(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-11
(45)【発行日】2024-10-22
(54)【発明の名称】化合物半導体研磨パッド、及び樹脂多孔体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241015BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20241015BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20241015BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20241015BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20241015BHJP
C08J 5/14 20060101ALI20241015BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
B24B37/24 B
B24B37/00 H
C08J9/04 101
C08J5/18 CEW
C08J5/14 CEZ
(21)【出願番号】P 2024052458
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-03-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】ノリタケ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】速水 麻子
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-349053(JP,A)
【文献】特開2001-164029(JP,A)
【文献】特開2016-147966(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021337(WO,A1)
【文献】特開2021-057368(JP,A)
【文献】特開2022-149241(JP,A)
【文献】特開2023-061016(JP,A)
【文献】特開平02-208332(JP,A)
【文献】特開2018-172524(JP,A)
【文献】国際公開第2012/036034(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/24
B24B 37/00
C08J 9/04
C08J 5/18
C08J 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂である母材樹脂と、前記母材樹脂内に形成された微細気孔とを有し、前記微細気孔の大きさは2~20μmである樹脂多孔体から構成された化合物半導体研磨パッドであって、
前記化合物半導体研磨パッドは、過マンガン酸系強酸化剤を含む研磨液を用いて難研磨化合物半導体ウエハーを研磨する
ものであり、
前記化合物半導体研磨パッドは、54.3~65.1体積%の気孔と、34.9~45.7体積%のPES樹脂と、34.0~54.0のデュロメータ硬度(Type-D)とを有する
ことを特徴とする化合物半導体研磨パッド。
【請求項2】
酸化剤耐性及び摩耗耐性が高く微細気孔を有する樹脂多孔体の製造方法であって、
酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い母材樹脂を、常温に融点を有し且つ水に溶解可能な高融点有機溶剤に溶融させて溶融体を得る溶融体作成工程と、
前記溶融体を薄板状に成形して薄板状成形体を得る成形工程と、
前記薄板状成形体を前記高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置して、前記薄板状成形体中に前記高融点有機溶剤の固体を微細に析出させる析出工程と、
前記析出工程を経た前記薄板状成形体を前記冷水の温度及び前記高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、前記薄板状成形体中に微細に析出した前記高融点有機溶剤の固体を水に置換する置換工程と、
前記薄板状成形体中から水分が無くなるまで前記薄板状成形体を乾燥する乾燥工程と、を含
み、
前記母材樹脂は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂である
ことを特徴とする樹脂多孔体の製造方法。
【請求項3】
前記高融点有機溶剤は、24.6℃の融点を有する2-ピロリドン、又は、18.4℃の融点を有するDMSO(ジメチルスルホキシド)である
ことを特徴とする請求項
2の樹脂多孔体の製造方法。
【請求項4】
