(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】システム管理装置及びシステム管理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/14 20060101AFI20241015BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20241015BHJP
G06F 16/11 20190101ALI20241015BHJP
H04L 67/1097 20220101ALI20241015BHJP
【FI】
G06F11/14 669
G06F3/06 301X
G06F3/06 304F
G06F3/06 304N
G06F3/06 304Z
G06F16/11
H04L67/1097
(21)【出願番号】P 2022209099
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】524132520
【氏名又は名称】日立ヴァンタラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】牛島 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】西原 雄太
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-179744(JP,A)
【文献】特開2022-20744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/14
G06F 3/06
G06F 16/11
H04L 67/1097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基盤を含むシステム基盤を管理するための情報処理装置を含むシステム管理装置であって、
前記情報処理装置は、
前記複数の基盤のうちの特定の基盤のストレージの容量不足が生じた場合、前記ストレージの容量不足を解消するための物理リソースの増設をスケジューリングして、前記特定の基盤の前記ストレージから当該ストレージに配置されているファイルを同一基盤又は他の基盤の他のストレージに退避し、前記物理リソースの増設が完了した後、前記退避したファイルである退避ファイルを、前記物理リソースの増設が完了した退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す対象とし、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記物理リソースの増設が完了した後、前記ファイルの配置先を管理するためのファイルのメタ情報に基づいて、前記複数の基盤のファイルの中から前記ストレージに戻す対象としての前記退避ファイルを選定する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記退避ファイルの一部を前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻し、
前記退避ファイルの一部以外の他の退避ファイルを、そのまま同じ基盤に配置するか、或いは、前記退避元の前記特定の基盤以外の他の基盤のストレージに配置する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記退避ファイルの一部以外の他の前記退避ファイルの配置先を、ファイル特性に基づいて選定する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージの使用状態を示す情報に基づいて、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻すことができるか否かの判定を行い、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻すことができると判定した場合、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記ストレージの使用状態を示す情報として、ストレージ使用容量を用いて、前記判定を行う、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記ストレージの使用状態を示す情報として、前記ストレージの仮想的な使用状態を示す、ストレージ使用容量と前記退避ファイルのファイル容量との合計容量である仮想総容量を用いて、前記判定を行う、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項8】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記物理リソースの増設が完了した後、前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージの使用状態を示す情報に基づいて、前記退避ファイルの全て又は一部を前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻すことができるか否かの判定を行い、
前記退避ファイルの一部を戻すことができると判定した場合、前記退避ファイルの一部を前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻し、
前記退避ファイルの全てを戻すことができると判定した場合、前記退避ファイルの全てを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
前記退避ファイルの一部を戻すことができると判定した場合、所定の判定基準に基づいて、前記退避ファイルの中から前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す前記退避ファイルの一部を選定し、選定した前記退避ファイルの一部以外の他の退避ファイルを、そのまま同じ基盤の前記ストレージに配置するか、或いは、前記退避元の前記特定の基盤以外の他の基盤の前記ストレージに配置する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項10】
請求項9に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
選定した前記退避ファイルの一部以外の他の前記退避ファイルの配置先を、ファイル特性に基づいて選定する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項11】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記情報処理装置は、
所定の基準に基づいた優先順位で、退避するファイルを選定する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項12】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記特定の基盤の前記ストレージの容量不足は、ファイルが前記特定の基盤の前記ストレージに配置されることにより生じる、
システム管理装置。
【請求項13】
請求項1に記載のシステム管理装置において、
前記システム基盤は、前記複数の基盤として、オンプレミス基盤としてのHCI基盤及び3Tier基盤と、パブリッククラウド基盤とを含む、
システム管理装置。
【請求項14】
請求項13に記載のシステム管理装置において、
前記特定の基盤は、HCI基盤及び3Tier基盤の何れかであり、
前記情報処理装置は、
前記退避ファイルの一部を戻すことができると判定した場合、前記退避ファイルの一部以外の他の退避ファイルの全てを、前記特定の基盤以外の他の前記オンプレミス基盤の前記ストレージに配置できるか否かを判定し、
前記他の退避ファイルの一部しか前記他の前記オンプレミス基盤に配置できない場合、前記他の退避ファイルについて、ファイルの残保管期間に基づくコストに基づいて、前記他の前記オンプレミス基盤の前記ストレージ及び前記パブリッククラウド基盤の前記ストレージの何れに配置するかを判定し、前記退避ファイルを判定した配置先の前記ストレージに配置する、
ように構成された、
システム管理装置。
【請求項15】
複数の基盤を含むシステム基盤を管理するための情報処理装置を用いたシステム管理方法であって、
前記情報処理装置によって、
前記複数の基盤のうちの特定の基盤のストレージの容量不足が生じた場合、前記ストレージの容量不足を解消するための物理リソースの増設をスケジューリングして、前記特定の基盤の前記ストレージから当該ストレージに配置されているファイルを同一基盤又は他の基盤の他のストレージに退避し、前記物理リソースの増設が完了した後、前記退避したファイルである退避ファイルを、前記物理リソースの増設が完了した退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す対象とし、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す、
システム管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム管理装置及びシステム管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、ファイルの使用頻度等に応じ、最適な記憶領域(高速(コスト高)-低速(コスト低))へ自動でファイルを配置するILM(情報ライフサイクル管理)技術がある。
【0003】
一方、業務システムを実行するオンプレミス(HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)基盤及び3Tier基盤)とパブリッククラウドとを含むハイブリッドクラウドシステム基盤技術がある。ハイブリッドクラウドシステム基盤技術において、ファイルの新規配置によりオンプレミスの特定の基盤のストレージのリソース不足が生じる場合がある。この場合、オンプレミスの特定の基盤のリソースを増加するようにスケジューリングする。増加するリソースの調達には時間がかかるので、リソースの増加が完了する前において、リソース不足を解消するために、オンプレミスの特定の基盤からオンプレミスの別の基盤やパブリッククラウドにファイルを退避する。
