(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】ベイパーチャンバー装置
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20241015BHJP
F28D 15/04 20060101ALI20241015BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20241015BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
F28D15/02 102A
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
F28D15/04 C
F28D15/04 E
F28D15/04 B
F28F21/08 A
H01L23/46 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108212
(22)【出願日】2023-06-30
【審査請求日】2023-06-30
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501008945
【氏名又は名称】国立清華大学
【氏名又は名称原語表記】National Tsing Hua University
【住所又は居所原語表記】No.101,Section 2,Kuang-Fu Road,Hsinchu,30013,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】王 訓忠
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/073492(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112996339(CN,A)
【文献】国際公開第2021/046827(WO,A1)
【文献】米国特許第07341099(US,B2)
【文献】米国特許第10502498(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第04325154(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第102865763(CN,A)
【文献】特開2001-094022(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116147391(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
F28D 15/04
F28F 21/08
H01L 23/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源に熱的に結合されるように適合されたベイパーチャンバー装置であって、
第1の板部と、前記第1の板部の内面から突出する複数の第1の突出部と、前記内面から突出して前記第1の突出部を取り囲む第1の側壁とを備え、前記熱源は、前記第1の板部の外面と接触するように適合されている、第1の筐体と、
前記第1の板部の前記内面の上に配置され、前記第1の突出部を取り囲む第1の毛細管構造と、
前記第1の筐体上に積層される第2の筐体であって、前記第2の筐体は、第2の板部と、前記第2の板部から突出する複数の第2の突出部と、前記第2の板部から突出して前記第2の突出部を取り囲む第2の側壁と、を備え、前記第1の側壁は前記第2の側壁に接続され、複数の蒸気通路が前記第2の突出部の間に形成され、前記第2の板部は、前記第2の突出部によって譲り出される複数の接続領域を含み、前記第1の突出部は前記接続領域に接続され、前記第2の
突出部は、前記第1の毛細管構造に当接する、第2の筐体と、
を備え
、
前記第2の突出部の数は、前記第1の突出部の数よりも多く、前記第1の突出部のサイズは、前記第2の突出部のサイズよりも大きい、ベイパーチャンバー装置。
【請求項2】
前記第1の板部から突出する前記第1の突出部の高さと、前記第2の板部から突出する前記第2の突出部の高さとの差分値が、毛細管層の高さである、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項3】
各前記第1の
突出部は、柱状または帯状であり、前記第1の突出部は、前記内面に均一に分布する、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項4】
前記第2の突出部は、複数の第1の支柱及び複数の第2の支柱を備え、前記第1の支柱の形状は、前記第2の支柱の形状と異なり、前記第1の支柱は、前記熱源に対応する位置に配置され、前記第2の支柱は、前記第1の支柱に隣接する位置にあり、軸方向に延びている、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項5】
前記第2の
突出部の一部分が前記熱源に対応する位置に配置され、前記第2の突出部の他の部分が前記一部分の周囲に放射状に配置される、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項6】
前記第1の毛細管構造は、複数のワイヤによって織られたメッシュ構造、不織メッシュ構造、または金属発泡層及び焼結金属粉末であり、前記第1の毛細管構造は、複数の孔を備える、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項7】
前記第1の筐体は、前記第1の板部の前記内面から一体的に突出する第2の毛細管構造を備え、前記第2の毛細管構造は、流体流路として機能する複数の凸条の間に形成された複数の溝を備え、前記第1の毛細管構造は、前記第2の毛細管構造と前記第2の筐体の前記第2の突出部との間に配置される、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項8】
前記溝の少なくとも一部が放射状に配置される、請求項
