(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】多孔性賦形剤を含む経鼻用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/04 20060101AFI20241015BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241015BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241015BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241015BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241015BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241015BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241015BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241015BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241015BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241015BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241015BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241015BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241015BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241015BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20241015BHJP
A61K 31/568 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
A61K47/04
A61K45/00
A61K9/14
A61K9/06
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/44
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/26
A61K38/00
A61K31/568
(21)【出願番号】P 2022067716
(22)【出願日】2022-04-15
(62)【分割の表示】P 2019516293の分割
【原出願日】2017-06-02
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518426583
【氏名又は名称】エム エ ペ ファルマ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】マテルン クラウディア
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/041992(WO,A1)
【文献】特表2010-505778(JP,A)
【文献】特表2014-513147(JP,A)
【文献】特表2014-515038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00ー 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用医薬組成物であって、
前記活性剤が、前記多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する前記多孔性賦形剤の表面上に積載され、
前記多孔性賦形剤が、メソ多孔性シリカ、マイクロ多孔性シリカ、または、マクロ多孔性シリカを含むシリカ粒子を含み、
前記積載された多孔性賦形剤が、ゲル中に分散されており、かつ
前記ゲルのビヒクルが、前記組成物
の50重量%から
80重量%の量で油または油の混合物を含み、前記組成物が、粘度調整剤と、経鼻投与に適した容積で前記組成物の重量に基づいて10重量%から
30重量%の治療有効量の活性剤を含み、
前記粘度調整剤が、前記活性剤が積載されないコロイド状二酸化ケイ素又は前記活性剤が積載されないメソ多孔性シリカを含み、前記組成物が
、2000mPa・secか
ら6000mPa・secの粘度を有
し、前記組成物が、非水性である、経鼻用医薬組成物。
【請求項2】
前記シリカ粒子が、いずれの寸法においても(i)2nm以下、(ii
)2nm
~50nm、および(iii)50nm以上から選択される最長径を有する細孔を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性剤が積載された前記多孔性賦形剤が、前記多孔性賦形剤の周囲にシェルを形成するポリマーでコーティングされ、
任意で、前記ポリマーが、線状ポリマー、セルロース含有ポリマー、コポリマー、架橋ポリマー、コラーゲン含有ポリマー、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択されてもよい、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが、線状ポリマー、セルロース含有ポリマー、コポリマー、架橋ポリマー、コラーゲン含有ポリマー、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、
前記線状ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、キトサン、キサンタン、アルギネート、ポリ酢酸ビニル、グリコール酸ナトリウム澱粉、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、
前記セルロース含有ポリマーが、ナトリウムカルボキシメチルセルロースを含み、
前記コポリマーが、ポリビニルピロリドン/ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/PEG、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコール、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、
前記架橋ポリマーが、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、
前記コラーゲン含有ポリマーが、ゼラチンを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性剤が積載された前記多孔性賦形剤中の細孔が、コーティングでキャップされている、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記活性剤が、アリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン、デュロキセチン、ドーパミン、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、ドネペジル、デスベンラファキシン、プロゲステロン、エスゾピクロン、ゾピクロン、アトモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)、メトトレキサート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、バルプロ酸、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、フェンタニル、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、イストラデフィリン、およびそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がワクチンであり、前記活性剤が免疫原を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、組成物の重量に基づいて10%~
25%(w/w)の活性剤を含み、
任意で、前記活性剤が、非晶質形態であってもよい、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がゲルの形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ビヒクルが、ヒマシ油を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記粘度調整剤が、コロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ビヒクルが、ヒマシ油を含み、前記粘度調整剤が、コロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の経鼻用医薬組成物の製造方法であって、活性剤を前記多孔性賦形剤上に積載するステップを含み、前記活性剤が、前記多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する前記多孔性賦形剤の表面上に積載される、方法。
【請求項14】
ある状態に対するワクチン接種に使用するための、請求項1~5または7~12のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)前記状態がインフルエンザであり、前記活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、
(b)前記状態がB型肝炎であり、前記活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または
(c)前記状態が髄膜炎であり、前記活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、髄膜炎菌のB群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、組成物。
【請求項15】
ある状態の治療に使用するための、請求項1~6または8~12のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)前記状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、前記活性剤がテストステロンであるか、
(b)前記状態が脳損傷であり、前記活性剤がプロゲステロンであるか、
(c)前記状態が統合失調症であり、前記活性剤が、アリピプラゾール、クエチアピン、もしくはパリペリドンであるか、
(d)前記状態が不安であり、前記活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、
(e)前記状態が多発性硬化症であり、前記活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、
(f)前記状態がアルツハイマー病であり、前記活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、
(g)前記状態がうつ病であり、前記活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、
(h)前記状態が不眠症であり、前記活性剤が、プロゲステロン、ゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、
(i)前記状態が注意欠陥多動性障害であり、前記活性剤が、アトモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、
(j)前記状態が外傷性脳損傷であり、前記活性剤が、プロゲステロンもしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、
(k)前記状態が脳腫瘍であり、前記活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、
(l)前記状態がてんかんであり、前記活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、もしくはバルプロ酸であるか、
(m)前記状態が疼痛であり、前記活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または
(n)前記状態がパーキンソン病であり、前記活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである、組成物。
【請求項16】
鼻閉の治療に使用するための請求項1~5及び8~12のいずれか一項に記載の組成物であって、前記活性剤が、経鼻用抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤のうちの1つ以上を含み、
任意で、前記活性剤が、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン
、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、
および/またはエクトイ
ンのうちの1つ以上を含んでもよい、組成物。
【請求項17】
前記活性剤が、テストステロン、または、プロゲステロンである、請求項1~5または8~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~5または8~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記界面活性剤が、オレオイルマクロゴールグリセリド又はオレオイルマクロゴールグリセリドの混合物を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤が、アニオン性、カチオン性、両性、および非イオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記界面活性剤が、レシチン、多価アルコールの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、およびオレオイルポリオキシルグリセリドからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記界面活性剤が、杏仁油PEG-6-エステルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記界面活性剤が、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、マクロゴールグリセロール脂肪酸エステル、および/またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む保湿剤である、請求項18に記載の組成物。
【請求項24】
前記界面活性剤が、組成物の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する、請求項18~23のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年6月3日出願の米国仮特許出願第62/345,369号に対する優先権を主張する。
本明細書に記載されるのは、多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用医薬組成物であり、活性剤は、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載され、組成物は経鼻投与のために適合される。本明細書には、経鼻用医薬組成物の製造方法および使用方法も記載されている。
【背景技術】
【0002】
活性剤の鼻腔内送達は、鼻腔の生理学的特徴、活性剤の物理化学的特徴、および限られた適用容積などの薬学的要因のために制限される。活性剤の用量を考えてその溶解度を考慮する用量溶解度容積は、生理学的溶液中で難溶性または不安定な活性剤を含む組成物において特に不十分である。さらに、懸濁剤、共溶媒、電荷修飾剤、分解酵素阻害剤、酸化防止剤、安定剤、膜透過促進剤、乳化剤、湿潤剤、接着剤、粘度増強剤、および/または矯味剤などの追加の添加物の組み込みは、かかる組成物の容積をさらに増加させる。かかる高容積は、特に経鼻送達組成物との関連において、問題となる。したがって、治療有効量の活性剤を効果的に送達する新規経鼻用医薬組成物の必要性が当該技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0003】
驚くべきことに、出願人は、以下に論じるように、従来の経鼻用医薬製剤に関連する問題を解決する新規経鼻用医薬組成物を発見した。
【0004】
多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用医薬組成物が提供され、活性剤は、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載され、組成物は経鼻投与のために適合される。
【0005】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、無機多孔性材料、有機-無機ハイブリッド、有機ポリマー、および錯化剤からなる群から選択される材料を含む。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、マイクロ多孔性シリカ、メソ多孔性シリカ、マクロ多孔性シリカ、ポリオルガノシロキサン、医薬用粘土、二酸化ケイ素ナノチューブ、シリカゲル、マグネシウムアルモシリケート、無水リン酸カルシウム、および炭酸カルシウムからなる群から選択される無機多孔性材料である。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、金属有機構造体である有機-無機ハイブリッドである。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、炭素-炭素結合反応によって形成される有機ポリマーであり、有機-無機ハイブリッドは非金属元素を含む。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、β-シクロデキストリン系多孔性シリカ、α-シクロデキストリン系多孔性シリカ、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン系多孔性シリカ、および他のイオン交換樹脂をベースとする多孔性材料からなる群から選択されるイオン交換樹脂である錯化剤である。
【0006】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、いずれの寸法においても最大2nmの最長径を有する細孔を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、活性剤が積載された多孔性賦形剤は、ポリマーでコーティングされる。ポリマーが多孔性賦形剤の周囲にシェルを形成する、請求項9に記載の組成物。いくつかの実施形態では、ポリマーは、線状ポリマー、セルロース含有ポリマー、コポリマー、架橋ポリマー、コラーゲン含有ポリマー、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、線状ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、キトサン、キサンタン、アルギネート、ポリ酢酸ビニル、グリコール酸ナトリウム澱粉、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、セルロース含有ポリマーは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。特定の実施形態では、コポリマーは、ポリビニルピロリドン/ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/PEG、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコール、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、架橋ポリマーは、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、コラーゲン含有ポリマーはゼラチンである。いくつかの実施形態では、活性剤が積載された多孔性賦形剤中の細孔は、コーティングでキャップされている。
【0008】
いくつかの実施形態では、本組成物は、アリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン、デュロキセチン、ドーパミン、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、ドネペジル、デスベンラファキシン、プロゲステロン、エスゾピクロン、エスゾピクロン、アトモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)、メトトレキサート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、バルプロ酸、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、フェンタニル、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、イストラデフィリン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物はワクチンであり、活性剤は免疫原を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は非晶質形態である。
【0009】
いくつかの実施形態では、本組成物は、治療有効量の活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の重量に基づいて約1%~約50%(w/w)の活性剤を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本組成物はゲルの形態である。いくつかの実施形態では、積載された多孔性賦形剤はゲル中に分散されている。いくつかの実施形態では、ゲルは、油または油の混合物を含むビヒクルを含む。特定の実施形態では、ビヒクルはヒマシ油を含む。
【0011】
いくつかの実施形態は、(a)多孔性賦形剤および活性剤であって、活性剤が、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載される、多孔性賦形剤および活性剤と、(b)親油性または部分親油性ビヒクルと、(c)粘度調整剤と、を含む経鼻用医薬組成物を含む。
【0012】
いくつかの実施形態は、(a)多孔性賦形剤および活性剤であって、活性剤が、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載される、多孔性賦形剤および活性剤と、(b)多孔性賦形剤上に配置されたシェルであって、多孔性賦形剤上に積載された活性剤と同じまたは異なる活性剤を含有する、シェルと、(c)親油性または部分親油性ビヒクルと、(d)粘度調整剤と、(e)界面活性剤と、を含む経鼻用医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、親油性または部分親油性ビヒクルは活性剤を含有する。
【0013】
いくつかの実施形態は、(a)メソ多孔性シリカ賦形剤および活性剤であって、活性剤が、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、メソ多孔性シリカ賦形剤および活性剤と、(b)少なくとも1つの親油性または部分親油性ビヒクルと、(c)少なくとも1つの粘度調整剤と、を含む経鼻用医薬組成物を含む。
【0014】
いくつかの実施形態は、(a)組成物の重量に基づいて約0.5%~約50%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約0.5%~約40%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(b)組成物の重量に基づいて約50%~約90%w/wのヒマシ油と、(c)組成物の重量に基づいて約2%~約6%w/wのオレオイルマクロゴールグリセリドの混合物と、を含む経鼻用医薬組成物を含む。
【0015】
いくつかの実施形態は、(a)組成物の重量に基づいて約8%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約5%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(c)組成物の重量に基づいて約80%w/wのヒマシ油と、(d)組成物の重量に基づいて約10%w/wのコロイド状二酸化ケイ素と、を含む経鼻用医薬組成物を含む。
【0016】
いくつかの実施形態は、(a)組成物の重量に基づいて約8%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約5%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(c)組成物の重量に基づいて約80%w/wのヒマシ油と、(d)組成物の重量に基づいて約4%w/wのオレオイルマクロゴールグリセリドの混合物と、を含む経鼻用医薬組成物を含む。
【0017】
本明細書に記載されるいくつかの医薬組成物において、活性剤はテストステロンである。いくつかの医薬組成物において、活性剤はプロゲステロンである。
【0018】
いくつかの実施形態は、活性剤の鼻腔内送達のための方法を含み、それを必要とする対象に本明細書に記載される組成物を経鼻投与することを含む。
【0019】
また、ある状態に対して対象にワクチン接種する方法であって、それを必要とする対象に組成物を経鼻投与することを含む方法も提供され、活性剤は、(a)状態がインフルエンザであり、活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、状態がB型肝炎であり、活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または(c)状態が髄膜炎であり、活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis細菌B群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、などの免疫原を含む。特定の実施形態では、弱毒化生インフルエンザは、A/California/7/2009(H1N1)、A/California/7/2009(H1N1)様株、A/Switzerland/9715293/2013(H3N2)、A/Switzerland/9715293/2013(H3N2)様株、B/Phuket/3073/2013、B/Phuket/3073/2013様株(B/Yamagata系統)、B/Brisbane/60/2008、B/Brisbane/60/2008様株(B/Victoria系統ワクチンウイルス)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、抗原は、インフルエンザウイルスA/Panama/2007/99(H3N2)、B/Guandong/2000、および/またはA/Duck/Singapore/97(H5N3)由来の抗原からなる群から選択される。
