(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】通信制御方法、ユーザ装置、プロセッサ及び基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 76/40 20180101AFI20241015BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20241015BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20241015BHJP
【FI】
H04W76/40
H04W4/06 150
H04W72/0457 110
(21)【出願番号】P 2023027530
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2022526626の分割
【原出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2020093497
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/241663(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0094670(US,A1)
【文献】国際公開第2017/046977(WO,A1)
【文献】Juniper Networks, BBC,"Alignment on the use of terminologies for delivery methods",3GPP TSG-SA WG2 Meeting #139-e S2-2004162,[online],2020年05月22日,pages 1-23,[retrieved on 2023-01-12], <URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_139e_Electronic/Docs/S2-2004162.zip>
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,"KI #1, Sol #3: Update to address editor´s notes",3GPP TSG-SA WG2 Meeting #139-e S2-2004185,[online],2020年05月22日,pages 1-10,[retrieved on 2023-01-12], <URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_139e_Electronic/Docs/S2-2004185.zip>
【文献】Qualcomm Incororporated,"Solution to KI#9: Service layer continuity between E-UTRAN/EPC MBMS and NR/5GC MBS.",3GPP TSG-SA WG2 Meeting #139-e S2-2004229,[online],2020年05月22日,pages 1-2,[retrieved on 2023-01-12], <URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_139e_Electronic/Docs/S2-2004229.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信制御方法であって、
ユーザ装置が、MBS(Multicast and Broadcast Service)配信のために構成されるマルチキャスト無線ベアラとPTP(Point-to-Point)ロジカルチャネルとの関連付けを設定する第1設定情報を、基地局から受信することと、
前記ユーザ装置が、前記第1設定情報に基づいて、前記PTPロジカルチャネルを前記マルチキャスト無線ベアラのPDCPエンティティに関連付けることと、を含む
通信制御方法。
【請求項2】
前記ユーザ装置が、前記マルチキャスト無線ベアラとPTM(Point-to-Multipoint)ロジカルチャネルとの関連付けを設定する第2設定情報を、前記基地局から受信することと、
前記ユーザ装置が、前記第2設定情報に基づいて、前記PTMロジカルチャネルを前記PDCPエンティティに関連付けることと、
前記基地局が、前記ユーザ装置に対する前記MBS配信を、前記PTMロジカルチャネルと前記PTPロジカル
チャネルとの間
で動的に切り替えることをさらに含む
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
ユーザ装置であって、
MBS(Multicast and Broadcast Service)配信のために構成されるマルチキャスト無線ベアラとPTP(Point-to-Point)ロジカルチャネルとの関連付けを設定する第1設定情報を基地局から受信する受信部と、
前記第1設定情報に基づいて、前記PTPロジカルチャネルを前記マルチキャスト無線ベアラのPDCPエンティティに関連付ける制御部と、を備える
ユーザ装置。
【請求項4】
ユーザ装置を制御するプロセッサであって、
