(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】操縦可能な制御システム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
A61M25/092 510
A61M25/092 500
(21)【出願番号】P 2023127097
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2021176101の分割
【原出願日】2013-06-18
【審査請求日】2023-08-29
(32)【優先日】2012-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィース,ガレス
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ゴラパリ,ディープティ
(72)【発明者】
【氏名】コープランド,スティーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ディッキー,ロバート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】レフラー,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ベカ,ボグダン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02116272(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテルのための操縦可能な制御システ
ムであって
、
ハウジング内に配置された摺動アセンブリを備えた前記ハウジングであって、前記摺動アセンブリに結合された前記少なくとも1つの制御ワイヤを有
し、前記摺動アセンブリが、前記ハウジングの長さに沿って走るトラックに係合するように構成された突起部を含む、ハウジングと、
前記摺動アセンブリを直線的に移動し、前記少なくとも1つの制御ワイヤに張力をかけることによって前記カテーテルの偏向を生じさせるための回転可能なノブと、
前記
トラック内に配置された摺動制限要素であって、前記カテーテルの第1の偏向方向における前記偏向を制限するために、前記ノブが第1の回転方向に回転する際の、前記ハウジング内における前記摺動アセンブリの第1の直線方向における直線運動を制限し、前記少なくとも1つの制御ワイヤにかけられる張力を制限する、摺動制限要素と、
を含む、
制御システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの制御ワイヤが少なくとも2つの制御ワイヤを含み、前記摺動アセンブリを第2の直線方向に移動し、前記少なくとも2つの制御ワイヤのうちの第2の制御ワイヤに張力をかけ、第2の偏向方向に前記カテーテルの偏向を生じさせるために、前記ノブを第2の回転方向に回転可能である、請求項1に記載の
制御システム。
【請求項3】
前記少なくとも2つの制御ワイヤのうちの1つのたるみを制限するためのたるみ制限要素を更に含む、請求項2に記載の
制御システム。
【請求項4】
前記突起部が前記摺動制限要素
に当接するように構成される、請求項1に記載の
制御システム。
【請求項5】
前記摺動制限要素が前記トラックの端部壁を含む、請求項4に記載の
制御システム。
【請求項6】
前記摺動制限要素が前記トラック内に配置されたリベットを含む、請求項4に記載の
制御システム。
【請求項7】
前記リベットの位置が調節可能である、請求項6に記載の
制御システム。
【請求項8】
前記摺動制限要素が、前記トラック内に前記リベットを使用して固定された二次構成要素を更に含む、請求項6に記載の
制御システム。
【請求項9】
前記二次構成要素の長手方向の長さが調節可能である、請求項8に記載の
制御システム。
【請求項10】
前記二次構成要素の長手方向の長さを調節するためのアクチュエータを更に含む、請求項9に記載の
制御システム。
【請求項11】
前記カテーテルの、その第1の偏向方向及び第2の偏向方向のそれぞれにおける許容可能な偏向を変更するために、前記摺動アセンブリの中立位置を前記摺動制限要素と併せて調節可能である、請求項
2に記載の
制御システム。
【請求項12】
前記カテーテルが、その偏向方向の1つにおい
て90度、その偏向方向のもう一方におい
て180度偏向することが可能である、請求項11に記載の
制御システム。
【請求項13】
前記カテーテルが、その偏向方向の1つにおい
て270度以下偏向することが可能である、請求項11に記載の
制御システム。
【請求項14】
前記摺動アセンブリの前記中立位置が、前記摺動アセンブリの前記第1の直線方向における動きを可能にし、その公称位置から前記第1の偏向方向における前記カテーテルの偏向を可能にする一方で、前記摺動アセンブリの前記第2の直線方向における動きを実質的に制限し、前記カテーテルがその公称位置に戻ることを可能にしつつ、前記第2の偏向方向における前記カテーテルの前記偏向を実質的に制限するように設定される、請求項11に記載の
制御システム。
【請求項15】
前記摺動アセンブリの前記第2の直線方向における動き
が2mmまでに実質的に限定される、請求項14に記載の
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療デバイス用の制御システムに関する。特に、本開示は、体内において医療デバイスの操縦を可能にする医療デバイス用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
Falwellらに付与された米国特許第5,944,690号明細書は、制御ワイヤの基端部に結合されたスライダ機構を使用する一対の制御ワイヤを操作するための操縦可能なカテーテル制御機構を開示する。しかしながら、Falwellによって開示されたスライダ機構は把持及び使用が不便であり使用の容易さが欠如している。更に、開示されたスライダ機構はカテーテルの操縦において限られた制御を提供する。このデバイスは精度が不足する親指制御(thumb control)を提供する。それにはカテーテルの偏向のわずかな変化を提供するのに必要な細密な操作を可能にするための解決策が欠如していることからカテーテルの精密な操縦を提供することはできない。
【0003】
Bednarekらに付与された米国特許第7,691,095号明細書は、ハンドルに回転自在に連結された調節ノブを含む二方向に操縦可能なカテーテル制御ハンドルを開示する。ハンドルの回転が2つの摺動部材(それぞれプルワイヤに連結されている)の、逆方向の偏向を生じ、結果的に、カテーテルの先端部の各々の偏向が生じる。しかしながら、Bednarekにより提供された操縦可能な制御ハンドルは複雑であり製造が困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの広範な態様においては、本発明の実施形態は、二方向に操縦可能なカテーテルの制御のための制御システムを提供する。カテーテルは、少なくとも2つの制御ワイヤを含み、制御ワイヤのそれぞれの先端部がその先端領域においてカテーテルに結合されている。制御システムは、カテーテルに結合されたハウジングと、ハウジング内に配置されており、ハウジング内において直線的に並進するように動作可能な摺動アセンブリと、摺動アセンブリを通って取り付けられた又は配置された少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれの基端部分と、ハウジングに回転自在に結合されており、摺動アセンブリを直線的に並進させることによって摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれを別個に操作し、前記カテーテルの偏向の変化を生じさせることを可能にするための制御ノブと、を有し、第1の回転方向へ制御ノブを回転させると、摺動アセンブリが第1の直線方向における先端側へ動くことによって、摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤの1つに張力をかけ、第1の偏向方向へ前記カテーテルを偏向させ、ノブを第2の回転方向へ回転させると、摺動アセンブリが第2の直線方向における基端側へ動くことによって、摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのもう一方に張力をかけ、第2の偏向方向へ前記カテーテルを偏向させる。
【0005】
別の広範な態様においては、本発明の実施形態は、少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテル制御システムにおいて使用するためのたるみ制限デバイスを提供する。制御システムは、操縦可能なカテーテルを偏向するために少なくとも1つの制御ワイヤに張力をかけるための、及び少なくとも1つの制御ワイヤから張力を解放するための機構を含み、たるみ制限デバイスは、張力が少なくとも1つの制御ワイヤから解放された際のそのたるみを制限するために少なくとも1つの制御ワイヤの一部と係合可能である。
【0006】
更に広範な態様においては、本発明の実施形態は、少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテルのための操縦可能な制御システムにおいて使用するための摺動制限機構を提供する。操縦可能な制御システムは、少なくとも1つの制御ワイヤが結合された単一の摺動アセンブリを収納したハウジングを有するハンドルと、単一の摺動アセンブリが移動し、少なくとも1つの制御ワイヤに張力をかけることによってカテーテルを偏向させるための回転可能なノブと、を有する。摺動制限機構は、ハンドル内に配置された摺動制限要素であって、カテーテルの第1の偏向方向への偏向を制限するために、ノブが第1の回転方向に回転する際のハンドル内における、単一摺動アセンブリの第1の直線方向への直線運動を制限し、少なくとも1つの制御ワイヤにかかる張力を制限する、摺動制限要素を有する。
【0007】
更なる広範な態様においては、本発明の実施形態は、操縦可能なカテーテルを偏向するための制御システムを使用するための方法を提供する。制御システムは、ハウジングと、ノブにより動作可能な、ハウジング内に配置された単一摺動アセンブリと、を有するハンドルを含む。操縦可能なカテーテルは、単一摺動アセンブリに係合するため単一摺動アセンブリに挿通された、カテーテルを逆の偏向方向に操縦するための少なくとも2つの制御ワイヤを含む。この方法は、カテーテルを第1の偏向方向に偏向するためにノブを第1の回転方向に回転することによって、単一の摺動アセンブリが第1の直線方向へ移動し、少なくとも2つの制御ワイヤのうちの1つに張力をかけるステップと、カテーテルを第2の偏向方向に偏向するためにノブを第2の回転方向に回転することによって、単一の摺動アセンブリが第1の直線方向と逆の第2の直線方向へ移動し、少なくとも2つの制御ワイヤのもう一方に張力をかけるステップと、を有する。
【0008】
また更なる広範な態様においては、本発明の実施形態は少なくとも2つの偏向方向を有する二方向に操縦可能なカテーテルの一方向の制御を提供するための制御システムを提供する。制御システムは、第1の方向への動作の際に二方向に操縦可能なカテーテルの、第1の偏向方向における偏向を可能にするためのアクチュエータを含み、第2の方向への動作を制限することによって、二方向に操縦可能なカテーテルの、第2の偏向方向への偏向を実質的に制限するための偏向制限機構を含む。
【0009】
別の広範な態様においては、本発明の実施形態は、少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテルの制御システムにおいて使用するためのたるみ制限又は抑制デバイスを提供する。制御システムは、操縦可能なカテーテルの偏向を変更するために少なくとも1つの制御ワイヤを操作するための機構を含み、少なくとも1つの制御ワイヤの反転操作時、たるみ制限デバイスは、少なくとも1つの制御ワイヤのたるみを制限するために少なくとも1つの制御ワイヤの一部と係合可能である。
【0010】
本発明を容易に理解することができるように本発明の実施形態を添付の図面に例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるハンドルアセンブリの上部斜視図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による外部ハンドルアセンブリを示す斜視図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による内部ハンドルアセンブリを示す斜視図である。
【
図2C】本発明の一実施形態によるハンドルアセンブリの分解図である。
【
図2D】本発明の一実施形態による、
図2Aの線2D-2Dに沿って切った操縦可能なハンドルの横断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による摺動アセンブリの斜視図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による摺動アセンブリの斜視図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による2部品摺動部(two-part slide)の上部斜視図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による、
図2Aの線3D-3Dに沿って切った操縦可能なハンドルの横断面図である。
【
図3E】本発明の一実施形態による、
図2Bの線3E-3Eに沿って切った操縦可能なハンドルの横断面図である。
【
図3F】本発明の一実施形態による摺動アセンブリの上部断面図、頂面図及び側面図を示す。
【
図3G】本発明の別実施形態による摺動アセンブリを備えた内部ハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図3H】本発明の別の実施形態による、
図3Gの線3H-3Hに沿って切った摺動アセンブリの横断面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態によるハンドルアセンブリの端面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態による、
図4Aの4B-4Bに沿って切ったハンドルアセンブリの側部断面図である。
【
図4C】本発明の一実施形態による、
図4Aの線4C-4Cに沿って切ったハンドルアセンブリの側部断面図である。
【
図4D】本発明の一実施形態によるハンドルアセンブリの動作を示す。
【
図4E】本発明の一実施形態によるハンドルアセンブリの動作を示す。
【
図4F】本発明の一実施形態によるハンドルアセンブリの動作を示す。
【
