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特許7571071作業領域管理方法、作業領域管理システムおよび作業領域管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】作業領域管理方法、作業領域管理システムおよび作業領域管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20241015BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20241015BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20241015BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
A01D41/12 Z
G06Q50/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022024592
(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公開番号】P2023121318
(43)【公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹士
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-022375(JP,A)
【文献】特開2019-170197(JP,A)
【文献】特開2017-127289(JP,A)
【文献】特開2021-132598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 41/12
G06Q 50/02
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内を移動して作業を行う作業装置の各時刻における位置を表す位置情報に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域の輪郭を、複数の仮頂点で形成される多角形の輪郭で表す仮領域輪郭を決定することと、
前記仮領域輪郭から、前記仮領域輪郭の外接矩形の輪郭までの距離に基づき、前記外接矩形の輪郭上の複数の候補頂点を決定することと、
前記複数の候補頂点と、前記複数の仮頂点とに基づき、前記作業領域の輪郭を多角形の輪郭で表す修正輪郭を決定することと、
を含む作業領域管理方法。
【請求項2】
前記複数の候補頂点を決定することは、
前記仮領域輪郭から前記外接矩形の前記輪郭までの距離が閾値以下となる前記外接矩形の前記輪郭上の点群で形成される頂点候補線分を決定することと、
前記頂点候補線分上に前記複数の候補頂点のうちの少なくとも1つの候補頂点を決定することと、
を含む請求項1に記載の作業領域管理方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの候補頂点を決定することは、
前記頂点候補線分の中心位置に候補頂点を決定すること
を含む請求項2に記載の作業領域管理方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの候補頂点を決定することは、
前記頂点候補線分の長さが閾値より大きいとき、前記頂点候補線分の2つの端点を候補頂点として決定すること
を含む請求項2または3に記載の作業領域管理方法。
【請求項5】
前記修正輪郭を決定することは、
前記仮領域輪郭の前記複数の仮頂点から、前記修正輪郭の頂点を表す修正頂点の少なくとも一部を決定することと、
前記頂点候補線分上で位置を修正した前記候補頂点と前記修正頂点の少なくとも一部とをつないだ候補輪郭と前記仮領域輪郭との一致度に基づき、前記修正輪郭を決定することと、
を含む請求項2から4のいずれか1項に記載の作業領域管理方法。
【請求項6】
前記候補輪郭と前記仮領域輪郭との前記一致度に基づき、前記修正輪郭を決定することは、
前記仮領域輪郭を含む地域を第1方向に延びる複数の第1直線と、前記第1方向と異なる第2方向に延びる複数の第2直線とで分割した小領域において、前記候補輪郭を含む小領域と、前記仮領域輪郭を含む小領域とに基づき、前記候補輪郭と前記仮領域輪郭との前記一致度を決定すること
を含む請求項5に記載の作業領域管理方法。
【請求項7】
前記候補輪郭と前記仮領域輪郭との前記一致度は、前記候補輪郭を含む小領域と、前記仮領域輪郭を含む小領域とを含む複数の小領域の数量に対して、前記候補輪郭と、前記仮領域輪郭との両方を含む小領域の数量の割合を表す
請求項6に記載の作業領域管理方法。
【請求項8】
前記修正輪郭を決定することは、
前記仮領域輪郭の前記複数の仮頂点から、前記修正輪郭の頂点を表す修正頂点の少なくとも一部を決定すること
を含む請求項1に記載の作業領域管理方法。
【請求項9】
前記修正頂点の少なくとも一部を決定することは、
前記複数の候補頂点のうち、前記仮領域輪郭の前記外接矩形の前記輪郭上において互いに隣接する2つの候補頂点を結ぶ直線から前記複数の仮頂点までの距離に基づき、前記仮領域輪郭の前記複数の仮頂点から前記修正頂点の少なくとも一部を決定すること
を含む請求項5から8のいずれか1項に記載の作業領域管理方法。
【請求項10】
決定された前記修正輪郭により表される作業領域を地図上に表示することを含む請求項1から9のいずれか1項に記載の作業領域管理方法。
【請求項11】
圃場内を移動して作業を行う作業装置の各時刻における位置を表す位置情報に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域の輪郭を、複数の仮頂点で形成される多角形の輪郭で表す仮領域輪郭を決定する仮輪郭決定部と、
前記仮領域輪郭から、前記仮領域輪郭の外接矩形の輪郭までの距離に基づき、前記外接矩形の輪郭上の複数の候補頂点を決定する修正輪郭決定部と、
