(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】マトリックスコンバータの制御回路にDC電源を供給するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H02M 5/04 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
H02M5/04 Z
(21)【出願番号】P 2022544070
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021014160
(87)【国際公開番号】W WO2021150593
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2024-01-10
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505194077
【氏名又は名称】アイティーティー マニュファクチャーリング エンタープライジズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ディーン・ピー.
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-004554(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153571(WO,A1)
【文献】特開2008-295219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータのモータ駆動回路として構成された
ダイレクトAC-ACマトリックスコンバータであって、
多相AC入力電圧を受信するように構成された複数のAC入力、および多相AC出力電圧を出力するように構成された複数のAC出力を含むスイッチのアレイ
であって、前記複数のAC入力が中間DCステージなしで前記スイッチのアレイを通して前記AC出力に接続される、スイッチのアレイと、
前記多相AC入力電圧から前記多相AC出力電圧を合成するために前記スイッチのアレイを制御するように構成された制御回路と、
クランプ回路が前記スイッチのアレイのACノードに外部接続されるように、前記クランプ回路の入力において前記複数のAC入力
に電気的に接続され、前記クランプ回路の出力において前記複数のAC出
力に電気的に接続されたクランプ回路であって、
前記クランプ回路は、第一のクランプノードと、第二のクランプノードと、前記第一のクランプノードと前記第二のクランプノードとの間に接続され、前記制御回路のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源
と、前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードへの放電経路と、前記第一のクランプノードと前記第二のクランプノードとの間の過電圧状態を検出することに応答して前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードへの前記放電経路に沿って放電電流を起動するように構成された放電起動回路とを含む、クランプ回路と、
を備える、マトリックスコンバータ。
【請求項2】
前記放電電流は、キャパシタを含まない放電経路を通して前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードに流れる、請求項1に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項3】
前記クランプ回路が、
前記第一の
クランプノードと
前記第二の
クランプノードとの間に放電装置と直列のクランプ抵抗器を備
え、前記放電起動回路が、前記過電圧状態を検出することに応答して前記放電電流を起動するために前記放電装置をオンにするように構成される、請求項1に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項4】
前記クランプ抵抗器および前記放電装置が、
介在する構成要素なしに前記第一の
クランプノードと前記第二の
クランプノードとの間に
直列に直接接続されている、請求項
3に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項5】
前記クランプ抵抗器が、それを通して電流を流すための電流経路を含み、前記電流経路が、前記電流を実質的に反対の方向に流し、それによって磁界の解消をもたらす、第一の部分および第二の部分を含む、請求項
3に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項6】
前記クランプ回路が、
それぞれが、前記AC入力のそれぞれ一つに電気的に接続された陽極と、前記第一の
クランプノードに電気的に接続された陰極とを有する、第一の複数の入力ダイオードと、
それぞれが、前記AC入力のそれぞれ一つに電気的に接続された陰極と、前記第二の
クランプノードに電気的に接続された陽極とを有する、第二の複数の入力ダイオードと、
それぞれが、前記AC出力のそれぞれ一つに電気的に接続された陽極と、前記第一の
クランプノードに電気的に接続された陰極とを有する、第一の複数の出力ダイオードと、
それぞれが、前記AC出力のそれぞれ一つに電気的に接続された陰極と、前記第二の
クランプノードに電気的に接続された陽極とを有する、第二の複数の出力ダイオードと、をさらに備える、請求項
3に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項7】
前記クランプ抵抗器が、中間ノードで前記放電装置に電気的に接続され、前記クランプ回路が、前記クランプ抵抗器と並列に電気的に接続され、前記第一のクランプノードに電気的に接続された陰極と、前記中間ノードに電気的に接続された陽極とを有する、ダイオードをさらに備える、請求項3に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項8】
前記制御回路が、前記DC供給電圧によって給電されるデジタル処理回路を備える、請求項1に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項9】
前記スイッチのアレイが、前記複数のAC入力と前記複数のAC出力との間に電気的に接続された複数の双方向スイッチを備え、前記マトリックスコンバータが、それぞれ前記複数の双方向スイッチのそれぞれ一つを制御するように構成された複数のドライバ回路をさらに備える、請求項1に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項10】
前記制御回路が、前記DC供給電圧によって給電され、前記複数のドライバ回路に複数の入力信号を提供するように動作可能なデジタル処理回路を備える、請求項9に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項11】
前記DC供給電圧を受信するようにそれぞれ構成された複数の絶縁DC-DCコンバータをさらに備え、前記複数の絶縁DC-DCコンバータが、前記ドライバ回路のそれぞれ一つに対して変換されたDC電圧を生成するようそれぞれ構成される、請求項9に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項12】
ダイレクトAC-ACマトリックスコンバータにDC電源を供給する方法であって、
制御回路を使用してスイッチのアレイを制御して、多相AC入力電圧からの多相AC出力電圧を合成すること
であって、前記スイッチのアレイが前記多相AC入力電圧を受信するように構成された複数のAC入力と、前記多相AC出力電圧を出力するように構成された複数のAC出力とを含み、前記複数のAC入力が中間DCステージなしで前記スイッチのアレイを通して前記AC出力に接続される、合成することと、
クランプ回路が前記スイッチのアレイのACノードに外部接続されるように、前記クランプ回路の入力において前記スイッチのアレイの
前記複数のAC
入力と
前記スイッチのアレイの前記複数のAC
出力に接続されたクランプ回路を起動させること
であって、前記起動させることは、過電圧状態に応答して行われ、第一のクランプノードと第二のクランプノードとの間の前記過電圧状態を検出する放電起動回路に応答して、前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードへの放電経路に沿って、前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードへの放電電流を起動することを含む、起動させることと、
前記クランプ回路のスイッチモード電源を使用して、前記制御回路のDC供給電圧を生成すること
であって、前記スイッチモード電源が前記第一のクランプノードと前記第二のクランプノードとの間に接続される、生成することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記クランプ回路を起動することが、
前記過電圧状態を検出することに応答して放電装置をオンにすること、およびクランプ抵抗器と
前記放電装置の直列組み合わせを介して、前記第一の
クランプノードから前記第二の
クランプノードに
前記放電電流を
流すことをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の
クランプノードと前記第二の
クランプノードとの間の電圧差を閾値電圧と比較することに
