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特許7571302放射線撮影装置およびこれを利用する放射線撮影方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】放射線撮影装置およびこれを利用する放射線撮影方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241015BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023539077
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 KR2021019891
(87)【国際公開番号】W WO2022139560
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183467
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186483
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515075038
【氏名又は名称】ディアールテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、チョル ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チャン キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョン キョン
(72)【発明者】
【氏名】カン、チョン ミン
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-168571(JP,A)
【文献】特開2001-292984(JP,A)
【文献】特開2008-200327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243160(US,A1)
【文献】国際公開第2007/091295(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105025791(CN,A)
【文献】国際公開第2014/136669(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0087469(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374325(US,A1)
【文献】特開2001-276040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エックス線を照射できるように構成されるエックス線照射部
前記エックス線照射部から照射されて被照射体を通過したエックス線の入射を受けて映像を獲得する映像獲得部
前記エックス線照射部と前記映像獲得部を支持するCアーム
前記Cアームを駆動できるように構成される駆動部
記駆動部の駆動要素のうち一つ以上の位置情報を感知する位置情報感知部
前記エックス線照射部と前記映像獲得部による映像撮影がなされた位置情報を基準位置情報とし、前記基準位置情報と前記映像撮影がなされたエックス線出力情報を連係させてポジショニング情報として保存する保存部と、
記位置情報感知部により感知され位置情報に基づいて前記エックス線照射部の作動を制御できるように構成される判断制御部と、
情報を表示する表示部と、
を含む、放射線撮影装置であって
前記判断制御部は
前記エックス線照射部と前記映像獲得部による映像撮影がなされる時、前記映像撮影のための前記エックス線照射部を駆動するためのエックス線出力情報と前記映像撮影がなされた位置を示す前記基準位置情報を連係させて前記ポジショニング情報として前記保存部に保存されるようにする段階
前記位置情報感知部が、前記駆動要素の感知された位置情報を取得する段階と、
前記感知された位置情報が前記ポジショニング情報の何れかの前記基準位置情報と一致するか否かを決定する段階と、
前記感知された位置情報が前記ポジショニング情報のうちいずれか一つの前記基準位置情報と一致する場合、前記基準位置情報と連係された前記エックス線出力情報によるエックス線出力条件で前記エックス線照射部を駆動するように制御して映像撮影がなされるようにする段階と、
を遂行するように構成され、
前記エックス線出力情報は、エックス線の線量をリアルタイムで制御する自動輝度露出制御を提供するために、制御される時間に応じたエックス線の露出パラメータを含み、
前記表示部は、前記基準位置情報と前記感知された位置情報を一緒に表示できるように構成され、前記感知された位置情報に含まれる駆動要素の位置値のうち、前記基準位置情報の駆動要素の位置値と一致する値を識別できるように表示する、
放射線撮影装置。
【請求項2】
前記ポジショニング情報は前記基準位置情報およびそれに連係された前記エックス線出力情報によって得られたエックス線映像をさらに含む、請求項に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記エックス線出力情報は、前記エックス線照射部を駆動するための出力電圧、出力電流エックス線パワー、照射距離、照射時間、焦点サイズ、回転時間、ローディングタイムのうち一つ以上を含む、請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記表示部は前記基準位置情報を表示する基準位置情報表示領域、前記位置情報感知部により感知された位置情報を表示する感知位置情報表示領域、そして前記感知された位置情報を基準位置情報として保存させる命令の入力を受けることができるように構成される基準位置情報保存領域を含む、請求項に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記ポジショニング情報は、エックス線画像のアライメント、エックス線画像の回転角度、及び画像の反転処理のうち少なくとも一つを含む方向情報、前記エックス線照射部のコリメータの位置情報、及び画像処理情報のうち少なくとも一つ以上を更に含む、請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
放射線を照射する放射線照射部と前記放射線照射部から照射されて被照射体を透過した放射線の入射を受けて映像を獲得する映像獲得部を含む放射線撮影装置を利用して遂行され得る放射線撮影方法において、
放射線撮影時の前記放射線照射部の位置を示す基準位置情報と前記放射線照射部の駆動条件を含む放射線出力情報を互いに連係させてポジショニング情報として保存部に保存する段階
リアルタイムで感知される前記放射線照射部の位置を示す感知された位置情報を取得する段階と、
