(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】電気分解システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C25B 15/023 20210101AFI20241015BHJP
C25B 9/65 20210101ALI20241015BHJP
C25B 9/70 20210101ALI20241015BHJP
C25B 15/025 20210101ALI20241015BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
C25B15/023
C25B9/65
C25B9/70
C25B15/025
H02J3/38 130
(21)【出願番号】P 2023556522
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022052978
(87)【国際公開番号】W WO2022194450
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-10-03
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】フライシャー,マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ティーマン,トーマス
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-022381(JP,A)
【文献】国際公開第2019/246433(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018133641(DE,A1)
【文献】特開2018-085861(JP,A)
【文献】特開2021-118574(JP,A)
【文献】特開2020-058168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0079611(US,A1)
【文献】特開2021-140408(JP,A)
【文献】特表2014-514898(JP,A)
【文献】特開2021-161540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00-9/77
C25B 13/00-15/08
H02J 1/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気的に相互連結された電気分解ユニット(1)を有
し、
前記
複数の電気的に相互連結された電気分解ユニット(1)の各々が
- 直流電流の供給により供給媒体(7)から電気分解生成物(6)を生成するように構成された複数の電気分解セル(5)を含む電気分解アセンブリ(2)、及び
- 前記電気分解アセンブリ(2)に電気的に連結された、前記電気分解セル(5)に入射電磁放射線から生成された直流電流を供給するための、光起電アセンブリ(3)
を備え、
前記
複数の電気的に相互連結された電気分解ユニット(1)が、任意の前記電気分解ユニット(1)間で、電気的なエネル
ギの選択的な伝達を可能に
し、
前記複数の電気分解ユニット(1)の間の電気的連結が、任意の前記電気分解ユニット(1)の間の選択的電気接続を可能にする
電気分解システム(100)であって、
もし、前記光起電アセンブリ(3)の全エネルギ出力が、全ての電気分解アセンブリ(2)の作動のために、十分な電力を生成しないことを示している場合には、少なくとも幾つかの電気分解アセンブリ(2)が最適な作動点で作動することができるように、前記光起電アセンブリ(3)から生成された電気エネルギを前記電気分解アセンブリ(2)間で分配するように、構成されている
電気分解システム。
【請求項2】
前記電気分解システム(100)が、少なくとも1つの制御パラメータに基づいて、前記光起電アセンブリ(3)から生成された電気エネルギを前記電気分解アセンブリ(2)間で分配するように構成される、請求項1に記載の電気分解システム(100)。
【請求項3】
前記制御パラメータが、下記のうちのいずれか1つである、請求項2に記載の電気分解システム(100)。
前記光起電アセンブリ(3)の総エネルギ出力、
送電網(50)の作動状態、
電力の市場価格、
前記電力の市場価格の予測、
照明条件の予測、
少なくとも1つのエネルギ貯蔵ユニット(19)に貯蔵された電気エネルギの量、
電気分解生成物の最大生産量
機器寿命最適化
、
貯蔵アセンブリ利用、
電気分解生成物の静圧レベルの最適化、
冷却条件、
熱利用、
酸素用途の最適化、及び/又は
前記供給媒体(7)による供給の最適化。
【請求項4】
前記電気分解ユニット(1)の各々に電気的に接続された中央電力分割ユニット(101)を備え、前記中央電力分割ユニット(10)は、少なくとも2つの電気分解ユニット(1)の間で電気エネルギを選択的に送るように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気分解システム(100)。
【請求項5】
前記光起電アセンブリ(3)のうちの少なくとも1つの作動状態及び/又は前記電気分解アセンブリ(2)のうちの少なくとも1つの作動状態に基づいて、前記光起電アセンブリ(3)によって生成される電気エネルギの前記電気分解アセンブリ(2)間の分配を制御するように構成された制御ユニット(16;116)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気分解システム(100)。
【請求項6】
送電網(50)に電気的に連結されるように構成された外部電力接続(51)を備える
、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気分解システム(100)。
【請求項7】
前記電気分解システム(100)が、前記外部電力接続(51)を介して、前記送電網(50)から電気エネルギを引き出すように、及び/又は、前記外部電力接続(51)を介して、前記光起電アセンブリ(3)によって生成された電気エネルギを前記送電網(50)に提供するように構成される、請求項6に記載の電気分解システム(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの光起電アセンブリ(3)によって生成された電気エネルギの少なくとも一部を貯蔵するように構成された少なくとも1つのエネルギ貯蔵ユニット(19)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気分解システム(100)。