【0004】
この場合において、従来では、リソースの増加が完了した後、退避ファイルは、退避先に退避したままであるか、手動で退避元の特定の基盤に戻していた。
【0005】
なお、本発明に関連する公知技術(以下、「関連公知技術」と呼ぶ。)として、以下に述べる特許文献1乃至特許文献4が存在する。
【0006】
特許文献1は、3Tier型の基盤及びHCI型の基盤が混在したシステムにおいて、業務システムが最適な基盤に配置されるように、業務システムをマイグレーションする技術を開示する。
【0007】
特許文献2は、記憶装置を効率的に利用するために、スケールアウト後に過負荷が解消された場合にスケールアウトを解除し、移行先のサーバ装置から移行元のサーバ装置にパーティション単位の移行データを戻す技術を開示する。
【0008】
特許文献3は、ファイルをエッジの第1ストレージ装置からデータセンタの第2ストレージ装置にマイグレーションするときに、データ移行のタイミングを調整する技術を開示する。
【0009】
特許文献4は、拠点間で、全てのファイルに対する関連ファイル(スタブファイル)を持ち合うことなく、ファイルを共有可能にするストレージシステムの技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2021-140404号公報
【文献】特開2017-162257号公報
【文献】特許第5716099号公報
【文献】特開2022-100514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
複数の基盤を含むオンプレミス(例えば、オンプレミス(HCI基盤及び3Tier基盤))とパブリッククラウドとを含むシステム基盤において、オンプレミスの特定の基盤のリソース不足が生じたときに特定の基盤に配置しておくべきファイルを退避した場合、リソースの増加が完了した後、退避ファイルを元の特定の基盤に戻す必要性が高い。
【0012】
また、リソースの調達を行っている間に、時間の経過に応じて、退避元のストレージの使用状態及びファイルの特性等が、ファイル退避時点から変わるので、リソースの調達後に、退避ファイルを特定の基盤に戻すことが適切でない場合も生じ得る。
【0013】
関連公知技術は、リソースの増加が完了した後、退避ファイルを退避元の特定の基盤に自動的に配置することはできない。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、退避ファイルを対象として、リソースの調達後に、退避先の基盤のストレージに格納されたファイルのうち、退避ファイルを退避元の特定の基盤のストレージに戻すことできるシステム管理装置及びシステム管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のシステム管理装置は、複数の基盤を含むシステム基盤を管理するための情報処理装置を含むシステム管理装置であって、前記情報処理装置は、前記複数の基盤のうちの特定の基盤のストレージの容量不足が生じた場合、前記ストレージの容量不足を解消するための物理リソースの増設をスケジューリングして、前記特定の基盤のストレージから当該ストレージに配置されているファイルを同一基盤又は他の基盤の他のストレージに退避し、前記物理リソースの増設が完了した後、前記退避したファイルである退避ファイルを、前記物理リソースの増設が完了した退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す対象とし、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻すように構成されている。
【0016】
本発明のシステム管理方法は、複数の基盤を含むシステム基盤を管理するための情報処理装置を用いたシステム管理方法であって、前記情報処理装置によって、前記複数の基盤のうちの特定の基盤のストレージの容量不足が生じた場合、前記ストレージの容量不足を解消するための物理リソースの増設をスケジューリングして、前記特定の基盤のストレージから当該ストレージに配置されているファイルを同一基盤又は他の基盤の他のストレージに退避し、前記物理リソースの増設が完了した後、前記退避したファイルである退避ファイルを、前記物理リソースの増設が完了した退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す対象とし、前記退避ファイルを前記退避元の前記特定の基盤の前記ストレージに戻す。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、退避ファイルを対象として、リソースの調達後に、退避先の基盤のストレージに格納されたファイルのうち、退避ファイルを退避元の特定の基盤のストレージに戻すことできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係るシステム管理装置(管理サーバ)を含むシステムの構成図である。
【
図2】
図2は管理サーバの構成例を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は装置構成情報を説明するための図である。
【
図4】
図4はファイルメタ情報を説明するための図である。
【
図5】
図5はファイル配置ポリシー情報を説明するための図である。
【
図6】
図6は調達スケジュール情報を説明するための図である。
【
図7】
図7はリソース稼働情報を説明するための図である。
【
図8】
図8は管理サーバが実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は処理の概要を説明するための図である。
【
図10】
図10はファイル配置場所判定処理部が実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図11】
図11はファイル退避処理部が実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図12】
図12はファイル再配置処理部が実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は第2実施形態に係る管理サーバが実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図15】
図15はファイル再配置処理部が実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図16】
図16はファイル再配置処理部が実行する処理フローを示すフローチャートである。
【
図17】
図17はファイル再配置処理部が実行する処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一又は対応する部分には同一の符号を付す場合がある。以下の説明では、「レコード」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されてもよい。識別情報について説明する際、「ID」、「名称」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。以下の説明では、機能ブロックを主語として処理を説明する場合があるが、処理の主語が、機能ブロックに代えて、CPU又は装置(サーバ)とされてもよい。
【0020】
<<第1実施形態>>
図1は本発明の第1実施形態に係るシステム管理装置である管理サーバ100を含むシステム(ハイブリッドクラウドシステム基盤)の構成図である。
図1に示すように、システムは、管理サーバ100とオンプレミス基盤ON1(以下、「オンプレON1」と称呼される。)とパブリッククラウド基盤400とを含む。これらはネットワークNW1を介して互いに情報(データ)を送受信可能に接続されている。
【0021】
オンプレON1は、所定のサービスを実行する業務システムを構築するためのリソースを提供するシステムである。提供するリソースは、演算のためのリソース(「計算リソース」と称呼される。)と、データを格納するためのリソース(以下、「ストレージリソース」と称呼される。)と、に分けることができる。計算リソース及びストレージリソースは、これらを特に区別する必要がない場合、「リソース」と称呼される。
【0022】
オンプレON1は、HCI型の基盤200(HCI基盤200)と、3Tier型の基盤300(3Tier基盤300)とを含む。HCI基盤200、3Tier基盤300及び上述のパブリッククラウド基盤400は、これらを特に区別する必要がない場合、「基盤」と称呼される場合がある。パブリッククラウド基盤400は、「パブクラ」と称呼される場合がある。
【0023】
HCI基盤200は、サーバ210を含む。サーバ210は、コンピュート(CPU)211、メモリ212、記憶装置213及びネットワークインタフェース214を含む。HCI基盤200に含まれるサーバ210は、2つ以上であってもよい。HCI基盤200は、1つ以上のサーバ210で構成されるHCIクラスタ単位で管理される。サーバ210上では図示しない仮想マシン(VM)が稼働する。HCI基盤200は、サーバ210に内蔵された記憶装置213を仮想的な共有ストレージCL1として利用する。サーバ210は各サーバ210の記憶装置213から仮想的な共有ストレージCL1を構成し、仮想的な共有ストレージCL1の一部の記憶領域を、図示しない仮想マシン(VM)のボリュームに割り当てる。なお、記憶装置213は、データの読み出し及び書き込み可能な不揮発性の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等が挙げられる。なお、HCI基盤200では、物理リソースであるサーバ210が増設されることにより、サーバ210単位で、HCI基盤200が提供する計算リソース及びストレージリソースが増強(拡張)される。HCI基盤200では、サーバ210は汎用部品を使用しているため、調達にかかる期間は比較的短い期間となる。
