IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図1
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図2
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図3
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図4
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図5
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図6
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図7
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図8
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図9
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図10
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図11
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図12
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図13
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図14
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図15
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図16
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図17
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図18
  • 特許-レンズ装置、制御方法およびプログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】レンズ装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20241015BHJP
   G02B 7/10 20210101ALI20241015BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/10 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022062553
(22)【出願日】2022-04-04
(65)【公開番号】P2023152501
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】米澤 岳志
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078638(JP,A)
【文献】特開2007-298672(JP,A)
【文献】特開2013-015568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0352204(US,A1)
【文献】特開2013-101306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の操作により移動可能な光学部材と、前記光学部材の位置を検出し、検出値を出力する位置検出部と、前記検出値に基づいてレンズ装置の光学特性を取得する取得部とを備え、複数の目盛を有する第1操作部と、該第1操作部とは異なる複数の目盛を有する第2操作部とを前記操作部として交換可能なレンズ装置であって
前記第1操作部の複数の目盛に対応する複数の検出値を示す第1検出値情報と、前記第2操作部の複数の目盛に対応する複数の検出値を示す第2検出値情報と、前記第1操作部の複数の目盛に対応する複数の光学特性を示す第1光学特性情報と、前記第2操作部の複数の目盛に対応する複数の光学特性を示す第2光学特性情報とを記憶する記憶部と、
前記第1検出値情報または前記第2検出値情報を更新する調整実行部と、
前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報、又は前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報のうち一方を指定する指定部とを備え
前記取得部は、前記指定部により前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報が指定された場合、該第1検出値情報と、前記第1光学特性情報と、前記検出値とに基づいて前記光学特性を取得し、前記指定部により前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報が指定された場合、該第2検出値情報と、前記第2光学特性情報と、前記検出値とに基づいて、前記光学特性を取得することを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記第1操作部および前記第2操作部は、それぞれ互いに交換可能な第1操作環および第2操作環であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記第1操作部および前記第2操作部を識別する第1識別部を有し、
前記指定部は、前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報、又は前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報のうち一方を前記第1識別部の出力に基づいて指定することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記調整実行部により最後に更新された検出値情報を示す最新情報を記憶し、
前記指定部は、前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報、又は前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報のうち一方を前記最新情報に基づいて指定することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記第1操作部の複数の指標に対応する光学特性の単位および前記第2操作部の複数の指標に対応する光学特性の単位は、互いに異なることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項6】
光学ユニットを備え、
前記第1操作部の複数の目盛に対応した第1光学ユニットと、前記第2操作部の複数の目盛に対応した第2光学ユニットとを前記光学ユニットとして交換可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記第1光学ユニットおよび前記第2光学ユニットを識別する第2識別部を有し、
前記指定部は、該第2識別部の出力に基づいて、前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報、又は前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報のうち一方を指定することを特徴とする請求項に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記第1光学特性情報および第2光学特性情報の少なくとも一方は、
前記操作部の複数の目盛における各目盛、及び前記光学部材の可動範囲における割合の関係を示す目盛割合情報と、
前記光学部材の可動範囲における割合、及び前記操作部に対応した光学特性の関係を示す光学特性割合情報とを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記第1操作部は、メートル単位での被写体距離目盛を有するフォーカス操作部であり、
前記第2操作部は、フィート・インチ単位での被写体距離目盛を有するフォーカス操作部であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記光学ユニットに対応した焦点距離目盛を有するズーム操作部であり、
