(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】決済用端末
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20241015BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20241015BHJP
G07B 13/00 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
G06Q20/32 330
G06Q50/40
G07B13/00 Z
(21)【出願番号】P 2023219031
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2020065905の分割
【原出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 輝一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 千絵
(72)【発明者】
【氏名】徐 愛琳
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0114886(KR,A)
【文献】特開2018-200525(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1856754(KR,B1)
【文献】特表2020-507877(JP,A)
【文献】特開2019-215597(JP,A)
【文献】特開2008-152338(JP,A)
【文献】特表2018-530020(JP,A)
【文献】国際公開第2018/210026(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0104061(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108681895(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106447962(CN,A)
【文献】中国実用新案第204331821(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーの乗客が運賃を決済するために用いられる決済用端末であって、
前記タクシーの運賃を決済するための決済前操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けたことに応じて、前記乗客を乗せた運行を識別するための運行識別情報に関連付けられた運行識別コードを含む音波を発生させる音波発生部と、
前記音波発生部が前記音波の発生を開始した後に、前記運行識別コードに基づいて前記運賃の決済処理を実行する決済処理装置が、前記乗客の通信端末から前記運行識別コードを受けたことを示す通知を受信しない場合に、前記運行識別コードを含む運行識別画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する決済用端末。
【請求項2】
前記音波発生部は、前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けるたびに、前記運行識別コードを切り替える、
請求項1に記載の決済用端末。
【請求項3】
前記音波発生部は、前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けるたびに、前記決済処理装置に新たな前記運行識別コードを要求する、
請求項2に記載の決済用端末。
【請求項4】
前記音波発生部は、前記表示部に前記運行識別画像が表示されている間は前記音波の発生を停止させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の決済用端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの運賃を決済するための決済用端末及び決済処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーに設置された表示端末に、運賃の決済に用いるためのQRコード(登録商標)を表示し、乗客の通信端末が読み取ったQRコードをサーバに送信することで運賃の決済が行われるシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムにおいては、タクシーの乗客が運賃の決済をする際に、乗客が通信端末を用いてQRコードを読み取る操作をする必要があり、乗客にとって手間であった。