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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】マウス及び交換用支持キット
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20241015BHJP
   G06F 3/039 20130101ALI20241015BHJP
【FI】
G06F3/0354 441
G06F3/039
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023183004
(22)【出願日】2023-10-25
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】多部田 敦己
(72)【発明者】
【氏名】平田 清隆
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3129083(JP,U)
【文献】特開2013-061855(JP,A)
【文献】特開2001-265527(JP,A)
【文献】実開平05-017732(JP,U)
【文献】米国特許第5543821(US,A)
【文献】「EXPERT MOUSE ボールローラー化のあれこれ雑談」,YouTube [online video],2022年07月16日,https://www.youtube.com/watch?v=fV0BYZE_cyQ,1:13:08-1:14:14を参照。,[2024年5月9日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
G06F 3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容部を有するマウス本体と、
前記収容部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備え、
前記収容部は、外方へ向けて開口し、内部にボール体を収容可能となるよう内方へ凹設される収容凹部と、前記収容凹部に設けられ、前記収容凹部に収容したボール体を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記収容凹部に対して着脱可能に構成され、
前記収容凹部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる支持取付部を備え、
前記支持部材は、前記支持取付部に着脱可能な基部と、前記基部に設けられ、前記収容凹部に収容された前記ボール体を支持する支持部と、を備え、
前記支持取付部は、前記収容凹部内に凹設される取付凹部を含み、
前記支持部材は、前記基部が前記取付凹部に嵌め込みまたは抜き取られることで、前記支持取付部に対して着脱可能となる、マウス。
【請求項2】
コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容凹部を有するマウス本体と、
前記収容凹部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備えるマウスであって、
前記収容凹部は、該収容凹部に収容したボール体を支持する支持部材が着脱可能に取り付けられる支持取付部を備え、
前記支持取付部は、前記収容凹部内に凹設される取付凹部を含むマウスに適用される交換用支持キットであって、
前記支持部材を含み、
前記支持部材は、前記支持取付部に着脱可能な基部と、前記基部に設けられ、前記収容凹部に収容された前記ボール体を支持する支持部と、を備え、前記基部が前記取付凹部に嵌め込みまたは抜き取られることで、前記支持取付部に対して着脱可能となる、交換用支持キット。
【請求項3】
コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容部を有するマウス本体と、
前記収容部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備え、
前記収容部は、外方へ向けて開口し、内部にボール体を収容可能となるよう内方へ凹設される収容凹部と、前記収容凹部に設けられ、前記収容凹部に収容したボール体を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記収容凹部に対して着脱可能に構成され、
前記収容凹部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる支持取付部を備え、
前記支持部材は、前記支持取付部に着脱可能な基部と、前記基部に設けられ、前記収容凹部に収容された前記ボール体を支持する支持部と、を備え、
