(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物及びこの組成物を用いてレジストパターンを形成する方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241015BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20241015BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2023070148
(22)【出願日】2023-04-21
(62)【分割の表示】P 2020082083の分割
【原出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-04-21
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マランゴーニ
(72)【発明者】
【氏名】ミンチ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ヨンクン・パク
(72)【発明者】
【氏名】エマド・アカド
(72)【発明者】
【氏名】シーセン・ホウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エフ.・キャメロン
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-097075(JP,A)
【文献】特開2014-048500(JP,A)
【文献】国際公開第2020/049859(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/054311(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/039
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換又は非置換スチレンモノマーから形成される構造単位を、ポリマーにおける構造単位の総量の100重量パーセントに基づいて
90重量パーセント以上の量で含むポリマーと、
溶媒と、
式(I)
【化1】
(式中、
Rは、非置換又は置換C
2-20アルケニル基、非置換又は置換C
3-20シクロアルキル基、非置換又は置換C
6-30芳香族基、或いは非置換又は置換C
4-30ヘテロ芳香族基であり、Rは、pH<7.0で加水分解できる酸感受性官能基を任意選択的に含み、
R
1からR
8は、それぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択されるハロゲン、直鎖又は分枝C
1-20アルキル基、直鎖又は分枝C
1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C
2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C
2-20フルオロアルケニル基、単環式又は多環式C
3-20シクロアルキル基、単環式又は多環式C
3-20フルオロシクロアルキル基、単環式又は多環式C
3-20シクロアルケニル基、単環式又は多環式C
3-20フルオロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C
3-20ヘテロシクロアルキル基、単環式又は多環式C
3-20ヘテロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C
6-20アリール基、単環式又は多環式C
6-20フルオロアリール基、単環式又は多環式C
4-20ヘテロアリール基、或いは単環式又は多環式C
4-20フルオロヘテロアリール基であり、水素を除いて、これらのそれぞれは置換又は非置換され、
R
1からR
8の任意の2つは、Zを介して任意選択的に接続されて環を形成し、Zは、単結合、又は-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR’-、-C(=O)-C(=O)-、-O-、-CH(OH)-、-CH
2-、-S-、及び-BR’-から選択される少なくとも1つの連結基であり、R’は、水素又はC
1-20アルキル基であり、
R
1からR
8のそれぞれは、-OY、-NO
2、-CF
3、-C(=O)-C(=O)-Y、-CH
2OY、-CH
2Y、-SY、-B(Y)
n、-C(=O)NRY、-NRC(=O)Y、-(C=O)OY、及び-O(C=O)Yから選択される少なくとも1つで任意選択的に置換され、Yは、直鎖又は分枝C
1-20アルキル基、直鎖又は分枝C
1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C
2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C
2-20フルオロアルケニル基、直鎖又は分枝C
2-20アルキニル基、直鎖又は分枝C
2-20フルオロアルキニル基、C
6-20アリール基、C
6-20フルオロアリール基、又はpH<7.0で加水分解できる酸感受性官能基であり、
Xは、O、S、Se、Te、NR’’、S=O、S(=O)
2、C=O、(C=O)O、O(C=O)、(C=O)NR’’、又はNR’’(C=O)であり、R’’は、水素又はC
1-20アルキル基であり、
nは、0~5の整数であり、
R
fは、直鎖又は分枝又は環式C
1-6フッ素化アルキル基であり、
ここで、Rが置換されている場合、Rはハロゲン、アミノ、チオール、ケトン、無水物、スルホン、スルホキシド、スルホンアミド、カルボキシル、カルボン酸エステル、アミド、ニトリル、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C
1-20アルキル、C
3-20シクロアルキル、C
1-20アルケニル、C
2-20アルケノキシ、C
6-30アリール、C
6-30アリールオキシ、C
7-30アルキルアリール及びC
7-30アルキルアリールオキシから
なる群から選択される少なくとも1つで
のみ置換され、
ただし、RがフェニルでありかつR
fがC
4F
9フッ素化アルキル基であるとき、Rは-C(CH
3)
3で置換されず、
ここで、R
1からR
8が水素で、nが1で、XがOであるとき、Rは未置換フェニルでも、4-メチルフェニルでもない。)
を有するスルホニウム塩と、を含むフォトレジスト組成物。
【請求項2】
式(I)におけるR
fは、-C(R
9)
y(R
10)
zであり、式中、R
9は、F及びフッ素化メチルから独立して選択され、R
10は、H、C
1-5直鎖又は分枝又は環式アルキル及びC
1-5直鎖又は分枝又は環式フッ素化アルキルから独立して選択され、y及びzは、独立して0~3の整数であり、但し、yとzの合計が3であり、R
9及びR
10の少なくとも1つはフッ素を含み、R
fの炭素原子の総数は1~6である、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
Rは、非置換又は置換C
6-30芳香族基或いは非置換又は置換C
4-30ヘテロ芳香族基である、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
Rは、置換フェニル基である、請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
Rの1つ以上の置換基は、C
1-5アルキル、C
3-6シクロアルキル、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
R
1からR
8のそれぞれは、水素である、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記ポリマーは、前記ポリマーにおける構造単位の総量の100重量パーセントに基づいて、70重量パーセント以上の量の前記置換又は非置換スチレンモノマーから形成される構造単位を含む、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
XはOである、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記フォトレジスト組成物は、1回の塗布で5.0ミクロン超及び30ミクロン未満の乾燥状態の厚さにコーティングされることができる、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