【0020】
また、ある状態に対するワクチン接種の際に使用するための組成物も提供され、活性剤は、(a)状態がインフルエンザであり、活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、(b)状態がB型肝炎であり、活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または(c)状態が髄膜炎であり、活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis細菌B群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、などの免疫原を含む。
【0021】
また、ある状態に対するワクチンを製造する際に使用するための組成物も提供され、活性剤は、(a)状態がインフルエンザであり、活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、(b)状態がB型肝炎であり、活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または(c)状態が髄膜炎であり、活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis細菌B群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、などの免疫原を含む。
【0022】
ある状態を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される組成物を経鼻投与することを含む方法も提供され、(a)状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、活性剤がテストステロンであるか、(b)状態が脳損傷であり、活性剤がプロゲステロンであるか、(c)状態が統合失調症であり、活性剤が、アリピプラゾール、アウエチアピン、またはパリペリドンであるか、(d)状態が不安であり、活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、(e)状態が多発性硬化症であり、活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、(f)状態がアルツハイマー病であり、活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、(g)状態がうつ病であり、活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、(h)状態が不眠症であり、活性剤が、プロゲステロン、エスゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、(i)状態が注意欠陥多動性障害であり、活性剤が、トモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、(j)状態が外傷性脳損傷であり、活性剤が、プロゲステロンもしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、(k)状態がブラウン腫瘍(braun tumor)であり、活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、(l)状態がてんかんであり、活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、もしくはバルプロ酸であるか、(m)状態が疼痛であり、活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または(n)状態がパーキンソン病であり、活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである。
【0023】
ある状態を治療する際に使用するための組成物も提供され、(a)状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、活性剤がテストステロンであるか、(b)状態が脳損傷であり、活性剤がプロゲステロンであるか、(c)状態が統合失調症であり、活性剤が、アリピプラゾール、アウエチアピン、またはパリペリドンであるか、(d)状態が不安であり、活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、(e)状態が多発性硬化症であり、活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、(f)状態がアルツハイマー病であり、活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、(g)状態がうつ病であり、活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、(h)状態が不眠症であり、活性剤が、プロゲステロン、エスゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、(i)状態が注意欠陥多動性障害であり、活性剤が、トモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、(j)状態が外傷性脳損傷であり、活性剤が、プロゲステロンもしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、(k)状態がブラウン腫瘍(braun tumor)であり、活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、(l)状態がてんかんであり、活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、もしくはバルプロ酸であるか、(m)状態が疼痛であり、活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または(n)状態がパーキンソン病であり、活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである。
【0024】
ある状態の治療のための薬剤を製造する際に使用するための組成物も提供され、(a)状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、活性剤がテストステロンであるか、(b)状態が脳損傷であり、活性剤がプロゲステロンであるか、(c)状態が統合失調症であり、活性剤が、アリピプラゾール、アウエチアピン、またはパリペリドンであるか、(d)状態が不安であり、活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、(e)状態が多発性硬化症であり、活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、(f)状態がアルツハイマー病であり、活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、(g)状態がうつ病であり、活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、(h)状態が不眠症であり、活性剤が、プロゲステロン、エスゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、(i)状態が注意欠陥多動性障害であり、活性剤が、トモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、(j)状態が外傷性脳損傷であり、活性剤が、プロゲステロンもしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、(k)状態がブラウン腫瘍(braun tumor)であり、活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、(l)状態がてんかんであり、活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、またはバルプロ酸であるか、(m)状態が疼痛であり、活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または(n)状態がパーキンソン病であり、活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである。
【0025】
いくつかの実施形態は、鼻閉を治療する方法であって、それを必要とする対象に組成物を投与する方法を含み、活性剤は、経鼻用抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、鼻閉は、乾燥鼻/痂皮、風邪、花粉症、上気道アレルギー、および年齢のうちの1つ以上によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、活性剤は、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、ならびに植物および/またはアントロポゾフィー物質のうちの1つ以上を含む。
【0026】
いくつかの実施形態は、鼻閉を治療する際に使用するための組成物を含む。いくつかの実施形態は、鼻閉の治療のための薬剤を製造する際に使用するための組成物を含む。いくつかの実施形態では、鼻閉は、乾燥鼻/痂皮、風邪、花粉症、上気道アレルギー、および年齢のうちの1つ以上によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、活性剤は、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、ならびに植物および/またはアントロポゾフィー物質のうちの1つ以上を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】プロゲステロンおよびSYLOID(登録商標)72FP粒子を含む本明細書に記載される様々な噴霧乾燥組成物の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図2】プロゲステロンおよびSYLOID(登録商標)244FP粒子を含む本明細書に記載される様々な噴霧乾燥組成物の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図3】SYLOID(登録商標)72FP粒子および244FP粒子を含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図4】噴霧乾燥プロゲステロンの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図5】噴霧乾燥プロゲステロン、噴霧乾燥SYLOID(登録商標)72FP、および噴霧乾燥SYLOID(登録商標)244FPの示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図6】プロゲステロンおよびSYLOID(登録商標)244FPを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図7】プロゲステロンおよびSYLOID(登録商標)72FPを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図8】規則性メソ多孔性シリカOSM-7上に積載されたプロゲステロンを含む本明細書に記載される組成物の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
【
図9】規則性メソ多孔性シリカOSM-7上に積載された20%および40%プロゲステロンを含む本明細書に記載される組成物の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
【
図10】OSM-7に吸収されたプロゲステロンを有する、および有しないOSM-7粒子の孔径分布を示す。
【
図11】規則性メソ多孔性シリカOSM-7上に積載されたテストステロンを含む本明細書に記載される組成物の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
【
図12】規則性メソ多孔性シリカOSM-7上に積載された20%および40%テストステロンを含む本明細書に記載される組成物の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
【
図13】OSM-7に吸収されたテストステロンを有する、および有しないOSM-7粒子の孔径分布を示す。
【
図14】噴霧乾燥テストステロンの走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図15A】(
図15A~C)テストステロンおよびポリラクチドを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図15B】(
図15A~C)テストステロンおよびポリラクチドを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図15C】(
図15A~C)テストステロンおよびポリラクチドを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図16】テストステロンおよびキトサンを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図17A】(
図17A~B)テストステロンおよびゼラチンを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図17B】(
図17A~B)テストステロンおよびゼラチンを含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図18】テストステロン、ゼラチン、および乳化剤を含む本明細書に記載される噴霧乾燥組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図19A】(
図19A~E)様々なエタノール:水比のエタノール/水混合物中に噴霧されたゼラチン粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図19B】(
図19A~E)様々なエタノール:水比のエタノール/水混合物中に噴霧されたゼラチン粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図19C】(
図19A~E)様々なエタノール:水比のエタノール/水混合物中に噴霧されたゼラチン粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図19D】(
図19A~E)様々なエタノール:水比のエタノール/水混合物中に噴霧されたゼラチン粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図19E】(
図19A~E)様々なエタノール:水比のエタノール/水混合物中に噴霧されたゼラチン粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図20A】(
図20A~B)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図20B】(
図20A~B)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。
【
図21A】(
図21A~E)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかは本明細書に記載されるテストステロンが積載されている。
【
図21B】(
図21A~E)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかは本明細書に記載されるテストステロンが積載されている。
【
図21C】(
図21A~E)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかは本明細書に記載されるテストステロンが積載されている。
【
図21D】(
図21A~E)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかは本明細書に記載されるテストステロンが積載されている。
【
図21E】(
図21A~E)噴霧乾燥メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかは本明細書に記載されるテストステロンが積載されている。
【
図22】テストステロンおよびSYLOID(登録商標)244FPを含む本明細書に記載される組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図23】テストステロンおよびAEROSIL(登録商標)200を含む本明細書に記載される組成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図24】テストステロンおよびメソ多孔性シリカ粒子を含む本明細書に記載される様々な組成物の写真を記載し、様々な組成物に関連するテクスチャを示す。
【
図25】テストステロンおよびメソ多孔性シリカ粒子を含む本明細書に記載される様々な組成物の写真を記載し、様々な組成物に関連するテクスチャを示す。
【
図26A】(
図26A~B)メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかはテストステロンが積載されており、二流体ノズルを用いて噴霧乾燥された。
【
図26B】(
図26A~B)メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかはテストステロンが積載されており、二流体ノズルを用いて噴霧乾燥された。
【
図27A】(
図27A~B)メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかはテストステロンが積載されており、三流体ノズルを用いて噴霧乾燥された。
【
図27B】(
図27A~B)メソ多孔性シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。それらの粒子のいくつかはテストステロンが積載されており、三流体ノズルを用いて噴霧乾燥された。
【
図28】様々な組成物の流動挙動を評価するために行われた棒試験を示す写真を記載する。
【
図29】組成物中のヒマシ油の量が一定に保たれている本明細書に記載される様々なテストステロン組成物に関連する溶解度データを示す。
【
図30】組成物中のヒマシ油の量が変動する本明細書に記載される様々なテストステロン組成物に関連する溶解度データを示す。
【
図31】テストステロンの2つの異なるバッチで得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図32】エタノールにて噴霧乾燥したテストステロンの2つの異なるバッチで得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図33】ポリ乳酸を含む様々な組成物で得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図34】ゼラチンを含む様々な組成物で得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図35】SYLOID(登録商標)244FP粒子を有する組成物で得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図36】ゼラチンシェルで提供されたSYLOID(登録商標)244FP粒子を有する組成物で得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図37】AEROSIL(登録商標)200粒子を有する組成物で得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【
図38】SYLOID(登録商標)XDP6035粒子を有する組成物で得られた示差走査熱量測定の測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
本明細書で使用される技術的および科学的用語は、別途定義されない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の様々な方法を参照する。当業者に既知の任意の好適な材料および/または方法を、本発明を実施する際に利用することができる。しかしながら、特定の材料および方法が記載される。以下の説明および実施例において参照される材料、試薬などは、特記しない限り、商業的供給源から入手可能である。参照される既知の方法論を記載する刊行物および他の試料は、完全に記載されているかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、単数形のみを示すように明示的に述べられていない限り、単数形および複数形の両方を示す。
【0030】
「約」という用語は、理解される数が本明細書に記載される正確な数に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、実質的におおよその列挙された数を指すことが意図されることを意味する。本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、使用される文脈に応じてある程度変動する。当業者に明確ではない用語が使用されている場合、使用される文脈を考慮して、「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトを含む活性剤治療を必要とする任意の哺乳動物を表す。例えば、対象は、活性剤で治療または予防することができる状態に罹患しているか、またはそれを発症するリスクがある可能性があるか、または健康維持目的のために活性剤を摂取している可能性がある。
【0032】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」および「治療レベル」という語句は、それぞれ、活性剤がかかる治療を必要とする対象に投与される特定の薬理学的効果を提供する、対象におけるその活性剤投薬量または血漿濃度を意味する。かかる投薬量が当業者によって治療有効量であると見なされるとしても、治療有効量または治療レベルの活性剤は、本明細書に記載される状態/疾患の治療において常に有効であるとは限らないことが強調される。便宜上、例示的な投薬量、活性剤送達量、治療有効量、および治療レベルを、ヒト成人対象に関して以下に提供する。当業者は、特定の対象および/または状態/疾患を治療するために必要とされる標準的な実践に従ってかかる量を調節することができる。
【0033】
活性剤の「理論上の積載量」は、活性剤が100%の効率で組成物または多孔性賦形剤に組み込まれた場合の、組成物または多孔性賦形剤中の活性剤の重量%を意味する。したがって、多孔性賦形剤への活性剤の理論上の積載量は、式:理論上の積載量=100×(添加された活性剤の重量(g))/(活性剤の重量(g)+多孔性賦形剤の重量(g) ))を用いて計算することができる。
【0034】
活性剤の「実際の積載量」は、組成物または多孔性賦形剤に組み込まれる活性剤の実際の量を意味する。したがって、多孔性賦形剤への活性剤の実際の積載量は、式:100×(1gの積載された多孔性賦形剤中の活性剤の重量(g))/(1gの積載された多孔性賦形剤)を用いて計算することができる。
【0035】
「積載効率」は、式:積載効率=100x(収量(g)における活性剤の総量)/(積載中に添加された活性剤の実際の量)に従って計算することができる。
【0036】
活性剤
活性剤は、治療効果のために鼻腔内に投与することができる任意の1つ以上の治療剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、活性剤は、ホルモン、例えば、テストステロン、プロゲステロン、プレグネノロン、またはこれらのいずれかのプロドラッグもしくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、ドーパミン、L-DOPA、またはセロトニンなどの神経伝達物質を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、フェンタニルまたはヒドロモルホンなどのオピオイド鎮痛薬を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、ミダゾラムなどのベンゾジアゼピンを含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、インスリンまたは成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン)などのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、ドネペジル、リバスチグミン、またはガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、または植物およびアントロポゾフィー物質などの経鼻用抗ヒスタミン剤および/またはうっ血除去剤を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、アリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン、デュロキセチン、ドーパミン、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、ドネペジル、デスベンラファキシン、プロゲステロン、エスゾピクロン、エスゾピクロン、アトモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)、メトトレキサート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、バルプロ酸、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、フェンタニル、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、イストラデフィリン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、本組成物はワクチンとして有用であり、活性剤は、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、または髄膜炎ワクチンなどの免疫原を含む。本組成物がインフルエンザワクチンとして有用である実施形態では、多孔性賦形剤上に積載された活性剤は、インフルエンザに対して免疫原性であり得る。本組成物がインフルエンザワクチンとして有用である場合の多孔性賦形剤上に積載される例示的な活性剤は、弱毒化生インフルエンザ(限定されないが、A/California/7/2009(H1N1)もしくはA/California/7/2009(H1N1)様株、A/Switzerland/9715293/2013(H3N2)もしくはA/Switzerland/9715293/2013(H3N2)様株、B/Phuket/3073/2013もしくはB/Phuket/3073/2013様株(B/Yamagata系統)、B/Brisbane/60/2008もしくはB/Brisbane/60/2008様株(B/Victoria系統ワクチンウイルス)など)を含む。本組成物がインフルエンザワクチンとして有用であるいくつかの実施形態では、多孔性賦形剤上に積載される活性剤は、不活性化ウイルスまたはウイルス抗原(限定されないが、インフルエンザウイルスA/Panama/2007/99(H3N2)、B/Guandong/2000、および/またはA/Duck/Singapore/97(H5N3)などの鳥類株由来の抗原)を含む。
