(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】データベース生成システム、データベース生成方法及びデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/50 20180101AFI20241015BHJP
【FI】
G16H50/50
(21)【出願番号】P 2023062654
(22)【出願日】2023-04-07
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513168390
【氏名又は名称】医療法人徳洲会
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅原 孝之
(72)【発明者】
【氏名】小林 修三
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030013(JP,A)
【文献】特開2021-111283(JP,A)
【文献】特開2023-055570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを
互いに紐付けて取得する取得部と、
前記患者が体験した内容を示す情報として、前記患者が受けた治療内容に関する情報が取得され、該取得された情報に手術が含まれる場合、手術内容ごとに患者負担に応じてレベル分けすることで、前記治療内容に関する情報を定量化する定量化部と、
前記定量化された前記治療内容に関する情報を含む前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、
前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成部と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納部と
を有するデータベース生成システム。
【請求項2】
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを互いに紐付けて取得する取得部と、
前記患者の状態を示す情報として、前記患者の症状に関する情報が取得された場合、部位ごとに症状の重さに応じてレベル分けすることで、前記患者の症状に関する情報を定量化する定量化部と、
前記患者が体験した内容を示す情報及び前記定量化された情報を含む前記患者の状態を示す情報を、前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成部と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納部と
を有するデータベース生成システム。
【請求項3】
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、基準時間と前記基準時間の前後の時間を示す相対時間とに基づいて特定される絶対時間と、を互いに紐付けて取得する取得部と、
取得された前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、前記絶対時間に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成部と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納部と、を有し、
前記生成部は、
前記基準時間と前記相対時間とで、異なる重み係数を対応付けて前記データベースを生成する、データベース生成システム。
【請求項4】
前記取得部は、
前記電子カルテから、前記時間を特定するための情報として、絶対時間を取得する、請求項1
または2に記載のデータベース生成システム。
【請求項5】
前記絶対時間は、基準時間と、前記基準時間の前後の時間を示す相対時間とに基づいて特定される、請求項
4に記載のデータベース生成システム。
【請求項6】
前記取得部は、
前記患者が体験した内容を示す情報として、前記患者が受けた治療内容に関する情報を取得し、
前記治療内容に関する情報には、投薬及び手術が含まれる、
請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のデータベース生成システム。
【請求項7】
前記生成部は、
前記治療内容に関する情報が投薬の場合、薬の種類ごとに薬の量を時系列に配置する、
請求項
6に記載のデータベース生成システム。
【請求項8】
前記取得部は、
前記患者の状態を示す情報として、前記患者の症状に関する情報及び前記患者の生体情報を取得する、
請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のデータベース生成システム。
【請求項9】
前記生成部は、
前記患者の生体情報の測定値または生体情報から抽出された特徴量を、測定項目ごとに時系列に配置する、
請求項
8に記載のデータベース生成システム。
【請求項10】
前記生成部は、
前記患者の基本情報のうちの属性情報を、時系列に配置することで、前記データベースを生成する、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のデータベース生成システム。
【請求項11】
前記生成部は、
前記患者の疾病名を、時系列に配置することで、前記データベースを生成する、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のデータベース生成システム。
【請求項12】
前記格納部は、
前記データベースに、前記患者の基本情報のうちの属性情報以外の情報を含めて格納する、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のデータベース生成システム。
【請求項13】
前記属性情報以外の情報には、前記患者の性別、前記患者が疾病を発症した際の前記患者の年齢が含まれる、請求項
12に記載のデータベース生成システム。
【請求項14】
前記取得部は、自然言語処理を行うことで、前記電子カルテから、前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報と、前記時間を特定するための情報とを取得する、請求項1
または2に記載のデータベース生成システム。
【請求項15】
前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークは、ペイシェントジャーニーを実現するフレームワークである、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載のデータベース生成システム。
【請求項16】
前記属性情報以外の情報は、前記格納部に格納された前記データベースの中から、検索条件に合致するデータベースを検索するのに用いられる、請求項
12に記載のデータベース生成システム。
【請求項17】
データ管理装置のコンピュータが、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを
互いに紐付けて取得する取得工程と、
前記患者が体験した内容を示す情報として、前記患者が受けた治療内容に関する情報が取得され、該取得された情報に手術が含まれる場合、手術内容ごとに患者負担に応じてレベル分けすることで、前記治療内容に関する情報を定量化する定量化工程と、
前記定量化された前記治療内容に関する情報を含む前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、
前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成工程と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納工程と
を実行するデータベース生成方法。
【請求項18】
データ管理装置のコンピュータが、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを互いに紐付けて取得する取得工程と、
前記患者の状態を示す情報として、前記患者の症状に関する情報が取得された場合、部位ごとに症状の重さに応じてレベル分けすることで、前記患者の症状に関する情報を定量化する定量化工程と、
前記患者が体験した内容を示す情報及び前記定量化された情報を含む前記患者の状態を示す情報を、前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成工程と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納工程と
を実行するデータベース生成方法。
【請求項19】
データ管理装置のコンピュータが、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、基準時間と前記基準時間の前後の時間を示す相対時間とに基づいて特定される絶対時間と、を互いに紐付けて取得する取得工程と、
取得された前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、前記絶対時間に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成工程と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納工程と、を実行し、
前記生成工程は、
前記基準時間と前記相対時間とで、異なる重み係数を対応付けて前記データベースを生成する、データベース生成方法。
【請求項20】
データ管理装置のコンピュータに、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを
互いに紐付けて取得する取得工程と、
前記患者が体験した内容を示す情報として、前記患者が受けた治療内容に関する情報が取得され、該取得された情報に手術が含まれる場合、手術内容ごとに患者負担に応じてレベル分けすることで、前記治療内容に関する情報を定量化する定量化工程と、
前記定量化された前記治療内容に関する情報を含む前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、
前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成工程と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納工程と
