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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】ステアリングホイール機構を有する車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20241015BHJP
   B62D 1/16 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
B62D1/04
B62D1/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023566646
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022058002
(87)【国際公開番号】W WO2022228795
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】102021002297.1
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブガルチッチ デヤン
(72)【発明者】
【氏名】ガートナー エリック
(72)【発明者】
【氏名】クルベーシック ロバート
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-020583(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018200436(DE,A1)
【文献】特開2008-213563(JP,A)
【文献】特開2017-007594(JP,A)
【文献】特開平11-255045(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011866(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(8)と、ステアリングコラム(9)に配置され、前記制御ユニット(8)と接続され、ステアリング位置(L)から安全位置(S)へと位置決め可能なステアリングホイール(4)と、を含むステアリングホイール機構を有する車両(1)において、
前記ステアリングホイール機構は、前記ステアリングコラム(9)に配置された前記ステアリングホイール(4)を前記ステアリング位置(L)から前記安全位置(S)へと少なくとも位置決めするために前記制御ユニット(8)と接続された調節ユニット(7)を含み
前記ステアリングホイール機構は、バッフル、及び/又は外套管(10)に対する前記ステアリングコラム(9)の機械的な案内部が、前記ステアリング位置(L)から前記安全位置(S)へと前記ステアリングホイール(4)が位置決めされるときに前記ステアリングホイール(4)の前記振動を生成するように構成され、前記ステアリング位置(L)から前記安全位置(S)へと位置決めされるときに振動する
ことを特徴とする、ステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項2】
前記制御ユニット(8)は、自動走行運転が作動するとき、及び/又は運転席エアバッグ(5)が作動する直前に、前記ステアリング位置(L)から前記安全位置(S)へと前記ステアリングホイール(4)を位置決めするために前記調節ユニット(7)を作動させるように構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(8)は、前記自動走行運転のためのアシストシステムとリンクされている
ことを特徴とする、請求項に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項4】
前記調節ユニット(7)は、電気モータとリンクされた引張部材(13)を含む
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項5】
前記調節ユニット(7)は、火工式ガス発生器(12,12’)とリンクされた引張部材(13)を含む
ことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項6】
前記振動を生成するためのバッフル部材(10.1)が前記ステアリングコラム(9)及び/又は前記外套管(10)に配置及び/又は成形されている
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項7】
前記ステアリングホイール(4)及び/又は前記ステアリングコラム(9)とリンクされた振動モータ(14)が、前記ステアリング位置(L)から前記安全位置(S)へと前記ステアリングホイール(4)が位置決めされるときに前記ステアリングホイール(4)の前記振動を生成するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【請求項8】