【0024】
3Tier基盤300は、サーバ310と、SANファブリック320とストレージシステム330a及びストレージシステム330bとを含む。ストレージシステム220aの数は1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0025】
サーバ310は、コンピュート(CPU)311、メモリ312、記憶装置313及びネットワークインタフェース314を含む。SANファブリック320は、サーバ310とストレージシステム330a及びストレージシステム330bとを接続するためのネットワーク領域であり、図示しない、ルータ及びスイッチを含む。ストレージシステム330a及びストレージシステム330bのそれぞれは、図示しない複数のマイクロプロセッサを含むコントローラ及び複数の記憶装置331を有する。なお、記憶装置331は、データの読み出し及び書き込み可能な不揮発性の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等が挙げられる。
【0026】
ストレージシステム330aは、複数の記憶装置331から仮想的なストレージとして扱われるストレージST1を構成する。ストレージシステム330bは、複数の記憶装置331から仮想的なストレージとして扱われるストレージST2を構成する。ストレージシステム330a及び330bは、ストレージST1及びST2の一部の記憶領域を、サーバ310に割り当てる。本例において、ストレージST1はストレージST2に比べてI/O性能が高く高速な読み書きが可能な記憶装置331により構成される。
【0027】
なお、3Tier基盤300では、物理リソースであるサーバ310が増設されることにより、サーバ単位で3Tier基盤300が提供する計算リソースが増強(拡張)され、物理リソースである記憶装置331及び/又は図示しないコントローラが増設されることにより、ストレージシステム単位で、3Tier基盤300が提供するストレージリソースが増強(拡張)される。このため、3Tier基盤300では、ストレージリソースだけを増強(拡張)したい場合等、柔軟にカスタマイズができる。ただし、3Tier基盤300では、専用部品が使用されているため、HCI基盤200に比べて、調達にかかる期間は比較的長い期間となる。
【0028】
パブリッククラウド基盤400は、パブリッククラウド基盤400上でストレージサービスを提供可能なクラウドである。パブリッククラウド基盤400は、管理サーバ100の要求に応じて、リソースを提供する。パブリッククラウド基盤400は、ストレージリソースとして、ソフトウェアデファインドストレージであるストレージCLOUD1を提供する。本例のパブリッククラウド基盤400では、リソース使用量に応じて課金額(コスト/料金)が変動するようになっている。
【0029】
パブリッククラウド基盤400では、オンデマンドで必要なリソース分だけリソースの増強(拡張)が可能である。ただし、パブリッククラウド基盤400では、リソース使用量に応じて課金される。
【0030】
図1のシステムのオンプレON1では、所定のサービスを実行するためのアプリケーションAPが実行される。アプリケーションAPは、ファイルの新規作成、ファイルの読み取り及び書き込み等を行う。管理サーバ100は、各基盤のストレージCL1、ストレージST1、ストレージST2及びストレージCLOUD1のそれぞれに対して、ファイルの配置、ファイルの削除、及び、これらの間のファイルの移動等を行う。なお、以下の説明において、ストレージCL1、ストレージST1、ストレージST2及びストレージCLOUD1は、特に区別する必要がない場合、「ストレージ」と称呼される。
【0031】
図2は管理サーバ100の構成例を示す概略構成図である。
図2に示すように、管理サーバ100は、データの読み出し及び書き込み可能な不揮発性の記憶装置110と、メモリ120(例えば、RAM)と、CPU130と、入出力インタフェース140と、ネットワークインタフェース150とを含む。CPU130、記憶装置110、メモリ120、入出力インタフェース140、ネットワークインタフェース150及びバス160を含む装置は、便宜上、「情報処理装置」とも称呼される。情報処理装置は、複数の情報処理装置やクラウド上に構築される仮想的な情報処理装置であってもよい。
【0032】
記憶装置110は、プログラム111及びデータベース112を保持(記憶、格納)している。プログラム111は、ファイル配置場所判定処理部111a、ファイル退避処理部111b、ファイル再配置処理部111c及びリソース稼働情報監視処理部111dを含む。
【0033】
CPU130は、記憶装置110に格納されたプログラム111をメモリ120にロードする。CPU130は、メモリ120にロードされたプログラム111を実行することによって、ファイル配置場所判定処理部111a、ファイル退避処理部111b、ファイル再配置処理部111c及びリソース稼働情報監視処理部111dの各種機能を実現する。ファイル配置場所判定処理部111a、ファイル退避処理部111b及びファイル再配置処理部111cの詳細は、後述する。リソース稼働情報監視処理部111dは、逐次、オンプレON1に含まれる装置(ストレージ)の稼働情報を取得し、取得した稼働情報に基づいてリソース稼働情報112eを更新する。なお、リソース稼働情報監視処理部111dは、逐次、オンプレON1に含まれる装置(ストレージ)の装置構成情報を取得し、取得した装置構成情報に基づいて装置構成情報112aを更新してもよい。
【0034】
データベース112は、装置構成情報112a、ファイルメタ情報112b、ファイル配置ポリシー情報112c、調達スケジュール情報112d及びリソース稼働情報112eを含む。これらの情報の詳細は後述する。
【0035】
メモリ120には、上述したようにCPU130が実行するプログラム111がロードされ、CPU130がプログラム111を実行する際に使用するデータが一時的に記憶される。
【0036】
入出力インタフェース140は、キーボード及びマウス等の操作デバイス並びにディスプレイ等を接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース150は、管理サーバ100をネットワークNW1に接続するためのインタフェースである。
【0037】
図3は装置構成情報112aを説明するための図である。装置構成情報112aは、情報(値)を格納する列(カラム)として、装置番号111a1と、装置タイプ112a2と、総ストレージ容量[GB]112a3と、ストレージ使用容量[GB]112a4と、仮想総容量[GB]112a5と、最適配置先に書き込み済みのファイル容量[GB]112a6と、退避中ファイル容量[GB]112a7と、退避ファイル受入れ済容量[GB]112a8と、第1閾値[%]112a9と、第2閾値[%]112a10と、第3閾値[%]112a11と、コスト[¥/GB]112a12と、増設開始日112a13と、増設完了日112a14と、増設予定容量[GB]112a15と、増設後総容量[GB]112a16と、再配置用リソース使用率閾値[%]112a17と、を含む。
【0038】
装置構成情報112aには、装置構成に関する各列に対応する情報が互いに対応付けられて行単位の情報(レコード)として格納されている。
【0039】
具体的に述べると、装置番号111a1には、各基盤のストレージを識別するための識別情報(名称)が格納されている。装置タイプ112a2には、基盤の種類(名称)が格納されている。総ストレージ容量[GB]112a3には、ストレージの容量が格納されている。ストレージ使用容量[GB]112a4には、ストレージが使用している使用容量が格納されている。
【0040】
仮想総容量[GB]112a5には、最適配置先のストレージに書き込み済みのファイル容量と、そのストレージから他のストレージに退避中ファイルのファイル容量との合計が格納されている。即ち、最適配置先に書き込み済みのファイル容量[GB]112a6に格納された値と退避中ファイル容量[GB]112a7に格納された値との合計が格納されている。
【0041】
最適配置先に書き込み済みのファイル容量[GB]112a6には、装置番号112a1に格納された同行の識別情報が示すストレージが対象ファイルの最適配置先に選ばれた場合において、当該ストレージに書き込み済みの対象ファイルの容量が格納されている。
【0042】
退避中ファイル容量[GB]112a7には、装置番号112a1に格納された同行の識別情報が示すストレージに格納されていたファイルが他のストレージに退避中の状態にある場合に、退避中のファイル(退避ファイル)のファイル容量が格納されている。
【0043】
退避ファイル受入れ済容量[GB]112a8には、装置番号112a1に格納された同行の識別情報が示すストレージにファイルが退避された場合に、その退避されたファイルのファイル容量が格納されている。
【0044】
第1閾値[%]112a9には、第1百分率が格納されている。即ち、
図3のブロックBR1に示すように、第1閾値[%]112a9には、ファイル退避開始容量(=総ストレージ容量×第1百分率÷100)を計算するための第1百分率が格納される。詳細は後述するが、ファイル退避開始容量は、対象ファイルを最適配置先のストレージに配置するときに、ファイル退避処理を行うか否かを判定する基準となる。以降において、ファイル退避開始容量は、「第1閾値容量」と称呼される場合がある。
【0045】
第2閾値[%]112a10には、第1百分率より小さい第2百分率が格納されている。即ち、