前記感知された位置情報が前記保存部に保存された前記ポジショニング情報のうちいずれか一つの前記基準位置情報と一致するかを判断する段階
前記感知された位置情報が前記ポジショニング情報のうちいずれか一つの基準位置情報と一致する場合、前記基準位置情報と連係された前記放射線出力情報で前記放射線照射部
を駆動して放射線映像撮影がなされるように制御する段階と、
前記基準位置情報と前記感知された位置情報を一緒に表示できるように構成される表示部が、前記感知された位置情報に含まれる駆動要素の位置値のうち、前記基準位置情報の駆動要素の位置値と一致する値を識別できるように表示する段階と、
を含む、放射線撮影方法であって、
前記放射線出力情報は、エックス線の線量をリアルタイムで制御する自動輝度露出制御を提供するために、制御される時間によるエックス線の露出パラメータを含む、
放射線撮影方法。
【請求項7】
前記ポジショニング情報は前記基準位置情報で前記放射線出力情報によって得られた放射線撮影映像をさらに含む、請求項に記載の放射線撮影方法。
【請求項8】
前記放射線出力情報は、前記放射線照射部を駆動するための出力電圧、出力電流エックス線パワー、照射距離、照射時間、焦点サイズ、回転時間、ローディングタイムのうち一つ以上を含む、請求項6に記載の放射線撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線撮影装置およびこれを利用する放射線撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エックス線のような放射線を利用する放射線撮影装置は、人体または動物の胴体の患部に放射線を照射して透過する放射線の入射を受けて患部のイメージを獲得する撮影装置である。このような放射線撮影装置は持続的にまたは連続的に患部に対する放射線映像を提供する装置であり、患部の診断や判読、多様な医療施術のために広く利用されている。
【0003】
放射線撮影装置はエックス線のような放射線を被検者に照射するため、被検者に加えられる放射線の線量を調節することが重要である。特に、Cアーム形態の放射線撮影装置は相対的に長時間の間エックス線撮影を遂行するため、エックス線の線量を最小化することが必要である。また、最近正確な診断と治療のために精密な高解像度のリアルタイム映像の必要性が大きく増加しており、放射線映像の画質を高めるためには放射線の被爆量の増加も伴われる。
【0004】
放射線撮影装置は被検者の診断に最も適合な映像を得るために多様な位置および角度で映像を獲得しなければならない必要があり、特に、患部の再確認のために同じ位置で繰り返し撮影しなければならない場合も多い。一般的に最適な映像を得るために、使用者が反復的な試行錯誤的な方式によってCアームの回転角度を調整しながら最終的な回転角度を決定して撮影を遂行するため、このような過程で被検者および使用者は長時間放射線に露出されることになる。
【0005】
同一位置の再撮影のために、患部が間に位置するように対向するように配置される放射線ソースと放射線ディテクタの位置を、先立った放射線撮影がなされた位置に正確に再位置させることができるように以前の放射線撮影当時の位置情報を保存する放射線撮影装置が紹介された。放射線ソースと放射線ディテクタが保存された位置情報を利用して望む正確な位置に再位置させることができた。
【0006】
しかし、このような位置情報を利用して放射線ソースと放射線ディテクタを再位置させる既存の放射線撮影装置は、再位置された撮影位置で放射線撮影を遂行するために定められたイメージングパラメータを利用したイメージングプロセスおよびそれによる自動明るさ露出制御がなされなければならず、それによって自動明るさ露出時間により患者および使用者に不要な放射線被爆が誘発されざるを得ない問題を有した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-1501086号公報(2015.03.04.)
【文献】特許第6549561号明細書(2019.07.05.)
【文献】米国特許第8,315,355号明細書(2012.11.20.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、同一位置でなされる反復的な放射線撮影時に自動明るさ制御過程で発生する放射線被爆量を減らし得る方案を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例に係る放射線撮影装置は、放射線を照射できるように構成される放射線照射部、前記放射線照射部から照射されて被照射体を通過した放射線の入射を受けて映像を獲得する映像獲得部、前記放射線照射部と前記映像獲得部を支持する支持メンバー、前記支持メンバーを駆動できるように構成される駆動部、前記放射線照射部と前記映像獲得部のうち一つ以上の位置を示す位置情報を感知する位置情報感知部、前記放射線照射部と前記映像獲得部のうち一つ以上の位置を示す基準位置情報および前記放射線照射部の該当する放射線出力情報を連係させてポジショニング情報として保存する保存部、そして前記位置情報感知部により感知される位置情報が前記ポジショニング情報の前記基準位置情報と一致する場合、前記放射線照射部が該当する前記ポジショニング情報の前記放射線出力情報により作動して放射線を照射するように前記放射線照射部を制御するように構成される判断制御部を含む。
【0010】
前記基準位置情報は前記放射線照射部と前記映像獲得部による放射線撮影がなされた位置に該当し得、前記放射線出力情報は前記基準位置情報の位置でなされた前記放射線撮影のために前記放射線照射部を駆動した放射線出力条件を含むことができる。
【0011】
前記ポジショニング情報は複数の位置に該当する複数のポジショニング情報を含むことができる。各ポジショニング情報は互いに異なる位置を示す基準位置情報および該当位置でなされた放射線撮影のための放射線出力情報を含む。例えば、このような複数のポジショニング情報は放射線撮影がなされる過程中に使用者によって選択され得る。
【0012】
前記ポジショニング情報を表示する表示部をさらに含むことができ、前記表示部は前記基準位置情報と前記位置情報感知部により感知された位置情報を共に表示できるように構成され得る。基準位置情報と感知された位置情報が表示部上に共に表示されることによって、使用者は現在位置が基準位置と一致するかどうかを視覚的に確認できるため操作便宜性が向上し得る。
【0013】
前記基準位置情報および前記位置情報感知部により感知される前記位置情報は前記駆動部の位置を示す情報を含むことができる。
【0014】
本発明の他の実施例によると、前記支持メンバーは両側端に前記放射線照射部と前記映像獲得部が固定されるCアームであり得、前記駆動部は前記Cアームを一つ以上の方向への線形移動、および一つ以上の方向への回転移動が可能であるように駆動できるように構成され得る。