図5A】本発明の一実施形態によるハンドル内部のプーリアセンブリの上部斜視図を示す。
【
図5B】本発明の一実施形態によるハンドル内のプーリアセンブリの頂面図を示す。
【
図5C】本発明の一実施形態によるハンドル内のプーリアセンブリの側面図を示す。
【
図5D】本発明の一実施形態によるプーリアセンブリを示すハンドルの分解図である。
【
図5E】本発明の一実施形態によるプーリアセンブリの拡大頂面図を示す。
【
図5F】
図5Aの線5F-5Fに沿って切ったハンドルの断面図である。
【
図5G】本発明の一実施形態による、
図5Bの線5G-5Gに沿って切ったハンドルの断面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の側面図を示す。
【
図6B】本発明の一実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の底面図を示す。
【
図7A】本発明の一実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の斜視図である。
【
図7B】本発明の一実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の側面図である。
【
図7C】本発明の一実施形態による、
図7Bの線7C-7Cで切ったたるみ制限又は抑制要素の断面図である。
【
図8A】本発明の別実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の別実施形態の斜視図である。
【
図8B】本発明の一実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の別実施形態を備えたハンドルアセンブリの分解図である。
【
図9A】本発明の別実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の別実施形態を備えたハンドルアセンブリの斜視図である。
【
図9B】本発明の一実施形態によるたるみ制限又は抑制要素の斜視図である。
【
図10A】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の種々の実施形態を示す。
【
図10B】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の種々の実施形態を示す。
【
図10C】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の種々の実施形態を示す。
【
図10D】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の別実施形態を示す。
【
図10E】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の別実施形態を示す。
【
図10F】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の別実施形態を示す。
【
図10G】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の更なる別実施形態を示す。
【
図10H】本発明の種々の実施形態による摺動制限特徴部又は摺動停止部の更なる別実施形態を示す。
【
図11A】本発明の一実施形態によるクリンプの別の実施形態を側面図において示す。
【
図11B】本発明の一実施形態によるクリンプの別の実施形態を断面図において示す。
【
図12A】本発明の別実施形態によるハンドルを示す。
【
図12B】本発明の別実施形態によるハンドルを示す。
【
図12C】本発明の別実施形態によるハンドルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、特に図面を詳細に参照することにより、示される詳細は例であり、単に本発明の特定の実施形態を例証的に説明する目的のためであることを強調する。本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の記載に説明する、又は図面に示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は他の実施形態において可能である又は種々の手法で実施又は実行することが可能である。また、本明細書中において用いられる語法及び専門用語は説明目的であり、限定と解釈すべきでないことは理解すべきである。
【0013】
全体として、操縦可能な医療デバイスは、患者の体内における、カテーテル、ガイドワイヤ等などのデバイスの案内及び位置決めなど、種々な用途及び適用範囲を有する。そのような操縦可能なデバイスにおいて使用されるハンドルは、典型的には、操縦可能なデバイスを偏向し、それによりハンドル内に配置された医療デバイスの機能的な先端を操縦又は案内することが可能な、1つ又は複数のプルワイヤを作動させるための機構を含む。
【0014】
本発明を実施のため構想しまとめる間、本発明者は、2つ以上の制御ワイヤに張力をかけて操縦可能なカテーテル装置などの医療デバイスの偏向を変化させるための、複雑さが低減された摺動機構を操作するための回転可能な制御機構を提供する二方向制御システムの特有のデザインを見出した。回転可能な機構により、医療デバイスの精密な偏向を可能にするために摺動機構の制御が強化される一方で、摺動機構自体は既存の製品と比較して効率的な設計を備えていた。
【0015】
以下に更に記載されるように、本発明は、制御ワイヤに直接的又は間接的に結合された単一の可動可能な摺動アセンブリを含む、複雑さが低減された摺動機構により、ハンドルノブの回転を2つの制御ワイヤのそれぞれに別々に作用する緊張力(tensioning force)に変換するハンドルノブなどの回転可能な制御機構を提供する。制御ワイヤのそれぞれに印加される緊張力により、それらが結合された操縦可能なカテーテルのような医療デバイスの偏向角が変化することとなる。本発明の実施形態は、したがって、各プルワイヤに1つずつの複数の摺動部材を有する必要がなくなる。
【0016】
1つの広範な態様においては、本発明の実施形態は、1つの可動部材を使用して2つの制御ワイヤ(プルワイヤとも称される)の偏向を制御し、カテーテル又は他の医療デバイスを2つの異なる方向へ制御することを可能にするための回転可能な機構を提供する。第1の回転方向におけるノブの回転により、部材が1つの長手方向に沿って移動して2つのプルワイヤのうちの1つに張力がかけられることを可能にし(カテーテルを第1の向きに偏向するため)、(ハンドルの長手方向の軸線を中心に)逆の回転方向におけるノブの回転により、部材が逆の長手方向に沿って移動して2つのプルワイヤのうちのもう一方に張力がかけられることを可能にする(カテーテルを異なる向きに偏向するため)。
【0017】
一実施形態によれば、本発明は、二方向に操縦可能なカテーテルの制御のための制御システムを提供する。カテーテルは少なくとも2つの制御ワイヤを含み、制御ワイヤのそれぞれの先端部がその先端領域においてカテーテルに結合されており、制御システムは、カテーテルに結合されたハウジングと、ハウジング内に配置されており、ハウジング内において直線的に並進するように動作可能な摺動アセンブリと、摺動アセンブリ内に配置された少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれの基端部分と、ハウジングに回転自在に結合されており、摺動アセンブリを直線的に並進させることによって摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれを別個に操作し、前記カテーテルの偏向の変化を生じさせることを可能にするための制御ノブと、を有する。制御ノブを第1の回転方向へ回転させると、摺動アセンブリが第1の直線方向における先端側へ動き、摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤの1つに張力をかけることによって、第1の偏向方向へ記カテーテルが偏向する。ノブを第2の回転方向へ回転させると、摺動アセンブリが第2の直線方向における基端側へ動き、摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのもう一方に張力をかけることによって、第2の偏向方向へ前記カテーテルが偏向する。
【0018】
ハンドルアセンブリの概要
本発明の一実施形態においては、医療デバイスを操作するための操縦可能な制御システム又はハンドル100が提供される。医療デバイスは、カテーテル、シース、導入器又は類似の医療デバイスを含んでもよいがこれらに限定されない。特定の例においては、
図1及び
図2Aに示すように、ハンドル100はシース90に結合されており、使用時、使用者がシース90を所望の方向に操作又は操縦することを可能にする。ハンドル100はハンドルハウジング20に回転自在に結合されたノブ10を有する。ノブ10はハンドル100の長手方向の軸線を中心に回転可能であり、ハウジング20に対して回転する。動作時、第1の回転方向におけるノブ10の回転は、使用者がシース90を第1の方向に操縦又は偏向することを可能にする一方で、第2の回転方向におけるノブ10の回転は、使用者がシース90を第2の方向に操縦又は偏向することを可能にする。本明細書中に記載されるいくつかの実施形態では、記載される二方向に操縦可能なカテーテルは、2つの異なる偏向方向、第1及び第2の偏向方向に偏向されるように動作可能である。他の実施形態においては、二方向に操縦可能なカテーテルは2つの異なる偏向方向に偏向するように構成されている(又は2つの異なる偏向方向に偏向することを可能にする内部機構(internal workings)を有する)。しかしながら、カテーテルに生じる偏向が(開始又は中立位置に対して)単一の偏向方向に限定されるように、カテーテルの偏向はその偏向方向の1つに制限又は限定される。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの制御ワイヤを含む一方向に操縦可能なカテーテルを提供するために二方向に操縦可能なカテーテルの一方向制御システムが提供される。
【0019】
ノブ10の回転は、
図2Bに示される摺動アセンブリ30によりシース90の偏向に変換される。一般的に、ノブ10は、ハンドルハウジング20によって形成された内腔内に収容された摺動アセンブリ30と協動的に係合する。特定の例においては、ノブ10は摺動アセンブリ30とねじ込み可能に係合する。ノブ10の回転によりハウジング20内における摺動アセンブリ30の対応する直線並進が生じる。この摺動アセンブリ30の並進が摺動アセンブリ30に結合された制御ワイヤの張力に変換され、それによってシース90の偏向が生じる。
【0020】
より具体的には、
図2Bに示すように、摺動アセンブリ30は、実質的にシース90の長手方向に延びる、制御ワイヤ40及び42などの一対の制御ワイヤの各々の基端部に結合されている。制御ワイヤ40、42のそれぞれの先端部(不図示)はシース90の先端部に結合されている。1つの方向におけるノブ10の回転により摺動アセンブリ30がハウジング20内において基端側に並進し、制御ワイヤの1つ(制御ワイヤ40など)を引き、シース90を第1の方向に偏向する。その一方で、逆方向におけるノブ10の回転により、摺動アセンブリ30がハウジング20内において先端側に並進し、制御ワイヤのもう一方(制御ワイヤ42など)を引き、シース90を第2の方向に偏向する。
【0021】
図2Bに示すような1つの例においては、摺動アセンブリ30が2つの制御ワイヤのそれぞれに引張力を別々に付与することを可能にするために、2つの制御ワイヤのうちの1つ(制御ワイヤ40など)が摺動アセンブリ30に直接的に結合されている一方で、制御ワイヤのもう一方(制御ワイヤ42など)は、プーリ又はピンなどのような方向反転要素50’を介して摺動アセンブリ30に間接的に結合されている。換言すると、ワイヤの先端部を摺動部の反対側に結合するための手段がハンドル内に含まれていることにより、1つの方向への摺動部の動きが1つのワイヤに張力を印加する一方で、他の方向への摺動部の動きが他方のワイヤに張力を印加する。本明細書では、「直接結合される」は、ワイヤの基端部が中間構造を通過することなく摺動部に作動可能に結合される(が必ずしも物理的に取り付けられる又は一体化される必要はない)ことを意味すると解釈される一方で、「間接的に結合される」は、ワイヤの基端部が方向反転要素などの中間構造又は要素を通過した後で摺動部に作動可能に結合される(が必ずしも物理的に取り付けられる又は一体化される必要はない)ことを意味すると解釈される。
【0022】
特定の例においては、制御ワイヤ40の基端部は、シース90を出て、摺動アセンブリ30内を基端側に向けて経路をとり、摺動アセンブリ30の基端面、すなわち摺動アセンブリの基端側で、又はそこに対して結合される。したがって、この例においては、制御ワイヤ40は摺動アセンブリ30に「直接結合される」。同様に、制御ワイヤ42の基端部は、シース90を出て、摺動アセンブリ30内を基端側に向けて経路をとり、そこで摺動アセンブリ30を出る。制御ワイヤ42は、その後、方向反転要素の周り又は中を通過し、再度先端側に向けて経路をとり、それにより摺動部内を先端側に通過し、摺動アセンブリ30の先端面、すなわち摺動アセンブリの先端側で、又はそこに対して結合されうる。したがって、この例においては、制御ワイヤ42は、摺動アセンブリ30に「間接的に結合される」。本明細書では、摺動アセンブリ30の先端面は、摺動アセンブリ30の任意の部分の先端面を意味するものであってもよい。同様に、摺動アセンブリ30の基端面は、摺動アセンブリ30の任意の部分の基端面を意味するものであってもよい。一例として、ワイヤが摺動アセンブリ30に結合しているとき、ワイヤにかかる過度の角度及び/又は応力を最小にするため、制御ワイヤはノブ10によって定義されるハンドル100の部分に沿ってシース90を出る。
【0023】
ノブ及びハウジングの概要
図2Bに示すように、ハウジング20は、外側又は外部ハウジング部20b(簡略化のため外側又は外部ハウジング20bとも称される)によって収容された内腔を規定する内部ハウジング部20a(簡略化のため内部ハウジング20aとも称される)を有する。同様に、ハウジング20に結合されたノブ10もまた、その中の内腔を規定する内部ノブ部10a(簡略化のため内部ノブ10aとも称される)と、内部ノブ10aを収容する外側又は外部ノブ部10b(簡略化のため外側又は外部ノブ10bとも称される)と、を有する。内部ノブ10aを内部ハウジング20aにしっかりと固定するための手段が提供される。一実施形態においては、内部ノブの一部が内部ハウジング内に受容され、1つ又は複数のピン12が内部ノブ10a及び内部ハウジング20a内に横断的に挿入され、それらを所定の位置にしっかりと固定することを可能にする。ピン12はステンレス鋼などの金属を有していてもよい。特定の例においては、アパーチャ又は穴23が内部ハウジング20a内に設けられてもよく、周方向溝11(