よって前記過電圧状態を検出することに基づいて、前記放電装置を選択的にオンにすることをさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記制御回路を使用して前記スイッチのアレイを制御することが、制御回路を使用して複数のスイッチドライバに複数の入力信号を提供する前記複数のスイッチドライバを使用して、前記アレイの複数の双方向スイッチを制御すること、および前記DC供給電圧を使用して前記制御回路に給電することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記DC供給電圧を、複数の絶縁DC-DCコンバータのそれぞれに供給することと、前記複数のスイッチドライバの各々に、前記絶縁DC-DCコンバータのそれぞれ一つから変換されたDC電圧で給電することと、をさらに含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
多相AC入力電圧を受信するように構成された複数のAC入力および
多相AC出力電圧を出力するように構成された複数のAC出力を有するスイッチアレイであって、前記スイッチアレイが複数の双方向スイッチを備
え、複数のAC入力が中間DCステージなしで前記スイッチのアレイを通して前記AC出力に接続される、スイッチアレイと、
各々、前記複数の双方向スイッチのそれぞれ一つを制御するように構成された複数のドライバ回路と、
複数の入力信号を前記複数のドライバ回路に提供するように構成された制御回路と、
クランプ回路が前記スイッチのアレイのACノードに外部接続されるように、前記クランプ回路の入力において前記複数のAC入力
に電気的に接続され、前記クランプ回路の出力において前記複数のAC出
力に電気的に接続されたクランプ回路であって、
前記クランプ回路は、第一のクランプノードと、第二のクランプノードと、前記第一のクランプノードと前記第二のクランプノードとの間に接続され、前記制御回路のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源
と、前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードへの放電経路と、前記第一のクランプノードと前記第二のクランプノードとの間の過電圧状態を検出することに応答して前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードへの前記放電経路に沿って放電電流を起動するように構成された放電起動回路とを含む、クランプ回路と、
を備える、
ダイレクトAC-ACマトリックスコンバータ。
【請求項18】
前記クランプ回路が、前記第一の
クランプノードと前記第二の
クランプノードを前記複数のAC入力に接続する入力ダイオードアレイ、および前記第一の
クランプノードと前記第二の
クランプノードを前記複数のAC出力に接続する出力ダイオードアレイをさらに備える、請求項
17に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項19】
それぞれが前記DC供給電圧を受信し、前記ドライバ回路のそれぞれ一つに対して変換されたDC電圧を生成するように構成された複数の絶縁DC-DCコンバータをさらに備える、請求項
17に記載のマトリックスコンバータ。
【請求項20】
前記放電電流は、キャパシタを含まない放電経路を通して前記第一のクランプノードから前記第二のクランプノードに流れる、請求項17に記載のマトリックスコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電気モータに関し、より詳細には、電気モータ用のマトリックスコンバータの制御回路にDC電源を供給することに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
電気モータは、幅広い用途に使用することができる。そのような一例は、産業設定(例えば、化学製造プラント)で、化学品などの流体をポンプ注入するために使用される、産業用ポンプである。こうしたポンプは、ポンプを駆動する(例えば、ポンプインペラの回転を駆動する)電気モータを含む。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、電気モータのモータ駆動回路として構成されたマトリックスコンバータが提供される。マトリックスコンバータは、多相AC入力電圧を受信するように構成された複数のAC入力、および多相AC出力電圧を出力するように構成された複数のAC出力を含むスイッチのアレイ、多相AC入力電圧からの多相AC出力電圧を合成するスイッチのアレイを制御するように構成された制御回路、および複数のAC入力と複数のAC出力との間に電気的に接続されたクランプ回路を含む。クランプ回路は、制御回路用のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源を含む。
【0004】
別の態様では、マトリックスコンバータにDC電源を供給する方法が提供される。方法は、制御回路を使用してスイッチのアレイを制御して、多相AC入力電圧からの多相AC出力電圧を合成すること、スイッチのアレイの複数のAC出力と複数のAC入力との間に接続されたクランプ回路を過電圧状態に応答して起動すること、およびクランプ回路のスイッチモード電源を使用して制御回路のDC供給電圧を生成することを含む。
【0005】
別の態様では、マトリックスコンバータが提供される。マトリックスコンバータは、複数のAC入力および複数のAC出力を有するスイッチアレイを含み、スイッチアレイは、複数の双方向スイッチを含む。マトリックスコンバータはさらに、各々、複数の双方向スイッチのそれぞれ一つを制御するように構成された複数のドライバ回路、複数のドライバ回路に複数の入力信号を提供するように構成された制御回路、および複数のAC入力と複数のAC出力との間に電気的に接続されたクランプ回路を含む。クランプ回路は、制御回路のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、ポンプまたは回転装置を駆動するための電気モータアセンブリの分解図である。
【0007】
【
図1B】
図1Bは、ファンおよびシュラウドカバーを除く
図1Aの電気モータアセンブリの部分組立図である。
【0008】
【
図2】
図2は、電気モータアセンブリで使用する抵抗器ケースの概略正面図である。
【0009】
【
図3】
図3は、電気モータアセンブリで使用するクランプ抵抗器の概略平面図である。
【0010】
【0011】
【0012】
【
図5】
図5は、
図3のクランプ抵抗器がその中に配置され、誘電体材料によって覆われた、
図2の抵抗器ケースの前面の概略平面図である。
【0013】
【
図6】
図6は、
図5の抵抗器ケースの後面の概略平面図である。
【0014】
【
図7】
図7は、
図5の抵抗ケースがその中に取り付けられた、電気モータアセンブリのエンドプレートのチャンバの概略斜視図である。
【0015】
【
図8】
図8は、モータアセンブリのエンドプレートアセンブリおよびその中の駆動モジュール電子機器の分解図である。
【0016】
【
図9】
図9は、
図8のエンドプレートアセンブリのモータ側の部分図である。
【0017】
【
図10】
図10は、
図8のエンドプレートアセンブリ内に収容された電源プレーンプリント回路基板層の背面図である。
【0018】
【
図11】
図11は、
図8のエンドプレートアセンブリ内で変換された組立マトリックスを示す。
【0019】
【
図12】
図12は、一実施形態によるマトリックスコンバータの概略図である。
【0020】
【
図13】
図13は、マトリックスコンバータ用のクランプの一実施形態の概略図である。
【0021】
【
図14】
図14は、マトリックスコンバータの回路の一部分の一実施形態の概略図である。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【
図16】
図16は、別の実施形態によるマトリックスコンバータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1A~2Aは、例示的なモータアセンブリ1000を示す。モータアセンブリ1000は、ポンプ(図示せず)に結合されてポンプを駆動することができる。モータアセンブリ1000は、出力シャフトまたはロータ120を有する電気モータ100を含む。モータ100は、出力シャフトまたはロータ120がモータフレーム200の端部210から突出するように、モータフレーム200内に収容され得る。示されるように、出力シャフトまたはロータ120の第二の端部は、モータフレーム200の他方の端から突出し、ポンプに結合されてもよい。モータアセンブリ1000は、出力シャフトまたはロータ120にわたってモータフレーム200に取り外し可能に結合可能なプレートアセンブリPを含み得る。プレートアセンブリPは、ミッドプレート300およびエンドプレート400の一方または両方を含み得る。プレートアセンブリPは、それを介して出力シャフトまたはロータ120に結合されるベアリング140を含む。
【0027】
ミッドプレート300は、ベアリング140を介して出力シャフトまたはロータ120に結合することができ、ベアリング140は、ミッドプレート300の開口部320(例えば、ベアリングハウジングまたはスリーブ)内に配置することができる(例えば、
図2Bおよび
図7を参照)。ミッドプレート300は、モータフレーム200の端部210に隣接して配置されてもよく、モータフレーム200に面する凹部または空洞340を有する。ミッドプレート300は、熱放散を促進するために、ミッドプレート300の外表面(例えば、外周面)から延在する一つ以上の(例えば、複数の)放熱フィン310を有し得る。
【0028】
エンドプレート400は、ミッドプレート300がモータフレーム200の端部210とエンドプレート400との間に挟まれるように、ミッドプレート300に結合され得る。出力シャフトまたはロータ120は、エンドプレート400内の開口部410を貫通する。エンドプレート400は、その中に電子モジュール700を受ける、少なくとも部分的に端部壁460によって画定される空洞420を有してもよく、これは以下でさらに論じる。