を備え、
前記修正輪郭決定部は、前記複数の候補頂点と、前記複数の仮頂点とに基づき、前記作業領域の輪郭を多角形の輪郭で表す修正輪郭を決定する
作業領域管理システム。
【請求項12】
圃場内を移動して作業を行う作業装置の各時刻における位置を表す位置情報に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域の輪郭を、複数の仮頂点で形成される多角形の輪郭で表す仮領域輪郭を決定することと、
前記仮領域輪郭から、前記仮領域輪郭の外接矩形の輪郭までの距離に基づき、前記外接矩形の輪郭上の複数の候補頂点を決定することと、
前記複数の候補頂点と、前記複数の仮頂点とに基づき、前記作業領域の輪郭を多角形の輪郭で表す修正輪郭を決定することと、
を演算装置に実行させる作業領域管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業領域管理方法、作業領域管理システムおよび作業領域管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2019-162053号公報)には、圃場登録装置に関する技術が開示されている。この圃場登録装置は、作業車両が圃場で移動しながら農作業を行うときの位置を定期的に測定し、これらの測位位置に基づき、作業車両が作業を行った作業領域としてポリゴン(多角形)形状の領域を推測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-162053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術は、作業領域として推定される多角形の頂点が多数推定される場合がある。この場合、作業領域の輪郭が複雑になるため、地図上に表示した作業領域は、見栄えの悪い輪郭を有する。また、作業領域で行われた作業の評価、例えば単位面積当たりの収穫量などの決定が煩雑になる。さらに、作業領域の頂点が多数存在するため、作業領域を表すデータ量も大きくなる。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、作業領域として推定される多角形の頂点の数量の増加を抑制することを目的の1つとする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業領域管理方法は、圃場(400)内を移動して作業を行う作業装置(30)の各時刻における位置を表す位置情報に基づき、作業装置(30)が作業を行った作業領域の輪郭を、複数の仮頂点(510)で形成される多角形の輪郭で表す仮領域輪郭(500)を決定することを含む。また、作業領域管理方法は、仮領域輪郭(500)から、仮領域輪郭(500)の外接矩形(600)の輪郭までの距離に基づき、外接矩形(600)の輪郭上の複数の候補頂点(630)を決定することを含む。また、作業領域管理方法は、複数の候補頂点(630)と、複数の仮頂点(510)とに基づき、作業領域の輪郭を多角形の輪郭で表す修正輪郭(700)を決定することを含む。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業領域管理システム(1000)は、仮輪郭決定部(150)と、修正輪郭決定部(160)とを備える。仮輪郭決定部(150)は、圃場(400)内を移動して作業を行う作業装置(30)の各時刻における位置を表す位置情報に基づき、作業装置(30)が作業を行った作業領域の輪郭を、複数の仮頂点(510)で形成される多角形の輪郭で表す仮領域輪郭(500)を決定する。修正輪郭決定部(160)は、仮領域輪郭(500)から、仮領域輪郭(500)の外接矩形(600)の輪郭までの距離に基づき、外接矩形(600)の輪郭上の複数の候補頂点(630)を決定する。また、修正輪郭決定部(160)は、複数の候補頂点(630)と、複数の仮頂点(510)とに基づき、作業領域の輪郭を多角形の輪郭で表す修正輪郭(700)を決定する。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業領域管理プログラム(300)は、圃場(400)内を移動して作業を行う作業装置(30)の各時刻における位置を表す位置情報に基づき、作業装置(30)が作業を行った作業領域の輪郭を、複数の仮頂点(510)で形成される多角形の輪郭で表す仮領域輪郭(500)を決定することを演算装置(120、220)に実行させる。また、作業領域管理プログラム(300)は、仮領域輪郭(500)から、仮領域輪郭(500)の外接矩形(600)の輪郭までの距離に基づき、外接矩形(600)の輪郭上の複数の候補頂点(630)を決定することを演算装置(120、220)に実行させる。また、作業領域管理プログラム(300)は、複数の候補頂点(630)と、複数の仮頂点(510)とに基づき、作業領域の輪郭を多角形の輪郭で表す修正輪郭(700)を決定すること演算装置(120、220)に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の形態によれば、作業装置の作業領域を表す多角形の頂点の増加が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態による作業領域管理システムの一構成例を表す図である。
図2】一実施の形態において、決定される作業領域の輪郭を表す図である。
図3】一実施の形態による作業領域管理システムにより修正される作業領域の輪郭を表す図である。
図4】一実施の形態による作業領域管理装置の一構成例を表す図である。
図5】一実施の形態による作業領域管理システムの機能ブロックを表す図である。
図6】一実施の形態による端末の一構成例を表す図である。
図7】一実施の形態による作業領域管理システムの処理を表すフローチャートである。