前記支持取付部は、前記収容凹部内に凹設される取付凹部と、前記取付凹部に取り付けられた前記支持部材の基部と係止する係止部と、を含む、マウス。
【請求項4】
コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容凹部を有するマウス本体と、
前記収容凹部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備えるマウスに適用される交換用支持キットであって、
前記収容凹部の内部に対して着脱可能に構成され、収容されたボール体を支持する支持部材を含み、
前記収容凹部に取り付けられた前記支持部材に係止して、前記支持部材を前記収容凹部から取り外すのに用いられる着脱治具を含み、
前記収容凹部に備えられる支持取付部であって、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる支持取付部は、前記支持部材を前記収容凹部内に凹設される取付凹部から着脱する際に、前記着脱治具が差し込まれる差込穴を含み、
前記着脱治具は、前記差込穴から差し込まれて前記支持部材に係止する、交換用支持キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータの周辺機器として用いられるマウス及びマウスに適用される交換用支持キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータの周辺機器として用いられるマウスが公知である(特許文献1参照)。図12に示すように、マウス900は、上部が開放された箱型のケース901と、ケース901の底部に設けられた一対の軸受905,906と、軸受905,906を介して回転自在に設けられた第1、第2検出軸903,904と、ケース901の角部に回転自在に設けられたボールベアリング911と、を備える。また、マウス900は、各検出軸903,904及びボールベアリング911上に回転自在に載置して設けられるボール912と、ケース901の上部に設けられたカバー913と、電子回路基板915と、を備える。
【0003】
各軸受905,906には、各検出軸903,904の一端に設けられたフォトセンサやエンコーダ等の第1、第2回転検出器907,908が設けられる。また、第1、第2回転検出器907,908は、コンピュータ等の画面に入力する座標入力信号であるX軸出力及びY軸出力を電子回路基板915に出力する。電子回路基板915は、各回転検出器907,908からのX軸出力及びY軸出力をコンピュータに出力する。
【0004】
このマウス900では、ボール912を回転することにより各検出軸903,904が連動して回転する。また、ボール912の一部は、ケース901の上部から上方へ露出して設けられている。さらに、カバー913によって、ボール912がケース901の外へ飛び出さないように構成されている。このマウス900では、ボール912を回転させると、ボール912の回転と連動して各検出軸903,904の各回転検出器907,908が回転し、X軸出力及びY軸出力が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-215788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記マウスではボールを支持する各検出軸やボールベアリングが故障や摩耗すると、新品に買い直ししなければならずコストパフォーマンスが悪かった。
【0007】
本発明は、コストパフォーマンスが良いマウス及び交換用支持キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマウスは、コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容部を有するマウス本体と、前記収容部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備え、前記収容部は、外方へ向けて開口し、内部にボール体を収容可能となるよう内方へ凹設される収容凹部と、前記収容凹部に設けられ、前記収容凹部に収容したボール体を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記収容凹部に対して着脱可能に構成される。
【0009】
かかる構成によれば、故障や摩耗した支持部材を新しい支持部材に交換できるので、支持部材が故障や摩耗したとしてもマウスを買い直しする必要が無く、コストパフォーマンスが良い。
【0010】