【0029】
ファン500は、エンドプレート400がファン500とミッドプレート300との間に挟まれるように、出力シャフトまたはロータ120に結合する。ファン500は、出力シャフトまたはロータ120の回転がファン500を回転するように、出力シャフトまたはロータ120に回転可能に結合される。
【0030】
シュラウドカバー600は、ミッドプレート300、エンドプレート400、およびファン500の上に取り外し可能に配置され得る。シュラウドカバー600は、(例えば、ねじまたはボルトなどの一つ以上の締め具で)モータフレーム200に取り外し可能に取り付けてもよい。
【0031】
モータアセンブリ1000は、モータフレーム200に取り付けられた端末ボックス600をさらに含み得る。端末ボックス600は、エンドプレート400の端末ボックスコネクタ440(
図8を参照)のチャネル430内に延在し、端末ボックス600内の電子機器をエンドプレート400の電子モジュール700(
図8を参照)と電気的に接続できるコネクタワイヤ610を有する。ミッドプレート300およびエンドプレート400は、銅、アルミニウム、または鋳鉄から作製され得る。
【0032】
図2は、電気モータアセンブリ1000で使用する、ケース910の前面913を示す。一実装形態では、ケース910はアルミニウムで作製することができる。しかしながら、ケース910は、他の好適な材料(例えば、他の好適な金属)から作製することができる。ケース910は、以下でさらに論じるように、抵抗器920(
図3を参照)を少なくとも部分的に収容することができる。ケース910は、湾曲した外壁910Aを有する。一実装形態では、湾曲した外壁910Aは、略円形形状を有し得る。ケース910は、湾曲した外壁910Aの少なくとも一部分に沿って一つ以上の(例えば、複数の)締め具開口部911を含み得る。締め具開口部911は、それを通して締め具(例えば、ボルト、ねじ)を受けることができる。
【0033】
ケース910は、湾曲した内壁916を有する。一実装形態では、湾曲した内壁916は、ケース910の中央開口部919(例えば、円形開口部)を画定する円形形状を有する。ケース910は、湾曲した内壁916の少なくとも一部分に沿って、一つ以上の(例えば、複数の)締め具開口部918を含み得る。締め具開口部918は、それを通して締め具(例えば、ボルト、ねじ)を受けることができる。
【0034】
ケース910は、基部表面912A、湾曲した外壁910A、および湾曲した内壁916によっておよびその間に少なくとも部分的に画定される凹部または空洞912を有する。ケース910は、開口部919に近接して湾曲した外壁910Aから基部壁914Bに内側に延在する一対の離間した壁914A(例えば、略平行壁)によって画定されるカットアウトまたはスロット914を含む。
【0035】
図3は、抵抗器920の上面図を示す。抵抗器920は、以下でさらに論じるように、マトリックスコンバータ用の低インダクタンス抵抗器とすることができる。抵抗器920は、マトリックスコンバータのクランプで使用されるクランプ抵抗器であり、クランプ時の電流量を制限することができる。抵抗器920を含まない場合、クランプを通って流れる電流量は、クランプに損傷を与えるように高くなり得る。
【0036】
抵抗器920は、概して円形形状を有し、概して抵抗器920の中心の開口部920Aの周りに延在する。抵抗器920は、リング接続921Aを有する入力コネクタ921と、リング接続922Aを有する出力コネクタ922とを含み得る。抵抗器920は、入力および出力コネクタ921、922からそれぞれ延在し、概して円形外部周囲924を画定する湾曲した蛇行路をたどるコンダクタ素子923A、923Bを含む。コンダクタ素子923A、923Bは、銅または他の適切な導電性材料で作製することができる。
【0037】
コンダクタ素子923A、923Bは、湾曲した蛇行路をたどるにとき、互いに実質的に平行に延在する。
図3に示すように、コンダクタ素子923A、923Bは、コネクタ921、922からコネクタ921、922の反対側の湾曲端部925Bまで延在する第一の弓状経路925Aを画定し、コネクタ921、922に近接する湾曲端部926Bに延在する第二の弓状経路926A(例えば、第一の弓状経路925Aよりも短い)に沿って延在するように折り返す。コンダクタ素子923A、923Bは、湾曲端部926Bから折り返し、第三の弓状経路927A(例えば、第二の弓状経路926Aよりも短い)に沿ってコネクタ921、922の反対側の湾曲端部927Bに延在する。コンダクタ素子923A、923Bは、湾曲端部927Bから折り返し、コネクタ921、922に近接した湾曲端部928Bへ、第四の弓状経路928A(例えば、第三の弓状経路927Aよりも短い)に沿って延在する。コンダクタ素子923A、923Bは、湾曲端部928Bから折り返し、第五の弓状経路929Aに沿って(例えば、第四の弓状経路928Aよりも短い)、コネクタ921、922の反対側の湾曲端部929Bに延在する。コンダクタ素子923A、923Bは、湾曲端部929Bから折り返し、湾曲した蛇行路930Aに沿って端部930Bに延在する。湾曲した蛇行路930Aは、交互のスイッチバック部分931(例えば、三つのスイッチバックターンを有する)および直線部分932を含み得る。
【0038】
一実装形態では、抵抗器920は、コネクタ921、922は、カットアウトまたはスロット914内に延在し、残りの抵抗器920(例えば、第一から第五の弧状経路925A、926A、927A、928A、929Aおよび湾曲した蛇行路930A)は、開口部920Aが概して開口部919にわたって中心に位置するように(例えば、湾曲した蛇行壁930Aが湾曲した内壁916と第五の弓状経路929Aとの間に配置されるように)凹部または空洞912内に配置されるケース910内に収容され得る。別の実装形態では、抵抗器920およびケース910は単一部品(例えばモノリシック)である。例えば、抵抗器920は、ケース910の表面(例えば、基部表面912A)の少なくとも一部分によって画定され得る。別の実装形態では、追加的または代替的に、ケース910およびプレートアセンブリP(例えば、エンドプレート400)は、単一部品(例えば、モノリシック、取り外し可能ではなく、継ぎ目なし)とすることができる。例えば、ケース910は、エンドプレート400の端部壁460の少なくとも一部分によって画定または形成され得る。
【0039】
抵抗器920は、高温電気絶縁体(例えば、一つ以上の薄い電気絶縁体のシート(例えば、テフロン(登録商標)、シリコン、ガラス繊維、ロックウール)で作製することができる。一実施例では、抵抗器素子(例えば、コンダクタ素子923A、923B)は、電気絶縁層またはシートの間に配置され得る。一実施例では、誘電体材料920は、ケース910を封止し、抵抗器アセンブリ900をオイル浴に浸すことを可能にする。
【0040】
図3に示すものを含む特定の実施形態では、抵抗器920は、抵抗器920(例えば、コンダクタ素子923A、923B)が概して単一の平面に沿って延在するように(例えば、平面プロファイルまたはフォームファクタを有する)、実質的に平面(例えば、平坦)とすることができる。コンダクタ素子923A、923Bは、平面または平面のフォームファクタまたはプロファイルを有し得る。抵抗器920の実質的に平面(例えば、平坦)プロファイルまたはフォームファクタは、抵抗器920をケース910の凹部または空洞912に(例えば、中に嵌合して)統合することを可能にする。さらに、抵抗器920およびケース910の略平面プロファイルは、抵抗器アセンブリ900をエンドプレート400の空洞420内に組み込むことを容易にし(例えば、
図7を参照)、モータアセンブリ1000のコンパクトな全体的フォームファクタを維持する。例えば、モータアセンブリ1000の中心軸に沿った抵抗器920およびケース910の厚さは、中心軸に沿ったエンドプレート400内の空洞420の深さよりも実質的に小さくてもよく、その結果、空洞420は抵抗器アセンブリ900を楽に収容することができる。例えば、様々な実施形態で、抵抗器900および/またはケース910の厚さは、エンドプレート400内の空洞420の奥行きの約5、10、15、20、または25パーセント未満であり得る。
【0041】
図4A~4Bは、動作中の抵抗器920の概略図を示す。電流が入力コネクタ921に加えられ、出力コネクタ922を介して出る。電流は、示されるように、湾曲した蛇行様式でコンダクタ素子923A、923Bを通って流れ、ここで、電流は、コンダクタ素子923Aに沿って一方向に流れ、コンダクタ素子923Aに隣接するコンダクタ素子923Bに沿って反対方向に流れる。有利には、コンダクタ素子923A、923Bの湾曲した蛇行経路設定は、コンダクタ素子923A、923Bを流れる電流に応答して生成される磁界を結果として生じ、互いに打ち消し合う。これにより有利には、抵抗器920が低インダクタンスを有するようになり、それによって、クランプ中に抵抗器920にわたって大きな電圧をもたらすことができる寄生インピーダンスを回避する。
【0042】
図4Bは、コンダクタ素子923A、923B内の電流の流れによって生成される磁界が互いに打ち消し合い、結果として低インダクタンスを有する抵抗920を生じるようにコンダクタ素子923Aの一つの方向に流れる電流と、隣接するコンダクタ素子923Bの反対の方向に流れる電流とを示す、
図4Aの抵抗器920の部分拡大図を示す。
【0043】