そのため、決済の確実性を維持しつつ、決済の容易性を向上させることが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、決済の確実性を維持しつつ、決済の容易性を向上させることができる決済用端末及び決済処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる決済用端末は、タクシーの乗客が運賃を決済するために用いられる決済用端末であって、前記タクシーの運賃を決済するための決済前操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けたことに応じて、前記乗客を乗せた運行を識別するための運行識別情報に関連付けられた運行識別コードを含む音波を発生させる音波発生部と、前記音波発生部が前記音波の発生を開始した後に、前記運行識別コードに基づいて前記運賃の決済処理を実行する決済処理装置が、前記乗客の通信端末から前記運行識別コードを受けたことを示す通知を受信しない場合に、前記運行識別コードを含む運行識別画像を表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
前記音波発生部は、前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けるたびに、前記運行識別コードを切り替えてもよい。
【0008】
前記音波発生部は、前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けるたびに、前記決済処理装置に新たな前記運行識別コードを要求してもよい。
【0009】
前記音波発生部は、前記表示部に前記運行識別画像が表示されている間は前記音波の発生を停止させてもよい。
【0010】
本発明の第2の態様にかかる決済用端末は、タクシーの乗客が運賃を決済するために用いられる決済用端末であって、前記タクシーの運賃を決済するための決済前操作を受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が前記決済前操作を受け付けたことに応じて、前記乗客を乗せた運行を識別するための運行識別情報に関連付けられた運行識別コードを含む音波を発生させる音波発生部と、を有する。
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一例として、決済の確実性を維持しつつ、決済の容易性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】決済処理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】決済処理システムの概要を説明するための図である。
【
図5】決済処理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】決済処理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】決済用端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図8】決済処理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図9】決済用端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[決済処理システムSの概要]
図1及び
図2は、決済処理システムSの概要を説明するための図である。決済処理システムSは、タクシーTに乗車した乗客Uに決済サービスを提供するために用いられるシステムである。決済サービスは、乗客Uの運賃を決済するサービスである。
【0017】
決済処理システムSは、乗客端末1と、乗務員端末2と、決済用端末3と、決済処理装置4とを有する。乗客端末1は、乗客Uが使用する通信端末であり、例えばスマートフォン又はタブレットである。乗客端末1には、例えば、乗客Uに決済サービスを提供するための所定のアプリケーションソフトウェア(以下、「乗客アプリ」という。)がインストールされている。
【0018】
乗務員端末2は、タクシーTが備える端末であり、例えば、モバイル端末(スマートフォン又はタブレット等)又はカーナビゲーション等である。乗務員端末2は、タクシーTにおいて運賃を計算するために用いられる料金メーターM又は後述する決済用端末3と、後述する決済処理装置4との間における種々の情報の送受信を中継する役割を有する。
【0019】