前記制御ユニット(8)は、衝突センサとリンクされている
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のステアリングホイール機構を有する車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御ユニットと、ステアリングコラムに配置され、制御ユニットと接続され、ステアリング位置から安全位置へと位置決め可能なステアリングホイールと、を含むステアリングホイール機構を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開第19860804(A1)号明細書より、ダッシュボードとステアリングホイールとを有する自動車での運転席エアバッグの配置が公知である。少なくとも1つの折り畳まれた運転席エアバッグがダッシュボードに組み付けられ、この運転席エアバッグは、ガス発生器によって充填可能であり、ダッシュボードのエアバッグ出口開口部を通じて運転者の前で展開可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ドイツ特許出願公開第19860804(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ステアリングホイール機構を有する車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明に基づき、請求項1に示されている特徴を有する車両によって解決される。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
車両は、制御ユニットと、ステアリングコラムに配置され、制御ユニットと接続され、ステアリング位置から安全位置へと位置決め可能なステアリングホイールと、を含むステアリングホイール機構を有する。本発明によると、ステアリングホイール機構は、ステアリングコラムに配置されたステアリングホイールをステアリング位置から安全位置へと少なくとも位置決めするために制御ユニットと接続された調節ユニットを含む。更に、ステアリングホイール機構は、ステアリング位置から安全位置へと位置決めされるときに振動するように構成されている。
【0008】
ステアリングホイールがステアリング位置から安全位置へと位置決めされるときに、ステアリングホイール機構、特にステアリングホイールの振動によって、車両ユーザ、特に車両の運転者は、ステアリングホイールから手を離すように注意喚起される。それにより、車両ユーザがステアリングホイールを手でしっかり握っている場合にステアリングホイールが安全位置へと位置決めされたとき、車両ユーザがインストルメントパネルの方向へと引っ張られることをほぼ回避することができる。
【0009】
1つの実施形態では、制御ユニットは、自動走行運転が作動しているとき、及び/又は運転席エアバッグが作動する直前に、ステアリング位置から安全位置へとステアリングホイールを位置決めするために調節ユニットを作動させるように構成されている。
【0010】
自動走行運転の作動によりステアリングホイールが安全位置へと位置決めされると、ステアリングホイールが車室に突き出すことがなくなるため、車両ユーザにとって一層広い動作の自由空間が創出される。
【0011】
目前に迫った車両の衝突によりステアリングホイールが安全位置へと位置決めされると、車両ユーザに割り当てられた運転席エアバッグが、実質的に妨げられることなく展開して作動位置をとる。それにより、車両ユーザに対して運転席エアバッグの保護作用を最適化することができる。
【0012】
ステアリングホイールが振動することで、事故の場合、又は事故発生の直前に、車両ユーザがステアリングホイールから手を離すことを保証することができる。これは、車両ユーザによる把持が、ステアリングホイールをステアリング位置に保つのに十分ではないからである。たとえば、振動は脈動するように行うことができる。
【0013】
調節ユニットは、1つの実施形態では、電気モータとリンクされた引張部材を含み、それにより調節ユニットが可逆的に構成される。したがって、調節ユニットの機能を損なうことなく、ステアリングホイールを安全位置へ、またステアリング位置へ、何度も位置決めすることができる。
【0014】
代替的又は追加的な実施形態では、調節ユニットは、火工式ガス発生器とリンクされた引張部材を含む。火工式ガス発生器が作動すると、引張部材、特にロープの形態の引張部材に対して引張力が作用することで、ステアリングホイールをステアリング位置から安全位置へと位置決め可能である。たとえば、この実施形態が選択されるのは、車両の衝突が目前に迫っていると判断され、運転席エアバッグの作動前に最短の時間内でステアリングホイールを安全位置へと位置決めすることが必要な場合である。それにより、運転席エアバッグの展開がほぼ確実に妨げられなくなる。
【0015】