【0038】
本組成物がB型肝炎ワクチンとして有用であるいくつかの実施形態では、多孔性賦形剤上に積載される活性剤は、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/またはB型肝炎コア抗原(HBcAg)を含み得る。
【0039】
本組成物が髄膜炎ワクチンとして有用であるいくつかの実施形態では、多孔性賦形剤上に積載される活性剤は、例えば、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis細菌B群から採取された4つのタンパク質を含有する)を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、本組成物は、乾燥鼻/痂皮、風邪、花粉症、上気道アレルギー、または年齢によって引き起こされ得るような鼻閉の治療に有用である。鼻閉を治療する際に有用な特定の実施形態では、活性剤は、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、または植物およびアントロポゾフィー物質などの経鼻用抗ヒスタミン剤および/またはうっ血除去剤を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本組成物は、非晶質形態の活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は結晶形態の活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、非晶質形態および結晶形態の両方の活性剤を含む。例えば、非晶質活性剤は、賦形剤の細孔の内側の多孔性賦形剤上に積載されてもよく、結晶活性剤は、コーティングに含まれ、かつ/または組成物のビヒクルに溶解、懸濁、もしくは分散されるなど、組成物のビヒクルにて提供され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、本組成物は、約0.1%未満、約0.5%未満、約1%未満、または約5%未満の結晶形態、例えば、0.1%未満、0.5未満%未満、1%未満、または5%未満の結晶形態の活性剤を含有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、活性剤の結晶形態を実質的に含有しない。
【0043】
いくつかの実施形態では、活性剤は、典型的な製剤において十分な安定性を呈さない可能性がある多形または塩などの、典型的には使用されない形態で使用され得る。理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載される多孔性賦形剤上に活性剤を積載することは、化学反応および物理的修飾(イントロ多形変換など)の両方に対して活性剤を安定させると考えられる。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、問題の活性剤を安定させるある特定の品質の二酸化ケイ素を使用することなどにより、この目的のために選択および/または調製される。
【0044】
経鼻用組成物
本明細書では、多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用組成物が提供される。また、多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用組成物を製造および使用する方法も提供される。
【0045】
「経鼻用組成物」とは、鼻腔内送達を含む、経鼻送達に適している、または適合されている組成物を意味する。経鼻用組成物の特定の形態は限定されない。いくつかの実施形態では、経鼻用組成物は、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、またはゲルの形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、油性液体の形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は非水性または水不含である。(本明細書で使用される場合、「水不含」とは、組成物が水なしで製剤化されることを意味するが、微量が存在し得る。)いくつかの実施形態では、本組成物は、水不含半液体相を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、親水性ゲルまたはエマルゲル(すなわち、ゲルベースに組み込まれたエマルジョン)である。いくつかの実施形態では、本組成物は、オレオゲルまたはオルガノゲルなどの疎水性ゲルである。いくつかの実施形態では、本組成物は、低分子量有機調整剤および/またはポリマーゲル化剤を有する三次元の粘弾性ゲルを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は展延可能である。
【0046】
本明細書に記載される経鼻用組成物は、(a)活性剤と、(b)多孔性賦形剤とを含み、活性剤は、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載される。いくつかの実施形態では、本組成物はビヒクルをさらに含む。いくつかの実施形態では、本組成物はさらに粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、活性剤(多孔性賦形剤上に積載された活性剤と同じであっても異なってもよい)を含有し得る(または含有しなくてもよい)シェルとともに提供される。いくつかの実施形態では、本組成物は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、疎水性ゲルなどのゲルネットワークに埋め込まれた多孔性賦形剤を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、活性剤が積載された多孔性賦形剤の少なくとも一部は粒子の形態である。いくつかの実施形態では、約10%の粒子が、いずれの寸法においても約0.2μm未満、または約0.1μm未満の最長径を有する。いくつかの実施形態では、約90%の粒子が、約15.5μm未満、約7.5μm未満、または約4.2μm未満の最長径を有する。いくつかの実施形態では、約50%の粒子が、約5.2μm未満、約2μm未満、または約0.9μm未満の最長径を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、活性剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.5%w/w~約40%w/w、約5%w/w~約40%w/w、約10%w/w~約30%w/w、および約15%w/w~約25%w/wを含む約0.1%w/w~約70%w/wの量で、ならびに約0.1%、約0.5%、約1%w/w、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、または約70%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で経鼻用組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、活性剤は、組成物の総重量に基づいて、0.5%w/w~40%w/w、5%w/w~40%w/w、10%w/w~30%w/w、および15%w/w~25%w/wを含む0.1%w/w~70%w/wの量で経鼻用組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、活性剤は、組成物の総重量に基づいて、0.1%、0.5%、1%w/w、5%w/w、10%w/w、15%w/w、20%w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/w、50%w/w、55%w/w、60%w/w、または70%w/wの量で存在する。
【0049】
いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物150mgあたり少なくとも約1μgの活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物150mgあたり約1μg~約100mgの活性剤、または組成物150mgあたり約1mg~約50mgの活性剤、または組成物150mgあたり約5mg~約20mg活性剤、または組成物150mgあたり約50μg~約250μgの活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物150mgあたり約1μg、約10μg、約20μg、約50μg、約100μg、約250μg、約500μg、約1mg、約2mg、約5mg、約5.5mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、または約50mgの活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物150mgあたり1μg、10μg、20μg、50μg、100μg、250μg、500μg、1mg、2mg、5mg、5.5mg、7mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg、25mg、または50mgの活性剤を含む。
【0050】
本組成物は、経鼻投与の容積制限を念頭に置いて、組成物の任意の好適な量の経鼻投与のために適合され得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、鼻孔あたり約0.1ml~約1ml、例えば、鼻孔あたり約0.1ml~約0.3ml、約0.15ml~約0.25ml、または約0.175~約0.225mlの投与のために適合される。いくつかの実施形態は、鼻孔あたり0.1ml~1ml、例えば、鼻孔あたり0.1ml~0.3ml、0.15ml~0.25ml、または0.175~0.225mlの投与のために適合される。いくつかの実施形態では、本組成物は、鼻孔あたり約0.1ml、約0.15ml、約0.2ml、約0.25ml、または約0.3mlの投与のために適合される。いくつかの実施形態は、鼻孔あたり0.1ml、0.15ml、0.2ml、0.25ml、または0.3mlの投与のために適合される。いくつかの実施形態では、本組成物は、鼻孔あたり約0.2ml以下の投与のために適合される。いくつかの実施形態では、本組成物は、鼻孔あたり0.2ml以下の投与のために適合される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本組成物は、一方または両方の鼻孔に、鼻孔あたり1日1回の投与のために適合される。いくつかの実施形態では、本組成物は、一方または両方の鼻孔に、鼻孔あたり1日2回の投与のために適合される。いくつかの実施形態では、本組成物は、一方または両方の鼻孔に、鼻孔あたり1日3回、4回、5回、または6回投与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、本組成物は、保存後など、例えば、25℃および相対湿度60%で、30℃および相対湿度65%で、または室温および湿度条件で、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、または少なくとも約6ヶ月安定している(例えば、実質的に分解関連不純物を含有しない)。いくつかの実施形態では、本組成物は、保存後など、例えば、25℃および相対湿度60%で、30℃および相対湿度65%で、または室温および湿度条件で、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、または少なくとも6ヶ月安定している。
【0053】
多孔性賦形剤
上述のように、本明細書に記載される経鼻用組成物は、(a)活性剤と、(b)多孔性賦形剤とを含む。多孔性賦形剤は、活性剤が積載され得る任意の多孔性材料であり得る。いくつかの実施形態では、活性剤は、賦形剤の細孔の内側に位置する表面を含む多孔性賦形剤の表面上に積載される。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、活性剤のマトリックスとして作用する。いくつかの実施形態では、本組成物は、多孔性賦形剤上に積載されない活性剤をさらに含む。例えば、本組成物は、多孔性賦形剤上に積載される活性剤に加えて活性剤を含み得る。
【0054】
多孔性賦形剤は、経鼻用医薬組成物での使用に適し、本明細書の開示に従って活性剤を積載することができる任意の材料で構成され得る。好適な材料の非限定的な例を以下に提供する。
【0055】
いくつかの実施形態では、多孔性剤は、コロイド状二酸化ケイ素、マイクロ多孔性二酸化ケイ素、メソ多孔性二酸化ケイ素、マクロ多孔性二酸化ケイ素、ポリオルガノシロキサン、医薬用粘土、二酸化ケイ素ナノチューブ、二酸化ケイ素ゲル、マグネシウムアルモシリケート(限定されないが、Vanderbilt Minerals,LLCのVEEGUM(登録商標)など)、活性炭、無水リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせなどの無機多孔性材料を含む。例示的な無機多孔性材料は、W.R.Grace&Co.のSYLOID(登録商標)ブランド(限定されないが、SYLOID(登録商標)244FP、72FP、XDP6035(SILSOL(商標)6035としても知られる)、XDP3050、XDP3150、AL-1FP、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせなど) で市販されている多孔性二酸化ケイ素、Evonik Industries,Corp.のAEROPERL(登録商標)ブランド(限定されないが、表面積約260~320m2/g(例えば約300m2/gなど)、細孔容積約1.5~1.9ml/g、および平均粒径約20~約60μm)を有するAEROPERL(登録商標)300など)、EMD Milliporeの二酸化ケイ素PARTECK(登録商標)SLC、Fuji Chemical IndustryのNEUSILIN(登録商標)(マグネシウムアルミノメタシリケートの合成非晶質形態)、Zeolite Socony Mobil-5、Mobil Composition of Matter No.41、SBA-15、FDU-11、OMS-7、OMS-Lemon-7、およびIITM-56を含む。いくつかの実施形態では、多孔性剤は、例えば、表面に化学的に結合される基に応じて、疎水性または親水性であり得るシリコン系粉末を含む。
【0056】
参考までに、様々なSYLOID(登録商標)無機多孔質性材料のおおよその仕様は次の通りである。
【0057】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、金属有機構造体(MOF)など有機-無機ハイブリッドを含む。例示的なハイブリッド材料は、多座性架橋配位子および金属連結点の自己組織化によって形成することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、マイクロ多孔性有機ポリマー、ポリスチレン、セルロース、および/またはポリ(メタクリル酸メチル)などの有機ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ多孔性有機ポリマーは、炭素-炭素結合反応により形成され、炭素、水素、酸素、窒素、および/またはホウ素などの非金属元素で構成される。いくつかの実施形態では、有機ポリマーは、犠牲SiO2コアのエマルジョン重合および超架橋、続いて化学エッチングによって生成される。いくつかの実施形態では、有機ポリマーのネットワークは、小有機ビルディングブロックから構築される。
【0059】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、イオン交換樹脂(限定されないが、架橋ポリスチレンなど)または吸着体(限定されないが、β-シクロデキストリン系多孔性シリカ、α-シクロデキストリン系多孔性シリカ、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン系多孔性シリカ、他の吸着体樹脂をベースとする多孔性材料)などの錯化剤をベースとする多孔性材料を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、ポリラクチドおよび/またはポリ乳酸を含む薬剤などの、非常に様々なサイズおよび不規則な形状を有する細孔を有する材料を含む。いくつかの実施形態では、ポリラクチドは、Sigma-Aldrichから入手可能なRESOMER(登録商標)ブランド(限定されないが、RESOMER(登録商標)202H(分子量約10,000~約18,000Da、粘度約0.16~約0.24dl/g、Tg約44~約48℃、および遊離カルボン酸末端基を有する)およびRESOMER(登録商標)202S(分子量約10,000~約18,000Da、粘度約0.16~約0.24dl/g、Tg約38~約42℃、およびエステル末端基を有する)など)で入手可能なポリラクチド、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、多孔性剤は、キトサン(限定されないが、95%脱アシル化度および約200mPaの粘度を有するキトサンなど)などの多糖を含む。これに関する例示的なキトサンは、Heppe Medical Chitosan GmbHのCHITOSCIENCE(登録商標)Chitosan 95/200である。いくつかの実施形態では、多孔性剤は、ゼラチン(限定されないが、ブルームグレードF15、F20、F25またはそれらの2つ以上の組み合わせを有するゼラチンなど)などのペプチドおよび/またはタンパク質を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は多孔性粒子を含む。理論に拘束されるものではないが、H結合およびファンデルワールス力などの化学的および/または物理的結合を用いてゲルネットワーク中に小粒子および大粒子を固定することによって、それらでも効果的であると考えられる。多孔性賦形剤が多孔性粒子を含む任意の実施形態では、粒子は、いずれの寸法においても約0.5μm~約350μm、例えば約50μm~約300μm、約100μm~約250μm、約150μm~約200μm、または約3μm~約35μmの最長径を有し得る。いくつかの実施形態では、最長径は、0.5μm~350μm、例えば50μm~300μm、100μm~250μm、150μm~200μm、または3μm~35μmである。いくつかの実施形態では、粒子は、約0.5μm、約0.8μm、約1μm、約2μm、約3μm、約5μm、約10μm、約35μm、約60μm、または約150μmの最長径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、0.5μm、0.8μm、1μm、2μm、3μm、5μm、10μm、35μm、60μm、または150μmの最長径を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、粒子は、約0.5μm~約350μm、例えば約50μm~約300μm、約100μm~約250μm、約150μm~約200μm、または約3μm~約35μmの平均径を有する。いくつかの実施形態では、平均径は、0.5μm~350μm、例えば50μm~300μm、100μm~250μm、150μm~200μm、または3μm~35μmである。いくつかの実施形態では、組成物中の粒子の中位径は、約0.5μm、約0.8μm、約1μm、約2μm、約3μm、約5μm、約10μm、約35μm、約60μm、または約150μmである。いくつかの実施形態では、組成物中の粒子の中位径は、0.5μm、0.8μm、1μm、2μm、3μm、5μm、10μm、35μm、60μm、または150μmである。
【0063】
任意の種類の多孔性賦形剤について、多孔性賦形剤は、いずれの寸法においても2nm以下の最長径を有する細孔を含み得る(例えば、多孔性賦形剤はマイクロ多孔性材料を含む)。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、約2nm~約50nm、例えば、20nm~50nmの最長径を有する細孔を含む(例えば、多孔性賦形剤はメソ多孔性材料を含む)。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、50nm以上の最長径を有する細孔を含む(例えば、多孔性賦形剤はマクロ多孔性材料を含む)。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、約2nm~約20nm、例えば、2nm~20nmの最長径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも約90%の細孔は、約5nm~約6nm、約5nm~約7.5nm、約5.5nm~約7nm、約6nm~約7.5nm、または約6nm~約8nmの直径を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも約90%の細孔は、5nm~6nm、5nm~7.5nm、5.5nm~7nm、6nm~7.5nm、または6nm~8nmの直径を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、約0.5ml/g~約2ml/g、例えば、約1ml/g、約1.6ml/g、または約1.75ml/gの平均容積を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、0.5ml/g~2ml/g、例えば、1ml/g、1.6ml/g、または1.75ml/gの平均容積を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、約0.9ml/gを超える、または0.9ml/gを超える平均容積を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、約300m2/g以上、または約320~約1000m2/gの表面積を有する。いくつかの実施形態では、細孔は、300m2/g以上、または320~1000m2/gの表面積を有する。いくつかの実施形態では、細孔は1000m2/g以上の表面積を有する。
【0064】
多孔性賦形剤は、任意の種類の細孔構造の細孔を有し得る。例えば、細孔断面は、円形、楕円形、長方形、もしくは正方形などの規則的な幾何学的形状、または不規則な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、規則的な形状を有する細孔と、不規則な形状を有する細孔とを含む。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、追加的または代替的に、連結された細孔構造を有する細孔、未連結の細孔構造を有する細孔、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、追加的または代替的に、規則正しい配列の細孔、不規則な配列の細孔、またはその両方を含む。
【0065】
本組成物は、治療有効量の活性剤を提供するのに効果的な任意の量など、任意の好適な量の多孔性賦形剤を含み得るが、それでもなお経鼻投与に適している。いくつかの実施形態では、本組成物は、約0.01~約0.5gの多孔性賦形剤、例えば、約0.01g~約0.4gの多孔性賦形剤、約0.1g~約0.25g、または約0.05g、約0.1g、約0.15g、約0.2g、約0.25g、または約0.3gの多孔性賦形剤を含み、重量は多孔性賦形剤を活性剤で積載する前の多孔性賦形剤の量に対応する。いくつかの実施形態では、本組成物は、0.01~0.5gの多孔性賦形剤、例えば、0.01g~0.4gの多孔性賦形剤、0.1g~0.25g、または0.05g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、もしくは0.3gの多孔性賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、予め積載された多孔性賦形剤の重量および組成物の総重量に基づいて、約0.5%~約30%w/w、約1%~約20%w/w、約5%~約15%w/w、または約8%~約10%w/wの多孔性賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、予め積載された多孔性賦形剤の重量および組成物の総重量に基づいて、0.5%~30%w/w、1%~20%w/w、5%~15%w/w、または8%~10%w/wの多孔性賦形剤を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、活性剤は、積載された多孔性賦形剤の総重量に基づいて、約5%w/w~約40%w/w、約10%w/w~約30%w/w、および約15%w/w~約25%w/wを含む約1%w/w~約70%w/wの量で、ならびに1%w/w、5%w/w、10%w/w、15%w/w、20%w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/w、50%w/w、55%w/w、60%w/w、または70%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で多孔性賦形剤上に積載される。
【0067】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤と活性剤との重量比は、約1:1~約10:1、例えば約1:1~約5:1である。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤と活性剤との重量比は、1:1~10:1、例えば1:1~5:1である。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤と活性剤との重量比は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、または約5:1である。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤と活性剤との重量比は、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1である。
