(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】データ符号化装置、データ伝送システム、データ符号化方法およびデータ符号化プログラム
(51)【国際特許分類】
H03M 7/42 20060101AFI20241015BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H03M7/42
G09B29/00 F
(21)【出願番号】P 2022172286
(22)【出願日】2022-10-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 哲矢
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-147528(JP,A)
【文献】特開2010-074324(JP,A)
【文献】特開2021-140685(JP,A)
【文献】特開平08-171478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 7/42
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元マップ上に気象予測情報に基づき作成されたテキストデータが入力される入力部と、
前記テキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する符号化部と、
前記符号化テキストデータをテキストデータ通信を介して送信する通信部と、
を備え
、
前記所定の変換リストは、6bitをASCIIコードで表現した変換表であるデータ符号化装置。
【請求項2】
前記テキストデータは、図形を表現した文字列を含む請求項1に記載のデータ符号化装置。
【請求項3】
前記気象予測情報は、予想被雷確率の高さが示された被雷予測情報を含み、
前記テキストデータは、前記被雷予測情報を用いて前記予想被雷確率の高さと位置とを関連付けて作成された被雷予測2次元マップである請求項2に記載のデータ符号化装置。
【請求項4】
前記被雷予測2次元マップは、前記予想被雷確率が低い地域である安全域と、前記予想被雷確率が高い地域である危険域と、の2値表現で表される前記テキストデータである請求項3に記載のデータ符号化装置。
【請求項5】
前記気象予測情報は、風向および風速を含む風の情報が示された風予測情報を含み、
前記テキストデータは、前記風予測情報を用いて前記風向及び前記風速と位置とを関連付けて作成された風予測分布である請求項2に記載のデータ符号化装置。
【請求項6】
前記符号化部は、前記所定の変換リストに従い前記テキストデータの複数の文字列を1文字に変換し符号化する請求項1に記載のデータ符号化装置。
【請求項7】
請求項1に記載のデータ符号化装置と、
データ復号化装置と、
を備え、
前記データ復号化装置は、
前記データ符号化装置からテキストデータ通信を介して前記符号化テキストデータを受信する送受信部と、
前記符号化テキストデータを前記所定の変換リストに従い復号化する復号化部と、
復号化された前記テキストデータを出力する出力部と、
を備えるデータ伝送システム。
【請求項8】
前記データ復号化装置は、航空機に備えられる請求項7に記載のデータ伝送システム。
【請求項9】
2次元マップ上に気象予測情報に基づき作成されたテキストデータが入力される入力工程と、
前記テキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する符号化工程と、
前記符号化テキストデータをテキストデータ通信を介して送信する通信工程と、
をコンピュータが実行
し、
前記所定の変換リストは、6bitをASCIIコードで表現した変換表であるデータ符号化方法。
【請求項10】
請求項9に記載のデータ符号化方法を実行させるためのデータ符号化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ符号化装置、データ伝送システム、データ符号化方法およびデータ符号化プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
データの伝送において、データを圧縮して伝送する手法が検討されている。特に、地上と航空機との間のデータ伝送では、専用の通信施設や衛星を介した通信により行われるため、データ量を減らす必要がある。地上と航空機との間のデータ伝送は、テキストデータ通信を用いたテキストデータによる伝送が一般的である。特許文献1の発明では、データファイルをテキスト化しテキストデータ通信を用いて伝送することが開示されている。また特許文献2の発明では、テキストデータ通信を前提に伝送容量を圧縮することが開示されている。また特許文献3の発明では、8ビットで表現されるASCIIコードのうち、文字列として使用されることを前提にビット数を削減可能であることを利用し圧縮することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0134682号明細書
【文献】米国特許出願公開第2022/0070728号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0205925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1乃至3の発明では、イメージデータ等の情報はそのまま伝送することができないため、アスキーアート等を用いて表現し直すことで伝送可能となるが、送信先に伝えられる情報量が制限されるという問題があった。