前記高融点有機溶剤は、水に拡散し、且つ前記PES(ポリエーテルスルホン)樹脂及び前記PVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂を溶解する溶剤である
ことを特徴とする請求項
2の樹脂多孔体の製造方法。
【請求項5】
前記析出工程は、前記薄板状成形体を5~10℃の前記冷水中に放置するものであり、前記置換工程は、前記析出工程を経た前記薄板状成形体を40~60℃の前記温水中に放置するものである
ことを特徴とする請求項
2の樹脂多孔体の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂多孔体は、2~20μmの平均径の微細気孔を有する
ことを特徴とする請求項
2の化合物半導体研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂多孔体、その樹脂多孔体を用いた化合物半導体研磨パッド、及び樹脂多孔体の製造方法、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化合物半導体ウエハーを研磨する化合物半導体研磨パッド、研磨盤において化合物半導体ウエハーを固定する水貼パッド、合成皮革、防振シート、防音材、吸水保水体、燃料電池のセパレータや分離膜等に使用するために、薬品耐性が高く微細気孔を有する樹脂多孔体が求められている。
【0003】
たとえば、SiCウエハー、GaNウエハー、Siウエハー、Si酸化膜ウエハーなどの半導体ウエハーは、難研磨ウエハーとして知られている。そのような半導体ウエハーの研磨に際して、機械的に研磨を促進する樹脂製の研磨パッドと、化学的に研磨を促進する研磨液とを使用して研磨するCMP法による研磨方法が提案されている。たとえば、特許文献1に記載された研磨方法がそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸系強酸化剤を含む研磨液を用いて研磨パッド上で前記難研磨ウエハーを研磨する場合、研磨パッドを構成する樹脂が酸化剤に対する耐性が低い樹脂、たとえば発泡ポリウレタン樹脂である場合、樹脂が劣化し、研磨材料の表面粗さの劣化や形状の悪化が生じ易く、研磨パッドの使用寿命が短いという問題があった。これに対して、研磨パッド内のポリウレタン樹脂の割合を多くして気孔を少なくした研磨パッドを用いた場合、使用寿命は長くなるが、気孔が少ないためスクラッチ傷が入り易いという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、化合物半導体研磨パッドに用いられた場合、難研磨ウエハーの研磨においてスクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できる樹脂多孔体、その樹脂多孔体を用いた化合物半導体研磨パッド、及びそれらが得られる製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明者は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、過マンガン酸系強酸化剤に耐性が高いPES(ポリエーテルスルホン)樹脂を、常温の融点を有する溶剤に溶解して得た溶融体を、所定の形状に成形し、その成形体を溶剤の融点よりも低い温度とすると、溶剤が溶融体内に微細な固体として析出し、その析出した固体を水で置換すると、平均径が2~20μm程度の大きさの微細気孔を有する樹脂多孔体が得られた。そして、その樹脂多孔体を用いた研磨パッドで研磨を行なうと、微細気孔の作用によって、スクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できるという事実を見出した。本発明はこの知見に基づいて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(1)PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂である母材樹脂と、(2)前記母材樹脂内に形成された微細気孔とを有し、前記微細気孔の大きさは2~20μmである樹脂多孔体である樹脂多孔体から構成された化合物半導体研磨パッドであって、(3)前記化合物半導体研磨パッドは、過マンガン酸系強酸化剤を含む研磨液を用いて難研磨化合物半導体ウエハーを研磨するものであり、(4)前記化合物半導体研磨パッドは、54.3~65.1体積%の気孔と、34.9~45.7体積%のPES樹脂と、34.0~54.0のデュロメータ硬度(Type-D)とを有することにある。
【0010】
