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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3203 20190101AFI20241015BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20241015BHJP
   G06F 1/3234 20190101ALI20241015BHJP
   G06F 1/3293 20190101ALI20241015BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G06F1/3203
G06F1/3287
G06F1/3234
G06F1/3293
G06F1/26 306
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023128603
(22)【出願日】2023-08-07
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】田上 裕大
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼瀬 允博
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 裕一郎
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-14042(JP,A)
【文献】特開2021-71755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 - 1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成要素と、
前記複数の構成要素に動作電力の供給と停止とを切り替え可能な電源回路部と、
前記複数の構成要素のうち、外部との間での電力の供給に関連する第1の構成要素であって、前記電源回路部から、前記動作電力を直接供給される第1の構成要素と、
前記複数の構成要素のうち、前記外部との間での電力の供給に関連しない第2の構成要素と、
前記電源回路部と前記第2の構成要素との間に接続され、前記第2の構成要素に、前記電源回路部から供給された前記動作電力の供給と停止とを切り替え可能なスイッチ部と、
OS(Operating System)に基づく情報処理を実行するメイン制御部に電力供給が停止した状態で動作可能なサブ制御部と
を備え、
前記サブ制御部は、第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する
情報処理装置。
【請求項2】
前記サブ制御部は、通常のシャットダウン状態である第1のシャットダウン状態より消費電力が低い第2のシャットダウン状態において、前記メイン制御部に電力供給を停止して、前記第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力を前記第1の構成要素に供給し、前記第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記第2の構成要素への前記動作電力の供給を停止する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記サブ制御部は、前記第1のシャットダウン状態において、前記メイン制御部に電力供給を停止して、前記第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力を前記第1の構成要素に供給し、前記第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記動作電力を前記第2の構成要素に供給する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記サブ制御部は、シャットダウン状態に移行する際に、前記シャットダウン状態からの復帰イベントが設定されている場合に、前記第1のシャットダウン状態に移行する制御を実行し、前記復帰イベントが設定されていない場合に、前記第2のシャットダウン状態に移行する制御を実行する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1のシャットダウン状態と、前記第2のシャットダウン状態とのいずれかを実行するかを示す状態情報を記憶する状態情報記憶部を備え、
前記メイン制御部は、シャットダウン状態への移行要求に応じて、前記復帰イベントが設定されているか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記状態情報を前記状態情報記憶部に記憶させ、
前記サブ制御部は、前記状態情報記憶部が記憶する前記状態情報に基づいて、前記第1のシャットダウン状態と、前記第2のシャットダウン状態とのいずれかに移行する制御を実行する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の構成要素には、USB(Universal Serial Bus)を動作させるための構成要素が含まれる
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の構成要素と、前記複数の構成要素に動作電力の供給と停止とを切り替え可能な電源回路部と、前記複数の構成要素のうち、外部との間での電力の供給に関連する第1の構成要素であって、前記電源回路部から、前記動作電力を直接供給される第1の構成要素と、前記複数の構成要素のうち、前記外部との間での電力の供給に関連しない第2の構成要素と、前記電源回路部と前記第2の構成要素との間に接続され、前記第2の構成要素に、前記電源回路部から供給された前記動作電力の供給と停止とを切り替え可能なスイッチ部と、OS(Operating System)に基づく情報処理を実行するメイン制御部に電力供給が停止した状態で動作可能なサブ制御部と、を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記サブ制御部が、第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノートPC)などの情報処理装置では、ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))の観点から省電力化が求められている。