MBS(Multicast and Broadcast Service)配信のために構成されるマルチキャスト無線ベアラとPTP(Point-to-Point)ロジカルチャネルとの関連付けを設定する第1設定情報を基地局から受信する処理と、
前記第1設定情報に基づいて、前記PTPロジカルチャネルを前記マルチキャスト無線ベアラのPDCPエンティティに関連付ける処理と、を実行する
プロセッサ。
【請求項5】
基地局であって、
MBS(Multicast and Broadcast Service)配信のために構成されるマルチキャスト無線ベアラとPTP(Point-to-Point)ロジカルチャネルとの関連付けを設定する第1設定情報をユーザ装置に送信する送信部を備える
基地局。
【請求項6】
前記送信部は、前記マルチキャスト無線ベアラとPTM(Point-to-Multipoint)ロジカルチャネルとの関連付けを設定する第2設定情報を、前記
ユーザ装置に送信し、
前記基地局は、前記ユーザ装置に対する前記MBS配信を、前記PTMロジカルチャネルと前記PTPロジカル
チャネルとの間
で動的に切り替える制御部をさらに備える
請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
請求項1に記載の通信制御方法をユーザ装置に実行させる
プログラム。
【請求項8】
請求項3に記載のユーザ装置と、基地局とを備える
移動通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおける通信制御方法、ユーザ装置、プロセッサ及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ)において、第5世代(5G)の無線アクセス技術に位置付けられるNR(New Radio)の標準化が進められている。
【0003】
現状のNRの仕様には、MBS(Multicast and Broadcast Services)サービスについての仕組みが規定されていないが、MBSサービスを導入するための議論が3GPPにおいて開始されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
第1の態様に係る通信制御方法は、ユーザ装置が、PTM(Point-to-Multipoint)無線ベアラを介して、MBS(Multicast and Broadcast Services)サービスに属するデータパケットを受信することと、前記ユーザ装置が、前記MBSサービスに属するデータパケットを受信するためのPTP(Point-to-Point)データパスと前記PTM無線ベアラとの関連付けを設定する設定情報を、基地局から受信することと、前記ユーザ装置が、前記設定情報に基づいて、前記PTPデータパスを前記PTM無線ベアラに関連付けることと、を含む。
【0006】
第2の態様に係るユーザ装置は、PTM(Point-to-Multipoint)無線ベアラを介して、MBS(Multicast and Broadcast Services)サービスに属するデータパケットを受信する受信部と、制御部とを備える。前記受信部は、前記MBSサービスに属するデータパケットを受信するためのPTP(Point-to-Point)データパスと前記PTM無線ベアラとの関連付けを設定する設定情報を基地局から受信する。前記制御部は、前記設定情報に基づいて、前記PTPデータパスを前記PTM無線ベアラに関連付ける。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、基地局200の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、ユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、MBSサービスを受信するための一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る基本動作のシーケンスを示す図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係るPTP無線ベアラとPTM無線ベアラとの関連付けを示す図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係るPTPロジカルチャネルとPTM無線ベアラとの関連付けを示す図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る動作パターン1の動作を説明する図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る動作パターン2の動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る動作パターン3の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
サービス継続性の観点から、ユーザ装置に対するMBSサービスの配信を、PTM(Point-to-Multipoint)伝送とPTP(Point-to-Point)伝送との間に適切に切り替えることが望ましい。
【0009】
そこで、本開示は、MBSサービスの配信をPTM伝送とPTP伝送との間の切り替えを適切に制御することを目的とする。