【0068】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、組成物からの活性剤の放出特性を変更するように選択および/または調製されてもよく、例えば、多孔性賦形剤は、活性剤放出変更特性を呈するように選択および/または調製され得る。例えば、多孔性賦形剤は、活性剤の遅延放出を提供するように、および/または活性剤の放出を制御するように、例えば、所定の速度での活性剤の放出を提供するように、および/または特定の期間にわたって活性剤の治療レベルを一定に維持するように、もしくは他の種類の制御放出を提供するように選択および/または調製され得る。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、例えば、賦形剤の孔径および細孔形状を変更することにより、および/または内部または外部界面を官能化することにより、またはその両方により活性剤放出(二相性放出が可能であっても)の制御を可能にする。Martinez-Carmona et al.,Nanomaterials,5:1906-1937(2015)(参照により本明細書に組み込まれる)およびVallet-Regi et al.,BIOMEDICAL APPLICATIONS OF MESOPOROUS CERAMICS:DRUG DELIVERY,SMART MATERIALS AND BONE TISSUE ENGINEERING(2013)は、組成物の放出特徴をどのように変更するかの例を記載している。
【0069】
例示的な放出変更の考慮事項は、Martinez-Carmona et al.,Nanomaterials,5:1906-1937(2015)(参照により本明細書に組み込まれる)およびVallet-Regi et al.,BIOMEDICAL APPLICATIONS OF MESOPOROUS CERAMICS:DRUG DELIVERY,SMART MATERIALS AND BONE TISSUE ENGINEERING(2013)(参照により本明細書に組み込まれる)に論じられている。
【0070】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤の表面(内部孔表面を含む)を官能化して活性剤に結合させ、かつ/またはある特定の時間量後または刺激に応答して活性剤の放出を制御することができる。例えば、例示的な実施形態では、多孔性賦形剤に結合したホルモン(例えば、テストステロン)は、アンドロゲン受容体(AR)陽性部位、例えば、AR陽性腫瘍または前立腺、脳、もしくは精巣などの他の臓器のへの薬剤の部位特異的送達のためのリガンドであり得る。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、エンドサイトーシスを介した細胞取り込みを促進するように官能化することができる。いくつかの実施形態では、活性剤は、多孔性賦形剤の細胞取り込み後に多孔性賦形剤から放出される。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、1つ以上の有機部分で官能化される。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、アミン基、第4級アルキルアミン、アルキル鎖、アルコキシシラン、フルオレニルメトキシカルボニル修飾オルガノシラン、疎水基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、ヒドロキシプロピル基、フェニル基、またはそれらの2つ以上の組み合わせで官能化される。例示的な官能化基は、Vallet-Regi et al.,BIOMEDICAL APPLICATIONS OF MESOPOROUS CERAMICS:DRUG DELIVERY,SMART MATERIALS AND BONE TISSUE ENGINEERING(2013)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0071】
多孔性賦形剤は、本明細書に記載される組成物の関連において1つ以上の機能を果たし得る。例えば、多孔性賦形剤は、活性剤の担体として作用し得、活性剤を保護することができ、かつ/または活性剤の放出を遅延および/もしくは制御することができる。追加的または代替的に、多孔性賦形剤は、以下により詳細に論じられるように、本組成物の化学的、物理的、物理化学的、および/または薬物動態学的特性に影響を与え得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は保護剤として作用する、すなわち、酸化および/もしくは分解、ならびに/または本組成物および/もしくは環境の他の構成成分との反応から活性剤を保護する。これは、ドーパミンなどの酸化および/または分解しやすい活性剤に特に有利であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、ゲル化剤、構造付与剤、可溶化剤(例えば、溶解エンハンサー)、放出変更剤、および/または活性剤の結合部位として作用することなどにより、本組成物の化学的、物理的、物理化学的、および/または薬物動態学的特性に影響を及ぼす。
【0074】
理論に拘束されるものではないが、いくつかの実施形態では、活性剤は、過飽和水溶液が適用部位に提供され得るように、安定な非晶質状態で多孔性賦形剤上に積載され、経上皮または経粘膜輸送の増強を引き起こすことができると考えられる。また、理論に拘束されるものではないが、特許請求される組成物において分子間および分子内水素結合を形成するのに利用可能な多孔性賦形剤上のヒドロキシル基の数が溶解を増強すると考えられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、活性剤が積載され得る多孔性粒子(限定されないが、規則性メソ多孔性シリカ、またはAL-1FP、244FP、XDP3050、72FP、XDP6035、もしくはXDP3150などのSYLOID(登録商標)粒子など)を含む。いくつかの実施形態は、多孔性賦形剤粒子上に積載された活性剤を有する噴霧乾燥粒子を含む。いくつかの実施形態では、積載された粒子は乾燥粉末形態である。いくつかの実施形態では、粒子は、顆粒形態である。
【0076】
多孔性賦形剤および/または活性剤の所望の放出プロファイルを提供するための任意のコーティングを選択および/または調製することに加えて、または代替として、組成物全体を、所望の放出プロファイル、例えば、所望の遅延放出プロファイルおよび/または制御放出プロファイルを提供するように製剤化することができる。例えば、組成物からの活性剤の放出は、組成物中の活性剤積載多孔性賦形剤の量、任意のコーティング中に存在する活性剤の量、組成物のビヒクル中に存在する活性剤の量のうちの1つ以上を変動させることによって、および/または組成物中に1つ以上の放出変更剤を含むことによって変更され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、本組成物は、多孔性賦形剤上に積載された活性剤を含まない組成物と比較して、以下の利点のうちの1つ以上を有する:凝固賦形剤の量の減少;生物学的利用能の改善;毒性の可能性が低いかまたは全くない;迅速な作用開始;比較的高い活性剤ペイロードに対する適合性;持続放出デポの可能性;例えば、賦形剤の孔径および細孔形状の変更によって、および内部または外部の界面の官能化、またはその両方による、活性剤放出(二相性放出が可能であっても)に対するさらなる制御;オストワルド熟成もしくは均一性(すなわち、分離)に関する懸念などの懸濁液関連の問題がない;様々なサイズの多孔性賦形剤粒子で治療有効性を有する能力;親油性または親水性の活性剤、またはその両方を組成物に組み込むことができる;組成物は、例えば、組成物がアレルギー反応を誘導する賦形剤を欠如し得るため、アレルギー患者に適している;単純かつ経済的な製造プロセス;酸素または湿度に敏感な活性剤の保護;活性成分の非晶質形態の安定化;活性成分の再結晶化が起こらない;活性成分の速やかな放出を提供するための選択肢;賦形剤の官能化による全身循環および/もしくは脳および/もしくは脊髄を標的とする能力;組成物は展延可能である(したがって、活性剤を鼻腔の特定の部位および頭部位置に噴出させること、噴霧角度、およびプルーム幾何学形状に関連する懸念を取り除く);ならびに最大の鼻粘膜表面を網羅することができる。
【0078】
コーティング
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤はコーティングを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは多孔性であるが、他の実施形態ではコーティングは非多孔性である。いくつかの実施形態では、コーティングは、活性剤が積載される多孔性賦形剤を取り囲む(例えば、積載された多孔性賦形剤の周囲にシェルを提供する)。いくつかの実施形態では、コーティングはフィルムの形態である。いくつかの実施形態では、コーティングは、積載された細孔をキャップするように機能する。いくつかの実施形態では、コーティングは細孔をキャップするように機能するが、多孔性賦形剤を完全に取り囲まない(例えば、細孔はキャップされるが、シェルは多孔性賦形剤の周囲に完全には形成されない)。
【0079】
いくつかの実施形態では、コーティングは、活性剤の遅延放出をもたらす。いくつかの実施形態では、コーティングは、活性剤の持続放出を可能にする。いくつかの実施形態では、コーティングは、活性剤の生物学的利用能を改善するように機能する。いくつかの実施形態では、コーティングは、多孔性賦形剤上に積載された活性剤を保護するように機能する。いくつかの実施形態では、コーティングは、活性剤(例えば、細孔に含有されるのと同じ活性剤または異なる活性剤)を含有する。
【0080】
コーティングは、経鼻用医薬組成物に使用するのに適した任意の材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、コーティングに所望の特性(例えば、遅延放出、制御放出、保護など)を提供するように選択され得る1つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、油に可溶性であるか、または油に部分的に可溶性であるポリマーを含むが、他の実施形態では、コーティングは、油に難溶性であるかまたは油に不溶性であるポリマーを含む。
【0081】
任意のコーティング実施形態では、コーティングは、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、キサンタン、アルギネート、ポリ酢酸ビニル、グリコール酸ナトリウム澱粉、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせまたはコポリマーなどの線状ポリマーを含み得る。任意のコーティング実施形態では、コーティングは、分枝状ポリエチレングリコールまたはアカシアゴムなどの分枝状ポリマーを含み得る。加えてまたは代替的に、コーティングは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース含有ポリマーを含み得る。加えてまたは代替的に、コーティングは、ポリビニルピロリドン/ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/PEG、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコール、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせなどのコポリマーを含み得る。加えてまたは代替的に、コーティングは、架橋ポリビニルピロリドンおよび/または架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースを含み得る。加えてまたは代替的に、コーティングは、ポリ乳酸などのポリラクチドを含み得る。RESOMER(登録商標)202H、RESOMER(登録商標)202S、Lupon DEPOR(登録商標)、PLENAXIS(登録商標)、およびそれらの任意の2つ以上の組合せを含むポリラクチドなど、任意の好適なポリラクチドを使用することができる。加えてまたは代替的に、コーティングは、キトサンなど(限定されないが、キトサン95/200など)の多糖を含み得る。加えてまたは代替的に、コーティングは、ペプチドおよび/またはタンパク質を含み得る。加えてまたは代替的に、コーティングは、ゼラチン(限定されないが、F15、F20、またはF25など)を含み得る。コーティングは、前述のうちの2つ以上のいずれかの組み合わせおよび/または前述のうちのいずれかの化学修飾物を含み得ることが理解されるであろう。
【0082】
いくつかの実施形態では、コーティングは、多孔性賦形剤上に積載された活性剤と同じであるか、または異なり得る活性剤(例えば、活性剤がコーティング中またはその上に積載される)をさらに含む。したがって、いくつかの実施形態では、活性剤は多孔性賦形剤の細孔内に存在し、またコーティング中にも存在する。いくつかの実施形態では、コーティングは活性剤を含有しない。
【0083】
細孔がキャップされる実施形態では、コーティングは、細孔入口に共有結合されたナノ粒子などの材料を含み得る。例示的なナノ粒子は、硫化カドミウム(CdS)ナノ結晶、Fe3O4ナノ粒子、およびシクロデキストリンを含む。理論に拘束されるものではないが、積載された細孔をキャップすることにより、細孔からの活性物質の放出を阻害または制御することができると考えられる。
【0084】
したがって、いくつかの実施形態では、本組成物は、多孔性賦形剤粒子(限定されないが、規則性メソ多孔性シリカ、または244FP、XDP3050、72FP、XDP6035、またはXDP3150などのSYLOID(登録商標)粒子など)上に積載された活性剤を含む積載された多孔性賦形剤を含み、粒子は、本明細書に記載される材料(限定されないが、ゼラチンなど)でコーティングされる。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤粒子上に積載された活性剤を有するコーティングされた粒子は、乾燥粉末形態を得るなどのために噴霧乾燥される。
【0085】
追加の構成成分
上述のように、本明細書に記載される経鼻用組成物は、活性剤および多孔性賦形剤に加えて、ビヒクルおよび粘度調整剤(例えば、ゲル化剤)を含み得る。
【0086】
ビヒクルは、経鼻用医薬組成物のためのビヒクルとして好適な任意のビヒクルであり得る。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤のビヒクルは親水性ビヒクルである。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、1つ以上の脂肪、油、ワックス、リン脂質、ステロイド(例えば、コレステロール)、スフィンゴ脂質、セラミド、スフィンゴシン、プロスタグランジン、および/または脂肪-油ビタミンを含むビヒクルなどの親油性または部分親油性ビヒクルである。いくつかの実施形態では、ビヒクルは、植物油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、大豆油、ごま油、またはピーナッツ油などの油または油の混合物;オレイン酸エチルおよびオレイン酸オレイル、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル;中鎖トリグリセリド;脂肪酸のグリセロールエステル;ポリエチレングリコール;リン脂質;白色軟パラフィン;またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0087】
ビヒクルは、経鼻投与のための所望の特性、所望の物理的特性、所望の放出特性、所望の薬物動態などを提供するのに有効な量などの、任意の好適な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、約15重量%~約98重量%、約30重量%~約98重量%、約50重量%~約95重量%、約75重量%~約95重量%、約80重量%、または約90重量%の量でビヒクルを含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、15重量%~98重量%、30重量%~98重量%、50重量%~95重量%、75重量%~95重量%、80重量%、または90重量%の量でビヒクルを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、ビヒクルは、ビヒクル中に溶解、懸濁、または分散された活性剤を含むなど、活性剤を含む。ビヒクル中の活性剤(複数可)は、多孔性賦形剤上に積載された活性剤と同じであるか、または異なり得る。
【0089】
粘度調整剤は、存在する場合、経鼻用医薬組成物中の粘度調整剤としての使用に適した任意の粘度調整剤であり得る。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、メソ多孔性シリカ(活性剤が積載されているか、または積載されていない場合がある)を含む。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、セルロース、セルロース含有物質、多糖、カルボマー、ポリビニルアルコール、ポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、セチルアルコール、ステアリン酸、蜜ロウ、ペトロラタム、トリグリセリド、ラノリン、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、コロイド状二酸化ケイ素(限定されないが、AEROSIL(登録商標)200(Evonik)および/またはCAB-O-SIL(登録商標)M5(Cabot)など)を含む。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、W.R.Grace&Co.のSYLODENT(登録商標)(約110kg/m3の圧縮かさ密度、約190m2/gの比表面積、および約18μmの平均粒径を有する沈降シリカ)またはSYLOBLANC(登録商標)シリカ(約1.6ml/gの細孔容積および約3μmの平均粒径を有する多孔性シリカゲル)などの合成シリカを含む。いくつかの実施形態では、粘度調整剤は、AEROSIL(登録商標)200などの親水性ヒュームドシリカおよび/またはAEROSIL(登録商標)R972(ジメチルジクロロシランで後処理されたヒュームドシリカであり、約90~約130m2/gの表面積を有する)などの親油性二酸化ケイ素を含む。理論に拘束されるものではないが、親水性ヒュームドシリカを使用して、他の粘度調整剤で生成された同等のゲルと比較して高温安定性を有するチキソトロピーゲル組成物を調製することができると考えられる。
【0090】
粘度調整剤は、存在する場合、組成物の粘度を所望のレベルに調整するのに有効な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.5~約20重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約7重量%、約1~約4重量%、約4重量%、または約2重量%の粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.5~20重量%、0.5~10重量%、0.5~7重量%、1~4重量%、4重量%、または2重量%の粘度調整剤を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本組成物は、回転粘度計によって測定されるとき、約2,000mPa・sec~約10,000mPa・sec、例えば約2,000mPa・sec、約3,000mPa・sec、約4,000mPa・sec、約5,000mPa・sec、約6,000mPa・sec、約7,000mPa・sec、約8,000mPa・sec、約9,000mPa・sec、または約10,000mPa・secの粘度を有する。いくつかの実施形態では、本組成物は、回転粘度計によって測定されるとき、2,000mPa・sec~10,000mPa・sec、例えば2,000mPa・sec、3,000mPa・sec、4,000mPa・sec、5,000mPa・sec、6,000mPa・sec、7,000mPa・sec、8,000mPa・sec、9,000mPa・sec、または10,000mPa・secの粘度を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、組成物中の唯一の粘度調整剤として機能する。したがって、いくつかの実施形態では、本組成物は、多孔性賦形剤以外の粘度調整剤を含まない。例えば、シラノール基を有する多孔性賦形剤(限定されないが、SYLOID(登録商標)などのメソ多孔性シリカなど)は、粘度調整剤として機能することができる。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、孤立、ジェミナル、および/または隣接シラノール基を有する。多孔性賦形剤がシラノール基を含む場合であっても、別の粘度調整剤を組成物に添加しても、添加しなくてもよい。
【0093】
本組成物は、経鼻用医薬組成物の使用に適した他の構成成分を含有しても、含有しなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本組成物は、独立して、可溶化剤、共溶媒、電荷修飾剤、pH調整剤、浸透圧調整剤、分解酵素阻害剤、酸化防止剤、安定剤、膜透過促進剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁剤、界面活性剤、接着剤、および/または矯味剤のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、独立して、可溶化剤、共溶媒、電荷修飾剤、pH調整剤、浸透圧調整剤、分解酵素阻害剤、酸化防止剤、安定剤、膜透過促進剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁剤、界面活性剤、接着剤、および/または矯味剤のうちの1つ以上を含有しない(すなわち、これらのうちの1つ以上は組成物中に存在しない)。これらの構成成分は、存在する場合、それらの意図された機能を呈するのに、および/または組成物に所望の特性を付与するのに有効な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、組成物中の唯一の賦形剤である。
【0094】
界面活性剤は、存在する場合、経鼻用医薬組成物において界面活性剤として使用するのに適した任意の界面活性剤であり得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、限定されないが、レシチン、多価アルコールの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、オレオイルポリオキシルグリセリド(限定されないが、杏仁油PEG-6-エステルなど)、オレオイルマクロゴールグリセリド、および/またはソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、マクロゴールグリセロール脂肪酸エステルなどの保湿剤、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む、アニオン性、カチオン性、両性、および非イオン性界面活性剤から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、オレオイルマクロゴールグリセリド(LABRAFIL(登録商標)M 1944 CS(Gattefosse,Saint-Priest,France))またはオレオイルマクロゴールグリセリドの混合物を含む。
【0095】
界面活性剤は、存在する場合、界面活性剤の特性を発揮するのに有効な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1~約20重量%、約1~約10重量%、約1~約5重量%、約4重量%、または約2重量%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、1~20重量%、1~10重量%、約1~約5重量%、4重量%、または2重量%の界面活性剤を含む。
【0096】
いくつかの例示的な実施形態は、本組成物は、(a)組成物の重量に基づいて約0.5%~約50%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約0.5%~約40%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(c)組成物の重量に基づいて約50%~約90%w/wのヒマシ油と、(d)組成物の重量に基づいて約0.5%~約20%w/wのコロイド状二酸化ケイ素と、を含む。
【0097】
いくつかの例示的な実施形態は、本組成物は、(a)組成物の重量に基づいて約0.5%~約50%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約0.5%~約40%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(c)組成物の重量に基づいて約50%~約90%w/wのヒマシ油と、(d)組成物の重量に基づいて約2%~約6%w/wのオレオイルマクロゴールグリセリドと、を含む。
【0098】
いくつかの例示的な実施形態では、本組成物は、(a)組成物の重量に基づいて約6%~約11%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約0.1%~約30%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(c)組成物の重量に基づいて約70%~約80%w/wのヒマシ油と、を含む。いくつかの例示的な実施形態では、本組成物は、組成物の重量に基づいて約0.5%~約20%の粘度調整剤を含む。
【0099】
いくつかの例示的な実施形態は、本組成物は、(a)組成物の重量に基づいて約8%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、(b)組成物の重量に基づいて約2%w/wの活性剤であって、メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置するメソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、(b)組成物の重量に基づいて約80%w/wのヒマシ油と、(c)組成物の重量に基づいて約10%w/wのコロイド状二酸化ケイ素と、を含む。
【0100】
いくつかの例示的な実施形態では、本組成物は、(a)組成物の重量に基づいて、活性剤が積載されていない、および/または活性剤が積載された約1%~約50%w/wのメソ多孔性シリカを含有する経鼻用ゲルと、(b)組成物の重量の100%w/wまでの追加の賦形剤と、を含む。
【0101】
製造方法
本明細書に記載されるのは、多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用医薬組成物の製造方法であり、活性剤は、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載される。
【0102】