7に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項9】
前記第1の突出部と前記凸条の少なくとも一部とが放射状に配置される、請求項
8に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項10】
前記熱源に対応する領域の前記溝に充填された第3の毛細管構造をさらに備え、前記第3の毛細管構造は、金属粉末、不織金属ウール、またはナノ構造を含む、請求項
7に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項11】
前記第1の毛細管構造から延在し、前記第1の毛細管構造と一体化され、前記第1の突出部を取り囲む複数の延長毛細管層をさらに備える、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項12】
前記第1の毛細管構造から延在し、前記第1の毛細管構造と一体化され、前記第1の突出部を取り囲む複数の延長毛細管層をさらに備える、請求項
7に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項13】
前記第1の毛細管構造から延在し、前記第1の毛細管構造と一体化され、前記第1の突出部を取り囲む複数の延長毛細管層をさらに備える、請求項
10に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項14】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁の一方は、対応する第1の突出部または第2の突出部を取り囲む環状の凸条を備え、
前記第1の側壁及び前記第2の側壁の前記他方は、対応する第1の突出部または第2の突出部を取り囲む環状の溝を有し、前記環状の凸条は、前記環状の溝に埋め込まれる、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項15】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、端部に封止領域を有し、前記封止領域は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の端部を封止し、前記封止領域は、前記環状の凸条及び前記環状の溝を取り囲むかまたは覆う、請求項
14に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項16】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、端部に封止領域を有し、前記封止領域は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の端部を封止する、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項17】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、端部に封止領域を有し、前記封止領域は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の端部を封止する、請求項
7に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項18】
前記第1の側壁及び前記第2の側壁は、端部に封止領域を有し、前記封止領域は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の端部を封止する、請求項
10に記載のベイパーチャンバー装置。
【請求項19】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、請求項1に記載のベイパーチャンバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベイパーチャンバー装置に関し、特に、容易に変形しないベイパーチャンバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベイパーチャンバーは、一般的な放熱装置である。ベイパーチャンバーは、主に、扁平密閉筐体と、扁平密閉筐体内に形成された毛細管構造と、扁平密閉筐体内に充填された作動流体とから構成されている。扁平密閉筐体は、中央処理装置(CPU)などの熱源に曝され、熱源はベイパーチャンバー内の作動流体の気液相変化によって放散される。熱源が作動すると、ベイパーチャンバー内の作動流体が加熱されて膨張し、扁平密閉筐体内の圧力が1気圧を超えてベイパーチャンバーの筐体が変形する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、良好な構造強度を有し、容易に変形せず、精密な位置合わせを必要としないため、上部プレートと下部プレートを封止する際に製造が容易なベイパーチャンバー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のベイパーチャンバー装置は、熱源に熱的に結合されるように適合されている。ベイパーチャンバー装置は、第1の筐体と、第1の毛細管構造と、第2の筐体と、を備える。第1の筐体は、第1の板部と、第1の板部の内面から突出する複数の第1の突出部と、内面から突出して第1の突出部を囲む第1の側壁と、を含む。熱源は、第1の板部の外面に接触するように適合されている。第1の毛細管構造は、第1の板部の内面の上に配置され、第1の突出部を取り囲む。第2の筐体は、第1の筐体上に積層され、第2の筐体は、第2の板部と、第2の板部から突出する複数の第2の突出部と、第2の板部から突出して第2の突出部を囲む第2の側壁と、を含む。第1の側壁は第2の側壁に接続され、複数の蒸気通路が第2の突出部の間に形成され、第2の板部は、第2の突出部によって譲り出される複数の接続領域を含み、第1の突出部は接続領域に接続され、第2の突出部は、第1の毛細管構造に当接する。
【0005】
本発明の一実施形態では、第2の突出部の数は第1の突出部の数よりも多く、第1の突出部のサイズは第2の突出部のサイズよりも大きい。