また、従来の情報処理装置は、メイン制御部とは異なる組み込み型のサブ制御部であるエンベデッドコントローラ(EC)を備え、ECを用いて複数の電源回路を制御して、シャットダウンなどのパワーダウンモードを実現していた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-109829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報処理装置では、例えば、ESGエネルギー効率手法として広く知られているEnergyStarを適用し、さらなる省電力化に対応することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、省電力化を行うことができる情報処理装置、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、複数の構成要素と、前記複数の構成要素に動作電力の供給と停止とを切り替え可能な電源回路部と、前記複数の構成要素のうち、外部との間での電力の供給に関連する第1の構成要素であって、前記電源回路部から、前記動作電力を直接供給される第1の構成要素と、前記複数の構成要素のうち、前記外部との間での電力の供給に関連しない第2の構成要素と、前記電源回路部と前記第2の構成要素との間に接続され、前記第2の構成要素に、前記電源回路部から供給された前記動作電力の供給と停止とを切り替え可能なスイッチ部と、OS(Operating System)に基づく情報処理を実行するメイン制御部に電力供給が停止した状態で動作可能なサブ制御部とを備え、前記サブ制御部は、第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する情報処理装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記サブ制御部は、通常のシャットダウン状態である第1のシャットダウン状態より消費電力が低い第2のシャットダウン状態において、前記メイン制御部に電力供給を停止して、前記第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力を前記第1の構成要素に供給し、前記第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記第2の構成要素への前記動作電力の供給を停止してもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記サブ制御部は、前記第1のシャットダウン状態において、前記メイン制御部に電力供給を停止して、前記第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力を前記第1の構成要素に供給し、前記第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記動作電力を前記第2の構成要素に供給してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記サブ制御部は、シャットダウン状態に移行する際に、前記シャットダウン状態からの復帰イベントが設定されている場合に、前記第1のシャットダウン状態に移行する制御を実行し、前記復帰イベントが設定されていない場合に、前記第2のシャットダウン状態に移行する制御を実行してもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記第1のシャットダウン状態と、前記第2のシャットダウン状態とのいずれかを実行するかを示す状態情報を記憶する状態情報記憶部を備え、前記メイン制御部は、シャットダウン状態への移行要求に応じて、前記復帰イベントが設定されているか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記状態情報を前記状態情報記憶部に記憶させ、前記サブ制御部は、前記状態情報記憶部が記憶する前記状態情報に基づいて、前記第1のシャットダウン状態と、前記第2のシャットダウン状態とのいずれかに移行する制御を実行してもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記第1の構成要素には、USB(Universal Serial Bus)を動作させるための構成要素が含まれてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、複数の構成要素と、前記複数の構成要素に動作電力の供給と停止とを切り替え可能な電源回路部と、前記複数の構成要素のうち、外部との間での電力の供給に関連する第1の構成要素であって、前記電源回路部から、前記動作電力を直接供給される第1の構成要素と、前記複数の構成要素のうち、前記外部との間での電力の供給に関連しない第2の構成要素と、前記電源回路部と前記第2の構成要素との間に接続され、前記第2の構成要素に、前記電源回路部から供給された前記動作電力の供給と停止とを切り替え可能なスイッチ部と、OS(Operating System)に基づく情報処理を実行するメイン制御部に電力供給が停止した状態で動作可能なサブ制御部と、を備える情報処理装置の制御方法であって、前記サブ制御部が、第1の制御信号により、前記電源回路部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、第2の制御信号により、前記スイッチ部による前記動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、省電力化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態によるノートPCの主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態によるノートPCの電源部の詳細の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態によるノートPCのシャットダウン状態における制御信号の状態の一例を示す図である。
図4】本実施形態によるノートPCのシャットダウン状態におけるコンポーネントの状態の一例を示す図である。
図5】本実施形態によるノートPCのシャットダウン状態における付加機能の一例を示す図である。
図6】本実施形態によるノートPCの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による情報処理装置、及び制御方法について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態によるノートPC1の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
図1に示すように、ノートPC1(ノートブック型パーソナルコンピュータ)は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、HDD23と、オーディオシステム24と、WLANモジュール25と、USBコネクタ26と、SoC部27と、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、電源部33とを備える。なお、本実施形態において、情報処理装置の一例として、ノートPC1について説明する。
【0017】
なお、本実施形態において、CPU11と、チップセット21とは、メイン制御部10に対応する。
また、本実施形態では、情報処理装置の一例として、ノートPC1について説明する。
【0018】