【請求項9】
各電気分解ユニット(1)が
前記エネルギ貯蔵ユニット(19)を備える、請求項8に記載の電気分解システム(100)。
【請求項10】
前記エネルギ貯蔵ユニット(19)が
、送電網(50)からの電気エネルギを貯蔵するように構成される、請求項8又は9に記載の電気分解システム(100)。
【請求項11】
各電気分解ユニット(1)において、前記光起電アセンブリ(3)が主電力線(13)を介して前記電気分解アセンブリ(2)と電気的に連結されており、ここで、配電ユニット(20)が前記主電力線(13)内に電気的に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の電気分解システム(100)。
【請求項12】
前記配電ユニット(20)が、電気エネルギを連続的な方法で分配する電力分割器として構成される、請求項11に記載の電気分解システム(100)。
【請求項13】
前記配電ユニット(20)が、前記電気分解アセンブリ(2)のそれぞれに提供される電気エネルギの量を調整するように構成される、請求項11又は12に記載の電気分解システム(100)。
【請求項14】
前記配電ユニット(20)が、少なくとも1つの他の電気分解ユニット(1)
のエネルギ貯蔵ユニット(19)及び/又は更なる配電ユニット(20)と電気的に連結される、請求項11~13のいずれか一項に記載の電気分解システム(100)。
【請求項15】
電気分解生成物(6)を生成する方法であって、
- 複数の電気分解ユニット(1)の光起電アセンブリ(3)によって電磁放射線から電気エネルギを生成すること;
- 前記生成された電気エネルギを、
前記複数の電気分解ユニット(1)間の電気的相互接続によって、前記複数の電気分解ユニット(1)の電気分解アセンブリ(2)間に、分配すること;及び
- 少なくとも1つの前記電気分解アセンブリ(2)の複数の電気分解セル(5)に前記分配された電気エネルギを提供することによって、供給媒体(7)から電気分解生成物(6)を生成すること
を含み、
ここで、
前記複数の電気的に相互連結された電気分解ユニット
が、電気エネル
ギを任意の電気分解ユニット
(1)に選択的に伝達することを、可能に
し、
前記複数の電気分解ユニット(1)の間の電気的連結が、任意の前記電気分解ユニット(1)の間の選択的電気接続を可能にする
方法であって、
もし、前記光起電アセンブリ(3)の全エネルギ出力が、全ての電気分解アセンブリ(2)の作動のために、十分な電力を生成しないことを示している場合には、少なくとも幾つかの電気分解アセンブリ(2)が最適な作動点で作動することができるように、前記光起電アセンブリ(3)から生成された電気エネルギを前記電気分解アセンブリ(2)間で分配する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気分解生成物の生成に関し、特に、電気分解システム及び電気分解生成物を生成する方法に関する。
【0002】
電気分解は、直流(電流)(DC)を使用して、さもなければ非自然発生的な化学反応を推進する、広く知られている電気化学的方法である。これは、いわゆる「Xへのパワー」プロセスにおいて利用され得るので、気候変動と闘う際の要因として、最近注目されている。これらのプロセスでは、電気エネルギは、一般に、供給媒体(例えば、水又はCO2)を電気分解によって化学エネルギに変換する。このエネルギを含む電気分解生成物は、例えば、水素H2(副生物としてO2を有する)から、メタンCH4(「合成天然ガス」SNG、又は液体形では合成LNGとも呼ばれる)のような小さな炭化水素、エチレンC2H4、エタノールC2H5OH、更には、アンモニアNH3や一酸化炭素COにまで及ぶ。これらの分子は、例えば、対応する車両若しくは発電機のための燃料として、又は化学工業のための原料として使用され得る。
【背景技術】
【0003】
現在確立されている工業的方法は、再生可能な電気エネルギを生成し、電気(公共)送電網を介してこのエネルギを電気分解装置に輸送し、次いで、例えば、水H2O、二酸化炭素CO2又は窒素N2等の供給媒体から、これらの電気分解生成物を生成するというものである。この方法は、再生可能エネルギの生成と電気分解生成物の生成とを空間的に切り離す、例えば、既に存在するインフラの効率的な使用を可能にする、という利点を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電気分解生成物の生成を改善すること、特に、このプロセスの効率を高めること、中間成分を単純化すること、及び/又は全体的なコストを低減することである。
【0005】
この課題は、独立請求項による電気分解システム及び電気分解生成物を生成するための方法によって解決される。
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項及び以下の説明に従う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様による電気分解システムは、複数の、即ち少なくとも2つの、電気的に相互連結された電気分解ユニットを備える。各電気分解ユニットは、(i)直流電流を提供すると供給媒体から電気分解生成物を生成するように構成された、複数の、特に積み重ねられた、電気分解セルを備える電気分解アセンブリと、(ii)前記電気分解アセンブリに電気的に連結されていて、入射電磁放射線から生成された直流電流を前記電気分解セルに提供する光起電アセンブリとを備え、ここで、電気的に連結された電気分解ユニットは、任意の電気分解ユニットの間で、電気エネルギ、特に選択的な電圧及び/又は電流、を、それぞれ選択的に伝達することを可能にする。
【0007】
本発明において、電気的連結とは、特に、電流、取り分け直流、又はより一般的には電気エネルギ、の伝達を容易にする連結である。従って、電気的に連結された電気分解ユニットは、任意の電気分解ユニットの間で、それぞれ、好ましくは選択的な、直流又は電気エネルギの伝達を可能にする。特に、電気的連結は、任意の電気分解ユニットの間の、好ましくは選択的な、電気的接続を可能にする。好ましくは、電気的連結は、任意の電気分解ユニットの間の実際の電気的接続としてではなく、そのような実際の接続を容易に確立することを可能にする構成としてみなされるべきである。
【0008】