【0006】
本発明の一実施形態では、第1の板部から突出する第1の突出部の高さと第2の板部から突出する第2の突出部の高さの差分値が毛細管層の高さである。
【0007】
本発明の一実施形態では、各第1の突出部は柱状または帯状であり、第1の突出部は内面に均一に分布する。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記第2の突出部は、複数の第1の支柱及び複数の第2の支柱を含み、第1の支柱の形状は、前記第2の支柱の形状と異なり、第1の支柱は、熱源に対応する位置に配置され、第2の支柱は、第1の支柱に隣接する位置にあり、軸方向に延びている。
【0009】
本発明の一実施形態では、第2の突出部の一部分は、熱源に対応する位置に配置され、第2の突出部の他の部分は、当該一部分の周囲に放射状に配置される。
【0010】
本発明の一実施形態では、第1の毛細管構造は、複数のワイヤによって織られたメッシュ構造、不織メッシュ構造、または金属発泡層、及び焼結金属粉末であり、第1の毛細管構造は複数の孔を含む。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記第1の筐体は、第1の板部の内面から一体的に突出する第2の毛細管構造を含み、第2の毛細管構造は、流体流路として機能する複数の凸条の間に形成された複数の溝を含み、第1の毛細管構造は、第2の毛細管構造と第2の筐体の第2の突出部との間に配置される。
【0012】
本発明の一実施形態では、溝の少なくとも一部は放射状に配置される。
【0013】
本発明の一実施形態では、第1の突出部及び凸条の少なくとも一部は放射状に配置される。
【0014】
本発明の一実施形態では、ベイパーチャンバー装置は、熱源に対応する領域の溝に充填された第3の毛細管構造をさらに含み、第3の毛細管構造は、金属粉末、不織金属ウール、または化学的に生成されたナノ構造を含む。
【0015】
本発明の一実施形態では、ベイパーチャンバー装置は、第1の毛細管構造から延在し、第1の毛細管構造と一体化された複数の延長毛細管層をさらに含み、延長毛細管層は第1の突出部を取り囲む。
【0016】
本発明の一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁の一方は環状の凸条を含み、環状の凸条は対応する第1の突出部または第2の突出部を取り囲み、第1の側壁及び第2の側壁の他方は、対応する第1の突出部又は第2の突出部を囲む環状の溝を有し、環状の凸条は環状の溝に埋め込まれる。
【0017】
本発明の一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁は端部に封止領域を有し、封止領域は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって、第1の側壁及び第2の側壁の端部を封止し、封止領域は、環状の凸条及び環状の溝を取り囲むかまたは覆う。
【0018】
本発明の一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁は端部に封止領域を有し、封止領域は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって、第1の側壁及び第2の側壁の端部を封止する。
【0019】
本発明の一実施形態では、第1の筐体及び第2の筐体の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む。
【発明の効果】
【0020】
上記に基づいて、本発明のベイパーチャンバー装置の第1の側壁は第2の側壁に接続され、第1の筐体の第1の突出部は第2の板部の接続領域に接続されて、ベイパーチャンバー装置の構造強度を向上させ、運転中の内圧上昇に係る膨張や変形を防止する。冷間加工では、第1の突出部と第2の板部との接続領域におけるベイパーチャンバーの上部外壁と下部外壁に抵抗溶接を施すことによって、第1の突出部を第2の板部に接続することができる。熱間加工では、第1の突出部は、高温炉内での拡散接続工程によって第2の板部に接続されても良い。また、第1の突出部と第2の突出部とが千鳥状に配置されているため、第1の筐体と第2の筐体とを精密に位置合わせする必要がなく、たとえ製造工程において第1の筐体と第2の筐体との間にズレが生じても、第1の突出部と第2の板部の接続領域との接続に影響を与えることがなく、工程が便利である。さらに、第1の毛細管構造は第1の板部の内面の上に配置され、第2の筐体の第2の突出部は第1の毛細管構造に当接し、ベイパーチャンバー装置内部の真空の低圧に係る崩壊や変形を回避することができる。したがって、本発明のベイパーチャンバー装置は、より優れた構造強度を有し、製造が容易である。
【0021】
前述の内容をより包括的にするために、図面を伴ういくつかの実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【
図1A】本発明の一実施形態に係るベイパーチャンバー装置の外観を示す概略図である。
【
図1B】A-A線に沿った
図1Aのベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
【
図1C】
図1Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。
【
図1D】
図1Aのベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【
図1E】本発明の他の実施形態に係る様々なベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【
図1F】本発明の他の実施形態に係る様々なベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【
図1G】本発明の他の実施形態に係る様々なベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
【
図3A】本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