また、前記マウスでは、前記収容凹部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる支持取付部を備え、前記支持部材は、前記支持取付部に着脱可能な基部と、前記基部に設けられ、前記収容凹部に収容された前記ボール体を支持する支持部と、を備えてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、支持部材を基部と支持部とを有するユニットとして交換できるので、支持部材を交換しやすい。
【0012】
また、前記マウスでは、前記支持取付部は、前記収容凹部内に凹設される取付凹部を含み、前記支持部材は、前記基部が前記取付凹部に嵌め込みまたは抜き取られることで、前記支持取付部に対して着脱可能となってもよい。
【0013】
かかる構成によれば、故障や摩耗した支持部材を取付凹部から抜き取って新しい支持部材を取付凹部に嵌め込むことで、支持部材を簡単に交換できる。
【0014】
本発明の交換用支持キットは、コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容凹部を有するマウス本体と、前記収容凹部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備えるマウスに適用される交換用支持キットであって、前記収容凹部の内部に対して着脱可能に構成され、収容されたボール体を支持する支持部材を含む。
【0015】
かかる構成によれば、交換用支持キットを購入すれば、故障や摩耗した支持部材を交換できるため、マウスのコストパフォーマンスが良い。
【0016】
また、前記交換用支持キットは、前記収容凹部に取り付けられた前記支持部材に係止して、前記支持部材を前記収容凹部から取り外すのに用いられる着脱治具を含んでもよい。
【0017】
かかる構成によれば、着脱治具を使って支持部材を簡単に着脱でき交換できる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、コストパフォーマンスが良いマウス及び交換用支持キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態に係るマウスの上面図である。
図2図2は、前記マウスの底面図である。
図3図3は、前記マウスの収容部内におけるボール体の配置を示す図である。
図4図4は、前記収容部の斜視図である。
図5図5は、図4のV-V線における断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線における断面図である。
図7図7は、前記収容部の支持部材の支持部がルビー球である構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
図8図8は、図7(a)のVIII-VIII線における断面図である。
図9図9は、前記支持部材の支持部がベアリングである構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
図10図10は、図9(a)のX-X線における断面図である。
図11図11は、前記収容部の収容凹部からの支持部材の取り外しを示す図である。
図12図12は、従来のマウスの一部切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るマウスを、図1図11を参照しつつ説明する。マウス1は、ポインティングデバイスの一種である。また、マウス1は、図示しないコンピュータの周辺機器として、例えば机上に置いた状態で用いられる。本実施形態では,マウス1は、Bluetooth(登録商標)によりコンピュータに接続されることで、ディスプレイ上の表示を操作可能である。なお、マウス1は、2.4GHz無線信号やケーブルでコンピュータに接続可能であってもよい。
【0021】
マウス1は、図1に示すように、コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容部2を有するマウス本体3と、収容部2に転動自在に収容される球状のボール体4と、を備える。なお、マウス1は、ユーザの親指がボール体4に触れることで操作可能なトラックボールマウスであるが、ユーザの人差し指がボール体4に触れることで操作可能なトラックボールマウスであってもよい。また、マウス1は、ボール体4が机上等を転がることにより操作可能なマウスであってもよい。
【0022】
ボール体4は、コンピュータに接続されたディスプレイ上のポインタの位置を操作する際に用いられる。また、ボール体4は、ユーザの指で回転操作される球体である。本実施形態では、ボール体4は、マウス本体3の左側に配置されている。さらに、ボール体4は、直径の略半分に対応する部分を収容部2に入り込ませた状態で、収容部2に支持されている。ボール体4の直径は、例えば36mmであるが、34mmでもよく、他の寸法であってもよい。
