(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】作業機械及び作業機械による作業を支援する支援装置
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
E02F9/26 A
(21)【出願番号】P 2021533122
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2020027974
(87)【国際公開番号】W WO2021010489
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2019132194
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】白谷 竜二
(72)【発明者】
【氏名】北島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】新垣 一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151830(JP,A)
【文献】特開2016-089388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
周囲監視装置と、
表示装置と、を有し、
前記表示装置は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成され、
前記表示装置は
、作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され
、
前記表示装置は、前記上部旋回体の前後軸の方向に並ぶ複数のマーカを表示し、且つ、現在のエンドアタッチメントの位置に対応する複数の前記マーカのうちの一つを強調する、
作業機械。
【請求項2】
前記表示装置は、前記対象物の高さに対応した前記ガイダンスを表示するように構成されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記表示装置は、運転席から前方を見たときの状態を表す前画像において前記対象物に対する旋回半径方向の前記ガイダンスを表示するように構成されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記周囲監視装置は、ダンプトラック、土管、U字溝、穴、壁、及び樹木のうちのいずれか1つを前記対象物として検出する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記対象物に基づいて基準点を設定し、
前記表示装置は、前記基準点から旋回半径方向への距離に関する前記ガイダンスを表示するように構成されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
周囲監視装置と、
表示装置と、を有し、
前記表示装置は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成され、
前記表示装置は、作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され、
前記表示装置では、運転席から前方を見たときの状態を表す前画像と、前記前画像に表示されるダンプトラックの荷台の上に、当該作業機械の旋回半径方向の距離を示す複数のマーカとが表示され、且つ、現在のエンドアタッチメントの鉛直下方の位置に対応する複数の前記マーカのうちの一つが強調される、
作業機械。
【請求項7】
前記アタッチメントによって持ち上げられている物は、バケット内に取り込まれた土砂、及び、吊り荷のうちのいずれか一つを含む、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
当該作業機械の周辺に位置する前記対象物は、ダンプトラックであり、
前記図形は、前記バケットの現在の状態、及び、前記バケットを開いたときの前記バケットの状態のそれぞれに対応するように表示される、
請求項7に記載の作業機械。
【請求項9】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
周囲監視装置と、
表示装置と、を有し、
前記表示装置は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成され、
前記表示装置は
、作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
当該作業機械の周辺に位置する前記対象物は、当該作業機械によって設置された設置物であり、
前記図形は、前記設置物に関する位置と前記アタッチメントによって持ち上げられている物との旋回半径方向に関する位置関係を表すように構成されている、
作業機械。
【請求項10】
前記アタッチメントの動きを制限する制御装置を有する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項11】
前記制御装置は、当該作業機械の周辺に位置する前記対象物と前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物とが接触するおそれがあると判定した場合、前記アタッチメントの動きを停止させる、
請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記表示装置は、アームの画像を表示することなく、バケットの画像を表示する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項13】
前記周囲監視装置によって、前記対象物又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の幅が検出され、該幅に基づいたガイダンスを行う、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項14】
前記周囲監視装置によって、前記対象物の位置が検知され、前記対象物の基準点から所定の距離における位置がガイダンス表示される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項15】
前記周囲監視装置によって、前記対象物の上面が検出され、検出された上面に対してガイダンスを行う、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項16】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、周囲監視装置と、を有する作業機械による作業を支援する支援装置であって、
前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示する表示装置を有し、
前記表示装置は、前記作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され
、
前記表示装置は、前記上部旋回体の前後軸の方向に並ぶ複数のマーカを表示し、且つ、現在のエンドアタッチメントの位置に対応する複数の前記マーカのうちの一つを強調する、
支援装置。
【請求項17】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
周囲監視装置と、
表示装置と、を有し、
前記表示装置は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成され、
前記表示装置は、作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され、
当該作業機械の周辺に位置する前記対象物は、当該作業機械によって設置された設置物である、
作業機械。
【請求項18】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
周囲監視装置と、
表示装置と、を有し、
前記表示装置は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成され、
前記表示装置は、作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され、
当該作業機械の周辺に位置する前記対象物は、当該作業機械によって設置された設置物であり、
前記設置物に関する位置と前記アタッチメントによって持ち上げられている物との位置関係を表す前記ガイダンスを表示するように構成されている、
作業機械。
【請求項19】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、周囲監視装置と、を有する作業機械を管理するシステムであって、
前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示装置に表示するように構成され、
前記表示装置は、前記作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、
前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され
、
前記表示装置は、前記上部旋回体の前後軸の方向に並ぶ複数のマーカを表示し、且つ、現在のエンドアタッチメントの位置に対応する複数の前記マーカのうちの一つを強調する、
システム。
【請求項20】
前記ガイダンスは、前記上部旋回体の前方における旋回半径方向への距離に関し、
前記表示装置は、前記上部旋回体の前方の領域に関する画像として前記ガイダンスを表示するように構成されている、
請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械及び作業機械による作業を支援する支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上部旋回体に取り付けられたカメラで操作者の死角になる領域を撮像し、キャビンに設置された表示装置にその撮像した画像を表示させるショベルが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
このショベルは、カメラが撮像した画像上に距離表示ラインとしてのガイドラインを重ねて表示するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ショベルは、上部旋回体の前方の領域に関する情報を操作者に提示するようには構成されていない。
【0006】
そこで、上部旋回体の前方の領域に関する情報を操作者に提示して操作者によるショベル等の作業機械の操作をより効果的に支援できるようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る作業機械は、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、周囲監視装置と、表示装置と、を有し、前記表示装置は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成され、前記表示装置は、作業機械の周辺に位置する前記対象物に対して、前記アタッチメント又は前記アタッチメントによって持ち上げられている物の旋回半径方向に関する位置を表す前記ガイダンスとしての図形を表示するように構成され、前記図形は、前記対象物の表面における前記アタッチメントの先端部の鉛直下方の位置、又は、地面における前記アタッチメントによって持ち上げられている物の鉛直下方の位置に対応するように表示され、前記表示装置は、前記上部旋回体の前後軸の方向に並ぶ複数のマーカを表示し、且つ、現在のエンドアタッチメントの位置に対応する複数の前記マーカのうちの一つを強調する。
【発明の効果】
【0008】
上述の手段により、操作者による作業機械の操作をより効果的に支援できる作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の実施形態に係るショベルの側面図である。
【
図2】
図1Aに示すショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。
【
図4A】ショベルとダンプトラックの位置関係を示す図である。
【
図4B】ショベルとダンプトラックの位置関係を示す図である。
【
図5A】積み込み作業の際に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5B】積み込み作業の際に表示される画像の別の一例を示す図である。
【
図5C】積み込み作業の際に表示される画像の更に別の一例を示す図である。
【
図6A】積み込み作業の際に表示される画像の更に別の一例を示す図である。
【
図6B】積み込み作業の際に表示される画像の更に別の一例を示す図である。
【
図6C】積み込み作業の際に表示される画像の更に別の一例を示す図である。
【
図6D】積み込み作業の際に表示される画像の更に別の一例を示す図である。
【
図6E】積み込み作業の際に表示される画像の更に別の一例を示す図である。
【
図7】クレーン作業の際に表示される画像の一例を示す図である。
【
図8】クレーン作業の際に表示される画像の一例を示す図である。
【
図9】クレーン作業の際に表示される画像の一例を示す図である。
【
図10】ショベルの管理システムの構成例を示す概略図である。
【
図11】電気式操作システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、
図1A及び
図1Bを参照して、本発明の実施形態に係る掘削機としてのショベル100について説明する。
図1Aはショベル100の側面図であり、
図1Bはショベル100の上面図である。
【0011】
本実施形態では、作業機械の一例であるショベル100の下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行用油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行用油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行用油圧モータ2MRによって駆動される。
【0012】
下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。旋回機構2は、上部旋回体3に搭載されている旋回用油圧モータ2Aによって駆動される。但し、旋回機構2は、旋回用電動発電機によって駆動されてもよい。
【0013】
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントATを構成する。ブーム4はブームシリンダ7で駆動され、アーム5はアームシリンダ8で駆動され、バケット6はバケットシリンダ9で駆動される。
【0014】
ブーム4は、上部旋回体3によって回動可能に支持されている。そして、ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられている。ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度であるブーム角度θ1を検出できる。ブーム角度θ1は、例えば、ブーム4を最も下降させた状態からの上昇角度である。そのため、ブーム角度θ1は、ブーム4を最も上昇させたときに最大となる。
【0015】
アーム5は、ブーム4によって回動可能に支持されている。そして、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられている。アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度であるアーム角度θ2を検出できる。アーム角度θ2は、例えば、アーム5を最も閉じた状態からの開き角度である。そのため、アーム角度θ2は、アーム5を最も開いたときに最大となる。
【0016】
バケット6は、アーム5によって回動可能に支持されている。そして、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度であるバケット角度θ3を検出できる。バケット角度θ3は、例えば、バケット6を最も閉じた状態からの開き角度である。そのため、バケット角度θ3は、バケット6を最も開いたときに最大となる。
【0017】
図1A及び
図1Bに示す例では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。但し、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3の少なくとも1つは、加速度センサのみで構成されていてもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7に取り付けられたストロークセンサであってもよく、ロータリエンコーダ、ポテンショメータ、又は慣性計測装置等であってもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