CPU(Central Processing Unit)11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、ノートPC1全体を制御している。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、BIOS(Basic Input Output System)、OS(Operating System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0019】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0020】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0021】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。図1では、デバイスの例示として、BIOSメモリ22と、HDD23と、オーディオシステム24と、WLANモジュール25と、USBコネクタ26と、SoC部27とが、チップセット21に接続されている。
【0022】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0023】
HDD(Hard Disk Drive)23(不揮発性記憶装置の一例)は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
【0024】
オーディオシステム24は、例えば、オーディオコーデックであり、音データの記録、再生、出力を行う。
【0025】
WLAN(Wireless Local Area Network)モジュール25は、ワイヤレス(無線)LANにより、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANモジュール25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生し、ノートPC1のシャットアウト状態からのウェイクアップ(復帰)に利用可能である。
【0026】
USBコネクタ26は、USB(Universal Serial Bus)を利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。本実施形態では、ノートPC1は、USBコネクタ26として、Type-Aコネクタと、TypeCコネクタとの両方を備えているものとする。
【0027】
SoC(System On a Chip)部27は、例えば、INTEL SoCであり、メイン制御部10のスリープモードを制御するとともに、タイマ(例えば、RTC、ACPI、等)の制御を行う。SoC部27は、チップセット21の一部であってもよい。
【0028】
エンベデッドコントローラ31(サブ制御部の一例)は、ノートPC1のシステム状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等のコンポーネント)を監視し制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。また、エンベデッドコントローラ31は、電源部33を制御する電源管理機能を有している。なお、エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM(フラッシュROMなど)、RAMなどで構成されるとともに、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備えている。エンベデッドコントローラ31には、それらの入出力端子を介して、例えば、入力部32、電源部33などが接続されており、エンベデッドコントローラ31は、これらの動作を制御する。エンベデッドコントローラ31は、メイン制御部10とは独立した組み込み制御部であり、メイン制御部10に電力供給が停止した状態で動作可能である。
【0029】
入力部32は、例えば、キーボード、ポインティング・デバイス、タッチパッド、電源スイッチ(起動スイッチ)などの入力デバイスである。入力部32は、例えば、電源スイッチ(起動スイッチ)が押下されることで、シャットダウン状態からの復帰(ノートPC1の再起動)が可能である。
【0030】
電源部33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、電池ユニット(バッテリ)などを含んでおり、ノートPC1を動作させるための電力を供給する。電源部33は、外付けのAC/DCアダプタ、又は電池ユニットから供給される直流電圧を、ノートPC1を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源部33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、ノートPC1の各部に電力を供給する。
本実施形態における電源部33の詳細については後述する。
【0031】
なお、本実施形態において、電源部33から電力の供給を受ける各デバイスを、コンポーネント(構成要素)として定義する。すなわち、ノートPC1は、複数のコンポーネント(構成要素)を備えている。
【0032】
次に、図2を参照して、本実施形態によるノートPC1の電源部33の詳細について説明する。
図2は、本実施形態によるノートPC1の電源部33の詳細の一例を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、ノートPC1は、USBコネクタ26と、グループG1のコンポーネントと、グループG2のコンポーネントと、メイン制御部10と、エンベデッドコントローラ31と、電源回路部40と、ロードスイッチ部61と、ダイオード(62、63)と、FET(64、65、66、67)とを備える。
【0034】
電源回路部40は、複数のコンポーネントに動作電力の供給と停止とを切り替え可能であり、USBコネクタ26のUSBTYPE-Cコネクタ26Aを介してノートPC1に接続されているACアダプタ50から供給された電力を各種電圧に変換して、各種電圧に対応するコンポーネントに供給する。
【0035】
電源回路部40は、バッテリ401と、バックブーストチャージ部402と、FET403と、LDO(404、409)と、5VDC/DC電源回路405と、3.3VDC/DC電源回路406と、1.8VDC/DC電源回路407と、その他DC/DC電源回路408と、コイン電池410とを備える。
【0036】
バッテリ401は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、ACアダプタ50から供給された電力を充電して、例えば、ACアダプタ50がノートPC1に接続されていない場合に、バッテリ401から電源部33の各部に電力の供給を行う。
【0037】
バックブーストチャージ部402は、FET403を制御して、バッテリ401の充放電を制御する。また、バックブーストチャージ部402は、例えば、バッテリ401又はUSBコネクタ26に接続されたデバイスに対して、急速充電を行う場合の充電電力を生成して、充電時に供給する。
【0038】
FET(Field Effect Transistor)403は、バックブーストチャージ部402の制御により、バッテリ401の充電及び放電を切り替える。
【0039】
LDO404は、例えば、Low Dropout型のレギュレータであり、ACアダプタ50又はバッテリ401から供給される電力から、エンベデッドコントローラ31の動作電力(動作電圧)を生成する。
