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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241015BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20241015BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20241015BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20241015BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H01L23/40 E
G03B17/55
H04N23/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022137282
(22)【出願日】2022-08-30
(65)【公開番号】P2024033611
(43)【公開日】2024-03-13
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】長津 頌
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170337(JP,A)
【文献】特開2015-142005(JP,A)
【文献】特開2013-162017(JP,A)
【文献】特開2021-173821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0183186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/40
G03B 17/55
H04N 23/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部材の内部に、
第1の電子部品と、
第2の電子部品と、
前記第1の電子部品および前記第2の電子部品に対して間隔をあけて配置された金属板金と、
前記第2の電子部品に熱的に接続された第1の接続部および前記金属板金に熱的に接続された第2の接続部を有する第1の熱伝導部材と、
前記第1の電子部品と前記金属板金との間に配置され、前記第1の熱伝導部材よりも熱伝導率が低い弾性部材と、を有する電子機器であって、
前記第2の接続部が前記弾性部材の弾性力により前記金属板金に押圧されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の電子部品および前記第2の電子部品が実装基板に実装されており、
前記実装基板における前記第2の電子部品が実装された領域の配線の残銅率が前記第1の電子部品が実装された領域の配線の残銅率より小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の電子部品の発熱量が、前記第2の電子部品の発熱量よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の電子部品の許容上限温度が、前記第2の電子部品の許容上限温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1の接続部と前記金属板金との間の間隔が、前記第2の接続部と前記金属板金との間の間隔より大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記金属板金は、前記電子機器の外装部材に熱的に接続され、
前記外装部材は、ユーザが前記電子機器を保持するための被保持部を有し、
前記外装部材を前記間隔の方向における外側から見たときに、前記外装部材の内側における前記第1および第2の電子部品が前記被保持部と重ならない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の電子部品と前記弾性部材との間に、前記弾性部材よりも熱伝導率が高い第2の熱伝導部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記外装部材を前記間隔の方向における外側から見た場合において前記第1および第2の電子部品から前記被保持部への方向を互いに直交する2つの方向に分解したときに、前記第2の接続部は、前記第1の接続部に対して、前記2つの方向のうち一方と反対方向に位置することを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置等の電子機器における放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置には、撮像レンズを介して取り込んだ被写体像をデジタル画像に変換するための撮像素子が設けられている。撮像素子から出力される信号は撮像装置のメイン基板に実装された映像エンジンにより処理される。このような映像エンジンでは、動作に伴う発熱によって温度が自身の許容上限温度まで上昇するおそれがある。このため、映像エンジンで発生する熱を良好かつ適切に放熱する必要がある。
【0003】
特許文献1には、電子部品で生じた熱を絶縁シートを介して放熱する放熱部材を含む放熱構造が開示されている。特許文献2には、発熱部品に接触するシート状の熱伝導部材と、熱伝導部材と筐体の内面との間に配置された弾性部材とを含む放熱構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6981610号公報