前記第1光学ユニットはフルフレームサイズのイメージサークルに光線を導くフルフレーム用光学ユニットであり、前記第2光学ユニットはスーパー35mmサイズのイメージサークルに光線を導くスーパー35用光学ユニットであることを特徴とする請求項6に記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記操作部は、前記光学ユニットに対応した明るさを示す目盛を有する絞り操作部であり、
前記第1光学ユニットはフルフレームサイズのイメージサークルに光線を導くフルフレーム用光学ユニットであり、前記第2光学ユニットはスーパー35mmサイズのイメージサークルに光線を導くスーパー35用光学ユニットであることを特徴とする請求項6に記載のレンズ装置。
【請求項12】
操作部の操作により移動可能な光学部材と、前記光学部材の位置を検出し、検出値を出力する位置検出部と、前記検出値に基づいてレンズ装置の光学特性を取得する取得部とを備え、複数の目盛を有する第1操作部と、該第1操作部とは異なる複数の目盛を有する第2操作部とを前記操作部として交換可能なレンズ装置の制御方法であって、
前記第1操作部の複数の目盛に対応する複数の検出値を示す第1検出値情報と、前記第2操作部の複数の目盛に対応する複数の検出値を示す第2検出値情報と、前記第1操作部の複数の目盛に対応する複数の光学特性を示す第1光学特性情報と、前記第2操作部の複数の目盛に対応する複数の光学特性を示す第2光学特性情報とを記憶する記憶ステップと、
前記第1検出値情報または前記第2検出値情報を更新する調整実行ステップと、
前記調整実行ステップによって更新された前記第1検出値情報、又は前記調整実行ステップによって更新された前記第2検出値情報のうち一方を指定する指定ステップと、
前記指定ステップにおいて前記調整実行ステップによって更新された前記第1検出値情報が指定された場合は、前記光学部材の位置を検出する位置検出部により、該第1検出値情報と、前記第1光学特性情報と、前記検出値とに基づいて前記光学特性を取得し、前記指定ステップにおいて前記調整実行ステップによって更新された前記第2検出値情報が指定された場合、該第2検出値情報と、前記第2光学特性情報と、前記検出値とに基づいて前記レンズ装置の光学特性を取得する取得ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
請求項1に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、抵抗体の抵抗値の非直線性に伴う出力電圧の非直線性を抵抗体の両端以外の少なくとも1ヶ所に電圧を印加して補正することで、位置検出精度を向上させたレンズ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-125508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学部材の可動範囲における複数の位置(実際の位置)と位置検出部の検出値(出力)とに基づいて当該検出値を補正する方法が考えられる。ところが、複数の操作環を交換可能なレンズ装置が存在する。例えば、被写体距離に関しては、メートル単位の目盛が記載された操作環と、フィート・インチ単位の目盛が記載された操作環とを交換可能なレンズ装置が知られている。また、撮像光学系における一部の光学ユニットを交換可能なレンズ装置が存在する。この場合、ズームや絞り等の操作環も、当該交換により変化する光学特性に応じた操作環に交換する必要がある。
【0005】
操作環が交換された場合には、操作環の目盛の指標(指標線)の位置が変化する。このため、特定の操作環の指標に関して補正された位置検出部の検出値(位置情報)に対して、他の操作環の指標に関する当該位置検出部の検出値は、精度が低くなる。
【0006】
本発明は、例えば、操作環の指標に関して位置検出部により取得される位置情報の精度の点で有利なレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのレンズ装置は、操作部の操作により移動可能な光学部材と、前記光学部材の位置を検出し、検出値を出力する位置検出部と、前記検出値に基づいてレンズ装置の光学特性を取得する取得部とを備え、複数の目盛を有する第1操作部と、該第1操作部とは異なる複数の目盛を有する第2操作部とを前記操作部として交換可能なレンズ装置であって、前記第1操作部の複数の目盛に対応する複数の検出値を示す第1検出値情報と、前記第2操作部の複数の目盛に対応する複数の検出値を示す第2検出値情報と、前記第1操作部の複数の目盛に対応する複数の光学特性を示す第1光学特性情報と、前記第2操作部の複数の目盛に対応する複数の光学特性を示す第2光学特性情報とを記憶する記憶部と、前記第1検出値情報または前記第2検出値情報を更新する調整実行部と、前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報、又は前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報のうち一方を指定する指定部とを備え、前記取得部は、前記指定部により前記調整実行部によって更新された前記第1検出値情報が指定された場合、該第1検出値情報と、前記第1光学特性情報と、前記検出値とに基づいて前記光学特性を取得し、前記指定部により前記調整実行部によって更新された前記第2検出値情報が指定された場合、該第2検出値情報と、前記第2光学特性情報と、前記検出値とに基づいて、前記光学特性を取得する
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、操作環の指標に関して位置検出部により取得される位置情報の精度の点で有利なレンズ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1における撮像システムのブロック図である。
図2】実施例1におけるF操作部の説明図である。
図3】実施例1における光学情報テーブルの説明図である。
図4】実施例1における検出値テーブルの説明図である。
図5】実施例1における調整処理のフローチャートである。
図6】実施例1における算出処理の説明図である。
図7】実施例1における算出処理を説明図である。
図8】実施例1の変形例としての光学情報テーブルの説明図である。
図9】実施例1の変形例としての光学情報テーブルの説明図である。
図10】実施例1の変形例としての算出処理の説明図である。
図11】実施例2における撮像システムのブロック図である。
図12】実施例2におけるZ操作部の説明図である。
図13】実施例2におけるズームの光学情報テーブルの説明図である。
図14】実施例2におけるズームの検出値テーブルの説明図である。
図15】実施例2における調整処理のフローチャートである。
図16】実施例2における選択処理のフローチャートである。
図17】実施例2における算出処理の説明図である。
図18】実施例2におけるI操作部の説明図である。
図19】実施例2における絞りの光学情報テーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、図1乃至図10を参照して、本発明の実施例1におけるレンズ装置について説明する。図1は、本実施例における撮像システム100のブロック図である。撮像システム100は、撮像装置(カメラ本体)102と、撮像装置102に対して着脱可能なレンズ装置101とを備えて構成される。
【0013】
レンズ装置101は、複数の光学部材であるフォーカスレンズ1001f、ズームレンズ1001z、および絞り(開口絞り)1001iを介して、被写体の像を撮像装置102の撮像素子(不図示)に結像させる。F位置検出部1002f、Z位置検出部1002z、およびI位置検出部1002iはそれぞれ、フォーカスレンズ1001f、ズームレンズ1001z、および絞り1001iの位置を検出する位置検出部である。本実施例において、各位置検出部はポテンショメータであり、各光学部材の位置の変化に応じて検出値が非線形に変化する。
【0014】
F操作部1003f、Z操作部1003z、およびI操作部1003iはそれぞれ、フォーカスレンズ1001f、ズームレンズ1001z、および絞り1001iを操作する操作部である。本実施例における各操作部は、レンズ装置101の外装に設けられ、各光学部材とメカニカルに連動する操作環(例えば、光軸を中心として回転する操作環)であるが、これに限定されるものではない。また本実施例において、F操作部1003fは、フィート単位での目盛りを有するフィート操作環(第1操作部)、またはメートル単位での目盛りを有するメートル操作環(第2操作部)である。レンズ装置101は、フィート操作環とメートル操作環とが互いに交換可能に構成されている。ただし本実施例において、レンズ装置101は、F操作部1003fとして、第1操作部および第2操作部に加えて、これらの操作部とは異なる少なくとも一つの操作部を更に交換可能に構成されていてもよい。この点は、後述の実施例でも同様である。なお、フィート操作環およびメートル操作環の目盛りについての詳細は後述する。