を実行させるためのデータ管理プログラム。
【請求項21】
データ管理装置のコンピュータに、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを互いに紐付けて取得する取得工程と、
前記患者の状態を示す情報として、前記患者の症状に関する情報が取得された場合、部位ごとに症状の重さに応じてレベル分けすることで、前記患者の症状に関する情報を定量化する定量化工程と、
前記患者が体験した内容を示す情報及び前記定量化された情報を含む前記患者の状態を示す情報を、前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成工程と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納工程と
を実行させるためのデータ管理プログラム。
【請求項22】
データ管理装置のコンピュータに、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、基準時間と前記基準時間の前後の時間を示す相対時間とに基づいて特定される絶対時間と、を互いに紐付けて取得する取得工程と、
取得された前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、前記絶対時間に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成工程と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納工程と、を実行させ、
前記生成工程は、
前記基準時間と前記相対時間とで、異なる重み係数を対応付けて前記データベースを生成する、データ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データベース生成システム、データベース生成方法及びデータ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蓄積された電子カルテの情報は、専門機関等に提供され、創薬や医療機器の開発等に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、蓄積された電子カルテの情報は、専門機関のみならず、広く一般市民(患者、医療従事者等)に役立つ形で提供されることが望ましい。このような観点から、本願出願人は、広く一般市民に役立つ形で提供するためのフレームワークの構築を検討している。具体的には、患者がたどったプロセスを追体験できるようなフレームワーク(すなわち、ペイシェントジャーニー(以下、PJともいう)を実現するフレームワーク)の構築を検討している。
【0005】
本開示は、複数の電子カルテの情報を用いて、フレームワークの構築に適したデータベースを生成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、データベース生成システムは、
電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを互いに紐付けて取得する取得部と、
前記患者が体験した内容を示す情報として、前記患者が受けた治療内容に関する情報が取得され、該取得された情報に手術が含まれる場合、手術内容ごとに患者負担に応じてレベル分けすることで、前記治療内容に関する情報を定量化する定量化部と、
前記定量化された前記治療内容に関する情報を含む前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、前記時間を特定するための情報に基づいて時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成部と、
前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の電子カルテの情報を用いて、フレームワークの構築に適したデータベースを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】データベース生成システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
【
図2】データ管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】データ管理装置の解析部の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】第1のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【
図6】第1のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
【
図7】第2のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【
図8】第2のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
【
図9】第3のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【
図10】第3のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
【
図11】第4のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【
図12】第4のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
【
図13】PJ用データベースの具体例を示す第1の図である。
【
図14】データベース生成システムによるデータベース生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】フレームワーク構築システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図16】フレームワーク構築システムによるフレームワーク構築処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】PJ用データベースの具体例を示す第2の図である。
【
図18】データベース生成システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<データベース生成システムのシステム構成>
はじめに、第1の実施形態に係るデータベース生成システムのシステム構成について説明する。
図1は、データベース生成システムのシステム構成の一例を示す第1の図である。
【0011】
データベース生成システム100は、複数の電子カルテを取得するとともに、取得した複数の電子カルテの情報を用いて、PJを実現するフレームワークの構築に適したデータベースを生成するシステムである。
図1に示すように、データベース生成システム100は、データ管理装置110と、医療従事者端末120_1~120_Nとを備える。データベース生成システム100において、データ管理装置110と、医療従事者端末120_1~120_Nとは、ネットワーク130を介して通信可能に接続される。
【0012】
データ管理装置110には、データ管理プログラムがインストールされている。データベース生成フェーズにおいて当該プログラムが実行されることで、データ管理装置110は、電子カルテ取得部111、解析部112として機能する。
【0013】
電子カルテ取得部111は、医療従事者端末120_1~120_Nそれぞれにおいて生成された電子カルテを、ネットワーク130を介して取得し、電子カルテ格納部113に格納する。
【0014】
解析部112は、電子カルテ格納部113に格納された電子カルテを順次読み出して解析を行い、PJ用データベース(PJを実現するフレームワークの構築に適したデータベース)を生成する。また、解析部112は、生成したPJ用データベースをPJ用データ格納部114に格納する。
【0015】
医療従事者端末120_1~120_Nは、医療従事者121_1~121_Nが、それぞれ、電子カルテに情報を入力することで、電子カルテを生成する端末である。電子カルテに情報を入力する医療従事者121_1~121_Nには、医師のほか、看護師等が含まれる。また、医療従事者121_1~121_Nにより情報が入力される電子カルテには、通院患者用の電子カルテと、入院患者用の電子カルテとが含まれる。なお、本実施形態において、電子カルテの情報は、電子健康記録(EHR:Electronic Health Record)や電子医療記録(EMR:Electronic Medical Record)等に反映される場合があるとする。したがって、本実施形態における「電子カルテの情報」には、電子カルテそのものの情報のほか、EHRやEMRに反映された状態での電子カルテの情報も含まれるものとする。
【0016】
<データ管理装置のハードウェア構成>
次に、データ管理装置110のハードウェア構成について説明する。
図2は、データ管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、データ管理装置110は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、I/F(Interface)装置204、通信装置205、ドライブ装置206を有する。なお、データ管理装置110に含まれる各ハードウェアは、バス207を介して相互に接続されている。
【0017】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラム(例えば、データ管理プログラム等)をメモリ202上に読み出して実行する。
【0018】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行することで、当該コンピュータは各種機能を実現する。
【0019】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種情報を格納する。例えば、電子カルテ格納部113、PJ用データ格納部114は、補助記憶装置203において実現される。
【0020】