【文献】特開2005-129734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された放熱構造では、複数の発熱する電子部品を同じように放熱するため、いずれかの電子部品の許容上限温度によって他の電子部品の動作が制限され易い。また特許文献2に開示された放熱構造では、発熱部品の許容上限温度を考慮していないため、他の発熱部品の発熱により動作が制限されるおそれがある。
【0006】
本発明は、複数の電子部品の放熱を良好かつ適切に行うことが可能な撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての電子機器は、外装部材の内部に、第1の電子部品と、第2の電子部品と、第1の電子部品および第2の電子部品に対して間隔をあけて配置された金属板金と、第2の電子部品に熱的に接続された第1の接続部および金属板金に熱的に接続 された第2の接続部を有する第1の熱伝導部材と、第1の電子部品と金属板金との間に配置され、第1の熱伝導部材よりも熱伝導率が低い弾性部材と、を有する電子機器であって、第2の接続部が弾性部材の弾性力により金属板金に押圧されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器において、第1および第2の電子部品の放熱を良好かつ適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の撮像装置の外観斜視図。
図2】実施例の撮像装置の電気的構成を示すブロック図。
図3】実施例の撮像装置の分解斜視図。
図4】実施例の撮像装置における放熱構造を示す図。
図5】実施例の撮像装置における放熱経路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a)、(b)は、本発明の実施例であるカメラ本体(電子機器および撮像装置)100の斜め前側および斜め後側から見た外観を示している。
【0012】
カメラ本体100の背面右部にはユーザがカメラ本体100を保持する際に右手親指を置く被保持部101が設けられ、カメラ本体100の上面右前部にはユーザが撮像開始を指示する際に右手人差し指で操作するシャッターボタン102が設けられている。
【0013】
カメラ本体100の前面にはレンズマウント103が設けられている。レンズマウント103には、図2に示すレンズユニット104を着脱することができる。カメラ本体100とレンズユニット104は、レンズマウント103内に設けられたマウント接点105を介して電気的に接続され、カメラ本体100からレンズユニット104への電力供給やカメラ本体100とレンズユニット104との間での通信を可能とする。
【0014】
カメラ本体100の上面左部には、ユーザがカメラ本体100の電源をON/OFFするために操作する電源スイッチ107が設けられている。カメラ本体100の上面右部と背面右下部にはそれぞれ、ユーザが絞り値やシャッター速度等の各種設定値を変更する際に回転操作するメイン電子ダイヤル108およびサブ電子ダイヤル119が設けられている。サブ電子ダイヤル119の中央には、ユーザが主として設定値等を決定する際に操作するSETボタン110が設けられている。
【0015】
カメラ本体100の上面右部には、ユーザが撮像モードを切り替える際に回転操作するモード切替えダイヤル109が設けられている。撮像モードには、シャッター速度優先モード、絞り値優先モード、動画撮像モード等がある。
【0016】
カメラ本体100の背面には、各種設定用の画面、ライブビュー画像および撮像済み画像を表示する液晶ディスプレイ等により構成される背面モニタ111が設けられている。カメラ本体100の背面における背面モニタ111の上方には、ユーザが接眼して背面モニタ111と同様の表示を見ることができる電子ビューファインダ112が設けられている。カメラ本体100の上面には、撮像モードやISO感度等の各種設定を表示する表示パネル114が設けられている。
【0017】
カメラ本体100の右側面には、開閉可能なメディアスロット蓋173が設けられている。メディアスロット蓋173が開いた状態で内部のメディアスロット(図示せず)に図2に示す外部記録メディア148を挿抜することができる。
【0018】
図2は、カメラ本体100の電気的構成を示している。MPU130は、カメラ本体100の動作を制御するマイクロコンピュータ(コントローラ)である。MPU130には、時刻計測回路131、シャッター駆動回路132、スイッチセンス回路133、電源供給回路134、バッテリーチェック回路135および映像信号処理回路136が接続されている。MPU130は、内蔵したEEPROMに時刻計測回路131からの時刻情報や各設定情報等を記憶することができる。MPU130は、マウント接点105を介してレンズユニット104と通信を行ってレンズユニット104の動作を制御する。
【0019】
フォーカルプレーンシャッター150は、シャッター駆動回路132により駆動される。ユーザがシャッターボタン102を操作すると、先幕が走行してシャッター開となり、所定の露光時間が経過すると後幕が走行してシャッター閉となることで、撮像素子121の露光時間が制御される。
【0020】
