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特許7571184細胞培養装置、細胞培養デバイスおよび使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】細胞培養装置、細胞培養デバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20241015BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20241015BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12N5/00
C12M1/00 D
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023052881
(22)【出願日】2023-03-29
(65)【公開番号】P2023152934
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】63/326,085
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/124,826
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514266459
【氏名又は名称】ポール ライフ サイエンシズ ベルジウム ビーヴイ
(73)【特許権者】
【識別番号】514196938
【氏名又は名称】ポール アルテリス ビーヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス, ニック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーセ, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】コラード, フランソワ
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/161086(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/146733(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 3/00
C12N 5/00
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養装置であって、
(a)第1の端部および第2の端部と、長手方向軸線とを有するハウジングと、
(b)前記ハウジング内に配置された少なくとも1つの固定床であって、連続プリーツ付き多孔質培地を備え、前記連続プリーツ付き多孔質培地が、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、前記右側部および前記左側部において折り畳まれた複数のプリーツとを備え、隣接するプリーツ間に前記長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有前記連続プリーツ付き多孔質培地が、前記垂直流体流れチャネルに挿入された多孔質培地を備える複数の取り外し可能なサンプリング要素をさらに含む、少なくとも1つの固定床と
を備える、細胞培養装置。
【請求項2】
前記連続プリーツ付き多孔質培地が、25%~95%の範囲内のプリーツ密度を有する、請求項1に記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記ハウジング内に配置された少なくとも2つの固定床であって、前記少なくとも2つの固定床のそれぞれが、連続プリーツ付き多孔質培地を備え、前記連続プリーツ付き多孔質培地が、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、前記右側部および前記左側部において折り畳まれた複数のプリーツとを備え、隣接するプリーツ間に前記長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有する、少なくとも2つの固定床を備える、請求項1または2に記載の細胞培養装置。
【請求項4】
記複数の取り外し可能なサンプリング要素は、プルタブを含む、請求項1または2に記載の細胞培養装置。
【請求項5】
細胞培養デバイスであって、
(a)請求項1または2に記載の細胞培養装置と、
(b)床ハウジングの第2の端部に配置されたポンプ本体であって、中央空洞を含むポンプ本体と、
(c)前記ポンプ本体の前記中央空洞内に配置されたインペラと、
(d)中央チャンバを有する細胞培養容器であって、前記細胞培養装置が前記中央チャンバ内に配置される、細胞培養容器と
を備える、細胞培養デバイス。
【請求項6】
細胞を培養する方法であって、
細胞培養培地および細胞を請求項5に記載の細胞培養デバイス内に配置するステップと、
インペラを動作させるステップと
を含む方法。
【請求項7】
培養された細胞を採取するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の取り外し可能なサンプリング要素を取り外し、細胞のサンプルを分析するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本特許出願は、参照により組み込まれる2022年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/326,085号明細書の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]細胞は、固定床で培養することができ、細胞は多孔質担体に接着する。しかし、改善された固定床が必要とされている。
【0003】