(a)基板と、(b)前記基板に渡り配置された請求項1~9のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の層を含む、コーティングされた基板。
【請求項11】
(a)基板に請求項1~9のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の層を塗布する工程と、(b)前記塗布されたフォトレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程と、(c)前記組成物層を活性化放射線に露光する工程と、(d)前記露光された組成物層を加熱する工程と、(e)前記露光された組成物層を現像する工程とを含む、レジストパターンを形成する方法。
【請求項12】
前記フォトレジスト組成物の層は、1回の塗布で5.0ミクロン超30ミクロン未満の厚さにコーティングされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物層をエッチングマスクとして使用して前記基板に階段パターンを形成する工程を更に含み、前記階段パターンは複数の階段を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記スルホニウム塩のスルホニウムカチオンは、
【化2】
から選択される
、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォトレジスト組成物、及びフォトレジスト組成物から形成された化学増幅フォトレジスト(CAR)に関する。具体的には、本開示は、5ミクロンを超える厚さを有する化学増幅フォトレジストに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)産業は、より小さな形状に移行することにより、ビットの低費用を実現している。しかしながら、限界寸法(critical dimension)の更なる小型化は、同様に低い製造費用での現在のリソグラフィー技術では実現できなかった。NANDフラッシュの製造業者は、メモリセルの複数の層を積み重ねて、より大きなストレージ容量を実現しながら、ビット当たりの製造費用を低く抑える技術を検討している。このような3D NANDデバイスは、従来の2D平面NANDデバイスよりも高密度で高速であり安価である。
【0003】
3D NANDアーキテクチャは、垂直チャネルと垂直ゲートアーキテクチャとを含み、階段状構造(「階段」として知られている)は、メモリセルとビット線又はワード線の間に電気接続を形成するために使用される。3D NANDフラッシュメモリを構築する際、製造業者は、階段の形成に使用される複数のトリミング及びエッチングサイクルを可能にする厚いレジストを使用して階段の数を増やす。限界寸法(CD)における後続のトリミング-エッチングのばらつきが段階的にウェハー全体に蓄積されるため、それぞれの工程で良好な特徴プロファイルを維持することが課題である。
【0004】
いくつかのセットの階段を形成するために厚いKrFフォトレジストの単一マスク露光を使用する必要がある「階段」形成のプロセスは、比較的費用効果の高い手法と見なされる。適用には、5~30ミクロン、例えば8~30ミクロン又は8~25ミクロンのフォトレジスト厚さが必要である。しかしながら、文献に記載されている従来のKrFフォトレジストは、はるかに低いナノメートルスケールのレジスト膜厚を必要とする用途向けにのみ設計される。
【0005】
化学的に増幅されたレジスト組成物は、所望の波長での画像解像度を可能にするために望ましい光学特性を有する必要がある。許容可能なパターンプロファイルを実現するには、露光中に入射放射線が膜の下部に到達する必要がある。しかしながら、既知のリソグラフィーレジスト組成物は、許容できる特徴の印刷に必要な厚膜の厚さでの透明性の要件を満たさない。従って、厚いレジスト膜をリソグラフィーでパターン形成するためのより透明なレジスト組成物が必要である。また、レジスト組成物は、パターン化されたレジストから下にある基板層への画像転写を可能にするために適切な化学的及び機械的特性を有する必要がある。ポジ型の厚膜レジストを使用するパターニング用途では、水性アルカリ現像液への溶解速度を高める必要がある。
【0006】
高度に透明なフォトレジストを有することは、プロファイルの完全性と限界寸法均一性(Critical Dimension Uniformity)(CDU)が向上したパターンの印刷が可能になるため、非常に望ましい。この要件は、例えば、KrFエキシマレーザーを使用してパターン化される厚いフォトレジストでは特に重要である。このタイプの露光の場合、光酸発生剤(PAG)と共に画像形成ポリマー(imaging polymer)を含む組成物が、一般的に、パターン化可能なフォトレジスト組成物を形成するために使用される。しかしながら、既知のフォトレジスト組成物は、主に光酸発生剤発色団により寄与される高い吸収のために、低い光透過性を有する。典型的な光酸発生剤発色団は、オニウム塩から誘導される。照射されると、これらの塩は、ポリマーの脱保護を触媒する強酸を形成する。厚膜フォトレジストで問題が発生する可能性があり、この場合、オニウム塩PAGの吸収率が高く、膜の下部に光を最適に通過させることができない。これは、地汚れ、パターン化された特徴の制御不良、及びパターン欠陥の生成につながる。高い光透過性を有する光酸発生剤の例が報告されている。しかしながら、これらの光酸発生剤は、透明性の低い類似体と比較して非常に低い感度をもたらすことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、同時に、透明であり且つ高感度を有する、厚いフォトレジストとして適切であり得る新しい化学組成物に対する強い必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、厚いフォトレジスト用の組成物が提供される。フォトレジスト組成物は、
ポリマーと、
溶媒と、
式(I)
【化1】
(式中、
Rは、非置換又は置換C
2-20アルケニル基、非置換又は置換C
3-20シクロアルキル基、非置換又は置換C
5-30芳香族基、或いは非置換又は置換C
4-30ヘテロ芳香族基であり、Rは、pH<7.0で加水分解できる酸感受性官能基を任意に含み、
R
1からR
8は、それぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択されるハロゲン、直鎖又は分枝C
1-20アルキル基、直鎖又は分枝C
1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C
2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C
2-20フルオロアルケニル基、単環式又は多環式C
3-20シクロアルキル基、単環式又は多環式C
3-20フルオロシクロアルキル基、単環式又は多環式C
3-20シクロアルケニル基、単環式又は多環式C
3-20フルオロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C
3-20ヘテロシクロアルキル基、単環式又は多環式C
3-20ヘテロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C
6-20アリール基、単環式又は多環式C
6-20フルオロアリール基、単環式又は多環式C
4-20ヘテロアリール基、或いは単環式又は多環式C
4-20フルオロヘテロアリール基であり、水素を除いて、これらのそれぞれは置換又は非置換され、
R
1からR
8の任意の2つは、Zを介して任意に接続されて環を形成し、Zは、単結合、又は-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR’-、-(C=O)-C(=O)-、-O-、-CH(OH)-、-CH
2-、-S-、及び-BR’-から選択される少なくとも1つの連結基であり、R’は、水素又はC
1-20アルキル基であり、
R
1からR
8のそれぞれは、-OY、-NO
2、-CF
3、-C(=O)-C(=O)-Y、-CH
2OY、-CH
2Y、-SY、-B(Y)