撮像ユニット120は、光学ローパスフィルタ122、これを保持するフィルタ保持部材123および撮像素子121がユニット化されたものである。撮像素子121は、レンズユニット104内の撮像光学系により形成される被写体像を光電変換する光電変換素子であり、CMOSセンサやCCDセンサ等により構成される。
【0021】
映像信号処理回路136は、撮像素子121から出力された電気信号(撮像信号)に対してフィルタ処理や色変換処理等の画像処理を行って画像データを生成する。映像信号処理回路136からの画像データは、液晶駆動回路144を介して背面モニタ111および電子ビューファインダ112に表示される。また映像信号処理回路136は、MPU130の指示に従って、メモリコントローラ146を通じてバッファメモリ147に画像データを保存することもできる。さらに映像信号処理回路136は、画像データをJPEG方式等で圧縮する処理を行うこともできる。
【0022】
メモリコントローラ146は、画像データを外部記録メディア148に記憶したり、外部記録メディア148に記憶された画像データを読み出したりする機能を有する。外部記録メディア148としては、カメラ本体100に対して着脱が可能なメモリカード等が用いられる。
【0023】
スイッチセンス回路133は、シャッターボタン102の半押し操作によりスイッチSW1(102a)から出力される撮像準備信号や、シャッターボタン102の全押し操作によりスイッチSW2(102b)から出力される撮像開始信号をMPU130に送信する。MPU130は、撮像準備信号に応じて、自動露出制御(AE)や自動焦点調節(AF)等の撮像準備処理を実行する。またMPU130は、撮像開始信号に応じて、フォーカルプレーンシャッター150の開閉動作および撮像素子121から出力された撮像信号からの記録用画像データの生成等の撮像処理を実行する。なお、スイッチセンス回路133には、メイン電子ダイヤル108、モード切替えダイヤル109、電源スイッチ107およびSETボタン110等も接続されており、これらからの信号をMPU130に送信する。
【0024】
電源供給回路134は、バッテリー143からの電力をカメラ本体100内の各部やレンズユニット104に供給する。バッテリーチェック回路135は、バッテリー143の残量情報等をMPU130に伝える。
【0025】
図3は、カメラ本体100を光軸200が延びる方向(光軸方向)に分解して示している。カメラ本体100は、本体ベース部材300が、背面側のリアカバー320、不図示の上側のトップカバーおよび下側のボトムカバー等の外装部材によって覆われた構造となっている。本体ベース部材300は、マグネシウム合金等の材料で形成されている。本体ベース部材300には、前側(被写体側)から順にフォーカルプレーンシャッター150、撮像ユニット120、メイン基板180およびリアカバー320が取り付けられる。
【0026】
メイン基板180には、熱源となる電子部品群330として、第1の電子部品331と2つの第2の電子部品332が実装されている。第1の電子部品331は映像信号処理回路136を構成する映像エンジンであり、第2の電子部品332はバッファメモリ147としてのDRAMである。
【0027】
電子部品群330に対して、中間部材としての弾性部材341、第1の熱伝導部材342および第2の熱伝導部材343により構成される熱伝導部340が設けられている。第1の熱伝導部材342は放熱部材310に熱的に接続され、放熱部材310はリアカバー320に取り付けられる。
【0028】
図4(a)~(c)を用いて電子部品群330の放熱構造について説明する。図4(a)は、光軸方向の背面側から見たメイン基板180を示している。図4(b)は、図4(a)中のメイン基板180のA-A線での断面を示している。図4(c)は、背面側から見たメイン基板180に設けられた第1の電子部品331用のGND(グラウンド)配線420と2つの第2の電子部品332用の等長配線430を示している。
【0029】
カメラ本体100においてユーザが触れる外装部材に熱源としての電子部品群330からの熱が過度に伝わって外装部材が高温なることは好ましくない。このため、第1の電子部品331はメイン基板180の中央部に配置されており、メイン基板180の端部に配置される場合よりも第1の電子部品331からの熱をメイン基板180全体に拡散させ易く、外装部材に直接、熱が伝わり難くしている。また、2つの第2の電子部品332も同様にメイン基板180の中央部に配置されており、第1の電子部品331に関して左右対称に互いに隣接するように配置されている。
【0030】
また図4(a)に示すように、背面側から見たときの第1の熱伝導部材342の形状は、第1の電子部品331上の放熱部材310と2つの第2の電子部品332の表面(背面)のほぼ全体を覆う形状を有する。具体的には、第1の熱伝導部材342は、2つの第2の電子部品332の表面をほぼ覆う形状の第1の接続部400と、放熱部材310の表面をほぼ覆う形状の第2の接続部410とを有する。図4(b)に示すように、第1の接続部400は2つの第2の電子部品332に当接して熱的に接続されており、第2の接続部410は放熱部材310に当接して熱的に接続されている。
【0031】
第1の熱伝導部材342は、可撓性および熱伝導性を有するグラファイトシート等であり、不図示の粘着材により、第1の接続部400は2つの第2の電子部品332に固定され、第2の接続部410は弾性部材341に固定されている。放熱部材310は、アルミ等の材料で形成された板金部材である。第2の電子部品332からの熱は、第1の熱伝導部材342を介して放熱部材310へと伝えられ、さらにリアカバー320へと拡散される。