第2発明の要旨とするところは、(1)酸化剤耐性及び摩耗耐性が高く微細気孔を有する樹脂多孔体の製造方法であって、(2)酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い母材樹脂を、常温(10~30℃)に融点を有し且つ水に溶解可能な高融点有機溶剤に溶融させて溶融体を得る溶融体作成工程と、(3)前記溶融体を薄板状に成形して薄板状成形体を得る成形工程と、(4)前記薄板状成形体を前記高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置して、前記薄板状成形体中に前記高融点有機溶剤の固体を微細に析出させる析出工程と、(5)前記析出工程を経た前記薄板状成形体を前記冷水の温度及び前記高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、前記薄板状成形体中に微細に析出した前記高融点有機溶剤の固体を水に置換する置換工程と、(6)前記薄板状成形体中から水分が無くなるまで前記薄板状成形体を乾燥する乾燥工程と、を含み、(7)前記母材樹脂は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂であることにある。
【0012】
第3発明の要旨とするところは、第2発明において、前記高融点有機溶剤は、24.6℃の融点を有する2-ピロリドン、又は、18.4℃の融点を有するDMSO(ジメチルスルホキシド)であることにある。常温が10℃から30℃であると定義すると、それら2-ピロリドン及びDMSOは、常温に融点を有し、且つPES(ポリエーテルスルホン)樹脂及びPVDF-HFP樹脂を溶解する溶剤である。
【0013】
第4発明の要旨とするところは、第2発明において、前記高融点有機溶剤は、水に拡散し、且つ前記PES(ポリエーテルスルホン)樹脂及び前記PVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂を溶解する溶剤であることにある。
【0014】
第5発明の要旨とするところは、第2発明において、前記析出工程は、前記薄板状成形体を5~10℃の前記冷水中に放置するものであり、前記置換工程は、前記析出工程を経た前記薄板状成形体を40~60℃の前記温水中に放置するものである。
【0015】
第6発明の要旨とするところは、第2発明において、前記樹脂多孔体は、2~20μm、好適には2~10μmの平均径の微細気孔を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
第1発明の化合物半導体研磨パッドは、酸化剤耐性及び摩耗耐性が高いPES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂であり、母材樹脂内に形成された微細気孔の大きさが2~20μmである樹脂多孔体である樹脂多孔体から構成された化合物半導体研磨パッドであって、前記化合物半導体研磨パッドは、過マンガン酸系強酸化剤を含む研磨液を用いて難研磨化合物半導体ウエハーを研磨するものであり、前記化合物半導体研磨パッドは、54.3~65.1体積%の気孔と、34.9~45.7体積%のPES樹脂と、34.0~54.0のデュロメータ硬度(Type-D)とを有するので、難研磨ウエハーをCMP法により研磨する際に用いられる研磨に際して、機械的に研磨を促進すると同時に、化学的に研磨を促進する研磨液とを使用して研磨するCMP法による研磨に用いられる化合物半導体研磨パッドの母材樹脂として用いられる場合には、スクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できる化合物半導体研磨パッドが得られる。また、化合物半導体研磨パッドは、54.3~65.1体積%の気孔と、34.9~45.7体積%のPES樹脂と、34.0~54.0のデュロメータ硬度とを有するものであることから、過マンガン酸系強酸化剤を含む研磨液を用いたCMP法による難研磨化合物半導体ウエハーの研磨に用いられると、スクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できる。
【0019】
第2発明の酸化剤耐性及び摩耗耐性が高く微細気孔を有する樹脂多孔体の製造方法では、酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い母材樹脂を、常温(10~30℃)に融点を有し且つ水に溶解可能な高融点有機溶剤に溶融させて溶融体を得る溶融体作成工程と、溶融体を薄板状に成形して薄板状成形体を得る成形工程と、薄板状成形体を高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置して、薄板状成形体中に高融点有機溶剤の固体を微細に析出させる析出工程と、析出工程を経た薄板状成形体を冷水の温度及び高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、薄板状成形体中に微細に析出した高融点有機溶剤の固体を水に置換する置換工程と、薄板状成形体中から水分が無くなるまで薄板状成形体を乾燥する乾燥工程と、が含まれ、前記母材樹脂は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂である。