【0010】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(移動通信システム)
まず、一実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。一実施形態に係る移動通信システムは3GPPの5Gシステムであるが、移動通信システムには、LTEが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0012】
図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、移動通信システムは、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0014】
UE100は、移動可能な装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わない。例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、及び/又は飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0015】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、NG-RANノードと呼ばれることもある。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、及び/又はモビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0016】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続されてもよいし、LTEの基地局が5GCに接続されてもよい。また、LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されてもよい。
【0017】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0018】
図2は、UE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0020】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0021】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0022】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0023】
図3は、gNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0024】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0025】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0026】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0027】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0028】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0029】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0030】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0031】
PHYレイヤは、MACレイヤにトランスポートチャネルを提供する。PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。
【0032】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理(HARQ処理)、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。MACレイヤは、RLCレイヤにロジカルチャネルを提供する。MACレイヤには、MACエンティティが位置する。
【0033】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。RLCレイヤは、ARQによる再送処理(ARQ処理)を行う。RLCレイヤは、PDCPレイヤにRLCチャネルを提供する。RLCレイヤには、RLCエンティティが位置される。
【0034】
PDCPレイヤは、データ転送、PDCP SNのメンテナンス、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。PDCPレイヤは、SDAPレイヤに無線ベアラを提供する。PDCPレイヤには、PDCPエンティティが位置される。1つのPDCPエンティティは、1つの無線ベアラのデータを搬送する。
【0035】
