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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電気集塵機および電気集塵機製造方法
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/47 20060101AFI20241016BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B03C3/47
B03C3/40 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019233895
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102185
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永吉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 優介
(72)【発明者】
【氏名】栗田 加奈絵
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-073152(JP,U)
【文献】実開昭62-136235(JP,U)
【文献】実開昭62-035646(JP,U)
【文献】国際公開第2019/050151(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電極板と、前記複数の第1の電極板とは極性の異なる複数の第2の電極板とが、互い違いに配置された集塵部を備える電気集塵機であって、
前記複数の第1の電極板を保持する固定側保持部材と可動側保持部材とを備え、
前記固定側保持部材は、
複数の固定側スペーサと、
前記複数の固定側スペーサを連結する固定側連結部とを備え、
前記可動側保持部材は、
前記複数の固定側スペーサに噛み合う複数の可動側スペーサと、
前記複数の可動側スペーサを連結する可動側連結部とを備え、
前記固定側保持部材には、前記第1の電極板と平行な位置決め面が形成され、
前記複数の可動側スペーサの各々は、前記可動側保持部材が前記固定側保持部材の前記位置決め面に接触するとき、前記複数の第1の電極板の積層方向において前記複数の固定側スペーサのうちの2つの固定側スペーサの間に位置し、
前記複数の第1の電極板の各々は、前記複数の固定側スペーサのうちの1つの固定側スペーサと、前記複数の可動側スペーサのうちの1つの可動側スペーサとに挟持される、
電気集塵機。
【請求項2】
前記複数の第1の電極板は、
前記1つの固定側スペーサにおける一方の面に接触する電極板と、
前記1つの固定側スペーサにおける他方の面に接触する電極板と、を含む、
請求項1に記載の電気集塵機。
【請求項3】
前記電極板の厚さdと、前記可動側スペーサの幅wと、前記可動側スペーサを挟んで隣り合う2つの前記固定側スペーサ同士の間隔gとは、次式:
g-w≧2×d
を満足する、
請求項2に記載の電気集塵機。
【請求項4】
前記複数の固定側スペーサと前記複数の可動側スペーサとが、互い違いに配置される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気集塵機。
【請求項5】
前記固定側保持部材には、前記複数の第1の電極板の第1方向に対する位置決めを行う電極板位置決め面が形成され、
前記可動側保持部材には、前記複数の第1の電極板の前記第1方向とは異なる第2方向に対する位置決めを行う電極板載置面が形成される、
請求項1に記載の電気集塵機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気集塵機
を製造する電気集塵機製造方法であり、
前記複数の第1の電極板が前記複数の固定側スペーサに接触するように、前記複数の第1の電極板を配置するステップと、
前記複数の第1の電極板が前記複数の固定側スペーサに接触した状態で、前記複数の第1の電極板の各々が前記1つの固定側スペーサと前記1つの可動側スペーサとの間に挟持されるように、前記複数の固定側スペーサに前記複数の可動側スペーサを噛み合わせるステップと、
を備える電気集塵機製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、電気集塵機および電気集塵機製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を吸引し、吸引した空気から塵埃を除去する電気集塵機の集塵部として、帯電された塵埃を捕集する集塵電極部を備えたものがある。集塵電極部は、極性が異なり、平板状に形成された複数の第1の電極と複数の第2の電極とが、互い違いに平行に配置される。
【0003】
かかる電気集塵機の集塵部の一例として、樹脂でシート状に形成した多数の集塵電極を、櫛状の保持部材で一体的に保持することでブロック状に形成した集塵電極部、および、樹脂でシート状に形成した多数の高圧電極を、櫛状の保持部材で一体的に保持することでブロック状に形成した高圧電極部を備えたものが知られている。そして、それぞれ保持部材で保持された状態の集塵電極部および高圧電極部を組み合わせることにより、集塵電極および高圧電極を互い違いに平行に配置している(例えば、特許文献1を参照)。これによれば、集塵部の各電極がシート状に薄く形成されていることで、集塵部の大型化を抑制しつつ集塵性能を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-95799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電極の保持部材において、複数の電極がそれぞれ差し込まれる複数の隙間は、電極の厚みに応じて形成される必要があり、例えば電極が薄いほど狭く形成される必要がある。しかし、保持部材を例えば樹脂を材料とする射出成型などで作製するときには、金型の制約によって、保持部材に狭い隙間を形成することが困難である。このため、電気集塵機の集塵部は、電極が薄いときに、保持部材の隙間の形成が容易ではないという問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、集塵部における保持部材の形成を容易にする電気集塵機および電気集塵機製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による電気集塵機は、複数の第1の電極板と、複数の第1の電極板とは極性の異なる複数の第2の電極板とが、互い違いに配置された集塵部を備える。集塵部は、複数の第1の電極板を保持する固定側保持部材と可動側保持部材とを備える。前記固定側保持部材は、複数の固定側スペーサと、前記複数の固定側スペーサを連結する固定側連結部とを備え、前記可動側保持部材は、前記複数の固定側スペーサに噛み合う複数の可動側スペーサと、前記複数の可動側スペーサを連結する可動側連結部とを備えている。前記固定側保持部材には、前記第1の電極板と平行な位置決め面が形成され、前記複数の可動側スペーサの各々は、前記可動側保持部材が前記固定側保持部材の前記位置決め面に接触するとき、前記複数の第1の電極板の積層方向において前記複数の固定側スペーサのうちの2つの固定側スペーサの間に位置し、前記複数の第1の電極板の各々は、前記複数の固定側スペーサのうちの1つの固定側スペーサと、前記複数の可動側スペーサのうちの1つの可動側スペーサとに挟持されている。
【発明の効果】
【0008】
開示の電気集塵機および電気集塵機製造方法は、集塵部における保持部材の形成を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の電気集塵機を備える空気清浄機の概略構成図である。
図2図2は、集塵部を示す斜視図である。
図3図3は、高圧側電極部を示す斜視図である。
図4図4は、高圧側電極部を示す上面図である。
図5図5は、高圧側電極板保持部材を示す斜視図である。
図6図6は、固定側保持部材を示す斜視図である。
図7図7は、第1可動側保持部材と第2可動側保持部材とを示す斜視図である。
図8図8は、複数の高圧側電極板のうちの1つの高圧側電極板を示す斜視図である。
図9図9は、高圧側電極部の一部を示す拡大側面図である。
図10図10は、下側台座を示す斜視図である。
図11図11は、集塵部を示す側面図である。
図12図12は、集塵部を示す上面図である。
図13図13は、高圧側電極部の組立時の固定側保持部材と第1可動側保持部材と第2可動側保持部材とを示す側面図である。
図14図14は、高圧側電極部の組立時の高圧側電極部を示す側面図である。