【0015】
前記放射線照射部はエックス線を照射するエックス線照射部であり得る。前記放射線出力情報は前記エックス線照射部を駆動するための出力電圧、出力電流、エックス線電力、照射距離、照射時間、焦点の大きさ、回転時間、ローディングタイムのうち一つ以上を含むことができる。このような放射線出力情報はエックス線照射部を駆動して望むエックス線が照射されるようにするエックス線パラメータである。
【0016】
本発明の他の実施例に係る放射線撮影装置は、前記ポジショニング情報は前記基準位置情報の位置で得られた放射線撮影映像をさらに含むことができる。ポジショニング情報が該当位置で獲得された放射線撮影映像を含むことによって、使用者に映像情報を含んだより多くの情報を提供することができる。
【0017】
前記ポジショニング情報は前記エックス線撮影映像の方向情報、前記エックス線照射部のコリメータの位置情報、そして映像処理情報のうち一つ以上をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の他の実施例に係る放射線撮影装置は、エックス線を照射できるように構成されるエックス線照射部、前記エックス線照射部から照射されて被照射体を通過したエックス線の入射を受けて映像を獲得する映像獲得部、前記エックス線照射部と前記映像獲得部を支持するCアーム、前記Cアームを駆動できるように構成される駆動部、前記Cアーム駆動部の駆動要素のうち一つ以上の位置情報を感知する位置情報感知部、前記エックス線照射部と前記映像獲得部による映像撮影がなされた前記位置情報を基準位置情報とし、前記基準位置情報と前記映像撮影がなされたエックス線出力情報を連係させてポジショニング情報として保存する保存部、そして前記位置情報感知部により感知された前記位置情報に基づいて前記エックス線照射部の作動を制御できるように構成される判断制御部を含む。前記判断制御部は前記エックス線照射部と前記映像獲得部による映像撮影がなされる時、前記映像撮影のための前記エックス線照射部を駆動するためのエックス線出力情報と前記映像撮影がなされた位置を、前記基準位置情報を互いに連係させて前記ポジショニング情報として前記保存部に保存されるようにする段階、そして前記位置情報感知部により感知された前記駆動要素の位置情報が前記ポジショニング情報のうちいずれか一つの前記基準位置情報と一致する場合、前記基準位置情報と連係された前記エックス線出力情報によるエックス線出力条件で前記エックス線照射部を駆動するように制御して映像撮影がなされるようにする段階を遂行するように構成され得る。判断制御部はプロセッサ、メモリおよび関連ハードウェアとソフトウェアを含むことができ、このような段階を遂行できるようにプログラムされたプログラムによって駆動されるように構成され得る。
【0019】
前記ポジショニング情報は前記基準位置情報およびそれに連係された前記エックス線出力情報によって得られたエックス線映像をさらに含むことができる。
【0020】
本発明の他の実施例に係る放射線撮影装置は情報を表示する表示部をさらに含むことができ、前記表示部は前記基準位置情報と前記位置情報感知部により感知された位置情報を共に表示できるように構成され得る。
【0021】
前記表示部は前記基準位置情報を表示する基準位置情報表示領域、前記位置情報感知部により感知された位置情報を表示する感知位置情報表示領域、そして前記感知された位置情報を基準位置情報として保存させる命令の入力を受けることができるように構成される基準位置情報保存領域を含むことができる。
【0022】
前記表示部は前記感知された位置情報の位置値のうち、前記基準位置情報の位置値と一致する値を識別され得るように表示できるように構成され得る。
【0023】
本発明の実施例に係る放射線撮影方法は、放射線を照射する放射線照射部と前記放射線照射部から照射されて被照射体を透過した放射線の入射を受けて映像を獲得する映像獲得部を含む放射線撮影装置を利用して遂行され得、放射線撮影時の前記放射線照射部の位置を示す基準位置情報と前記放射線照射部の駆動条件を含む放射線出力情報を互いに連係させてポジショニング情報として保存部に保存する段階、リアルタイムで感知される前記放射線照射部の位置を示す位置情報が前記保存部に保存された前記ポジショニング情報のうちいずれか一つの前記基準位置情報と一致するかを判断する段階、そして前記感知された位置情報が前記ポジショニング情報のうちいずれか一つの基準位置情報と一致する場合、前記基準位置情報と連係された前記放射線出力情報で前記放射線照射部を駆動して放射線映像撮影がなされるように制御する段階を含む。
【0024】
本発明の他の実施例に係る放射線撮影方法は、前記ポジショニング情報は前記基準位置で前記放射線出力情報によって得られた放射線撮影映像をさらに含むことができる。
【0025】
本発明のさらに他の実施例に係る放射線撮影方法は、前記ポジショニング情報の前記基準位置情報と前記感知される位置情報を表示部に共に表示する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、予めなされた放射線撮影の位置を基準位置情報とし、放射線出力情報をそれに連係させてポジショニング情報として保存し、リアルタイムで検出される位置情報がポジショニング情報の基準位置情報と一致すれば該当放射線出力情報を利用して放射線出力がなされるようにすることによって、自動明るさ調節の所要時間を減らして患者および使用者に加えられる放射線被爆量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例に係る放射線撮影装置の概略的なブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る放射線撮影装置を概略的に示した図面である。
図3】本発明の実施例に係る放射線撮影装置のCアームを概略的に示した図面である。
図4】従来技術に係る放射線撮影装置で明るさ調節がなるまで放射線の出力を概略的に示すグラフである。
図5】本発明の実施例に係る放射線撮影装置で明るさ調節がなるまで放射線の出力を概略的に示すグラフである。
図6】本発明の実施例に係る放射線撮影装置を利用した放射線撮影方法を概略的に示したフローチャートである。
図7】本発明の実施例に係る放射線撮影装置の表示部に表示された基準位置情報と位置情報感知部により感知されたリアルタイム位置情報が表示された状態の一例を図示する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で具現され得、説明された実施例に限定されない。
【0029】