いくつかの実施形態では、活性剤は、流動床含浸、自然蒸発および昇華、噴霧乾燥、真空乾燥、ホットメルト押出、噴霧凝固、共粉砕、湿式含浸/溶媒付着、エレクトロスプレー技術、ハイブリダイゼーション技術、乳化重合、ゾル-ゲルカプセル化、化学的連結、コアセルベーション、およびゾル-ゲル法から選択される1つ以上のプロセスを介して多孔性賦形剤上に積載される。
【0103】
いくつかの実施形態では、活性剤は、油吸着を介して多孔性賦形剤上に積載される。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、植物油、動物油、および鉱油のうちの任意の1つ以上などの油に溶解した活性剤と混合される。例示的な油としては、植物油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、大豆油、ごま油、ピーナッツ油、リナロール、TRANSCUTOL(登録商標)HP(Gattefosseの精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルEP/NF)、CAPRYOL(商標)PGMC(Gattefosseのプロピレングリコールモノカプリレート)(タイプI)NF)、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、油(溶解した活性剤とともに)および多孔性賦形剤は、約3:1未満の油:賦形剤、例えば、約2.5:1の油:賦形剤、約2:1の油:賦形剤、約1.5:1の油:賦形剤、または約1:1の油:賦形剤の容積比で混合される。いくつかの実施形態では、油(溶解した活性剤とともに)および多孔性賦形剤は、3:1未満の油:賦形剤、例えば、2.5:1の油:賦形剤、2:1の油:賦形剤、1.5:1の油:賦形剤、または1:1の油:賦形剤の容積比で混合される。いくつかの実施形態では、油および多孔性賦形剤は、約10:1の油:賦形剤、例えば、約8:1または約5:1の油:賦形剤の比で混合される。いくつかの実施形態では、油および多孔性賦形剤は、10:1の油:賦形剤、例えば、8:1または5:1の油:賦形剤の比で混合される。
【0104】
いくつかの実施形態では、活性剤は、塩化メチレン、ジクロロメタン、アセトン、水、およびエタノールのうちの1つ以上などの溶媒を介して多孔性賦形剤上に積載される。特定の実施形態では、多孔性賦形剤は、エタノール:水の混合物などの溶媒に溶解した活性剤と混合される。いくつかの実施形態では、活性剤は、約30:70(v/v)、約40:60(v/v)、約45:55(v/v)、約50:50(v/v)、約55:45(v/v)、約60:40(v/v)または約70:30(v/v)のエタノール:水を含む、エタノール:水の混合物に溶解される。理論に拘束されるものではないが、エタノール:水の比は、使用される活性剤およびエタノールにおけるその溶解度に基づいてさらに変動させることができると考えられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、放出変更剤は、多孔性賦形剤上への活性剤の積載を容易にするために使用される。いくつかの実施形態では、放出変更剤または放出変更剤を含む溶液を活性剤混合物(例えば、活性剤を含む油または溶媒)に添加し、次いで活性剤を多孔性賦形剤上に積載する。放出変更剤は、使用される場合、活性剤を多孔性賦形剤上に積載する際の使用に適した任意の放出変更剤であり得る。いくつかの実施形態では、放出変更剤は、ポリビニルピロリドン(限定されないが、約24,000Daの分子量を有するAshland,Inc.のPVP K25(登録商標)など)、セルロースエーテル、ヒアルロン酸、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、グリコール酸ナトリウム澱粉、ポリラクチド、多糖、可溶化剤(限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)またはtweenなど)、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、放出変更剤を含む溶液は、油(限定されないが、植物油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、大豆油、ごま油、ピーナッツ油、リナロール、TRANSCUTOL(登録商標)HP(Gattefosseの精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルEP/NF)、CAPRYOL(商標)PGMC(Gattefosseのプロピレングリコールモノカプリレート(タイプI)NF)など)、または溶媒(限定されないが、塩化メチレン、ジクロロメタン、アセトン、水、およびエタノールのうちの1つ以上など)に混合された放出変更剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約2.5%、約3%、約5%、約10%、約20%、または約30%w/wの放出変更剤、例えば、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、5%、10%、20%、または30%w/wの放出変更剤を含む。いくつかの実施形態では、放出変更剤溶液は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約2.5%、約3%、約5%、または約10%、例えば、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、5%、または10%の量で活性剤混合物に添加される。
【0107】
いくつかの実施形態では、活性剤は、高い積載効率で多孔性賦形剤上に積載される。いくつかの実施形態では、プロセスで使用される活性剤の少なくとも約60%が多孔性賦形剤上に積載される。いくつかの実施形態では、活性剤は、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%を含む、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%の積載効率で多孔性賦形剤上に積載される。いくつかの実施形態では、活性剤は、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の積載効率で多孔性賦形剤上に積載される。いくつかの実施形態では、活性剤は、少なくとも約95%または少なくとも95%の効率で多孔性賦形剤上に積載される。
【0108】
いくつかの実施形態では、活性剤は、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載される。いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する多孔性賦形剤の表面上に積載されるが、多孔性賦形剤の外表面上には積載されない。
【0109】
いくつかの実施形態は、多孔性賦形剤吸着体(限定されないが、多孔性シリカ吸着体など)に対してゲル化剤(限定されないが、ヒュームドシリカなど)を完全にまたは部分的に交換することを含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、賦形剤上に別様に積載された活性剤との相互作用により、例えば、毛管力および/またはファンデルワールス相互作用(例えば、多孔性賦形剤上にすでに積載されている活性剤分子との相互作用により)により多孔性賦形剤上に積載される。いくつかの実施形態では、活性剤は、多孔性賦形剤の表面上のシラノール基との相互作用により多孔性賦形剤上に積載される。理論に拘束されるものではないが、いくつかの実施形態(例えば、極性活性剤を用いた実施形態)では、シラノール基と相互作用する活性剤は、体液などの高極性物質との接触時に置換され、多孔性賦形剤から放出されると考えられる。
【0110】
いくつかの実施形態では、活性剤は多孔性賦形剤に吸着される。いくつかの実施形態では、活性剤は、多孔性賦形剤上の官能基を介して多孔性賦形剤に共有結合される。理論に拘束されるものではないが、共有結合した活性剤は、pH、温度、酵素の存在などの変化などの刺激に応答して放出され得ると考えられる。
【0111】
いくつかの実施形態では、多孔性賦形剤は、テトラエチルオルトシリケートまたは(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシランなどの前駆体から合成される。
【0112】
いくつかの実施形態では、組成物は、熱力学的に重要な懸濁液を製剤化することなく調製することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、組成物は、滅菌材料を用いて調製される。いくつかの実施形態では、組成物は、滅菌条件下で調製される。
【0114】
いくつかの実施形態では、活性剤および多孔性賦形剤は、独立して、油および/または溶媒(エタノール、水、塩化メチレン、ジクロロメタン、アセトン、またはそれらの2つ以上の組み合わせなど)に溶解され、一緒に混合される。いくつかの実施形態では、ポンプを介して活性剤を撹拌多孔性賦形剤に添加することなどにより、活性剤および多孔性賦形剤を段階的に混合する。いくつかの実施形態では、得られた混合物を真空下で乾燥させる(限定されないが、約50℃~約80℃の温度などで)。他の実施形態では、得られた溶液を噴霧乾燥して、活性剤が積載された多孔性賦形剤を得る いくつかの実施形態では、混合物を噴霧乾燥する前に均質化する。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥した粒子を、溶解した活性剤を含む第2の溶液と混合した後に、2度目の噴霧乾燥を行う。
【0115】
いくつかの実施形態では、活性剤を溶媒に溶解し、次いで多孔性賦形剤を溶媒に混合する。いくつかの実施形態では、ポンプを介して活性剤を撹拌多孔性賦形剤に添加することなどにより、活性剤および多孔性賦形剤を段階的に混合する。いくつかの実施形態では、得られた混合物を真空下で乾燥させる(限定されないが、約50℃~約80℃の温度などで)。他の実施形態では、得られた混合物を噴霧乾燥させる。いくつかの実施形態では、活性剤が多孔性賦形剤に完全に導入された後(例えば、最大量の活性剤が多孔性賦形剤上に積載された後)、得られた混合物を噴霧乾燥させる。
【0116】
いくつかの実施形態では、積載された多孔性賦形剤は、噴霧乾燥の前に、ビヒクル、界面活性剤(限定されないが、乳化剤など)、積載されていない活性剤、および粘度低下剤などの追加の構成成分と混合される。例えば、いくつかの実施形態では、積載された多孔性賦形剤は、乳化剤と混合される。乳化剤は、存在する場合、経鼻用医薬組成物中の乳化剤としての使用に適した任意の乳化剤であり得る。いくつかの実施形態では、乳化剤は、オレイン酸ナトリウム、TWEEN(登録商標)20、Natriumoleat、LUTROL(登録商標)F68、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。乳化剤は、存在する場合、組成物の構成成分を乳化させるのに有効な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、本組成物は、混合物の総重量に基づいてい、約0.01%w/w~約2%w/w、約0.02%w/w~約1%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、または約0.08%w/wの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、混合物の総重量に基づいてい、0.01%w/w~2%w/w、0.02%w/w~1%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、または0.08%w/wの乳化剤を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、本方法は、25%を超える、例えば、約25%~約100%、約50%~約99%、約60%~約98%、約70%~約95%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、または約99%の収率をもたらす。いくつかの実施形態において、本方法は、25%~100%、50%~99%、60%~98%、70%~95%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%の収率をもたらす。
【0118】
いくつかの実施形態では、コーティングが積載された多孔性賦形剤に添加される。いくつかの実施形態では、コーティングを調製するために使用される材料は、溶媒に溶解され、次いで、積載された多孔性賦形剤が溶液に添加される。いくつかの実施形態では、活性剤およびコーティング材料は、独立して、油および/または溶媒(エタノール、水、塩化メチレン、ジクロロメタン、アセトン、またはそれらの2つ以上の組み合わせなど)に溶解され、一緒に混合され、次いで、積載された多孔性賦形剤が得られた溶液に添加される。次いで、積載された多孔性賦形剤およびコーティング材料の両方を含む溶液が噴霧乾燥され得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料および積載された多孔性賦形剤は、最初に一緒に混合されることなく一緒に噴霧乾燥される。
【0119】
いくつかの実施形態では、活性剤が積載された多孔性賦形剤は、コーティング物質(例えば、上述の油または他の物質に不溶性のポリマー)と一緒に噴霧乾燥または共処理によって上述のようにコーティングされる。いくつかの実施形態では、積載された多孔性賦形剤およびコーティング物質は、一相系に噴霧乾燥される。いくつかの実施形態では、積載された多孔性賦形剤およびコーティング材料は、エマルジョンにて噴霧乾燥される。いくつかの実施形態では、活性剤が積載されたコーティングされた多孔性賦形剤は、ビヒクル、界面活性剤、積載されていない活性剤、および増粘剤などの追加の構成成分と混合される。
【0120】
上述のように、いくつかの実施形態では、積載された細孔は、例えば、細孔からの活性剤の放出を阻害または制御するためにキャップされる。細孔は、ナノ結晶(限定されないが、硫化カドミウムナノ結晶など)を細孔入口に共有結合させることなどにより、任意の好適な方法でキャップすることができる。細孔をキャップする例示的な方法は、Lai et al,J.Am.Soc.Chem.125(15):4451-4459(2003)およびSun,“Mesoporous silica nanoparticles for applications in drug delivery and catalysis,”Graduate Theses and Dissertations,Paper 12812(2012)(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に論じられている。
【0121】
使用方法
また、活性剤の鼻腔内送達を必要とする対象にそれを行うための方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、治療有効量の活性剤を含む本明細書に記載される組成物は、ある量の組成物を鼻腔に適用することによって、またはある量の組成物を鼻腔に投与することによってなど、それを必要とする対象に経鼻投与される。本組成物は、複数回投与デバイスまたは単回投与デバイスなどの経鼻用組成物の投与に適した任意のデバイスから投与することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、本組成物は、投与後2時間まで、投与後3時間まで、投与後4時間まで、投与後5時間まで、または投与後6時間まで、血液および/または脳における活性剤の治療レベルを達成する。いくつかの実施形態では、本組成物は、血液および/または脳における治療レベルを6時間以上達成する。
【0123】
本明細書に記載される組成物を用いて治療することができる状態は、組成物に製剤化された活性剤(複数可)に依存する。鼻腔内送達は、中枢神経系の障害(限定されないが、二分脊椎など)、脳の障害、および/または脊髄の障害を治療するために特に有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、神経障害または精神障害の治療方法において有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、ハンチントン病または筋ジストロフィーなどの欠陥遺伝子によって引き起こされる疾患;パーキンソン病またはアルツハイマー病などの変性疾患;脳卒中などの血管に関連する疾患;脊髄および/または脳への損傷;てんかんなどの発作障害;脳腫瘍などの癌;ならびに髄膜炎などの感染症の治療方法において有用である。
【0124】
特定の実施形態では、テストステロンを含む本明細書に記載される組成物は、性腺機能低下症(原発性性腺機能低下症または続発性性腺機能低下など)、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、または性的欲求低下傷害、多発性硬化症(MS)の治療方法において有用である。特定の実施形態では、プロゲステロンを含む本明細書に記載される組成物は、不眠症および脳損傷の治療方法において有用である。特定の実施形態では、アリピプラゾール、アウエチアピン、またはパリペリドンを含む本明細書に記載される組成物は、統合失調症の治療方法において有用である。特定の実施形態では、デュロキセチンまたはドーパミンを含む本明細書に記載される組成物は、うつ病および/または不安の治療方法において有用である。特定の実施形態では、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、またはフマル酸ジメチルを含む本明細書に記載される組成物は、多発性硬化症の治療方法において有用である。特定の実施形態では、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、またはドネペジルを含む本明細書に記載される組成物は、記憶を増強する方法またはアルツハイマー病の治療方法に有用である。特定の実施形態では、デスベンラファキシン、デュロキセチン、またはドーパミンを含む本明細書に記載される組成物は、うつ病の治療方法において有用である。特定の実施形態では、エスゾピクロンまたはエスゾピクロンを含む本明細書に記載される組成物は、不眠症の治療方法において有用である。特定の実施形態では、トモキセチン、グアファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、またはドーパミンを含む本明細書に記載される組成物は、注意欠陥多動性障害の治療方法において有用である。特定の実施形態では、プロゲステロンまたは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)を含む本明細書に記載される組成物は、外傷性脳損傷の治療方法において有用である。特定の実施形態では、メトトレキサート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、またはモノクローナル抗体を含む本明細書に記載される組成物は、脳腫瘍の治療方法において有用である。特定の実施形態では、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、またはバルプロ酸を含む本明細書に記載される組成物は、てんかんの治療方法において有用である。特定の実施形態では、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、またはフェンタニルを含む本明細書に記載される組成物は、疼痛の治療方法において有用である。特定の実施形態では、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、またはイストラデフィリンを含む本明細書に記載される組成物は、パーキンソン病の治療方法において有用である。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、対象にワクチン接種するために使用され得る。例えば、本明細書に記載される組成物は、インフルエンザ、B型肝炎、または髄膜炎に対して対象にワクチン接種するために使用され得る。
【0126】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物の例示として含まれる。これらの実施例は決して本発明の範囲を限定するものではない。本発明の他の態様は、本発明が属する当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0127】
実施例1-テストステロン積載ビーズ:噴霧乾燥を介した積載
噴霧乾燥テストステロン積載ビーズは、以下のプロトコルを用いて調製された。
【0128】
第1の噴霧乾燥ステップ
90mlのエタノール(無水)を1.0gのメソ多孔性SYLOID(登録商標)244FP粒子に添加し、得られた分散液を500rpmで操作されるマグネチックスターラーで均質化した。別に、10mlのエタノール(無水)を0.428gのテストステロンに添加し、テストステロンを900rpmで操作される振動式シェーカーで溶解した。テストステロンを溶解した後、テストステロン溶液を粒子分散液に添加し、混合物を500rpmで20時間撹拌した。
【0129】
次いで、分散ガスとして窒素を用いて閉ループモードで操作した(不活性ループB-295)直径0.7mmのノズル先端を備えたミニスプレードライヤーB-290(Buchi)を用いて、混合物を噴霧乾燥させた。装置は吸引モードで運転された。噴霧乾燥中、分散液を500rpmで撹拌した。噴霧乾燥パラメータを表1Aに示す。
表1A:テストステロン積載試験における第1の噴霧乾燥ステップの噴霧乾燥パラメータ
【表1A】
【0130】
噴霧乾燥した粒子を高効率サイクロンに収集し、次いで、40℃および10mbarの真空乾燥オーブン中で6日間乾燥させた。
【0131】
2回目の噴霧乾燥ステップ
振動式シェーカーを用いて、900rpmで0.250gのテストステロンを4mlのエタノールに溶解した。200rpmおよび37℃で操作されるサーモシェーカーを用いて、1.000gのゼラチンF15を55mlの水に2時間溶解した。テストステロン溶液をゼラチン溶液に添加し、混合物を500rpmで撹拌した。その後、0.500gの前に噴霧乾燥した粒子(すなわち、テストステロン/244FP粒子)を溶液に添加し、500rpmで分散させた。場合によっては、分散物を音波処理によりさらに均質化した。
【0132】
分散ガスとして窒素を用いて閉ループモードで操作した(不活性ループB-295)直径0.7mmのノズル先端の標準的な二流体ノズルを備えたミニスプレードライヤーB-290(Buchi)を用いて、分散物を噴霧乾燥させた。装置は吸引モードで運転された。噴霧乾燥中、分散液を500rpmで撹拌した。噴霧乾燥パラメータを表1Bに示す。
表1B:テストステロン積載試験における第2の噴霧乾燥ステップの噴霧乾燥パラメータ
【表1B】
【0133】
最終的なテストステロン積載粒子を、真空乾燥オーブン中、40℃および10mbarで乾燥させた。この粒子は、22.9%のテストステロンの理論上の積載量を有する。
【0134】
実施例2-テストステロン積載粒子:自由流動性粉末
テストステロン積載粒子の自由流動性粉末を、以下のプロトコルを用いて調製した。
【0135】
0.2143gのテストステロンを1.5gのリナロール油に添加し、次いでボルテックスミキサーを用いて10分間混合した。次いで、0.75gの溶解したテストステロン混合物に0.5gのSYLOID(登録商標)粒子(244FPおよびXDP3050の両方は独立した実験で使用された)を添加し、次いでマグネチックスターラーで、700rpmで10~15分間撹拌した。次いで、SYLOID(登録商標)/テストステロン混合物をスパチュラで混合して混合容器の壁に付着した混合物の部分を再導入し、次いでマグネチックスターラーで10~15分間再び撹拌した。この粒子は、約7.5%のテストステロンの理論上の積載量を有する。
【0136】
実施例3-テストステロン積載粒子:自由流動性粉末、油吸着法による積載
テストステロン積載粒子は、以下のプロトコルを用いて調製された。
【0137】
0.2143gのテストステロンを1.5gのリナロール油に添加し、次いでボルテックスミキサーを用いて10分間混合した。次いで、1.5gの溶解したテストステロン混合物に0.5gのSYLOID(登録商標)粒子(244FPおよび72FPの両方は独立した実験で使用された)を添加し、次いでマグネチックスターラーで、700rpmで10~15分間撹拌した。次いで、SYLOID(登録商標)/テストステロン混合物をスパチュラで混合して混合容器の壁に付着した混合物の部分を再導入し、次いでマグネチックスターラーで10~15分間再び撹拌した。この粒子は、約9.4%のテストステロンの理論上の積載量を有する。
【0138】
実施例4-プロゲステロン積載ビーズ:噴霧乾燥を介した積載
噴霧乾燥プロゲステロン積載ビーズは、以下のプロトコルを用いて調製された。
【0139】
60mlのエタノール(無水)を1.0gのメソ多孔性SYLOID(登録商標)244FP粒子に添加し、得られた分散液を500rpmで操作されるマグネチックスターラーで均質化した。別に、40mlのエタノール(無水)を0.666gのプロゲステロンに添加し、プロゲステロンを900rpmで操作される振動式シェーカーで溶解した。プロゲステロンを溶解した後、プロゲステロン溶液を粒子分散液に添加し、混合物を500rpmで20時間撹拌した。
【0140】
分散ガスとして窒素を用いて閉ループモードで操作した(不活性ループB-295)直径0.7mmのノズル先端の標準的な二流体ノズルを備えたミニスプレードライヤーB-290(Buchi)を用いて、混合物を噴霧乾燥させた。装置は吸引モードで運転された。噴霧乾燥中、分散液を500rpmで撹拌した。噴霧乾燥パラメータを表2に示す。
表2:プロゲステロン積載試験の噴霧乾燥パラメータ
【表2】
【0141】
噴霧乾燥した粒子を高効率サイクロンに収集し、次いで、40℃および10mbarの真空乾燥オーブン中で6日間乾燥させた。この粒子は、約40%のプロゲステロンの理論上の積載量を有する。
【0142】
実施例5-プロゲステロンの積載
30%、40%、50%、および60%のプロゲステロンの理論上の積載量を有する粒子を生成するために構成成分の量を変えたが、実施例4に記載のプロトコルを用いて噴霧乾燥したプロゲステロン粒子を調製した。収率は、噴霧乾燥前のプロゲステロンおよびSYLOID(登録商標)粒子の合計質量と比較した、バイアル中への噴霧乾燥後の組成物の質量に基づいて決定した。残留水分は、噴霧乾燥した粒子を真空乾燥した後の質量の変化として計算された。
【0143】
表3Aに記載のSYLOID(登録商標)72FPを用いて調製したプロゲステロン組成物。
表3A:プロゲステロン+SYLOID(登録商標)72FPを含む噴霧乾燥組成物。
【表3A】
【0144】
図1に提供されるプロゲステロン+SYLOID(登録商標)72FP組成物の走査電子顕微鏡写真を得て、粒子の形態およびサイズを調べた。
図1の左側のサブ図において、バーは10μmの距離を表し、
図1の右側のサブ図において、バーは1μmの距離を表す。
【0145】
噴霧乾燥した粒子も同様のプロトコルを用いて調製したが、SYLOID(登録商標)72FPの代わりにSYLOID(登録商標)244FPを用いて調製した。これらの組成物を表3Bに示す。
表3B:プロゲステロン+SYLOID(登録商標)244FPを含む噴霧乾燥組成物。
【表3B】
【0146】