【0015】
記憶部1004は、データを記憶するメモリであり、複数の光学情報テーブル(光学情報データ)、複数の検出値テーブル(検出値データ)、および選択情報などのデータを記憶している。記憶部1004は、CPU内部のROM(内部メモリ)、またはCPUとは異なる外部メモリのいずれでもよい。なお、光学情報テーブルおよび検出値テーブルについての詳細は後述する。調整実行部1005は、記憶部1004に記憶された検出値テーブルを変更するための調整処理を実行する実行部である。なお、調整実行部1005による調整処理の詳細については後述する。
【0016】
選択部(指定部)1006は、複数の光学情報テーブルおよび複数の検出値テーブルから、使用する光学情報テーブルおよび検出値テーブルを選択(指定)する。なお、選択部1006による選択処理(指定処理)の詳細については後述する。算出部(取得部)1007は、選択部1006により選択された光学情報テーブルおよび検出値テーブルを用いて、各光学部材の現在の位置に応じた光学情報を算出(取得)する。なお、算出部1007による算出処理(取得処理)の詳細については後述する。出力部1008は、算出部1007にて算出された光学情報を外部に出力する出力手段であり、本実施例においては撮像装置102に対して、通信を用いて出力する。なお、出力部1008による出力処理についての詳細は後述する。
【0017】
次に、図2(a)、(b)を参照して、F操作部1003fとしてのフィート操作環およびメートル操作環について説明する。図2(a)、(b)は、F操作部1003fの説明図である。図2(a)はフィート操作環の目盛りを示し、至近側は4ftから、無限側は無限遠を示すINFの目盛りが印字されている。図2(b)はメートル操作環の目盛りを示し、至近側は1mから、無限側は無限遠を示すINFの目盛りが印字されている。これらの目盛りは、フォーカスレンズ1001fがそれぞれの被写体距離となる位置に印字されている。そしてユーザは、目盛りを元にF操作部1003fを操作することにより、フォーカスレンズ1001fを所望の被写体距離に直感的に操作することができる。また、それぞれの目盛りには指標線(指標)があり、固定部に有する不図示の基準線(基準)と指標線とを一致させることにより、より厳密な操作を可能とすることができる。
【0018】
次に、図3(a)、(b)を参照して、記憶部1004に記憶されている光学情報テーブルについて詳述する。図3(a)、(b)は、光学情報テーブルの説明図である。図3(a)は、図2(a)に示されるフィート操作環に対応する光学情報テーブルであり、フィート操作環に応じた光学情報が記憶されている。Index1はF操作部1003fの至近側の端に相当する光学情報であり、レンズ装置101のMODである1mをft単位に換算した3.2808が記憶されている。Index2は、最も至近側の指標である4ftの際の光学情報として、4が記憶され、同様に、Index9までは各指標における光学情報が記憶されている。なお、Index9は無限遠を示す指標であり、その際の光学情報としては、9999が記憶されている。Index10は、F操作部1003fの無限側の端に相当する光学情報であり、最も無限側の指標であるINFと同じ光学情報が記憶されている。
【0019】
図3(b)は、図2(b)に示されるメートル操作環に対応する光学情報テーブルであり、メートル操作環に応じた光学情報が記憶されている。Index1は、F操作部1003fの至近側の端に相当する光学情報であり、レンズ装置101のMODである1mを示す1が記憶されている。Index2は、最も至近側の指標である1mの際の光学情報として、1が記憶され、同様に、Index8までは各指標における光学情報が記憶されている。なお、Index8は無限遠を示す指標であり、その際の光学情報としては、9999が記憶されている。Index9は、F操作部1003fの無限側の端に相当する光学情報であり、最も無限側の指標であるINFと同じ光学情報が記憶されている。Index10は、メートル操作環としては未使用のIndexであり、光学情報として未使用を示す0が記憶されている。
【0020】
以上のように、フィート操作環の場合にはフィート単位で、メートル操作環の場合にはメートル単位でそれぞれ光学情報テーブルを保持することにより、後述する単位変換の演算による演算誤差を小さくすることができる。
【0021】
次に、図4(a)、(b)を参照して、記憶部1004に記憶されている検出値テーブルについて詳述する。なお検出値テーブルは、調整実行部1005による調整処理によって書き換え可能である。調整実行部1005による調整処理の詳細については後述する。
【0022】
図4(a)は、図2(a)に示されるフィート操作環に対応する検出値テーブルであり、フィート操作環の指標位置におけるF位置検出部1002fの検出値が記憶されている。Index番号は図3(a)に示されるフィート操作環における光学情報テーブルのIndex番号と対応付けられており、Index1はF操作部1003fの至近側の端に位置したときのF位置検出部1002fの検出値VolA_01が記憶されている。Index2は、最も至近側の指標である3ftの際のF位置検出部1002fの検出値として、VolA_02が記憶され、同様に、Index9までは各指標におけるF位置検出部1002fの検出値が記憶されている。Index10は、F操作部1003fの無限側の端に相当するF位置検出部1002fの検出値であり、VolA_10が記憶されている。
【0023】
図4(b)は、図2(b)に示されるメートル操作環に対応する検出値テーブルであり、メートル操作環の指標位置におけるF位置検出部1002fの検出値が記憶されている。Index番号は図3(b)に示したメートル操作環における光学情報テーブルのIndex番号と対応付けられており、Index1はF操作部1003fの至近側の端に位置したときのF位置検出部1002fの検出値VolB_01が記憶されている。Index2は、最も至近側の指標である1mの際のF位置検出部1002fの検出値として、VolB_02が記憶され、同様に、Index8までは各指標におけるF位置検出部1002fの検出値が記憶されている。Index9は、F操作部1003fの無限側の端に相当するF位置検出部1002fの検出値であり、VolB_9が記憶されている。Index10は、メートル操作環としては未使用のIndexであり、検出値として未使用を示す0が記憶されている。なお、F位置検出部1002fの検出値は0となることは無いものとする。
【0024】
次に、図5を参照して、調整実行部1005による調整処理について詳述する。図5は、調整処理のフローチャートである。本フローチャートは、不図示の操作部により調整開始を指示された際に開始されるものである。
【0025】
ステップS100において調整実行部1005が調整処理を開始すると、ステップS101へ進む。続いてステップS101において、調整実行部1005は、レンズ装置101に取り付けられている操作環(F操作部1003)がフィート操作環であるか否かを判定する。操作環がフィート操作環である場合、ステップS102へ進む。一方、操作環がフィート操作環でない場合、ステップS104へ進む。なお、操作環の判定は、不図示の操作部を介した調整開始時のユーザ設定により行われる。
【0026】
ステップS102において、調整実行部1005は、調整で使用する光学情報テーブルとしてフィートの光学情報テーブルを採用する。続いてステップS103において、調整実行部1005は、調整する検出値テーブルとして、フィートの検出値テーブルを採用する。
【0027】
ステップS104において、調整実行部1005は、調整で使用する光学情報テーブルとしてメートルの光学情報テーブルを採用する。続いてステップS105において、調整実行部1005は、調整する検出値テーブルとして、メートルの検出値テーブルを採用する。
【0028】
続いてステップS106において、調整実行部1005は、調整を実行するIndexを示す調整Indexを1とする。続いてステップS107において、調整実行部1005は、ユーザによる調整実行操作があったか否かを判定する。調整実行操作があった場合、ステップS108へ進む。一方、調整実行操作がない場合、ステップS107を繰り返す。ここでユーザは、F操作部1003fを、調整Indexに相当する位置に操作し、不図示の操作部により調整実行操作を行う。なお、この際に、例えば出力部1008にPCなどを接続し、PCを介してユーザに対して調整Indexを通知することや、光学情報テーブルを参照し、調整Indexに応じた光学情報を通知してもよい。それにより、ユーザが迷うことなく調整実行操作を行うことが可能となる。