【0005】
また、送信元において、文字列により単語や文章を構成することで情報をパッケージし伝送するため、伝送できる情報量に比例して通信容量が大きくなるという問題がある。
【0006】
さらに、地上と航空機との間の通信は、前述したように専用の通信施設や衛星を介して行われるため、地上間での通信と比較して伝送容量に制約があり、また通信コストが非常に高額となる。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、テキストデータの情報量を減らすことなくデータ容量を圧縮して伝送可能なデータ符号化装置、データ伝送システム、データ符号化方法およびデータ符号化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のデータ符号化装置、データ伝送システム、データ符号化方法およびデータ符号化プログラムは以下の手段を採用する。
【0009】
本開示のデータ符号化装置は、2次元マップ上に気象予測情報に基づき作成されたテキストデータが入力される入力部と、前記テキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する符号化部と、前記符号化テキストデータをテキストデータ通信を介して送信する通信部と、を備え、前記所定の変換リストは、6bitをASCIIコードで表現した変換表である。
【0010】
本開示のデータ伝送システムは、前述のデータ符号化装置と、データ復号化装置と、を備え、前記データ復号化装置は、前記データ符号化装置からテキストデータ通信を介して前記符号化テキストデータを受信する送受信部と、前記符号化テキストデータを前記所定の変換リストに従い復号化する復号化部と、復号化された前記テキストデータを出力する出力部と、を備える。
【0011】
本開示のデータ符号化方法は、2次元マップ上に気象予測情報に基づき作成されたテキストデータが入力される入力工程と、前記テキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する符号化工程と、前記符号化テキストデータを、テキストデータ通信を介して送信する通信工程と、をコンピュータが実行し、前記所定の変換リストは、6bitをASCIIコードで表現した変換表である。
【0012】
本開示のデータ符号化プログラムは、コンピュータに、前述のデータ符号化方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本開示のデータ符号化装置によれば、テキストデータの情報量を減らすことなくデータ容量を圧縮できる。そのため、データ送信時の通信料を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの概要図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムのハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの機能の一例を示した図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態におけるASCIIコード対応表を示す図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態における所定の変換リストを示す図である。
【
図6】本開示の幾つかの実施形態におけるテキストデータの符号化および復号化を示す図である。
【
図7】本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの制御フローである。
【
図8】本開示の幾つかの実施形態におけるテキストデータの符号化および復号化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示に係るデータ符号化装置、データ伝送システム、データ符号化方法およびデータ符号化プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
以下、本開示の第1実施形態について、
図1を用いて説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの概要図である。
データ伝送システム1は、例えば地上にあるオペレーションセンター10と、航空機20とに設けられるシステムである。
図1では便宜上、データ伝送システム1を一点鎖線で表す。データ伝送システム1は、オペレーションセンター10のデータ符号化装置15と、航空機20のデータ復号化装置25とにより実現される。本実施形態では、データ伝送システム1は地上のオペレーションセンター10と航空機20との間の伝送に用いられるとするが、地上-地上間の伝送や、航空機-航空機間の伝送であってもよく、伝送を行う場所は問わない。
【0017】
オペレーションセンター10のデータ符号化装置15は、入力されたデータを符号化し、通信サービスプロバイダが用意するテキストデータ通信30を介して航空機20のデータ復号化装置25へデータを送信する。
【0018】
航空機20のデータ復号化装置25は、データ符号化装置15から送信されたデータを復号化し、出力する。同様に、データ復号化装置25がデータを符号化し、テキストデータ通信30を介してデータ符号化装置15へ送信することもできる。データ符号化装置15はデータを復号化し、出力する。