【0023】
マウス本体3は、収容部2に加えて、収容部2の右側に配置されたケース30を備える。また、マウス本体3は、ケース30にそれぞれ配置される二つの主操作キー31及びホイール32を備える。さらに、マウス本体3は、ケース30にそれぞれ配置される二つの閲覧用操作キー33、速度設定キー34、電源スイッチ35を備える。また、マウス本体3は、ボール体4の回転を検知するセンサユニット36と、センサユニット36に接続された回路基板37と、を備える。
【0024】
ケース30は、図2に示す机上等に載置される平板状のケース底部300と、図1に示すケース底部300の上に配置される椀状のケース上部301と、を備える。ケース30内には、マウス1の電源となる電池Bが収容される(図2参照)。
【0025】
ケース底部300は、電池Bの着脱の際に開閉可能な蓋302を備える。また、ケース底部300には、ボール体4を押し出し可能なケース押出穴303が設けられている。
【0026】
二つの主操作キー31は、左右に並んで配置される(図1参照)。左側に位置する主操作キー31は、左クリックに対応するキーである。右側に位置する主操作キー31は、右クリックに対応するキーである。
【0027】
ホイール32は、スクロール操作に対応するホイールである。また、ホイール32は、円板状に形成される。さらに、ホイール32は、軸心回りに回転自在とされて、その一部をケース上部301から突出させている。
【0028】
二つの閲覧用操作キー33は、左側に位置する主操作キー31よりも左側に、前後(ユーザから遠い側及びユーザーに近い側)に並んで配置される。前側に位置する閲覧用操作キー33は、閲覧履歴の新しい方へ進める(WEBブラウザの「進む」に対応する)キーである。後側に位置する閲覧用操作キー33は、閲覧履歴の古い方へ戻す(WEBブラウザの「戻る」に対応する)キーである。
【0029】
速度設定キー34は、ディスプレイにおけるポインタの速度を設定するキーである。本実施形態では、速度設定キー34は、低速、中速、高速の三段階の設定速度選択位置に切替え移動可能な操作片である。
【0030】
電源スイッチ35は、マウス1の電源のオンオフを切り替えるスイッチである。
【0031】
センサユニット36は、ボール体4の回転量を検出する光学式のセンサ、レンズ、センサ基板等を含む。センサユニット36のセンサ基板は、回路基板37に電気的に接続されている。
【0032】
回路基板37は、センサユニット36が検知したボール体4の回転量に応じて、ディスプレイにおけるポインタを移動させるよう、コンピュータに信号を出力する。
【0033】
収容部2は、ボール体4の一部を露出させた状態でボール体4を回転自在に支持する。また、収容部2は、図3に示すように、外方へ向けて開口し、内部にボール体4を収容可能となるよう内方へ凹設される収容凹部5と、収容凹部5に設けられ、収容凹部5に収容したボール体4を支持する支持部材6と、を備える。このマウス1は、支持部材6を三つ備える。なお、マウス1は、支持部材6を一つのみ備えてもよいし、支持部材6を二つのみ備えてもよいし、四つ以上の複数備えてもよい。
【0034】
収容凹部5は、ボール体4を装着する略半球状体である。収容凹部5の外方には、図1に示すセンサユニット36が配置される。収容凹部5の直径は、ボール体4の直径よりも大きい。本実施形態では、収容凹部5は、収容凹部5の内面52が、左側へ向けて、且つ前方(ユーザに近い側)へ向けて下傾斜するよう配置される。
【0035】
収容凹部5は、支持部材6が着脱可能に取り付けられる支持取付部50を備える。また、収容凹部5は、ボール体4の一部を底側から覆う凹面部51を備える。収容凹部5の各構成については後述する。
【0036】
支持部材6は、収容凹部5に対して着脱可能に構成される。本実施形態では、図11に示すように、支持部材6は、着脱治具7を使って収容凹部5から着脱可能である。この着脱治具7は、例えば、支持部材6を両側から挟み込むピンセットである。また、支持部材6は、ユーザの指を使って収容凹部5に取り付け可能である。
【0037】
着脱治具7は、例えば、ユーザの指で把持する把持部70と、把持部70から延びる一対の第一延出部71と、一対の第一延出部71の延出端からそれぞれ延びる一対の第二延出部72と、を有する。各第一延出部71は、延伸方向の途中の位置で折れ曲がっているが、直線状に延びていてもよい。一対の第二延出部72は、互いに近づく方向に延びている。また、各第二延出部72は、先端部が基端部よりも細い先細形状となっている。
【0038】