例えば、電気的連結は、2つの電気分解ユニット間のスイッチによって実現され得る。スイッチが開いている場合、電気的接続は切断され、直流又は電気エネルギは、それぞれ、伝達され得ないが、本発明において、ユニットは、好ましくは、依然として電気的に連結されていると見なされる。
【0009】
本発明の一態様は、複数の電気分解ユニットを備える電気分解システムを提供するアプローチに基づいており、電気分解ユニットは、当該電気分解ユニットの光起電アセンブリによって生成された電気エネルギ、特に直流、を交換するように構成される。この交換された電気エネルギによって、電気分解ユニットの電気分解アセンブリは、特に信頼性があって効率的な方法で、作動させることができる。電気エネルギの交換を可能にするために、電気分解ユニットは、好ましくは、電気的に相互連結される。言い換えれば、システムは、有利には、相互に電気的に連結された複数の電気分解ユニットを備え、電気分解ユニット間の電気的連結は、好ましくはDC連結である。従って、電気的相互接続は、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギの柔軟で且つ効率的な使用を可能にする。特に、電気分解アセンブリの少なくとも一部の効果的で効率的な作動が可能である。従って、改善された、特に、より持続的な及び/又は経済的な、システムの作動を達成することができる。
【0010】
電気分解システムの更なる利点は、各電気分解ユニットにおける、光起電アセンブリと電気分解アセンブリとの組み合わせ、特に、光起電アセンブリと電気分解アセンブリとの間の直流ベースの(DC)連結、にある。光起電アセンブリによって生成された電気エネルギが、送電網を介して電気分解槽に伝達され、従って、電力転換及び/又は変換を受ける必要がある従来のアプローチとは対照的に、本事例では、転換及び/又は変換は、必要ではない。従って、転換及び/又は変換に伴う不可避的電力損失を防止することができ、電気分解システムが、より効率的に、且つ、経済的な観点から、費用対効果が高くなる。
【0011】
各電気分解アセンブリは、複数の電気分解セルを備えており、電気分解槽、特に産業用電気分解槽、として構成することができる。各電気分解セルは、好ましくは、少なくとも2つの電極、特に少なくとも1つの負極及び少なくとも1つの正極、を備え、供給媒体、例えば、水H2O、二酸化炭素CO2又は窒素N2、が供給される。供給媒体から、電気分解セル、特に前記の少なくとも2つの電極、に直流電流を印加すると、電気分解生成物が生成される。
【0012】
電気分解生成物は、好ましくは、多量のエネルギを含有する。例えば、電気分解生成物は、別の化学反応時に際してエネルギの制御放出を可能にする、高エネルギ分子とも呼ばれるエネルギ含有分子を含んでもいてもよい。或いは、電気分解生成物は、別の反応物質と化学生成反応、特に熱化学反応、をして、大量のエネルギ、例えばエネルギ含有分子、を含有する出力生成物を生成するのに適している。
【0013】
各電気分解アセンブリ、特にその複数の電気分解セルの各々は、好ましくは、供給ラインに結合するための入口ポートを備え、供給ラインは、供給媒体を提供するように構成される。加えて、各電気分解アセンブリ、特にその複数の電気分解セルの各々は、好ましくは、収集ラインに結合するための出口ポートを備え、収集ラインは、有利には各電気分解ユニットの各電気分解アセンブリから、電気分解生成物を収集するように構成される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態及びその更なる態様を以下に記載するが、それらは、各々、明示的に除外されない限り、互いに、そして、必要に応じて、以下に記載する本発明の態様と組み合わせることができる。
【0015】
好ましい実施形態では、電気分解システムは、少なくとも1つの制御パラメータに基づいて、光起電アセンブリから生成された電気エネルギを電気分解アセンブリ間で分配するように構成される。この目的を達成するために、電気分解システムは、好ましくは、光起電アセンブリから生成された電気エネルギの電気分解アセンブリ間における分配を制御するように構成された少なくとも1つの制御ユニットを備える。更に、電気分解システムは、好適には、少なくとも1つの電力分割器、特にDCパワーエレクトロニクス、を備え、これにより、特に選択的に、光起電アセンブリから生成された直流電流を電気分解アセンブリに送る。電気エネルギの分配により、電気分解アセンブリは、例えば状況に応じて、柔軟に作動することができる。
【0016】
別の好ましい実施形態では、制御パラメータは、(i)光起電アセンブリの総エネルギ出力、(ii)送電網の作動状態、(iii)電力の市場価格、(iv)電力の市場価格の予測、(v)照度/気象条件の予測、(vi)少なくとも1つのエネルギ貯蔵ユニットに貯蔵される電気エネルギの量、(vii)電気分解生成物の最大生産量、(viii)装置寿命最適化、(ix)最小劣化、(x)貯蔵アセンブリ利用、(xi)電気分解生成物の静圧レベルの最適化、(xii)冷却条件、(xiii)熱利用、(xiv)酸素使用の最適化、及び/又は(xv)供給媒体による供給の最適化のうちのいずれか1つである。この目的を達成するために、電気分解システム、特に制御ユニット、は、好ましくは、制御パラメータを監視するように構成され、特に、制御パラメータが所定の閾値に到達し及び/又はそれを下回り及び/又は上回るかどうかを検査するように構成される。有利には、電気分解システム、特に制御ユニット、は、制御パラメータを示すデータを受信し、それを対応する閾値と比較し、そして、その比較の結果に基づいて電気エネルギを送るように、構成される。
【0017】
例えば、電気分解システムは、光起電アセンブリの全エネルギ出力が、特に全ての電気分解アセンブリの効率的な作動のために、十分な電力を生成しないことを示している場合には、少なくともあるものが、最適な作動点で作動することができるように、生成された電気エネルギを電気分解アセンブリ間で分配するように構成することができる。例えば、制御ユニットは、光起電アセンブリの総エネルギ出力が所定の電力閾値に達するか又はそれを下回るかどうかをチェックし、そのチェックの結果に基づいて、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギを、電気分解アセンブリの少なくともいくつかが最適電圧で作動できるように送るように、構成され得る。それによって、少なくともいくつかの電気分解アセンブリの、信頼性があって実質的に持続的な、作動を確保することができる。
【0018】