図2Cに示すような)が内部ノブ10aの基端部分に設けられてもよく、これらはそれぞれピン12を受容するためである。ピン12は内部ノブ10aと内部ハウジング20aとを共に係止し、互いに対する回転運動を可能にする一方で、長手方向の変位を防止する。換言すると、内部ノブ10aは内部ハウジング20aに対して自由に回転する一方で、内部ノブ10aの、内部ハウジング20aに対する並進結合/係止を維持する。特定の例においては、ハンドル100は、内部ノブ10aを内部ハウジング20aに結合する2つのピン12を含む。1つの例においては、図面内に示されるように、ノブ10は先端側方向(D)を規定するハンドルの先端部に配置され、ハウジング20の反対端は基端側方向(P)を規定するハンドルの基端部を形成する。代替的例においては、単一のアパーチャ又は穴23はピン12を受容するように適合されてもよい。
【0024】
一実施形態においては、
図2Cに示すように、内部ハウジング20aは、その中に摺動アセンブリ30を収容し、その中における摺動アセンブリ30の並進を可能にする内腔24を規定する。内部ハウジング20aは、さらに窓26を有し、摺動アセンブリ30が並進するときに窓26によって案内されてもよいし、また、制御ワイヤ40、42を摺動アセンブリ30へ結合するときに窓26を通じてアクセスできるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、内部ハウジング20aは更に、摺動アセンブリ30の並進を案内及び制限するための溝又はトラック21aを有する(
図4Bに示される)。一実施形態においては、内部ハウジング20a及び外部ハウジング20bは両方とも高分子を有してもよい。特定の例として、内部ハウジング20aはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を有し、外部ハウジング20bはポリプロピレンを含む。他の実施形態においては、ハウジング20は金属を有してもよい。
【0025】
1つの例においては、外部ノブ10bは内部ノブ10a内の溝に協動的に係合/嵌合する内方に伸びた突起部を含む。これにより、内部ノブ10aが外部ノブ10bとともに回転することを可能にする。したがって、外部ノブ10bの回転運動が内部ノブ10aに付与され、それらは単一ユニットとして操作されうる。一実施形態においては、
図2B及び
図2Cに示すように、内部ノブ10aは先端部に向かってテーパ状であってもよい。内部ノブ10a及び外部ノブ10bは、また、高分子を有してもよい。特定の例として、内部ノブ10aはDUPONT(商標)DELRIN(登録商標)100Pを有し、外部ノブ10bはポリプロピレンを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、
図1~2Bに示すように、外部ノブ10bはその上に配置された外部コンフォートグリップ(exterior comfort grip)15を有してもよい。グリップ15の一例を
図2Dに示される断面図において更に示す。コンフォートグリップ15は、外部ノブ10bの一部の上にオーバーモールド成形されたエラストマ層を含んでもよい。特定の例においては、外部コンフォートグリップ15は、ポリプロピレンを含む外部ノブ10bの一部上にオーバーモールド成形されたSantoprene(登録商標)SSA55を有する。
【0027】
摺動アセンブリの概要
図3Aに示すような特定の例においては、摺動アセンブリ30は、ボルト32と、キャリッジ34を有する中間ハウジング38と、を有する。キャリッジ34は、キャリッジ基端面34a及びキャリッジ先端面34bを含む。シース90から出た制御ワイヤ40、42のそれぞれはキャリッジ34を通過し、制御ワイヤ40がクリンプ41を使用してキャリッジ34の基端面34aに又はキャリッジ34の基端面34aへと作動可能に結合される。クリンプ41は実質的に基端面34aに当接し、摺動アセンブリ30が基端側に並進する際に摺動アセンブリ30がそれとともにワイヤ40を引くことを確実とする。同様に、制御ワイヤ42は、クリンプ43を使用してキャリッジ34に作動可能に結合されている。クリンプ43はキャリッジ34の先端面34bに実質的に当接し、キャリッジ34が先端側に並進する際にキャリッジ34がそれとともに制御ワイヤ42を引くことを確実とする。
図3Bに示すように、制御ワイヤ42はまずキャリッジ34を通過して基端側へ向かい、その後折り返して、制御ワイヤ42がキャリッジ34内を先端側に通過し、先端面34bに結合される。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40、42は予めクリンプされてもよい。他の実施形態においては、制御ワイヤ40、42は組み立て後、摺動アセンブリ30内において経路を定められた後にクリンプされてもよい。
【0028】
例1:2部品摺動アセンブリ
摺動アセンブリ30の一実施形態においては、中間ハウジング38のキャリッジ34はキャリッジ34を形成するために協動的に係合するか組み立てられうる複数の構成要素を有してもよい。この一例として、
図3C及び断面
図3Dに示すように、キャリッジ34は、ワイヤ40及び42を中に配置することができる溝35x、35y及び35zを有するベース部34’と、ワイヤが配置された後にベース部34’と係合し、制御ワイヤ40、42が中を摺動することができる開口部又は通路35x’、35y’及び35z’を形成するカバー部又はワイヤ保持器34”と、を有してもよい。カバー部34”はベース部34’に、例えば、スナップ嵌合機構を使用して着脱可能に固定されてもよい。カバー部34”は、
図3Eに示すように、キャリッジベース部34’の溝37内に受容された、下方向に伸びた突起部又は脚36を含んでもよい。脚36はカバー部34”をベース部34’にしっかりと固定するために溝37の表面と連結可能なスナップ嵌合タブなどのタブを有してもよい。
【0029】
更に、
図3Eに示すように、ベース部は溝35wを含んでもよく、各溝35x、35y及び35z内におけるワイヤの配置を支援するため、制御ワイヤ40及び42はシース90を出た後、溝35wにより経路を定められてもよい。カバー部34”は、更に、1つ又は複数の歯又はリブ35aを有していてもよく、その歯又はリブ35aは、溝35x、35y及び35zと相互に作用して、中にワイヤを保持する通路又は開口部35x’、35y’及び35z’を部分的に形成する。1つの例においては、カバー部34”は2つのリブ又は歯35aを有する。他の実施形態においては、溝はカバー部34”内に設けられてもよいし、更に他の実施形態においては、溝は、
図3Eに示すように、ベース部34’及びカバー部34”の両方に設けられてもよい。換言すると、ベース部34’及び/又はカバー部34”のいずれかがワイヤ40、42を受容してもよく、ワイヤがその内部を長手方向に移動することができる開口部35x’、35y’及び35z’を当接して形成してもよい。1つの例においては、示されるように、制御ワイヤ42は、制御ワイヤ42にかかる過度の応力又はひずみを防止するために、摺動アセンブリ30の外側又は対向する側面縁へ向けて配置された開口部又は通路35x’及び35z’内を通るようにしてもよく、摺動アセンブリ30が内部ハウジング20a内において回転することを防止に役立つかもしれない(これに対してワイヤ40は、開口部又は通路35y’を通る)。特に、制御ワイヤ42は摺動アセンブリ30内の通路35x’を通って基端側へ抜け、プーリに巻回され、摺動アセンブリ30内の通路35zを通って先端側へ抜け、キャリッジ34の先端面に結合される。他の実施形態においては、ワイヤ42及び40は摺動部内のいずれの開口部又は通路通ってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えば、
図3A~3Fに示される実施形態では、摺動アセンブリ30は、ボルト32及びキャリッジ34内を通るチャネル39[
図3Fに示される]を有し、その中にはシース90の一部が収容可能である。特定の例においては、シース90は、ノブ10及びハウジング20を含むハンドル100の実質的に全長に渡って延在する。
【0031】
例2:一体形成された摺動アセンブリ
別法として、
図3Gに示すように、ベース部34’とカバー部34”とは互いに一体に形成されてもよい。換言すると、キャリッジ34は一体型構造のものであってもよく、単一の構成要素で形成される。上述の実施形態と同様に、キャリッジ34は3つのチャネル又は開口部35x’35y’及び35z’を有してもよく、
図3Hの断面図に示すようにそこをワイヤ40及び42がそれぞれ通されうる。1つの例においては、本明細書に上記したものと類似する手法で、制御ワイヤ42を開口部35x’及び35y’に通し、制御ワイヤ40を開口部35z’に通してもよい。
【0032】
摺動アセンブリの別の実施形態
上述のように、ハンドル100の摺動アセンブリ30(
図4Aに示す)は、対応する雌ねじ構造を有するノブ10内に収容された、雄ねじ構造を有するボルト32を有する。
図4B及び
図4Cに示すように、ノブ10が回転する際、ノブ10が摺動アセンブリ30のキャリッジ34を並進させることを可能にする。1つの例においては、ボルト32の雄ねじは、内部ノブ10aの内部螺旋ねじ山13と協動的に係合する螺旋ねじ山33aの形態であってもよい。いくつかの例においては、螺旋ねじ山33aは
図3F及び
図4B~4Cに示すように連続的な雄ねじであってもよい。これにより、ボルト32のねじ山33aと内部ノブ10aの雌ねじ13との間により多くの表面接触がもたらされる。これにより、ボルト32と内部ハンドルとの間の摩擦が増強され、制御性を高めることが可能になる。ノブ10が回転された後、大きな摩擦によりハウジングに対するノブ10の位置が維持されやすくなり、シース90をその所望の偏向において保持しやすくなる。別法として、ボルト32はその長手方向に不連続なねじ山を有してもよい。いくつかの実施形態では、ボルト32を含む摺動アセンブリ30は高分子で形成される。特に、一例においては、摺動アセンブリ30は、Dupont(商標)DELRIN(登録商標)100Pを有する。別法として、摺動アセンブリ30は熱可塑性プラスチックを有してもよい。更に他の実施形態においては、摺動アセンブリは金属を有してもよい。いくつかの実施形態では、摺動アセンブリ30のボルト32は、内部ノブ10aとの摩擦係合を維持するために粗い外部表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、雄ねじ33aを有するボルト32は、フルオロカーボンゲル807などの潤滑剤で被覆される。一実施形態においては、ボルト32の外部ねじ山は、張り出しを形成するテーパ状の縁端を有してもよく、ねじ山は例えば成形による摺動アセンブリ30の製造を容易にしうる傾斜を有してもよい。
【0033】
方向反転要素の概要
上述したように、ワイヤ42は摺動アセンブリ30に結合される前に方向反転要素内に挿通される。特定の例においては、
図5Aに示すように、ワイヤ42はそれがシース90を出る際、キャリッジ34内を基端側方向に通過し、その後、方向反転要素50’の周りを通り、それによりキャリッジ34内を先端側に通過し、キャリッジ34の先端面34bに結合されうる。1つの特定の実施形態においては、方向反転要素はピンを有する。別の特定の実施形態においては、示されるように、方向反転要素は、プーリ52を有するプーリアセンブリ50を有する。これもまた
図5Gの断面図に示される。プーリアセンブリ50は内部ハウジング20aにスナップ嵌合を使用して結合されてもよい。特に、
図5Aを参照すると、ワイヤ42は、それがキャリッジ34から基端側に出る際に、プーリアセンブリ50上のプーリ52の周りを通り、キャリッジ34内を先端側に通過し、その先端面34bに結合される。これもまた
図5B及び
図5Cに示される。
【0034】
例1:プーリアセンブリ
1つの特定の実施形態においては、
図5A~5B及び5Dに示すように、プーリアセンブリ50は制御ワイヤ42をプーリ52の周りに維持又は固定するのを補助する高さガイド54を有する。高さガイド54は、制御ワイヤの位置をプーリ52の面に沿って維持することによって、制御ワイヤがプーリ52から滑り落ちる又は摺動して落ちることを防止してもよい。1つの例においては、プーリ52は、その周縁に沿った溝又はスロットを含んでもよく、その溝またはスロットにより制御ワイヤ42が所定の位置に留まることが可能になる。溝又はスロット52’は、制御ワイヤ42をプーリ52の周りに案内及び維持するように機能する。更に、プーリ52の少なくとも一部に実質的に隣接し、かつ、周方向に取り囲むプーリガイド56が提供されてもよい。制御ワイヤ42はプーリの周りに案内され、それにより制御ワイヤ42がプーリ52とプーリガイド56との間に配置される。プーリガイド56は、制御ワイヤ42の位置を維持するために制御ワイヤ42をプーリ52の周りに案内及び捕捉するように機能する。したがって、高さガイド54及びプーリガイド56は、制御ワイヤ42をプーリの周りに保持することを補助する。
図5Eに示されるように、プーリガイド56は、歯又は突起部56aを更に有してもよく、この歯又は突起部56aは、制御ワイヤ42の動きを更に制限し、制御ワイヤ42のミスアライメントの可能性を更に低減し、制御ワイヤ42がプーリ52から落下することを防止する。
図5Eに示すように、歯又は突起部56aはプーリガイド56からプーリ52に向かって内側に位置し、制御ワイヤ42の動きを制御する。プーリガイド56とプーリ52との間に1つ又は複数の突起部56aを設けることによって、制御ワイヤ42とプーリガイド56との間の摩擦の量が増加する。いくつかの例においては、これはプーリ52がピンとして機能することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、プーリ52、高さガイド54及びプーリガイド56のそれぞれは、別個の構成要素であっても、示されるようにプーリアセンブリ50と一体に形成されてもよい。
図5A~5Eに示すような1つの特定の例、及び
図5Fに示される断面図においては、プーリ52はプーリアセンブリ50のピン53に取り付けられている。プーリ52をプーリアセンブリ50に取り付けるためにワッシャ55a及びボルト55bが使用されてもよい。プーリアセンブリ50は、内部ハウジング20aと協動的に係合してもよい。1つの例においては、ワッシャ55aはステンレス鋼を有してもよく、ボルト55bは鋼の自己ねじ切り型ねじ(self-threading screw)であってもよい。
【0035】
一実施形態においては、プーリアセンブリ50はハンドル100の内部ハウジング20aに着脱可能に結合されている。1つの例においては、プーリアセンブリ50は内部ハウジング20aに摩擦嵌合を使用して結合されている。特に、プーリアセンブリ50はスナップ嵌合機構を使用してハウジング20に結合されている。1つの例においては、