図2に提供されるプロゲステロン+SYLOID(登録商標)244FP組成物の走査電子顕微鏡写真を得て、粒子の形態およびサイズを調べた。2つの異なる焦点距離で走査電子顕微鏡写真を撮った。
図2の左側のサブ図において、バーは10μmの距離を表し、
図2の右側のサブ図において、バーは1μmの距離を表す。
【0147】
参考までに、SYLOID(登録商標)72FPまたはSYLOID(登録商標)244FPを含むがプロゲステロンを含まない組成物を噴霧乾燥を介して調製した。これらの組成物を
図3Cに示す。
表3C:SYLOID(登録商標)72FPまたはSYLOID(登録商標)244FPを含む噴霧乾燥した参照組成物。
【表3C】
【0148】
図3に提供される参照組成物の走査電子顕微鏡写真を得て、粒子の形態およびサイズを調べた。2つの異なる焦点距離で走査電子顕微鏡写真を撮った。
図3の左側のサブ図において、バーは10μmの距離を表し、
図3の右側のサブ図において、バーは1μmの距離を表す。
【0149】
別の参照として、エタノールに溶解したプロゲステロン(すなわち、SYLOID(登録商標)粒子上に積載しない)を、50mlのエタノール中に0.214gのプロゲステロンを溶解することによって調製した。プロゲステロン参照組成物を、密閉サイクルシステムにおいて二流体ノズルを備えたミニスプレードライヤーB-290(Buchi)を用いて噴霧乾燥させた。設定値は、吸引器速度100%、噴霧ガス流量45mm、ポンプ速度10%、ノズルクリーナー1、およびT
in81℃で一定であった。空のガラスバイアルの重量を噴霧乾燥した粒子を含有するガラスバイアルと比較することによって、収率は17.3%であると決定された。
図4に提供されるプロゲステロン参照物の走査電子顕微鏡写真を得て、粒子の形態およびサイズを調べた。2つの異なる焦点距離で走査電子顕微鏡写真を撮った。
図4の左側のサブ図において、バーは10μmの距離を表し、
図4の右側のサブ図において、バーは1μmの距離を表す。
【0150】
実施例6-実際のプロゲステロン含量の決定
実施例5の噴霧乾燥したプロゲステロン+SYLOID(登録商標)粒子の実際のプロゲステロン含量は、約7日間にわたるプロゲステロンの放出を監視することによって決定された(カプセル化プロゲステロンの100%がこの時間に放出されたと仮定した)。3×10mgのプロゲステロン積載粒子の各バッチを小型ガラスバイアルに量り入れ、20mlのエタノール水(45/55(v/v))をバイアルに添加した。分散液を400rpmおよび室温で約7日間撹拌した。次いで、試料を15,000rpmで10分間遠心分離し、希釈した。試料の質量濃度は、247nmでの紫外分光法を用いて決定した。実際のプロゲステロン含量および積載効率を計算し、表4に示す。
表4:SYLOID(登録商標)粒子中の理論上および実際のプロゲステロン積載量の比較。
【表4】
【0151】
実施例7-カプセル化プロゲステロンの熱的挙動
実施例5の噴霧乾燥したプロゲステロン+SYLOID(登録商標)粒子の熱的挙動を、示差走査熱量測定により評価した。すべての試料を、DSC 200 F3 MAIA(登録商標)(Netzch)で10K/分の加熱および冷却速度で-50℃~180℃まで2回測定した。エタノールに溶解したプロゲステロンを、プロゲステロン+SYLOID(登録商標)粒子と同じ条件下で噴霧乾燥させ、参照として使用した。また、噴霧乾燥していないプロゲステロン、および噴霧乾燥したSYLOID(登録商標)72FP粒子またはプロゲステロン不含SYLOID(登録商標)244FP粒子も参照として使用した。参照物のDSC曲線を
図5に示す。プロゲステロン参照物について、2つの加熱サイクルの融点(ピーク温度)、ガラス転移温度(開始)、および再結晶化(ピーク温度)を決定し、表5に示す。
表5:参照試料で得られたDSC曲線からのプロゲステロンの熱的挙動。
【表5】
【0152】
噴霧乾燥したプロゲステロン+SYLOID(登録商標)244FP粒子の熱的挙動は、
図6に示すDSC測定によって示される。
図6は、実際の積載量が37%のプロゲステロンのSYLOID(登録商標)244FP組成物において、100℃(MetP_107)のすぐ下に溶融ピークが現れ始めることを示す。理論に拘束されるものではないが、このピークはプロゲステロンの多形形態(例えば、V形態)を表すと考えられる。
図6はまた、プロゲステロンの増加により、96.5℃(MetP_108)および99.2℃(MetP_109)で立ち上がりピークが検出されたことに示す。
【0153】
噴霧乾燥したプロゲステロン+SYLOID(登録商標)72FP粒子の熱的挙動は、
図7に示すDSC測定によって示される。
図7は、実際の積載量が42%のSYLOID(登録商標)72FP組成物(MetP_113)において、100℃より下で肩が現れることを示す。
図7はまた、57.5%の実際のプロゲステロン積載量を有する組成物(MetP_114)で、第1の加熱サイクルにおいて125℃の融点および第2のサイクルにおいて約100℃でのピークを示す。理論に拘束されるものではないが、これらの2つの融点は、プロゲステロン結晶形態IIおよびVに起因すると考えられる。
【0154】
実施例8-プロゲステロン積載規則性メソ多孔性シリカ
塩化メチレン中200mg/mlのプロゲステロン溶液またはアセトン中100mg/mlのプロゲステロン溶液のいずれかを用いて、プロゲステロンを規則性メソ多孔性シリカ(OMS-7)粉末に含浸させて、30%、35%、および40%(w/w)のプロゲステロンの積載量を得た。含浸後、積載されたシリカ粉末を40℃で少なくとも24時間真空下で乾燥させて、過剰な溶媒を除去した。試料の形態は、示差走査熱量測定サーモグラムを用いて評価した(
図8に示される)。
図8は、塩化メチレンで調製した試料は非晶質に見えるが、アセトンで調製した試料は結晶形態であったことを示す。
【0155】
別の実験では、塩化メチレンを用いて20%および40%(w/w)の標的濃度でOMS-7上にプロゲステロンを積載し、試料を上述のように乾燥させた。実際のプロゲステロン含量は、それぞれ、20.2±0.2%(w/w)(n=3)および38.3±0.9%(w/w)(n=3)であると決定された。示差走査熱量測定サーモグラムは、
図9に示されるように、すべての試料のプロゲステロンが非晶質形態であることを示す。
【0156】
窒素物理吸着実験は、プロゲステロンがOMS-7の細孔に吸着されたことを確認した。特に、データは、プロゲステロン積載後の細孔容積および表面積の一貫した減少を示す。これらの結果を表6に要約し、
図10に視覚的に示す。「OMS-7ロット39」はプロゲステロンを含まないOMS-7であり、「Prog-OMS-7-20%」は約20%のプロゲステロンを含むOMS-7であり、「Prog-OMS-7-40%」は約40%のプロゲステロンを含むOMS-7である。孔径分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)モデルを用いて等温線の脱着枝から計算された。総表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)モデルにより計算された。全細孔容積は、p/p
0=0.95で等温線から直接得られた。このデータは、積載とともに細孔の直径が漸進的に減少することを示しており、OMS-7表面上へのプロゲステロンの層状付着を示す。理論に拘束されるものではないが、プロゲステロンは、例えば、毛管力またはファンデルワールス相互作用を介して、OMS-7および他のプロゲステロン部分の両方と相互作用していると考えられる。
表6:窒素物理吸着実験からの多孔性データ。
【表6】
【0157】
実施例9-テストステロン積載規則性メソ多孔性シリカ
塩化メチレン中200mg/mlのテストステロン溶液またはエタノール中100mg/mlのテストステロン溶液のいずれかを用いて、テストステロンを規則性メソ多孔性シリカ(OMS-7)粉末に含浸させて、30%、35%、および40%(w/w)のテストステロンの積載量を得た。含浸後、積載されたシリカ粉末を40℃で少なくとも24時間真空下で乾燥させて、過剰な溶媒を除去した。試料の形態は、示差走査熱量測定サーモグラムを用いて評価した(
図11に示される)。
図11は、塩化メチレンで調製した試料は非晶質に見えるが、エタノールで調製した試料は結晶形態であったことを示す。
【0158】
別の実験では、塩化メチレンを用いて20%および40%(w/w)の標的濃度でOMS-7上にテストステロンを積載し、試料を上述のように乾燥させた。実際のテストステロン含量は、それぞれ、20.1±0.4%(w/w)(n=3)および37.9±1.9%(w/w)(n=3)であると決定された。示差走査熱量測定サーモグラムは、
図12に示されるように、すべての試料のテストステロンが非晶質形態であることを示す。
【0159】
窒素物理吸着実験は、テストステロンがOMS-7の細孔に吸着されたことを確認した。特に、データは、プロゲステロン積載後の細孔容積および表面積の一貫した減少を示す。これらの結果を表7に要約し、
図13に視覚的に示す。「OMS-7ロット39」はテストステロンを含まないOMS-7であり、「Test-OMS-7-20%」は約20%のテストステロンを含むOMS-7であり、「Test-OMS-7-40%」は約40%のテストステロンを含むOMS-7である。孔径分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)モデルを用いて等温線の脱着枝から計算された。総表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)モデルにより計算された。全細孔容積は、p/p
0=0.95で等温線から直接得られた。このデータは、積載とともに細孔の直径が漸進的に減少することを示しており、OMS-7表面上へのテストステロンの層状付着を示す。
表7:窒素物理吸着実験からの多孔性データ。
【表7】
【0160】
実施例10-プロゲステロンゲル組成物
カプセル化プロゲステロンを含むプロゲステロンゲル組成物は、表8に示すように調製された。組成物1において、追加のコロイド状無水シリカを添加して粘度を改善し、構成成分量が100%を超える組成物(組成物1の重量%は合計102%)が得られた。
表8:プロゲステロンゲル組成物
【表8】
【0161】
実施例11-テストステロンゲル組成物
カプセル化テストステロンを含むテストステロンゲル組成物は、表9に示すように調製された。
表9:テストステロンゲル組成物
【表9】
【0162】
実施例12-テストステロンの噴霧乾燥
噴霧プロセスにより活性剤テストステロンが変化した程度を試験するために、純粋なエタノールにて噴霧乾燥した。この目的で、0.214gのテストステロンを50mLのエタノールに溶解した。この濃度は、30%のテストステロン積載量に用いられる濃度を表す。この溶液を、密閉吸引システムを用いてミニスプレードライヤー内で噴霧した。設定値は、ポンプ出力10%、吸引器出力100%、分散ガス45mmであり、ノズルクリーナーは1に一定に保たれた。可変パラメータを表10に示す。
表10:見込みテストステロンバッチを用いた噴霧乾燥実験の入口温度T
inおよびその収率。
【表10】
【0163】
噴霧乾燥からの純粋なテストステロンの収率は、おそらくサイクロン中に認められる大量のテストステロンのため、すなわち生成物収集容器に付着しなかったため、比較的低い。走査電子顕微鏡写真(SEM画像)を
図14に示す。これは、テストステロンが噴霧乾燥後に微粒子形態で存在することを示す。図では、「1.送達」はテストステロンの第1バッチを表し、「2.送達」はテストステロンの第2バッチを表す。
【0164】
実施例13-ポリマーマトリックスにおけるテストステロンの積載
以下のポリマー:ポリラクチド、キトサン、またはゼラチンの存在下でカプセル化されたテストステロンを用いて組成物を調製した。
【0165】
ポリラクチド積載
ポリラクチドポリマーRESOMER(登録商標)202HおよびRESOMER(登録商標)202S(Evonik)をジクロロメタンに溶解し、テストステロン+RESOMER(登録商標)の総重量に基づいて10重量%または30重量%のいずれかでテストステロンを添加した。これらの溶液を、密閉吸引システムの二流体ノズルを用いてミニスプレードライヤー内で噴霧した。このステップ中、吸引器出力は100%で一定に保たれ、分散ガスは50mmに、そしてノズルクリーナーは1に保たれた。T
in温度は、既存の室温に起因した。これらの実験で得られた収率を表11に示す。
表11:ポリラクチドを用いた噴霧乾燥実験のパラメータおよび得られた収率。
【表11】
*MetP_85は、MetP_75と同様に調製されたが、バッチサイズを2倍にした。
【0166】
収率は、添加されるPLAの量を増加させることによって4.8%~25.3%に増加し、さらに入口温度Tinを低下させることによって25.3%~63.8%に増加した。理論に拘束されるものではないが、サイクロン中の粒子の付着の増加は、ポリラクチドの低いガラス転移温度および最初の過剰な温度のために生じた可能性があると考えられる。テストステロンをポリマー溶液に添加することにより、収率が52.2%にわずかに減少した。
【0167】
粒子の形態は、
図15A~CのSEM画像に示される。最初の実験では、おそらく2つの非晶質ポリラクチドのガラス転移温度(Tg)が異なるため、RESOMER(登録商標)202S(MetP_06/MetP_07)と比較して、凝集していないより均一な粒子がRESOMER(登録商標)202H(MetP_05/MetP_02)を用いて生成され得ることが示された。RESOMER(登録商標)202Sよりも高いTgを有するRESOMER(登録商標)202Hをさらなる実験に使用した。
【0168】
添加されるPLAの量を5%(MetP_27)および10%(MetP_45)増加させると、粒径およびサイズ分布が増加した。噴霧溶液(MetP_60)の汲み出し速度を増加させ、入口温度(MetP_61)を低下させることは形態に顕著な影響を及ぼさなかった。テストステロン(10%:MetP_74、30%:MetP_75)の添加も顕著な影響を及ぼさなかった。生成された組成物の量(MetP_85)の倍増は、粒径のさらなる増加をもたらすようであった。
【0169】
キトサンの積載
0.5gの医薬グレードのキトサン95/200(脱アセチル化レベル95%、1%酢酸中の粘度:151~350mPa)を50mlの2%酢酸に溶解することによって、キトサン溶液を形成した。対照実験のために、50mlのエタノールをキトサン溶液に添加した。テストステロン組成物では、48mlのエタノールをキトサン溶液に添加した。テストステロンを2mlのエタノールに溶解し、次いでキトサン/エタノール溶液に添加した。これらの溶液を、密閉吸引システムの二流体ノズルおよび200rpmの撹拌速度を用いてミニスプレードライヤー内で噴霧した。ドライヤーの設定値は、次の通りである:入口温度140℃、ポンプ出力10%、吸引器出力100%、分散ガス50mm、およびノズルクリーナー1は一定に保たれた。これらの実験で得られた収率を表12に示す。
表12:キトサンを用いた噴霧乾燥実験のパラメータおよびそれらの得られた収率。
【表12】
【0170】
生成された粒子の収率は60.0%~72.4%であった。粒子の形態は、
図16のSEM画像に示され、粒子が広範なサイズ分布を有することを示す。
【0171】
別の実験では、キトサンをトリポリホスフェート(TPP)で静電的に架橋して、材料の安定性を高め、それによって遅延効果(すなわち、遅延放出効果)を誘導した。これを行うために、2%TPP溶液(1:1(v/v)の比の2%酢酸およびエタノール)をキトサン溶液に添加した。しかしながら、キトサン溶液はTPPの添加により直ちに凝集し、溶液は二流体ノズルにより単相に噴霧することができなかった。
【0172】
この従来の架橋を回避するために、その場での架橋、すなわち噴霧プロセス中の架橋を達成する試みを次のステップで行った。この目的のために、三流体ノズルを噴霧乾燥に用いて、1回の噴射でキトサンとTPP溶液とを同時に噴霧した。異なる噴霧パラメータがこの目的のために変動させたが、実現可能性研究中に、三流体ノズルによって使用可能な架橋が行われるようにそれらを設定することはできなかった。
【0173】
ゼラチンマイクロカプセル化
テストステロンをカプセル化するために、魚由来の、異なるブルームグレード:F15(ブルームグレード:150)、F20(ブルームグレード:200)、およびF25(ブルームグレード:300)の3つの異なるゼラチンを使用した。
【0174】
積載されていないゼラチン粒子を生成するために、ゼラチンを水に溶解し、(i)単相または(ii)水およびジクロロメタンのエマルジョンとして噴霧した。表13AのMetP_08~MetP_10について、それぞれ、0.5gのゼラチンを50mLの水に溶解した。表13AのMetP_11~MetP_13について、それぞれ、0.5gのゼラチンを47.5mLの水に溶解した。混合物を37℃のインキュベーションシェーカー内で撹拌して完全に溶解させ、続いて室温にした。MetP_11~MetP_13について、0.175gのTWEEN(登録商標)20および2.5mLのジクロロメタンも添加した。その後、氷で冷却しながら、30,000rpmで10分間、ローター/ステーターセットアップにより混合物を均質化した。
【0175】
その後、ゼラチン溶液およびエマルジョンを、密閉吸引システムの二流体ノズルを用いたミニスプレードライヤー内で噴霧した。設定値は、吸引器出力100%、分散ガス45mm、ノズルクリーナー1、ポンプ出力10%、および入口温度T
in135℃で一定に保った。可変パラメータを表13Aに示す。
表13A:エマルジョンにて噴霧乾燥したものと比較した一相系において噴霧乾燥したゼラチン粒子の概要。
【表13A】
【0176】
収率は、噴霧される系の種類に依存する。したがって、エマルジョン中に噴霧されたゼラチン粒子の収率は、単相として噴霧されたゼラチン粒子よりも低かった。理論に拘束されるものではないが、乳化剤含量の減少は収率の増加につながると考えられる。
【0177】
粒子の形態は、
図17A~BのSEM画像に示される。単相(純粋なゼラチン/水溶液)として噴霧された粒子およびエマルジョンとして噴霧された粒子は、異なる形態を有した。特に、凝集体は、噴霧乾燥プロセス中にエマルジョンとしてのより小さな一次粒子から形成されたが、比較的広い粒径分布を有する個々の粒子は単相噴霧によって生成された。
【0178】
乳化剤LUTROL(登録商標)F68およびオレイン酸ナトリウムを、F25ゼラチンで得られた組成物において、TWEEN(登録商標)20の代替物として試験した。カゼインは乳化剤としても試験されたが、水またはジクロロメタンのいずれにも溶解しなかった。ミニスプレードライヤーのパラメータは、最後の実験から変更しないままであり、可変パラメータを表13Bに示す。
表13B:様々な乳化剤および様々な量の乳化剤のエマルジョンにおける噴霧乾燥実験のパラメータおよび得られた収率。
【表13B】
【0179】
オレイン酸ナトリウムを乳化剤として用いて比較的高い収率が得られたが、乳化剤は乳化直後にゲル化した。噴霧後、収集容器内にもゲル化した残留物があった。ほとんどの場合、乳化剤の量を減らすか、または使用される乳化剤を変更しても、収率は顕著に変化しなかった。理論に拘束されるものではないが、表13の収率は、組成物を単相に噴霧乾燥することによって増加したと考えられる。
【0180】
TWEEN(登録商標)20の減少は、同様に、粒子の形態に影響を及ぼさなかった。オレイン酸ナトリウムおよびLUTROL(登録商標)を用いた粒子の形態を、
図18のSEM画像に示す。
【0181】
テストステロン組成物の単相噴霧乾燥
異なった溶解特性を有するテストステロンおよびゼラチンの両方の単相噴霧のための最適な水/エタノール混合物を決定するために、組成物を様々なエタノール/水混合物中に噴霧した。ゼラチン溶液を、40/60(v/v)、45/55(v/v)、および50/50(v/v)の比のエタノール/水混合物中に噴霧した。すべてのゼラチンバッチは40/60および45/55混合物中で安定であった。F15ゼラチンは50/50(v/v)でも安定であったが、予め水に溶解したF20およびF25ゼラチンは50/50(v/v)比で溶液から沈殿した。
【0182】
表14に要約された実験の各々は、0.5gのゼラチンを使用した。異なった混合比(40/60に20mL、45/55に22.5mL、50/50に25mL)のために、異なった量の水をゼラチンに添加した。ゼラチンの溶解は、少なくとも1時間、200rpmのインキュベーションシェーカー内で37℃で行った。次いで、マグネットスターラー中で500rpmで撹拌することによって溶液を室温にし、正しい混合比を確立するためにそれぞれの必要な量のエタノールを添加した。テストステロンを積載するために、少量のエタノールをゼラチン溶液に添加し、次に溶解したテストステロンを添加して正しい混合比を得た。
【0183】
その後、溶液を、密閉吸引システムの二流体ノズルを用いて、ミニスプレードライヤー内で噴霧した。設定値は、吸引器出力100%、分散ガス45mm、ノズルクリーナー1、ポンプ出力10%、および入口温度T
in135℃で一定に保たれた。可変パラメータを表14に示す。
表14:異なるエタノール-水混合物中のゼラチンを用いた噴霧乾燥実験のパラメータ。
【表14】
*注記:スプレードライヤーが漏れていたため、噴霧プロセスは完了する前に停止された。
【0184】
収率はエマルジョン形態での噴霧と比較してかなり増加した。積載されていないゼラチン粒子の収率は、テストステロン積載ゼラチン粒子の収率よりも高かった。
【0185】
おそらく45/55(v/v)のエタノール/水比を有する組成物のより高いエタノール含量のため、20%のより高い理論上のテストステロンの積載も達成することができた。40/60(v/v)のエタノール/水混合物において、たった10%のテストステロンの積載が可能であったが、潜在的にその溶解度が低いためであった。F15ゼラチン(MetP_34およびMetP_37)の場合、50/50(v/v)のエタノール/水混合物を用いることができ、したがって30%の理論上の積載(MetP_37)が達成された。
【0186】
図19A~Eは、エタノール/水中に噴霧されたゼラチン粒子のSEM画像を示す。エタノール/水40/60(v/v)混合物中で生成された粒子について、様々な実験的アプローチ間の粒径分布に明確な差異は観察されなかった。F15ゼラチン(MetP_29)を用いた積載されていないアプローチの粒子のみが、サイズがいくらか小さいように見えた。45/55(v/v)エタノール/水混合物(MetP_56、MetP_43、およびMetP_44)を用いて生成されたテストステロン積載粒子のSEM画像において細菌が検出され、滅菌条件下で滅菌ゼラチンを使用することの重要性が強調された。エタノール/水50/50(v/v)で生成された組成物は、他の混合比を用いて生成された粒子と比較して顕著な差異を示さない。
【0187】
すべての水/エタノール比において、広い粒度分布が観察された。テストステロンが積載されていないゼラチン粒子と積載されたゼラチン粒子間の表面形態の差異は、すべてのエタノール/水混合比にわたって観察された。特に、個々の積載されていないバッチのより小さい粒子は凹みを示したが、これはテストステロン積載バッチのより小さい粒子の場合には当てはまらない。
【0188】
実施例14-多孔性シリカ微粒子におけるテストステロンの積載
テストステロンをカプセル化するために、様々なメソ多孔性シリカ粒子(SYLOID(登録商標)、Grace)を使用した。メソ多孔性シリカ粒子の特性を表15に示す。粒子の形態は、
図20A~BのSEM画像に示される。
表15:SYLOID(登録商標)粒子、粒径、細孔容積、および比表面積。
【表15】
【0189】
活性剤テストステロンは、2つの別個のバッチ(「第1の送達」および「第2の送達」と呼ばれる)に由来する。両方の送達を用いて積載実験を行った。SYLOID(登録商標)粒子をエタノール中に1%(すなわち、1g対100mL)のレベルで分散させた。テストステロンを含む組成物では、テストステロン(全質量に対して10%または30%のいずれか、すなわちテストステロン+SYLOID(登録商標))をエタノールの一部に溶解し、その後粒子分散系に添加した。粒子混合物をマグネチックスターラーで500rpmで撹拌し、次いでB-290ミニスプレードライヤー(Buchi)を用いて密閉吸引システムの二流体ノズルで噴霧した。
【0190】
ミニスプレードライヤーのパラメータは、入口温度110℃、ポンプ出力10%、吸引器出力100%、分散ガス45mm、およびノズルクリーナー1で一定に保たれた。噴霧プロセス中、溶液を200rpmで撹拌した。可変パラメータを表16に示す。
表16:SYLOID(登録商標)粒子を用いた噴霧乾燥実験のパラメータおよびその収率。
【表16】
*スプレードライヤー内の試験管が漏れていたため、完全に噴霧乾燥することができなかった。
【0191】
SYLOID(登録商標)244FP(MetP_46対MetP_48)では、テストステロンの存在は収率に実質的に影響を及ぼさなかった。より大きなSYLOID(登録商標)XDP6035粒子(MetP_49対MetP_51)粒子では、収率は変動したが、依然として満足のいくものであった。
【0192】
MetP_79A対MetP_79Cでは、噴霧乾燥前のSYLOID(登録商標)粒子のテストステロンとのインキュベーション時間は様々であり、必要に応じてテストステロンを吸着させる時間を追加した。MetP_62およびMetP_62Aを類似の条件下で噴霧乾燥させ、それらは噴霧乾燥プロセスの高いレベルの再現性を示した。収率はそれぞれ66.0%および66.2%であった。
【0193】
粒子の形態は、
図21A~EのSEM画像に示される。テストステロン(MetP_50およびMetP_51)の存在下で噴霧されたSYLOID(登録商標)XDP6035粒子のSEM画像において、大きな粒子(粒子バッチの特徴)およびより小さな粒子の両方が観察された。理論に拘束されるものではないが、より小さい粒子は、噴霧プロセスまたは粒子状テストステロンによって生成されたSYLOID(登録商標)粒子の断片に起因すると考えられる。SYLOID(登録商標)244FP粒子(MetP_46対MetP_48)のサイズが小さいため、SEM画像からテストステロンが別々に存在するかどうかを決定することは不可能であった。しかしながら、示差走査熱量測定実験において、MetP_51は結晶テストステロンを含有することが示された。
【0194】
テストステロンの積載-第2の送達(すなわち、第2のバッチ)
SYLOID(登録商標)244FP粒子およびAEROSIL(登録商標)200粒子を使用してテストステロンをカプセル化した。SYLOID(登録商標)粒子またはAEROSIL(登録商標)粒子をエタノール中に1%(すなわち、1g対100mL)のレベルで分散させた。テストステロンを含む組成物では、テストステロン(全質量に対して30%または40%のいずれか、例えば、テストステロン+SYLOID(登録商標))をエタノールの一部に溶解し、その後粒子分散系に添加した。粒子混合物をマグネチックスターラーで500rpmで撹拌し、次いでB-290ミニスプレードライヤー(Buchi)を用いて密閉吸引システムの二流体ノズルで噴霧した。入口温度を変え、81℃に下げた。1つの実験では、エタノールの代わりに50/50のエタノール/水混合物(v/v)を連続相として使用して、必要に応じてテストステロンの吸着を増加させた。ミニスプレードライヤーのパラメータは、ポンプ出力10%、吸引器出力100%、分散ガス45mm、およびノズルクリーナー1で一定に保たれた。噴霧プロセス中、溶液を200rpmで撹拌した。可変パラメータを表17に示す。
