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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】負極及びこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20241015BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20241015BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241015BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241015BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20241015BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241015BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241015BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/133
H01M4/36 B
H01M4/36 E
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/62 Z
H01M10/052
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023540801
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2022001532
(87)【国際公開番号】W WO2022164244
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0013020
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒュン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ス・ジュン
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-514067(JP,A)
【文献】特開2020-087653(JP,A)
【文献】特開2020-077510(JP,A)
【文献】特開2017-084759(JP,A)
【文献】特開2013-143382(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0089568(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置された負極活物質層と、を含み、
前記負極活物質層は、シリコン系活物質、黒鉛を含む第1導電材、単層カーボンナノチューブを含む第2導電材、及びバインダーを含み、
前記バインダーは、セルロース系化合物及びゴム系化合物を含み、
前記第1導電材は、前記負極活物質層に15重量%~25重量%で含まれ、
前記第2導電材は、前記負極活物質層に0.15重量%~2.5重量%で含まれ、
前記第2導電材及び前記バインダーは、前記負極活物質層に1.5:99.5~20.0:80.0の重量比で含まれる、負極。
【請求項2】
前記黒鉛は板状である、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1導電材の比表面積は5m/g~40m/gである、請求項1又は2に記載の負極。
【請求項4】
前記第1導電材の平均粒径(D50)は1μm~20μmである、請求項1から3の何れか一項に記載の負極。
【請求項5】
前記第1導電材のアスペクト比は1.1~30.0である、請求項1から4の何れか一項に記載の負極。
【請求項6】
前記第2導電材の比表面積は400m/g~1,00m/gである、請求項1から5の何れか一項に記載の負極。
【請求項7】
前記第2導電材の平均長さは5μm~30μmである、請求項1から6の何れか一項に記載の負極。
【請求項8】
前記第2導電材のアスペクト比は5,000~15,000である、請求項1から7の何れか一項に記載の負極。
【請求項9】
前記第1導電材及び前記第2導電材は、前記負極活物質層に0.7:99.3~1.5:99.5の重量比で含む、請求項1から8の何れか一項に記載の負極。
【請求項10】
前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層に60重量%~78重量%で含まれる、請求項1から9の何れか一項に記載の負極。
【請求項11】
前記バインダーは、前記セルロース系化合物及び前記ゴム系化合物を5:95~80:20の重量比で含む、請求項1から10の何れか一項に記載の負極。
【請求項12】
前記セルロース系化合物は、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース及びセルロースガムからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の負極。
【請求項13】
前記ゴム系化合物は、スチレン-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、及びフルオロゴムからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1から12の何れか一項に記載の負極。
【請求項14】
前記バインダーは、前記負極活物質層に5重量%~20重量%で含まれる、請求項1から13の何れか一項に記載の負極。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の負極と、
前記負極に対向する正極と、
前記負極及び正極の間に介在されるセパレータと、
電解質と、を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月29日付けの韓国特許出願第10-2021-0013020号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、負極及びこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車など、電池を使用する電子機構の急速な普及に伴い、小型軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は、軽量で高エネルギー密度を有しており、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これにより、リチウム二次電池の性能を向上させるための研究開発の努力が活発に進められている。
【0004】
一般的に、リチウム二次電池は、正極、負極、前記正極及び負極の間に介在されるセパレータ、電解質、有機溶媒等を含む。また、正極及び負極は、集電体上に正極活物質又は負極活物質を含む活物質層が形成されることができる。前記正極には、一般的にLiCoO、LiMn等のリチウム含有金属酸化物が正極活物質として使用され、これにより負極にはリチウムを含有しない炭素系活物質、シリコン系活物質が負極活物質として使用されている。
【0005】