n、-C(=O)NRY、-NRC(=O)Y、-(C=O)OY、及び-O(C=O)Yから選択される少なくとも1つで任意に置換され、Yは、直鎖又は分枝C
1-20アルキル基、直鎖又は分枝C
1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C
2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C
2-20フルオロアルケニル基、直鎖又は分枝C
2-20アルキニル基、直鎖又は分枝C
2-20フルオロアルキニル基、C
6-20アリール基、C
6-20フルオロアリール基、又はpH<7.0で加水分解できる酸感受性官能基であり、
Xは、O、S、Se、Te、NR’’、S=O、S(=O)
2、C=O、(C=O)O、O(C=O)、(C=O)NR’’、又はNR’’(C=O)であり、R’’は、水素又はC
1-20アルキル基であり、
nは、0~5の整数であり、
R
fは、直鎖又は分枝又は環式C
1-6フッ素化アルキル基である)を有するスルホニウム塩と、を含む。
【0009】
別の実施形態では、コーティングされた基板が提供される。コーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層に渡る上記フォトレジスト組成物の層とを含む。
【0010】
更に別の実施形態では、レジストパターンを形成する方法が提供される。この方法は、(a)上記のフォトレジスト組成物の層を基板に塗布する工程と、(b)塗布されたレジスト組成物を乾燥させて、組成物層を形成する工程と、(c)組成物層を活性化放射線に露光する工程と、(d)露光された組成物層を加熱する工程と、(e)露光された組成物層を現像する(developing)工程と、を含む。
【0011】
本開示の上記及び他の態様及び特徴は、添付の図面を参照してその例示的な実施形態を詳細に説明することによってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A-1C】本発明による階段パターンを形成する方法の工程を概略的に示す代表的な図である。
【
図1D-1F】本発明による階段パターンを形成する方法の工程を概略的に示す代表的な図である。
【
図1G-1I】本発明による階段パターンを形成する方法の工程を概略的に示す代表的な図である。
【
図1J-1K】本発明による階段パターンを形成する方法の工程を概略的に示す代表的な図である。
【
図2】KrFリソグラフィー検討の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、例示的な実施形態を詳細に参照し、これらの例が添付の図面に例示され、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。従って、例示的な実施形態は、本発明の概念の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、リストアップされた関連品目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを包含する。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全体リストを修正し、リストの個々の要素を修正しない。
【0014】
要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それが他の要素と直接に接触することができるか又は介在要素がこれらの間に存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「上に直接」にあると言われる場合、介在要素は、存在しない。
【0015】
用語第1、第2、第3等は、様々な要素、成分、領域、層及び/又は区域を記載するために本明細書で用いられ得るが、これらの要素、成分、領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層又は区域を別の要素、成分、領域、層又は区域から区別するために用いられるにすぎない。従って、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層又は区域は、本実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、領域、層又は区域と称されることができる。
【0016】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載するという目的のためのものであるにすぎず、限定的であることを意図しない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が特に明らかに示さない限り、複数形を同様に含むことを意図する。
【0017】
用語「含む」及び/又は「含んでいる」又は「包含する」及び/又は「包含している」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、領域、整数、工程、操作、要素及び/又は成分の存在を明記するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、成分及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除しない。
【0018】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞典において定義されるものなどの用語は、関連技術及び本開示との関連でのこれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0019】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの原子価を有する直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素に由来する基を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロアルキル基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルキル基を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの原子価を有する少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素に由来する基を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロアルケニル基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられているアルケニル基を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「アルキニル基」は、明記された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの原子価を有する少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素に由来する基を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロアルキニル基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられるアルキニル基を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「シクロアルキル基」は、全環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価の基を意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロシクロアルキル基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられているシクロアルキル基を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「シクロアルケニル基」は、明記された数の炭素原子を有し、少なくとも1つの原子価を有する少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素に由来する基を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロシクロアルケニル基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられているシクロアルケニル基を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「ヘテロシクロアルキル基」は、その環の員として少なくとも2つの異なる元素の原子を有し、そのうちの1つは炭素である一価の飽和環式基を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「ヘテロシクロアルケニル基」は、その環の員として少なくとも2つの異なる元素の原子を有し、そのうちの1つは炭素である一価の不飽和環式基を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、単独で又は組み合わせで用いられる用語「アリール」は、少なくとも1つの環を含み、明記される数の炭素原子を有する芳香族炭化水素を意味する。