図5Dに示すように、プーリアセンブリ50は4つの脚57(プーリアセンブリ50の各側部に2つずつ)を有してもよく、4つの脚57のそれぞれは、内部ハウジング20a内の対応する開口部25と係合する、側方に張り出した突起部57aを有する。1つの例においては、シース90が内部ハウジング20aに沿って挿入された後、プーリアセンブリ50が内部ハウジング20aに結合されてもよい。シース90は、また、一部分が内部ハウジング20a内に配置可能なハブ80に結合されてもよい。1つの例では、ハブ80は、ハブキャップ85bと係合するためのスナップ嵌合部85を含む。1つの例においては、ハブ80は、リブ83と、内部ハウジング20a内の対応する溝27と協動的に係合又は係止する1つ以上のキーと、を有する。これにより、ハンドル100に対するシース90の回転変位を防止する回転係止機構が提供される。ハブ80を備えたシース90が内部ハウジング20a内に配置されると、プーリアセンブリ50の突起部は、内部ハウジング20a内の開口部25と協動的に係合してもよい。これは、ハブ80を長手方向に係止することが可能になるため、内部ハウジング20aに対するシース90の長手方向の動きが制限される。したがって、いくつかの実施形態では、制御ハンドル100はシース90の回転係止機構及び長手方向の係止機構の両方を提供する。いくつかの実施形態では、ハブ80は、ハブ80から伸びた、外部ハウジング20b内に収容されるポート84を有する。いくつかの実施形態では、プーリ52を含むプーリアセンブリ50は、高分子などの生体適合性材料を有してもよい。1つの例においては、高分子はDupont(商標)DELRIN(登録商標)である。特定の例においては、プーリアセンブリ50は、Dupont(商標)DELRIN(登録商標)100Pを有する。
【0036】
例2:ピン
別の例においては、方向反転要素はプルワイヤなどの細長い構成要素の経路を定めるか、又は方向を変えるためのピン又は他の構造を有してもよい。そのような例においては、ワイヤ42は、それがキャリッジ34から基端側に出る際に、ピンの上及び/又は周りを通り、キャリッジ34内を先端側に通過し、キャリッジ34のその先端面34bに結合されてもよい。特定の例においては、ピンは制御ワイヤ42が移動する面に対して垂直に立てられる。いくつかの実施形態では、ピンは摺動アセンブリ30に対して基端側に配置される。例えば、ピンはハンドルアセンブリ100の基端部分に結合されてもよい。別法として、ピンは摺動アセンブリ30に配置されても、摺動アセンブリ30に結合されてもよい。ピンが使用される実施形態においては、キャリッジ34から基端側に延びた制御ワイヤ42は、ピンの周りに巻き付くようにしてもよく、それにより先端側に経路を定められ、キャリッジ34の先端面34bに結合されうる。
【0037】
たるみ制限/抑制要素
本発明の一実施形態においては、1つ又は複数のたるみ制限又は抑制要素60がハンドル100内に設けられてもよく、これが制御ワイヤ40、42の1つ又は両方に結合されてもよい。特定の例においては、制御ワイヤ42の摩擦係合を可能にして、制御ワイヤ42の一部のたるみを制限又は抑制するたるみ制限要素60が提供される。1つの例においては、
図5Aに示すように、たるみ制限又は抑制要素60はプーリアセンブリ50に結合されている。
【0038】
蛇行摩擦デバイス
1つの特定の実施形態においては、
図4D~4F及び
図5A~5Eによって示されるように、たるみ制限又は抑制要素60は蛇行摩擦デバイス60Aを含んでもよい。蛇行摩擦デバイス60Aは、
図5E~5F及び
図6Aに示すように、制御ワイヤ42の経路に対して垂直に立てられたピン61(
図5Dに示すような)を含む。更に
図6A~6Bに示されるように、制御ワイヤ42は、ピン61によって規定されたスペース、間隙又は開口部61s内に誘導されるか縫うように進み、ピン61によって所定の位置に保持される。蛇行摩擦デバイス60Aは互いに偏心した(例えば側方にオフセットした)ピン61を含んでもよく、且つ制御ワイヤ42の長手方向の軸線を基準に互いに部分的に重なってもよい。特定の例においては、蛇行摩擦デバイス60Aは3つのピン61を含む。
図6Bに示されるように、2つの外部ピン61(a)及び61(c)はそれらが中心ピン61(b)から軸外しとなるように配置されてもよい。
図6A~6Bに更に示されるように、特定の例においては、蛇行摩擦デバイスはトップ部66に沿って互いに取り付けられたピンを有する。他の実施形態においては、蛇行摩擦デバイス60Aはワイヤが摩擦を有するように係合するリブ又は上昇した表面を有してもよい。制御ワイヤ42は、リブに摩擦係合するようにリブ内を縫うように進んでもよい。
【0039】
別の例においては、
図7A、7B及び7Cに示すように、蛇行摩擦デバイス60Aは2つの部分、ベース部62及びトップ部66を含んでもよく、ピン61がベース部62とトップ部66との間に延在する。制御ワイヤ42は、各ピン61の間の開口部61sに通されてもよく、トップ部66は制御ワイヤ42を所定の位置に固定するために使用されてもよい。別法として、各ピン61はベース部62及びトップ部66それぞれと一体に形成され、制御ワイヤ42は摺動アセンブリ30に結合される前に開口部65に通されてもよい。また更に、ピン61はベース部62にのみ取り付けられてもよい。
【0040】
付勢摩擦デバイス
本発明の別実施形態においては、
図8A及び
図8Bに示すように、たるみ制限又は抑制要素60は、付勢された摩擦デバイス60Bを有する。付勢摩擦デバイス60Bは、内部ハウジング20aと協動的に係合するよう動作可能なプーリアセンブリ50に結合されてもよい。1つの例においては、付勢摩擦デバイス60Bはスナップ嵌合機構によりプーリアセンブリ50に結合されてもよい。摩擦デバイス60Bは、摩擦ブロック63と、摩擦ブロック63に結合されたクリップ64と、を有する。摩擦ブロック63はクリップ64を受容するための開口部63aを規定してもよい。クリップ64は摩擦ブロック63に向かって付勢されてもよい。上述のように、制御ワイヤ40、42の1つ又は両方が付勢摩擦デバイス60Bに結合されてもよい。1つの例においては、制御ワイヤ42が、クリップ64と摩擦ブロック63との間に保持されるように付勢摩擦デバイス60B内を通過する。1つの例においては、クリップ64はばね付勢機構を有する。いくつかの実施形態では、摩擦ブロック63は高分子を有してもよい。他の実施形態においては、摩擦ブロック63はエラストマを有してもよく、クリップ64は金属を有してもよい。1つの例においては、摩擦ブロック63はゴムを有し、クリップはワイヤバンドを有し、ワイヤバンドとゴムとの間に摩擦が生じるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ64の付勢機構、例えばばねは、調節可能あるいは調整可能であってもよい。
【0041】
弾性摩擦デバイス
更に別の実施形態においては、摩擦デバイスは、制御ワイヤ42と摩擦を生じるように係合するための弾性摩擦デバイス60Cを有してもよい。一例においては、弾性摩擦デバイス60Cは
図9A及び
図9Bに示すようにエラストマブロック67aを有してもよい。一実施形態においては、エラストマブロック67aはゴムブロックを有してもよい。エラストマブロック67aは、その長さ方向に沿って長手方向に延びたスリット67bを規定してもよい。制御ワイヤ、例えば制御ワイヤ42がスリット67bの開口部内に案内されてもよい。スリット67bは、2つの下方向に延在するエラストマブロック67aの脚68を規定してもよい。制御ワイヤ42は下方向に延在する脚68によって摩擦的に係合され、脚68の間に保持されてもよい。
【0042】
摺動限定又は制限要素
例1:ハンドルハウジング内のトラック
いくつかの実施形態では、内部ハウジング20aは内部ハウジング20a内の直線路に沿って摺動アセンブリ30を案内するように構成されている。先に
図3E及び
図4Bに示した1つの例においては、内部ハウジング20aは、実質的に内部ハウジング20aの長さ方向に沿って配置された溝又はトラック21aを有する。摺動アセンブリ30は、摺動アセンブリ30のベース部に沿って、上昇した突起部31a(例えば
図3Eを参照)を含んでもよく、その突起部31aは、トラック21a内に協動的に係合し、トラック21aに沿って摺動アセンブリ30の直線並進の維持を補助する。
【0043】
トラック21aは、更に、摺動アセンブリ30の動きを制限して、シース90の所望の偏向を可能にするための摺動停止部として機能してもよい。換言すると、トラック21aの長さは摺動アセンブリ30が特定の方向(基端側及び/又は先端側方向のいずれか)に移動しうる距離を制限し、これはシース90の偏向の量を制限するために使用されてもよい。
図4B及び
図10Aに示すように、溝又はトラック21aは、その2つの対向する端部のそれぞれに端部壁21a’を規定する。摺動アセンブリ30の上昇した突起部31aがトラックの端部に到達すると、それは溝又はトラック21aの端部の壁21a’に当接し、摺動アセンブリ30が停止する(
図10aに示すように、管状摺動停止部21bがない場合、溝又はトラック21aは摺動停止部として機能する。これについては更に本明細書で後述する)。
図10a及び
図10bは、異なる長さの溝21aを示し、したがって、
図10a及び
図10bに示される実施形態のそれぞれについて摺動アセンブリ30が移動する距離は異なる。
【0044】
更なる代替形態においては、トラック21aに結合された長さ調節可能なストッパが提供されてもよい(それはスナップ嵌合機構を使用してトラック21aに係合しても、摩擦嵌合又は接着などの任意の他の手段を使用してトラック21aに結合されてもよい)。長さ調節可能なストッパは、突出し、摺動アセンブリ30と係合しうるため、摺動アセンブリ30の並進を防止するアームを有してもよい。別の例では、
図10cに示すように、長さ調節可能な停止部は、トラックの長さを短縮するため、壁21a’の隣の溝又はトラック21aの端部[例えば、
図10bの溝の内部]に挿入可能なピン21zを有してもよい。換言すると、ピン21zはトラック21aと相互作用し、トラック21aの長さを変えるために提供される。いくつかの実施形態では、ピン21zは摺動アセンブリ30の基端側のトラック21a内に挿入されてもよい。他の実施形態においては、ピン21zは摺動アセンブリ30の先端側のトラック21a内に挿入されてもよい。また更に、長さ調節可能なストッパは、トラック内に固定され、トラック21aの長さを短縮するよう効果的に機能しうるブロック又はアームの形態であってもよい。
【0045】
例2:管状摺動停止部
いくつかの実施形態では、
図2A~2C、4B~4C、5A、5D及び10Dに示すように、摺動限定要素は管状摺動停止部21bを有する。一例として、管状摺動停止部21bは、摺動アセンブリ30の基端側のシース90上に取り付けられている。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bはシースのハブに当接する1つの硬質又は剛性のチューブを有してもよく、且つシースのハブ及び内部ハウジング20aとの係合を可能にするための切り込みを有してもよい。1つの例においては、管状摺動停止部21bと、それが取り付けられているハブとの間に接着接合部が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bをハブに接着するために管状摺動停止部21bとハブ80との間の表面接触が強化されてもよい。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bは、プーリアセンブリ50と内部ハウジング20aとの相互作用のために、更なる切り込みを有してもよい。いくつかの実施形態では、
図4B及び
図10dに示すように、管状摺動停止部21bは、プーリアセンブリ50に当接してもよいし、及び/又はプーリアセンブリ50と相互に作用してもよい。他の実施形態においては、管状摺動停止部21bはシース上に取り付けられてもよく、且つ固定されなくてもよい。管状摺動停止部21bは、低密度ポリエチレン(LDPE)などの比較的可撓性があるか、又は軟質/弾性の材料を有してもよい。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bは比較的硬質又はより剛性のある材料を有してもよい。特定の例においては、管状摺動停止部21bは高密度ポリエチレン(HDPE)を有する。別法として、管状摺動停止部はステンレス鋼を有してもよい。1つの例においては、管状摺動停止部21bはシリンダを有する。別法として、管状摺動停止部21bはシリンダの一部分から形成される。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bの内径は取り付けられているシース90の外径よりも大きくてもよい。管状摺動停止部は、摺動アセンブリ30と相互に作用してそれを停止する先端壁21b’を規定する。
【0046】
図10eに示すような更に他の実施形態においては、管状摺動停止部21bは、摺動アセンブリ30の先端側において摺動アセンブリ30のボルト32上に嵌合するカラー21yの形態であってもよい(基端壁21y’を規定する)。別法として、摺動アセンブリ30の可動域を、摺動アセンブリ30のボルト32の長さを短縮する又は増加することによって変更してもよい。更なる代替形態においては、管状摺動停止部21bはプーリアセンブリ50の一部分として形成されてもよく、そこから内部ハウジング20a内に伸びてもよい。
【0047】
例3:内部ハウジング全体に伸びたバー
図10fに示すような別の実施形態においては、摺動停止部、又は摺動制限又は限定特徴は、内部ハウジング20a全体に側方に伸びたバー21cを有してもよい。換言すると、バー21cは内部ハウジング20aの幅全体に延在する。バー21cは、摺動アセンブリ30とプーリアセンブリ50との間に配置されてもよく、バーは先端壁21c’を規定する規定する。
【0048】
例4:リベットを有する摺動停止部
いくつかの実施形態では、
図10gに示すように、摺動停止部はリベット21dを有してもよい。別法として、摺動停止部はピン又はねじの形態であってもよい。リベット21dは、内部ハウジング20a内の開口部及び溝又はトラック21a内に配置され、垂直上方に伸びた突起部の形態で内部ハウジング20aの内腔内に伸びている。リベット21dは摩擦嵌合により内部ハウジングに固定されてもよい。リベット21dは摺動アセンブリ30の経路内に配置され、その動きを制限するように機能する。別法として、リベット21dは、内部ハウジング20a内に配置され、摺動アセンブリ30を遮断するように機能するブロックなどの二次構成要素に結合されてもよい。
【0049】
別法として、使用前又は使用中における、使用者による摺動制限特徴部の調節を可能にするアクチュエータがハンドル上に設けられてもよく、それにより、いずれか一方向又は両方向へのシース90の最大曲率半径が調整されうるようなる。いくつかの実施形態では、アクチュエータはノブ又はボタンの形態であってもよい。