図5は、コネクタ921、922がカットアウトまたはスロット914内に延在し、コンダクタ素子923A、923Bが上述のように凹部または空洞912内に配置されるように、凹部または空洞912内に配置された抵抗器920(例えば、クランプ抵抗器)を有する、ケース910の前面913の斜視図を示す。誘電体材料940はコンダクタ素子923A、923Bの上に配置され、表面942(例えば、コンダクタ素子923A、923Bのどの部分も可視されないまたは露出しない)を画定し、抵抗器アセンブリ900(例えば、クランプ抵抗器アセンブリ)を画定するために、ケース910の凹部または空洞912を少なくとも部分的に充填(例えば、完全に充填)する。表面942は、湾曲した外壁910Aおよび湾曲した内壁916の縁部と交差する平面と概して同一平面であってもよい。一実装形態では、誘電体材料940はセラミック材料である。しかしながら、他の適切な誘電体材料を使用してもよい。例えば、誘電体材料940は、抵抗器920を凹部または空洞912内に懸架できるエポキシ(ポッティング化合物)とすることができる。
【0044】
図6は、前面913の反対側のケース910の後面915を示す。後面915は、ケース910の湾曲した内壁916と湾曲した外壁910Aとの間に、略環状(例えば、ドーナツ形状)表面917を画定することができる。任意選択で、表面917は実質的に平面である(例えば、平坦である)。より速い開口部911、918は、前面913から後面915に、ケース910を貫通することができる。
【0045】
図7は、エンドプレート400のハブ465がケース910の中央開口部919を貫通するように、外周部外壁450と端部壁460との間に画定されるエンドプレート400の空洞またはチャンバ420内に設置された抵抗器アセンブリ900(例えば、クランプ抵抗器アセンブリ)を有するエンドプレート400を示し、表面917がエンドプレート400の端部壁460と隣接する(例えば、接触して)、および締め具(例えば、ネジ、ボルト)が、ケース910の締め具開口部911、918を貫通し、ケース910をエンドプレート400に(例えば、エンドプレート400の端部壁460に)結合する。入力および出力コネクタ921、922は、電気コネクタまたはケーブルを介して、エンドプレート400内の他の電子機器(例えば、電子モジュール700(以下でさらに論じる)に)接続することができる。
図7に示すように、モジュール472、474、476、478、480、482は、端部壁460上に取り付けられたチャンバ420内で円周方向に配置される。これらのモジュール472、474、476、478、480、482の各々は、二つのダイオードを含んでもよく、それぞれ、ダイオードペア1031/1034、1032/1035、1033/1036、1051/1054、1052/1055、および1053/1056のうちの一つを実装してもよい(
図13を参照)。例えば、一実施形態では、モジュール472は、ダイオードペア1031/1034を実装し、モジュール474は、ダイオードペア1051/1054を実装し、モジュール476は、ダイオードペア1032/1035を実装し、モジュール478は、ダイオードペア1052/1055を実装し、モジュール480は、ダイオードペア1033/1036を実装し、モジュール482は、ダイオードペア1053/1056を実装する。別のモジュール484は、抵抗器アセンブリ910に接続される。モジュール484は、クランプIGBT1043およびクランプダイオード1042を含む。抵抗器アセンブリ910は、
図13に示すように、抵抗器アセンブリ910がクランプダイオード1042と並列にかつクランプIGBT1043と直列に接続されるように、モジュール484の端子に接続される。抵抗器アセンブリ910は、リード921、922を含む抵抗器アセンブリ910上のリードを通してボルトで留めるプリント回路基板を介して、モジュール484上の端子に接続して、適切な接続を確立する。
【0046】
図8は、電気モータアセンブリ1000の駆動モジュールアセンブリ800の分解図を示す。駆動モジュールアセンブリ800は、端部壁460および外周部外壁450によって少なくとも部分的に画定される空洞またはチャンバ420を有する、エンドプレート400を含む。エンドプレート400はまた、エンドプレート400の中心で開口部410を画定するハブ465を有し、また、端末ボックス600のコネクタワイヤ610を受けるチャネル430を有する端末ボックスコネクタ440を含む。コネクタカバー445は、一つ以上の締め具447(例えば、ねじ、ボルト)で端末ボックスコネクタ440に取り付けることができる。駆動モジュールアセンブリ800はまた、チャンバ420内に収容され得る、以下でさらに論じる電子モジュール700を含む。チャンバ420は、概して円形形状を有し、その中に同様の形状の電子モジュール700を受ける。電子モジュール700がチャンバ420内に入ると、チャンバ420は、一つ以上の締め具(例えば、ボルト、ねじ)830を使用して、エンドプレートカバーガスケットまたは絶縁体810およびエンドプレートカバー820の一方または両方で覆われ得る。
【0047】
図9~11は、電子モジュール700の特徴を示す。電子モジュール700は、電気モータアセンブリ1000に結合されたポンプまたは他の回転装置を駆動するために、電気モータアセンブリ1000を動作するための電力および制御機能を提供することができる。電子モジュール700は、円形形状(例えば、中央開口部711を有する環状形状)を有するプリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710を有し得る。電子モジュール700は、中央開口部711がハブ465の周りに配置され、プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710の外縁701が、エンドプレート400の外周部外壁450の内向きに配置されるように、エンドプレート400のチャンバ420内に配置され得る。したがって、電源および制御電子機器がエンドプレート400のチャンバ420に収容されるように、電子機器は、プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710上のハブ465の周りに円周方向に配置され得る。
【0048】
プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710は、多層回路基板またはアセンブリであってもよく、より温度感受性の高い制御電子機器および電力品質キャパシタから、より高温のパワー半導体を有利に絶縁することができる、ファイバーガラスなどの積層材料から構築することができる。例えば、プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710は、電源層、制御層、熱バリアおよびプリント回路基板層を有し得る。
【0049】
電源層は、電気モータ100に電力を供給するように動作可能な、一つ以上の高温電源モジュール(PM1~PM9)718を含み得る。制御層は、電気モータ100に提供される電力を制御するための一つ以上の電力品質または入力フィルタキャパシタ(IFC)703などの、低温制御電子モジュールを含み得る。電源モジュール(PM1~PM9)718は、電力品質または入力フィルタキャパシタ(IFC)703から、プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710(例えば、熱バリアの対向面)の対向面上にあってもよい。熱バリアおよびプリント回路基板層は、電源層と制御層との間にあってもよく、電源プレーンの電源モジュール718と制御層の制御電子モジュール(例えば、電力品質または入力フィルタキャパシタ703)との間に電気接続経路を提供し、これらの構成要素の相互接続を可能にする。プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710はまた、有利には、電源層と制御層との間に断熱を提供する。プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710は、有利には、電源モジュール718、入力フィルタキャパシタ(IFC)703などの制御電子モジュールおよび電気モータ100の出力シャフトまたはロータ120の一つ以上から放射される熱を遮断する、および/または、ファン500からのより高温の空気流が配向されるプリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710の外縁701に配向する。
【0050】
図9を参照すると、電子モジュール700は、一つ以上の(例えば、複数の)電力品質または入力フィルタキャパシタ(IFC)703に加えて、コントローラ702、主電源704、ゲート駆動層706、およびプリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710の一方の面に一つ以上のクランプキャパシタ708を含むことができる。
図10を参照すると、プリント回路基板または電源プレーンアセンブリ710の対向面は、電源モジュール718に加えて、一つ以上の出力クランプダイオード接続712、クランプ絶縁ゲート双極トランジスタ(IGBT)接続714、一つ以上のシャント抵抗器接続716、および一つ以上の入力フィルタキャパシタ(IFC)接続720を含み得る。
【0051】
図11は、エンドプレート400のチャンバ420内に配置された組み立てられた電子モジュール700を示す。電子モジュール700は、一つ以上の入力フィルタキャパシタ703、ゲートドライバ電源728、一つ以上のコントローラカード740、一つ以上のクランプキャパシタ730、732、734、およびクランプ制御回路738、ならびに銅接続736を含む。電子モジュール700は、固定電圧および周波数の多相AC入力を所望の周波数および相の多相AC出力波形に変換するマトリックスコンバータを含み得る。したがって、マトリックスコンバータは、入力AC波形に対して所望の周波数および位相のAC出力波形を合成することができる。電気モータ100などの電気モータが回転する速度は、印加されたAC入力信号の周波数に基づくため、マトリックスコンバータを使用して電気モータ100に給電することにより、可変駆動制御が可能となる。例えば、マトリックスコンバータによって提供されるAC出力波形の周波数を経時的に変更して、それによって所望の速度で電気モータ100を動作させることができる。電子モジュール700は、可変周波数ドライブ(VFD)と同様に動作し、電気モータ100への入力周波数および電圧を制御して、電気モータ100のより正確な速度制御を可能にする(例えば、モータ100が入力線周波数よりも高い速度で動作することを可能にする)組み込みモータドライブ(EMD)を提供する。組み込みモータドライブ(EMD)は、有利には、電気モータアセンブリ1000の信頼性の向上、スループットの向上、およびエネルギー消費の低減をもたらす。