図3のブロックBR1に示すように、第2閾値[%]112a10には、調達期間用閾値容量(=総ストレージ容量×第2百分率÷100)を計算するための第2百分率が格納されている。詳細は後述するが、調達期間用閾値容量は、物理リソースの増設準備開始から増設完了までの期間において、最適配置先のストレージ使用容量が第1閾値容量を超過しないように、予備的な空き容量をファイル退避処理によって確保するための基準として使用される。以降において、調達期間用閾値容量は、「第2閾値容量」と称呼される場合がある。
【0046】
第3閾値[%]112a11には、第2百分率より小さい第3百分率が格納されている。即ち、
図3のブロックBR1に示すように、第3閾値[%]112a11には、物理リソースの増設完了後に、退避ファイルを最適配置先に戻す際など、ファイルを受け入れることが可能な空き容量を有しているか否かを判定する基準となる容量(即ち、受け入れ可能容量=総ストレージ容量×第3百分率÷100)を計算するための第3百分率が格納されている。詳細は後述するが、受け入れ可能容量は、ストレージ使用容量に基づいて、退避ファイルを退避元のストレージに戻すことが可能であるか否かなどを判定する基準として使用される。以降において、受け入れ可能容量は、「第3閾値容量」と称呼される場合がある。
【0047】
コスト[¥/GB]112a12には、ストレージの運用コストが格納されている。
【0048】
増設開始日112a13には、物理リソースの調達を行う場合の物理リソースの増設開始日が格納されている。
【0049】
増設完了日112a14には、物理リソースの調達を行う場合の物理リソースの増設完了日(増設完了予定日)が格納されている。
【0050】
増設予定容量[GB]112a15には、物理リソースの増設によって増設予定のストレージの容量が格納されている。
【0051】
増設後総容量[GB]112a16には、物理リソース増設後のストレージの総容量が格納されている。
【0052】
再配置用リソース使用率閾値[%]112a17には、退避ファイルを退避元のストレージに再配置するときの確認基準となる、リソース使用率の閾値としての百分率が格納されている。
【0053】
図4はファイルメタ情報112bを説明するための図である。ファイルメタ情報112bは、情報(値)を格納する列(カラム)として、ファイルID112b1と、ファイル名112b2と、ファイルサイズ[GB]112b3と、ファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Hour]112b4と、残保管期間[Month]112b5と、最適配置先112b6と、最適配置先装置番号112b7と、一時退避先112b8と、一時退避先装置番号112b9と、を含む。
【0054】
ファイルメタ情報112bには、ファイルのメタ情報に関する各列に対応する情報が、互いに対応付けられて行単位の情報(レコード)として格納されている。
【0055】
具体的に述べると、ファイルID112b1には、ファイルの識別IDが格納されている。ファイル名112b2には、ファイルの名称が格納されている。ファイルサイズ[GB]112b3には、ファイルのファイル容量が格納されている。ファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Hour]112b4には、ファイルが使用する単位時間(1時間)当たりの、単位容量(1GB)当たりのCPU使用量(GHz)が格納されている。以下、「ファイルが使用する単位時間(1時間)当たりの、単位容量(1GB)当たりのCPU使用量(GHz)」は、「ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]」又は単に「ファイルCPU使用量」と称呼される場合がある。残保管期間[Month]112b5には、ファイルの残保管期間が格納されている。最適配置先112b6には、ファイルの最適配置先の基盤の名称が格納されている。最適配置先装置番号112b7には、ファイルの最適配置先のストレージの識別情報が格納されている。
【0056】
一時退避先112b8には、ファイルが最適配置先112b7のストレージから退避された場合の一時退避先の基盤の名称が格納されている。一時退避先装置番号112b9には、ファイルが最適配置先112b7のストレージから退避された場合の一時退避先のストレージの識別情報が格納されている。
【0057】
図5はファイル配置ポリシー情報112cを説明するための図である。ファイル配置ポリシー情報112cは、情報(値)を格納する列(カラム)として、CPU使用量閾値112c1と、ファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Hour]112c2と、装置タイプ112c3と、装置番号112c4と、を含む。ファイル配置ポリシー情報112cには、ファイル配置ポリシーに関する各列に対応する情報が互いに対応付けられて行単位の情報(レコード)として格納されている。
【0058】
具体的に述べると、CPU使用量閾値112c1には、閾値(数値範囲)の識別番号が格納されている。ファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Hour]112c2には、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]の数値範囲が格納されている。装置タイプ112c3には、基盤の種類(名称)が格納されている。装置番号112c4には、ストレージの識別情報が格納されている。
【0059】
ファイル配置ポリシー情報112cは、ファイルの最適配置先を判定するのに使用される。例えば、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が比較的大きいファイルは、ファイルサイズが小さく計算リソースを頻繁に使用するようなファイル特性を有する。このようなファイルは、3Tier基盤300の高性能なストレージST1に配置することが適している。例えば、ファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Hour]が比較的小さいファイルは、ファイルサイズが大きく計算リソースを頻繁に使用しないファイル特性を有する。このようなファイルは、3Tier基盤300のストレージST2に配置することが適している。ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が上記以外のファイルは、HCI基盤200のストレージCL1に配置していることが適している。ファイル配置ポリシー情報112cを用いて、ファイルの配置先をファイル特性に応じた最適な基盤のストレージに判定することができる。
【0060】
図6は調達スケジュール情報112dを説明するための図である。調達スケジュール情報112dは、情報(値)を格納する列(カラム)として、装置タイプ112d1と、増設リソースタイプ112d2と、調達期間(days)112d3と、を含む。調達スケジュール情報112dには、リソースを調達する場合の調達スケジュールに関する各列に対応する情報が互いに対応付けられて行単位の情報(レコード)として格納されている。具体的に述べると、装置タイプ112d1には、基盤の種類(名称)が格納されている。増設リソースタイプ112d2には、増設する物理リソースの種類が格納されている。調達期間(days)112d3には、リソースの調達にかかる期間(調達予定期間)が格納されている。
【0061】
図7はリソース稼働情報112eを説明するための図である。リソース稼働情報112eは、情報(値)を格納する列(カラム)として、日時112e1と、装置番号112e2と、使用率[%]112e3と、障害[有無]112e4と、を含む。リソース稼働情報112eには、リソース稼働情報112eに関する各列に対応する情報が互いに対応付けられて行単位の情報(レコード)として格納されている。具体的に述べると、日時112e1には、情報を取得した日時(日付時間)が格納されている。装置番号112e2には、ストレージの識別情報が格納されている。使用率[%]112e3には、リソースの使用率(百分率)が格納されている。障害[有無]112e4には、ストレージの障害の有無を示す情報が格納されている。
【0062】
<作動の概要>
図8は管理サーバ100が実行する処理の処理フローを示すフローチャートである。管理サーバ100は、ステップ800から処理を開始して、ステップ805に進み、アプリケーションAPにより作成された新規ファイルを最適な基盤のストレージに配置(格納)する必要が生じたか否かを判定する。
【0063】
新規ファイルの配置が必要ではない場合、管理サーバ100は、ステップ805にて「NO」と判定してステップ810に戻る。新規ファイルの配置が必要である場合、管理サーバ100は、ステップ805にて「YES」と判定してステップ810に進み、新規ファイルの最適配置場所(最適配置先)を判定する「最適ファイル配置場所判定」を実行する。なお、この最適ファイル配置場所判定の詳細は後述する。
【0064】
その後、管理サーバ100は、ステップ815に進み、最適ファイル配置場所判定を実行した結果に基づいて、最適配置場所からファイルの退避が必要であるか否かを判定する。
【0065】
最適配置場所からファイルの退避が必要ではない場合、管理サーバ100は、ステップ815にて「NO」と判定してステップ895に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0066】
最適配置場所からファイルの退避が必要である場合、管理サーバ100は、ステップ815にて「YES」と判定して以下に述べるステップ820及びステップ825の処理を順に実行した後、ステップ895に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0067】
ステップ820:管理サーバ100は、最適配置場所から他のストレージに退避が必要なファイルを判定し、退避が必要なファイルを他のストレージに退避する「ファイル退避処理」を実行する。なお、このファイル退避処理の詳細は後述する。