I/F装置204は、外部装置(操作装置211、表示装置212等)と接続する接続デバイスである。I/F装置204は、データ管理装置110の管理者(不図示)による操作を、操作装置211を介して受け付ける。また、I/F装置204は、データ管理装置110における処理の結果を出力し、表示装置212を介してデータ管理装置110の管理者に表示する。
【0021】
通信装置205は、ネットワーク130を介して外部装置(例えば、データベース生成システム100内の他の装置等)と通信するための通信デバイスである。具体的には、通信装置205は、ネットワーク130を介して、医療従事者端末120_1~120_N等と通信する。
【0022】
ドライブ装置206は記録媒体213をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体213には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体213には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0023】
なお、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体213がドライブ装置206にセットされ、該記録媒体213に記録された各種プログラムがドライブ装置206により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置203にインストールされる各種プログラムは、通信装置205を介してネットワーク130よりダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0024】
<電子カルテの説明>
次に、電子カルテの具体例について説明する。
図3は、電子カルテの一例を示す図である。
図3に示すように、電子カルテ300は、通院患者用の電子カルテであるのか、入院患者用の電子カルテであるかを示す情報を含む見出し領域310を有する。
【0025】
また、電子カルテ300は、患者の基本情報が入力される基本領域320を有する。基本領域320には、情報の項目として"患者ID"、"性別"、"年齢"、"患者氏名"、"属性情報"が含まれる。また、"属性情報"には、更に、情報の項目として、"生年月日"、"電話番号"、"住所"、"緊急連絡先"、"職業"、"家族構成"等が含まれる。
【0026】
また、電子カルテ300は、受診日当日に、担当医等によって入力される入力領域330を有する。なお、入力領域330に入力される情報には、担当医によって入力された情報に限定されず、担当医以外の医療従事者によって入力された情報も含まれる。
【0027】
例えば、入力領域330の"診療メモ"には、担当医が患者を診療することで得た情報であって、担当医によって入力された情報が含まれる。また、入力領域330の"処方"には、担当医が患者を診療することで決定した、患者に処方する薬の種類、薬の量、服用タイミング、服用期間に関する情報等であって、担当医によって入力された情報が含まれる。更に、"診断結果"には、担当医が診断した疾病名、及び、今後の対応についての情報であって、担当医によって入力された情報が含まれる。
【0028】
一方、入力領域330の"測定結果"には、診療中に、看護師が患者の生体情報を測定することで得た測定値であって、看護師によって入力された情報が含まれる。また、"患者から取得した生体情報"には、患者が受診日前に自ら測定していた生体情報であって、所定の通信モジュールを介して、看護師によって電子カルテ300に取り込まれた情報が含まれる。更に、"患者から取得した服用情報"には、患者が受診日前に自ら服用していた薬(例えば、サプリメント)についての服用情報であって、所定の通信モジュールを介して、看護師によって電子カルテ300に取り込まれた情報が含まれる。
【0029】
また、電子カルテ300においては不図示であるが、診療中に、X線撮影やMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査等を行った場合にあっては、電子カルテ300に対応付けて撮影画像が添付される。この場合、"添付画像"には、撮影画像の格納先を示す情報や、X線技師等の医療従事者によって入力された情報が含まれる。
【0030】
また、電子カルテ300は、受診履歴に関する情報が入力された履歴領域340を有する。履歴領域340には、患者が受診した日付が入力される。なお、
図3の例では、履歴領域340において、"2022年9月21日(水)"が選択された様子を示している。したがって、
図3において入力領域330に表示されている情報は、当該受診日当日に、担当医等によって入力された情報である。
【0031】
なお、履歴領域340において、他の受診日(例えば、"2022年8月30日(火)")が選択されると、入力領域330には、当該他の受診日当日に、担当医等によって入力された情報が表示される。
【0032】
また、電子カルテ300は、患者が以前に通院または入院していた病院からの紹介状に関する情報が入力される紹介状領域350を有する。紹介状領域350には、患者の過去の病歴や、生活習慣において注意すべき点、生体情報において注意すべき点に関する情報であって、例えば、患者が以前に通院または入院していた医療機関の担当医等によって入力された情報が含まれる。
【0033】
<データ管理装置の解析部の機能構成>
次に、データ管理装置110の解析部112の機能構成について説明する。
図4は、データ管理装置の解析部の機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、解析部112は、電子カルテ読み出し部401、疾病名取得部402、基本情報取得部403、症状情報取得部404、定量化部404Q、生体情報取得部406、定量化部406Qを有する。また、解析部112は、治療情報取得部407、定量化部407Q、時間情報取得部409、時系列データ生成部410、格納制御部411を有する。なお、疾病名取得部402、基本情報取得部403、症状情報取得部404、生体情報取得部406、治療情報取得部407、時間情報取得部409は、取得部の一例である。
【0034】
電子カルテ読み出し部401は、電子カルテ格納部113に格納された電子カルテ(例えば、電子カルテ300)を、順次、患者単位で読み出す。例えば、一人の患者に対して、受診日の異なる複数の電子カルテがある場合には、当該複数の電子カルテ全てを読み出す。
【0035】
疾病名取得部402は、読み出された電子カルテに対して、自然言語処理を行うことで、疾病名を取得し、時系列データ生成部410に通知するとともに、格納制御部411に直接通知する。
【0036】
基本情報取得部403は、読み出された電子カルテに対して、自然言語処理を行うことで、患者の基本情報を取得する。また、基本情報取得部403は、取得した患者の基本情報のうち、属性情報を時系列データ生成部410に通知し、属性情報以外の基本情報を、直接、格納制御部411に通知する。
【0037】
症状情報取得部404は、読み出された電子カルテに対して、自然言語処理を行うことで、患者の状態を示す情報の一例である、患者の症状に関する情報を取得する。また、症状情報取得部404は、取得した患者の症状に関する情報を、定量化部404Qに通知する。
【0038】
定量化部404Qは、症状情報取得部404により通知された、患者の症状に関する情報を、患者の部位ごとに定量化する。患者の症状に関する情報は、一般に、定性的な情報(悪い、痛い、違和感がある等)であるため、定量化部404Qでは、当該定性的な情報をレベル分けすることで、定量化する。
【0039】
生体情報取得部406は、読み出された電子カルテに対して、自然言語処理を行うことで、患者の状態を示す情報の一例である、患者の生体情報を取得する。また、生体情報取得部406は、取得した患者の生体情報を、定量化部406Qに通知する。
【0040】
定量化部406Qは、生体情報取得部406により通知された、患者の生体情報のうち、定量化されていない生体情報を定量化する。定量化されていない生体情報とは、例えば、画像データ等が挙げられる。定量化部406Qでは、患者の生体情報として、画像データが通知された場合、画像処理を行い、特徴量を抽出することで、定量化されていない生体情報を定量化する。
【0041】
治療情報取得部407は、読み出された電子カルテに対して、自然言語処理を行うことで、患者が体験した内容を示す情報の一例である、治療内容に関する情報を取得する。また、治療情報取得部407は、取得した治療内容に関する情報を定量化部407Qに通知する。
【0042】
定量化部407Qは、治療情報取得部407により通知された、治療内容に関する情報を、定量化する。なお、治療内容に関する情報には、治療内容として、例えば、投薬、手術等が含まれるが、このうち、手術については、手術内容ごとに手術方法によって患者負担が異なってくる。このため、定量化部407Qでは、手術内容ごとに手術方法に応じた患者負担によりレベル分けすることで、定量化する。
【0043】
時間情報取得部409は、読み出された電子カルテに対して、自然言語処理を行うことで、時間情報を取得する。時間情報取得部409が取得する時間情報には、絶対的な日時を表現した時間(絶対時間と称す)と、相対的な日時を表現した時間(相対時間と称す)とが含まれる。絶対時間のうち、受診日のように基準となる時間を基準時間と称す。相対時間とは、例えば、「昨日」、「2週間くらい前」等のように、基準時間を用いて、絶対時間を特定可能な時間情報を指す。
【0044】
時系列データ生成部410は生成部の一例であり、疾病名取得部402~定量化部407Qによって取得または定量化された情報と、絶対時間とを対応付けることで、取得または定量化された情報を時系列に配置し、時系列データを生成する。
図4の例の場合、時系列データ生成部410は、
・患者の疾病名、
・患者の基本情報のうちの属性情報、
・患者の症状を示す情報を定量化した情報、
・患者の生体情報、
・治療内容に関する情報を定量化した情報、
を時系列に配置し、時系列データを生成する。また、時系列データ生成部410は、生成した各時系列データを格納制御部411に通知する。
【0045】
格納制御部411は格納部の一例であり、
・疾病名取得部402より直接通知された疾病名、
・基本情報取得部403より直接通知された属性情報以外の基本情報、
・時系列データ生成部410より通知された各時系列データ、