【0052】
電子モジュール700の円形形状は、有利には、エンドプレート400のチャンバ420内に嵌合することを可能にし、その構成要素の製造および設置を容易にする。エンドプレート400がモータフレーム200から取り外され得るため、電子モジュール700のメンテナンス(例えば、欠陥または損傷したトランジスタなどの一つ以上の構成要素を交換する)が単純化される。さらに、電子モジュール700の円形形状によって、既存の電気モータアセンブリを電子モジュール700で改良して、電子モジュール700によって提供される組み込みモータドライブまたは可変周波数ドライブを有するこのようなアセンブリを提供することができる(例えば、電気モータアセンブリの標準サイズのエンドプレートに電子モジュール700を取り付けることによって)。
【0053】
従来の電気モータの欠点の一つは、AC電源の入力周波数に基づいて固定速度で実行されることであり、電気モータに結合されたポンプまたは他の回転装置の回転速度の制御が、機械的構造(例えば、ブレーキ、スロットル弁)を介して提供され、その結果、エネルギーの無駄が生じることである。既存の電気モータの別の欠点は、電気モータの最大速度がAC電源の入力周波数に限定され、それによってポンプの圧力または流れの増加が望まれる場合に、より大きなポンプを設置する必要があることである。
【0054】
マトリックスコンバータは、必要に応じて、モータ入力周波数および電圧を調整して、ACモータの速度およびトルクを制御する、モータ駆動回路のタイプである。例えば、電気モータの可変速度動作は、エネルギー消費量を減少させながら、信頼性およびスループットを向上させることができる。
【0055】
マトリックスコンバータは、多相AC入力電圧を受信し、スイッチアレイのスイッチを経時的に開閉して、それによって所望の周波数および相で多相AC出力電圧を合成する。様々な回路が、制御機能用にマトリックスコンバータで使用される。例えば、プロセッサおよび/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)は、所与の瞬間にどのアレイの特定のスイッチが開放または閉鎖されるかを選択する、変調アルゴリズムに関連する計算に使用されてもよく、スイッチドライバを含んで、DC制御信号をスイッチの制御入力に供給してもよい。
【0056】
マトリックスコンバータはまた、マトリックスコンバータの一つ以上の入力端子をマトリックスコンバータの一つ以上の出力端子にクランプすることによって、負荷エネルギー(例えば、シャットダウン中に発生する過電圧状態)を消費するクランプ回路を含み得る。クランプ回路を含むことは、例えば、過剰な負荷電流のため、ならびに/または、過電流およびシャットダウン状態を処理するために、放電経路を提供することによって、頑健性を増強する。
【0057】
本明細書の特定の実施形態では、マトリックスコンバータは、多相AC入力電圧を受信するAC入力と、負荷に多相AC出力電圧を提供するAC出力とを有するスイッチのアレイを含む。マトリックスコンバータは、アレイの個々のスイッチを解放するか、または閉鎖する制御回路、およびアレイのAC入力とAC出力との間に接続され、過電圧状態に応答して負荷のエネルギーを消費するように動作可能なクランプ回路をさらに含む。クランプ回路は、制御回路用のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源を含む。
【0058】
この方法でマトリックスコンバータを実装すると、AC入力電源が失われているかまたは品質が悪い場合に、より長い時間にわたって制御回路を維持する能力を含む、いくつかの利点が提供される。
【0059】
図12は、一実施形態によるマトリックスコンバータ1030の概略図である。マトリックスコンバータは、入力フィルタ1001、スイッチのアレイ1002、クランプ回路1003、制御回路1004、3相AC入力端子1005、および3相AC出力端子1006を含む。
【0060】
図示した実施形態では、入力フィルタ1001は、3相AC入力端子1005で受信された3相AC入力電圧をフィルタリングして、スイッチのアレイ1002に対してフィルタリングされた3相AC入力電圧を生成する役割を果たす、インダクタ-キャパシタ(LC)フィルタとして実装される。3相AC入力電圧は、例えば、電力グリッドから受信され、それぞれが約120°の相分離および所望の電圧振幅(例えば、240Vまたは他の所望の電圧)を有する三つのAC入力電圧波形に対応することができる。
【0061】
図12に示すように、入力フィルタ1001は、第一のAC入力端子と、スイッチのアレイ1002への第一のAC入力との間に接続された第一のインダクタ1011、第二のAC入力端子と、スイッチのアレイ1002への第二のAC入力との間に接続された第二のインダクタ1012、および第三のAC入力端子と、スイッチのアレイ1002への第三のAC入力との間に接続された第三のインダクタ1013を含む。入力フィルタ1001は、第一のAC入力と、スイッチのアレイ1002の第二のAC入力との間に電気的に接続された第一のキャパシタ1015、第二のAC入力と、スイッチのアレイ1002の第三のAC入力との間に電気的に接続された第二のキャパシタ1016、および第一のAC入力と、スイッチのアレイ1002の第三のAC入力との間に電気的に接続された第三のキャパシタ1017をさらに含む。
【0062】
入力フィルタ1001を含むことは、起動中のプリチャージおよび/または突入電流に対する保護を提供するなど、いくつかの利点を提供する。入力フィルタの一実装形態が図示されているが、マトリックスコンバータは、多種多様なタイプの入力フィルタを用いて実装することができる。したがって、他の実装形態も可能である。
【0063】
制御回路1004は、スイッチのアレイ1002の個々のスイッチを経時的に開閉し、それによって、3相AC入力電圧に対する所望の周波数および相で3相AC出力端子1006に3相AC出力電圧を提供する。制御回路1004は、制御機能のための様々な回路を含み得る。第一の例では、制御回路1004は、所与の瞬間に、アレイ1002のどの特定のスイッチが開放または閉鎖されるかを選択するために使用される変調アルゴリズムに関連する計算のためのプロセッサおよび/またはFPGAを含み得る。第二の実施例では、制御回路1004は、アレイ1002のスイッチにDC制御信号を提供するスイッチドライバを含んで、それにより、必要に応じて、スイッチを開放または閉鎖し得る。
【0064】
クランプ回路1003は、スイッチのアレイ1002のAC入力とAC出力との間に電気的に接続され、マトリックスコンバータ1030の一つ以上の入力端子をマトリックスコンバータ1030の一つ以上の出力端子にクランプすることによって、マトリックスコンバータ1030のシャットダウン中または他の過電圧状態の間にエネルギーを消費するように動作する。クランプ回路1003を含むことは、例えば、過剰な負荷電流のため、ならびに/または、過電流およびシャットダウン状態を処理するために放電経路を提供することによって、堅牢性を強化する。例えば、クランプ回路1003は、シャットダウン中の負荷電流に対するフリーホイール経路および/または過電流に対する電流経路を防止できる。
【0065】
図示した実施形態では、クランプ回路1003は、制御回路1004用のDC電力を生成する役割を果たす、スイッチモード電源1020を含む。特定の実装形態では、スイッチモード電源1020への供給電圧入力は、クランプ回路1003の少なくとも一つの内部ノードに直接接続される。例えば、クランプ回路1003の第一の内部ノードは、スイッチモード電源1020に入力電圧を供給する働きをしてもよく、一方で、クランプ回路1003の第二の内部ノードは、スイッチモード電源1020への接地電圧として働き得る。
【0066】
スイッチモード電源は、電力を効率的に変換するためにスイッチングレギュレータを組み込む電子電源である。例えば、スイッチモード電源は、高頻度でオン/オフされるスイッチング装置、およびスイッチング装置が非導電状態にある時に給電するための、例えば、コイルまたはキャパシタなどのストレージ構成要素を使用して、電力を変換することができる。
【0067】
クランプ回路1003のノードからスイッチモード電源1020に入力電圧を提供することは、制御回路1004を、AC入力電力が失われているか、または品質が悪い時により長い時間にわたってオンに維持する能力を含む、いくつかの利点を提供する。
【0068】
図13は、マトリックスコンバータ用のクランプ回路1070の一実施形態の概略図である。クランプ回路1070は、スイッチモード電源1020と、第一の入力クランプダイオード1031と、第二の入力クランプダイオード1032と、第三の入力クランプダイオード1033と、第四の入力クランプダイオード1034と、第五の入力クランプダイオード1035と、第六の入力クランプダイオード1036と、クランプキャパシタ1038と、クランプ抵抗器1041、クランプダイオード1042、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)1043と、放電起動回路1044と、第一の出力クランプダイオード1051、第二の出力クランプダイオード1052、第三の出力クランプダイオード1053と、第四の出力クランプダイオード1054と、第五の出力クランプダイオード1055と、第六の出力クランプダイオード1056と、を含む。