図15図15は、集塵部の組立途中の高圧側電極部と接地側電極部と下側台座とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる電気集塵機および電気集塵機製造方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
まず、実施例1の電気集塵機の集塵部を備える空気清浄機の概略について説明する。図1は、実施例1の電気集塵機を備える空気清浄機1の概略構成図である。実施例1である空気清浄機1は、図1に示すように、空気を清浄化するための装置類を収納する筐体10を備える。筐体10には、室内の空気を吸引する吸込口11と、清浄化された空気を室内に吹き出す吹出口12とが形成されている。筐体10は、合成樹脂材で略直方体状に形成されている。なお、本実施例では、前後、左右、上下方向については、X軸、Y軸、及びZ軸から構成される直交座標系を用いて規定する。図中、矢印の指し示す方向がプラス方向である。本実施例では、X軸、Y軸は、図1における空気清浄機1の設置面と水平な方向に軸方向を有しており、Z軸は、X軸、Y軸に直交する方向に軸方向を有している。
【0012】
筐体10内には、吸引された空気から大きな塵埃を除去するプレフィルタ14と、プレフィルタ14を通過した空気中の塵埃を静電気力によって集塵する複数の電気集塵機2と、電気集塵機2を通過した空気を脱臭処理する脱臭フィルタ5とが設けられる。
【0013】
プレフィルタ14は、例えば糸状のPET材を編みこんだ網目構造を有し、図示しない樹脂枠で保持される。プレフィルタ14は、筐体10の内部に吸い込まれた空気に含まれている比較的大きな塵埃を捕集する。脱臭フィルタ5は、触媒フィルタを有する。そして、脱臭フィルタ5は、プレフィルタ14および電気集塵機2で塵埃が除かれた空気から、触媒フィルタで例えばアンモニアやメチルメルカプタン等の臭気成分やホルムアルデヒド等の有害成分を取り除く脱臭処理を行う。なお、触媒フィルタは、加熱により臭気の吸着機能が再生できる加熱再生型の構造を有することが好ましい。
【0014】
電気集塵機2は、本実施例においては筐体10内に3つ上下に配置されているが、配置される数は何ら限定されない。各電気集塵機2は、後に詳述する荷電部3と集塵部4とを有し、荷電部3には、荷電部3の電極に電力を供給する荷電部用高圧電源30が設けられる。
【0015】
また、筐体10内には、脱臭フィルタ5の下流側に配置されるファン6と、ファン6を回転させるモータ61と、電気集塵機2やモータ61を制御する制御部を有する電源制御基板7とが設けられる。さらに、筐体10内には、電気集塵機2の集塵部4に電力を供給する集塵部用高圧電源40と、吸込口11から吸引された空気の塵埃濃度を検出する埃センサ13とが設けられる。なお、筐体10には、運転開始操作、運転停止操作、風量設定などを行う操作部(図示せず)と接続される操作表示基板15が設けられる。なお、操作部は、筐体10の上面部に設けられており、電源ボタンや運転モード切り換えボタン等の空気清浄機1を操作するボタンが配置されるとともに、空気清浄機1の運転状態や埃センサ13による検出結果等を表示する表示部が配置される。
【0016】
こうして、図中の矢印fで示されるように、吸込口11から吸引された室内の空気は、空気中の塵埃がプレフィルタ14と電気集塵機2とにより捕集されることで除塵される。そして、清浄化された清浄空気が吹出口12から室内に吹き出される。特に、本実施例に係る空気清浄機1は、脱臭フィルタ5を備えているため、脱臭効果も奏する。
【0017】
ここで、電気集塵機2の集塵作用について簡単に説明する。電気集塵機2の荷電部3が備える荷電部放電電極(不図示)に、予め設定された正極性の高電圧(例えば+4.7kV)を印加し、荷電部対向電極(不図示)を荷電部用高圧電源30の接地極(アース)に接続する。こうすることで、荷電部放電電極と荷電部対向電極との間でコロナ放電が起こる。なお、複数の荷電部放電電極と複数の荷電部対向電極とは、異なる極性をもち、図示しない枠部に保持された状態で、交互に配置されている。なお、ここでの異なる極性とは、正極性、負極性、そして無極性(アース)の3つの極性のうちの、2つの極性の組合せのことを意味する。
【0018】
荷電部放電電極と荷電部対向電極との間でコロナ放電が起こると、荷電部放電電極と荷電部対向電極との間の空間は、正に帯電したイオンを含む空気で満たされる。そして、正イオンで満たされた空間を塵埃が通過する際に、その通過時間と荷電部放電電極と荷電部対向電極とで作られる電界の強さに応じて、イオンと塵埃の衝突による電荷の移動が起こり、塵埃に正の電荷が帯電する。
【0019】
一方、集塵部4では、高圧側の電極部を形成する第1の極性の電極板(後述の高圧側電極板91)に予め設定された正極性の高電圧(例えば+4.7kV)が印加される。他方、集塵側の電極部を形成する、第1の電極板とは極性の異なる第2の極性の電極板(後述の接地側電極板101)は、集塵部用高圧電源40の接地極(アース)に接続される。なお、集塵部4では、複数の第1の電極板と複数の第2の電極板とが互い違いに配置されている。こうすることにより、両電極間に所定の静電界が形成される。
【0020】
図1において、荷電部3で正に帯電した塵埃は、集塵部4に移動すると、同極性の高圧側の電極部における第1の電極からの斥力を受ける。そして、かかる塵埃は、塵埃と反対極性の第2の電極に吸引される方向に引力を受けて第2の電極に到達する。こうして、第2の電極に塵埃が付着することで塵埃が捕集される。さらに、正に帯電されていた塵埃が第2の電極に触れると、塵埃に帯電していた正の電荷がアースに流される。そのため、帯電した塵埃の付着により第2の電極が正極に帯電してしまうことが防止され、捕集力の低下が抑制される。
【0021】
上述した電気集塵機2をより小型化するためには、例えば、集塵部4の高圧側および集塵側の各電極部を構成する第1の電極および第2の電極を、できるだけ薄く形成することが好ましい。また、第1の電極および第2の電極を薄くしても、高圧側の電極部および集塵側の電極部を組み立てる際の組立性も良好にすることが望ましい。
【0022】
図2は、集塵部4を示す斜視図である。集塵部4は、高圧側電極部41と、接地側電極部42と、下側台座43と、上側台座44と、2つの高圧側給電部材45と、2つの接地側給電部材46と、を備えている。図3は、高圧側電極部41を示す斜視図である。図4は、高圧側電極部41を示す上面図である。高圧側電極部41は、高圧側電極板保持部材47と高圧側電極板群48とを備えている。高圧側電極板群48は、複数の高圧側電極板91から形成されている(いくつかの図面では、複数の高圧側電極板91のうちのいくつかの高圧側電極板を図示しないことにより、要部を視認しやすくしている。)。図5は、高圧側電極板保持部材47を示す斜視図である。高圧側電極板保持部材47は、固定側保持部材50と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とを備えている。
【0023】
図6は、固定側保持部材50を示す斜視図である。固定側保持部材50は、樹脂に例示される絶縁体から形成され、第1固定側保持部材57と、第2固定側保持部材58と、上側位置決め部55と、下側位置決め部56と、を備えている。第1固定側保持部材57は、複数の第1固定側スペーサ65と、複数の第1固定側スペーサ65同士を連結する第1固定側連結部53とを備える。第2固定側保持部材58は、複数の第2固定側スペーサ68と、複数の第2固定側スペーサ68同士を連結する第2固定側連結部54とを備える。
【0024】
第1固定側連結部53は、Z軸方向に向かって延びる板状に形成されている。第1固定側連結部53には、第1固定側保持部材57に保持される高圧側電極板群48のX軸方向の位置決めを行う、第1電極板位置決め面60が形成されている。第1電極板位置決め面60は、平坦であり、YZ平面に沿うように、第1固定側連結部53の一方の面(X軸正方向側の面)に形成されている。第2固定側連結部54は、Z軸方向に向かって延びる板状に形成されている。第2固定側連結部54には、第2電極板位置決め面62が形成されている。第2電極板位置決め面62は、平坦であり、YZ平面に沿うように、第2固定側連結部54の一方の面(X軸負方向側の面)に形成されている。第1固定側連結部53と第2固定側連結部54とは、Z軸に平行である2つの直線にそれぞれ沿うように配置されている。第1固定側連結部53と第2固定側連結部54とは、第1電極板位置決め面60と第2電極板位置決め面62とが向かい合うように、YZ平面と平行な2つの平面に対して第1電極板位置決め面60と第2電極板位置決め面62とがそれぞれ沿うように、配置されている。
