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特許7571369情報処理装置及び情報処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241016BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04N1/00 C
B41J29/38 701
G03G21/00 396
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020006655
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021114702
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】野川 英樹
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132175(JP,A)
【文献】特開2019-016910(JP,A)
【文献】特開2015-039805(JP,A)
【文献】特開2016-018344(JP,A)
【文献】特開2012-168879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置の動作設定を含む設定情報を記憶する記憶部と、
前記設定情報に基づき動作する制御部と、
I/Oインタフェースと、
を備え、
前記制御部は、
前記情報処理装置が初期状態であるか否かを判断する判断処理を実行し、
前記設定情報の所定の項目について個々の情報処理装置毎に異なる固有情報に対応する値が設定されたインポート指示情報を記憶した記憶メディアが前記I/Oインタフェースに接続されているとき、
前記判断処理において前記情報処理装置が初期状態であると判断された場合、所定の認証処理を省略して、前記情報処理装置の固有情報に対応する値を前記記憶部にインポートし、
前記判断処理において前記情報処理装置が初期状態でないと判断された場合、前記所定の認証処理を省略せずに実行し、前記所定の認証処理において認証が成功すると、前記情報処理装置の固有情報に対応する値を前記記憶部にインポートする、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記判断処理において、前記情報処理装置が使用されることに応じて増加する値が所定値以下であるときに、前記情報処理装置が初期状態であると判断する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、さらに、
前記情報処理装置に着脱自在に装着されるプロセスユニットを備え、
前記制御部は、
前記判断処理において、前記プロセスユニットが前記情報処理装置に装着されていないときに、前記情報処理装置が初期状態であると判断する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、さらに、
ネットワークインタフェースを備え、
前記制御部は、
前記判断処理において、前記ネットワークインタフェースを介して前記情報処理装置がネットワークに接続された履歴がないときに、前記情報処理装置が初期状態であると判断する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、さらに、
表示部を備え、
前記制御部は、
前記判断処理において、前記情報処理装置が工場出荷後最初に使用されたときに1回のみ表示される画面が前記表示部に表示されていないときに、前記情報処理装置が初期状態であると判断する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記判断処理において、前記情報処理装置へのログインを認証するためのデバイスパスワードが初期値であるときに、前記情報処理装置が初期状態であると判断する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置の動作設定を含む設定情報を記憶する記憶部と、
前記設定情報に基づき動作する制御部と、
I/Oインタフェースと、
キーを含むユーザインタフェースと、
を備え、
前記制御部は、
前記設定情報の所定の項目について個々の情報処理装置毎に異なる固有情報に対応する値が設定されたインポート指示情報を記憶した記憶メディアが前記I/Oインタフェースに接続されているとき、
前記ユーザインタフェースに含まれる特定のキーが押下されている場合、前記情報処理装置の固有情報に対応する値を前記記憶部にインポートし、
前記特定のキーが押下されていない場合、前記情報処理装置の固有情報に対応する値を前記記憶部にインポートしない、
情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記インポートの完了後、前記インポート指示情報中、前記情報処理装置の固有情報に対応する値を変更して記録する、
請求項乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記記憶メディアは、インポート用の設定情報を記憶し、
前記制御部は、前記インポート用の設定情報の前記所定の項目について、前記インポート指示情報に基づいて個々の情報処理装置毎に異なる値をインポートする、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、さらに、