図8】一実施の形態において、決定される基準図形を表す図である。
図9】一実施の形態において、基準図形の輪郭を含む小領域を表す図である。
図10】一実施の形態による一致度を決定する処理において、基準図形の輪郭を含む小領域を説明するための図である。
図11】一実施の形態による一致度を決定する処理において、仮領域輪郭を含む小領域を説明するための図である。
図12】一実施の形態における候補頂点の位置を説明するための図である。
図13】一実施の形態における候補頂点の位置を説明するための図である。
図14】一実施の形態において、仮領域輪郭の仮頂点から修正頂点を決定する処理を説明するための図である。
図15】一実施の形態において、仮領域輪郭の仮頂点から修正頂点を決定する処理を説明するための図である。
図16】一実施の形態における候補輪郭を説明するための図である。
図17】一実施の形態における修正輪郭を説明するための図である。
図18】一実施の形態において、一致度の決定における輪郭を含む小領域を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による作業領域管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、作業領域管理システム1000は、作業領域管理装置100と、端末200とを備える。作業領域管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業装置30と通信可能に接続されている。作業装置30は、圃場400内を移動しながら作業を行う。作業装置30は、複数の圃場400の間、例えば第1圃場400-1と第2圃場400-2との間を移動してもよい。
【0013】
作業装置30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、各時刻の位置を表す位置情報を取得する。このため、位置情報の少なくとも一部は、作業装置30が移動して作業を行った作業領域内の位置を表す。取得した位置情報は、作業領域管理装置100に送信される。作業装置30は、圃場400で作業を行う装置、例えば単体で作業を行うコンバイン、作業機械を牽引して作業を行うトラクター、農薬を散布するドローンなどを含む。
【0014】
作業領域管理装置100は、作業装置30により取得された位置情報に基づき、作業装置30が作業を行ったと推定される作業領域、例えば圃場400の領域を決定する。例えば、作業領域管理装置100は、図2に示すように、位置情報に基づき、作業領域の仮領域輪郭500を決定する。仮領域輪郭500は、複数の仮頂点510を有する多角形の輪郭で表される。仮領域輪郭500は、例えば、多角形の辺を構成する2つの線分が互いに交差しないように形成され、内部に仮領域輪郭500に含まれない領域を有しない単純多角形(simple polygon)である。仮領域輪郭500は、図2に示すように、多数の仮頂点510を有する場合がある。
【0015】
ここで、作業領域管理装置100は、作業領域を構成する頂点の数量を減少するために、図3に示すように、仮領域輪郭500と、仮領域輪郭500の仮頂点510とに基づき、作業領域の輪郭を表す修正輪郭700を決定する。修正輪郭700の頂点を表す修正頂点710は、修正頂点710の数量が仮領域輪郭500の仮頂点510の数量以下となるように、決定される。例えば、作業領域管理装置100は、仮領域輪郭500から仮領域輪郭500の外接矩形600の輪郭までの距離に基づき、外接矩形600の輪郭上の複数の候補頂点630を決定する。次に、作業領域管理装置100は、候補頂点630と、仮領域輪郭500の仮頂点510とに基づき、作業領域を多角形で表す修正輪郭700の修正頂点710を決定する。
【0016】
このように、作業領域管理装置100は、作業装置30の位置情報に基づき決定される仮領域輪郭500から作業領域の修正輪郭700を決定する。これにより、作業領域管理装置100は、作業装置30の作業領域を表す多角形の頂点が多数となることを抑制しつつ、作業領域の変形を抑制することができる。このため、作業領域管理システム1000は、見栄えのよい形状で地図上に作業領域を表示することができる。また、作業領域を表すデータ量の増加は抑制される。
【0017】
(作業領域管理システムの構成)
作業領域管理システム1000に含まれる作業領域管理装置100の構成を説明する。作業領域管理装置100は、図4に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。作業領域管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0018】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置と通信を行う。通信装置130は、作業装置30から取得する位置情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0019】
記憶装置140は、作業装置30が作業を行った作業領域を表す修正輪郭700を決定するための様々なデータ、例えば作業領域管理プログラム300を格納する。記憶装置140は、作業領域管理プログラム300を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業領域管理プログラム300は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0020】
演算装置120は、作業領域管理プログラム300を記憶装置140から読み出し実行して、修正輪郭700を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0021】