【0018】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、物体検知装置70、撮像装置80、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5等が取り付けられている。キャビン10の内部には、操作装置26、コントローラ30、表示装置40、及び音出力装置43等が設けられている。なお、本書では、便宜上、上部旋回体3における、掘削アタッチメントATが取り付けられている側を前方とし、カウンタウェイトが取り付けられている側を後方とする。
【0019】
物体検知装置70は、周囲監視装置(空間認識装置)の一例であり、ショベル100の周囲に存在する物体を検知するように構成されている。物体は、例えば、人、動物、ダンプトラックを含む車両、建設機械、建造物、壁、柵、土管、U字溝、植え込み等の樹木、又は穴等である。物体検知装置70は、物体の存在の有無、物体の形状、物体の種類、又は、物体の位置等を検出してもよい。物体検知装置70は、例えば、カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、又は赤外線センサ等である。本実施形態では、物体検知装置70は、キャビン10の上面前端に取り付けられたLIDARである前センサ70F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたLIDARである後センサ70B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられたLIDARである左センサ70L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられたLIDARである右センサ70Rを含む。前センサ70Fは、キャビン10の天井面に、すなわち、キャビン10の内部に取り付けられていてもよい。
【0020】
物体検知装置70は、ショベル100の周囲に設定された所定領域内の所定物体を検知するように構成されていてもよい。物体検知装置70は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。物体検知装置70は、物体検知装置70又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。
【0021】
撮像装置80は、周囲監視装置(空間認識装置)の別の一例であり、ショベル100の周囲を撮像する。本実施形態では、撮像装置80は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後カメラ80B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラ80L、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラ80R、及び、キャビン10の上面前端に取り付けられた前カメラ80Fを含む。物体検知装置70がカメラである場合、物体検知装置70は、撮像装置80としても機能するように構成されていてもよい。この場合、撮像装置80は、物体検知装置70に統合されてもよい。すなわち、撮像装置80は、省略されてもよい。
【0022】
後カメラ80Bは後センサ70Bに隣接して配置され、左カメラ80Lは左センサ70Lに隣接して配置され、右カメラ80Rは右センサ70Rに隣接して配置され、且つ、前カメラ80Fは前センサ70Fに隣接して配置されている。
【0023】
撮像装置80が撮像した画像は表示装置40で表示される。撮像装置80は、俯瞰画像等の視点変換画像を表示装置40に表示できるように構成されていてもよい。俯瞰画像は、例えば、後カメラ80B、左カメラ80L、及び右カメラ80Rのそれぞれが出力する画像を合成して生成される。
【0024】
機体傾斜センサS4は、所定の平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は、仮想水平面に関する上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角(ロール角)及び左右軸回りの傾斜角(ピッチ角)を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル100の中心点を通る。機体傾斜センサS4は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されていてもよい。機体傾斜センサS4は、慣性計測装置であってもよい。
【0025】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ又はロータリエンコーダ等であってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出してもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
【0026】
以下では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5のそれぞれは、姿勢検出装置とも称される。
【0027】
表示装置40は、様々な情報を表示するように構成されている。本実施形態では、表示装置40は、キャビン10内に設置されたディスプレイである。但し、表示装置40は、キャビン10のフロントガラスに画像を投影する、プロジェクタ又はヘッドアップディスプレイ等の投影装置であってもよく、キャビン10のフロントガラスに貼り付けられた或いは埋め込まれたディスプレイであってもよい。
【0028】
具体的には、表示装置40は、制御部40a、画像表示部41(
図5A参照。)、及び操作部42(
図5A参照。)を有する。制御部40aは、画像表示部41に表示される画像を制御する。本実施形態では、制御部40aは、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。制御部40aは、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して揮発性記憶装置に読み込み、対応する処理をCPUに実行させる。
【0029】
音出力装置43は、音を出力するように構成されている。本実施形態では、音出力装置43は、キャビン10の後部に設置されたスピーカである。
【0030】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータを含む。油圧アクチュエータは、例えば、旋回用油圧モータ2A、走行用油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等である。電動アクチュエータは、例えば、旋回用電動モータ等である。
【0031】
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30は、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して実行する。各機能は、例えば、操作者によるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、操作者によるショベル100の手動操作を自律的に支援するマシンコントロール機能等である。
【0032】
図2は、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す図であり、機械的動力伝達系、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御系を、それぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
【0033】
油圧システムは、エンジン11によって駆動される油圧ポンプとしてのメインポンプ14からセンターバイパス管路45を経て作動油タンクまで作動油を循環させる。メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。センターバイパス管路45は、左センターバイパス管路45L及び右センターバイパス管路45Rを含む。
【0034】
左センターバイパス管路45Lは、コントロールバルブユニット内に配置された制御弁151、153、155、及び157を通る作動油ラインであり、右センターバイパス管路45Rは、コントロールバルブユニット内に配置された制御弁150、152、154、156、及び158を通る作動油ラインである。
【0035】
制御弁150は、走行直進弁である。制御弁151は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行用油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行用油圧モータ2ML内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁152は、左メインポンプ14L又は右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行用油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行用油圧モータ2MR内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0036】
制御弁153は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁154は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0037】
制御弁155は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁156は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0038】
制御弁157は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aで循環させるために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0039】
制御弁158は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0040】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出圧に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調整することによって、メインポンプ14の吐出量を制御する。
図2に示す例では、レギュレータ13は、左メインポンプ14Lに対応する左レギュレータ13L、及び、右メインポンプ14Rに対応する右レギュレータ13Rを含む。
【0041】
ブーム操作レバー26Aは、ブームシリンダ7を伸縮させてブーム4を上げ下げさせるための操作装置である。ブーム操作レバー26Aは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁154のパイロットポートに導入させる。これにより、制御弁154内のスプールの移動量が制御され、ブームシリンダ7へ供給される作動油の流量が制御される。制御弁153についても同様である。なお、
図2では、明瞭化のため、ブーム操作レバー26Aと、制御弁153の左右のパイロットポート及び制御弁154の左右のパイロットポートのそれぞれとを繋ぐパイロットラインの図示が省略されている。
【0042】
操作圧センサ29Aは、ブーム操作レバー26Aに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向及びレバー操作量(レバー操作角度)である。
【0043】
バケット操作レバー26Bは、バケットシリンダ9を伸縮させてバケット6を開閉させるための操作装置である。バケット操作レバー26Bは、例えば、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁158のパイロットポートに導入させる。これにより、制御弁158内のスプールの移動量が制御され、バケットシリンダ9へ供給される作動油の流量が制御される。
【0044】
操作圧センサ29Bは、バケット操作レバー26Bに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0045】
ショベル100は、ブーム操作レバー26A及びバケット操作レバー26B以外にも、走行レバー、走行ペダル、アーム操作レバー、及び旋回操作レバー(何れも図示せず。)を有する。これらの操作装置は、ブーム操作レバー26A及びバケット操作レバー26Bと同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量又はペダル操作量に応じた制御圧を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させる。また、これらの操作装置のそれぞれに対する操作者の操作内容は、操作圧センサ29Aと同様の、対応する操作圧センサによって圧力の形で検出される。そして、各操作圧センサは、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、
図2では、明瞭化のため、これらの操作装置と、対応する制御弁のパイロットポートとを繋ぐパイロットラインの図示が省略されている。
【0046】
コントローラ30は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、操作圧センサ29A、操作圧センサ29B、及び吐出圧センサ28等の出力を受信し、適宜にエンジン11及びレギュレータ13等に対して制御指令を出力する。
【0047】
コントローラ30は、減圧弁50に対して制御指令を出力し、対応する制御弁に作用する制御圧を調整して対応するアクチュエータを制御してもよい。
図2では、減圧弁50は、減圧弁50L及び減圧弁50Rを含む。具体的には、コントローラ30は、減圧弁50Lに対して制御指令を出力し、制御弁158の左側パイロットポートに作用する制御圧を調整してバケット開き動作を制御してもよい。また、コントローラ30は、減圧弁50Rに対して制御指令を出力し、制御弁158の右側パイロットポートに作用する制御圧を調整してバケット閉じ動作を制御してもよい。ブーム上げ動作、ブーム下げ動作、アーム閉じ動作、アーム開き動作、左旋回動作、右旋回動作、前進動作、及び後進動作についても同様である。
【0048】
このように、コントローラ30は、減圧弁により、制御弁のパイロットポートに作用する制御圧を調整できる。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26に対する手動操作とは無関係に、アクチュエータを動作させることができる。なお、減圧弁50L及び減圧弁50Rは、電磁比例弁であってよい。
【0049】
次に、
図3を参照し、コントローラ30の機能について説明する。
図3は、コントローラ30の機能ブロック図である。
図3に示す例では、コントローラ30は、姿勢検出装置、操作装置26、物体検知装置70、及び撮像装置80等が出力する信号を受け、様々な演算を実行し、表示装置40、音出力装置43、及び減圧弁50等に制御指令を出力できるように構成されている。姿勢検出装置は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5を含む。コントローラ30は、位置取得部30A、画像提示部30B、及び操作支援部30Cを機能要素として有する。各機能要素は、ハードウェアで構成されていてもよく、ソフトウェアで構成されていてもよい。
【0050】
位置取得部30Aは、物体の位置に関する情報を取得するように構成されている。本実施形態では、位置取得部30Aは、ショベル100の前方に位置しているダンプトラックの荷台の位置に関する情報、及び、バケット6の位置に関する情報を取得するように構成されている。
【0051】
物体の位置に関する情報は、例えば、基準座標系における座標で表される。基準座標系は、例えば、ショベル100の中心点を原点とする三次元直行座標系である。ショベル100の中心点は、例えば、ショベル100の仮想接地面と旋回軸との交点である。基準座標系は、世界測地座標系であってもよい。コントローラ30は、ショベル100に取り付けられたGNSS受信機等の出力に基づいてショベル100の中心点の座標を決定してもよい。
【0052】
具体的には、位置取得部30Aは、基準座標系における前センサ70Fの既知の取付位置の座標と前センサ70Fの出力とに基づき、ダンプトラックの荷台の位置に関する情報を取得する。ダンプトラックの荷台の位置に関する情報は、フロントパネル、荷台底面、サイドゲート、及びリヤゲートの少なくとも1つの位置に関する情報を含む。
