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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】電子モジュールの接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20241015BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20241015BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01R12/71
G06F3/00 V
G06F1/18 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023107067
(22)【出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】坂東 正明
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
(72)【発明者】
【氏名】原 慎孝
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0103791(US,A1)
【文献】特開平11-175680(JP,A)
【文献】実開平04-028489(JP,U)
【文献】特開2003-258403(JP,A)
【文献】特開2023-067411(JP,A)
【文献】特開2022-146351(JP,A)
【文献】特開2022-058487(JP,A)
【文献】米国特許第05620290(US,A)
【文献】特開平02-179018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
G06F 3/00
G06F 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子群が配置された第1縁と、前記第1縁とは反対側であって半円形の窪みが形成された第2縁と、を有し、前記窪みにGND端子が設けられた電子モジュールと、
基板と、
前記GND端子と前記基板とを電気的に接続する仲介部と、を備え、
前記仲介部は、前記基板と交差する方向において伸縮可能な伸縮部を有し、
前記基板は、前記仲介部が接続される接続部と、前記接続部とは異なる位置に配されて前記第1縁が固定される第1固定部と、前記接続部と前記第1固定部との間に位置して前記第2縁を固定可能な第2固定部と、を有し、
前記仲介部は、前記基板と交差する方向から見て前記第2固定部から前記接続部に向けて延びる延長部を有し、
前記延長部は、前記基板に対して取り外し可能に構成されており、
前記延長部が前記基板に取り付けられた状態において、前記仲介部は、前記電子モジュールが有する前記GND端子と、前記接続部と、を電気的に接続し、
前記延長部が前記基板から取り外された状態において、前記仲介部は、前記第1縁および前記第2縁が並ぶ方向における寸法が前記電子モジュールよりも大きい第2電子モジュールが有する前記GND端子と、前記接続部と、を電気的に接続する、
電子モジュールの接続構造。
【請求項2】
前記電子モジュールは、M.2規格に準拠する、
請求項1に記載の電子モジュールの接続構造。
【請求項3】
前記電子モジュールは、WWAN通信規格に対応する、
請求項1または2に記載の電子モジュールの接続構造。
【請求項4】
前記延長部は、前記基板と平行に延びる延在部と、前記基板と交差する方向に延びる起立部と、を有する、
請求項1または2に記載の電子モジュールの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子群が配置された第1縁と、前記第1縁とは反対側であって半円形の窪みが形成された第2縁と、を有し、前記窪みにGND端子が設けられた電子モジュールが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような電子モジュールの例としては、M.2規格に準拠した電子モジュール等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7208553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような(M.2規格等に準拠した)電子モジュールは、基板に接続されて用いられる場合がある。本願発明者らが鋭意検討した結果、このような電子モジュールを基板に対して良好に接続するためには、工夫が必要であることが判った。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、基板に対して電子モジュールを良好に接続可能な、電子モジュールの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係る電子モジュールの接続構造は、端子群が配置された第1縁と、前記第1縁とは反対側であって半円形の窪みが形成された第2縁と、を有し、前記窪みにGND端子が設けられた電子モジュールと、基板と、前記GND端子と前記基板とを電気的に接続する仲介部と、を備え、前記仲介部は、前記基板と交差する方向において伸縮可能な伸縮部を有する。