演算装置120は、作業領域管理プログラム300を読み出し実行することで、図5に示すように、仮輪郭決定部150と、修正輪郭決定部160とを実現する。仮輪郭決定部150は、作業装置30の位置情報に基づき、仮領域輪郭500を決定する。仮輪郭決定部150は、例えば、基準図形決定部151と、凹包決定部152とを備える。
【0022】
基準図形決定部151は、作業装置30の位置情報に基づき、作業装置30が走行した軌道により形成される図形を基準図形として決定する。基準図形は、作業装置30の圃場400で作業を行ったときに走行した軌道により形成されるため、作業装置30の作業領域、例えば圃場400の形状を表し得る。凹包決定部152は、作業装置30の位置情報に表された位置の複数の凹包を決定し、決定された複数の凹包と、基準図形との一致度に基づき、仮領域輪郭500を決定する。
【0023】
修正輪郭決定部160は、仮領域輪郭500に基づき、修正頂点710の数量が仮領域輪郭500の仮頂点510の数量以下となる修正輪郭700を決定する。修正輪郭決定部160は、候補頂点決定部161と、修正頂点決定部162と、候補頂点修正部163とを備える。候補頂点決定部161は、仮領域輪郭500に基づき、図3に示すように、仮領域輪郭500の外接矩形600の輪郭上の複数の候補頂点630を決定する。修正頂点決定部162は、候補頂点630と、仮領域輪郭500の仮頂点510とに基づき、修正頂点710の少なくとも一部を決定する。候補頂点修正部163は、修正頂点710と、仮領域輪郭500とに基づき、候補頂点630の位置を修正して、修正された候補頂点630を修正頂点710として決定する。候補頂点修正部163は、修正輪郭700により形成される作業領域を表す領域情報を端末200に出力する。
【0024】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、図6に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0025】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置と通信を行う。通信装置230は、作業領域管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を作業領域管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0026】
記憶装置240は、作業領域を表す情報を表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム310を格納する。記憶装置240は、表示プログラム310を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム310は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0027】
演算装置220は、表示プログラム310を読み出し実行することで、図5に示すように、入出力装置210と協働して、表示部250を実現する。表示部250は、作業領域管理装置100から作業領域を表す領域情報を取得して、取得された領域情報を入出力装置210に表示する。
【0028】
(作業領域管理システムの動作)
図1に示す作業装置30は、圃場400での作業を行うと、位置情報を作業領域管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、作業装置30から位置情報を受信すると、作業領域管理プログラム300を読み出し実行する。作業領域管理プログラム300が読み出し実行されると、演算装置120は、作業領域管理方法の一部である図7に示す処理を開始する。
【0029】
ステップS110において、演算装置120により実現される基準図形決定部151は、作業装置30の位置情報に基づき、作業装置30が走行した軌道により形成される基準図形を決定する。例えば、基準図形決定部151は、作業装置30が走行した軌道により囲まれた領域を基準図形として決定する。
【0030】
例えば、図8に示すように、作業装置30の測位装置は、第1測位位置450-1と、第2測位位置450-2と、第3測位位置450-3と、第4測位位置450-4と、第5測位位置450-5とを順番に作業装置30の位置として測定したとする。このとき、基準図形決定部151は、作業装置30が第1測位位置450-1から、第2測位位置450-2と、第3測位位置450-3と、第4測位位置450-4とを順番に通過して、第5測位位置450-5まで走行したと判定する。例えば、時間的に隣接する位置情報の表す測位位置450の間における作業装置30の軌道は、直線状の線分で表してもよい。基準図形決定部151は、図8に示すように、作業装置30の軌道により囲まれた領域、例えば第1基準図形460-1と、第2基準図形460-2とを基準図形460として決定する。このように、基準図形460は、基準図形460を構成する辺の線分が他の辺の線分と交差する自己交叉多角形(self-intersecting polygon)を含んでもよい。
【0031】
ステップS120において、凹包決定部152は、作業装置30の位置情報により表される位置に対する複数の凹包を決定する。凹包決定部152は、凹包を決定するときに用いられるパラメータを複数用意し、複数のパラメータに対応する複数の凹包を決定する。例えば、凹包決定部152は、作業装置30の位置情報に表される位置に対するアルファシェイプを凹包として決定する。ここで、凹包決定部152は、アルファシェイプのパラメータαにゼロ以上の値を用いて、アルファシェイプを決定する。
【0032】
アルファシェイプは、パラメータαがゼロ以上であるとき、対象の複数の点を内包する多角形を形成する。具体的には、パラメータαがゼロより大きいとき、複数の点のうちの任意の2つの点は、このパラメータαの逆数を半径とする円板の境界線上にこれら2つの点があり、かつ、この円板の内側に他の点が無いような円板が存在するときに限り、アルファシェイプの辺として接続される。パラメータαがゼロに等しいとき、パラメータαがゼロより大きいときの定義における円板を半平面に読み替えた定義が成立する。この場合、複数の点のうちの任意の2つの点は、この2つの点を結ぶ直線により分けられる2つの半平面のいずれかに他の点が無いときに限り、アルファシェイプの辺として接続される。
