実施例1]
以下の手順により、窒化ホウ素粒子を作製した。
まず、反応工程では、抵抗加熱炉内に設置された図1,2に示すような円筒状の反応器(石英管、反応器の長さ:1300mm、反応器の内径:75mm、抵抗加熱炉内に位置する部分の長さ:800mm)を加熱して、1150℃まで昇温した。一方、窒素ガスをホウ酸トリメチルに通過させることにより得た第1のガスを第1の導入管から反応器内に導入した。他方、アンモニアガスを反応器内に直接導入した。
【0060】
第1の導入管としては、反応器の内部空間内において、反応器の一端面からの距離が25mmの位置で、反応器の延在方向とのなす角度がそれぞれθ11及びθ12となる2つの方向へ向かって分岐したものを設けた。言い換えれば、第1の導入ガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角がそれぞれθ11及びθ12となるように、2つの導入口のそれぞれから第1のガスを導入した。第2の導入管としては、反応器の内部空間内において、反応器の一端面からの距離が25mmの位置で、反応器の延在方向とのなす角度がそれぞれθ21及びθ22となる2つの方向へ向かって分岐したものを設けた。言い換えれば、第2の導入ガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角がそれぞれθ21及びθ22となるように、2つの導入口のそれぞれから第2のガスを導入した。なお、θ11、θ12、θ21及びθ22は、それぞれtanθ11、tanθ12、tanθ21及びtanθ22が表1に示す値となるような角度とした。
【0061】
ホウ酸トリメチルの導入量に対するアンモニアの導入量のモル比(アンモニア/ホウ酸トリメチル)は、4.5とした。これにより、ホウ酸トリメチルとアンモニアとを反応させて、窒化ホウ素粒子の前駆体(白色粉末)を得た。なお、反応時間は10秒間とした。
【0062】
続いて、加熱工程では、反応工程で得られた窒化ホウ素粒子の前駆体を、抵抗加熱炉内に設置された別の反応管(アルミナ管)に入れ、窒素ガス及びアンモニアガスをそれぞれ別々に10L/分及び15L/分の流量で反応管内に導入した。そして、反応管を1500℃で2.5時間加熱した。これにより、第1の前駆体を得た(第1の加熱工程)。
【0063】
続いて、抵抗加熱炉の電源を切り、窒素ガス及びアンモニアガスの導入を停止し、反応管内の温度を25℃まで下げた状態で、第1の前駆体を2時間静置した。
【0064】
続いて、第1の加熱工程と同じ条件で窒素ガス及びアンモニアガスの導入及び反応管内の加熱を行った。これにより、第2の前駆体を得た(第2の加熱工程)。
【0065】
続いて、第2の加熱工程で得られた第2の前駆体を窒化ホウ素製ルツボに入れ、誘導加熱炉において、窒素雰囲気下、2000℃で5時間加熱した(第3の加熱工程)。これにより、窒化ホウ素粒子を得た。
【0066】
[実施例2]
第1の導入管及び第2の導入管の構成をそれぞれ図3(a)及び(b)に示すような構成に変更した以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子を作製した。すなわち、2つの導入口のうち一方の導入口から導入される第1のガスのみ、その導入方向の延長線上に反応器の側面が位置するように導入し、他方の導入口から導入される第1のガスについては、反応器の延在方向に平行な方向(第1のガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角度が0°となる方向)に導入した(第2のガスについても同様)。
【0067】
[実施例3]
第1のガスの導入方向及び第2のガスの導入方向を、tanθ11、tanθ12、tanθ21及びtanθ22が表1に示す値となるような角度θ11、θ12、θ21及びθ22にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子を作製した。
【0068】
[比較例1]
第1の導入管の構成を図4(a)(反応器を第1の導入管側から見た側面図)に示すような構成に変更した以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子を作製した。すなわち、第1の導入管として、1つの導入口103aのみを有する第1の導入管103を用い、当該導入口103aから、反応器1の延在方向Dに平行な方向(第1のガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角度が0°となる方向)d101に、反応器1の略中心を進むように、第1のガスを導入した。
【0069】
[比較例2]
第1の導入管の構成を図4(b)(反応器を第1の導入管側から見た側面図)に示すような構成に変更した以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子を作製した。すなわち、第1の導入管として、1つの導入口113aのみを有する第1の導入管113を用い、当該導入口113aから、反応器1の延在方向Dに平行な方向(第1のガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角度が0°となる方向)d111に、反応器1の中心から側面沿いにずれた位置を進むように、第1のガスを導入した。
