(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】軟部肉腫の併用療法用キノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4709 20060101AFI20241015BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20241015BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241015BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K31/704
A61P35/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021566589
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2020089545
(87)【国際公開番号】W WO2020228656
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】201910390149.8
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 志明
(72)【発明者】
【氏名】張 世▲ロン▼
(72)【発明者】
【氏名】庄 ▲栄▼源
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲シー▼
(72)【発明者】
【氏名】王 妍
(72)【発明者】
【氏名】楊 華
(72)【発明者】
【氏名】陸 維祺
(72)【発明者】
【氏名】周 宇紅
(72)【発明者】
【氏名】高 蕾
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522281(JP,A)
【文献】特表2016-527192(JP,A)
【文献】Chinese Clinical Oncology,2018年,Vol.7, No.4,Article.42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
なる(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)
エピルビシンとを含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせ。
【請求項2】
前記軟部肉腫は未分化肉腫、血管肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、胞巣状軟部肉腫、明細胞肉腫、悪性間葉腫、及び類上皮肉腫から選択されることを特徴とする請求項1に記載の薬物組み合わせ。
【請求項3】
前記軟部肉腫は未分化多形性肉腫または胞巣状軟部肉腫であることを特徴とする請求項1に記載の薬物組み合わせ。
【請求項4】
前記軟部肉腫はデスモイド腫瘍、カポジ肉腫、神経鞘腫瘍、肺内胞巣状軟部肉腫、脱分化型脂肪肉腫、粘液型脂肪肉腫、多形性脂肪肉腫、混合型脂肪肉腫、低悪性度線維粘液性肉腫、ヒアリン化紡錘細胞腫瘍、硬化性類上皮線維肉腫、ペリサイト性腫瘍、グロムス腫瘍、グロマンギオマトーシス、筋周皮腫、筋線維腫、血管平滑筋腫、胎児型横紋筋肉腫、胞
巣状横紋筋肉腫、多形型横紋筋肉腫、紡錘細胞/硬化性横紋筋肉腫、類上皮血管内皮腫、類上皮型悪性末梢神経鞘腫、悪性トリトン腫瘍、悪性顆粒細胞腫、非特異的滑膜肉腫、滑膜肉腫、軟部組織の明細胞肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、腎外性横紋筋肉腫様腫瘍、血管周囲類上皮細胞腫瘍、内膜肉腫、未分類肉腫、未分化紡錘細胞肉腫、未分化円形細胞肉腫、未分化類上皮肉腫、結合組織増殖性小円細胞腫瘍、低悪性度線維性粘液肉腫、及び境界性軟部組織腫瘍から選択されることを特徴とする請求項1に記載の薬物組み合わせ。
【請求項5】
前記軟部肉腫は再発性軟部肉腫、及び/又は転移性軟部肉腫、及び/又は難治性軟部肉腫、及び/又は切除不能な軟部肉腫、及び/又は晩期軟部肉腫から選択されることを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項6】
前記軟部肉腫は原発性軟部肉腫又は続発性軟部肉腫であることを特徴とする請求項1-5のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項7】
前記軟部肉腫は少なくとも1種の化学療法を受けた後に進展又は再発と認められた軟部肉腫であり、または、前記軟部肉腫は化学療法に忍容性がない軟部肉腫であり、または、前記軟部肉腫は系統的治療を受けたことがない軟部肉腫であることを特徴とする請求項1-6のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項8】
前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は投与期間と休養期間を交互に繰り返す間隔投与方法で投与され、投与期間と休養期間との日数基準の比は2:0.5-5、2:0.5-3、2:0.5-2、2:0.5-1
から選択され、前記間隔投与方法は、2週間の連続投与と2週間の休養、2週間の連続投与と1週間の休養、又は5日間の連続投与と2日間の休養のいずれかのサイクルであり、前記サイクルは複数回繰り返すことができることを特徴とする請求項1-
7のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項9】
前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は3-30mg
、5-20mg、8-16mg、10-14mgから選択され、またはエピルビシンの投与量は50-150mg/m
2
であることを特徴とする請求項1-
8のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項10】
前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は8mg、10mgまたは12mgであり、またはエピルビシンの投与量は50、54、60、72、80、90、100、110、120、135及び/又は150mg/m
2
であることを特徴とする請求項1-9のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項11】
(i)用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物と、(ii)用量が50-150mg/m
2、50、54、60、72、80、90、100、110、120、135及び/又は150mg/m2
から選択されるエピルビシンの医薬組成物とを含むことを特徴とする請求項1-10のいずれか1項に記載の薬物組み合わせ。
【請求項12】
軟部肉腫の治療薬物を製造するための請求項1-11のいずれか1項に記載の薬物組み合わせの使用。
【請求項13】
(a)
エピルビシンを有効成分として含む第1種の医薬組成物と、(b)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む第2種の医薬組成物とを含むキットであって、請求項1-11のいずれか1項に記載の薬物組み合わせを含む
軟部肉腫を治療するためのキット。
【請求項14】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と
エピルビシンと
の組み合わせの、軟部肉腫を治療するための薬物の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2019年5月10日に中国国家知識産権局へ提出された中国特許出願第201910390149.8号の優先権を主張し、前記出願で開示されていた内容は援用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本願は医薬品分野に属し、軟部肉腫の併用療法用キノリン誘導体に関する。具体的には、本願は第2治療薬と併用して軟部肉腫を治療するためのキノリン誘導体の用途に関し、第2治療薬は化学療法薬、小分子標的化抗腫瘍薬、免疫療法薬であってもよい。
【背景技術】
【0003】
軟部肉腫(soft tissue sarcoma、STS)は間葉系組織とそれと交差する神経外胚葉組織に由来する悪性腫瘍で、造血リンパ組織以外の非上皮組織、即ち線維、脂肪、筋肉、中皮、及びこれらの組織に分布する血管、リンパ管と末梢神経を含み、手足、体幹、後腹膜などに多発し、成人悪性腫瘍では1%、小児腫瘍では15%を占めている。分布の広さ、タイプの多さを主な特徴としている。
【0004】
軟部肉腫はWHOによって50種以上のサブタイプに分類され、よく見られるサブタイプは、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、滑膜肉腫、線維肉腫、未分化多形性肉腫、悪性神経鞘腫などである。軟部肉腫の悪性度が高く、患者の生存期間の中央値が短い。
【0005】
文献WO2008112407の実施例24には、キノリン誘導体系チロシンキナーゼ阻害剤、1-[[[4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ-6-メトキシキノリン-7-イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミン及びその製造方法が開示されており、その構造式は式Iに示すとおりである。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の1つの態様では、
【化2】
なる(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)少なくとも1種の第2治療薬とを含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせが提供される。
【0008】
本願のもう1つの態様では、さらに、軟部肉腫の治療薬物を製造するための薬物組み合わせの用途が提供される。