【0069】
マトリックスコンバータ用のクランプ回路の一実施形態が図示されているが、本明細書の教示は、幅広い方法で実装されるクランプ回路に適用される。したがって、他の実装形態も可能である。
【0070】
クランプ回路1070は、スイッチのアレイのAC入力に接続する第一のグループの端子1061~1063と、スイッチのアレイのAC出力に接続する第二のグループの端子1064~1066とを含む。第一のグループの端子1061~1063は、第一の端子1061、第二の端子1062、および第三の端子1063を含む。さらに、第二のグループの端子1064~1066は、第四の端子1064、第五の端子1065、および第六の端子1066を含む。
【0071】
図13に示すように、入力クランプダイオード1031~1036は、第一の放電ノード1057および第二の放電ノード1058をAC入力1061~1063に接続する入力ダイオードアレイとして機能し、一方、出力クランプダイオード1051~1056は、第一の放電ノード1057および第二の放電ノード1056をAC出力1064~1066に接続する出力ダイオードアレイとして機能する。
【0072】
図示した実施形態では、第一の入力クランプダイオード1031、第二の入力クランプダイオード1032、および第三の入力クランプダイオード1033は、それぞれ第一の端子1061、第二の端子1062、および第三の端子1063に電気的に接続された陽極を含む。追加で、第一の入力クランプダイオード1031、第二の入力クランプダイオード1032、および第三の入力クランプダイオード1033の各々は、第一の放電ノード1057に電気的に接続された陰極を含む。さらに、第四の入力クランプダイオード1034、第五の入力クランプダイオード1035、および第六の入力クランプダイオード1036は、それぞれ第一の端子1061、第二の端子1062、および第三の端子1063に電気的に接続された陰極を含む。追加で、第四の入力クランプダイオード1034、第五の入力クランプダイオード1035、および第六の入力クランプダイオード1036の各々は、第二の放電ノード1058に電気的に接続された陽極を含む。さらに、クランプキャパシタ1038は、第一の放電ノード1057と第二の放電ノード1058との間に電気的に接続される。
【0073】
図13を引き続き参照すると、クランプ抵抗器1041は、第一の放電ノード1057と第二の放電ノード1058との間の放電経路において、IGBT1043と直列に電気的に接続される。IGBT1043は、放電装置の一例を示すが、放電装置の他の実装形態を使用してもよい。
【0074】
クランプ抵抗器1041は、限定されるものではないが、
図1~11を参照して上で論じたクランプ抵抗器の実施形態のいずれかを使用することを含む、幅広い方法で実装することができる。例えば、本明細書の教示に従って低インダクタンスでクランプ抵抗器1041を実装すると、クランプ中にクランプ抵抗器1041にわたって大きな電圧が発生することが抑制される。
【0075】
図示した実施形態では、IGBT1043のゲートは、放電起動回路1044によって制御される。特定の実装形態では、放電起動回路1044は、第一の放電ノード1057と第二の放電ノード1058との間の電圧差の監視に基づいて、IGBT1043を選択的にオンにする。例えば、放電起動回路1044は、第一の放電ノード1057と第二の放電ノード1058との間の電圧差が過電圧状態を示すとき、IGBT1043を起動できる。特定の実装形態では、放電起動回路1044は、過電圧が検出されたかどうかを示す過電圧感知信号を制御回路に提供する。
【0076】
図13に示すように、クランプダイオード1042は、クランプ抵抗器1041と並列に接続され、クランプダイオード1042の陽極は放電経路に沿って中間ノード1059に電気的に接続される。追加で、クランプダイオード1042の陰極は、第一の放電ノード1057に電気的に接続される。クランプダイオード1042は、IGBT1043(または他の半導体放電装置)のクランプ抵抗器1041の寄生インダクタンスへの急速なスイッチングによって生成される任意の誘導性電圧スパイクのフリーホイール経路としての役割を果たす。
【0077】
図示した実施形態では、スイッチモード電源1020は、第一の放電ノード1057と第二の放電ノード1058との間の電圧差に対応する入力供給電圧を受信し、マトリックスコンバータの制御回路に給電するDC安定化出力電圧を生成する。例えば、第二の放電ノード1058は、スイッチモード電源1020への接地電圧として機能してもよく、一方、第一の放電ノード1057は、スイッチモード電源1020への入力供給電圧として機能してもよい。特定の実装形態では、スイッチモード電源1020は、少なくとも250V DC~1000V DCの電圧範囲にわたって動作可能であり、それによって、第一の放電ノード1057および/または第二の放電ノード1058の電圧の変動の存在下で性能を向上させる。
【0078】
図13に示すように、第一の出力クランプダイオード1051、第二の出力クランプダイオード1052、および第三の出力クランプダイオード1053は、それぞれ第四の端子1064、第五の端子1065、および第六の端子1066に電気的に接続された陽極を含む。追加で、第一の出力クランプダイオード1051、第二の出力クランプダイオード1052、および第三の出力クランプダイオード1053の各々は、第一の放電ノード1057に電気的に接続された陰極を含む。さらに、第四の出力クランプダイオード1054、第五の出力クランプダイオード1055、および第六の出力クランプダイオード1056は、それぞれ第四の端子1064、第五の端子1065、および第六の端子1066に電気的に接続された陰極を含む。追加で、第四の出力クランプダイオード1054、第五の出力クランプダイオード1055、および第六の出力クランプダイオード1056のそれぞれは、第二の放電ノード1058に電気的に接続された陽極を含む。
【0079】
図14は、マトリックスコンバータの回路1100の一部分の一実施形態の概略図である。回路1100は、スイッチのアレイ1102、アレイ1102の双方向スイッチ1107a~1107iを駆動するスイッチスイッチドライバ1106a~1106i、スイッチドライバ1106a~1106iへの入力制御信号を生成する制御回路1104、スイッチドライバ1106a~1106iに給電する絶縁DC-DCコンバータ1105a~1105i、および制御回路1104および絶縁DC-DCコンバータ1105a~1105iに給電するスイッチモード電源1020を含む。
【0080】
図14に示すように、スイッチのアレイ1102は、第一のAC入力1121と第一のAC出力1124との間に接続された第一の双方向スイッチ1107aと、第一のAC入力1121と第二のAC出力1125との間に接続された第二の双方向スイッチ1107bと、第一のAC入力1121と第三のAC出力1126との間に接続された第三の双方向スイッチ1107cと、第二のAC入力1122と第一のAC出力1124との間に接続された第四の双方向スイッチ1107dと、第二のAC入力1122と第二のAC出力1125との間に接続された第五の双方向スイッチ1107eと、第二のAC入力1122と第三のAC出力1126との間に接続された第六の双方向スイッチ1107fと、第三のAC入力1123と第一のAC出力1124との間に接続された第七の双方向スイッチ1107gと、第三のAC入力1123と第二のAC出力1125との間に接続された第八の双方向スイッチ1107hと、第三のAC入力1123と第三のAC出力1126との間に接続された第九の双方向スイッチ1107iとを含む。
【0081】
双方向スイッチ1107a~1107iは、正および負の両方の電流を流す働きをし、正および負の両方の電圧を遮断することができるように実装される。
【0082】
図14に示すように、双方向スイッチ1107a~1107iの各々は、一対のスイッチ制御信号を受信する。具体的には、双方向スイッチ1107a~1107iは、スイッチドライバ1106a~1106iからそれぞれ第一から第九の対のスイッチ制御信号を受信する。スイッチドライバ1106a~1106iは、制御回路1104から第一から第九の対の入力信号を受信する。入力信号の状態を経時的に制御することによって、制御回路1104は、Venturini変調、Alesina変調、スカラー変調、架空のDCリンク変調、および/または空間ベクトル変調器などの所望の変調アルゴリズムを達成する。さらに、制御回路1104は、電流転流および/または他の所望のスイッチング特性を提供する入力信号を生成する。
【0083】
図示した実施形態では、スイッチモード電源1020は、クランプ回路(
図14には図示せず)の内部ノードから入力電圧を受信し、制御回路1104に給電するDC電圧を生成する。追加で、DC電圧は、それぞれ、絶縁DC-DCコンバータ1105a~1105iへの入力として機能する。絶縁DC-DCコンバータ1105a~1105iは、それぞれ第一から第九のDC電圧をスイッチドライバ1106a~1106iに順に提供する。絶縁DC-DCコンバータ1105a~1105iは、限定されるものではないが、フライバックコンバータとしてなどを含む、幅広い方法で実装することができる。
【0084】
図15A-15Cは、マトリックスコンバータのスイッチのアレイに対する、双方向スイッチの様々な実施形態を示す。双方向スイッチの様々な例が示されているが、本明細書の教示は、幅広い方法で実装された双方向スイッチに適用可能である。
【0085】
