(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20241015BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
(21)【出願番号】P 2024027933
(22)【出願日】2024-02-27
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148725
【氏名又は名称】吉田 信彦
(72)【発明者】
【氏名】藤根 大輔
(72)【発明者】
【氏名】徳見 理絵
(72)【発明者】
【氏名】北川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】八木 孝枝
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-014955(JP,A)
【文献】特開2012-194923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払対象者に生じたイベントであって給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する
前記イベントを記録するためのメモ情報の指示入力をユーザから受け付け、指示入力された前記メモ情報を前記支払対象者に対応付けて記憶部に記憶させるメモ入力部と、
前記支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、前記今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額を一覧画面に一覧表示する一覧画面表示部と、
前記今回計算対象期間において、前記支払対象者に対応付けられた前記メモ情報を取得し、前記一覧画面に表示された前記支払対象者に、前記メモ情報に応じたメモタグを付与
して表示するメモタグ付与部と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
更新情報付与部を有し、
前記更新情報付与部は、前記支払対象者について、人事情報及び/又は勤怠情報の中から前記今回計算対象期間における更新情報を検出し、前記一覧画面における前記支払対象者に前記更新情報を示す更新アイコンを付与
して表示する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
支払額計算部を有し、
前記支払額計算部は、前記人事情報及び/又は前記勤怠情報に基づいて、所定支払額計算処理によって前記今回支払額を算出する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記一覧画面表示部は、前記一覧画面に、前記支払対象者の各々についての名前、雇用形態、前記前回以前支払額、前記今回支払額、前記差額、前記更新アイコン、及び、前記メモタグを一覧表示する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記一覧画面表示部は、前記更新アイコン及び前記メモタグのいずれも表示されないとき、変更がないことを示す表示を行う、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記支払額計算部は、前記人事情報及び前記勤怠情報にデータ項目を有しない個別増減額の指示入力を受け付け、前記個別増減額を含めて給与の支払額を算出する、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記一覧画面表示部は、前記支払対象者の各々について、前記前回以前支払額、前記今回支払額、前記差額、
前記更新アイコン、及び、前記メモタグを表示する、請求項
2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
警告部を有し、
前記警告部は、前記支払対象者について、前記更新アイコン及び/又は前記メモタグが表示されているにもかかわらず、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額が生じていない場合、若しくは、前記更新アイコン及び前記メモタグのいずれも表示されていないにもかかわらず、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額が生じている場合に、前記一覧画面に警告表示を行う、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
メモ入力部により、
支払対象者に生じたイベントであって給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する
前記イベントを記録するためのメモ情報の指示入力をユーザから受け付け、指示入力された前記メモ情報を前記支払対象者に対応付けて記憶部に記憶させ、
一覧画面表示部により、前記支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、前記今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額を一覧画面に一覧表示し、
