(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】スクリュードライバービット並びに締付工具及びこのようなビットを備えたキット
(51)【国際特許分類】
B25B 15/00 20060101AFI20241015BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B25B15/00 620B
B25B21/00 Q
(21)【出願番号】P 2021563693
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2020061287
(87)【国際公開番号】W WO2020216821
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ストゥレソン ヨーナス
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/041825(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0193944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0105983(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B13/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナー頭部
に係合するように構成
された第1の係合構造(11)を備えている第1の末端部分(10)と、反対側の第2の末端部分(20)と、前記第1の末端部分と前記第2の末端部分を接続する中間部分(30)と、を有する本体を備え、前記第2の末端部分は、工具の先端に係合するように構成された第2の係合構造(21)を備え、前記第2の係合構造は、軸方向A-Aに延びる少なくとも1つの突出構造(21a、21b、21c)によって形成される、スクリュードライバービット(1)と、
締付工具であって、前記締付工具に前記ビットをロックするための止めねじ(110)を備えている締付工具と、
を備えたキット(100)であって、
前記止めねじが、前記締付工具の前端(210)
の貫通孔(211)
の対応するねじ山(211a)に係合して前記ビットをロックするねじ山(111)と、第1のタイプの工具先端に係合するように構成された係合手段(112a)を備えている後面(112)とを備え、
前記工具の先端に係合するように構成された前記スクリュードライバービット(1)の前記第2の係合構造(21)が、前記第1のタイプの工具先端に係合するように構成されている、
ことを特徴とするキット(100)。
【請求項2】
前記止めねじの前記後面が、第1のタイプのスクリュードライバー先端と係合するように構成された前記第1のタイプの工具先端と係合するように構成された係合手段を備え、前記工具の先端に係合するように構成された前記スクリュードライバービットの前記第2の係合構造は、前記第1のタイプのスクリュードライバー先端に係合するように構成されている、
請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記
締付工具の前端(210)は、クロウフット延長部である、
請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
ファスナー頭部と係合するように構成された第1の係合構造(11)を含む第1の末端部分(10)と、反対側の第2の末端部分(20)と、前記第1の末端部分と前記第2の末端部分を接続する中間部分(30)と、を有する本体を備え、前記第2の末端部分は、工具の先端に係合するように構成された第2の係合構造(21)を備え、前記第2の係合構造は、軸方向A-Aに延びる少なくとも1つの突出構造(21a、21b、21c)によって形成される、スクリュードライバービット(1)を備えるキットであって、
動力工具のためのクロウフット延長部であって前記クロウフット延長部に前記ビットをロックするための止めねじを備えた動力工具のためのクロウフット延長部が設けられ、前記止めねじが、前記クロウフット延長部の前端で貫通孔
の対応するねじ山と係合して前記ビットをロックするねじ山と、第1のタイプの工具先端と係合するように構成された係合手段を含む後面とを備え、前記工具の先端と係合するように構成された前記スクリュードライバービットの前記第2の係合構造が、前記第1のタイプの工具先端を係合するように構成されている、
ことを特徴とするキット。
【請求項5】
ファスナー頭部を係合するように構成された第1の係合構造(11)を含む第1の末端部分(10)と、
反対側の第2の末端部分(20)と、
前記第1の末端部分と前記第2の末端部分を接続する中間部分(30)と、