【0019】
データ符号化装置15に入力されるデータは、イメージなどをテキストデータで表現したデータである。例えばテキストを用いたアスキーアートで表現される図形やグラフなどである。
【0020】
テキストデータ通信30は、例えば、ほとんどの航空機20に搭載されているACARS(Aircraft Communication Addressing and Reporting System、無線または衛星を介して短いメッセージを伝送するためのデータリンクシステム)である。テキストデータ通信30は、テキストデータの伝送を行えるものであればよく、CPDLC(Controller-Pilot Data Link Communications、管制官パイロット間データリンク通信)などその種類は問わない。
【0021】
図2は、本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムのハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、データ伝送システム1のデータ符号化装置15及びデータ復号化装置25は、それぞれコンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1100、二次記憶装置(ROM、Secondary storage:メモリ)1200、主記憶装置(RAM、Main Memory)1300、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
【0022】
CPU1100は、例えば、バス1800を介して接続された二次記憶装置1200に格納されたOS(Operating System)によりデータ符号化装置15及びデータ復号化装置25全体の制御を行うとともに、二次記憶装置1200に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU1100は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0023】
主記憶装置1300は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU1100の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0024】
二次記憶装置1200は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置1200は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置1200の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置1200は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置1200には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置1200は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置1200に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0025】
また、データ符号化装置15及びデータ復号化装置25は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。また、表示部を含み、ランプ、音、特にアラーム音を出力するスピーカーなどの通知部を備えていてもよい。
【0026】
このように、データ伝送システム1は、複数のコンピュータシステムから構成されていてもよい。
【0027】
図3は、本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの機能の一例を示した図である。
図3に示すように、データ伝送システム1は、データ符号化装置15と、データ復号化装置25と、を備えている。データ符号化装置15は、入力部51と、符号化部52と、通信部53と、を備えている。データ復号化装置25は、送受信部56と、復号化部57と、出力部58と、を備えている。
【0028】
データ伝送システム1が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置1200(
図2参照)などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)1100(
図2参照)が主記憶装置1300(
図2参照)に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置1200に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0029】
図3に示される入力部51は、ユーザまたは外部システム(図示せず)からテキストデータが入力される。前述したように、入力されるテキストデータは、例えばテキストを用いたアスキーアートで表現される図形やグラフなどである。
【0030】