メモタグ付与部により、前記今回計算対象期間において、前記支払対象者に対応付けられた前記メモ情報を取得し、前記一覧画面に表示された前記支払対象者に、前記メモ情報に応じたメモタグを付与
して表示する、
情報処理方法。
【請求項10】
支払対象者に生じたイベントであって給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する
前記イベントを記録するためのメモ情報の指示入力をユーザから受け付け、指示入力された前記メモ情報を前記支払対象者に対応付けて記憶部に記憶させるメモ入力部のコードと、
前記支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、前記今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額を一覧画面に一覧表示する一覧画面表示部のコードと、
前記今回計算対象期間において、前記支払対象者に対応付けられた前記メモ情報を取得し、前記一覧画面に表示された前記支払対象者に、前記メモ情報に応じたメモタグを付与
して表示するメモタグ付与部のコードと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等の組織の給与や報酬を管理する情報処理システムがある。情報処理システムは、給与等の支払額に間違いが生じないように、給与等の支払額の計算を行い、その計算の結果をユーザが確かめるための機能を備えることがある。例えば、特開2019-56994号公報には、給与計算に関する項目についての今回の計算結果である今回計算結果と今回より前の計算結果である前回以前計算結果との間で差異がある差異項目を検出し、差異項目についての今回計算結果および前回以前計算結果をオペレータが識別可能な態様で、今回計算結果と前回以前計算結果とを表示する計算結果表示装置が開示される。
【0003】
一般に、給与等の支払額は、例えば、支払対象者である従業員等の残業、早退、遅刻、欠勤等の勤怠や、引っ越し、結婚や出産による扶養家族の数の変更等のイベントに応じて変更されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の情報処理システムでは、勤怠やイベントに応じた支払額の変更が多くなると、今回計算結果と前回以前計算結果を表示するだけでは、計算に必要な情報の入力漏れや、入力誤りに気付くことができない可能性が増大する。
【0006】
そこで、本発明の実施形態は、ユーザが、より簡便かつ確実に、給与や報酬の支払額の計算に必要な情報の入力漏れや入力誤りがないか、確かめることができる、情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る情報処理システムは、メモ入力部、一覧画面表示部、及び、メモタグ付与部を有する。前記メモ入力部は、支払対象者に生じたイベントであって給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する前記イベントを記録するためのメモ情報の指示入力をユーザから受け付け、指示入力された前記メモ情報を前記支払対象者に対応付けて記憶部に記憶させる。前記一覧画面表示部は、前記支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、前記今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額を一覧画面に一覧表示する。前記メモタグ付与部は、前記今回計算対象期間において、前記支払対象者に対応付けられた前記メモ情報を取得し、前記一覧画面に表示された前記支払対象者に、前記メモ情報に応じたメモタグを付与して表示する。
【0008】
実施形態に係る情報処理方法は、メモ入力部により、支払対象者に生じたイベントであって給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する前記イベントを記録するためのメモ情報の指示入力をユーザから受け付け、指示入力された前記メモ情報を前記支払対象者に対応付けて記憶部に記憶させ、一覧画面表示部により、前記支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、前記今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額を一覧画面に一覧表示し、メモタグ付与部により、前記今回計算対象期間において、前記支払対象者に対応付けられた前記メモ情報を取得し、前記一覧画面に表示された前記支払対象者に、前記メモ情報に応じたメモタグを付与して表示する。
【0009】