シートに画像を印刷する印刷エンジン
を備え、
前記インポート用の設定情報は、前記所定の項目以外の項目として、前記印刷エンジンの印刷の設定の情報を含む、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、さらに、
ネットワークインタフェースを備え、
前記所定の項目は、ネットワークにおいて前記情報処理装置を識別する識別情報である、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記識別情報は、IPアドレス又はノードネームである、
請求項11に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報処理装置の設定情報の設定の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、USBメモリなどの記憶メディアに記憶された装置の設定情報を、自装置の設定情報としてインポートする情報処理装置(画像形成装置)が記載されている。そして、この画像形成装置では、インポートする装置の機器識別情報(製造番号や機種コード)に基づいて、設定情報の反映レベルを決定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-224024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、複数の情報処理装置に対して、設定情報の中から共通の項目と、個別の装置に対してユニークな値を設定する必要がある項目とを一括して設定することができない。具体的には、1つの記憶メディアを使用して、複数の装置に、共通の項目(プリント設定等)と、装置毎に異なる項目(ネットワークアドレス等)を一括して設定することができない。
【0005】
本願は、1つの記憶メディアを使用して、複数の装置に共通の項目と装置毎に異なる項目とを一括して設定することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の情報処理装置は、情報処理装置の動作設定を含む設定情報を記憶する記憶部と、設定情報に基づき動作する制御部と、I/Oインタフェースと、を備え、制御部は、設定情報の所定の項目について個々の情報処理装置毎に異なる固有情報に対応する値が設定されたインポート指示情報を記憶した記憶メディアがI/Oインタフェースに接続されているとき、情報処理装置の固有情報に対応する値を記憶部にインポートする。
【発明の効果】
【0007】
本願によれば、1つの記憶メディアを使用して、複数の装置に共通の項目と装置毎に異なる項目とを一括して設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願の一実施形態に係る複合機の正面断面図である。
図2図1の複合機の側面断面図である。
図3図1の複合機の制御構成を示すブロック図である。
図4図1の複合機が実行する制御処理の概要を説明するための図である。
図5図3に記載のUSBメモリに記憶される設定情報の一例を示す図である。
図6図1の複合機、特に図3に記載のCPUが実行するインポート処理の手順を示すフローチャートである。
図7図5のインポート処理の続きの手順を示すフローチャートである。
図8図7のインポート処理に含まれる設定情報書込処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図9図3に記載のパネルに表示された操作ガイダンス画面を示す図である。
図10】インポート指示情報(a)及び対応リスト(b)の各具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
まず、本願の一実施形態に係る情報処理装置の一例である複合機の概略ハードウェア構成を、図1及び図2を参照して説明する。以下、複合機をMFP100という。なお、MFPは、Multifunction Peripheral の略語である。また、図1及び図2において方向に言及する場合には、図中に示される矢印の方向を用いるものとする。
【0011】
MFP100は、本体筐体160を有し、本体筐体160内に、スキャナユニット170と、画像形成ユニット190とを有している。
【0012】
スキャナユニット170は、イメージセンサ173によって、原稿載置面171上に載置された原稿の画像を読み取る。また、イメージセンサ173を停止させた状態で、自動原稿搬送装置140によって搬送される原稿の画像を読み取る。
【0013】
画像形成ユニット190は、スキャナユニット170の下方において、給紙カセット191と、プロセスユニット192と、露光装置193と、熱定着部194と、給電部195と、駆動機構部196と、排出口197と、用紙取出口198とを有している。そして、画像形成ユニット190は、主としてCPU(Central Processing Unit)101(図3参照)からなる制御部による制御に基づいて、露光装置193からのレーザ光を用いて、入力された画像データに基づく画像を給紙カセット191内の用紙へ印刷出力する。
【0014】
給紙カセット191は、被記録媒体である用紙を積層状態で収容している。
【0015】
プロセスユニット192は、露光装置193の上方における所定位置に対して着脱自在に装着される。プロセスユニット192は、感光ドラム192Aと、感光ドラム192Aの外周面を一様に帯電させる帯電器と、感光ドラム192A表面に形成された静電潜像に対してトナーを供給する現像ローラと、現像ローラに対してトナーを供給する供給ローラと、層厚規制ブレードと、トナー収容部と、感光ドラム192A外周面のトナーを用紙に転写するための転写ローラを有している。