負極活物質のうち、シリコン系活物質の場合、炭素系活物質に比べて約10倍程度の高い容量を有し、優れた高速充電特性を有する点で注目されている。しかし、シリコン系活物質は、充放電による体積膨張/収縮の程度が大きく、充放電が繰り返されることによって活物質間の電気的短絡が発生しやすいため、負極の寿命特性が低下するという問題がある。これに関して、シリコン系活物質をスチレン-ブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロースを含むバインダーと共に使用した負極が開発されているが、このようなバインダーは引張強度が高くなく、シリコン系活物質の体積膨張を十分に抑制できないという問題がある。一方、シリコン系活物質をポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などの引張強度の高いバインダーと共に使用した負極が開発されているが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などのバインダーは電解液濡れ性が良くないため、活物質の伝導性を低下させ、抵抗を上昇させて負極の出力特性を減少させるという問題がある。
【0006】
韓国登録特許第10-0794192号は、リチウム二次電池用の炭素被覆シリコン-黒鉛複合負極素材の製造方法及びこれを含む二次電池の製造方法に関するものであるが、前述した問題点を解決するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-0794192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一課題は、寿命特性、及び出力特性が同時に向上できる負極を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の課題は、前述した負極を含む二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置された負極活物質層と、を含み、前記負極活物質層は、シリコン系活物質、黒鉛を含む第1導電材、単層カーボンナノチューブを含む第2導電材、及びバインダーを含み、前記バインダーは、セルロース系化合物及びゴム系化合物を含み、前記第1導電材は、前記負極活物質層に15重量%~25重量%で含まれ、前記第2導電材は、前記負極活物質層に0.15重量%~2.5重量%で含まれ、前記第2導電材及び前記バインダーは、前記負極活物質層に1.5:99.5~20.0:80.0の重量比で含まれる負極を提供する。
【0011】
また、本発明は、前述した負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極及び前記正極との間に介在されるセパレータと、電解質と、を含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の負極は、シリコン系活物質を使用する負極において、黒鉛を含む第1導電材、単層カーボンナノチューブを含む第2導電材、並びにセルロース系化合物及びゴム系化合物を含むバインダーを併用し、前記第1導電材、前記第2導電材及び前記バインダーを特定の含量で含むことを特徴とする。本発明によれば、優れた電解液濡れ性を有するバインダーを使用することにより、負極の出力特性を向上させることができるとともに、前記第2導電材が前記バインダーと結着してバインダーの引張強度を向上させることができるため、シリコン系活物質の体積膨張及び収縮を抑制することができ、第1導電材がシリコン系活物質の間に存在して導電性ネットワークを保持させることができる。したがって、前記負極及びこれを含む二次電池は、寿命特性及び出力特性を同時に優れたレベルに向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、その自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則り、本発明の技術的思想に合致する意味及び概念と解釈されるべきである。
【0014】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【0015】
本明細書において、「含む」、「備える」又は「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0016】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径と定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的にサブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性及び高分解性の結果を得ることができる。
【0017】
<負極>
本発明は、負極、具体的には、リチウム二次電池用負極に関する。
【0018】
具体的に、本発明の負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置された負極活物質層と、を含み、前記負極活物質層は、シリコン系活物質、黒鉛を含む第1導電材、単層カーボンナノチューブを含む第2導電材、及びバインダーを含み、前記バインダーは、セルロース系化合物及びゴム系化合物を含み、前記第1導電材は、前記負極活物質層に15重量%~25重量%で含まれ、前記第2導電材は、前記負極活物質層に0.15重量%~2.5重量%で含まれ、前記第2導電材及び前記バインダーは、前記負極活物質層に1.5:99.5~20.0:80.0の重量比で含まれる。
【0019】
従来、シリコン系活物質は、高い容量及び急速充電特性を有するという利点があるが、シリコン系活物質は、充放電による体積膨張/収縮の程度が大きいため、充放電が継続することによって負極内の活物質の接触が互いに切れるという問題が発生し、これにより、活物質間のリチウム伝達が難しくなり、リチウムが析出するという問題などが発生し、寿命特性が急激に低下するという問題がある。
【0020】
このような問題を解決するために、本発明の負極は、シリコン系活物質を使用する負極において、黒鉛を含む第1導電材、単層カーボンナノチューブを含む第2導電材、並びにセルロース系化合物及びゴム系化合物を含むバインダーを併用し、前記第1導電材、前記第2導電材及び前記バインダーを特定の含量で含むことを特徴とする。本発明によれば、優れた電解液濡れ性を有するバインダーを使用することにより、負極の出力特性を向上させることができるとともに、前記第2導電材が前記バインダーと結着してバインダーの引張強度を向上させることができるため、シリコン系活物質の体積膨張及び収縮を抑制することができ、第1導電材がシリコン系活物質の間に存在して導電性ネットワークを保持させることができる。したがって、前記負極及びこれを含む二次電池は、寿命特性及び出力特性を同時に優れたレベルに向上できる。
【0021】
前記負極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、及びアルミニウム-カドミウム合金のうちから選択された少なくとも1種を含むことができ、好ましくは銅を含むことができる。
【0022】
前記負極集電体の厚さは、通常的に3μm~500μm、好ましくは5μm~30μmであってもよい。
【0023】
前記負極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、前記負極集電体は、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用されてもよい。
【0024】
前記負極活物質層は、前記負極集電体上に配置される。具体的に、前記負極活物質層は、前記負極集電体の少なくとも一面、具体的には、前記負極集電体の一面又は両面に配置されることができる。
【0025】
前記負極活物質層は、シリコン系活物質、第1導電材、第2導電材、及びバインダーを含む。
【0026】
前記シリコン系活物質は、下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0027】