【0050】
例5:摺動停止部はプーリアセンブリ延長部である
また更なる代替形態においては、
図10hに示すように、摺動限定構成要素又は摺動停止部は、内部ハウジング20aの内腔内の先端側へ伸びたプーリアセンブリ50の延長部21eを有してもよい。
【0051】
制御ワイヤ
いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40、42は金属を有する。特に、一例においては、ワイヤ40、42はステンレス鋼を有する。いくつかの実施形態では、ワイヤ40、42は延伸された300系列のステンレス鋼ワイヤを有する。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40、42の少なくとも1つは丸型ワイヤを有する。他の実施形態においては、制御ワイヤ40、42の少なくとも1つは、矩形ワイヤであってもよい平ワイヤを有する。1つの特定の実施形態においては、ワイヤ40、42はステンレス鋼304Vを有する。1つの例においては、ワイヤ40、42は約0.004”x0.015”の断面を有する。別の例においては、ワイヤ40、42は約0.004”x0.012”の断面を有する。
【0052】
クリンプ
図11A及び
図11Bに示すように、いくつかの実施形態では、クリンプ41、43は調節可能なクリンプを有してもよい。1つの例においては、調節可能なクリンプはナット及びボルトアセンブリを有してもよい。一実施形態においては、調節可能なクリンプはナット46内の雌ねじと協動的に係合する雄ねじを有するボルト又はねじ48を有してもよい。円筒状クリンパ部品41’、43’が部分的にねじ48内に保持される。ワイヤ40及び42の初期長さはねじ48の位置をナット46に対し調節することによって調節されてもよい。いくつかの実施形態では、キャリッジ34内の開口部35x’35y’及び35z’の1つ又は複数は、ボルト又はねじ48を収容するのに十分な直径を有してもよい。他の実施形態においては、クリンプ41、43は調節可能なクリンプでなくてもよい。
【0053】
シース及びハブ
いくつかの実施形態では、
図2A~2Cに示すように、シース90はハンドル100の基端部から先端部までハンドル100を貫通してもよい。これは、更に、
図4B~4Cの断面図に示される。一実施形態においては、更に
図2C及び
図5Dに示されるように、シース90はその基端部においてハブ80に結合されている。ハブは開口部を中に規定する側部ポート84を有する。1つの例においては、側部ポート84は角度がつけられていてもよい。一実施形態においては、側部ポート84はハブ80の長手方向の軸線に対して約60°の角度であってもよい。他の実施形態においては、任意の他の適切な角度が使用されてもよい。
図2Cに示すように、側部ポートは、チューブ94により、止水栓92、例えば3方止水栓に連結されている。このチューブ94は、一例においてはポリウレタンチューブを有してもよい。角度がつけられた側部ポート84は、ハンドル100の使用時、それに結合された側部ポート84及び止水栓92が確実に使用者の邪魔にならないようにすることによってハンドル100の使用性を高めてもよい。いくつかの例においては、側部ポート84は、シース90の先端側の先端部を正しい方向へ向けるための基準点として使用されてもよい。1つの例においては、側部ポートによって規定される開口部は、処置時、医師が塩水又は造影剤などの流体を、シースを通して注入することを可能にしてもよい。1つの例においては、操縦可能なハンドルアセンブリ100が患者の体内の組織の領域にアクセスするために使用される場合、側部ポートから造影剤を注入することによって、使用中の画像化が可能になるようにしてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、
図1、2A~2C、5D及び横断面
図4B~4Cに示すように、ハブ80は外部ハウジング20b内に収容されてもよい。ハブ80を内部ハウジング20a内においてしっかりと固定するため、エンドキャップ20cが使用されてもよい。一実施形態においては、エンドキャップ20cは高分子を有してもよい。特定の例においては、エンドキャップ20cはポリプロピレンを有する。シースハブ80はシース内に挿入するための拡張器を受容するよう動作可能であってもよい。
【0055】
係止機構
一実施形態においては、シース先端部の指定偏向角度を維持するためにハンドルノブ10の位置をハウジング20に対して係止するための係止機構が提供されてもよい。一実施形態においては、スライダロックが提供されてもよい。他の実施形態においては、ノブ10の位置を維持してシース90を所望の偏向に維持することを補助するために、内部ノブ10aのねじ山13と摺動アセンブリ30のボルト32のねじ山との間の摩擦嵌合又は摩擦係合(
図4B及び
図4Cに示すように)が十分な摩擦力を生むようにしてもよい。1つの例においては、ボルト32及びキャリッジ34を含む摺動アセンブリ30は、所望の偏向を維持することで、シース先端部の位置を維持するための十分な摩擦を生む表面仕上げを有してもよい。1つの例においては、摺動アセンブリ30及び/又は雌ねじノブ10の内腔は、この2つの間の摩擦をより大きくするため、粗い表面仕上げを有してもよい。1つの例においては、本明細書中で上に示したように内部ノブ10a及び摺動アセンブリ30は両方ともDupont(商標)DELRIN(登録商標)100Pを有する。
【0056】
更に、いくつかの実施形態では、
図2Cに示すように、内部ノブ10a内の、内部ノブ10aと内部ハウジング20aとの間の界面に、Oリング16’などの抵抗又は摩擦要素を取り付け可能にするための面取り部又は溝16が設けられてもよい。これにより、内部ノブ10aが回転された後において、内部ハウジング20aに対する内部ノブ10aの位置を維持するために、内部ノブ10aと内部ハウジング20aとの間の摩擦が増強されてもよい。換言すると、Oリング16’はシース90が操縦されるか偏向された後、シース90の湾曲の保持を可能にする。一実施形態においては、Oリングは高分子を有してもよい。他の実施形態においては、Oリングはニトリルを有してもよい。特定の実施形態においては、OリングはBUNA-Nを有してもよい。別の例においては、OリングはViton(登録商標)などのフルオロエラストマを有する。いくつかのそのような実施形態においては、雑音を減衰するため、又は換言すると、内部ノブ10aが内部ハウジング20aに対して回転する際のきしりを防止するため、潤滑剤又は減衰グリース(damping grease)がOリングに塗布されてもよい。特定の例においては、潤滑剤はNyogel767Aなどの合成炭化水素グリースを有する。別法として、摩擦を低減するため、内部ノブ10a上の、外部ノブ10bと内部ハウジング20aとの間の境界面にワッシャ、例えば、Teflonワッシャが挿入されてもよい。いくつかの更なる実施形態においては、
図2Cに示すように、1つ又は複数のOリング28’が設けられていてもよく、このOリング28‘は、内部ハウジング内の1つ又は複数の溝28内に受容され、内部ハウジング20aと外部ハウジング20bとの間に境界面又はシールを提供する。いくつかの実施形態では、溝28の1つは、部分的には内部ハウジング20a内に、及び部分的には、プーリアセンブリ50の部分内などの内部ハウジング20a内の構成要素内に形成されてもよい。
【0057】
ハンドルアセンブリの動作の概要
使用時、シース90を患者の体の脈管系内に挿入し、標的位置まで前進させてもよい。その後、ハンドル100を操作することにより、使用者がシース90の先端部分を所望の方向に偏向することを可能にしてもよい。1つの広範な実施形態においては、回転機構が設けられていて、その回転機構は、ノブ10を1つの方向に回転させることを可能にし、それにより内部ハウジング20a内の(中立又は開始位置から離れる)1つの方向について摺動アセンブリ30の長手方向の動きを可能にし、それにより制御ワイヤ40、42のうちの1つに張力をかける。これは、シース先端部が第1の方向に偏向されることを可能にする。一方では、ノブ10を第2の方向へ回転させると、その制御ワイヤの張力を解放し、シース90がその中立位置に戻ることが可能になる。更に第2の方向へのノブの回転が、摺動アセンブリ30が内部ハウジング20a内においてもう一方の(反対)方向に、直線的又は長手方向に並進することを可能にし、2つの制御ワイヤ40、42のうちのもう一方に張力がかけられることを可能にする。これにより、シース先端部が第2の方向に偏向されることが可能となる。
【0058】
更に具体的には、
図4Dには、摺動アセンブリ30が中立位置に配置されたハンドルアセンブリ100が示される。
図4Eに示すようにハンドルノブ10が第1の方向(例えば時計回り)に回転すると、内部ノブ10a[前に
図4B及び
図4Cにおいて示した]の雌ねじ13は摺動アセンブリ30のボルト32の雄ねじ33aと係合する。
図4Eに示すように、ノブ10の回転は、キャリッジ34を含む摺動アセンブリ30を内部ハウジング20a内において基端側方向(P)に直線的に並進させる。換言すると、摺動アセンブリ30はハンドル100の基端部に向かって(方向d2によって示される)長手方向に移動する。キャリッジ34が内部ハウジング内において基端側に移動すると、キャリッジ34の基端面34aはクリンプ41に当接する。ノブ10が更に時計回り方向に回転されると、キャリッジ34の動きによりクリンプ41が基端側に並進して制御ワイヤ40を引き、それに張力をかける。制御ワイヤ40に張力がかけられると、それが結合されているシース90の先端部部分の偏向が生じ、故に、シース90が所望の面内において第1の方向に操縦される。換言すると、
図4Eに示すように、制御ワイヤ40がぴんと張られた状態に引っ張られ、張力がかけられると、それはシース先端部の曲率が変化することを可能にする。シース90の先端部の、第1の方向における偏向が生じてもよい。更に、ワイヤ40に張力がかけられる際、制御ワイヤ42は中立又は解除状態に留まる。更に、ノブ10の回転時、キャリッジ34がハンドル100の基端部に向かって移動すると、制御ワイヤ42にたるみが形成されてもよい。
【0059】
同様に、ノブ10が第2の方向に(例えば、反時計回り方向に)回転すると、
図4Fに示すように、内部ノブ10aの雌ねじ13[前に
図4B及び
図4Cに示した]は摺動アセンブリ30のボルト32の雄ねじ33aと係合する。
図4Fに示すように、ノブ10の回転により、摺動アセンブリ30と、キャリッジ34が内部ハウジング20a内において先端側方向(D)に直線的に並進する。キャリッジ34が先端側に移動すると、ワイヤ40のひずみ又は張力が開放され、シース90の先端部の偏向が徐々に元に戻る。シース90は、ワイヤ40及びワイヤ42のいずれにも応力が認められないその中立位置に到達してもよい。
【0060】
キャリッジ34が内部ハウジング20a内において更に先端側に移動すると、キャリッジ34の先端面34bはクリンプ43に当接する。ノブ10が更に反時計回りに回転すると、
図4Fに示すように、キャリッジ34の並進運動によりクリンプ43の並進が生じて制御ワイヤ42を引き、それに張力をかける。制御ワイヤ42に張力がかけられると、それが結合されたシース又はカテーテル90の先端部部分の偏向が生じ、したがって、シース90が第2の方向に操縦される。一実施形態においては、シース90は第1の方向と同じ面内の第2の方向に操作されてもよい。他の実施形態においては、シース90は別の面内において偏向されてもよい。
【0061】
たるみ制限又は抑制要素の動作
上述したように、いくつかの実施形態では、制御ワイヤ42に生じたあらゆるたるみが、プーリ52との接触部分に移動することを防止又は制限するための手段が提供されてもよい。
図4Eにおいて上に概説したように、ノブ10が時計回り方向に回転されると、キャリッジ34が基端側に移動し、制御ワイヤ40に張力をかける一方で、制御ワイヤ42から張力を解放する。いくつかの実施形態では、張力がワイヤ42から除去された際に(又は換言すると制御ワイヤ42の反転操作時)制御ワイヤ42の任意のたるみを制限又は抑制するためのたるみ制限又は抑制要素60が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素60は制御ワイヤ42の基端部分に係合する。同様に、前に
図4Fで示したように、ノブ10が反時計回り方向に回転されると、キャリッジ34は先端側に移動して制御ワイヤ42に張力をかけ、制御ワイヤ40を張力から解放する。一実施形態においては、制御ワイヤ40のたるみを制限又は抑制するためにたるみ制限又は抑制要素60が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素60は、使用時における操縦可能なシース90のシャフトの圧縮によるワイヤ40、42の任意のたるみもまた制限又は抑制してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素は制御ワイヤ40、42のいずれか1つと摩擦的に係合してもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ40、42の部分のたるみを低減するため、又は指定された方向へたるみを案内するため、プルワイヤ又は制御ワイヤ40、42のそれぞれは、たるみ制限又は抑制要素60により案内されてもよい。
【0062】
上述のようないくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素60は、プーリアセンブリ50に結合されており、そこを通過する制御ワイヤ42に作用する。たるみ制限又は抑制要素60は、ワイヤ42に発生した任意のたるみが、ワイヤ42の、プーリ52の周りに配置された部分に移動すること又は影響することを防止するように機能する。したがって、制御ワイヤ42の、プーリの周りに配置された部分は実質的にぴんと張られたままになり、制御ワイヤ42がプーリ52の周りから滑ることを防止する。1つの例においては、
図4D~4Fに示されるように、たるみ制限又は抑制要素は蛇行摩擦デバイス60Aを含む。上述のように、蛇行摩擦デバイスは
図5A~5E、6A~6B及び7A~7Cに更に示される。
【0063】
蛇行摩擦デバイスの動作
一実施形態においては、
図4Fに示すように、ワイヤ42に生じたあらゆるたるみが摺動アセンブリ30内のその開口部又は通路を通過して先端側に(方向d1によって示される)移動することを促進可能にするたるみ制限又は抑制要素60が使用される。換言すると、制御ワイヤ42の任意のたるみ、又は換言すると、たるんだ制御ワイヤ42は、その各々の開口部を通過してキャリッジ34に対して先端側に移動する。これは、制御ワイヤ42の、プーリ52の周囲の部分にたるみが影響することを防止するのを補助してもよい。したがって、たるみ制限又は抑制要素60は、プーリ52の周囲のワイヤの過剰なたるみを防止してもよく、制御ワイヤ42がプーリ52から脱線するリスクを低減するのに役立つようにしてもよい。いくつかの実施形態では、プーリ52が制御ワイヤ42をプーリ52の周りに案内するための溝を有する場合、たるみ制限又は抑制要素60は制御ワイヤ42を所定の位置に維持するよう機能してもよい。