【0032】
第1の熱伝導部材342としてグラファイトシートのように薄いシート状の熱伝導部材を使用することで、第1の熱伝導部材342の第1の接続部400と放熱部材310における第1の接続部400と対向する部分との間の間隔(距離)Dを広く確保することができる。具体的には、間隔Dは、第2の接続部410と放熱部材310との間の間隔(0~約D/2)より大きい。これにより、第2の電子部品332からの熱が放熱部材310のうち第1の接続部400に対向する部分と該放熱部材310が取り付けられているリアカバー320に直接に伝わり難くなり、ユーザが触れ易いリアカバー320が高温にならないようにすることができる。
【0033】
第1の電子部品331の表面上には、背面側から見たときに第1の電子部品331とほぼ同一形状の第2の熱伝導部材343が配置されている。第2の熱伝導部材343には、グラファイトシートや金属箔シートが用いられる。第1の電子部品331はその全体が均一に発熱するわけではなく、中心部付近にヒートスポットが発生する。第2の熱伝導部材343を配置することで、第1の電子部品331のヒートスポットの発生を緩和することができる。
【0034】
第1の電子部品331と第1の熱伝導部材342の第2の接続部410との間には、弾性部材341が配置されている。弾性部材341は、シリコンゴムやウレタンフォーム等で形成された弾性を有する部材であり、圧縮(チャージ)状態で発生する弾性力によって第1の熱伝導部材342の第2の接続部410を放熱部材310に付勢押圧(圧接)させている。第1の電子部品331の表面は凹凸のない平面形状であり、弾性部材である弾性部材341のうち第1の熱伝導部材342の第2の接続部410が放熱部材310に当接する部分を均一にチャージ状態とすることができる。このような構成により、第2の電子部品332から第1の熱伝導部材342の第2の接続部410に伝わった熱を放熱部材310に安定的に伝えることができる。また、前述したように第2の熱伝導部材343が第1の電子部品331とほぼ同一形状を有することで、第1の電子部品331からの熱を弾性部材341に均一に伝えることができる。
【0035】
なお、本実施例では、弾性部材341の一部をチャージ状態として第1の熱伝導部材342の第2の接続部410の一部を放熱部材310に向けて付勢している。具体的には弾性部材341のうち約半分の面積の部分がチャージ状態となっている。放熱部材310の位置を変更して放熱部材310と第1の熱伝導部材342の第2の接続部410との接触面積を変更することで、放熱部材310に伝わる熱を調整することが可能である。
【0036】
本実施例では、第1の電子部品331の発熱量が第2の電子部品332の発熱量より大きい。また、第1の電子部品331と第2の電子部品332にはそれぞれ許容上限温度が設けられている。許容上限温度は、電子部品の動作保証温度から所定のマージンを確保した温度である。第1の電子部品331および第2の電子部品332のうち一方の温度が許容上限温度に達すると、MPU130は、カメラ本体100の性能低下防止や回路保護のためにカメラ本体100の動作を停止させる。
【0037】
本実施例では、第1の電子部品331の許容上限温度が第2の電子部品332の許容上限温度よりも高い。さらに、弾性部材341の熱伝導率は第1の熱伝導部材342(および後述する第2の熱伝導部材343)の熱伝導率よりも低い。言い換えれば、弾性部材341は、断熱材として機能する。
【0038】
グラファイトシートである第1の熱伝導部材342の厚みと幅は、第2の電子部品332の放熱量が多くなるように設定されている。また、弾性部材341の熱伝導率、厚みおよび幅は、弾性部材341からの放熱量が第1の熱伝導部材342からの放熱量より少なくなるように設定されている。このような設定により、許容上限温度が高い第1の電子部品331からの熱よりも、許容上限温度が低い第2の電子部品332からの熱を放熱部材310に多く伝えることができる。このため、第2の電子部品332が第1の電子部品331よりも早く許容上限温度に達してカメラ本体100の動作が停止することを防ぐことができる適切な放熱が可能である。
【0039】
図4(c)において、メイン基板180における第1の電子部品331が実装される領域にはGND配線420が面状に設けられ、2つの第2の電子部品332が実装される領域のそれぞれには等長配線430が設けられている。ここで、メイン基板180における第2の電子部品332が実装された領域の配線の残銅率が第1の電子部品331が実装された領域の配線の残銅率より小さい。このため、第2の電子部品332からの熱よりも第1の電子部品331からの熱の方がメイン基板180に多く伝わる。発熱量がより多い第1の電子部品331からの熱をメイン基板180により多く伝えることで、放熱部材310を介してリアカバー320に過度に熱が伝わることを防ぎ、リアカバー320(被保持部101)が高温になるのを防ぐことができる。
【0040】
なお、本実施例では、中間部材として、チャージ状態で第1の熱伝導部材342を放熱部材310に圧接させる弾性部材を用いる場合について説明している。ただし、第1の熱伝導部材342と放熱部材310との熱的な接続が確実になされるのであれば、チャージ状態にはならずに第1の熱伝導部材342と放熱部材310との間に配置される中間部材を用いてもよい。
【0041】