を有する本体を備えたスクリュードライバービット(1)の使用方法であって、
前記第2の末端部分は、工具の先端と係合するように構成された第2の係合構造(21)を含み、
前記第2の係合構造は、締付工具であって前記締付工具において前記ビットをロックするための止めねじ(110)を含み、前記止めねじが、前記締付工具の前端(210)で貫通孔(211)
の対応するねじ山(211a)
と係合して前記ビットをロックするねじ山(111)と、第1のタイプの工具先端と係合するように構成された係合手段(112a)を含む後面(112)とを含み、前記工具の先端と係合するように構成された前記スクリュードライバービット(1)の前記第2の係合構造(21)が、前記第1のタイプの工具先端と係合するように構成されている、締付工具において、軸方向A-Aに延びる少なくとも1つの突出構造(21a、21b、21c)によって形成される、
ことを特徴とする使用方法。
【請求項6】
前記工具がクロウフット延長部を含む、請求項5に記載の使用方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの突出構造(21a、21b、21c)は、前記工具の先端を受けるように構成された陥凹部分(22)を少なくとも部分的に取り囲む、
請求項1~4のいずれか1項に記載のキット
または請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突出構造(21a、21b、21c)は、前記工具の先端を受けるように構成された孔を形成する、請求項7に記載のキット又は使用方法。
【請求項9】
前記第2の係合構造は、軸方向に延び且つ円周方向に互いに離間して配置された少なくとも2つの突出部(21a、21b)を含む、
請求項7又は8に記載のキット又は使用方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの突出部は、軸方向に延びるキャストレイテッド突出構造を形成し、前記構造は、円周方向で互いに離間して配置されたスロット(23a、23b)を含む、
請求項9に記載のキット又は使用方法。
【請求項11】
前記キャストレイテッド突出構造は、円周方向で互いに等間隔に配置されたスロットを含む、
請求項
10に記載のキット又は使用方法。
【請求項12】
前記第2の係合構造は、六角形断面を有する工具先端を係合するように構成されている、
請求項1~11の何れか1項に記載のキット又は使用方法。
【請求項13】
前記第2の係合構造は、トルクス、正方形及び三角形を含むグループから選択されたタイプの工具の先端と係合するように構成されている、
請求項1~12の何れか1項に記載のキット又は使用方法。
【請求項14】
前記スクリュードライバービットの全長は、18~50mmの範囲にある、請求項1~13の何れか1項に記載のキット又は使用方法。
【請求項15】
前記第2の係合構造は、
スクリュードライバーの先端と係合するように構成されている、
請求項1~14の何れか1項に記載のキット又は使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ねじを締め付けるための動力工具用のビットに関し、より詳細には、工具の先端を係合するための構造を有するこのような工具のためのスクリュードライバービットに関する。
【背景技術】
【0002】
締め付けるための電動工具が様々な産業で用いられることは周知である。工具とねじなどの締め付けられる要素との間に係合を提供するために、通常は、いわゆるビット(すなわち、スクリュードライバービット)が利用される。例えば、交換可能ビットを用いることができる。
【0003】
これらのビットは、様々な程度で摩耗を生じやすく、ねじに適切な係合を提供するため、及び過度に摩耗したビットが用いられた場合のようにねじに損傷を与えないために、一定の間隔で交換する必要がある。プロセスは時間がかかる場合があることに起因して、及び用途によっては、このような交換を頻繁に、場合によっては極めて重要な継手において締め付け毎に行うことが必要となる場合があることに起因して、このプロセスは、一部の産業では、合計組立時間に極めて大きな影響を与える場合がある。組立ラインに沿った全てのステーションに対する効率及び時間短縮に関する要求が高いことを考慮すると、このような遅延は、組立効率全体にとって大きな問題になる可能性がある。更に、ビットの交換を実行するのに必要とされるステップに応じて、不必要な複雑さが組立プロセスに導入される可能性がある。
【0004】