【0053】
或いは、位置取得部30Aは、基準座標系における前カメラ80Fの既知の取付位置の座標と前カメラ80Fが撮像した画像(以下、「前画像」とする。)とに基づき、ダンプトラックの荷台の位置に関する情報を取得してもよい。この場合、位置取得部30Aは、例えば、フロントパネルの画像を含む前画像に各種画像処理を施して前カメラ80Fとフロントパネルとの間の距離を導き出すことで、フロントパネルの位置に関する情報を取得する。
【0054】
また、位置取得部30Aは、基準座標系におけるアタッチメントの既知の取付位置の座標と姿勢検出装置の出力とに基づき、バケット6の位置に関する情報を取得する。位置取得部30Aは、例えば、バケット6の画像を含む前画像に各種画像処理を施して前カメラ80Fとバケット6との間の距離を導き出すことで、バケット6の位置に関する情報を取得してもよい。
【0055】
画像提示部30Bは、上部旋回体3の前方の領域に関する画像である前方画像を提示するように構成されている。本実施形態では、画像提示部30Bは、ショベル100の前方に位置するダンプトラックの荷台とバケット6との位置関係を表す画像を前方画像として表示装置40に提示するように構成されている。
【0056】
具体的には、画像提示部30Bは、ダンプトラックの荷台とバケット6の爪先との位置関係を表すイラスト画像を前方画像として提示する。イラスト画像は、バケット6の実際の動きに応じてバケット6を表す図形が動くように構成されたアニメーション画像であってもよい。
【0057】
画像提示部30Bは、AR(拡張現実)技術を利用し、前画像に含まれるダンプトラックの荷台の画像上に、前方画像としての拡張現実画像(以下、「AR画像」とする。)を提示するように構成されていてもよい。
【0058】
AR画像は、例えば、バケット6の爪先の真下の位置を表すマーカである。AR画像は、バケット6の爪先の真下の位置から所定距離だけ遠い位置を表すマーカ、及び、その真下の位置から所定距離だけ近い位置を表すマーカの少なくとも一方を含んでいてもよい。この場合、複数のマーカは、バケット6の爪先の真下の位置からの距離を表す目盛りとして機能する。目盛りとして機能する複数のマーカは、ショベル100からの距離を表すように構成されていてもよい。AR画像は、バケット6を最大限開いたときの爪先の真下の位置を表すマーカを含んでいてもよい。マーカは、実線、破線、一点鎖線、円、四角形、又は三角形等の任意の図形であってもよい。また、マーカの輝度、色、及び太さ等は、任意に設定されてもよい。画像提示部30Bは、マーカを点滅表示させるように構成されていてもよい。
【0059】
表示装置40としてプロジェクタが利用される場合、画像提示部30Bは、AR(拡張現実)技術を利用し、フロントガラスを通して視認される実際のダンプトラックの荷台の上に、AR画像(例えば上述の主要マーカ)があたかも実在するかのように、AR画像を提示するように構成されていてもよい。すなわち、画像提示部30Bは、プロジェクションマッピング技術を利用して主要マーカをダンプトラックの荷台に表示させてもよい。
【0060】
画像提示部30Bは、表示装置40の制御部40aが備える機能要素として実現されていてもよい。
【0061】
操作支援部30Cは、操作者によるショベル100の操作を支援するように構成されている。本実施形態では、操作支援部30Cは、ダンプトラックの荷台とバケット6との位置関係に関する所定条件が満たされた場合に、警報を出力するように構成されている。所定条件は、例えば、ダンプトラックの荷台のフロントパネルとバケット6との間の距離が所定値未満になったこと等である。
【0062】
操作支援部30Cは、例えば、フロントパネルとバケット6との間の距離が所定値未満になったと判定した場合、音出力装置43に対して制御指令を出力し、音出力装置43から警報音を出力させる。距離は、例えば、水平距離である。操作支援部30Cは、フロントパネルとバケット6との間の距離の大きさに応じて、音出力装置43が出力する音の間隔及び周波数(高低)等を変化させることで、フロントパネルとバケット6との間の距離の大きさを操作者に伝えるようにしてもよい。操作支援部30Cは、例えば、フロントパネルとバケット6との間の距離が所定値未満になったと判定した場合、表示装置40に対して制御指令を出力し、警告メッセージを表示させてもよい。
【0063】
操作支援部30Cは、例えば、フロントパネルとバケット6との間の距離が所定値未満になったと判定した場合、アタッチメントの動作速度の上限を設定してもよい。具体的には、操作支援部30Cは、バケット6の開き速度の上限を設定してもよい。この場合、操作支援部30Cは、バケット6の爪先の位置の推移に基づいてバケット6の開き速度を監視し、その開き速度が所定の上限値に達した場合に、制御弁158の左側パイロットポートに対応する減圧弁50Lに対して制御指令を出力する。制御指令を受けた減圧弁50Lは、制御弁158の左側パイロットポートに作用する制御圧を低減させ、バケット6の開き動作を抑制する。操作支援部30Cは、バケット角度センサS3の出力に基づいてバケット6の開き速度を監視してもよい。
【0064】
操作支援部30Cは、例えば、フロントパネルとバケット6とが接触するおそれがあると判定した場合、アタッチメントの動きを停止させてもよい。具体的には、操作支援部30Cは、例えば、フロントパネルとバケット6との間の距離が所定値未満になったと判定した場合、アタッチメントの動きを停止させてもよい。
【0065】
ここで、
図4A及び
図4Bを参照して、画像提示部30Bが画像を提示する際の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との位置関係について説明する。
図4A及び
図4Bは、画像提示部30Bが画像を提示する際の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との位置関係の一例を示す。
図4A及び
図4Bに示す例では、ショベル100は、ダンプトラック60の後方に位置し、バケット6をダンプトラック60の荷台の上に持ち上げている。なお、
図4A及び
図4Bは、明瞭化のため、掘削アタッチメントATを簡略化されたモデルで示している。具体的には、
図4Aは掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60の右側面図であり、
図4Bは掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60の背面図である。
【0066】
図4Aに示すように、ブーム4は、Y軸(上部旋回体3の左右軸)に平行な回動軸Jを中心として回動できるように構成されている。同様に、アーム5は、ブーム4の先端に回動可能に取り付けられ、バケット6は、アーム5の先端に回動可能に取り付けられている。ブーム角度センサS1は、点P1で示す位置にある、上部旋回体3とブーム4との連結部に取り付けられている。アーム角度センサS2は、点P2で示す位置にある、ブーム4とアーム5との連結部に取り付けられている。バケット角度センサS3は、点P3で示す位置にある、アーム5とバケット6との連結部に取り付けられている。点P4は、バケット6の先端(爪先)の位置を示す。点P5は、前センサ70F及び前カメラ80Fの取付位置を示す。
【0067】
図4Aに示す例では、ブーム角度センサS1は、ブーム4の長手方向と、基準水平面(XY面)との間の角度をブーム角度θ1として測定する。アーム角度センサS2は、ブーム4の長手方向とアーム5の長手方向との間の角度をアーム角度θ2として測定する。バケット角度センサS3は、アーム5の長手方向とバケット6の長手方向との間の角度をバケット角度θ3として測定する。ブーム4の長手方向は、回動軸Jに垂直な面内(XZ面内)で点P1と点P2とを通過する直線の方向を意味する。アーム5の長手方向は、XZ面内で点P2と点P3とを通過する直線の方向を意味する。バケット6の長手方向は、XZ面内で点P3と点P4とを通過する直線の方向を意味する。
【0068】
コントローラ30は、例えば、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5のそれぞれの出力に基づいてショベル100の中心点に関する点P1の相対位置を導き出すことができる。そして、コントローラ30は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれの出力に基づき、点P1に関する点P2~P4のそれぞれの相対位置を導き出すことができる。同様に、コントローラ30は、点P1に関する、バケット6の背面の端部等の掘削アタッチメントATの任意の部位の相対位置を導き出すことができる。
【0069】
更に、コントローラ30は、前センサ70F及び前カメラ80Fのそれぞれの既知の取付位置に基づき、点P1に関する点P5の相対位置を導き出すことができる。
【0070】
図4A及び
図4Bに示す例では、ダンプトラック60は、荷台61に取り付けられたゲート62を有する。ゲート62は、荷台61の側壁を構成する開閉可能な部材であり、リヤゲート62B、左サイドゲート62L、及び右サイドゲート62Rを含む。また、ダンプトラック60は、荷台61の後端部に形成された支柱61Pを有する。支柱61Pは、リヤゲート62Bを開閉可能に支持する部材であり、左支柱61PL及び右支柱61PRを含む。更に、ダンプトラック60は、荷台と運転室とを隔てるフロントパネル63を有する。
【0071】
コントローラ30は、前センサ70Fの出力に基づき、点P1に関する、ダンプトラック60の各部の相対位置を導き出すことができる。ダンプトラック60の各部は、例えば、リヤゲート62Bの左端及び右端のそれぞれの上端、左サイドゲート62Lの上端、右サイドゲート62Rの上端、並びに、フロントパネル63の左上端及び右上端等である。
【0072】
このようにして、コントローラ30は、基準座標系における掘削アタッチメントAT上の各部の座標とダンプトラック60の各部の座標とを導き出すことができる。
【0073】
次に、
図5Aを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスを行う例について説明する。積み込み作業は、ショベル100がダンプトラック60の荷台に土砂を積み込む作業である。
図5Aは、積み込み作業の際に表示装置40に表示される画像の一例を示す。
【0074】
画像表示部41は、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼動時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、エアコン運転状態表示領域41m、画像表示領域41n、及びメニュー表示領域41pを含む。
【0075】
走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41e、回転数モード表示領域41i、及びエアコン運転状態表示領域41mのそれぞれは、ショベル100の設定状態に関する情報である設定状態情報を表示する領域である。燃費表示領域41d、エンジン稼動時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び作動油温表示領域41kのそれぞれは、ショベル100の稼動状態に関する情報である稼動状態情報を表示する領域である。
【0076】
日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表示する領域である。アタッチメント表示領域41cは、現在装着されているアタッチメントを表す画像を表示する領域である。燃費表示領域41dは、コントローラ30によって算出された燃費情報を表示する領域である。燃費表示領域41dは、全期間に関する平均燃費又は一部期間に関する平均燃費を表示する平均燃費表示領域41d1、及び、瞬間燃費を表示する瞬間燃費表示領域41d2を含む。全期間は、例えば、ショベル100が出荷された後の全期間を意味する。一部期間は、例えば、操作者が任意に設定した期間を意味する。
【0077】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表示する領域である。エンジン稼動時間表示領域41fは、エンジン11の稼動時間に関する情報を表示する領域である。冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。燃料残量表示領域41hは、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。回転数モード表示領域41iは、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定された現在の回転数モードを画像で表示する領域である。尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を画像で表示する領域である。作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。
【0078】
エアコン運転状態表示領域41mは、現在の吹出口の位置を表示する吹出口表示領域41m1、現在の運転モードを表示する運転モード表示領域41m2、現在の設定温度を表示する温度表示領域41m3、及び、現在の設定風量を表示する風量表示領域41m4を含む。
【0079】
画像表示領域41nは、各種画像が表示される領域である。各種画像は、例えば、コントローラ30の画像提示部30Bが提示する画像、及び、撮像装置80が撮像した画像等である。画像表示領域41nは、上方に位置する第1画像表示領域41n1と下方に位置する第2画像表示領域41n2を有する。
図5Aに示す例では、第1画像表示領域41n1には、画像提示部30Bが生成したイラスト画像AMが表示され、第2画像表示領域41n2には、後カメラ80Bが撮像した後画像CBTが表示されている。但し、第1画像表示領域41n1に後画像CBTが表示され、第2画像表示領域41n2にイラスト画像AMが表示されてもよい。また、
図5Aに示す例では、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2とは上下に隣接して配置されているが、間隔を空けて配置されていてもよい。
【0080】
後画像CBTは、ショベル100の後方の空間を映し出す画像であり、カウンタウェイトの上面の一部を表す画像GCを含む。本実施形態では、後画像CBTは、制御部40aによって生成される実視点画像であり、後カメラ80Bが取得した画像に基づいて生成される。
【0081】
第2画像表示領域41n2には、後画像CBTでなく、俯瞰画像が表示されていてもよい。俯瞰画像は、制御部40aによって生成される仮想視点画像であり、後カメラ80B、左カメラ80L、及び右カメラ80Rのそれぞれが取得した画像に基づいて生成される。また、俯瞰画像の中央部分には、ショベル100に対応するショベル図形が配置されている。ショベル100とショベル100の周囲に存在する物体との位置関係を操作者に直感的に把握させるためである。
【0082】
図5Aに示す例では、画像表示領域41nは、縦長の領域であるが、横長の領域であってもよい。画像表示領域41nが横長の領域である場合、画像表示領域41nは、例えば、左側の第1画像表示領域41n1でイラスト画像AMを表示し、右側の第2画像表示領域41n2で後画像CBTを表示してもよい。この場合、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2とは左右に間隔を空けて配置されてもよい。また、第1画像表示領域41n1が右側に配置され、第2画像表示領域41n2が左側に配置されてもよい。
【0083】
メニュー表示領域41pは、タブ領域41p1~41p7を有する。
図5Aに示す例では、画像表示部41の最下部に、タブ領域41p1~41p7が左右に互いに間隔を空けて配置されている。タブ領域41p1~41p7のそれぞれには、関連する情報の内容を表すアイコンが表示されている。
【0084】
タブ領域41p1には、メニュー詳細項目を表示するためのメニュー詳細項目アイコンが表示されている。操作者によりタブ領域41p1が選択されると、タブ領域41p2~41p7に表示されているアイコンがメニュー詳細項目に関連付けられたアイコンに切り換わる。
【0085】
タブ領域41p4には、デジタル水準器に関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。操作者によりタブ領域41p4が選択されると、後画像CBTがデジタル水準器に関する情報を示す第1画像に切り換わる。
【0086】
タブ領域41p6には、情報化施工に関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。操作者によりタブ領域41p6が選択されると、後画像CBTが情報化施工に関する情報を示す第2画像に切り換わる。
