(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241015BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/00 E
H04N1/00 350
B41J29/00 E
B41J29/00 T
(21)【出願番号】P 2022179606
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2020047705の分割
【原出願日】2016-04-25
【審査請求日】2022-12-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 佳行
(72)【発明者】
【氏名】河角 良一
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-203371(JP,A)
【文献】特開2014-239282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体と、
鉛直方向において前記装置本体よりも上方に設けられ、原稿画像を読み取る画像読取部と、
前記装置本体の前後方向において、前側の端部が前記装置本体の全面よりも前側に位置するように設けられ、チルト可能な操作部と、を備え、
前記操作部は、
検知範囲内に近づけられた通信機器を検知する検知部を備え、前記検知部によって検知された通信機器と近距離無線通信によって通信するNFC検知基板と、
タッチ操作を介してユーザからの指示を受け付けるタッチパネルと、
前記NFC検知基板をカバーするカバー部と、を有し、
前記NFC検知基板は、前記タッチパネルの表面と平行な面において、タッチパネルの外側に位置し、且つ前記タッチパネルの中心を通り前記前後方向と鉛直方向とに直交する左右方向に延びる中心線よりも前側の位置であって、前記タッチパネルの右端よりも右側に設けられ、
前記画像形成装置を前記前後方向における前側から見た場合、前記画像読取部と前記装置本体の間に設けられ前記装置本体からシートが排出される排出空間の少なくとも一部が前記左右方向における前記操作部の左端よりも左側に視認され
、
前記カバー部のうち少なくとも前記NFC検知基板が設けられている部分は、前記タッチパネルの表面と平行な面において、前記タッチパネルの端部に近い第一部と、前記タッチパネルの端部に対して前記第一部よりも遠い第二部と、を有し、
前記第一部は、前記第二部よりも高くなるように前記タッチパネルの表面に対して傾斜している、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記NFC検知基板は、前記タッチパネルの表面と平行な面における前記左右方向と直交する方向において、前記タッチパネルが設けられている領域と重なる位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部のうち少なくとも前記NFC検知基板が設けられている部分は、前記タッチパネルの表面に対して突出しており、
前記第一部の突出量は、前記第二部の突出量よりも大きい、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記左右方向において前記装置本体の中心よりも右側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置を前記前後方向における前側から見た場合、前記左右方向において前記操作部の右端が前記排出空間と重ならない、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記前後方向において、前記操作部の前側の端部は、前記操作部がチルトする角度に依らず前記全面よりも前側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作部は回動軸を中心にチルトし、
前記回動軸は、前記前後方向において前記全面よりも後側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記NFC検知基板を覆うカバーを有し、
前記カバーは、前記NFC検知基板に対応する位置に設けられたマークであって、ユーザーが前記通信機器をかざす目印となるマークを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記マークは、前記タッチパネルの外側に位置し、且つ前記前後方向において前記中心線よりも前側の位置であって、前記タッチパネルの右端よりも右側に位置する、
ことを特徴とする請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記マークは文字を含む、