用語「アリール」は、少なくとも1つのシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含むと解釈され得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロアリール基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられているアリール基を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、単独で又は組み合わせて使用される用語「ヘテロアリール」は、その環の員として少なくとも2つの異なる元素の原子を有し、そのうちの1つは炭素である少なくとも1つの環を含み、指定された数の炭素原子を有する芳香族炭化水素を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「フルオロヘテロアリール基」は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置き換えられているフルオロヘテロアリール基を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「置換された」は、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、アミノ、チオール、ケトン、無水物、スルホン、スルホキシド、スルホンアミド、カルボキシル、カルボン酸エステル(アクリレート、メタクリレート、及びラクトンを含む)、アミド、ニトリル、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C1-20アルキル、C3-20シクロアルキル(アダマンチルを含む)、C1-20アルケニル(ノルボルネニルを含む)、C1-20アルコキシ、C2-20アルケノキシ(ビニルエーテルを含む)、C6-30アリール、C6-30アリールオキシ、C7-30アルキルアリール、又はC7-30アルキルアリールオキシなどの少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0036】
指定された数の炭素原子を含む基が前述の段落に列挙された基のいずれかで置換される場合、得られる「置換された」基の炭素原子の数は、元の(非置換の)基に含まれる炭素原子及び置換基に含まれる炭素原子(存在する場合)の合計として定義される。例えば、用語「置換されたC1~C20アルキル」は、C6~C30アリール基で置換されたC1~C20アルキル基を指し、得られたアリール置換アルキル基の炭素原子の総数はC7~C50である。
【0037】
本明細書で使用される場合、定義が別に提供されないとき、用語「混合物」は、物理的形態に関係なく、ブレンド又は混合物を構成する成分の任意の組み合わせを指す。
【0038】
上述したように、良好な基板コーティング及び下層への画像転写を可能にするために、パターン形成放射線に対する高い光透過性及び適切な機械物理的特性を有する膜コーティングを得ることは一般的に困難である。高い光透過性は、KrFエキシマレーザーを使用してパターン化される厚いフォトレジストでは特に重要である。
【0039】
本明細書では、厚膜パターン形成用に設計された新しいフォトレジスト組成物が開示される。新しい組成物は、248nmで予想外に高い光透過性を有し、光速度(photospeed)とリソグラフィー性能が向上している。
【0040】
一実施形態では、フォトレジスト組成物は、ポリマー、溶媒、及びスルホニウム塩を含み得る。
【0041】
ポリマーは、C
6-30ヒドロキシ芳香族基、例えば、ヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基を含み得る。一実施形態では、ポリマーは、式(A-1)
【化2】
によって表される構造単位を含み得る。
【0042】
式(A-1)では、
Rは水素、C1-20アルキル基、C1-20フルオロアルキル基、C6-20アリール基、又はC6-20フルオロアリール基であり得、これらのそれぞれは、水素を除いて、置換されていても置換されていなくてもよい。
Wは、水素、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択されるハロゲン、カルボン酸又はエステル、ヒドロキシ基、チオール、直鎖又は分枝C1-20アルキル基、直鎖又は分枝C1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C2-20フルオロアルケニル基、単環式又は多環式C3-20シクロアルキル基、単環式又は多環式C3-20フルオロシクロアルキル基、単環式又は多環式C3-20シクロアルケニル基、単環式又は多環式C3-20フルオロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C3-20ヘテロシクロアルキル基、単環式又は多環式C3-20ヘテロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C6-20アリール基、或いは単環式又は多環式C4-20ヘテロアリール基であり得、これらのそれぞれは、水素を除いて、置換されていても置換されていなくてもよく、mは0~4の整数であり得る。
【0043】
式(A-1)において、ヒドロキシル基は、ポリマー全体のオルト、メタ、又はパラ位のいずれかに存在し得る。mが2以上の場合、W基は同一でも異なっていてもよく、任意に連結して環を形成することができる。
【0044】
ポリマーは、約8,000ダルトン(Da)から約50,000Da、例えば、約15,000Daから約30,000Daの分子量(Mw)を有し得、分子分布は約3以下、例えば、2以下である。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、置換又は非置換スチレンモノマーから形成される構造単位を、ポリマーにおける構造単位の総量の100重量パーセントに基づいて、約50重量パーセント以上、例えば、約60重量パーセント以上、約70重量パーセント以上、約80重量パーセント以上、約90重量パーセント以上、又は約95重量パーセント以上の量で含み得る。
【0046】
組成物は、溶媒を更に含み得る。溶媒は、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1-クロロヘキサンなど)、アルコール(メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノールなど)、水、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、アセト酢酸エチルなど)、ラクトン(γ-ブチロラクトン(GBL)、イプシロン-カプロラクトンなど)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、極性非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0047】
組成物は、スルホニウム塩を更に含み得る。一実施形態では、スルホニウム塩は、式(I)で表すことができる。