ビットの交換を迅速で容易にするために、工具オペレータが、例えば、ビットを所定位置に押し込むために工具を振動させること又は他の多少は好適な方法で取り扱うことは、当該技術分野で知られている。しかしながら、工具内にビットを正しく配置するという目標を実際に達成する上であまり効果がないことだけでなく、多くの場合複雑で高度な工具をこのように取り扱うことは、工具及び/又はビットに損傷を与えるリスクが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この理由から、スクリュードライバービットの分野において改善の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、ビットの交換及びこのような交換後の適切な配置が容易にされた動力工具用のビットを提供することが望ましいことになる。詳細には、迅速で好都合な交換を可能にすると同時にワークステーションの複雑さを軽減するこのようなビットを提供することが望ましいことになる。これらの問題の1又は2以上により良好に対処するために、独立クレームにて定められるビット及びキットが提供される。好ましい実施形態は、従属クレームにおいて定められる。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、スクリュードライバービットが提供され、上記ビットは、ファスナー頭部(ねじ頭部などの)を係合するように適合された第1の係合構造を含む第1の末端部分と、反対側の第2の末端部分と、第1の末端部分と第2の末端部分を接続する中間部分と、を有する本体を含み、第2の末端部分は、工具の先端を係合するように適合された第2の係合構造を含み、第2の係合構造は、軸方向A-Aに延びる少なくとも1つの突出構造によって形成される。
【0008】
第1の態様によれば、スクリュードライバービットは、使用時に後方又は上方端部として説明することができ且つ従ってビットがスクリュードライバーに配列されたときに通常はアクセス可能であるビット端部に配列された係合構造又は上面結合手段を組み込んだ設計により上述の問題に対する発明の解決策を提供する。これは、例えば空気圧動力スクリュードライバーの電気装置などのスクリュードライバーの通常の設計が、工具の所定位置にビットを保持するためのいわゆる止めねじ(又はストップねじ)を含む設計であることに起因する。このような工具では、貫通孔は、ビットを「脱落」又は配置することができる工具の前端に設けられ、その後、止めねじが孔に挿入されて貫通孔の壁に(例えば、ねじ山によって)係合し、これによって、止めねじがねじ山を係合してねじの後端に当接するとビットを所定位置にロックし、これにより工具に対するビットの軸方向移動が防止される。更に、このような止めねじは、通常、スクリュードライバー又は同様のものの先端を係合するように適合された構造を後部(又は上端)に含み、その結果、止めねじは、回転によって工具に固定することができるようになる。従って、ビットの交換を実行するオペレータは、通常、適切なスクリュードライバーをすぐ近くに有する必要がある。
【0009】
本発明によるビットは、このスクリュードライバーを係合するように適合することができる第2の端部に構造を備えることによって、この既に存在するスクリュードライバーを巧みに利用する。従って、オペレータは、同じスクリュードライバーを用いて、この係合構造を係合することによって、好都合にビットを所定位置に取り付け、これによって、例えばビットを所定位置に押し込み及び/又はビットを所望の回転位置に回転させることができ、次いで、この作業の後、この場合も同様に同じスクリュードライバーを用いて止めねじの締め付けがなされる。
【0010】
より詳細には、ビットの第2の係合構造の設計は、例えば、オペレータが、両方の作業に対して同じスクリュードライバーを更に好都合に利用することができるように、止めねじの上端又は後端にて係合構造の設計に対応するように設計することができる。
【0011】
このため、独立クレーム1によるビットの本発明の設計は、ビットの交換に費やされる過剰な時間の問題を巧みに解決すると同時に、止めねじを締め付けるために既に必要とされるスクリュードライバーを利用して、交換作業の複雑さ及び全体としてのワークステーションの複雑さを低減する。
【0012】
従って、一実施形態によれば、第2の係合構造は、スクリュードライバーの先端を係合するように適合されている。
【0013】
本発明のビットを配置することができる参照工具は、スクリュードライバーなどの締付工具、例えば空気圧、電気スクリュードライバー、場合によってはバッテリ駆動工具などの動力スクリュードライバーとすることができる。より詳細には、スクリュードライバービットは、上述のようにビットを保持するための止めねじを含む動力スクリュードライバーと共に使用するのに好適とすることができ、ここで1つの実施例は、クロウフット工具、すなわちクロウフット延長部を備えた工具を含む。
【0014】