ことを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カバーは前記NFC検知基板と前記タッチパネルとを覆う、
ことを特徴とする請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記操作部は、前記タッチパネルを有する第1の筐体と、前記NFC検知基板を有する第2の筐体と、を有し、
前記第2の筐体は前記第1の筐体に対して着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2の筐体は前記NFC検知基板を覆うカバーを有し、
前記カバーは、前記NFC検知基板に対応する位置に設けられたカバーであって、ユーザーが前記通信機器をかざす目印となるマークを有する、
ことを特徴とする請求項
12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、複写機、多機能プリンタ(MFP)等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の入力装置として、タッチパネルを搭載した操作部の採用が進んでおり、A3サイズの用紙を出力する画像形成装置は勿論のこと、A4サイズの用紙を出力し、デスクトップへの載置を想定するような小型の画像形成装置へも波及しつつある。
【0003】
また近年の傾向として、操作部表面の段差(各種ボタン、キー類は除く)をなくし、タッチパネル面と操作部のカバー表面とをほぼ同一面として、境界部に高さ段差を設けないフラットデザインが指向されている。
【0004】
タッチパネルには複数の方式が存在し、従来は抵抗膜式(感圧式)が主流であるが、人の手の電気信号に反応し、より軽いタッチで操作可能な、静電容量式のタッチパネルへの移行も進みつつある。これらの方式には一長一短があり、例えば現時点におけるコスト優先の場合は抵抗膜式、操作感優先の場合は静電容量式、といった形で使い分けられている。
【0005】
更に、近年の技術として、近距離無線通信手段(=Near Field Communicationより、一般にNFCと略称される)の搭載も進んでいる。これは、スマートフォンやタブレット等のモバイル機器からの各種認証を行ったり、またモバイル機器から画像形成装置のプリント出力操作を行うこと等を可能とする技術である。このNFCの配置は、アクセス性や、モバイル機器からの入力情報の認識し易さ等の観点から、タッチパネルの近傍に配置されることが多い。
【0006】
特許文献1では、NFCとタッチパネルを同一面に配置し、NFCが受け付けた操作に応じて処理を行い、タッチパネルが受け付けた操作を無効にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、モバイル機器を、NFC検知を行う目印部位にかざす際に、モバイル機器の端部やモバイル機器を持つ手指がタッチパネルに触れてしまい、ユーザの意図しない操作を引き起こすという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、近距離無線通信手段による検知時の意図しない誤操作を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成装置であって、装置本体と、鉛直方向において前記装置本体よりも上方に設けられ、原稿画像を読み取る画像読取部と、前記装置本体の前後方向において、前側の端部が前記装置本体の全面よりも前側に位置するように設けられ、チルト可能な操作部と、を備え、前記操作部は、検知範囲内に近づけられた通信機器を検知する検知部を備え、前記検知部によって検知された通信機器と近距離無線通信によって通信するNFC検知基板と、タッチ操作を介してユーザからの指示を受け付けるタッチパネルと、前記NFC検知基板をカバーするカバー部と、を有し、前記NFC検知基板は、前記タッチパネルの表面と平行な面において、タッチパネルの外側に位置し、且つ前記タッチパネルの中心を通り前記前後方向と鉛直方向とに直交する左右方向に延びる中心線よりも前側の位置であって、前記タッチパネルの右端よりも右側に設けられ、前記画像形成装置を前記前後方向における前側から見た場合、前記画像読取部と前記装置本体の間に設けられ前記装置本体からシートが排出される排出空間の少なくとも一部が前記左右方向における前記操作部の左端よりも左側に視認され、前記カバー部のうち少なくとも前記NFC検知基板が設けられている部分は、前記タッチパネルの表面と平行な面において、前記タッチパネルの端部に近い第一部と、前記タッチパネルの端部に対して前記第一部よりも遠い第二部と、を有し、前記第一部は、前記第二部よりも高くなるように前記タッチパネルの表面に対して傾斜している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、近距離無線通信手段による検知時の意図しない誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1に係る画像形成装置の外観斜視図である。
