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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】粉末造粒物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20241016BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241016BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241016BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241016BHJP
   B01J 2/28 20060101ALI20241016BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20241016BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20241016BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C11D3/37
A61K8/44
A61K8/73
A61K8/92
A61Q19/10
B01J2/28
C11D3/18
C11D3/33
C11D3/382
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2024045095
(22)【出願日】2024-03-21
【審査請求日】2024-04-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000180807
【氏名又は名称】資生堂ホネケーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】仁科 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 吉信
(72)【発明者】
【氏名】小川 太
(72)【発明者】
【氏名】原田 昂輝
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/264693(WO,A1)
【文献】特開2018-119128(JP,A)
【文献】特開2018-118958(JP,A)
【文献】特開2007-261947(JP,A)
【文献】国際公開第2017/200036(WO,A1)
【文献】特開2019-081740(JP,A)
【文献】特開2019-156729(JP,A)
【文献】特開2019-104690(JP,A)
【文献】特開2009-274991(JP,A)
【文献】特開平04-018011(JP,A)
【文献】特開2018-123117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
B01J 2/00- 2/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粉末成分と、
(C)エチルセルロースと、
を含み、
前記(A)粉末成分が(A-1)ラウロイルリシン又はカプロイルリシンであるアミノ酸誘導体であり、
前記(A-1)アミノ酸誘導体80~95質量%と、(C)エチルセルロース1~10質量%と、を含むことを特徴とする粉末造粒物。
【請求項2】
(A)粉末成分と、
(C)エチルセルロースと、
を含み、
前記(A)粉末成分が、(A-1)ラウロイルリシン又はカプロイルリシンであるアミノ酸誘導体及び(A-2)融点が100℃以上のワックスであり、
前記(A-1)アミノ酸誘導体85~95質量%と、前記(A-2)融点が100℃以上のワックス1~10質量%と、前記(C)エチルセルロース1~10質量%と、を含むことを特徴とする粉末造粒物。
【請求項3】
(A)粉末成分と、
(B)タルクと、
(C)エチルセルロースと、
を含み、
前記(A)粉末成分が(A-2)融点が100℃以上のワックスであり、
前記(A-2)融点が100℃以上のワックス75~90質量%と、前記(B)タルク5~20質量%と、前記(C)エチルセルロース1~10質量%と、を含み、
前記(A-2)融点が100℃以上のワックスと前記(B)タルクとの質量比(A-2/B)が3.8~18であり、
理論比重が0.981~1.095であることを特徴とする粉末造粒物。
【請求項4】
らにセルロースを含むことを特徴とする請求項1に記載の粉末造粒物。
【請求項5】
前記セルロースの含有量が5~15質量%であることを特徴とする請求項4に記載の粉末造粒物。
【請求項6】