【0040】
5VDC/DC電源回路405は、ACアダプタ50又はバッテリ401から供給される電力から、5V系の動作電力を生成する。
3.3VDC/DC電源回路406は、ACアダプタ50又はバッテリ401から供給される電力から、3.3V系の動作電力を生成する。
【0041】
1.8VDC/DC電源回路407は、ACアダプタ50又はバッテリ401から供給される電力から、1.8V系の動作電力を生成する。
その他DC/DC電源回路408は、ACアダプタ50又はバッテリ401から供給される電力から、その他の電圧系の動作電力を生成する。
【0042】
なお、5VDC/DC電源回路405及び3.3VDC/DC電源回路406は、制御信号S1により、コンポーネントに動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。
また、1.8VDC/DC電源回路407及びその他DC/DC電源回路408は、制御信号S1により、コンポーネントに動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。
【0043】
LDO409は、例えば、Low Dropout型のレギュレータであり、ACアダプタ50又はバッテリ401から供給される電力から、SoC部27のRTCタイマ273、等の動作電力(動作電圧)を生成する。
コイン電池410は、例えば、コイン型リチウム電池であり、SoC部27のRTCタイマ273、等の動作電力(動作電圧)を供給する。
【0044】
グループG1のコンポーネント(第1の構成要素)は、複数のコンポーネントのうち、外部との間での電力の供給に関連する第1グループのコンポーネントであって、電源回路部40から、動作電力を直接供給される。グループG1のコンポーネントには、例えば、USBを動作させるためのコンポーネントが含まれる。
【0045】
本実施形態では、グループG1のコンポーネントには、USBPDコントローラ81と、USBType-A充電部82と、TBTRetimer83とが含まれる。
USBPDコントローラ81は、例えば、USB Type-CのPower Delivery規格に対応したコントローラICであり、例えば、USBTYPE-Cコネクタ26Bに接続されたデバイスとの間で、パワー供給に関するネゴシエーションを行い、USBポートの設定を決定する。また、USBPDコントローラ81は、FET64、FET65、FET66、及びFET67を制御して、USBType-Cコネクタ(26A、26B)に接続されたデバイスとの間の電力供給を制御する。
【0046】
USBPDコントローラ81は、5VDC/DC電源回路405及び3.3VDC/DC電源回路406から動作電力を供給される。
USBType-A充電部82は、USB Type-Aポート用の充電電力を生成する。USBType-A充電部82は、5VDC/DC電源回路405から動作電力を供給される。
【0047】
TBTRetimer83は、例えば、ThunderboltのRetimerICであり、USBType-Cコネクタ(26A、26B)に接続されているデバイスの設定情報を記憶する。TBTRetimer83は、3.3VDC/DC電源回路406から動作電力を供給される。
【0048】
グループG2のコンポーネント(第2の構成要素)は、複数のコンポーネントのうち、外部との間での電力の供給に関連しない第2グループのコンポーネントである。
本実施形態では、グループG2のコンポーネントには、オーディオシステム24と、WLANモジュール25と、SoC部27と、センサ部71と、TPM72とが含まれる。
【0049】
センサ部71は、各種センサであり、1.8VDC/DC電源回路407から動作電力を供給される。
TPM72は、例えば、TPM(Trusted Platform Module)2.0の仕様に準拠したセキュリティチップであり、パスワードや暗号化キー、セキュリティ証明書などを生成して、それらを管理する。TPM72は、1.8VDC/DC電源回路407から動作電力を供給される。
【0050】
オーディオシステム24は、1.8VDC/DC電源回路407から動作電力を供給される。
また、WLANモジュール25は、ロードスイッチ部61を介して、3.3VDC/DC電源回路406から動作電力が供給される。
【0051】
SoC部27は、ロードスイッチ部61を介して、3.3VDC/DC電源回路406から動作電力が供給されるとともに、1.8VDC/DC電源回路407及びその他DC/DC電源回路408から動作電力を供給される。
また、SoC部27は、ダイオード62及びダイオード63を介して、LDO409又はコイン電池410から動作電力を供給される。
【0052】
SoC部27は、BIOSセットアップメニュー情報記憶部271と、ACPIタイマ272と、RTCタイマ273とを備える。
BIOSセットアップメニュー情報記憶部271は、例えば、SoC部27が備える不図示のRAM等により実現される記憶部である。BIOSセットアップメニュー情報記憶部271は、BIOSセットアップメニューにより設定された設定情報(例えば、ウェイクアップのイベント設定、等)を記憶する。
【0053】
ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)タイマ272は、電源管理用のタイマであり、例えば、シャットダウン状態などのパワーダウン状態からの復帰に利用される。
【0054】
RTC(Real Time Clock)タイマ273は、リアルタイムクロックによるタイマであり、例えば、シャットダウン状態などのパワーダウン状態からの復帰に利用される。RTCタイマ273は、LDO409又はコイン電池410から供給される電力により動作する。
【0055】
ロードスイッチ部61(スイッチ部の一例)は、電源回路部40とグループG2のコンポーネント(例えば、WLANモジュール25及びSoC部27)との間に接続され、グループG2のコンポーネントに、電源回路部40から供給された動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。ロードスイッチ部61は、エンベデッドコントローラ31から出力された制御信号S2により、電源回路部40から供給された動作電力の供給と停止とを切り替える。
【0056】
WLANモジュール25及びSoC部27は、ロードスイッチ部61を介して、電源回路部40の3.3VDC/DC電源回路406から動作電力が供給される。
また、オーディオシステム24、SoC部27、センサ部71、及びTPM72は、電源回路部40の1.8VDC/DC電源回路407から直接、動作電力が供給される。
【0057】
なお、グループG2のコンポーネントには、電源回路部40から直接、動作電力を供給されるグループG3のコンポーネント(オーディオシステム24、SoC部27、センサ部71、及びTPM72)が含まれる。
【0058】
メイン制御部10は、CPU11及びチップセット21に、BIOSメモリ22及びHDD23が記憶するプログラムを実行させることで実現される機能部であり、BIOS又はOSに基づくノートPC1の各種情報処理を実行する。
メイン制御部10は、OS処理部101と、BIOS処理部102とを備える。
【0059】