これに代えて又はこれに追加して、制御ユニットが、電気分解アセンブリの少なくとも一部を、規則的な、特に最適な、作動状態において、ではなく、作動させるように構成されていることも考えられる。これは、最適な規定パラメータの下で、限られた電源のみが利用可能である場合に有利であり得る。更に、この手段によって、部品の経年劣化/摩耗を最小限に抑えることができる。
【0019】
これに代えて又はこれに追加して、電気分解システムは、発生された電気エネルギを少なくとも部分的に送電網に供給するように構成することができ、これにより、送電網が不安定になることが送電網の作動状態から示される場合に、送電網を安定させることができる。
【0020】
これに代えて又はこれに追加して、電気分解システムは、電力に対する市場価格に従えば電気分解生成物の代わりに電力を生成することが経済的により魅力的である場合に、発生された電気エネルギを送電網に送るように構成することができる。
【0021】
同様に、電気分解システムが、発電された電気エネルギを、電力の市場価格の予測に基づいてエネルギ貯蔵ユニット、例えばバッテリ、に送るように、構成されることも考えられる。従って、貯蔵された電気エネルギは、市場価格が上昇した後の時点で、送電網に供給する、即ち、販売する、ことができる。
【0022】
これに代えて又はこれに追加して、電気分解システムは、気象条件の予測-従って、光起電アセンブリの予想される発電量-によって、(近い)将来、エネルギ発生量が、電気分解アセンブリの電力要求を満たすのに十分ではなくなることが示される場合、発生された電気エネルギをエネルギ貯蔵ユニットに送るように構成することができる。これにより、電気分解アセンブリの実質的に持続的な作動を確保することができる。
【0023】
これに代えて又はこれに追加して、電気分解システムは、前記電気分解アセンブリの作動状態がその最適な作動点から外れた作動を示す場合、特定の電気分解アセンブリに追加の電気エネルギを提供するように、構成されてもよい。特に、このシステムは、この特定の電気分解アセンブリに印加される電圧が、それぞれ、上昇又は下降するような態様で、電気エネルギを送るように構成されてもよい。これにより、電気分解アセンブリの少なくとも一部の、特に持続的で信頼性のある、作動が可能になる。
【0024】
更に別の好ましい実施形態では、電気分解システムは、各電気分解ユニットに電気的に接続された中央電力分割ユニットを備え、中央電力分割ユニットは、少なくとも2つの電気分解ユニットの間で電気エネルギを選択的に送るように、構成される。好ましくは、複数の電気分解ユニットは、それぞれ、中央電力分割ユニットへの、特に双方向の、電気的接続を備え、それにより、各電気分解ユニットの光起電アセンブリが、発生した直流電流を少なくとも部分的に中央電力分割ユニットに供給することができ、及び/又は各電気分解ユニットの電気分解アセンブリが、中央電力分割ユニットに供給される直流電流の少なくとも一部を受け取ることができる。これにより、発生した直流電流を柔軟に引き回すことが可能となる。特に、2つ以上の光起電アセンブリによって生成される電気エネルギは、一緒に束ねられ、任意の電気分解アセンブリに提供されることができ、それによって、電気分解アセンブリの少なくとも一部のための実質的に持続的な電力供給が可能になる。
【0025】
更に別の好ましい実施形態では、電気分解システムは、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギの電気分解アセンブリ間での分配を制御するように構成された制御ユニットを備える。制御ユニットは、好ましくは、制御パラメータに基づいて、特に、光起電アセンブリのうちの少なくとも1つの作動状態及び/又は電気分解アセンブリのうちの少なくとも1つの作動状態に基づいて、分布を制御するように構成される。これにより、生成された直流電流を状況に依存して確かに送ることが可能になる。
【0026】
例えば、この電気分解アセンブリの作動状態が、例えば最適状態で作動していない、例えば非効率的である、ことを示している場合又は高いエージング/磨耗をもたらすモードで作動していることを、示している場合には、制御ユニットは、特定の電気分解アセンブリに追加の直流電流を送るように、構成することができる。これに代えて又はこれに加えて、対応する電気分解ユニットの光起電アセンブリの作動状態が、電気分解アセンブリを作動させるために必要な量の電気エネルギを生成することができないことを、特に、現在作動不能であることを、示す場合には、制御ユニットは、電気分解アセンブリに直流電流を送るように、構成されてもよい。
【0027】
制御ユニットは、中央制御ユニットであることが好ましい。有利には、中央制御ユニットは、中央電力分割ユニットを制御するように、構成される。特に、中央制御ユニットは、少なくとも1つの制御パラメータを表わす、例えば光起電アセンブリ及び/又は電気分解アセンブリのそれぞれの作動状態を示す、データを受信するように、構成されていることが好ましい。制御ユニットを中央制御ユニットとして構成することによって、制御ユニットは、電気分解システム全体の電気エネルギの生産及び消費を監視し、それに従って、前記エネルギを効率的に送ることができる。
【0028】
或いは、各電気分解ユニットは、他の電気分解ユニットの各々の制御ロジックと通信するように構成された制御ロジックを備える。言い換えれば、各電気分解ユニットは、「スマート」電気分解ユニットである。従って、各電気分解ユニットは、好ましくは、電気分解システム全体の電気エネルギの生産及び消費を監視し、必要に応じて、電気エネルギを他の電気分解ユニットから受け取るか又は他の電気分解ユニットへ送るように、構成される。この目的を達成するために、全ての電気分解アセンブリは、有利には、中央接続電力線に接続される。従って、各制御ロジックは、好ましくは、対応する光起電アセンブリによって生成された電気エネルギ、特に過剰エネルギ、の中央接続電力線への送付を制御し、及び/又は、中央接続電力線から電気エネルギ、特に追加エネルギ、を引き出すように、構成される。
【0029】
更に別の好ましい実施形態では、電気分解システムは、送電網に連結されるように構成された外部電力接続、例えば送電網インターフェース、を備える。この手段によって、電気分解アセンブリを特に信頼性のある方法で作動させることができ、及び/又は、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギを特に柔軟に利用することができる。例えば、電気エネルギの市場価格が特に高い場合、光起電アセンブリによって発電された電力の少なくとも一部を送電網に供給して、収入を更に増加させることができる。
【0030】