【0033】
このため、パラメータαがゼロであるとき、凹包として決定されるアルファシェイプは、作業装置30の位置情報に表される位置に対する凸包を表す。パラメータαが大きくなると、アルファシェイプの辺を決定するための円板の半径が小さくなるため、アルファシェイプは、作業装置30の位置情報に表される位置を囲むように、凸包に対して凹部が追加された形状を表す。パラメータαが大きくなるほど、アルファシェイプは細かな凹部を有する。このため、凹包決定部152は、パラメータαに応じて異なる複数の凹包を決定する。また、アルファシェイプの頂点は、作業装置30の位置情報に表される位置を表す。
【0034】
ステップS130において、凹包決定部152は、基準図形460と、凹包との一致度に基づき、複数の凹包の輪郭から1つの仮領域輪郭500を決定する。例えば、凹包決定部152は、基準図形460と、凹包との一致度を決定するために、作業装置30により作業が行われた作業領域を含む地域を小領域に分割し、基準図形460を含む小領域と、凹包を含む小領域との一致度を決定する。例えば、小領域470は、図9に示すように、第1方向に延びる第1直線471と、第1方向と異なる第2方向に延びる第2直線472とに分割された領域を表す。第2方向は、第1方向と直交してもよく、第1方向と直交しなくてもよい。
【0035】
基準図形460と、凹包との一致度は、例えば、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との類似性を表す。凹包決定部152は、図9に示すように、基準図形460の輪郭を含む小領域465を決定する。同様に、凹包決定部152は、凹包の輪郭を含む小領域を決定する。凹包決定部152は、決定された基準図形460の輪郭を含む小領域465と、凹包の輪郭を含む小領域との一致度を決定する。
【0036】
例えば、一致度は、基準図形460の輪郭を含む小領域465と、凹包の輪郭を含む小領域とを含む複数の小領域のうち、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との両方を含む小領域の割合を表してもよい。例えば、図10に示すように、基準図形460の輪郭を含む小領域465は、塗りつぶした第2小領域470-2、第3小領域470-3、第4小領域470-4などを含むとする。また、凹包の輪郭を含む小領域は、図11に示すように、塗りつぶした第1小領域470-1、第2小領域470-2、第3小領域470-3、第4小領域470-4、第5小領域470-5などを含むとする。この場合、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭とのうち、少なくともいずれか一方を含む小領域470の数量は、17個である。また、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との両方を含む小領域470の数量は、11個である。このため、凹包決定部152は、基準図形460とこの凹包との間の一致度を11/17と決定する。
【0037】
凹包決定部152は、決定された複数の凹包の各々と、基準図形460との一致度を決定し、一致度が最も高い凹包の輪郭を仮領域輪郭500として決定する。
【0038】
図7に示すステップS140において、候補頂点決定部161は、仮領域輪郭500の外接矩形600を決定する。外接矩形600は、図3に示すように、仮領域輪郭500のすべてを含み、面積が最も小さい長方形を表す。仮領域輪郭500に対する外接矩形600が複数存在するとき、候補頂点決定部161は、複数の外接矩形600から任意の1つの外接矩形600を選択する。
【0039】
図7に示すステップS150において、候補頂点決定部161は、仮領域輪郭500から仮領域輪郭500の外接矩形600の輪郭までの距離に基づき、外接矩形600の輪郭上に存在する複数の候補頂点630を決定する。候補頂点630は、図12に示すように、外接矩形600の輪郭上の点のうち、仮領域輪郭500からの距離610が閾値以下となる点群から選択される。例えば、最初に、候補頂点決定部161は、仮領域輪郭500からの距離610が閾値以下となる点群により形成される頂点候補線分620を決定する。例えば、仮領域輪郭500から第1端点621までの距離610が閾値を表し、かつ、仮領域輪郭500から第2端点622までの距離610が閾値を表すとき、頂点候補線分620は、第1端点621から第2端点622までの線分を表す。
【0040】
次に、候補頂点決定部161は、頂点候補線分620上の点群から候補頂点630を決定する。例えば、候補頂点630は、頂点候補線分620の中心位置に決定される。頂点候補線分620上に、作業装置30により作業が行われた作業領域の修正輪郭700の1つの修正頂点710が決定される。候補頂点630は、仮に設定された修正頂点710を表す。
【0041】
ここで、図13に示すように、頂点候補線分620の長さを表す線分長623が閾値より大きいとき、候補頂点決定部161は、頂点候補線分620の第1端点621と、第2端点622とを候補頂点630に決定してもよい。第1端点621と、第2端点622とは、頂点候補線分620が延びる方向において、頂点候補線分620の端点を表す。
【0042】