【化3】
【0048】
式(I)において、Rは、非置換又は置換C2-20アルケニル基、非置換又は置換C3-20シクロアルキル基、非置換又は置換C5-30芳香族基、或いは非置換又は置換C4-30ヘテロ芳香族基であり得る。C2-20アルケニル基の非限定的な例は、ビニル基又はアリル基であり得、これらのそれぞれは、置換されていても置換されていなくてもよい。C3-20シクロアルキル基の非限定的な例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、又はシクロオクチル基であり得、これらのそれぞれは、置換されていても置換されていなくてもよい。C5-30芳香族基は、縮合芳香族環又は単結合芳香族環を含み得る単環式芳香族基又は多環式芳香族基であり得る。単環式芳香族基の非限定的な例は、フェニル基であり得る。多環式芳香族基の非限定的な例は、ナフチル基又はビフェニル基であり得る。C4-30ヘテロ芳香族基は、縮合芳香族環又は単結合芳香族環を含み得る単環式ヘテロ芳香族基又は多環式ヘテロ芳香族基であり得る。単環式ヘテロ芳香族基の非限定的な例は、チエニル基又はピリジル基であり得る。多環式芳香族基の非限定的な例は、キノリニル基であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、Rは、1つ以上のC1-30アルキル又はC3-8シクロアルキル、例えば、C1-5アルキル又はC3-6シクロアルキルで置換されたフェニル基であり得る。例えば、フェニル基は、複数のこのようなアルキル又はシクロアルキル基で置換されていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、Rは、pH<7.0で加水分解できる酸感受性官能基、例えば、3級エステル、3級エーテル又は3級カーボネート基を任意で含み得る。他の実施形態では、Rは、非置換又は置換C5-30芳香族基、或いは非置換又は置換C4-30ヘテロ芳香族基であり得る。例えば、Rは、置換フェニル基であり得る。
【0051】
式(I)において、R1からR8は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択されるハロゲン、直鎖又は分枝C1-20アルキル基、直鎖又は分枝C1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C2-20フルオロアルケニル基、単環式又は多環式C3-20シクロアルキル基、単環式又は多環式C3-20フルオロシクロアルキル基、単環式又は多環式C3-20シクロアルケニル基、単環式又は多環式C3-20フルオロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C3-20ヘテロシクロアルキル基、単環式又は多環式C3-20ヘテロシクロアルケニル基、単環式又は多環式C6-20アリール基、単環式又は多環式C6-20フルオロアリール基、単環式又は多環式C4-20ヘテロアリール基、或いは単環式又は多環式C4-20フルオロヘテロアリール基であり得、これらのそれぞれは、水素を除いて、置換されていても置換されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、R1からR8のそれぞれは、水素であり得る。
【0052】
R1からR8の任意の2つは、Zを介して任意に接続されて環を形成することができ、Zは、単結合、又は-C(=O)-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-C(=O)O-、-C(=O)NR’-、-C(=O)-C(=O)-、-O-、-CH(OH)-、-CH2-、-S-、及び-BR’-から選択される少なくとも1つの連結基であり、この場合に、R’は、水素又はC1-20アルキル基であり得る。
【0053】
R1からR8のそれぞれは、-OY、-NO2、-CF3、-C(=O)-C(=O)-Y、-CH2OY、-CH2Y、-SY、-B(Y)n、-C(=O)NRY、-NRC(=O)Y、-(C=O)OY、及び-O(C=O)Yから選択される少なくとも1つで任意に置換されることができ、この場合に、Yは、直鎖又は分枝C1-20アルキル基、直鎖又は分枝C1-20フルオロアルキル基、直鎖又は分枝C2-20アルケニル基、直鎖又は分枝C2-20フルオロアルケニル基、直鎖又は分枝C2-20アルキニル基、直鎖又は分枝C2-20フルオロアルキニル基、C6-20アリール基、C6-20フルオロアリール基、又は第3エステル、第3エーテル、又は第3カーボネート基など、pH<7.0で加水分解できる酸感受性官能基である。
【0054】
式(I)において、Xは、O、S、Se、Te、NR”、S=O、S(=O)2、C=O、(C=O)O、O(C=O)、(C=O)NR’’、又はNR’’(C=O)などの二価の連結基であり得、この場合に、R’’は、水素又はC1-20アルキル基であり得る。nは、0、1、2、3、4、及び5の整数であり得る。一部の実施形態では、Xは、Oであり得る。
【0055】
カチオンの非限定的な例は、
【化4】
以下のスルホニウムカチオンを含み得る。
【化5】
【0056】
式(I)では、R
fSO
3
-は、フッ素化スルホネートアニオンであり、式中、R
fは、フッ素化基である。一実施形態では、R
fは、C(R
9)
y(R
10)
zであり得、式中、R
9は、F及びフッ素化メチルから独立して選択されることができ、R
10は、H、C
1-5直鎖又は分枝又は環式アルキル及びC
1-5直鎖又は分枝又は環式フッ素化アルキルから独立して選択されることができ、y及びzは、独立して0~3の整数であり得、但し、yとzの合計が3であり、R
9とR
10の少なくとも1つはフッ素を含み、R
fの炭素原子の総数は1~6であり得る。式-C(R
9)
y(R
10)
zでは、R
9とR
10の両方は、Cに結合している。好ましくは、SO
3
-基に対してアルファ位の炭素原子に結合している少なくとも1つのフッ素原子又はフッ素化基が存在する。一部の実施形態では、yは2であり得、zは1であり得る。これらの実施形態では、R
9はそれぞれ、Fであり得、又は1つのR
9は、Fであり得、他のR
9は、フッ素化メチルであり得る。フッ素化メチルは、モノフルオロメチル(-CH
2F)、ジフルオロメチル(-CHF
2)、及びトリフルオロメチル(-CF
3)であり得る。他のいくつかの実施形態では、R
10は、C
1-5直鎖又は分枝フッ素化アルキルから独立して選択されることができる。フッ素化アルキルは、過フッ素化アルキルであり得る。R
fSO
3
-の非限定的な例には、以下のアニオンが含まることができる。
【化6】
【0057】
式(I)を有するスルホニウム塩は、光酸発生剤であり、これは、厚い層のフォトレジストでの使用に魅力的なものにする所望の特性の特異的な組み合わせを有する。芳香族基の数が少ないため、光酸発生剤は、予想外に高い透明性を示す。1~6の炭素原子のみを含む比較的少量のアニオンにより、光酸発生剤は高速の拡散光酸(RfSO3H)を生成できる。後者の特性は、後露光ベーク(PEB)中の効率的な酸触媒脱保護事象を可能にし、結果としてこれにより、現像工程中の溶解特性が向上する。オキサチアニウムカチオンコアは、従来の製品と比較して、フォトレジストの高い安定性と予想外に長い保存期間を与える。また、式(I)を有するスルホニウム塩は、有機溶媒への優れた溶解性を有する。
【0058】
フォトレジスト組成物は、塩基性消光剤を更に含み得る。適切な塩基性消光剤は、例えば、直鎖及び環式アミド及びその誘導体、例えば、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバルアミド,N,N-ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート、ピリジン及び2,6-ジ-tert-ブチルピリジンなどの芳香族アミン、トリイソプロパノールアミン、n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、及び2-(ジブチルアミノ)エタノール、2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの脂肪族アミン、1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシラート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシラート及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環式脂肪族アミンを含み得る。これらの塩基性消光剤のうち、1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン及びトリイソプロパノールアミンが好ましいが、塩基はこれらに限定されない。添加される塩基は、比較的少量で、例えば、PAGに対して0.1~20重量%、より典型的にはPAGに対して1~15重量%で適切に使用される。