【0007】
本発明の態様1によれば、基板に対して電子モジュールを良好に接続可能な、電子モジュールの接続構造を提供できる。
【0008】
また、本発明の態様2は、態様1の電子モジュールの接続構造において、前記電子モジュールは、M.2規格に準拠する。
【0009】
本発明の上記態様に係る接続構造は、例えばM.2規格に準拠した電子モジュールにも好適に適用することができる。
【0010】
また、本発明の態様3は、態様1または態様2の電子モジュールの接続構造において、前記電子モジュールは、WWAN通信規格に対応する。
【0011】
本願発明者らが鋭意検討した結果、例えば電子モジュールがSSDモジュールである場合等と比較して、電子モジュールがWWAN通信モジュールである場合の方が、高いGNDの安定性を要することが判った。本発明の上記態様に係る接続構造によれば、電子モジュールがWWAN通信モジュールである場合に必要となる高いGNDの安定性を確保しやすくなる。
【0012】
また、本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの電子モジュールの接続構造において、前記基板は、前記仲介部が接続される接続部と、前記接続部とは異なる位置に配されて前記第1縁が固定される第1固定部と、前記接続部と前記第1固定部との間に位置して前記第2縁を固定可能な第2固定部と、を有し、前記仲介部は、前記基板と交差する方向から見て前記第2固定部から前記接続部に向けて延びる延長部を有する。
【0013】
本発明の態様4によれば、互いにサイズの異なる複数の電子モジュールを、基板に対して接続することができる。
【0014】
また、本発明の態様5は、態様4の電子モジュールの接続構造において、前記延長部は、前記基板と平行に延びる延在部と、前記基板と交差する方向に延びる起立部と、を有する。
【0015】
本発明の態様5によれば、サイズの異なる複数の電子モジュール間で、第2縁が取り付けられる位置が基板に交差する方向にずれている場合であっても、各電子モジュールのGND端子を基板に対して容易に接続することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、基板に対して電子モジュールを良好に接続可能な、電子モジュールの接続構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る接続構造を示す斜視図である。
図2図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る電子モジュールを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る延長部の周辺を示す斜視図である。
図5図4から延長部を取り除いた状態を示す図である。
図6図1の電子モジュールとは異なるサイズを有する電子モジュールが基板に接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る電子モジュールの接続構造について図面に基づいて説明する。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る電子モジュールの接続構造1(以下、単に「接続構造1」と称する)は、電子モジュール10と、基板20と、仲介部30と、固定手段41と、押圧手段42、43と、を備える。
【0020】
接続構造1は、例えば電子機器に収容されてもよい。接続構造1が収容される電子機器は、例えば、いわゆるクラムシェル型のノートパソコンであってもよい。ただし、電子機器の種類はこれに限られない。例えば、電子機器は、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機等であってもよい。
【0021】
(方向定義)
ここで、本明細書では、基板20に交差する(例えば、直交する)方向を第1方向Zと称する。第1方向Zに交差する(例えば、直交する)一方向を第2方向Xと称する。第1方向Zおよび第2方向Xの双方に交差する(例えば、直交する)方向を第3方向Yと称する。第2方向Xおよび第3方向Yは、基板20に平行な方向であってもよい。
【0022】
図3に示すように、電子モジュール10は、実装基板11と、電子部品12と、を有する。本実施形態に係る電子モジュール10は、M.2規格に準拠したモジュールである。