別の好ましい実施形態では、電気分解システムは、外部電力接続を介して送電網から電気エネルギを引き出すように、及び/又は、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギ、特に過剰なエネルギ、を外部電力接続を介して送電網に供給するように、構成される。従って、発電が少ない又はない時間の間、例えば、曇天中、夜間、夕方及び/又は夜明けの間、に、(全ての)電気分解アセンブリの効率的な及び/又は持続的な作動を確保するために、送電網から追加の電力が引き出され得る。これに代えて又はこれに加えて、それらの時間の間に電気分解アセンブリの安定性及び適正な機能を維持するために、保護電圧を提供することが可能となる。同様に、高発電時、例えば気象条件が優れている時、には、全ての電気アセンブリの作動に必要とはされない余分なエネルギが、送電網に供給されてもよい。これにより、エネルギの浪費を防ぐことができる。
【0031】
更に別の好ましい実施形態では、電気分解システムは、少なくとも1つのエネルギ貯蔵ユニット、例えば、少なくとも1つの光起電アセンブリによって生成された電気エネルギの少なくとも一部を貯蔵するように構成されたバッテリ、を備える。これにより、送電網から独立した特に安定な電気分解システム、特に全ての行為組立体(actresses assemblies)、の作動が可能となる。これに代えて又はこれに加えて、電力の市場価格に応じて、(過剰)エネルギは、貯蔵され、必要であれば又は経済的に有利であれば、送電網を安定化するために、後で送電網に供給されてもよい。
【0032】
更に別の好ましい実施形態では、各電気分解ユニットは、特に分散型の、エネルギ貯蔵ユニットを備える。これにより、中央貯蔵ユニットの充電を調整するように構成された中央論理回路を必要とすることなく、電気エネルギの貯蔵が可能となる。
【0033】
これに代えて又はこれに加えて、システムは、中央エネルギ貯蔵ユニットを備える。これにより、様々な電気分解ユニットによる貯蔵された電気エネルギへのアクセスを簡素化することができる。また、エネルギ貯蔵ユニットから引き出された電気エネルギの任意の電気分解ユニットへの経路設定を調整するための労力を軽減することができる。
【0034】
更に別の好ましい実施形態では、エネルギ貯蔵ユニットは、送電網からの電気エネルギを貯蔵するように、構成される。例えば、電気分解システム、特に中央制御ユニット、は、電気エネルギの市場価格が特に低く、及び/又は、光起電アセンブリによる電気エネルギの発生量が少ないことが予見される場合に、送電網からの電気エネルギをエネルギ貯蔵ユニットに貯蔵するように、構成することができる。これにより、必要に応じて送電網を安定化させるだけではなく、電気エネルギの市場価格が高くなる時期に備え、全ての電気分解アセンブリの作動を実質的に維持することが可能になる。
【0035】
更に別の好ましい実施形態では、各電気分解ユニットにおいて、光起電アセンブリは、主電力線を介して電気分解アセンブリと電気的に連結され、ここで、配電ユニットは、主電力線内に電気的に配置される。配電ユニットは、有利には、電力分割器、例えばDCパワーエレクトロニクス、として構成される。好ましくは、配電ユニットは、主電力線を介して、特に電気分解アセンブリに伝達される電気エネルギ量を制御するように、構成される。例えば、配電ユニットは、一方で、光起電アセンブリと電気分解アセンブリとの間に直流電流を送り、他方で、追加の負荷及び/又はサービスをそれぞれ送るように、構成されてもよい。特に、追加の、即ち外部の、電気エネルギを、配電ユニットによって電気分解アセンブリに提供することができる。これにより、電気分解アセンブリに提供される電気エネルギ、特に、電気分解アセンブリに印加される電圧、の信頼性のある調節が可能になる。従って、電気分解アセンブリは、ほぼ常に、最適な作動状態で作動させることができる。
【0036】
更に別の好ましい実施形態では、配電ユニットは、電気エネルギを連続的に分配する電力分割器として、構成される。例えば、配電ユニットは、電気エネルギの第1の部分を対応する電気分解アセンブリに送り、同時に、電気エネルギの第2の部分を別の電気分解ユニット及び/又は送電網に送るように、構成されてもよい。これによって、生成された電気エネルギは、特に柔軟に、利用することができる。
【0037】
或いは、配電ユニットは、スイッチとして構成することができる。この場合、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギの全てを、対応する電気分解アセンブリに完全に送るか、又は別の負荷、例えば、エネルギ貯蔵ユニット、中央分割ユニット等、に完全に送ることができる。
【0038】
更に別の好ましい実施形態では、配電ユニットは、好ましくは連続的に、各電気分解アセンブリに提供される電気エネルギの量を調整するように、構成される。好ましくは、配電ユニットは、電気分解アセンブリに印加される電圧を適合させるように、特に増加させるように、構成される。これによって、最適な作動点における電気分解アセンブリの実質的に持続的な作動、従って、電気分解生成物の特に効率的な生成、を達成することができる。
【0039】
例えば、配電ユニットは、光起電アセンブリによって提供される主電力線における直流の一部をDC/DCコンバータに分割し、及び/又は、DC/DCコンバータの出力電圧を主電力線の電圧に加えるように、構成されてもよい。このように主電力線の直流電流の一部のみが分割されると、DC/DCコンバータにおける変換による損失を最小限に抑えることができる。
【0040】
更に別の好ましい実施形態では、配電ユニットは、エネルギ貯蔵ユニット及び/又は少なくとも1つの他の電気分解ユニットの更なる配電ユニットと、電気的に連結され、特に電気的に接続される。特に、配電ユニットは、外部エネルギ源、特に送電網、に連結されてもよい。好ましくは、配電ユニットは、中央電力分割ユニットを介して、少なくとも1つの他の電気分解ユニット及び/又は送電網の更なる配電ユニットと、連結される。これにより、生成された電気エネルギを電気分解アセンブリと別の負荷との間で、柔軟に分配することができる。特に、配電ユニットは、追加の、即ち外部の、電気エネルギを電気分解アセンブリに供給するように、構成することができる。
【0041】