図15Aは、一実施形態による双方向スイッチ1600の概略図である。双方向スイッチ1600は、第一のIGBT1601、第二のIGB2 1602、第一のダイオード1603、および第二のダイオード1604を含む。双方向スイッチ1600は、共通エミッタの連続IGBT構成に配置される。
【0086】
図15Aに示すように、第一のIGBT 1601のゲートは第一の制御信号CTL1を受信し、第二のIGBT 1602のゲートは第二の制御信号CTL2を受信する。追加で、第一のIGBT1601のコレクタは、第一のダイオード1603の入力端子INおよび陰極に電気的に接続され、第一のIGBT1601のエミッタは、第二のIGBT1602のエミッタならびに第一のダイオード1603および第二のダイオード1604の陽極に電気的に接続される。さらに、第二のIGBT1602のコレクタは、出力端子OUTおよび第二のダイオード1604の陰極に電気的に接続される。
【0087】
図15Bは、別の実施形態による双方向スイッチ1620の概略図である。双方向スイッチ1620は、第一のIGBT1621、第二のIGBT1622、第一のダイオード1623、および第二のダイオード1624を含む。双方向スイッチ1620は、共通コレクタの連続IGBT構成に配置される。
【0088】
図15Bに示すように、第一のIGBT1621のゲートは第一の制御信号CTL1を受信し、第二のIGBT1622のゲートは第二の制御信号CTL2を受信する。追加で、第一のIGBT1621のエミッタは、第一のダイオード1623の入力端子INおよび陽極に電気的に接続され、第一のIGBT1621のコレクタは、第二のIGBT1622のコレクタならびに第一のダイオード1623および第二のダイオード1624の陰極に電気的に接続される。さらに、第二のIGBT1622のエミッタは、第二のダイオード1624の出力端子OUTおよび陽極に電気的に接続される。
【0089】
図15Cは、別の実施形態による双方向スイッチ1640の概略図である。双方向スイッチ1640は、第一の双方向IGBT1641および第二の双方向IGBT1642を含む。双方向スイッチ1640は、逆ブロックIGBT構成に配置される。
【0090】
図15Cに示すように、第一の双方向IGBT1641のゲートは第一の制御信号CTL1を受信し、第二の双方向IGBT1642のゲートは第二の制御信号CTL2を受信する。追加で、第一の双方向IGBT1641のコレクタ/エミッタは、入力端子INおよび第二の双方向IGBT1642のエミッタ/コレクタに電気的に接続され、第一の双方向IGBT1641のエミッタ/コレクタは、出力端子OUTおよび第二の双方向IGBT1642のコレクタ/エミッタに電気的に接続される。したがって、第一の双方向IGBT1641および第二の双方向IGBT1642は、逆平行に配置される一対のスイッチング装置としての役割を果たす。
【0091】
図15A-15Cに関して、第一の制御信号CTL1および第二の制御信号CTL2は、スイッチドライバによって提供される。追加で、入力端子INはスイッチアレイのAC入力に結合され、一方で出力端子OUTはスイッチアレイのAC出力に結合される。
【0092】
図16は、別の実施形態によるマトリックスコンバータ1700の概略図である。マトリックスコンバータ1700は、モータ1718に電力を供給し、入力フィルタ1701、スイッチのアレイ1702、クランプ回路1703、制御回路1704、3相AC入力端子1705、3相AC出力端子1706、入力電圧変換器1711、絶縁DC-DCコンバータ1712、スイッチドライバ1713、放熱板1714、出力電流変換器1715、電流方向センサ1716、およびシャフト位置センサ1717を含む。
【0093】
図16に示すように、クランプ回路1703は、制御回路1704に給電し、絶縁DC-DCコンバータ1712への入力電圧として機能する、DC安定化電圧を生成するスイッチモード電源1720を含む。絶縁DC-DCコンバータ1712(例えば、フライバックコンバータ)は、スイッチドライバ1713に給電するDC電圧を出力する。
【0094】
図16を引き続き参照すると、制御回路1714は、シリアルインターフェースまたはバスなどのインターフェースに電気的に接続される。インターフェースは、ネットワークに接続して、マトリックスコンバータ1700およびモータ1718にわたる遠隔制御を容易にすることができる。追加で、制御回路1714は、データをデジタル処理するデジタル処理回路1731(例えば、プロセッサおよび/またはFPGA)、およびアナログデジタル変換およびデジタルアナログ変換作業を提供するデータコンバータ1732を含む。例えば、データコンバータ1732は、図示したセンサおよび変換器から受信した信号の変換を提供する役割を果たすことができる。
【0095】
制御回路1714は、マトリックスコンバータ1700の動作条件を示す様々な信号を受信する。例えば、図示した実施形態では、制御回路1714が、入力電圧変換器1711からの入力電圧感知信号と、クランプ回路1703からの過電圧感知信号(例えば、クランプ回路1703の放電起動回路から)と、放熱板1714からの温度感知信号と、出力電流変換器1715からの出力電流感知信号と、電流方向センサ1716からの電流方向感知信号と、シャフト位置センサ1717からのシャフト位置感知信号と、を受信する。
【0096】
このようなセンサを有するマトリックスコンバータ1700を実装すると、過電流トリップ保護、過電圧トリップ保護、熱トリップ保護、および/またはモータ1718の回転、トルク、および/または速度にわたる強化された制御などのいくつかの機能が提供される。
【0097】
特定の実施形態が説明されているが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際に、本明細書に記載される新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載するシステムおよび方法における様々な省略、置換および変更は、本開示の趣旨から逸脱することなく行われてもよい。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本開示の範囲および精神の範囲内に入るような形態または修正を網羅することが意図される。したがって、範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義される。
【0098】
特定の態様、実施形態、または実施例と併せて記載される特徴、材料、特性、または群は、矛盾しない限り、本セクションまたは本明細書の他の場所で記載される任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示された全ての特徴(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)、および/またはそのように開示された任意の方法またはプロセスの全てのステップは、このような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。保護は、前述の実施形態のいずれかの詳細に限定されるものではない。保護は、本明細書に開示された特徴(任意の付随する特許請求の範囲、要約および図面を含む)の任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせ、あるいはそのように開示される任意の方法もしくはプロセスの任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせにまで及ぶ。
【0099】
さらに、別個の実装形態の文脈において本開示で説明される特定の特徴は、単一の実装形態で組み合わせて実装され得る。逆に、単一の実装形態の文脈で説明されるさまざまな特徴はまた、複数の実装形態、または任意の適切な部分組み合わせで実装され得る。さらに、特定の組み合わせに作用するように特徴を上記に説明することができるが、特許請求された組み合わせからの一つ以上の特徴は、いくつかの場合において、組み合わせから切り離されることができ、組み合わせは部分組み合わせまたは部分組み合わせの変形として特許請求され得る。
【0100】
さらに、動作は図面に描写されてもよく、または明細書に特定の順序で記述されてもよいが、こうした動作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序で、または順次実行される、あるいはすべての動作が実行される必要はない。図示または説明されていない他の動作を、例示的な方法およびプロセスに組み込むことができる。例えば、一つ以上の追加の動作を、記載した動作のいずれかの前、後、同時に、またはその間に実施することができる。さらに、動作は、他の実装形態で再構成または並べ替えされてもよい。当業者であれば、一部の実施形態では、図示および/または開示されるプロセスにおいてとられる実際のステップは、図に示されるものとは異なる場合があることを認識するであろう。実施形態に応じて、上述の特定のステップは除去されてもよく、その他のステップは追加されてもよい。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および属性は、異なる方法で組み合わせて、追加的な実施形態を形成してもよく、それらすべては本開示の範囲内である。また、上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてこのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載される構成要素およびシステムは、概して、単一の製品に統合され得るか、または複数の製品へとパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0101】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載されている。必ずしも、こうした利点の全てが、任意の特定の実施形態に従って達成されうるとは限らない。したがって、例えば、当業者は、本開示は、本明細書に教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点または一群の利点を達成する様式で具現化または実施されうることを認識するであろう。