【0009】
本願のさらなる態様では、さらに、治療を必要とする適用者に治療有効量の本願の薬物組み合わせを投与することを含む軟部肉腫の治療方法が提供される。前記薬物組み合わせは(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)少なくとも1種の第2治療薬とを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の1つの態様では、(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)少なくとも1種の第2治療薬とを含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせが提供される。
【0011】
本願のいくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは、(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物と、(ii)少なくとも1種の第2治療薬の医薬組成物とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは、(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)少なくとも1種の化学療法薬とを含み、且つ所望により放射線療法と併用される。いくつかの特定の実施形態において、(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)エピルビシンとを含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせが提供される。
【0013】
いくつかの特定の実施形態において、前記薬物組み合わせは、(i)用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物と、(ii)用量が50-150mg/m2であるエピルビシンの医薬組成物とを含む。
【0014】
いくつかの特定の実施形態において、前記薬物組み合わせは、(i)用量が6mg、8mg、10mg及び/又は12mgである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物と、(ii)用量が50、54、60、72、80、90、100、110、120、135及び/又は150mg/m2であるエピルビシンの医薬組成物とを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、(i)用量が12mgである式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物と、(ii)用量が90mg/m2であるエピルビシンの医薬組成物とを含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせが提供される。
【0016】
本願のもう1つの態様では、軟部肉腫の治療薬物を製造するための薬物組み合わせの用途が提供され、前記薬物組み合わせは、(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)少なくとも1種の第2治療薬とを含み、且つ所望により放射線療法と併用される。
【0017】
本願のさらなる態様では、治療を必要とする患者に治療有効量の(i)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)少なくとも1種の第2治療薬とを投与することを含む軟部肉腫の治療方法が提供される。
【0018】
本願では、軟部肉腫に罹患する対象の治療方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫に罹患する対象は、例えば、未分化多形性肉腫又は胞巣状軟部肉腫と確診された患者である。例えば、いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は再発性軟部肉腫である。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は転移性軟部肉腫である。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は難治性軟部肉腫である。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は切除不能な軟部肉腫である。いくつかの特定の実施形態において、本願に記載の軟部肉腫は未分化多形性肉腫である。いくつかの特定の実施形態において、本願に記載の軟部肉腫は切除不能な及び/又は転移性の未分化多形性肉腫である。またいくつかの特定の実施形態において、本願に記載の軟部肉腫は胞巣状軟部肉腫である。いくつかの特定の実施形態において、本願に記載の軟部肉腫はWHO分類(2013版)において規定された軟部肉腫を含み、血管肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、明細胞肉腫、悪性間葉腫、類上皮肉腫、未分化肉腫、消化管間質腫瘍を含み、ただしそれらに限定されない。
【0019】
本願のいくつかの実施形態において、前記対象は手術、化学療法及び/又は放射線療法を受けたことがある。いくつかの特定の実施形態において、前記対象は手術、化学療法及び/又は放射線療法により完全寛解後に再び疾患が進展している対象である。いくつかの特定の実施形態において、前記対象は手術、化学療法及び/又は放射線療法後に完全寛解又は部分寛解と認められない対象である。
【0020】
本願のいくつかの実施形態において、対象は系統的化学療法を受けたことがない。いくつかの実施形態において、前記対象は手術治療、放射線療法、誘導化学療法、同時化学療法及び/又は補助化学療法を受けたことがある。いくつかの特定の実施形態において、前記対象は系統的化学療法を受けたことはないが、手術治療、放射線療法、誘導化学療法、同時化学療法及び/又は補助化学療法を受けたことはある。いくつかの特定の実施形態において、前記対象は手術治療、放射線療法、誘導化学療法、同時化学療法及び/又は補助化学療法により完全寛解後に、再び疾患が進展している。いくつかの特定の実施形態において、前記対象は手術治療、放射線療法、誘導化学療法、同時化学療法及び/又は補助化学療法後に完全寛解又は部分寛解と認められない。いくつかの特定の実施形態において、前記対象は手術治療、放射線療法、誘導化学療法、同時化学療法及び/又は補助化学療法後に、がんが転移している。
【0021】
本願のいくつかの実施形態において、前記軟部肉腫はアントラサイクリン系薬による化学療法を受けたことがない軟部肉腫を含む。いくつかの実施形態において、アントラサイクリン系薬は、例えば、エピルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、ピラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アクラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、ピクサントロン又は類似の薬物のうちの1種又は複数種であり、例えば、1種、2種、3種である。
【0022】
本願のいくつかの実施形態において、前記用途又は治療法において、前記第2治療薬は
週に1回(q1w)、2週に1回(q2w)、3週に1回(q3w)、又は4週に1回(q4w)で投与されてもよい。特定の一実施形態において、エピルビシンは3週に1回投与される。
【0023】
前記式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は毎日1回6mg、8mg、10mg又は12mgの用量での2週間の連続投与と1週間の休養の投与計画で投与され、且つ/又は、2週間の連続投与と2週間の休養の投与計画で投与される。
【0024】
いくつかの実施形態において、第2治療薬と式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は治療サイクルが同じでもよいし異なってもよい。いくつかの特定の実施形態において、第2治療薬と式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は治療サイクルが同じで、例えば、1週間、2週間、3週間又は4週間が1治療サイクルである。
【0025】
いくつかの特定の実施形態において、第2治療薬、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は3週間が1治療サイクルである。
【0026】
本願の治療法のいくつかの特定の実施形態において、前記エピルビシンは50-150mg/m2の用量で患者に投与されてもよく、例えば、50、54、60、72、80、90、100、110、120、135及び/又は150mg/m2の用量で患者に投与される。
【0027】
「軟部肉腫」