第2の係合構造は、軸方向に延び、より詳細には上記後部から又は後部に対して延びる少なくとも1つの突出構造によって形成される。例えば、少なくとも1つの突出構造は、後部の実質的に平坦な後面から軸方向に延びることができる。このような表面は、上記軸方向に垂直な表面とすることができる。本明細書全体にわたって一般に、別途指示されていない場合、軸方向とは、スクリュードライバービット本体に沿った方向、すなわちスクリュードライバービットの第1及び第2の末端部分の間に沿った方向と理解すべきである。当業者であれば、当然ながら、このような構造は、凹状構造、すなわち基準面に応じて工具の先端を係合するための凹部として同様に良好に説明できることを理解される。
【0015】
一実施形態によれば、少なくとも1つの突出構造は、工具の先端を受けるように適合された陥凹部分を少なくとも部分的に取り囲む。例えば、周囲の突出構造によって定められた凹部は、上述の係合構造を形成するビットの上面に設けることができ、嵌合突起は、トルクを伝達できるように係合状態にすることができるよう工具先端によって提供することができる。一実施形態によれば、少なくとも1つの突出構造は、工具の先端を受けるように適合された孔を形成する。一実施形態では、このような孔は、六角形断面を有すことができる。他の実施形態では、このような孔は、二重六角形断面を有すことができる。しかしながら、他の何れかの形状も本発明の範囲内で考えられる。
【0016】
一実施形態によれば、第2の係合構造は、軸方向に延び且つ円周方向に互いに離間して配置された少なくとも2つの突出部によって形成され、すなわちこれらを含む。例えば、2又は3以上の舌部又はピン、もしくは同様のものは、軸方向に延びるようにビットの第2の末端部分において何れかの適切なパターンで配列することができる。一部の実施形態では、このような構造は、スロット付き構造によって達成することができる。例えば、第2の係合構造は、中空の軸方向に延びる構造、すなわち凹部を取り囲む突起構造を含むことができ、これを通って半径方向スロットを導入することができ、これにより2又は3以上のセクションが生成される。このような設計は、製造容易性の点で、及びビットに必要となる材料が少なくすることができるという点で有利とすることができる。
【0017】
一実施形態によれば、少なくとも2つの突出部は、軸方向に延びるキャストレイテッド突出構造を形成し、上述の構造は、円周方向で互いに離間して配置されたスロットを含む。本明細書の文脈において、キャストレイテッドとは、実質的に丸みのある、すなわち円筒形の軸方向に突出する構造体、すなわちベース構造と呼ぶことができるものを含む構造体であって、そこに1又は2以上の半径方向スロット又はノッチが導入されて、少なくとも2つの軸方向突出部が形成されることを理解すべきである。従って、この意味においてキャストレイテッドとは、城郭の胸壁の鋸歯状の上部、すなわち中世の城の狭間胸壁と類似していることを意味する。一実施形態によれば、キャストレイテッド突出構造は、円周方向で互いに等間隔に配置されたスロットを含む。
【0018】
一実施形態によれば、第2の係合構造は、六角形断面を有する工具先端を係合するように適合されている。例えば、第2の係合構造は、六角形先端を係合するように適合された、六角形断面又はスロット付き、或いはキャストレイテッド構造を有する孔とすることができる。このような設計は、アレンとしても知られる六角形が、例えば組立ラインで労働者が容易に利用できる通常のスクリュードライバータイプであるという点で有利である。更に、この断面はまた、上述の止めねじの後端上の係合構造に対する通常の選択肢であり、従って、このねじを締め付けるのに用いられるスクリュードライバーの形状でもある。一実施形態では、少なくとも1つの突出部は、二重六角形状、すなわち二重六角形断面を有する。
【0019】
一実施形態によれば、第2の係合構造は、トルクス(登録商標)、正方形及び三角形を含むグループから選択されたタイプの工具の先端を係合するように適合されている。他の実施形態では、第2の係合構造は、スロット、十字形(フィリップスとしても知られる)又は正方形(ロバートソンとしても知られる)などの他の何れかの通常タイプの工具の先端を係合するように適合することができる。一実施形態では、ビットの中間部分は、六角形断面を含む。
【0020】
一実施形態によれば、スクリュードライバービットの全長は、10~50mmの範囲、一部の実施形態では15~25mmの範囲にある。一実施形態によれば、第2の係合構造ビットの長さは、2~5mmの範囲にある。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、上述の実施形態の何れかによるスクリュードライバービットと、締付工具であって該締付工具においてビットをロックするための止めねじを含む締付工具と、を備えたキットが提供され、止めねじは、締付工具の前端で貫通孔において対応するねじ山を係合してビットをロックするねじ山と、第1のタイプの工具先端を係合するように適合された係合手段を含む後面と、を含み、工具の先端を係合するように適合されたスクリュードライバービットの第2の係合構造が、第1のタイプの工具先端を係合するように適合されている。従って、このようなキットでは、止めねじの後面の係合手段及びビットの第2の末端部分の係合手段が一致するように作られ、すなわち、同じサイズ及び形状の工具先端を係合するように適合することができ、その利点が上記で説明されている。後面とは、スクリュードライバービットに面し場合によって当接する止めねじの端部の反対側の端部にある表面であると理解すべきである。