実施形態に係る情報処理プログラムは、メモ入力部のコード、一覧画面表示部のコード、及び、メモタグ付与部のコードを有する。前記メモ入力部のコードは、支払対象者に生じたイベントであって給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する前記イベントを記録するためのメモ情報の指示入力をユーザから受け付け、指示入力された前記メモ情報を前記支払対象者に対応付けて記憶部に記憶させる。前記一覧画面表示部のコードは、前記支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、前記今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前記前回以前支払額と前記今回支払額の差額を一覧画面に一覧表示する。前記メモタグ付与部のコードは、前記今回計算対象期間において、前記支払対象者に対応付けられた前記メモ情報を取得し、前記一覧画面に表示された前記支払対象者に、前記メモ情報に応じたメモタグを付与して表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、ユーザが、より簡便かつ確実に、給与や報酬の支払額の計算に必要な情報の入力漏れや入力誤りがないか、確かめることができる、情報処理システム、情報処理方法、及び、情報処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムの内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る情報処理システムにおける、一覧画面の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理システムにおける、一覧画面表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
【0013】
図1は、情報処理システム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10とサーバ20を有する。端末装置10は、LANや、インターネット、移動体通信等のネットワークを介してサーバ20に接続される。端末装置10は、企業等の組織における人事労務担当者等のユーザによって用いられる。
【0015】
図2は、情報処理システム1の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、端末装置10は、例えば、パソコンやスマホ等の情報端末である。端末装置10は、制御部11、及び、記憶部12、表示部13、及び、指示入力部14を有する。
【0017】
制御部11は、CPU等の処理装置を有し、記憶部12から読み込んだプログラムを実行することによってその機能を実現する。
【0018】
記憶部12は、ROMや、RAM、HDD、SSD等の記憶素子を有し、端末装置10を制御するための各種の情報や、処理部を構成する各種のプログラムを記憶する。
【0019】
表示部13は、LCDや、LED、OLED等によって構成され、制御部11から入力された各種の情報を表示可能である。
【0020】
指示入力部14は、例えば、キーボードやマウス等の入力装置を有し、ユーザが入力した各種の指示入力を制御部11に出力する。
【0021】
サーバ20は、制御部21と記憶部22を有する。
【0022】
制御部21は、CPU等の処理装置を有し、記憶部22から読み込んだプログラムを実行することによってその機能を実現する。
【0023】
記憶部22は、ROMや、RAM、HDD、SSD等の記憶素子を有し、サーバ20を制御するための各種の情報や、処理部を構成する各種のプログラムを記憶する。例えば、記憶部22は、人事情報H、勤怠情報A、及び、メモ情報M等の情報や、メモ入力部P1、支払額計算部P2、一覧画面表示部P3、更新情報付与部P4、及び、メモタグ付与部P5のプログラムも記憶する。
【0024】
人事情報Hは、給与や報酬等の支払対象者である従業員の各々の人事に関する情報である。人事情報Hは、特に限定されないが、例えば、個人情報、ステータス情報、及び、支払情報を含めることができる。個人情報は、従業員の名前、住所、従業員番号、扶養家族の数等に従業員の個人に関する情報である。ステータス情報は、入社、退社、休職、雇用形態(正社員、パート、アルバイト等)、部門、役職等の従業員の組織におけるステータスに関する情報である。支払情報は、役員報酬の金額、基本給の金額、通勤費の金額、給与締め日、及び、給与支払日等の従業員に対する支払に関する情報である。ユーザが、指示入力部14を介して指示入力をすると、記憶部22は、従業員に対応付け、指示入力された人事情報Hの追加、削除、変更等の更新情報と、開始日及び/又は終了日等の更新情報の有効期間情報とを記憶する。
【0025】
勤怠情報Aは、従業員の勤怠に関する情報である。勤怠情報Aは、特に限定されないが、例えば、従業員の各々の出勤時刻、退勤時刻、遅刻、早退、有給取得、及び、欠勤等に関する情報を含めることができる。
【0026】
メモ情報Mは、給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する従業員に生じたイベントを記録するための情報である。例えば、メモ情報Mは、入社、退社、休職、雇用形態(正社員、パート、アルバイト等)の変更、昇進、降格、通勤費の変更を伴う転居や勤務地の変更、及び、結婚や出産による扶養家族の増加等の従業員のイベントに関する情報を含めることができる。
【0027】
メモ入力部P1は、指示入力部14を介し、メモ情報Mの指示入力をユーザから受け付け、指示入力されたメモ情報Mを従業員に対応付けて記憶部22に記憶させる。より具体的に、ユーザが、指示入力部14を介し指示入力を行うと、メモ入力部P1は、記憶部22に、指示入力されたメモ情報Mと、メモ情報Mの更新日とを従業員に対応付けて記憶させる。