本実施形態では、支持部材6は、支持取付部50に着脱可能な基部60と、基部60に設けられ、収容凹部5に収容されたボール体4を支持する支持部61と、を備える(図4参照)。この支持部材6は、別々に製造した基部60と支持部61とを組み合わせて構成されている。また、この支持部材6では、支持部61が基部60に固定されており、ユーザは基部60から支持部61を取り外すことができない。なお、基部60と支持部61とは、一体成形(例えば、一体樹脂成型)により構成されてもよい。
【0039】
支持部61は、ボール体4に接触することでボール体4を支持する(図3参照)。本実施形態では、三つの支持部61が、ボール体4に接触することでボール体4を支持している。また、支持部61は、収容凹部5の内面52から内方へ突出している。
【0040】
支持部61は、球状体や円柱状体である。この球状体としては、人工ルビー球やセラミック球等が用いられる。また、この球状体は、基部60に対して転動可能に固定されていてもよいし、基部60に対して転動不能に固定されていてもよい。この円柱状体としては、ベアリングやコロ等が用いられる。また、この円柱状体は、基部60に対して転動可能に固定される。
【0041】
例えば、支持部61は、基部60に対して転動不能に固定された転動不能球状体としての人工ルビー球61Aと、基部60に対して転動可能に固定された転動可能円柱状体としてのベアリング61Bと、を含む。本実施形態では、支持部61は、異なる二種類の支持部61A、61Bを含んでいるが、三種類以上の支持部を含んでいてもよく、一種類の支持部のみを含んでいてもよい。このマウス1では、二つの人工ルビー球61Aと、一つのベアリング61Bとが、ボール体4を支持する。
【0042】
基部60は、支持部61を支持するとともに、支持取付部50に取り付けられる。また、基部60は、人工ルビー球61Aを支持する第一基部60Aと、ベアリング61Bを支持する第二基部60Bとを含む。本実施形態では、図5及び図6に示すように、基部60の大部分が、収容凹部5の内面52よりも外方に位置している。
【0043】
第一基部60Aは、図7(a)及び図7(b)に示すように、人工ルビー球61Aが載置される載置部600Aと、載置部600Aを支持する第一台座部601Aと、を含む。載置部600Aは、人工ルビー球61Aが載置される円環状の円環部602Aと、円環部602Aの周縁の中心点を挟んだ二か所からそれぞれ延びる一対の載置脚部603Aと、を含む。第一台座部601Aは、図7(b)及び図7(c)に示すように、円環部602Aが載置されるよう中央部が凹んだ四角板状の板部604Aと、板部604Aの四隅からそれぞれ延びる四つの第一台座脚部605Aと、を含む。板部604Aには、板部604Aの中心を挟んで一対の貫通孔606Aが設けられている(図7(a)参照)。載置部600Aの各載置脚部603Aが、図8に示すように、第一台座部601Aの各貫通孔606Aに挿入されることで、載置部600Aは、第一台座部601Aに固定される。本実施形態では、基部60のうち円環部602Aを除く部位が、収容凹部5の内面52よりも外方に位置している(図5及び図6参照)。
【0044】
第二基部60Bは、図9(a)及び図9(b)に示すように、一つのベアリング61Bが取り付けられた軸部600Bと、軸部600Bを支持する第二台座部601Bと、を含む。第二台座部601Bは、四角環状の枠部602Bと、枠部602Bの二組の対向する二辺のうち一方の対向する二辺に設けられ且つ軸部600Bが接続される一対の軸接続部603Bと、を含む。また、第二台座部601Bは、枠部602Bの他方の対向する二辺からそれぞれ延びる一対の第二台座脚部604Bを含む。軸部600Bが、図9(c)及び図10に示すように、第二台座部601Bの軸接続部603Bに接続されることで、軸部600Bは、第二台座部601Bに固定される。
【0045】
収容凹部5の凹面部51は、ユーザが収容凹部5からボール体4を取り外した際に、回路基板37や電池Bを隠す機能を有する(図3参照)。本実施形態では、凹面部51には、図1に示すセンサユニット36を露出する開口部510が設けられている。また、凹面部51には、図1に示すケース押出穴303と重なる位置に、凹部押出穴511が設けられている。凹面部51の内面は、半球に対応した形状の凹面512となっている。
【0046】
各支持取付部50には、一つずつ支持部材6が取り付けられる。本実施形態では、支持取付部50は、三つ設けられている。三つの支持取付部50は、凹面部51の凹面512上に環状に並んでいる。また、三つの支持取付部50は、支持取付部50の並び方向において、互いに等間隔をあけて並んでいる。
【0047】
各支持取付部50は、図4に示すように、収容凹部5内に凹設される取付凹部500を含む。また、支持取付部50は、取付凹部500に取り付けられた支持部材6と係止する係止部501を含む。さらに、支持取付部50は、支持部材6を取付凹部500から着脱する際に、図11に示した着脱治具7が差し込まれる差込穴502を含む。