決済用端末3は、タクシーTの乗客Uが運賃の決済を行うための端末であり、例えばタブレットである。決済用端末3は、座席に座った乗客Uが閲覧可能な位置に設置されており、例えば、助手席の背もたれの裏側に設置されている。乗務員端末2及び決済用端末3は、有線又は無線で接続されている。
【0020】
決済処理装置4は、運賃の決済処理を実行する装置であり、例えばサーバである。乗客端末1、乗務員端末2及び決済処理装置4は、それぞれネットワークNに接続しており、乗客端末1及び決済処理装置4の間と、乗務員端末2及び決済処理装置4の間とにおいて種々の情報を送受信する。なお、料金メーターM又は決済用端末3もネットワークNに接続しており、料金メーターMと決済処理装置4との間、又は決済用端末3と決済処理装置4との間において種々の情報を送受信してもよい。
【0021】
QRコードを用いて乗客Uの運賃を決済するシステムにおいては、表示されたQRコードを、乗客Uが使用する通信端末で読み取る必要がある。この場合、乗客Uは、QRコードを読み取らせるために通信端末を動かしながら、当該通信端末のカメラのピントをQRコードに合わせたり、当該カメラの画角の所定の範囲にQRコードを収めたりしなければならず、乗客Uにとって手間であった。そこで、決済処理システムSは、音波を用いて乗客Uの運賃を決済する。
【0022】
以下、
図2を参照しながら、運賃の決済をする前に乗客U及び決済処理システムSが実行する処理の流れについて説明する。決済処理システムSは、決済処理装置4が、決済処理に使用される所定の情報を事前に乗客端末1から受信したことを条件として、乗客Uが降車する際に運賃の決済処理を実行する。
図2は、決済処理装置4が所定の情報を乗客端末1から受信する処理の流れを示す。
【0023】
図2(a)は、乗客Uが使用する乗客端末1が所定の情報を決済処理装置4に送信する処理の流れを示す図である。
図2(b)は、
図2(a)に示す処理によって乗客端末1が所定の情報を決済処理装置4に送信することができない場合に実行される処理の流れを示す図である。なお、
図2(a)の(3)から(4)までの処理と、
図2(b)の(3)から(4)までの処理とは同一の処理である。
【0024】
図2(a)に示す例において、まず、タクシーTに乗った乗客Uが決済用端末3にタクシーTの運賃を決済するための決済前操作を行うと、決済用端末3は、運行識別情報に関連付けられた運行識別コードを含む音波を発生させる(
図2(a)の(1))。決済前操作は、乗客Uが降車時に決済のための処理をすることなく決済をするために行う操作である。運行識別情報は、乗客Uを乗せた運行を識別するための情報であり、例えば、タクシーTが乗客Uを乗車させて運行を開始したときに作成される情報である。
【0025】
乗客Uが乗客端末1において乗客アプリを起動させると、乗客端末1は、当該乗客端末1が備える不図示のマイクを介して、決済用端末3が発生させた音波を受信する(
図2(a)の(2))。乗客端末1は、音波を受信すると、当該音波に含まれる運行識別コードを所定の情報として決済処理装置4に送信する(
図2(a)の(3))。
【0026】
決済処理装置4は、乗客端末1から運行識別コードを受信すると、乗務員端末2を介して、所定の通知を決済用端末3に送信する(
図2(a)の(4))。所定の通知は、決済処理装置4が乗客Uの乗客端末1から運行識別コードを受けたことを示す通知である。
【0027】
決済用端末3は、音波の発生を開始してから所定の待機時間(例えば30秒等、予め設定された時間)が経過するまでの間に決済処理装置4から所定の通知を受信すると、音波の発生を停止し、所定の通知を受信したことに基づく表示画面を表示する。その後、タクシーTが乗客Uの目的地に到着して乗客Uの運賃が確定すると、決済処理装置4は、乗客端末1から受信した運行識別コードに基づいて、乗客Uの運賃の決済を実行する。
【0028】
このように、決済処理システムSは、運行識別コードを乗客端末1に通知する手段として音波を用いることで、QRコードを用いた決済のように乗客UがQRコードを読み取るために乗客端末1を複雑に動かす手間を省くことができる。これにより、決済処理システムSは、タクシーTの乗客Uが運賃を決済する際の手間を軽減することができる。その結果、決済処理システムSは、決済の容易性を向上させることができる。
【0029】
ところで、乗客端末1が音波を受信できない場合がある。例えば、周囲の雑音が音波に干渉すると、乗客端末1が音波を受信する精度が低下し得る。また、乗客端末1において、マイクを使用する権限が乗車アプリに付与されていないと、乗車アプリがマイクを使用することができない。乗客端末1が音波を受信できないと、決済処理装置4が運賃を決済することができなくなってしまうため、この場合、決済処理システムSは、音波以外の通知手段を用いて乗客Uの運賃を決済する必要がある。そこで、決済処理システムSは、乗客端末1が音波を受信できない場合に、音波とは異なる他の通知手段を用いて乗客Uの運賃を決済する。