【0068】
ステップ825:管理サーバ100は、物理リソースの増設が完了すると、ステップ820で退避した退避ファイルを退避元のストレージに戻すための「第1ファイル再配置処理」を実行する。なお、この第1ファイル再配置処理の詳細は後述する。
【0069】
以下、管理サーバ100が実行する処理の理解を容易にするため、
図9を用いて処理の概要を具体例と合わせて説明する。なお、
図9を参照しながら行う以下の説明では、適宜、
図8のフローチャートの処理を参照する。
【0070】
S900:新規ファイルであるファイルFL1をHCI基盤200のストレージCL1に配置する必要が生じる。管理サーバ100は、上述の
図8のステップ805の処理にて「YES」と判定する。
【0071】
S905:管理サーバ100は、ファイルFL1について「最適ファイル配置場所判定」(
図8のステップ810)を実行する。
図9に示す例では、「最適ファイル配置場所判定」(
図8のステップ810)により、ファイルFL1の配置先がHCI基盤200のストレージCL1に判定され、且つ、ストレージCL1からファイルを退避する「ファイル退避処理」が必要であると判定される(
図8のステップ815にて「YES」と判定。)。
【0072】
S910:管理サーバ100は、ファイル退避処理(
図8のステップ820)を実行する。
図8に示す例では、管理サーバ100は、ファイル退避処理(ステップ820)により、ファイルFL2の退避先を判定する。その結果、管理サーバ100は、ファイルFL2の退避先を3Tier基盤300のストレージST1に判定する。管理サーバ100は、ファイルFL2をHCI基盤200のストレージCL1から3Tier基盤300のストレージST1に退避させる。
【0073】
その後、HCI基盤200にて、物理リソースの増設が完了すると(S915)、管理サーバ100は、ファイルFL2を退避元のストレージに戻すための「第1ファイル再配置処理」(
図8のステップ825)を実行する。管理サーバ100は、「第1ファイル再配置処理」(
図8のステップ825)を実行することにより、退避ファイルFL2をHCI基盤200のストレージCL1に戻す(S920)。このとき、HCI基盤200のストレージCL1に戻すか否かの判定は、退避ファイルFL2に限定して行われる。
【0074】
従来、特定の基盤のリソースの増加が完了した後、退避ファイルを元の基盤のストレージに戻す際、退避ファイルの移動は手動で行われるか、或いは、自製のスクリプトによって実施されていたため、作業コストがかかっていた。
【0075】
これに対して、管理サーバ100は、退避先の基盤に格納されているファイルのうち、退避ファイルのみを対象として、リソースの調達後にオンプレON1の退避元の特定の基盤のストレージに戻す。
【0076】
これにより、管理サーバ100は、システムにおいて、リソースの調達期間も考慮した退避ファイルの再配置運用において、手動又はスクリプトによる運用を不要にすることができるので、作業コストを低減できる。更に、管理サーバ100は、再配置判定対象を退避ファイルのみに限定することで、仮に退避ファイル以外の不要なファイルに対する判定処理を行った場合に比べて、処理に必要なリソースを減らすことができる。
【0077】
なお、
図9に示した具体例は本発明の理解を容易にするために例示したあくまでも一例であり、この例に限定されない。
図8の処理フローの実行結果に応じて、様々なファイル配置、ファイル退避及びファイルの再配置の様々なパターンがある。例えば、ファイルFL1のファイル特性に応じて、ファイルFL1がストレージST1に配置され、そのストレージST1に配置されていたファイルが退避され、リソース調達後、ストレージST1に退避ファイルが戻されるケースやファイルFL2がパブリッククラウド基盤400のストレージCLOUD1に退避するなど様々なパターンがある。
【0078】
<具体的作動>
<最適ファイル配置場所判定>
上述した最適ファイル配置場所判定(
図8のステップ810)の詳細について説明する。
図10は管理サーバ100のファイル配置場所判定処理部111aが実行する処理フローを示すフローチャートである。ファイル配置場所判定処理部111aは、
図10のステップ1000から処理を開始し、以下に述べるステップ1005及びステップ1010の処理を順に実行した後、ステップ1015に進む。
【0079】
ステップ1005:ファイル配置場所判定処理部111aは、新規ファイル(以下、「対象ファイル」と称呼される。)のファイルメタ情報112bのファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]及びファイル配置ポリシー情報112cに基づき、ファイルの最適配置先を決定する。一例を挙げると、例えば、対象ファイルのファイルメタ情報112bのファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が、15[GHz/GB/Hour]である場合、対象ファイルのファイルメタ情報112bのファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が、ファイル配置ポリシー情報112cのCPU使用量閾値112c1が2である行のファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Hour]112c2の数値範囲に含まれる。この場合、CPU使用量閾値112c1が2である行の装置タイプ113c3及び装置番号1124に格納された情報によって示される基盤のストレージが、ファイルの最適配置先に決定される。
【0080】
ステップ1010:ファイル配置場所判定処理部111aは、装置構成情報112a及びファイルメタ情報112bを参照することにより、最適配置先のストレージ使用容量、第1閾値容量(=総ストレージ容量×第1閾値÷100)及び対象ファイルのファイルサイズを取得する。
【0081】
ファイル配置場所判定処理部111aは、取得した最適配置先のストレージ使用容量と対象ファイルのファイルサイズとを合算することにより、合算値を計算する。ファイル配置場所判定処理部111aは、合算値と第1閾値容量とを比較する。
【0082】
ファイル配置場所判定処理部111aは、ステップ1015に進むと、ステップ1010の合算値と第1閾値容量との比較結果に応じて処理を分岐させる。
【0083】
合算値が第1閾値容量以下である場合、ファイル配置場所判定処理部111aは、ステップ1015にて「NO」と判定してステップ1020に進む。ファイル配置場所判定処理部111aは、ステップ1020に進むと、対象ファイルを最適配置先に格納する。
【0084】
ファイル配置場所判定処理部111aは、ファイルメタ情報112bの最適配置先112b6の情報及び最適配置先装置番号112b7の情報、並びに、装置構成情報112aのストレージ使用容量[GB]112a4の値、最適配置先に書き込み済みのファイル容量[GB]112a6の値を、対象ファイルを最適配置先に格納した後の状態に対応した情報(値)に更新した後、ステップ1095に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0085】
これに対して、合算値が第1閾値容量より大きい場合、ファイル配置場所判定処理部111aは、ステップ1015にて「YES」と判定してステップ1025に進む。ファイル配置場所判定処理部111aは、物理リソース増設のため、リソース不足(容量不足)が生じている増設が必要なストレージ(即ち、最適配置先)及びストレージの基盤のタイプを特定する。ファイル配置場所判定処理部111aは、調達スケジュール情報112dに基づいて、特定したストレージの基盤のタイプに対応する調達期間(days)112d3の値を特定する。ファイル配置場所判定処理部111aは、特定した調達期間(days)112d3の値及び現時点の日付時間に基づいて、増設開始日、増設完了予定日及び増設容量(増設予定容量)を特定する。なお、増設予定容量は、例えば、ユーザによって管理サーバ100に入力された値に基づいて特定される。
【0086】
ファイル配置場所判定処理部111aは、装置構成情報112aの増設開始日112a13、増設完了日112a14(増設完了予定日)及び増設予定容量[GB]112a(増設容量)のそれぞれの値を特定した値に更新した後、ステップ1095に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0087】
<ファイル退避処理>
上述したファイル退避処理(
図8のステップ820)の詳細について説明する。
図11は管理サーバ100のファイル退避処理部111bが実行する処理フローを示すフローチャートである。ファイル退避処理部111bは、
図11のステップ1100から処理を開始し、以下に述べるステップ1105乃至ステップ1115の処理を順に実行した後、ステップ1120に進む。
【0088】
ステップ1105:ファイル退避処理部111bは、ファイル配置場所判定処理によって判定された、対象ファイルの最適配置先のストレージに格納されているファイル(複数ファイル)に関して、ファイルメタ情報112bのファイルの残保管期間が最も小さい順にソートする。
【0089】
ステップ1110:ファイル退避処理部111bは、装置構成情報112aに基づいて、最適配置先のストレージ使用容量及び第2閾値容量(=総ストレージ容量×第2閾値÷100)を特定する。ファイル退避処理部111bは、ソート順にファイルを退避した後の、装置構成情報112aのストレージ使用容量と第2閾値容量とを比較し、ストレージ使用容量が第2閾値容量を下回るまで、最適配置先のストレージから他のストレージに退避する候補となる退避候補ファイルを選定する。
【0090】
ステップ1115:ファイル退避処理部111bは、装置構成情報112aに基づいて、ストレージ使用容量と第3閾値容量(=総ストレージ容量×第3閾値÷100)とを比較して、第3閾値容量を下回るオンプレON1(3Tier基盤300又はHCI基盤200)のストレージを選定する。なお、このとき、ファイル退避処理部111bは、リソース稼働情報112eに基づいて、ストレージの稼働状態を確認し、障害有のストレージは選定対象から除外する。