【0087】
タブ領域41p7には、クレーンモードに関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。操作者によりタブ領域41p7が選択されると、後画像CBTがクレーンモードに関する情報を示す第3画像に切り換わる。
【0088】
但し、第1画像、第2画像、又は第3画像等のメニュー画像は何れも、後画像CBT上に重畳表示されてもよい。或いは、後画像CBTは、メニュー画像を表示するための場所を空けるように縮小されてもよい。或いは、画像表示領域41nは、イラスト画像AMがメニュー画像に切り換わるように構成されていてもよい。或いは、メニュー画像は、イラスト画像AM上に重畳表示されてもよい。或いは、イラスト画像AMは、メニュー画像を表示するための場所を空けるように縮小されてもよい。
【0089】
タブ領域41p2、41p3及び41p5には、アイコンが表示されていない。このため、操作者によりタブ領域41p2、41p3又は41p5が操作されても、画像表示部41に表示される画像に変化は生じない。
【0090】
なお、タブ領域41p1~41p7に表示されるアイコンは上記した例に限定されるものではなく、他の情報を表示するためのアイコンが表示されていてもよい。
【0091】
図5Aに示す例では、操作部42は、操作者がタブ領域41p1~41p7の選択、及び、設定入力等を行うための複数のボタン式のスイッチにより構成されている。具体的には、操作部42は、上段に配置された7つのスイッチ42a1~42a7と、下段に配置された7つのスイッチ42b1~42b7と、を含む。スイッチ42b1~42b7は、スイッチ42a1~42a7のそれぞれの下方に配置されている。但し、操作部42のスイッチの数、形態及び配置は、上記した例に限定されるものではない。例えば、操作部42は、ジョグホイール又はジョグスイッチ等のように、複数のボタン式のスイッチの機能を1つにまとめた形態であってもよい。また、操作部42は、表示装置40から独立した部材として構成されていてもよい。また、タブ領域41p1~41p7は、ソフトウェアボタンとして構成されていてもよい。この場合、操作者は、タブ領域41p1~41p7をタッチ操作することで任意のタブ領域を選択できる。
【0092】
図5Aに示す例では、スイッチ42a1は、タブ領域41p1の下方に、タブ領域41p1に対応して配置されており、タブ領域41p1を選択するスイッチとして機能する。スイッチ42a2~42a7のそれぞれについても同様である。
【0093】
この構成により、操作者は、タブ領域41p1~41p7のうちの所望の1つを選択する際にスイッチ42a1~42a7の何れを操作すればよいのかを直感的に認識できる。
【0094】
スイッチ42b1は、画像表示領域41nに表示される撮像画像を切り換えるスイッチである。撮像画像は、撮像装置80が撮像した画像を意味する。表示装置40は、スイッチ42b1が操作される毎に画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像が、例えば、後画像CBT、左カメラ80Lが撮像した左画像、右カメラ80Rが撮像した右画像、及びイラスト画像AMの間で切り換わるように構成されている。或いは、表示装置40は、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像が、例えば、後画像CBT、左画像、右画像、及びイラスト画像AMの間で切り換わるように構成されていてもよい。或いは、表示装置40は、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像と第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像とが入れ換わるように構成されていてもよい。
【0095】
このように、操作者は、操作部42としてのスイッチ42b1を操作することで、第1画像表示領域41n1又は第2画像表示領域41n2に表示される画像を切り換えてもよい。或いは、操作者は、スイッチ42b1を操作することで、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2に表示される画像を切り換えてもよい。表示装置40は、第2画像表示領域41n2に表示される画像を切り換えるためのスイッチを別に備えていてもよい。
【0096】
スイッチ42b2、42b3は、エアコンの風量を調節するスイッチである。
図5Aに示す例では、操作部42は、スイッチ42b2が操作されるとエアコンの風量が小さくなり、スイッチ42b3が操作されるとエアコンの風量が大きくなるように構成されている。
【0097】
スイッチ42b4は、冷房・暖房機能のON・OFFを切り換えるスイッチである。
図5Aに示す例では、操作部42は、スイッチ42b4が操作されるごとに冷房・暖房機能のON・OFFが切り換わるように構成されている。
【0098】
スイッチ42b5、42b6は、エアコンの設定温度を調節するスイッチである。
図5Aに示す例では、操作部42は、スイッチ42b5が操作されると設定温度が低くなり、スイッチ42b6が操作されると設定温度が高くなるように構成されている。
【0099】
スイッチ42b7は、エンジン稼動時間表示領域41fに表示される、エンジン11の稼動時間に関する情報の内容を切り換えるスイッチである。エンジン11の稼動時間に関する情報は、例えば、全期間に関する累積稼動時間及び一部期間に関する累積稼動時間等を含む。
【0100】
また、スイッチ42a2~42a6、42b2~42b6は、それぞれのスイッチ又はスイッチ近傍に表示された数字を入力できるように構成されている。また、スイッチ42a3、42a4、42a5、42b4は、画像表示部41にカーソルが表示された際、カーソルをそれぞれ左、上、右、下に移動させることができるように構成されている。
【0101】
なお、スイッチ42a1~42a7、42b1~42b7に与えられる機能は一例であり、他の機能が実行できるように構成されていてもよい。
【0102】
次に、イラスト画像AMの詳細について説明する。イラスト画像AMは、画像提示部30Bが提示する、ダンプトラックの荷台とバケット6の爪先との位置関係を表す前方画像の一例である。
図5Aに示す例では、イラスト画像AMは、図形G1~図形G4を含む。
【0103】
図形G1は、左側方から見たブーム4の上側部分を表す図形である。
図5Aに示す例では、図形G1は、アームフートピンが取り付けられる部分等を含むブーム4の上側部分を表す図形であり、アームシリンダ8を表す図形を含む。すなわち、図形G1は、ブームフートピンが取り付けられる部分、及び、ブームシリンダ7の先端が取り付けられる部分等を含むブーム4の下側部分を表す図形を含んでいない。また、図形G1は、ブームシリンダ7を表す図形を含んでいない。積み込み作業を支援する際に操作者に提示する必要性が低い部分であるブーム4の下側部分を表す図形の表示を省略して図形G1を簡略化することで、積み込み作業を支援する際に操作者に提示する必要性が高い部分であるブーム4の上側部分を表す図形の視認性を高めるためである。図形G1は、アームシリンダ8を表す図形を含んでいなくてもよい。
【0104】
図形G1は、実際のブーム4の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、ブーム角度センサS1が検出するブーム角度θ1の変化に応じて図形G1の位置及び姿勢を変化させる。
【0105】
図形G2は、左側方から見たアーム5を表す図形である。
図5Aに示す例では、図形G2は、アーム5の全体を表す図形であり、バケットシリンダ9を表す図形を含む。但し、図形G2は、バケットシリンダ9を表す図形を含んでいなくてもよい。
【0106】
図形G2は、実際のアーム5の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、ブーム角度センサS1が検出するブーム角度θ1の変化、及び、アーム角度センサS2が検出するアーム角度θ2の変化に応じて図形G2の位置及び姿勢を変化させる。
【0107】
図形G3は、左側方から見たバケット6を表す図形である。
図5Aに示す例では、図形G3は、バケット6の全体を表す図形であり、バケットリンクを表す図形を含む。但し、図形G3は、バケットリンクを表す図形を含んでいなくてもよい。
【0108】
図形G3は、実際のバケット6の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、ブーム角度センサS1が検出するブーム角度θ1の変化、アーム角度センサS2が検出するアーム角度θ2の変化、及びバケット角度センサS3が検出するバケット角度θ3の変化に応じて図形G3の位置及び姿勢を変化させる。
【0109】
このように、イラスト画像AMは、アタッチメントの付け根部分(近位部分)を除いた部分である、アタッチメントの遠位部分の図形を含むように生成される。アタッチメントの近位部分は、アタッチメントのうち上部旋回体3に近い部分を意味し、例えばブーム4の下側部分を含む。アタッチメントの遠位部分は、アタッチメントのうち上部旋回体3から遠い部分を意味し、例えばブーム4の上側部分、アーム5、及びバケット6を含む。積み込み作業を支援する際に操作者に提示する必要性が低い部分であるアタッチメントの近位部分を表す図形の表示を省略してイラスト画像AMを簡略化することで、積み込み作業を支援する際に操作者に提示する必要性が高い部分であるアタッチメントの遠位部分を表す図形の視認性を高めるためである。
【0110】
図形G4は、左側方から見たダンプトラック60を表す図形である。
図5Aに示す例では、図形G4は、ダンプトラック60の全体を表す図形であり、リヤゲート62Bを表す図形G40、左サイドゲート62Lを表す図形G41、及びフロントパネル63を表す図形G42を含む。図形G4は、リヤゲート62B、左サイドゲート62L、及びフロントパネル63以外の部分を表す図形を含んでいなくてもよい。或いは、図形G4は、左サイドゲート62L及びフロントパネル63以外の部分を表す図形を含んでいなくてもよい。一方で、図形G4は、実際には不可視であるダンプトラック60の荷台61の底面を表す図形(例えば破線)を含んでいてもよい。
【0111】
図形G4は、実際のダンプトラック60の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、物体検知装置70及び撮像装置80の少なくとも1つの出力の変化に応じて図形G4の位置及び姿勢を変化させる。コントローラ30は、ダンプトラック60の停止位置をダンプトラック60の運転者に伝えることができるように構成されていてもよい。例えば、コントローラ30は、キャビン10の外部に設置された音出力装置を利用し、音出力装置が出力する音の間隔及び周波数(高低)等を変化させることで、ダンプトラック60の現在位置と積み込み作業に適した位置との間の距離の大きさをダンプトラック60の運転者に伝えるようにしてもよい。
【0112】
コントローラ30は、機体傾斜センサS4及び旋回角速度センサS5等の検出値の変化に応じて図形G1~図形G4の位置、姿勢、及び形状の少なくとも1つを変化させてもよい。また、コントローラ30は、ダンプトラック60が位置する地面の高さとショベル100が位置する地面の高さとの差に応じて図形G1~図形G4の位置、姿勢、及び形状の少なくとも1つを変化させてもよい。
【0113】
図形G1~図形G4のそれぞれは、複数の種類が予め用意されていてもよい。この場合、図形G3の種類は、例えば、バケット6の種類及びサイズ等の少なくとも1つに応じて切り換えられてもよい。また、図形G4の種類は、例えば、ダンプトラック60の種類及びサイズ等の少なくとも1つに応じて切り換えられてもよい。図形G1及び図形G2についても同様である。
【0114】
図5Aに示すようなイラスト画像AMを見たショベル100の操作者は、図形G3で表されるバケット6の爪先と、図形G41で表される左サイドゲート62Lの上端との間の距離の大きさを直感的に把握できる。また、ショベル100の操作者は、バケット6の爪先又は背面と、図形G42で表されるフロントパネル63との間の距離の大きさを直感的に把握できる。また、イラスト画像AMが荷台61の底面を表す図形を含む場合、ショベル100の操作者は、バケット6の爪先と荷台61の底面との間の距離の大きさを直感的に把握できる。
【0115】
なお、
図5Aに示す例では、図形G1~図形G4は、掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60を左側方から見たときの状態を表しているが、掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60を右側方から見たときの状態を表していてもよく、掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60を真上から見たときの状態を表していてもよい。また、左側方から見たときの状態、右側方から見たときの状態、及び真上から見たときの状態の少なくとも2つは、同時に表示されてもよい。
【0116】
次に、
図5Bを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスの別の一例について説明する。
図5Bは、積み込み作業の際に表示装置40の画像表示領域41nに表示されるイラスト画像AMの別の一例を示す。
【0117】
図5Bに示すイラスト画像AMは、主に、静的(固定的)に表示される図形G5及び図形G6を含む点で、動的(可変的)に表示される図形G1~図形G4を含む、
図5Aに示すイラスト画像AMと異なる。
【0118】
図形G5は、左側方から見た掘削アタッチメントATの先端部を表す図形である。
図5Bに示す例では、図形G5は、掘削アタッチメントATの、ブーム4の先端にあるアーム連結部よりも先端側の部分を表す図形、すなわち、アーム5及びバケット6を表す簡略化された図形であり、バケットリンク及びバケットシリンダ9を表す図形を含んでいない。なお図形G5に含まれるバケット6の図形は、実用上最も開かれた状態のバケット6を表している。「実用上最も開かれた状態」におけるバケット角度θ3は、排土作業等の通常の作業でバケット6を開く際の実用上の最大バケット開き角度であり、仕様上最も開かれた状態におけるバケット角度θ3である仕様上のバケット最大開き角度より小さい。通常の作業では、バケット角度θ3は、実用上の最大バケット開き角度を上回ることはほとんどない。図形G5は、複数の種類が予め用意されていてもよい。この場合、図形G5の種類は、例えば、バケット6の種類及びサイズ等の少なくとも1つに応じて切り換えられてもよい。
【0119】
具体的には、図形G5は、図形G51~図形G54を含む。図形G51~図形G54は、同じサイズ、姿勢、及び形状を有する。但し、図形G51~図形G54のそれぞれの姿勢は、アーム5及びバケット6のそれぞれの実際の姿勢に合うように、互いに異なっていてもよい。
【0120】
図形G51~図形G54は、実際の掘削アタッチメントATの動きとは無関係に第1画像表示領域41n1に静的(固定的)に且つ同時に表示される。一方で、図形G51~図形G54は、実際の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との間の位置関係をショベル100の操作者に認識させることができるように、実際の掘削アタッチメントATの動きに応じて色、輝度、及び濃淡等の少なくとも1つが変化するように表示される。具体的には、図形G51~図形G54のうち、実際の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との間の位置関係に最も近い位置関係を表す図形は、第1色(例えば濃い青色)で塗り潰される。また、図形G51~図形G54のうち、所定時間経過後の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との間の位置関係に最も近い位置関係を表す図形は、第2色(例えば薄い青色)で塗り潰される。
【0121】
図5Bに示す例では、図形G53は、現在の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との間の位置関係に最も近い位置関係を表す図形として、第1色で塗り潰されている。また、図形G54は、所定時間経過後の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との間の位置関係に最も近い位置関係を表す図形として、第2色で塗り潰されている。ショベル100の操作者は、第1色で塗り潰された図形G53を見ることで、現在の掘削アタッチメントATとダンプトラック60との間の位置関係を把握でき、且つ、第2色で塗り潰された図形G54を見ることで、掘削アタッチメントATがダンプトラック60のフロントパネル63に向かって移動していることを把握できる。
【0122】
図形G6は、左側方から見たダンプトラック60を表す図形である。