図5(a)~(c)を用いて、カメラ本体100における放熱経路について説明する。図5(a)はカメラ本体100を背面側(リアカバー320を間隔Dの方向における外側)から見たときの電子部品群330(第1の電子部品331と2つの第2の電子部品332)の位置を示している。背面視において、電子部品群330はリアカバー320の被保持部101とは重なっておらず、電子部品群330からの熱が直接、被保持部101に伝熱し難い。また、図4(b)に示したように第2の電子部品332とリアカバー320との間に十分な間隔(Dより大きい間隔)が設けられているため、被保持部101が高温になり難い。
【0042】
図5(b)は、カメラ本体100を背面側から見たときの電子部品群330、熱伝導部340および放熱部材310の位置を示している。ベクトル500は、電子部品群330から被保持部101への方向と距離を示している。ベクトル500は、互いに直交する2つの方向である水平方向(X方向)と垂直方向(Y方向)のベクトル501とベクトル502に分解することができる。
【0043】
図5(c)も、カメラ本体100を背面側から透視したときの電子部品群330、熱伝導部340および放熱部材310の位置を示している。電子部品群330から発生した熱は、ベクトル510、ベクトル511およびベクトル512で示す放熱経路を通って被保持部101へと向かう。
【0044】
図5(c)に示す放熱経路には、図5(b)に示したY方向のベクトル502とは逆方向のベクトル510で示す経路が含まれている。具体的には、第1の熱伝導部材342の第2の接続部410は、第1の接続部400に対してY方向のベクトル502とは反対方向に位置する。これにより、電子部品群330から被保持部101への放熱経路が長くなり、被保持部101に伝わる熱が過大となって被保持部101が高温になることを防ぐことができる。なお、第2の接続部410は、第1の接続部400に対してX方向のベクトル501と反対方向に位置してもよい。
【0045】
上記実施例では撮像装置の放熱構造について説明したが、同様の放熱構造を撮像装置以外の各種電子機器に適用することも可能である。
【0046】
以上の実施の形態は、以下の構成を含む。
【0047】
(構成1)
第1の電子部品および第2の電子部品と、
前記第1および第2の電子部品に対して間隔をあけて配置された放熱部材と、
前記第2の電子部品に熱的に接続された第1の接続部および前記放熱部材に熱的に接続された第2の接続部を有する第1の熱伝導部材と、
前記第1の電子部品と前記放熱部材との間に配置され、前記第1の熱伝導部材よりも熱伝導率が低い中間部材とを有することを特徴とする電子機器。
(構成2)
前記中間部材は弾性を有し、
前記第1の接続部が前記中間部材の弾性力により前記放熱部材に押圧されていることを特徴とする構成1に記載の電子機器。
(構成3)
前記放熱部材は、前記電子機器の外装部材に熱的に接続されていることを特徴とする構成1または2に記載の電子機器。
(構成4)
前記第1の電子部品の発熱量が、前記第2の電子部品の発熱量よりも大きいことを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成5)
前記第1の電子部品の許容上限温度が、前記第2の電子部品の許容上限温度よりも高いことを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成6)
前記中間部材からの放熱量が、前記第1の熱伝導部材からの放熱量より少ないことを特徴とする構成1から5のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成7)
前記第1の接続部と前記放熱部材との間の間隔が、前記第2の接続部と前記放熱部品との間の間隔より大きいことを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成8)
前記外装部材は、ユーザが前記電子機器を保持するための被保持部を有し、
前記外装部材を前記間隔の方向における外側から見たときに、前記外装部材の内側における前記第1および第2の電子部品が前記被保持部と重ならない位置に設けられていることを特徴とする構成3に記載の電子機器。
(構成9)
前記第1および第2の電子部品が基板に実装されており、
前記基板における前記第2の電子部品が実装された領域の配線の残銅率が前記第1の電子部品が実装された領域の配線の残銅率より小さいことを特徴とする構成1から8のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成10)
前記第1の電子部品と前記中間部材との間に、前記中間部材よりも熱伝導率が高い第2の熱伝導部材が配置されていることを特徴とする構成1から9のいずれか1つに記載の電子機器。
(構成11)
前記外装部材を前記間隔の方向における外側から見た場合において前記第1および第2の電子部品から前記被保持部への方向を互いに直交する2つの方向に分解したときに、前記第2の接続部は、前記第1の接続部に対して、前記2つの方向のうち一方と反対方向に位置することを特徴とする構成3に記載の電子機器。
【0048】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 カメラ本体
180 メイン基板
331 第1の電子部品
332 第2の電子部品
341 弾性部材
342 第1の熱伝導部材
400 第1の接続部
410 第2の接続部
図1
図2
図3
図4
図5