[化学式1]
SiO
【0028】
前記化学式1において、0≦x<2である。SiOの場合、リチウムイオンと反応せず、リチウムを貯蔵することができないため、xは前記範囲内であることが好ましい。
【0029】
具体的には、前記シリコン系活物質はSiを含むことができる。従来、Siは、シリコン酸化物(例えば、SiO(0<x<2))に比べて容量が約2.5~3倍高いという点で有利であるが、Siの充放電による体積膨張/収縮の程度がシリコン酸化物の場合より非常に大きいため、商用化がさらに容易でない。しかし、本発明の二次電池の場合、Siを含むシリコン系活物質を使用しても、活物質の充電電位を好ましいレベルに下げることができるため、寿命特性の低下を防止しながらも、シリコン系活物質が有する高い容量及び急速充電特性を向上させることができる。具体的に、前記シリコン系活物質は、ほとんどがSiからなることができ、より具体的に、前記シリコン系活物質はSiからなることができる。
【0030】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定を期し、電気伝導性を保持するための導電性ネットワークをより円滑に形成することができ、又は活物質及び集電体を結着させるためのバインダーとの接近性をより容易にする観点から、1μm~10μm、好ましくは2μm~6μmであってもよい。
【0031】
前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層内に60重量%~78重量%、好ましくは65重量%~75重量%で含まれてもよい。前記範囲であるとき、前記シリコン系活物質の体積膨張/収縮が電池に与える影響を最小化しながら、シリコン系活物質が有する高い容量を二次電池に十分に実現することができる。
【0032】
前記負極活物質層は、黒鉛を含む第1導電材及び単層カーボンナノチューブを含む第2導電材を含む。
【0033】
本発明の負極において、前記第1導電材は黒鉛を含み、活物質が充放電により体積膨張/収縮されても、活物質の間で導電性ネットワークを保持し続けることができ、前記第2導電材は単層カーボンナノチューブを含み、比表面積が大きく、活物質の表面に良好に吸着できるため、シリコン系活物質の導電性を向上させることができる。
【0034】
また、前記第2導電材の場合、負極内で単層カーボンナノチューブがバインダーと結着することにより、バインダーの引張強度を向上させることができる。したがって、本発明のバインダー、第1導電材及び第2導電材を使用する場合、優れた電解液濡れ性を有するバインダーにより負極の出力特性が向上するとともに、引張強度に優れたバインダーの実現が可能であり、シリコン系活物質の体積膨張及び収縮を優れたレベルに制御することができる。よって、本発明の導電材及びバインダーを含む負極は、出力特性及び寿命特性を同時に向上できる。
【0035】
前記第1導電材の比表面積は、5m/g~40m/g、好ましくは7m/g~30m/g、より好ましくは10m/g~20m/gであってもよい。前記第1導電材の比表面積が前記範囲を満たす場合、負極の製造のための負極スラリーの粘度が過度に高くなることが防止され、第1導電材の分散性が向上できるため好ましく、これにより、前記第1導電材が活物質の間に均一に配置され、導電性ネットワークの保持効果を向上できる。
【0036】
前記第1導電材の比表面積は、窒素吸着法により測定された値(BET比表面積)と定義することができる。
【0037】
前記第1導電材は黒鉛を含み、具体的に、人造黒鉛及び天然黒鉛のうちから選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0038】
前記黒鉛は板状であってもよい。前記黒鉛が板状である場合、前記黒鉛が活物質の間に配置されるときに活物質との接触性に優れ、活物質間の導電性ネットワークの保持効果をより円滑に発揮することができる。より具体的に、前記導電材は板状黒鉛を含むことができる。
【0039】
前記第1導電材のアスペクト比は1.1~30.0、好ましくは1.2~6.0であってもよい。前記第1導電材が上述した範囲のアスペクト比を有するとき、シリコン系活物質が体積膨張/収縮しても第1導電材の形状を良好に保持させることができるため、シリコン系活物質間の導電性ネットワークをより好ましく保持することができる。本明細書において、前記第1導電材のアスペクト比とは、「前記第1導電材の長軸長さ/第1導電材の短軸長さ」と定義することができる。
【0040】
前記第1導電材の平均粒径(D50)は、1μm~20μm、好ましくは2μm~10μmであってもよい。前記第1導電材の平均粒径(D50)が前記範囲である場合、シリコン系活物質が体積膨張/収縮しても活物質間の導電性ネットワークを容易に保持させることができ、負極の寿命性能を向上させることができる。
【0041】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)及び前記第1導電材の平均粒径(D50)の比は、1:1~1:5、好ましくは1:1~1:2であってもよい。前記範囲にあるとき、負極内で前記シリコン系活物質が体積膨張/収縮して活物質間の距離が遠くなっても、前記第1導電材が活物質間の導電性ネットワークを保持させることができるため好ましい。
【0042】
前記第1導電材は、前記負極活物質層内に15重量%~25重量%で含まれる。前記負極活物質層において、前記第1導電材が15重量%未満で使用される場合、シリコン系活物質間の導電性ネットワークの十分な形成が難しい。また、前記第1導電材が25重量%超過で使用される場合、導電性ネットワークの保持効果は向上するが、比表面積の小さい導電材である第1導電材の含量が多くなることにより、負極内の全体的な導電性の向上は僅かであり、負極内の活物質の含量が減少して、容量確保の観点から好ましくない。
【0043】
前記第1導電材は、好ましくは、前記負極活物質層内に17.5重量%~23.0重量%で含まれることができ、前記範囲であるとき、充放電が継続してもシリコン系活物質間の導電性ネットワークを保持させることができ、寿命特性をより向上できるとともに、シリコン系活物質が有する優れた急速充電性能をより容易に確保することができる。
【0044】
前記第2導電材は導電性に優れ、シリコン系活物質に対する吸着性に優れるため、シリコン系活物質の表面の導電性を向上させることができる。また、前記第2導電材はバインダーと結着してバインダーの引張強度を向上させることができるため、シリコン系活物質の体積膨張及び収縮に対する制御が可能である。
【0045】
前記第2導電材は、単層カーボンナノチューブ(Single Wall Carbon Nano Tube、SWCNT)を含む。具体的に、前記第2導電材は、2以上の単層カーボンナノチューブが凝集して形成された単層カーボンナノチューブ集合体を含むことができる。
【0046】
前記第2導電材の比表面積は、400m/g~1,500m/g、好ましくは600m/g~1,200m/gであってもよい。前記第2導電材の比表面積は、前記範囲を満たすことにより、前記第2導電材がシリコン系活物質の表面に良好に吸着できるようにして、シリコン系活物質の表面の伝導性を優れたレベルで付与することができる。
【0047】
前記第2導電材の比表面積は、窒素吸着法により測定された値(BET比表面積)と定義することができる。
【0048】
前記第2導電材の直径は、0.1nm~20nm、好ましくは1nm~5nmであってもよく、前記範囲にあるとき、第2導電材がシリコン系活物質の表面に安定的に吸着できるため好ましい。
【0049】