【
図2】実施例1に係る画像形成装置の外観側面図である。
【
図6】(a)(b)は実施例1に係る操作部でNFCを使用している斜視図である。
【
図9】実施例4に係るに係る操作部の概観斜視図である。
【
図10】(a)(b)は実施例4に係る操作部のNFC検知例を示す側面図である。
【
図11】実施例5に係る操作部の概観斜視図である。
【
図12】(a)(b)は実施例5に係る操作部のNFC検知例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
〔実施例1〕
以下、本発明に係る入力装置を備えた画像形成装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、実施例1に係る入力装置としての操作部を備えた画像形成装置の斜視図、
図2は前記操作部を備えた画像形成装置の外観側面図である。
【0015】
図1及び
図2において、画像形成装置100は、記録対象の記録紙等のシートに画像を形成する画像形成装置本体101と、前記画像形成装置本体101の上方に配置され、読取対象としての原稿等のシートの画像を読み取る画像読取装置201を備えている。更に画像形成装置100は、入力装置としての操作部10を備えている。操作部10は、以下に説明するタッチパネル1や近距離無線通信手段(=Near Field Communicationより、一般にNFCと略称される。以下、NFC。)3を有している。
【0016】
画像形成装置100における画像形成動作は、まず画像読取装置201、または装置本体に接続されたパソコン等の図示しない画像入力手段によって画像が装置に格納される。次に装置下方に設けられたシートカセット102から記録対象のシートが一枚ずつ送り出され、装置内部の画像形成部によって、格納されていた画像がシートに転写され、排紙トレイ103に出力される。
【0017】
この際、シートの出力枚数や、画像サイズ等、各種出力条件は操作部10から入力が行われ、それらの情報に基づいて装置の制御が行われる。操作部10は、入力のし易さから、一般に画像読取装置201の手前など装置手前の上方に配置されることが多い。ここで、操作部10を設けた側を、画像形成装置の装置手前側(正面側)とし、その反対側を装置奥側(背面側)とする。また装置手前側から見て、装置手前奥方向と直交する幅方向の一方を右側とし、他方を左側とする。
【0018】
図1及び
図2において、1はタッチパネルであり、パネル面をタッチすることで情報入力が行われ、ユーザの操作を受け付ける。2は外装部材としてのカバーであり、前記タッチパネル1と略同一面となる外装面を有している。すなわち、タッチパネル1が操作部10のカバー2の表面(外装面)と略同一面となるよう配置されている。
図5に示すように、NFC3は、検知範囲内に近づけられたモバイル機器などの検知対象物と通信する。NFC3は、前記タッチパネル1の周囲近傍であって前記カバー2の内側に設けられている。2aはNFC3の検知位置であり、カバー2において内側に設けたNFC3に対応する位置である。
【0019】
なお、タッチパネル1の方式は複数あり、大別してパネル面への物理的接触を電気的情報に変換する抵抗膜式(感圧式)と、パネル面に接触した手指が持つ微細な電気信号を検知する静電容量式がある。静電容量式は感度が高く、細かな操作への対応がし易いため、今後の主流になると考えられているが、現時点では抵抗膜式に対して高コストである。そのため、本実施例においては抵抗膜式(感圧式)のタッチパネルが採用されている。
【0020】
ここでは、画像形成装置として、A4サイズのシートを扱う画像形成装置を例示している。画像形成装置100において、画像形成装置本体101と画像読取装置201は、幅、奥行き共に近しいサイズである。画像形成装置100は、所定のサイズ(ここでは5inch)のタッチパネル1を使用した操作部10を、本体よりも装置正面側に飛び出す配置としている。操作部10を本体から突出した配置にすることで、操作部10をその場でチルトさせることができ、身長の高いユーザから車いすを利用するユーザまで常に見やすい角度で使用することができる。
【0021】
図3は実施例1に係る操作部の外観正面図、
図4は操作部の外観斜視図、
図5は操作部の断面図、
図6(a)及び
図6(b)は実施例1に係る操作部にモバイル機器(検知対象物)を近づけてNFCを使用している状態の斜視図である。