これにより、酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い樹脂内には、微細な固体に替わる気孔が形成されているので、難研磨ウエハーの研磨においてスクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できる化合物半導体研磨パッドが得られる。また、母材樹脂は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂であるので、酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い樹脂多孔体が得られる。
【0021】
第3発明では、高融点有機溶剤は、24.6℃の融点を有する2-ピロリドン、又は、18.4℃の融点を有するDMSO(ジメチルスルホキシド)である。これにより、析出工程では、薄板状成形体が高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置されることで、薄板状成形体中に高融点有機溶剤の固体を微細に析出させることができる。
【0022】
第4発明では、高融点有機溶剤は、水に拡散し、且つPES(ポリエーテルスルホン)樹脂及びPVDF-HFP樹脂を溶解する溶剤である。これにより、析出工程を経た薄板状成形体を冷水の温度及び高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、薄板状成形体中に微細に析出した高融点有機溶剤の固体を水に置換することができる。
【0023】
第5発明において、析出工程は、薄板状成形体を5~10℃の冷水中に放置するものであり、置換工程は、析出工程を経た薄板状成形体を、高融点有機溶剤の融点より充分に高い40~60℃の温水中に放置するものである。これにより、薄板状成形体中に高融点有機溶剤の固体を微細に析出させることができた後、薄板状成形体中に析出した高融点有機溶剤の固体が温水中において水と置換される。
【0024】
第6発明では、樹脂多孔体は、2~20μm、好適には2~10μmの平均径を有する微細気孔を有するものである。これにより、樹脂多孔体から成る化合物半導体研磨パッドによる難研磨化合物半導体ウエハーの研磨において、多数の微細気孔のエッジが研磨メカニズムに寄与するためスクラッチ傷が入り難く、研磨レートと表面粗さとが好適に得られる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例の研磨パッドが用いられた、CMP法による研磨加工に用いられる平面研磨装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の平面研磨装置の貼付円盤の自転機構を模式的に説明する平面図である。
【
図3】
図1の研磨パッドを構成する樹脂多孔体を製造する製造工程を説明する工程図である。
【
図4】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の一例であるPES樹脂(ポリエーテルスルホン樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図5】
図1の研磨パッドを構成する樹脂の他の例であるPVDF-HFP樹脂(ポリフッ化ビニリデン80%+六フッ化プロピレン20%共重合体樹脂)の化学構造式を示す図である。
【
図6】研磨試験1に用いた試料、及び、研磨試験結果を示す図表である。
【
図7】研磨試験1に用いた試料中の、実施例品1~4の樹脂割合、気孔割合、及びデュロメータ硬度を示す図表である。
【
図8】研磨試験1に用いた試料中の、実施例品3の気孔を示すために実施例品3の断面を撮像したSEM写真を示す図である。
【
図9】研磨試験1に用いた試料中の、比較例品1の気孔を示すために比較例品1の断面を撮像したSEM写真を示す図である。
【
図10】研磨試験1に用いた試料中の、比較例品2の気孔を示すために比較例品2の断面を撮像したSEM写真を示す図である。
【
図11】研磨試験2において、実施例品3を用いて得られた研磨レートPR、表面粗さSa、スクラッチ傷数を研磨時間経過毎に示す図表である。
【
図12】
図11の研磨レートPRの変化を示す折れ線グラフである。
【
図13】
図11の表面粗さSaの変化を示す折れ線グラフである。
【
図14】
図11のスクラッチ傷数の変化を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明の一例の、SiCウエハー、GaNウエハー、InPウエハー等の難研磨化合物半導体ウエハーを研磨するための平面研磨装置10の要部を、ガイドローラ固定台を取り外して観念的に示している。