本明細書において、前記第2導電材の直径は、次のような方法で測定する。前記第2導電材とカルボキシメチルセルロース(CMC)を40:60の重量比で水に添加した溶液(固形分含量は、溶液の全重量を基準に1重量%)を水で1,000倍に希釈させる。前記希釈溶液をTEMグリッドに1滴滴下し、TEMグリッドを乾燥させる。前記乾燥したTEMグリッドをTEM装置(製品名:H7650、製造社:Hitachi)で観察して、前記第2導電材の平均直径を測定する。
【0050】
前記第2導電材は、長さが1μm~50μm、好ましくは5μm~20μmであってもよく、前記範囲にあるとき、第2導電材の長い繊維の長さによる活物質の表面の円滑な吸着又は接触性の向上が可能である。
【0051】
本明細書において、前記第2導電材の長さは、次のような方法で測定する。第2導電材とカルボキシメチルセルロースを40:60の重量比で水に添加した溶液(固形分含量は、溶液の全重量を基準に1重量%)を水で1,000倍に希釈させる。その後、前記希釈溶液20mlをフィルタに濾過し、前記第2導電材が濾過されたフィルタを乾燥する。前記乾燥したフィルタを走査型電子顕微鏡(SEM)で100枚撮影し、imageJプログラムを用いて第2導電材の長さを測定し、前記長さの平均値を第2導電材の長さと定義することができる。
【0052】
前記第2導電材のアスペクト比は5,000~15,000、好ましくは6,000~12,000であってもよい。前記範囲にあるとき、第2導電材による導電性ネットワークが、電極の圧延や負極活物質の体積膨張により損傷することなく、安定的に保持でき、シリコン系活物質の表面に円滑に付着できるという点で好ましい。前記第2導電材のアスペクト比は、「前記第2導電材の長さ/前記第2導電材の直径」と定義することができる。
【0053】
前記第2導電材は、前記負極活物質層内に0.15重量%~2.5重量%で含まれる。仮に、前記第2導電材が前記負極活物質層内に0.15重量%未満で含まれる場合、前記第2導電材が過度に少なく使用されることによって、シリコン系活物質の表面の伝導性の確保が難しくなり、活物質の導電性が低下し、バインダーに結着する第2導電材の含量が少なくてバインダーの引張強度を十分に向上させることができないため、負極の寿命特性が急激に低下するおそれがある。また、第2導電材は、シリコン系活物質の表面の他にも、シリコン系活物質間の導電性ネットワークの形成にも寄与することができるが、前記第2導電材の含量が過度に少ない場合、このような効果の発揮を期待し難い。
【0054】
また、仮に前記第2導電材が前記負極活物質層内に2.5重量%超過で含まれる場合、前記第2導電材が過剰に使用されて、負極の製造時に容易な分散が難しく、凝集現象が発生して、シリコン系活物質の導電性の確保が難しくなり、第2導電材の均一な分布が難しく、局部的に抵抗が増加するという問題が発生することがあり、シリコン系活物質の表面の導電性が低下し、第2導電材自体の大きな比表面積により電解液の副反応、これによるガスの発生などの問題が発生するため、負極の寿命特性が低下するおそれがある。
【0055】
前記第2導電材は、好ましくは、前記負極活物質層内に0.17重量%~2.0重量%で含まれてもよい。前記範囲であるとき、シリコン系活物質の表面の導電性が向上するとともに、負極の製造時に第2導電材の分散性の向上が可能であり、負極内に均一なレベルで第2導電材を分布させることができるため、負極の寿命特性がより向上し、シリコン系活物質が有する優れた急速充電性能をより容易に発揮することができる。
【0056】
前記第1導電材及び前記第2導電材は、0.7:99.3~1.5:99.5の重量比、好ましくは0.8:99.2~1.2:99.8の重量比で前記負極活物質層に含まれてもよい。前記範囲であるとき、シリコン系活物質の表面の伝導性を向上させることができるとともに、充放電が継続しても、シリコン系活物質間の導電ネットワークを保持させることができ、寿命特性をより向上させることができるとともに、シリコン系活物質が有する優れた急速充電性能をより容易に確保することができる。
【0057】
前記バインダーは、活物質と導電材等の結着及び集電体に対する結着に助力する成分である。
【0058】
前記バインダーはセルロース系化合物及びゴム系化合物を含む。前記バインダーは、セルロース系化合物及びゴム系化合物を含むことにより、向上した電解液濡れ性を有する。セルロース系化合物及びゴム系化合物を含むバインダーの場合、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどのバインダーに比べて低い引張強度を有するという欠点があるが、前述した第2導電材と共に使用する場合、第2導電材が前記バインダーに結着することにより、バインダーの引張強度を向上させることができ、これにより、シリコン系活物質の体積膨張及び収縮の抑制が可能である。
【0059】
前記セルロース系化合物は、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose、CMC)、メチルセルロース(methyl cellulose、MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose、HPC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(methyl hydroxypropyl cellulose、MHPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethyl hydroxyethyl cellulose、EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(methyl ethyl hydroxyethyl cellulose、MEHEC)及びセルロースガム(cellulose gum)からなる群から選択された少なくとも1種を含むことができ、好ましくは、分散性及び増粘性が良いという点で、カルボキシメチルセルロースを含むことができる。
【0060】
前記セルロース系化合物の重量平均分子量は、分散力及び増粘性をさらに向上させる観点から、700,000~2,000,000、好ましくは1,000,000~1,500,000であってもよい。
【0061】
前記ゴム系化合物は、スチレン-ブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)、アクリルゴム(acrylic rubber)、ブチルゴム(butyl rubber)、及びフルオロゴム(fluoro rubber)からなる群から選択された少なくとも1種、好ましくは優れた電解液濡れ性を有し、接着力に優れるという観点からスチレン-ブタジエンゴムを含むことができる。
【0062】
前記バインダーは、前記セルロース系化合物及び前記ゴム系化合物を5:95~80:20の重量比、好ましくは15:85~50:50の重量比で含むことができ、前記範囲にあるとき、電解液濡れ性がさらに向上し、上述した第2導電材との併用による引張強度の向上効果を優れたレベルに実現することができるため好ましい。
【0063】
本発明の負極において、前記第2導電材及び前記バインダーは、前記負極活物質層に1.5:99.5~20.0:80.0の重量比で含まれる。仮に、前記第2導電材及び前記バインダーの重量の和に対して、前記第2導電材が1.5重量%未満であり、前記バインダーが99.5重量%超過である場合、第2導電材によるバインダーの引張強度の向上効果が僅かであり、シリコン系活物質の体積膨張及び収縮に対する円滑な制御が難しい。仮に、前記第2導電材及び前記バインダーの重量の和に対して、前記第2導電材が20.0重量%超過であり、前記バインダーが80.0重量%未満である場合、接着力低下のおそれがあり、第2導電材の分散性低下、凝集現象の発生等によりバインダーへの結着力が低下して、引張強度を向上させることができないという問題が発生するため好ましくない。具体的に、前記第2導電材及び前記バインダーは、前記負極活物質層に1.5:99.5~5.0:95.0の重量比、具体的に1.5:98.5~5.0:95.0の重量比で含まれてもよく、前記範囲にあるとき、バインダーの引張強度の向上、導電性ネットワークの円滑な保持、負極の寿命特性の向上という観点から良い。