【
図3B】
図3Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。
【
図3C】本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の第1の筐体の内面の概略図である。
【
図4A】本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
【
図4B】
図4Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。
【
図5A】本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
【
図5B】
図5Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。
【
図5C】
図5Aのベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るベイパーチャンバー装置の外観を示す概略図である。
図1Bは、A-A線に沿った
図1Aのベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
図1Cは、
図1Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。
図1Dは、
図1Aのベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【0024】
図1Aから
図1Dを参照すると、本実施形態におけるベイパーチャンバー装置100の外観形状は、例えば、長方形の板状であるが、ベイパーチャンバー装置100の外観形状は、図示に限定されるものではなく、任意の形状であってよい。ベイパーチャンバー装置100は、熱源10(
図1B)に熱的に結合されるように適合されている。熱源10は、例えば、マザーボードの中央処理装置であるが、熱源10は、他のチップであってもよく、熱源10の種類及び数はこれに限定されない。
【0025】
図1Bに示されるように、本実施形態のベイパーチャンバー装置100は、第1の筐体110と、第1の毛細管構造130と、第2の筐体120と、を含む。第1の筐体110及び第2の筐体120の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属であるが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、第1の筐体110及び第2の筐体120の材料は、銅または銅合金などの他の金属を含んでもよい。
【0026】
第1の筐体110は、第1の板部111と、第1の板部111の内面1112から突出する複数の第1の突出部117aと、内面1112から突出して第1の突出部117aを取り囲む第1の側壁117と、を含む。熱源10は、第1の板部111の外面1114に接触するように適合されており、熱源10によって生成された熱エネルギーはベイパーチャンバー装置100に伝達される。
【0027】
図1B及び
図1Cからわかるように、本実施形態では、第1の突出部117aは円柱状であり、第1の突出部117aは内面1112上に均一に分布している。もちろん、他の実施形態では、第1の突出部117aは帯状であってもよく、第1の突出部117aは、非均一に分布していても良く、第1の突出部117aの形状及び分布はこれに限定されない。
図1B及び
図1Cに示される実施形態では、第1の突出部117aが熱源10に対応する蒸発領域に配置されていないが、第1の突出部117aの一部が熱源10に対応する蒸発領域に配置され、第2の板部121上の第1の突出部117aに対応する位置において、第2の突出部122を局所的に除去して、接続領域129を形成しても良い。
【0028】
本実施形態では、第1の板部111と第1の突出部117aとが一体的に形成されており、このような設計により構造をより単純にすることができる。また、第1の板部111と第1の突出部117aとの間に熱接触抵抗がないため、熱伝達効果がより良好となる。第1の板部111及び第1の突出部117aは、例えば、スタンピング、化学エッチング、押出、鍛造、又はダイカスト工程によって製造されるが、これらに限定されない。
【0029】
第1の毛細管構造130は、第1の板部111の内面1112上に配置され、第1の突出部117aを取り囲む。本実施形態では、第1の毛細管構造130は、複数のワイヤで編まれたメッシュ構造、例えば、銅メッシュやアルミニウムメッシュなどの金属メッシュである。もちろん、他の実施形態では、第1の毛細管構造130は、不織メッシュ、または多孔質の発泡金属型の毛細管構造であっても良い。第1の毛細管構造130は、焼結金属粉末毛細管であってもよく、第1の毛細管構造130の形態はこれに限定されない。第1の毛細管構造130は複数の孔を含むので、毛管力が孔内に提供され得る。
【0030】
第2の筐体120は、第1の筐体110上に積層される。第2の筐体120は、第2の板部121と、第2の板部121から突出する複数の第2の突出部122と、第2の板部121から突出して第2の突出部122を囲む第2の側壁128と、を含む。本実施形態では、第2の突出部122の高さが第2の側壁128と面一となっているが、第2の突出部122と第2の側壁128との関係はこれに限定されない。
【0031】
第1の側壁117は第2の側壁128に接続されている。本実施形態では、第1の側壁117と第2の側壁128は、封止効果を達成するために、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接によって接続されても良い。
【0032】
ベイパーチャンバー装置100の構造強度を向上させるために、本実施形態のベイパーチャンバー装置100には、第1の筐体110の第1の側壁117内の領域に第1の突出部117aが意図的に設けられている。また、