本発明の実施例によると、図1および図2を参照すると、放射線照射部110と映像獲得部120が支持構造200によって支持される。放射線照射部110は放射線を出力し、映像撮影時に出力された放射線が被照射体Sに照射されるように配列される。映像獲得部120は放射線照射部110から出力されて被照射体Sを通過した放射線の入射を受けて映像データを獲得する。放射線照射部110はX線を出力するX線ソースを含むX線発生装置であり得、映像獲得部120はX線発生装置に対向するように整列され、被照射体Sを透過したX線を受信して可視光線 形態の映像データを変換する装置を含むことができる。
【0030】
本発明の放射線撮影装置は、モバイル形態のCアームエックス線イメージング装置、仲裁的エックス線装置(interventional X-ray device)、仲裁的血管造影術Cアームエックス線装置(interventional angiography C-arm X-ray device)等に適用され得る。
【0031】
支持構造200は放射線照射部110と映像獲得部120を支持し、被照射体Sのイメージング位置および角度などの変更のために放射線照射部110と映像獲得部120の空間上の位置および回転位置の変更が可能であるように構成される。例えば、支持構造200は支持ボディ240、上下方向D1に移動可能に支持ボディ240に締結されるリフトコラム230、そしてリフトコラム230と共に上下方向に移動可能であり、かつリフトコラム230に対して水平方向D2に相対移動可能にリフトコラム230に締結される前後進アーム220を含むことができる。
【0032】
支持メンバー、例えばCアーム210が前後進アーム220に対して少なくとも一つの回転方向に相対回転可能に前後進アーム220に締結され、放射線照射部110と映像獲得部120がCアーム210の両側端部にそれぞれ締結される。この時、Cアーム210は前後進アーム220と共に上下方向の昇降移動および水平方向に前後進移動が可能でありながら、前後進アーム220に対して少なくとも一つの回転方向、例えばオービタル回転方向R1および前後進アーム220の水平移動方向と並んでいる方向を中心とする軸回転方向R2のうち少なくとも一つの回転方向に相対回転可能に前後進アーム220に締結され得る。図面に図示されてはいないが、支持構造200はリフトコラム230の上下方向移動、前後進アーム220の水平方向移動、およびCアーム210の回転のためのモータのようなアクチュエータを含むことができる。放射線照射部110と映像獲得部120を支持する支持メンバーであるCアーム210を支持し駆動するための要素、すなわち前後進アーム220、リフトコラム230、およびこれらに備えられるアクチュエータはCアーム210を駆動するための駆動要素と言え、これらの組み合わせはCアーム210を駆動するための駆動部と言える。また、本発明の他の実施例では、前後進アーム220の横方向回転を通じてCアーム210のパンニング回転(panning rotation)がなされるように構成されてもよい。支持メンバーの形態は「C」字状に限定されず、本発明の他の実施例では「C」字状の代わりに「U」字状、「G」字状などのアームが支持メンバーとして使われてもよい。
【0033】
位置情報感知部160は放射線照射部110または映像獲得部120の位置情報を測定して獲得する。ここで位置情報は空間上の座標位置を示す空間上の位置情報、そして回転角度などの各種姿勢位置情報を含むものと解釈されるべきであり、放射線照射部110と映像獲得部120がCアーム210に固定的に締結されるので放射線照射部110および映像獲得部120の位置情報はCアーム210の位置情報に対応することができる。すなわち、Cアーム210の位置情報と放射線照射部110および映像獲得部120の位置情報は、両者間の幾何学的位置関係による数学的計算によって相互的に得られ得る。このような理由で、本出願の発明の説明および請求の範囲全体に亘ってCアーム210の位置情報と放射線照射部110および映像獲得部120の位置情報は互いから得られ得るものと理解され得る。本明細書ではCアーム210を駆動するための駆動部の駆動要素の位置情報を感知し、これに基づいて撮影方法が遂行される場合を例にして説明する。
【0034】
位置情報感知部160は放射線照射部110と映像獲得部120が固定的に締結されるCアーム210の位置情報をリアルタイムで獲得するように構成され得る。位置情報感知部160はCアーム210の位置情報を測定するための一つ以上のセンサ、例えばCアーム210のオービタル回転方向R1への回転角度を測定する回転角度センサ、Cアーム210の軸回転方向R2への回転角度を測定する回転角度センサ、Cアーム210の水平方向D2への位置移動変位を測定する水平変位センサ、そしてCアーム210の垂直方向D1への位置移動変位を測定する垂直変位センサを含むことができる。ここで、Cアーム210の水平変位、垂直変位、および回転角度は予め定められた基準値に対する相対変位に該当する値であり得、このようなCアーム210の位置情報に基づいて被照射体Sに対するCアーム210およびこれに固定された放射線照射部110と映像獲得部120の整列状態を把握することができる。
【0035】
例えば、オービタル回転方向R1への回転角度を測定する回転角度センサはCアーム210に装着される非接触エンコーダを含むことができ、エンコーダの距離を角度に換算して回転角度を算出することができる。図3は本発明の実施例に係る放射線撮影装置のCアーム210を概略的に示した図面であり、理解と説明の便宜のためにCアーム210の回転角度が分かる角度目盛りがCアーム210に表示されている。オービタル回転方向R1への回転角度を測定する回転角度センサは、このようなCアーム210の回転角度を測定することができる。Cアーム210の軸回転方向R2への回転角度を測定する回転角度センサは前後進アーム220に設置されるギアエンコーダを含むことができ、ギアエンコーダの信号を利用して前後進アーム220の長さ方向軸を中心とするCアーム210の回転角度を算出することができる。Cアーム210の水平方向への位置移動変位を測定する水平変位センサは前後進アーム220の水平方向D2への変位を検出するリニアエンコーダを含むことができ、リニアエンコーダを通じて前後進アーム220の位置移動変位、すなわちCアーム210の水平方向D2への位置移動変位を測定することができる。Cアーム210の垂直方向D1への位置移動変位を測定する垂直変位センサはリフトコラム230の垂直方向D1への変位を検出するリニアエンコーダを含むことができ、リニアエンコーダを通じてリフティングコラム230の位置移動変位、すなわちCアーム210の垂直方向D1への位置移動変位を測定することができる。
【0036】
Cアーム210の位置情報はこれらのセンサによって算出された情報、すなわちオービタル回転方向R1への回転角度、軸回転方向R2への回転角度、水平方向への変位、垂直方向への変位を含むことができる。
【0037】