本発明に記載の軟部肉腫は、未分化多形性肉腫(Undifferentiated pleomorphic sarcoma)(悪性線維性組織球腫ともいう)、血管肉腫(angiosarcoma)、デスモイド腫瘍、線維肉腫(fibrosarcoma)、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor)、カポジ肉腫(Kaposi’s sarcoma)、平滑筋肉腫(leiomyosarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、横紋筋肉腫(rhabdomyosarcoma)、滑膜肉腫(synovial sarcoma)、隆起性皮膚線維肉腫、神経鞘腫瘍(nerve sheath tumours)、悪性末梢神経鞘腫瘍(malignant peripheral nerve sheath tumour)、胞巣状軟部肉腫(alveolar soft-part sarcoma)、明細胞肉腫、悪性間葉腫(malignant mesenchymoma)、類上皮肉腫(epithelioid sarcoma)、胞巣状軟部肉腫、脱分化型脂肪肉腫(dedifferentiated liposarcoma)、粘液型脂肪肉腫(myxoid liposarcoma)、多形性脂肪肉腫(pleomorphic liposarcoma)、混合型脂肪肉腫(mixed-type liposarcoma)、成人線維肉腫(adult fibrosarcoma)、低悪性度線維粘液性肉腫(low grade fibromyxoid sarcoma)、ヒアリン化紡錘細胞腫瘍(hyalinizing spindle cell tumour)、硬化性類上皮線維肉腫(sclerosing epithelioid fibrosarcoma)、ペリサイト性(血管周囲)腫瘍(pericytic (perivascular) tumoues)、グロムス腫瘍(及び変異体)(glomus tumour and variants)、グロマンギオマトーシス(glomangiomatosis)、悪性グロムス腫瘍(malignant glomus tumour)、筋周皮腫(myopericytoma)、筋線維腫(myofibroma)、血管平滑筋腫(angioleiomyoma)、胎児型横紋筋肉腫(embryonal rhabdomyosarcoma)(ブドウ状肉腫、未分化肉腫を含む)、胞巣状横紋筋肉腫(alveolar rhabdomyosarcoma)(固形肉腫、未分化肉腫を含む)、多形型横紋筋肉腫(pleomorphic rhabdomyosarco
ma)、紡錘細胞/硬化性横紋筋肉腫(spindle cell/sclerosing rhabdomyosarcoma)、類上皮血管内皮腫(epithelioid
haemangioendothelioma)、軟部組織の血管肉腫(angiosarcoma of soft tissue)、類上皮型悪性末梢神経鞘腫(epithelioid malignant peripheral nerve sheath tumour)、悪性トリトン腫瘍(malignant Triton tumour)、悪性顆粒細胞腫(malignant granular cell tumour)、非特異的滑膜肉腫(synovial sarcoma NOS)、紡錘細胞型滑膜肉腫(synovial sarcoma,spindle cell)、二相型滑膜肉腫(synovial sarcoma,biphasic)、軟部組織の明細胞肉腫(clear cell sarcoma of soft tissue)、線維形成性小円形細胞腫瘍(desmoplastic small round cell tumour)、腎外性横紋筋肉腫様腫瘍(extra-renal rhabdoid
tumour)、血管周囲類上皮細胞腫瘍(neoplasms with perivascular epithelioid cell differentiation、PEComa)、内膜肉腫(intimal sarcoma)、未分化/未分類肉腫(Undifferentiated/Unclassified Sarcomas)、未分化紡錘細胞肉腫(Undifferentiated spindle cell sarcoma)、未分化円形細胞肉腫(Undifferentiated round cell sarcoma)、未分化類上皮肉腫(Undifferentiated epithelioid cell sarcoma)、結合組織増殖性小円細胞腫瘍、低悪性度線維性粘液肉腫、境界性軟部組織腫瘍を含み、ただしそれらに限定されない。
【0028】
いくつかの特定の実施形態において、前記軟部肉腫は未分化多形性肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、隆起性皮膚線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、明細胞肉腫、悪性間葉腫、類上皮肉腫、未分化肉腫、消化管間質腫瘍である。
【0029】
いくつかの特定の実施形態において、前記軟部肉腫は未分化多形性肉腫である。
【0030】
いくつかの特定の実施形態において、前記軟部肉腫は胞巣状軟部肉腫である。
【0031】
本願において、前記軟部肉腫の臨床病期分類は局所晩期、及び/又は晩期(例えば、IIIB/IV期)、及び/又は転移性の軟部肉腫を含み、ただしそれらに限定されない。そのうち、転移性軟部肉腫は単一臓器転移、播種性転移、びまん性転移を含み、ただしそれらに限定されず、前記転移臓器はリンパ節、胸膜、骨、脳、心膜、副腎腺、肝臓を含み、ただしそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は脳転移のある軟部肉腫である。いくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは、原発性軟部肉腫又は続発性軟部肉腫である軟部肉腫を治療するために用いられる。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は少なくとも1種の化学療法を受けた後に進展又は再発と認められた軟部肉腫である。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は化学療法に忍容性がない軟部肉腫である。好ましい実施形態において、前記軟部肉腫は系統的治療を受けたことがない軟部肉腫である。いくつかの実施形態において、前記軟部肉腫は未分化多形性肉腫である。またいくつかの特定の実施形態において、本願に記載の軟部肉腫は胞巣状軟部肉腫である。
【0032】
「第2治療薬」
本願のいくつかの実施形態において、前記第2治療薬は化学療法薬、小分子標的化抗腫瘍薬、免疫療法薬を含み、ただしそれらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記第2治療薬は化学療法薬であり、白金系薬、フルオロピリミジン誘導体、カンプトテシン系、タキサン系、ビンブラスチン系、アントラサイクリン系、抗生物質系、ポドフィルム系、抗代謝薬のうちの1種又は複数種を含み、ただしそれらに限定されない。その例として挙げられるのは白金系薬(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、ミリプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン(dicycloplatin))、フルオロピリミジン誘導体(例えば、ゲムシタビン、カペシタビン、アンシタビン、フルオロウラシル、ジフラジン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、トリフルリジン)、タキサン系(例えば、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、ドセタキセル)、カンプトテシン系(例えば、カンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン)、ビンブラスチン系(ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン(vinflunine))、アントラサイクリン系(エピルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、ピラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アクラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、ピクサントロン)、ペメトレキセド、カルムスチン、メルファラン、エトポシド(ラステット)、テニポシド、マイトマイシン、イホスファミド、シクロホスファミド、アザシチジン、メトトレキサート、ベンダムスチン、リポソーム化アドリアマイシン、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、ブレオマイシン、ピンヤンマイシン、テモゾロミド、ダカルバジン、ペプロマイシン、エリブリン、プリナブリン(plinabulin)、サパシタビン(Sapacitabine)、トレオスルファン(treosulfan)、153Sm-EDTMP、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、エンセキダル(encequidar)のうちの1種又は複数種を含み、ただしそれらに限定されない。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記化学療法薬はアドリアマイシン、エピルビシン、ダウノルビシン、アクラシノマイシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、マイトマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン、ペプロマイシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、アドリアマイシン、ブレオマイシン、カルムスチン、エトポシド(ラステット)、アクチノマイシンD、メトトレキサート、シスプラチンから選ばれる1種又は複数種である。
【0035】
所望により、前記第2治療薬は化学療法補助薬と組み合わせて使用される。前記化学療法補助薬はホリン酸カルシウム(CF)、フォリン酸、メスナ、ビスホスホネート、アミフォスチン、コロニー刺激因子(CSFs)を含み、ただしそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記化学療法補助薬はホリン酸カルシウム(CF)、メスナ、フォリン酸である。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記第2治療薬は小分子標的化抗腫瘍薬であり、プロテインキナーゼ阻害剤を含み、ただしそれに限定されない。前記プロテインキナーゼ阻害剤はチロシンキナーゼ阻害剤、セリン及び/又はスレオニンキナーゼ阻害剤、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP、poly ADP-ribose polymerase)阻害剤を含み、ただしそれらに限定されない。前記阻害剤の標的はファスシン-1(Fascin-1)タンパク質、HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)、プロテアソーム(Proteasome)、CD38、SLAMF7(CS1/CD319/CRACC)、RANKL、EGFR(上皮成長因子受容体)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、MET遺伝子、ROS1遺伝子、HER2遺伝子、RET遺伝子、BRAF遺伝子、PI3Kシグナル伝達経路、DDR2(ディスクデスレセプタ2)遺伝子、FGFR1(線維芽細胞増殖因子受容体1)、NTRK1(神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体1型)遺伝子、KRAS遺伝子を含み、ただしそれらに限定されない。前記小分子標的化抗