図1Dに示されるように、第2の板部121は、第2の突出部122によって譲り出される複数の接続領域129を含む。第1の側壁117が第2の側壁128に接続されると、第1の突出部117aは第2の板部121の接続領域129に接続される。第1の突出部117aと第2の板部121の接続領域129は、冷間加工時に抵抗溶接を施すことにより、第1の突出部117aを第2の板部121に接続することができる。また、十分な抗膨張特性を達成するべく、第1の筐体110と第2の筐体120との間の接続性を強化するために、熱間加工における拡散接合によって接続されても良い。
【0033】
本実施形態では、第1の突出部117aと第2の突出部122とが千鳥状に配置されているため、第1の筐体110と第2の筐体120とを精密に位置合わせする必要がなく、たとえ製造工程において第1の筐体110と第2の筐体 120との間にズレが生じても、第1の突出部117aと第2の板部121の接続領域129との接続に影響を与えることがなく、工程が便利である。また、第1の突出部117aを第2の板部121に直接接続することができるため、第1の筐体110と第2の筐体120との接続強度を維持しやすくなる。
【0034】
また、
図1Bに示されるように、第2の突出部122は、第1の毛細管構造130に当接し、第1の板部111と第2の板部121との間の距離を固定するのに役立ち、これにより、第1の毛細管構造130の平坦性を確保することができるほか、内圧の変化によるベイパーチャンバー装置100の崩壊及び変形を回避することができ、ベイパーチャンバー装置100の耐用年数を効果的に向上させることができる。本実施形態では、第1の板部111から突出する第1の突出部117aの高さH1と、第2の板部121から突出する第2の突出部122の高さH1との差分値は、毛細管層の高さH3である。
【0035】
図1Bから
図1Dに示されるように、本実施形態では、第2の突出部122の数は、第1の突出部117aの数よりも多い。第2の突出部122の間には、複数の蒸気流路124が形成されている。第2の突出部122は、蒸気流路を画定する構造、蒸気により凝縮した液体が第2の突出部122に沿って流下するためのガイド構造、及び、第1の筐体110と第2の筐体120の崩壊を回避するための支持構造として用いられる。したがって、第2の突出部122の数が多いほど、より多くの蒸気通路124、ガイド構造、及び支持構造を提供することができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1の突出部117aのサイズが第2の突出部122のサイズよりも大きい。第1の突出部117aは主に第2の板部121を接続するための接続構造として用いられるため、第1の突出部117aのサイズが大きいほど、より大きな接続領域を提供することができる。もちろん、第1の突出部117aと第2の突出部122の大きさと数との関係はこれに限定されない。
【0037】
さらに、本実施形態における第1の突出部117aは、第2の板部121に直接接続されているので、第1の突出部117aを蒸気通路の一部を画定する構造としても利用でき、蒸気によって凝縮した液体を第1の突出部117aに沿って流下させる機能を有することもできる。第1の突出部117aと第2の突出部122は、液体還流の経路長を大幅に短縮し、流れ抵抗を効果的に低減することができる。
【0038】
また、
図1B及び
図1Dに示されるように、本実施形態では、第2の突出部122は、例えば円柱であり、第2の突出部122の形状は一定であるが、第2の突出部122の形状はこれに限定されない。他の実施形態では、第2の突出部122は、長方形の柱、正方形の柱、楕円形の柱、多角形の柱、先細りの柱、不規則な柱、または/及びそれらの組み合わせであっても良い。第2の突出部122の形状や分布形態はこれに限定されない。また、本実施形態では、第2の突出部122と第2の板部121とは一体的に形成されており、第2の板部121及び第2の突出部122は、例えば、スタンピング、化学エッチング、押出、鍛造、又はダイカスト工程によって製造されるが、これらに限定されない。
【0039】
また、本実施形態では、
図1Bの断面からわかるように、第2の突出部122の断面は長方形であるが、他の実施形態では、第2の突出部122の断面は逆台形であってもよく、したがって、構成される蒸気通路124は台形の断面形状を有する。他の実施形態では、第2の突出部122は、複数の先細りの柱、複数の台形の柱、複数の円柱、または複数の不規則な柱を含んでもよい。したがって、第2の突出部122の断面形状は、三角形、円弧状、または他の形状であっても良い。同様に、蒸気通路124の断面形状は、三角形、円弧状、または他の形状であっても良い。
【0040】
なお、本実施形態では、第1の筐体110と第2の筐体120とで取り囲まれた内部空間は、適量の作動流体g(
図1Dで図示、
図1Dの作動流体gは気体)で充填される。作動流体gは、例えば、アルミ容器に適合するアセトンであるが、作動流体gの種類はこれに限定されない。他の実施形態では、作動流体gは、ベイパーチャンバー装置の材料と適合できる限り、水または他の種類の作動流体であっても良い。作動流体gは、例えば液体の状態で第1の筐体110内を流れる。
【0041】
ベイパーチャンバー装置100の第1の筐体110の外面1114(
図1Bに図示)は熱源10と接触し、熱源10から放出された熱は第1の筐体110に伝達される。熱源10に対応するベイパーチャンバー装置100の領域は蒸発領域という。蒸発領域では、作動流体g(液体)が熱を吸収し、気体(蒸気)に蒸発する。作動流体g(気体)は、第2の筐体120の蒸気通路124に向かって上向きに流れ、第2の筐体120内で拡散し、ベイパーチャンバーの凝縮領域(例えば、ベイパーチャンバー装置100の第2の筐体120の領域または第1の筐体110における熱源10の投影の外側の領域)で凝縮して液体となり、ベイパーチャンバー装置100からの熱を排出する。作動流体gが気体から液体に凝縮する際、作動流体gは第2の突出部122及び第1の突出部117aの側壁に沿って流下することができる。凝縮した作動流体g(液体)は、熱源10付近まで還流して蒸発し、熱サイクルが完了する。
【0042】