【0059】
フォトレジスト組成物は、1つ以上の表面均染剤(SLA)及び/又は可塑剤などの他の任意の成分を含み得る。組成物に存在する場合、SLAは、好ましくは組成物の総固形分に基づいて0.001~0.1重量パーセントの量で存在し、可塑剤は、好ましくは組成物の全固形分に基づいて0.1~15重量パーセントの量で存在する。
【0060】
本明細書に開示される式(I)を有するポリマー及びスルホニウム塩を含むフォトレジスト組成物は、厚いフォトレジスト層を提供するために1回の塗布でコーティングされることができる。フォトレジスト層の厚さは、約5ミクロン超、例えば、約5ミクロン超30ミクロン未満、6ミクロン超30ミクロン未満、7ミクロン超30ミクロン未満、8ミクロン超30ミクロン未満、9ミクロン超30ミクロン未満、10ミクロン超30ミクロン未満、15ミクロン超30ミクロン未満、20ミクロン超30ミクロン未満、又は25ミクロン超30ミクロン未満であり得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層の厚さは、約6ミクロン、約7ミクロン、約8ミクロン、約9ミクロン、又は約10ミクロンであり得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト組成物は、1回の塗布で5.0ミクロン超30ミクロン未満の乾燥状態の厚さにコーティングすることが可能であり得る。本明細書で使用される場合、「乾燥状態」は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント以下の溶媒、例えば、12重量パーセント以下の溶媒、10重量パーセント以下の溶媒、8重量パーセント以下の溶媒、又は5重量パーセント以下の溶媒を含むフォトレジスト組成物を指す。
【0061】
コーティングされた基板は、フォトレジスト組成物から形成されることができる。このようなコーティングされた基板は、(a)基板と、(b)基板に渡り配置されたフォトレジスト組成物の層とを含み得る。
【0062】
基板は、任意の寸法及び形状のものであり得、好ましくは光リソグラフィーに有用なもの、例えばシリコン、シリコン二酸化物、絶縁体上シリコン(SOI)、歪みシリコン、ガリウムヒ素、シリコン窒化物、シリコンオキシ窒化物、窒化チタン、窒化タンタルでコートされたものなどのコートされた基板、酸化ハフニウムなどの超薄ゲート酸化物、金属又はチタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、これらの合金及びこれらの組み合わせでコートされたものなどの金属コートされた基板などであり得る。好ましくは、本明細書での基板の表面は、半導体製造のための基板上において、例えば1つ以上のゲート-レベル層又は他の限界寸法層などのパターン化される限界寸法層を含む。このような基板には、好ましくは、シリコン、SOI、歪みシリコン及び例えば直径が20cm、30cm以上などの寸法又はウェハー二次加工製造に有用な他の寸法を有する円形ウェハーとして形成された他のこのような基板材料が含まれ得る。
【0063】
更に、電子デバイスを形成する方法は、(a)基板にフォトレジスト組成物の層を塗布する工程と、(b)塗布されたフォトレジスト組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程と、(c)組成物層を活性化放射線に露光する工程と、(d)露光された組成物層を加熱する工程と、(e)露光された組成物層を現像する工程とを含み得る。この方法は、複数の工程をエッチングして基板を形成することを更に含み得る。
【0064】
フォトレジストの塗布は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディングなどを含む任意の適切な方法によって達成することができる。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中でフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、この場合に、フォトレジストが回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、4,000rpmまで、例えば、約200~3,000rpm、例えば、1,000~2,500rpmの速度で回転させることができる。コーティングされたウェハーを回転させて溶媒を除去し、ホットプレートにおいてソフトベークして残留溶媒を除去し、自由体積を減らして膜を圧縮する。ソフトベーク温度は、典型的には、90~170℃、例えば、110~150℃である。加熱時間は、典型的には、10秒~20分、例えば、1分~10分、又は1分~5分である。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者によって容易に決定され得る。
【0065】
流延溶媒は、当業者に知られている任意の適切な溶媒であり得る。例えば、流延溶媒は、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1-クロロヘキサンなど)、アルコール(メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノールなど)、水、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、n-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、アセト酢酸エチルなど)、ラクトン(γ-ブチロラクトン(GBL)、イプシロン-カプロラクトンなど)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、及び極性非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)、又はこれらの組み合わせであり得る。流延溶媒の選択は、特定のフォトレジスト組成物に依存し、知識及び経験に基づいて当業者によって容易に行われることができる。次いで、当業者に知られている従来の乾燥方法を使用することにより、組成物を乾燥させることができる。
【0066】
フォトレジスト組成物は、ポリマー、スルホニウム塩、及び任意の成分を流延溶媒に適切な量で溶解することによって調製することができる。フォトレジスト組成物又はフォトレジスト組成物の1つ以上の成分は、精製目的のために、適切なイオン交換樹脂を使用して、任意に濾過工程及び/又はイオン交換プロセスに供され得る。
【0067】
次いで、ステッパーやスキャナーなどの露光ツールを使用して露光が行われ、この場合、膜はパターンマスクを通して照射され、これによってパターンに従って露光される。この方法は、フッ化クリプトンレーザー(KrF)などのエキシマレーザーを含む高解像度のパターン化が可能な波長で活性化放射線を生成する高度な露光ツールを使用できる。活性化放射線を使用した露光は、露光された領域でPAGを分解し、酸を生成し、次いで、酸は、ポリマーの化学変化をもたらす(酸感受性基を非ブロック化して、塩基可溶性基を生成する、或いは、露光領域での架橋反応を触媒する)ことが認識されるであろう。このような露光ツールの解像度は、30nm未満であり得る。
【0068】
露光された組成物の加熱は、約100℃~約150℃、例えば、約110℃~約150℃、約120℃~約150℃、約130℃~約150℃、又は約140℃~約150℃の温度で起こり得る。加熱時間は、約30秒~約20分、例えば、約1分~約10分、又は約1分~約5分で変動し得る。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者により容易に決定され得る。