【0022】
本実施例に係る画像形成装置は、タッチパネル1の装置正面から見て一方の側方(ここでは、装置正面から見て右側)にNFC3の検知位置2aを配置している。これにより、操作部10が画像形成装置本体101の正面側に飛び出す量を抑えている。また、NFC3の検知位置2aは、操作部10の表面(タッチパネル1と同一面)に対し、タッチパネル1よりも突出させている。さらにNFC3の検知位置2aは、操作部10の表面に対し、タッチパネル1に近い側が前記タッチパネル1から遠い側より高くなるように傾斜させている。具体的には、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル1に近い側のタッチパネル1からの突出量が5mm程度であり、タッチパネル1から遠い側のタッチパネル1からの突出量が0~1mmとなるように傾斜させている。ここでは、NFC3の検知位置2aは、タッチパネル1の表面より、タッチパネル1側(左側)を約5mm、タッチパネル1から離れた側(右側)を0.5mm程度高くし、面を突出させつつ傾斜させている。これにより、NFC3の検知位置2aにモバイル機器20を近づける際、カバー2の突出面であり傾斜面である検知位置2aの形状に合わせてモバイル機器20を近づけるように誘導することができる。これにより、タッチパネル1に、モバイル機器20やそのモバイル機器20をもつ手、指が触れることがない。
【0023】
図3及び
図4で示すように、ユーザがページ移動等、タッチパネル1の画面上を
フリックする場合、タッチパネル1の中央から上下左右に指を移動することが多い。この時、タッチパネル1が5inch以下のように小さいサイズであると、タッチパネル1の中央から矢印A方向に指Yを
フリックした際、タッチパネル1の外まで指を振る動作となる。たとえば、5inchサイズのタッチパネル1の場合、画面幅は約11cmであり、画面中央から
フリックを50mmすると、指Yの位置は画面の端部となる。
フリックの場合、タッチパネル1から離れた位置でも指は振られているため、タッチパネル1の横に配置したNFC3の検知位置2aの凸形状に触れてしまうことになる。7inchサイズのタッチパネルの画面幅は約15cmで
フリック+指Yの振り幅によってはタッチパネル1の横に配置したNFC3の検知位置2aの凸形状に触れる可能性がある。
【0024】
そこで、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル1の中心線CLの近傍から避けた位置に配置している。詳しくは、タッチパネル1の中心線CLからNFC3の検知位置2aの凸形状の上端までの距離Bを5mm以上離して、NFC3の検知位置2aを配置している。ここでは、タッチパネル1の中心線CLからの前記距離Bを13mm離して、NFC3の検知位置2aを配置している。これにより、NFC3の検知位置2aの凸形状が
フリック動作を妨げることを防止でき、
フリックで凸形状に触れることによる違和感を防止できる。ここで、タッチパネル1の中心線CLとは、タッチパネル1の中心Cを通る水平方向の直線(
図3に示す一点鎖線)である。
【0025】
その他のフリック動作としては、画面レイアウトによりフリックの起点が決まる場合がある。例えば、行を進める等、移動対象の行近くをタッチしてフリックする場合である。本実施例では横書きのタッチパネル画面を採用しており、左詰めで画面表示されるため、タッチパネル1の画面の左側の何れかの場所が起点となる。そこから上下にフリックする動作となるため、タッチパネル1の右側に配置されたNFC3の検知位置2aの凸形状に触れることはない。
【0026】
一方、縦書きのタッチパネル画面を採用した場合、画面の奥側(
図3のタッチパネル1の画面の上側)が
フリックの起点となる。そこから左右に
フリックする動作となるため、タッチパネル1の中心より正面側(
図3のタッチパネル1の画面の下側)に配置されたNFC3の検知位置2aの凸形状に触れることはない。なお、縦書きのタッチパネル画面を採用した場合は、NFC3の検知位置2aを、
図3に示すタッチパネル1の右側ではなく、タッチパネル1の正面側(
図3のタッチパネル1の画面の下側)に配置してもよい。
【0027】
またNFC3によるアクセスを行うには、NFC3から所定の距離内にモバイル機器20(
図6参照)をかざす必要がある。そのため、
図3及び
図4に示すように、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aに、モバイル機器20をかざす為の目印として、検知位置を明示するための目印(十字マーク)2bを設けている。
【0028】