保存部150は映像データ、映像データに関連して互いに連係された放射線出力条件および基準位置情報を保存する。基準位置情報は放射線出力によるイメージングが遂行された位置に対する情報であって、放射線出力条件は該当位置で放射線イメージングのための放射線を出力する駆動条件を意味する。放射線が例えばX線である場合、放射線出力条件はX線出力電圧と出力電流を含むことができる。また、保存部150は任意の位置で撮影された映像を保存しながら、該当位置での映像撮影のために使われたエックス線出力情報、すなわちエックス線露出パラメータ(Kv、mAなど)、Cアーム210の駆動のための駆動要素の移動データである回転角度、移動距離などに対するデータを該当映像に結合して保存することができる。保存部150は情報の保存が可能なメモリ装置であり得る。
【0038】
判断制御部130は放射線照射部110の放射線出力条件を設定できるように構成され、具体的には、保存部150に保存された基準位置情報とそれに連係された放射線出力情報により放射線照射部110の放射線出力条件を設定できるように構成される。この時、一つ以上の基準位置情報とそれにそれぞれ連係された一つ以上の放射線出力情報が保存部150に保存され得、判断制御部130は位置情報感知部160により測定された位置情報が保存部150に保存された基準位置情報のうちいずれか一つと一致し、該当基準位置と連係された放射線出力情報を利用して放射性出力条件を設定することができる。判断制御部130はプロセッサ、メモリおよび関連ハードウェアとソフトウェアを含むことができ、プロセッサは以下で説明する機能および方法を具現するための命令を実行できるように構成され得る。
【0039】
判断制御部130と保存部150は支持ボディ240に設置されてもよく、別途のワークステーションに備えられてもよい。保存部150は判断制御部130に有線/無線で連結された別途のサーバーまたはクラウドサーバーで具現されてもよい。
【0040】
放射線照射部110は判断制御部130から放射線出力条件に関する信号の伝達を受けるように判断制御部130に電気的に連結され、判断制御部130から受信された放射線出力条件により放射線、すなわちX線を出力する。
【0041】
判断制御部130は位置情報検出部160で獲得される位置情報が保存部150に保存された基準位置情報のうちいずれか一つと一致すれば、該当基準位置情報に連係された放射線出力情報によって放射線照射部110の放射線出力条件を設定する。ここで基準位置情報は、映像データの獲得当時に測定され映像データに連係されて保存された位置情報をいう。基準位置情報は以後に測定される位置情報との比較を通じて放射線照射部110と映像獲得部120が同じ位置に再位置されたかどうかを判断するための比較基準となる。
【0042】
撮影による映像データの獲得がなされる時、判断制御部130は該当撮影がなされる時の位置情報を映像データと連係させて保存部150に保存することができる。また、映像データが得られる時に放射線照射部110から放射線を出力させた放射線出力条件を含む放射線出力情報も、該当映像データとともに連係されて保存部150に保存され得る。このように映像データと連係されて保存された位置情報は基準位置情報となる。
【0043】
互いに連係された位置情報と放射線出力条件が結合された映像データが保存部150に保存される。判断制御部130は保存部150に各種情報を保存し、保存された情報を呼び出す制御を遂行する。互いに連係された位置情報と放射線出力情報が結合された映像データは任意の位置で遂行された放射線撮影の放射線出力条件を記憶するための情報であり、このような意味で本明細書の全体に亘ってこのような映像データをポジショニング映像データと称する。
【0044】
判断制御部130は映像データ、映像データに関連した放射線出力情報および位置情報を互いに連係させて保存部150に保存し、判断制御部130により映像データに連係された位置情報は連係された映像データに関する基準位置情報として保存される。
【0045】
判断制御部130は使用者の選択により映像データに位置情報を連係させて保存部150に保存させるものの、放射線出力情報は除外させることも可能である。すなわち必要に応じて、放射線出力情報を除いて、映像データと基準位置情報のみ互いに連係させて保存することが可能である。
【0046】
表示部140はリアルタイム位置情報、映像データ、基準位置情報、放射線出力情報のうち少なくとも一つ以上を表示できるように構成される。表示部140は情報および映像表示が可能な任意の装置であり得、例えばプリンタ、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ、PDPディスプレイ、OLEDディスプレイ、FEDディスプレイ、LEDディスプレイ、DLPディスプレイ、PFDディスプレイ、3Dディスプレイ、透明ディスプレイなどであり得る。また、表示部140は使用者から入力を受けることができるタッチスクリーンのような情報表示および入力が可能な形態で具現されてもよい。表示部140がタッチスクリーンのように入力を受けることができる形態である場合には使用者によって入力された情報が判断制御部130に伝達され、判断制御部130は入力された情報を反映して各種設定を変更してもよい。
【0047】
判断制御部130は表示部140に感知された位置情報と基準位置情報を共に表示されるように制御でき、使用者は共に表示された感知された位置情報と基準位置情報を比較して放射線照射部110と映像獲得部120が以前の撮影時の位置、すなわち基準位置情報に該当する位置に再位置されたかを把握することができる。基準位置情報と感知された位置情報それぞれのCアーム210のオービタル回転方向R1への回転角度と軸回転方向R2への回転角度、前後進アーム220の位置、リフトコラム230の位置が表示部140に表示されるので、使用者が基準位置情報と感知された位置の差を容易に把握することができ、必要な場合、実際の位置情報が基準位置情報と一致するようにCアーム210の二つの回転方向への位置、前後進アーム220の位置、およびリフトコラム230の位置を調節することができる。
【0048】
映像データ、そして映像データに連係された放射線出力情報および基準位置情報が互いに連係されて保存部150に保存される。すなわち判断制御部130が映像データ、そして映像データに連係された放射線出力情報および基準位置情報を互いに連係させて保存部150に保存されるようにする。一方、放射線出力情報は自動明るさ調節を実行するかに対する情報も含まれ得る。また、表示部140またはモニタのような画面表示装置を通じて表示されるエックス線映像の方向と映像処理に関する設定値も基準位置情報または映像データに連係されて保存部150に保存され得る。必要に応じてエックス線映像の方向を調整することが要求されると、調整された放射線映像の方向も共に保存部150に保存され得る。ここでエックス線映像の方向の例として、エックス線映像の整列、エックス線映像の回転角度、映像の反転処理がある。
【0049】