を、PJ用データベースとして、PJ用データ格納部114に格納する。
【0046】
なお、上記のようにしてPJ用データベースを生成するデータベース生成処理のうち、
・疾病名取得部402及び基本情報取得部403により取得された情報に基づくデータベース生成処理を第1のデータベース生成処理、
・症状情報取得部404により取得された情報に基づくデータベース生成処理を第2のデータベース生成処理、
・生体情報取得部406により取得された情報に基づくデータベース生成処理を第3のデータベース生成処理、
・治療情報取得部407により取得された情報に基づくデータベース生成処理を第4のデータベース生成処理、
と称す。
【0047】
<第1のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報>
次に、第1のデータベース生成処理において、電子カルテから取得される情報の詳細について説明する。
図5は、第1のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【0048】
上述したように、疾病名取得部402は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から疾病名を取得する。
図5の例は、疾病名取得部402が、入力領域330の"診断結果"から疾病名を取得した様子を示している(符号501参照)。また、
図5の例は、疾病名取得部402が、紹介状領域350の"患者の病歴"から過去の疾病名を取得した様子を示している(符号502、503参照)。
【0049】
また、上述したように、時間情報取得部409は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、時間情報を取得する。また、時系列データ生成部410は、疾病名取得部402により取得された疾病名と時間情報取得部409により取得された時間情報とを対応付ける。
図5の例によれば、時系列データ生成部410は、疾病名取得部402により取得されたそれぞれの疾病名に対して、それぞれの疾病が発症したと診断された際の時間情報を対応付ける。
【0050】
具体的には、
図5の例の場合、符号501に示す疾病が発症したと診断された際の時間情報として、受診日(符号511に示す時間情報(絶対時間))が取得されている。また、符号502に示す疾病が発症したと診断された際の時間情報として、符号512に示す時間情報(絶対時間)が取得されている。また、符号503に示す疾病が発症したと診断された際の時間情報として、符号513に示す時間情報(絶対時間)が取得されている。
【0051】
このため、符号501に示す疾病名には、符号511に示す時間情報(絶対時間)が対応付けられる。また、符号502に示す疾病名には、符号512に示す時間情報(絶対時間)が対応付けられる。符号503に示す疾病名には、符号513に示す時間情報(絶対時間)が対応付けられる。
【0052】
また、上述したように、基本情報取得部403は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300の基本領域320から患者の基本情報(属性情報、属性情報以外の基本情報)を取得する。
図5の例は、基本情報取得部403が、基本領域320から、属性情報以外の基本情報として、患者の性別、年齢を取得した様子を示している(符号521参照)。また、
図5の例は、基本情報取得部403が、基本領域320から、属性情報として、生年月日、電話番号、住所、緊急連絡先、職業、家族構成等を取得した様子を示している(符号522参照)。
【0053】
また、上述したように、時間情報取得部409は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、時間情報を取得する。また、時系列データ生成部410は、基本情報取得部403により取得された基本情報のうちの属性情報と時間情報取得部409により取得された時間情報とを対応付ける。
図5の場合、基本情報取得部403により取得された属性情報に対応する時間情報として、受診日(符号511に示す時間情報(絶対時間))が取得されている。このため、符号522に示す属性情報には、符号511に示す時間情報(絶対時間)が対応付けられる。
【0054】
また、上述したように、格納制御部411は、時系列データ生成部410より通知された各時系列データをPJ用データベースとして、PJ用データ格納部114に格納する。第1のデータベース生成処理において、
図5の例では、時系列データ生成部410より、疾病名の時系列データ、属性情報の時系列データが通知されるため、これらを、PJデータベースとして、PJ用データ格納部114に格納する。
【0055】
また、上述したように、格納制御部411は、疾病名取得部402より直接通知された疾病名、及び、基本情報取得部403より直接通知された属性情報以外の基本情報(性別、年齢)を取得し、PJ用データベースに含めてPJ用データ格納部114に格納する。なお、格納制御部411は、疾病名と基本情報に含まれる年齢とを格納するにあたっては、疾病を発症した年齢を疾病名とともに格納する。
【0056】
<第1のデータベース生成処理の具体例>
次に、第1のデータベース生成処理の具体例について説明する。
図6は、第1のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
図6の例は、患者ID="P1111"の患者につき、N個の電子カルテがある(N回の受診履歴がある)ことを示している。ただし、電子カルテ300_1、300_2は、紹介状領域350に記載されていた病歴に基づいて便宜上図示したものであり、実際の電子カルテが存在しているわけではない。このため、点線で示している。
【0057】
また、
図6の例は、N個の電子カルテのうち、ハッチングされていない電子カルテ300_x、300_x+1が通院患者用の電子カルテであり、ハッチングされた電子カルテ300_N-2~300_Nが入院患者用の電子カルテであることを示している。
【0058】
図6に示すように、第1のデータベース生成処理では、疾病名取得部402により、それぞれの電子カルテから疾病名が取得される。また、
図6において不図示の時間情報取得部409により、それぞれの電子カルテから時間情報(絶対時間)である受診日が取得される。そして、
図6において不図示の時系列データ生成部410により、疾病名に時間情報(絶対時間)が対応付けられ、疾病名の時系列データが生成される。
図6において、時間軸610は、それぞれの電子カルテから取得された疾病名に対応付けられた時間情報(絶対時間)を表している。
【0059】
また、
図6に示すように、第1のデータベース生成処理では、基本情報取得部403により、それぞれの電子カルテから属性情報が取得される。また、
図6において不図示の時間情報取得部409により、それぞれの電子カルテから時間情報(絶対時間)である受診日が取得される。そして、
図6において不図示の時系列データ生成部410により、属性情報に時間情報(絶対時間)が対応付けられ、属性情報の時系列データが生成される。
図6において、時間軸610は、それぞれの電子カルテから取得された属性情報に対応付けられた時間情報(絶対時間)を表している。
【0060】
なお、生成された疾病名の時系列データ及び属性情報の時系列データは、格納制御部411により、PJ用データベースとして、PJ用データ格納部114に格納される。
【0061】
また、
図6に示すように、第1のデータベース生成処理では、基本情報取得部403により、それぞれの電子カルテから、属性情報以外の基本情報が取得され、直接、格納制御部411に通知される。また、疾病名取得部402により、それぞれの電子カルテから、疾病名が取得され、直接、格納制御部411に通知される。
【0062】
具体的には、基本情報取得部403により、性別、年齢が取得され、直接、格納制御部411に通知される。また、疾病名取得部402により、疾病A~疾病Dが取得され、直接、格納制御部411に通知される。これにより、格納制御部411では、性別、及び、それぞれの疾病を発症した際の年齢を、PJ用データベースに含めてPJ用データ格納部114に格納することができる。
【0063】
<第2のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報>
次に、第2のデータベース生成処理において、電子カルテから取得される情報の詳細について説明する。
図7は、第2のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【0064】
上述したように、症状情報取得部404は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、患者の症状に関する情報を取得する。
図7の例は、症状情報取得部404が、入力領域330の"診療メモ"から、患者の症状に関する情報として、"腰に違和感"、"頭痛"、"嘔吐"、"顔色が悪い"、"気持ちが塞いでいる"を取得した様子を示している(符号710参照)。
【0065】
また、上述したように、定量化部404Qは、症状情報取得部404により取得された患者の症状に関する情報を、患者の部位ごとに定量化する。
図7の場合、症状情報取得部404により、患者の症状に関する情報として、"腰に違和感"、"頭痛"、"嘔吐"、"顔色が悪い"、"気持ちが塞いでいる"が取得されている(符号710参照)。つまり、患者の部位として、"腰部"、"頭部"、"腹部"、"顔色"、"メンタル"が含まれる。そこで、定量化部404Qでは、それぞれの症状に関する情報を、患者の部位ごとに、症状の重さを示すレベルで表すことで定量化する。
【0066】
また、上述したように、時間情報取得部409は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、時間情報を取得する。また、時系列データ生成部410は、症状情報取得部404により取得された患者の症状に関する情報と時間情報取得部409により取得された時間情報とを対応付ける。なお、
図7の例において、時系列データ生成部410は、
・時間情報取得部409が取得した時間情報のうち、基準時間である受診日(符号720に示す時間情報(絶対時間))と、
・時間情報取得部409が取得した時間情報のうち、"診療メモ"より取得した相対時間である、"2週間前"、"2~3日前"、"今朝"等(符号721に示す時間情報(相対時間))と、