図5に示すように、操作部10の上面に対し、NFC3の検知位置2aを、タッチパネル1よりも突出させている。さらにNFC3の検知位置2aを、タッチパネル1側(左側)のタッチパネル1からの突出量が約5mm、タッチパネル1から離れる側(右側)がタッチパネル1からの突出量を0.5mm程度の高さにし、傾斜させている。これにより、NFC3(具体的には検知部を有するNFC検知基板)から、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aまでの距離が5mm以下となるようにしている。これは、モバイル機器20のNFC3の検知規格の下限5mmを満たすためのものでもある。
【0029】
NFC3を、これと対向するカバー2の検知位置2aと並行に隣接させて配置することで、NFC3の検知位置2aの高さを5mmよりも高くできる。
【0030】
図6(a)に示すように、NFC3の検知位置2aをタッチパネル1の右側に配置した操作部10であって、NFC3の検知位置2aをタッチパネル1の中心より装置正面側に配置する。これにより、モバイル機器20を持つ手Tがタッチパネル1上から外れた位置となり、指等による誤操作を防いでいる。
【0031】
図6(b)に示すように、手Tで持った小型(幅80mm程度)のモバイル機器20をNFC3の検知位置2aに接触させた場合であっても、NFC3の検知位置2aの面を突出させ且つ傾斜させている。これにより、モバイル機器20のタッチパネル側の端部はタッチパネル1の表面から所定の高さ(ここでは15mm程度)浮いた状態となり、指が意図せずタッチパネル1に触れることを防いでいる。
【0032】
このように、本実施例によれば、モバイル機器20をNFC3に対応する検知位置2aにかざした際に、モバイル機器の端部やモバイル機器を持つ手指がタッチパネルに触れてしまうなどの、ユーザの意図しない誤操作を防止することができる。
【0033】
〔実施例2〕
図7を用いて、実施例2に係る操作部について説明する。なお、画像形成装置の概略構成及び操作部の基本構成は、前述した実施例1と同様であるため、その説明は省略する。また、本実施例において、前述した実施例1と同等の機能を有する部材には同一符号を付している。
【0034】
本実施例では、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aとは別の位置を、前記検知位置と同様に、タッチパネル1よりも突出させるとともに、タッチパネル1に近い側がタッチパネル1から遠い側より高くなるように傾斜させている。
【0035】
図7は、実施例2に係る操作部の外観斜視図である。
図7において、4はNFCの検知位置2aの凸形状の傾斜面と同一面となるように設けた凸形状である。タッチパネル1の中心線CLより操作部10の正面側に設けた検知位置2aの凸形状に対し、凸形状4はタッチパネル1の中心線CLより操作部10の奥側に設けている。
【0036】
モバイル機器として大型のタブレットを使用した場合、タブレットのNFC位置により操作部10が見えくなってしまうことがある。この時、操作部10に対しタブレットの奥側が正面側に比べ下がってしまう等、タブレットの奥側がタッチパネル1に触れてしまい誤検知をするおそれがある。
【0037】
そこで、本実施例では、操作部10の奥側に、操作部10の正面側に設けたNFC3の検知位置2aとは別に、前述した凸形状4を設けている。これにより、凸形状4が操作部10の奥側で先にタブレットと接触し受けることができ、そのままタブレットを近づけると、NFCの検知位置2aと凸形状4の2か所で受けることができる。これにより、モバイル機器20として大型のタブレットを使用した場合であっても、タッチパネル1への誤操作を防止することができる。
【0038】
また、凸形状4の位置はタッチパネル1の中心線CLから奥側へ5mm以上(ここでは30mm)離れた位置に配置している。これにより、タッチパネル1を操作した場合のフリックの妨げとなることもない。
【0039】
〔実施例3〕
図8を用いて、実施例3に係る操作部について説明する。なお、画像形成装置の概略構成及び操作部の基本構成は、前述した実施例1と同様であるため、その説明は省略する。また、本実施例において、前述した実施例1と同等の機能を有する部材には同一符号を付している。
【0040】
前述した実施例1,2では、タッチパネル1が比較的小さいサイズの場合を考慮して、NFC3の検知位置2aや凸形状4を、タッチパネル1を操作した際のフリックの妨げにならない位置に設けた構成を例示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
図8は、実施例3に係る操作部の外観斜視図である。
図8に示す操作部10では、タッチパネル1を、
フリック操作に対して十分大きいサイズにしている。この場合は、