【0030】
図2(b)に示す例において、まず、決済用端末3は、音波の発生を開始してから所定の待機時間が経過するまでの間に決済処理装置4から所定の通知を受信しない場合に、運行識別コードを含む運行識別画像を表示する(
図2(b)の(1))。運行識別画像は、例えば、運行識別コードを含むQRコードが表示された画像である。
【0031】
乗客端末1は、運行識別画像に含まれる運行識別コードを読み取ると、読み取った運行識別コードを決済処理装置4に送信する(
図2(b)の(2)、(3))。そして、決済用端末3は、運行識別画像を表示させた後に、運行識別コードを受信した決済処理装置4から所定の通知を受信すると、所定の通知を受信したことに基づく表示画面を表示する。(
図2(b)の(4))。その後、決済処理装置4は、乗客端末1から受信した運行識別コードに基づいて、乗客Uの運賃の決済を実行する。決済用端末3は、音波の発生を停止した状態で運行識別画像を表示してもよいが、所定の通知を受信するまでの間は音波を発生し続けて、所定の通知を受信したことに応じて音波の発生を停止してもよい。
【0032】
このように、決済処理システムSは、乗客端末1が音波を受信できない場合であっても、運行識別画像を他の通知手段として用いることにより、乗客Uの運賃を決済することができる。これにより、決済処理システムSは、決済の確実性を維持することができる。その結果、決済処理システムSは、決済の確実性を維持しつつ、決済の容易性を向上させることができる。
【0033】
なお、上記において他の通知手段として運行識別画像を用いる例を説明したが、これに限らない。決済処理システムSは、例えば、Bluetooth(登録商標)をはじめとする近距離無線通信を用いて乗客端末1に運行識別コードを通知してもよい。
以下、決済用端末3及び決済処理装置4の構成について説明する。
【0034】
[決済用端末3の構成]
図3は、決済用端末3の構成を示す図である。決済用端末3は、インターフェイス部31と、表示部32と、操作部33と、音波出力部34と、記憶部35と、制御部36とを有する。
【0035】
インターフェイス部31は、乗務員端末2と有線又は無線で接続するためのインターフェイスであり、例えば、通信モジュール又はUSB(Universal Serial Bus)である。表示部32は、決済サービスの表示画面を表示するためのユーザインターフェイスであり、例えばディスプレイである。操作部33は、乗客Uの操作を受け付けるためのユーザインターフェイスであり、例えばディスプレイに重ねられたタッチパネルである。
【0036】
音波出力部34は、運行識別コードを含む音波を出力するスピーカである。具体的には、音波出力部34は、運行識別コードを示す音響信号を音波に変調して出力する。記憶部35は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部35は、制御部36が実行するプログラムを記憶している。
【0037】
制御部36は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部36は、記憶部35に記憶されたプログラムを実行することにより、操作受付部361、取得部362、音波発生部363、表示制御部364及び画像生成部365として機能する。
【0038】
操作受付部361は、操作部33を介して、乗客Uの操作を受け付ける。取得部362は、乗務員端末2を介して、運行識別コードをはじめとする種々の情報を決済処理装置4から取得する。具体的には、取得部362は、インターフェイス部31を介して、乗務員端末2が決済処理装置4から取得した種々の情報を、当該乗務員端末2から取得する。取得部362が取得する種々の情報の詳細については後述する。
【0039】
音波発生部363は、操作受付部361が受け付けた乗客Uの操作に応じて、取得部362が取得した運行識別コードを含む音波を発生させる。具体的には、音波発生部363は、操作受付部361が受け付けた乗客Uの操作に応じて、運行識別コードを含む音波を音波出力部34に出力させる。
【0040】
画像生成部365は、取得部362が取得した運行識別コードを含む運行識別画像を生成する。表示制御部364は、音波発生部363が音波の発生を開始してから所定の待機時間が経過するまでの間(以下、「受信待機時間」という)に、決済処理装置4が発した所定の通知を受信したか否かに応じて表示画面を表示部32に表示させる。
