(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】真空開閉器
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20241015BHJP
【FI】
H01H33/662 J
H01H33/662 E
(21)【出願番号】P 2023515707
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2021074272
(87)【国際公開番号】W WO2022053392
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】102020211512.5
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ハルトゥング,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューブナー,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クレーンケ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】クリュル,トーマス
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110911216(CN,A)
【文献】米国特許第04071727(US,A)
【文献】特開2011-142035(JP,A)
【文献】特開昭53-104865(JP,A)
【文献】特開2016-036196(JP,A)
【文献】実開昭57-119437(JP,U)
【文献】特許第5908347(JP,B2)
【文献】特開2007-147008(JP,A)
【文献】特開平09-298023(JP,A)
【文献】実開昭60-115427(JP,U)
【文献】特開昭55-097586(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0102317(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28 - 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空開閉器(1)であって、
-
固定式開閉接点部材(27)と可動式開閉接点部材(29)
とを備えた真空開閉管(7)と、
- 円筒状の内壁(33)を備えた導電性中空体として形成されたソケット部材(5)であって、前記可動式開閉接点部材(29)の前記真空開閉管(7)から引き出された端部(31)が突入しているソケット部材(5)と、
- 前記可動式開閉接点部材(29)の前記端部(31)と固定的に接続されている導電性のガイド接点部材(35)と、
- 前記ガイド接点部材(35)にて互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つのガイドリング(37、39)及び前記ガイド接点部材(35)にて配置された導電性の電流伝達部材(41)と、
を備え、
- 前記真空開閉管(7)の端部領域(21)は、前記ソケット部材(5)に突入しており、
- 前記可動式開閉接点部材(29)の前記端部(31)は、前記ソケット部材(5)内へ突入している前記端部領域(21)の端壁を貫通して前記真空開閉管(7)から引き出され、前記ソケット部材(5)に突入しており、
- 前記ガイドリング(37,39)と前記電流伝達部材(41)が、それぞれ、前記ガイド接点部材(35)の周囲に環状に延びており、前記ソケット部材(5)の内壁(33)に当接している、
真空開閉器(1)。
【請求項2】
前記ガイドリング(37、39)がポリテトラフルオロエチレンから製造されている、
請求項1記載の真空開閉器(1)。
【請求項3】
前記電流伝達部材(41)が、弾性的に支持された接触薄板から構成された構造を有する、
請求項1または2に記載の真空開閉器(1)。
【請求項4】
前記ガイド接点部材(35)がアルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金から製造されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の真空開閉器(1)。
【請求項5】
前記ガイド接点部材(35)が、ほぼ円筒状の外壁(45)であって、前記真空開閉管(7)と向かい合う第1の端部領域であって第1のガイドリング(37)が配置されている第1の端部領域及び前記真空開閉管(7)とは離背する第2の端部領域であって第2のガイドリング(39)が配置されている第2の端部領域を備える外壁(45)、を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の真空開閉器(1)。
【請求項6】
前記可動式開閉接点部材(29)の前記端部(31)と接続されている力伝達部材(43)を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の真空開閉器(1)。
【請求項7】
前記ガイド接点部材(35)の前記外壁(45)が、前記可動式開閉接点部材(29)の前記端部(31)及び前記力伝達部材(43)の少なくとも一部分、の周りを取り囲んで延びている、
請求項5を引用する請求項6に記載の真空開閉器(1)。
【請求項8】
前記力伝達部材(43)が、ねじ付きボルト(51)によって、前記可動式開閉接点部材(29)の前記端部(31)と接続されている、
請求項6または7に記載の真空開閉器(1)。
【請求項9】
楔状固定板対(53)を備え、当該楔状固定板対(53)は、前記可動式開閉接点部材(29)の前記端部(31)と前記力伝達部材(43)との間に配置されており、前記ねじ付きボルト(51)は、当該楔状固定板対(53)の楔状固定板を通って、案内されている、