に基づいて、絶対時間を特定する。そして、時系列データ生成部410は、症状情報取得部404により取得された患者の症状に関する情報と特定した絶対時間とを対応付ける。
【0067】
具体的には、
図7の例の場合、"腰に違和感"があったのは、相対時間である"2週間前"からであり、基準時間である受診日は"2022年9月21日(水)"である。したがって、時系列データ生成部410では、絶対時間として、"2022年9月7日(水)"~"2022年9月21日(水)"を特定し、"腰部"の症状の重さを示すレベルに対応付ける。
【0068】
同様に、"頭痛"があったのは、相対時間である"2~3日前"からであり、基準時間である受診日は"2022年9月21日(水)"である。したがって、時系列データ生成部410では、絶対時間として、"2022年9月18日(日)"~"2022年9月21日(水)"を特定し、"頭部"の症状の重さを示すレベルに対応付ける。
【0069】
同様に、"嘔吐"があったのは、相対時間である"今朝"であり、基準時間である受診日は"2022年9月21日(水)"である。したがって、時系列データ生成部410では、絶対時間として、"2022年9月21日(水)"を特定し、"腹部"の症状の重さを示すレベルに対応付ける。
【0070】
なお、"顔色が悪い"、"気持ちが塞いでいる"といった患者の症状に関する情報は、受診日に担当医によって診断された結果である。したがって、時系列データ生成部410では、絶対時間として、"2022年9月21日(水)"を特定し、"顔色"、"メンタル"の症状の重さを示すレベルに対応付ける。
【0071】
<第2のデータベース生成処理の具体例>
次に、第2のデータベース生成処理の具体例について説明する。
図8は、第2のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
図8の例は、患者ID="P1111"の患者の電子カルテのうちの1個の電子カルテ(電子カルテ300)に対して、第2のデータベース生成処理を実行した様子を示している。
【0072】
図8に示すように、電子カルテ300から症状情報取得部404により取得された患者の症状に関する情報は、定量化部404Qにより患者の部位ごとに定量化される。このため、第2のデータベース生成処理により生成される時系列データには、情報の項目として、"部位"が含まれる。
【0073】
また、それぞれの"部位"には、時間情報取得部409により取得された時間情報(基準時間及び相対時間)に基づいて、時系列データ生成部410により特定された絶対時間が対応付けられた症状の重さを示すレベルが、ガントチャートとして示されている。
【0074】
このように、第2のデータベース生成処理が実行されることで、
・受診日(
図8の例では、"2022年9月21日(水)")の患者の症状に関する情報と、
・受診日より前であって、前回の受診日より後の患者の症状に関する情報と、
がガントチャートとして示されうる時系列データを取得することができる。
【0075】
つまり、電子カルテから患者の症状に関する情報を取得するにあたり、従来は、各受診日の患者の症状に関する情報を取得していたにすぎなかったところ、本実施形態によれば、受診日と他の受診日との間の患者の症状に関する情報をも取得することができる。
【0076】
この結果、本実施形態によれば、患者がたどったプロセスを追体験するのためのフレームワークの構築に適したデータベース(患者の症状に関する情報が高い時間分解能で取得された時系列データを含むPJ用データベース)を生成することができる。
【0077】
<第3のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報>
次に、第3のデータベース生成処理において、電子カルテから取得される情報の詳細について説明する。
図10は、第3のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【0078】
上述したように、生体情報取得部406は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、患者の生体情報を取得する。
図9の例は、生体情報取得部406が、入力領域330の"測定結果"から、生体情報として、患者の体温、血圧、身長、体重を取得した様子を示している(符号910参照)。
【0079】
また、
図9の例は、生体情報取得部406が、入力領域330の"患者から取得した生体情報"から、生体情報として、患者の血圧、体温、心拍数を取得した様子を示している(符号911参照)。
【0080】
なお、上述したように、定量化部406Qは、生体情報取得部406により取得された生体情報を定量化するが、
図9の例では、生体情報取得部406により取得された生体情報が既に定量化されている情報であるため、ここでは実行されない。
【0081】
また、上述したように、時間情報取得部409は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、時間情報を取得する。また、時系列データ生成部410は、生体情報取得部406により取得された生体情報と時間情報取得部409により取得された時間情報とを対応付ける。
【0082】
具体的には、
図9の例の場合、時系列データ生成部410は、生体情報取得部406により"測定結果"から取得された生体情報に対して、時間情報として、受診日(符号920に示す時間情報(絶対時間))を対応付ける。
【0083】
また、時系列データ生成部410は、生体情報取得部406により"患者から取得した生体情報"から取得された生体情報に対して、時間情報として、患者が生体情報を測定した日(符号921に示す時間情報(絶対時間))を対応付ける。
【0084】
<第3のデータベース生成処理の具体例>
次に、第3のデータベース生成処理の具体例について説明する。
図10は、第3のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
図10の例は、患者ID="P1111"の患者の電子カルテのうちの1個の電子カルテ(電子カルテ300)に対して、第3のデータベース生成処理を実行した様子を示している。
【0085】
図10に示すように、電子カルテ300から生体情報取得部406により取得された生体情報には、情報の項目として、"測定項目"が含まれる。
図10の例では、"測定項目"として、"血圧"、"体温"、"心拍"、"身長"、"体重"、"レントゲン"、"MRI"、"血液検査"等が含まれる。
【0086】
また、それぞれの測定項目についての測定値には、時間情報取得部409により取得された時間情報が対応付けられており、
図10の例では、日ごとに分けられたガントチャートとして示されている(ただし、紙面の都合上、測定値は省略している)。
【0087】
このように、第3のデータベース生成処理が実行されることで、
・受診日(
図10の例では、"2022年9月21日(水)")の患者の生体情報と、
・受診日より前であって、前回の受診日より後の患者の生体情報と、
が日ごとに分けられたガントチャートとして示されうる時系列データを取得することができる。
【0088】
つまり、電子カルテから患者の生体情報を取得するにあたり、従来は、各受診日に測定された患者の生体情報を取得していたにすぎなかったところ、本実施形態によれば、受診日と他の受診日との間の患者の生体情報をも取得することができる。
【0089】
この結果、本実施形態によれば、患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークの構築に適したデータベース(患者の生体情報が高い時間分解能で取得された時系列データを含むPJ用データベース)を生成することができる。
【0090】
<第4のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報>
次に、第4のデータベース生成処理において、電子カルテから取得される情報の詳細について説明する。
図11は、第4のデータベース生成処理において電子カルテから取得される情報の一例を示す図である。
【0091】
上述したように、治療情報取得部407は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、治療内容に関する情報を取得する。
図11の例は、治療情報取得部407が、入力領域330の"処方"から、治療内容に関する情報として、
・患者に処方した薬の種類("内服I"、"内服II")と、
・患者に処方した薬の量("1回1錠、朝・夕食後"、"1回1錠、昼食後")と、
を取得し(符号1110、1111参照)、入力領域330の"患者から取得した服用情報"から、治療内容に関する情報として、
・患者が服用したサプリメントの種類("サプリメントSP")と、
・患者が服用したサプリメントの量("3錠")と、
を取得した様子を示している(符号1112参照)。
【0092】
また、上述したように、定量化部407Qは、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報を定量化する。なお、
図11の例では、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報が、患者に処方した薬の種類及び量であるため、治療情報取得部407では、治療内容に関する情報として、薬の種類ごとに既に定量化された情報を取得できている。
【0093】
しかしながら、治療情報取得部407により取得される治療内容に関する情報は、投薬に限定されず、例えば、手術も含まれる。この場合、定量化部407Qでは、治療情報取得部407により取得される治療内容に関する情報(具体的には、手術の記録)を、手術内容ごとに定量化する。なお、定量化部407Qでは、例えば、それぞれの手術内容を、手術方法等(侵襲/非侵襲、麻酔の方法、手術時間、手術前の患者の状態等)に応じた患者の負担レベルで表すことで、治療内容に関する情報を定量化する。
【0094】
また、上述したように、時間情報取得部409は、自然言語処理を行うことで電子カルテ300から、時間情報を取得する。また、時系列データ生成部410は、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報と時間情報取得部409により取得された時間情報とを対応付ける。