【0041】
表示制御部364は、例えば、受信待機時間に取得部362が決済処理装置4によって発せられた所定の通知を受信した場合に、決済処理装置4が運行識別コードを受信したことを示すための表示画面を表示部32に表示させる。一方、表示制御部364は、受信待機時間に取得部362が決済処理装置4によって発せられた所定の通知を受信しない場合に、運行識別画像を表示した表示画面を表示部32に表示させる。表示制御部364が表示部32に表示させる表示画面の詳細については後述する。
【0042】
[決済処理装置4の構成]
図4は、決済処理装置4の構成を示す図である。決済処理装置4は、通信部41と、記憶部42と、制御部43とを有する。通信部41は、ネットワークNに接続するためのネットワークインターフェイスであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを含んで構成されている。
【0043】
記憶部42は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部42は、制御部43が実行するプログラムを記憶している。記憶部42は、乗客Uに関する情報を管理する乗客管理データベースを記憶している。乗客管理データベースは、例えば、乗客Uに関する情報として、乗客を識別するための乗客識別情報と、決済方法(例えばクレジットカード番号及び銀行の口座番号等)とを関連付けて記憶している。
【0044】
制御部43は、例えばCPUである。制御部43は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、情報受信部431、情報作成部432、決済処理部433及び情報送信部434として機能する。
【0045】
情報受信部431は、通信部41を介して、運行識別コードをはじめとする種々の情報を乗客端末1から取得する。また、情報受信部431は、通信部41を介して、運行識別情報をはじめとする種々の情報を乗務員端末2から取得する。情報受信部431が取得する種々の情報の詳細については後述する。
【0046】
情報作成部432は、情報受信部431が乗務員端末2から取得した情報に基づいて、運行識別情報を作成する。運行識別情報は、例えば、ランダムな英数字、ランダムな文字列又はタクシーTの自動車登録番号を含む文字列等である。
【0047】
また、情報作成部432は、乗務員端末2から取得した運行識別情報に基づいて、運行識別コードを作成する。情報作成部432は、例えば、運行識別情報及び現在時刻を用いて運行識別コードを作成する。情報作成部432は、運行識別コードを作成すると、当該運行識別コードと、当該運行識別コードの作成に用いた運行識別情報とを関連付けて記憶部42に記憶させる。
【0048】
決済処理部433は、情報受信部431が乗客端末1から取得した運行識別コードに基づいて、当該乗客端末1に対応する乗客Uの運賃の決済処理を実行する。決済処理部433が実行する決済処理の詳細については後述する。
【0049】
情報送信部434は、通信部41を介して、乗務員端末2又は決済用端末3に所定の通知をはじめとする種々の情報を送信する。情報送信部434が送信する種々の情報の詳細については後述する。
【0050】
[乗車時の処理]
続いて、乗客UがタクシーTに乗ったときの決済処理システムSの処理の流れについて説明する。
図5は、決済処理システムSの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0051】
本処理は、タクシーTの乗務員が乗客Uを乗車させたことに応じて行った乗車操作を乗務員端末2が受け付けたことを契機として開始する(S1)。例えば、乗務員が乗務員端末2において運行を開始するための操作(例えば、運行開始ボタンを押下)を行った場合に、乗務員端末2は、当該操作を乗車操作として受け付ける。乗務員端末2は、乗務員が料金メーターMにおいて運賃の計算を開始するための操作を行った場合に、当該操作を乗車操作として受け付けてもよい。
【0052】
乗務員端末2は、乗車操作を受け付けると、ネットワークNを介して、運行を開始したことを示す運行開始通知を決済処理装置4に送信する(S2)。なお、料金メーターMが、運行開始通知を決済処理装置4に送信してもよい。
【0053】
決済処理装置4においては、通信部41を介して、情報受信部431がタクシーTの料金メーターM又は乗務員端末2から運行開始通知を受信すると、情報作成部432は、運行識別情報を作成する(S3)。
【0054】