図8に示すように、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aの凸形状を、部分的にではなく、右側全域に設けてもよい。
【0042】
このように、タッチパネル1をフリック操作に対して十分に大きくすれば、NFC3に対応する検知位置2aの凸形状が右側全域に設けられていても、フリックの妨げとなることはなく、なおかつNFC検知時の意図しない誤操作を防止できる。
【0043】
〔実施例4〕
図9及び
図10を用いて、実施例4に係る操作部について説明する。なお、画像形成装置の概略構成及び操作部の基本構成は、前述した実施例1と同様であるため、その説明は省略する。また、本実施例において、前述した実施例と同等の機能を有する部材には同一符号を付している。
【0044】
なお、前述した実施例では、操作部10はタッチパネル以外の情報入力手段を持たない構成を例示したが、これに限定されるものではない。
図9に示すように、本実施例に係る操作部10は、タッチパネル以外の情報入力手段として、テンキー40やスタートキー41等の、各種キー類を備えた構成としている。
【0045】
一方、画像形成装置へのタッチパネル1の搭載サイズは、A3等のラージ紙を出力可能な装置を起点として徐々にワイド化しており、対角が10インチを超えるサイズも珍しくない。
図9におけるタッチパネル1のサイズは10インチであり、その右側に前述した各種キー類を備えている。
【0046】
本実施例に係る操作部10では、
図9に示すように、タッチパネル1の横幅寸法の更なる大サイズ化を避ける為、NFC3を、タッチパネル1の周囲近傍のうち、タッチパネル1の手前側(正面側)に配置している。すなわち、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル1の左右ではなく、手前側に配置している。
【0047】
なお、NFC3によるモバイル機器20の検知範囲は、電車の自動改札で用いられているような100mm程度のように広範囲なものもあるが、機能とコスト、サイズのバランスから、本実施例に係る操作部10においては20mm程度となっている。従って、NFCのアクセス時は、この範囲にモバイル機器が入るよう、タッチパネル1に近接させてモバイル機器をかざす必要がある。
【0048】
図9は実施例4に係る操作部10の外観斜視図であり、
図10(a)及び
図10(b)は実施例4に係る操作部10の側面図である。
【0049】
本実施例に係る操作部10は、
図9に示すように、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル1の手前側に設けている。また、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル側がタッチパネル1から離れる側より高くなるように傾斜させている。すなわち、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aに、タッチパネル1の表面に対し所定の勾配をつけた傾斜面5を設けている。この傾斜面5は、タッチパネル1の手前側の横幅全域に設けられている。
【0050】
またNFCによるアクセスを行うには、NFC3から所定の距離内にモバイル機器20をかざす必要がある。そのため、
図9に示すように、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aに、モバイル機器20をかざす為の目印として、検知位置を明示するための目印(十字マーク)2bを設けている。
【0051】
操作部10で目印2bにモバイル機器20をかざす場合、前記検知位置2aを含む傾斜面5に平行にかざすよう誘導する効果が期待できる。傾斜面5は、タッチパネル1側が持ち上がるような勾配が付けられているため、傾斜面5にモバイル機器20を平行にかざすか当接させれば、タッチパネル1側のモバイル機器20の端部20aは、自然と持ち上げることになる。
図10(b)には、傾斜面5における目印2b(
図9参照)に当接させた状態のモバイル機器20が示されているが、モバイル機器20の端部20aがタッチパネル1から離れる方向に誘導されていることが分かる。
【0052】
以上の説明により、本実施例においては、この傾斜面5を設けることで、操作部等の入力装置のコストアップやデザイン性を落とすことなく、低コストかつ簡易な構成で、モバイル機器20によるタッチパネル1の画面の誤操作を低減する効果が得られる。
【0053】
なお、傾斜面5は必ずしも操作部10の横幅全域である必要はなく、モバイル機器20の横幅以上の範囲であれば、部分的に設けられている構成であっても、画面の誤操作を低減する効果が得られる。
【0054】
〔実施例5〕
図11及び