【0025】
上側位置決め部55は、棒状に形成されている。上側位置決め部55は、第1固定側保持部材57と第2固定側保持部材58とに連結され、2つの固定側保持部材(57、58)同士を相互に位置決めしている。上側位置決め部55は、X軸と平行に配置されている。上側位置決め部55のX軸方向の一端は、第1固定側連結部53のZ軸方向の一端の近傍に配置され、第1固定側連結部53に固定されている。上側位置決め部55のX軸方向の他端は、第2固定側連結部54のZ軸方向の一端の近傍に配置され、第2固定側連結部54に固定されている。
【0026】
下側位置決め部56は、棒状に形成されている。下側位置決め部56は、上側位置決め部55と同様、X軸と平行に配置されている。下側位置決め部56のX軸方向の一端は、第1固定側連結部53のZ軸方向の他端の近傍に配置され、第1固定側連結部53に固定されている。下側位置決め部56のX軸方向の他端は、第2固定側連結部54のZ軸方向の他端の近傍に配置され、第2固定側連結部54に固定されている。すなわち、第1固定側連結部53と第2固定側連結部54とは、第1電極板位置決め面60と第2電極板位置決め面62とが向かい合うように、上側位置決め部55と下側位置決め部56とにより互いに固定されている。
【0027】
上側位置決め部55には、保持部材上側位置決め面63が形成されている。保持部材上側位置決め面63は、平坦であり、XY平面に沿うように、かつ、下側位置決め部56側を向くように、上側位置決め部55のZ軸負方向側に形成されている。下側位置決め部56には、保持部材下側位置決め面64が形成されている。保持部材下側位置決め面64は、平坦であり、XY平面に沿うように、かつ、上側位置決め部55側を向くように、下側位置決め部56のZ軸正方向側に形成されている。すなわち、保持部材上側位置決め面63と保持部材下側位置決め面64とは、向かい合っている。
【0028】
第1固定側保持部材57は、複数の第1固定側スペーサ65を備える。複数の第1固定側スペーサ65は、それぞれ板状に形成されている。複数の第1固定側スペーサ65は、そのZ軸方向の厚さがいずれも一定の厚み(例えば4.4mm)となるように形成されている。各第1固定側スペーサ65は、上側固定側当接面66と下側固定側当接面67とが形成されている。上側固定側当接面66は、平坦であり、第1固定側スペーサ65のZ軸方向の一方側の面に形成されている。下側固定側当接面67は、平坦であり、上側固定側当接面66と平行に、第1固定側スペーサ65のうちの上側固定側当接面66が形成されている面とは反対側の面(第1固定側スペーサ65のZ軸方向の他方側の面)に形成されている。第1固定側保持部材57の備える複数の第1固定側スペーサ65は、いずれも同一形状に形成されている。
【0029】
第1固定側保持部材57が備える複数の第1固定側スペーサ65は、上側固定側当接面66と下側固定側当接面67とがXY平面に対してそれぞれ平行な状態で、Z軸方向において等間隔に並んでいる。第1固定側スペーサ65は、上側固定側当接面66が他の第1固定側スペーサ65の下側固定側当接面67に向かい合うように、配置されている。第1固定側スペーサ65は、下側固定側当接面67が他の第1固定側スペーサ65の上側固定側当接面66に向かい合うように、配置されている。複数の第1固定側スペーサ65は、さらに、Z軸方向に隣り合う第1固定側スペーサ65、65同士の間(対向する下側固定側当接面67と上側固定側当接面66との間)に形成される隙間の幅(間隔g)が互いに等しくなるように、並べられている。複数の第1固定側スペーサ65は、第1固定側連結部53のうちの第1電極板位置決め面60が形成されている側(X軸正方向側)に配置され、第1固定側連結部53に固定されている。
【0030】
ここで、第2固定側保持部材58は、上側位置決め部55や下側位置決め部56の長手方向(X軸方向)の中央においてX軸と直交する仮想平面に対し、第1固定側保持部材57と面対称となる形状に形成されている。すなわち、第2固定側保持部材58の備える複数の第2固定側スペーサ68は、第1固定側保持部材57の備える複数の第1固定側スペーサ65と同一形状に形成されている。各第2固定側スペーサ68は、上側固定側当接面66と下側固定側当接面67とが形成されている。上側固定側当接面66は、平坦であり、第2固定側スペーサ68のZ軸方向の一方側の面に形成されている。下側固定側当接面67は、平坦であり、上側固定側当接面66と平行に、第2固定側スペーサ68のうちの上側固定側当接面66が形成されている面とは反対側の面(第2固定側スペーサ68のZ軸方向の他方側の面)に形成されている。第2固定側保持部材58が備える複数の第2固定側スペーサ68は、いずれも同一形状に形成されている。
【0031】
第2固定側保持部材58が備える複数の第2固定側スペーサ68は、上側固定側当接面66と下側固定側当接面67とがYZ平面に対してそれぞれ平行な状態で、Z軸方向において等間隔に並んでいる。第2固定側スペーサ68は、上側固定側当接面66が他の第2固定側スペーサ68の下側固定側当接面67に向かい合うように、配置されている。第2固定側スペーサ68は、さらに、第2固定側スペーサ68の下側固定側当接面67が他の第2固定側スペーサ68の上側固定側当接面66に向かい合うように、配置されている。第2固定側保持部材58は、さらに、Z軸方向に隣り合う第2固定側スペーサ68、68同士の間(対向する下側固定側当接面67と上側固定側当接面66との間)に形成される隙間の幅(間隔)が、第1固定側保持部材57と同様、互いに等しくなるように、並べられている。すなわち、第1固定側保持部材57と第2固定側保持部材58とは、複数の第1固定側スペーサ65同士の隙間の間隔と、複数の第2固定側スペーサ68同士の隙間の間隔が、互いに等しくなるように形成されている。複数の第2固定側スペーサ68は、第2固定側連結部54のうちの第2電極板位置決め面62が形成されている側(X軸負方向側)に配置され、第2固定側連結部54に固定されている。
【0032】
固定側保持部材50は、さらに、Y軸に平行な対称軸に関して対称に形成されている。すなわち、固定側保持部材50は、対称軸を中心に180度回転して平行移動することにより、元の位置に配置された固定側保持部材50に重なり合う。
【0033】
図7は、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とを示す斜視図である。第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とは、樹脂に例示される絶縁体から形成される。第1可動側保持部材51は、複数の第1可動側スペーサ76と、複数の第1可動側スペーサ76同士を連結する第1可動側連結部71とを備える。第1可動側連結部71には、上側位置決め部72と下側位置決め部73とが形成されている。第1可動側連結部71は、Z軸方向に延びる板状に形成されている。第1可動側連結部71には、可動側保持部材(51、52)に保持される電極板(後述の高圧側電極板91)のY軸方向の位置決めを行う、第1電極板載置面75が形成されている。第1電極板載置面75は、平坦であり、ZX平面に沿うように、第1可動側連結部71の一方の面(図7においてはY軸正方向側の面)に形成されている。上側位置決め部72は、第1可動側連結部71の長手方向(Z軸方向)の一端の端面に形成されている。下側位置決め部73は、第1可動側連結部71の長手方向(Z軸方向)の他端の端面に形成されている。
【0034】
第1可動側保持部材51が備える複数の第1可動側スペーサ76は、それぞれ板状に形成されている。複数の第1可動側スペーサ76は、そのZ軸方向の厚さが、いずれも一定の厚み(例えば4.4mm)となるように形成されている。各第1可動側スペーサ76は、上側可動側当接面77と下側可動側当接面78とが形成されている。上側可動側当接面77は、平坦であり、第1可動側スペーサ76のZ軸方向の一方側の面に形成されている。下側可動側当接面78は、平坦であり、上側可動側当接面77と平行に、第1可動側スペーサ76のうちの上側可動側当接面77が形成されている面とは反対側の面(第1可動側スペーサ76のZ軸方向の他方側の面)に形成されている。第1可動側保持部材51の備える複数の第1可動側スペーサ76は、いずれも同一形状に形成されている。
【0035】