決済処理装置4の処理として、情報送信部434は、通信部41を介して、情報作成部432が作成した運行識別情報を乗務員端末2に送信する(S4)。その後、乗務員端末2は、決済処理装置4から取得した運行識別情報を記憶する。乗務員端末2は、運行識別情報を受信したことを決済用端末3に通知してもよい。
【0055】
[乗車後から決済時までの処理]
<音波の受信に成功した場合>
続いて、乗客UがタクシーTに乗ってから運賃を決済するまでの決済処理システムSの処理の流れについて、乗客端末1が決済用端末3によって発せられた音波の受信に成功した場合の例と失敗した場合の例とに分けて説明する。まず、乗客端末1が決済用端末3によって発せられた音波の受信に成功した場合における決済処理システムSの処理の流れについて説明する。
図6は、決済処理システムSの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0056】
本処理は、決済用端末3の操作受付部361が、操作部33を介して、タクシーTの運賃を決済するための決済前操作を受け付けたことを契機として開始する(S11)。操作受付部361は、例えば、操作部33を介して、表示部32に表示された決済サービスの表示画面をタッチする操作を決済前操作として受け付ける。操作受付部361は、例えば、乗客UがタクシーTに乗車したことに応じて運行識別情報が作成されてから、タクシーTが乗客Uの目的地に到着して運賃の決済が行われる前までの間に、乗客Uによる決済前操作を受け付ける。
【0057】
決済用端末3の取得部362は、乗務員端末2を介して、決済処理装置4から運行識別情報に関連付けられた運行識別コードを取得する。具体的には、まず、決済用端末3の取得部362は、操作受付部361が決済前操作を受け付けると、乗務員端末2を介して、運行識別情報を含み、運行識別コードの作成を要求するためのコード作成要求を決済処理装置4に送信する(S12)。なお、料金メーターMがネットワークNに接続されている場合、取得部362は、料金メーターMを介して、運行識別情報を含むコード作成要求を決済処理装置4に送信してもよい。決済用端末3がネットワークNに接続されている場合、決済用端末3が決済処理装置4にコード作成要求を送信してもよい。
【0058】
決済処理装置4の処理として、情報受信部431が、通信部41を介してタクシーTの料金メーターM又は乗務員端末2からコード作成要求を受信すると、情報作成部432は、当該コード作成要求に含まれる運行識別情報に基づいて、当該運行識別情報と関連付けられた運行識別コードを作成する(S13)。決済処理装置4の情報送信部434は、例えば乗務員端末2を介して、決済用端末3に運行識別コードを送信する(S14)。そして、決済用端末3の取得部362は、乗務員端末2を介して、決済処理装置4から運行識別コードを取得する。
【0059】
決済用端末3の音波発生部363は、操作受付部361が決済前操作を受け付けたことに応じて、乗客Uを乗せた運行を識別するための運行識別情報に関連付けられた運行識別コードを含む音波を発生させる(S15)。具体的には、音波発生部363は、操作受付部361が決済前操作を受け付けたことに応じて取得部362が取得した運行識別コードを含む音波を音波出力部34に出力させる。
【0060】
決済用端末3の表示制御部364は、音波発生部363が音波を発生させた場合、乗客Uに対して乗客端末1に音波を受信させる操作を促すための表示画面を表示部32に表示させてもよい。
図7は、決済用端末3の表示部32に表示された表示画面の一例を示す図である。表示制御部364は、例えば、操作受付部361が決済前操作を受け付けると、
図7(a)に示すような表示画面を表示部32に表示させる。
【0061】
音波発生部363は、操作受付部361が決済前操作を受け付けるたびに、運行識別コードを切り替えてもよい。具体的には、音波発生部363は、操作受付部361が決済前操作を受け付けるたびに、決済処理装置4に新たな運行識別コードを要求する。
【0062】
より具体的には、まず、取得部362は、操作受付部361が決済前操作を受け付けるたびに、乗務員端末2を介して、運行識別情報に関連付けられた新たな運行識別コードを決済処理装置4から取得する。そして、音波発生部363は、取得部362が新たな運行識別コードを取得するたびに、当該新たな運行識別コードを含む音波を発生させる。
【0063】
この場合、決済処理装置4の情報作成部432は、新たな運行識別コードを作成するごとに、当該新たな運行識別コードと運行識別情報とを関連付けて記憶部42に記憶させるとともに、当該新たな運行識別コードの直前に作成した運行識別コードを無効にする。情報作成部432は、例えば、新たな運行識別コードの直前に作成した運行識別コードを記憶部42から削除することにより、運行識別コードを無効にする。このように、決済用端末3は、決済前操作を受け付けるたびに運行識別コードを切り替えることにより、運行識別コードを取得した他人によって当該運行識別コードが悪用されるリスクを低減することができる。