腫瘍薬の標的はCOX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)、APE1(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ1)、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)、CXCR-4(ケモカイン受容体-4)、MMP(マトリックスメタロプロテイナーゼ)、IGF-1R(インスリン様成長因子1受容体)、エズリン(Ezrin)、PEDF(色素上皮由来因子)、AS、ES、OPG(骨保護分子)、Src、IFN、ALCAM(活性化白血球細胞接着分子)、HSP、JIP1、GSK-3(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3)、CyclinD1(サイクリン)、CDK4(サイクリン依存性キナーゼ)、TIMP1(組織メタロプロテアーゼ阻害剤)、THBS3、PTHR1(副甲状腺ホルモン関連ペプチド1)、TEM7(ヒト腫瘍血管内皮マーカー7)、COPS3、カテプシンKをさらに含む。小分子標的化抗腫瘍薬の例として挙げられるのは、イマチニブ(Imatinib)、スニチニブ(Sunitinib)、ニロチニブ(Nilotinib)、ボスチニブ(bosutinib)、サラカチニブ(Saracatinib)、パゾパニブ(Pazopanib)、トラベクテジン(Trabectedin)、レゴラフェニブ(Regorafenib)、セディラニブ(Cediranib)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、パノビノスタット(Panobinostat)、カルフィルゾミブ(Carfilzomib)、イキサゾミブ(Ixazomib)、アパチニブ(apatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、アファチニブ(Afatinib)、クリゾチニブ(Crizotinib)、セリチニブ(Ceritinib)、ベムラフェニブ(Vemurafenib)、ダブラフェニブ(Dabrafenib)、カボザンチニブ(Cabozantinib)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、ダコミチニブ(Dacomitinib)、オシメルチニブ(Osimertinib)、アレクチニブ(Alectinib)、ブリガチニブ(Brigatinib)、ロルラチニブ(Lorlatinib)、トラメチニブ(Trametinib)、ラロトレクチニブ(Larotrectinib)、イコチニブ(icotinib)、ラパチニブ(Lapatinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、セルメチニブ(Selumetinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)、オルムチニブ(Olmutinib)、サボリチニブ(Savolitinib)、フルキンチニブ(Fruquintinib)、エヌトレクチニブ(Entrectinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エンサルチニブ(Ensartinib)、レンバチニブ(Lenvatinib)、イタシチニブ(itacitinib)、ピロチニブ(Pyrotinib)、ビニメチニブ(Binimetinib)、エルダフィチニブ(Erdafitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ネラチニブ(Neratinib)、コビメチニブ(Cobimetinib)、アカラブルチニブ(Acalabrutinib)、ファミチニブ(Famitinib)、マシチニブ(Masitinib)、イブルチニブ(Ibrutinib)、ロシレチニブ(rociletinib)、ニンテダニブ(nintedanib)、レナリドミド、エベロリムス、LOXO-292、ボロラニブ(Vorolanib)、ベムセンチニブ(bemcentinib)、カプマチニブ(capmatinib)、エヌトレクチニブ(entrectinib)、TAK-931、ALT-803、パルボシクリブ(palbociclib)、ファミチニブL-リンゴ酸塩(famitinib L-malate)、LTT-462、BLU-667、ニンゲチニブ(ningetinib)、ティピファルニブ(tipifarnib)、ポジオチニブ(poziotinib)、DS-1205c、カピバセルチブ(capivasertib)、SH-1028、メトホルミン、セリシクリブ(seliciclib)、OSE-2101、APL-101、ベルゾセルチブ(berzosertib)、イデラリシブ(idelalisib)、レロシクリブ(lerociclib)、セララセルチブ(ceralasertib)、PLB-1003、トミボセルチブ(tomivosertib)、AST-2818、SKLB-1028、D-0316、LY-3023414、アリチニブ(allitinib)、MRTX-849、AP-32788、AZD-4205、リフィラフェニブ(lifirafenib)、バクトセルティブ(vactosertib)、ミベブレシブ(miveb
resib)、ナパブカシン(napabucasin)、シトラバチニブ(sitravatinib)、TAS-114、モリブレシブ(molibresib)、CC-223、リボセラニブ(rivoceranib)、CK-101、LXH-254、シモチニブ(simotinib)、GSK-3368715、TAS-0728、マシチニブ(masitinib)、テポチニブ(tepotinib)、HS-10296、AZD-4547、メレスチニブ(merestinib)、オラプテストペゴル(olaptesed pegol)、ガルニセルチブ(galunisertib)、ASN-003、ジェダトリシブ(gedatolisib)、デファクチニブ(defactinib)、ラゼルチニブ(lazertinib)、CKI-27、S-49076、BPI-9016M、RF-A-089、RMC-4630、AZD-3759、アントロキノンロール(antroquinonol)、SAF-189s、AT-101、TTI-101、ナプチニブ(naputinib)、LNP-3794、HH-SCC-244、ASK-120067、CT-707、エピチニブコハク酸塩(epitinib
succinate)、テセバチニブ(tesevatinib)、SPH-1188-11、BPI-15000、コパンリシブ(copanlisib)、ニラパリブ(niraparib)、オラパリブ(olaparib)、ベリパリブ(veliparib)、タラゾパリブトシル酸塩(talazoparib tosylate)、DV-281、シレマドリン(Siremadlin)、テラグレナスタット(Telaglenastat)、MP-0250、GLG-801、ABTL-0812、ボルテゾミブ(bortezomib)、ツシジノスタット(tucidinostat)、ボリノスタット(vorinostat)、レスミノスタット(resminostat)、エパカドスタット(epacadostat)、タゼメトスタット(tazemetostat)、エンチノスタット(entinostat)、モセチノスタット(mocetinostat)、キシノスタット(quisinostat)、LCL-161、KML-001のうちの1種又は複数種を含み、ただしそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記小分子標的化抗腫瘍薬はソラフェニブ、エベロリムス、エルロチニブ、アファチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、カボザンチニブ、ゲフィチニブ、ダコミチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、ブリガチニブ、ロルラチニブ、トラメチニブ、ラロトレクチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、セルメチニブ、オルムチニブ、サボリチニブ、フルキンチニブ、エヌトレクチニブ、ダサチニブ、エンサルチニブ、レンバチニブ、イタシチニブ(itacitinib)、ピロチニブ、ビニメチニブ、エルダフィチニブ、アキシチニブ、ネラチニブ、コビメチニブ、アカラブルチニブ、ファミチニブ、マシチニブ、イブルチニブ、ニンテダニブのうちの1種又は複数種である。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記第2治療薬は免疫療法薬であり、インターフェロン(インターフェロンα、インターフェロンα-1b、インターフェロンα-2b)、インターロイキン、シロリムス(sirolimus)、エベロリムス(everolimus)、リダホロリムス(ridaforolimus)、テムシロリムスのうちの1種又は複数種を含み、ただしそれらに限定されない。
【0038】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はエピルビシン、イホスファミド、イリノテカン、アドリアマイシンのうちの1種又は複数種である。