第1可動側保持部材51が備える複数の第1可動側スペーサ76は、上側可動側当接面77と下側可動側当接面78とがXY平面に対してそれぞれ平行な状態で、Z軸方向において等間隔に並んでいる。第1可動側スペーサ76は、上側可動側当接面77が他の第1可動側スペーサ76の下側可動側当接面78に向かい合うように、配置されている。第1可動側スペーサ76は、下側可動側当接面78が他の第1可動側スペーサ76の上側可動側当接面77に向かい合うように、配置されている。第1可動側保持部材51は、さらに、Z軸方向に隣り合う第1可動側スペーサ76、76同士の間(対向する下側可動側当接面78と上側可動側当接面77との間)に形成される隙間の幅(間隔)が互いに等しくなるように、並べられている。複数の第1可動側スペーサ76は、第1可動側連結部71における第1電極板載置面75が形成されている側(Y軸正方向側)に配置され、第1可動側連結部71に固定されている。
【0036】
第2可動側保持部材52は、X軸と直交する上述の仮想平面に対し、第1可動側保持部材51と面対称となる形状に形成されている。すなわち、第2可動側保持部材52は、複数の第2可動側スペーサ86と、複数の第2可動側スペーサ86同士を連結する第2可動側連結部81とを備える。第2可動側連結部81には、上側位置決め部82と下側位置決め部83とが形成されている。第2可動側連結部81は、Z軸方向に延びる板状に形成されている。第2可動側連結部81には、可動側保持部材(51、52)に保持される電極板(後述の高圧側電極板91)のY軸方向の位置決めを行う、第2電極板載置面85が形成されている。第2電極板載置面85は、平坦であり、ZX平面に沿うように、第2可動側連結部81の一方の面(Y軸正方向側の面)に形成されている。上側位置決め部82は、第2可動側連結部81の長手方向(Z軸方向)の一端の端面に形成されている。下側位置決め部83は、第2可動側連結部81の長手方向(Z軸方向)の他端の端面に形成されている。
【0037】
第2可動側保持部材52が備える複数の第2可動側スペーサ86は、それぞれ第1可動側スペーサ76と同一形状である板状に形成されている。複数の第2可動側スペーサ86は、そのZ軸方向の厚さが、いずれも一定の厚みとなるように形成されている。各第2可動側スペーサ86は、上側可動側当接面87と下側可動側当接面88とが形成されている。上側可動側当接面87は、平坦であり、第2可動側スペーサ86のZ軸方向の一方側の面に形成されている。下側可動側当接面88は、平坦であり、上側可動側当接面87と平行に、第2可動側スペーサ86のうちの上側可動側当接面87が形成されている面とは反対側の面(第2可動側スペーサ86のZ軸方向の他方側の面)に形成されている。第2可動側保持部材52の備える複数の第2可動側スペーサ86は、いずれも同一形状に形成されている。
【0038】
第2可動側保持部材52が備える複数の第2可動側スペーサ86は、上側可動側当接面87と下側可動側当接面88とがXY平面に対してそれぞれ平行な状態で、Z軸方向において等間隔に並んでいる。第2可動側スペーサ86は、上側可動側当接面87が他の第2可動側スペーサ86の下側可動側当接面88に向かい合うように、配置されている。第2可動側スペーサ86は、下側可動側当接面88が他の第2可動側スペーサ86の上側可動側当接面87に向かい合うように、配置されている。第2可動側保持部材52は、さらに、Z軸方向に隣り合う第2可動側スペーサ86、86同士の間(対向する下側可動側当接面88と上側可動側当接面87との間)に形成される隙間の幅(間隔)が互いに等しくなるように、形成されている。また、第2可動側保持部材52が備える複数の第2可動側スペーサ86、86同士の間に形成される隙間の間隔が、第1可動側保持部材51が備える複数の第1可動側スペーサ76、76同士の間に形成される隙間の間隔に等しくなるように、並べられている。本実施例では、隣り合う第2可動側スペーサ86、86同士の間に形成される隙間の幅、および、隣り合う第1可動側スペーサ同士の間に形成される隙間の幅は、例えば、いずれも5.2mmとされている。複数の第2可動側スペーサ86は、第2可動側連結部81における第2電極板載置面85が形成されている側(Y軸正方向側)に配置され、第2可動側連結部81に固定されている。
【0039】
固定側保持部材50(第1固定側保持部材57、第2固定側保持部材58)が備える複数の固定側スペーサ(第1固定側スペーサ65、第2固定側スペーサ68)のZ軸方向の厚さと、可動側保持部材(第1可動側保持部材51、第2可動側保持部材52)が備える複数の可動側スペーサ(第1可動側スペーサ76、第2可動側スペーサ86)のZ軸方向の厚さとが、等しくなるように形成されている。これにより、固定側保持部材50(57、58)と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とを図5に示す状態となるよう組み合わせたとき、固定側スペーサと可動側スペーサとに挟まれて保持される電極板同士のZ軸方向の距離を一定に保つことができる。
【0040】
第2可動側保持部材52は、第1可動側保持部材51と同一形状に形成されている。詳細には、複数の第2可動側スペーサ86と第2可動側連結部81とは、複数の第1可動側スペーサ74と第1可動側連結部71とにそれぞれ対応している。すなわち、第2可動側保持部材52は、図7において、Y軸に平行である対称軸を中心に180度回転して平行移動することにより、第1可動側保持部材51に重なり合う。高圧側電極板保持部材47は、第2可動側保持部材52が第1可動側保持部材51と同一形状に形成されることにより、第2可動側保持部材52を第1可動側保持部材51として用いたり、第2可動側保持部材52として用いたりすることができる。高圧側電極板保持部材47は、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とを区別して製造する必要がなく、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52との製造コストを低減することができる。
【0041】
高圧側電極板保持部材47は、図5に示されているように、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とが、固定側保持部材50に取り付けられることにより、形成される。第1可動側保持部材51は、複数の第1可動側スペーサ76が複数の第1固定側スペーサ65に噛み合わされることにより、固定側保持部材50に取り付けられる。第1可動側保持部材51は、複数の第1可動側スペーサ76が、複数の第1固定側スペーサ65の対向する上側固定側当接面66と下側固定側当接面67との各々の間に形成される複数の隙間にそれぞれ配置されることで、複数の第1可動側スペーサ76と複数の第1固定側スペーサ65とが噛み合わされる。言い換えれば、第1固定側保持部材57は、複数の第1可動側スペーサ76が複数の第1固定側スペーサ65に噛み合わされるときに、複数の第1可動側スペーサ76の対向している上側可動側当接面77と下側可動側当接面78との各々の間に形成される複数の隙間に、複数の第1固定側スペーサ65がそれぞれ配置される。ここでは、第1可動側保持部材51を固定側保持部材50(第1固定側保持部材57)に取り付けるときに、上側位置決め部72が保持部材上側位置決め面63に接触し、下側位置決め部73が保持部材下側位置決め面64に接触するようにしている。これにより、固定側保持部材50(第1固定側保持部材57)と第1可動側保持部材51とを組み合わせる際に、互いのZ軸方向における位置決めを容易に行うことができるようになっている。
【0042】
第2可動側保持部材52は、複数の第2可動側スペーサ86が複数の第2固定側スペーサ68に噛み合わされることにより、固定側保持部材50に取り付けられる。第2可動側保持部材52は、複数の第2可動側スペーサ86が、複数の第2固定側スペーサ68の対向する上側固定側当接面66と下側固定側当接面67との各々の間に形成される複数の隙間にそれぞれ配置されることで、複数の第2可動側スペーサ86と複数の第2固定側スペーサ68とが噛み合わされる。言い換えれば、第2固定側保持部材58は、複数の第2可動側スペーサ86が複数の第2固定側スペーサ68に噛み合わされるときに、複数の第2可動側スペーサ86の上側可動側当接面87と下側可動側当接面88との各々の間に形成される複数の隙間に、複数の第2固定側スペーサ68がそれぞれ配置される。ここでは、第2可動側保持部材52を固定側保持部材50(第2固定側保持部材58)に取り付けるときに、上側位置決め部82が保持部材上側位置決め面63に接触し、下側位置決め部83が保持部材下側位置決め面64に接触するようにしている。これにより、固定側保持部材50(第2固定側保持部材58)と第2可動側保持部材52とを組み合わせる際に、互いのZ軸方向における位置決めを容易に行うことができるようになっている。
【0043】