【0048】
取付凹部500は、支持部材6の基部60が嵌る部位である。また、取付凹部500は、凹面部51に該凹面部51の厚み方向に凹んだ凹部である。本実施形態では、取付凹部500は、凹面部51の厚み方向から視たとき、四角形状の凹部である。なお、取付凹部500の凹面部51の厚み方向から視た形状は、支持部材6の基部60の形状と対応していればどのような形状であってもよい。
【0049】
係止部501は、凹面部51の内方から、取付凹部500に嵌まった基部60を押さえる係止片である。また、係止部501は、支持部材6の基部60の端部と係止する。
【0050】
本実施形態では、係止部501は、図5に示すように、支持部材6の基部60の一端部及び他端部にそれぞれ係止するように、一対設けられている。すなわち、支持部材6は、基部60の一端部及び他端部に、係止部501と係止する一対の被係止部を有する。具体的には、係止部501は、支持部材6Aの板部604Aの一端部及び他端部にそれぞれ係止している。すなわち、支持部材6Aは、板部604の両端部に、係止部501と係止する一対の被係止部を有する。
【0051】
なお、支持部材6Bについても、支持部材6Aと同様に、係止部501は、支持部材6Bの基部60Bの枠部602Bの一端部及び他端部にそれぞれ係止している。すなわち、支持部材6Bは、枠部602Bの一端部及び他端部に、係止部501と係止する一対の被係止部を有する。
【0052】
一対の係止部501は、取付凹部500を挟むように配置されている。具体的には、一対の係止部501は、取付凹部500の周縁のうち対向する位置から、取付凹部500内における支持部61よりも手前の位置まで延びる。この係止部501は、ユーザが支持部材6を取付凹部500から抜き取る際の力や、ユーザが支持部材6を取付凹部500に嵌め込む際の力で撓むような材質、厚みで形成されている。
【0053】
差込穴502は、取付凹部500に連続して設けられている。また、差込穴502は、着脱治具7としてのピンセット7の一対の第一延出部71及び第二延出部72が差し込まれ、ピンセット7の差し込まれた部分が支持部材6の基部60に係止するように、一対設けられている(図4参照)。すなわち、支持部材6は、基部60の一端部及び他端部に、ピンセット7の差込穴502に差し込まれた部分と係止する一対の被係止部を有する。具体的には、ピンセット7の差込穴502に差し込まれた部分は、支持部材6Aの板部604Aの係止部501側が係止しない側の一端部及び他端部にそれぞれ係止している。すなわち、支持部材6Aは、板部604の係止部501側が係止しない側の一端部及び他端部に、ピンセット7の差込穴502に差し込まれた部分と係止する一対の被係止部を有する。
【0054】
なお、支持部材6Bについても、支持部材6Aと同様に、係止部501は、支持部材6Bの基部60Bの枠部602Bの係止部501側が係止しない側の一端部及び他端部にそれぞれ係止している。すなわち、支持部材6Bは、枠部602Bの係止部501側が係止しない側の一端部及び他端部に、ピンセット7の差込穴502に差し込まれた部分と係止する一対の被係止部を有する。
【0055】
一対の差込穴502は、取付凹部500を挟むように配置されている。具体的には、一対の差込穴502は、取付凹部500の周縁のうち係止部501が設けられていない対向する位置から、取付凹部500に対して遠ざかる方向に延びる。本実施形態では、一対の差込穴502は、支持取付部50の並び方向において、取付凹部500を挟んで一対配置されているが、支持取付部50の並び方向とは異なる方向において、取付凹部500を挟んで一対配置されていてもよい。この差込穴502は、ピンセット7の一対の第一延出部71及び第二延出部72が差し込み可能なサイズで形成されている。
【0056】
差込穴502は、支持部材6の基部60の周面と、凹面部51のうち基部60の周面と対向する部位との間に、部分的に設けられている。本実施形態では、図6に示すように、差込穴502に連続して、基部60と支持取付部50との間に、着脱治具7を差し込むことのできる隙間Sが設けられている。具体的に、隙間Sは、一対の差込穴502の間に連続して広がっている。また、隙間Sは、支持部材6の基部60の外方に位置する部分(例えば、第一台座脚部605Aや第二台座脚部604B)よりも外方に配置される。
【0057】
さらに、本実施形態では、支持部材6は、基部60が取付凹部500に嵌め込みまたは抜き取られることで、支持取付部50に対して着脱可能となる。以下、支持部材6の支持取付部50からの取り外し、及び、支持部材6の支持取付部50への取り付けについて、順に説明する。
【0058】