図5Bに示す例では、図形G6は、ダンプトラック60の全体を表す図形であり、リヤゲート62Bを表す図形G60、左サイドゲート62Lを表す図形G61、及びフロントパネル63を表す図形G62を含む。図形G6は、リヤゲート62B、左サイドゲート62L、及びフロントパネル63以外の部分を表す図形を含んでいなくてもよい。一方で、図形G6は、実際には不可視であるダンプトラック60の荷台61の底面を表す図形(例えば破線)を含んでいてもよい。
【0123】
図形G6は、実際のダンプトラック60の動きとは無関係に第1画像表示領域41n1に静的(固定的)に表示されている。但し、図形G6は、実際のダンプトラック60の動きに合わせて動くように表示されてもよい。或いは、図形G6は、ダンプトラック60が所定位置に達するまでは非表示とされ、ダンプトラック60が所定位置に達したときに表示されてもよい。所定位置は、例えば、ショベル100の旋回軸とダンプトラック60のリヤゲート62Bとの間の距離が所定値になる位置である。
【0124】
図形G6は、複数の種類が予め用意されていてもよい。この場合、図形G6の種類は、例えば、ダンプトラック60の種類及びサイズ等の少なくとも1つに応じて切り換えられてもよい。
【0125】
図5Bに示すようなイラスト画像AMを見たショベル100の操作者は、現在のバケット6とダンプトラック60との間の位置関係を大まかに且つ直感的に把握できる。また、操作者は、バケット6がフロントパネル63に接近していることを直感的に把握でき、且つ、バケット6とフロントパネル63との間の距離の大きさを大まかに把握できる。
【0126】
なお、
図5Bに示す例では、図形G5及び図形G6は、掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60を左側方から見たときの状態を表しているが、掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60を右側方から見たときの状態を表していてもよく、掘削アタッチメントAT及びダンプトラック60を真上から見たときの状態を表していてもよい。また、左側方から見たときの状態、右側方から見たときの状態、及び真上から見たときの状態の少なくとも2つは、同時に表示されてもよい。
【0127】
次に、
図5Cを参照し、イラスト画像AMの更に別の一例について説明する。
図5Cは、積み込み作業の際に表示装置40の画像表示領域41nに表示されるイラスト画像AMの更に別の一例を示す。具体的には、
図5Cは、
図5Aに示すイラスト画像AMの一部の拡大図である。
【0128】
図5Cに示すイラスト画像AMは、主に、図形G3A及び図形G3Bを含む点で、
図5Aに示すイラスト画像AMと異なる。図形G3A及び図形G3Bは、現在のバケット6の位置からバケット6を開閉させたときのバケット6の位置に関する図形である。具体的には、図形G3Aは、仕様上最も開かれた状態のバケット6を表している。図形G3Bは、仕様上最も閉じられた状態から仕様上最も開かれた状態までバケット6を開いたときにバケット6の爪先が描く軌跡を表している。
図5Cに示す例では、破線で示す図形G3A、及び、点線で示す図形G3Bは、バケット6の現在の状態を表す図形G3とともに、実際のバケット6の位置の変化に応じて移動するように表示される。また、バケット6の開閉の際には、図形G3は、バケット6の実際の開き度合いに応じて姿勢が変化するように表示されるが、図形G3Aは、バケット6の実際の開き度合いとは無関係に、姿勢が維持されるように表示される。なお、図形G3A及び図形G3Bは、所定の条件が満たされた場合に限り表示されてもよい。所定の条件は、例えば、バケット6とフロントパネル63との間の距離が所定値を下回ることである。バケット6とフロントパネル63とが接触するおそれがない場合のイラスト図形を簡素化するためである。
【0129】
操作支援部30Cは、例えば、上述の軌跡がダンプトラック60の荷台と干渉したと判定した場合、音出力装置43に対して制御指令を出力し、音出力装置43から警報音を出力させてもよく、表示装置40に対して制御指令を出力し、警告メッセージを表示させてもよい。
【0130】
図5Cに示すようなイラスト画像AMを見たショベル100の操作者は、現在のバケット6とフロントパネル63との間の距離の大きさと、バケット6を最大限開いたときのバケット6とフロントパネル63との間の距離の大きさとを同時に且つ直感的に把握できる。また、操作者は、図形G3Bを見ることで、バケット6を開閉したときの爪先とダンプトラック60との位置関係を容易に把握することができる。例えば、操作者は、現在のバケット6の位置でバケット6を最大限開いたときにバケット6がフロントパネル63と接触するか否かを容易に判断できる。なお、図形G3A及び図形G3Bの少なくとも一方は、
図5Bに示すイラスト画像AMに追加されてもよい。
【0131】
なお、
図5A~
図5Cに示す画像は、ショベル100のキャビン10内に設置された表示装置40ではなく、遠隔操作を行う操作者が利用する、ショベル100の外部にある携帯端末等の支援装置に付属している表示装置に表示されてもよい。
【0132】
次に、
図6Aを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスの更に別の一例について説明する。
図6Aは、積み込み作業の際に表示装置40の画像表示領域41nに表示される画像の一例を示す。
【0133】
図6Aに示す画像は、主に、前カメラ80Fが撮像した前画像VMと、前画像VMの上に重畳表示されるAR画像としての図形GP10~図形GP14とを含む点で、前画像VMを含まない
図5Aに示す画像と異なる。
【0134】
図6Aに示す前画像VMは、ショベル100の前方に位置するダンプトラック60の画像を含む。具体的には、前画像VMは、画像V1~V5を含む。画像V1は、バケット6の画像である。画像V2は、フロントパネル63の画像である。画像V3は、左サイドゲート62Lの画像である。画像V4は、右サイドゲート62Rの画像である。画像V5は、リヤゲート62Bの画像である。
【0135】
図形GP10~図形GP14は、基準点からの距離を表す半透明の点線マーカである。基準点は、例えば、ショベル100の中心点である。基準点は、ダンプトラック60の荷台61の前端点若しくは後端点であってもよく、工事現場に設置された測量点であってもよい。
図6Aに示す例では、図形GP10は、ショベル100の中心点から3.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP11は、ショベル100の中心点から3.5メートルだけ離れた位置を表し、図形GP12は、ショベル100の中心点から4.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP13は、ショベル100の中心点から4.5メートルだけ離れた位置を表し、図形GP14は、ショベル100の中心点から5.0メートルだけ離れた位置を表している。すわなち、図形GP10~図形GP14は、基準点から離れる方向において等間隔に配置される点線マーカである。
図6Aに示す例では、図形GP10~図形GP14は、ショベル100の中心点から離れる方向において0.5メートル間隔に配置される点線マーカである。
【0136】
なお、基準点は、対象物としてのダンプトラック60の高さを考慮して算出されてもよい。具体的には、コントローラ30は、周囲監視装置によって、対象物としてのダンプトラック60の位置、形状(寸法)、又は、種類を検出してもよい。この検出結果から、コントローラ30は、ダンプトラック60の高さを検出し、ダンプトラック60の高さに位置する平面におけるショベル100の中心点を基準点として算出してもよい。この基準点から一定間隔毎に図形GP10~図形GP14が表示されてもよい。
【0137】
また、検出されたダンプトラック60の高さに基づいて、ダンプトラック60の荷台61の後端点を基準点として算出してもよい。このとき、ダンプトラック60の荷台61上の同一平面上において、基準点としての後端点から一定の距離毎に図形GP10~図形GP14が表示されてもよい。
【0138】
具体的には、図形GP10はダンプトラック60の荷台61の後端点から1.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP11は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から2.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP12は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から3.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP13は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から4.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP14は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から5.0メートルだけ離れた位置を表してもよい。すわなち、図形GP10~図形GP14は、基準点としてのダンプトラック60の荷台61の後端点から離れる方向において等間隔に配置される点線マーカとなる。
【0139】
また、コントローラ30は、周囲監視装置の検出結果に基づいて、ダンプトラック60の荷台61の幅及びダンプトラック60の荷台61の奥行きを検出してもよい。検出された荷台61の幅と検出された荷台61の奥行きに基づいて、図形GP10~図形GP14が表示される。このとき、検出された荷台61の幅と図形GP10~図形GP14の幅が一致するように表示される。このように、コントローラ30は、対象物としてのダンプトラック60の高さ、幅、及び奥行き等の情報と、ガイダンスとしての点線マーカとを対応付けることができる。このため、コントローラ30は、図形GP10~図形GP14をダンプトラック60の荷台61上の適切な位置に表示させることができる。なお、上述の例では、コントローラ30は、ダンプトラック60の高さのみに基づいて基準点を算出してもよく、ダンプトラック60の高さと幅に基づいて基準点を算出してもよい。
【0140】
また、
図6Aに示す例では、図形GP10~図形GP14のうち、バケット6の爪先の位置をダンプトラック60の荷台61に投影した位置(爪先の鉛直下方にある位置)に最も近い図形である図形GP12は、半透明の点線マーカから半透明の実線マーカに切り換えられている。
【0141】
図6Aに示すような前画像VMを見たショベル100の操作者は、バケット6の爪先の鉛直下方にある位置が、ショベル100から所定の距離(
図6Aに示す例では4.0メートル)だけ離れた位置の近くにあることを直感的に把握できる。また、操作者は、基準点をダンプトラック60の後端点とした場合、バケット6の爪先の鉛直下方にある位置が、ダンプトラック60の後端点から所定の距離だけ離れた位置の近くにあることを直感的に把握できる。
【0142】
なお、
図6Aに示す画像は、キャビン10内に設置された表示装置40ではなく、遠隔操作を行う操作者が利用する、ショベル100の外部にある携帯端末等の支援装置に付属している表示装置に表示されてもよい。
【0143】
次に、
図6Bを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスの更に別の一例について説明する。
図6Bは、積み込み作業の際に表示装置40の画像表示領域41nに表示される画像の別の一例を示し、
図6Aに対応している。具体的には、
図6Bに示す画像は、図形GP10~図形GP14の代わりに、図形GP20~図形GP22が表示される点で、
図6Aに示す画像と異なるが、その他の点で
図6Aに示す画像と共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0144】
図形GP20は、バケット6の爪先の真下の位置を表す半透明の実線マーカである。図形GP21は、ショベル100の中心点から所定の第1距離だけ離れた位置を表す破線マーカである。図形GP22は、ショベル100の中心点から第1距離より大きい所定の第2距離だけ離れた位置を表す半透明の破線マーカである。図形GP21及び図形GP22は、現在のバケット6の位置からバケット6を開閉させたときのバケット6の位置に関する図形であってもよい。例えば、図形GP21は、現在のバケット6の位置からバケット6を最大限閉じたときのバケット6の爪先の真下の位置を表すマーカであってもよい。また、図形GP22は、現在のバケット6の位置からバケット6を最大限開いたときのバケット6の爪先の真下の位置を表すマーカであってもよい。
図6Bに示す例では、図形GP20~図形GP22は何れも、ダンプトラック60の荷台61の全幅にわたって伸びるように表示されている。図形GP20と図形GP21との間の領域は、所定の半透明の色で塗り潰されてもよい。図形GP20と図形GP22との間の領域についても同様である。図形GP20と図形GP21との間の領域は、図形GP20と図形GP22との間の領域とは別の半透明の色で塗り潰されてもよい。
【0145】
なお、基準点は、対象物としてのダンプトラック60の高さを考慮して算出されてもよい。具体的には、コントローラ30は、周囲監視装置によって、対象物としてのダンプトラック60の位置、形状(寸法)、又は種類を検出してもよい。この検出結果から、コントローラ30は、ダンプトラック60の高さを検出し、ダンプトラック60の高さに位置する平面におけるショベル100の中心点を基準点として算出してもよい。この基準点から一定間隔毎に図形GP20~図形GP22が表示されてもよい。
【0146】
図6Bに示すような前画像VMを見たショベル100の操作者は、バケット6の爪先の鉛直下方にある位置が、ショベル100から第1距離だけ離れた位置と第2距離だけ離れた位置との間に位置することを直感的に把握できる。
【0147】
なお、
図6Bに示す画像は、ショベル100のキャビン10内に設置された表示装置40ではなく、遠隔操作を行う操作者が利用する、ショベル100の外部にある携帯端末等の支援装置に付属している表示装置に表示されてもよい。
【0148】
次に、
図6Cを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスの更に別の一例について説明する。
図6Cは、積み込み作業の際のキャビン10内の様子を示す図である。具体的には、
図6Cは、キャビン10のフロントガラスFGにAR画像が表示されている様子を示している。
【0149】
キャビン10内の操作者は、フロントガラスFGを通して、ブーム4、アーム5、バケット6、及びダンプトラック60を視認している。具体的には、キャビン10内の運転席に着座する操作者は、フロントガラスFGを通して、リヤゲート62Bと、左サイドゲート62Lと、右サイドゲート62Rと、フロントパネル63とで区切られたダンプトラック60の荷台61の真上にバケット6の爪先が位置している様子を視認している。また、操作者は、ダンプトラック60の荷台61の上にあたかも実在するかのように表示されるマーカ(AR画像)を視認している。
【0150】
図6Cに示すAR画像は、プロジェクタを利用してフロントガラスFGに投影されている。但し、
図6Cに示すAR画像は、フロントガラスFGに貼り付けられた透過型の有機ELディスプレイ又は透過型の液晶ディスプレイ等の表示装置を利用して表示されてもよい。
【0151】
図6Cに示すAR画像は、主に、図形GP30~図形GP34を含む。図形GP30~図形GP34は、
図6Aに示す図形GP10~図形GP14に対応している。具体的には、図形GP30は、ショベル100の中心点から3.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP31は、ショベル100の中心点から3.5メートルだけ離れた位置を表し、図形GP32は、ショベル100の中心点から4.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP33は、ショベル100の中心点から4.5メートルだけ離れた位置を表し、図形GP34は、ショベル100の中心点から5.0メートルだけ離れた位置を表している。すわなち、図形GP30~図形GP34は、基準点から離れる方向において等間隔に配置される点線マーカである。
図6Cに示す例では、図形GP30~図形GP34は、ショベル100の中心点から離れる方向において0.5メートル間隔に配置される点線マーカである。
【0152】