【0022】
第2の態様の一実施形態によれば、第1のタイプの工具先端を係合するように適合された係合手段を含むロックねじの後面は、第1のタイプのスクリュードライバー先端を係合するように適合されており、工具の先端を係合するように適合されたスクリュードライバービットの第2の係合構造は、第1のタイプのスクリュードライバー先端を係合するように適合されている。上記で説明したように、六角形又はアレンのスクリュードライバーは、スクリュードライバーのタイプの可能な選択肢である。
【0023】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によれば、工具の前部は、クロウフット延長部である。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、上述の実施形態の何れかによるスクリュードライバービットと、クロウフット延長部にビットをロックするための止めねじを含む動力工具のためのクロウフット延長部とを含むキットが提供され、止めねじは、クロウフットの前端にある貫通孔において対応するねじ山を係合してビットをロックするねじ山と、第1のタイプの工具先端を係合するように適合された係合手段を含む後面とを含み、工具の先端を係合するように適合されたスクリュードライバービットの第2の係合構造は、第1のタイプの工具先端を係合するように適合されている。
【0025】
本発明の第2及び第3の態様の範囲内で考え得るそれぞれのキットの目的、利点及び特徴は、本発明の第1の態様を参照した上述の議論によって容易に理解される。
【0026】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、図面及び添付の特許請求の範囲を検討すると明らかになるであろう。本発明の様々な特徴を組み合わせて、以下に記載されるもの以外の実施形態を生成できることを当業者であれば理解される。
【0027】
添付図面を参照しながら、本発明を例示的な実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態による例示的なスクリュードライバービットの斜視図である。
【
図2】一実施形態による例示的なスクリュードライバービットの断面図である。
【
図3】例示的な動力工具の前部に配列された止めねじと共に示された一実施形態による例示的なスクリュードライバービットの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
全ての図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明を明瞭にするために必要な部分だけを示しており、他の部分は、省略又は単に提示されている場合がある。
【0030】
例示的なスクリュードライバービット1が
図1に示されており、ビットは、例示の実施例では正方形断面を有するねじ頭部などのファスナー頭部を係合するように適合された第1の係合構造11を含む第1の末端部分10と、反対側の第2の末端部分20と、第1の末端部分10と第2の末端部分20を接続する中間部分30と、を有する本体を備える。このため、第1の末端部分10は、工具に配置されたときに工具から外方に面するビットの部分(すなわち、遠位部分)であるのに対して、第2の末端部分20は、工具に配置されたときに工具から外方に面するビットの部分(すなわち、近位部分)である。
【0031】
第2の末端部分20は、工具の先端を係合する、例示の実施形態ではより詳細にはスクリュードライバーの先端を係合するように適合された第2の係合構造21を含む。
図1から分かるように、この第2の係合構造は、円周方向に互いに離間して配置され、第1及び第2の末端部分10、20の間に定められた軸方向A-Aに延びる3つの突出構造21a-cを含む、又はこれらによって形成される。これらの突出構造21a-cは、スクリュードライバーの先端を受けることができる陥凹部分22を少なくとも部分的に取り囲むものとして説明することができる。
【0032】
より詳細には、例示的な実施形態における3つの突出部21a-cは、軸方向A-Aに延び、ビット1の円周方向で互いに等間隔に配置されたスロット23a-cを含む、キャストレイテッド突出構造21a-cとして説明することができる。