[0003]本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを改善することを実現する。本発明のこれらおよび他の利点は、以下に記載する説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明の一態様は、細胞培養装置であって、(a)第1の端部および第2の端部と、長手方向軸線とを有するハウジングと、(b)ハウジング内に配置された少なくとも1つの固定床であって、連続プリーツ付き多孔質培地を備え、連続プリーツ付き多孔質培地が、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、右側部および左側部において折り畳まれた複数のプリーツとを備え、隣接するプリーツ間に長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有する、少なくとも1つの固定床とを備える、細胞培養装置を提供する。
【0005】
[0005]細胞培養装置のいくつかの態様では、少なくとも1つの固定床は、連続プリーツ付き多孔質培地内に配置された、多孔質培地を備える少なくとも1つの取り外し可能なサンプリング要素を含む。
【0006】
[0006]別の態様では、細胞培養デバイスは、(a)細胞培養装置の一態様と、(b)ハウジングの第2の端部に配置されたポンプ本体であって、中央空洞を含むポンプ本体と、(c)ポンプ本体の中央空洞内に配置されたインペラと、(d)中央チャンバを有する細胞培養容器であって、細胞培養装置が中央チャンバ内に配置される、細胞培養容器とを備える。
【0007】
[0007]別の態様では、細胞培養デバイスは、(a)細胞培養装置の一態様と、(b)ハウジングの第2の端部に配置されたポンプアセンブリであって、ポンプ外側本体と、ポンプ外側本体に接続されたポンプ本体とを備え、ポンプ本体は、中央空洞を含む、ポンプアセンブリと、(c)ポンプ本体の中央空洞内に配置されたインペラと、(d)開いた第1の容器端部および閉じた第2の容器端部と、開いた第1の容器端部および閉じた第2の容器端部に接続された容器側壁とを有する細胞培養容器であって、中央チャンバを有し、細胞培養装置およびポンプアセンブリが中央チャンバ内に配置される、細胞培養容器とを備える。
【0008】
[0008]本発明の一態様による細胞を培養する方法は、細胞培養培地および細胞を細胞培養デバイスの一態様に配置するステップと、磁気インペラを動作させるステップとを含む。いくつかの態様では、方法は、培養された細胞を採取するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の一態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。「乾燥」固定床の(床が矩形構成を有する)等角図である。
図1B】本発明の一態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。「乾燥」固定床の上面図である。
図1C】本発明の一態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。図1Bの「1C」の部分の拡大図である。
図1D】本発明の一態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。図1Bの「1D」の部分の拡大図である。
図2A】本発明の別の態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。「乾燥」固定床の(床が矩形構成を有する)等角図である。
図2B】本発明の別の態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。「乾燥」固定床の上面図である。
図2C】本発明の別の態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。図2Bの「2C」の部分の拡大図である。
図2D】本発明の別の態様によるプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える「乾燥」固定床の代表的な図である。図2Bの「2D」の部分の拡大図である。
図3A】固定床を通る接線方向の流れ、および各プリーツの脚部の各対間の細胞培養液(液体培養培地)の接線方向の流体の流れから生じる「セルフスペーシング(自己間隔空け)」を示し、プリーツの高さも示す図である。
図3B】例示的な固定床高さも示す、本発明の別の態様による矩形構成を有するプリーツ付き固定床の等角図である。
図4A図1Aに示す固定床を製造するための「犠牲層」としてのスクラップ材料の使用を示す図である。多孔質細胞培養培地の両側へのスクラップ材料の挿入を示す図である。
図4B図1Aに示す固定床を製造するための「犠牲層」としてのスクラップ材料の使用を示す図である。プリーツ付きスクラップ材料が培養培地の両側にある、プリーツ付き多孔質細胞培養培地を示す図である。
図4C図1Aに示す固定床を製造するための「犠牲層」としてのスクラップ材料の使用を示す図である。図4Bに示す部分「E」の拡大図である。
図4D図1Aに示す固定床を製造するための「犠牲層」としてのスクラップ材料の使用を示す図である。スクラップ材料の除去後の固定床を示す図である。
図5A】本発明の別の態様による、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。細胞装置および細胞培養デバイスの分解図である。
図5B】本発明の別の態様による、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。細胞培養デバイスの等角組立図である。
図5C】本発明の別の態様による、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。出荷/保管のための細胞培養デバイスの組立斜視図であり、出荷カバーも示している。
図5D】本発明の別の態様による、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。出荷/保管用の断面組立図であり、出荷カバーおよび固定床リテーナ、出荷カバーと床リテーナとの間に介在する安定化要素、ならびに床ハウジングの下方のポンプ本体内に配置されたインペラも示している。
図6A】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。組み立てられた細胞培養装置を示す図である。