映像処理に関する要素、例えば明暗比、明るさ比、メタルディテクションオン/オフ、モーションオン/オフなどに関する設定値も基準位置情報または映像データに連係されて保存部150に保存され得る。また、プロファイル値(profile value)も基準位置情報または映像データに連係されて保存され得、プロファイル値として、再帰的フィルタファクター(recursive filter factor)、ピクセルストレッチ(pixel stretch)、ガンマー(gamma)、LUT、マスキング(Unsharp Masking)、ノイズ減少フィルタ(noise reduction filter)、カメラセッティング(camera setting)、ディテクタセッティング(detector setting)、エックス線モード(X-ray mode)等があり得る。この他にもエックス線撮影のためのその他の設定が基準位置情報または映像データに連係されて保存されてもよい。
【0050】
図4は従来技術に係る放射線撮影装置で自動明るさ調節が完了するまで放射線の出力電圧と出力電流を概略的に示したグラフであり、図5は本発明の実施例に係る放射線撮影装置で自動明るさ調節が完了するまで放射線の出力電圧と出力電流を概略的に示したグラフである。図4および図5のグラフで太線で描かれたグラフ線は出力電圧を示し、細線で描かれたグラフ線は出力電流を示す。
【0051】
図4を参照すると、従来の放射線撮影装置では、再撮影のために放射線照射器と映像獲得器が再位置された状態で自動明るさ調節が完了するまで約750msecの時間が必要とされ、4~6段階にかけて出力電圧と出力電流が調整される。反面、図5を参照すると、本発明の実施例に係る放射線撮影装置では、再撮影のために放射線照射部110と映像獲得部120が再位置された状態で自動明るさ調節が完了するまで約100msecの時間が必要とされ、出力電圧および出力電流の調整が1、2段階以内で完了するので、自動明るさ調節が従来技術に比べて迅速になされることが分かる。
【0052】
従来技術によると、明るさ調節のためにエックス線が照射される時間が750msec程度であったが、同じ位置でエックス線を再照射する場合、予め保存されたエックス線出力条件によって明るさ調節を開始するので、以前の方式に比べて明るさ調節に所要する時間が短縮される。自動明るさ調節の開始点と自動明るさの最適値の差が殆どないので、自動明るさ調節に所要する時間が100msec以内に減少して患者および使用者の被曝線量が減少し、表示部140でエックス線映像をより早く表示するので手術時間を短縮させることに役に立つ。
【0053】
このように本発明に係る放射線撮影装置では自動明るさ露出制御を利用し、Cアーム210の位置情報、すなわちオービタル回転方向R1への回転角度および軸回転方向R2への回転角度、前後進アーム220の位置、およびリフトコラム230の位置による放射線出力条件を保存部150に保存し、位置情報感知部160により感知されたCアーム210のオービタル回転方向R1への回転角度および軸回転方向R2への回転角度、前後進アーム220の位置、およびリフトコラム230の位置が保存部150に保存された位置情報と一致する場合、保存された放射線出力条件で自動明るさ露出制御および撮影がなされる。したがって、同じ位置で放射線映像を再獲得する場合に自動明るさ調節のための照射時間が短縮されて患者および使用者の放射線被爆量が減少する。
【0054】
引き続き、前述した本発明の実施例に係る放射線撮影装置を利用して遂行され得る放射線撮影方法について説明する。図6で本発明の実施例に係る放射線撮影方法を概略的に示したフローチャートである。
【0055】
図6を参照すると、本発明の実施例に係る放射線撮影方法は、放射線照射部100または映像獲得部120の位置情報を獲得する位置情報獲得過程(S110)、放射線照射部110が被照射体に放射線を照射して映像獲得部120が映像データを獲得する映像データ獲得過程(S121)、獲得された映像データ、獲得された映像データに関連した基準位置情報および放射線出力情報を互いに連係させて保存する保存過程(S130)、そして位置情報感知部160で測定される位置情報が基準位置情報と一致すれば該当基準位置情報に連係された放射線出力情報により放射線照射部110の放射線出力条件を設定する設定過程(S140)を含む。ここで基準位置情報は映像データの獲得当時に感知され獲得された映像データに連係された位置情報であり得る。そして本発明の実施例に係る放射線撮影方法は、使用者からの入力によるか予め保存された放射線出力情報により放射線出力条件を獲得して映像データの獲得を遂行する映像データ獲得過程(S122)をさらに含むことができる。
【0056】
まず、位置情報獲得過程(S110)で放射線照射部110または映像獲得部120の位置情報は、前述した通り、放射線照射部110と映像獲得部120を支持する支持部の位置変化および状態変化を測定して獲得することができる。すなわちCアーム210、前後進アーム220、およびリフトコラム230に対して回転角センサ、変位センサ等を通じて測定された値を通じて位置情報が獲得され得る。
【0057】
映像データ獲得過程は2回に亘って遂行され得る。位置情報獲得過程(S110)の次に実行される映像データ獲得過程を第1映像データ獲得過程(S121)といい、後述される設定過程(S140)以後になされる映像データ獲得過程を第2映像データ獲得過程(S122)という。
【0058】
第1映像データ獲得過程(S121)で放射線照射部110が被照射体に放射線を照射して映像獲得部120が映像データを獲得する。この過程で獲得された映像データは判断制御部130に伝達され得る。
【0059】
保存過程(S130)で獲得された映像データ、そして獲得された映像データに関連した位置情報、すなわち基準位置情報および放射線出力情報を互いに連係させて保存する。前述した通り、判断制御部130は獲得された映像データ、そして獲得された映像データに関連した基準位置情報および放射線出力情報を互いに連係させて保存部150に保存させる。一方、保存過程(S130)以後に他の位置での放射線撮影のために放射線照射部110および映像獲得部120の位置が変更され、変更された位置で前述したような位置情報獲得過程(S110)、第1映像データ獲得過程(S121)および保存過程(S130)が遂行されてもよい。これによって互いに連係された映像データ、基準位置情報および放射線出力情報の複数のデータセットが保存され得る。
【0060】
設定過程(S140)で、位置情報感知部160で測定される位置情報が基準位置情報と一致すれば、該当基準位置情報と連係された放射線出力情報により放射線照射部110の放射線出力条件を設定する。ここで、使用者が確認できるように、測定された位置情報、映像データ、基準位置情報および放射線出力情報のうち少なくとも一つ以上を表示部140に表示することができる。この過程に代わってまたはこの過程に追加的に、使用者の入力によるか保存部150に予め保存された放射線出力情報により放射線出力条件を獲得する過程が遂行されてもよい。