【0033】
突出部21a-cの形状は、六角形断面、すなわち六角形又はアレンキーを有するスクリュードライバー先端が突出部によって交換できるようなものである。従って、それぞれの突出部21a-cの断面は、
図2から分かるように、外側弓形部分24(すなわち、ビット1の第2の末端部分20の円周に対応又はこれに続く)、2つの傾斜部分25a-b、及び直線状の内側部分26を含む。これによって、六角形スクリュードライバー先端の全ての他の縁部は、直線状部分26に当接し係合することができる(スクリュードライバーがビットを適切に位置決めするのに用いたときに)。
【0034】
図示の例示的な実施形態では、スクリュードライバービットの全長は、第1の末端部分10から第2の末端部分20まで約20mmであるのに対して、突出構造21aの軸方向長さは約2mmである。
【0035】
連続的な非スロット付き設計を有する突出構造21aの場合、代りに、工具(この場合、六角形又はアレンタイプのスクリュードライバー)の先端を受けるように適合された孔は、ビットの上端部又は後端部に配置することができる。
【0036】
図3では、スクリュードライバービット1は、締付工具の前部200に配置されて示されており、工具は、ビット1を工具にロックするための止めねじ110(又はロックねじ)を含む。例示的な実施形態では、ビット及びひいては止めねじは、いわゆるクロウフット200に配置され、すなわち、工具の前部200は、クロウフット延長部200である。
【0037】
前端210にあるクロウフット200は、止めねじ110上のねじ山111を係合して、止めねじ110及びひいては使用時に工具の止めねじ110の下方に位置決めされるスクリュードライバービット1をロックするためのねじ山211aを有する貫通孔211を含む。図示の実施形態では、後面112にある止めねじ110は、止めねじ110を締め付けることを可能にするために六角形断面を有し、従ってアレン又は六角形スクリュードライバーを係合するように適合された凹部又は孔112aの形態の係合手段112aを含む。
【0038】
図3のスクリュードライバービットは、
図1及び2に示す実施形態と同じ第2の係合構造21a-cを含み、すなわち、円周方向に互いに離間して配置されて軸方向に延びる3つの突出構造21a-cを有し、ひいては、六角形又はアレンスクリュードライバー先端を係合するように適合されている。より詳細には、係合構造は、止めねじ110の上端又は後端112に六角形の孔112aと同じサイズの六角形又はアレンタイプのスクリュードライバーを係合することができるように適合されている。
【0039】
工具の作動中、オペレータがビットの交換を必要とするときに、オペレータは、六角形のスクリュードライバーを用いて、クロウフット延長部200の貫通孔211から止めねじ110を外し、(必要に応じてビット1の後端20にあるキャストレイテッド構造21a-cを係合することにより)使用したビット1を取り外し、孔に新しいビット1を挿入して同じ六角形のスクリュードライバーを用いて突出構造21a-cを係合して、正しい位置にビット1を好都合に位置決めすることができる(ビット1の回転及びビット上の軸線方向並進を含む)。最終的に、止めねじ110は、この場合も同様に同じ六角形のスクリュードライバーを用いて締め付けることができる。従って、オペレータは、1つの工具だけを用いて迅速で効率的に完全な作業を実行することができ、この工具は標準的スクリュードライバーであり、ビット及び/又は工具に損傷を生じる可能性がある工具の何れかの望ましくない過酷な取り扱いを必要としない。
【0040】
本発明について図面及び上述の説明において詳細に例示し説明してきたが、このような例示及び説明は、例証又は例示的なものであって、限定とみなすべきではなく、本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者であれば、多くの修正、変形形態及び代替形態が添付の特許請求の範囲において定義された範囲で想定されることは理解される。加えて、開示された実施形態に対する変形形態は、特許請求の範囲に記載された発明を実施する上で当業者によって理解及び達成され、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討を形成することができる。特許請求の範囲では、用語「備える」は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数の名詞は、複数形を排除しない。特定の手段が互いに異なる従属クレームにおいて記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における何れかの参照符号は、特許請求の範囲の範囲を限定するものと解釈すべきではない。