本実施形態では、気象予測情報は、例えば被雷予測情報であり、地図上に予想被雷確率の高さが示された被雷予測情報に基づきテキストデータが作成される。被雷予測情報に基づき、予想被雷確率の高さと位置とを関連付けてアスキーアートを用いて被雷予測2次元マップがテキストデータとして用いられるものとする。被雷予測2次元マップについては、予想被雷確率が低く被雷がないと考えられる地域である安全域と、予想被雷確率が高く被雷することが予測される地域である危険域と、を2値表現で表す。例えば、本実施形態では、安全域を空白、危険域を「/」(スラッシュ)の2値で表す。安全域と危険域との間の境界となる予想被雷確率は、変更可能であるとしてもよい。
【0031】
符号化部52は、入力部51から入力されたテキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する。
【0032】
図4は、本開示の幾つかの実施形態におけるASCIIコード対応表を示す。
図4において、「16進」はASCIIコードと16進との対応を表し、「BIT」はASCIIコードと1~7bitの7bitとの対応を表す。
【0033】
本実施形態では、ASCIIコードのうち
図4において太線で囲んだ64文字を用いる。これらの文字を用いて、対応するbitのうち太線で囲んだ6bitを表現可能である。例えば、ASCIIコードの「A」は、「000100」を表す。ASCIIコードの「DEL」については使用せず、「DEL」の代わりに「1」を用いて「111111」を表すものとする。
このように、本実施形態における所定の変換リストは、6bitをASCIIコードで表現した変換表である。
【0034】
図5は、本開示の幾つかの実施形態における所定の変換リストを示す。
図5において、「図形表現」は被雷予測2次元マップなどテキストデータにおけるアスキーアートで表現される図形またはグラフを表す。「2進数表現」は、図形表現を2進数で表現したものであり、また
図4で示した6bitの2進数表現を表す。「16進数表現」は、2進数表現に対応する16進数を表す。「割り当て文字」は、2進数表現に対応するASCIIコードを表す。本実施形態の被雷予測2次元マップは、2値表現で表されるテキストデータであることから、図形表現を2進数で表現することができる。
【0035】
符号化部52は、入力部51から入力されたテキストデータに図形表現が含まれる場合、テキストデータを6文字ごとに分割して、各6文字を
図5に示される所定の変換リストに従い、6文字の2進数表現から割り当て文字として対応するASCIIコードに変換し、テキストデータを符号化する。
【0036】
図6は、本開示の幾つかの実施形態におけるテキストデータの符号化および復号化を示す。
図6において、左のテキストデータは被雷予測2次元マップであるテキストデータを示し、右のデータは被雷予測2次元マップであるテキストデータを変換し符号化した符号化テキストデータを示す。被雷予測2次元マップであるテキストデータにおいて、「AP」は航空機20が着陸を予定している空港を表し、「/」は空港周辺で被雷が予測される地域を表す。また「A」、「B」、及び「C」は、各文字が隣接する「/」で表させる被雷や予測される地域の被雷予測高度を示すあらかじめ規定された文字である。
【0037】
符号化部52は、入力部51から入力されたテキストデータにおいて、1行ごとに符号化を行う。1行目は、2進数で示す場合34文字全て0であるため、6bit(6文字)ごとに「@」が割り当てられ、「@@@@@@」と符号化される。なお、6文字(6bit)に満たない部分(本実施形態の場合、最後の2文字)は、例えば0であるとして変換する。
【0038】
テキストデータの2行目は、26文字目まで全て0であるため、6bitごとに24文字目までを「@@@@」に変換する。次の6文字は「001111」であり、
図5の所定の変換リストに従い「O」に変換する。残りの4文字は「0000」であるため、「@」に変換される。よって、2行目は、「@@@@O@」と符号化される。なお、テキストデータの2行目の27文字目は「C」となっている。このように所定の変換リスト以外の文字がある場合は、その行の所定の変換リストによる符号化テキストデータの後に、該当文字と、該当文字が表示されている位置(この場合27文字目)を加える。よって、「C」と27を表す「[」を加え、テキストデータの2行目は「@@@@O@C[」と符号化される。
【0039】
このように、符号化部52はテキストデータの全ての行を所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する。なお本実施形態では空港を表す「AP」は必ずテキストデータの中心に表示することを規定しているため、符号化テキストデータには含まれない。
【0040】
通信部53は、符号化部52が作成した符号化テキストデータを、テキストデータ通信30(ACARS)を介してデータ復号化装置25へ送信する。
【0041】
一方、データ復号化装置25の送受信部56は、データ符号化装置15から送信された符号化テキストデータを、テキストデータ通信30を介して受信する。
【0042】
復号化部57は、送受信部56が受信した符号化テキストデータを
図5の所定の変換リストに従い元のテキストデータに復号化する。復号化部57は、
図6の右に示される符号化テキストデータを取得する。復号化部57は、1行ごとに
図5の所定の変換リストに従い、ASCIIコードを図形表現に変換する。すなわち、復号化部57は、データ符号化装置15の符号化部52と逆の変換を行うことで、符号化テキストデータをテキストデータに復号化する。
【0043】