図7に示すステップS160において、修正頂点決定部162は、候補頂点630と、仮領域輪郭500の仮頂点510とに基づき、少なくとも一部の修正輪郭700の修正頂点710を決定する。例えば、修正頂点決定部162は、図14に示すように、外接矩形600の輪郭上において隣接する2つの候補頂点630、例えば第1候補頂点630-1と、第2候補頂点630-2との間に存在する修正頂点710を決定する。ここで、外接矩形600の輪郭上において隣接する2つの候補頂点630は、外接矩形600の輪郭線で候補頂点630をつないだとき、他の候補頂点630を介さずに直接接続される2つの候補頂点630を表す。
【0043】
例えば、修正頂点決定部162は、仮領域輪郭500の仮頂点510のうち、隣接する2つの候補頂点630に挟まれた仮頂点510を抽出する。例えば、修正頂点決定部162は、隣接する2つの候補頂点630から最も近い仮領域輪郭500上の近接点をそれぞれ決定する。図14の例では、修正頂点決定部162は、第1候補頂点630-1から最も近い仮領域輪郭500上の第1近接点と、第2候補頂点630-2から最も近い仮領域輪郭500上の第2近接点とを決定する。修正頂点決定部162は、仮領域輪郭500上において、決定された2つの近接点に挟まれた仮頂点510を抽出する。抽出される仮頂点510は、2つの近接点に挟まれた仮頂点510の点群のうち、2つの近接点を他の近接点を介さずに直接接続する仮領域輪郭500上の点群である。
【0044】
修正頂点決定部162は、抽出された仮頂点510の中から、修正輪郭700の修正頂点710を選択する。例えば、修正頂点決定部162は、隣接する2つの候補頂点630、例えば第1候補頂点630-1と、第2候補頂点630-2とを接続する直線状の線分を表す辺候補650を決定する。修正頂点決定部162は、抽出された仮頂点510のうち、決定された辺候補650から最も離れた仮頂点510を選択する。辺候補650から選択された仮頂点510までの距離655が閾値より大きいとき、修正頂点決定部162は、選択された仮頂点510を修正頂点710として決定する。
【0045】
さらに、図15に示すように、修正頂点決定部162は、決定された第1修正頂点710-1と、第1候補頂点630-1とに挟まれた仮頂点510から修正頂点710を同様に決定する。具体的には、修正頂点決定部162は、決定された第1修正頂点710-1と、候補頂点630、例えば第1候補頂点630-1とに挟まれた仮頂点510を抽出する。例えば、修正頂点決定部162は、仮領域輪郭500上において、第1修正頂点710-1と、第1候補頂点630-1から最も近い仮領域輪郭500上の第1近接点とで挟まれた仮頂点510を抽出する。抽出される仮頂点510は、第1修正頂点710-1と第1近接点とに挟まれた仮頂点510の点群のうち、第1近接点と第1修正頂点710-1とを、他の近接点や修正頂点710を介さずに直接接続する仮領域輪郭500上の点群である。
【0046】
修正頂点決定部162は、抽出された仮頂点510の中から、修正輪郭700の修正頂点710を選択する。例えば、修正頂点決定部162は、候補頂点630、例えば第1候補頂点630-1と、決定された第1修正頂点710-1とを接続する直線状の線分を表す辺候補650を決定する。修正頂点決定部162は、抽出された仮頂点510のうち、決定された辺候補650から最も離れた仮頂点510を選択する。辺候補650から選択された仮頂点510までの距離655が閾値より大きいとき、修正頂点決定部162は、選択された仮頂点510を修正頂点710として決定する。
【0047】
このように、修正頂点決定部162は、候補頂点630と修正頂点710とを含む点群のうち、隣接する2つの点に挟まれる仮頂点510から修正頂点710を決定する処理を、辺候補650から仮頂点510までの距離655が閾値以下となるまで繰り返す。このため、隣接する2つの点は、第2候補頂点630-2と第3候補頂点630-3との組み合わせと、第3候補頂点630-3と第4候補頂点630-4との組み合わせと、第4候補頂点630-4と第5候補頂点630-5との組み合わせと、第5候補頂点630-5と第1候補頂点630-1との組み合わせとを含む。また、隣接する2つの点は、決定された2つの修正頂点710を含む。
【0048】
これにより、修正頂点決定部162は、図16に示すように、複数の修正頂点710を抽出する。抽出される修正頂点710の数量は、仮領域輪郭500を構成する仮頂点510の数量以下となる。
【0049】
修正頂点決定部162が修正頂点710を決定すると、図7に示すステップS170において、候補頂点修正部163は、外接矩形600の輪郭上にある候補頂点630の位置を修正する。候補頂点630は、頂点候補線分620上の仮に決定された修正輪郭700の頂点である。このため、修正頂点決定部162は、候補頂点630の位置を頂点候補線分620上において修正輪郭700の修正頂点710の位置に修正する。
【0050】
例えば、候補頂点修正部163は、図16に示すように、候補頂点630と、決定された修正頂点710とを含む点群のうち、仮領域輪郭500上において隣接する2つの点を接続した候補輪郭660を決定する。具体的には、候補頂点修正部163は、候補頂点630から最も近い仮領域輪郭500上の近接点と、修正頂点710とを含む点群のうち、仮領域輪郭500上において隣接する2つの点を接続した候補輪郭660を決定する。ここで、候補頂点修正部163は、候補輪郭660が仮領域輪郭500に最も類似するように、頂点候補線分620上における候補頂点630の位置を修正する。
【0051】
例えば、候補頂点修正部163は、第1候補頂点630-1の位置を第1頂点候補線分620-1上で移動して、仮領域輪郭500に最も類似する候補輪郭660を決定する。例えば、候補頂点修正部163は、第1候補頂点630-1の位置を移動して形成される候補輪郭660と、仮領域輪郭500との類似性を表す一致度を決定する。この一致度は、ステップS130における基準図形460と、凹包との一致度と同様に決定されてもよい。具体的には、候補頂点修正部163は、仮領域輪郭500を含む地域を、図9に示すように、第1直線471と第2直線472とに分割された小領域に分割し、候補輪郭660を含む小領域と、仮領域輪郭500を含む小領域との一致度を決定する。例えば、候補頂点修正部163は、仮領域輪郭500を含む小領域と、候補輪郭660を含む小領域との一致度を決定する。候補頂点修正部163は、一致度が最も高い候補輪郭660を、仮領域輪郭500に最も類似する候補輪郭660として決定する。