ステアリングホイール機構の1つの発展形態では、バッフル、及び/又は外套管に対するステアリングコラムの機械的な案内部が、ステアリング位置から安全位置へとステアリングホイールが位置決めされるときに、ステアリングホイール機構、特にステアリングホイールの振動を生成するように構成されていることが意図される。したがって、振動の生成のために別個の機能要素を配置する必要がない。更に、制御信号の伝達と機能要素への電気エネルギーの供給との両方のためにそれぞれケーブルを敷設する必要がない。
【0016】
特に、考えられる1つの発展形態では、振動を生成するためのバッフル部材がステアリングコラム及び/又は外套管に配置及び/又は成形されている。バッフル部材はステアリングコラムと外套管との間の噛合部として構成されてよく、それにより、ステアリングホイールが安全位置へと位置決めされるとき、ステアリングコラムがその噛合部により外套管の噛合部に沿って案内されることで、ステアリングホイールが振動する。
【0017】
代替的又は追加的に、別の実施形態では、ステアリングホイール及び/又はステアリングコラムとリンクされた振動モータが、ステアリング位置から安全位置へとステアリングホイールが位置決めされるときにステアリングホイール機構、特にステアリングホイールの振動を生成するように構成されている。したがって、たとえば車両が車線逸脱警報アシストを装備している場合には既存の振動モータを利用することが可能であり、ステアリングホイールがステアリング位置から安全位置へと位置決めされるときに上記の振動モータによりステアリングホイールを振動させることで、車両ユーザがステアリングホイールから手を離す。
【0018】
別の実施形態において、運転席エアバッグの作動直前にステアリングホイールを安全位置へと位置決め可能にするために、制御ユニットは、衝突センサとリンクされている。衝突センサによって車両の衝突が目前に迫っていると判断されたときに、ステアリングホイールを安全位置へと位置決めするとともにステアリングホイールが位置決め時に振動するように、衝突センサが即座に相応の信号を制御ユニットに伝送する。
【0019】
代替的又は追加的な実施形態では、制御ユニットは、自動走行運転のためのアシストシステムとリンクされ、それにより制御ユニットはアシストシステムが作動するときに制御信号を生成し、ステアリングホイールをステアリング位置から安全位置へと位置決めするために調節ユニットが相応に制御される。
【0020】
以下に、本発明の例示的な実施形態を、図を用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車両シート上に車両ユーザがいる車両の部分的な模式図である。
図2】車両のステアリングホイールを握っている車両ユーザがいる車両の一部を拡大した模式図である。
図3】調整装置を有するステアリングホイール機構の模式図である。
図4】火工式ガス発生器とステアリング位置のステアリングホイールとを有するステアリングホイール機構を模式的に示す断面図である。
図5】火工式ガス発生器が作動したときのステアリングホイール機構を模式的に示す断面図である。
図6】振動しているステアリングホイールが安全位置へと位置決めされるときのステアリングホイール機構を模式的に示す断面図である。
図7】振動しているステアリングホイールが安全位置をとったときのステアリングホイール機構を模式的に示す断面図である。
図8】ステアリングホイールがステアリング位置にあるステアリングホイール機構の第1の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図9】振動しているステアリングホイールが安全位置へと位置決めされるときのステアリングホイール機構の第1の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図10】振動しているステアリングホイールが安全位置をとるときのステアリングホイール機構の第1の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図11】ステアリングホイールがステアリング位置にあるステアリングホイール機構の第2の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図12】振動しているステアリングホイールが安全位置へと位置決めされるときのステアリングホイール機構の第2の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図13】振動しているステアリングホイールが安全位置をとるときのステアリングホイール機構の第2の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
互いに対応する部分は、すべての図において同じ符号が付けられている。
【0023】
図1は、車両ユーザ2が車両シート3上にいる車両1の一部を示している。図2には、車両ユーザ2が車両シート3上にいる車両1の拡大された一部が示されている。車両1は手動走行運転の状態にあり、車両ユーザ2は操舵動作を行うために車両1のステアリングホイール4を手で握っている。