【0102】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」等の条件付き文言は、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き文言は、特徴、要素、および/またはステップが、一つ以上の実施形態に何らかの方法で必要とされること、または一つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、および/またはステップが、任意の特定の実施形態に含まれるか、または任意の特定の実施形態で実施されるかどうかを決定するための論理を、ユーザ入力またはプロンプトと共にまたはそれ無しで、必ず含むと意味することを、一般的に意図するものではない。
【0103】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ(at least one of X, Y, and Z)」などの連言的文言は、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを伝えるのに一般的に用いられる文脈とともに、別途解釈されるものである。従って、こうした連言的文言は、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つの存在を必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」などの、本明細書で使用される度合いの文言は、所望の機能を依然として実行するか、または所望の結果を達成する、所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表す。例えば、用語「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」は、所定の量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、および0.01%未満である量を指し得る。別の例として、特定の実施形態では、用語「概して平行な」および「実質的に平行な」は、15度、10度、5度、3度、1度、または0.1度以下だけ、正確に平行から逸脱する値、量、または特性を指す。
【0105】
本開示の範囲は、本セクションまたは本明細書の他の場所での好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本セクションまたは本明細書の他の場所で提示されるか、または将来提示される特許請求の範囲によって定義され得る。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲において用いられる文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載される例、または出願の経過中に記載される例に限定されないが、その例は非排他的であると解釈されるべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
電気モータのモータ駆動回路として構成されたマトリックスコンバータであって、
多相AC入力電圧を受信するように構成された複数のAC入力、および多相AC出力電圧を出力するように構成された複数のAC出力を含むスイッチのアレイと、
前記多相AC入力電圧から前記多相AC出力電圧を合成するために前記スイッチのアレイを制御するように構成された制御回路と、
前記複数のAC入力と前記複数のAC出力との間に電気的に接続されたクランプ回路であって、前記制御回路のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源を含む、クランプ回路と、を備える、マトリックスコンバータ。
[C2]
前記クランプ回路が、第一の放電ノードと第二の放電ノードとの間に放電装置と直列のクランプ抵抗器を備える、C1に記載のマトリックスコンバータ。
[C3]
前記スイッチモード電源が、前記第一の放電ノードと前記第二の放電ノードとの間に電気的に接続されている、C2に記載のマトリックスコンバータ。
[C4]
前記クランプ抵抗器が、それを通して電流を流すための電流経路を含み、前記電流経路が、前記電流を実質的に反対の方向に流し、それによって磁界の解消をもたらす、第一の部分および第二の部分を含む、C2に記載のマトリックスコンバータ。
[C5]
前記クランプ回路が、
それぞれが、前記AC入力のそれぞれ一つに電気的に接続された陽極と、前記第一の放電ノードに電気的に接続された陰極とを有する、第一の複数の入力ダイオードと、
それぞれが、前記AC入力のそれぞれ一つに電気的に接続された陰極と、前記第二の放電ノードに電気的に接続された陽極とを有する、第二の複数の入力ダイオードと、
それぞれが、前記AC出力のそれぞれ一つに電気的に接続された陽極と、前記第一の放電ノードに電気的に接続された陰極とを有する、第一の複数の出力ダイオードと、
それぞれが、前記AC出力のそれぞれ一つに電気的に接続された陰極と、前記第二の放電ノードに電気的に接続された陽極とを有する、第二の複数の出力ダイオードと、をさらに備える、C2に記載のマトリックスコンバータ。
[C6]
前記クランプ回路が、前記クランプ抵抗器を通して放電経路を選択的に起動するため前記放電装置への入力を制御するように構成された放電起動回路をさらに備える、C2に記載のマトリックスコンバータ。
[C7]
前記クランプ抵抗器と並列に電気的に接続されたダイオードをさらに備える、C2に記載のマトリックスコンバータ。
[C8]
前記制御回路が、前記DC供給電圧によって給電されるデジタル処理回路を備える、C1に記載のマトリックスコンバータ。
[C9]
前記スイッチのアレイが、前記複数のAC入力と前記複数のAC出力との間に電気的に接続された複数の双方向スイッチを備え、前記マトリックスコンバータが、それぞれ前記複数の双方向スイッチのそれぞれ一つを制御するように構成された複数のドライバ回路をさらに備える、C1に記載のマトリックスコンバータ。
[C10]
前記制御回路が、前記DC供給電圧によって給電され、前記複数のドライバ回路に複数の入力信号を提供するように動作可能なデジタル処理回路を備える、C9に記載のマトリックスコンバータ。
[C11]
前記DC供給電圧を受信するようにそれぞれ構成された複数の絶縁DC-DCコンバータをさらに備え、前記複数の絶縁DC-DCコンバータが、前記ドライバ回路のそれぞれ一つに対して変換されたDC電圧を生成するようそれぞれ構成される、C9に記載のマトリックスコンバータ。
[C12]
マトリックスコンバータにDC電源を供給する方法であって、
制御回路を使用してスイッチのアレイを制御して、多相AC入力電圧からの多相AC出力電圧を合成することと、
過電圧状態に応答して、前記スイッチのアレイの複数のAC出力と複数のAC入力との間に接続されたクランプ回路を起動させることと、
前記クランプ回路のスイッチモード電源を使用して、前記制御回路のDC供給電圧を生成することと、を含む、方法。
[C13]
前記クランプ回路の第一の放電ノードと第二の放電ノードとの間で前記スイッチモード電源を接続することをさらに含む、C12に記載の方法。
[C14]
前記クランプ回路を起動することが、クランプ抵抗器と放電装置の直列組み合わせを介して、前記第一の放電ノードから前記第二の放電ノードに電流を放電することをさらに含む、C13に記載の方法。
[C15]
前記第一の放電ノードと前記第二の放電ノードとの間の電圧差を閾値電圧と比較することに基づいて、前記放電装置を選択的にオンにすることをさらに含む、C14に記載の方法。
[C16]
前記制御回路を使用して前記スイッチのアレイを制御することが、制御回路を使用して複数のスイッチドライバに複数の入力信号を提供する前記複数のスイッチドライバを使用して、前記アレイの複数の双方向スイッチを制御すること、および前記DC供給電圧を使用して前記制御回路に給電することを含む、C12に記載の方法。
[C17]
前記DC供給電圧を、複数の絶縁DC-DCコンバータのそれぞれに供給することと、前記複数のスイッチドライバの各々に、前記絶縁DC-DCコンバータのそれぞれ一つから変換されたDC電圧で給電することと、をさらに含む、C16に記載の方法。
[C18]
複数のAC入力および複数のAC出力を有するスイッチアレイであって、前記スイッチアレイが複数の双方向スイッチを備える、スイッチアレイと、
各々、前記複数の双方向スイッチのそれぞれ一つを制御するように構成された複数のドライバ回路と、
複数の入力信号を前記複数のドライバ回路に提供するように構成された制御回路と、 前記複数のAC入力と前記複数のAC出力との間に電気的に接続されたクランプ回路であって、前記制御回路のDC供給電圧を生成するように動作可能なスイッチモード電源を含む、クランプ回路と、を備える、マトリックスコンバータ。
[C19]
前記スイッチモード電源が、前記クランプ回路の第一の放電ノードと第二の放電ノードとの間に電気的に接続され、前記クランプ回路が、前記第一の放電ノードと前記第二の放電ノードを前記複数のAC入力に接続する入力ダイオードアレイ、および前記第一の放電ノードと前記第二の放電ノードを前記複数のAC出力に接続する出力ダイオードアレイをさらに備える、C18に記載のマトリックスコンバータ。
[C20]
それぞれが前記DC供給電圧を受信し、前記ドライバ回路のそれぞれ一つに対して変換されたDC電圧を生成するように構成された複数の絶縁DC-DCコンバータをさらに備える、C18に記載のマトリックスコンバータ。