前記(A-2)融点が100℃以上のワックスの平均粒径は、1~30μmであることを特徴とする請求項に記載の粉末造粒物。
【請求項7】
前記(A-2)融点が100℃以上のワックスの平均粒径は、1~30μmであることを特徴とする請求項3に記載の粉末造粒物。
【請求項8】
前記(A-2)融点が100℃以上のワックスが、合成ワックスであることを特徴とする請求項に記載の粉末造粒物。
【請求項9】
前記(A-2)融点が100℃以上のワックスが、合成ワックスであることを特徴とする請求項3に記載の粉末造粒物。
【請求項10】
前記(A-1)ラウロイルリシンの平均粒径が10~20μmであることを特徴とする請求項1に記載の粉末造粒物。
【請求項11】
前記(A-1)ラウロイルリシンの平均粒径が10~20μmであることを特徴とする請求項2に記載の粉末造粒物。
【請求項12】
融点が90℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の粉末造粒物。
【請求項13】
融点が90℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の粉末造粒物。
【請求項14】
融点が90℃以上であることを特徴とする請求項3に記載の粉末造粒物。
【請求項15】
理論比重が1.197~1.211であることを特徴とする請求項1に記載の粉末造粒物。
【請求項16】
理論比重が1.165~1.181であることを特徴とする請求項2に記載の粉末造粒物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の粉末造粒物を配合することを特徴とする洗浄料。
【請求項18】
請求項1から16のいずれかに記載の粉末造粒物を配合することを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末造粒物、特にラウロイルリシン又はワックス基剤を主成分とする粉末造粒物に関する。
【背景技術】
【0002】
各種洗浄剤に粉末造粒物を配合することにより、様々な機能や効果を製品に付与することができる。その機能と効果としては、特徴的な外観やスクラブ効果を付与したり、洗浄剤処方系に直接配合することが困難な各種泡質改善剤や薬剤を造粒物として配合することができる。
しかしながら、洗浄剤処方系にこのような粉末造粒物を配合すると、洗浄剤と粉末造粒物の比重が、一般的には異なるため、調整時液状の洗浄料中に、顆粒が浮いてしまったり、逆に沈んでしまったりして、経時的に安定して配合することが困難であった。
【0003】
このため、洗浄剤の液体成分と粉末造粒物の比重が調製しやすいことから、ポリエチレン粉末を主とし、結合剤と液状添加物等からなる粉末造粒物が使われていた(特許文献1)。
【0004】
しかし、ポリエチレン粉末のようなプラスチック微細粒子は、下水に流されると、下水処理場で回収しきれず、川や湖沼に流れ込む危険性があり、この粒子の表面は有害物質と馴染みやすく、これを食べた魚の体内に蓄積するおそれがある。
このため、米国を中心に微細なプラスチック粒子が川や湖沼に流入して環境を汚染しているとの懸念が強まっている。
【0005】
植物の種子を砕いた粉末を代わりに用いることも知られていたが、粒子が丸くなく、堅いため、肌や粘膜への刺激が強いという問題があった。
また、火山灰、セルロースや炭酸カルシウムも用いることが出来ることは、知られていたが、比重が重いため、比重の調整が非常に困難であり、造粒物が経時で沈降してしまうという問題があった。
また火山灰由来の不溶性成分を含有する洗浄剤を使用した場合、このような不溶性成分が目に入った場合に、目への刺激が強すぎるといった問題があった。
【0006】
また、シリコーン粉末を用いることも知られているが(特許文献2)、一般的にシリコーンは生分解されず環境中に残存する等といった環境問題の観点から、使用を制限するような懸念もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-207196号公報