本実施形態では、第2の筐体120の蒸気通路124を真空にして、空気などの非凝縮性気体を排除することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、第2の突出部122が第1の毛細管構造130に当接し、第2の板部121を支持して、真空引きの際に第1の筐体110、第2の筐体120、及び蒸気通路124の崩壊を効果的に回避できる。また、第1の突出部117aは、対応する接合領域129と接続することができるため、第1の板部111と第2の板部121との間の圧力が1気圧を超えるとき(つまり、ベイパーチャンバーの動作温度に相当する飽和圧力が周囲圧力よりも高い)、第1の板部111と第2の板部121との間の距離が一定に維持され、ベイパーチャンバー装置100の膨張及び変形が防止される。
【0044】
他の実施形態のベイパーチャンバー装置またはその第2の筐体を以下に紹介する。先の実施形態と同一または類似の構成要素については同一または類似の符号を付して重複を省略し、主な相違点のみを説明する。
【0045】
図1Eから
図1Gは、本発明の他の実施形態に係る様々なベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。まず、
図1Eを参照して、
図1Eの第2の筐体120aと
図1Dの第2の筐体120との主な相違点は、第2の突出部122、122aの形状である。本実施形態では、第2の突出部122aは角柱であるが、第2の突出部122aの形状はこれに限定されない。
【0046】
図1Fを参照すると、
図1Fの第2の筐体120bと
図1Dの第2の筐体120との主な相違点は、本実施形態では、第2の突出部122が複数の第1の支柱122b及び複数の第2の支柱123を含み、第1の支柱122bの形状は、第2の支柱123の形状と異なり、第1の支柱122bは、熱源10に対応する位置に配置されており、第2の支柱123は、第1の支柱122bに隣接する位置にあり、軸方向A1に延びている。
【0047】
本実施形態では、第2の筐体120の熱源10に対応する位置に高密度の第1の支柱122bが配置されており、良好な構造強度を提供する。第2の支柱123は、第1の支柱122bの両側に配置され、軸方向A1に延びて、作動流体g(気体)の流れ方向をガイドする。さらに、本実施形態では、第2の支柱123は、第1の突出部117aの接続のために、接続領域129まで部分的に譲り出す(
図1Bに示す通り)。
【0048】
図1Gを参照すると、
図1Gの第2の筐体120cと
図1Dの第2の筐体120との主な相違点は、本実施形態では、第2の突出部122bが熱源10に対応する位置に配置されており、第2の突出部123、125、127の他の部分が、熱源10に対応するその部分の周囲に放射状に配置されることである。この設計により、作動流体g(気体)の流れ方向を適切にガイドすることもできる。
【0049】
上記実施形態では、第2の筐体120、120a、120b、120cの一部の第2の突出部122、122a、122b、123、125、127を除去して、居所的に接続領域129を形成し、この接続領域129を利用して、第1の突出部117aと第2の板部121とを接続することができる。
【0050】
図2は、本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
図2を参照すると、
図2のベイパーチャンバー装置100dと
図1Bのベイパーチャンバー装置100との主な相違点は、本実施形態では、第1の突出部117dのサイズが第2の突出部122のサイズと同じであることである。
【0051】
同様に、第1の突出部117dが第2の板部121に直接接続されており、第1の突出部117dと第2の突出部122とが千鳥状に配置されているため、第1の筐体110と第2の筐体120との間の精密な位置合わせの必要がなく、接続工程に便利である。第2の突出部122は、第1の毛細管構造130に当接し、真空引き中の第1の筐体110、第2の筐体120、及び蒸気通路124の崩壊を効果的に回避する。
【0052】
図3Aは、本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
図3Bは、
図3Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。なお、
図3Aの断面図は、
図3BのB-B線に沿った断面図であり、つまり、ベイパーチャンバー装置の幅方向の断面は、
図1Bにおけるベイパーチャンバー装置の長さ方向の断面とは異なる。さらに、
図3Bにおいて、凸条112を細線で示し、第1の突出部117eを太線で示している。
【0053】
図3A及び
図3Bを参照すると、
図3Aのベイパーチャンバー装置100eと
図1Bのベイパーチャンバー装置100との主な相違点は、本実施形態では、第1の筐体110eは、第1の板部111の内面1112から一体的に突出する第2の毛細管構造113を含むことである。第2の毛細管構造113は、複数の凸条112の間に形成され、流体流路として機能する複数の溝114を含む。
【0054】
より具体的には、凸条112は第1の板部の内面1112から突出しているので、隣接する2つの凸条112の間に溝114が形成されている。本実施形態では、第1の板部111は凸条112と一体的に形成され、そのような設計により、比較的単純な構造を有することができる。第1の板部111と凸条112との間(つまり、第1の板部111と溝114との間)との間に熱接触抵抗がないため、熱伝達効果がより良好となる。
【0055】
例えば、作動流体g(
図3B)は、液体の形態で、第1の筐体110eの第2の毛細管構造113の溝114内を流れる。第2の毛細管構造113は、より低い流れ抵抗を提供するように溝114を備えて設計されている。本実施形態では、溝114の幅は、例えば、50ミクロンから200ミクロンの間であり、溝114の深さは、例えば、50ミクロンから200ミクロンの間であるが、溝114の幅及び深さは、これに限定されない。
【0056】