出力部58は、復号化部57が復号化したテキストデータを出力する。出力部58は、コックピットに備えられるプリンタからの出力、コックピットに備えられるディスプレイへの出力、タブレットなどの携帯端末への出力など、いずれの出力方法を選択してもよい。
【0044】
次に、本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの動作について、図を用いて説明する。
図7には、本開示の幾つかの実施形態におけるデータ伝送システムの制御フローが示されている。
【0045】
ステップS101において、オペレーションセンター10のデータ符号化装置15の入力部51にテキストデータが入力される。
【0046】
ステップS102において、符号化部52は、所定の変換リストに従いテキストデータを符号化し、符号化テキストデータに変換する。
【0047】
ステップS103において、通信部53は、テキストデータ通信30を介して航空機20のデータ復号化装置25へ符号化テキストデータを送信する。
【0048】
ステップS104において、航空機20のデータ復号化装置25の送受信部56は符号化テキストデータを受信する。
【0049】
ステップS105において、復号化部57は、所定の変換リストに従い符号化テキストデータを復号化し、テキストデータに変換する。
【0050】
ステップS106において、出力部58は、テキストデータを出力する。
【0051】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、テキストデータが被雷予測情報を用いて作成された被雷予測2次元マップであるとしたが、本実施形態ではテキストデータが気象予測情報である風予測情報を用いて作成された風予測分布であるとする。その他の点については第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一符号を付しその説明は省略する。
【0052】
図8は、本開示の幾つかの実施形態におけるテキストデータの符号化および復号化を示す。
図8において、左のテキストデータは風予測分布80であるテキストデータを示し、中央のテキストデータは風予測分布80のうち固定テキストを除いた可変テキストのみを抽出したテキストデータを示し、右のテキストデータは風予測分布80のうち抽出されたテキストデータを変換し符号化した符号化テキストデータを示す。風予測分布80は、例えばALWIN(Airport Low-level Wind INformation、空港低層風情報)を用いるとする。
【0053】
風予測分布80であるテキストデータにおいて、マップ81は縦に高度、横に航空機20の機首方向-尾翼方向での正対風速を示す。マップ81の高度については、マップ81の右に示されるように下がGNDで高度0、上が高度500を示す。マップ81における「*」は、マップ81の下に示されるように「|」をゼロとし、機首方向または尾翼方向の風速の分布を表す。項目82乃至86は、マップ81の各高度に対応する情報を示す。各行ごとに、各高度が対応している。項目82は、風の方向を表し、機首方向からの風を「+」、尾翼方向からの風を「-」で表す。項目83は、正対風速を表す。項目84は、風向を表す。項目85は、風速を表す。項目86は、横風の風速を表す。項目86の左に記載されている「R」は、「L」または「R」により横風の方向を表すものであるが、項目84の風向から判断することができるため送受信に用いる可変テキストには含めない。本テキストデータにおいて、マップ81及び項目82乃至86の各テキストが、固定テキストを除いたテキストである可変テキストであり、符号化部52により抽出される。よって符号化部52により抽出された可変テキストは1行につき26桁である。
【0054】
マップ81は、本実施形態の場合、表示幅が17桁であることから、5bitで表現可能である。マップ81は、5bitで表現する場合、「*」の位置の左からの列数で表現される。項目82及び83は、正対風速が「-20」~「+60」の範囲の数値範囲であることから、符号1bit及び数値6bitで表現可能である。項目84は、角度が「0」~「+36」の範囲(0度から360度の範囲)の数値範囲であることから、6bitで表現可能である。項目85は、風速が「0」~「+60」の範囲の数値範囲であることから、6bitで表現可能である。項目86は、横風の風速が「0」~「+60」の範囲の数値範囲であることから、6bitで表現可能である。
【0055】
符号化部52は、
図5の所定の変換リストに従いテキストデータ(可変テキスト)を符号化し、符号化テキストデータに変換する。変換後の符号化テキストデータが
図8の右のテキストデータである。このように、26桁のテキストデータを5桁まで容量を圧縮することができる。
【0056】
以上説明してきたように、本実施形態に係るデータ符号化装置15によれば、テキストデータを所定の変換リストに従い符号化するため、テキストデータの情報量を減らすことなくデータ容量を圧縮できる。そのため、データ送信時の通信料を抑えることができる。また変換後の符号化テキストデータがテキストデータであるため、テキストデータ通信用の設備を利用可能であり、追加設備のコストを抑えることができる。
【0057】
本開示の幾つかの実施形態では、データ符号化装置15が符号化した符号化テキストデータをデータ復号化装置25に受信し、テキストデータに復号化するとしたが、所定の変換リストを用いてデータ復号化装置25がテキストデータを符号化して符号化テキストデータを作成し、データ符号化装置15に送信してもよい。またデータ符号化装置15が、データ復号化装置25が送信した符号化テキストデータを受信し、テキストデータに復号化するとしてもよい。