本発明の第2の態様による電気分解生成物を生成する方法は、(i)複数の電気分解ユニットからなる光起電アセンブリによって電磁放射線から電気エネルギを生成すること、(ii)生成された電気エネルギを、電気分解ユニット間の電気的相互接続によって、特に選択的に、複数の電気分解ユニットの電気分解アセンブリ間に、分配すること、及び、(iii)分配された電気エネルギを少なくとも1つの電気分解アセンブリの複数の電気分解セルに供給することによって、供給媒体から電気分解生成物を生成すること、を含み、ここで、電気的に相互連結された電気分解ユニットは、電気エネルギ、特に選択的な電圧及び/又は電流、を、それぞれ、任意の電気分解ユニットに選択的に伝達することを、可能にする。
【実施例】
【0042】
上述した本発明の特性、特徴及び利点並びにそれらを達成する方法は、以下の実施例の説明において、図に関連して更に詳細に説明される。必要に応じて、本発明の同じ又は対応する要素について、同じ参照符号が図中で使用される。実施例は、本発明を説明するためのものであり、機能的特徴に関してさえ、本発明を、そこに示される特徴の組み合わせに限定するものではない。更に、以下の実施例に開示される特徴のいずれも、単独で考慮されることができ、上記実施形態のいずれかの特徴及びそれらの更なる態様と適切に組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1: 光起電アセンブリを含む電気分解ユニットの一例であって、ここで、光起電アセンブリは、複数の光起電モジュールを有する。
図2: 連結インターフェースを備える電気分解ユニットの例である。
図3: 調節アセンブリを備える電気分解ユニットの例である。
図4: 複数の電気的に相互連結された電気分解ユニットを備える電気分解システムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、電気分解アセンブリ2と光起電アセンブリ3とを備える電気分解ユニット1の一例を示す。光起電アセンブリ3は、各々が入射電磁放射線、特に太陽光、から直流電流を生成するように構成された複数の光起電モジュール4を備える。電気分解アセンブリ2は、光起電アセンブリ3によって生成された直流電流を供給すると、それぞれが、供給媒体7から電気分解生成物6を副生物8と共に生成するように、構成された複数の電気分解セル5を含む。本実施例では、電気分解ユニット1は、生成された電気分解生成物6を貯蔵するように構成された任意の貯蔵アセンブリ9を備える。
【0045】
好ましくは、複数の光起電モジュール4は、電気的に直列に且つ同時に並列に接続される。この目的を達成するために、複数の光起電モジュール4は、複数の光起電ユニット10に配置され、各光起電ユニット10は、電気的に直列に接続された複数の光起電モジュール4を含む。本実施例では、各光起電ユニット10は、3つの光起電モジュール4を備える。しかしながら、各光起電ユニット10が、光起電ユニット10によって生成された電圧を電気分解アセンブリ2の効率的な作動に適したレベルまで上昇させるために、20個までの光起電モジュール4を備えることが考えられる。例えば、電気分解アセンブリ2が30~100個の電気分解セル5を含み、各セルが1.5Vと4Vとの間の電圧、例えば2.5V、で作動するならば、有利には直列に接続された3~20個の光起電モジュール4を提供して、単一の光起電モジュール4の20Vから200Vまでの電圧を、数百ボルト、更には、電気分解アセンブリ2の特に確実な作動のために必要とされる2kVにまで、昇圧することができる。
【0046】
この電圧を電気分解アセンブリ2に効率的に供給するために、好ましくは、電気分解ユニット1は、光起電アセンブリ3によって生成された電気エネルギを電気分解アセンブリ2に伝達するための主電力線13を構成する一対の集電線11a、11bを備えている。各光起電ユニット10から、1つの光起電モジュール4、特に直列の最初のもの、は、主電力線13の第1の集電線11aに電気的に接続することができ、他の1つの光起電モジュール4、特に直列の最後のもの、は、主電力線13の第2の集電線11bに電気的に接続することができる。
【0047】
光起電アセンブリ3の主電力線13へのそのような接続は、もし、本実施例のように、複数の光起電ユニット10が電気的に並列接続されるならば、特に容易に達成することができる。これによって、主電力線13への接続が容易になるだけではなく、各光起電ユニット10によって生成される直流の昇圧を可能にする。
【0048】
例えば、電気分解ユニット1は、1kVから10kVの範囲の全直流電流を提供するために、100個から1000個の光起電ユニット10を備えることができる。このような電流レベルは、互いに積み重ねられた30~100個の電気分解セル5を有する電気分解アセンブリ2を効率的に作動させるために必要であり、それにより、有利には、0.1A/cm2から5A/cm2の範囲の電流密度が適用される0.1m2~5m2の電気分解エリアが提供される。
【0049】
このような電気分解ユニット1を用いて、例えば、供給媒体7としての水H2Oから電気分解生成物6として、水素H2が効率的に製造される。電気分解プロセスからの副生物8として、酸素O2が生成される。しかしながら、二酸化炭素CO2又は窒素N2のような別の供給媒体7を提供することもでき、それにより、それぞれ、一酸化炭素CO、メタンCH4のような炭化水素又はアンモニアNH3の製造が可能になる。
【0050】
図2には、電気分解ユニット1と他の電気分解ユニット1とを電気的に連結するための連結インターフェース21を備える電気分解ユニット1の一例を示す。
図1におけると同様に、電気分解ユニット1は、供給媒体7から電気分解生成物6を副生物8と共に生成するように構成された電気分解アセンブリ2と光起電アセンブリ3とを、更に備える。好ましくは、電気分解アセンブリ2は、主電力線13を介して光起電アセンブリ3に電気的に連結される。本実施例によれば、配電ユニット20は、主電力線13に電気的に配置され、配電ユニット20は、エネルギ貯蔵ユニット19及び/又は連結インターフェース21及び/又は光起電アセンブリ3を電気分解アセンブリ2に電気的に接続するように、構成される。これに代えて又はこれに加えて、配電ユニット20は、連結インターフェース21を光起電アセンブリ3及び/又は電気分解アセンブリ2及び/又はエネルギ貯蔵ユニット19に電気的に接続するように、構成される。
【0051】
本実施例では、光起電アセンブリ3は、電気的に並列に接続された複数の光起電ユニット10を備え、ここで、各光起電ユニット10は、電気的に直列に接続された複数の光起電モジュール(
図1参照)を備えていてよい。
【0052】