図6B】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。図6Aに示す組み立てられた細胞培養装置およびポンプ装置を示す図である。
図6C】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。床ハウジングの下方のポンプ本体内に配置されたインペラを含む細胞培養デバイスの分解図であり、デバイスを動作させる前にバイオリアクタ蓋を上部に配置することができるように、出荷カバーおよび安定化要素は取り外されている。
図6D】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。組み立てられた細胞培養デバイスの上部等角図であり、デバイスを動作させる前にバイオリアクタ蓋を上部に配置することができるように、出荷カバーおよび安定化要素は取り外されている。
図7A】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。出荷/保管用の断面組立図であり、出荷カバーと、固定床ハウジングと、出荷カバーと床リテーナとの間に介在する安定化要素とを示している。
図7B】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。出荷/保管用の細胞培養デバイスの組立斜視図であり、出荷カバーも示している。
図7C】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。出荷カバーの取り外し後の安定化要素の斜視図である。
図7D】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。安定化要素の取り外し後の細胞培養デバイスの分解図であり、固定床のプリーツ付き多孔質細胞培養培地に挿入された取り外し可能なサンプリング要素と、床ハウジングの下方のポンプ本体内に配置されたインペラも示している。
図7E】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。細胞培養デバイスの床ハウジングの上面図であり、ポンプ外側本体の内壁は、固定床を内壁から離間させるための任意選択のリブと、固定床を床ハウジング内に保持するためのリテーナとを含む。
図7F】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。細胞培養デバイスの床ハウジングの底面図であり、ポンプ外側本体の内壁は、固定床を内壁から離間させるための任意選択のリブと、固定床を床ハウジング内に保持するためのリテーナとを含む。
図7G】それぞれが床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える2つの別個の固定床を含む細胞培養装置を示す図であり、細胞培養装置は、容器内に配置されて、本発明の別の態様による細胞培養デバイスを提供している。図7Dに示す細胞培養デバイスの部分図であり、固定床のプリーツ付き多孔質細胞培養培地に挿入された複数の取り外し可能なサンプリング要素を示す。
図8A】本発明の別の態様による、床ハウジング内に、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える複数の別個の固定床を含む細胞培養装置を含む細胞培養デバイスを示す図である。組み立てられた細胞培養デバイスの組立斜視図であり、例えば動作中に様々なパラメータをサンプリング/決定するための様々な任意選択のポートも示している。
図8B】本発明の別の態様による、床ハウジング内に、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える複数の別個の固定床を含む細胞培養装置を含む細胞培養デバイスを示す図である。上側ハウジングセクションが取り外された、図8Aに示す細胞培養デバイスの断面図であり、上側バッフルまたはグリッドプレートと、床ハウジングの下方のポンプ本体内に配置されたインペラと、固定床ハウジングの中央の中央カラムS字屈曲部および分流器も示している。
図8C】本発明の別の態様による、床ハウジング内に、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える複数の別個の固定床を含む細胞培養装置を含む細胞培養デバイスを示す図である。上側グリッドプレートが取り外された、床ハウジングの断面図である。
図8D】本発明の別の態様による、床ハウジング内に、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える複数の別個の固定床を含む細胞培養装置を含む細胞培養デバイスを示す図である。固定床チャンバ内に固定床を有さない細胞培養装置の上面斜視図である。
図8E】本発明の別の態様による、床ハウジング内に、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える複数の別個の固定床を含む細胞培養装置を含む細胞培養デバイスを示す図である。床ハウジングの底部を示す図であり、23個の固定床チャンバの底部を提供するグリッドプレートも示す。
図8F】本発明の別の態様による、床ハウジング内に、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える複数の別個の固定床を含む細胞培養装置を含む細胞培養デバイスを示す図である。固定床が固定床チャンバ内にある、細胞培養装置の上部斜視図である。
図9A】本発明の別の態様による、複数の積み重ね可能なセクションを含む細胞培養装置を備える細胞培養デバイスを示す図であり、積み重ねられたセクションは、固定床を受け入れる垂直に配置された固定床チャンバを提供し(垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバに受け入れられた単一の固定床は、全長状態(完全に伸びた状態)の固定床空洞をなす)、各固定床は、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える。複数の積み重ね可能なセクションを含み、固定床を受け入れるための垂直に配置された固定床チャンバを提供する細胞培養装置を示す上面斜視図(カバーは透明である)であり、各固定床はプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える。