【0058】
〈付記〉
以上説明した実施形態に記載のデータ符号化装置、データ伝送システム、データ符号化方法およびデータ符号化プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0059】
本開示の第1態様に係るデータ符号化装置(15)は、2次元マップ上に気象予測情報に基づき作成されたテキストデータが入力される入力部(51)と、前記テキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する符号化部(52)と、前記符号化テキストデータをテキストデータ通信(30)を介して送信する通信部(53)と、を備える。
【0060】
テキストデータを所定の変換リストに従い符号化するため、テキストデータの情報量を減らすことなくデータ容量を圧縮できる。そのため、データ送信時の通信料を抑えることができる。また変換後の符号化テキストデータがテキストデータであるため、テキストデータ通信用の設備を利用可能であり、追加設備のコストを抑えられる。
【0061】
本開示の第2態様に係るデータ符号化装置は、前記第1態様において、前記テキストデータが、図形を表現した文字列を含むとしてもよい。
【0062】
図形を表現した文字列を含むテキストデータを用いるため、文字列のみの表現に限らず、アスキーアートを用いた図形の表現が可能であり、受信側が容易に情報を把握可能である。
【0063】
本開示の第3態様に係るデータ符号化装置は、前記第1態様または前記第2態様において、前記気象予測情報が、予想被雷確率の高さが示された被雷予測情報を含み、前記テキストデータが、前記被雷予測情報を用いて前記予想被雷確率の高さと位置とを関連付けて作成された被雷予測2次元マップであるとしてもよい。
【0064】
図形を表現した文字列により被雷予測2次元マップを表現したテキストデータを用いるため、受信側が容易に被雷予測情報を把握可能である。
【0065】
本開示の第4態様に係るデータ符号化装置は、前記第3態様において、前記被雷予測2次元マップが、前記予想被雷確率が0である地域である安全域と、前記予想被雷確率が0より大きい地域である危険域と、の2値表現で表されるテキストデータであるとしてもよい。
【0066】
被雷予測2次元マップを危険域と安全域の2値で表現することにより、図形を表現する文字列を1bitで表現可能である。
【0067】
本開示の第5態様に係るデータ符号化装置は、前記第1態様または前記第2態様において、前記気象予測情報が、風向および風速を含む風の情報が示された風予測情報を含み、前記テキストデータは、前記風予測情報を用いて前記風向及び前記風速と位置とを関連付けて作成された風予測分布であるとしてもよい。
【0068】
図形を表現した文字列により風予測分布を表現したテキストデータを用いるため、受信側が容易に風予測情報を把握可能である。
【0069】
本開示の第6態様に係るデータ符号化装置は、前記第1態様から前記第5態様のいずれかにおいて、前記符号化部は、前記所定の変換リストに従い前記テキストデータの複数の文字列を1文字に変換し符号化するとしてもよい。
【0070】
テキストデータの複数の文字列を1文字に変換し符号化するため、テキストデータを効率的に圧縮可能である。
【0071】
本開示の第7態様に係るデータ伝送システム(1)は、前記第1態様から前記第6態様のいずれかに記載のデータ符号化装置と、データ復号化装置(25)と、を備え、前記データ復号化装置は、前記データ符号化装置からテキストデータ通信を介して前記符号化テキストデータを受信する送受信部(56)と、前記符号化テキストデータを前記所定の変換リストに従い復号化する復号化部(57)と、復号化された前記テキストデータを出力する出力部(58)と、を備える。
【0072】
本開示の第8態様に係るデータ伝送システムは、前記第7態様において、前記データ復号化装置が航空機(20)に備えられるとしてもよい。
【0073】
航空機に復号化装置が備えられるため、航空機が備えるテキストデータ通信システムを利用して外部とテキストデータの送受信を行うことができる。通常、地上と航空機の間の通信は通信費用が高額であるところ、データ容量を抑えるため通信費用を抑えることができる。
【0074】
本開示の第9態様に係るデータ符号化方法(15)は、2次元マップ上に気象予測情報に基づき作成されたテキストデータが入力される入力工程と、前記テキストデータを所定の変換リストに従い符号化し、符号化テキストデータを作成する符号化工程と、前記符号化テキストデータをテキストデータ通信を介して送信する通信工程と、をコンピュータが実行する。
【0075】
本開示の第10態様に係るデータ符号化プログラム(15)は、コンピュータに、前記第9態様のデータ符号化方法を実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0076】
1 データ伝送システム
10 オペレーションセンター
15 データ符号化装置
20 航空機
25 データ復号化装置
30 テキストデータ通信
51 入力部
52 符号化部
53 通信部
56 送受信部
57 復号化部
58 出力部
1100 CPU
1200 二次記憶装置
1300 主記憶装置
1400 ハードディスクドライブ
1500 通信部
1800 バス