SDAPレイヤは、QoSフローと無線ベアラとのマッピングを行う。QoSフローは、コアネットワークがQoS制御を行う単位である。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPレイヤが無くてもよい。SDAPレイヤには、SDAPエンティティが位置される。
【0036】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0037】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、
図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0038】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、ロジカルチャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。また、RRC接続が中断(suspend)されている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0039】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0040】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0041】
(デュアルコネクティビティ)
次に、デュアルコネクティビティ(DC)の概要について説明する。以下において、NRアクセスを含むDCを主として想定する。このようなDCは、MR-DC(Multi-RAT DC)又はMulti-connectivityと呼ばれることがある。
図6は、DCの一例を示す図である。
【0042】
図6に示すように、DCにおいて、複数の送受信機を有するUE100は、2つの異なるノード(2つの異なる基地局)によって提供されるリソース(時間・周波数リソース)を利用するように設定される。一方の基地局はNRアクセスを提供し、他方の基地局はE-UTRA(LTE)又はNRアクセスを提供する。
図6の例において、基地局200AはeNB又はgNBであり、基地局200BはeNB又はgNBであってもよい。
【0043】
また、一方の基地局200Aがマスタノードとして機能し、他方の基地局200Bがセカンダリノードとして機能する。マスタノードは、コアネットワークへの制御プレーン接続を提供する無線アクセスノードである。マスタノードは、マスタ基地局と呼ばれることがある。セカンダリノードは、コアネットワークへの制御プレーン接続を持たない無線アクセスノードである。セカンダリノードは、セカンダリ基地局と呼ばれることがある。
【0044】
マスタノードとセカンダリノードとはネットワークインターフェース(基地局間インターフェイス)を介して接続され、少なくともマスタノードはコアネットワークに接続される。
図6において、基地局間インターフェイスがXnインターフェイスである一例を示しているが、基地局間インターフェイスがX2インターフェイスであってもよい。
【0045】
マスタノードのセルであって、UE100に設定されるサービングセルのグループは、マスタセルグループ(MCG)と呼ばれる。一方、セカンダリノードのセルであって、UE100に設定されるサービングセルのグループは、セカンダリセルグループ(SCG)と呼ばれる。UE100は、MCGに対応するMACエンティティ(MCG MAC)と、SCGに対応するMACエンティティ(SCG MAC)とを有する。
【0046】
(MBSサービス受信の概要)
次に、MBSサービス受信の概要について説明する。UE100は、RRC接続状態でMBSサービスを受信してもよいし、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態でMBSサービスを受信してもよい。
【0047】
図7は、MBSサービスを受信するための一例を示す図である。
図7に示すように、ステップS1において、UE100は、gNB200を介して5GC20からMBS基本情報を取得する。MBS基本情報は、USD(User Service Description)と呼ばれることがある。MBS基本情報は、MBSサービスごとに、当該MBSサービスを識別するMBS識別情報と、当該MBSサービスが提供される周波数などを含む。MBS識別情報は、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)と呼ぼれることがある。
【0048】
ステップS2において、UE100はgNB200からMBS用のSIBを受信する。MBS用のSIBは、MBS用のPTM制御チャネルの取得に必要な情報(スケジューリング情報)を含む。
【0049】
ステップS3において、UE100は、MBS用SIBに基づいて、MBS用のPTM制御チャネルを介してgNB200からMBS制御情報を受信する。MBS制御情報は、当該情報を送信するセルにおけるMBS用のPTMデータチャネルの設定に必要な情報を含む。PTMデータチャネルは、データ伝送用のPTMロジカルチャネルである。PTMロジカルチャネルは、マルチキャストロジカルチャネルであってもよいし、ブロードキャストロジカルチャネルであってもよい。
【0050】
ステップS4において、UE100は、MBS制御情報に基づいて、gNB200とのPTM無線ベアラを確立し、当該PTM無線ベアラを介して、自身が興味のあるMBSサービスに属するデータパケット(MBSデータパケット)を受信する。