【0028】
支払額計算部P2は、人事情報H及び/又は勤怠情報Aに基づき、所定支払額計算処理によって従業員の今回計算対象期間における今回支払額、今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を算出する。
【0029】
所定支払額計算処理は、組織の給与等の支払い規定等に従って定められる。例えば、支払額計算部P2は、所定支払額計算処理として、人事情報Hに記憶された給与締め日に基づいて、前月の給与締め日から当月の給与締め日までを今回計算対象期間として決定する。続いて、支払額計算部P2は、人事情報Hに基づいて、今回計算対象期間における従業員の基本給、扶養家族の数に基づく家族手当、及び、通勤費の金額を取得する。また、支払額計算部P2は、勤怠情報Aに基づいて、今回計算対象期間における従業員の残業等の加算額と、早退や、遅刻、欠勤等の控除額を算出する。そして、支払額計算部P2は、基本給、家族手当、通勤費を加算し、勤怠情報Aに基づく加算額の加算、及び、控除額の控除を行い、今回計算対象期間における従業員の給与の支払額を算出する。
【0030】
支払額計算部P2は、人事情報H及び勤怠情報Aに基づいて給与の支払額を算出する他、人事情報H及び勤怠情報Aにデータ項目を有しない個別の給与の増減額である個別増減額についても、指示入力部14を介したユーザからの指示入力を受け付ける。支払額計算部P2は、個別増減額の指示入力があった場合には、個別増減額を含めて給与の支払額を算出する。個別増減額は、例えば、人事情報H及び勤怠情報Aにデータ項目を有しない持株制度による控除額等である。
【0031】
図3は、一覧画面Gの一例を示す図である。
図3は、給与の支払が月末締め(毎月15日払い)である一覧画面Gの表示例であり、上段に、集計値として、給与の支払対象となる従業員の数を示す「対象件数」、前月支払額の合計である「前月」、及び、今月支払額の合計である「今月」、前月支払額と今月支払額の差額である「前月比」が表示される。
【0032】
一覧画面表示部P3は、従業員の各々について、変更有無、名前、従業員番号、雇用形態、前回以前支払額、今回支払額、差額、更新アイコンIr、及び、メモタグMtを、一覧画面Gに一覧表示する。
図3の例では、今回支払額が「今月の差引支払額」であり、前回以前支払額が「前月の差引支払額」であり、前回以前支払額と今回支払額の差額が「前月比」と表示される。
【0033】
変更有無は、一覧画面表示部P3によって更新アイコンIr及びメモタグMtのいずれも表示されないとき、変更がないことを示す「変更なし」を示す変更アイコンIcが表示され、それ以外の場合には変更があることを示す「変更あり」を示す変更アイコンIcが表示される。
図3の例では、従業員番号「A001」及び「A004」における変更有無の列に「変更なし」が表示される。
【0034】
更新情報付与部P4は、従業員に対応する人事情報H及び/又は勤怠情報Aの中から今回計算対象期間における更新情報を検出し、一覧画面Gにおける更新情報の列に、更新情報を示す更新アイコンIrを付与する。より具体的に、処理対象となる従業員に対応する人事情報Hの中から、開始日及び/又は終了日に基づいて、今回計算対象期間内において、有効な更新情報を検出し、更新情報を一覧画面Gに付与する。有効な更新情報は、例えば、開始日が今回計算対象期間以前であり、かつ終了日が今回計算対象期間の以後、又は、終了日に定めがない更新情報である。
【0035】
更新情報付与部P4が検出する更新情報、及び、更新情報に応じた更新アイコンIrの具体的表示は、特に限定されず、組織の給与又は報酬の支払い規定に合わせて設定可能である。一例を挙げれば、人事情報Hから検出された更新情報が、入社、退社、休職、雇用形態(正社員、パート、アルバイト等)、部門、役職、役員報酬、基本給、住所、通勤費、及び、扶養家族の数の各々であれば、更新アイコンIrは、「入社」、「退社」、「休職」、「雇用形態」、「部門」、「役職」、「役員報酬」、「基本給」、「住所」、「通勤費」、及び、「扶養家族の数」の各々である。また、他の一例を挙げれば、勤怠情報Aから検出された更新情報が、残業、早退、遅刻、及び、欠勤の各々であれば、更新アイコンIrは、「残業加算」、「早退控除」、「遅刻控除」、及び、「欠勤控除」の各々である。
【0036】
図3の従業員番号「A001」の例では、変更有無の列に変更アイコンIc「変更なし」が表示され、前月比の列に「0」と表示され、更新アイコンIr及びメモタグMtの表示がないことから、ユーザは、人事情報Hや勤怠情報Aに基づいた変更がなく、今月の給与の支払額が、前月と同じ給与の支払額であることが確認できる。
【0037】
従業員番号「A002」の例では、更新情報付与部P4が、今回計算対象期間内において、人事情報Hの中から、入社を示す更新情報を検出し、一覧画面Gにおける更新情報の列に、更新アイコンIr「入社」を表示する。ユーザは、前回以前支払額「0」と、今回支払額「200,000」、前月比「+200,000」を目視し、新規に入社した従業員番号「A002」の従業員に、今月から「200,000」円の給与が支払われることを確認可能である。
【0038】