【文献】特許第6074492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記従来技術に鑑み行われたものであり、その解決すべき課題は、上記問題を解決しつつ、新たな基剤としてシリコーン粉末の代替可能な粉末を探索し、肌への刺激が少ない粉末造粒物であって、洗浄剤の液体成分や、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状の製剤や、枠練り製法で製造される石鹸の冷却固化前の石鹸液等と粉末造粒物の比重が同等になるよう調製しやすい粉末造粒物を提供することにある。また、造粒時および保管時には強度がある一方、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状の製剤や(前記)枠練り石鹸等に配合された場合の使用時には強度が落ち、溶け崩れし易くなり、造粒性・ハンドリング性と製剤に配合した時の崩壊性の両者を満足させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが前述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、新たな基剤として高級脂肪酸のラウリン酸とアミノ酸の一種であるリシンを脱水縮合させたラウロイルリシン又は融点が100℃以上のワックス基剤として選定し、粘結剤のエチルセルロースを用いることで新たな粉末造粒物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明にかかる粉末造粒物は、
(A)アミノ酸誘導体、及び/又は融点が100℃以上のワックスである粉末成分と、
(C)エチルセルロースと、
を含むことを特徴とする粉末造粒物である。
また前記(A)粉末成分が、アミノ酸誘導体であり、
さらにセルロースを含むことが好適である。
また、前記(A)粉末成分が、融点が100℃以上のワックスであり、
さらに(B)タルクを含むことが好適である。
また、前記(A)粉末成分であるアミノ酸誘導体は、高級脂肪酸とアミノ酸が脱水縮合して得られる成分であることが好適である。
また、前記(A)粉末成分であるアミノ酸誘導体がラウロイルリシンまたはカプロイルリシンであることが好適である。
また、前記(A)粉末成分である融点が100℃以上のワックスの粒径は、1~30μmであることが好適である。
また、前記(A)粉末成分である融点が100℃以上のワックスの粒径が合成ワックスであることが好適である。
また、前記(A)粉末成分であるアミノ酸誘導体80~95質量%と、(C)エチルセルロース1~10質量%を含むことが好適である。
また、前記(A)粉末成分である融点が100℃以上のワックス75~90質量%と、(B)タルク5~20質量%と、(C)エチルセルロース1~10質量%を含むことが好適である。
また、前記(A)粉末成分であるアミノ酸誘導体85~95質量%と、融点が100℃以上のワックス1~10質量%と、(C)エチルセルロース1~10質量%を含むことが好適である。
また、前記粉末造粒物を配合することを特徴とする洗浄料である。
また、前記粉末造粒物を配合することを特徴とする化粧料である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シリコーン粉末を用いなくても、肌への刺激が少ない粉末造粒物であって、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状の製剤や、冷却固化前の枠練り石鹸液等と粉末造粒物の比重が調製しやすい粉末造粒物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)アミノ酸誘導体、及び/又は融点が100℃以上のワックスである粉末成分
本発明に用いる(A)粉末成分であるアミノ酸誘導体は、高級脂肪酸とアミノ酸が脱水縮合して得られる成分であると好ましい。
【0013】
本発明に用いる(A)粉末成分であるアミノ酸誘導体の配合量は、粉末造粒物中80質量%以上であることが好ましい。粉末造粒物中のアミノ酸誘導体の配合量が80質量%未満であると、造粒することは可能であるものの手で軽く握った際若干べたつくことがある点、及び、当該粉末造粒物を配合した石鹸において当該粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、若干浮上または沈降することがある点で好ましくない。
また、(A)粉末成分として、アミノ酸誘導体及び融点が100℃以上のワックスを併用した粉末造粒物を作製する場合には、石鹸配合時の外観の観点から、アミノ酸誘導体の粉末造粒物中の配合量は85~95質量%であると好ましい。融点が100℃以上のワックスとの併用時において、アミノ酸誘導体の粉末造粒物中の配合量が85質量%未満であると、当該粉末造粒物を石鹸に配合した際に粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、若干浮上または沈降することがある。また、95質量%を超えて配合し粘結剤である(C)エチルセルロースが1質量%を下回ると、粘結作用が弱くなり、造粒物の安定性が損なわれる(崩壊しやすくなる)ことがある。
【0014】
アミノ酸誘導体としては、ラウロイルリシンまたはカプロイルリシンが挙げられる。
【0015】