【0064】
図6に戻り、乗客端末1は、マイクを介して、決済用端末3が発生させた音波を受信する(S16)。乗客端末1は、音波を受信すると、当該音波に含まれる運行識別コードと、乗客識別情報とを決済処理装置4に送信する(S17)。乗客端末1は、例えば、当該乗客端末1を使用する乗客Uに対応する乗客識別情報を予め記憶している。決済処理装置4の情報受信部431は、決済用端末3が発生させた音波に含まれる運行識別コードを取得した乗客端末1から、運行識別コードと、乗客識別情報とを関連付けて受信する。
【0065】
決済処理装置4の情報送信部434は、乗務員端末2を介して、情報受信部431が運行識別コード及び乗客識別情報を受信した場合に、決済用端末3、又は決済用端末3と通信可能なタクシーTの乗務員端末2に、運行識別コードを受信したことを示す所定の通知を送信する(S18)。
【0066】
決済用端末3の表示制御部364は、取得部362が乗務員端末2を介して受信待機時間において決済処理装置4によって発せられた所定の通知を受信すると、当該所定の通知を受信したことに基づく表示画面を表示部32に表示させる(S19)。表示制御部364は、例えば、
図7(b)に示すような表示画面を表示部32に表示させる。表示制御部364は、広告を表示した表示画面を表示部32に表示させてもよい。
【0067】
その後、タクシーTが乗客Uの目的地に到着すると、乗務員は、乗務員端末2又は料金メーターMで運賃の精算を行うための精算操作を行う。乗務員端末2は、乗務員の清算操作を受け付けると、乗客Uの乗車時に決済処理装置4から取得した運行識別情報と、運賃を示す運賃情報とを決済処理装置4に送信する(S20、S21)。なお、料金メーターMが運行識別情報と運賃情報とを決済処理装置4に送信してもよい。
【0068】
決済処理装置4の情報受信部431は、料金メーターM又は乗務員端末2から、運行識別情報に関連付けて、運賃情報を受信する。決済処理装置4の決済処理部433は、情報受信部431が乗客端末1から受信した運行識別コード及び乗客識別情報と、情報受信部431が料金メーターM又は乗務員端末2から受信した運行識別情報及び運賃情報とに基づいて、乗客Uの運賃を徴収する決済処理を実行する(S22)。具体的には、決済処理部433は、情報受信部431が乗客端末1から受信した乗客識別情報に関連付けられた乗客Uから、情報受信部431が乗客端末1から受信した運行識別コードに対応する運行識別情報に関連付けて料金メーターM又は乗務員端末2から受信した運賃情報が示す運賃を徴収する決済処理を実行する。
【0069】
決済処理部433は、例えば、情報受信部431が乗客端末1から受信した乗客識別情報に関連付けて乗客管理データベースに記憶されている決済方法で決済処理を実行する。このように、決済処理装置4が、乗客端末1から事前に運行識別コードを取得した状態において、乗務員の精算操作を契機として決済処理を実行することにより、乗客Uは、タクシーTが目的地に到着したら、運賃を精算するための処理をすることなく降車することができる。
【0070】
ところで、タクシーTに複数の乗客Uが乗車する場合がある。この場合において、各乗客端末1が、決済用端末3によって発せられた音波を各乗客Uの操作によって受信すると、乗客Uごとに料金メーターMで算出された運賃の決済処理が繰り返し実行されてしまう可能性があるため、何らかの例外的な処理を施す必要がある。そこで、決済処理部433は、同一の運行識別コードを送信した複数の乗客端末1のうちのいずれか1台の乗客端末1に対応する乗客Uから運賃を徴収する決済処理を実行してもよい。
【0071】
具体的には、情報受信部431が複数の乗客端末1から同一の運行識別コードを受信した場合、決済処理部433は、最も早く運行識別コードを送信した乗客端末1に対応する乗客Uから運賃を徴収する決済処理を実行する。より具体的には、決済処理部433は、それぞれ同一の運行識別コードを送信した複数の乗客端末1のうち、情報受信部431が最も早く受信した運行識別コードを送信した乗客端末1に対応する乗客Uから運賃を徴収する決済処理を実行する。このようにすることで、決済処理装置4は、複数の乗客Uから重複して運賃を徴収することを防ぐことができる。
【0072】