高圧側電極板群48における各々の高圧側電極板91は、図8に示されているように、概ね平坦である板状に形成されている。図8は、高圧側電極板群48のうちの1つの高圧側電極板91を示す斜視図である。高圧側電極板91は、本体部分92と第1支持部分93と第2支持部分94とを備えている。本体部分92は、長方形状に形成されている。第1支持部分93は、本体部分92より小さい長方形状に形成されている。第1支持部分93は、本体部分92の長手方向(X軸方向)の端部に配置され、本体部分92と連続的に形成されている。第2支持部分94は、第1支持部分93と同一形状に形成されている。第2支持部分94は、本体部分92の長手方向(X軸方向)の端部に配置され、本体部分92と連続的に形成されている。高圧側電極板群48の他の高圧側電極板91も、上述した高圧側電極板91と同一形状に形成され、本体部分92と第1支持部分93と第2支持部分94とを備えている。なお、本実施例では、複数の高圧側電極板91の積層方向(Z軸方向)における各々の高圧側電極板91の厚みが、0.4mmとされている。
【0044】
高圧側電極部41は、図3図4とに示されているように、高圧側電極板群48(複数の高圧側電極板91)が高圧側電極板保持部材47に取り付けられることにより、形成される。図9は、Y軸方向から見た高圧側電極部41の一部を拡大して示す拡大側面図である。まず、図9に示した高圧側電極板91Aの第1支持部分93は、複数の高圧側電極板91が高圧側電極板保持部材47に適切に保持されているとき、第1固定側スペーサ65の下側固定側当接面67と第1可動側スペーサ76の上側可動側当接面77とに挟まれている。高圧側電極板91Aの第2支持部分94は、図示されていないが、高圧側電極板91Aの第1支持部分93と同様に、第2固定側スペーサ68の下側固定側当接面67と第2可動側スペーサ86の上側可動側当接面87とに挟まれている。高圧側電極板91Aは、各電極板の長手方向(X軸方向)の一端側である第1支持部分93が下側固定側当接面67と上側可動側当接面77とに挟まれ、各電極板の長手方向(X軸方向)の他端側である第2支持部分94が下側固定側当接面67と上側可動側当接面87とに挟まれることにより、高圧側電極板保持部材47に保持されている。
【0045】
次に、高圧側電極板群48のうちの高圧側電極板91Aと電極板の積層方向(Z軸方向)で隣り合う他の高圧側電極板91Bに着目すると、高圧側電極板91Bの第1支持部分93は、第1固定側スペーサ65の上側固定側当接面66と第1可動側スペーサ76の下側可動側当接面78とに挟まれている。高圧側電極板91Bの第2支持部分94は、図示されていないが、高圧側電極板91Bの第1支持部分93と同様に、第2固定側スペーサ68の上側固定側当接面66と第2可動側スペーサ86の下側可動側当接面88とに挟まれている。高圧側電極板91Bは、各電極板の長手方向(X軸方向)の一端側である第1支持部分93が上側固定側当接面66と下側可動側当接面78とに挟まれ、各電極板の長手方向(X軸方向)の他端側である第2支持部分94が上側固定側当接面66と下側可動側当接面88とに挟まれることにより、高圧側電極板保持部材47に保持されている。
【0046】
固定側保持部材50と高圧側電極板群48とは、複数の高圧側電極板91(91A、91B)の各々の長手方向(X軸方向)の一端側が高圧側電極板保持部材47(第1固定側保持部材57、第1可動側保持部材51)に適切に保持されているとき、複数の高圧側電極板91の長手方向の一端面が第1電極板位置決め面60に接触する。また、図示されていないが、複数の高圧側電極板91(91A、91B)の各々の長手方向(X軸方向)の他端側が高圧側電極板保持部材47(第2固定側保持部材58、第2可動側保持部材52)に適切に保持されているとき、複数の高圧側電極板91の長手方向の一端面が第2電極板位置決め面62に接触する。
【0047】
ここで、図9に図示されるように、間隔gは、複数の第1固定側スペーサ65同士の間隔を示す。言い換えれば、間隔gは、互いに向かい合う上側固定側当接面66と下側固定側当接面67との間の距離(隙間の幅)を示している。幅wは、第1可動側スペーサ76のZ軸方向における厚さを示す。言い換えれば、幅wは、ある一つの第1可動側スペーサ76において、上側可動側当接面77と下側可動側当接面78との間の距離を示している。厚さdは、電極板の積層方向(Z軸方向)における、高圧側電極板91の厚さを示している。間隔gと幅wと厚さdとは、次式:
g-w≧2×d
を満足している。これにより、高圧側電極板91を厚み方向(Z軸方向)から第1固定側スペーサ65と第1可動側スペーサ76とで挟持する場合に、高圧側電極板91が収まる隙間が適切に確保される。
【0048】
ここで、間隔gは、複数の第1可動側スペーサ76同士の間隔にも等しい。すなわち、間隔gは、互いに向かい合う上側可動側当接面77と下側可動側当接面78との間の距離(隙間の幅)にも等しい。幅wは、第1固定側スペーサ65のZ軸方向における厚さにも等しい。すなわち、幅wは、ある一つの第1固定側スペーサ65において、上側固定側当接面66と下側固定側当接面67との間の距離にも等しい。
【0049】
接地側電極部42は、高圧側電極部41と同様に形成されている。すなわち、接地側電極部42は、接地側電極板保持部材と複数の接地側電極板とを備えている。接地側電極板保持部材は、固定側保持部材50と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とにそれぞれ同一な形状である、固定側保持部材と第1可動側保持部材と第2可動側保持部材とを備えている。接地側電極板保持部材は、高圧側電極板保持部材47と同様に、第1可動側保持部材と第2可動側保持部材とが固定側保持部材に取り付けられることにより、形成される。接地側電極部42は、高圧側電極部41と同様に、複数の接地側電極板が接地側電極板保持部材に取り付けられることにより、形成される。集塵部4は、接地側電極部42の固定側保持部材が固定側保持部材50と同一形状に形成されることにより、固定側保持部材50を固定側保持部材50として用いたり接地側電極部42の固定側保持部材として用いたりすることができる。集塵部4は、固定側保持部材50と接地側電極部42の固定側保持部材とを区別して製造する必要がないことにより、固定側保持部材50と接地側電極部42の固定側保持部材との製造コストを低減することができる。
【0050】
図10は、下側台座43を示す斜視図である。下側台座43は、概ね板状に形成されている。下側台座43には、第1電極部位置合わせ面96と第2電極部位置合わせ面97と2つの第1給電部材用貫通孔98と2つの第2給電部材用貫通孔99とが形成されている。第1電極部位置合わせ面96は、平坦であり、下側台座43の一方の側に形成されている。第2電極部位置合わせ面97は、平坦であり、下側台座43のうちの第1電極部位置合わせ面96が形成されている側に形成されている。
【0051】
第2電極部位置合わせ面97に沿う平面は、第1電極部位置合わせ面96に沿う他の平面に平行であり、第1電極部位置合わせ面96に沿う他の平面に重なっていない。第2電極部位置合わせ面97は、第1電極部位置合わせ面96に沿う平面より、第1電極部位置合わせ面96が向いている側(Z軸正方向側)に配置されている。すなわち、下側台座43における第2電極部位置合わせ面97が形成されている部分のZ軸方向の厚みは、下側台座43のうちの第1電極部位置合わせ面96が形成されている部分のZ軸方向の厚みより薄い。
【0052】
2つの第1給電部材用貫通孔98は、下側台座43における第1電極部位置合わせ面96が形成されている部分に形成されている。2つの第2給電部材用貫通孔99は、下側台座43における第2電極部位置合わせ面97が形成されている部分に形成されている。
【0053】
上側台座44は、下側台座43に同一形状に形成されている。すなわち、上側台座44には、下側台座43と同様に、第1電極部位置合わせ面96と第2電極部位置合わせ面97と2つの第1給電部材用貫通孔98と2つの第2給電部材用貫通孔99とが形成されている。集塵部4は、下側台座43が上側台座44と同一形状に形成されることにより、下側台座43を上側台座44として用いたり下側台座43として用いたりすることができる。集塵部4は、下側台座43と上側台座44とを区別して製造する必要がなく、上側台座44および下側台座43の製造コストを低減することができる。
【0054】
図11は、集塵部4を示す側面図である。集塵部4は、図11に示されているように、高圧側電極部41と接地側電極部42とが、下側台座43と上側台座44とに挟まれるようにして取り付けられている。このとき、高圧側電極部41のZ軸方向の一端は、下側台座43の第1電極部位置合わせ面96に接触している。高圧側電極部41のZ軸方向の他端は、上側台座44の第2電極部位置合わせ面97に接触している。接地側電極部42のZ軸方向の一端は、下側台座43の第2電極部位置合わせ面97に接触している。接地側電極部42のZ軸方向の他端は、上側台座44の第1電極部位置合わせ面96に接触している。高圧側電極部41と接地側電極部42とが下側台座43と上側台座44とに適切に取り付けられたとき、複数の高圧側電極板91と複数の接地側電極板101とがZ軸方向に互い違いで等間隔に並ぶようになっている。