図9B】本発明の別の態様による、複数の積み重ね可能なセクションを含む細胞培養装置を備える細胞培養デバイスを示す図であり、積み重ねられたセクションは、固定床を受け入れる垂直に配置された固定床チャンバを提供し(垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバに受け入れられた単一の固定床は、全長状態の固定床空洞をなす)、各固定床は、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える。垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバ内に固定床を有さない図9Aに示す細胞培養デバイスの部分切断図を示し、培養装置の底部、およびハウジングの下部に配置されたインペラも示す。
図9C】本発明の別の態様による、複数の積み重ね可能なセクションを含む細胞培養装置を備える細胞培養デバイスを示す図であり、積み重ねられたセクションは、固定床を受け入れる垂直に配置された固定床チャンバを提供し(垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバに受け入れられた単一の固定床は、全長状態の固定床空洞をなす)、各固定床は、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える。垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバ内に固定床を有する、図9Aに示す細胞培養デバイスの部分切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018]本発明の一態様によれば、細胞培養装置であって、(a)第1の端部および第2の端部と、長手方向軸線とを有するハウジングと、(b)ハウジング内に配置された少なくとも1つの固定床であって、連続プリーツ付き多孔質培地を備え、連続プリーツ付き多孔質培地が、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、右側部および左側部において折り畳まれた複数のプリーツとを備え、隣接するプリーツ間に長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有する、少なくとも1つの固定床とを備える、細胞培養装置が提供される。
【0011】
[0019]いくつかの態様では、細胞培養装置は、連続プリーツ付き多孔質培地に挿入された多孔質培地を備える複数の取り外し可能なサンプリング要素を含む。
【0012】
[0020]いくつかの態様では、細胞培養装置は、床ハウジング内に配置された少なくとも2つの固定床(別個の床チャンバ250内にそれぞれの床)を備え、少なくとも2つの固定床のそれぞれは、連続プリーツ付き多孔質培地を備え、連続プリーツ付き多孔質培地は、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、右側部および左側部において折り畳まれた複数のプリーツとを備え、隣接するプリーツ間に長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有する。
【0013】
[0021]細胞培養装置のいくつかの態様では、その/それぞれの連続プリーツ付き多孔質培地は、25%~95%の範囲内、いくつかの態様では40%~95%の範囲、より典型的には40%~85%の範囲内のプリーツ密度を有する。いくつかの態様では、細胞培養装置は、ハウジング内に配置された少なくとも2つの固定床を含み、少なくとも2つの固定床のそれぞれは、連続プリーツ付き多孔質培地を備え、連続プリーツ付き多孔質培地は、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、右側部および左側部において折り畳まれた複数のプリーツ(それぞれは第1および第2のプリーツ脚部を有する)とを備え、隣接するプリーツ間に長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有する。
【0014】
[0022]典型的には、プリーツ付き多孔質培地は、プリーツが水平x-y平面内の方向を有し、垂直流体流れチャネルが垂直z平面内にあるように配向される。
【0015】
[0023]別の態様では、細胞培養デバイスは、(a)細胞培養装置の一態様と、(b)ハウジングの第2の端部に配置されたポンプ本体であって、中央空洞を含むポンプ本体と、(c)ポンプ本体の中央空洞内に配置されたインペラと、(d)中央チャンバを有する細胞培養容器であって、細胞培養装置が中央チャンバ内に配置される、細胞培養容器とを備える。
【0016】
[0024]別の態様では、細胞培養デバイスは、(a)細胞培養装置の一態様と、(b)ハウジングの第2の端部に配置されたポンプアセンブリであって、ポンプ外側本体と、ポンプ外側本体に接続されたポンプ本体とを備え、ポンプ本体は、中央空洞を含む、ポンプアセンブリと、(c)ポンプ本体の中央空洞内に配置されたインペラと、(d)開いた第1の容器端部および閉じた第2の容器端部と、開いた第1の容器端部および閉じた第2の容器端部に接続された容器側壁とを有する細胞培養容器であって、中央チャンバを有し、細胞培養装置およびポンプアセンブリが中央チャンバ内に配置される、細胞培養容器とを備える。
【0017】
[0025]細胞培養デバイスの一態様では、ポンプアセンブリは、ハウジングの第2の端部に取り付けられたポンプ蓋を備え、ポンプ外側本体は、ポンプ蓋に接続されている。代替的または追加的に、細胞培養デバイスの一態様では、インペラは、磁気インペラを備える。
【0018】
[0026]本発明の他の態様は、細胞を培養すること、細胞培養液を処理すること、および固定床バイオリアクタシステムを含む。
【0019】
[0027]本発明の一態様による細胞を培養する方法は、細胞培養培地および細胞を細胞培養デバイスの一態様内に配置するステップと、磁気インペラを動作させ、栄養素および溶存酸素を含有する通気された液体培養培地を固定床に連続的に供給し、二酸化炭素および乳酸塩などの生物学的プロセスから生じる望ましくない物質を除去するステップとを含む。いくつかの態様では、方法は、培養された細胞を採取するステップをさらに含む。