図1において、平面研磨装置10には、円形の研磨定盤(回転テーブル)12がその垂直な回転軸線C1まわりに回転可能に支持された状態で設けられており、その研磨定盤12は、定盤駆動モータ14により、図に矢印で示す1回転方向へ一定の速度で回転駆動されるようになっている。この研磨定盤12の上面すなわちワーク(難研磨化合物半導体ウエハー)16が押しつけられる面には、シート状の樹脂多孔体17から構成された化合物半導体研磨パッド(以下、研磨パッドという)18が貼り付けられている。
【0029】
貼付円盤20の下面すなわち上記研磨パッド18と対向する面には、ワーク16が保持され、貼付円盤20によりワーク16が所定の荷重で研磨パッド18に押圧されるようになっている。また、平面研磨装置10の貼付円盤20の近傍には、滴下ノズル22が設けられており、図示しないタンクから送出された、過マンガン酸カリウム(KMnO4)等の過マンガン酸系強酸化剤が添加された強酸性の研磨液PFが上記研磨定盤12上に供給されるようになっている。
【0030】
平面研磨装置10には、研磨定盤12の回転軸線C1まわりに回転可能、かつ、その回転軸線C1の方向および研磨定盤12の径方向に移動可能に配置された図示しない調整工具保持部材と、その調整工具保持部材の下面すなわち研磨パッド18と対向する面に取り付けられた図示しないダイヤモンドホイールのような研磨体調整工具(ドレッサ又はコンディショナー)とが必要に応じて設けられている。この調整工具保持部材およびそれに取り付けられた研磨体調整工具は、図示しない調整工具駆動モータにより回転駆動された状態で研磨パッド18に押しつけられ、且つ研磨定盤12の径方向に往復移動させられることにより、研磨パッド18の研磨面の調整がおこなわれてその研磨パッド18の表面状態が研磨加工に適した状態に常時維持されるようになっている。
【0031】
図2に示されるように、研磨定盤12上の回転軸線C1から偏心した位置には、被研磨体であるワーク16を吸着、接着或いは保持枠等を用いて下面において保持する短円柱状の貼付円盤20の外周面が、図示しないフレームに固定された、位置固定のガイドローラ固定台28に設けられた一対の遊転ガイドローラ30および駆動ガイドローラ32に受けられて、貼付円盤20が自転軸線C2まわりに自転可能とされている。貼付円盤20は研磨定盤12あるいは研磨パッド18の周速差に基づく回転力を受けて自転軸線C2まわりに自転させられつつ、たとえば錘(ウエイト)34による荷重で貼付円盤20が研磨定盤12上の研磨パッド18に押しつけられることで、ワーク16の研磨が行なわれるようになっている。
【0032】
平面研磨装置10による研磨加工に際しては、以下の研磨加工方法が適用される。すなわち、研磨定盤12に貼り付けられた研磨パッド18と、貼付円盤20およびその下面に保持されたワーク16とが、定盤駆動モータ14および駆動ガイドローラ32によりそれぞれの回転軸線C1および自転軸線C2まわりに回転駆動された状態で、上記滴下ノズル22から、研磨砥粒を含まない研磨液PFが研磨パッド18の表面上に供給されつつ、貼付円盤20に保持されたワーク16がその研磨パッド18に押しつけられる。これにより、ワーク16の被研磨面すなわち研磨パッド18に対向する面が、研磨液PFによる化学的研磨作用によって、平坦に研磨される。
【0033】
研磨パッド18は、平均径が2~20μm、好適には2~10μmの微細な気孔を含む樹脂多孔体17から構成されている。樹脂多孔体17は、研磨パッド18の母材樹脂として機能している。樹脂多孔体17は、砥粒を含まないPES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP樹脂(ポリフッ化ビニリデン80%+六フッ化プロピレン20%共重合体樹脂)から成り、2~3mm程度の厚みのシート状に成形されたものである。PES樹脂及びPVDF-HFP樹脂は、研磨液PF中の過マンガン酸系強酸化剤に対して高い耐性と、高い研磨レートPRが得られる摩耗耐性とを備えている。PES樹脂は、
図4の化学構造式に示すものであり、PVDF-HFP樹脂は、
図5の化学構造式に示すものである。
【0034】
研磨パッド18は、好適には、54.3~65.1体積%の気孔と、34.9~45.7体積%のPES樹脂と、34.0~54.0のデュロメータ硬度(Type-D)とを有する。
【0035】
研磨パッド18を構成する樹脂多孔体17は、
図3に示す製造工程P1~P5により製造される。