エネルギ貯蔵ユニット19、例えばバッテリ、は、エネルギ、特に光起電アセンブリ3によって生成された電気エネルギ、を貯蔵するように、構成される。しかしながら、エネルギ貯蔵ユニット19は、これに代えて又はこれに加えて、例えば他の電気分解ユニットの光起電アセンブリから又は外部送電網から、連結インターフェース21によって供給される電気エネルギを貯蔵するように、構成することができる。好ましくは、エネルギ貯蔵ユニット19は、調節アセンブリ12の一部であり、調節アセンブリ12は、有利には、電気分解アセンブリ2に供給される電気エネルギを調整するように構成される。
【0053】
これに代えて又はこれに加えて、調節アセンブリ12は(も、また)、配電ユニット20及び/又は連結インターフェース21を備える。所望により、調節アセンブリ12は(も、また)、例えば配電ユニット20を制御するための制御ユニット16を備えていてもよい。
【0054】
配電ユニット20は、電力分割器、例えばDCパワーエレクトロニクス、として構成されることが好ましい。好ましくは、配電ユニット20は、光起電アセンブリ3によって生成された直流電流を、電気分解アセンブリ2に、エネルギ貯蔵ユニット19及び/又は連結インターフェース21に、選択的に送るように、特に、電気分解アセンブリ2、エネルギ貯蔵ユニット19及び/又は連結インターフェース21間で、直流電流を分配するように、構成される。これに代えて又はこれに加えて、配電ユニット20は、エネルギ貯蔵ユニット19からの直流電流を、電気分解アセンブリ2及び/又は連結インターフェース21に送る、特に分配する、ように、及び/又は、連結インターフェース21からの直流電流を、電気分解アセンブリ2及び/又はエネルギ貯蔵ユニット19に送る、特に分配する、ように、構成することができる。これにより、電気分解ユニット1を柔軟に使用することができる。特に、光起電アセンブリ3によって生成された電気エネルギを効率的に使用することができ、同時に、電気分解アセンブリ2を効率的に作動させることができる。
【0055】
例えば、光起電アセンブリ3によって生成された電気エネルギが、電気分解アセンブリ2の電力要件を超える場合、過剰電力は、エネルギ貯蔵ユニット19に貯蔵され、及び/又は、別の電気分解ユニットの電気分解アセンブリに、又は更には、連結インターフェース21を介して外部送電網に供給され得る。従って、電力が浪費されることはない。別の例において、光起電アセンブリ3によって生成された電気エネルギが電気分解アセンブリ2の電力要件に合致しない場合、追加の電気エネルギが、エネルギ貯蔵ユニット19から及び/又は別の電気分解ユニットの光起電アセンブリから、又は更には、連結インターフェース21を介して外部送電網から、引き出されてもよい。従って、その最適作動点における電気分解アセンブリ2の確実な作動が達成され得る。
【0056】
電気分解アセンブリ2は、貯蔵アセンブリ9に連結されてもよい(
図1参照)。この貯蔵アセンブリ9は、生成された電気分解生成物6の全てを収集するために、他の電気分解ユニットの電気分解アセンブリにも連結された中央貯蔵アセンブリであってもよい。貯蔵アセンブリ9は、電気分解生成物6を分配するための生成物インターフェース22、例えば、対応する送電網又は輸送インフラストラクチャー、に連結されてもよい。
【0057】
図3は、電気分解を介して供給媒体7から恐らくは副生物8を伴って電気分解生成物6を生成するための電気分解アセンブリ2、電気分解を推進するために主電力線13を介して電気分解アセンブリ2に直流を提供するための光起電アセンブリ3、及び、電気分解アセンブリ2への電気エネルギの提供を調整するための調節アセンブリ12を、備える電気分解ユニット1の一例を、示す。また、電気分解ユニット1は、電気分解ユニット1を他の電気分解ユニットと電気的に連結するように構成された連結インターフェース21を、更に備える。
【0058】
本実施例では明示的に示されていないが、光起電アセンブリ3は、電気的に直列に接続された複数の光起電モジュール4だけでなく、電気的に並列に接続された複数の光起電ユニットを、備えてもよい(
図1参照)。
【0059】
本実施例では、調節アセンブリ12は、調節電力線14、DC/DCコンバータ15及び制御ユニット16を備える。調節アセンブリ12は、光起電アセンブリ3によって生成された直流の一部を分割し、それを調節電力線14に送るように、構成されている。調節アセンブリ12は、更に、調節線14内に電気的に配置されたDC/DCコンバータ15の出力電圧を主電力線13内の電圧に加えるように、構成される。これによって、必要な作動電圧における電気分解アセンブリ2の実質的に持続した作動を達成することができる。
【0060】
好ましくは、制御ユニット16は、主電力線13から分割された直流電流の量を、例えばDC/DCコンバータ15を適宜制御することによって、調整するように構成される。
【0061】
本実施例では、制御ユニット16は、電気分解アセンブリ2の作動状態に基づいて、及び/又は、光起電アセンブリ3の作動状態に基づいて、電気エネルギ、特に電圧、の電気分解アセンブリ2への供給を調整するように、構成される。例えば、制御ユニット16は、光起電アセンブリ3から、特に光起電アセンブリ3の調節ユニット18から、光起電データ17aを受け取るように、構成することができる。光起電データ17aは、好ましくは、光起電アセンブリ3の作動状態、特に、光起電アセンブリ3によって提供される電圧及び/又は直流レベル、を特徴付ける。このような調節ユニット18は、「最大電力点トラッカー」とも呼ばれ、通常、それぞれの光起電アセンブリ3がその最大電力出力で作動することを確実にするために設けられる。
【0062】
同様に、制御ユニット16は、電気分解アセンブリ2から電気分解データ17bを受信するように、構成されてもよく、電気分解データ17bは、好ましくは、電気分解アセンブリ2の作動状態を特徴付ける。例えば、電気分解データ17bは、電力消費量、電気分解アセンブリ2の又は電気分解アセンブリ2における温度及び/又は圧力に関する情報を、それぞれ、含んでいてもよい。
【0063】
従って、制御ユニット16は、DC/DCコンバータ15の作動を、電気分解アセンブリ2の要件及び/又は光起電アセンブリ3の性能に適合させることができる。
【0064】
これに加えて又はこれに代えて、制御ユニット16は、主電力線13内の配電ユニット20を制御するように、構成することができる。本実施例では、配電ユニット20は、光起電アセンブリ3から生成された直流電流を電気分解アセンブリ2又は連結インターフェース21のみに送るためのスイッチとして、構成される。しかしながら、代替例では、配電ユニット20は、例えば、光起電アセンブリ3からの利用可能な電力及び/又は電気分解アセンブリ2の電力要件に基づいて、電気分解アセンブリ2と連結インターフェース21との間で連続的に直流を分配するための電力分割器として、構成される。この目的を達成するために、電力分割器は、好ましくは、DCパワーエレクトロニクスによって実現される。