【0029】
ステップS108において、調整実行部1005は、検出値テーブルのうち調整Index番号の検出値を、現在のF位置検出部1002fの検出値に更新する。続いてステップS109において、調整実行部1005は、調整Indexに1を加算する。続いてステップS110において、調整実行部1005は、調整終了か否かを判定する。調整終了である場合、ステップS111へ進む。一方、調整終了でない場合、ステップS107へ戻る。なお本実施例では、光学情報テーブルの調整Indexに応じた光学情報が0である場合、または調整IndexがIndexの最大値である10より大きくなった場合の何れかで、調整終了と判定する。
【0030】
ステップS111において、調整実行部1005は、選択情報として、現在の操作環がいずれであるかを記憶部1004に記憶する。ここで選択情報とは、最後に調整処理を行った際の操作環の情報である。続いてステップS112において、調整実行部1005は、調整処理を終了する。
【0031】
以上のフローにより、ユーザは、F操作部1003fの指標の位置において、検出値テーブル内の検出値を書き換えることが可能であり、選択情報として、最後に調整処理を行った際の指標間の情報を記憶させることが可能である。
【0032】
次に、選択部1006による、複数の光学情報テーブルおよび複数の検出値テーブルから、使用する光学情報テーブルおよび検出値テーブルを選択する選択処理について説明する。本実施例における選択部1006は、記憶部1004に記憶されている選択情報に応じた光学情報テーブルおよび検出値テーブルを参照する。すなわち本実施例では、現在の操作環がいずれであるかには依存しない。
【0033】
次に、図6を参照して、算出部1007による、光学情報テーブルおよび検出値テーブルを用いて、フォーカスレンズ1001fの現在の位置に応じた光学情報を算出する算出処理について説明する。ここでは、選択部1006によりフィート操作環に応じた光学情報テーブルおよび検出値テーブルを参照した場合について説明する。
【0034】
図6は、算出処理の説明図であり、フィート操作環における光学情報テーブルと検出値テーブルとの関係を示すグラフである。図6において、横軸は検出値、縦軸は光学情報をそれぞれ示す。グラフ線Laは、記憶部1004に記憶されているフィート操作環における光学情報テーブルと検出値テーブルを用い、Indexの間を直線で近似し補完したグラフ線である。
【0035】
算出部1007は、選択部1006によって光学情報テーブルと検出値テーブルから生成したグラフ線Laを用いて、現在のF位置検出部1002fの検出結果から、フィート単位の光学情報を算出する。また、算出されたフィート単位の光学情報を元に単位変換を行い、メートル単位の光学情報を算出する。なお、選択部1006によりメートル操作環に応じた光学情報テーブルおよび検出値テーブルを参照した場合における、メートル操作環に応じた光学情報を算出する処理は、フィート操作環と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
次に、出力部1008におけるデータの出力について説明する。出力部1008は、撮像装置102と通信を行う通信部であり、撮像装置102からの要求に応じて光学情報を出力する。すなわち、フィート単位で光学情報を要求された際にはフィート単位の光学情報を返信し、メートル単位で要求された際にはメートル単位の光学情報を出力する。以上により、取り付けられている操作環に応じた調整が可能であり、また、その調整値(調整値データ)を適切に使用して光学情報を算出することができる。
【0037】
次に、図7を参照して、本実施例の効果について説明する。図7は、算出処理の説明図であり、光学情報テーブルと検出値テーブルとの関係を示すグラフである。図7において、横軸は検出値、縦軸は光学情報をそれぞれ示す。グラフ線Laは、図6のグラフにおけるグラフ線Laと同一であり、説明の都合上一部を拡大している。グラフ線Lbは、記憶部1004に記憶されているメートル操作環における光学情報テーブルと検出値テーブルを用い、Indexの間を直線で近似し補完したグラフ線である。すなわち、選択情報がフィート操作環である場合はグラフ線Laを基に、メートル操作環である場合はグラフ線Lbを基に、光学情報が算出される。
【0038】
ここで、フィート操作環において調整処理が実行された後、メートル操作環に交換を行い、調整処理を実行しなかった場合についての光学情報の算出について考える。すなわち、メートル操作環が取り付けられているが、光学情報はグラフ線Laを基に算出される場合である。操作環を5mの指標に合わせた際の検出値はVolB_06であり、その際に算出される光学データは、Pa_B06に示されるように、5mから少しずれた値となる。すなわち、5mの指標に合わせた際に、撮像システム100に対しては正確に5mではなく、誤差を持った値を出力する。
【0039】
一方、メートル操作環に交換を行い、調整処理を実行した場合、すなわち、メートル操作環が取り付けられ、光学情報はグラフ線Lbを基に算出される場合である。操作環を5mの指標に合わせた際の検出値はVolB_06であり、その指標位置で調整処理を行っているため、その際に算出される光学データは、Pb_B06に示されるように、正確に5mとすることができる。
【0040】
以上説明したように、指標位置により調整処理を行い、また光学情報の算出に使用する検出値テーブル及び光学情報テーブルを適切に選択することで、指標位置において誤差が載ることなく光学データを算出し、出力することが可能となる。なお、フィート操作環において調整処理が実行されたのち、メートル操作環に交換を行い、調整処理を実行しなかった場合でも、誤差が許容できる範囲内であれば、メートル操作環において再度調整処理を行わなくてもよい。
【0041】
(変形例1)
本実施例において、光学情報テーブルは、フィート操作環の場合はフィート単位で、メートル操作環の場合はメートル単位で光学情報を保持していたが、これに限定されるものではない。図8(a)、(b)は、本実施例の変形例1としての光学情報テーブルの説明図である。図8(a)、(b)に示されるように、フィート操作環の場合でもメートル単位に変換した後の値として記憶していてもよい。このようにすることで、それぞれの場合の光学情報テーブルの光学情報が統一的な概念の情報となるため、算出部1007での算出処理において、どちらの光学情報テーブルを使用したかを管理する必要を無くすことができる。
【0042】
図9(a)~(d)は、本変形例としての光学情報テーブルの説明図である。図9(a)は、フィート操作環における指標割合情報であり、各Indexに応じた割合情報を示すテーブルである。具体的には、例えばIndex2である4ftの指標位置は、フォーカスレンズ1001fの可動域全体を100%としたときに、MODの端から11%だけ内側となる位置であることを示す。同様に、図9(b)は、メートル操作環における指標割合情報であり、各Indexに応じた割合情報を示すテーブルである。そして、算出部1007は、F位置検出部1002fの検出結果と、指標割合情報とから、まず全域の割合の情報を算出する。
【0043】
その後、図9(c)に示されるように、光学割合情報を用いて、全域の割合の情報から、光学情報である被写体距離を算出する。光学割合情報をより細かく保持することにより、F操作部1003fに記載されている指標の間隔よりも細かい分割でのテーブルを基に、指標の無い領域においてもより精度の高い光学情報を算出することが可能である。
【0044】
また、図9(d)に示されるように、光学割合情報において、指標位置の割合と一致する光学情報を必ず保持するようにすることで、指標位置における被写体距離算出の際の演算誤差の影響を最小限とすることができる。
【0045】
また本実施例において、光学情報を直線近似で算出する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、一般的に被写体距離はフォーカスレンズ1001fの繰り出し量の逆数に比例するため、逆数を用いて近似を行ってもよい。また、レンズの設計情報を基に算出した近似式を保持し、その近似式を用いて近似を行ってもよい。
【0046】
(変形例2)