【0070】
[比較例3]
第2の導入管の構成を図5(a)(反応器を第2の導入管側から見た側面図)に示すような構成に変更した以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子を作製した。すなわち、第2の導入管として、1つの導入口104aのみを有する第2の導入管104を用い、当該導入口104aから、反応器1の延在方向Dに平行な方向(第2のガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角度が0°となる方向)d102に、反応器1の略中心を進むように、第2のガスを導入した。
【0071】
[比較例4]
第2の導入管の構成を図5(b)(反応器を第2の導入管側から見た側面図)に示すような構成に変更した以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粒子を作製した。すなわち、第2の導入管として、1つの導入口114aのみを有する第2の導入管114を用い、当該導入口114aから、反応器1の延在方向Dに平行な方向(第2のガスの導入方向と反応器の延在方向とのなす角度が0°となる方向)d112に、反応器1の中心から側面沿いにずれた位置を進むように、第2のガスを導入した。
【0072】
得られた各窒化ホウ素粒子について、平均粒子径、10%累積粒子径と100%累積粒子径との差(D100-D10)、及び平均円形度を以下の方法によりそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0073】
(平均粒子径及びD100-D10)
窒化ホウ素粒子を分散させる分散媒として蒸留水を用い、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを用い、0.125質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を調製した。この水溶液中に0.1g/80mLの比率で窒化ホウ素粒子を加え、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、商品名:US-300Eを使用)により、AMPLITUDE(振幅)80%にて超音波分散を1分30秒間で1回行うことで、窒化ホウ素粒子の分散液を調製した。この分散液を60rpmで撹拌しながら分取し、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、商品名:LS-13 320)により体積基準の粒度分布を測定した。このとき、水の屈折率として1.33を用い、窒化ホウ素粒子の屈折率として1.7を用いた。測定結果から、累積粒度分布の累積値50%の粒径(メジアン径、d50)として平均粒子径を算出すると共に、累積粒度分布の累積値100%の粒子径D100から累積値10%の粒子径D10を差し引いた値として、D100-D10を算出した。
【0074】
(平均円形度)
まず、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した窒化ホウ素粒子の像(倍率:10,000倍、画像解像度:1280×1024ピクセル)について、画像解析ソフト(例えば、マウンテック社製、商品名:MacView)を用いた画像解析により、窒化ホウ素粒子の投影面積(S)及び周囲長(L)を算出した。次に、投影面積(S)及び周囲長(L)を用いて、以下に式:
円形度=4πS/L
に従って円形度を求めた。任意に選ばれた100個の窒化ホウ素粒子について求めた円形度の平均値を平均円形度として算出した。
【0075】
得られた各窒化ホウ素粒子を用いたときの誘電率及び誘電正接を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
窒化ホウ素粒子が20体積%となる分量で、窒化ホウ素粒子とポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックHY540」)とを混錬し、シート成形を行って、0.2mm厚のシートを得た。混錬及びシート成形は、二軸押し出し機を用い、温度180℃の条件で行った。空洞共振器法の測定装置を用いて、周波数36GHz、温度25℃の条件で得られたシートの測定を行い、シートの誘電率及び誘電正接を求めた。
【0076】
【表1】
【符号の説明】
【0077】
1…反応器、1a…反応器の一端面、1b…反応器の他端面、1c…反応器の側面、2…保持部材、3,13…第1の導入管、3a,3b,13a,13b…第1の導入管の導入口、4,14…第2の導入管、4a,4b,14a,14b…第2の導入管の導入口、D…反応器の延在方向、S…反応器の内部空間、d11,d12,d13,d14…第1のガスの導入方向、d21,d22,d23,d24…第2のガスの導入方向。
図1
図2
図3
図4
図5