請求項8に記載の真空開閉器(1)。
【請求項10】
前記力伝達部材(43)がばねパケット用のハウジングとして形成されている、
請求項6から9のいずれか1項に記載の真空開閉器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
真空開閉器は電力開閉器であり、当該電力開閉器では、開閉接点部材が分離された際の開閉アークを回避するまたは低減するために、互いに相対的に移動可能な2つの開閉接点部材が真空開閉管内に配置されている。真空開閉器の可動式開閉接点部材は、できるだけ遊びを少なく案内されていなければならないが、その理由は、他方の(通常は静止している)開閉接点部材に対して傾かないようにするためである。さらに、可動式開閉接点部材は、真空開閉器の通電部品と、持続的に電気的に接続されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、特には可動式開閉接点部材の案内に関して改良された、真空開閉器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴を備える真空開閉器により、解決される。
【0005】
本発明の有利な実施態様は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明による真空開閉器は、
- 可動式開閉接点部材を備えた真空開閉管と、
- 円筒状の内壁を備えた導電性中空体として形成されたソケット部材(5)であって、可動式開閉接点部材の真空開閉管から引き出された端部が突入しているソケット部材と、
- 可動式開閉接点部材の端部と固定的に接続されている導電性のガイド接点部材と、
- ガイド接点部材にて互いに間隔をおいて配置された少なくとも2つのガイドリング及びガイド接点部材にて配置された導電性の電流伝達部材と、を備え、
- ガイドリングと電流伝達部材が、それぞれ、ガイド接点部材の周囲に環状に延びており、ソケット部材の内壁に当接している。
【0007】
本発明による真空開閉器では、したがって、真空開閉管の可動式開閉接点部材は、導電性のガイド接点部材によって保持され、このガイド接点部材は、多数のガイドリングを介して、導電性のソケット部材の内壁にて案内される。それにより、ガイド接点部材は、ソケット部材にて可動式開閉接点部材をガイドリングを介して案内することを可能にする。ガイド接点部材との可動式開閉接点部材の固定的な接続、及び、ガイド接点部材でのガイドリングの相互に離間された配置、は、有利には、可動式開閉接点部材をほとんど遊びなくガイドすることを可能にする。さらにガイド接点部材は電流伝達部材によってソケット部材に導電的に接続されており、従ってさらに可動式開閉接点部材のソケット部材との持続的な電気的接続をも、可能にする。
【0008】
本発明による真空開閉器の一構成では、ガイドリングはポリテトラフルオロエチレンから製造されている。ポリテトラフルオロエチレンは、摩擦係数が非常に低く、したがって良好なスライド特性を有し、また非常に耐熱性も高いので、ガイドリングに適した材料である。
【0009】
本発明による真空開閉器のさらなる構成では、電流伝達部材は、弾性的に支持された導電性の接触薄板から構成される構造を有する。弾性的に支持された接触薄板により、有利には、低摩擦であり、同時に、多数の電気接点により信頼性の高い、電流伝達部材とソケット部材との間の電気的接続、が可能となる。
【0010】
本発明による真空開閉器のさらなる構成では、ガイド接点部材は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、または銅合金から製造されている。これは、有利には、ガイド接点部材の高い導電性を可能にする。
【0011】
本発明による真空開閉器のさらなる構成では、ガイド接点部材は、ほぼ円筒状の外壁であって、真空開閉管と向かい合う第1の端部領域であって第1のガイドリングが配置されている第1の端部領域及び真空開閉管とは離背する第2の端部領域であって第2のガイドリングが配置されている第2の端部領域を備える外壁を有している。これにより、これらのガイドリングをガイド接点部材にて可能な限り最大の間隔で配置すること、が可能となる。これは、有利には、ソケット部材におけるガイド接点部材の案内の遊び、従ってまた可動式開閉接点部材の案内の遊び、を最小化する。
【0012】
本発明による真空開閉器のさらなる構成は、可動式開閉接点部材の端部と接続されている力伝達部材を備える。これにより、開閉接点部材及びガイド接点部材を動かすために、可動式開閉接点部材へ駆動力を伝達することができる。
【0013】
本発明による真空開閉器のさらなる構成では、ガイド接点部材の外壁は、可動式開閉接点部材の端部及び力伝達部材の少なくとも一部分、の周りを取り囲んで延びている。それにより、ガイド接点部材の外壁の、力伝達部材へ向かっての広がりが実現され、これはガイドリング同士の可能な限り大きな間隔が可能となり、それにより、ソケット部材でのガイド接点部材の案内の遊びが減少する。
【0014】
本発明による真空開閉器のさらなる構成では、力伝達部材は、ねじ付きボルトによって、可動式開閉接点部材の端部と接続されている。さらに、楔状固定板が設けられていてもよく、当該楔状固定板は、可動式開閉接点部材の端部と力伝達部材との間に配置されており、また、当該楔状固定板によって、ねじ付きボルトが案内されている。これにより、力伝達部材の可動式開閉接点部材との機械的に安定した接続が可能になる。
【0015】
本発明による真空開閉器のさらなる構成では、力伝達部材は、ばねパケット用のハウジングとして形成されている。これはばねパケットを力伝達部材に配置することを可能にし、当該ばねパケットを用いて、弾性力が力伝達部材及び第2の開閉接点部材に作用され、真空開閉管内での電気接点を確実に閉じることができる。