本実施例において、選択部1006は、選択情報である最後に調整処理を行った際の操作環の情報を基に検出値テーブルおよび光学情報テーブルを選択するが、これに限定されるものではない。レンズ装置101は、図1に示されるように、レンズ装置101に取り付けられた操作環を検出(識別)する操作環検出部(識別部)1009を更に有し、選択部1106は、操作環検出部1009による検出結果を元に選択を行ってもよい。すなわち、操作環検出部1009がフィート操作環を検出した場合はフィートの光学情報テーブルおよび検出値テーブルを採用し、操作環検出部1009がメートル操作環を検出した場合はメートルの光学情報テーブルおよび検出値テーブルを採用してもよい。この場合、取り付けられている操作環に応じたテーブルを参照するため、操作環の交換時に再度調整を実行せずとも、その操作環の指標位置に正しい光学情報を算出することができる。
【0047】
ただし、出荷前に必ず双方の操作環にて調整を行っておくか、初めて操作環の交換を行った場合には調整を行う必要がある。また、操作環の交換作業において、指標位置がずれる可能性がある場合には、操作環の交換作業を行う度に調整処理を行うことが望ましい。
【0048】
また、操作環検出部1009による検出結果側の調整が行われているか、すなわち調整値に正しい値が保存されているかを判定するようにしてもよい。例えば、検出値テーブルのうち検出値が入るべきであるすべてのIndexにおいて、無効となる値ではない値が保存されているかどうかを確認すればよい。保存されている場合は検出結果を元に選択し、保存されていない場合は、最後に調整処理を行った際の操作環の情報を基に選択することも考えられる。これにより、指標交換後に調整が行われなかった場合にも、誤差が載ることを許容した上で光学情報を算出することが可能となる。
【0049】
また選択部1006は、調整値に正しい値が保存されているテーブルを全て使用するよう選択してもよい。例えば本実施例において調整値に正しい値が保存されているテーブルを全て使用するよう選択した場合、図10に示されるグラフのようになる。図10は、本変形例としての算出処理の説明図であり、光学情報と検出値との関係を示すグラフである。図10において、横軸は検出値、縦軸は光学情報をそれぞれ示す。この場合、図8(a)、(b)のようにフィートでもメートル単位で光学情報を所持するか、図9(a)~(d)のように、割合の情報として所持する方が望ましく、それにより、算出部1007は統一的な概念の情報で光学情報の算出が可能となる。
【0050】
また選択部1006は、撮像装置102からの要求に応じて、テーブルを選択してもよい。具体的には、撮像装置102からフィート単位のデータ取得要求が有った場合には、フィートの光学情報テーブルおよび検出値テーブルを採用し、メートル単位のデータ取得要求が有った場合には、メートルの光学情報テーブルおよび検出値テーブルを採用しても良い。それにより、撮像装置102に要求された単位での値と、その単位での指標との一致度を向上させることができる。
【0051】
また、フィート操作環において調整処理が実行された後、メートル操作環に交換を行い、調整処理を実行しなかった場合、すなわち、指標位置において誤差を持った値を出力する状態である場合に、操作環の交換を行った作業者に対して通知を行ってもよい。具体的には、操作環検出部1009の検出結果と、選択部1006での検出値テーブルの選択結果とが異なる場合に、通知を行う。通知は、例えば不図示のLEDを点灯させてもよく、または出力部1008にPC等を接続し、PCを介して、ユーザに対して通知してもよい。これにより、操作環の交換ののちの調整処理を実行し忘れることを防ぐことが可能である。
【0052】
本実施例において、F操作部1003fに関して、フィート操作環とメートル操作環とが交換可能であると説明したが、これに限定されるものではない。例えば、I操作部1003iに関して、F値での操作環とT値での操作環であったり、Z操作部1003zに関して、焦点距離の操作環と画角の操作環とであったり、撮像素子サイズの異なる撮像装置に応じたそれぞれの焦点距離の操作環でもよい。
【0053】
また、F操作部1003fとして操作環を例に説明を行ったが、これに限定されるものではない。ギアを介してメカニカルに操作する操作部でもよく、コネクタを介して電気的に、もしくは通信を用いて操作する操作部でもよい。なお、後者の場合にはモータなどの駆動部(不図示)が必要となる。
【実施例2】
【0054】
次に、図11乃至図19を参照して、本発明の実施例2におけるレンズ装置について説明する。図11は、本実施例における撮像システム200のブロック図である。撮像システム200は、撮像装置(カメラ本体)102と、撮像装置102に対して着脱可能なレンズ装置201とを備えて構成される。なお本実施例において、実施例1のレンズ装置101と同等の構成については、図1と同符号を付し、それらの説明を省略する。
【0055】
記憶部2004はデータを記憶するメモリである。記憶部2004の構成は実施例1の記憶部1004と同一であるが、記憶情報が異なる。なお、本実施例における光学情報テーブルおよび検出値テーブルについての詳細は後述する。調整実行部2005は、記憶部2004に記憶される検出値テーブルを変更するための調整処理を実行する実行部である。なお、調整実行部2005による調整処理の詳細については後述する。選択部(指定部)2006は、複数の光学情報テーブルおよび複数の検出値テーブルから、使用する光学情報テーブルおよび検出値テーブルを選択(指定)する。なお、選択部2006による選択処理(指定処理)の詳細については後述する。算出部(取得部)2007は、選択部2006により選択された光学情報テーブルおよび検出値テーブルを用いて、各光学部材の現在の位置に応じた光学情報を算出(取得)する。なお、算出部2007による算出処理(取得処理)の詳細については後述する。
【0056】
レンズ装置201内の光学ユニット2009は、レンズ装置201の光線を撮像装置102に導くリレー群である。レンズ装置201は、光学ユニット2009として、フルフレームのイメージサークルに光線を導く光学ユニット(第1光学ユニット)と、スーパー35のイメージサークルに光線を導く光学ユニット(第2光学ユニット)とを交換可能に構成されている。第2光学ユニットは、第1光学ユニットに比べて約0.7倍の倍率となる縮小光学系である。これにより、対応するイメージサークルが小さくなる分、明るいレンズとすることができる。その際、焦点距離が約0.7倍となり、またその分絞り径に応じた明るさは約1段分明るくなるため、通常の光学ユニットと縮小光学系ユニットとで、レンズとしての焦点距離や明るさが異なることになる。すなわち、光学ユニット入れ替えの際には、ズームや絞りの操作環もそれぞれの光学特性に応じた操作環(第1操作環、第2操作環)に交換する必要がある。なお、光学ユニットに応じて被写体距離は変化しないものとする。光学ユニット検出部2010は、光学ユニット2009として、フルフレーム用の光学ユニットとスーパー35用の光学ユニットとのいずれが配置されているかを検出する検出部(識別部)である。
【0057】
次に、本実施例におけるズームについて説明を行う。まず、図12(a)、(b)を参照して、Z操作部1003zにおけるフルフレーム用ズーム操作環(第1操作環)およびスーパー35用ズーム操作環(第2操作環)について説明する。図12(a)、(b)は、Z操作部1003zの説明図である。図12(a)はフルフレーム用ズーム操作環の目盛りを示し、広角側は23mmから、望遠側は70mmまでの目盛りが印字されている。図12(b)はスーパー35用ズーム操作環の目盛りを示し、広角側は16mmから、望遠側は50mmまでの目盛りが印字されている。これらの目盛りは、ズームレンズ1001zが、それぞれの光学ユニットが装着された際の焦点距離となる位置に印字されている。そして、ユーザは目盛りを元にZ操作部1003zを操作することにより、ズームレンズ1001zを所望の焦点距離に直感的に操作することができる。また、それぞれの目盛りには指標線があり、固定部に有する不図示の基準線と指標線を一致させることにより、より厳密な操作を可能とすることができる。
【0058】
次に、図13(a)~(d)を参照して、ズームの光学情報テーブルについて詳述する。図13(a)~(d)は、ズームの光学情報テーブルの説明図である。なお、ズームの光学情報テーブルは、図9(a)~(d)に示される、操作環で操作可能な操作範囲に対する割合である指標割合情報と、光学部材における前記操作範囲の割合に応じた光学情報である光学割合情報との組み合わせで保持している。
【0059】