【0023】
電子モジュール10は、例えばWWAN(Wireless Wide Area Network)通信規格に対応する通信モジュールであってもよい。あるいは、電子モジュール10は、SSD(Solid State Drive)モジュールであってもよい。この場合、電子部品12は、メモリ等を有していてもよい。ただし、電子モジュール10の種類はこれらに限定されず、適宜変更可能である。
【0024】
実装基板11は、例えばPCB(Printed Circuit Board)であってもよい。実装基板11は、平板状の形状を有する。具体的に、実装基板11は、実装面11aと、裏面11bと、複数(図示の例においては4つ)の側縁11cと、を有する。実装面11aには、電子部品12が実装される。裏面11bは、実装面11aの反対側に位置する。電子モジュール10が基板20に接続された状態において、実装面11aおよび裏面11bは第1方向Zを向いてもよい。
【0025】
複数の側縁11cは、実装面11aの外周縁と裏面11bの外周縁とを接続している。本実施形態に係る電子モジュール10(実装基板11)は、長方形状を有する。複数の側縁11cは、第1縁10aと、第1縁10aとは反対側に位置する第2縁10bと、を含む。
【0026】
本実施形態において、第1縁10aおよび第2縁10bは、電子モジュール10(実装基板11)が有する、一対の短辺に対応している。つまり、第1縁10aおよび第2縁10bは、電子モジュール10(実装基板11)の長手方向における、電子モジュール10(実装基板11)の両端縁である。図2に示すように、電子モジュール10が基板20に接続された状態において、電子モジュール10(実装基板11)の長手方向は、第2方向Xと一致してもよい。つまり、電子モジュール10が基板20に接続された状態において、第1縁10aと第2縁10bとが第2方向Xに並んでもよい。
【0027】
図3に示すように、第1縁10aには、複数の端子13aを有する端子群13が配置されている。端子群13は、M.2規格に対応している。
【0028】
第2縁10bには、半円形の窪み14が形成されている。窪み14には、GND端子14aが設けられている。GND端子14aは、実装基板11(電子モジュール10)の外部に露出している。
【0029】
図2に示すように、本実施形態に係る仲介部30は、延長部(ブラケット)31と、スタッド32と、伸縮部(フローティング接続部)33と、ねじ受け部(第1のねじ受け部)34と、を有する。仲介部30(延長部31、スタッド32、伸縮部33、およびねじ受け部34)は、導電性を有する材料によって形成される。仲介部30は、電子モジュール10のGND端子14aと、基板20とを電気的に接続する。言い換えれば、仲介部30は、GND端子14aと基板20との間の電気的接続を仲介する。
【0030】
ねじ受け部34は、フランジ部34aと、筒部34bと、を含む。フランジ部34aは、第1方向Zから見て環状の形状を有する。フランジ部34aは、基板20(接続部23)に対して機械的かつ電気的に接続されている。ねじ43aを基板20に対して機械的かつ電気的に接続する方法は特に限定されないが、たとえばはんだによる接続を採用してもよい。筒部34bは、フランジ部34aの内周縁部から、第1方向Zにおいて基板20から離れる向きに突出している。詳細な図示は省略するが、筒部34bの内周面には、ねじ43aが螺合する螺旋状の突起が形成されている。フランジ部34aと筒部34bとは、一体に形成されていてもよい。
【0031】
伸縮部33は、第1方向Zに伸縮可能に構成されている。伸縮部33は、フランジ部34aから、第1方向Zにおいて基板20から離れる向きに突出している。伸縮部33は、フランジ部34aに対して機械的かつ電気的に接続されている。伸縮部33は、例えば、第1方向Zから見て環状の形状を有していてもよい。なお、ねじ受け部34がフランジ部34aを有さず、伸縮部33が基板20(接続部23)に対して機械的かつ電気的に接続されていてもよい。
【0032】
延長部31は、第1方向Zから見て、第2固定部22から接続部23に向けて延びている。本実施形態に係る延長部31は、第1延在部31aと、起立部31bと、第2延在部31cと、を含む。
【0033】
第1延在部31aは、第2固定部22の近傍から、第2方向Xに沿って延長部31に向かうように延びている。電子モジュール10が基板20に接続された状態において、第1延在部31aは、電子モジュール10のGND端子14aと機械的かつ電気的に接続される。起立部31bは、第1延在部31aの先端(図示の例においては右端)から、第1方向Zにおいて基板20から離れる向きに延びている。第2延在部31cは、起立部31bの先端(図示の例においては上端)から、第2方向Xに沿って延長部31に向かうように延びている。
【0034】