【0064】
1つの例においては、上述し、且つ
図5A~5E、
図6A~6B及び
図7A~7Cに示したように、ハンドル又はデバイス100は蛇行摩擦デバイス60Aを含む。
図4Eに更に示されるような蛇行摩擦デバイス60Aは、ワイヤの一方向への移動を可能にする。ワイヤはより容易にあの第2の方向(基端側方向d2)に1つの方向に移動することができる(例えばd1、先端側方向)。ノブ10が時計回りに回転されると、ワイヤ40に張力がかけられ、制御ワイヤ42にたるみが生じる。蛇行摩擦デバイス60Aは制御ワイヤ42が基端側に滑ること又は移動することを防止し、これにより、プーリ52周囲の制御ワイヤ42の部分がぴんと張られたままになる。換言すると、プーリ52周囲の制御ワイヤ42の部分における張力が維持され、制御ワイヤ42がプーリ52から脱線するリスクを最小化する。換言すると、蛇行摩擦デバイス60Aによって生じる摩擦が、制御ワイヤ42が基端側方向へ移動することを制限し、制御ワイヤ42の任意のたるみが先端側に確実に案内される。制御ワイヤ42に対する能動的な引張力がない場合、制御ワイヤ42とピン61との間の摩擦は、制御ワイヤ42が摩擦の力に打ち勝つことができないほど十分である。したがって、制御ワイヤ42は
図4Eに示すように基端側方向に移動することができず、ワイヤ42に形成された任意のたるみがその各々の開口部を通過して先端側方向d1に移動する。しかしながら、
図4Fに示すように、ノブ10の反時計回りの回転の際(摺動アセンブリ30がその中立位置に達した後)制御ワイヤ42に張力が印加されると、それがワイヤ42とピン61との間に存在する摩擦の力に打ち勝ち、これにより、プーリ52の周りにおけるワイヤの動きを可能にし、制御ワイヤ42に張力がかけられることを可能にするほどの十分な力が印加される。制御ワイヤ42は先端側方向d1に能動的に引っ張られる。
【0065】
付勢摩擦デバイスの動作
一実施形態においては、たるみ制限又は抑制要素は、
図8A及び
図8Bに関して上述したように、摩擦ブロック63及びクリップ64を有する付勢摩擦デバイス60Bを有する。動作時、ノブ10が時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30がその中立位置から基端側へ動き、制御ワイヤ40に張力がかけられ、制御ワイヤ42にたるみが生じる。制御ワイヤ42に印加される張力がない場合、摩擦ブロック63及びクリップ64によって作用する力は、制御ワイヤ42に形成されたたるみがプーリ52周囲の制御ワイヤ42の部分に伝達され得ないほど、制御ワイヤ42の基端側への動きを防止するのに十分である。換言すると、プーリ52周囲のワイヤ42の部分には張力がかけられたままである。しかしながら、ノブが反時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30は先端側に移動してその中立位置に戻り、そこから更にノブが反時計回りに回転すると、摺動アセンブリ30はその中立位置から先端側に移動し、ワイヤ42に力が印加される。印加される力が摩擦デバイス60Bによって制御ワイヤ42に作用する摩擦力よりも大きくなるように、ワイヤ42に先端側への十分な力が印加されると、制御ワイヤ42は張力がかかった状態で長手方向に並進することができる。1つの例においては、ノブ10を反時計回りに回転させると、制御ワイヤ42が長手方向の先端側方向に並進することができる。総合すると、制御ワイヤ42が張力から解放され、制御ワイヤ40に張力がかけられるため、ダイヤルを時計回りに回転させたとき、制御ワイヤ42が基端側方向における長手方向へ移動することが防止されてもよい。したがって、制御ワイヤ42に発生したたるみを、付勢摩擦デバイス60Bを使用してプーリから離すように案内することができ、制御ワイヤ42がプーリ52から落下するリスクを最小化する。
【0066】
弾性摩擦デバイスの動作
上記の付勢摩擦デバイス60Bの動作と同様に、
図9A及び
図9Bに示すように、エラストマブロック67aを有する弾性摩擦デバイス60Cは、エラストマブロック67aの脚68の間のスリット67b内の制御ワイヤ42と摩擦的に係合する。摩擦デバイス60Cは、摺動アセンブリが先端側に移動すると、張力がかかっている制御ワイヤ42が先端側へ移動することを可能にするが、摺動アセンブリ30の基端側へ動いている間に緩和状態である場合、ワイヤ制御ワイヤ42が基端側方向に長手方向に移動することができないほどの十分な摩擦力を提供する。したがって、制御ワイヤ42が停止している(張力下にない)場合、この部分にたるみが伝達されないため、制御ワイヤ42の、プーリ52周囲の部分は依然ぴんと張られたままである。これは弾性摩擦デバイス60Cによって制御ワイヤ42に付与された摩擦力の結果である。
【0067】
ハンドルアセンブリの動作の全般的概要
一実施形態においては、
図4A~4Cに示すように、制御ハンドル100はシース90の二方向の偏向を可能にしてもよい。1つの例では、中立位置においては、キャリッジ34は内部ハウジング20aの中央より先端側に配置されてもよい。そのような例においては、ノブ10が時計回り方向に回転される場合、約0~180°の範囲内のシース先端部曲率が実現されてもよく、ノブ10が反時計回り方向に回転される場合、約0~90°のシース先端部の曲率が実現されてもよい。一実施形態においては、時計方向又は右方向のノブの回転により左方向の先端部の応答が生じてもよい。他の実施形態においては、時計方向又は右方向のノブの回転により右方向の先端部の応答が認められてもよい。各方向において得られる曲率の程度は摺動アセンブリ30の並進の範囲を制限するための摺動制限要素と組み合わせて摺動アセンブリ30の中立又は開始位置を変えることによって調節可能としてもよい。いくつかの実施形態では、シースは少なくとも2つの偏向方向のうちの1つの方向へ約270度傾いてもよい。他の実施形態においては、270度を超える曲率が実現されてもよい。
【0068】
摺動制限要素を使用した調節可能なハンドルのストロークのメカニズム
例1:摺動制限要素がトラックである
上に概説したように、内部ハウジング20a内のトラック21aは、摺動アセンブリ30の動きを制限してシース90の所望の偏向を可能にするための摺動停止部として更に機能しうる。
図10aに示すように、摺動アセンブリ30(例えば、
図3Eに示される摺動アセンブリ30の上昇した突起部31a)がトラックの端部に到達すると、それは溝又はトラック21aの端部の壁21a’に当接し、それによって、摺動アセンブリの直線運動を停止又は制限する。
【0069】
いくつかの実施形態では、ハンドル100の使用によるシース90の偏向の程度を変更するために、トラック21aの長さは調節可能であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、
図10aに示すように、より短いトラック21aが内部ハウジング20a内に設けられてもよく、摺動アセンブリ30のより短い並進距離を提供し、結果的に、シース90の可動域がより限定されることとなる。換言すると、シース90の最大偏向角度又はストローク長さが制限される。
図10cに示すように、トラック21aはピン21zの挿入により短縮されてもよい。摺動アセンブリ30の一部がピン21zに当接すると、ピン21zは摺動アセンブリの更なる並進を防止する。他の実施形態においては、
図10bに示すように、より長いトラック21aが内部ハウジング20a内に設けられてもよく、摺動アセンブリ30のより長い並進距離を提供し、結果的に、シース90の可動域が広くなる。換言すると、シース90により大きな最大偏向角度又はストローク長さが提供されてもよい。概して、トラック21aの長さは、摺動アセンブリ30が特定の方向(基端側及び/又は先端側方向のいずれか)に移動できる距離を制限してもよく、これは、シース90の偏向の量を制限するために使用されてもよい。
【0070】
1つの特定の例においては、摺動停止部は摺動アセンブリ30の基端側に配置されてもよく、摺動アセンブリ30の並進を限定してもよい。しかしながら、この摺動アセンブリ30の動きの限定は、シース90の偏向を基端側及び/又は先端側方向のいずれかに制限するために使用されてもよい。これは摺動アセンブリ30の中立位置を変更することによって実現されてもよい。摺動アセンブリの中立位置[N]は
図4Bに示される。1つの特定の例においては、摺動アセンブリ30の中立又は開始位置は調節可能であり、これにより先端側方向及び基端側方向のそれぞれにおける摺動アセンブリ30の可動域の配分を決定してもよい。換言すると、摺動アセンブリ30の中立又は初期位置の調節により、先端側方向及び基端側方向のそれぞれに摺動アセンブリ30が移動可能な距離が定まり、その各偏向方向におけるシース90の偏向の量が決定する。いくつかの実施形態では、シース90を、各偏向方向に90°度の回転が可能(又は換言すると、シース90は各方向に90°度のストローク長さを有する)にするために、中立位置は摺動停止部の使用と併せて調節されてもよい。別法として、シース90は各方向において180°度の偏向が可能であってもよい。他の実施形態においては、シース90は1つの方向においては90°度の偏向角度、もう一方の方向においては180°度の偏向角度を有してもよい。したがって、シース90は両方向において釣り合う曲率半径/偏向又はストローク長さを有しても、各方向において異なる曲率半径/偏向を有してもよい。更に別の代替形態においては、シースはその偏向方向のうちの少なくとも1つにおいて、約270度以下の偏向角度を有する。他の実施形態においては、シースは270度を超える偏向角度を有してもよい。本明細書中に記載される本発明の実施形態においては、摺動制限要素は摺動アセンブリ30とは別の構成要素である。
【0071】
例2:摺動制限要素が管状摺動停止部
上述のようないくつかの実施形態では、
図2A~2C、4B~4C、5A及び10Dに示すように、摺動制限要素は管状摺動停止部21bを有する。使用する管状摺動停止部21bが長いほど摺動アセンブリ30の動きをより多く限定することとなる。1つの例においては、管状摺動停止部21bは摺動アセンブリ30の基端側に配置されている。いくつかの実施形態では、管状停止部21bは、比較的硬質の材料を有し、それが実質的に力が加わっている状態で降伏しないような実質的に剛体である。1つのそのような例においては、ノブ10の時計回りの回転の際、摺動アセンブリ30が内部ハウジング20a内において基端側に並進すると、摺動アセンブリ30は剛性管状摺動停止部21bの壁21b’に当接し、摺動アセンブリ30の更なる並進を防止する。これにより、使用者が急停止として感じてもよい触覚フィードバックを提供する。これはシース90が最大偏向に達したことを使用者に示すことを補助してもよい。別法として、上述のいくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bは、摺動アセンブリ30が壁21b’に当接し、摺動アセンブリ30の更なる並進を防止するときに、緩やかに降伏するより軟質の又は弾性材料を有してもよい。これは、使用者が穏やか又は緩やかな停止として感じてもよい触覚フィードバックを提供する。これは、シース90がその最大の偏向にほぼ到達していることを使用者に示してもよい。1つの例においては、管状摺動停止部21bは、その上に取り付けられているシース90の外径よりも実質的に大きな直径を有してもよい。一実施形態において、
図10eに示すように、管状摺動停止部21bは摺動アセンブリ30の先端側に配置されており、基端壁21y’を規定するカラー21yの形態である。1つの例においては、カラー21yは剛性材料を含む。例えば、ノブ10の反時計回りの回転下において、摺動アセンブリ30は先端側に移動し、カラー21yの壁21y’によって停止される。
【0072】
いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bはシース90の外径よりも大きな内径を有する。管状摺動停止部21bはシース90内を前進させてもよい剛性針などの剛性のある医療デバイスの湾曲の保持を補助してもよい。管状摺動停止部21bは、シース90に対する拘束を低減することによって、湾曲が伸ばされることを防止してもよい。
【0073】
例3:摺動制限要素がバーを有する
上述のように、いくつかの実施形態では、摺動制限要素又は摺動停止部は内部ハウジング20aとともに横断面に沿って延在するバー21cを有する。1つの例においては、バー21cは摺動アセンブリ30とプーリアセンブリ50との間に配置されている。バー21cは、摺動アセンブリ30がバーの壁21c’に当接する際の摺動アセンブリ30の動きを妨害又は限定し、よって、摺動アセンブリ30が移動可能な総並進距離を限定する。これは、結果的に、1つ以上のワイヤ40、42にかけられうる張力の量を限定し、よって、シース90の偏向を制限する。
【0074】
例4:摺動制限要素がリベットを有する
上述のように、いくつかの実施形態では、摺動制限要素は、トラック21aに沿った箇所において内部ハウジング20aの内腔内に延在するリベットを含んでもよい。リベット21dはトラック21aの開口部内に配置され、その中において摩擦係合により維持されてもよい。リベットは並進する摺動アセンブリ30の経路を遮断し、トラック21aの長さを効果的に短縮する。この一例においては、トラック21a内に設けられた複数の開口部又は穴があってもよく、リベット21dの位置は調整可能であってもよい。換言すると、リベット21dは開口部の任意の1つに配置されてもよい。これにより、使用者がトラック21aの長さ、及び摺動アセンブリ30の要求される並進距離、及びその結果として、シース90の先端部の要求される偏向を変更可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、リベット21dは摺動アセンブリ30の動きを遮断するため二次構成要素とともに機能する。リベットは内部ハウジング20aの内腔内の二次構成要素にしっかりと固定される。このいくつかの例においては、摺動アセンブリ30の並進範囲、及びその結果としてシース90の偏向を変化させるため、二次構成要素の長手方向の長さは調節可能であってもよい。別法として、例えば、二次構成要素の長さを変更して摺動アセンブリ30の最大許容並進を調節するための機械的手段を起動するためのアクチュエータが提供されてもよい。
【0075】
例5:プーリアセンブリ延長部として形成された摺動停止部
上述のように、及び
図10hに示すように、また更なる代替形態においては、摺動限定構成要素又は摺動停止部は、内部ハウジング20aの内腔内で先端側へ伸びたプーリアセンブリ50の延長部21eを含んでもよい。延長部21eはシース90の欠陥を制限するため、本明細書中に上記した摺動アセンブリの動きを妨げるように機能する。