決済処理部433は、複数の乗客Uそれぞれから徴収した運賃の合計が料金メーターMによって算出された運賃と同額になるように、複数の乗客Uそれぞれから一部の運賃を徴収してもよい。具体的には、情報受信部431が複数の乗客端末1から同一の運行識別コードを受信した場合、決済処理部433は、複数の乗客端末1に対応する複数の乗客のそれぞれから、運賃を複数の乗客Uの数で除算した額を徴収する決済処理を実行する。このようにすることで、決済処理装置4は、複数の乗客Uから同額の運賃を徴収することができるので、複数の乗客Uが割り勘にしたい場合に好適である。
【0073】
<音波の受信に失敗した場合>
続いて、乗客端末1が決済用端末3によって発せられた音波の受信に失敗した場合における決済処理システムSの処理の流れについて説明する。
図8は、決済処理システムSの処理の流れを示すシーケンス図である。
図8に示すS31からS35までの処理は、
図6に示すS11からS15までの処理と同一であり、
図8に示すS39からS44までの処理は、
図6に示すS17からS22までの処理と同一である。
図8に示す例において、
図6と同一の処理については説明を省略する。
【0074】
S35の処理が実行された後、乗客端末1が音波を受信できなかった場合、決済用端末3の表示制御部364は、運行識別コードを含む運行識別画像を表示部32に表示させる。具体的には、表示制御部364は、受信待機時間において、決済処理装置4が乗客Uの乗客端末1から運行識別コードを受けたことを示す所定の通知を受信しない場合に、運行識別画像を表示部32に表示させる。
【0075】
より具体的には、まず、取得部362が、受信待機時間において、乗務員端末2を介して乗客Uの乗客端末1から運行識別コードを受けたことを示す通知を決済処理装置4から受信しない場合に、画像生成部365は、運行識別コードを含む運行識別画像を生成する(S36)。画像生成部365は、音波発生部363が発生した音波に含まれる運行識別コードと同一の運行識別コードを含む運行識別画像を生成してもよいし、取得部362が取得した新たな運行識別コードを含む運行識別画像を生成してもよい。
【0076】
そして、表示制御部364は、画像生成部365が生成した運行識別画像を表示した表示画面を表示部32に表示させる(S37)。
図9は、決済用端末3の表示部32に表示された表示画面の一例を示す図である。表示制御部364は、例えば、
図9に示すような運行識別画像を表示した表示画面を表示部32に表示させる。
【0077】
音波発生部363は、表示部32に運行識別画像が表示されている間は音波の発生を停止してもよい。このようにすることで、決済用端末3は、乗客端末1が音波と運行表示画像とから重複して運行識別コードを取得してしまうことを防ぐことができる。
【0078】
その後、乗客端末1が、決済用端末3に表示された運行識別画像に含まれる運行識別コードを読み取ったことを契機として(S38)、乗客端末1、乗務員端末2、決済用端末3及び決済処理装置4においてS39からS44までの処理が実行される。
【0079】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、決済処理システムSは、決済用端末3が、決済前操作を受け付けたことに応じて運行識別コードを含む音波を発生させてから所定の待機時間が経過するまでの間に、決済処理装置4が発した所定の通知を受信しない場合に、運行識別コードを含む運行識別画像を表示する。このように、決済処理システムSは、運行識別コードを乗客端末1に通知する手段として音波を用いることで、QRコードを用いた決済のように乗客UがQRコードを読み取るために乗客端末1を複雑に動かす手間を省くことができる。これにより、決済処理システムSは、タクシーTの乗客Uが運賃を決済する際の手間を軽減することができる。
【0080】
また、決済処理システムSは、乗客端末1が音波を受信できない場合であっても、運行識別画像を他の決済手段として用いることにより、乗客Uの運賃を決済することができる。これにより、決済処理システムSは、決済の確実性を維持することができる。その結果、決済処理システムSは、決済の確実性を維持しつつ、決済の容易性を向上させることができる。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0082】
1 乗客端末
2 乗務員端末
3 決済用端末
31 インターフェイス部
32 表示部
33 操作部
34 音波出力部
35 記憶部
36 制御部
361 操作受付部
362 取得部
363 音波発生部
364 表示制御部
365 画像生成部
4 決済処理装置
41 通信部
42 記憶部
43 制御部
431 情報受信部
432 情報作成部
433 決済処理部
434 情報送信部
N ネットワーク
M 料金メーター
S 決済処理システム
T タクシー
U 乗客