【0061】
放射線照射部110の放射線出力条件、例えば出力電圧と出力電流が以前に遂行された放射線出力条件、すなわち測定された現在位置での以前の映像データ獲得時の放射線出力条件により設定される。
【0062】
第2映像データ獲得過程(S122)は第1映像データ獲得過程(S121)がなされた放射線照射部110および映像獲得部120の位置と同じ位置で再撮影がなされる過程であって、放射線照射部110が被照射体に放射線を照射し、これによって映像獲得部120が映像データを獲得する。第2映像データ獲得過程(S122)では放射線照射部110の放射線出力条件、例えば出力電圧と出力電流が保存部150に保存されている以前に遂行された条件、すなわち現在位置で以前の映像データ獲得時の放射線出力条件により設定されるので、出力電圧と出力電流の調節を通じての自動明るさ調節が相対的に早く完了し得る。
【0063】
このようにCアーム210の位置情報、例えばオービタル回転方向R1への回転角度および軸回転方向R2への回転角度、前後進アーム220の位置変位、およびリフトコラム230の位置変位、そしてそれに連係された放射線出力情報を保存部150に保存し、測定される位置情報が保存された位置情報と同一である時、保存部150に保存された放射線出力情報による放射線出力条件によって自動明るさ制御および映像獲得がなされるので、同じ位置で映像を再獲得する場合に自動明るさ調節のための放射線照射時間が短縮されて患者および使用者の放射線被爆量が減少し得る。
【0064】
前述した各過程(S110、S121、S130、S140、S122)は前述した順序に限定されて遂行されるべきものではなく、必要に応じて異なる順序で遂行されてもよい。また、各過程別に反復的な遂行がなされてもよい。
【0065】
前述した通り、本発明の実施例に係る放射線撮影装置およびこれを利用する放射線撮影方法によると、任意の位置で遂行されていた放射線撮影の放射線出力情報が保存され、該当位置で再撮影がなされる場合、保存された放射線出力情報により放射線出力条件が自動的に設定され、それによって自動明るさ露出制御および撮影がなされるので、同じ位置で映像を再獲得する場合に自動明るさ制御のための照射時間が短縮されて患者および使用者の放射線被爆量が減少する。また、自動明るさ調節の開始点と自動明るさの最適値の差が殆どないので自動明るさ調節に必要とされる時間が100msec以内に減少して患者および使用者の被曝線量が減少し、表示部140に撮影映像がよりはやく表示されることによって手術のような施術をする場合、施術時間を大きく短縮させることができる。
【0066】
以下では、本発明の実施例に係る放射線撮影装置がエックス線撮影装置で具現される例について説明する。以下で説明される例において、放射線照射部110は映像撮影のためのエックス線を照射し、以下でエックス線照射部と称し、映像獲得部120は被照射体を透過したエックス線を感知するエックス線ディテクタを含む。
【0067】
判断制御部130は使用者によって設定された撮影条件、入力された撮影条件または予め保存されたマニュアルに沿って、エックス線照射部110と映像獲得部120の位置、撮影タイミングおよび撮影条件などを制御することができる。判断制御部130は入力される命令に沿ってエックス線照射部110および映像獲得部120を制御して、エックス線の露出、映像撮影、Cアーム210の駆動、照射タイミング、エックス線の強度およびエックス線の照射領域などを制御することができる。また、判断制御部130はエックス線撮影を通じて映像獲得部120から受信される映像データを利用して被照射体に対するイメージ、動画、3D映像を生成することができ、映像獲得部120から映像データを受信して映像ノイズを除去し、ダイナミックレンジ(dynamic range)およびインターリービング(interleaving)等を調節して映像を生成する役割をすることができる。このように生成された映像をディスプレイする出力部が備えられ得、このような出力部はUI(user interface)、使用者情報または被照射体情報などの使用者が撮影装置を操作するために必要な情報を出力することができる。
【0068】
判断制御部130はエックス線露出制御モジュール、位置変化比較モジュール、ポジション露出値結合モジュール、そして自動明るさ調整モジュールを含むことができる。エックス線露出制御モジュールはエックス線照射部110を通じて照射されるエックス線の露出パラメータ(kV、mAなど)を制御する。エックス線露出パラメータは管電圧(kV)、管電流(mA)、エックス線電力(kW)、照射距離、照射時間、焦点の大きさ(mm)、回転時間(秒)、ローディングタイムなどを含むことができる。判断制御部130はこのように設定されたエックス線露出パラメータによってエックス線照射部、ジェネレータなどを制御してエックス線が照射されるように制御し、保存部に保存された撮影モードマニュアルに沿ってエックス線が照射されるように制御する役割をする。
【0069】
エックス線露出制御モジュールはAEC(Automatic Exposure Control)機能を遂行できるように構成され得る。AEC機能は照射されたエックス線が被照射体を透過して適正の露出が得られた時点でエックス線の出力を制限する機能を意味し、被照射体の厚さによるエックス線の吸収が異なる場合には常に適正のエックス線条件に調節することである。通常エックス線の線量照射時間、撮影映像イメージの輝度値等予め設定された基準値により目標基準値に到達する瞬間エックス線照射が中断されるようにする。
【0070】
例えば、脊椎施術時に映像撮影のためにCアーム210を駆動するための駆動部のポジショニングがなされなければならない。例えば被照射体の厚さ方向のポジション(APポジション)、被照射体の対角線方向のポジション(Oblポジション)、被照射体の幅方向のポジション(LATポジション)を何度も繰り返し移動しながら映像を撮影しながら施術を進行し、ここでCアーム210の駆動は使用者の操作による手動駆動方式でなされてもよく、モータライズド(motorized)方式である自動駆動方式でなされてもよい。
【0071】
Cアーム210を駆動してAPポジション、すなわち第1ポジションに位置させた状態でエックス線映像を撮影し、撮影された映像が保存されるとポジション露出値結合モジュールによってCアーム210を駆動するための駆動部の位置情報、すなわち回転角度情報、移動距離情報およびその他の情報(ディスプレイに表示される映像の方向情報、エックス線照射部のコリメータ位置情報、映像処理関連情報など)等のデータとAPポジションでのエックス線出力条件、すなわちエックス線の露出パラメータ情報が該当映像に結合されて保存部150に第1ポジショニング映像データとして保存される。