【0052】
候補頂点修正部163は、図17に示すように、決定された候補輪郭660における第1候補頂点630-1の位置を第1修正頂点670-1として決定する。
【0053】
同様に、候補頂点修正部163は、第2候補頂点630-2の位置を第2頂点候補線分620-2上で移動して、仮領域輪郭500に最も類似する候補輪郭660を決定する。候補頂点修正部163は、決定された候補輪郭660における第2候補頂点630-2の位置を第2修正頂点670-2として決定する。第3候補頂点630-3と、第4候補頂点630-4と、第5候補頂点630-5とについても、候補頂点修正部163は、候補輪郭660が仮領域輪郭500に最も類似するように各候補頂点630を決定し、決定された各候補頂点630を第3修正頂点670-3と、第4修正頂点670-4と、第5修正頂点670-5として決定する。
【0054】
ここで、図13に示すように、1つの頂点候補線分620上に2つの候補頂点630が存在するとき、候補頂点修正部163は、この2つの候補頂点630を頂点候補線分620上で移動して、候補輪郭660が仮領域輪郭500に最も類似するように、この頂点候補線分620上の2つの候補頂点630を決定する。候補頂点修正部163は、決定された2つの候補頂点630を2つの修正頂点670として決定する。候補頂点修正部163は、決定された2つの候補頂点630の間の距離が閾値より小さいとき、決定された2つの候補頂点630をつないだ線分の中点を修正頂点670として決定してもよい。この閾値は、2つの候補頂点630を決定するときに用いられる図13に示す線分長623に関する閾値と等しくても、異なってもよい。
【0055】
候補頂点修正部163は、仮領域輪郭500に最も類似する候補輪郭660を図3に示す修正輪郭700として決定する。決定された修正輪郭700は、頂点の数量が仮領域輪郭500の頂点の数量以下となるように修正された作業装置30の作業領域を表す。候補頂点修正部163は、修正輪郭700により表された作業領域を表す領域情報を端末200に出力する。
【0056】
図7に示すステップS180において、端末200の表示部250は、作業領域管理装置100の候補頂点修正部163から出力される領域情報に基づき、修正輪郭700により表される作業領域を表す領域情報を表示する。表示部250は、例えば、地図上に修正輪郭700により形成された作業領域を表す画像を表示する。画像に表示される作業領域は、修正輪郭700の修正頂点710が形状に応じた数量に抑制されているため、見栄えのよい形状で表示される。また、修正輪郭700の修正頂点710が形状に応じた数量を有しているため、作業領域を表すデータ量の増加が抑制され、端末200と作業領域管理装置100との間の通信量も抑制される。また、作業領域の形状が簡略化されているため、作業装置30の作業量、例えば単位面積当たりの収穫量、農薬の散布量などの算出負荷が低減される。
【0057】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。図7に示すステップS120において、凹包決定部152は、作業装置30の位置情報に表される位置に対するアルファシェイプを凹包として決定する例を示したが、これに限定されない。凹包決定部152は、作業装置30の位置情報に基づき、任意の方法で作業領域を決定してもよい。例えば、作業領域は、作業装置30の位置情報に表される位置に対する凸方として決定されてもよい。
【0058】
また、凹包決定部152は、基準図形460と、凹包との一致度を任意の方法で決定してもよい。例えば、凹包決定部152は、基準図形460の占める領域と、凹包の占める領域との類似性を表してもよい。例えば、凹包決定部152は、基準図形460の領域を含む小領域と、凹包の領域を含む小領域との一致度を、基準図形460と凹包との一致度として決定してもよい。この場合、一致度は、基準図形460の領域を含む小領域と、凹包の領域を含む小領域とを含む複数の小領域のうち、基準図形460の領域と、凹包の領域との両方を含む小領域の割合を表してもよい。
【0059】
ここで、基準図形460の占める領域を含む小領域は、図9に示す小領域470の面積に対して、その小領域470に含まれる基準図形460の領域の面積の割合が閾値より大きい小領域を表す。また、基準図形460の占める領域を含む小領域は、基準図形460の領域を少しでも含む小領域を表してもよい。同様に、凹包の占める領域を含む小領域は、小領域470の面積に対して、その小領域470に含まれる凹包の領域の面積の割合が閾値より大きい小領域を表す。また、凹包の占める領域を含む小領域は、凹包の領域を少しでも含む小領域を表してもよい。
【0060】
また、凹包決定部152は、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との一致度を決定するときに、基準図形460の輪郭を含む小領域を、基準図形460の占める領域を含む小領域に基づき、決定してもよい。例えば、凹包決定部152は、基準図形460の占める領域を含む小領域のうち、基準図形460の占める領域を含む小領域に該当しない小領域に隣接する小領域を、基準図形460の輪郭を含む小領域として決定してもよい。同様に、凹包決定部152は、凹包の輪郭を含む小領域を、凹包の占める領域を含む小領域に基づき、決定してもよい。例えば、凹包決定部152は、凹包の占める領域を含む小領域のうち、凹包の占める領域を含む小領域に該当しない小領域に隣接する小領域を、基準図形460の輪郭を含む小領域として決定してもよい。
【0061】