【0076】
2つの偏向方向を有する二方向へ操縦可能なカテーテルの一方向制御を提供するための機構
二方向に操縦可能なカテーテルの概要
ここで
図12Aを参照すると、本発明の一実施形態により、二方向に操縦可能なシース又はカテーテル90において使用するためのカテーテル制御システム又はハンドル200が示される。
図12Aに示すように、操縦可能なカテーテルハンドル200は、構造的及び動作において前述のハンドル100に類似する。ハンドル200は、ハウジング20(内部ハウジング20a及び外部ハウジング20bを含む)に結合されたノブ10(内部ノブ10a及び外部ノブ10bそれぞれを含む)を有するアクチュエータを有する。内部ノブ10aは、
図12Bに示される、摺動アセンブリ30のボルト32の雄ねじ33と協動する雌ねじを有する。第1の方向における作動時、例えば、ノブ10の、第1の回転方向における回転時、摺動アセンブリ30のキャリッジ34にクリンプを介して結合された2つの制御ワイヤ40、42のうちの一方に張力をかけるため、摺動アセンブリ30を内部ハウジング20a内で第1の直線方向に移動するようにハンドル200を操作することが可能である。第2の方向への動作時、例えば、第2の回転方向におけるノブ10の回転時、2つの制御ワイヤ40、42のうちのもう一方に張力をかけるため、摺動アセンブリ30を内部ハウジング20a内で第2の直線方向へ移動するようにハンドル200を操作することが可能である。
【0077】
いくつかの実施形態では、シース又はカテーテル90は、約90.5cm~約91.5cmに等しい、特に、約91cmに等しい全長を有してもよい。1つのそのような例においては、カテーテル又はシース90の使用可能長さ(ハンドル200の先端側のカテーテルの長さ)は約70.5cm~約71.5cmであってもよい。特に、使用可能長さは約71cmに等しい。別の例では、カテーテル90の使用可能長さは約44.5cm~約45.5cmに等しくてもよく、特に、使用可能長さは約45cmに等しい。1つのそのような例においては、シースの全長は約64.5cm~約65.5cmに等しくてもよく、特に、全長は約65cmに等しくてもよい。別の実施形態においては、カテーテル90は、約44~約72cmにおいて変化する使用可能長さを有する、約70cm~約92cmにおいて変化する長さを有してもよい。更に他の実施形態においては、カテーテル90は、約44cm未満の使用可能長さを有する約70cm未満の長さを有してもよい。更に他の実施形態においては、カテーテルは、約72cmを超える使用可能長さを有する、約92cmを超える長さを有してもよい。当業者に公知とされうるように、更なる実施形態においては、カテーテル90は他の長さ及び使用可能長さを有してもよい。
【0078】
摺動アセンブリの基端側に配置された摺動制限要素を使用した一方向制御システム
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも2つの偏向方向を有する二方向に操縦可能なカテーテルの一方向の制御を提供するための一方向制御システムを有する。制御システムは、少なくとも2つの制御ワイヤに結合されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、第1制御ワイヤに張力をかけ、二方向に操縦可能なカテーテルを中立位置から第1の偏向方向に偏向するため、第1制御ワイヤを能動的に作動し、アクチュエータは、第2制御ワイヤに張力をかけ、操縦可能なカテーテルをその中立位置に向かって非偏向(un-deflect)し、二方向に操縦可能なカテーテルがその元の位置に戻ることを可能にするため、第2制御ワイヤを能動的に作動する。
【0079】
図12A及び
図12Bに示される実施形態においては、ハンドル200は、2つの偏向方向のうちの一方向への偏向を制限するための、操縦可能なカテーテル90の偏向制限機構を有する。いくつかの実施形態では、偏向制限機構は、摺動制限要素などの摺動制限要素を有する。その摺動制限要素は、内部ハウジング20a内で摺動アセンブリ30が2つの直線方向のうちの一方向へ動くことを制限するように機能し、シース90がその偏向方向の一方へ偏向することを制限又は限定する。
図12A、
図12Bに示すように、いくつかの実施形態では、カテーテル90の偏向を制限するために使用される摺動制限要素は、内部ハウジング20aの内腔24内に配置された摺動停止部221bを含んでもよい。特定の例においては、摺動停止部221bは、
図10Dを参照して既に説明した管状摺動停止部21b(
図2B~2C、4B~4C、5A~5Dに示される)に類似する管状摺動停止部を含む。いくつかの実施形態では、
図12A~12Cに示されるように、管状摺動停止部221bはシース90を収容するため中空であり、シース90がハンドル200の基端部まで伸びることを可能にする。一実施形態においては、管状摺動停止部221bは比較的硬いHDPE材料を含む。1つの例においては、管状摺動停止部221bは約2.15”~約2.23”の長さ[L]を有する。1つの特定の例においては、摺動停止部221bの内径(ID)は約0.25”~約0.26”の範囲であり、外径(OD)は約0.31”~約0.32”の範囲である。特定の例においては、摺動停止部221bは約2.19”に等しい長さを有し、内径及び外径はそれぞれ約0.255”及び0.315”に等しい。
【0080】
更に具体的には、再度
図12A、12Bを参照すると、上記実施形態においては、摺動停止部221bはハンドル200の摺動アセンブリ30に対して基端側に配置され、ハンドル100のノブ10の作動時、摺動アセンブリ30の基端側への動きを制限するように機能する。いくつかの実施形態では、内部ハウジング20a内の摺動停止部221bの位置は調節可能であってもよい。その結果、二方向に操縦可能なシース又はカテーテル90が、その操縦又は偏向される方向のうちの1つの方向(第2の偏向方向とも称される)へ偏向することが実質的に排除される。しかしながら、摺動アセンブリ30の先端側への動きは制限されないままである。したがって、ノブ10が反時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30は内部ハウジング20aの内腔24内において先端側へ移動し、摺動アセンブリ30が制御ワイヤ42を引くことが可能になり、操縦可能なシース又はカテーテル90が操縦又は偏向される2方向のうちのもう一方(又は第1偏向方向)へ偏向する。ノブ10がその後時計回り方向に回転されると、摺動アセンブリ30がその中立位置に戻り、カテーテル90がその公称位置に戻るまでワイヤ42の張力が解放される。さらにノブが時計回り方向へ回転すると、摺動アセンブリ30が管状摺動停止部221bに当接するので、摺動アセンブリ30の基端側への動きが制限又は限定され、制御ワイヤ40に作用する力が限られるので、実質的に第2の偏向方向へのカテーテルの偏向が排除される。したがって、ハンドル200内での摺動制限要素(例えば摺動停止部221b)の使用により、摺動アセンブリの基端側への動きを制限することによって二方向操縦カテーテルの一方向での使用を可能にし、実質的に、第2の偏向方向へのカテーテルの偏向を排除する一方で、摺動アセンブリの先端側への動きを可能にし、第1偏向方向へのカテーテルの偏向を可能にする。
【0081】
最適化された中立位置を有する摺動アセンブリと組み合わせた摺動制限要素を使用する一方向制御システム
前述のように、及びここで
図12A~12Cに示されるように、各偏向方向のシース90の曲率もまた、摺動制限要素の使用と併せて摺動アセンブリ30の中立位置を変えることによって調節されうる。摺動アセンブリの中立位置は、両制御ワイヤ40、42が張力をかけられていない又は緩和状態にある位置である。
図12Bに示されるように、摺動制限要素(例えば、管状摺動停止部221b)は、内腔24内での内部ハウジング20aの窓26に沿った、摺動アセンブリ30の総利用可能並進範囲(total available translation range)[R]を制限する。摺動アセンブリ30の中立位置は、その後、摺動アセンブリ30の可動域を基端側方向及び先端側方向のそれぞれに配分するために調節されてもよい。
【0082】
基端側の中立位置を有する摺動アセンブリを備えた一方向制御システムの概要
本発明の二方向に操縦可能なカテーテルに一方向の機能性を付与するために、中立位置は、2つの並進方向のうちの一方向に割り当てられた摺動アセンブリの可動域が、実質的に限定されるように設定される。
図12Bに示される実施形態においては、中立位置[N]は、摺動停止部221bから特定距離[S]にある並進範囲[R]の基端側境界に隣接するように設定され、これにより、基端側方向における摺動アセンブリの並進が実質的に制限される。換言すると、基端側方向における摺動アセンブリ30の動きのための余地は限られている(摺動アセンブリ30と摺動停止部221bの先端壁221b’との間の限られた量のスペース又は距離[S]によって示されるように)。その結果、第2の偏向方向におけるシース又はカテーテル90の偏向は実質的に排除され、ハンドル200がカテーテル90に対してその第1偏向方向における一方向の機能性を付与することを可能にし、カテーテル90が第1の偏向された状態又は位置を達成することを可能にする。
【0083】
基端側の中立位置を有する一方向制御システムの動作の詳細
前述のように、制御システム又はハンドル200の使用時、ノブ10が反時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30はその中立位置から先端側に移動し、ワイヤ42に張力をかけ、カテーテル90をその第1偏向方向に偏向する。ノブ10が、その後、時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30はその中立位置に戻り、制御ワイヤ42から張力が除去され、カテーテル90がその非偏向又は公称形状又は状態/位置に近いところまで戻ることを可能にする。しかしながら、カテーテル90の長さ方向における制御ワイヤ42とカテーテル(又はシース)90の本体との間の摩擦による抵抗により、カテーテル90が実質的にその非偏向又は公称形状に戻ることが防げられる。カテーテル90の本体にはわずかなカール又は曲がりが尚認められる。したがって、カテーテル90がその公称形状に戻ることを可能にするためには、カテーテル90の長さ方向における制御ワイヤ42とカテーテル90との間の摩擦に打ち勝つ必要がある。この、カテーテル90と制御ワイヤ42との間の摩擦に打ち勝つために、ノブ10を更に時計回り方向に回転させて、反対の制御ワイヤ40が作動される。これにより、摺動アセンブリ30が摺動停止部221bに当接するまで摺動アセンブリ30がその中立位置から距離[S]だけ基端側に移動することが可能になる。これにより、制御ワイヤ42とカテーテル90との間の摩擦の力に打ち勝つことによって、カテーテル90を伸ばすこと、又は換言すると、カテーテルがその非偏向又は公称状態又は位置に戻ることが可能になる。いくつかの実施形態では、カテーテル90を伸ばすために摺動アセンブリ30が移動する距離[S](摺動停止部221bから摺動アセンブリ30の基端壁まで測定した摺動アセンブリ30の中立位置に等しい)は約2mmである。いくつかのそのような例においては、距離[S]は約1.5mm~約2.5mmの範囲であってもよい。したがって、1つの特定の実施形態においては、摺動アセンブリ30の中立位置は、ノブ10の時計回りの回転時にカテーテルが伸びる際、カテーテルが実質的にその公称形状又は位置に戻ることを可能にするのに十分であるほどに設定される。しかしながら、摺動アセンブリの更なる動きが摺動停止部221bによって制限されるため、ノブ10の更なる時計回りの回転によりカテーテルをその第2の偏向方向に偏向し、第2の偏向された状態又は位置を達成することはできない。したがって、第2の偏向方向へのカテーテル90の偏向は実質的に限定又は制限される。つまり、第2の偏向方向へカテーテル90は偏向しない。よって、本発明の制御システム又はハンドル200は二方向に操縦可能なカテーテルの一方向の使用を可能にする。
【0084】
先端側の中立位置を有する摺動アセンブリを備えた一方向制御システムの概要及びその動作の詳細
いくつかの実施形態では、
図12Cに示されるように、摺動停止部221bは、上記のように、摺動アセンブリ30の基端側の位置において使用されてもよい。しかしながら、
図12Bの実施形態とは異なり、摺動停止部221bは、反対方向、すなわち先端側方向への摺動アセンブリの動きを制限し、シース又はカテーテル90が第1偏向方向へ偏向することを実質的に制限するために使用される。これは、
図12Cに示されるように摺動アセンブリ30の中立位置[N]を変更することによって実現されてもよい。示されるように、中立位置は、内部ハウジング20aの窓26の先端壁20a’から距離[S]の位置に、並進範囲[R]の先端側境界に実質的に隣接するように設定される。距離[S]は窓26の先端壁20a’から摺動アセンブリ30のハウジング38の先端壁までである。1つの例においては、距離[S]は約2mmである。いくつかのそのような例においては、距離[S]は約1.5mm~約2.5mmの範囲であってもよい。ノブ10の反時計回りの回転時、この中立位置[N]は先端側方向における摺動アセンブリの並進を実質的に制限する。その結果、第1偏向方向へのカテーテル90の偏向が実質的に排除されるように制御ワイヤ42に最小限の力が作用する。
【0085】
図12Cに示される実施形態の動作の概要として、ノブを時計回りに回転させると、摺動アセンブリ30はその中立位置[N]から動き始め、摺動アセンブリ30が摺動停止部221bの先端壁221b’に当接するまでの間、ハンドル200内で基端側に自由に並進する。これにより、制御ワイヤ40に力を作用させることが可能になり、カテーテル90をその第2の偏向方向に偏向させ、それにより二方向に操縦可能なカテーテル90に一方向の機能性を付与する。内部ノブ10aは、その後、制御ワイヤ40から張力が除去され、摺動アセンブリ30がその公称位置[N]に戻るまで反時計回りに回転されてもよい。前述の実施形態と同様に、カテーテル90はその公称形状の近いところまで偏向されてもよいが、カテーテル90の長さ方向における制御ワイヤ40とカテーテル90との間の摩擦により、カテーテル90がその公称形状に完全に戻ることを防止してもよく、カテーテル90にわずかなカール又は曲がりが残ってもよい。ノブ10が、その後、更に反時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30が内部ハウジング20aの窓26の基端壁20a’に当接する(それが更に先端側に移動することを防止する)まで摺動アセンブリ30は先端側に移動し、これによりカテーテルが実質的にその公称位置又は形状に戻ることは可能にするが、カテーテル90が実質的にその第1偏向方向に偏向することは防止する。