このように第1延在部31a、起立部31b、および第2延在部31cを有する延長部31は、第3方向Yから見てZ字形状を有する。第1延在部31aには、第1延在部31aを第1方向Zに貫通する第1貫通孔31dが形成されている。
【0035】
スタッド32は、第1方向Zから見て環状の形状を有する。スタッド32は、第2貫通孔31eの内周面に固定(例えば、かしめ固定)される。スタッド32の内径は、筒部34bの外径よりも大きい。
【0036】
スタッド32は、押圧手段(第1の押圧手段)43によって、伸縮部33に対して機械的かつ電気的に接続される。本実施形態に係る押圧手段43は、ねじ43aと、前述したねじ受け部34(筒部34b)と、を有する。
【0037】
本実施形態においては、ねじ受け部34の筒部34bがスタッド32に挿入されると、スタッド32と伸縮部33とが、第1方向Zにおいて対向する。この状態でねじ43aを筒部34bに螺入すると、筒部34bの頭部が、第1方向Zにおいて、第2延在部31cの先端およびスタッド32を、伸縮部33に向けて押圧する。これにより、第2延在部31cの先端およびスタッド32が、ねじ43aの頭部と伸縮部33との間に挟まれ、伸縮部33に対して機械的かつ電気的に接続される。このとき、伸縮部33が、第2延在部31cの先端およびスタッド32を、第1方向Zにおいて基板20から離れる向きに付勢する。伸縮部33が発揮する付勢力と、ねじ43aが発揮する押圧力と、によって、第2延在部31cの先端およびスタッド32が、フローティング状態に保たれる。言い換えれば、第2延在部31cの先端およびスタッド32が伸縮部33によって弾性的に支持された状態が、保たれる。
【0038】
図2に示すように、基板20は、第1固定部21と、第2固定部22と、接続部23と、を有する。基板20は、例えばPCBであってもよい。第1固定部21、第2固定部22、および接続部23は、互いに異なる位置に配されている。より具体的に、第1固定部21、第2固定部22、および接続部23は、第2方向X(すなわち、第1縁10aと第2縁10bとが並ぶ方向)においてこの順に並んでいる。
【0039】
第1固定部21には、固定手段41によって、電子モジュール10の第1縁10aが固定される。固定手段41を介して基板20(第1固定部21)に第1縁10aが固定されることで、基板20と、電子モジュール10の端子群13とが電気的に接続される。なお、基板20と端子群13とを電気的に接続させつつ第1縁10aを基板20に固定可能であれば、固定手段41の構造は特に限定されず、公知の構造から適宜選択可能である。
【0040】
第2固定部22には、電子モジュール10の第2縁10bが固定可能である。第2固定部22は、接続部23と第1固定部21との間に位置している。図示の例における第2固定部22は、基板20を第1方向Zに貫通する貫通孔である。そして、当該貫通孔に、基板20に対して電子モジュール10の第2縁10bを固定するための押圧手段(第2の押圧手段)42が設けられる。
【0041】
本実施形態に係る押圧手段42は、ねじ(第2のねじ)42aと、ねじ受け部(第2のねじ受け部)42bと、を含む。ねじ受け部42bは、筒状の形状を有する。ねじ受け部42bは、基板20に形成された貫通孔である第2固定部22の内周面と、延長部31の第1貫通孔31dと、に固定(例えば、かしめ固定)される。言い換えれば、ねじ受け部42bは、延長部31(第1延在部31a)を、基板20(第2固定部22)に固定する。詳細な図示は省略するが、ねじ受け部42bの内周面には、ねじ42aが螺合する螺旋状の突起が形成されている。
【0042】
電子モジュール10の窪み14(GND端子14a)がねじ受け部42bに嵌合した状態でねじ42aをねじ受け部42bに螺入すると、ねじ42aの頭部が、第1方向Zにおいて、電子モジュール10の第2縁10bを、第1延在部31aおよび基板20に向けて押圧する。これにより、電子モジュール10の第2縁10bが、延長部31(第1延在部31a)とねじ42aの頭部との間に挟まれ、基板20の第2固定部22に固定される。
【0043】
接続部23には、仲介部30が機械的かつ電気的に接続される。図示の例においては、ねじ受け部34のフランジ部34aが、接続部23に対して機械的かつ電気的に接続される。
【0044】
次に、以上のように構成された各部材を用いて、電子モジュール10を基板20に接続する方法について説明する。つまり、本実施形態に係る接続構造1の製造方法について説明する。
【0045】
まず、基板20が用意される(図2参照)。基板20の接続部23には、ねじ受け部34が固定される。ねじ受け部34には、伸縮部33が固定される。
【0046】