【0055】
2つの高圧側給電部材45は、それぞれ、金属に例示される導体から形成され、棒状に形成されている。2つの接地側給電部材46は、それぞれ、高圧側給電部材45と同様に、金属に例示される導体から形成され、棒状に形成されている。高圧側給電部材45および接地側給電部材46は、図12に示されるように、L字状に形成されることで、剛性が高められている。集塵部4は、2つの高圧側給電部材45と2つの接地側給電部材46とが、高圧側電極部41と接地側電極部42と下側台座43と上側台座44とに取り付けられている。2つの高圧側給電部材45は、高圧側電極部41をZ軸方向に貫通し、高圧側電極板群48(複数の高圧側電極板91)に接触することで、複数の高圧側電極板91と電気的に接続されている。2つの高圧側給電部材45は、さらに、下側台座43と上側台座44とをZ軸方向に貫通し、2つの高圧側給電部材45の両端は、集塵部4の外部に露出している。2つの接地側給電部材46は、接地側電極部42をZ軸方向に貫通し、接地側電極板群(複数の接地側電極板101)に接触することで、複数の接地側電極板101と電気的に接続されている。2つの接地側給電部材46は、さらに、下側台座43と上側台座44とをZ軸方向に貫通し、2つの接地側給電部材46の両端は、集塵部4の外部に露出している。2つの高圧側給電部材45と2つの接地側給電部材46とは、図示されていない電線を介して、集塵部用高圧電源40に電気的に接続されている。本実施例では、高圧側電極板群48(複数の高圧側電極板91)は、高圧側給電部材45を介し、集塵部用高圧電源40からの電力が供給される。接地側電極板群(複数の接地側電極板101)は、接地側給電部材46を介し、集塵部用高圧電源40の接地極(アース)と接続される。
【0056】
図12は、集塵部4を示す上面図である。2つの高圧側給電部材45の一端は、2つの高圧側給電部材45が上側台座44の2つの第2給電部材用貫通孔99をそれぞれ貫通することにより、集塵部4の外部に露出している。2つの接地側給電部材46の一端は、2つの接地側給電部材46が上側台座44の2つの第1給電部材用貫通孔98をそれぞれ貫通することにより、集塵部4の外部に露出している。図示されていないが、2つの高圧側給電部材45の他端は、2つの高圧側給電部材45が下側台座43の2つの第1給電部材用貫通孔98をそれぞれ貫通することにより、集塵部4の外部に露出している。2つの接地側給電部材46の他端は、2つの接地側給電部材46が下側台座43の2つの第2給電部材用貫通孔99をそれぞれ貫通することにより、集塵部4の外部に露出している。
【0057】
[電気集塵機製造方法]
本願が開示する実施形態にかかる電気集塵機製造方法は、電気集塵機2を作製する方法であり、集塵部4を組み立てる工程を備えている。集塵部4を組み立てる工程では、まず、固定側保持部材50と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52と複数の高圧側電極板91とが準備される。図13図14は、高圧側電極部41の組立途中の高圧側電極部41を示す側面図である。第1可動側保持部材51は、図13に示されるように、複数の第1可動側スペーサ76が第1固定側保持部材57の備える複数の第1固定側スペーサ65に噛み合わない状態で、上側位置決め部72が保持部材上側位置決め面63に接触し、下側位置決め部73が保持部材下側位置決め面64に接触するように、配置される。第2可動側保持部材52は、複数の第2可動側スペーサ86が複数の第2固定側スペーサ68に噛み合わない状態で、上側位置決め部82が保持部材上側位置決め面63に接触し、下側位置決め部83が保持部材下側位置決め面64に接触するように、配置される。このとき、固定側保持部材50は、電極の積層方向(Z軸方向)の中央を通る面に対して面対称に形成されることにより、Z軸方向の向きを気にすることなく取り扱うことができ、組立性を向上できる。
【0058】
次いで、高圧側電極板群48(複数の高圧側電極板91)のうちの高圧側電極板91Bの各々は、一端側である第1支持部分93が第1固定側スペーサ65の上側固定側当接面66に接触するように、図13に示される互いに斜向かいとなる位置に配置された第1固定側スペーサ65と第1可動側スペーサ76との隙間に、第1支持部分93が挿入される。高圧側電極板91Bの各々は、さらに、他端側である第2支持部分94が、第2固定側スペーサ68の上側固定側当接面66に接触するように、互いに斜向かいとなる位置に配置された第2固定側スペーサ68と第2可動側スペーサ86との隙間に、第2支持部分94が挿入される。高圧側電極板91Bの各々は、可動側保持部材が固定側保持部材に噛み合っていない状態で取り付けられる。例えば、図13に示される、斜向かいに配置された第1固定側スペーサ65と第1可動側スペーサ76との間の広い隙間、または、斜向かいに配置された第2固定側スペーサ68と第2可動側スペーサ86との間の広い隙間に、高圧側電極板91Bは容易に挿入されることができる。
【0059】
高圧側電極板91Bは、さらに、一端側である第1支持部分93が、第1可動側スペーサ76の下側可動側当接面78に接触し、他端側である第2支持部分94が、第2可動側スペーサ86の下側可動側当接面88に接触する。このとき、高圧側電極板91Bは、Z軸方向に倒れないように、固定側保持部材50と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とにより保持される。
【0060】
高圧側電極板群48のうちの高圧側電極板91Bと異なる残りの高圧側電極板91Aの各々は、一端側である第1支持部分93が第1固定側スペーサ65の下側固定側当接面67に接触するように、図13に示される互いに斜向かいとなる位置に配置された第1固定側スペーサ65と第1可動側スペーサ76との隙間に、第1支持部分93が挿入される。高圧側電極板91Aの各々は、さらに、他端側である第2支持部分94が、第2固定側スペーサ68の下側固定側当接面67に接触するように、互いに斜向かいとなる位置に配置された第2固定側スペーサ68と第2可動側スペーサ86との隙間に、第2支持部分94が挿入される。高圧側電極板91Aの各々は、可動側保持部材が固定側保持部材に噛み合っていない状態で取り付けられる。例えば、図13に示される、斜向かいに配置された第1固定側スペーサ65と第1可動側スペーサ76との間の広い隙間、または、斜向かいに配置された第2固定側スペーサ68と第2可動側スペーサ86との間の広い隙間に、高圧側電極板91Aは容易に挿入されることができる。
【0061】
高圧側電極板91Aは、さらに、一端側である第1支持部分93が、第1可動側スペーサ76の上側可動側当接面77に接触し、他端側である第2支持部分94が、第2可動側スペーサ86の上側可動側当接面87に接触する。このとき、高圧側電極板91Aは、Z軸方向に倒れないように、固定側保持部材50と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とにより保持される。
【0062】
図14は、図13の状態の保持部材に対して、複数の高圧側電極板91を差し込んだ状態を示す図である。このとき、複数の高圧側電極板91の第1支持部分93の端面は、第1電極板位置決め面60に接触し、第2支持部分94の端面は、第2電極板位置決め面62に接触する。複数の高圧側電極板91は、第1支持部分93と第2支持部分94とが第1電極板位置決め面60と第2電極板位置決め面62とにそれぞれ接触することにより、固定側保持部材50に対してX軸方向に移動しないように拘束され、適切な位置に配置される。
【0063】
複数の高圧側電極板91は、さらに、第1可動側保持部材51の第1電極板載置面75と、第2可動側保持部材52の第2電極板載置面85とに接触するように、配置される。複数の高圧側電極板91は、第1電極板載置面75と第2電極板載置面85とに接触することにより、Y軸方向に移動しないように拘束され、Y軸方向の適切な位置に配置される。
【0064】