【0095】
なお、
図11の例において、時系列データ生成部410は、対応付ける時間情報として絶対時間が特定されていない場合にあっては、
・時間情報取得部409が取得した時間情報のうち、基準時間である受診日(符号1121に示す時間情報(絶対時間))と、
・時間情報取得部409が取得した時間情報のうち、"処方"より取得した相対時間である"3日分"等(符号1120に示す時間情報(相対時間))と、
に基づいて、絶対時間を特定する。そして、時系列データ生成部410は、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報と特定した絶対時間とを対応付ける。
【0096】
具体的には、
図11の例の場合、患者が"内服I"を服用するのは、相対時間である"3日間"であり、基準時間である受診日は"2022年9月21日(水)"である。したがって、時系列データ生成部410では、絶対時間として、"2022年9月21日(水)"~"2022年9月24日(土)"を特定し、"内服I"の量(1日2錠)に対応付ける。
【0097】
同様に、患者が"内服II"を服用するのは、相対時間である"3日間"であり、基準時間である受診日は"2022年9月21日(水)"である。したがって、時系列データ生成部410では、絶対時間として、"2022年9月21日(水)"~"2022年9月24日(土)"を特定し、"内服II"の量(1日1錠)に対応付ける。
【0098】
また、
図11の例において、時系列データ生成部410は、対応付ける時間情報として絶対時間が特定されている場合にあっては、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報に、当該絶対時間を対応付ける。
【0099】
具体的には、
図11の例の場合、治療情報取得部407により"患者から取得した服用情報"から取得された治療内容に関する情報("サプリメントSP"の量(3錠))に、絶対時間として、患者が"サプリメントSP"を服用した日("2022年9月12日(金)")を対応付ける。
【0100】
<第4のデータベース生成処理の具体例>
次に、第4のデータベース生成処理の具体例について説明する。
図12は、第4のデータベース生成処理の具体例を示す図である。
図12の例は、患者ID="P1111"の患者の電子カルテのうちの1個の電子カルテ(電子カルテ300)に対して、第4のデータベース生成処理を実行した様子を示している。
【0101】
図12に示すように、電子カルテ300から治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報は、投薬であれば、薬の種類ごとに定量化されている。このため、第4のデータベース生成処理により生成される時系列データには、情報の項目として、"投薬"が含まれ、"投薬"には、更に、"薬の種類"が含まれる。また、電子カルテ300から治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報は、手術であれば、定量化部404Qにより、手術内容ごとに定量化される。このため、第4のデータベース生成処理により生成される時系列データには、情報の項目として、"手術"が含まれ、"手術"には、更に、"手術内容"が含まれる。
【0102】
また、それぞれの"薬の種類"には、時間情報取得部409により取得された時間情報(基準時間及び相対時間)に基づいて、時系列データ生成部410により特定された絶対時間が対応付けられた薬の量が、ガントチャートとして示されている。
【0103】
なお、電子カルテ300からは、治療内容に関する情報として、手術が取得されなかったため、それぞれの"手術内容"には、患者の負担レベルがガントチャートとして示されておらず、空欄となっている。
【0104】
このように、第4のデータベース生成処理が実行されることで、
・受診日(
図12の例では、"2022年9月21日(水)")の治療内容に関する情報と、
・受診日より前であって、前回の受診日より後の患者に対する治療内容に関する情報と、
・受診日より後であって、次回の受診日より前の患者に対する治療内容に関する情報と、
がガントチャートとして示されうる時系列データを取得することができる。
【0105】
つまり、電子カルテから治療内容に関する情報を取得するにあたり、従来は、各受診日の治療内容に関する情報を取得していたにすぎなかったところ、本実施形態によれば、受診日と他の受診日との間の治療内容に関する情報をも取得することができる。
【0106】
この結果、本実施形態によれば、患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークの構築に適したデータベース(治療内容に関する情報が高い時間分解能で取得された時系列データを含むPJ用データベース)を生成することができる。
【0107】
<PJ用データベースの具体例>
次に、第1乃至第4のデータベース生成処理において生成され、格納制御部411によりPJ用データ格納部114に格納されるPJ用データベースの具体例について説明する。
図13は、PJ用データベースの具体例を示す第1の図である。
【0108】
PJ用データベースは、患者単位で作成されるものとする。
図13に示すPJ用データベース1300は、患者ID="P1111"の患者のPJ用データベースの具体例である。
【0109】
図13に示すように、PJ用データベース1300には、ヘッダ領域1310が含まれる。ヘッダ領域1310には、基本情報取得部403により取得された患者に関する基本情報のうち、属性情報以外の基本情報が格納される。属性情報以外の基本情報には、性別や、それぞれの疾病を発症した年齢(例えば、
図6の例の電子カルテ300_1~300_Nの場合、疾病A~疾病Dの4つの疾病名について、それぞれの疾病を発症した年齢)等が含まれる。
【0110】
また、ヘッダ領域1310には、PJ用データベース1300の生成に用いられた、患者ID="P1111"の患者の全ての電子カルテの格納先にアクセスするための情報が格納される。
【0111】
また、
図13に示すように,PJ用データベース1300には、時間情報領域1320が含まれる。時間情報領域1320には、時系列データ生成部410により特定された、全ての時間情報(絶対時間)が格納される。なお、時間情報領域1320に格納される時間情報(絶対時間)は、西暦で表現されているものとし、西暦に対応する患者の年齢が合わせて格納されていてもよい。あるいは、年齢に代えて、または、年齢に加えて、所定の基準年(例えば、特定の疾病を発症した年)からの相対年数が格納されていてもよい。
【0112】
なお、時間情報領域1320において、ハッチングされた箇所は、受診日を表しており、ハッチングされていない箇所は、受診日以外の日を表している。
【0113】
また、
図13に示すように、PJ用データベース1300には、症状情報領域1330が含まれる。症状情報領域1330には、症状情報取得部404により取得された患者の症状に関する情報であって、定量化部404Qにより部位ごとに定量化された症状の重さを示すレベルが、対応する時間情報の領域に格納される。つまり、時間情報領域1320と症状情報領域1330とにより、患者の症状に関する情報の時系列データが形成される。
【0114】
また、
図13に示すように、PJ用データベース1300には、生体情報領域1340が含まれる。生体情報領域1340には、生体情報取得部406により取得された生体情報であって、測定項目ごとの測定値が、対応する時間情報の領域に格納される。つまり、時間情報領域1320と生体情報領域1340とにより、患者の生体情報の時系列データが形成される。
【0115】
また、
図13に示すように、PJ用データベース1300には、治療情報領域1350が含まれる。治療情報領域1350には、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報であって、治療内容が投薬の場合には、薬の種類ごとの薬の量が、対応する時間情報の領域に格納される。あるいは、治療情報領域1350には、治療情報取得部407により取得された治療内容に関する情報であって、治療内容が手術の場合には、定量化部407Qにより手術内容ごとに定量化された患者の負担レベルが、対応する時間情報の領域に格納される。つまり、時間情報領域1320と治療情報領域1350とにより、治療内容に関する情報の時系列データが形成される。
【0116】
また、
図13に示すように、PJ用データベース1300には、付帯情報領域1360が含まれる。付帯情報領域1360には、情報の項目として、"入院/通院"が含まれる。"入院/通院"には、各時間情報において、患者が入院していたか、通院していたかを示す情報が格納される。なお、各時間情報において、患者が入院していたか、通院していたかを示す情報は、格納制御部411により格納される。格納制御部411では、例えば、各時間情報が、通院患者用の電子カルテから取得されたものであるか、入院患者用の電子カルテから取得されたものであるかにより、いずれの情報を格納するかを判定する。
【0117】
また、付帯情報領域1360には、情報の項目として、"疾病名"が含まれる。"疾病名"には、疾病名取得部402により取得された疾病名が、対応する時間情報の領域に格納される。
【0118】
また、付帯情報領域1360には、情報の項目として、"属性情報"が含まれる。"属性情報"には、基本情報取得部403により取得された患者の基本情報のうちの属性情報が、対応する時間情報の領域に格納される。
【0119】
つまり、時間情報領域1320と付帯情報領域1360とにより、通院/入院の時系列データ、疾病名の時系列データ、属性情報の時系列データがそれぞれ形成される。
【0120】
<データベース生成処理の流れ>
次に、データベース生成システム100によるデータベース生成処理の流れについて説明する。
図14は、データベース生成システムによるデータベース生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0121】
ステップS1401において、データ管理装置110の電子カルテ取得部111は、医療従事者端末120_1~120_Nから電子カルテを取得し、電子カルテ格納部113に格納する。
【0122】
ステップS1402において、データ管理装置110の解析部112は、第1のデータベース生成処理を実行する。具体的には、データ管理装置110の解析部112は、電子カルテ格納部113から、所定の患者の電子カルテを読み出し、疾病名及び患者の基本情報を取得する。