次に、ねじ受け部42bおよびスタッド32が固定された延長部31が用意される。そして、ねじ受け部34の筒部34bがスタッド32に挿入されるように、延長部31が基板20上に配置される。この状態で、ねじ43aが筒部34bに螺入される(図2および図4参照)。これにより、スタッド32が、伸縮部33に対して機械的かつ電気的に接続される。またこのとき、第2延在部31cの先端およびスタッド32が、フローティング状態に保たれる。ねじ受け部42bは、基板20の第2固定部22(貫通孔)に固定される。言い換えれば、ねじ受け部42bによって、延長部31(第1延在部31a)が、基板20(第2固定部22)に固定される。
【0047】
次に、電子モジュール10が用意される。そして、電子モジュール10の第1縁10aが、固定手段41に固定される(図2参照)。これにより、電子モジュール10の端子群13が、基板20と電気的に接続される。
【0048】
次に、電子モジュール10の窪み14にねじ受け部42bが嵌合される(図1参照)。この状態で、ねじ42aがねじ受け部42bに螺入される。これにより、電子モジュール10の第2縁10bが、第1延在部31aとねじ42aの頭部との間に挟まれ、基板20の第2固定部22に固定される(図1および図2参照)。このとき、電子モジュール10のGND端子14aが、第1延在部31aに対して機械的かつ電気的に接続される。
【0049】
以上の工程により、電子モジュール10が基板20に固定され、かつ、電子モジュール10と基板20とが電気的に接続される。より具体的には、電子モジュール10の第1縁10aおよび第2縁10bが、固定手段41および押圧手段42によって、基板20の第1固定部21および第2固定部22に対して各々固定される。また、仲介部30を介して、電子モジュール10のGND端子14aが、基板20の接続部23に対して電気的に接続される。またこのとき、仲介部30の少なくとも一部(第2延在部31cの先端およびスタッド32)が、フローティング状態に保たれる。
【0050】
なお、図5に示すように、本実施形態に係る接続構造1から延長部31を省略してもよい。言い換えれば、延長部31は、基板20から取り外し可能に構成されていてもよい。なお、延長部31に固定されるねじ受け部42bも、延長部31とともに省略してもよい。
【0051】
ところで、図1に示した電子モジュール10よりも第2方向Xにおける寸法が大きい電子モジュール10Aを用いる場合がある(図6参照)。本実施形態に係る接続構造1においては、延長部31を取り外すことで、このようにサイズの異なる電子モジュール10Aを基板20に対して接続することができる。
【0052】
具体的には、基板20上に延長部31を設けず(図5参照)、電子モジュール10の窪み14にねじ受け部34(筒部34b)を嵌合させる。そして、この状態でねじ43aを筒部34bに螺入する(図2も参照)。これにより、電子モジュール10のGND端子14aが、ねじ43aの頭部と伸縮部33との間に挟まれ、伸縮部33に対して機械的かつ電気的に接続される(図2も参照)。またこのとき、電子モジュール10のGND端子14aが、フローティング状態に保たれる。言い換えれば、GND端子14aが伸縮部33によって弾性的に支持された状態が、保たれる。
【0053】
なお、電子モジュール10はM.2規格に準拠していなくてもよい。電子モジュール10は、M.2規格に準拠した電子モジュールに類似する電子モジュールであってもよい。具体的には、端子群13が配置された第1縁10aと、第1縁10aとは反対側であって半円形の窪み14が形成された第2縁10bと、を有し、窪み14にGND端子14aが設けられていれば、電子モジュール10の種類は適宜変更可能である。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る接続構造1は、端子群13が配置された第1縁10aと、第1縁10aとは反対側であって半円形の窪み14が形成された第2縁10bと、を有し、窪み14にGND端子14aが設けられた電子モジュール10と、基板20と、GND端子14aと基板20とを電気的に接続する仲介部30と、を備え、仲介部30は、基板20と交差する方向(第1方向Z)において伸縮可能な伸縮部33を有する。
【0055】
この構成によれば、GND端子14aと基板20とを電気的に接続する経路の中に、第1方向Zにフローティングした部分が含まれる。延長部31を用いる例においては、仲介部30の少なくとも一部(第2延在部31cの先端およびスタッド32)が「フローティングした部分」に該当する。延長部31を用いない例においては、GND端子14aが「フローティングした部分」に該当する。フローティングした部分が存在することで、GND端子14aと基板20との電気的接続が安定する。すなわち、外力等によって電子モジュール10、基板20、および仲介部30の間の位置関係が多少ずれたとしても、仲介部30による電気的接続が維持されやすくなる。また、GND端子14aが基板20に対して非弾性的に(フローティング部分なしに)固定される場合と比較して、端子13aの損傷を低減することができる。