図3Aに示されるように、第1の突出部117eの高さは、凸条112の高さよりも高い。第1の毛細管構造130は、第1の突出部117eを通過し、第2の毛細管構造113と第2の筐体120の第2の突出部122との間に配置される。第1の毛細管構造130は第2の毛細管構造113の溝114上に配置されているため、第2の毛細管構造113の溝114の上部は第1の毛細管構造130によって覆われ、溝114の延在方向(図面に入射するまたは図面から出射する方向)に毛細管状構造が形成される。この構造により、溝114内の作動流体gは重力に抵抗することができるので、ベイパーチャンバー装置100は非水平状態で熱サイクルを良好に完了することができる。
【0057】
したがって、本実施形態では、第2の毛細管構造113の開放的な溝114は、メッシュ状の第1の毛細管構造130で覆われており、これにより、溝114の低い流れ抵抗の利点が維持されるだけでなく、毛管力が大幅に強化され、これにより、ベイパーチャンバー装置100eは非水平配置に適したものとなる。
【0058】
図3Cは、本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の第1の筐体の内面の概略図である。なお、
図3Cでは、凸条112を細線で示し、第1の突出部117fを太線で示している。また、
図3Cの第1の筐体110fに対応する第2の筐体は、例えば、
図1Gの第2の筐体120cであっても良い。
図3C及び
図1Gから分かるように、
図3Cの第1の突出部117fの位置は、
図1Gの接続領域129の位置に対応する。しかしながら、
図3Cの第1の筐体110fに対応する第2の筐体は、これに限定されない。
【0059】
図3Cを参照すると、本実施形態では、第1の突出部117fと凸条112の少なくとも一部とが放射状に配置されるので、溝114、115、118の少なくとも一部が放射状に配置される。また、熱源10に対応する第1の筐体110fの溝119は、格子状に配置されている。もちろん、一実施形態では、図面に限定されず、凸条112のみを放射状に配置しても良い。
【0060】
具体的には、本実施形態では、第1の筐体110fに、方向の異なる各種の溝114、115、118、119を放射状に配置することで、流れ抵抗を低減し、凝縮した作動流体g(液体)は速やかに還流することができる。第1の筐体110fの内面1112の溝114、115、118の配置は放射状に限定されず、作動流体g(液体)をガイドするのに十分な配置であれば良い。
【0061】
なお、一実施形態において、第1の突出部は、蒸発領域以外の領域に均一に分布していても良い。別の実施形態では、第1の突出部は、蒸発領域以外の領域に不均一に分布していても良い。第1の突出部の形状及び大きさは限定されない。他の実施形態では、第1の突出部は蒸発領域内に部分的に配置されても良く、図面によって限定されない。
【0062】
図4Aは、本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
図4Bは、
図4Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。同様に、
図4Aの断面は、
図3Aと同様にベイパーチャンバー装置の幅方向である。
【0063】
図4A及び
図4Bを参照すると、
図4Aのベイパーチャンバー装置100gと
図3Aのベイパーチャンバー装置100eとの主な相違点は、本実施形態では、ベイパーチャンバー装置100gが、熱源10に対応する領域の溝114に充填された第3の毛細管構造140をさらに含むことである。
【0064】
第3の毛細管構造140は、金属粉末、不織金属ウール、または化学的または物理的に生成されたナノ構造を含む。本実施形態では、第3の毛細管構造140は、焼結毛細管構造を例として挙げており、例えば、溝114の局所領域で金属粉末が焼結されている。もちろん、他の実施形態では、第3の毛細管構造140の形態は、これに限定されない。第1の毛細管構造130は、多数の内部孔を有する発泡金属層であっても良く、第3の毛細管構造140(金属粉末、または化学的または物理的に生成されたナノ構造)は、金属発泡層の孔に充填されても良い。
【0065】
本実施形態では、熱源10近傍の第2の毛細管構造113に毛管力の強い金属粉末または金属ウールを添加することにより、毛管力が増大し、乾燥耐性が向上する。また、第3の毛細管構造140は、第2の毛細管構造113のうち熱源10に対応する位置にのみ配置されているため、液体の還流経路が妨げられることがない。
【0066】
なお、本実施形態では、熱源10の領域に対応する第3の毛細管構造140はより強い毛管力を有し、第1の毛細管構造130によって覆われた第2の毛細管構造113の溝114は、より低い流れ抵抗とより強い毛管力の両方を有するので、3つの毛細管構造を適切に組み合わせると、作動流体が熱源10に近い蒸発領域により迅速に戻るため、ベイパーチャンバー装置の蒸発領域が乾燥しにくくなり、放熱効率が好ましくなる。
【0067】
図5Aは、本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
図5Bは、
図5Aのベイパーチャンバー装置の第1の筐体の概略上面図である。
図5Cは、
図5Aのベイパーチャンバー装置の第2の筐体の内面の概略図である。
【0068】
図5Aから
図5Cを参照すると、
図5Aのベイパーチャンバー装置100hと
図1Bのベイパーチャンバー装置100との主な相違点は、本実施形態では、第1の側壁117及び第2の側壁128の一方が環状の凸条150を含み、第1の側壁117及び第2の側壁128の他方が環状の溝152を含むことである。例えば、第1の側壁117は環状の凸条150を含み、第2の側壁128は環状の溝152を含む。環状の凸条150は第1の突出部117aを取り囲み、環状の溝152は第2の突出部 122を取り囲む。環状の溝152には、環状の凸条150が埋め込まれている。
【0069】
本実施形態では、第1の筐体110及び第2の筐体120は金属であり、環状の凸条150及びリ環状の溝152は、製造工程において予め作製され得る。環状の凸条150の幅は、環状の溝152の幅より若干大きくても良く、環状の凸条150が環状の溝152に埋め込まれると、環状の凸条150が環状の溝152内にしっかりと押し込まれ、圧縮による変形によって封止を提供することができる。この工程は、延性に優れたアルミニウム製の第1の筐体110及び第2の筐体120に特に適している。