【0051】
(通信制御方法)
次に、一実施形態に係る通信制御方法を説明する。
【0052】
(1)基本動作
図8は、一実施形態に係る基本動作のシーケンスを示す図である。
【0053】
図8に示すように、ステップS11において、UE100は、MBSサービスに属するデータ(MBSデータ)を受信するためのPTPデータパスとPTM無線ベアラとの関連付けを設定する関連付け設定情報をgNB200から受信する。PTPデータパスは、PTP無線ベアラ又はPTPロジカルチャネルである。なお、PTPデータパスは、IPフローであってもよい。IPフローとは、特定のIPアドレスから特定のIPアドレスへの一連のパケットの流れである。PTP無線ベアラは、ユニキャスト無線ベアラであってもよい。PTPロジカルチャネルは、ユニキャストロジカルチャネルであってもよい。
【0054】
ステップS12において、UE100は、関連付け設定情報に基づいて、PTPデータパスをPTM無線ベアラに関連付ける。これにより、UE100に対するMBSサービスの配信は、PTMとPTPとの間に切り替えることができる。
【0055】
次に、PTP無線ベアラをPTM無線ベアラと関連付けるケース(すなわち、上述の「PTPデータパス」がPTP無線ベアラであるケース)を説明する。
図9は、PTP無線ベアラとPTM無線ベアラとの関連付けを示す図である。
【0056】
図9に示すように、UE100は、関連付け設定情報に基づいて、PTP無線ベアラ(RB#2)をPTM無線ベアラ(RB#1)と関連付ける。このような関連付け設定情報は、PTP無線ベアラとPTM無線ベアラとの関連付けを設定するための情報(以下、「PTP無線ベアラ設定情報」と呼ぶ。)を含む。
【0057】
PTP無線ベアラ設定情報は、PTP無線ベアラのベアラ識別子(RB#2のベアラ識別子)と、当該PTP無線ベアラのPDCPエンティティを設定するPDCP設定情報とを含む。PTP無線ベアラ設定情報は、PTP無線ベアラと関連付けるPTM無線ベアラのベアラ識別子をさらに含んでもよい。また、UE100において確立されているPTM無線ベアラが1つのみである場合、PTP無線ベアラ設定情報は、PTM無線ベアラのベアラ識別子を含まれずに、PTP無線ベアラのベアラ識別子と、当該PTP無線ベアラがMBSサービス受信用のベアラであることを示す情報(例えば、“MBS用”=“true”)とを含んでもよい。
【0058】
ここで、PTM無線ベアラと関連付けるPTP無線ベアラは、UE100に既に確立されている無線ベアラであってもよいし、UE100が新たに確立する無線ベアラであってもよい。
【0059】
UE100は、PTP無線ベアラ設定情報を受信すると、当該PTP無線ベアラ設定情報に含まれるPTP無線ベアラのベアラ識別子が既にUE100に記憶されているかを判断する。ベアラ識別子が既にUE100に記憶されている場合(すなわち、UE100は、当該ベアラ識別子が識別するPTP無線ベアラを既に確立している場合)、UE100は、PDCP設定情報に基づいて、当該ベアラ識別子が識別するPTP無線ベアラのPDCPエンティティを再設定する。ベアラ識別子がUE100に記憶されていない場合、UE100は、PDCP設定情報に基づいてPDCPエンティティを新たに確立し、当該PDCPエンティティに対応するPTP無線ベアラを新たに確立する。
【0060】
PTP無線ベアラ設定情報は、PTM無線ベアラに対応するSDAPエンティティを設定するSDAP設定情報を含んでもよい。UE100は、SDAP設定情報に基づいて、PTM無線ベアラに対応するSDAPエンティティを設定する。
【0061】
PTP無線ベアラ設定情報は、PTP無線ベアラ上に送信するデータパケットが属するMBSサービスの識別子を含んでもよい。
【0062】
図9に示すように、UE100は、PDCPレイヤの上位レイヤに位置する、MBSサービスを管理する上位レイヤエンティティ(MBSエンティティ)を有する。PTP無線ベアラを介して受信したデータパケットは、PDCPエンティティ又はSDAPエンティティにより、MBSエンティティに渡される。MBSエンティティは、SDAPエンティティに含まれていてもよい(すなわち、SDAPエンティティがMBSサービスを管理する)。
【0063】
次に、PTPロジカルチャネルをPTM無線ベアラと関連付けるケース(すなわち、PTPデータパスがPTPロジカルチャネルであるケース)を説明する。
図10は、PTPロジカルチャネルとPTM無線ベアラとの関連付けを示す図である。
【0064】
図10に示すように、UE100は、関連付け設定情報に基づいて、PTPロジカルチャネルをPTM無線ベアラ(RB#1)と関連付ける。このような関連付け設定情報は、PTPロジカルチャネルとPTM無線ベアラとの関連付けを設定するための情報(以下、「PTPロジカルチャネル設定情報」と呼ぶ。)を含む。
【0065】
PTPロジカルチャネル設定情報は、PTM無線ベアラのベアラ識別子と、当該PTM無線ベアラに関連付けるPTPロジカルチャネルのチャネル識別子とを含む。
【0066】