OS処理部101は、CPU11及びチップセット21に、HDD23が記憶するOSプログラムを実行させることで実現される機能部であり、OS(例えば、Windows(登録商標))に基づく処理を実行する。
【0060】
BIOS処理部102は、CPU11及びチップセット21に、BIOSメモリ22が記憶するBIOSプログラムを実行させることで実現される機能部であり、BIOS処理を実行する。
【0061】
BIOS処理部102は、シャットダウン状態に移行させる際に、SoC部27のBIOSセットアップメニュー情報記憶部271の設定情報を確認し、ウェイクアップイベント(復帰イベント)が設定されている場合に、後述するエンベデッドコントローラ31の状態情報記憶部311に、例えば、“1”を記憶させる。
また、BIOS処理部102は、シャットダウン状態に移行させる際に、SoC部27のBIOSセットアップメニュー情報記憶部271の設定情報を確認し、ウェイクアップイベント(復帰イベント)が設定されていない場合に、後述するエンベデッドコントローラ31の状態情報記憶部311に、例えば、“0”を記憶させる。
【0062】
エンベデッドコントローラ31は、メイン制御部10に電力供給が停止した状態で動作可能であり、LDO404から動作電力を供給される。エンベデッドコントローラ31は、制御信号S1(第1の制御信号)により、電源回路部40(例えば、5VDC/DC電源回路405及び3.3VDC/DC電源回路406)による動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、制御信号S2(第2の制御信号)により、ロードスイッチ部61による動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する。また、エンベデッドコントローラ31は、制御信号S2により、電源回路部40の1.8VDC/DC電源回路407及びその他DC/DC電源回路408による動作電力の供給と停止とを切り替える。
【0063】
エンベデッドコントローラ31は、通常のシャットダウン状態である通常シャットダウン(第1のシャットダウン状態)より消費電力が低いECOシャットダウン(第2のシャットダウン状態)において、メイン制御部10に電力供給を停止して、制御信号S1により、電源回路部40による動作電力をグループG1のコンポーネントに供給し、制御信号S2により、ロードスイッチ部61によるグループG2のコンポーネント(例えば、WLANモジュール25及びSoC部27)への動作電力の供給を停止する。
【0064】
また、エンベデッドコントローラ31は、ECOシャットダウンにおいて、制御信号S2により、グループG2のコンポーネントのうちのグループG3のコンポーネント(オーディオシステム24、SoC部27、センサ部71、及びTPM72)への動作電力の供給を停止する。
【0065】
また、エンベデッドコントローラ31は、通常シャットダウンにおいて、メイン制御部10に電力供給を停止して、制御信号S1により、電源回路部40による動作電力をグループG1のコンポーネントに供給し、制御信号S2により、ロードスイッチ部61による動作電力をグループG2のコンポーネントに供給する。すなわち、エンベデッドコントローラ31は、通常シャットダウンにおいて、制御信号S1及び制御信号S2により、グループG1及びグループG2の両方のコンポーネントに動作電力を供給する。
【0066】
ここで、図3を参照して、通常シャットダウン及びECOシャットダウンにおける制御信号の状態について説明する。
図3は、本実施形態によるノートPC1のシャットダウン状態における制御信号の状態の一例を示す図である。
【0067】
図3に示すように、エンベデッドコントローラ31は、通常シャットダウンにおいて、制御信号S1及び制御信号S2を“ON”状態に制御する。また、エンベデッドコントローラ31は、ECOシャットダウンにおいて、制御信号S1を“ON”状態に制御するとともに、制御信号S2を“OFF”状態に制御する。
【0068】
なお、エンベデッドコントローラ31は、電源OFFの状態に相当するMoff状態において、制御信号S1及び制御信号S2を“OFF”状態に制御する。エンベデッドコントローラ31は、例えば、シャットダウン状態に移行する際に、ACアダプタ50がノートPC1に接続されていない場合、又はシャットダウン状態において、ACアダプタ50がノートPC1から外された場合に、Moff状態に移行させる制御を実行する。
【0069】
また、図4は、本実施形態によるノートPC1のシャットダウン状態におけるコンポーネントの状態の一例を示す図である。
エンベデッドコントローラ31が、図3に示す制御を行うことで、各コンポーネントの状態は、図4に示すように設定される。
【0070】
図4に示すように、通常シャットダウンにおいて、SoC部27、WLANモジュール25、オーディオシステム24、TPM72、センサ部71、USBType-A充電部82、USBPDコントローラ81、及びTBTRetimer83は、動作電力が供給されて、動作可能な“ON”状態(動作状態)となる。
【0071】
また、ECOシャットダウンにおいて、SoC部27、WLANモジュール25、オーディオシステム24、TPM72、及びセンサ部71は、動作電力が供給されず、動作不可能な“OFF”状態(停止状態)となる。また、USBType-A充電部82、USBPDコントローラ81、及びTBTRetimer83は、動作電力が供給されて、動作可能な“ON”状態(動作状態)となる。
【0072】
なお、ECOシャットダウンにおいて、USBType-A充電部82、USBPDコントローラ81、及びTBTRetimer83が、動作可能な“ON”状態(動作状態)であるため、例えば、USBコネクタ26に接続されたデバイスに対して、電力(例えば、充電電力)を供給可能である。
【0073】
図2の説明に戻り、エンベデッドコントローラ31は、シャットダウン状態に移行する際に、シャットダウン状態からの復帰イベントが設定されている場合に、通常シャットダウンに移行する制御を実行し、復帰イベントが設定されていない場合に、ECOシャットダウンに移行する制御を実行する。ここで、復帰イベントには、例えば、RTCタイマウェイク、ACPIタイマウェイク、USBウェイク、LANによるウェイク、WLANによるウェイク、及びエンベデッドコントローラ31(EC)によるウェイクなどが含まれる。
【0074】
なお、エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311を備える。
状態情報記憶部311は、通常シャットダウンと、ECOシャットダウンとのいずれかを実行するかを示す状態情報を記憶する。状態情報記憶部311は、例えば、エンベデッドコントローラ31内のインタフェースレジスタの1ビットであり、通常シャットダウンを実行する場合に、“1”が記憶され、ECOシャットダウンを実行する場合に、“0”が記憶される。
【0075】
エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311が記憶する状態情報に基づいて、通常シャットダウンと、ECOシャットダウンとのいずれかに移行する制御を実行する。すなわち、エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311に“1”が記憶されている場合に、通常シャットダウンに移行する制御を実行する。また、エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311に“0”が記憶されている場合に、ECOシャットダウンに移行する制御を実行する。
【0076】
なお、エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311に“0”が記憶されている場合において、ME(Management Engine)機能がM3状態である場合に、通常シャットダウンに移行する制御を実行する。
【0077】
ここで、図5を参照して、本実施形態によるノートPC1のシャットダウン状態における付加機能(オプション機能)について説明する。
図5は、本実施形態によるノートPC1のシャットダウン状態における付加機能の一例を示す図である。
【0078】
図5に示すように、ノートPC1は、通常シャットダウンにおいて、ME機能(M3状態)、RTCタイマウェイクアップ、ACPIタイマウェイクアップ、USBウェイクアップ、LANによるウェイクアップ、WLANによるウェイクアップ、エンベデッドコントローラ31(EC)によるウェイクアップ、及びUSBポートによる充電、等の付加機能(オプション機能)を使用可能である。
【0079】
また、ノートPC1は、ECOシャットダウンにおいて、ME機能(M3状態)、RTCタイマウェイクアップ、ACPIタイマウェイクアップ、USBウェイクアップ、LANによるウェイクアップ、WLANによるウェイクアップの付加機能(オプション機能)が使用不可である。また、ノートPC1は、ECOシャットダウンにおいて、エンベデッドコントローラ31(EC)によるウェイクアップ、及びUSBポートによる充電の付加機能(オプション機能)を使用可能である。
【0080】
次に、図面を参照して、本実施形態によるノートPC1の動作について説明する。
図6は、本実施形態によるノートPC1の動作の一例を示すフローチャートである。
ここでは、図6を参照して、ノートPC1が、シャットダウン状態に移行する際の動作について説明する。
【0081】
図6に示すように、ノートPC1のメイン制御部10は、OSのメニューからシャットダウンが選択されたか否かを判定する(ステップS101)。メイン制御部10のOS処理部101は、利用者によって、OSのメニューからシャットダウンが選択された(シャットダウンの移行要求がされた)か否かを判定する。OS処理部101は、シャットダウンが選択された場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、OS処理部101は、シャットダウンが選択されていない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0082】
ステップS102において、OS処理部101は、シャットダウンの移行要求に応じて、OSからBIOSにシャットダウン状態の移行を依頼する。OS処理部101は、BIOS処理部102に対して、シャットダウン状態の移行処理を依頼する。
【0083】
次に、BIOS処理部102は、シャットダウンからのウェイクの許可設定があるか否かを判定する(ステップS103)。BIOS処理部102は、SoC部27のBIOSセットアップメニュー情報記憶部271を確認して、メニュー情報に、ウェイクの許可設定(復帰イベントの許可設定)があるか否かを判定する。BIOS処理部102は、ウェイクの許可設定(復帰イベントの許可設定)がある場合(ステップS103:YES)に、処理をステップS104に進める。また、BIOS処理部102は、ウェイクの許可設定(復帰イベントの許可設定)がない場合(ステップS103:NO)に、処理をステップS105に進める。
【0084】
ステップS104において、BIOS処理部102は、状態情報記憶部311に“1”を記憶させる。すなわち、BIOS処理部102は、エンベデッドコントローラ31のインタフェースレジスタである状態情報記憶部311に“1” を記憶させる。ステップS104の処理後に、BIOS処理部102は、処理をステップS107に進める。
【0085】
また、ステップS105において、BIOS処理部102は、ウェイクタイマが動作中であるか否かを判定する。BIOS処理部102は、SoC部27を確認し、RTCタイマ273、又はACPIタイマ272が動作中であるか否かを判定する。BIOS処理部102は、ウェイクタイマが動作中である場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS104に進める。また、BIOS処理部102は、ウェイクタイマが動作中でない場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS106に進める。
【0086】
ステップS106において、BIOS処理部102は、状態情報記憶部311に“0”を記憶させる。ステップS106の処理後に、BIOS処理部102は、処理をステップS107に進める。
【0087】
ステップS107において、BIOSが、SoC部27にS5状態への移行を依頼する。すなわち、BIOS処理部102は、SoC部27にS5状態(シャットダウン状態)への移行を依頼する。
【0088】
次に、SoC部27が、ノートPC1をスリープ状態に設定し、エンベデッドコントローラ31にシャッドダウンを依頼する(ステップS108)。SoC部27は、例えば、スリープ信号(SLP_S3#及びSLP_S4#)をLow状態にしてメイン制御部10の主要部への動作電力の供給を停止する制御を実行し、エンベデッドコントローラ31にシャッドダウン状態への移行を依頼する。
【0089】
次に、エンベデッドコントローラ31は、M3状態であるか否かを判定する(ステップS109)。エンベデッドコントローラ31は、ME機能のM3状態であることを示すSLP_A#の信号がHigh状態であるか否かを判定する。エンベデッドコントローラ31は、M3状態である場合(ステップS109:YES)に、処理をステップS110に進める。また、エンベデッドコントローラ31は、M3状態でない場合(ステップS109:NO)に、処理をステップS111に進める。
【0090】
ステップS110において、エンベデッドコントローラ31は、通常シャットダウンにする。すなわち、エンベデッドコントローラ31は、制御信号S1を、電力供給を“ON”状態にするHigh状態に制御するとともに、制御信号S2を、電力供給を“ON”状態にするHigh状態に制御する。ステップS110の処理後に、エンベデッドコントローラ31は、処理をステップS113に進める。
【0091】
ステップS111において、エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311に“1”が記憶されているか否かを判定する。エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311に“1”が記憶されている場合(ステップS111:YES)に、処理をステップS110に進める。また、エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311に“0”が記憶されている場合(ステップS111:NO)に、処理をステップS112に進める。