なお、基準点は、対象物としてのダンプトラック60の高さを考慮して算出される。具体的には、コントローラ30は、周囲監視装置によって、対象物としてのダンプトラック60の位置、形状(寸法)、又は種類を検出してもよい。この検出結果から、コントローラ30は、ダンプトラック60の高さを検出し、ダンプトラック60の高さに位置する平面におけるショベル100の中心点を基準点として算出してもよい。この基準点から一定間隔毎に図形GP30~図形GP14が表示されてもよい。
【0153】
また、コントローラ30は、検出されたダンプトラック60の高さに基づいて、ダンプトラック60の荷台61の後端点を基準点として算出してもよい。このとき、ダンプトラック60の荷台61上の同一平面上において、基準点としての後端点から一定の距離毎に図形GP30~図形GP34が表示されてもよい。
【0154】
具体的には、図形GP30はダンプトラック60の荷台61の後端点から1.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP31は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から2.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP32は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から3.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP33は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から4.0メートルだけ離れた位置を表し、図形GP34は、ダンプトラック60の荷台61の後端点から5.0メートルだけ離れた位置を表してもよい。すわなち、図形GP30~図形GP34は、基準点としてのダンプトラック60の荷台61の後端点から離れる方向において等間隔に配置される点線マーカとなる。
【0155】
また、コントローラ30は、周囲監視装置の検出結果に基づいて、ダンプトラック60の荷台61の幅及びダンプトラック60の荷台61の奥行きを検出してもよい。検出された荷台61の幅と検出された荷台61の奥行きに基づいて、図形GP30~図形GP34が表示される。このとき、検出された荷台61の幅と図形GP30~図形GP34の幅が一致するように表示される。このように、コントローラ30は、対象物としてのダンプトラック60の高さ、幅、及び奥行き等の情報と、ガイダンスとしての点線マーカとを対応付けることができる。このため、コントローラ30は、図形GP30~図形GP34をダンプトラック60の荷台61上の適切な位置に表示させることができる。なお、上述の例では、コントローラ30は、ダンプトラック60の高さのみに基づいて基準点を算出してもよく、ダンプトラック60の高さと幅に基づいて基準点を算出してもよい。
【0156】
また、
図6Cに示す例では、図形GP30~図形GP34のうち、バケット6の爪先の鉛直下方にある位置に最も近い図形である図形GP32は、半透明の点線マーカから半透明の実線マーカに切り換えられている。
【0157】
図6Cに示すようなAR画像を見たショベル100の操作者は、
図6Aに示すような前画像VMを見た場合と同様に、バケット6の爪先の鉛直下方にある位置が、ショベル100から所定の距離(
図6Cに示す例では4.0メートル)だけ離れた位置の近くにあることを直感的に把握できる。また、操作者は、基準点をダンプトラック60の後端点とした場合、バケット6の爪先の鉛直下方にある位置が、ダンプトラック60の後端点から所定の距離だけ離れた位置の近くにあることを直感的に把握できる。
【0158】
次に、
図6Dを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスの更に別の一例について説明する。
図6Dは、積み込み作業の際のキャビン10内の様子を示す図であり、
図6Cに対応している。
【0159】
図6Dに示すAR画像は、主に、図形GP40~図形GP42を含む。図形GP40~図形GP42は、
図6Bに示す図形GP20~図形GP22に対応している。具体的には、図形GP40は、バケット6の爪先の真下の位置を表す半透明の実線マーカである。図形GP41は、ショベル100の中心点から所定の第1距離だけ離れた位置を表す半透明の破線マーカである。図形GP42は、ショベル100の中心点から第1距離より大きい所定の第2距離だけ離れた位置を表す半透明の破線マーカである。図形GP41及び図形GP42は、現在のバケット6の位置からバケット6を開閉させたときのバケット6の位置に関する図形であってもよい。例えば、図形GP41は、現在のバケット6の位置からバケット6を最大限閉じたときのバケット6の爪先の真下の位置を表すマーカであってもよい。また、図形GP42は、現在のバケット6の位置からバケット6を最大限開いたときのバケット6の爪先の真下の位置を表すマーカであってもよい。図形GP40と図形GP41との間の領域は、所定の半透明の色で塗り潰されてもよい。図形GP40と図形GP42との間の領域についても同様である。図形GP40と図形GP41との間の領域は、図形GP40と図形GP42との間の領域とは別の半透明の色で塗り潰されてもよい。
【0160】
なお、基準点は、対象物としてのダンプトラック60の高さを考慮して算出されてもよい。具体的には、コントローラ30は、周囲監視装置によって、対象物としてのダンプトラック60の位置、形状(寸法)、又は種類を検出してもよい。この検出結果から、コントローラ30は、ダンプトラック60の高さを検出し、ダンプトラック60の高さに位置する平面におけるショベル100の中心点を基準点として算出してもよい。この基準点から一定間隔毎に図形GP40~図形GP42が表示されてもよい。
【0161】
図6Dに示すようなAR画像を見たショベル100の操作者は、
図6Bに示すような前画像VMを見た場合と同様に、バケット6の爪先の位置をダンプトラック60の荷台61に投影した位置が、ショベル100から第1距離だけ離れた位置と第2距離だけ離れた位置との間に位置することを直感的に把握できる。また、操作者は、基準点をダンプトラック60の後端点とした場合、バケット6の爪先の位置をダンプトラック60の荷台61に投影した位置が、ダンプトラック60の後端点から第1距離だけ離れた位置と第2距離だけ離れた位置との間に位置することを直感的に把握できる。
【0162】
次に、
図6Eを参照し、積み込み作業の際に周囲監視装置によって対象物として検出されたダンプトラックに対するガイダンスの更に別の一例について説明する。
図6Eは、
図6A、
図6B、
図6C、又は
図6Dに示すAR画像の別の一例を示す。
【0163】
図6Eに示すAR画像は、バケット6を最大限開いたときの爪先の真下の位置を表す図形GP51を含む点で、
図6A~
図6Dのそれぞれに示すAR画像と異なる。
【0164】
具体的には、
図6Eに示すAR画像は、図形GP50及び図形GP51を含む。図形GP50は、バケット6の爪先の真下の位置を表す半透明の実線マーカである。図形GP51は、現在のバケット6の位置からバケット6を開いたときのバケット6の位置に関する図形である。具体的には、図形GP51は、バケット6を最大限開いたときの爪先の真下の位置を表す半透明の破線マーカである。
図6Eに示すAR画像は、バケット6を最大限閉じたときの爪先の真下の位置を表すマーカ等の図形を含んでいてもよい。
【0165】
図6Eに示すようなAR画像を見たショベル100の操作者は、バケット6の爪先の位置を鉛直下方のダンプトラック60の荷台61に投影した位置と、バケット6を最大限開いたときのバケット6の爪先の位置を鉛直下方のダンプトラック60の荷台61に投影した位置とを同時に且つ直感的に把握できる。そのため、操作者は、例えば、バケット6内に取り込まれている土砂等の被掘削物を排土するためにバケット6を開いても、バケット6をダンプトラック60のフロントパネル63に接触させるおそれがないか否かを容易に確認できる。
【0166】
次に、
図7を参照し、イラスト画像AMの更に別の一例について説明する。
図7は、クレーン作業の際に表示装置40の画像表示領域41nに表示されるクレーン作業に関するガイダンスとしてのイラスト画像AMの一例を示す。クレーン作業は、ショベル100が吊り荷を吊り上げて移動させる作業である。吊り荷は、例えば、土管又はヒューム管等の導水管である。
【0167】
図7に示す例では、イラスト画像AMは、画像提示部30Bが提示する、ショベル100によって吊り上げられた導水管と、地面に形成された掘削溝の中に既に設置されている導水管(以下、「既設導水管」とする。)との位置関係を表す前方画像の一例である。
図7に示す例では、イラスト画像AMは、図形G1~G3、図形G70~図形G74、及び図形G80~図形G82を含む。
【0168】
図形G1は、左側方から見たブーム4の上側部分を表す図形である。
図7に示す例では、図形G1は、アームフートピンが取り付けられる部分等を含むブーム4の上側部分を表す図形であり、アームシリンダ8を表す図形を含む。すなわち、図形G1は、ブームフートピンが取り付けられる部分、及び、ブームシリンダ7の先端が取り付けられる部分等を含むブーム4の下側部分を表す図形を含んでいない。また、図形G1は、ブームシリンダ7を表す図形を含んでいない。クレーン作業を支援する際に操作者に提示する必要性が低い部分であるブーム4の下側部分を表す図形の表示を省略して図形G1を簡略化することで、クレーン作業を支援する際に操作者に提示する必要性が高い部分であるブーム4の上側部分を表す図形の視認性を高めるためである。図形G1は、アームシリンダ8を表す図形を含んでいなくてもよい。すなわち、アームシリンダ8を表す図形は省略されてもよい。
【0169】
図形G1は、実際のブーム4の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、ブーム角度センサS1が検出するブーム角度θ1の変化に応じて図形G1の位置及び姿勢を変化させる。
【0170】
図形G2は、左側方から見たアーム5を表す図形である。
図7に示す例では、図形G2は、アーム5の全体を表す図形であり、バケットシリンダ9を表す図形を含む。但し、図形G2は、バケットシリンダ9を表す図形を含んでいなくてもよい。すなわち、バケットシリンダ9を表す図形は省略されてもよい。
【0171】
図形G2は、実際のアーム5の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、ブーム角度センサS1が検出するブーム角度θ1の変化、及び、アーム角度センサS2が検出するアーム角度θ2の変化に応じて図形G2の位置及び姿勢を変化させる。
【0172】
図形G3は、左側方から見たバケット6を表す図形である。
図7に示す例では、図形G3は、バケット6の全体を表す図形であり、バケットリンクを表す図形を含む。但し、図形G3は、バケットリンクを表す図形を含んでいなくてもよい。すなわち、バケットリンクを表す図形は省略されてもよい。
【0173】
図形G3は、実際のバケット6の動きに合わせて動くように表示される。具体的には、コントローラ30は、例えば、ブーム角度センサS1が検出するブーム角度θ1の変化、アーム角度センサS2が検出するアーム角度θ2の変化、及びバケット角度センサS3が検出するバケット角度θ3の変化に応じて図形G3の位置及び姿勢を変化させる。
【0174】
このように、イラスト画像AMは、アタッチメントの付け根部分(近位部分)を除いた部分である、アタッチメントの遠位部分の図形を含むように生成される。アタッチメントの近位部分は、アタッチメントのうち上部旋回体3に近い部分を意味し、例えばブーム4の下側部分を含む。アタッチメントの遠位部分は、アタッチメントのうち上部旋回体3から遠い部分を意味し、例えばブーム4の上側部分、アーム5、及びバケット6を含む。クレーン作業を支援する際に操作者に提示する必要性が低い部分であるアタッチメントの近位部分を表す図形の表示を省略してイラスト画像AMを簡略化することで、クレーン作業を支援する際に操作者に提示する必要性が高い部分であるアタッチメントの遠位部分を表す図形の視認性を高めるためである。
【0175】
図形G70は、左側方から見たフックを表す。
図7に示す例では、図形G70は、バケットリンクのところに収納可能に取り付けられたフックを表す。
【0176】
図形G71は、吊り荷に取り付けられる吊り紐を表す。
図7に示す例では、図形G71は、吊り荷としての導水管に巻き付けられた吊り紐を表す。なお、吊り紐は、ワイヤであってもよい。
【0177】
図形G72は、吊り荷を表す。
図7に示す例では、図形G72は、ショベル100によって吊り上げられている吊り荷としての導水管を表す。図形G72の位置、大きさ、及び形状等は、導水管の位置及び姿勢等の変化に応じて変化する。導水管の位置及び姿勢等は、物体検知装置70及び撮像装置80の少なくとも一方の出力に基づいて算出される。
【0178】
図形G73は、掘削溝を表す。
図7に示す例では、図形G73は、ショベル100による掘削によって形成された掘削溝の断面を表す。図形G73の位置、大きさ、及び形状等は、掘削溝の位置及び深さ等の変化に応じて変化する。掘削溝の位置及び深さ等は、物体検知装置70及び撮像装置80の少なくとも一方の出力に基づいて算出される。
【0179】
図形G74は、掘削溝内に設置された物を表す。
図7に示す例では、図形G74は、掘削溝内に既に設置された既設導水管を表す。図形G74の位置、大きさ、及び形状等は、既設導水管の位置及び姿勢等の変化に応じて変化する。既設導水管の位置及び姿勢等は、物体検知装置70及び撮像装置80の少なくとも一方の出力に基づいて算出される。
【0180】
図形G80は、ショベル100によって吊り上げられている吊り荷の遠位端の位置を表す。
図7に示す例では、図形G80は、鉛直方向に延びる破線であり、ショベル100によって吊り上げられている導水管の遠位端の位置を表す。
【0181】
図形G81は、ショベル100によって吊り上げられている吊り荷の近位端の位置を表す。
図7に示す例では、図形G81は、鉛直方向に延びる破線であり、ショベル100によって吊り上げられている導水管の近位端の位置を表す。
【0182】
図形G82は、吊り荷を地面に降ろしたときの吊り荷の遠位端の位置である吊り荷の目標位置を表す。
図7に示す例では、図形G82は、鉛直方向に延びる一点鎖線であり、ショベル100によって吊り上げられている導水管の遠位端の目標位置を表す。導水管の遠位端の目標位置は、掘削溝内に既に設置されている隣接する既設導水管の近位端の位置より所定距離だけ手前の位置(所定距離だけショベル100に近い位置)に設定されている。掘削溝の底面に降ろされた導水管は、その後に底面上を引き摺られ、その遠位端が既設導水管の近位端に差し込まれて設導水管に接続されるためである。
【0183】
図形G83は、吊り荷の遠位端の目標位置と現在位置との間の距離を表す。
図7に示す例では、図形G83は、両矢印であり、導水管の遠位端の目標位置と現在位置との間の距離を表す。図形G80~図形G83は、イラスト画像AMの明瞭化のために省略されてもよい。
【0184】
図7に示すようなイラスト画像AMを見たショベル100の操作者は、図形G72で表される空中の導水管の遠位端と、図形G74で表される既設導水管の近位端との間の水平距離の大きさを直感的に把握できる。そのため、ショベル100は、操作者が操作を誤って空中の導水管と既設導水管とを接触させてしまうのを防止できる。また、ショベル100の操作者は、図形G72で表される空中の導水管の近位端と、図形G73で表される掘削溝の近位端との間の水平距離の大きさを直感的に把握できる。また、ショベル100の操作者は、図形G72で表される空中の導水管の下端と、図形G73で表される掘削溝の底面との間の垂直距離の大きさを直感的に把握できる。
【0185】
なお、
図7に示す例では、イラスト画像AMは、掘削アタッチメントAT及び導水管を左側方から見たときの状態を表しているが、掘削アタッチメントAT及び導水管を右側方から見たときの状態を表していてもよく、掘削アタッチメントAT及び導水管を上方から見たときの状態を表していてもよい。また、左側方から見たときの状態、右側方から見たときの状態、及び上方から見たときの状態の少なくとも2つは、同時に表示されてもよく、切り換え可能に表示されてもよい。
【0186】
また、
図7に示す例では、コントローラ30は、吊り荷の遠位端の目標位置として図形G82を表示しているが、吊り荷の近位端の目標位置を示す図形を表示してもよい。例えば、コントローラ30は、予め設定された吊り荷の長さ、又は物体検知装置70及び撮像装置80の少なくとも一方によって測定された吊り荷の長さと、吊り荷の遠位端の目標位置とに基づいて吊り荷の近位端の目標位置を表示してもよい。
【0187】
次に、
図8を参照し、クレーン作業の際に表示されるガイダンスの一例について説明する。
図8は、クレーン作業の際に表示装置40の画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される画像の一例を示す。
【0188】