【0039】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はエピルビシンである。
【0040】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はアドリアマイシン、シクロホスファミドのうちの1種又は複数種であり、例えば、2種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はAC療法(アドリアマイシン+シクロホスファミド)である。
【0041】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はシクロホスファミド、ビンクリスチン、メスナ、アドリアマイシンのうちの1種又は複数種であり、例えば、1種、2種、3種、4種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はVCD療法(シクロホスファミド+ビンクリスチン+メスナ+アドリアマイシン)である。
【0042】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はイホスファミド、メスナのうちの1種又は2種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はIE療法(イホスファミド+メスナ)である。
【0043】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はシクロホスファミド、アドリアマイシン、エトポシドのうちの1種、2種又は3種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はCAE療法(シクロホスファミド+アドリアマイシン+エトポシド)である。
【0044】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はアドリアマイシン、ダカルバジンのうちの1種又は2種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はAD療法(アドリアマイシン+ダカルバジン)である。
【0045】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はアドリアマイシン、エピルビシン、イホスファミドのうちの1種、2種又は3種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はAIM療法(アドリアマイシン+イホスファミド)である。
【0046】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はアドリアマイシン、イホスファミド、ダカルバジンのうちの1種、2種又は3種である。特定の一実施形態において、前記第2治療薬はMAID療法(アドリアマイシン+イホスファミド+ダカルバジン)である。
【0047】
いくつかの特定の実施形態において、前記第2治療薬はゲムシタビン、ドセタキセルのうちの1種又は2種である。
【0048】
「式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩」
式Iで表される化合物の化学名は1-[[[4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ-6-メトキシキノリン-7-イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミンであり、その構造式は次のとおりである。
【化3】
【0049】
本願において、アンロチニブが言及される場合は、式Iで表される化合物である。
【0050】
式Iで表される化合物はその遊離塩基の形態で投与されてもよいし、その塩、水和物又はプロドラッグの形態で投与されてもよく、当該プロドラッグは生体内において式Iで表される化合物の遊離塩基の形態に変換される。例えば、薬学的に許容される式Iで表され
る化合物の塩は、本願の範囲内において本分野で周知される方法で異なる有機酸又は無機酸から生成される。
【0051】
いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物の塩酸塩の形態で投与される。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物の一塩酸塩の形態で投与される。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物の二塩酸塩の形態で投与される。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物の塩酸塩の結晶の形態で投与される。特定の実施形態において、式Iで表される化合物の二塩酸塩の結晶の形態で投与される。
【0052】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩、第2治療薬は複数種の経路で投与されてもよく、当該経路は経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻腔内、吸入、経膣、眼内、局所、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内及び髄腔内から選ばれる経路を含み、ただしそれらに限定されない。特定の一実施形態において、経口で投与される。
【0053】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩、第2治療薬の投与量は疾患の重症度、疾患の応答、任意の治療関連毒性、適用者の年齢及び健康状態から決定されてもよい。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は3-30mgである。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は5-20mgである。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は8-16mgである。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は10-14mgである。特定の一実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は8mgである。特定の一実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は10mgである。特定の一実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩の1日投与量は12mgである。本願において、例えば、錠剤又はカプセル剤の場合は、「単位用量基準で12mgの式Iで表される化合物を含む」とは最終的な錠剤又はカプセル剤は1錠あたり12mgの式Iで表される化合物を含むことである。
【0054】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩、第2治療薬を毎日1回又は複数回投与してもよい。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を毎日1回投与する。一実施形態において、経口固形製剤を毎日1回投与する。
【0055】
前記治療法において、投与方法は薬物の活性、毒性や適用者の忍容性などから総合的に決定されてもよい。好ましくは、間隔投与で式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する。前記間隔投与は投与期間と休養期間とを含み、投与期間内において式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を毎日1回又は複数回投与してもよい。例えば、投与期間内において式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を毎日に投与し、その後、休養期間内において一定期間投与をやめ、続いては投与期間、その後、休養期間となる。このとおりに複数回繰り返すことができる。なお、投与期間と休養期間の日数基準の比は2:(0.5-5)であり、好ましくは2:(0.5-3)であり、より好ましくは2:(0.5-2)であり、さらに好ましくは2:(0.5-1)である。
【0056】
いくつかの実施形態において、2週間の連続投与して2週間の休養する。いくつかの実施形態において、毎日1回投与し、投与が14日間持続し、その後、14日間休養し、続いて毎日1回投与し、投与が14日間持続し、その後、14日間休養し、このような2週間の連続投与と2週間の休養の間隔投与は複数回繰り返すことができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、2週間の連続投与して1週間休養する。いくつかの実施形態において、毎日1回投与し、投与が14日間持続し、その後、7日間休養し、続いて毎日1回投与し、投与が14日間持続し、その後、7日間休養し、このような2週間の連続投与と1週間の休養の間隔投与は複数回繰り返すことができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、5日間連続投与して2日間休養する。いくつかの実施形態において、毎日1回投与し、投与が5日間持続し、その後、2日間休養し、続いて毎日1回投与し、投与が5日間持続し、その後、2日間休養し、このような5日間連続投与と2日間休養の間隔投与は複数回繰り返すことができる。
【0059】
いくつかの特定の実施形態において、毎日1回12mgの用量で経口投与し、2週間の連続投与と1週間の休養で投与する。
【0060】
「薬物組み合わせ」