図13(a)は、図12(a)に示される、フルフレーム用ズーム操作環に対応する光学情報テーブルのうちの指標割合情報であり、フルフレーム用ズーム操作環に応じた、操作可能な操作範囲に対する割合の情報が記憶されている。図13(b)は、図12(b)に示される、スーパー35用ズーム操作環に対応する光学情報テーブルのうちの指標割合情報であり、スーパー35用ズーム操作環に応じた、操作可能な操作範囲に対する割合の情報が記憶されている。なお、それぞれにおける具体的な表の見方は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
図13(c)は、フルフレーム用の光学ユニットが装着されている場合の光学割合情報であり、全域の割合の情報から、光学情報としてフルフレーム用光学ユニットが装着されている場合の焦点距離を算出することができる。同様に、図13(d)は、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合の光学割合情報であり、全域の割合の情報から、光学情報として、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合の焦点距離を算出することができる。
【0061】
次に、図14(a)、(b)を参照して、ズームの検出値テーブルについて詳述する。なお、検出値テーブルは、調整実行部2005による調整処理によって書き換えが可能な構成である。調整実行部2005による調整処理の詳細については後述する。図14(a)は、図12(a)に示されるフルフレーム用ズーム操作環に対応する検出値テーブルであり、フルフレーム用ズーム操作環の指標位置におけるZ位置検出部1002zの検出値が記憶されている。同様に、図14(b)は、図12(b)に示されるスーパー35用ズーム操作環に対応する検出値テーブルであり、スーパー35用ズーム操作環の指標位置におけるZ位置検出部1002zの検出値が記憶されている。
【0062】
次に、図15を参照して、調整実行部2005による調整処理について詳述する。図15は、調整処理のフローチャートである。なお図15において、実施例1と同等のフローについては、図5と同符号を付し、それらの説明を省略する。
【0063】
まずステップS100において調整実行部2005が調整処理を開始すると、ステップS201へ進む。ステップS201において、調整実行部2005は、レンズ装置201に取り付けられているズーム操作環がフルフレーム用ズーム操作環であるか否かを判定する。ズーム操作環がフルフレーム用ズーム操作環である場合、ステップS202へ進む。一方、ズーム操作環がフルフレーム用ズーム操作環でない場合、ステップS204へ進む。なお、操作環の判定は、不図示の操作部を介した調整開始時のユーザ設定により行われる。
【0064】
ステップS202において、調整実行部2005は、調整で使用する光学情報テーブルとして、フルフレーム用ズーム操作環に対応した、フルフレーム用の光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを採用する。すなわち、図13(a)に示される指標割合情報と、図13(c)に示される光学割合情報との組み合わせを採用する。続いてステップS203において、調整実行部2005は、調整する検出値テーブルとして、フルフレーム用ズーム操作環に対応した検出値テーブルを採用する。
【0065】
ステップS204において、調整実行部2005は、調整で使用する光学情報テーブルとして、スーパー35用ズーム操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを採用する。すなわち、図13(b)に示される指標割合情報と、図13(d)に示される光学割合情報との組み合わせを採用する。続いてステップS205において、調整実行部2005は、調整する検出値テーブルとして、スーパー35用ズーム操作環に対応した検出値テーブルを採用する。なお、図15の以後のフローは、図5のフローと同等である。
【0066】
次に、図16を参照して、選択部1006による、複数の光学情報テーブルおよび複数の検出値テーブルから、使用する光学情報テーブルおよび検出値テーブルを選択する選択処理について説明する。図16は、選択処理のフローチャートである。
【0067】
まずステップS300において選択部1006が選択処理を開始すると、ステップS301へ進む。ステップS301において、選択部1006は、記憶部1004に記憶された選択情報に基づいて、最後に調整処理が実行された操作環がフルフレーム用ズーム操作環であるか否かを判定する。操作環がフルフレーム用ズーム操作環である場合、ステップS302へ進む。一方、操作環がフルフレーム用ズーム操作環でない場合、ステップS303へ進む。
【0068】
ステップS302において、選択部1006は、フルフレーム用ズーム操作環に対応する検出値テーブルを選択する。続いてステップS303において、選択部1006は、光学ユニット検出部2010による検出結果に基づいて、現在構成されている光学ユニットがフルフレーム用の光学ユニットであるか否かを判定する。光学ユニットがフルフレーム用の光学ユニットである場合、ステップS304へ進む。一方、光学ユニットがフルフレーム用の光学ユニットでない場合、ステップS305へ進む。
【0069】
ステップS304において、選択部1006は、フルフレーム用ズーム操作環に対応した、フルフレーム用の光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択する。すなわち、図13(a)に示される指標割合情報と、図13(c)に示される光学割合情報との組み合わせを採用する。ステップS305において、選択部1006は、フルフレーム用ズーム操作環に対応した、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択する。すなわち、図13(a)に示される指標割合情報と、図13(d)に示される光学割合情報との組み合わせを採用する。
【0070】
ステップS306において、選択部1006は、スーパー35用ズーム操作環に対応する検出値テーブルを選択する。続いてステップS307において、選択部1006は、光学ユニット検出部2010による検出結果に基づいて、現在構成されている光学ユニットがフルフレーム用の光学ユニットであるか否かを判定する。光学ユニットがフルフレーム用の光学ユニットである場合、ステップS308へ進む。一方、光学ユニットがフルフレーム用の光学ユニットでない場合、ステップS309へ進む。
【0071】
ステップS308において、選択部1006は、スーパー35用ズーム操作環に対応した、フルフレーム用の光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択する。すなわち、図13(b)に示される指標割合情報と、図13(c)に示される光学割合情報との組み合わせを採用する。ステップS309において、選択部1006は、スーパー35用ズーム操作環に対応した、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択する。すなわち、図13(b)に示される指標割合情報と、図13(d)に示される光学割合情報との組み合わせを採用する。そしてステップS310において、選択処理は終了する。
【0072】
次に、算出部2007によるズーム光学情報の算出処理について説明する。まず、図16のフローチャートにおいてステップS304へ進んだ場合について説明する。これは、フルフレーム用ズーム操作環に対応した検出値テーブル、および、フルフレーム用ズーム操作環に対応した、フルフレーム用光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択した場合である。すなわち、図13(a)に示される指標割合情報と図13(c)に示される光学割合情報との組み合わせである光学情報テーブルと、図14(a)に示される検出値テーブルとを選択した場合である。この場合、図9(a)~(d)を参照して説明した実施例1の算出処理と考え方は同一であるため、その説明を省略する。
【0073】
次に、図16のフローチャートにおいてステップS305へ進んだ場合について説明する。これは、フルフレーム用ズーム操作環に対応した検出値テーブル、および、フルフレーム用ズーム操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択した場合である。すなわち、図13(a)に示される指標割合情報と、図13(d)に示される光学割合情報との組み合わせである光学情報テーブルと、図14(a)に示される検出値テーブルとを選択した場合である。この場合、検出値テーブルはフルフレーム用ズーム操作環の指標位置に応じた検出値を保持している。一方、現在構成されている光学ユニットはスーパー35用光学ユニットであり、選択した検出値テーブルと構成されている光学ユニットとで乖離が発生している状況である。
【0074】