UE100は、PTPロジカルチャネル設定情報を受信すると、当該PTP無線ベアラ設定情報に含まれるチャネル識別子が既にUE100に記憶されているかを判断する。チャネル識別子が既にUE100に記憶されている場合、UE100は、当該チャネル識別子が識別するPTPロジカルチャネルに対応するRLCエンティティを再設定する。チャネル識別子がUE100に記憶されていない場合、UE100は、RLCエンティティを新たに確立し、当該RLCエンティティに対応するPTPロジカルチャネルを新たに確立する。
【0067】
これにより、UE100は、チャネル識別子によって識別されるPTPロジカルチャネルを、PTM無線ベアラのPDCPエンティティと関連付ける。
図10に示すように、この場合、PTM無線ベアラのPDCPエンティティは、1つのPTMロジカルチャネル及び1つのPTPロジカルチャネルと関連付けられる。PTPロジカルチャネルに対応するRLCエンティティは、当該PTPロジカルチャネルを介して受信したデータパケットを、PTM無線ベアラのPDCPエンティティに渡す。
【0068】
UE100は、gNB200からの指示に応じて、上述のPTPデータパス(MBSサービスに属するデータを受信するためのPTPデータパス)を有効化又は無効化してもよい。これにより、UE100に対するMBSサービスの配信は、PTMとPTPとの間に動的に切り替えることができる。なお、UE100は、gNB200からの指示に応じて、PTMデータパス(PTM無線ベアラ又はPTMロジカルチャネル)を有効化又は無効化してもよい。
【0069】
上述の関連付け設定情報は、関連付けを設定後のPTPデータパスの初期状態(有効化状態又は無効化状態)を設定する情報を含んでもよい。PTPデータパスを有効化することは、PTPデータパスでの受信を開始することを含む。PTPデータパスを無効化することは、PTPデータパスでの受信を停止することを含む。例えば、UE100は、PTPデータパスの初期状態を無効化状態に設定する情報を含む関連付け設定情報を受信すると、PTPデータパスをPTM無線ベアラに関連付けるとともに、当該PTPデータパスを無効化する。その後、UE100は、gNB200からの指示に応じて当該PTPデータパスを有効化し、当該PTMデータパスを介するMBSデータの受信を開始する。なお、関連付け設定情報は、関連付けを設定後のPTMデータパスの初期状態(有効化状態又は無効化状態)を設定する情報を含んでもよい。
【0070】
UE100は、PTM無線ベアラにPTP無線ベアラを関連付ける場合、PTP無線ベアラが有効化されると、PTM無線ベアラでの受信を停止してもよい。
【0071】
UE100は、PTM無線ベアラにPTPロジカルチャネルを関連付ける場合、PTPロジカルチャネルが有効化されると、PTM無線ベアラに関連付けられるPTMロジカルチャネルでの受信を停止してもよい。
【0072】
上述の有効化の指示及び/又は無効化の指示は、例えばMAC CE(Control Element)によって行われる。当該指示には、有効化/無効化の対象(PTPデータパス及び/又はPTMデータパス)を示す識別子が含まれてもよい。もしくは、当該指示には、有効化/無効化を示す情報(例えば、1ビット)が含まれており、当該情報は配列によって有効化/無効化の対象(PTPデータパス及び/又はPTMデータパス)に対応付けられてもよい。
【0073】
上述の関連付けがUE100に設定される状態においてUE100をハンドオーバする場合、gNB200は、関連付けを示す情報を、UE100のハンドオーバ先であるターゲットセルを管理する他のgNB200に送信する。
【0074】
DCがUE100に設定される場合、上述の関連付けにおけるPTPデータパスは、セカンダリノード(基地局200B)のリソースを使用するデータパス(以下、「SCGデータパス」と呼ぶ。)であってもよい。一方、PTM無線ベアラは、UE100とマスタノード(基地局200A)との間に確立される。
【0075】
SCGデータパスがPTP無線ベアラである場合、当該PTP無線ベアラは、UE100と基地局200Bとの間に確立される無線ベアラである。SCGデータパスがPTPロジカルチャネルである場合、当該PTPロジカルチャネルは、UE100のSCG MACエンティティに対応するロジカルチャネルである。
【0076】
UE100は、基地局200Aから関連付け設定情報を受信し、関連付けを設定する。一方、基地局200Aは、関連付け設定情報が設定する関連付けを示す情報を、基地局200Bに送信する。
【0077】
(2)動作パターン1
上述の基本動作を前提とする一実施形態の動作パターン1を説明する。動作パターン1は、UE100が、PTP伝送での受信が要求されるMBSデータパケットに対応するシーケンス番号を送信することに関する例である。
【0078】
図11は、動作パターン1の動作を説明する図である。本動作パターンの初期状態において、UE100は、gNB200とのRRC接続を確立した状態(RRC接続状態)である。
【0079】
図11に示すように、ステップS101において、UE100は、PTM無線ベアラを介してMBSサービスをgNB200から受信する。
【0080】
ステップS102において、UE100は、関連付け設定情報をgNB200から受信する。ここで、関連付け設定情報は、PTMデータパスの初期状態を無効化状態に設定する情報を含む。関連付け設定情報は、RRCメッセージ(例えば、RRCReconfigurationメッセージ)で送信されてもよい。
【0081】