本願に記載の薬物組み合わせの各成分は所望により薬学的に許容される1種又は複数種の担体と併用されてもよく、成分はそれぞれ独立して、又はその一部もしくは全部が同時に薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含んでもよい。本願に記載の薬物組み合わせはそれぞれ単独で調製されてもよいし、又はその一部もしくは全部が同時に調製されてもよい。好ましくは、前記薬物組み合わせの各成分は単独で調製され、又はそれぞれ適切な医薬組成物として調製される。いくつかの実施形態において、本願の薬物組み合わせは1回又は複数回の投与に適する医薬組成物として製造されてもよい。いくつかの特定の実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は錠剤、カプセルを含み、ただしそれらに限定されない固形医薬組成物から選ばれてもよい。
【0061】
本願の薬物組み合わせの成分はそれぞれ単独で投与されてもよいし、又はその一部もしくは全部が同時に投与されてもよい。本願の薬物組み合わせの成分は実質的に非同時に投与されてもよいし、又はその一部もしくは全部が実質的に同時に投与されてもよい。
【0062】
本願の薬物組み合わせの成分はそれぞれ独立して、又はその一部もしくは全部が、経口、非経口(静脈内、筋肉内、局所又は皮下)を含み、ただしそれらに限定されない適切な経路で同時に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本願の薬物組み合わせの成分はそれぞれ独立して、又はその一部もしくは全部が同時に経口投与又は注射投与、例えば、静脈注射又は腹腔内注射投与されてもよい。
【0063】
本願の薬物組み合わせの成分はそれぞれ独立して、又はその一部もしくは全部が同時に錠剤、トローチ、ピル、カプセル(例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、腸溶カプセル、マイクロカプセル)、エリキシル剤、顆粒剤、シロップ、注射剤(筋肉内、静脈内、腹腔内)、顆粒剤、エマルジョン、懸濁液、溶液、分散剤、経口又は非経口投与用の徐放性製剤用剤形を含み、ただしそれらに限られない適切な剤形であってもよい。
【0064】
本願のいくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは確定の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記確定の組み合わせは固形医薬組成物の形態又は液体医薬組成物の形態である。
【0065】
本願のいくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは不確定の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記不確定の組み合わせの第2治療薬、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩はそれぞれ医薬組成物の形態である。
【0066】
いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は手術による切除及び/又は放射線療法と組み合わされる。
【0067】
いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は1種又は複数種の第2治療薬と同時に又は連続して投与される。いくつかの実施形態において、1種又は複数種の第2治療薬は式Iで表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩の投与前に又は式Iで表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩と組み合わせる前に適用者に投与されている。いくつかの実施形態において、1種又は複数種の第2治療薬は式Iで表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩の投与後に又は式Iで表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩と組み合わせた後に再び適用者に投与される。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は1種もしくは複数種の第2治療薬の投与前に又は1種もしくは複数種の第2治療薬と組み合わせる前に適用者に投与されている。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩は1種もしくは複数種の第2治療薬の投与後に又は1種もしくは複数種の第2治療薬と組み合わせた後に再び適用者に投与される。いくつかの実施形態において、1種又は複数種の第2治療薬は、がんの治療に無効である。いくつかの実施形態において、前記第2治療薬は本明細書に記載されている又は本分野で知られている任意の抗がん剤である。
【0068】
いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を1種又は複数種の第2治療薬と組み合わせて適用者に投与した後、適用者に式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を逐次投与する。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を1種又は複数種の第2治療薬と組み合わせて適用者に2-8サイクル投与した後、適用者に式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を逐次経口投与する。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を1種又は複数種の第2治療薬と組み合わせて適用者に6-24週間投与した後、適用者に式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を逐次経口投与する。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を1種又は複数種の第2治療薬と組み合わせて適用者に6サイクル投与した後、適用者に式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を逐次経口投与する。いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を1種又は複数種の第2治療薬と組み合わせて適用者に18週間投与した後、適用者に式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を逐次経口投与する。
【0069】
いくつかの実施形態において、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩、第2治療薬は経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻腔内、吸入、経膣、眼内、局所投与、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内、髄腔内での投与に適する製剤として、好ましくは錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、滴下剤、ペースト剤、散剤などを含む経口に適する製剤として、好ましくは錠剤、カプセル剤として製剤化される。錠剤とは通常の錠剤、分散錠、発泡錠、徐放錠、放出制御錠又は腸溶錠であってもよく、カプセル剤とは通常のカプセル、徐放性カプセル、放出制御性カプセル又は腸溶性カプセルであってもよい。前記経口製剤は本分野で周知される薬学的に許容される担体を使用して従来の方法で製造されてもよい。薬学的に許容される担体は充填剤、吸収剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤などを含む。充填剤はデンプン、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロースなどを含み、吸収剤は硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなどを含み、湿潤剤は水、エタノールなどを含み、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、微結晶性セルロースなどを含み、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、界面活性剤、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどを含み、潤滑剤はステアリン酸マグネシウム、タルカムパウダー、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、シリアゲルミクロパウダーなどを含む。医薬
品添加物として着色剤、甘味料などをさらに含む。
【0070】
本願のいくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは確定の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記確定の組み合わせは固形医薬組成物の形態又は液体医薬組成物の形態である。
【0071】
本願のいくつかの実施形態において、前記薬物組み合わせは不確定の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記不確定の組み合わせの第2治療薬、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩はそれぞれ医薬組成物の形態である。
【0072】
いくつかの実施形態において、さらに、(a)化学療法薬を有効成分として含む第1種の医薬組成物と、(b)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む第2種の医薬組成物と、を含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせのキットが提供される。いくつかの実施形態において、さらに、(a)小分子標的化抗腫瘍薬を有効成分として含む第1種の医薬組成物と、(b)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む第2種の医薬組成物と、を含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせのキットが提供される。いくつかの実施形態において、さらに、(a)免疫療法薬を有効成分として含む第1種の医薬組成物と、(b)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む第2種の医薬組成物と、を含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせのキットが提供される。いくつかの実施形態において、さらに、(a)エピルビシンを有効成分として含む第1種の医薬組成物と、(b)式Iで表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む第2種の医薬組成物と、を含む軟部肉腫を治療するための薬物組み合わせのキットが提供される。