仮に、GND端子14aが基板20に対してフローティング部分なしに固定される場合、電子モジュール10の第2縁10bは、ねじ等によって基板20に対して強固に固定される。この状態で基板20等が撓むほどの外力が繰り返し印加されると、第2縁10bと基板20との位置ずれは起こりにくい一方で、第1縁10aと固定手段41との位置ずれが繰り返される。このような第1縁10aと固定手段41との位置ずれは、第1縁10aに設けられた端子13aの損傷(損耗)を生じさせる。この問題は、固定手段41において、第1縁10aがコネクタピンのばね構造によってのみ把持されるような構成において生じやすい。第2縁10bを基板20に対して強固に固定するのではなく、本実施形態のように、第2縁10b(GND端子14a)と基板20との間にフローティング部分を設けることで、基板20の撓み等による影響をフローティング部分に吸収させることができる。これにより、第1縁10aと固定手段41との位置ずれを抑制し、端子13aの損傷(損耗)を低減できる。
【0056】
また、電子モジュール10は、M.2規格に準拠してもよい。
【0057】
本実施形態に係る接続構造1は、例えばM.2規格に準拠した電子モジュール10にも好適に適用することができる。
【0058】
また、電子モジュール10は、WWAN通信規格に対応してもよい。
【0059】
本願発明者らが鋭意検討した結果、例えば電子モジュール10がSSDモジュールである場合等と比較して、電子モジュール10がWWAN通信モジュールである場合の方が、高いGNDの安定性を要することが判った。本実施形態に係る接続構造1によれば、電子モジュール10がWWAN通信規格に対応する場合に必要となる高いGNDの安定性を確保しやすくなる。
【0060】
また、基板20は、仲介部30が接続される接続部23と、接続部23とは異なる位置に配されて第1縁10aが固定される第1固定部21と、接続部23と第1固定部21との間に位置して第2縁10bを固定可能な第2固定部22と、を有し、仲介部30は、第1方向Zから見て第2固定部22から接続部23に向けて延びる延長部31を有する。
【0061】
この構成により、互いにサイズの異なる複数の電子モジュール10、10Aを、基板20に対して接続することができる。つまり、延長部31の有無を切り替えることで、(電子モジュール10の)第2縁10bが第2固定部22近傍に位置する場合と、(電子モジュール10Aの)第2縁10bが接続部23近傍に位置する場合と、を切り替えることができる。また、基板20に対して延長部31を予め固定可能な構成とすることで、例えば電子モジュール10、10Aに対して予めブラケット等を取り付ける必要がある構成と比較して、電子モジュール10、10Aを容易に基板20に接続することができる。
【0062】
また、延長部31は、基板20と平行に延びる延在部31a、31cと、第1方向Zに延びる起立部31bと、を有する。
【0063】
この構成により、サイズの異なる電子モジュール10、10A間で、第2縁10bが取り付けられる位置が第1方向Zにずれている場合であっても、各電子モジュール10、10AのGND端子14aを基板20に対して容易に接続することができる。
【0064】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0065】
例えば、第1方向Zにおいて伸縮可能な伸縮部33を有し、かつ、GND端子14aと基板20とを電気的に接続可能であれば、仲介部30の構成および形状は適宜変更可能である。例えば、ねじ42a、43bが導電性を有する材料で形成されている場合、GND端子14aと基板20とを電気的に接続する仲介部30は、ねじ42a、43bを含んでいてもよい。
【0066】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…接続構造 10、10A…電子モジュール 10a…第1縁 10b…第2縁 13…端子群 14…窪み 14a…GND端子 20…基板 21…第1固定部 22…第2固定部 23…接続部 30…仲介部 31…延長部 31a…第1延在部 31b…起立部 31c…第2延在部 33…伸縮部
【要約】
【課題】基板に対して電子モジュールを良好に接続可能な、電子モジュールの接続構造を提供する。
【解決手段】電子モジュールの接続構造は、端子群が配置された第1縁と、前記第1縁とは反対側であって半円形の窪みが形成された第2縁と、を有し、前記窪みにGND端子が設けられた電子モジュールと、基板と、前記GND端子と前記基板とを電気的に接続する仲介部と、を備え、前記仲介部は、前記基板と交差する方向において伸縮可能な伸縮部を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6