【0092】
ステップS112において、エンベデッドコントローラ31は、ECOシャットダウンにする。すなわち、エンベデッドコントローラ31は、制御信号S1を、電力供給を“ON”状態にするHigh状態に制御するとともに、制御信号S2を、電力供給を“OFF”状態にするLow状態に制御する。ステップS112の処理後に、エンベデッドコントローラ31は、処理をステップS113に進める。
【0093】
ステップS113において、エンベデッドコントローラ31は、ACアダプタ50が接続中であるか否かを判定する。エンベデッドコントローラ31は、ACアダプタ50が接続中である場合(ステップS113:YES)に、処理をステップS114に進める。また、エンベデッドコントローラ31は、ACアダプタ50が接続中でない場合(ステップS113:NO)に、シャットダウン状態への移行処理を終了する。
【0094】
ステップS114において、エンベデッドコントローラ31は、Moff状態にする。すなわち、エンベデッドコントローラ31は、制御信号S1を、電力供給を“OFF”状態にするLow状態に制御するとともに、制御信号S2を、電力供給を“OFF”状態にするLow状態に制御する。ステップS114の処理後に、エンベデッドコントローラ31は、シャットダウン状態への移行処理を終了する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、複数のコンポーネント(構成要素)と、電源回路部40と、グループG1のコンポーネント(第1の構成要素)と、グループG2のコンポーネント(第2の構成要素)と、ロードスイッチ部61(スイッチ部)と、エンベデッドコントローラ31(サブ制御部)とを備える。電源回路部40は、複数のコンポーネントに動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。グループG1のコンポーネント(例えば、USBPDコントローラ81、USBType-A充電部82、及びTBTRetimer83)は、複数のコンポーネントのうち、外部との間での電力の供給に関連するグループのコンポーネントであって、電源回路部40から、動作電力を直接供給される。グループG2のコンポーネント(例えば、WLANモジュール25及びSoC部27)は、複数のコンポーネントのうち、外部との間での電力の供給に関連しない。ロードスイッチ部61は、電源回路部40とグループG2のコンポーネントとの間に接続され、グループG2のコンポーネントに、電源回路部40から供給された動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。エンベデッドコントローラ31は、OSに基づく情報処理を実行するメイン制御部10に電力供給が停止した状態で動作可能である。そして、エンベデッドコントローラ31は、制御信号S1(第1の制御信号)により、電源回路部40による動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、制御信号S2(第2の制御信号)により、ロードスイッチ部61による動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する。
【0096】
これにより、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、外部との間での電力の供給に関連するグループG1のコンポーネント(第1の構成要素)に動作電力を供給した状態で、ロードスイッチ部61により、グループG2のコンポーネントへの動作電力の供給を停止することができる。そのため、本実施形態によるノートPC1は、通常のシャットダウン状態よりもさらに消費電流を低減したシャットダウン状態(ECOシャットダウン)を実現することができ、省電力化を行うことができる。
【0097】
本実施形態によるノートPC1は、従来の構成に、ロードスイッチ部61を追加して、エンベデッドコントローラ31による制御信号S2により制御することで、通常のシャットダウン状態よりもさらに消費電流を低減したシャットダウン状態(ECOシャットダウン)を実現することができる。
【0098】
また、本実施形態では、エンベデッドコントローラ31は、通常のシャットダウン状態である通常シャットダウン(第1のシャットダウン状態)より消費電力が低いECOシャットダウン(第2のシャットダウン状態)において、メイン制御部10に電力供給を停止して、制御信号S1により、電源回路部40による動作電力をグループG1のコンポーネントに供給し、制御信号S2により、ロードスイッチ部61によるグループG2のコンポーネントへの動作電力の供給を停止する。
【0099】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、制御信号S1と制御信号S2との2つの制御信号による簡易な制御により、省電力化の効果の大きいECOシャットダウン(第2のシャットダウン状態)を実現することができる。
【0100】
また、本実施形態では、エンベデッドコントローラ31は、通常シャットダウンにおいて、メイン制御部10に電力供給を停止して、制御信号S1により、電源回路部40による動作電力をグループG1のコンポーネントに供給し、制御信号S2により、ロードスイッチ部61による動作電力をグループG2のコンポーネントに供給する。
【0101】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、ECOシャットダウン(第2のシャットダウン状態)の他に、通常シャットダウン(第1のシャットダウン状態)を切り替えて使用することができる。
【0102】
また、本実施形態では、エンベデッドコントローラ31は、シャットダウン状態に移行する際に、シャットダウン状態からの復帰イベントが設定されている場合に、通常シャットダウンに移行する制御を実行し、復帰イベントが設定されていない場合に、ECOシャットダウンに移行する制御を実行する。
【0103】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、復帰イベントが設定されている場合に、通常シャットダウンに移行する制御を実行するため、ECOシャットダウンに対応させつつ、設定した復帰イベントにより復帰可能な通常シャットダウンと切り替えて使用することができる。
【0104】
また、本実施形態によるノートPC1は、通常シャットダウンと、ECOシャットダウンとのいずれかを実行するかを示す状態情報を記憶する状態情報記憶部311を備える。メイン制御部10は、シャットダウン状態への移行要求に応じて、復帰イベントが設定されているか否かを判定し、判定結果に基づいて、状態情報を状態情報記憶部311に記憶させる。エンベデッドコントローラ31は、状態情報記憶部311が記憶する状態情報(例えば、“1”又は“0”)に基づいて、通常シャットダウンと、ECOシャットダウンとのいずれかに移行する制御を実行する。
【0105】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、エンベデッドコントローラ31において、状態情報記憶部311を用いるという簡易な手法により、通常シャットダウンと、ECOシャットダウンとを適切に切り替えることができる。