【0064】
前記バインダーは、前記負極活物質層内に5重量%~20重量%、好ましくは7重量%~15重量%で含まれてもよい。前記範囲であるとき、シリコン系活物質を円滑に結着させて活物質の体積膨張の問題を最小化することができるとともに、負極活物質層の形成のためのスラリーの製造時にバインダーの分散を容易にし、コーティング性及びスラリーの相安定性を向上させることができる。
【0065】
前記負極活物質層の厚さは、10μm~100μm、好ましくは20μm~50μmであってもよい。本明細書において、前記負極活物質層の厚さは、負極集電体の一面に形成された一つの負極活物質層の厚さであってもよい。
【0066】
<二次電池>
本発明は、二次電池、具体的に、リチウム二次電池を提供する。具体的に、前記二次電池は前述した負極を含むことができる。
【0067】
具体的に、前記二次電池は、負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極及び前記正極の間に介在されるセパレータと、電解質と、を含むことができる。前記負極は前述の負極であってもよい。
【0068】
前記正極は、正極集電体、及び前記正極集電体上に配置された正極活物質層を含むことができる。
【0069】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。具体的に、前記正極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面を炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用できる。
【0070】
前記正極集電体は、通常的に3~500μmの厚さを有することができる。
【0071】
前記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、前記正極集電体は、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用されてもよい。
【0072】
前記正極活物質層は、前記正極集電体の少なくとも一面に配置されてもよく、具体的に、前記正極集電体の一面又は両面に配置されてもよい。
【0073】
前記正極活物質層は正極活物質を含むことができる。
【0074】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、ニッケル、コバルト、マンガン及びアルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属とリチウムを含むリチウム遷移金属複合酸化物、好ましくは、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む遷移金属とリチウムを含むリチウム遷移金属複合酸化物を含むことができる。
【0075】
より具体的に、前記リチウム遷移金属複合酸化物としては、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMn等)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO等)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO等)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNi(ここで、0<Z<2)等)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)等)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)等)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)又はLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)等)、又はリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、MはAl、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg及びMoからなる群から選択され、p2、q2、r3及びs2はそれぞれ独立した元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)等)などが挙げられ、これらのうちいずれか一つ又は二つ以上の化合物が含まれることができる。なかでも、電池の容量特性及び安定性を高めることができる点で、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O)、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O等)、又はリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O等)などであってもよく、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する構成元素の種類及び含量比の制御による改善効果の顕著さを考慮するとき、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O又はLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなどであってもよく、これらのうちいずれか一つ又は二つ以上の混合物が使用されてもよい。
【0076】
前記正極活物質は、正極活物質の十分な容量発揮等を考慮して、正極活物質層内に80重量%~99重量%、好ましくは92重量%~98.5重量%で含まれてもよい。
【0077】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質と共にバインダー及び/又は導電材をさらに含むことができる。
【0078】
前記バインダーは、活物質と導電材等の結着及び集電体に対する結着に助力する成分であり、具体的に、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム及びフッ素ゴムからなる群から選択された少なくとも1種、好ましくは、ポリビニリデンフルオライドを含むことができる。
【0079】
前記バインダーは、正極活物質などの成分間の結着力を十分に確保する観点から、正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0080】
前記導電材は、二次電池に導電性を補助及び向上させるために使用することができ、化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば、特に制限されるものではない。具体的に、前記導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;及びポリフェニレン誘導体からなる群から選択された少なくとも1種を含むことができ、好ましくは、導電性向上の観点から、カーボンブラックを含むことができる。
【0081】
前記導電材は、正極活物質層の形成のためのスラリーの製造時に、導電材の分散を容易にし、電気伝導度をさらに向上させる観点から、導電材の比表面積が80m/g~200m/g、好ましくは100m/g~150 m/gであってもよい。
【0082】