【0070】
また、
図5Aに示されるように、本実施形態では、ベイパーチャンバー装置100の封止を強化するために、第1の側壁117及び第2の側壁128は、端部に封止領域154を有する。封止領域154は、環状の凸条150及び環状の溝152を取り囲み、また、環状の凸条150及び環状の溝152を取り囲む領域を覆っても良い。つまり、ベイパーチャンバー装置100の端部は、ピンチシール、拡散接合、ろう付け、はんだ付け、レーザ溶接、またはアーク溶接をさらに採用して、第2の真空封止の効果を達成する。
【0071】
もちろん、本実施形態の環状の溝152に埋め込まれた環状の凸条150の構造と、封止領域154としてのベイパーチャンバー装置100の端部の設計は、上述した他の実施形態のベイパーチャンバー装置100から100gにも適用することができ、
図5Aに限定されるものではない。
【0072】
上記実施形態のベイパーチャンバー装置では、第1の筐体の第1の突出部が第2の板部の接続領域に接続されているので、第1の筐体と第2の筐体とを良好に接続することができ、大面積、低コストのベイパーチャンバーを製造することができる。ベイパーチャンバー装置は、アルミニウムを冷間加工で接続して、強力な放熱性能を備えた薄型ベイパーチャンバーを製造するのに適しており、5G基地局、高出力ファンレスコンピューターケースの表面での自然対流放熱、エネルギー貯蔵または自動車用リチウム電池モジュールの温度制御に応用され、大面積の熱放散に用いられる。
【0073】
図6は、本発明の別の実施形態に係るベイパーチャンバー装置の概略断面図である。
図6を参照すると、
図6のベイパーチャンバー装置100iと
図1Bのベイパーチャンバー装置100との主な相違点は、本実施形態では、ベイパーチャンバー装置100iが、第1の毛細管構造130から延在する複数の延長毛細管層132をさらに含み、第1の毛細管構造130と一体化されており、延長毛細管層132が第1の突出部117aを取り囲んでいることである。延長毛細管層132の設計により、第2の筐体120の凝縮液体が、第1の筐体110上の第1の毛細管構造130内の熱源10の上の蒸発領域に還流することが容易になるので、熱サイクルが形成される。もちろん、延長毛細管層132は、
図6に限定されることなく、上述の他の実施形態にも適用することができる。
【0074】
また、
図5Aにおける環状の溝152に埋め込まれた環状の凸条150の構造及び封止領域154の設計は、本実施形態のベイパーチャンバー装置100iにも適用することができる。
【0075】
まとめると、本発明のベイパーチャンバー装置の第1の側壁は第2の側壁に接続され、第1の筐体の第1の突出部は第2の板部の接続領域に接続されて、第1の筐体と第2の筐体の構造強度を向上させ、内圧の変化による変形を防止する。また、第1の突出部と第2の突出部とが千鳥状に配置されているため、第1の筐体と第2の筐体とを精密に位置合わせする必要がなく、たとえ製造工程において第1の筐体と第2の筐体との間にズレが生じても、第1の突出部と第2の板部の接続領域との接続に影響を与えることがなく、工程が便利である。さらに、第1の毛細管構造は第1の板部の内面の上に配置され、第2の筐体の第2の突出部は第1の毛細管構造に当接し、ベイパーチャンバー装置内部の真空の低圧に係る崩壊や変形を回避することができる。したがって、本発明のベイパーチャンバー装置は、より優れた構造強度を有し、製造が容易である。
【0076】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、開示された実施形態に対してさまざまな修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかである、今後のことを考慮して、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限り、修正及び変形を包含することが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のベイパーチャンバー装置は、5G基地局、高出力ファンレスコンピューターケースの表面での自然対流放熱、エネルギー貯蔵または自動車用リチウム電池モジュールの温度制御に応用され、大面積の熱放散に用いられる。
【符号の説明】
【0078】
A1: 軸方向
g: 作動流体
H1、H2、H3: 高さ
10: 熱源
100、100d、100e、100g、100h、100i: ベイパーチャンバー装置
110、110e、110f、110h: 第1の筐体
111: 第1の板部
1112: 内面
1114: 外面
112: 凸条
113: 第2の毛細管構造
114、115、118、119: 溝
117: 第1の側壁
117a、117d、117e、117f: 第1の突出部
120、120a、120b、120c、120h: 第2の筐体
121: 第2の板部
122、122a、122b: 第2の突出部
122b: 第1の支柱
123、125、127: 第2の支柱
124: 蒸気通路
128: 第2の側壁
129: 接続領域
130: 第1の毛細管構造
132: 延長毛細管層
140: 第3の毛細管構造
150: 環状の凸条
152: 環状の溝
154: 封止領域
【要約】 (修正有)
【課題】良好な構造強度を有し、容易に変形せず、精密な位置合わせを必要としない、製造が容易なベイパーチャンバー装置を提供する。
【解決手段】ベイパーチャンバー装置100は、第1の筐体110と、第1の毛細管構造130と、第2の筐体120と、を含む。第1の毛細管構造130は、第1の板部111の内面1112の上に配置され、第1の突出部117a取り囲む。第2の筐体120は、第2の板部121と、複数の第2の突出部122と、第2の側壁128と、を含む。第1の側壁117は、第2の側壁128に接続されており、第2の突出部122の間に複数の蒸気通路が形成されている。第2の板部121は、第2の突出部122によって譲り出される複数の接続領域を含み、第1の突出部117aは接続領域に接続される。第2の突出部122は、第1の毛細管構造130に当接する。
【選択図】
図1B