従業員番号「A003」の例では、前月比の列に表示された差額が、「-10,000」である。また、更新情報付与部P4が、勤怠情報Aの中から、今回計算対象期間内において、早退控除を示す更新情報を検出し、一覧画面Gにおける更新情報の列に、更新アイコンIr「早退控除」を表示する。ユーザは、従業員番号「A003」の従業員が早退によって今月の給与が10,000円控除されたことを確認可能である。
【0039】
従業員番号「A004」の例では、更新情報の列に更新アイコンIrが表示されていないにもかかわらず、前月比の列に表示された差額「-10,000」が表示されている。ユーザは、更新アイコンIrが表示されていないことから人事情報Hや勤怠情報Aに変更がないことを把握することができ、前月よりも支払額の少ないことの理由が、個別増減額の指示入力によるものか、又は、誤入力によるものかを調査し、誤入力であった場合には、修正入力が可能である。
【0040】
従業員番号「A005」の例では、更新情報の列に更新アイコンIr「住所」が表示され、前月比の列に差額「0」が表示される。ユーザは、住所変更に伴う通勤費の金額に変更の入力漏れがないか調査し、入力漏れがあった場合には修正入力が可能である。
【0041】
従業員番号「A006」の例では、更新情報の列に更新アイコンIr「扶養家族の数」が表示され、前月比の列に差額「500,000」が表示されている。ユーザは、前月との差額が扶養家族の数の変更にしては過大であることに気付くことができ、人事情報Hにおける扶養家族の数に誤入力がなかったか、又は、他の従業員に入力されるべき更新情報が誤って当該従業員に入力されていないか調査をし、誤入力があった場合には、修正入力が可能である。
【0042】
メモタグ付与部P5は、今回計算対象期間において、従業員に対応付けられたメモ情報Mを取得し、一覧画面Gに表示された従業員に、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与する。より具体的に、メモタグ付与部P5は、従業員に対応付けられ、かつ今回計算対象期間内に更新日のある有効なメモ情報Mを記憶部22から取得し、一覧画面Gに表示された従業員に、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与する。
【0043】
図3の従業員番号「A007」の例では、メモタグMtの列にメモ情報Mに応じたメモタグMt「持株会加入」が表示され、前月比の列に「0」が表示されている。ユーザは、持株会の控除に関する個別増減額の入力漏れがなかったか調査をし、入力漏れがあった場合には、修正入力が可能である。
【0044】
従業員番号「A008」の例では、更新情報の列に更新アイコンIr「雇用形態変更」が表示され、メモタグMtの列にメモ情報Mに応じたメモタグMt「パートに変更」が表示され、前月比の列に差額「-265,000」が表示されている。ユーザは、メモタグMt「パートに変更」を目視することによって雇用形態変更がパートへの雇用形態の変更であることを把握し、差額「-265,000」の理由を確認可能である。従業員番号「A008」の例に示すように、ユーザは、更新アイコンIrの表示だけでは更新情報が判別し難いとき、人事情報Hを更新情報によって更新する他、更新情報をメモ情報Mとして記憶部22に記憶させ、一覧画面Gに表示させることができる。
【0045】
続いて、実施形態の情報処理システム1を用いた一覧画面表示処理の流れを説明する。
【0046】
図4は、一覧画面表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
従業員の給与の支払額に関するイベントが発生した場合(S1:YES)、人事情報Hを更新可能なイベントであれば(S2:YES)、人事情報Hの更新情報の指示入力を受け付け、人事情報Hを更新情報によって更新する(S3a)。人事情報Hにデータ項目を用意していない等、人事情報Hを更新不可能なイベントであるとき(S2:NO)、メモ入力部P1がユーザによるメモ情報M及び個別増減額の指示入力を受け付け、記憶部22に記憶させる(S3b)。
【0048】
従業員に給与の支払額に関するイベントが発生していない場合(S1:NO)、S2、S3をスキップしてS4に進む。S4では、給与計算を開始しない場合、S1に戻る(S4:NO)。
【0049】
給与計算を開始する場合(S4:YES)、支払額計算部P2によって今回支払額、前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を算出する(S5)。一覧画面表示部P3が、一覧画面Gに、従業員の各々の今回支払額、前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を一覧表示する(S6)。更新情報付与部P4が、人事情報Hの中から今回計算対象期間における更新情報を検出し、一覧画面Gに更新情報を示す更新アイコンIrを表示する(S7)。メモタグ付与部P5が、一覧画面Gに、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与する(S8)。一覧画面表示部P3は、更新アイコンIrとメモタグMtに応じ、一覧画面Gに変更アイコンIcを表示する(S9)。
【0050】
ユーザは、一覧画面Gに表示された、前回以前支払額と今回支払額の差額、更新アイコンIr、及び、メモタグMtを目視し、給与の支払額の計算結果を確かめ、入力漏れや誤入力等があれば、修正する。