前記導電材は、電気伝導性を十分に確保する観点から、正極活物質層内に1重量%~20重量%、好ましくは1.2重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0083】
前記正極活物質層の厚さは、30μm~400μm、好ましくは50μm~110μmであってもよい。
【0084】
前記正極は、前記正極集電体上に正極活物質及び選択的にバインダー、導電材及び正極スラリー形成用溶媒を含む正極スラリーをコーティングした後、乾燥及び圧延することで製造することができる。
【0085】
前記正極スラリー形成用溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)等の有機溶媒を含むことができ、前記正極活物質、並びに選択的にバインダー及び導電材等を含むときに好ましい粘度となる量で使用することができる。例えば、前記正極スラリー形成用溶媒は、正極活物質、並びに選択的にバインダー及び導電材を含む固形分の濃度が50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%となるように前記正極スラリーに含まれることができる。
【0086】
前記正極活物質層の空隙率は20%~35%であってもよい
【0087】
前記セパレータは、負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常リチウム二次電池において、セパレータとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながらも電解液の含湿能力に優れたものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体等のようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルム又はこれら2層以上の積層構造体を使用することができる。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性又は機械的強度を確保するために、セラミック成分又は高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータが使用されてもよく、選択的に単層又は多層構造で使用されてもよい。
【0088】
また、本発明で使用される電解質としては、二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
具体的に、前記電解質は有機溶媒及びリチウム塩を含むことができる。
【0090】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質としての役割を果たせるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、ガンマ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテル又はテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状又は環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環又はエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;又はスルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。なかでも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネート等)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネート等)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと直鎖状カーボネートを約1:1~約1:9の体積比で混合して使用した方が、優れた電解液性能を示すことができる。
【0091】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池に使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特に制限なく使用することができる。具体的に、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、又はLiB(C等を使用することができる。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用するとよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するため、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0092】
本発明の二次電池において、下記数学式1で計算されるN/P ratioは1.5~2.5、好ましくは1.7~2.3であってもよい。
【0093】
[数学式1]
N/P ratio={(前記負極の単位面積当たりの放電容量)/(前記正極の単位面積当たりの放電容量)}。
【0094】
前記範囲であるとき、シリコン系活物質の高い容量及び急速充電特性が発揮できるとともに、シリコン系活物質の体積膨張/収縮が電池に与える影響を最小化して、二次電池の寿命特性をさらに向上することができる。
【0095】
具体的に、前記負極の単位面積当たりの放電容量は、以下の方法で求めることができる。まず、使用された負極と同じ負極サンプルを用意する。前記負極サンプル、前記負極に対向するリチウム金属対極、前記負極と前記リチウム金属対極との間に介在されたセパレータ、及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求める。前記放電容量を前記負極サンプルの面積で除して負極の単位面積当たりの放電容量を求めることができる。
【0096】
なお、前記正極の単位面積当たりの放電容量は、以下の方法で求めることができる。まず、使用された正極と同じ正極サンプルを用意する。前記正極サンプル、前記正極に対向するリチウム金属対極、前記正極と前記リチウム金属対極との間に介在されたセパレータ、及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求める。前記放電容量を前記正極サンプルの面積で除して前記正極の単位面積当たりの放電容量を求めることができる。
【0097】
前記二次電池は、通常の二次電池の製造方法に従って、上述した負極と正極との間にセパレータを介在させた後、電解液を注入して製造することができる。
【0098】
本発明に係る二次電池は、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車の分野などに有用であり、特に中大型電池モジュールの構成電池として好ましく使用できる。したがって、本発明は、さらに前記のような二次電池を単位電池として含む中大型電池モジュールを提供する。
【0099】
このような中大型電池モジュールは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのように高出力、大容量が要求される動力源に好ましく適用することができる。
【0100】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0101】
実施例
<負極の製造>
実施例1:負極の製造
シリコン系活物質としてのSi(平均粒径(D50):2.3μm)、第1導電材、第2導電材及びバインダーを70.0:19.8:0.2:10.0の重量比で混合し、これを負極スラリー形成用溶媒としての蒸留水に添加して負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0102】