【0024】
一般に、車両ユーザ2に割り当てられた、図1及び2に大幅に簡略化して示す運転席エアバッグ5は、ステアリングホイール4、特にステアリングホイールキャップに組み込まれることが知られている。したがって、運転席エアバッグ5はステアリングホイール4の中心から展開し、運転席エアバッグ5のダイナミックな展開により、詳しくは図示しないエアバッグカバーが破れて開き、同じく詳しくは図示しないハウジングのエアバッグ出口開口部が解放される。運転席エアバッグ5は、このエアバッグ出口開口部から外に展開して、その作動位置をとる。このとき、運転席エアバッグ5は、拘束力を生成するために、通常、少なくとも部分的にステアリングホイールリム4.1に支持される。
【0025】
代替的に、運転席エアバッグ5は、車両1のインストルメントパネル6に組み込まれていてもよく、そこから運転席エアバッグ5が外に展開される。このとき運転席エアバッグ5は、ステアリングホイール4を超えて展開する。図1及び2に示す例示的な実施形態では、運転席エアバッグ5がインストルメントパネル6に組み込まれている。
【0026】
更に代替的に、運転席エアバッグ5は、インストルメントパネル6の下面、及び/又は周辺部、たとえばルーフ領域、及び/又は車両1の内装トリム内に配置されていてもよい。
【0027】
運転席エアバッグ5を含むこのようなエアバッグシステムは、一般に、車両1の衝突時に、手動走行運転のための姿勢をしている車両ユーザ2が、作動位置にある運転席エアバッグ5で最大限に保護されるように配置される。
【0028】
更に、車両1が、車両1の自動走行運転のためのアシストシステムを装備することが一般に知られている。このとき、車両ユーザ2は、走行の役割を実質的に全面的に車両1、すなわちアシストシステムに委ねるため、車両ユーザ2は、別の着席位置をとることができ、別の活動に従事することができる。
【0029】
車両ユーザ2が、異なる座席位置、たとえば図示しない助手席の方向にいると、たとえば車両ユーザ2と運転席エアバッグ5との間隔が広すぎるために、衝突時に作動位置にある運転席エアバッグ5が車両ユーザ2に対して限定的にしか負傷を防止できないというリスクが生じる。
【0030】
以下、調節ユニット7と制御ユニット8とを含み、車両1の自動走行運転が作動したとき、及び/又は運転席エアバッグ5が作動する直前に、図3~5,8及び11に示すステアリング位置Lから、図7,10及び13に示す安全位置Sへとステアリングホイール4を位置決めするように構成されているステアリングホイール機構のさまざまな実施形態について説明する。これに加えて、ステアリングホイール機構は、ステアリング位置Lから安全位置Sへとステアリングホイール4が位置決めされるときに振動するように構成されている。
【0031】
ステアリング位置Lにおいて、ステアリングホイール4は、車両ユーザ2を基準に位置決めされ、車両ユーザ2が操舵動作を行うためにステアリングホイール4を比較的楽に握ることができるようになっている。
【0032】
安全位置Sにおいて、ステアリングホイール4は、インストルメントパネル6の比較的近傍、又はインストルメントパネル6の中に配置されるように位置決めされる。それにより、インストルメントパネル6に組み込まれた運転席エアバッグ5がステアリングホイール4を超えて展開することができ、展開する運転席エアバッグ5にとってステアリングホイール4が障害物にならない。
【0033】
図3は、ステアリングホイール4と、ステアリングホイール4に取り付けられたステアリングコラム9と、ステアリングコラム9が部分的に内部に延びる外套管10と、調整装置11とを有するステアリング機構を示している。調整装置11により、ステアリングコラム9及び外套管10の延在方向へのステアリングホイール4の調節が可能であるとともに、車両ユーザ2に対するステアリングホイール4の角度の調節が可能である。
【0034】
図4~7は、ステアリング位置Lから安全位置Sへとステアリングホイール4を位置決めするための調節ユニット7を有するステアリングホイール機構の一実施形態を示している。
【0035】
この実施形態では、調節ユニット7は、火工式ガス発生器12と、ロープの形態の引張部材13とを含んでいる。引張部材13の一端はステアリングコラム9と結合され、これと反対側の端部はガス発生器12と結合されている。
【0036】
特に車両1の衝突センサで検出された信号を用いて、予測される衝突重大度の所定閾値を上回る衝突が車両1の目前に迫っていると判断されると、調節ユニット7とリンクされた制御ユニット8に相応の信号が伝送される。
【0037】
これを受けて生成される制御ユニット8の信号により、運転席エアバッグ5の作動直前に調節ユニット7が作動化し、それによりステアリングコラム9がステアリングホイール4とともに引き込まれる。
【0038】