【0086】
摺動アセンブリの先端側に配置されている摺動制限要素を使用する一方向制御システム
別法として、摺動アセンブリの先端側への動きを実質的に制限することにより二方向操縦カテーテルの一方向での使用を可能にするために、摺動制限要素は摺動アセンブリ30の先端側に配置されてもよい。1つのそのような例においては、摺動制限要素は摺動アセンブリ30のキャリッジ34の先端側に配置されてもよい(
図10eに示されるカラー21yに類似する)。ノブの反時計回りの回転時、シース又はカテーテル90が第1偏向方向へ偏向することを実質的に排除するために、カラーは摺動アセンブリ30の先端側への動きを実質的に制限する。しかしながら、ノブの時計回りの回転時、制御ワイヤ40を引き、カテーテルが第2の偏向方向へ偏向するために、摺動アセンブリ30はハンドル内において基端側に自由に移動する。したがって、摺動制限要素は、別法として、カテーテルの第1偏向方向への偏向を実質的に排除するために摺動アセンブリの動きを制限する一方で、その第2の偏向方向における偏向を可能にすることによって、二方向操縦カテーテルの一方向での使用を可能にするために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、カラー21yは、摺動アセンブリ30の先端側への限られた動きを可能にし、カテーテルがその第2の偏向方向に偏向された後、カテーテルを直線にする又は伸ばすことを可能にするために配置されてもよい。
【0087】
摺動制限要素の別の実施形態を使用する一方向制御システム
一代替形態として、摺動アセンブリの直線並進方向を1方向へ実質的に制限し、二方向に操縦可能なカテーテルの一方向での使用を可能にするため、本明細書中の
図10a~10hで説明した摺動制限要素のいずれを使用してもよい。
【0088】
したがって、上述したように、本発明の実施形態は、1つの可動部材を使用して2つの制御又はプルワイヤの偏向を制御し、カテーテル又は他の医療デバイスを2つの異なる方向へ方向制御することを可能にするための回転可能な機構を提供する。第1の回転方向へのノブの回転により、部材が長手方向の一方向へ移動し、2つの制御ワイヤのうちの1つに張力がかかることを可能にし(カテーテルを第1の向きに偏向するため)、逆の回転方向へのノブの回転(ハンドルの長手方向の軸線を中心に)により、部材が逆の長手方向へ移動し、2つの制御ワイヤのうちのもう一方に張力がかけられることを可能にする(カテーテルを異なる向きに偏向するため)。
【0089】
1つの広範な態様においては、本発明の実施形態は、二方向に操縦可能なカテーテルの制御のための制御システムを提供する。カテーテルは少なくとも2つの制御ワイヤを含み、制御ワイヤのそれぞれの先端部がカテーテルの先端領域と結合されている。制御システムは、カテーテルに結合されたハウジングと、ハウジング内に配置されており、ハウジング内において直線的に並進するように動作可能な摺動アセンブリと、摺動アセンブリを介して取り付けられ又は配置された少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれの基端部分と、ハウジングに回転自在に結合されて、摺動アセンブリを直線的に並進させることによって摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれを別個に操作し、前記カテーテルの偏向の変化を生じさせることを可能にするための制御ノブと、を有する。制御ノブを第1の回転方向へ回転させると、摺動アセンブリが第1の直線方向である先端側へ動き、摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤの1つに張力をかけ、第1の偏向方向へ前記カテーテルが偏向する。ノブを第2の回転方向へ回転させると、摺動アセンブリが第2の直線方向である基端側へ動き、摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのもう一方に張力をかけ、第2の偏向方向へ前記カテーテルが偏向する。
【0090】
別の広範な態様においては、本発明の実施形態は、少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテル制御システムにおいて使用するためのたるみ制限又は抑制デバイスを提供する。制御システムは、操縦可能なカテーテルを偏向するために少なくとも1つの制御ワイヤに張力をかけ、そしてその張力を解放するための機構を有し、たるみ制限デバイスは、張力が少なくとも1つの制御ワイヤから解放された際のそのたるみを制限するために、少なくとも1つの制御ワイヤの一部と係合可能である。
【0091】
更に別の広範な態様においては、本発明の実施形態は、少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテル制御システムにおいて使用するためのたるみ制限デバイスを提供する。制御システムは、操縦可能なカテーテルを偏向するために少なくとも1つの制御ワイヤに張力をかけ、そしてその張力を解放するための機構を有し、たるみ制限デバイスは、張力が少なくとも1つの制御ワイヤから解放された際のそのたるみを制限するために、少なくとも1つの制御ワイヤの一部と係合可能である。
【0092】
更に広範な態様においては、本発明の実施形態は、少なくとも1つの制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテルのための操縦可能な制御システムにおいて使用するための摺動制限又は限定機構を提供する。操縦可能な制御システムは、少なくとも1つの制御ワイヤが接続された単一摺動アセンブリをその内部に備えたハウジングを有するハンドルと、単一摺動アセンブリを移動し、少なくとも1つの制御ワイヤに張力をかけることによってカテーテルの偏向を生じさせるための回転可能なノブと、を有し、摺動制限機構は、ハンドル内に配置された摺動限定又は制限要素であって、ノブが第1の回転方向へ回転すると、ハンドル内における、単一摺動アセンブリの、第1の直線方向における直線運動を制限し、少なくとも1つの制御ワイヤにかけられる張力を制限し、第1の偏向方向へのカテーテルの偏向を制限する、摺動限定又は制限要素を含む。
【0093】
更なる広範な態様においては、本発明の実施形態は、操縦可能なカテーテルを偏向するための制御システムを使用するための方法を提供する。制御システムは、ハウジングと、ノブにより動作可能な、ハウジング内に配置された単一摺動アセンブリと、を有するハンドルを含む。操縦可能なカテーテルは、単一摺動アセンブリに係合するため単一摺動アセンブリに挿通された、カテーテルを逆の偏向方向に操縦するための少なくとも2つの制御ワイヤを含む。方法は、カテーテルを第1の偏向方向に偏向するためにノブを第1の回転方向に回転することによって単一摺動アセンブリを第1の直線方向に移動し、少なくとも2つの制御ワイヤのうちの1つに張力をかけるステップと、カテーテルを第2の偏向方向に偏向するためにノブを第2の回転方向に回転することによって単一摺動アセンブリを第1の直線方向と逆の第2の直線方向に移動し、少なくとも2つの制御ワイヤのもう一方に張力をかけるステップと、を含む。
【0094】
また更なる広範な態様においては、本発明の実施形態は少なくとも2つの偏向方向を有する二方向に操縦可能なカテーテルの一方向制御を提供するための制御システムを提供する。制御システムは、第1の方向における作動の際に、二方向に操縦可能なカテーテルの、第1の偏向方向における偏向を可能にするためのアクチュエータを含み、第2の方向における作動を制限することによって、二方向に操縦可能なカテーテルの、第2の偏向方向における偏向を実質的に制限するための偏向制限機構を含む。
【0095】
これら広範な態様の特徴として、本発明の実施形態は、2つのプルワイヤの張力を制御するための回転可能な機構を含むハンドルを提供する。1つの方向への機構の回転は、第1プルワイヤに張力をかけ、引張力を印加し、これに対して、反対方向における回転は、第2プルワイヤに張力をかけ、引張力を印加する。本明細書中に更に記載されるように、そのようなワイヤの張力は、ハンドルに連結された医療デバイスの機能的な端部にトルクをかけるか又は偏向するために使用されうる。
【0096】
いくつかのそのような実施形態はカテーテルの二方向制御のためのハンドルを含む。ハンドルは、ハウジングと、前記ハウジング内に配置された摺動部と協動的に係合するためにハウジングに回転自在に結合された制御ノブと、第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤと、を含む。各前記制御ワイヤの基端部は摺動部に結合されており、各前記制御ワイヤの先端部はカテーテルに結合されている。ノブの回転により、摺動部が前記ハウジング内において直線的に並進し、前記第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤのうちの1つの張力を変更し、前記カテーテルの偏向の変化を生じさせる。
【0097】
これら実施形態の別の特徴として、摺動部は少なくとも3つの開口部/通路を含み、この少なくとも3つの開口部/通路は、摺動部内において少なくとも部分的に長手方向に延在し、前記第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤがその中を通過し、それに結合されることを可能にする。
【0098】
この特徴の更なる例においては、少なくとも3つの開口部/通路は、第1開口部及び第2開口部であって、第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤがその中を基端側に通過することを可能にし、第1制御ワイヤが前記摺動部の基端面に結合されている、第1開口部及び第2開口部と、第3開口部であって、第2制御ワイヤがプーリにより第3開口部を先端側に更に通過し、摺動部の先端面に結合することを可能にする第3開口部と、有する。
【0099】
この特徴の別の例においては、摺動部は、前記第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤがぴんと張ることを防止するために自由に通過することを可能にするため、前記先端面を規定する摺動部先端部と前記基端面を規定する摺動部基端部との間に中空内部を規定する。
【0100】
この特徴のまた更なる例においては、第2制御ワイヤにかかる応力を防止するため、及び摺動部がハウジング内において回転することを防止するため、前記第2制御ワイヤを収容する前記第1及び第3開口部/通路は摺動部の外側に向かって配置される。
【0101】
この広範な態様の更なる特徴として、摺動部はキャップ及びベース部を有する。この特徴の一例においては、前記少なくとも3つの開口部を形成するために、キャップは、摺動部内の溝と協動的に係合する歯を含む。この特徴の更なる例においては、摺動部は、ワイヤが摺動部内の溝を通れるようにするために、第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤがその中を通過することが可能である中心開口部を更に有する。この特定の例においては、中心開口部はベース部内の溝の形態である。
【0102】
この広範な態様のまた更なる特徴として、ハンドルは、第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤのうちの少なくとも1つのたるみを制限/抑制するためのたるみ制限/抑制要素を含む。
【0103】
この広範な態様の更なる特徴として、ハンドルは、1つの方向における摺動部の動きが1つのワイヤに張力を印加する一方で、もう一方の方向における摺動部の動きがもう一方のワイヤに張力を印加するように、プルワイヤを摺動部の両側に結合するための手段を更に有する。1つの特定の例においては、前記第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤのうちの1つはプーリを通じて/介して摺動部に結合されている。この特徴の一例においては、ハンドルは、第2制御ワイヤと前記プーリとの係合を維持するためのプーリガイドを有する。この特徴の更なる例においては、ハンドルは、第2制御ワイヤと前記プーリとの係合を維持するための高さガイドを有する。
【0104】
この広範な態様のまた更なる特徴として、ハンドルは、摺動部の突起部を受容し、摺動部をハウジング内において案内するための、ハウジング内で長手方向に伸びる溝を更に有する。
【0105】
この広範な態様のまた更なる特徴として、ハンドルは、内部ノブ及び外部ノブ内に、スライダの位置を維持し、カテーテルの湾曲/偏向を維持するための抵抗/摩擦要素を有する。この特徴の更なる例においては、抵抗/摩擦要素はOリングを有する。
【0106】
この広範な態様の別の特徴として、内部ハウジングは、ハウジング内における摺動部の並進を制限し、前記第1制御ワイヤ及び第2制御ワイヤのうちの少なくとも1つにかかる張力を制限するための摺動制限要素を有する。
【0107】
この広範な態様の特徴として、摺動制限要素は調節可能である。この特徴の一例においては、摺動部の初期位置は可変である。
【0108】
更に広範な態様においては、本発明の実施形態は、1つ又は複数の制御ワイヤのうちの少なくとも1つのたるみを制限/抑制するためのたるみ制限/抑制要素を有する1つ又は複数の制御ワイヤを有する操縦可能なカテーテルを有する。
【0109】
この態様の特徴として、たるみ制限/抑制要素は摩擦要素を有する。
【0110】
上記の本発明の実施形態は例示のみを意図するものである。本発明の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることを意図する。
【0111】
明確化のため、別個の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴は、また、1つの実施形態に組み合わせにおいて提供されてもよいことは理解されよう。逆に、簡略化のため、1つの実施形態の文脈において記載される本発明の種々の特徴は、また、別個に又は任意の適切な部分的組み合わせにおいて提供されてもよい。
【0112】
本発明をその特定の実施形態とともに記載したが、多くの代替形態、変更形態及び変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の広範な範囲内にあるあらゆるそのような代替形態、変更形態及び変形形態を包含することを意図する。本明細書に言及される全ての刊行物、特許及び特許出願はそれら全体が、各個々の刊行物、特許又は特許出願を参照により本明細書中に組み込むため具体的に及び個々に示すかのように同程度参照によって本明細書に組み込まれる。加えて、本出願における任意の参考文献の引用又は特定はそのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるとの許可として解釈されるものではない。