第1可動側保持部材51は、上側位置決め部72が保持部材上側位置決め面63に接触し、下側位置決め部73が保持部材下側位置決め面64に接触した状態で、複数の高圧側電極板91が適切な位置に配置されたのち、X軸方向に平行に(X軸負方向に)移動される。複数の第1可動側スペーサ76は、このように第1可動側保持部材51がX軸方向に平行に移動することにより、複数の第1固定側スペーサ65に適切に噛み合うことができる(図3図9等参照)。第1可動側保持部材51は、複数の第1可動側スペーサ76が複数の第1固定側スペーサ65に噛み合うことにより、固定側保持部材50(第1固定側保持部材57)に取り付けられる。このとき、複数の第1可動側スペーサ76は、複数の第1可動側スペーサ76が第1可動側連結部71により互いに固定されていることにより、複数の第1固定側スペーサ65に一度にまとめて噛み合わされることができる。
【0065】
第2可動側保持部材52は、上側位置決め部82が保持部材上側位置決め面63に接触し、下側位置決め部83が保持部材下側位置決め面64に接触した状態で、複数の高圧側電極板91が適切な位置に配置されたのち、X軸方向に平行に(X軸正方向に)移動される。複数の第2可動側スペーサ86は、このように第2可動側保持部材52がX軸方向に平行に移動することにより、複数の第2固定側スペーサ68に適切に噛み合うことができる(図3等参照)。第2可動側保持部材52は、複数の第2可動側スペーサ86が複数の第2固定側スペーサ68に噛み合うことにより、固定側保持部材50(第2固定側保持部材58)に取り付けられる。このとき、複数の第2可動側スペーサ86は、複数の第2可動側スペーサ86が第2可動側連結部81により互いに固定されていることにより、複数の第2固定側スペーサ68に一度にまとめて噛み合わされることができる。
【0066】
複数の高圧側電極板91は、第1可動側保持部材51が固定側保持部材50に取り付けられることにより、高圧側電極板91の一端側が複数の第1可動側スペーサ76と複数の第1固定側スペーサ65とに挟持され、高圧側電極板保持部材47に保持される。複数の高圧側電極板91は、第2可動側保持部材52が固定側保持部材50に取り付けられることにより、さらに、高圧側電極板91の他端側が、複数の第2可動側スペーサ86と複数の第2固定側スペーサ68とに挟持され、高圧側電極板保持部材47に保持される。
【0067】
高圧側電極部41の組立では、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とが同一形状であることにより、第1可動側保持部材51か第2可動側保持部材52かを区別することなく第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とを取り扱うことができる。このため、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とが同一形状であることで、高圧側電極部41の組立を容易化することができる。
【0068】
高圧側電極部41は、組み立てられた後に、図15に示されているように、高圧側電極部41のZ軸方向の一端が下側台座43の第1電極部位置合わせ面96に接触するように、下側台座43に取り付けられる。図15は、集塵部4の組立途中の高圧側電極部41と接地側電極部42と下側台座43とを示す斜視図である。このとき、高圧側電極部41は、XY平面に対して面対称に形成されていることにより、Z軸方向の向きを気にせず取り扱われることができる。このため、高圧側電極部41は、集塵部4の組立を容易化することができる。
【0069】
接地側電極部42は、高圧側電極部41と同様に組み立てられた後に、接地側電極部42のZ軸方向の一端が下側台座43の第2電極部位置合わせ面97に接触するように、下側台座43に取り付けられる。接地側電極部42の固定側保持部材と第1可動側保持部材と第2可動側保持部材とは、固定側保持部材50と第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とにそれぞれ同一な形状であることにより、これらと区別することなく取り扱われることができる。このため、接地側電極部42は、容易に組み立てられることができる。
【0070】
上側台座44は、高圧側電極部41と接地側電極部42とが下側台座43に取り付けられた後に、高圧側電極部41と接地側電極部42とに取り付けられる。このとき、上側台座44は、図11に示されているように、上側台座44の第1電極部位置合わせ面96が接地側電極部42のZ軸方向の他端に接触するように、上側台座44の第2電極部位置合わせ面97が高圧側電極部41のZ軸方向の他端に接触するように、取り付けられる。このとき、高圧側電極部41は、下側台座43と上側台座44とが同一形状であることにより、下側台座43か上側台座44かを気にすることなく下側台座43と上側台座44とを取り扱うことができる。このため、下側台座43と上側台座44とは、高圧側電極部41の組立を容易化することができる。
【0071】
2つの高圧側給電部材45と2つの接地側給電部材46とは、高圧側電極部41と接地側電極部42に対して下側台座43と上側台座44とを取り付けた後に、取り付けられる。なお、2つの高圧側給電部材45と2つの接地側給電部材46とは、他のタイミングで取り付けられることもできる。例えば、2つの高圧側給電部材45と2つの接地側給電部材46とが下側台座43に取り付けられた後に、高圧側電極部41と接地側電極部42とが下側台座43に取り付けられるようにすることもできる。
【0072】
集塵部4は、このようにして形成される。電気集塵機2は、例えば、集塵部4が高圧側電極部41と接地側電極部42と下側台座43と上側台座44と2つの高圧側給電部材45と2つの接地側給電部材46とから組み立てられた後に、集塵部4が荷電部3に取り付けられることにより、形成される。
【0073】
複数の高圧側電極板91は、高圧側電極板保持部材47が形成された後に、スペーサの隙間に挿入して適切な位置に配置されることが比較的困難である。このような電気集塵機製造方法によれば、高圧側電極板群48は、電極板が挟持される隙間が形成される前に、適切な位置に配置されることができ、集塵部4は、容易に組み立てられることができる。
【0074】
電気集塵機2は、集塵部用高圧電源40とともに動作する。集塵部用高圧電源40は、2つの高圧側給電部材45を介し、予め定められた、接地極と比較して高電圧な電圧(例えば、+4.7kV)を高圧側電極板群48(複数の高圧側電極板91)に印加する。集塵部用高圧電源40は、さらに、2つの接地側給電部材46を介して複数の接地側電極板101を接地(アース)する。集塵部4は、高電圧が高圧側電極板群48(複数の高圧側電極板91)に印加されることにより、高圧側電極板群48と複数の接地側電極板101との間に静電界を形成する。塵埃は、荷電部3を通過することにより正に帯電された後に、集塵部4に形成された静電界を通過する。塵埃は、その静電界を通過するときに、荷電部3で正に帯電されていることにより、高圧側電極板群48から斥力が与えられ、複数の接地側電極板101に吸引される方向に引力が与えられる。塵埃は、その斥力と引力とが与えられることにより、複数の接地側電極板101に向かって移動し、複数の接地側電極板101に付着する。このため、空気清浄機1は、粉塵を空気中から除去することができる。
【0075】
[実施例1の電気集塵機2の効果]
実施例1の電気集塵機2は、複数の第1の電極板(高圧側電極板91)と、複数の第1の電極板とは極性の異なる複数の第2の電極板(接地側電極板101)とが、互い違いに配置された集塵部4を備える。集塵部4は、複数の第1の電極板(高圧側電極板91)を保持する保持部材(高圧側電極板保持部材47)を備える。高圧側電極板保持部材47は、複数の第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)と、複数の第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)とを備えている。第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)は、第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)に噛み合う。複数の第1の電極板(高圧側電極板91)の各々は、複数の第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)のうちの1つの第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)と、複数の第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)のうちの1つの第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)とに挟持されている。よって、第1固定側スペーサ65と複数の第1可動側スペーサ76とは、複数の高圧側電極板91がそれぞれ挟持される複数の溝が形成される保持部材に比較して、容易に作製されることができる。これにより、電気集塵機2は、集塵部4の作製を容易にすることができる。