前記第1導電材は、板状の黒鉛(比表面積:17.0m/g、平均粒径(D50):3.5μm、アスペクト比:4.0)であり、前記第2導電材は、単層カーボンナノチューブ集合体(比表面積:1,100m/g、直径:1.5nm、長さ:10~15μm、アスペクト比:6,667~10,000)であった。
【0103】
前記バインダーは、カルボキシメチルセルロース(CMC、重量平均分子量:1,260,000)及びスチレン-ブタジエンゴム(SBR)を10:90の重量比で混合したものを使用した。
【0104】
負極集電体として、銅集電体(厚さ:8μm)の両面に前記負極スラリーを100mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層(厚さ:25μm)を形成し、これを負極とした(負極の厚さ:58μm)。
【0105】
実施例2:負極の製造
バインダーとして、カルボキシメチルセルロース及びスチレン-ブタジエンゴムを30:70の重量比で混合したものを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0106】
実施例3:負極の製造
バインダーとして、カルボキシメチルセルロース及びスチレン-ブタジエンゴムを60:40の重量比で混合したものを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0107】
比較例1:負極の製造
バインダーとして、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸の共重合体(ビニルアルコール単量体及びアクリル酸単量体を66:34の重量比で混合して重合したもの)を使用したこと、導電材として、カーボンブラック(比表面積:63m/g、平均粒径(D50):35nm、アスペクト比:1.0)、第1導電材及び第2導電材を10.0:9.8:0.2の重量比で混合したものを使用したこと、シリコン系活物質、導電材及びバインダーを70:20:10の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0108】
比較例2:負極の製造
導電材として、カーボンブラック(比表面積:63m/g、平均粒径(D50):35nm、アスペクト比:1.0)、第1導電材及び第2導電材を10.0:9.8:0.2の重量比で混合したものを使用したこと、シリコン系活物質、導電材及びバインダーを70:20:10の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0109】
比較例3:負極の製造
シリコン系活物質、第1導電材、第2導電材及びバインダーを80.0:9.8:0.2:10の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0110】
比較例4:負極の製造
第1導電材を使用しなかったこと、シリコン系活物質、第2導電材、及びバインダーを85:5:10の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0111】
比較例5:負極の製造
シリコン系活物質、第1導電材、第2導電材、及びバインダーを60.0:29.8:0.2:10.0の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0112】
比較例6:負極の製造
シリコン系活物質としてのSi、第1導電材、第2導電材、及びバインダーを70.1:19.8:0.1:10.0の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0113】
比較例7:負極の製造
シリコン系活物質としてのSi、第1導電材、第2導電材、及びバインダーを67.2:19.8:3.0:10.0の重量比で混合したことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0114】
【表1】
【0115】
<二次電池の製造>
1.二次電池の製造
正極活物質としてのLi[Ni0.6Co0.2Mn0.2]O(平均粒径(D50):15μm)、導電材としてのカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、バインダーとしてのポリビニリデンフルオライド(PVdF)を、97.5:1.0:1.5の重量比で、正極スラリー形成用溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極スラリーを製造した(固形分濃度72重量%)。
【0116】
正極集電体としてのアルミニウム集電体(厚さ:15μm)の両面に前記正極スラリーを600mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して正極活物質層(厚さ:73.5μm)を形成し、正極を製造した(正極の厚さ:162μm)。
【0117】
前記正極と前記実施例1の負極との間にポリエチレンセパレータを介在し、電解質を注入して実施例1の二次電池を製造した。
【0118】
前記電解質は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジエチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した有機溶媒にビニレンカーボネートを電解質の全重量を基準に3重量%で添加し、リチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したものであった。
【0119】
前記実施例2~3、比較例1~7の負極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で実施例2~3、比較例1~7の二次電池を製造した。
【0120】
2.二次電池のN/P ratioの測定及び計算
実施例1の負極と同じ負極サンプルを用意した。前記負極サンプル、前記負極に対向するリチウム金属対極、前記負極と前記リチウム金属対極との間に介在されたポリエチレンセパレータ、及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求めた(単位:mAh/g)。前記放電容量を前記負極サンプルの単位面積で除して実施例1の負極の単位面積当たりの放電容量を求めた(単位:mAh/cm)。
【0121】
また、実施例1の正極と同じ正極サンプルを用意した。前記正極サンプル、前記正極に対向するリチウム金属対極、前記正極と前記リチウム金属対極との間に介在されたポリエチレンセパレータ、及び電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造し、放電容量を求めた(単位:mAh/g)。前記放電容量を前記正極サンプルの単位面積で除して前記正極の単位面積当たりの放電容量を求めた(単位:mAh/cm)。
【0122】
以下の式で実施例1の二次電池のN/P ratioを求めた(N/P ratio=2.00)。
【0123】
N/P ratio={(前記負極の単位面積当たりの放電容量)/(前記正極の単位面積当たりの放電容量)}。
【0124】
前記実施例2~3、比較例1~7の負極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で実施例2~3、比較例1~7の二次電池のN/P ratioを求めた。
【0125】
その結果を下記表2に示した。
【0126】
【表2】
【0127】
実験例
実験例1:バインダー濡れ性及び引張強度の評価
1.バインダーフィルムの製造
実施例1A~3A、比較例1A~7Aのバインダーフィルムを製造し、電解液濡れ性を評価した。