ユーザが支持部材6を支持取付部50から取り外す際には、まず、ケース30の底側から、ケース押出穴303及び収容凹部5の凹部押出穴511に指を押込み、ボール体4を押し出して収容凹部5から取り外す(図2及び図3参照)。支持部材6が支持取付部50に取り付けられた状態では、支持部材6の係止部としての基部60は、支持取付部50の被係止部としての取付凹部500に嵌まっている(図11参照)。
【0059】
その後、ユーザは、支持取付部50の差込穴502に、着脱治具7を差し込む。これにより、着脱治具7の第一延出部71及び第二延出部72が、差込穴502に配置される。本実施形態では、ユーザは、差込穴502に差し込んだ着脱治具7を、基部60と支持取付部50との間の隙間Sにさらに差し込む(図6参照)。これにより、着脱治具7の第二延出部72が、隙間Sに配置される。このとき、着脱治具7の係止部である第一延出部71が、基部60の被係止部である周面に係止する。また、着脱治具7の係止部である第二延出部72が、基部60の被係止部である底面に係止する。
【0060】
この状態から、着脱治具7を収容凹部5の内方へ引き抜くことで、着脱治具7の第二延出部72が、支持部材6の基部60の底面に引っ掛かったまま、収容凹部5の内方に向けて支持部材6に力がかかる。本実施形態では、内方に向けて支持部材6に力がかかることで、基部60の内方に位置する部分(例えば、板部604A)から支持取付部50の係止部501に内方に向けて力がかかり、係止部501が内方に撓んで、係止部501と支持部材6の基部60との係止が外れる(図5参照)。これにより、ユーザは、支持部材6を支持取付部50から抜き取ることができる。
【0061】
一方、ユーザが支持部材6を支持取付部50に取り付ける際には、指で支持部材6の基部60を取付凹部500に押し込む。本実施形態では、支持部材6を取付凹部500に押し込む際に、基部60の外方に位置する部分(例えば、載置脚部603A)が、係止部501に当たり、係止部501が外方に撓んで、支持部材6の基部60が係止部501よりも外方に移動する。このように、支持部材6の基部60が外方に移動して、支持部材6の係止部としての基部60が、支持取付部50の被係止部としての取付凹部500に嵌まる。
【0062】
以上のマウス1によれば、故障や摩耗した支持部材6を新しい支持部材6に交換できるので、支持部材6が故障や摩耗したとしてもマウス1を買い直しする必要が無く、コストパフォーマンスが良い。
【0063】
本実施形態のマウス1では、支持部材6を基部60と支持部61とを有するユニットとして交換できるので、支持部材6を交換しやすい。具体的には、異なる種類の支持部61(例えば、人工ルビー球61A及びベアリング61B)を取り換える場合であっても、ユニット(支持部材6)ごと簡単に交換することができる。また、支持部材6のサイズは、支持部61よりも大きいため、支持部材6を交換する方が支持部61単体を交換する場合と比べて交換しやすい。
【0064】
また、本実施形態のマウス1では、故障や摩耗した支持部材6を取付凹部500から抜き取って新しい支持部材6を取付凹部500に嵌め込むことで、支持部材6を簡単に交換できる。
【0065】
なお、このようなマウス1に適用される交換用支持キット100を販売することが考えられる。この交換用支持キット100は、コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容凹部5を有するマウス本体3と、収容部2に転動自在に収容される球状のボール体4と、を備えるマウス1に適用される。また、交換用支持キット100は、収容凹部5の内部に対して着脱可能に構成され、収容されたボール体4を支持する支持部材6を含む。
【0066】
さらに、交換用支持キット100は、収容凹部5に取り付けられた支持部材6に係止して、支持部材6を収容凹部5から取り外すのに用いられる着脱治具7を含む。本実施形態では、交換用支持キット100は、三つの支持部材6と、一つの着脱治具7と、を含む。
【0067】
この交換用支持キット100を購入すれば、故障や摩耗した支持部材6を交換できるため、支持部材6が故障や摩耗したとしてもマウス1を買い直しする必要が無く、マウス1のコストパフォーマンスが良い。
【0068】
さらに、本実施形態の交換用支持キット100では、キット100に含まれる着脱治具7を使って支持部材6をマウス1に対して簡単に着脱し、支持部材6を交換することができる。
【0069】
交換用支持キット100に含まれる支持部材6の数は、一つ、二つ、又は、四つ以上の複数であってもよい。交換用支持キット100に含まれる支持部材6の数は、1つのマウス1に取り付けられる支持部材6の数と同じであってもよいし、1つのマウス1に取り付けられる支持部材6の数よりも少なくても、多くてもよい。また、交換用支持キット100に含まれる支持部材6として、異なる複数種類の支持部材6を含んでいてもよく、一種類の支持部材6のみを含んでいてもよい。