【0020】
[0028]好適には、細胞培養液(液体培養培地)はプリーツ脚部間を流れ、それにより多孔質細胞培養培地のプリーツは「セルフアライニング(自己整列)」して、スペーサなしで、低い背圧および剪断を示しながら、プリーツ脚部と隣接するプリーツとの間に所望の適切な間隔をもたらす。
【0021】
[0029]細胞培養装置、細胞培養デバイス、および細胞培養システムは、細胞培養培地を備える単一の固定床、または細胞培養培地を備える複数の固定床、例えば、2つ以上、20以上、100以上、または240以上の固定床を有することができる。
【0022】
[0030]次に、本発明の構成要素のそれぞれについて以下でより詳細に説明する。ここで、同様の構成要素は同様の参照番号を有する。
【0023】
[0031]参照のために図1A図1D(「A」、「a」、および「a’」で終わる構成要素、)および図2A図2D(「B」、「b」、および「b’」で終わる構成要素)に示される態様を使用すると、固定床150A、150Bは、連続プリーツ付き多孔質培地50A、50Bを備えるプリーツ付き多孔質細胞培養培地100A、100Bを備え、この連続プリーツ付き多孔質培地は、上端部51A、51B、底端部52A、52B、前側部53A、53B、後側部54A、54B、右側部55A、55B、および左側部56A、56Bと、右側部および左側部において折り畳まれた複数のプリーツ60A、60Bとを備え、プリーツの脚部間に垂直流体流れチャネル70A、70Bを有する。
【0024】
[0032]各プリーツは、プリーツ脚部の対(61A、62A;61B、62B)を有し、各プリーツ脚部は、第1のプリーツ脚部表面(61a、62a;61b、62b)と、第2のプリーツ脚部表面(61a’、62a’;61b’、62b’)とを有し、プリーツ内の第1のプリーツ脚部表面および第2のプリーツ脚部表面の一部は互いに接触することができ、1つの第1のプリーツ脚部表面の一部は隣接するプリーツの第2のプリーツ脚部表面の一部と接触することができ、使用中、接線方向流により、垂直流体流れチャネルはプリーツ脚部間に形成されて「セルフスペーシング」をもたらす(図3Aを参照されたい)。
【0025】
[0033]いくつかの態様では、ハウジング内の連続プリーツ付き多孔質培地を備える固定床は、25%~95%の範囲内、典型的には40%~95%の範囲内、好ましくは40%~85%の範囲内のプリーツ密度を有する。典型的には、プリーツ付き多孔質培地は、プリーツが水平なx-y平面内の方向を有し、垂直流体流れチャネルが垂直なz平面内にあるように配向することができ、プリーツの閉じた縁部は、垂直流体流れに平行である。
【0026】
[0034]固定床の態様は拡張可能であり、例えば2cm~150mmの範囲内、典型的には10mm~100mmの範囲内の任意の適切な固定床高さを有することができる。
【0027】
[0035]固定床は、典型的には(図示のように)矩形または正方形の様々な構成を有することができる。
【0028】
[0036]図1A図1Dおよび図2A図2D(「乾燥」培地を示す)に示すように、プリーツは、プリーツの内面により広いまたはより狭い間隔(「半径」、図1Cの半径R1は図2Cの半径R2より大きい)を有することができ、培地は、閉じた端部(プリーツによって形成される)および開いた端部(プリーツなし)を有する流れチャネルを提供し、流れチャネルは、第1の端部における閉状態および第2の端部における開状態と、第1の端部における開状態および第2の端部における閉状態との間で交互になる。しかし、対向する表面の部分は互いに接触しているように見えるが、細胞培養デバイスが動作されると、接線方向の流れの間、いくつかの対向する表面の少なくとも主要な部分は広がり、所望の適切な間隔をもたらす(図1C図1D図2C図2D、および図3Aを参照されたい)。さらに、液体は、複数の層に浸透し、接触したままの対向する表面の部分は、細胞培養において依然として機能することになる。
【0029】
[0037]いくつかの態様では、多孔質細胞培養培地は、プリーツ加工プロセス中に「犠牲層」としてスクラップ材料を使用してプリーツ加工することができる。例えば、図4A図4Dに示すように、キャリア培地171、172を多孔質細胞培養培地の両側に配置し、一緒にプリーツ加工し(例えば、波形加工機を使用して)、その後、スクラップ材料は、図4Dに示すように取り外される。得られた固定床は、図2Cに示すように(例えば、より小さい半径「R2」を有する)、犠牲層を使用せずにプリーツ加工された固定床と比較して、図1Cに示すようにより大きな半径(例えば、「R1」)を有することができる。
【0030】
[0038]固定床がハウジング内に配置される細胞培養装置の好ましい態様では、固定床プリーツ密度は、流れチャネルに沿って進行する細胞に起因して床内で均一な細胞分布を可能にするために、40%~85%の範囲内である。例示的には、参照のために図3Bを使用すると、固定床150は、100mmの固定された高さおよび40mmのプリーツ高さを有し、40mm当たり66個のプリーツ=76%のプリーツ密度を有する。100%のプリーツ密度は、ハウジング内のすべてのプリーツを組み合わせた厚さがハウジングの内部空洞の幅に等しい場合である(例えば、内部空洞の幅が40mmであり、プリーツの各脚部の厚さが0.23mm(プリーツの厚さを0.46mmにする)である場合、40mm/0.46mm=100%プリーツ密度に対し87個のプリーツである)。この構成では、ハウジング全体がキャリア材料で充填され、その間の空間は利用できない。流れチャネルを可能にするために、プリーツの数は、ハウジングに嵌合されるプリーツの理論上の最大量の100%未満に低減される。
【0031】
[0039]連続プリーツ付き多孔質培地は、任意の数のプリーツを有することができる。例えば、固定床は、50から60の範囲内のプリーツを有することができるが、50未満のプリーツまたは60を超えるプリーツを有することができる。
【0032】