【0069】
次いで、露光されたフォトレジスト層の現像は、露光された層を、膜の露光された部分を選択的に除去できる適切な現像剤で処理する(フォトレジストがポジ型の場合)、又は膜の露光されていない部分を除去する(フォトレジストが露光領域で架橋可能である場合、即ちネガ型)ことによって達成される。典型的な現像液には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、典型的には0.26N TMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウムなどの4級水酸化アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが含まれる。次いで、現像によりパターンが形成される。溶媒現像プロセスは、当技術分野で知られている任意の適切な現像剤と共に使用することができる。例えば、溶媒現像剤は、脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1-クロロヘキサンなど)、アルコール(メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノールなど)、水、エーテル(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸n-ブチル(nBA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、アセト酢酸エチルなど)、ラクトン(γ-ブチロラクトン(GBL)、イプシロン-カプロラクトンなど)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、極性非プロトン性溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど)、又はこれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、溶媒現像剤は、溶媒の混和性混合物、例えば、アルコール(イソプロパノール)とケトン(アセトン)の混合物であり得る。現像液溶媒の選択は、特定のフォトレジスト組成物に依存し、知識及び経験に基づいて当業者によって容易に行われることができる。
【0070】
フォトレジストは、1つ以上のこのようなパターン形成プロセスで使用される場合、メモリデバイス、プロセッサーチップ(CPU)、グラフィックチップ、及び他のこのようなデバイスなどの電子及び光電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0071】
図1A~1Kは、本発明の実施形態による階段パターンを形成する方法を示す(Hong Xiao“3D IC Devices, Technologies,and Manufacturing”SPIE Press,Bellingham Washington USA)。
【0072】
図1Aは、ウェハー表面にフォトレジスト(「レジスト」)層がコーティングされた、シリコン表面の交互のシリコン酸化物(「酸化物」)層及びシリコン窒化物(「窒化物」)層の多層堆積を有する構造を示す。酸化物層及び窒化物層は、当技術分野で知られている様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)又は低圧CVD(LPCVD)などの化学蒸着(CVD)によって形成することができる。フォトレジスト層は、上記のように形成されることができる。典型的には、フォトレジスト層は、スピンコーティングプロセスによって形成される。次に、フォトレジスト層は、パターン化されたフォトマスクを介した露光によってパターン化され、上記のように現像され、得られる構造を
図1Bに示す。その後、一連の十分に制御された酸化物及び窒化物のエッチング及びレジストトリミング工程が以下のように実行される。
図1Cは、最初のシリコン酸化物エッチング後の構造を示す。
図1Dは、最初のシリコン窒化物エッチング後の構造を示す。酸化物と窒化物の最初のペアがエッチングで取り除かれた後、制御されたフォトレジストトリミング工程が実行される(
図1E)。次いで、トリミングされたフォトレジストを使用して、
図1F~Gに示すように、第1及び第2の一連の酸化物及び窒化物をエッチングする。次いで、フォトレジストが再度トリミングされ(
図1H)、酸化物/窒化物の第1、第2、及び第3の対がエッチングされる(
図1I~J)。次いで、制御されたフォトレジストのトリミングが、再度実行される(
図1K)。適切な酸化物及び窒化物のエッチング及びレジストトリミングプロセス及び化学は、当技術分野で知られており、ドライエッチングプロセスが典型的である。
【0073】
フォトレジスト層がトリミングされ得る回数は、例えば、その元の厚さ及びエッチング選択性によって制限され得る。最小の厚さの制限に達した後、残りのレジストは、典型的に剥がされ、その場所に別のフォトレジスト層が形成される。新しいフォトレジスト層をパターン化し、酸化物層と窒化物層をエッチングし、レジスト層を元のフォトレジスト層に関して上記のようにトリミングして、階段パターンの形成を続行する。このプロセスは、所望の階段パターンが完了するまで、典型的には、パターンが基板の所望の表面、典型的には基板のシリコン表面に到達するまで、複数回繰り返すことができる。
【0074】
本発明の概念は、以下の実施例によって更に説明される。本明細書で使用される全ての化合物及び試薬は、手順が以下に与えられている場合を除いて市販品である。
【実施例】
【0075】
光酸発生剤(PAG)の調製
実施例1:PAG-1の合成
【化7】
還流冷却器と攪拌棒を備えた1L丸底フラスコに、ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート(149g、216ミリモル)、及び1,4-オキサチアン(25g、240ミリモル))を400mLのクロロベンゼンに分散させた。酢酸銅(II)(2.18g、12ミリモル)を反応混合物に加えた。反応物を125℃で6時間加熱した。次いで反応物を室温に冷却し、ジクロロメタン(500mL)で希釈し、脱イオン水(3×200mL)で洗浄した。有機層を減圧下で約100mLに濃縮した。メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を使用して沈殿させると、105gの生成物(81.5%)が結晶性の白い固体として得られた。
1H-NMR(600MHz,CDCl
3)δ7.88(d,2H),7.69(d,2H),4.38(m,2H),4.11(m,2H),3.93(m,2H),3.67(m,2H),1.34(s,9H)ppm.
19F-NMR(600MHz,CDCl
3)δ80.9,114.66,12.59,126.0.
13C-NMR(150MHz,CDCl
3)δ159.3,129.8,128.6,119.0,64.2,39.3,35.6,30.9ppm.
【0076】
実施例2:
【化8】
還流冷却器と攪拌棒を備えた1L丸底フラスコに、ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(120g、220ミリモル)、及び1,4-オキサチアン(25g、240ミリモル)を200mLのクロロベンゼンに分散させた。酢酸銅(II)(2.0g、11ミリモル)を反応混合物に加えた。反応物を115℃で6時間加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、ジクロロメタン(600mL)で希釈し、脱イオン水(3×100mL)で洗浄した。有機層を減圧下で約80mLに濃縮した。メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を使用した沈殿により、70.0gの生成物(82%)を結晶性の白色固体として得た。
1H-NMR(600MHz,CDCl
3)δ7.88(d,2H),7.69(d,2H),4.38(m,2H),4.11(m,2H),3.93(m,2H),3.67(m,2H),1.34(s,9H)ppm.
19F-NMR(600MHz,CDCl
3)δ78.4ppm.
13C-NMR(150MHz-CDCl
3)δ159.3,129.8,128.7,118.9,64.2,39.52,35.6,31.0ppm.