【0106】
また、本実施形態では、グループG1のコンポーネントには、USBを動作させるためのコンポーネントが含まれる。
これにより、本実施形態によるノートPC1は、USBを動作させた状態で、通常シャットダウンより省電力なECOシャットダウンを実現することができる。
【0107】
また、本実施形態による制御方法は、複数のコンポーネント(構成要素)と、電源回路部40と、グループG1のコンポーネント(第1の構成要素)と、グループG2のコンポーネント(第2の構成要素)と、ロードスイッチ部61(スイッチ部)と、エンベデッドコントローラ31(サブ制御部)とを備えるノートPC1の制御方法であって、制御ステップを含む。電源回路部40は、複数のコンポーネントに動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。グループG1のコンポーネント(例えば、USBPDコントローラ81、USBType-A充電部82、及びTBTRetimer83)は、複数のコンポーネントのうち、外部との間での電力の供給に関連するグループのコンポーネントであって、電源回路部40から、動作電力を直接供給される。グループG2のコンポーネント(例えば、WLANモジュール25及びSoC部27)は、複数のコンポーネントのうち、外部との間での電力の供給に関連しない。ロードスイッチ部61は、電源回路部40とグループG2のコンポーネントとの間に接続され、グループG2のコンポーネントに、電源回路部40から供給された動作電力の供給と停止とを切り替え可能である。エンベデッドコントローラ31は、OSに基づく情報処理を実行するメイン制御部10に電力供給が停止した状態で動作可能である。制御ステップにおいて、エンベデッドコントローラ31が、制御信号S1により、電源回路部40による動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行し、制御信号S2により、ロードスイッチ部61による動作電力の供給と停止とを切り替える制御を実行する。
【0108】
これにより、本実施形態による制御方法は、上述したノートPC1と同様の効果を奏し、通常のシャットダウン状態よりもさらに消費電流を低減したシャットダウン状態(ECOシャットダウン)を実現することができ、省電力化を行うことができる。
【0109】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、情報処理装置がノートPC1である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、タブレット端末装置、デスクトップPCなどの他の情報処理装置であってもよい。
【0110】
また、上記の実施形態において、外部との間での電力の供給に関連するグループG1のコンポーネント(第1の構成要素)の一例として、USBに関連するコンポーネントに適用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他のインタフェース(他のI/O)に関連するコンポーネントを、グループG1のコンポーネント(第1の構成要素)としてもよい。
【0111】
また、上記の実施形態において、ロードスイッチ部61を、3.3VDC/DC電源回路406の出力線に挿入する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の電源回路に挿入してもよい。
【0112】
また、上記の実施形態において、ノートPC1は、ロードスイッチ部61を1つ備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数のロードスイッチ部61を備えるようにしてもよい。
【0113】
また、上記の実施形態において、ACアダプタ50をUSBType-Cコネクタ26Aに接続する例を説明したが、これに限定されるものではない。ACアダプタ50は、専用の電源供給ポートに接続されてもよいし、他のインタフェースのポートに接続されてもよい。
【0114】
なお、上述したノートPC1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したノートPC1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述したノートPC1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0115】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後にノートPC1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0116】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 ノートPC
10 メイン制御部
11 CPU
12 メインメモリ
13 ビデオサブシステム
14 表示部
21 チップセット
22 BIOSメモリ
23 HDD
24 オーディオシステム
25 WLANモジュール
26、26A、26B USBコネクタ
27 SoC部
31 エンベデッドコントローラ(EC)
32 入力部
33 電源部
40 電源回路部
50 ACアダプタ
61 ロードスイッチ部
62、63 ダイオード
64、65、66、67、403 FET
71 センサ部
72 TPM
81 USBPDコントローラ
82 USBTYPE-A充電部
83 TBTRtimer
101 OS処理部
102 BIOS処理部
271 BIOSセットアップメニュー情報記憶部
272 ACPTタイマ
273 RTCタイマ
311 状態情報記憶部
401 バッテリ
402 バックブーストチャージ部
404、409 LDO
405 5VDC/DC電源回路
406 3.3VDC/DC電源回路
407 1.8VDC/DC電源回路
408 その他DC/DC電源回路
408 その他DC/DC電源回路
410 コイン電池
【要約】      (修正有)
【課題】省電力化を行う情報処理装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】ノートPC1などの情報処理装置は、複数の構成要素と、複数の構成要素に動作電力の供給と停止とを切り替え可能な電源回路部40と、複数の構成要素のうち、外部との間での電力の供給に関連し、電源回路部から、動作電力を直接供給されるグループG1と、外部との間での電力の供給に関連しないグループG2と、電源回路部とグループG2との間に接続され、グループG2に電源回路部から供給された動作電力の供給と停止とを切り替え可能なロードスイッチ部61と、メイン制御部10に電力供給が停止した状態で動作可能なサブ制御部(エンベデッドコントローラ31)と、を備える。サブ制御部は、第1の制御信号S1により、電源回路部による動作電力の供給と停止とを切り替え、第2の制御信号S2により、ロードスイッチ部による動作電力の供給と停止とを切り替える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6