【0065】
本実施例では、配電ユニット20は、調節電力線14と電気分解アセンブリ2との間の主電力線13に電気的に配置され、DC/DCコンバータ15によって改変される可能性がある直流電流を送ることができるようになっているが、更に上流に、即ち調節電力線14の始まりに、連結インターフェース21を設けることも考えられる。特に、配電ユニット20は、また、調節電力線14を主電力線13に電気的に連結してもよく、主電力線13内の直流電流の少なくとも一部を調節電力線14に分割するように、構成されてもよい。換言すれば、配電ユニット20は、電気分解アセンブリ3からの直流電流を、選択的に、調節電力線14、電気分解アセンブリ2及び/又は連結インターフェース21に、送るように、特に分配するように、構成することができる。従って、配電ユニットは、調節アセンブリ12の一部とすることができる。
【0066】
図4は、電気的に相互連結された複数の電気分解ユニット1を備える電気分解システム100の一例を示す。システム100は、更に、中央電力分割ユニット101及び中央電力分割ユニット101を制御するように構成された中央制御ユニット116を備える。中央電力分割ユニット101は、外部電力接続部51、例えば対応する送電網インターフェース51、を介して、送電網50に電気的に連結される。
【0067】
送電網インターフェース51は、例えば、電気分解システム100の側の直流電流を送電網50の側の交流電流に変換する及び/又はその逆に変換するインバータ52を含む。更に、送電網インターフェース51は、電気分解システム100の側の電圧を送電網50の電圧に適合させるための及び/又はその逆に適合させるための変圧器53を備えることができる。
【0068】
本実施例では、電気分解ユニット1間の電気的連結は、電気的接続、特に、電気分解ユニット1の各々と中央電力分割ユニット101との間の双方向接続、を介して、達成される。中央電力分割ユニット101は、好ましくは、電気分解ユニット1のうちの少なくとも1つの光起電アセンブリ(
図2参照)から生成された直流電流を受け取り、受け取った直流電流を電気分解ユニット1のうちの少なくとも1つの他のもの、特に、前記他の電気分解ユニット1のそれぞれの電気分解アセンブリ(
図2参照)、に伝達するように、構成される。特に、中央電力分割ユニット101は、光起電アセンブリによって生成された電気エネルギを、少なくともいくつかの電気分解ユニット1の間で分配するように、構成することができる。所望により、中央電力分割ユニット101は、受け取った電気エネルギの少なくとも一部を、外部電力接続部51を介して送電網50に供給するように、構成することができる。
【0069】
電気分解ユニット1及び/又は送電網50に向けられる電気エネルギの量は、中央制御ユニット116によって制御されることが好ましく、中央制御ユニットは、中央電力分割ユニット101を、適宜、制御する。この目的を達成するために、中央制御ユニット116は、電気分解ユニット1、特に光起電アセンブリ及び/又は電気分解アセンブリのいずれか、の作動状態を示す、及び/又は送電網50の作動状態を示す、データを受信するように、構成されてよい。
【0070】
中央電力分割ユニット101を制御することにより、電気分解システム100の複数の異なる作動モードが可能になる。
【0071】
例えば、好ましくない気象状態の場合、例えば、太陽光が少ない時間の間には、1つの光起電アセンブリによって生成される電気エネルギは、対応する電気分解アセンブリの最適な作動には十分ではないことがあり得る。なぜなら、電気分解アセンブリは、ポンプ、最適温度を達成するための制御手段、例えば、CO2処理等の生成物分離手段、等々を備える可能性があるからである。従って、2つ以上の光起電アセンブリによって生成された電気エネルギは、少なくとも1つの電気分解ユニット1の電気分解アセンブリを最適に実行するために、それぞれ方向転換し又は収集することができる。例えば、200Vから400Vを発電する光起電アセンブリを有する3つの電気分解ユニット1を組み合わせて、600Vから1200Vを必要とする1つの電気分解ユニット1の電気分解アセンブリを作動させることができる。
【0072】
これに代えて又はこれに加えて、電気分解ユニット1のうちの1つの電気分解アセンブリの停止、維持又は修理の場合、光起電アセンブリによって生成される電気エネルギは、別の電気分解ユニット1の電気分解アセンブリによって利用され、及び/又は、送電網50に供給され得る。
【0073】
これに代えて又はこれに加えて、日照量が少ない悪気象条件の場合、送電網50からの追加の電気エネルギを電気分解ユニット1に供給することができる。これにより、電気分解アセンブリの最適な作動が可能になる。
【0074】
これに代えて又はこれに加えて、電気価格が低い場合、電気分解アセンブリは、少なくとも部分的に、送電網50から引き出された電気エネルギに基づいて作動させることができる。同様に、電気分解アセンブリは、太陽光が利用できず電力価格が十分に低い夜間に送電網50から引き出される電気エネルギに基づいて作動させることができる。
【0075】
これに代えて又はこれに加えて、電気分解ユニット1がエネルギ貯蔵ユニットを有する場合(
図2参照)、エネルギ貯蔵ユニットは、電気価格が低い時期に送電網50から引き出される電気エネルギで、充電することができる。貯蔵されたエネルギは、次いで、電気分解アセンブリの作動のために有利に使用することができる。貯蔵されたエネルギは、後で、送電網50にフィードバックする、例えば、電気価格が高いときに販売する、ことも考えられる。従って、システム100は、システム100の収入を更に増加させることができるエネルギ取引を可能にする。
【0076】
これに代えて又はこれに加えて、エネルギ貯蔵ユニットに貯蔵されたエネルギは、送電網50に補助的なサービスを提供するために、特に送電網50を安定化するために、使用されてもよい。その際、多数の電気分解ユニット1を用いて、送電網50の弾力性を高めることができる。
【0077】
本発明を、上記の実施例によって更に詳細に例示し記述してきたが、本発明は、開示された実施例によって限定されず、そこから、他の変形態様が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって導出され得る。