そこで、光学情報テーブルとして、フルフレーム用ズーム操作環に対応した指標割合情報と、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合の光学割合情報との組み合わせで光学情報テーブルを選択する。これにより、選択した検出値テーブルと構成されている光学ユニットとの乖離を吸収することが可能となる。すなわち、フルフレーム用ズーム操作環に対応した検出値テーブルから、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合の光学情報を生成することが可能となる。
【0075】
具体的に、図17を参照して説明する。図17は、算出処理の説明図であり、フルフレーム用ズーム操作環に対応した検出値テーブル、および、フルフレーム用ズーム操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合の光学情報テーブルを選択した場合の関係を示すグラフである。図17において、横軸はズームレンズ1001zの位置、縦軸は光学情報をそれぞれ示す。
【0076】
図14(a)に示される検出値テーブルは、フルフレーム用ズーム操作環の指標位置に応じた検出値を保持しているため、Index2の検出値は、フルフレーム用ズーム操作環で35mmの指標が記載されている位置であり、VolA_22に調整されている。ここで、図13(a)に示されるフルフレーム用ズーム操作環に対応した指標割合情報より、Index2の位置の、可動域全域に対する割合は40%である。また、図13(d)に示されるスーパー35用の光学ユニットが装着されている場合の光学割合情報より、40%の位置での光学情報が25mmであることが分かる。このように、フルフレーム用ズーム操作環にて調整された、Index2の位置での検出値VolA_22を使用して、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合の光学情報を算出することが可能である。なお、図16においてステップS308へ進んだ場合、またはステップS309へ進んだ場合については、ステップS304、S305へ進んだ場合と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0077】
以上のように、算出部2007は、Z位置検出部1002zの検出結果と、最後に調整処理が実行された操作環の情報である選択情報と、現在装着されている光学ユニットの検出結果とから、適切な光学情報を算出することができる。このため、調整時に取り付けられているズーム操作環に応じた調整が可能で、その調整値を適切に使用し、現在構成されている光学ユニット2009に応じた光学情報を算出することができる。
【0078】
次に、絞り1001iについて説明する。図18(a)~(d)を参照して、I操作部1003iにおけるフルフレーム用の絞りF値操作環、スーパー35用の絞りF値操作環、フルフレーム用の絞りT値操作環、およびスーパー35用絞りT値操作環について説明する。図18(a)~(d)は、I操作部1003iの説明図である。図18(a)はフルフレーム用の絞りF値操作環の目盛りを示し、開放側はF4から、小絞り側はF32までの目盛りが印字されている。図18(b)はスーパー35用の絞りF値操作環の目盛りを示し、開放側はF2.8から、小絞り側はF22までの目盛りが印字されている。図18(c)はフルフレーム用の絞りT値操作環の目盛りを示し、開放側はT4.3から、小絞り側はT32までの目盛りが印字されている。図18(d)はスーパー35用の絞りT値操作環の目盛りを示し、開放側は3から、小絞り側はT22までの目盛りが印字されている。
【0079】
これらの目盛りは、絞り1001iがそれぞれの光学ユニットが装着された際のF値またはT値となる位置に印字されている。そして、ユーザは目盛りを元にI操作部1003iを操作することで、絞り1001iを所望のF値またはT値に直感的に操作することができる。また、それぞれの目盛りには指標線があり、固定部に有する不図示の基準線と指標線を一致させることにより、より厳密な操作を可能とすることができる。
【0080】
次に、図19(a)~(g)を参照して、絞り1001iの光学情報テーブルについて詳述する。図19(a)~(g)は、絞り1001iの光学情報テーブルの説明図である。
【0081】
図19(a)は、図18(a)に示されるフルフレーム用の絞りF値操作環に対応した、フルフレーム用光学ユニットが装着されている場合のF値の光学情報テーブルである。光学情報として、フルフレーム用絞りF値操作環に印字されている指標のF値に対応した光学情報が記憶されている。ここでの光学情報は、F1.0からの段数に10をかけた値であり、以下の式1及び式2を用いて、光学情報とF値とを相互に変換可能である。
【0082】
F値=2^((光学情報)/20) ・・・(1)
光学情報=Log2((F値)×20) ・・・(2)
同様に、図19(b)は、図18(b)に示されるスーパー35用の絞りF値操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合のF値の光学情報テーブルである。光学情報として、スーパー35用絞りF値操作環に印字されている指標のF値に対応した光学情報が記憶されている。
【0083】
図19(c)は、図18(c)に示されるフルフレーム用の絞りT値操作環に対応した、フルフレーム用光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルである。光学情報として、フルフレーム用絞りT値操作環に印字されている指標のT値に対応した光学情報が記憶されている。ここでの光学情報は、T1.0からの段数に10をかけた値であり、以下の式3及び式4を用いて、光学情報とT値とを相互に変換可能である。
【0084】
T値=2^((光学情報)/20) ・・・(3)
光学情報=Log2((T値)×20) ・・・(4)
同様に、図19(d)は、図18(d)に示されるスーパー35用の絞りT値操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルである。光学情報として、スーパー35用絞りT値操作環に印字されている指標のT値に対応した光学情報が記憶されている。
【0085】
図19(e)は、図18(a)に示されるフルフレーム用の絞りF値操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合のF値の光学情報テーブルである。図19(f)は、図18(a)に示されるフルフレーム用の絞りF値操作環に対応した、フルフレーム用光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルである。図19(g)は、図18(a)に示されるフルフレーム用絞りF値操作環に対応した、スーパー35用光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルである。すなわち、図19(e)~(g)は、調整処理を行う際の操作環と、光学情報を算出する際の光学ユニットの状態及び求める光学情報の種類とが一致していない場合に使用する光学情報テーブルである。また、スーパー35用の絞りF値操作環に対応した、フルフレーム用の光学ユニットが装着されている場合のF値の光学情報テーブル等の、その他の組み合わせの光学情報テーブルについては同様の考え方であるため説明を省略する。
【0086】
次に、絞り1001iの検出値テーブルについて詳述する。絞り1001iの検出値テーブルは、4種類の絞り操作環に応じた4種類の検出値テーブルを有し、それぞれを記憶可能であるとする。なお、詳細は実施例1または実施例2のズームと同等であるため、説明を省略する。
【0087】
次に、調整実行部2005による絞り調整処理について詳述する。絞り調整処理は、4種類の絞り操作環のうち、調整時に取り付けられている操作環に応じて、4種類の検出値テーブルの何れかの値を書き換える。なお、その詳細は実施例1または実施例2のズームと同等であるため、説明を省略する。
【0088】
次に、選択部1006による、複数の光学情報テーブルおよび複数の検出値テーブルから、使用する光学情報テーブル及び検出値テーブルを選択する選択処理について説明する。まず、検出値テーブルについては、実施例1または実施例2のズームと同様に、記憶部1004に記憶された選択情報に基づいて、最後に調整処理が実行された操作環に基づく検出値テーブルを選択する。具体的には、例えば、最後に調整処理が実行された操作環がフルフレーム用の絞りF値操作環である場合、フルフレーム用の絞りF値操作環に応じた検出値テーブルを選択する。
【0089】