【0073】
本明細書において、特に説明がある場合を除き、本願の目的、本明細書及び特許請求の範囲で使用する用語の意味は下記のとおりである。
【0074】
本願において、アンロチニブが言及される場合は、式Iで表される化合物である。
【0075】
本明細書で使用する用語「治療失敗」とは毒性と副作用に忍容性がなく、治療中に疾患進行又は治療終了後に再発と認められることである。
【0076】
本明細書で使用する用語「適用者」とは哺乳類、例えば、げっ歯類、ネコ、イヌ、霊長類である。好ましくは、本願において適用者はヒトである。
【0077】
用語「投与」とは、当業者の知っている様々な方法及び送達システムの任意の1種を利用して、治療剤を含む組成物を対象に物理的に導入することである。投与経路は静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、髄腔内、又は他の非経口投与経路、例えば、注射、注入を含む。本明細書で使用する用語「非経口投与」とは、腸内及び局所投与以外の一般に注射で行われる投与経路であり、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、臓器内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮膚内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊椎内、硬膜外、胸骨内の注射及び注入、生体内エレクトロポレーションを含み、ただしそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、薬物は非経口以外の経路で投与される。いくつかの実施形態において、経口投与される。他の非経口以外の経路は、局所、表皮、粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下、局所を含む。投与は1回であってもよいし、複数回であってもよく、且つ/又は1つもしくは複数の延長期間内において行われてもよい。
【0078】
「対象」には任意のヒト又は非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は脊椎動物(例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット)
を含み、ただしそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記対象はヒトである。本明細書において用語「対象」と「適用者」は特定の文脈で入れ替えて使用する。
【0079】
薬物又は治療剤の「治療有効量」又は「治療上有効な用量」とは、単独で使用され又は別の治療剤と組み合わせて使用される場合に対象における疾患の発生を防ぐか又は疾患の解消を促進する薬物の任意の量であり、前記「疾患の解消」は、疾患の症状の重症度の軽減、無症状期の頻度及び持続期間の増加から証明される。当業者の知っている様々な方法で疾患の解消に対する治療剤の促進効果を評価することができ、例えば、ヒトを対象とする臨床試験の間に、ヒトに対する有効性を予測するための動物モデルにおいて、又はインビトロアッセイにおいて薬物の活性を測定する。
【0080】
一例として、「抗がん剤」は対象におけるがんの解消又は腫瘍の更なる増殖の阻止を促進する。いくつかの実施形態において、治療有効量の薬物はがんの解消を消失するまで促進している。「がんの解消を促進する」とは、有効量の薬物を単独で又は抗腫瘍剤と併用して投与することによる腫瘍の増殖又はサイズの縮小、腫瘍の壊死、少なくとも1種の症状の重症度の軽減、無症状期の頻度及び持続期間の増加である。また、治療に関連する用語「有効」、「有効性」には薬理学的な有効性及び生理学的な安全性を含む。薬理学的な有効性は薬物が適用者におけるがんの解消を促進する能力である。生理学的な安全性は薬物の投与による細胞、器官及び/又は全身レベルの毒性のレベル又は他の不利な生理学的効果(不良事象)を表す。
【0081】
腫瘍の治療の一例として、未治療の対象と比べて、又は、いくつかの実施形態において、標準療法を受けた患者と比べて、治療有効量の抗がん剤は細胞又は腫瘍の増殖を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、又は少なくとも約80%阻害することができる。本願の他の実施形態において、腫瘍が少なくとも約20日、少なくとも約40日、又は少なくとも約60日解消していることは目視にて確認される。治療有効性に関するこれらの測定結果はあるものの、薬物を評価するには「免疫に関連する」応答パターンを考慮しなければならない。
【0082】
「免疫に関連する」応答パターンは臨床上免疫治療剤で治療されるがん患者によく見られる応答パターンであり、前記免疫治療剤はがんへの特異的免疫応答を誘導し又は自然免疫を変えることで抗腫瘍効果をもたらす。当該応答パターンの特徴は初期の腫瘍量の増加又は新規病変の出現後の有益な治療効果にあり、従来の化学療法剤の評価では、薬物の無効と同じ意味で疾患進行と見なされる。これに鑑みて、免疫治療剤を適切に評価するには目的疾患に対するこれらの薬剤の影響を長期に監視する必要がある。
【0083】
「再発性」がんとは最初の治療(例えば、手術)への応答が現われた後、その場で又は遠隔の部位に再発するがんである。「局所再発性」がんとは治療後に、既に治療を受けていたがんと同じ場所に出現するがんである。
【0084】
「切除不能な」がんは手術によって除去できない。
【0085】
「転移性」がんとは、体の特定の部分(例えば、肺)から他の部分に拡散するがんである。
【0086】
代替の実施形態(例えば、「又は」に続いて記載される実施形態)を用いるのは代替の実施形態の任意の1つ、2つの又はそれらの任意の組み合わせと理解される。本明細書で使用する非限定性の修飾語「1つ」又は「1種」とは列挙されている構成要素のうちの「1つ又は複数/1種又は複数種」と理解される。
【0087】
用語「薬学的に許容される」とは、毒性、刺激、アレルギー反応や他の問題、合併症がなく、ヒト又は動物の組織に接触して使用することに適し、リスク対メリット比が合理的であると医学的に判断される化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0088】
用語「薬学的に許容される塩」は塩基イオンと遊離酸が形成した塩、酸性イオンと遊離塩基が形成した塩を含み、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミノ酸塩などであることが好ましい。本願において、薬学的に許容される塩を形成する場合は、前記遊離酸と塩基イオンのモル比は約1:0.5-1:8であり、好ましくは1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7又は1:8である。本願において、薬学的に許容される塩を形成する場合は、前記遊離塩基と酸性イオンのモル比は約1:0.5-1:8であり、好ましくは1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7又は1:8である。
【0089】
用語「確定の組み合わせ」とは、有効成分(例えば、化学療法薬又は式Iで表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩)は確定の総用量もしくは用量比で、又は単一の実体、医薬組成物もしくは製剤の形態で同時に適用者に投与されることである。
【0090】
用語「不確定の組み合わせ」とは、2種以上の有効成分は独立している実体(例えば、医薬組成物、製剤)として同時に、又は特に時間上の制限がなく順に適用者に投与されることであり、適用者に投与される前記有効成分は治療有効量のレベルに達している。不確定の組み合わせとして挙げられる例はカクテル療法であり、例えば、3種以上の有効成分を投与する。不確定の組み合わせにおいて、前記各有効成分は完全に独立している医薬組成物として包装、販売又は投与されてもよい。前記「不確定の組み合わせ」には複数の「確定の組み合わせ」、又は「確定の組み合わせ」と任意の1種もしくは複数種の有効成分を含む独立の実体と組み合わせて使用されることを含む。
【0091】
本明細書で使用する用語「併用」又は「組み合わせて使用」とは2種又はそれ以上の複数種の有効物質が混合物において、単一の製剤として同時に、又は単一の製剤として任意の順番で順に適用者に投与されることである。
【0092】
用語「医薬組成物」とは1種又は複数種の本願の有効成分(例えば、化学療法薬又は式Iで表される化合物もしくはその薬学的に許容される塩)又はその薬物組み合わせと薬学的に許容される添加物からなる混合物である。医薬組成物は適用者に本願の化合物又はその薬物組み合わせを投与しやすいようにしたものである。
【0093】
用語「18週の時の客観的奏効率(ORR)」とは、RECIST 1.1に基づいて晩期軟部肉腫患者のORRを決定して、最良の効果として完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)と認められた適用者のパーセントである。
【0094】
用語「無増悪生存期間(PFS)」は、初回投与から客観的に腫瘍進展と認められ又は死亡するまでの時間と定義される。
【0095】
用語「全生存期間(OS)」は、初回投与から何らかの原因で死亡するまでの時間と定義される。日数で計算し、追跡不能の適用者の場合は一般に最後の追跡を死亡時間とする。