表17:テストステロンを用いた噴霧乾燥実験のパラメータ(第2の送達)およびその収率。
【表17】
【0195】
SYLOID(登録商標)粒子で得られた収率は58.9%~71.8%であり、AEROSIL(登録商標)200で得られた収率は45.2%であった。積載されたSYLOID(登録商標)粒子の形態は、
図22の走査電子顕微鏡画像に示される。2つの異なる粒子バッチの粒子形態および粒径分布は、顕著な差異を示さない。
図23は、噴霧乾燥したAEROSIL(登録商標)200粒子中のテストステロンのSEM画像を示す。小さなAEROSIL(登録商標)の一次粒子は、噴霧乾燥の際に球状凝集体を形成した。
【0196】
油を介したSYLOID(登録商標)粒子の積載
244FP、XDP6035、およびXDP3050のメソ多孔性シリカ粒子(Grace CompanyのSYLOID(登録商標)を使用してテストステロンをカプセル化した。テストステロンが様々な溶解度を示す様々な油がこれらの粒子を積載するために使用された。ヒマシ油、リナロール、TRANSCUTOL(登録商標)HP、およびCAPRYOL(商標)PGMCにおけるテストステロンの溶解度を表18に示す。
表18:異なる油におけるテストステロンの溶解度。
【表18】
【0197】
ヒマシ油と他の各油との混和性を試験した。最初の実験で50/50混合物を生成した。すなわち、1gのヒマシ油を1gの各油(リナロール、CAPRYOL(商標)、TRANSCUTOL(登録商標))と混合した。3つの油はすべてヒマシ油と混和性であると決定された。自然発生的ストリーキングは、3つすべての試料で生じ、約5分後には1つの相しか見えなかった。したがって、油は混合物として用いることもできる。
【0198】
SYLOID(登録商標)244FP、XDP3050、およびXDP6035をヒマシ油、リナロール、TRANSCUTOL(登録商標)、およびCAPRYOL(商標)と混合することにより、SYLOID(登録商標)粒子の吸着能力を調べた。テストステロンの最大可溶量(試験した条件下で)をボルテックスミキサーおよびシェーカーを用いて1000rpmで2.5gの各油に溶解した。テストステロンが完全に溶解する期間を表19に示す。
表19:異なる油におけるテストステロンの溶解時間。
【表19】
【0199】
油でSYLOID(登録商標)粒子を積載するテストステロンには、1:1.5の粒子/油比が用いられた。0.75gのテストステロンが積載された各油および0.5gの各SYLOID(登録商標)粒子を混合し、マグネチックスターラーで700rpmで10分間撹拌した。スパチュラを用いて混合物を手動で混合し、次いで700rpmで10分間再び撹拌した。異なる組成物の特性を表20に示す。
表20:1:1.5の比の異なる粒子/油混合物の実験バッチ。
【表20】
【0200】
SYLOID(登録商標)XDP6035粒子は油を完全には吸着せず、おそらく細孔容積が小さいために粘着性の塊を形成した。SYLOID(登録商標)244FPおよびXDP3050粒子は、テストステロン積載後に粉末状であった。
図24は、表20の組成物のテクスチャを示す。
【0201】
積載の程度に対する粒子/油比の作用を評価するために、1.5gの各油をSYLOID(登録商標)粒子と1:3の粒子:油比で混合し、マグネチックスターラーで700rpmで10分間撹拌した。スパチュラを用いて混合物を手動で混合し、次いで700rpmでさらに10分間撹拌した。異なる組成物の特性を表21に示す。
表21:1:3の比の異なる粒子/油混合物の実験バッチ。
【表21】
【0202】
1:3の粒子/油比では、積載された粒子はもはや表21および
図25に示すような粉末状ではなく、油は粒子の細孔に位置していないと考えられる。さらに、リナロールにおけるテストステロンの最大溶解度によるこの粒子:油比で、最大積載レベルが9.4%のテストステロンしか達成されなかった。
【0203】
実施例15-テストステロン積載コア/シェル粒子の合成
メソ多孔性シリカ粒子およびゼラチンのコア/シェル粒子を合成して、増強された遅延効果(すなわち、テストステロンの遅延放出)を有する粒子を調製する能力を評価した。理論に拘束されるものではないが、積載されていないゼラチンはテストステロン放出を遅延させる障壁として機能することができ、テストステロン積載ゼラチンでは、ゼラチンはテストステロンの基材として作用し得ると考えられる。
【0204】
積載されていないゼラチンマトリックスコーティングの場合、0.5gのF15ゼラチンを27.5mLの水と混合し、完全に溶解するまでインキュベーションシェーカー内で37℃で200rpmで撹拌した。22.5mLのエタノールを添加して45/55(v/v)のエタノール/水の比を得、混合物をインキュベーションシェーカー内で約1時間振盪し、マグネチックスターラーで500rpmで撹拌し、次いで室温にした。テストステロン積載ゼラチンマトリックスでは、ゼラチンを積載されていないゼラチンと同様に水に溶解した。0.125gのテストステロンを2mLのエタノールに溶解し、ゼラチン混合物に添加した。次いで、20.5mLのエタノールをゼラチン混合物に添加した。
【0205】
その後、理論上のテストステロン積載レベルが30%の前に噴霧したテストステロン積載SYLOID(登録商標)粒子(実施例1の0.25gのテストステロン)をそれぞれのゼラチン溶液に添加し、ゼラチンマトリックス中に撹拌した。噴霧乾燥するまで懸濁液を500rpmで撹拌した。
【0206】
マグネチックスターラーで500rpmで撹拌を続けながら、密閉吸引システムのミニスプレードライヤーを用いて粒子を噴霧乾燥させた。入口温度T
in135℃、分散ガス45mm、吸引器出力レベル100%、ポンプ出力レベル10%、およびノズルクリーナー1は一定であった。可変パラメータを表22に示す。
表22:二流体ノズルを用いた噴霧乾燥実験のパラメータおよび結果。
【表22】
【0207】
MetP_64AおよびMetP_88について、噴霧中に比較的大量の粒子がサイクロンに吸着され、おそらくこれらの組成物の収率がより低いことを説明した(それぞれ24.8%および41.3%)。粒子は、
図26A~BのSEM画像に示される。純粋なテストステロン積載SYLOID(登録商標)粒子(実施例12、
図14を参照のこと)と比較した差異は明らかである。
【0208】
噴霧乾燥したSYLOID(登録商標)244FP粒子について、主に球状の粒子が、ゼラチンの存在下で噴霧乾燥によって形成された。ごくわずかの粒子が依然として開いた細孔を示し、不規則な形状のSYLOID(登録商標)粒子はわずかに明らかであった。コーティングは、ゼラチンの使用によって首尾よく達成されたと考えられる。
【0209】
噴霧乾燥したSYLOID(登録商標)XDP6035粒子(MetP_63、63A、64、および64A)について、大きなSYLOID(登録商標)粒子はゼラチン粒子から分離しているように見えた。したがって、サイズが35.1μmのSYLOID(登録商標)粒子は、試験した条件下でテストステロン組成物を噴霧乾燥またはコーティングするには不適当であると考えられた。
【0210】
棒状構造は、細菌の存在を示唆するいくつかの組成物(MetP_59、MetP_64A、およびMetP_88)のSEM画像にも現れ、したがって、無菌原材料および無菌生成条件の重要性が強調された。
【0211】
三流体ノズルによるコア/シェル粒子の合成
SYLOID(登録商標)粒子をテストステロンで積載し、同時にそれらをゼラチンでコーティングする実験は、三流体ノズルにより一段法で行われた。
【0212】
コア粒子生成のために、50mLのエタノール中の0.5gのSYLOID(登録商標)粒子を500rpmで少なくとも1時間撹拌した。テストステロン積載粒子について、0.214gのテストステロンをエタノールに溶解した。
【0213】
シェルの製造のために、F15ゼラチンをエタノールおよび水の45/55(v/v)溶液に溶解した。最初に82.5mLの水、そしてゼラチン溶液を添加し、完全に溶解するまで37℃でインキュベーションシェーカー内で振盪した。次いで、0.375gのテストステロンを含む67.5mLのエタノールを添加し、撹拌した。
【0214】
SYLOID(登録商標)粒子懸濁液(コア)を外部ポンプを介して輸送し、ゼラチン溶液(シェル)を内部ポンプを介して三流体ノズルに輸送した。50mLの「コア」溶液を各150mLの「シェル」溶液に用いた。噴霧後に約45mLが残るように過剰のシェル溶液を合成した。MetP_72について、対応する他のポンプを介して溶液を噴霧した。
【0215】
三流体ノズルを用いた実験中のミニスプレードライヤーのパラメータは、温度135℃、吸引器出力100%、分散ガス45mm、ノズルクリーナー0(三流体ノズルでは利用できなかったため)で一定に保たれた。噴霧乾燥は、密閉吸引システムで行った。SYLOID(登録商標)懸濁液を噴霧乾燥中200rpmで撹拌した。可変パラメータを表23に示す。
表23:三流体ノズルを用いた噴霧乾燥実験のパラメータおよび結果。
【表23】
【0216】
SYLOID(登録商標)244FPを用いた実験で複雑なことはなかった。しかしながら、幾分大きなSYLOID(登録商標)XDP6035粒子(MetP_66)が、外部蠕動ポンプのチューブを塞いだ。このため、溶液はそれぞれ別のポンプ(MetP_72)を介して噴霧された。得られた噴霧手順が円滑に行われているにもかかわらず、収率は他の組成物よりも低い。
【0217】
図27A~BのSEM画像に示されるように、MetP_66およびMetP_72はより大きな断片(SYLOID(登録商標)XDP6035粒子)およびより小さいゼラチン粒子を有した。より小さなSYLOID(登録商標)244FP粒子(MetP_65、MetP_76、およびMetP_77を参照のこと)であっても、SYLOID(登録商標)粒子の開孔構造は依然として存在した。それにもかかわらず粒子がゼラチンでコーティングされた程度は評価されなかった。
【0218】
レーザー屈折による粒径の決定
先の実施例のいくつかに従って調製された様々な組成物について粒径を測定した。Scirocco乾式測定セルは、粉末形態の試料を調査する手段を提供するが、必要な試料サイズがかなり大きいため、測定方法は我々の目的には適切ではない。したがって、粒径はMastersizer 2000(Malvern)を用いて決定された。これらの組成物を表24に示す。ポリラクチド粒子は、エタノール中の分散挙動のためMastersizerを用いて特徴付けることができなかった。試料をエタノール中に分散させ、Hydro2000μP分散測定セル(ポンプ速度2500rpm、超音波30%)で調査した。理論に拘束されるものではないが、粒子はエタノール中での分散によって生じた膨潤状態にあり、したがって観察された粒径に影響を及ぼすと考えられる。
表24:レーザー回折(Hydro2000μP測定セル)による粒径の結果。
【表24】
【0219】
粒子積載量の決定
様々な噴霧乾燥粒子の実際のテストステロン積載量を決定した。テストステロン積載SYLOID(登録商標)粒子中の積載材料(シリカ)は溶媒で処理することによって除去することができないため、放出実験をより長期間にわたって(>7日間)行った。積載パーセントの計算は、テストステロンの100%が>7日間にわたって放出されたという仮定の下で行われた。
【0220】
容量ピペットを使用して添加された20mLの45/55(v/v)エタノール/水を有する小ガラス容器中に、約10mgの積載された粒子のそれぞれを量り分けた。その後、この分散液を室温である期間(>7日間)マグネチックスターラーにより撹拌した。適切な放出期間の後、試料を採取し、卓上遠心分離機により15,000rpmで10分間遠心分離してSYLOID(登録商標)粒子を溶液から除去した。その後、較正間隔内になるように試料を希釈した。
【0221】
標準品および試料の質量濃度は、UV/VIS分光法(BIOTEK(登録商標)InstrumentsのSynergy 2マルチモードマイクロプレートリーダー)により決定された。96ウェルの石英マイクロタイタープレートを使用し、200μLの標準品または試料を各ウェルにピペットで入れた。濃度は、3つの評価および100%放出と仮定して計算された積載レベルによって決定された。様々なテストステロン積載粒子について決定された積載レベルを表25に示す。
表25:粒子のテストステロン積載の結果。
【表25】
*真空デシケータでの乾燥
【0222】
理論上の積載レベルと実際の積載レベルとの比較により、高い回収率が明らかとなった。理論値からの最大偏差は、MetP_92の6.1%とMet_94の5.8%の場合であった。試料の残りについては、絶対差異パーセントは0.8%~4.7%であった。したがって、テストステロン積載の効率はかなり高く、79.5%~98.7%である。
【0223】
経鼻用ゲルの製剤化
ヒマシ油、テストステロン、LABRAFIL(登録商標)、およびAEROSIL(登録商標)200を用いて、経鼻用ゲルを調製した。ゲルを調製するために、ヒマシ油および対応する量のテストステロン、LABRAFIL(登録商標)、およびAEROSIL(登録商標)200を順番に添加した。ゲルは、ローター/ステーター(100gまで)またはボールミル(Precellys、1~4g)のいずれかによって生成された。また、30~40gの範囲のゲルを調製する手段を提供するDispermatを用いて実験を行った(データは示さず)。さまざまな量の経鼻用ゲルを、様々な分散手段によって調製した。
【0224】
経鼻用ゲルは、最初に表26の経鼻用ゲルの配合に従って調製された。
表26:初期経鼻用ゲル組成物のレシピ。
【表26】
【0225】
様々な調製した経鼻用ゲル組成物の含量を表27に示す。ローター/ステーター混合装置で均質化することにより、より大きな量を調製した(経鼻用ゲル03)。テストステロンおよびLABRAFIL(登録商標)の添加後、各試料を13,000rpmで2x2分間混合した。AEROSIL(登録商標)200の添加後、最初にガラス棒を用いて予備混合を行い、その後、合計20分間13,000rpmで均質化した。
表27:SYLOID(登録商標)粒子を用いずに調製した組成物中の構成成分の量
【表27】
【0226】
少量の積載された粒子を導入することができるように、経鼻用ゲルロット05で始まるより小さなロットをボールミル(Precellys)で調製した。ゲルを調製するために、迅速かつ穏やかな混合および溶解プロセスを使用した:この混合プロセスでは、2つの酸化ジルコニウムビーズ(直径6.8mm)を含有する7mLのプラスチック容器を使用した。ボルテックスミキサーを用いて構成成分(ヒマシ油、テストステロン、およびLABRAFIL(登録商標))を10分間予備混合した。その後、AEROSIL(登録商標)200を添加し、ボールミル中で4000rpmで3×30分以内に2×30秒の休止時間で均質化を行った。経鼻用ゲル配合における物質のパーセント割合を表28に示す。
表28:SYLOID(登録商標)粒子を用いずに調製した組成物中の構成成分のパーセント
【表28】
【0227】
表29の経鼻用ゲルロット07(A)を、表28の経鼻用ゲル配合に従って調製した。SYLOID(登録商標)粒子を使用して鼻腔用ゲルロット07(B)および07(C)を調製した。
表29:SYLOID(登録商標)粒子を用いて調製した組成物中の構成成分の量
【表29】
【0228】
SYLOID(登録商標)244FPのゲル化挙動を表29の組成に基づいてAEROSIL(登録商標)200のゲル化挙動と比較した。AEROSIL(登録商標)200をSYLOID(登録商標)244FPで置き換えることができるかどうかを決定するために、ロットの流動挙動を棒試験によって決定した。棒試験(
図28を参照のこと)は、組成物07(B)(
図28の右側)に存在する量のSYLOID(登録商標)244FPが、4%AEROSIL(登録商標)200(
図28の左側)と同等のゲル化挙動を引き起こすには不十分であることを示した。さらなる実験は、4%AEROSIL(登録商標)200と同様のゲル化挙動がSYLOID(登録商標)244FPで8~10%の割合で生じたことを示した。
【0229】
テストステロン積載粒子を用いた経鼻用ゲルの製剤化
テストステロン積載多孔性粒子(吸着体)を含む経鼻用ゲルを、11mgのテストステロン吸着体(溶液中6.75mgおよび吸着体から4.25mg)で製剤化した。この配合を表30に示す。ここで、総量は一定に保たれた。
表30:経鼻用ゲルのレシピ(一定全容積)。
【表30】
【0230】
経鼻用組成物の調製は、一定の総量の維持と活性剤溶解度の最大化という競合する懸念のバランスをとらなければならない。総量を一定に保つ場合、SYLOID(登録商標)粒子を組み込むことにより、ヒマシ油の添加量が減少し、ヒマシ油中のテストステロンの溶解度に影響を与える可能性がある。一方、ヒマシ油の量が一定である場合(そしてテストステロンの溶解度に影響を与えない)、SYLOID(登録商標)を添加すると、割合が一定にならず、組成レシピが変わることになる。
【0231】
これを念頭に置いて、この実現可能性研究下の第1のステップとして、ヒマシ油を一定量含む経鼻用ゲルを調製した。これらの組成を表31に示し、ボールミル(Precellys)を用いて合成した。
表31:一定のヒマシ油量を含む経鼻用ゲル組成物。
【表31】
【0232】
表31の組成物において、経鼻用ゲルのすべての構成成分は、積載された粒子のマトリックスを除いて、それらの質量に対して一定に保たれた。組成物10.4は理論上30%のテストステロンが積載され、その後ゼラチンでコーティングされたSYLOID(登録商標)244FP粒子(MetP_88)を使用した。組成物10.5は理論上30%のテストステロンが積載されたSYLOID(登録商標)244FP粒子(MetP_86)を使用した。組成物10.6には積載されたF15ゼラチン粒子(MetP_87、理論上の積載レベル20%)を使用し、一方、組成物10.7にはPLA(MetP_85、理論上の積載レベル30%)を使用した。
【0233】
合成のために経鼻用ゲルの一定総量を維持するように設計された別個の実験では、表30に示す配合に基づいてゲルを調製し、ここで組成物はボールミル(Precellys)で均質化された。
【0234】
表32に示される配合の経鼻用ゲル11を、参照として、すなわち、活性成分が積載された粒子を添加せずに(したがって、吸着体を含まない)調製した。
表32:参照経鼻用ゲルの組成。
【表32】
【0235】
放出実験も、表33に列記される経鼻用ゲルアプローチを用いて行った。
表33:経鼻用ゲル組成物。
【表33】
【0236】
経鼻用ゲルを調製する際の課題を図示するために、2つの経鼻用ゲル製剤の変形例の組成を
図29に示す。溶解度の結果に基づいて、テストステロンはヒマシ油(
図29の一番左の棒)において約4%の溶解度を示す。一定量のヒマシ油を含む
図29に図示される変形例の場合、0.3%のテストステロンの不溶性部分(中間棒の上部)が存在するであろう。一番右の棒の上部は、吸着体に起因するテストステロン(粒子中のテストステロン)の量に対応する。
【0237】
しかしながら、総量が一定である場合(
図30を参照のこと)、ヒマシ油の量は、吸着体の添加量に対応する量だけ減少しなければならない。つまり、未溶解のテストステロンの割合は、1%~2%の範囲の粒子積載量の関数として増加する(中央の2つの棒の上部、一番右側の棒の中央部)。
図29および30はともに、未溶解のテストステロンを避ける配合物を調製することが困難であることを示す。
【0238】
実施例16-示差走査熱量測定の測定値
テストステロンの結晶化度を決定するために動的示差走査熱量測定によって試料の融解挙動を調べた。不活性雰囲気下で(窒素、40mL/分)、0℃~200℃の温度範囲にわたって、DSC 200 F3MAIA(登録商標)動的示差熱量計(Netzsch)で2つの加熱曲線(加熱速度:5K/分/冷却速度:20K/分)をそれぞれについて記録した。
【0239】
理論に拘束されるものではないが、熱前処理は処理手順(この場合は噴霧乾燥)によって影響を受け、第1および第2の加熱曲線間の差から判別することができると考えられる。これにより、第2の加熱曲線は、材料固有の初期データを提供する。しかしながら、このプロジェクトでは、第1の加熱は、テストステロンが個々の粒子組成物中に結晶形態または非晶質形態で存在するかどうかを示す。
【0240】
異なる送達の未処理テストステロンバッチを比較した。これらのDSC曲線を
図31に示す。第1の加熱時に、155.3℃(第1の送達)および155.2℃(第2の送達)のテストステロンの溶融ピークが見られる。第2の加熱時の溶融ピークは、わずかに154.4℃(第1の送達)および154.2℃(第2の送達)にシフトした。加えて、約40℃でのガラス転移、ならびに97.9℃(最大)でのテストステロン(第1の送達)および108.4℃での第2の送達(最大)の再結晶化ピークが検出された。
【0241】
テストステロンに対する噴霧乾燥の影響を調べるために、両方のテストステロンバッチを純粋なエタノール中に噴霧し、同様に調査した。これらの結果を
図32に示す。第2の加熱の再結晶化ピーク(80.4℃および84.5℃)は、未処理のテストステロン試料と比較してかなりシフトしている。
【0242】
ポリラクチド(PLA)は非晶質ポリマーであるため、このポリマーには溶融ピークは存在しない。
図33に示すように、50℃付近のガラス転移のみが検出された。両方のPLA試料(PLA未噴霧およびMetP_61)のDSC曲線は、第1の加熱においてわずかに異なるのみであるが、第2の加熱曲線には差異は確立されなかった。テストステロン積載粒子について、第1の加熱では曲線の幾分異なる行列が明らかである。広い溶融ピークおよび再結晶ピークが検出可能である;しかしながら、これらは純粋なテストステロンと比較して幾分シフトしている(溶融ピーク最大146Cおよび再結晶ピーク最大73.5C)。テストステロンの溶融ピークの存在は、この活性剤が噴霧乾燥後に依然として結晶形態で存在することを示す。
【0243】
噴霧乾燥の積載されていない(MetP_53)およびテストステロン積載F15ゼラチン(MetP_87の理論上の積載レベル:20%/MetP_96の理論上の積載レベル:30%)のDSC曲線を
図34に示す。ゼラチンは、吸着水の蒸発から生じる広い吸熱ピークを示す。おそらく最初のヘリックス-コイル遷移を表すベースラインの上昇は200℃で明らかである。
【0244】
第1の加熱中の明確なテストステロン融点は、第2の加熱において急激に減少する積載されたゼラチン粒子バッチMetP_87について明らかである。より小さい追加のピークが<150℃で現れた。30%のより高い理論上のテストステロン積載量(MetP_96)を用いたアプローチについて、MetP_87と比較して小さい溶融ピークが検出される。
【0245】
テストステロン積載メソ多孔性シリカ粒子(SYLOID(登録商標)244FP)について、150℃付近のテストステロン溶融ピークは第1または第2のいずれの加熱でも検出できず、これは
図35のDSC曲線から明らかである。ここでのすべての曲線は、吸着水の蒸発のためにゼラチンに類似して出現すると思われる広い吸熱ピークも示した。
【0246】
テストステロンは結晶形態ではなく、代わりに非晶質で存在すると推測された(これは、例えば、テストステロンおよびSYLOID(登録商標)混合物の合成、およびプロゲステロンの手順に類似したより高いテストステロンの割合の使用などのさらなる調査により実証され得る)。
【0247】
シリカ/ゼラチンコア/シェル粒子のDSC曲線を
図36に示す。蒸発ピークの強度は、ゼラチンの存在のため、純粋なメソ多孔性シリカ粒子と比較して明らかに増加した。MetP_76およびMetP_77は、三構成成分噴射により、すなわち一段法において合成された。ここで、三構成成分噴射により合成されたコーティング材料(MetP_76)としての積載されていないゼラチンを有するテストステロン積載SYLOID(登録商標)粒子の曲線を、純粋なテストステロン積載SYLOID(登録商標)粒子(MetP_86、92、および93、
図42)と比較すると、それらはより強く定義された蒸発ピークによって異なる。溶融ピークは検出されなかった。黙示的に、これはテストステロンが非晶質形態である可能性が高いことを意味する。積載されたゼラチンマトリックス(Met_77)の存在下で、DSC曲線は120℃~125℃の領域に明確な肩を示す。この肩はMet_88においても検出され得る。MetP_88はMetP_77と同様の組成を呈したが、二構成成分噴射により二段階で合成された。さらに、ここでは2つのさらなる効果が重ね合わされているかのように見える。結果として、53.7℃の間にさらなる提案されたピークが判別された。
【0248】
非多孔性シリカ粒子(AEROSIL(登録商標)200)を、純粋な粒子として、およびテストステロンの存在下(30%の理論上の積載レベル)の両方で、参照として噴霧乾燥した。これらの試料のDSC曲線を
図37に示す。ここで、積載された粒子の150℃のすぐ下の小さく幾分より広い溶融ピークが明らかである。一次粒子は多孔性構造を呈さないため、これも理解できる。
【0249】
10%の理論上の積載レベル(MetP_50)で、
図38に示されるように、テストステロン積載SYLOID(登録商標)XDP6035粒子について、150℃付近の溶融ピークは判別されなかった。これは30%の理論上の積載レベル(MetP_51)から始まり検出可能になる。
【0250】
実施例17-テストステロン実験の要約
テストステロンを積載するための様々な方法を評価した。噴霧乾燥によるポリマーマトリックスにおけるテストステロンの積載が実現可能である。具体的には、RESOMER(登録商標)202H粒子により、約30%の積載レベルおよび約50%の収率が達成された。同様に、約30%の積載レベルおよび約70%の収率が、カプセル化材料としてキトサン95/500で達成された。F15ゼラチンも約20%のテストステロンで積載され、30%の収率を達成した。
【0251】
メソ多孔性シリカ粒子はまた、例えばSYLOID(登録商標)244FP粒子を用いた噴霧乾燥によっても積載することができた。約40%の積載レベルおよび約70%の収率が達成された。SYLOID(登録商標)244FP粒子は、同様に油によって積載することができるが、リナロールにおけるストステロンの比較的乏しい溶解度のために、積載レベルは9.4%に制限された。
【0252】
粒子のコーティングは、二流体ノズルおよび三流体ノズルを用いて行われた。この手順では、SYLOID(登録商標)244FP粒子をコア材料として用い、F15ゼラチンをコーティング材料として用い、約23%の積載レベルを達成した。二流体ノズルにより90%の収率を達成し、一方で、三流体ノズルにより60%の収率を達成した。
【0253】
DSC測定値は、ポリマーマトリックス中のテストステロンが少なくとも部分的に依然として結晶形態で存在することを確立した。テストステロン積載SYLOID(登録商標)244FP粒子について、150℃での微結晶融点は判別されなかった。
【0254】
実施例18-テストステロン組成物の生成のスケールアップ
テストステロン組成物のスケールアップしたバッチを、SILSOL(商標)6035を用いて調製した。特に、21gのテストステロンを118gのエタノールに溶解した。25~30%のテストステロン積載量を達成するために、テストステロン溶液をポンプ(Master Flex)を介して撹拌SILSOL(商標)6035溶液に段階的に50~55℃で添加した。得られた混合物は実質的に塊を含まなかった。得られた混合物を、約8mbarの圧力、および乾燥の終わりまでに約50℃~約80℃に上昇させた温度の乾燥チャンバ内で、真空下で乾燥させた。いくつかのバッチについて、3%ポリビニルピロリドン(PVP)を組成物に添加した。