【0072】
第1ポジショニング映像データの保存後、施術のためにCアーム210の位置を変更して映像を継続して撮影し、この時、位置変化比較モジュールが位置情報感知部160により検出される位置情報が第1ポジショニング映像データ(またはこれを含んで保存部150に予め保存されているポジショニング映像データのうちいずれか一つの映像データ)の位置情報、すなわち基準位置情報と同一であれば、エックス線露出制御モジュールが第1ポジショニング映像データに保存されたエックス線露出パラメータ情報を呼び出して同じエックス線が照射されるようにエックス線照射部110を制御する。
【0073】
引き続き、使用者が多様な施術位置で多数個の映像を撮影し、該当するポジショニング映像データが保存され得る。続く施術および手術のために位置を変えながら映像を継続して撮影中に、判断制御部130は位置情報感知部160により感知される現在のCアーム210を駆動する駆動部の角度、移動距離などが保存部150に保存された多数のポジショニング映像データのうちいずれか一つと同一であれば、該当ポジショニング映像データのエックス線露出パラメータ情報をすぐに呼び出して同じエックス線が照射されるように制御する。これによって保存された位置に戻る場合、判断制御部130のエックス線露出制御モジュールは保存部150に予め保存されたポジショニング映像データの中で、同じ位置情報を含むポジショニング映像データから該当エックス線パラメータのエックス線露出値のみすぐに呼び出して同じエックス線が照射されるように制御する。
【0074】
既存の方式によってこのような施術がなされる場合、多様な施術位置でエックス線映像撮影展開時に自動明るさ制御機能(ABC(automatic bright control)コントロール機能)が活性化され、この自動明るさ制御機能がローディングする時間が数秒以上かかり、これによって患者および使用者は長い時間の間進行される施術および手術時間の間エックス線に露出されるため、累積被爆線量が大きくなる問題があった。しかし、本発明では施術中同じ位置に戻る場合、予め保存されたポジショニング映像データからエックス線露出値をすぐに呼び出して同じエックス線が照射されるようにすることによって、ABCローディングタイムを最小化することができ、それによって追加的な放射線被爆を最小化することができる。
【0075】
Cアーム形態のエックス線撮影装置では自動明るさ制御機能が備えられ、この機能は映像撮影時にエックス線の線量をリアルタイムで自動で制御できる機能であって、エックス線が患者に照射されて映像獲得部120に設けられるフォトセンサで検出されたエックス線信号量を参照しながらエックス線条件(エックス線露出パラメータ)を制御する方式であり、適切な透視エックス線の線量を近似するように推定してエックス線の線量を制御する機能である。
【0076】
因みに、Cアーム形態のエックス線撮影装置では各ポジションで映像撮影の展開時に自動明るさ制御が開始され、ABC制御が完了するまで数秒以上の時間(ローディング時間)が必要とされる。本発明は各映像撮影位置で撮影展開時にABCローディングタイムなしにすぐにエックス線を照射するように制御できるのでローディング完了までに発生するエックス線による追加的な放射線被爆が防止され得るため、患者および使用者の累積被曝線量が最小化され得る。
【0077】
一方、本発明の他の実施例によると、撮影中に映像情報なしに位置情報のみ別途に保存することができる。すなわち、施術または手術中の多様な位置で映像を撮影していて、映像なしに位置のみ別途に保存できる機能が提供されてもよい。映像情報を除いてCアームを駆動するための駆動部の位置情報とエックス線パラメータ情報を結合して保存部に保存し、同一位置に戻れば同じエックス線露出値でエックス線を照射するように制御され得る。また、このように保存された各位置に対する位置情報および連係されて保存されたエックス線露出値も同時に表示部に表示され得る。
【0078】
一方、図7には本発明の実施例に係る放射線撮影装置の表示部140に基準位置情報と位置情報感知部160により感知されたリアルタイム位置情報が表示された例が図示されている。保存された複数の基準位置情報をそれぞれ示すタブ、すなわちAタブ、Bタブ、Cタブがタブ表示領域71に表示される。図7には三個の基準位置情報を示すタブのうちAタブが選択された状態であり、Aタブに保存された基準位置情報が基準位置情報表示領域72に表示されている。基準位置情報表示領域72にはCアーム210のオービタル回転方向への回転角(-360度)、軸回転方向への回転角(-270度)、横方向位置変位(22.2cm)、そして上下方向位置変位(0.0cm)が例示的に図示されている。位置情報感知部160により感知されたCアーム210の位置情報が感知位置情報表示領域173に表示されており、この時、感知された位置情報のうち横方向位置変位が基準位置情報の該当する値と一致した場合が図示されている。このような場合、すなわち感知された位置情報が基準位置情報と一致する場合、基準位置情報と連係されたエックス線出力情報によりエックス線照射部110を制御することができる。この時、基準位置情報を構成する複数の位置値のうち一つ以上が感知された位置情報の該当する値と一致すれば、一致する位置値が識別され得るように表示され得る。これによって使用者は感知された位置情報と保存された基準位置情報を容易に比較することができる。そして基準位置情報保存領域174は現在感知された位置情報を基準位置情報として保存できるようにする命令の入力を受けることができるように構成される。例えば、図面に図示された通り、位置を示す位置項目(Position)とエックス線出力情報を示す状態項目(State)をそれぞれ選択できるようにし、この状態で保存項目(Save)を選択することによって、選択された位置項目(Position)および/または状態項目(State)が基準情報として該当基準位置情報タブに保存されるようにすることができる。これによって使用者の望む位置および該当位置で遂行されたエックス線出力情報を基準情報として選択することができる。図7に図示されたものは使用者の操作命令の入力を受けることができるタッチスクリーンで具現され得る。
【0079】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の各種変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0080】
110:放射線照射部
120:映像獲得部
130:判断制御部
140:表示部
150:保存部
160:位置情報感知部
200:支持部
210:Cアーム
220:前後進アーム
230:リフトコラム
240:支持ボディ
S:被照射体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7