【0091】
ファイル退避処理部111bは、ステップ1120に進むと、ステップ1115の選定結果に応じて処理を分岐させる。ストレージ使用容量が第3閾値容量を下回るストレージが有る場合、ファイル退避処理部111bは、ステップ1120にて「YES」と判定してステップ1125に進み、退避候補ファイルの全てが、選定したストレージ(3Tier基盤300又はHCI基盤200のストレージ)に格納できるか否かを確認する。
【0092】
その後、ファイル退避処理部111bは、ステップ1130に進み、ステップ1125の確認結果に応じて処理を分岐させる。退避候補ファイルの全てが、選定ストレージに格納できる場合、ファイル退避処理部111bは、ステップ1130にて「YES」と判定してステップ1135に進み、退避候補ファイルの全てを一時退避先(選定ストレージ)に格納し、格納した退避候補ファイルに関して、ファイルメタ情報112bの一時退避先112b8、装置構成情報112aのストレージ使用容量[GB]112a4及び退避中ファイル容量[GB]112a7を更新する。なお、一時退避先(選定ストレージ)に格納された退避候補ファイルが「退避ファイル」である。その後、ファイル退避処理部111bは、ステップ1195に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0093】
これに対して、退避候補ファイルの全てが、一時退避先(選定ストレージ)に格納できない場合、ファイル退避処理部111bは、ステップ1130にて「NO」と判定し、以下に述べるステップ1140及び既述のステップ1135の処理を順に実行した後、ステップ1195に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0094】
ステップ1140:ファイル退避処理部111bは、退避候補ファイルに関して、装置構成情報112a、ファイルメタ情報112b、装置スケジュール情報112d及び下記判定方法に基づいて、コストの観点から優先的に一時退避先をパブリッククラウド基盤400に選定すべきファイルの順を判定し、ソートする。
【0095】
判定方法:ファイル退避処理部111bは、まず退避候補ファイルのうち判定式1を満たすファイルを選定する。ファイル退避処理部111bは、判定式1を満たすファイルに関し、判定式2により計算される数値が最小となる順にソートする(ソート1)。
【0096】
次に、ファイル退避処理部111bは、退避候補ファイルのうち判定式1を満たさないファイルについて、判定式2により計算される数値が最小となる順にソートする(ソート2)。
【0097】
ファイル退避処理部111bは、退避候補ファイルに関し、ソート1によるソート順の次にソート2によるソート順がくるように、最終的にソートする。
【0098】
判定式1:パブクラ保管コスト×残保管期間<(パブクラ保管コスト×調達所要期間)+{退避元のストレージのコスト×(残保管期間-調達所要期間)}
判定式2:(パブクラ保管コスト×調達所要期間)+{退避元のストレージのコスト×(残保管期間-調達所要期間))
なお、判定式1及び判定式2のパブクラ保管コスト及び退避元のストレージのコストは、装置構成情報112aのストレージに対応するコスト[¥/GB]112a12の値に、ファイルメタ情報112bのファイルサイズ[GB]112b3のファイル容量を乗じることにより算出できる。
【0099】
そして、ファイル退避処理部111bは、退避候補ファイルに関し、ソート順に優先して一時退避先をパブリッククラウド基盤400のストレージに選定する。この選定は、退避候補ファイルに関し、一時退避先をパブリッククラウド基盤400のストレージに選定した以外の退避候補ファイルがステップ1125の選定ストレージに格納可能になるまで行われる。選定が終了すると、一時退避先をパブリッククラウド基盤400のストレージに選定した以外の退避候補ファイルの格納先を、ステップ1125の選定ストレージに選定する。
【0100】
一方、上述のステップ1120にてストレージ使用容量が第3閾値容量を下回るストレージがない場合、ファイル退避処理部111bは、ステップ1120にて「NO」と判定して以下に述べるステップ1145及び既述のステップ1135の処理を順に実行した後、ステップ1195に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0101】
ステップ1145:ファイル退避処理部111bは、退避候補ファイルの全ての一時退避先をパブリッククラウド基盤400のストレージに選定する。
【0102】
<第1ファイル再配置処理>
上述した第1ファイル再配置処理(
図8のステップ825)の詳細について説明する。
図12は管理サーバ100のファイル再配置処理部111cが実行する処理フローを示すフローチャートである。ファイル再配置処理部111cは、
図12のステップ1200から処理を開始し、以下に述べるステップ1205乃至ステップ1215の処理を順に実行した後、ステップ1220に進む。
【0103】
ステップ1205:ファイル再配置処理部111cは、装置構成情報112aに基づいて、物理リソース増設の対象ストレージに対応する増設完了日114a14の日付を経過後に、増設予定容量分の容量が、総ストレージ容量[GB]113a3に追加されている事を確認する。
【0104】
ステップ1210:ファイル再配置処理部111cは、ファイルメタ情報112bに基づいて、対象ストレージ(増設完了ストレージ)に再配置する再配置対象となるファイル(即ち、退避ファイル)を選定する。
【0105】
ステップ1215:ファイル再配置処理部111cは、装置構成情報112aに基づいて、第3閾値容量を特定し、最適配置先(増設完了ストレージ)のストレージ使用容量と第3閾値容量とを比較し、第3閾値容量を下回ることを確認する。
【0106】
ファイル再配置処理部111cは、ステップ1220に進むと、ステップ1215の確認結果に応じて処理を分岐させる。ストレージ使用容量が第3閾値容量より小さい場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1220にて「YES」と判定し、以下に述べるステップ1225乃至ステップ1235の処理を順に実行した後、ステップ1295に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0107】
ステップ1225:ファイル再配置処理部111cは、対象ストレージ(増設完了ストレージ)のリソース稼働情報112eの使用率[%]112e3の値が、装置構成情報112aの再配置用リソース使用率閾値[%]112a17の値を下回ることを確認するとともに、対象ストレージ(増設完了ストレージ)に障害が発生していないことを確認する。なお、リソース稼働情報112eは、リソース稼働情報監視処理部111dにより逐次更新されている。
【0108】
ステップ1230:ファイル再配置処理部111cは、最適配置先(対象ストレージ(増設完了ストレージ))へ退避ファイルを再配置し、一時退避先から退避ファイルを削除する。
【0109】
ステップ1235:ファイル再配置処理部111cは、ファイルメタ情報112b及び装置構成情報112aを、退避ファイルを再配置した後の状態に対応する値に更新する。
【0110】
これに対して、ストレージ使用容量が第3閾値容量以上である場合、対象ストレージ(増設完了ストレージ)の容量の空きに余裕がないため、退避ファイルを対象ストレージ(増設完了ストレージ)に戻すべきではない。従って、この場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1220にて「NO」と判定してステップ1240に進み、ファイル再配置処理部111cは、図示しない管理者の端末にアラートして処理を中止する。その後、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1295に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0111】
<効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る管理サーバ100は、退避ファイルを対象として、リソースの調達後に、退避先の基盤のストレージに格納されたファイルのうち、退避ファイルを対象としてオンプレON1の退避元の特定の基盤に戻すことできる。
【0112】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態に係る管理サーバ100(システム管理装置)について説明する。第2実施形態に係る管理サーバ100は、上述した第1ファイル再配置処理に代えて、第2ファイル再配置処理を実行する点のみにおいて、第1実施形態に係る管理サーバ100と相違点を有する。
【0113】
第2ファイル再配置処理は、退避ファイルの一部しか最適配置先(退避ファイルの退避元)に戻すことができない場合、その退避ファイルの一部を最適配置先に戻す。第2ファイル再配置処理は、最適配置先に戻せない他の退避ファイルの最適配置先を再評価し、評価結果に基づいて他の退避ファイルを再評価後の最適配置先に配置する。
【0114】
以下、この相違点を中心として説明する。
【0115】
<作動の概要>
図13は第2実施形態に係る管理サーバ100が実行する処理の処理フローを示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、
図8のステップ825が以下のステップ1305に置換された点以外、
図8と同様である。
【0116】
ステップ1305:管理サーバ100は、物理リソースの増設が完了すると、退避ファイルを退避元のストレージに戻すための「第2ファイル再配置処理」を実行する。なお、この第2ファイル再配置処理の詳細は後述する。