図12を用いて、実施例5に係る操作部について説明する。なお、画像形成装置の概略構成及び操作部の基本構成は、前述した実施例1と同様であるため、その説明は省略する。また、本実施例において、前述した実施例と同等の機能を有する部材には同一符号を付している。
【0055】
図11は実施例5に係る操作部10の外観斜視図であり、
図12(a)及び
図12(b)は実施例5に係る操作部10の側面図である。
【0056】
本実施例に係る操作部10は、前述した実施例4の操作部10と同様に、
図11に示すように、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル1の手前側に設けている。また、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aを、タッチパネル側がタッチパネル1から離れる側より高くなるように傾斜させている。すなわち、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aに、タッチパネル1の表面に対し所定の勾配をつけた傾斜面5を設けている。さらに、この傾斜面5は、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、タッチパネル1と略同一面のカバー2の表面より所定量(突出量)Lで突出した凸傾斜面となっている。
【0057】
また前述した実施例と同様に、
図11に示すように、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aに、モバイル機器20をかざす為の目印として、検知位置を明示するための目印(十字マーク)2bを設けている。
【0058】
操作部12で目印2bにモバイル機器20をかざす場合、前記検知位置2aを含む突出した傾斜面5に平行にかざすよう誘導する効果が期待できる。この突出した傾斜面5は、タッチパネル1側が持ち上がるような勾配が付けられているため、突出した傾斜面5にモバイル機器20を平行にかざすか当接させれば、タッチパネル1側のモバイル機器20の端部20aは、自然と持ち上がることになる。
【0059】
また、本実施例の傾斜面32は、カバー2の表面より所定量(突出量)Lで突出している。そのため、
図12(b)に示すように、目印2bにモバイル機器20をかざした際に、モバイル機器20がタッチパネル1より先に傾斜面5に当接する。これにより、モバイル機器20のタッチパネル1への接触が妨げられている。即ち、この突出量Lによって、モバイル機器20がタッチパネル1に接触することを妨げる効果が、より積極的に得られる。
【0060】
なお、突出量Lは大きいほど、タッチパネル1の画面の誤操作を防止する効果が得られるが、無制限ではない。NFC3によるモバイル機器20の検知範囲が20mm程度である以上、突出量Lが20mmを超えてしまうと、モバイル機器20の検知ができなくなってしまう。従って、誤操作の防止効果と検知範囲のバランスから、突出量Lは10mm以下であることが望ましく、本実施例(
図11及び
図12)においては、5mmになっている。
【0061】
以上の説明により、本実施例においても、突出した傾斜面5を設けることで、操作部等の入力装置のコストアップやデザイン性を落とすことなく、低コストかつ簡易な構成で、モバイル機器20によるタッチパネル1の画面の誤操作を低減する効果が得られる。
【0062】
なお、突出した傾斜面5の横幅方向の寸法は、突出量Lが等しければ誤操作の低減効果がさほどに変わらないため、モバイル機器20の横幅寸法より小さくても良く、または操作部10の横幅寸法の全域であっても良い。
【0063】
更に、カバー2のNFC3に対応する検知位置2aの部位である、突出した傾斜面5は、操作部10のカバー2の表面30と一体である必要はなく、操作部10より着脱可能な構成であっても良い。
【0064】
〔他の実施例〕
なお、前述した実施例では、タッチパネルの方式として、パネル面への物理的接触を電気的情報に変換する抵抗膜式(感圧式)を採用したが、これに限定されるものではなく、パネル面に接触した手指が持つ微細な電気信号を検知する静電容量式であっても良い。
【0065】
また画像形成装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられる入力装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
CL …中心線
T …手
Y …指
1 …タッチパネル
2 …カバー
2a …検知位置
2b …目印
4 …凸形状
5 …傾斜面
10 …操作部
20 …モバイル機器
20a …端部
100 …画像形成装置
101 …画像形成装置本体
201 …画像読取装置