【0128】
実施例1A
実施例1で使用された導電材及びバインダーを実施例1と同じ重量比で含む実施例1Aのバインダーフィルムを製造した。
【0129】
バインダーフィルムの製造方法は以下の通りである。実施例1で使用されたバインダー3gを含む分散液を用意した。前記分散液に実施例1で使用された導電材を実施例1の重量比に従って添加した溶液を用意した。前記溶液を高速攪拌機で2,500rpmで1時間攪拌させた。前記攪拌された溶液を面積10cm×15cm、高さ3cmであり、内部の表面にテフロン(登録商標)がコーティングされた直方体状のボウルに入れ、フード内で自然乾燥させてバインダーフィルムを製造した。
【0130】
実施例2A
実施例2で使用された導電材及びバインダーを実施例2と同じ重量比で含む実施例2Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、実施例2で使用された導電材及びバインダーを実施例2と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0131】
実施例3A
実施例3で使用された導電材及びバインダーを実施例3と同じ重量比で含む実施例3Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、実施例3で使用された導電材及びバインダーを実施例3と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0132】
比較例1A
比較例1で使用された導電材及びバインダーを比較例1と同じ重量比で含む比較例1Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例1で使用された導電材及びバインダーを比較例1と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0133】
比較例2A
比較例2で使用された導電材及びバインダーを比較例2と同じ重量比で含む比較例2Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例2で使用された導電材及びバインダーを比較例2と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0134】
比較例3A
比較例3で使用された導電材及びバインダーを比較例3と同じ重量比で含む比較例3Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例3で使用された導電材及びバインダーを比較例3と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0135】
比較例4A
比較例4で使用された導電材及びバインダーを比較例4と同じ重量比で含む比較例4Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例4で使用された導電材及びバインダーを比較例4と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0136】
比較例5A
比較例5で使用された導電材及びバインダーを比較例5と同じ重量比で含む比較例5Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例5で使用された導電材及びバインダーを比較例5と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0137】
比較例6A
比較例6で使用された導電材及びバインダーを比較例6と同じ重量比で含む比較例6Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例6で使用された導電材及びバインダーを比較例6と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0138】
比較例7A
比較例7で使用された導電材及びバインダーを比較例7と同じ重量比で含む比較例7Aのバインダーフィルムを製造した。バインダーフィルムの製造方法は、実施例1で使用された導電材及びバインダーの代わりに、比較例7で使用された導電材及びバインダーを比較例7と同じ重量比で使用したことを除いては、実施例1Aと同様である。
【0139】
(2)電解液濡れ性の評価
実施例1A~3A、比較例1A~7Aで製造されたバインダーフィルムを電解液内に60℃で24時間置いた後、以下の式によって電解液濡れ性を評価し、その結果を下記表3に示した。
【0140】
電解液濡れ性(%)=M/M×100
(前記式において、Mは電解液内に置いてから取り出したバインダーフィルムの重量、Mは電解液内に置く前のバインダーフィルムの重量である。)
【0141】
(3)引張強度の評価
実施例1A~3A、比較例1A~7Aで製造されたバインダーフィルムを横長さ6.5cm、縦長さ1.5cmの直方体状に打ち抜いた。打ち抜かれたバインダーフィルムをUTM(Universal Testing Machine)に結着させた後、横方向に引張実験を行い、破断直前まで測定された引張強度(単位:MPa)をバインダーフィルムの引張強度と定義した。
【0142】
バインダーフィルムの引張強度を下記表3に示した。
【0143】
【表3】
【0144】
表3を参照すると、実施例1A~3Aのバインダーフィルムは、電解液濡れ性に優れながらも引張強度が高いと評価された。これは、電解液濡れ性に優れたバインダーに第2導電材がフィラーとして作用して引張強度を向上させることができるためと考えられる。したがって、実施例1~3の負極の場合、出力特性及び寿命特性が同時に向上できると予測することができる。
【0145】
しかし、比較例1Aの場合、電解液濡れ性と引張強度がいずれも良くないと評価された。一方、比較例2A~比較例7Aのバインダーフィルムは、電解液濡れ性にはある程度優れているが、引張強度が低いと評価された。すなわち、比較例1~比較例7で使用された負極の場合、出力特性が良くないだけでなく、サイクル充放電において容量発現がうまく行われないと予測することができる。
【0146】
実験例2:出力の評価
前記で製造された実施例1~3、比較例1~7の二次電池の放電出力特性を評価した。
【0147】
前記二次電池を充電(1.0C CC/CV充電4.2V 0.05Cカット)及び放電(0.5C CC放電3.2Vカット)の条件で1サイクルの充放電を行い、放電容量を測定した。その結果を表4に示した。
【0148】
【表4】
【0149】
表4を参照すると、第1導電材、第2導電材の含量、及び第2導電材及びバインダーの割合が好ましいレベルに調節された実施例1~3の二次電池は、比較例1~7に比べて負極内の導電性ネットワークが円滑に保持され、バインダーの濡れ性及び引張強度が確保され、優れた初期放電容量を示すことが確認できる。
【0150】
実験例3:サイクル累積容量の評価
前記で製造された実施例1~3、比較例1~7の二次電池のサイクル累積容量を評価した。
【0151】
前記二次電池を充電(1.0C CC/CV充電4.2V 0.05Cカット)及び放電(0.5C CC放電3.2Vカット)の条件で200サイクルの充放電を行い、各サイクルによる放電容量を測定した後、これを合算した。その結果を表5に示した。
【0152】
【表5】
【0153】
表5を参照すると、第1導電材、第2導電材の含量、並びに第2導電材及びバインダーの割合が好ましいレベルに調節された実施例1~3の二次電池は、比較例1~7に比べて負極内の導電性ネットワークが円滑に保持され、バインダーの濡れ性及び引張強度が確保され、サイクルの充放電時にシリコン系活物質を含む負極及び二次電池の容量発現が優れたレベルに実現されることが確認できる。