【0123】
ステップS1403において、データ管理装置110の解析部112は、付帯情報(取得した疾病名及び取得した基本情報のうちの属性情報等)に時間情報を対応付け、時系列に配置する。
【0124】
ステップS1404において、データ管理装置110の解析部112は、第2のデータベース生成処理を実行する。具体的には、読み出した電子カルテから、患者の症状に関する情報を取得する。
【0125】
ステップS1405において、データ管理装置110の解析部112は、患者の症状に関する情報に時間情報を対応付け、時系列に配置する。
【0126】
ステップS1406において、データ管理装置110の解析部112は、第3のデータベース生成処理を実行する。具体的には、データ管理装置110の解析部112は、読み出した電子カルテから、生体情報を取得する。
【0127】
ステップS1407において、データ管理装置110の解析部112は、生体情報に時間情報を対応付け、時系列に配置する。
【0128】
ステップS1408において、データ管理装置110の解析部112は、第4のデータベース生成処理を実行する。具体的には、データ管理装置110の解析部112は、読み出した電子カルテから、治療内容に関する情報を取得する。
【0129】
ステップS1409において、データ管理装置110の解析部112は、治療内容に関する情報に時間情報を対応付け、時系列に配置する。
【0130】
ステップS1410において、データ管理装置110の解析部112は、ステップS1403、S1405、S1407、S1409において時系列に配置された情報を含むPJ用データベースを生成する。
【0131】
ステップS1411において、データ管理装置110の解析部112は、生成したPJ用データベースに、ステップS1402において取得した基本情報及び電子カルテの格納先にアクセスするための情報を含めて、PJ用データ格納部114に格納する。
【0132】
ステップS1412において、データ管理装置110の解析部112は、電子カルテ格納部113に格納された全ての電子カルテについて第1乃至第4のデータベース生成処理を実行したか否かを判定する。ステップS1412において、第1乃至第4のデータベース生成処理を実行していない電子カルテがあると判定した場合には(ステップS1412においてNOの場合には)、ステップS1402に戻る。
【0133】
一方、ステップS1412において、全ての電子カルテについて第1乃至第4のデータベース生成処理を実行したと判定した場合には(ステップS1412においてYESの場合には)、データベース生成処理を終了する。
【0134】
<フレームワーク構築システムのシステム構成>
次に、生成したPJ用データベースに基づいて、PJを実現するフレームワークを構築するフレームワーク構築システムのシステム構成について説明する。
図15は、フレームワーク構築システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0135】
図15に示すように、フレームワーク構築システム1500は、データ管理装置1510と、PJ生成用端末1520とを備える。フレームワーク構築システム1500において、データ管理装置1510と、PJ生成用端末1520とは、ネットワーク130を介して通信可能に接続される。
【0136】
データ管理装置1510には、データ管理プログラムがインストールされている。フレームワーク構築フェーズにおいて当該プログラムが実行されることで、データ管理装置1510は、電子カルテ取得部111、解析部112、検索部1511として機能する。
【0137】
このうち、電子カルテ取得部111及び解析部112は、
図1を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0138】
検索部1511は、PJ生成用端末1520から送信される検索要求に応じて、PJ用データ格納部114に格納されたPJ用データベースの中から、検索条件に合致するPJ用データベースを検索し、PJ生成用端末1520に送信する。なお、PJ生成用端末1520から送信される検索要求に含まれる検索条件とは、例えば、PJ用データ格納部114に格納されたPJ用データベースのうち、ヘッダ領域に、
・特定の疾病名が含まれるPJ用データベース、
・特定範囲の年齢、性別が含まれるPJ用データベース、
等を検索するための条件を指す。検索部1511では、PJ用データベースのヘッダ領域(例えば、PJ用データベース1300のヘッダ領域1310)を検索することで、検索条件に合致するPJ用データベースを検索する。
【0139】
PJ生成用端末1520には、PJ生成プログラムがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、PJ生成用端末1520は、PJを生成するための各種機能を実現する。なお、PJ生成用端末1520において実現される各種機能は、開発者1521による各種PJ生成操作に応じて実行される。
【0140】
これにより、PJ生成用端末1520によれば、患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワーク(ペイシェントジャーニーを実現するフレームワーク)を構築することができる。
【0141】
<フレームワーク構築処理の流れ>
次に、フレームワーク構築システム1500によるフレームワーク構築処理の流れについて説明する。
図16は、フレームワーク構築システムによるフレームワーク構築処理の流れを示すフローチャートである。
【0142】
ステップS1601において、PJ生成用端末1520は、検索条件の入力を受け付ける。
【0143】
ステップS1602において、PJ生成用端末1520は、検索条件を含む検索要求をデータ管理装置1510に送信する。これにより、データ管理装置1510では、検索条件に合致するPJ用データベースをPJ用データ格納部114から読み出し、PJ生成用端末1520に送信する。
【0144】
ステップS1603において、PJ生成用端末1520は、データ管理装置1510から受信した各PJ用データベースを、最小単位に分割する。ここでいう最小単位とは、例えば、PJ用データベースにおいて、治療が行われた日及び治療が行われた日前後の所定の時間範囲における時系列データを指す。
【0145】
ステップS1604において、PJ生成用端末1520は、分割した最小単位の時系列データを、所定のルールに従って接続することで、プロセス経路を生成する。
【0146】
ステップS1605において、PJ生成用端末1520は、分割した最小単位の時系列データ全てについて、プロセス経路を生成するための処理を実行したか否かを判定する。ステップS1605において、プロセス経路を生成するための処理を実行していない、分割した最小単位の時系列データがあると判定した場合には(ステップS1605においてNOの場合には)、ステップS1604に戻る。
【0147】
一方、ステップS1605において、分割した最小単位の時系列データ全てについて、プロセス経路を生成するための処理を実行したと判定した場合には(ステップS1605においてYESの場合には)、ステップS1606に進む。
【0148】
ステップS1606において、PJ生成用端末1520は、生成したプロセス経路において、重複する最小単位の時系列データを集約することで、PJを生成する。
【0149】
ステップS1607において、PJ生成用端末1520は、他の検索条件に合致するPJ用データベースに基づいて、フレームワークを構築するか否かを判定する。ステップS1607において、他の検索条件に合致するPJ用データベースに基づいて、フレームワークを構築すると判定した場合には(ステップS1607においてYESの場合には)、ステップS1601に戻る。
【0150】
一方、ステップS1607において、他の検索条件に合致するPJ用データベースに基づいて、フレームワークを構築しないと判定した場合には(ステップS1607においてNOの場合には)、フレームワーク構築処理を終了する。
【0151】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係るデータ管理装置110は、
・電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報(患者の治療内容に関する情報)及び患者の状態を示す情報(患者の症状に関する情報、患者の生体情報)と、時間を特定するための情報とを取得する。
・患者が体験した内容を示す情報(患者の治療内容に関する情報)及び患者の状態を示す情報(患者の症状に関する情報、患者の生体情報)を、時系列に配置する。これにより、患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるPJ用データベースを生成する。
・生成したPJ用データベースに、患者の基本情報(属性情報以外の基本情報)を含めて格納する。
【0152】
このように、第1の実施形態に係るデータ管理装置110によれば、複数の電子カルテの情報を用いて、PJを実現するフレームワークの構築に適したデータベースを生成することができる。
【0153】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、PJ用データベースにおいて、時間情報として受診日が対応付けられた情報と、受診日以外の日が対応付けられた情報とを同等に扱うものとして説明した。一方で、受診日が対応付けられた情報と、受診日以外の日が対応付けられた情報とでは、情報の確度に差がある。そこで、第2の実施形態では、PJ用データベースにおいて情報の確度を対応付け、フレームワークを構築する際に情報の確度を利用できるようにする。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0154】
<PJ用データベースの具体例>
はじめに、第2の実施形態に係るデータ管理装置により生成される、PJ用データベースの具体例について説明する。
図17は、PJ用データベースの具体例を示す第2の図である。
図13を用いて説明したPJ用データベース1300との差異点は、
図17に示すPJ用データベース1700の場合、時間情報領域1320に含まれる各時間情報に、確度情報が対応付けられている点である。