[0040]本発明の態様によれば、可撓性である多孔質細胞培養培地は、織布または不織布の多孔質細胞培養培地または多孔質膜とすることができ、例えば、天然のポリマー、またはより好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成ポリマーを含む当技術分野で公知のものを含む多数の材料の任意のものから形成することができる。適切な多孔質細胞培養培地は、市販されている。1つの不織多孔質細胞培養培地は、不織親水化PETである。多孔質細胞培養培地は、典型的には、50~400μmの範囲内の厚さを有する。
【0033】
[0041]多孔質細胞培養培地は、任意の適切な細孔構造、例えば(例えば、バブルポイントによって証明されるような、または、例えば、米国特許第 4,340,479号明細書に説明されるようなKによる、または毛細管凝縮フローポロメトリによって証明される)細孔サイズ、平均フロー細孔(MFP)サイズ(例えば、ポロメータ、例えば Porvair Porometer(Porvair plc,ノーフォーク、UK)または商標POROLUX(Porometer.com;ベルギー)で入手可能なポロメータを使用して特徴付けられるとき)、細孔精度、細孔直径(例えば、米国特許第4,925,572号明細書に説明されているような修正OSU F2試験を使用して特徴付けられるとき)、または除去評価培地を有することができる。
【0034】
[0042]多孔質細胞培養培地は、任意の所望の臨界湿潤表面張力(例えば、米国特許第4,925,572号明細書に定義されているCWST)を有することができる。CWSTは、当技術分野で知られているように、例えば、米国特許第5,152,905号明細書、同第5,443,743号明細書、同第5,472,621号明細書、および同第6,074,869号明細書にさらに開示されているように選択することができる。多孔質細胞培養培地の表面特性は、湿式もしくは乾式酸化によって、表面上にポリマーまたはヒドロゲルをコーティングもしくは堆積させることによって、またはグラフト反応によって、(例えば、細胞付着に影響を与えるように、CWSTに影響を与えるように、表面電荷、例えば正または負の電荷を含むように、および/または表面の極性または親水性を変更するように)修飾することができる。修飾には、例えば、照射、極性または荷電モノマー、荷電ポリマーで表面をコーティングおよび/または硬化すること、ならびに表面に官能基を付着させる化学修飾を行うことが含まれる。グラフト反応は、ガスプラズマ、蒸気プラズマ、コロナ放電、熱、ファンデグラフト発生器、紫外線、電子ビーム、または他の様々な形態の放射線などのエネルギー源への曝露によって、またはプラズマ処理を用いた表面エッチングもしくは堆積によって活性化され得る。
【0035】
[0043]いくつかの態様(例えば、図7A図7Dおよび図7Gを参照されたい)では、細胞培養装置は、連続プリーツ付き多孔質培地に挿入された(例えば、プリーツ脚部間の流れチャネルに挿入された)多孔質培地801を備える複数の取り外し可能なサンプリング要素800を含む。必要に応じて、サンプリング要素は、多孔質培地の単一のシートを備え、多孔質培地は、連続プリーツ付き多孔質培地を製造するために使用される多孔質培地と同一である。必要に応じて、取り外し可能なサンプリング要素は、サンプリング要素に取り付けられたプルタブを含むことができ、または連続プリーツ付き多孔質培地を越えて(それを越えて突き出て)延びるサンプリング要素の長さがプルタブを提供する。
【0036】
[0044]サンプリング要素は、例えば、サンプリング要素に接着した細胞の細胞集団密度を決定するために使用することができる。代替的にまたは追加的に、サンプルを分析することは、複製可能なレトロウイルス試験、外来性ウイルス試験および無菌性試験(例えば、細胞が接着したサンプリング要素は、外因性微生物増殖について分析するために液体培地中に置かれる)のうちの1つまたは複数を含む。
【0037】
[0045]本発明の態様によれば、細胞培養装置であって、(a)第1の端部および第2の端部と、長手方向軸線とを有するハウジングと、(b)ハウジング内に配置された少なくとも1つの固定床であって、連続プリーツ付き多孔質培地を備え(例えば、図1A図1Dおよび図2A図2Dを参照されたい)、連続プリーツ付き多孔質培地が、上端部、底端部、前側部、後側部、右側部、および左側部と、右側部および左側部において折り畳まれ、脚部を有する複数のプリーツとを備え、隣接するプリーツ間に長手方向軸線に沿って垂直流体流れチャネルを有する、少なくとも1つの固定床とを備える、細胞培養装置が提供される。
【0038】
[0046]図5A図5D図6A図6D図7A図7G図8A図8Fおよび図9A図9Cに示すように、プリーツ付き多孔質細胞培養培地100を備える固定床150が、第1の端部201、第2の端部202、床チャンバ250および長手方向軸線Lを有する床ハウジング200内に配置され、細胞培養装置500を提供している。(図6A図6Dおよび図7A図7Gは、同じ床ハウジング200内の別個の床チャンバ250内に配置されたプリーツ付き多孔質細胞培養培地100をそれぞれ備える2つの固定床150を示す。図8A図8Fおよび図9A図9Cは、同じ床ハウジング200内の別々の床チャンバ250内に配置されたプリーツ付き多孔質細胞培養培地100をそれぞれ備える3つ以上の固定床150を示す)。床ハウジングは、(図7Aおよび図8Bに示すように)第1の端部から第2の端部までの単一部品であることができ、または互いに嵌合された複数のセグメントを備えることができる。例えば、図5Dおよび図6A図6Dに示す、図示するハウジングは、下側セグメント200Bと流体密に係合される上側セグメント200Aを有し、同様の結果が、図9A図9Cに示す垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバ(製造を容易にするために提供される積み重ね可能性)でもたらされる。
【0039】
[0047]いくつかの態様では、図6C図6D、および図8Bにより詳細に示すように、開口211を有する床リテーナ(バッフルまたはグリッドプレートなど)210が、ハウジングの第1の端部201に配置され、いくつかの態様では、図6Dに示すようにリテーナの一部が第1の端部201のスロット212内に嵌合するような例えば回転によって、ハウジングに係合可能である。
【0040】