また、本発明に用いる(A)粉末成分として融点が100℃以上のワックスを用いる場合、造粒性、釜内安定性、石鹸配合時の外観の観点から、アミノ酸誘導体、又は(B)タルクと併用することが好ましい。
【0016】
また、(A)粉末成分として融点が100℃以上のワックスと(B)タルクを併用する場合、造粒性、釜内安定性、石鹸配合時の外観の観点から、粉末造粒物中の融点が100℃以上のワックスの配合量は75~90質量%が好適である。(B)タルクとの併用時において、融点が100℃以上のワックスの粉末造粒物中の配合量が75質量%未満であると当該粉末造粒物を石鹸に配合した際に当該粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、著しく浮上又は沈降することがあり、90質量%を超えて配合し粘結剤である(C)エチルセルロースが1質量%を下回ると、粘結作用が弱くなり、造粒物の安定性が損なわれる(崩壊しやすくなる)ことがある。
また、(A)粉末成分としてアミノ酸誘導体及び融点が100℃以上のワックスを併用した粉末造粒物を作製する場合、石鹸配合時の外観の観点から、融点が100℃以上のワックスの粉末造粒物中の配合量は1~10質量%であると好ましい。アミノ酸誘導体との併用時において、10質量%を超えると当該粉末造粒物を石鹸に配合した際に粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、若干浮上または沈降することがある。
【0017】
(B)タルク
本発明に用いる(B)タルクは、融点が100℃以上のワックスと併用することが好ましい。
【0018】
(A)粉末成分として融点が100℃以上のワックスと(B)タルクを併用する場合、造粒性、釜内安定性、石鹸配合時の外観の観点から、粉末造粒物中の(B)タルクの配合量は5~20質量%が好適である。融点が100℃以上のワックスとの併用時において、(B)タルクの粉末造粒物中の配合量が5質量%未満であると、粉末造粒物の比重が小さくなり、石鹸配合時に造粒物が浮いてしまうことがある。
20質量%を超えると、当該粉末造粒物を石鹸に配合した際に当該粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、著しく浮上又は沈降することがある。
【0019】
(C)エチルセルロース
本発明に用いる粘結剤として、(C)エチルセルロースが水不溶解性、色、匂いが良好という理由で、好適である。
【0020】
本発明に用いる(C)エチルセルロースの配合量は、粉末造粒物中1~10質量%であると粘結性、造粒性の点で好ましい。
【0021】
上記粉末造粒物には、本発明の効果を失わない範囲で、着色剤、合成薬剤、油分等を配合することができる。
【0022】
また、一般的に枠練り石鹸或いは液状洗浄料は、調整時に70℃~90℃で処理される場合が多々あり、このため当該造粒物の融点は90℃以上であることが望ましい。
【0023】
〈粉末造粒物の製造方法〉
本発明にかかる上記(A)~(C)成分を含む粉末造粒物を製造するにあたっては、まず(A)~(C)成分を、攪拌装置に移し、溶剤を3回に分けて添加し、その都度、攪拌することで混合物を得る。
粘結剤を溶解させる溶剤としては、エタノール、メタノール、アセトン、ヘキサン等が挙げられ、安全性等の観点からエタノールが好ましく用いられる。
得られた混合物を、20メッシュ(20M)を用いて押し出すことで造粒する。
その後、造粒物を乾燥させて、溶剤を揮発させる。
その後、60メッシュ(60M)を用いて押し出すことで、粉末造粒物を得た。
ここで、20Mとはふるいの目開きが0.701mm、60Mとはふるいの目開きが0.246mmのものをそれぞれ指す。
【0024】
上記粉末造粒物を配合する洗浄剤や化粧料の基剤としては、通常用いられるものをそのまま用いることができる。すなわち、洗浄料としては脂肪族石鹸や、アシルグルタミン酸塩、セチル硫酸塩などの合成界面活性剤を主成分とするものが挙げられ、化粧料としては、化粧水、乳液やクリーム、ジェル等があげられる。剤型としては、クリーム状、ペースト状、ジェル状、ゲル状、液状あるいは粉末状でも構わない。また、具体的な製品としては、例えば、クレンジングフォーム、クレンジングパウダー、クレンジングクリーム、透明石鹸、ヘアシャンプー、ボディシャンプー等の洗浄料や、マッサージクリーム、マッサージングジェル等のマッサージ料、ヘアトリートメント、ヘアパック等のヘアケア料が挙げられる。
【実施例
【0025】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。構成成分の配合量は特に記載のない限り質量%である。なお、本発明で用いた評価方法は次の通りである。
【0026】
(1)造粒性
粉末造粒物を手で握った時の質感と造粒の可否を表し、以下の基準に基づいて評価した。