図3において、溶融体作成工程P1では、PES樹脂又はPVDF-HFP樹脂が、常温(10~30℃)に融点を有する高融点有機溶剤である2-ピロリドン又はDMSO(ジメチルスルホキシド)と共に50℃以上の温度で加熱されると共に攪拌されることで溶融させられた溶融体が作成される。次いで、成形工程P2では、上記溶融体が、鋳込み成形或いはブレードキャスティングによりたとえば2~3mm程度の薄板状に成形されて薄板状成形体が得られる。次に、析出工程P3では、上記薄板状成形体が、2-ピロリドンの融点より低温たとえば5~10℃の冷水中に5時間程度放置されることで、上記薄板状成形体中に高融点有機溶剤(2-ピロリドン又はDMSO)の固体が微細に析出させられる。この2-ピロリドンの微細な析出体(結晶)は、後述の乾燥工程P5の後に、PES樹脂中の微細気孔を形成する。この微細気孔の大きさは、上記冷水の温度及び放置時間により調節されるが、平均径が2~20μm、好適には2~10μmがよい。
【0036】
続く置換工程P4では、析出工程P3を経た上記薄板状成形体が、冷水の温度及び2-ピロリドンの融点よりも高温たとえば40~60℃の温水中に5時間程度放置されることで、上記薄板状成形体中に微細に析出した高融点有機溶剤(2-ピロリドン又はDMSO)の固体が水に置換されるとともに、薄板状成形体が硬化させられる。そして、乾燥工程P5では、上記薄板状成形体中から水分が無くなるまでその薄板状成形体が乾燥される。これにより、3~20μm程度の微細気孔を有する薄板状のPES樹脂製又はPVDF-HFP樹脂製の樹脂多孔体(研磨パッド18の母材樹脂)17が得られる。
【0037】
2-ピロリドンは、化学式がC4H7NOであって、24.6℃の融点と、245℃の沸点とを有していて、水に溶解可能であり、且つ母材樹脂(PES樹脂又はPVDF-HFP樹脂)を溶解可能である。また、DMSO(ジメチルスルホキシド)は、化学式がC2H6OSであって、18.4℃の融点と、189℃の沸点とを有していて、水に溶解或いは拡散可能であり、母材樹脂(PES樹脂又はPVDF-HFP樹脂)を溶解可能である。上記の溶融体作成工程P1、析出工程P3、置換工程P4に記載のように、PES樹脂を溶融するとともに、冷水の温度で析出し、温水の温度で水と置換可能であれば、2-ピロリドン、DMSOとは異なる他の有機溶剤が用いられてもよい。
【0038】
[研磨試験1]
以下、本発明者が行った半導体ウエハーについての研磨試験1を説明する。研磨試験1では、
図6に示す比較例品1~2、及び実施例品1~5を、
図1に示す平面研磨装置10と同様に構成された装置に適用し、以下に示す研磨試験1の試験条件の下で、4インチφのSiCウエハーの研磨を行なった。実施例品1~4は、2-ピロリドンに対するPES樹脂の割合が相互に異なるように
図3に示す製造工程を用いて作成したものである。
図7はそれら実施例品1~4のPES樹脂の体積割合、気孔の体積割合、デュロメータ硬度(Type-D)を示している。
図8は、実施例品1~5を代表させた実施例品3のSEM写真を示している。
図8のSEM写真からは2~20μm或いは2~10μm程度の微細気孔が観察される。比較例品1は、20~40μmの気孔を気孔形成剤により作成した硬質ポリウレタン樹脂から構成されたものである。
図9は比較例品1のSEM写真を示している。
図9のSEM写真からは20~40μm程度の気孔が観察される。比較例品2は、相互に絡みあったポリエステル繊維をポリウレタン樹脂で結合した不織布であり、100μm程度の隙間が繊維間に形成されている。
図10は比較例品2のSEM写真を示している。
図10のSEM写真からは100μm程度の大きな気孔が観察される。
【0039】
研磨試験1及び後述の研磨試験2の研磨試験後のSiCウエハーの研磨レートPR、表面粗さSa、スクラッチ個数は、以下の測定方法が用いられた。
【0040】
[研磨試験1の試験条件]
ワーク :4インチφのSiCウエハー(0001)Si面、傾斜角4°
ワーク回転数 :60rpm
研磨パッド径 :300mmφ
研磨パッド回転数 :60rpm
研磨圧力 :42kPa
研磨液 :KMnO4(0.25mol/l) pH=3.2
(砥粒含まず)
研磨液流量 :10ml/min
研磨時間 :〔比較例品1〕 200時間
〔比較例品2〕 70時間
〔実施例品1〕 2時間
〔実施例品2〕 2時間
〔実施例品3〕 200時間
〔実施例品4〕 2時間
〔実施例品5〕 2時間
【0041】
[研磨レートPRの測定方法]
研磨加工試験前後のSiCウエハーの質量差を、化学天秤を用いて求め、既知のSiCウエハーの密度および研磨面の表面積から研磨量(磨耗厚み)を求め、その研磨量を研磨時間で除することで、研磨レートPR(nm/h)を算出した。
【0042】
[表面粗さSa測定方法]
研磨加工試験後のSiCウエハーの研磨面の表面プロファイルを、白色干渉顕微鏡(日立ハイテク社VS-1330)を用いて表面粗さSaを測定し、ISO25178で規定された算術平均表面粗さSaを算出した。
【0043】
[スクラッチ個数の測定方法]