【0077】
実施例3:
【化9】
還流冷却器と攪拌棒を備えた250mL丸底フラスコに、ビス(メシチル)ヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート(10g、15ミリモル)と1,4-オキサチアン(2.0g、19ミリモル)を30mLのクロロベンゼンに分散させた。酢酸銅(II)(0.1g、0.55ミリモル)を反応混合物に加えた。この反応物を110℃で5時間加熱した。次いで、反応物を室温に冷却し、沈殿物が形成された。沈殿物をジクロロメタン(160mL)で溶解し、脱イオン水(2×20mL)で抽出した。有機層を分離し、減圧下で濃縮した。メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を使用した沈殿により、5.0gの生成物(60%)が結晶性の白色固体として得られた。
1H-NMR(600MHz,CDCl
3)7.07(s,2H),4.53(m,2H),4.16(m,2H),4.06(m,2H),3.75(m,2H),2.72(s,6H),2.34(s,3H)ppm.
19F-NMR(600MHz-CDCl
3)81.0,114.9,121.8,126.1ppm.
13C-NMR(150MHz-CDCl
3)146.6,143.2,132.7,115.0,65.9,36.5,21.4,21.2ppm.
【0078】
光速度評価のためのフォトレジスト組成物の調製
以下の実施例におけるフォトレジスト組成物の調製において、以下のポリマー及び光酸発生剤(PAG)を使用した。
【化10】
【0079】
実施例1
15.392gのポリマーA1、0.008gのPOLYFOX(登録商標)PF-656界面活性剤(Omnova Solutions Inc.)、0.006gのN,N-ジエチルドデカンアミド(DDA)、0.314gのPAG X1を19.424gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3.642gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、及び1.214gのγ-ブチロラクトン(GBL)に溶解した。得られた混合物をローラー上で12時間回転させ、次いで、1ミクロンの孔径を有するテフロンフィルターを通して濾過した。
【0080】
実施例2~6
フォトレジスト組成物は、表1に示される成分及び量を使用して、実施例1と同じ手順を使用することによって調製した。
【0081】
KrF対比とリソグラフィーの評価は、TEL Mark 8トラックを使用して200mmシリコンウェハーにおいて行った。最初に、シリコンウェハーにHMDSを下塗りした(180℃/60秒)。HMDSで下塗りされたウェハーを前述の組成物でピンコートし、150℃で70秒間ベークして、約13ミクロン(μm)の膜厚を得た。次いで、フォトレジストでコーティングされたウェハーを、ASML 300 KrFステッパーを使用して、オープンフレームマスク(open frame mask)を通して露光した。露光は、1.0mJ/cm2から始まり、1.0mJ/cm2の増分で増加して、ウェハー上の10×10アレイの100のダイを露光した。露光されたウェハーは、後露光ベークを110℃で50秒間行い、次いで0.26の通常の水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(CD-26)を使用して45秒間現像した。様々な露光線量での残りの膜厚を、ThermaWave Optiprobe(KLA-Tencor)で測定し、残りの膜厚を、露光エネルギーの関数としてプロットして、KrFポジ型対比曲線を得た。対比曲線を使用して、膜を完全にクリアするために必要な最小線量であるクリアリング線量(E0)を決定した。それぞれの配合のE0値を表1に示す。
【0082】
【0083】
オキサチアニウム光酸発生剤は、厚膜フォトレジスト(1~20μm)で248nmでのシクロアルキルスルホニウム及びTPS光酸発生剤の両方と比較して、予想外により速い光速度を示す。この予期しない挙動は、248nmでの透過性と248nmでの光酸発生能力の最適なバランスによるものである。
【0084】
リソグラフィー評価
以下の実施例におけるフォトレジスト組成物の調製において、以下のポリマー及び光酸発生剤(PAG)を使用した。
【化11】
【0085】
実施例1:
15.787gのポリマーAと3.947gのポリマーB、0.010gのPOLYFOX(登録商標)PF-656界面活性剤(Omnova Solutions Inc.)、及び0.007gの1-アリルアゼパン-2-オンを、24.000gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した。この混合物に、4.500gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解した上記の0.200gのPAG X1及び0.050gのPAG X3を加えた。1.500gのγ-ブチロラクトン(GBL)を、得られた混合物に加えた。最終的な混合物を、ローラー上で12時間回転させ、次いで1ミクロンの孔径を有するテフロンフィルターを通して濾過した。
【0086】
フォトレジスト組成物2~4は、実施例1と同じ手順を使用して、表2に示される成分及び量を使用して調製した。
【0087】
【0088】
KrFリソグラフィー評価は、TEL Mark 8トラックを使用して200mmシリコンウェハーにて行った。最初に、シリコンウェハーをHMDSで下塗りした(180℃/60秒)。次いで、HMDSで下塗りされたウェハーに前述の組成物をスピンコートし、150℃で70秒間ベークして、厚さ約13ミクロン(μm)の膜を得た。次いで、フォトレジストでコーティングされたウェハーを、0.52NAを使用したバイナリーマスクを有するASML 300 KrFステッパーを使用して露光した。露光されたウェハーは、後露光ベークを110℃で50秒間行い、次いで0.26の通常の標準水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(CD-26)を使用して45秒間現像した。
【0089】
KrFリソグラフィーの結果が
図2に要約され、この場合に、「E
サイズ」は、mJ/cm
2の単位で表されるサイジングエネルギー(sizing energy)である。実施例1(比較)と比較して、実施例2、3、及び4のフォトレジスト組成物は、より速い光速度を示し、また、
図2のCD SEM図から明らかなように、より狭い勾配CD(特定のパターン化された特徴の膜の上部と下部の間のμmでのCD差として計算される)を示した。
【0090】
オキサチアニウム光酸発生剤は、厚膜フォトレジスト(1~20μm)で248nmでのシクロアルキルスルホニウム及びTPS光酸発生剤の両方と比較して、予想外に速い光速度を示す。この予期せぬ挙動は、248nmでの透過性と248nmでのフォト酸生成能力の間の最適なバランスによるものであり、これにより、248nmでの良好なフォト酸生成効率とPAGアニオンの小さなサイズによる高速な酸拡散を組み合わせたレジストへの光通過が向上し、厚膜レジストのリソグラフィーが改善される。
【0091】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することが意図されることが理解されるべきである。