ステップS103において、UE100は、PTPデータパスをPTM無線ベアラに関連付けるとともに、当該PTPデータパスを無効化する。
【0082】
ステップS104において、UE100は、UE100とgNB200との間の通信品質(PTM無線ベアラ上の通信品質)を示すパラメータを測定し、当該パラメータが閾値条件を満すかを判断する。
【0083】
通信品質を示すパラメータは、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、RS-SINR(Reference Signal-Signal to Interference plus Noise power Ratio)、スループット、エラーレート、受信失敗のデータパケット数、及び受信失敗の継続時間(例えば、ミリ秒の数、サブフレームの数、又はSFNの数)のうち、少なくとも1つである。
【0084】
ここで、通信品質を示すパラメータが閾値条件を満たすことは、通信品質が良好ではないことを示す。通信品質を示すパラメータがRSRP、RSRQ、RS-SINR及びスループットのうち、少なくとも1つである場合、閾値条件を満たすこととは、通信品質を示すパラメータが閾値以下であることである。通信品質を示すパラメータがエラーレート、受信失敗のデータパケット数、及び受信失敗の継続時間のうち、少なくとも1つである場合、閾値条件を満たすこととは、通信品質を示すパラメータが閾値未満であることである。閾値条件についての閾値は、gNB200からUE100に設定される。
【0085】
UE100は、通信品質を示すパラメータが閾値条件を満たす場合(ステップS104:YES)、処理をステップS105に進める。
【0086】
ステップS105において、UE100は、PTP送信方式での受信が要求されるMBSデータパケットに対応するシーケンス番号を示す情報(以下、「SN情報」)をgNB200に送信する。SN情報は、RRCメッセージで送信されてもよい。シーケンス番号は、PDCPシーケンス番号、RLCシーケンス番号、及びMBS用の新たなシーケンス番号のいずれか1つである。MBS用の新たなシーケンス番号は、例えばSDAPヘッダにMBS専用のPDU(Packet Data Unit)ヘッダとして定義されてもよい。
【0087】
SN情報は、UE100がPTP送信方式での受信が要求される最初のMBSデータパケットに対応する1個のシーケンス番号(例えば、SN #n)を示してもよいし、UE100がPTP送信方式での受信が要求される複数のMBSデータパケットに対応するシーケンス番号の範囲(例えば、SN #n~SN #n+m)を示してもよい。
【0088】
SN情報は、MBSデータパケットが属するMBSサービスを識別する識別情報を含んでもよい。SN情報は、PTM無線ベアラのベアラ識別子を含んでもよい。これにより、gNB200が複数のMBSサービスを配信する際に、当該複数のMBSサービスのうち、UE100が要求するMBSサービスを特定でき、当該MBSサービスに対応するMBSデータパケットをUE100に送信できる。
【0089】
ステップS106において、gNB200は、PTPデータパスを有効化する指示をUE100に送信する。
【0090】
ステップS107において、UE100は、PTPデータパスを有効化し、PTPデータパスを介するMBSデータパケットの受信を開始する。ここで、gNB200は、1個のシーケンス番号を示すSN情報を受信すると、当該シーケンス番号に対応するMBSデータパケット及びそれ以降のMBSデータパケットを、PTPデータパスを介してUE100に送信する。gNB200は、シーケンス番号の範囲を示すSN情報を受信すると、当該シーケンス番号の範囲に対応する複数のMBSデータパケットを、PTPデータパスを介してUE100に送信する。gNB200は、当該複数のMBSデータパケットの送信を完了する場合、PTPデータパスを無効化する指示をUE100に送信してもよい。
【0091】
動作例1において、ステップS104の処理を省略してもよい。ステップS104の処理を省略する場合、UE100は、PTPでのMBSデータパケットの受信が必要とする場合、SN情報を送信する。
【0092】
(3)動作パターン2
一実施形態に係る動作パターン2について、動作パターン1との相違点を主に説明する。
図12は、動作パターン2の動作を説明する図である。本動作パターンの初期状態において、UE100は、RRC接続状態、RRCアイドル状態、及びRRCインアクティブ状態のいずれか1つの状態である。
【0093】
図12に示すように、ステップS201において、PTM無線ベアラを介してMBSサービスをgNB200から受信する。
【0094】
ステップS202における処理は、ステップS104と同様である。
【0095】
ステップS203において、UE100は、SN情報をgNB200に送信する。ここで、UE100がRRCインアクティブ状態又はRRCアイドル状態である場合、RRC接続状態に遷移してから、SN情報をgNB200に送信してもよい。UE100は、RRCアイドル状態からRRC接続状態に遷移するためのRRC接続確立手順の実行中においてSN情報を送信してもよい。例えば、UE100は、SN情報をRRCSetupRequestメッセージに含めて送信する。UE100は、RRCインアクティブ状態からRRC接続状態に遷移するためのRRC接続再開(Resume)手順の実行中においてSN情報を送信してもよい。例えば、UE100は、SN情報をRRCResumeRequestメッセージに含めて送信する。