【0117】
以下、管理サーバ100が実行する処理の理解を容易にするため、
図14を用いて処理の概要を具体例と合わせて説明する。なお、
図14を参照しながら行う以下の説明では、適宜、
図13のフローチャートの処理を参照する。
【0118】
S1400:新規ファイルであるファイルFL1をHCI基盤200のストレージCL1に配置する必要が生じる。管理サーバ100は、上述の
図13のステップ805の処理にて「YES」と判定する。
【0119】
S1405:管理サーバ100は、ファイルFL1について「最適ファイル配置場所判定」(
図13のステップ810)を実行する。
図14に示す例では、「最適ファイル配置場所判定」(
図13のステップ810)により、ファイルFL1の配置先がHCI基盤200のストレージCL1に判定され、且つ、ストレージCL1からファイルを退避する「ファイル退避処理」が必要であると判定される(
図13のステップ815にて「YES」と判定。)。
【0120】
S1410:管理サーバ100は、ファイル退避処理(
図13のステップ820)を実行する。本例では、管理サーバ100は、ファイル退避処理(
図13のステップ820)により、ファイルFL2及びファイルFL3の退避先を判定する。その結果、管理サーバ100は、ファイルFL2及びファイルFL3の退避先を3Tier基盤300のストレージST1に判定する。管理サーバ100は、ファイルFL2及びファイルFL3をHCI基盤200のストレージCL1から3Tier基盤300のストレージST1に退避させる。
【0121】
その後、HCI基盤200にて、物理リソースの増設が完了すると(S1415)、管理サーバ100は、ファイルFL2及びファイルFL3を退避元のストレージに戻すための「第2ファイル再配置処理」(
図13のステップ1305)を実行する。管理サーバ100は、「第2ファイル再配置処理」(
図13のステップ1305)を実行することにより、ファイルFL2及びファイルFL3の全てを退避元のストレージに戻すか否かを判定する。
図14に示す例では、ファイルFL2及びファイルFL3の全てを退避元のストレージに戻せないと判定される。その結果、管理サーバ100は、ファイルFL2のみを退避元のHCI基盤200のストレージCL1に戻し、ファイルFL3の最適配置先を再評価し、再評価結果に基づいて、ファイルFL3を新最適配置先(ストレージST1(移動しない)、ストレージST2及びストレージCLOUD1の何れか)に配置する(S1425)。HCI基盤200のストレージCL1に戻すか否かの判定は、退避ファイルFL2及び退避ファイルFL3に限定して行われる。従って、第1実施形態と同様、管理サーバ100は、作業コストを低減でき、且つ、処理にかかるリソースを減らすことができる。
【0122】
なお、
図14に示した具体例は本発明の理解を容易にするために例示したあくまでも一例であり、この例に限定されない。
図13の処理フローの実行結果に応じて、様々なファイル配置、ファイル退避及びファイルの再配置の様々なパターンがある。例えば、ファイルFL1のファイル特性に応じて、ファイルFL1がストレージST1に配置され、そのストレージST1に配置されていたファイルが退避され、リソース調達後、ストレージST1に退避ファイルが戻されるケースやファイルFL2及びファイルFL3がパブリッククラウド基盤400のストレージCLOUD1に退避するなど様々なパターンがある。
【0123】
<具体的作動>
上述した第2ファイル再配置処理(
図13のステップ1305)の詳細について説明する。
図15は管理サーバ100のファイル再配置処理部111cが実行する処理フローを示すフローチャートである。ファイル再配置処理部111cは、
図15のステップ1500から処理を開始し、既述のステップ1205の処理並びに以下に述べるステップ1505及びステップ1510の処理を順に実行した後、ステップ1515に進む。
【0124】
ステップ1505:ファイル再配置処理部111cは、ファイルメタ情報112bに基づいて、対象ストレージ(増設完了ストレージ)に再配置予定となるファイル(即ち、退避ファイル)を選定する。以下、選定したファイルは、「戻し予定対象ファイル」と称呼される。
【0125】
ステップ1510:ファイル再配置処理部111cは、装置構成情報112aに基づいて、第3閾値容量を特定し、最適配置先(増設完了ストレージ)のストレージ使用容量と第3閾値容量とを比較し、ストレージ使用容量が第3閾値容量以上であることを確認する。
【0126】
ファイル再配置処理部111cは、ステップ1515に進み、ステップ1510の確認結果に応じて処理を分岐させる。ストレージ使用容量が第3閾値容量以上である場合、対象ストレージの容量の空きに余裕がないため、戻し予定対象ファイルの全てを最適配置先(退避元)に戻すべきではない。従って、この場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1515にて「YES」と判定し、以下に述べるステップ1520乃至ステップ1535の処理を順に実行した後、ステップ1540に進む。
【0127】
ステップ1520:ファイル再配置処理部111cは、戻し予定対象ファイルのファイルメタ情報112bのファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]に基づいて、戻し予定対象ファイルの退避元である最適配置先(増設完了ストレージ)のストレージ使用容量が第3閾値容量を下回る状態になるまで、戻し予定対象ファイルの中から、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻すことが適切なファイル(優先的に最適配置先に戻すファイル)を選定する。なお、ファイル再配置処理部111cは、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が同一のファイルを比較する場合、残保管期間が長いファイルを優先的に最適配置先(増設完了ストレージ)に戻す対象とする。例えば、戻し予定対象ファイルの退避元である最適配置先(増設完了ストレージ)がストレージST1である場合、ファイル再配置処理部111cは、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が大きい順に優先的に最適配置先(増設完了ストレージ)に戻す対象を選定する。戻し予定対象ファイルの退避元である最適配置先(増設完了ストレージ)がストレージST2である場合、ファイル再配置処理部111cは、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が小さい順に優先的に最適配置先(増設完了ストレージ)に戻す対象を選定する。戻し予定対象ファイルの退避元である最適配置先(増設完了ストレージ)がストレージCL1である場合、ファイル再配置処理部111cは、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]がファイル配置ポリシー情報112cのファイル毎のCPU使用量[GHz/GB/Houre]112c2に格納された数値範囲の中央値に近い順に、優先的に最適配置先(増設完了ストレージ)に戻す対象を選定する。
【0128】
ステップ1525:ファイル再配置処理部111cは、戻し予定対象ファイルのうち、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻すことが可能なファイル(ステップ1520にて選定したファイル)を、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻す。
【0129】
ステップ1530:ファイル再配置処理部111cは、最適配置先(増設完了ストレージ(退避元))に戻せないファイル(ステップ1520にて選定されなかった戻し予定対象ファイル)の最適配置先を再評価する対象とする。
【0130】
ステップ1535:ファイル再配置処理部111cは、再評価対象の戻し予定対象ファイルを対象ファイルとして、既述のステップ810(
図10の処理フロー)と同様のファイル最適配置判定を、ファイル配置場所判定処理部に実行させる。
【0131】
その結果、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻せない戻し予定対象ファイルの新最適配置先が決定され、その新最適配置先にファイルが格納可能である場合、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻せない戻し予定対象ファイルがその新最適配置先に格納される(
図10のステップ1020)。なお、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻せない戻し予定対象ファイルの新最適配置先が、現時点でのその戻し予定対象ファイルの配置先であると評価された場合、その戻し予定対象ファイルはその配置先から移動しない。
【0132】
一方で、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻せない戻し予定対象ファイルの新最適配置先が決定され、その新最適配置先に戻し予定対象ファイルが格納可能ではない場合、その新最適配置先に対して物理リソースの増設が必要となる(
図10のステップ1025)。この場合、その決定された新最適配置先から再度ファイルを退避(再退避)させる退避ファイル処理が必要となる。
【0133】
ファイル再配置処理部111cは、ステップ1540に進み、退避中ファイル最適配置判定の結果に応じて、処理を分岐させる。
【0134】
ファイル最適配置判定の結果、新最適配置先からファイルの再退避が必要ない場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1540にて「NO」と判定してステップ1595に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0135】