【0016】
感光ドラム192Aは、プロセスユニット192内部に回転可能に支持されており、円筒状の導電性を有するドラム本体により構成される。そして、感光ドラム192Aは、ドラム本体の外周面に、帯電性の感光層を有している。感光ドラム192Aの感光層には、露光装置193のレーザ光により、画像に対応する静電潜像が形成される。
【0017】
露光装置193は、本体筐体160下部に配設されており、レーザ発光部と、ポリゴンミラーと、レンズと、反射鏡と、を有している。レーザ発光部から照射されるレーザ光は、用紙に形成される画像に基づいており、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡を介して、プロセスユニット192を構成する感光ドラム192A表面へ照射される。画像に対応する静電潜像は、このレーザ光により、感光ドラム192A表面に形成される。
【0018】
熱定着部194は、プロセスユニット192と排出口197との間に設けられており、加熱ローラと、加圧ローラとを有している。熱定着部194は、加熱ローラ及び加圧ローラによって、プロセスユニット192によって用紙に転写されたトナーを加熱溶融し、形成された画像を用紙に熱定着する。
【0019】
給電部195は、本体筐体160内において、プロセスユニット192等の左側に配設されており、画像形成ユニット190による画像形成を行うための電力供給を担う。そして、駆動機構部196は、本体筐体160内において、プロセスユニット192等の右側に配設されており、画像形成ユニット190により画像を形成するために、感光ドラム192A等に対して駆動力を伝達する。
【0020】
排出口197及び用紙取出口198は、本体筐体160の前面側に着脱可能に取り付けられた給紙カセット191の上方に形成されている。排出口197は、熱定着部194に対応する位置に開口されており、画像形成ユニット190により画像が形成された用紙が排出される部分である。用紙取出口198は、排出口197を介して排出された用紙が積載される部分である。
【0021】
次に、MFP100の制御構成を、図3に基づいて説明する。
【0022】
MFP100は、CPU101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、NVM(Non-Volatile Memory)104、及び各種インタフェース(Interface)を備えている。以下、インタフェースをIFとも表記する。
【0023】
CPU101は、MFP100全体の制御を司るものであるが、本実施形態では、設定情報に従って、エンジンIF110を介して印刷エンジン111及び読取エンジン112をそれぞれ制御する。
【0024】
ROM102は、CPU101が実行する制御プログラムを記憶するメモリである。CPU101は、ROM102に記憶された制御プログラムを読み出して各種処理を実行する。後述する図6図8のインポート処理は、この制御プログラムに含まれる。
【0025】
RAM103は、画像データなどを一時的に記憶するメモリである。また、RAM103は、CPU101が制御プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記憶する記憶領域、あるいはデータ処理の作業領域としても使用される。
【0026】
NVM104は、設定情報等を記憶する不揮発性メモリである。
【0027】
また、MFP100は、パネル105及びキー106を備えている。
【0028】
パネル105は、本実施形態ではタッチパネルであり、パネル105には、MFP100の状態に応じて、様々な画面が表示される。作業者は、画面上の入力ボタンを操作することで、入力操作をすることができる。
【0029】
キー106は、ハードキー、つまり、ハードウェアにより形成されるキーである。本実施形態では、キー106は、ストップキー106aを含んでいる。ストップキー106aには、MFP100の動作を停止させる通常の機能に加え、図4を用いて後述するように、他の機能も持たせている。
【0030】
さらに、MFP100は、USB(Universal Serial Bus)IF107及びネットワークIF108を備えている。
【0031】
USBIF107は、外部のUSB機器を接続するためのI/OIF(Input/Output Interface)であり、本実施形態では、記憶メディアであるUSBメモリ200が接続される。USBメモリは、USBフラッシュメモリ又はUSBフラッシュドライブと呼称されることもある。
【0032】
ネットワークIF108は、MFP100を通信ネットワークに接続するものである。通信ネットワークは、有線又は無線LAN(Local Area Network)である。ネットワークIF108は、LANIF(Local Area Network Interface)又はWLAN IF(Wireless LAN Interface)のいずれか一方、もしくは両方である。
【0033】
また、MFP100は、エンジンIF110を備えている。エンジンIF110には、印刷エンジン111及び読取エンジン112が接続されている。
【0034】