SiCウエハーの研磨面において、共焦点微分緩衝顕微鏡(レーザーテック社 OPTELICS HYBRID)を用いてウエハー前面を観察し、装備されたスクラッチ傷判定ソフトで検出された傷を1個として計数した。
【0044】
図6には、実施例品1~5、及び比較例品1~2を用いた場合の研磨試験結果(研磨レートPR(nm/h)と、研磨面の表面粗さSa(nm))と、スクラッチの個数(count)とが、それぞれ示されている。その研磨結果では、実施例品1~5は、比較例品1~2に比較して高い研磨レートPR(nm/h)が得られている。また、実施例品1~5は、比較例品1~2に比較して良好な表面粗さSaが得られている。SiCウエハーは、気泡のエッジで支えられた状態で研磨されるが、実施例品1~5は、微細な気孔であるので、多くのエッジで支えられることが、上記の研磨結果が得られた原因であると考えられる。
【0045】
[研磨試験2]
図7の実施例品3を、
図1に示す平面研磨装置10と同様に構成された装置に適用し、研磨時間以外は研磨試験1の試験条件と同じ条件下で4インチφのSiCウエハーを研磨し、研磨時間の経過毎に、研磨レートPR(nm/h)、研磨面の表面粗さSa(nm)、及びスクラッチの個数(count)を、200時間経過するまで22回測定した。
【0046】
図11は、その22回の測定により得られた、研磨レートPR(nm/h)、研磨面の表面粗さSa(nm)、及びスクラッチの個数(count)を示している。
図12は、SiCウエハーの研磨中における研磨レートPRの変化を示す折れ線グラフである。
図13は、SiCウエハーの研磨中における表面粗さSaの変化を示す折れ線グラフである。
図14は、SiCウエハーの研磨中におけるスクラッチの個数の変化を示す折れ線グラフである。
図12から
図14において、○印は実施例品3、△印は比較例品1、□印は比較例品2の値を示している。
【0047】
図12に示すように、実施例品3は、比較例品1よりも高い研磨レートPRを示しつつ、略一定の値で推移している。比較例品2の研磨レートPRは、総体的に低く、且つ研磨時間の経過と共に低下し、70時間で毛羽立ちが発生すると共にパッドの周囲が欠けて、研磨が不能となった。比較例品2のポリエステル繊維(不織布)は、強酸化剤に対して耐性が低いと考えられる。
【0048】
図13に示すように、実施例品3は、比較例品1よりも低い表面粗さSaを示しつつ、略一定の値で推移している。比較例品1の表面粗さSaは周期的変化があり、比較例品2の表面粗さSaは、研磨時間の経過と共に上昇し、70時間で研磨不能となっている。
【0049】
図14に示すように、実施例品3は、比較例品1よりもスクラッチ数が少なく、一定の値(「0」値)で推移している。比較例品1のスクラッチ数は周期的に増加する変化があり、比較例品2のスクラッチ数は、研磨時間の経過と共に上昇し、70時間で研磨不能となっている。
【0050】
上述のように、本実施例の樹脂多孔体17によれば、母材樹脂が酸化剤耐性及び摩耗耐性が高いPES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂であり、母材樹脂内に形成された微細気孔の大きさが2~20μmであるので、樹脂多孔体17であるので、難研磨ウエハーをCMP法により研磨する際に用いられる再にの研磨に際して、機械的に研磨を促進する樹脂製の研磨パッドと、化学的に研磨を促進する研磨液とを使用して研磨するCMP法による研磨に用いられる化合物半導体研磨パッドの母材樹脂として用いられる場合には、スクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できる化合物半導体研磨パッドが得られる。
【0051】
本実施例の樹脂多孔体17は大きさが2~20μmである微細気孔を有するので、その樹脂多孔体17が適用された研磨パッド18によれば、過マンガン酸系強酸化剤を含む研磨液を用いたCMP法による難研磨化合物半導体ウエハーの研磨に用いられると、スクラッチ傷がなく、研磨レートと表面粗さを長時間維持できる。
【0052】
上述のように、本実施例の研磨パッド18を構成する樹脂多孔体17の製造方法には、酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い母材樹脂を、常温(10~30℃)に融点を有し且つ水に溶解可能な高融点有機溶剤に溶融させて溶融体を得る溶融体作成工程P1と、溶融体を薄板状に成形して薄板状成形体を得る成形工程P2と、薄板状成形体を高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置して、薄板状成形体中に高融点有機溶剤を微細に析出させる析出工程P3と、析出工程P3を経た薄板状成形体を冷水の温度及び高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、薄板状成形体中に微細に析出した高融点有機溶剤の固体を水に置換する置換工程P4と、薄板状成形体中から水分が無くなるまで薄板状成形体を乾燥する乾燥工程P5と、が含まれる。これにより、研磨パッド18を構成する樹脂多孔体は、強酸化剤に対する耐性が高いPES樹脂から構成され、そのPES樹脂内には微細な気孔が形成されているので、難研磨ウエハーの研磨において、スクラッチ傷がなく、研磨レートPRと表面粗さSaとを長時間維持できる。