【0076】
また、実施例1の電気集塵機2の複数の第1の電極板(高圧側電極板91)は、1つの第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)における一方の面(上側固定側当接面66)に接触する高圧側電極板91Bと、第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)における他方の面(下側固定側当接面67)に接触する高圧側電極板91Aとを含んでいる。これによれば、電気集塵機2は、第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)の一方の側に高圧側電極板が挟持されない場合に比較して、第1固定側スペーサ65のZ軸方向の厚みを薄くしなくても、高圧側電極板群48を密に配置することができる。電気集塵機2は、複数の高圧側電極板91が密に配置されることにより、小型化されることができる。
【0077】
また、実施例1の電気集塵機2の第1の電極板(高圧側電極板91)の厚さdと、第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)の幅wと、第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)を挟んで隣り合う2つの第1スペーサ(第1固定側スペーサ65、65)同士の間隔gとは、次式:
g-w≧2×d
を満足する。このとき、電気集塵機2は、第1固定側スペーサ65と第1可動側スペーサ76とに高圧側電極板91が適切に挟持されることができる。
【0078】
また、実施例1の電気集塵機2は、複数の第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)と、複数の第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)とが、互い違いに配置されている。そのため、隣り合う第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)と第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)の間にそれぞれ、第1の電極板(高圧側電極板91)を保持する隙間を形成することができる。これにより、複数の第1の電極板(高圧側電極板91)をより密に配置することができる。
【0079】
また、実施例1の電気集塵機2の保持部材(高圧側電極板保持部材47)は、第1保持部材(固定側保持部材50)と第2保持部材(第1可動側保持部材51)とを備える。第1保持部材(固定側保持部材50)と第2保持部材(第1可動側保持部材51)とは、互いに別体で形成される。第1保持部材(固定側保持部材50)は、複数の第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)を連結する第1連結部(第1固定側連結部53)を備える。第2保持部材は、複数の第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)を連結する第2連結部(第1可動側連結部71)を備えている。このとき、高圧側電極板保持部材47は、複数の第1可動側スペーサ76が複数の第1固定側スペーサ65に一斉に噛み合わされることにより、容易に組み立てられる。電気集塵機2は、高圧側電極板保持部材47が容易に組み立てられることにより、集塵部4の作製を容易にすることができる。
【0080】
また、実施例1の電気集塵機2は、第1保持部材(固定側保持部材50)の第1連結部(第1固定側連結部53)に、複数の第1の電極板(高圧側電極板91)の第1方向(X軸方向)に対する位置決めを行う第1位置決め部(第1電極板位置決め面60)が形成され、第2保持部材(第1可動側保持部材51)の第2連結部(第1可動側連結部71)に、複数の第1の電極板(高圧側電極板91)の第1方向とは直角な第2方向(Y軸方向)に対する位置決めを行う第2位置決め部(第1電極板載置面75)とが形成されている。これにより、複数の高圧側電極板91の2つの軸方向への移動の規制を行うことができる。
【0081】
第1保持部材(固定側保持部材50)には、電極板(高圧側電極板91)と平行な位置決め面(保持部材上側位置決め面63)が形成されている。第2保持部材(第1可動側保持部材51)は、第2保持部材の上側位置決め部72が第1保持部材の位置決め面(保持部材上側位置決め面63)に接触するとき、電極板の積層方向(Z軸方向)において複数の第2スペーサ(第1可動側スペーサ76)の各々が複数の第1スペーサ(第1固定側スペーサ65)のうちの2つの第1スペーサ(第1固定側スペーサ65、65)の間に位置する。これにより、複数の第1可動側スペーサ76は、上側位置決め部72が保持部材上側位置決め面63に接触した状態でX軸方向に移動することにより、複数の第1固定側スペーサ65に容易に噛み合わせることができる。電気集塵機2は、複数の第1可動側スペーサ76が複数の第1固定側スペーサ65に容易に噛み合うことにより、集塵部4の高圧側電極板保持部材47の作製を容易にすることができる。
【0082】
ところで、既述の実施例1の電気集塵機2の複数の高圧側電極板91は、高圧側電極板保持部材47が組み立てられる前に適切な位置に配置されているが、高圧側電極板保持部材47が組み立てられた後に適切な位置に配置されてもよい。電気集塵機2は、高圧側電極板保持部材47が組み立てられた後に複数の高圧側電極板91が適切な位置に配置された場合でも、高圧側電極板保持部材47が容易に作製されることにより、集塵部4の作製を容易にすることができる。
【0083】
ところで、既述の実施例1の電気集塵機2は、上側位置決め部72と下側位置決め部73と上側位置決め部82と下側位置決め部83とが設けられているが、これらの位置決め部は省略されてもよい。また、第1可動側保持部材51と第2可動側保持部材52とは、第1可動側連結部71と第2可動側連結部81とがそれぞれ複数の可動側スペーサと一体に形成されているが、これらの連結部は省略されてもよいし、連結部と可動側スペーサとが別体に形成されてもよい。また、固定側保持部材50は、上側位置決め部55と下側位置決め部56とが設けられているが、上側位置決め部55と下側位置決め部56とが省略されてもよい。電気集塵機2は、このような場合でも、複数の第1の電極板(高圧側電極板91)がそれぞれ挟持される複数の狭い隙間が形成された他の保持部材に比較して、電極板の保持部材(高圧側電極板保持部材47)が容易に作製されることにより、集塵部4の作製を容易にすることができる。
【0084】
また、実施例1の電気集塵機2は、複数の第1の電極板が複数の高圧側電極板91であるとし、複数の第1の電極板とは極性の異なる複数の第2の電極板が複数の接地側電極板101であるとして説明したが、逆の関係であってもよい。すなわち、複数の第1の電極板を複数の接地側電極板101とし、複数の第1の電極板とは極性の異なる複数の第2の電極板を複数の高圧側電極板91とした場合でも、同様の効果が得られる。
【0085】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
1 :空気清浄機
2 :電気集塵機
3 :荷電部
4 :集塵部
41 :高圧側電極部
42 :接地側電極部
47 :高圧側電極板保持部材
48 :高圧側電極板群
50 :固定側保持部材
51 :第1可動側保持部材
52 :第2可動側保持部材
53 :第1固定側連結部
54 :第2固定側連結部
55 :上側位置決め部
56 :下側位置決め部
57 :第1固定側保持部材
58 :第2固定側保持部材
60 :第1電極板位置決め面
62 :第2電極板位置決め面
63 :保持部材上側位置決め面
64 :保持部材下側位置決め面
65 :第1固定側スペーサ
66 :上側固定側当接面
67 :下側固定側当接面
68 :第2固定側スペーサ
71 :第1可動側連結部
72 :上側位置決め部
73 :下側位置決め部
75 :第1電極板載置面
76 :第1可動側スペーサ
77 :上側可動側当接面
78 :下側可動側当接面
81 :第2可動側連結部
82 :上側位置決め部
83 :下側位置決め部
85 :第2電極板載置面
86 :第2可動側スペーサ
87 :上側可動側当接面
88 :下側可動側当接面
91 :高圧側電極板
101 :接地側電極板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15