〇:適度に水分を有し、手で軽く握るとしばらくその形を維持。べたつきがなく、均一に造粒できている
△:手で軽く握った際、若干べたつくが、造粒することは可能である
×:造粒することができない
【0027】
(2)製造時釜内安定性
石鹸液中で粉末造粒物を数分間攪拌した時の粉末造粒物の溶解、崩壊の有無を表し、以下の基準に基づいて評価した。
〇:石鹸製造釜内(70℃)に粉末造粒物を添加し、15分攪拌後、粉末造粒物が溶解、崩壊していない
△:石鹸製造釜内(70℃)に粉末造粒物を添加し、15分攪拌後、一部粉末造粒物が溶解、崩壊する
×:石鹸製造釜内(70℃)に粉末造粒物を添加し、15分攪拌後、完全に粉末造粒物が溶解、崩壊する
【0028】
(3)外観
粉末造粒物を石鹸基剤に配合して得られた石鹸を評価した。
〇:粉末造粒物が石鹸全体に均一分散し、浮上又は沈降がない
△:粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、若干浮上または沈降している
×:粉末造粒物が石鹸中で溶解又は凝集、著しく浮上又は沈降している
【0029】
(4)理論比重
理論比重は、以下の式により計算で求められた。
粉末造粒物が成分A、B、C、・・・Nから成る時、
それぞれの成分配合量をA’、B’、C’、・・・N’、
それぞれの成分の比重をa,b,c,・・・nとすると、
(理論比重)=100/{(A’/a)+(B’/b)+(C’/c)+・・・+(N’/n)}
但し、A’+B’+C’+・・・N’=100 a,b,c,・・・n>0
【0030】
まず、本発明者らは、シリコーン粉末に代替可能な粉末を探索し、検討した。
結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1の検討結果から、造粒性及び釜内安定性に優れているラウロイルリシン(試験例1-3)及び合成ワックス(試験例1-9)が適していることがわかった。
【0033】
次に、本発明者は、セルロースを基剤として、粉末造粒物中のラウロイルリシンの好適な配合量を検討した。
また、得られた粉末造粒物を、石鹸基剤が入っている石鹸製造釜内に公知の手法により添加し、石鹸配合時の外観を評価した。
結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表2の結果から、粉末造粒物中ラウロイルリシンが40質量%以上(試験例2-3~2-4)になると、造粒性及び石鹸配合時の外観(沈降)が向上傾向にあり、造粒性、釜内安定性、石鹸配合時の外観の観点から、粉末造粒物中ラウロイルリシンが80質量%以上(試験例2-5~2-7)であると好適であることがわかった。
【0036】
次に、本発明者は、セルロースを基剤として、粉末造粒物中の合成ワックスの好適な配合量を検討した。
また、得られた粉末造粒物を、石鹸基剤が入っている石鹸製造釜内に公知の手法により添加し、石鹸配合時の外観を評価した。
結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
表3の結果から、粉末造粒物中合成ワックスが80質量%以上(試験例3-5~3-7)になると、造粒性が向上傾向にあるが、石鹸配合時にわずかに濁る傾向にあることがわかった。
さらに、合成ワックスとタルクを併用配合することにより、造粒性、釜内安定性、石鹸配合時の外観が改善され(試験例3-7~3-10)、粉末造粒物中合成ワックスが75~90質量%であり、タルクが5~20質量%であると好適であることがわかった(試験例3-8~3-10)。
【0039】
次に、本発明者は、ラウロイルリシンと合成ワックスの併用による効果を検討した。
【0040】
【表4】
【0041】
表4の結果から、ラウロイルリシンと合成ワックスを併用した場合、粉末造粒物中合成ワックスが15質量%以上であると(試験例4-3~4-10)、石鹸配合時に外観が濁る傾向が確認された。
ラウロイルリシンと合成ワックスを併用する場合、造粒性、釜内安定性、石鹸配合時の外観の観点から、粉末造粒物中ラウロイルリシンは85~95質量%、合成ワックスは1~10質量%であると好適であることがわかった(試験例2-7、4-1、4-2)。
【0042】
以下に、本発明にかかる粉末造粒物を石鹸組成物に配合した処方例を示す。
【0043】
【表5】
【要約】
【課題】
新たな基剤としてシリコーン粉末の代替可能な粉末を探索し、肌への刺激が少ない粉末造粒物であって、洗浄剤の液体成分と粉末造粒物の比重が調製しやすい粉末造粒物を提供することにある。
【解決手段】
(A)アミノ酸誘導体、及び/又は融点が100℃以上のワックスである粉末成分と、
(C)エチルセルロースと、
を含むことを特徴とする粉末造粒物。
【選択図】 なし