ファイル最適配置判定の結果、新最適配置先からファイルの再退避が必要である場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1540にて「YES」と判定してステップ1545に進む。ファイル再配置処理部111cは、ステップ1545に進むと、最適配置先(増設完了ストレージ)に戻せない戻し予定対象ファイルの新最適配置先からファイルを退避させるために、既述のステップ820(
図11の処理フロー)と同様のファイル退避処理を、ファイル退避処理部111bに実行させた後、ステップ1205に戻り、再び、既述のステップ1205から既述の処理を開始する(この場合、戻し予定対象ファイルの新最適配置先が対象ストレージとなって以降の既述の処理が実行される。)。
【0136】
なお、上述したステップ1515にて、ストレージ使用容量が第3閾値容量より小さい場合、戻し予定対象ファイルの全てを最適配置先(増設完了ストレージ)に戻すことができる。従って、この場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1515にて「NO」と判定してステップ1550に進む。ファイル再配置処理部111cは、ステップ1550に進むと、既述の
図12のステップ1125乃至ステップ1235と同様の処理を実行する。これにより、ファイル再配置処理部111cは、戻し予定対象ファイルの全てを最適配置先(増設完了ストレージ)に戻す。その後、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1595に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0137】
<効果>
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る管理サーバ100は、リソースの調達後に、退避先の基盤のストレージに格納されたファイルのうち、退避ファイルを対象として、退避ファイルの少なくとも一部をオンプレON1の退避元の特定の基盤に戻すことできる。本発明の第2実施形態に係る管理サーバ100は、退避ファイルの一部しかオンプレON1の退避元の特定の基盤に戻せない場合、退避ファイルの一部をオンプレON1の退避元の特定の基盤に戻し、その他の退避ファイルを最適な基盤のストレージに配置できる。
【0138】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態に係る管理サーバ100(システム管理装置)について説明する。第3実施形態に係る管理サーバ100は、
図12のフローチャートにより示した処理フローに代えて、
図16のフローチャートにより示した処理フローを実行する点のみにおいて、第1実施形態に係る管理サーバ100と相違点を有する。
【0139】
以下、この相違点を中心として説明する。
【0140】
<具体的作動>
図16は第3実施形態に係る管理サーバ100のファイル再配置処理部111cが実行する処理フローを示すフローチャートである。このフローチャートは、
図12のフローチャートのステップ1215及びステップ1220が以下のステップ1605及びステップ1610に置換された点以外、
図12のフローチャート同様である。
【0141】
ステップ1605:ファイル再配置処理部111cは、装置構成情報112aに基づいて、第4閾値容量を特定し、最適配置先(増設完了ストレージ)の仮想総容量と第4閾値容量とを比較し、第4閾値容量を下回ることを確認する。図示は省略するが、装置構成情報112aは、情報を格納する列(カラム)として、第4閾値[%]を更に含む。第4閾値には、第4閾値容量(=総ストレージ容量×第4百分率÷100))を計算するための第4百分率が格納されている。第4閾値容量は、仮想総容量に基づいて、退避ファイルを退避元のストレージに戻すことが可能であるか否かを判定する基準として使用される。
【0142】
ステップ1610:ファイル再配置処理部111cは、ステップ1605の確認結果に応じて処理を分岐させる。仮想総容量が第4閾値容量より小さい場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1610にて「YES」と判定し、既述のステップ1225乃至ステップ1235の処理を順に実行した後、ステップ1695に進んで本処理フローを一旦終了する。仮想総容量が第4閾値容量以上である場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1610にて「NO」と判定し、既述のステップ1240の処理を実行した後、ステップ1695に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0143】
<効果>
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る管理サーバ100は、第1実施形態と同様の効果を奏する。更に、第3実施形態に係る管理サーバ100では、退避ファイルを戻すことができるか否かの退避元のストレージの状態の確認は、仮想総容量に基づいて行われる。これにより、管理サーバ100は、退避ファイルを戻す時点の退避ファイルの容量を考慮して、退避ファイルを退避元の基盤に戻すことができるか否かをより適切に判定することができる。
【0144】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態に係る管理サーバ100(システム管理装置)について説明する。第4実施形態に係る管理サーバ100は、
図15のフローチャートにより示した処理フローに代えて、
図17に示した処理フローを実行する点のみにおいて、第2実施形態に係る管理サーバ100と相違点を有する。
【0145】
以下、この相違点を中心として説明する。
【0146】
<具体的作動>
図17は第4実施形態に係る管理サーバ100のファイル再配置処理部111cが実行する処理フローを示すフローチャートである。このフローチャートは、
図15のフローチャートのステップ1510乃至ステップ1520が以下のステップ1705乃至ステップ1715に置換された点以外、
図15のフローチャート同様である。
【0147】
ステップ1705:ファイル再配置処理部111cは、装置構成情報112aに基づいて、第4閾値容量を特定し、最適配置先(増設完了ストレージ)の仮想総容量と第4閾値容量とを比較し、第4閾値容量を下回ることを確認する。図示は省略するが、第3実施形態と同様、装置構成情報112aは、情報を格納する列(カラム)として、第4閾値[%]を更に含む。
【0148】
ステップ1710:ファイル再配置処理部111cは、ステップ1705の確認結果に応じて処理を分岐させる。仮想総容量が第4閾値容量より小さい場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1710にて「YES」と判定し以下に述べるステップ1715の処理を実行する。
【0149】
ステップ1715:ファイル再配置処理部111cは、戻し予定対象ファイルのファイルメタ情報112bのファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]に基づいて、戻し予定対象ファイルの退避元である最適配置先(増設完了ストレージ)の仮想総容量が第4閾値容量を下回る状態になるまで、戻し予定対象ファイルの中から、最適配置先(増設完了ストレージ(退避元))に戻すことが適切なファイル(優先的に最適配置先に戻すファイル)を選定する。なお、ファイル再配置処理部111cは、ファイルCPU使用量[GHz/GB/Hour]が同一のファイルを比較する場合、残保管期間が長いファイルを優先的に最適配置先(退避元)に戻す対象とする。
【0150】
その後、ファイル再配置処理部111cは、既述のステップ1535乃至ステップ1545の処理のうちの適当な処理を実行した後、ステップ1795に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0151】
仮想総容量が第4閾値容量以上である場合、ファイル再配置処理部111cは、ステップ1710にて「NO」と判定し、既述のステップ1550の処理を実行した後、ステップ1795に進んで本処理フローを一旦終了する。
【0152】
<効果>
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係る管理サーバ100は、第2実施形態と同様の効果を奏する。更に、第4実施形態に係る管理サーバ100では、退避ファイルを戻すことができるか否かの退避元のストレージの状態の確認は、仮想総容量に基づいて行われる。これにより、管理サーバ100は、退避ファイルを戻す時点の退避ファイルの容量を考慮して、退避ファイルを退避元の基盤に戻すことができるか否かをより適切に判定することができる。
【0153】
<<変形例>>
本発明は上記各実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。更に、上記各実施形態は、本発明の範囲を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。上記各実施形態において、システムに含まれる基盤の数及び種類は上記に限定されるものではない。例えば、オンプレON1に含まれる基盤は、HCI基盤200のみ、又は、3Tier基盤300のみであってもよい。
【符号の説明】
【0154】
100…管理サーバ、110…記憶装置、111…プログラム、112…データベース、111a…ファイル配置場所判定処理部、111b…ファイル退避処理部、111c…ファイル再配置処理部、111d…リソース稼働情報監視処理部、112a…装置構成情報、112b…ファイルメタ情報、112c…ファイル配置ポリシー情報、112d…調達スケジュール情報、112e…リソース稼働情報、200…HCI基盤、300…3Tier基盤、400…パブリッククラウド基盤、ON1…オンプレミス基盤