[0048]図7Eおよび図7Fに示す態様では、床ハウジング200は、細胞培養培地100を壁から離間させる任意選択の外側に延びるリブ206を含む内壁205を有し、床ハウジングの第1の端部201は、任意選択の内側に面する突起207Aを含み、床ハウジングの第2の端部202は、任意選択の内側に面する突起207Bを含み、細胞培養培地を床ハウジング200内に保持する。
【0041】
[0049]図5A図5D図6C図6D図7Aおよび図7Dに示す態様では、細胞培養デバイス1000は、細胞培養装置500と、床ハウジング200の第2の端部202に配置されたポンプアセンブリ600であって、ハウジングの第2の端部に取り付けられた任意選択のポンプ蓋601と、ポンプ蓋に接続されたポンプ外側本体602と、ポンプ外側本体602に接続されたポンプ本体610であって、中央空洞650を含む、ポンプ本体610とを備える、ポンプアセンブリと、ポンプ本体610の中央空洞650内に配置された磁気駆動インペラ700と、開いた第1の容器端部901および閉じた第2の容器端部902と、開いた第1の容器端部および閉じた第2の容器端部に接続された容器側壁905とを有する細胞培養容器900であって、中央チャンバ950を有し、細胞培養装置およびポンプアセンブリが中央チャンバ内に配置される、細胞培養容器とを含む。
【0042】
[0050]細胞培養デバイスの態様は、任意の数のポートを含むことができ、少なくとも1つの入口ポートと、少なくとも1つの出口ポートとを含むことができる。例えば、図8Aは、組み立てられた細胞培養デバイスの斜視図を示し、例えば、動作中に様々なパラメータをサンプリング/決定するためのデバイスの上端部の様々な任意選択のポート、ならびに入口ポートおよび出口ポートも示す。参照のために図8Aに示す態様を使用すると、別の態様では、デバイスの上端部(第1の細胞培養ハウジング910の上面)は、例えばポンプアセンブリを受け入れるための大きなポートおよび/または別の構成要素を受け入れるための凹部912を含む。
【0043】
[0051]図5Dおよび図7Aに示す細胞培養デバイスの図示する態様は、開いた第1の容器端部901を液密に覆う閉じた出荷/保管カバー1101を有し、遮断発泡体などの任意選択の安定化要素1110(図7Cも参照されたい)が、閉鎖カバー1101の内面と床リテーナ210との間に配置される。細胞培養デバイスを使用する前に、蓋1101および安定化要素1110(存在する場合)が、取り外され(図6C図6Dおよび図7Aを参照されたい)、バイオリアクタ蓋(例えば、ステンレス鋼カバー)が、床リテーナの上部に液密に置かれる。
【0044】
[0052]典型的には、細胞培養デバイスは、細胞を本質的に含まない細胞培養培地(液体)の移送を可能にする少なくとも1つの構造を(例えば、バイオリアクタシステムの蓋の1つまたは複数のコネクタを介して、またはデバイスに一体化されて)有する。
【0045】
[0053]上記で留意したように、細胞培養装置および/または細胞培養デバイスは、それぞれがプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える単一の固定床または複数の固定床を有することができる。
【0046】
[0054]例えば、参照のために図6Cおよび図7Dを使用すると、細胞培養デバイス1000は、床ハウジング200内の別個の床チャンバ250内に配置された第1の固定床150および第2の固定床150を含む細胞培養装置500を含む。他の態様では、細胞培養デバイスは、3つ以上の固定床を含み、例えば、図8Fに示す細胞培養デバイス2000の態様は、床ハウジング200内の別個の床チャンバ250内に20を超える固定床を有し、図9A図9Cに示す細胞培養デバイス3000の態様は、床ハウジング200内の床チャンバ250の別個のスタック内に200を超える固定床を有する。
【0047】
[0055]参照のために図8A図8Fを使用すると、細胞培養デバイス2000の図示の態様は、床ハウジング200内に配置された3つ以上の固定床150、例えば10以上の固定床(別個の床チャンバ250内の23個の固定床150が示されている。例えば、図8Fを参照されたい。)を含む細胞培養装置500を含む。各床チャンバ250は、第1のチャンバ端部275と、第2のチャンバ端部276とを含み、床ハウジングは、床ハウジングの第2の端部にグリッドプレート209を有する。必要に応じて、(流体がスペーサに沿って床に通過することを可能にする)床スペーサが、本発明による細胞培養装置、床ハウジングおよび/または各床チャンバの任意の態様に配置することができ、例えば、スペーサは床150の下に配置され、スペーサは、第2のチャンバ端部/第2の床ハウジング端部においてグリッドプレート209によってデバイス内に保持される。グリッドプレートは、各第2のチャンバ端部に配置された流体の流れを可能にする少なくとも1つのスロット209A(3つが示されている)を有する。いくつかの態様では、同じ床ハウジングを使用して異なる長さの固定床を収容できるように、スペーサの使用が望ましい。
【0048】
[0056]図8A図8Fに示す細胞培養デバイス2000の態様では、デバイスは、床ハウジング200の第2の端部202の下方に配置された中央空洞650を有するポンプ本体610と、ポンプ本体610の中央空洞650内に配置された磁気駆動インペラ700と、中央カラムに通じるインペラの上方のS字屈曲部によって中央カラム614に向かう出口としての役割と、固定床を通過した後に外側のチャンバ950から来てインペラに向かって下降する、インペラの中心にある液体用の入口を提供する役割の両方を果たす分流器613とを含み、床ハウジングは、第1の(上側)細胞培養ハウジング910と、第2の(下側)の細胞培養ハウジング911とを有する細胞培養容器900内に配置され、第2の細胞培養ハウジングは、開いた第1の容器端部901および開いた第2の容器端部902’と、開いた第1の容器端部および第2の容器端部に接続された容器側壁905’とを有し、細胞培養容器が中央チャンバ950を有し、細胞培養装置が中央チャンバ内に配置される。
【0049】