図4~7に示す例示的な実施形態では、調節ユニット7が不可逆的に構成されている。
【0039】
ガス発生器12が制御ユニット8の信号に基づいて着火され、それによって引張力が引張部材13に作用して、ステアリングホイール4が安全位置Sをとる。すなわち、ステアリングホイール4が車両ユーザ2から離れるように加速させられる。
【0040】
安全位置Sへのステアリングホイール4の位置決め時にステアリング機構の振動を生成するために、ステアリングコラム9は、環状に形成された案内部材9.1を有している。外套管10の内面には、外套管10の中空部に突出するバッフル部材10.1が構成されている。
【0041】
引張部材13に作用する引張力によりステアリングコラム9が外套管10に引き込まれると、案内部材9.1がバッフル部材10.1に沿って摺動する。それにより、ステアリングコラム9は、ステアリング位置Lから安全位置Sへと位置決めされるとき、これに取り付けられているステアリングホイール4とともに振動する。図6及び7には、引き込まれる最中の振動が破線によって示されている。
【0042】
ガス発生器12に加えて又は代えて、ステアリング位置Lから安全位置Sへとステアリングホイール4を可逆的に位置決めするための電気モータが設けられていてもよい。電気モータは特にリニアモータとして構成され、引張部材13の反対側の端部が電気モータと結合される。電気モータは、作動すると、ステアリングコラム9を外套管10の中に引き込むために、引張部材13に作用する引張力を生成する。
【0043】
図8~10は、ステアリングホイール機構の第1の別の実施形態を示しており、ステアリングホイール4を含むステアリングコラム9の位置決めは、同じくガス発生器12と引張部材13とによって行われる。
【0044】
第1の別の実施形態では、ステアリングホイール4の振動を生成する振動モータ14、特に電気モータ式の偏心器14.1が設けられている。そのために、振動モータ14、特にその偏心器14.1は、ステアリングコラム9とリンクされている。制御ユニット8の信号により振動モータ14が作動させられると、偏心器14.1が回転することで、ステアリングコラム9とこれに配置されたステアリングホイール4とが振動する。特にステアリングコラム9は、そのように構成された偏心器14.1によって上下に動き、その結果として振動が生じる。ここでも、ステアリングコラム9とステアリングホイール4との振動が破線で示されている。このような振動モータ14は、たとえば車両1の車線逸脱警報システムの構成要素であってよく、ステアリング位置Lから安全位置Sへと位置決めされるときのステアリングホイール4の振動のために利用することができる。
【0045】
たとえば振動モータ14は、ステアリングホイール4の位置決めが行われる前に、触覚的な警告を生成するために作動させられ得る。
【0046】
ステアリングホイール機構の第2の別の実施形態が、図11~13に示されている。
【0047】
ステアリングホイール機構の第2の別の実施形態では、制御ユニット8と信号技術で結合されたガス発生器12’が外套管10に組み込まれている。
【0048】
ステアリングコラム9の自由端にシール部材15が配置されることで、外套管10がステアリングコラム9の領域で圧力室として構成されている。この圧力室の内部に、ガス発生器12’が配置されている。
【0049】
ガス発生器12’に制御ユニット8の信号が供給されると、ガス発生器12’が着火され、それによってガスが放出されて圧力室内の圧力が高まる。シール部材15及びこれに伴ってステアリングコラム9に対して作用する圧力が上昇することで、ステアリングコラム9は、ステアリングホイール4とともにステアリング位置Lから安全位置Sへと位置決めされる。
【0050】
ステアリングホイール4の位置決め時に振動を生成するために、第2の別の実施形態では、互いに係合する噛合部が設けられている。そのために、ステアリングコラム9の所定の領域と、外套管10の内面の所定の領域とに、ステアリング位置Lで互いに係合する歯部材16が配置又は成形されている。
【0051】
ステアリングコラム9がステアリングホイール4とともに引き込まれると、ステアリングコラム9の歯部材16が外套管10の歯部材16に沿って摺動することで、破線で示すようにステアリングコラム9とステアリングホイール4とが振動する。
【0052】
代替的な実施形態では、バッフル部材10.1が成形された螺旋状及び/又は鋸刃状の案内部が設けられていてもよい。
【0053】
上で説明したとおり、ステアリング位置Lから安全位置Sへのステアリングホイール4の位置決めは、火工式ガス発生器12,12’によって行うことができるだけでなく、電気モータ、電磁式、空気圧式、及び/又は油圧式で行うことができる。
【0054】
位置決めのために必要なガス圧を、調節ユニット7の構成要素としてのバイパスを介してエアバッグ、たとえば膝エアバッグから提供することも考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13