【0051】
これにより、ユーザは、人事情報H及び勤怠情報Aを更新し、人事情報Hを更新不可能なイベントについては、メモ情報M及び個別増減額を指示入力しておくことにより、簡便かつ確実に、一覧画面Gによって給与の支払額を確かめることが可能である。
【0052】
また、ユーザは、一覧画面Gにおける変更有無の列に表示された変更アイコンIc「変更あり」を目視することにより、簡便に、要確認従業員を発見することが可能である。また、ユーザは、更新アイコンIr及び/又はメモタグMtが表示されているにもかかわらず、前回以前支払額と今回支払額の差額が生じていない従業員、若しくは、更新アイコンIr及びメモタグMtのいずれも表示されていないにもかかわらず、前回以前支払額と今回支払額の差額が生じている従業員等、簡便に、要確認従業員を発見することが可能である。そして、ユーザは、発見された要確認従業員の給与の支払額を注意深く確認及び調査することにより、より確実に、給与や報酬の支払額の計算に必要な情報の入力漏れや入力誤りがないか、確かめることが可能である。
【0053】
実施形態によれば、情報処理システム1では、ユーザが、より簡便かつ確実に、給与や報酬の支払額の計算に必要な情報の入力漏れや入力誤りがないか、確かめることができる。
【0054】
なお、実施形態では、警告部P6を有しないが、従業員について、更新アイコンIr及び/又はメモタグMtが表示されているにもかかわらず、前回以前支払額と今回支払額の差額が生じていない場合、又は、更新アイコンIr及びメモタグMtのいずれも表示されていないにもかかわらず、前回以前支払額と今回支払額の差額が生じている場合に、一覧画面Gにおける当該従業員に、色分け、書体変更、アノテーション付与等の警告表示を行う、警告部P6を有してもよい(
図2の二点鎖線)。
【0055】
また、実施形態では、情報処理システム1によって企業における従業員の給与の計算結果を確かめる例を説明したが、これに限定されない。情報処理システム1は、他の組織やグループの構成員に支払われる給与や報酬の計算結果を確かめるために用いることも可能である。
【0056】
また、実施形態では、給与が、月末締め(毎月15日払い)である例を説明したが、これに限定されない。給与は、月末締め(当月末払い)であってもよいし、15日締め(当月25日払い)であってもよいし、他の締め日と支払日を有するものであってもよい。また、給与は、月払いに限らず、日払い、週払い等、他の支払方法であってもよい。
【0057】
また、実施形態では、前回以前支払額が、前月の支払額である例を説明したが、これに限定されず、前々月の支払額でもよいし、それ以前の支払額でもよいし、週払いの給与であれば、先週やそれ以前の支払額でもよいし、日払いの給与であれば、前日やそれ以前の支払額でもよい。
【0058】
また、実施形態では、支払額計算部P2が今回支払額、前回以前支払額、及び、今回支払額と前回以前支払額の差額を算出する例を説明したが、前回以前支払額は、計算結果がすでに記憶部22に記憶されているとき、改めて計算しなくても、記憶部22に記憶された計算結果を読み込んでもよい。
【0059】
また、実施形態では、情報処理システム1が従業員に支払う給与の支払額を確かめるための一覧画面Gを作成する例を説明したが、これに限られず、情報処理システム1は、派遣社員や、外注業者、及び、請負業者に支払う報酬額を確かめるためのものであってもよい。
【0060】
また、実施形態では、ユーザが組織における人事労務担当者等であり、人事労務担当者が人事情報Hや勤怠情報Aの更新や、メモ情報Mの入力をする例を説明したが、人事情報Hや勤怠情報Aの更新や、メモ情報Mの入力の一部又はすべては、人事労務担当者等に限られず、ユーザである従業員や構成員等によって行われてもよい。
【0061】
また、実施形態の記憶部22に記憶された人事情報Hや勤怠情報Aにおいて、従業員を識別するための識別情報は、名前や従業員番号のいずれでもよいし、メールアドレスでもよいし、他の識別情報であってもよい。
【0062】
また、実施形態では、メモタグ付与部P5が、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与する例を説明したが、これに限定されず、メモタグ付与部P5は、人事情報H及び/又は勤怠項目Aにおける1つ又は複数の項目の変化に応じてメモタグMtを付与するようにしてもよいし、項目の値の所定閾値以上の変動に応じてメモタグMtを付与するようにしてもよい。例えば、メモタグ付与部P5は、人事情報H及び/又は勤怠項目Aにおける第1所定項目が変更かつ第2所定項目が変更された場合はメモタグMtを付与するようにしてもよいし、人事情報H及び勤怠項目Aにおける第1項目がN%以上変動があった場合は、メモタグMtを付与してもよい。
【0063】
すなわち、情報処理システム1は、給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する支払対象者に生じたイベントを記録するためのメモ情報Mの指示入力をユーザから受け付け、指示入力されたメモ情報Mを支払対象者に対応付けて記憶部22に記憶させるメモ入力部P1と、支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を一覧画面Gに一覧表示する一覧画面表示部P3と、今回計算対象期間において、支払対象者に対応付けられたメモ情報Mを取得し、一覧画面Gに表示された支払対象者に、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与するメモタグ付与部P5と、を有する。