【0096】
ステップS204において、UE100は、関連付け設定情報をgNB200から受信する。ここで、関連付け設定情報は、PTMデータパスの初期状態を有効化状態に設定する情報を含む。関連付け設定情報は、RRCReconfigurationメッセージで送信されてもよい。
【0097】
gNB200は、ステップS203において、SN情報を含むRRCSetupRequestメッセージを受信する場合、ステップS204において、関連付け設定情報をRRCSetupメッセージに含めて送信する。RRCSetupメッセージは、UE100をRRCアイドル状態からRRC接続状態に遷移するためのメッセージである。UE100は、RRCSetupメッセージの受信に応じてRRC接続状態に遷移する。
【0098】
gNB200は、ステップS203において、SN情報を含むRRCResumeRequestメッセージを受信する場合、ステップS204において、関連付け設定情報をRRCResumeメッセージに含めて送信する。RRCResumeメッセージは、UE100をRRCインアクティブ状態からRRC接続状態に遷移するためのメッセージである。UE100は、RRCResumeメッセージの受信に応じてRRC接続状態に遷移する。
【0099】
ステップS205において、UE100は、PTPデータパスをPTM無線ベアラに関連付けるとともに、当該PTPデータパスを有効化し、PTPデータパスを介するMBSデータパケットの受信を開始する。
【0100】
(4)動作パターン3
一実施形態に係る動作パターン3について、動作パターン1との相違点を主に説明する。
図13は、動作パターン3に係る動作を説明する図である。本動作パターンの初期状態において、UE100は、RRC接続状態、RRCアイドル状態、及びRRCインアクティブ状態のいずれか1つの状態である。
【0101】
ステップS301において、UE100は、PTM無線ベアラを介してMBSサービスをgNB200から受信する。
【0102】
ステップS302における処理は、ステップS104と同様である。UE100は、通信品質を示すパラメータが閾値条件を満たす場合(ステップS302:YES)、処理をステップS303に進める。一方、UE100は、通信品質を示すパラメータが閾値条件を満たしていない場合(ステップS302:NO)、処理をステップS304に進める。
【0103】
ステップS303において、UE100は、SN情報をgNB200に送信する。
【0104】
ステップS304において、UE100は、NACK(Negative Acknowledgement)フィードバックの送信を適用する。NACKフィードバックは、PTM無線ベアラでのMBSデータパケットの再送を要求するフィードバック情報である。NACKフィードバックは、HARQ処理による再送を要求する情報(HARQフィードバック)であってもよいし、ARQ処理による再送を要求する情報(ARQフィードバック)であってもよい。NACKフィードバックの送信を適用するUE100は、PTM無線ベアラで送信されるMBSデータパケットの受信に失敗した場合、当該MBSデータパケットに対応するNACKフィードバックをgNB200に送信する。gNB200は、当該NACKフィードバックを受信すると、当該NACKフィードバックに対応するデータパケットをPTM無線ベアラ(PTMロジカルチャネル)上で再送する。
【0105】
このように、gNB200配下のUE100は、通信品質によって、NACKフィードバックの送信を適用する又はPTP伝送に切り替える。よって、gNB200配下の全てのUE100がNACKフィードバックの送信を適用することによるPTM再送の頻発を回避できる。
【0106】
(その他実施形態)
上述した一実施形態では、UE100は、関連付け設定情報に基づいて1つのPTMロジカルチャネルを1つのPTPロジカルチャネルに関連付けたがこれに限らない。UE100が1以上のPTMロジカルチャネルを介してMBSサービスを受信する場合、1以上のPTPロジカルチャネルと1以上のPTMロジカルチャネルとの関連付けを設定する情報を含む関連付け設定情報をgNB200から受信し、当該関連付けを設定してもよい。
【0107】
UE100、基地局200(基地局200A、基地局200B)が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0108】
また、UE100、基地局200(基地局200A、基地局200B)が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100、基地局200(基地局200A、基地局200B)の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0109】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0110】
本願は、日本国特許出願第2020-093497号(2020年5月28日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。