【0053】
本実施例の母材樹脂は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、又はPVDF-HFP(ポリフッ化ビニリデン80%と六フッ化プロピレン20%の共重合体)樹脂であるので、酸化剤耐性及び摩耗耐性が高い樹脂多孔体が得られる。
【0054】
本実施例の高融点有機溶剤は、24.6℃の融点を有する2-ピロリドン、又は、18.4℃の融点を有するDMSO(ジメチルスルホキシド)である。これにより、析出工程P3では、薄板状成形体が高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置されることで、薄板状成形体中に高融点有機溶剤の固体を微細に析出させることができる。
【0055】
本実施例の高融点有機溶剤は、水に拡散し、且つPES(ポリエーテルスルホン)樹脂及びPVDF-HFP樹脂を溶解する溶剤である。これにより、析出工程P3を経た薄板状成形体を冷水の温度及び高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、薄板状成形体中に微細に析出した高融点有機溶剤の固体を水に置換することができる。
【0056】
本実施例では、析出工程P3は、薄板状成形体を5~10℃の冷水中に放置するものであり、置換工程P4は、析出工程P3を経た薄板状成形体を、高融点有機溶剤の融点より充分に高い40~60℃の温水中に放置するものである。これにより、薄板状成形体中に高融点有機溶剤の固体を微細に析出させることができた後、薄板状成形体中に析出した高融点有機溶剤の固体が温水中において水と置換される。
【0057】
本実施例の樹脂多孔体は、2~20μm、好適には2~10μmの平均径を有する微細気孔を有するものである。これにより、樹脂多孔体から成る研磨パッド18によるワーク16の研磨において、多数の微細気孔のエッジが研磨メカニズムに寄与するためスクラッチ傷が入り難く、研磨レートPRと表面粗さSaとが好適に得られる利点がある。
【0058】
本実施例の研磨パッド18は、54.3~65.1体積%の気孔と、34.9~45.7体積%のPES樹脂と、34.0~54.0のデュロメータ硬度とを有するものであることから、スクラッチ傷がなく、研磨レートPRと表面粗さSaを長時間維持できる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0060】
たとえば、前述の実施例の研磨液PFは、砥粒を含まないものであったが、砥粒を含むものであっても差し支えない。
【0061】
また、前述の実施例の研磨液PFは、過マンガン酸カリウム(KMnO4)等の過マンガン酸系強酸化剤が添加されたものであったが、他の強酸化剤が添加されていてもよい。
【0062】
また、前述の実施例の研磨パッド18は、砥粒を含まないものであったが、砥粒を包含するものであってもよい。
【0063】
また、前述の実施例の樹脂多孔体は研磨パッド18に用いられていたが、他の用途、たとえば、研磨盤において化合物半導体ウエハーを固定する水貼パッド、合成皮革、防振シート、吸音材、吸水保水体、燃料電池のセパレータや分離膜等として使用されるものであってもよい。
【0064】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
16:ワーク(難研磨化合物半導体ウエハー)
17:樹脂多孔体
18:研磨パッド(樹脂多孔体から構成された化合物半導体研磨パッド)
PF:研磨液
【要約】
【課題】微細気孔を有する樹脂多孔体、化合物半導体研磨パッド、及びその樹脂多孔体のの製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂多孔体の製造方法は、母材樹脂を常温に融点を有する高融点有機溶剤に溶融させて溶融体を得る溶融体作成工程P1と、溶融体を薄板状に成形して薄板状成形体を得る成形工程P2と、薄板状成形体を高融点有機溶剤の融点より低温の冷水中に放置して、薄板状成形体中に高融点有機溶剤を微細に析出させる析出工程P3と、析出工程P3を経た薄板状成形体を冷水の温度及び高融点有機溶剤の融点よりも高温の温水中に放置して、薄板状成形体中に析出した高融点有機溶剤の固体を水に置換する置換工程P4と、薄板状成形体中から水分が無くなるまで薄板状成形体を乾燥する乾燥工程P5と、を含む。
【選択図】
図3