【0016】
本発明の上述の特性、特徴および利点、ならびにそれらが達成される態様は、図面に関連してより詳細に説明される実施例の以下の説明に関連して、より明確かつより明瞭に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による真空開閉器の一実施例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
唯一の図は、本発明による真空開閉器1の一実施例の断面図を示す。真空開閉器1は、互いに離間された2つの導電性のソケット部材3、5と、ソケット部材3、5の間に配置された真空開閉管7と、2つのソケット部材3、5と接続されている機械的に剛性の支持部材9と、を備える。支持部材9は、真空開閉管7を管状に無接触で包囲するもので、絶縁材料で製造されている。
【0019】
真空開閉管7は、金属製の中央領域17と、2つの金属製の真空管端部領域19、21と、2つの絶縁領域23、25と、を有する。中央領域17は、真空管端部領域19,21及び絶縁領域23、25よりも大きな直径を有しており、絶縁領域23,25の間に配置されている。絶縁領域23、25はそれぞれ非導電性の材料で製造されている。第1の真空管端部領域19は、第1のソケット部材3内に突出し、第1の絶縁領域23に当接している。第2の真空管端部領域21は、第2のソケット部材5内に突出し、第2の絶縁領域25に当接している。
【0020】
真空開閉管7内には、2つの導電性の開閉接点部材27、29が配置されている。第1の開閉接点部材27は、真空開閉管7の第1の真空管端部領域19に、固定的に接続されている。真空開閉管7から引き出される第1の開閉接点部材27の端部は、例えばねじ接続部(図示せず)によって、第1のソケット部材3と接続されている。それにより、真空開閉管7は第1のソケット部材3と接続されている。第2の開閉接点部材29は、開閉接点部材27、29が互いに接触する第1の開閉位置と、開閉接点部材27、29が互いに離間している図に示す第2の開閉位置との間で、第1の開閉接点部材27に対して移動可能である。第2の開閉接点部材29の端部31は、第2の真空管端部領域21における開口部を通して真空開閉管7から引き出されている。
【0021】
ソケット部材3、5は、それぞれ、金属から、例えばアルミニウムまたは合金から、製造されている。第2のソケット部材5は、円筒状の内壁33を備えた中空体として形成されており、その中に真空開閉管7から引き出された第2の開閉接点部材29の端部31が突出している。
【0022】
真空開閉器1はさらに、導電性のガイド接点部材35、2つのガイドリング37、39、導電性の電流伝達部材41、及び、力伝達部材43、を含む。ガイド接点部材35、ガイドリング37、39、及び、電流伝達部材41は、第2の開閉接触部材29を支持してガイドする、並びに、第2の開閉接点部材29を第2のソケット部材5と電気的に接続する、働きをする。力伝達部材43は、第2の開閉接点部材29及びガイド接点部材35を移動させるために、駆動部(図示せず)の力を第2の開閉接点部材29に伝達する、働きをする。
【0023】
ガイド接点部材35は、真空開閉管7と向かい合う領域であって、第2の開閉接点部材29の端部31に固定的に接続されている領域と、真空開閉管7から離れて力伝達部材43の周囲を取り囲んで延びる領域と、含む。ガイド接点部材35はほぼ円筒状の外壁45を有し、当該外壁45は、真空開閉管7と向かい合う第1の端部領域と、真空開閉管7に対して離背する第2の端部領域とを備え、第1の端部領域には第1のガイドリング37が配置されており、第2の端部領域には第2のガイドリング39が配置されている。電流伝達部材41は、ガイド接点部材35の外壁45にて、2つのガイドリング37、39の間に、配置されている。ガイドリング37、39及び電流伝達部材41は、それぞれ、ガイド接点部材35の外壁45にある環状の溝47から49内で、ガイド接点部材35の周りで延伸しており、第2のソケット部材5の内壁33に当接している。ガイド接点部材35は、例えばアルミニウム、銅、アルミニウム合金、または銅合金から製造されている。ガイドリング37、39は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンから製造されている。電流伝達部材41は、例えば弾性的に支持された接点積層材で構成された構造を有し、例えば銀メッキされた銅-クロム-ジルコニウムから製造されている。
【0024】
力伝達部材43は、ねじ付きボルト51によって、第2の開閉接点部材29の端部31と接続されている。力伝達部材43の第2の開閉接点部材29との接続は、さらに、楔状固定板対53によって固定され、当該楔状固定板対53は、第2の開閉接点部材29の端部31と力伝達部材43との間に配置されており、ねじ付きボルト51の楔状固定板によって案内されている。力伝達部材43は、ばねパケット用のハウジングとして形成されており、当該ばねパケットを用いて、弾性力は、力伝達部材43、ガイド接点部材35、及び、第2の開閉接点部材29、に作用可能である。
【0025】
本発明を好適な実施形態によって詳細に図示し説明したが、本発明は、開示した例によって限定されるものではなく、そこから他の変形を、本発明の保護範囲を逸脱することなく、導出することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 真空開閉器
3 ソケット部材
5 ソケット部材
7 真空開閉管
9 支持部材
17 中央部材
19 真空管端部
21 真空管端部
23 絶縁領域
25 絶縁領域
27 開閉接点部材
29 開閉接点部材
31 端部
33 内壁
35 ガイド接点部材
37 ガイドリング
39 ガイドリング
41 電流伝達部材
43 力伝達部材
45 外壁
51 ねじボルト
53 楔状固定板対