次に、光学情報テーブルについては、選択された検出値テーブルと、現在構成されている光学ユニット2009と、撮像装置102から要求されている絞り情報がF値かT値かによって、光学情報テーブルを選択する。具体的には、フルフレーム用の絞りF値操作環に応じた検出値テーブルが選択され、現在スーパー35用の光学ユニットが装着され、撮像装置102からT値の要求が来た場合を考える。この場合、図19(g)に示される、フルフレーム用の絞りF値操作環に対応した、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルを選択する。
【0090】
次に、算出部2007による絞り光学情報の算出処理について説明する。算出部2007による絞り光学情報の算出処理は、実施例1における算出処理と考え方は同一である。具体例として、フルフレーム用の絞りF値操作環に応じた検出値テーブルと、フルフレーム用の絞りF値操作環に対応した、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルを選択した場合について説明する。この場合、検出値テーブルは、フルフレーム用の絞りF値操作環の指標位置に応じた検出値を保持している。一方、現在構成されている光学ユニットはスーパー35用の光学ユニットであり、選択した検出値テーブルと構成されている光学ユニットとで乖離が発生している。また、撮像装置102からT値の情報を要求されており、検出値テーブルと撮像装置102からの要求とでも乖離が発生している。
【0091】
そこで、光学情報テーブルとして、フルフレーム用の絞りF値操作環に対応した、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報テーブルを選択する。これにより、選択した検出値テーブルと構成されている光学ユニットとの乖離、および、撮像装置102からの要求との乖離を吸収することが可能となる。すなわち、フルフレーム用の絞りF値操作環に対応した検出値テーブルから、スーパー35用の光学ユニットが装着されている場合のT値の光学情報を生成することが可能となる。
【0092】
以上により、調整時に取り付けられている絞り操作環に応じた調整が可能で、その調整値を適切に使用し、現在構成されている光学ユニット2009および撮像装置102からの要求に応じた光学情報を算出することができる。
【0093】
(変形例3)
本実施例では、絞り1001iの検出値テーブルを4種類の操作環それぞれで有する構成とした。しかし、例えば、フルフレーム用の絞りF値操作環とスーパー35用の絞りF値操作環とで指標の数値は異なるものの、指標線の位置がそれぞれ一致する場合、検出値テーブルを共通とし、記憶可能とするテーブルの数を削減してもよい。これは、光学ユニット2009の交換に伴うF値の差分が1段分であるときに相当する。また、本実施例における光学ユニット検出部2010は、光学ユニットを自動的に検出可能に構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、基板上に構成された設定用のスイッチで検出してもよく、または、調整実行部と同様の構成で設定を行うことで検出するようにしてもよい。
【0094】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0095】
各実施例のレンズ装置は、交換可能な複数の操作環のそれぞれに対して適切な調整値を選択可能であるため、精度よく位置情報を生成することができる。このため各実施例によれば、例えば、操作環の指標に関して位置検出部により取得される位置情報の精度の点で有利なレンズ装置、レンズ装置の制御方法、およびプログラムを提供することができる。
【0096】
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
第1操作部と第2操作部とが互いに交換可能なレンズ装置であって、
前記第1操作部または前記第2操作部の操作により移動可能な光学部材と、
前記光学部材の位置を検出する位置検出部と、
前記第1操作部の複数の指標に関してそれぞれ前記位置検出部により出力された第1の複数の検出値および前記第2操作部の複数の指標に関してそれぞれ前記位置検出部により出力された第2の複数の検出値を記憶する記憶部と、
前記光学部材の位置に基づいて前記レンズ装置の光学特性を取得する取得部と、
前記第1操作部および前記第2操作部のうち使用される一方を指定する指定部とを有し、
前記取得部は、前記指定部により前記第1操作部が指定された場合は少なくとも前記第1の複数の検出値に基づいて、前記指定部により前記第2操作部が指定された場合は少なくとも前記第2の複数の検出値に基づいて、前記光学特性を取得することを特徴とするレンズ装置。
(構成2)
前記第1操作部における前記複数の指標の配置は、前記第2操作部における前記複数の指標の配置とは互いに異なることを特徴とする構成1に記載のレンズ装置。
(構成3)
前記第1操作部および前記第2操作部は、それぞれ互いに交換可能な第1操作環および第2操作環であることを特徴とする構成1または2に記載のレンズ装置。
(構成4)
前記第1操作部および前記第2操作部を識別する識別部を有し、
前記指定部は、前記識別部の出力に基づいて、前記第1操作部および前記第2操作部のうち一方を指定することを特徴とする構成1ないし3のうちいずれかに記載のレンズ装置。
(構成5)
前記記憶部は、前記第1の複数の検出値および前記第2の複数の検出値のうち最新の方を示す最新情報を記憶し、
前記指定部は、前記最新情報に基づいて、前記第1操作部および前記第2操作部のうち一方を指定することを特徴とする構成1ないし3のうちいずれかに記載のレンズ装置。
(構成6)
前記第1操作部の複数の指標に対応する光学特性の単位および前記第2操作部の複数の指標に対応する光学特性の単位は、互いに異なることを特徴とする構成1ないし5のうちいずれかに記載のレンズ装置。
(構成7)
前記レンズ装置は、第1光学ユニットおよび第2光学ユニットが互いに交換可能であり、前記第1操作部の複数の指標および前記第2操作部の複数の指標は、それぞれ前記第1光学ユニットおよび前記第2光学ユニットに対応していることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成8)
前記第1光学ユニットおよび前記第2光学ユニットを識別する識別部を有し、
前記指定部は、該識別部の出力に基づいて、前記第1操作部および前記第2操作部のうち一方を指定することを特徴とする構成7に記載のレンズ装置。
(構成9)
前記第1の複数の検出値および前記第2の複数の検出値の少なくとも一方は、正規化されていることを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載のレンズ装置。
(構成10)
前記第1の複数の検出値および前記第2の複数の検出値の少なくとも一方は、前記光学部材の移動範囲に対する該移動範囲の一端からの前記光学部材の移動量の割合を示すことを特徴とする構成9に記載のレンズ装置。
(構成11)
前記記憶部は、前記第1操作部の複数の指標および前記第2操作部の複数の指標のそれぞれに関して前記光学特性を記憶することを特徴とする構成1ないし10のうちいずれかに記載のレンズ装置。
(構成12)
前記記憶部は、前記光学部材の移動範囲に対する該移動範囲の一端からの前記光学部材の移動量の割合に応じて前記光学特性を記憶することを特徴とする構成1ないし10のうちいずれかに記載のレンズ装置。
(方法1)
光学部材を移動するための第1操作部と第2操作部とが互いに交換可能なレンズ装置の制御方法であって、
前記第1操作部および前記第2操作部のうち使用される一方を指定する指定ステップと、
前記指定ステップにおいて前記第1操作部が指定された場合は、前記光学部材の位置を検出する位置検出部により少なくとも前記第1操作部の複数の指標に関してそれぞれ出力された第1の複数の検出値に基づいて、前記指定ステップにおいて前記第2操作部が指定された場合は、前記位置検出部により少なくとも前記第2操作部の複数の指標に関してそれぞれ出力された第2の複数の検出値に基づいて、前記レンズ装置の光学特性を取得する取得ステップとを有することを特徴とする制御方法。
(構成13)
方法1に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
101、201 レンズ装置
1001f フォーカスレンズ(光学部材)
1002f F位置検出部(位置検出部)
1003f F操作部(第1操作部、第2操作部)
1004、2004 記憶部
1006、2006 選択部(指定部)
1007、2007 算出部(取得部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19