図8に示す画像は、主に、前カメラ80Fが撮像した前画像VMと、前画像VMの上に重畳表示されるAR画像としての図形GP60及び図形GP61とを含む。
【0189】
図8に示す前画像VMは、ショベル100の前方に位置する掘削溝の画像を含む。具体的には、前画像VMは、画像V11~V14を含む。画像V11は、掘削溝の画像である。画像V12及び画像V13は、掘削溝に既に設置されている既設導水管の画像である。画像V14は、ショベル100によって吊り上げられている導水管の画像である。
【0190】
図形GP60は、ショベル100によって吊り上げられている吊り荷の遠位端の目標位置を表すマーカである。図形GP61は、ショベル100によって吊り上げられている吊り荷の外形を地面に投影したときの投影形状を表すマーカである。
【0191】
図8に示す例では、図形GP60は、半透明の一点鎖線マーカであり、ショベル100によって吊り上げられている導水管の遠位端の目標位置を表し、掘削溝の全幅にわたって伸びるように表示されている。図形GP61は、半透明の破線マーカであり、ショベル100によって吊り上げられている導水管の外形を掘削溝の底面に投影したときの投影形状を表している。なお、図形GP60及び図形GP61の少なくとも一方は、半透明の実線マーカであってもよい。
【0192】
また、吊り荷が下降して掘削溝の底面に近づくと、掘削溝の底面又は既設導水管等の地物の画像は、吊り荷の画像の陰に隠れて見えなくなってしまう。そのため、コントローラ30は、画像処理により前方画像から吊り荷の画像を除去した画像を生成し、生成した画像に図形GP60及び図形GP61等のマーカを重畳表示させてもよい。
【0193】
また、
図8に示す例では、コントローラ30は、ショベル100によって吊り上げられている吊り荷の遠位端の目標位置を表すマーカとして図形GP60を表示しているが、吊り荷の近位端の目標位置を表すマーカとしての図形を表示してもよい。例えば、コントローラ30は、予め設定された吊り荷の長さ、又は物体検知装置70及び撮像装置80の少なくとも一方によって測定された吊り荷の長さと、吊り荷の遠位端の目標位置とに基づいて吊り荷の近位端の目標位置を表すマーカを表示してもよい。
【0194】
図8に示すような前画像VMを見たショベル100の操作者は、ショベル100によって吊り上げられている導水管と既設導水管との間の位置関係を直感的に把握できる。そのため、ショベル100は、操作者が操作を誤って空中の導水管と既設導水管とを接触させてしまうのを防止できる。また、操作者は、ショベル100によって吊り上げられている導水管が掘削溝の真上にあり、その遠位端の現在位置と目標位置との間の水平距離がゼロではないことを直感的に把握できる。すなわち、操作者は、空中にある導水管の遠位端を更に遠方に移動させる必要があること(既に掘削溝内に設置されている既設導水管に更に近づける必要があること)を直感的に把握できる。
【0195】
なお、
図8に示す画像は、ショベル100のキャビン10内に設置された表示装置40ではなく、遠隔操作を行う操作者が利用する、ショベル100の外部にある携帯端末等の支援装置に付属している表示装置に表示されてもよい。或いは、画像提示部30Bは、プロジェクションマッピング技術を利用して図形GP60及び図形GP61のそれぞれを掘削溝の底面に表示させてもよい。
【0196】
また、
図7に示す画像と
図8に示す画像とは切り換え可能に表示されてもよい。例えば、コントローラ30は、所定のボタン操作が行われた場合に画像を切り換えてもよく、所定時間が経過する度に画像を切り換えてもよい。
【0197】
次に、
図9を参照し、クレーン作業の際に表示されるガイダンスの別の一例について説明する。
図9は、クレーン作業の際に表示装置40の画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される画像の別の一例を示す。
図9は、明瞭化のため、掘削アタッチメントATの画像、及び、掘削アタッチメントATによって吊り上げられている吊り荷(U字溝)の画像の図示を省略している。
【0198】
図9に示す画像は、主に、前カメラ80Fが撮像した前画像VMと、前画像VMの上に重畳表示されるAR画像としての図形GP70及び図形GP71とを含む。なお、前画像VMは、コントローラ30に予め入力された設計データに基づいて生成される三次元コンピュータグラフィクスであってもよい。
【0199】
図9に示す前画像VMは、ショベル100の前方に位置する掘削溝の画像を含む。具体的には、前画像VMは、画像V21~V24を含む。画像V21は、コンクリート製のU字溝が設置される掘削溝の画像である。画像V22は、掘削溝に既に設置されているU字溝(以下、「既設U字溝」とする。)の画像である。画像V23は、電柱の画像である。画像V24は、ガードレールの画像である。
【0200】
図形GP70は、既設U字溝の形状を表す半透明の破線マーカである。図形GP71は、ショベル100によって吊り上げられているU字溝の外形を地面に投影したときの投影形状を表す半透明の破線マーカである。
【0201】
なお、
図9に示す画像は、前カメラ80Fが撮像した画像を用いているが、撮像装置80が撮像した画像に基づいて生成された俯瞰画像を用いてもよい。
【0202】
また、コントローラ30は、吊り荷の遠位端の目標位置としての図形、又は吊り荷の近位端の目標位置としての図形を前画像VMの上に重畳表示してもよい。
【0203】
図9に示すような前画像VMを見たショベル100の操作者は、ショベル100によって吊り上げられているU字溝と既設U字溝との位置関係を直感的に把握できる。そのため、操作者は、現在吊り上げられているU字溝を、既設U字溝に近接する位置まで移動させて適切に掘削溝内に降ろすことができる。すなわち、ショベル100は、操作者が操作を誤って空中のU字溝と既設U字溝とを接触させてしまうのを防止できる。
【0204】
なお、
図7-
図9の例においては、コントローラ30は、周囲監視装置によって、クレーン作業によって設置された設置物の位置、形状(寸法)、又は種類を検出し、この検出結果に基づいてガイダンス表示をしてもよい。具体的には、コントローラ30は、周囲監視装置によって、設置物の形状及び設置物の周辺の溝の形状を取得し、設置物と溝とを識別する。そして、設置物が設置される平面上における設置物の位置を基準点として算出する。このとき、吊り荷を設置したい平面上において、基準点から一定の距離に図形G82、GP60、及びGP70が表示されてもよい。
【0205】
また、コントローラ30は、アタッチメントによって持ち上げられた物の位置、形状(寸法)、又は種類を検出し、その検出結果に基づいてガイダンス表示をしてもよい。例えば、
図8の例を基に説明すると、周囲監視装置によって、アタッチメントによって持ち上げられた土管(吊り荷)とクレーン作業によって設置された設置物としての土管が検出される。このとき、吊り荷及び設置物の位置、形状、及び種類が検出され、この検出結果に基づいて、GP60及びGP61等のガイダンス表示が行われる。例えば、GP60は、設置物の幅に基づいて表示される。また、GP61は、吊り荷の幅と長さに基づいて表示される。形状又は種類(寸法、位置)に基づいて検出されてもよい。
【0206】
また、上述の例においては、積み込み作業又はクレーン作業におけるガイダンスの例を説明したが、ガイダンスは、掘削作業又は転圧作業に適用されてもよい。例えば、掘削作業の場合、コントローラ30は、周囲監視装置によって対象物(例えば、壁面、樹木、パイロン、丁張り、溝、又は地面の変化等)から所定の距離だけ離間した地表面上の任意の位置を基準点としての掘削開始位置として取得し、この基準点から所定の距離毎のラインを表示してもよい。また、例えば、転圧作業の場合、コントローラ30は、周囲監視装置の出力情報又はアタッチメントの姿勢情報から、対象物(例えば、壁面、樹木、パイロン、丁張り、又は地面の変化等)から所定の距離だけ離間した地表面上の任意の位置を基準点としての目標転圧領域として取得し、この基準点から所定の距離毎のラインを表示してもよい。このとき、基準点から旋回半径方向への距離が分かる態様でガイダンスが行われる。そして、現在のアタッチメントの位置が、表示されたラインに対してどの程度離れた位置に位置しているのかが表示される。このように、コントローラ30は、作業現場に存在する物体又は地面形状が変化する部分を対象物として検知し、検知した対象物に基づいてガイダンスを表示する。このため、ショベル100の操作者は、掘削作業又は転圧作業においても、掘削開始位置又は目標転圧領域までの距離を直感的に把握することができる。
【0207】
上述のように、本発明の実施形態に係る作業機械の一例であるショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられるアタッチメントとしての掘削アタッチメントATと、周囲監視装置と、表示装置40と、を有する。そして、表示装置40は、前記周囲監視装置によって検出された対象物に対するガイダンスを表示するように構成されている。前記周囲監視装置によって検出される対象物は、例えば、
図4Aに示すようなダンプトラック60、
図7に示すように掘削溝内に設置された既設導水管、又は、
図9に示すように掘削溝内に設置されたU字溝等である。また、前記周囲監視装置によって検出される対象物は、吊り荷としての土管若しくはヒューム管等の導水管、U字溝、又は掘削によってバケット内部に取り込まれた土砂等であってもよい。更に、表示装置40は、その対象物の高さに対応したガイダンスを表示するように構成されていてもよい。また、表示装置40は、その対象物に対する旋回半径方向のガイダンスを表示するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100は、操作者によるショベル100の操作をより効果的に支援できる。ショベル100は、例えば、操作者がバケット6をダンプトラック60の荷台61に接触させてしまうリスクを低減させることができる。キャビン10内からフロントガラスFGを通して見える、荷台61の前後方向におけるバケット6とフロントパネル63との間の距離の把握し難さを緩和できるためである。また、ショベル100は、積み込み作業の際のバケット6とダンプトラック60の荷台61との相対的な位置関係を操作者が容易に監視できるようにすることで、慎重な操作を長時間にわたって継続することに起因する操作者の疲労を軽減できる。また、同様の理由により、ショベル100は、ダンプトラック60の荷台61の中央で被掘削物の排土が行われる場合に比べ、フロントパネル63の近くで被掘削物の排土が行われる場合に作業効率が低下してしまうのを抑制できる。或いは、ショベル100は、例えば、操作者が吊り荷を既設物に接触させてしまうリスクを低減させることができる。キャビン10内からフロントガラスFGを通して見える吊り荷と既設物との間の距離の把握し難さを緩和できるためである。また、ショベル100は、クレーン作業の際の吊り荷と既設物との相対的な位置関係を操作者が容易に監視できるようにすることで、慎重な操作を長時間にわたって継続することに起因する操作者の疲労を軽減できる。なお、吊り荷は、例えば、土管若しくはヒューム管等の導水管、又は、U字溝等である。また、既設物は、例えば、掘削溝内に既に設置されている既設導水管又は既設U字溝等である。
【0208】
前方画像は、例えば、アタッチメントの動きに応じて表示位置が変化するマーカを含む画像であってもよく、アタッチメントが動いたとしても表示位置が変化しないマーカを含む画像であってもよい。具体的には、アタッチメントの動きに応じて表示位置が変化するマーカは、例えば、
図6Bにおける図形GP20~図形GP22である。また、アタッチメントが動いたとしても表示位置が変化しないマーカは、例えば、
図6Aにおける図形GP10~図形GP14である。
【0209】
また、前方画像は、例えば、アタッチメントにおける所定部位の水平位置の変化に応じて表示位置が変化するが、その所定部位の垂直位置の変化に応じては表示位置が変化しないマーカを含んでいてもよい。具体的には、アタッチメントにおける所定部位の水平位置の変化に応じて表示位置が変化するが、その所定部位の垂直位置の変化に応じては表示位置が変化しないマーカは、例えば、
図6Bにおける図形GP20~図形GP22である。
【0210】
また、前方画像は、例えば、上部旋回体3の前方に位置する物とアタッチメント又はアタッチメントによって持ち上げられている物との相対的な位置関係の段階的な変化を操作者が認識できるように構成された画像であってもよい。具体的には、前方画像は、
図5Bに示すように、実際の掘削アタッチメントATの動きに応じて色、輝度、及び濃淡等の少なくとも1つが変化するように表示される、掘削アタッチメントATの先端側部分を表す図形G51~G54を含んでいてもよい。図形G51~図形G54は、典型的には、所定の間隔を空けて配置される。この場合、前方画像は、操作者が変化の段階数を認識できるように構成されていてもよい。
図5Bは、段階数が4段階であることを表している。また、
図5Bに示す例では、図形G51~G54のそれぞれの輪郭は、イラスト画像AM上に常に表示されているが、掘削アタッチメントATの動きに応じて表示・非表示が切り換えられてもよい。
【0211】
また、前方画像は、
図5Aに示すように、アームフートピンが取り付けられる部分等を含むブーム4の上側部分を表す図形G1を含んでいてもよい。そして、図形G1は、アームシリンダ8を表す図形を含んでいてもよく、アームシリンダ8を表す図形を含んでいなくてもよい。一方で、図形G1は、ブームフートピンが取り付けられる部分、及び、ブームシリンダ7の先端が取り付けられる部分等を含むブーム4の下側部分を表す図形を含んでいない。また、図形G1は、ブームシリンダ7を表す図形を含んでいない。積み込み作業又はクレーン作業等を支援する際に操作者に提示する必要性が低い部分であるブーム4の下側部分を表す図形の表示を省略して図形G1を簡略化することで、積み込み作業又はクレーン作業等を支援する際に操作者に提示する必要性が高い部分であるブーム4の上側部分を表す図形の視認性を高めるためである。このように、前方画像は、アタッチメントの上側部分の画像を含む一方で、アタッチメントの下側部分の画像を含まないように構成されていてもよい。
【0212】
表示装置40は、典型的には、作業機械の周辺に位置する物と掘削アタッチメントAT又は掘削アタッチメントATによって持ち上げられている物との旋回半径方向に関する相対的な位置関係を表す図形を表示するように構成されている。
【0213】
作業機械の周辺に位置する物は、例えば、作業機械としてのショベル100によって設置された設置物である。設置物は、例えば、土管若しくはヒューム管等の導水管、又は、U字溝等である。また、設置物は、掘削によって形成された盛り土であってもよい。この場合、図形は、設置物に関する位置と掘削アタッチメントATによって持ち上げられている物との旋回半径方向に関する相対的な位置関係を表すように構成されていてもよい。
【0214】
ダンプトラック60と掘削アタッチメントATとの相対的な位置関係を表す図形は、例えば、
図5Aに示す図形G1~図形G4、
図5Bに示す図形G5及びG6、
図5Cに示す図形G3A、
図6Aに示す図形GP10~図形GP14、
図6Bに示す図形GP20~図形GP22、
図6Cに示す図形GP30~図形GP34、
図6Dに示す図形GP40~図形GP42、又は、
図6Eに示す図形GP50及び図形GP51等である。或いは、既設物と掘削アタッチメントATによって持ち上げられている物との相対的な位置関係を表す図形は、例えば、
図7に示す図形G1~G3、図形G70~図形G74、及び図形G80~図形G83、
図8に示す図形GP60及び図形GP61、又は、
図9に示す図形GP70及び図形GP71等である。この構成により、表示装置40に表示された図形を見たショベル100の操作者は、上部旋回体3の前方に位置する物と掘削アタッチメントAT又は掘削アタッチメントATによって持ち上げられている物との相対的な位置関係を直感的に把握できる。
【0215】
ダンプトラック60と掘削アタッチメントATとの相対的な位置関係を表す図形は、バケット6の現在の状態、及び、バケット6を開いたときのバケット6の状態のそれぞれに対応するように表示されてもよい。例えば、
図5Cに示す図形G3は、バケット6の現在の状態に対応し、図形G3Aは、バケット6を開いたときのバケット6の状態に対応するように表示されている。この構成により、表示装置40に表示された図形を見たショベル100の操作者は、例えば、バケット6を開く前に、バケット6を開いたときのバケット6とダンプトラック60との相対的な位置関係を直感的に把握できる。
【0216】
ショベル100は、掘削アタッチメントATの動きを制限する制御装置としてのコントローラ30を有していてもよい。そして、コントローラ30は、例えば、上部旋回体3の前方に位置する物と掘削アタッチメントAT又は掘削アタッチメントATによって持ち上げられている物とが接触するおそれがあると判定した場合、掘削アタッチメントATの動きを停止させるように構成されていてもよい。この構成により、コントローラ30は、ダンプトラック60と掘削アタッチメントATとの接触を効果的に防止できる。