【0255】
組成物は、上述のプロトコルを用いてさらにスケールアップされた。特に、表34に示されるように、800gのバッチサイズの組成物を生成した。
表34:テストステロン+SILSOL(商標)6035を含む組成物
【表34】
【0256】
多孔性賦形剤としてシリカXDP 3050または3150(SILSOL(商標)6035の代わりに)で生成されたスケールアップしたバッチは、同様の結果をもたらした。
【0257】
実施例19-テストステロン組成物のスケールアップしたバッチの安定性
テストステロン組成物のスケールアップしたバッチを、実施例18に従い、SILSOL(商標)6035を用いて調製した。25℃/60%相対湿度または30℃/65%相対湿度のいずれかで組成物を1ヶ月間保存した。保存1ヶ月後の組成物の安定性を、示差走査熱量測定により試験した。すべての場合において、組成物中の分解関連不純物は、保存1ヶ月後に実質的に変化しないままであった。さらに、両方の製剤における結晶性テストステロン比(例えば、結晶状態にあるテストステロンのパーセント)は、保存1ヶ月後でさえ、放出による0.5%未満であると仮定され得る。さらに、本組成物は、テストステロンの結晶多形を実質的に含有しなかった。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕多孔性賦形剤および活性剤を含む経鼻用医薬組成物であって、
前記活性剤が、前記多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する前記多孔性賦形剤の表面上に積載され、
前記組成物が経鼻投与のために適合される、経鼻用医薬組成物。
〔2〕前記多孔性賦形剤が、無機多孔性材料、有機-無機ハイブリッド、有機ポリマー、および錯化剤からなる群から選択される材料を含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔3〕前記多孔性賦形剤が、メソ多孔性シリカ、マイクロ多孔性シリカ、マクロ多孔性シリカ、ポリオルガノシロキサン、医薬用粘土、二酸化ケイ素ナノチューブ、シリカゲル、マグネシウムアルモシリケート、無水リン酸カルシウム、および炭酸カルシウムからなる群から選択される無機多孔性材料である、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記多孔性賦形剤がコロイド状二酸化ケイ素である、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔5〕前記多孔性賦形剤が、金属有機構造体である有機-無機ハイブリッドである、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔6〕前記多孔性賦形剤が、炭素-炭素結合反応によって形成される有機ポリマーであり、前記有機-無機ハイブリッドが非金属元素を含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔7〕前記多孔性賦形剤が、β-シクロデキストリン系多孔性シリカ、α-シクロデキストリン系多孔性シリカ、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン系多孔性シリカ、および他のイオン交換樹脂をベースとする多孔性材料からなる群から選択されるイオン交換樹脂である錯化剤である、前記〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔8〕前記多孔性賦形剤が、いずれの寸法においても最大2nmの最長径を有する細孔を含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔9〕前記活性剤が積載された前記多孔性賦形剤が、ポリマーでコーティングされる、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔10〕前記ポリマーが前記多孔性賦形剤の周囲にシェルを形成する、前記〔9〕に記載の組成物。
〔11〕前記ポリマーが、線状ポリマー、セルロース含有ポリマー、コポリマー、架橋ポリマー、コラーゲン含有ポリマー、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、前記〔9〕または〔10〕に記載の組成物。
〔12〕前記線状ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、キトサン、キサンタン、アルギネート、ポリ酢酸ビニル、グリコール酸ナトリウム澱粉、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、前記〔11〕に記載の組成物。
〔13〕前記セルロース含有ポリマーが、ナトリウムカルボキシメチルセルロースである、前記〔11〕に記載の組成物。
〔14〕前記コポリマーが、ポリビニルピロリドン/ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/PEG、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコール、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、前記〔11〕に記載の組成物。
〔15〕前記架橋ポリマーが、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、前記〔11〕に記載の組成物。
〔16〕前記コラーゲン含有ポリマーが、ゼラチンである、前記〔11〕に記載の組成物。
〔17〕前記活性剤が積載された前記多孔性賦形剤中の細孔が、コーティングでキャップされている、前記〔1〕に記載の組成物。
〔18〕前記活性剤が、アリピプラゾール、クエチアピン、パリペリドン、デュロキセチン、ドーパミン、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、ドネペジル、デスベンラファキシン、プロゲステロン、エスゾピクロン、エスゾピクロン、アトモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)、メトトレキサート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、バルプロ酸、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、フェンタニル、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、イストラデフィリン、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、前記〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔19〕前記組成物がワクチンであり、前記活性剤が免疫原を含む、前記〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔20〕前記組成物が、治療有効量の活性剤を含む、前記〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔21〕前記組成物が、組成物の重量に基づいて約0.1%~約50%(w/w)の活性剤を含む、前記〔1〕~〔20〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔22〕前記活性剤が、非晶質形態である、前記〔1〕~〔21〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔23〕前記組成物がゲルの形態である、前記〔1〕~〔22〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔24〕前記積載された多孔性賦形剤が、ゲル中に分散されている、前記〔1〕~〔22〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔25〕前記ゲルが、油または油の混合物を含むビヒクルを含む、前記〔24〕に記載の組成物。
〔26〕前記ビヒクルが、ヒマシ油を含む、前記〔25〕に記載の組成物。
〔27〕多孔性賦形剤および活性剤を含む組成物の製造方法であって、活性剤を前記多孔性賦形剤上に積載するステップを含む、方法。
〔28〕前記活性剤が、前記多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する前記多孔性賦形剤の表面上に積載される、前記〔27〕に記載の方法。
〔29〕活性剤が、油吸着を介して前記多孔性賦形剤上に積載される、前記〔27〕または〔28〕に記載の方法。
〔30〕前記活性剤が前記多孔性賦形剤に積載された後、前記活性剤および前記多孔性賦形剤を一緒に噴霧乾燥することをさらに含む、前記〔27〕~〔29〕のいずれか一項に記載の方法。
〔31〕ある状態に対して対象にワクチン接種する方法であって、それを必要とする対象に前記〔1〕~〔17〕または〔19〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物を経鼻投与することを含み、
(a)前記状態がインフルエンザであり、前記活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、
(b)前記状態がB型肝炎であり、前記活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または
(c)前記状態が髄膜炎であり、前記活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis bacteriaB群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、方法。
〔32〕前記弱毒化生インフルエンザが、A/California/7/2009(H1N1)、A/California/7/2009(H1N1)様株、A/Switzerland/9715293/2013(H3N2)、A/Switzerland/9715293/2013(H3N2)様株、B/Phuket/3073/2013、B/Phuket/3073/2013様株(B/Yamagata系統)、B/Brisbane/60/2008、B/Brisbane/60/2008様株(B/Victoria系統ワクチンウイルス)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記抗原が、インフルエンザウイルスA/Panama/2007/99(H3N2)、B/Guandong/2000、および/またはA/Duck/Singapore/97(H5N3)由来の抗原からなる群から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔34〕ある状態に対するワクチン接種の際に使用するための、前記〔1〕~〔17〕または〔19〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)前記状態がインフルエンザであり、前記活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、
(b)前記状態がB型肝炎であり、前記活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または
(c)前記状態が髄膜炎であり、前記活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis bacteriaB群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、組成物。
〔35〕ある状態に対するワクチンを製造する際に使用するための、前記〔1〕~〔17〕または〔19〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)前記状態がインフルエンザであり、前記活性剤が、弱毒化生インフルエンザウイルス、不活性化ウイルス、もしくはウイルス抗原であるか、
(b)前記状態がB型肝炎であり、前記活性剤が、B型肝炎ウイルス(HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、および/もしくはB型肝炎コア抗原(HBcAg)であるか、または
(c)前記状態が髄膜炎であり、前記活性剤が、髄膜炎菌性多糖ワクチン(MPSV4、髄膜炎菌性菌の表面由来の多糖)、髄膜炎菌性コンジュゲートワクチン(MCV4、タンパク質に化学結合した多糖)、および/もしくは髄膜炎菌性血清群Bワクチン(MenB、Neisseria meningitidis bacteriaB群から採取された4つのタンパク質を含有する)である、組成物。
〔36〕活性剤の鼻腔内送達のための方法であって、それを必要とする対象に前記〔1〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物を経鼻投与することを含む、方法。
〔37〕ある状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に前記〔1〕~〔18〕または〔20〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物を経鼻投与することを含み、
(a)前記状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、前記活性剤がテストステロンであるか、
(b)前記状態が脳損傷であり、前記活性剤がプロゲステロンであるか、
(c)前記状態が統合失調症であり、前記活性剤が、アリピプラゾール、アウエチアピン(auetiapin)、もしくはパリペリドンであるか、
(d)前記状態が不安であり、前記活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、
(e)前記状態が多発性硬化症であり、前記活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、
(f)前記状態がアルツハイマー病であり、前記活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、
(g)前記状態がうつ病であり、前記活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、
(h)前記状態が不眠症であり、前記活性剤が、プロゲステロン、エスゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、
(i)前記状態が注意欠陥多動性障害であり、前記活性剤が、トモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、
(j)前記状態が外傷性脳損傷であり、前記活性剤が、プロゲステロンもしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、
(k)前記状態がブラウン腫瘍(braun tumor)であり、前記活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、
(l)前記状態がてんかんであり、前記活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、もしくはバルプロ酸であるか、
(m)前記状態が疼痛であり、前記活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または
(n)前記状態がパーキンソン病であり、前記活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである、方法。
〔38〕ある状態を治療する際に使用するための、前記〔1〕~〔18〕または〔20〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)前記状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、前記活性剤がテストステロンであるか、
(b)前記状態が脳損傷であり、前記活性剤がプロゲステロンであるか、
(c)前記状態が統合失調症であり、前記活性剤が、アリピプラゾール、アウエチアピン、もしくはパリペリドンであるか、
(d)前記状態が不安であり、前記活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、
(e)前記状態が多発性硬化症であり、前記活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、
(f)前記状態がアルツハイマー病であり、前記活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、
(g)前記状態がうつ病であり、前記活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、
(h)前記状態が不眠症であり、前記活性剤が、プロゲステロン、エスゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、
(i)前記状態が注意欠陥多動性障害であり、前記活性剤が、トモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、
(j)前記状態が外傷性脳損傷であり、前記活性剤が、プロゲステロンもしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、
(k)前記状態がブラウン腫瘍(braun tumor)であり、前記活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、
(l)前記状態がてんかんであり、前記活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、もしくはバルプロ酸であるか、
(m)前記状態が疼痛であり、前記活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または
(n)前記状態がパーキンソン病であり、前記活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである、組成物。
〔39〕ある状態の治療のための薬剤を製造する際に使用するための、前記〔1〕~〔18〕または〔20〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物であって、
(a)前記状態が、性腺機能低下症、女性性機能障害、女性の興奮障害、無オルガスム症、もしくは性的欲求低下障害であり、前記活性剤がテストステロンであるか、
(b)前記状態が脳損傷であり、前記活性剤がプロゲステロンであるか、
(c)前記状態が統合失調症であり、前記活性剤が、アリピプラゾール、アウエチアピン、もしくはパリペリドンであるか、
(d)前記状態が不安であり、前記活性剤が、デュロキセチンもしくはドーパミンであるか、
(e)前記状態が多発性硬化症であり、前記活性剤が、テストステロン、グラチラマーアセタート、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、フィンゴリモド、ナタリズマブ、もしくはフマル酸ジメチルであるか、
(f)前記状態がアルツハイマー病であり、前記活性剤が、プレグネノロン、メマンチン、リバスチグミン、もしくはドネペジルであるか、
(g)前記状態がうつ病であり、前記活性剤が、デスベンラファキシン、デュロキセチン、もしくはドーパミンであるか、
(h)前記状態が不眠症であり、前記活性剤が、プロゲステロン、エスゾピクロン、もしくはエスゾピクロンであるか、
(i)前記状態が注意欠陥多動性障害であり、前記活性剤が、トモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン、もしくはドーパミンであるか、
(j)前記状態が外傷性脳損傷であり、前記活性剤が、プロゲステロン、もしくは組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)であるか、
(k)前記状態がブラウン腫瘍(braun tumor)であり、前記活性剤が、メトトレキセート、ラルチトレキセド、5-フルオロウラシル、テロメラーゼ阻害剤、もしくはモノクローナル抗体であるか、
(l)前記状態がてんかんであり、前記活性剤が、ミダゾラム、ラコサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、もしくはバルプロ酸であるか、
(m)前記状態が疼痛であり、前記活性剤が、オキシコドン、プレガバリン、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、もしくはフェンタニルであるか、または
(n)前記状態がパーキンソン病であり、前記活性剤が、サフィナミド、ロピニロール、プラミペキソール、ドーパミン、L-DOPA、セレギリン、カベルゴリン、もしくはイストラデフィリンである、組成物。
〔40〕経鼻用医薬組成物であって、
(a)多孔性賦形剤および活性剤であって、前記活性剤が、前記多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する前記多孔性賦形剤の表面上に積載される、多孔性賦形剤および活性剤と、
(b)親油性または部分親油性ビヒクルと、
(c)粘度調整剤と、を含む、経鼻用医薬組成物。
〔41〕経鼻用医薬組成物であって、
(a)多孔性賦形剤および活性剤であって、前記活性剤が、前記多孔性賦形剤の細孔の内側に位置する前記多孔性賦形剤の表面上に積載される、多孔性賦形剤および活性剤と、
(b)前記多孔性賦形剤上に配置されたコーティングであって、前記多孔性賦形剤上に積載された前記活性剤と同じまたは異なる活性剤を含有する、コーティングと、
(c)親油性または部分親油性ビヒクルと、
(d)粘度調整剤と、
(e)界面活性剤と、を含む、経鼻用医薬組成物。
〔42〕経鼻用医薬組成物であって、
(a)メソ多孔性シリカ賦形剤および活性剤であって、前記活性剤が、前記メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置する前記メソ多孔性シリカの表面上に積載される、メソ多孔性シリカ賦形剤および活性剤と、
(b)少なくとも1つの親油性または部分親油性ビヒクルと、
(c)少なくとも1つの粘度調整剤と、を含む、経鼻用医薬組成物。
〔43〕経鼻用医薬組成物であって、
(a)前記組成物の重量に基づいて約0.5%~約50%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、
(b)前記組成物の重量に基づいて約0.5%~約40%w/wの活性剤であって、前記メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置する前記メソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、
(b)前記組成物の重量に基づいて約50%~約90%w/wのヒマシ油と、
(c)前記組成物の重量に基づいて約0.5%~約20%w/wのコロイド状二酸化ケイ素と、を含む、経鼻用医薬組成物。
〔44〕経鼻用医薬組成物であって、
(a)前記組成物の重量に基づいて約8%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、
(b)前記組成物の重量に基づいて約5%w/wの活性剤であって、前記メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置する前記メソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、
(c)前記組成物の重量に基づいて約80%w/wのヒマシ油と、
(d)前記組成物の重量に基づいて約10%w/wのコロイド状二酸化ケイ素と、を含む、経鼻用医薬組成物。
〔45〕経鼻用医薬組成物であって、
(a)前記組成物の重量に基づいて約8%w/wのメソ多孔性シリカ賦形剤と、
(b)前記組成物の重量に基づいて約5%w/wの活性剤であって、前記メソ多孔性シリカの細孔の内側に位置する前記メソ多孔性シリカの表面上に積載される、活性剤と、
(c)前記組成物の重量に基づいて約80%w/wのヒマシ油と、
(d)前記組成物の重量に基づいて約4%w/wのオレオイルマクロゴールグリセリドの混合物と、を含む、経鼻用医薬組成物。
〔46〕前記親油性または部分親油性ビヒクルが、活性剤を含有する、前記〔40〕~〔42〕のいずれか一項に記載の医薬組成物。
〔47〕前記活性剤が、テストステロンである、前記〔40〕~〔45〕のいずれか一項に記載の医薬組成物。
〔48〕前記活性剤が、プロゲステロンである、前記〔40〕~〔45〕のいずれか一項に記載の医薬組成物。
〔49〕鼻閉を治療する方法であって、それを必要とする対象に前記〔1〕~〔17〕または〔20〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含み、前記活性剤が、経鼻用抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤のうちの1つ以上を含む、方法。
〔50〕前記鼻閉が、乾燥鼻/痂皮、風邪、花粉症、上気道アレルギー、および年齢のうちの1つ以上によって引き起こされる、前記〔49〕に記載の方法。
〔51〕前記活性剤が、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、ならびに植物および/またはアントロポゾフィー物質のうちの1つ以上を含む、前記〔49〕に記載の方法。
〔52〕鼻閉を治療する際に使用するための、前記〔1〕~〔17〕または〔20〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物であって、前記活性剤が、経鼻用抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤のうちの1つ以上を含む、組成物。
〔53〕前記鼻閉が、乾燥鼻/痂皮、風邪、花粉症、上気道アレルギー、および年齢のうちの1つ以上によって引き起こされる、前記〔52〕に記載の組成物。
〔54〕前記活性剤が、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、ならびに植物および/またはアントロポゾフィー物質のうちの1つ以上を含む、前記〔52〕に記載の組成物。
〔55〕鼻閉の治療のための薬剤の製造に使用するための、前記〔1〕~〔17〕または〔20〕~〔26〕のいずれか一項に記載の組成物であって、前記活性剤が、経鼻用抗ヒスタミン剤およびうっ血除去剤のうちの1つ以上を含む、組成物。
〔56〕前記鼻閉が、乾燥鼻/痂皮、風邪、花粉症、上気道アレルギー、および年齢のうちの1つ以上によって引き起こされる、前記〔55〕に記載の組成物。
〔57〕前記活性剤が、コルチコステロイド、ナファゾリン、オキシメタゾリン、アドレナリン、フェニレフリン、経鼻用生理食塩水スプレー、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、クロモリン、エクトイン、ならびに植物および/またはアントロポゾフィー物質のうちの1つ以上を含む、前記〔56〕に記載の組成物。