また、凹包決定部152は、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との一致度を決定するときに、図18に示すように、一致度を判定するときに用いる輪郭の小領域を、輪郭を含む輪郭小領域800と、輪郭小領域800に隣接する小領域とに拡張してもよい。例えば、凹包決定部152は、一致度を判定するときに用いる輪郭の小領域を、輪郭を含む輪郭小領域800と、輪郭小領域800の輪郭線を共有する第1拡張小領域810とに拡張してもよい。さらに、凹包決定部152は、一致度を判定するときに用いる輪郭の小領域を、輪郭を含む輪郭小領域800と、第1拡張小領域810と、輪郭小領域800の頂点を共有する第2拡張小領域820とに拡張してもよい。凹包決定部152は、さらに一致度を判定するときに用いる輪郭の小領域をさらに拡張して、第1拡張小領域810に隣接する小領域まで拡張してもよい。
【0062】
また、凹包決定部152は、輪郭の小領域の拡張を、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との両方、または、一方で行ってもよい。
【0063】
図7に示すステップS170において、図16に示す候補輪郭660と仮領域輪郭500との一致度は、基準図形460の輪郭と、凹包の輪郭との一致度と同様に、任意の方法で決定されてもよい。例えば、候補頂点修正部163は、候補輪郭660により囲まれた領域を含む小領域と、仮領域輪郭500により囲まれた領域を含む小領域との一致度を、候補輪郭660と仮領域輪郭500との一致度として決定してもよい。また、候補頂点修正部163は、候補輪郭660により囲まれた領域を含む小領域に基づき、候補輪郭660を含む小領域を決定してもよく、仮領域輪郭500により囲まれた領域を含む小領域に基づき、仮領域輪郭500を含む小領域を決定してもよい。また、一致度を決定するときに用いられる候補輪郭660を含む小領域は、候補輪郭660を含む小領域と、その小領域に隣接する小領域とに拡張されてもよい。同様に、一致度を決定するときに用いられる仮領域輪郭500を含む小領域は、仮領域輪郭500を含む小領域と、その小領域に隣接する小領域とに拡張されてもよい。また、候補頂点修正部163は、輪郭の小領域の拡張を、候補輪郭660と、仮領域輪郭500との両方、または、一方で行ってもよい。
【0064】
図7に示すステップS150において、候補頂点決定部161は、図12に示す仮領域輪郭500から仮領域輪郭500の外接矩形600の輪郭までの距離610を、外接矩形600の輪郭の点から仮領域輪郭500上の対応する点までの距離として決定してもよい。例えば、候補頂点決定部161は、外接矩形600の輪郭上の候補頂点630と、候補頂点630に対応する仮領域輪郭500上の第1点との距離を、仮領域輪郭500から仮領域輪郭500の外接矩形600の輪郭までの距離610として決定する。ここで、候補頂点630と第1点とを結ぶ直線が、候補頂点630において外接矩形600の輪郭が延びる方向と直交するように、第1点の位置は決定される。
【0065】
図7に示すステップS160において、修正頂点決定部162は、候補頂点630と、仮領域輪郭500の仮頂点510とに基づき、任意の方法で修正頂点710を決定してもよい。例えば、修正頂点決定部162は、仮領域輪郭500上において隣接する2つの仮頂点510の間の距離が閾値より小さいとき、いずれか一方の仮頂点510を削除してもよい。修正頂点決定部162は、この削除を、互いに隣接する2つの仮頂点510のすべての組み合わせについて、仮頂点510の間の距離が閾値より大きくなるまで繰り返し行い、残った仮頂点510を修正頂点710として決定してもよい。
【0066】
ステップS170において、候補頂点修正部163は、任意の方法で、仮領域輪郭500に類似する候補輪郭660を決定してもよい。
【0067】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、図1に示す作業領域管理システム1000に端末200は含まれなくてもよい。また、作業領域管理装置100の処理は、すべてまたは一部が端末200で実行されてもよい。また、端末200の処理は、すべてまたは一部が作業領域管理装置100で実行されてもよい。また、作業領域管理プログラム300は、表示プログラム310を含んでもよい。
【0068】
例えば、作業領域管理装置100の修正輪郭決定部160は、図16に示す候補頂点630を修正頂点710として決定してもよい。この場合、図7に示すステップS170の処理と、図5に示す候補頂点修正部163とは省略されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、2 記憶媒体
20 ネットワーク
30 作業装置
100 作業領域管理装置
110 入出力装置
120 演算装置
130 通信装置
140 記憶装置
150 仮輪郭決定部
151 基準図形決定部
152 凹包決定部
160 修正輪郭決定部
161 候補頂点決定部
162 修正頂点決定部
163 候補頂点修正部
200 端末
210 入出力装置
220 演算装置
230 通信装置
240 記憶装置
250 表示部
300 作業領域管理プログラム
310 表示プログラム
400 圃場
450 測位位置
460 基準図形
465 基準図形の輪郭を含む小領域
470 小領域
471 第1直線
472 第2直線
500 仮領域輪郭
510 仮頂点
600 外接矩形
610 距離
620 頂点候補線分
621 第1端点
622 第2端点
623 線分長
630 候補頂点
650 辺候補
655 距離
660 候補輪郭
670 修正頂点
700 修正輪郭
710 修正頂点
800 輪郭小領域
810 第1拡張小領域
820 第2拡張小領域
1000 作業領域管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18