[0057]参照のために図9A図9Cを使用すると、細胞培養デバイス3000の図示の態様は、3つ以上の固定床150を含む細胞培養装置500を含み、例えば、別個の床チャンバ250内の200を超える固定床150が、床ハウジング200内に配置されて示されている。各床チャンバ250は、第1のチャンバ端部275および第2のチャンバ端部276と、第2のチャンバ端部/第2の床ハウジング端部にあるグリッドプレート209とを含む。グリッドプレートは、各第2のチャンバ端部に配置された流体の流れを可能にする少なくとも1つのスロット209を有する。細胞培養デバイス3000の図示する態様では、細胞培養装置は、複数の積み重ね可能なセクションを含み、積み重ねられたセクションは、固定床を受け入れる垂直に配置された固定床チャンバを提供し(図9Bに示すように、垂直に配置された積み重ねられた固定床チャンバ内に受け入れられた単一の固定床が、全長状態の固定床空洞をなす)、各固定床は、本発明の別の態様により、床ハウジング内にプリーツ付き多孔質細胞培養培地を備える。
【0050】
[0058]図9A図9Cに示す細胞培養デバイス3000の態様では、デバイスは、床ハウジング200の第2の端部202の下方に配置された中央空洞650を有するポンプ本体610と、ポンプ本体610の中央空洞650内に配置された磁気駆動インペラ700とを備え、床ハウジングは、開いた第1の容器端部901および開いた第2の容器端部902’と、開いた第1の容器端部および第2の容器端部に接続された容器側壁905’とを有する細胞培養容器900内に配置され、細胞培養容器は、中央チャンバ950を有し、細胞培養装置は、中央チャンバ内に配置される。
【0051】
[0059]典型的には、本発明の態様によるバイオリアクタシステムは、当技術分野で知られているように動作させることができ(例えば、iCELLis(登録商標)Nano SystemおよびiCELLis(登録商標)500 System(米国ニューヨーク州、ポートワシントン(Port Washington)にあるPall Corporation)を含む、iCELLis(登録商標)Single-Use Fixed-Bed Bioreactor Systemを参照)、例えば、市販の固定床バイオリアクタシステム、例えば、iCELLis(登録商標)Nano SystemおよびiCELLis(登録商標)500 System(米国ニューヨーク州 ポートワシントン(Port Washington)にあるPall Corporation)を含むiCELLis(登録商標)Single-Use Fixed-Bed Bioreactor Systemで使用されるような、溶存酸素、pH、温度のセンサなどの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのセンサを含むことができる。
【0052】
[0060]床ハウジングは、処理される流体と適合する任意の剛性不透過性熱可塑性材料を含む任意の適切な不透過性材料から製造することができる。例えば、ハウジングは、ステンレス鋼などの金属から、またはポリマーから製造することができる。いくつかの態様では、ハウジングは、プラスチックなどのポリマー、いくつかの態様では、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリカーボネート樹脂である。
【0053】
[0061]本明細書で引用する刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
[0062]本発明を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)用語「1つ(a)」および「1つ(an)」および「その(the)」および「少なくとも1つ(at least one)」および同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を対象とすると解釈されるものである。「少なくとも1つ」という用語の後に1つまたは複数の項目のリスト(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)を使用することは、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、リストされた項目から選択された1つの項目(AまたはB)、またはリストされた項目の2つ以上の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈されるものである。「備える」、「有する」、「含む」、および「含有する」という用語は、別段明記しない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるものである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に参照する簡略化された方法として役立つことを意図するにすぎず、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に説明するすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく明らかにすることを意図するにすぎず、別段の請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中の言語は、請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0055】
[0063]本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい態様が、本明細書に説明される。これらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読むことで、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に説明する以外の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用される法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変形態および同等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記で説明する要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C