【0096】
用語「安全性」とは、併用薬物治療の有害事象を観察することである(CTCAE V4.0準拠)。「CTCAE」は、一般的な有害事象の評価基準である。
【0097】
用語「疾患制御率(DCR)」とは、効果評価可能適用者における完全寛解、部分寛解、安定が4週間以上維持する症例数のパーセントである。
【0098】
用語「完全寛解(CR)」とは、全ての標的病変が消失し、全ての病理学的リンパ節(標的結節、非標的結節を含む)の短径が10mm未満に低減していることである。
【0099】
用語「部分寛解(PR)」とは、標的病変の直径の和がベースラインより少なくとも30%低減していることである。
【0100】
用語「疾患進行(PD)」とは、研究期間全体において測定した全ての標的病変の直径の和の最小値を基準として、直径の和が少なくとも20%増加していることである(ベースライン測定値が最小である場合はベースライン値を基準とする)。
【0101】
用語「安定(SD)」とは、標的病変の軽減がPRまでにはいかず、増加もPDとは認められないその両者の間の状態である。
【0102】
用語「PDXモデル」とは、ヒト由来腫瘍異種移植モデル(Patient-Derived tumor Xenograft、PDX)で、腫瘍患者の腫瘍組織を直接的に免疫不全動物に移植して作成したヒト由来腫瘍異種移植モデルである。
【0103】
本明細書において、特に説明がある場合を除き、用語「含む、含有(comprise、comprises、comprising)」又は同等な用語は開放的な表現で、列挙されている要素、成分又はステップの他に、明記していない要素、成分又はステップを含んでもよいことをいう。
【0104】
本明細書では説明及び開示のために、特許、特許出願又は既存の刊行物の全てがここに組み込まれる。これらの刊行物は本願の出願日前に発表されたため提供可能である。これらの書類の開示日に関する声明やその内容に関する記載は出願人が知り得た情報に基づくもので、これらの書類の開示日やその内容が正しいと承諾するものではない。しかもどの国においても、これらの刊行物の援用で、当該刊行物が本分野の周知の常識になると認めるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0105】
次にいくつかの実施例を用いて本願のさらなる説明を行う。ただし、本願のこれらの実施例は説明のためのもので、本願の範囲を限定するものではない。本願は、本明細書に記載されている特定の好ましい実施形態にも限定されない。当業者が理解したように、本願の技術的特徴に行う同等な置換や、対応する改善はなおも本願の保護範囲に含まれる。特に説明がある場合を除き、次の実施例で使用される試薬は全て市販品であり、溶液の調製は本分野通常の技術を用いる。
【0106】
実施例1:アンロチニブとエピルビシンの併用のヒト肉腫PDXモデルに対する効果及び毒性作用
ヒト肉腫SA-22-0003PDXヌードマウスモデルを作成し、腫瘍は臨床悪性線維性組織球腫切除病変の組織に由来し、BALB/cヌードマウスにおいて第4世代に継代させて、第4世代の肉腫組織塊(20-30mm3)を採取してBALB/cヌードマウスに皮下接種してPDXモデルを作成した。24日目に、PDXモデルにおいて皮下腫
瘍組織が約173mm3に増殖した。投与計画により4群に分けた(1群は6匹のヌードマウス)。それぞれがブランクコントロール群、アンロチニブ群(3mg/kg/d)、エピルビシン群(2.5mg/kg)、アンロチニブとエピルビシン併用群(3.0mg/kg/d+2.5mg/kg)であった。投与方法は、アンロチニブが毎日の強制経口投与で、エピルビシンが週に1回の尾静脈注射である。投与サイクルは5週間であった。
【0107】
実験動物の全身状態、移植腫瘍の増殖状況を観察及び測定して腫瘍増殖曲線を作成し、5週投与後にヌードマウスを死なせた。腫瘍全体の生検を行った。採血してヘモグロビン(HGB)、アルブミン(ALB)、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、クレアチンキナーゼアイソザイム(CK-MB)、心臓トロポニンT(CK-MB)、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)を測定した。SP法による免疫組織化学染色で腫瘍のKi-67、EGFR、PDGFR-α、PDGFR-β、微小血管密度(microvessel density、MVD)を測定した。心筋と腫瘍にHE染色を行って光学顕微鏡及び電子顕微鏡下で微細構造を観察した。
【0108】
次の結果を得た。腫瘍抑制効果では、4群のヌードマウスの平均腫瘍重量がそれぞれ2.62±0.64g、0.71±0.36g、1.20±0.42g、0.46±0.20gで、アンロチニブとエピルビシン併用群の腫瘍抑制効果が強かった(p<0.05)。アンロチニブとエピルビシン併用群のKi-67、EGFR発現率及びMVDが有意に低減していた(p<0.05)。安全性では、3実験薬群のヌードマウスの一般的な状態はいずれも良好で、コントロール群と有意差がなかった。各群のヌードマウスの栄養状態(ALB、HBG)に有意差がなく(p>0.05)、体重減少も10%以下であった。毒性作用では、3実験薬群のヌードマウスにはコントロール群と比べて、肝機能障害が認められたが(ALT、AST上昇)、3実験薬群では有意差がなかった(p<0.05)。心機能指標では、各群ではNT-proBNPとcTNTに有意差がなく(p>0.05)、CK-MBは各実験薬群がコントロール群と比べていずれも上昇しているが、併用投与はCK-MBを有意に高めなかった(p>0.05)。3実験薬群のヌードマウスの心筋の電子顕微鏡下の微細構造は明らかな損傷はなく、コントロール群と有意差がなかった。3実験薬群のヌードマウスの心筋細胞をHE染色した結果、心臓の各部位に明らかな病変が見られなかった。
【0109】
次の結論を導いた。ヒト肉腫SA-22-0003PDXヌードマウスモデルにおいて、アンロチニブとエピルビシンの併用が単剤と比べてより強い抗腫瘍効果を示しており、しかも2剤を組み合わせて使用すると忍容性と安全性が良好で、栄養失調や、肝機能障害、心毒性を促すことはなかった。
【0110】
実施例2:エピルビシンとアンロチニブの併用による晩期軟部肉腫の第一選択治療に関する臨床試験
年齢が18-75歳で、病理組織学的に局所晩期又は転移性の軟部肉腫と確診され且つ手術が実施できない患者を選択し、エピルビシン静脈投与とアンロチニブ経口投与を併用し、併用療法の有効性、安全性及びその効果を観察した。
【0111】
評価項目:
主要評価項目は、18週の時の客観的奏効率(ORR)で、副次的評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、安全性、疾患制御率(DCR)、全生存期間(OS)であった。
【0112】
投与用量:
塩酸アンロチニブカプセル(有効成分はアンロチニブ二塩酸塩)は朝食前に経口投与し、12mg/日(毎日1回、毎回1粒)として、3週間(21日)を1サイクルとした。
2週間の連続投与と1週間休養した。有害事象があったら、用量を10mg、8mgに調整してもよい。
【0113】
エピルビシンは各サイクルの初日に投与し、用量は90mg/m2として、48時間点滴静脈注射(civ)(48時間の点滴静脈注射の間に、心臓保護剤デクスラゾキサンを使用)し、21日間を1サイクルとした。有害事象があったら、用量を80%、60%に調整してもよい。
【0114】
6サイクルの併用療法後、状態が安定している場合は、引き続きアンロチニブ(8-12mg)の単剤経口投与を、PD又は忍容性がないまで維持していた。
【0115】
治療中は、有害事象に応じて用量を調整する。CTCAE V4.0によると、レベル1-2の薬物有害反応がある場合は調整せず、1レベルに回復していたら元の計画で投与し、レベル3-4の薬物有害反応がある場合は、レベル1に回復してから投与し、研究者は有害反応がエピルビシン又はアンロチニブに関連すると判断した。エピルビシン関連の場合は、用量を80%に低減、アンロチニブ関連の場合は、10mg qdに低減、両方関連の場合は、いずれも低減とした。再びレベル3-4の薬物有害事象が起こり、研究者が再度用量を低減してよいと判断したため、エピルビシンを60%に低減し、アンロチニブを8mg qdに低減した。
【0116】
本研究では、用途が支持療法、化学療法の有害反応の寛解に限る薬物(例えば、制吐薬、救急治療薬、AE薬など)の使用を認めた。補助制吐、胃の保護、肝臓の保護などのための薬物は通常の用量で使用した。
【0117】
患者例:
48歳の女性で、2017年に腹腔鏡下子宮全摘出と両側輸卵管切除を受けた。2017年11月に全身麻酔下で「腹腔鏡下両側卵巣切除術+卵巣傍新生物切除術+大網部分切除術+骨盤腔癒着松解術」を受けた。2017年12月に、ゲムシタビン1400mg d1、d8+ドセタキセル110mg d8にてGT療法を受け、化学療法が6サイクルであった。臨床診断は、結合組織と軟部悪性腫瘍(子宮平滑筋肉腫IV期)で、標的病変は腹腔・骨盤腔(肝被膜101mm、骨盤腔104mm)であり、標的病変の総直径は205mmであった。
【0118】
子宮平滑筋肉腫切除術後2年近く経過すると、多発性転移が発見され、2019年6月11日にPET/CT所見では、子宮平滑筋肉腫の包括的な治療後で、1.PET/MRI画像により、腹腔・骨盤腔内の多発性転移の可能性あり、2.胆嚢多発性結石、腹腔・骨盤腔積液、3.左鎖骨領域リンパ節の可能性あり、感染を伴う両側の気管支拡張、左側乳腺の石灰化と判断した。下表は投与計画と効果評価であった。
【表1】
【0119】
効果評価の結果では、基準を満たしている患者は合計25例で、SDが13例、PRが1例、PDが9例、患者退出が1例、効果評価未実施が1例となり、DCRは56%であった。
【0120】
本開示では、好ましい実施形態で本願の組成物及び方法を説明しているが、当業者が理解したように、本願の基本原理、趣旨から逸脱しなければ、組成物及び/又は方法並びに前記方法のステップ又はステップの順番を変更することができる。
【0121】
本明細書で援用される全ての文献は、その記載内容に係るプロセス及び他に関する例示的な詳細によって本明細書の内容が補足されるように本明細書に組み込まれる。