【0070】
なお、交換用支持キット100は、治具を含まず、支持部材6のみを含んでもよい。この場合、ユーザは市販のピンセット等の治具により、支持部材6を収容凹部5から取り外せばよい。
【0071】
なお、本発明のマウスは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0072】
上記実施形態の支持部材6では、ユーザは基部60から支持部61を取り外すことができなかったが、ユーザは基部60から支持部61を取り外し可能であってもよい。この場合、ユーザは支持部61単体を交換可能であってもよい。例えば、人工ルビー球61Aが摩耗した際に、ユーザは、支持部材6を収容凹部5から取り外して、取り外した支持部材6の基部60Aから人工ルビー球61Aのみを取り外して交換してもよい。その後、ユーザは、基部60Aに新たな人工ルビー球61Aを取り付けた後、支持部材6を収容凹部5に取り付ければよい。
【0073】
上記実施形態では、支持部材6の基部60の大部分が、収容凹部5の内面52よりも外方に位置していたが、基部60の全部が収容凹部5の内面52よりも外方に位置していてもよい。また、基部60の大部分が収容凹部5の内面52よりも内方に位置していてもよいし、基部60の全部が内面52よりも内方に位置していてもよい。
【0074】
上記実施形態では、支持部材6Aの第一基部60Aは、人工ルビー球61Aが載置される載置部600Aと、第一台座部601Aとの二つのパーツで構成されていたが、一つのパーツで構成されていてもよく、三つ以上の複数のパーツで構成されてもよい。
【0075】
上記実施形態では、支持部材6Bは、一つのベアリング61Bを含んでいたが、複数のベアリング61Bを含んでもよい。この場合、第二基部60Bの軸部600Bには、複数のベアリング61Bが取り付けられてもよい。また、支持部材6Bの第二基部60Bは、軸部600Bと、第二台座部601Bとの二つのパーツで構成されていたが、一つのパーツで構成されていてもよく、三つ以上の複数のパーツで構成されてもよい。
【0076】
上記実施形態では、支持取付部50は、支持部材6が嵌る取付凹部500含んでいたが、取付凹部500の代わりに、支持部材6が嵌る貫通穴を含んでもよい。
【0077】
上記実施形態では、着脱治具7はピンセットであったが、ドライバー等の別の治具であってもよい。着脱治具7がドライバーである場合、例えば、支持取付部50の差込穴502は、ドライバーが差し込まれるように、一つの取付凹部500に対して一つ設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…マウス、2…収容部、3…マウス本体、4…ボール体、5…収容凹部、6、6A、6B…支持部材、7…着脱治具(ピンセット)、30…ケース、31…主操作キー、32…ホイール、33…閲覧用操作キー、34…速度設定キー、35…電源スイッチ、36…センサユニット、37…回路基板、50…支持取付部、51…凹面部、52…内面、60…基部、60A…第一基部、60B…第二基部、61…支持部、61A…人工ルビー球、61B…ベアリング、70…把持部、71…第一延出部、72…第二延出部、100…交換用支持キット、300…ケース底部、301…ケース上部、302…蓋、303…ケース押出穴、500…取付凹部、501…係止部、502…差込穴、510…開口部、511…凹部押出穴、512…凹面、600A…載置部、601A…第一台座部、602A…円環部、603A…載置脚部、604A…板部、605A…第一台座脚部、606A…貫通孔、600B…軸部、601B…第二台座部、602B…枠部、603B…軸接続部、604B…第二台座脚部、900…マウス、901…ケース、903,904…第1、第2検出軸(検出軸)、905,906…軸受、907,908…第1、第2回転検出器(回転検出器)、911…ボールベアリング、912…ボール、913…カバー、915…電子回路基板、B…電池、S…隙間
【要約】
【課題】コストパフォーマンスが良いマウス及び交換用支持キットを提供する。
【解決手段】コンピュータに対して入力操作するように構成され、内方へ凹設される収容部を有するマウス本体と、前記収容部に転動自在に収容される球状のボール体と、を備え、前記収容部は、外方へ向けて開口し、内部にボール体を収容可能となるよう内方へ凹設される収容凹部と、前記収容凹部に設けられ、前記収容凹部に収容したボール体を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記収容凹部に対して着脱可能に構成される。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12