【0217】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0218】
例えば、ショベル100は、
図5A、
図5B、又は
図5Cに示すイラスト画像AMと、
図6A、
図6B、
図6C、
図6D、又は
図6Eに示すAR画像とを同時に表示させてもよい。或いは、ショベル100は、
図5A、
図5B、及び
図5Cのそれぞれに示すイラスト画像AMの少なくとも2つを択一的に切り換えて表示させてもよく、
図6A、
図6B、及び
図6Eのそれぞれに示すAR画像を択一的に切り換えて表示させてもよく、
図6C、
図6D、及び
図6Eのそれぞれに示すAR画像を択一的に切り換えて表示させてもよい。同様に、ショベル100は、
図7に示すイラスト画像AMと、
図8に示すAR画像とを同時に表示させてもよい。或いは、ショベル100は、
図7に示すイラスト画像AMと、
図8に示すAR画像とを択一的に切り換えて表示させてもよい。
【0219】
また、ショベル100が取得する情報は、
図10に示すようなショベルの管理システムSYSを通じ、関係者と共有されてもよい。関係者は、例えば、ショベル100の操作者、施工現場にいる作業者、他のショベルの操作者、又はショベル100の管理者等である。
図10は、ショベル100の管理システムSYSの構成例を示す概略図である。管理システムSYSは、1台又は複数台のショベル100を管理するシステムである。本実施形態では、管理システムSYSは、主に、ショベル100、支援装置200、及び管理装置300で構成されている。管理システムSYSを構成するショベル100、支援装置200、及び管理装置300のそれぞれは、1台であってもよく、複数台であってもよい。
図10に示す例では、管理システムSYSは、1台のショベル100と、1台の支援装置200と、1台の管理装置300とを含む。
【0220】
支援装置200は、所定の通信回線を通じて、管理装置300と通信可能に接続される。また、支援装置200は、所定の通信回線を通じて、ショベル100と通信可能に接続されてもよい。所定の通信回線には、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、通信衛星を利用する衛星通信網、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の通信規格による近距離無線通信網等が含まれてよい。支援装置200は、例えば、ショベル100のオペレータ若しくはオーナ等、作業現場の作業者若しくは監督者等、又は、管理装置300の管理者若しくは作業者等のユーザ(以下、「支援装置ユーザ」とする。)が利用するユーザ端末である。支援装置200は、例えば、ラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、又はスマートフォン等の携帯端末である。また、支援装置200は、例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末等の定置型の端末装置であってもよい。
【0221】
管理装置300は、所定の通信回線を通じて、ショベル100又は支援装置200と通信可能に接続される。管理装置300は、例えば、作業現場の外部の管理センタ等に設置されるクラウドサーバである。また、管理装置300は、例えば、作業現場内の仮設事務所等又は作業現場に相対的に近い通信施設(例えば、基地局又は局舎等)に設置されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置300は、例えば、作業現場内で使用される端末装置であってもよい。端末装置は、例えば、ラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、又はスマートフォン等の携帯端末であってもよいし、例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末等の定置型の端末装置であってもよい。
【0222】
支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方は、モニタと遠隔操作用の操作装置とを備えていてもよい。この場合、操作者は、遠隔操作用の操作装置を用いてショベル100を操作してもよい。遠隔操作用の操作装置は、例えば、無線LAN等の無線通信ネットワークを通じ、コントローラ30に接続される。以下では、ショベル100と支援装置200との間での情報のやり取りについて説明するが、以下の説明は、ショベル100と管理装置300との間での情報のやり取りについても同様に適用される。
【0223】
また、キャビン10の表示装置40に表示されうる内容(例えば、ショベル100の周囲の様子を表す画像情報、各種の設定画面、前画像VM、イラスト画像AM、又はAR画像に相当する画面等)と同様の情報画像が、支援装置200又は管理装置300の表示装置で表示されてもよい。ショベル100の周囲の様子を表す画像情報は、撮像装置80の撮像画像等に基づき生成されてよい。これにより、支援装置ユーザ又は管理装置ユーザは、ショベル100の周囲の様子を確認しながら、ショベル100の遠隔操作を行ったり、ショベル100に関する各種の設定を行ったりすることができる。
【0224】
上述のようなショベル100の管理システムSYSでは、ショベル100のコントローラ30は、画像提示部30Bが生成した前方画像としてのイラスト画像AM又はAR画像等を支援装置200に送信してもよい。その際、コントローラ30は、例えば、周囲監視装置(空間認識装置)としての撮像装置80が撮像した画像等を支援装置200に送信してもよい。更に、コントローラ30は、ショベル100の作業内容に関するデータ、ショベル100の姿勢に関するデータ、及び掘削アタッチメントの姿勢に関するデータ等の少なくとも1つに関する情報を支援装置200に送信してもよい。支援装置200を利用する関係者が、作業現場に関する情報を入手できるようにするためである。ショベル100の作業内容に関するデータは、例えば、排土動作が行われた回数である積み込み回数、ダンプトラック60の荷台61に積み込んだ土砂等の被掘削物に関する情報、積み込み作業に関するダンプトラック60の種類、積み込み作業が行われたときのショベル100の位置に関する情報、作業環境に関する情報、及び、積み込み作業が行われているときのショベル100の動作に関する情報等の少なくとも1つである。被掘削物に関する情報は、例えば、各回の掘削動作で掘削された被掘削物の重量及び種類等、ダンプトラック60に積み込まれた被掘削物の重量及び種類等、及び、1日の積み込み作業で積み込まれた被掘削物の重量及び種類等の少なくとも1つである。作業環境に関する情報は、例えば、ショベル100の周囲にある地面の傾斜に関する情報、又は、作業現場の周辺の天気に関する情報等である。ショベル100の動作に関する情報は、例えば、操作圧センサ29の出力、及び、シリンダ圧センサの出力等の少なくとも1つである。
【0225】
なお、コントローラ30が有する機能要素である位置取得部30A、画像提示部30B、及び操作支援部30Cの少なくとも1つは、支援装置200における制御装置が有する機能要素として実現されてもよい。
【0226】
このように、本発明の実施形態に係る支援装置200は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられる掘削アタッチメントATと、を有するショベル100による作業を支援するように構成されている。そして、支援装置200は、上部旋回体3の前方に位置するダンプトラック60と掘削アタッチメントATとの相対的な位置関係を表す前方画像を表示する表示装置を有している。この構成により、支援装置200は、上部旋回体3の前方の領域に関する情報を関係者に提示できる。
【0227】
ショベル100の遠隔操作が行われる場合、支援装置200の表示装置に表示された画像を通じて操作者が視認できる、荷台61の前後方向におけるバケット6とフロントパネル63との間の距離は、キャビン10のフロントガラスFGを通して視認する場合に比べ更に把握し難くなるが、支援装置200は、上述のような前方画像を表示することで、キャビン10での操作の場合と同様に、操作者によるショベル100の操作を効果的に支援できる。
【0228】
また、上述の実施形態では、油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作システムが開示されている。例えば、ブーム操作レバー26Aに関する油圧式パイロット回路では、パイロットポンプ15からブーム操作レバー26Aへ供給される作動油が、ブーム操作レバー26Aの開き方向への傾倒によって動かされる遠隔制御弁の開度に応じた圧力で、制御弁154のパイロットポートへ供給される。或いは、バケット操作レバー26Bに関する油圧式パイロット回路では、パイロットポンプ15からバケット操作レバー26Bへ供給される作動油が、バケット操作レバー26Bの開き方向への傾倒によって動かされる遠隔制御弁の開度に応じた圧力で、制御弁158のパイロットポートへ供給される。
【0229】
但し、このような油圧式パイロット回路を備えた油圧式操作システムではなく、電気式パイロット回路を備えた電気式操作システムが採用されてもよい。この場合、電気式操作システムにおける電気式操作レバーのレバー操作量は、例えば、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、電気式操作レバーを用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、レバー操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。なお、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて電磁的に動作する。
【0230】
電気式操作レバーを備えた電気式操作システムが採用された場合、コントローラ30は、油圧式操作レバーを備えた油圧式操作システムが採用される場合に比べ、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能等を容易に実行できる。
図11は、電気式操作システムの構成例を示す。具体的には、
図11の電気式操作システムは、ブーム4を上下させるためのブーム操作システムの一例であり、主に、パイロット圧作動型のコントロールバルブユニット17と、電気式操作レバーとしてのブーム操作レバー26Aと、コントローラ30と、ブーム上げ操作用の電磁弁65と、ブーム下げ操作用の電磁弁66とで構成されている。
図11の電気式操作システムは、下部走行体1を走行させるための走行操作システム、上部旋回体3を旋回させるための旋回操作システム、アーム5を開閉させるためのアーム操作システム、及び、バケット6を開閉させるためのバケット操作システム等にも同様に適用され得る。
【0231】
パイロット圧作動型のコントロールバルブユニット17は、
図2に示すように、走行直進弁としての制御弁150、左走行用油圧モータ2MLに関する制御弁151、右走行用油圧モータ2MRに関する制御弁152、ブームシリンダ7に関する制御弁153及び制御弁154、アームシリンダ8に関する制御弁155及び制御弁156、旋回用油圧モータ2Aに関する制御弁157、並びに、バケットシリンダ9に関する制御弁158等を含む。電磁弁65は、パイロットポンプ15と制御弁153及び制御弁154のそれぞれにおけるブーム上げ側パイロットポートとを繋ぐ管路内の作動油の圧力を調節できるように構成されている。電磁弁66は、パイロットポンプ15と制御弁153及び制御弁154のそれぞれにおけるブーム下げ側パイロットポートとを繋ぐ管路内の作動油の圧力を調節できるように構成されている。
【0232】
手動操作が行われる場合、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Aの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じてブーム上げ操作信号(電気信号)又はブーム下げ操作信号(電気信号)を生成する。ブーム操作レバー26Aの操作信号生成部が出力する操作信号は、ブーム操作レバー26Aの操作量及び操作方向に応じて変化する電気信号である。
【0233】
具体的には、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Aがブーム上げ方向に操作された場合、レバー操作量に応じたブーム上げ操作信号(電気信号)を電磁弁65に対して出力する。電磁弁65は、ブーム上げ操作信号(電気信号)に応じて動作し、制御弁153及び制御弁154のそれぞれにおけるブーム上げ側パイロットポートに作用する、ブーム上げ操作信号(圧力信号)としてのパイロット圧を制御する。同様に、コントローラ30は、ブーム操作レバー26Aがブーム下げ方向に操作された場合、レバー操作量に応じたブーム下げ操作信号(電気信号)を電磁弁66に対して出力する。電磁弁66は、ブーム下げ操作信号(電気信号)に応じて動作し、制御弁153及び制御弁154のそれぞれにおけるブーム下げ側パイロットポートに作用する、ブーム下げ操作信号(圧力信号)としてのパイロット圧を制御する。
【0234】
自律制御を実行する場合、コントローラ30は、例えば、ブーム操作レバー26Aの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に応じる代わりに、補正操作信号(電気信号)に応じてブーム上げ操作信号(電気信号)又はブーム下げ操作信号(電気信号)を生成する。補正操作信号は、コントローラ30が生成する電気信号であってもよく、コントローラ30以外の制御装置等が生成する電気信号であってもよい。
【0235】
また、上述の実施形態では、ショベル100は、キャビン10内に操作者が搭乗できるように構成されているが、遠隔操作式のショベルであってもよい。この場合、操作者は、例えば、作業現場の外にある遠隔操作室に設置された操作装置と通信装置とを用いてショベル100を遠隔的に操作できる。この場合、コントローラ30は、遠隔操作室に設置されていてもよい。すなわち、遠隔操作室に設置されたコントローラ30と、ショベル100とは、ショベル用のシステムを構成していてもよい。
【0236】
本願は、2019年7月17日に出願した日本国特許出願2019-132194号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0237】
1・・・下部走行体 1C・・・クローラ 1CL・・・左クローラ 1CR・・・右クローラ 2・・・旋回機構 2A・・・旋回用油圧モータ 2M・・・走行用油圧モータ 2ML・・・左走行用油圧モータ 2MR・・・右走行用油圧モータ 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 11・・・エンジン 13・・・レギュレータ 14・・・メインポンプ 15・・・パイロットポンプ 17・・・コントロールバルブユニット 26・・・操作装置 26A・・・ブーム操作レバー 26B・・・バケット操作レバー 28・・・吐出圧センサ 29、29A、29B・・・操作圧センサ 30・・・コントローラ 30A・・・位置取得部 30B・・・画像提示部 30C・・・操作支援部 40・・・表示装置 40a・・・制御部 41・・・画像表示部 42・・・操作部 43・・・音出力装置 45・・・センターバイパス管路 50、50L、50R・・・減圧弁 60・・・ダンプトラック 61・・・荷台 61P・・・支柱 62・・・ゲート 62B・・・リヤゲート 62L・・・左サイドゲート 62R・・・右サイドゲート 63・・・フロントパネル 65、66・・・電磁弁 70・・・物体検知装置 70B・・・後センサ 70F・・・前センサ 70L・・・左センサ 70R・・・右センサ 80・・・撮像装置 80B・・・後カメラ 80F・・・前カメラ 80L・・・左カメラ 80R・・・右カメラ 100・・・ショベル 150~158・・・制御弁 200・・・支援装置 300・・・管理装置 AM・・・イラスト画像 AT・・・掘削アタッチメント CBT・・・後画像 FG・・・フロントガラス G1~G6、G3A、G3B、G10~G12、G20~G22、G40~G42、G51~G54、G60~G62、G70~G74、G80~G83、GP10~GP14、GP20~GP22、GP30~GP34、GP40~GP42、GP50、GP51、GP60、GP61、GP70、GP71・・・図形 S1・・・ブーム角度センサ S2・・・アーム角度センサ S3・・・バケット角度センサ S4・・・機体傾斜センサ S5・・・旋回角速度センサ SYS・・・管理システム V1~V5、V11~V14、V21~V24・・・画像 VM・・・前画像