【0064】
更新情報付与部P4は、支払対象者について、人事情報H及び/又は勤怠情報Aの中から今回計算対象期間における更新情報を検出し、一覧画面Gにおける支払対象者に更新情報を示す更新アイコンIrを付与する。
【0065】
支払額計算部P2は、人事情報H及び/又は勤怠情報Aに基づいて、所定支払額計算処理によって今回支払額を算出する。
【0066】
一覧画面表示部P3は、一覧画面Gに、支払対象者の各々についての名前、雇用形態、前回以前支払額、今回支払額、差額、更新アイコンIr、及び、メモタグMtを一覧表示する。
【0067】
一覧画面表示部P3は、更新情報及びメモタグMtのいずれも表示されないとき、変更がないことを示す表示を行う。
【0068】
支払額計算部P2は、人事情報H及び勤怠情報Aにデータ項目を有しない個別増減額の指示入力を受け付け、個別増減額を含めて給与の支払額を算出する。
【0069】
一覧画面表示部P3は、支払対象者の各々について、前回以前支払額、今回支払額、差額、更新情報、及び、メモタグMtを表示する。
【0070】
警告部P6は、支払対象者について、更新アイコンIr及び/又はメモタグMtが表示されているにもかかわらず、前回以前支払額と今回支払額の差額が生じていない場合、又は、更新アイコンIr及びメモタグMtのいずれも表示されていないにもかかわらず、前回以前支払額と今回支払額の差額が生じている場合に、一覧画面Gに警告表示を行う。
【0071】
情報処理方法は、メモ入力部P1により、給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する支払対象者に生じたイベントを記録するためのメモ情報Mの指示入力をユーザから受け付け、指示入力されたメモ情報Mを支払対象者に対応付けて記憶部22に記憶させ、一覧画面表示部P3により、支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を一覧画面Gに一覧表示し、メモタグ付与部P5により、今回計算対象期間において、支払対象者に対応付けられたメモ情報Mを取得し、一覧画面Gに表示された支払対象者に、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与する。
【0072】
情報処理プログラムは、給与又は報酬の少なくとも一方の支払額に関する支払対象者に生じたイベントを記録するためのメモ情報Mの指示入力をユーザから受け付け、指示入力されたメモ情報Mを支払対象者に対応付けて記憶部22に記憶させるメモ入力部P1のコードと、支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を一覧画面Gに一覧表示する一覧画面表示部P3のコードと、今回計算対象期間において、支払対象者に対応付けられたメモ情報Mを取得し、一覧画面Gに表示された支払対象者に、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与するメモタグ付与部P5のコードと、をコンピュータに実行させる。
【0073】
上述のとおり、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0074】
また、実施形態における各手順の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。さらに、本実施形態における各手順の各ステップの全てあるいは一部をハードウェアにより実現してもよいし、プログラムによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1・・・ 情報処理システム
10・・・端末装置
11・・・制御部
12・・・記憶部
13・・・表示部
14・・・指示入力部
20・・・サーバ
21・・・制御部
22・・・記憶部
A・・・ 勤怠情報
G・・・ 一覧画面
H・・・ 人事情報
Ic・・・変更アイコン
Ir・・・更新アイコン
M・・・ メモ情報
Mt・・・メモタグ
P1・・・メモ入力部
P2・・・支払額計算部
P3・・・一覧画面表示部
P4・・・更新情報付与部
P5・・・メモタグ付与部
P6・・・警告部
【要約】
【課題】 ユーザが、より簡便かつ確実に、給与や報酬の支払額の計算に必要な情報の入力漏れや入力誤りがないか、確かめることができる、情報処理システムを提供する。
【解決手段】 情報処理システム1は、メモ入力部P1、一覧画面表示部P3、及び、メモタグ付与部P5を有する。一覧画面表示部P3は、支払対象者の今回計算対象期間における今回支払額、今回計算対象期間よりも前の前回以前計算対象期間における前回以前支払額、及び、前回以前支払額と今回支払額の差額を一覧画面Gに一覧表示する。メモタグ付与部P5は、今回計算対象期間において、支払対象者に対応付けられたメモ情報Mを取得し、一覧画面Gに表示された支払対象者に、メモ情報Mに応じたメモタグMtを付与する。
【選択図】
図2