【0155】
図17の例では、受診日(ハッチングされた時間情報)には、確度Xが対応付けられ、受診日以外の日(ハッチされていない時間情報)には、確度xが対応付けられている。なお、確度Xと確度xとは、「確度X>確度x」の関係にあるとする。
【0156】
このように、各時間情報に確度情報を対応付けることで、例えば、
・確度Xが対応付けられた時間情報における、患者の症状に関する情報と、
・確度xが対応付けられた時間情報における、患者の症状に関する情報と、
で、異なる重み係数をかけ合わせたうえで、フレームワーク構築処理を実行するができるようになる。
【0157】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係るデータ管理装置は、PJ用データベースを生成する際、情報の確度を対応付ける。これにより、第2の実施形態によれば、異なる重み係数をかけ合わせたうえでフレームワーク構築処理を実行することができるようになる。
【0158】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、データ管理装置が、電子カルテ格納部113に格納された電子カルテから、PJ用データベースを生成するケースについて説明した。しかしながら、医療従事者端末120_1~120_Nにおいて、医療従事者121_1~121_Nが情報を入力する際に、予めPJ用データベースのフォーマットと同一または類似のフォーマットに改良された電子カルテに入力するように構成してもよい。あるいは、電子カルテのフォーマットは従来通りであっても、医療従事者端末120_1~120_Nそれぞれが、PJ用データベースのフォーマットと同一または類似のフォーマットに変換したうえで、データ管理装置に送信するように構成してもよい。以下、第3の実施形態について、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0159】
<データベース生成システムのシステム構成>
はじめに、第3の実施形態に係るデータベース生成システムのシステム構成について説明する。
図18は、データベース生成システムのシステム構成の一例を示す第2の図である。
【0160】
図18に示すように、データベース生成システム1800は、データ管理装置1810と、医療従事者端末1820_1~1820_Nとを備える。
【0161】
データ管理装置1810には、データ管理プログラムがインストールされている。データベース生成フェーズにおいて当該プログラムが実行されることで、データ管理装置1810は、PJ用電子カルテ取得部1811、電子カルテ取得部111、解析部112として機能する。
【0162】
PJ用電子カルテ取得部1811は、PJ用データベースのフォーマットと同一または類似のフォーマットに改良された電子カルテが、医療従事者端末120_1~120_Nのいずれかから送信された場合に、これを受信する。また、PJ用電子カルテ取得部1811は、受信したPJ用電子カルテを、PJ用データベースとして、PJ用データ格納部114に直接格納する。
【0163】
なお、
図18に示す電子カルテ取得部111、解析部112は、上記第1の実施形態において、
図1を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0164】
医療従事者端末1820_1~1820_Nは、医療従事者121_1~121_Nが、それぞれ、電子カルテに情報を入力することで、電子カルテを生成する端末である。ただし、本実施形態において、医療従事者端末1820_1~1820_Nは、PJ用データベースのフォーマットと同一または類似のフォーマットの電子カルテを、医療従事者121_1~121_Nに提供可能であるとする。
【0165】
あるいは、医療従事者端末1820_1~1820_Nは、解析部112と同様の機能を有しているものとする。これにより、医療従事者端末1820_1~1820_Nでは、医療従事者121_1~121_Nにより情報が入力された従来の電子カルテ(例えば、電子カルテ300)を、PJ用データベースに変換することができる。
【0166】
これにより、医療従事者端末1820_1~1820_Nでは、PJ用データベースのフォーマットと同一または類似のフォーマットの電子カルテをデータ管理装置1810に送信することができる。つまり、データベース生成システム1800において、解析部112は、医療従事者端末1820_1~1820_Nにて実現されてもよい。
【0167】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係るデータベース生成システムは、
・PJ用データベースのフォーマットと同一または類似のフォーマットの電子カルテを、医療従事者121_1~121_Nに提供する。あるいは、
・医療従事者端末1820_1~1820_Nが、医療従事者121_1~121_Nにより情報が入力された従来の電子カルテを、PJ用データベースのフォーマットに変換したうえで、データ管理装置1810に送信する。
【0168】
これにより、第3の実施形態に係るデータベース生成システムによれば、複数の電子カルテの情報を用いて、PJを実現するフレームワークの構築に適したデータベースを生成することができる。
【0169】
[その他の実施形態]
上記第2の実施形態では、時間情報として受診日が対応付けられた情報と、受診日以外の日が対応付けられた情報とで、異なる確度を対応付けるものとして説明した。しかしながら、情報の確度を対応付ける方法はこれに限定されない。
【0170】
例えば、
・データベース生成処理の実行対象となる電子カルテに情報を入力する権限を有する医療従事者による診断結果、測定結果等と、
・データベース生成処理の実行対象となる電子カルテに情報を入力する権限を有していない医療従事者による診断結果、患者による測定結果と、
で異なる確度を対応付けるように構成してもよい。
【0171】
あるいは、情報の客観性によって、異なる確度を対応付けるように構成してもよい。例えば、医師、看護師等により入力された情報と、患者、患者の家族等から得られた情報とで、異なる確度を対応付けるように構成してもよい。
【0172】
あるいは、通院中(ただし、受診日以外)と入院中とで、異なる確度を対応付けるように構成してもよい。
【0173】
また、上記各実施形態では、添付画像が無いケースについて説明したが、添付画像があるケースにおいては、添付画像を解析することで得られる特徴量が電子カルテに記入されてもよい。この場合、当該特徴量に対しては、"測定結果"から取得される生体情報と同様に、第3のデータベース生成処理が実行される。また、添付画像に対する医療従事者のコメントが電子カルテに記入されてもよい。この場合、当該コメントに対しては、"診療メモ"から取得される患者の症状に関する情報と同様に、第2のデータベース生成処理が実行される。
【0174】
また、上記各実施形態では、電子カルテに含まれる患者の生活習慣に関する情報について言及しなかったが、患者の属性情報と同様に、時間情報と対応付けて、時系列データとしてPJ用データベースに含めるように構成してもよい。
【0175】
また、上記各実施形態では、診療科について言及しなかったが、PJ用データベースを生成する際、例えば、症状領域1330~治療情報領域1350については、診療科ごとに分けて情報を格納するように構成してもよい。また、それぞれの診療科に対応付けて、担当医の名前を格納するように構成してもよい。
【0176】
また、上記各実施形態では、病院名について言及しなかったが、PJ用データベースを生成する際、例えば、付帯情報領域1360の"入院/通院"の欄には、入院した病院名、通院した病院名を格納してもよい。
【0177】
また、上記各実施形態では、PJ用データベースに基づいて、PJを生成する場合について説明した。しかしながら、PJ用データベースの利用方法は、これに限定されず、例えば、生成したPJ用データベースは、EHR(電子健康記録)の情報と組み合わされて、PHR(Personal Health Record)の生成に利用されてもよい。
【0178】
また、上記各実施形態では、データ管理装置110が、単体でデータ管理プログラムを実行する場合について説明した。しかしながら、データ管理装置110は、例えば、複数台のコンピュータにより構成されてもよく、それぞれにデータ管理プログラムをインストールすることで、データ管理プログラムが、分散コンピューティングの形態で実行されてもよい。
【0179】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0180】
100 :データベース生成システム
110 :データ管理装置
111 :電子カルテ取得部
112 :解析部
120_1~120_N :医療従事者端末
300 :電子カルテ
310 :見出し領域
320 :基本領域
330 :入力領域
340 :履歴領域
350 :紹介状領域
401 :電子カルテ読み出し部
402 :疾病名取得部
403 :基本情報取得部
404 :症状情報取得部
404Q :定量化部
406 :生体情報取得部
406Q :定量化部
407 :治療情報取得部
407Q :定量化部
409 :時間情報取得部
410 :時系列データ生成部
420 :格納制御部
1300 :PJ用データベース
1310 :ヘッダ領域
1320 :時間情報領域
1330 :症状情報領域
1340 :生体情報領域
1350 :治療情報領域
1500 :フレームワーク構築システム
1510 :データ管理装置
1511 :検索部
1520 :PJ生成用端末
1700 :PJ用データベース
1800 :データベース生成システム
1810 :データ管理装置
1811 :PJ用電子カルテ取得部
1820_1~1820_N :医療従事者端末
【要約】
【課題】複数の電子カルテの情報を用いて、フレームワークの構築に適したデータベースを生成する。
【解決手段】データベース生成システムは、電子カルテから、患者が体験した内容を示す情報及び患者の状態を示す情報と、時間を特定するための情報とを取得する取得部と、取得された前記患者が体験した内容を示す情報及び前記患者の状態を示す情報を、時系列に配置することで、前記患者がたどったプロセスを追体験するためのフレームワークを構築するのに用いられるデータベースを生成する生成部と、前記データベースに、前記患者の基本情報を含めて格納する格納部とを有する。
【選択図】
図1