印刷エンジン111は、シートに画像を印刷するための装置であり、電子写真方式、インクジェット方式、サーマル方式等の印刷装置を有する。印刷エンジン111は、本実施形態では、上記画像形成ユニット190に相当するので、電子写真方式の印刷装置を有している。
【0035】
読取エンジン112は、原稿から画像を読み取るための装置であり、CCD(Charge Coupled Devices)又はCIS(Contact Image Sensor)等の読取装置を有する。読取エンジン112は、本実施形態では、上記スキャナユニット170に相当する。
【0036】
エンジンIF110は、印刷エンジン111と、読取エンジン112とを制御するIFである。エンジンIF110は、画像形成を行うための電力供給を行う給電部195、等を備える。
【0037】
さらに、MFP100は、画像処理回路120を備えている。
【0038】
画像処理回路120は、印刷ジョブに係る画像データをラスタライズ処理し、印刷エンジン111へ出力する。画像処理回路120はまた、読取エンジン112が原稿から読み取った画像データをデジタルデータへ加工する。デジタルデータへ加工された画像データは、ネットワークIF108を介して外部へ送信されたり、印刷エンジン111へ供給されシートへ出力されたりする。
【0039】
CPU101、ROM102、RAM103、NVM104、パネル105、キー106、USBIF107、ネットワークIF108、エンジンIF110及び画像処理回路120は、バス130により相互に接続されている。
【0040】
次に、USBメモリ200に記憶された設定情報をMFP100にインポートする処理の概要を、図4及び図5に基づいて説明する。図5は、平文のインポート用の設定情報220の一例を示す図である。インポート用の設定情報220は、MFP100の設置場所、連絡先、MFP100のIP(Internet Protocol )アドレス、MFP100が接続されるサーバ等の外部端末のIPアドレス、スキャン設定及びコピー設定のうち、少なくとも一つを含んでいる。
【0041】
MFP100の、例えばNVM104には、デバイスパスワードと装置共通のパスワードが記憶されている。なお「装置」とは、本実施形態では、MFP100を含むMFPを意味することとする。デバイスパスワードは、MFP100へのログインを認証(authentication )するためのパスワードである。デバイスパスワードは、初期状態の装置毎に異なるパスワードである。そして、デバイスパスワードの初期値とは、初期状態の装置に設定されているデバイスパスワードとする。したがって、MFP100と他のMFPとでは、少なくともデバイスパスワードの初期値は異なっている。但し、デバイスパスワードは、作業者により変更することができる。一方、装置共通のパスワードは、平文のインポート指示情報210を暗号化するためのパスワードであり、所定の基準を満たす複数の装置間において同一のパスワードが、その装置のNVM内に記憶されている。なお「所定の基準」とは、具体的には、同一仕様の装置であることや、同一の設定情報220をインポート可能な装置であること、同一のファームウェアを有していること、同一メーカーの装置であることなどを挙げることができる。装置共通のパスワードは、作業者によって閲覧することができない秘密情報である。また、装置共通のパスワードは、設定情報220に含まれず、インポートによって変更することはできないが、MFP100のファームウェアを書き換えることで変更が可能である。
【0042】
図4の例では、USBメモリ200には、暗号化されたインポート用の設定情報225であるBackup.binファイルと、暗号化されていない、つまり平文のインポート指示情報210であるImport.txtファイルとが記憶されている。
【0043】
Backup.binファイルは、平文のインポート用の設定情報220(図5参照)であるBackup.jsonファイルをデータパスワードで暗号化した、バイナリ形式のファイルである。なお、Backup.jsonファイルは、JSON(JavaScript(登録商標) object notation)形式のファイルである。ここで、Backup.binファイルは、例えば、Backup.jsonファイルをZIP圧縮方式で圧縮したデータを、データパスワードを用いたAES(Advanced Encryption Standard)暗号方式で暗号化したものである。圧縮方式としては、LZH圧縮方式等、他の圧縮方式を採用することも可能である。また、暗号方式としては、DES(Data Encryption Standard)暗号方式等、他の暗号方式を採用することも可能である。また、Backup.binファイルの生成にあたって、圧縮処理を省略して暗号化処理のみを実施してもよい。
【0044】
一方、Import.txtファイルは、テキスト形式のファイルであり、図4の例では、Import.txtファイルには、認証用のデバイスパスワードとして“nimda”が記載され、データパスワードとして“abcdefg”が記載されている。
【0045】
作業者が、特定のキーであるストップキー106aを操作しながら、USBメモリ200をUSBIF107に挿入すると、MFP100は、設定情報をNVM104にインポートするインポートモードの動作を実行する。ここで、図4における「インポートモードの動作」とは、具体的には、USBメモリ200に記憶されている暗号化されたインポート用の設定情報225を復号して平文のインポート用の設定情報220を生成し、生成した平文のインポート用の設定情報220をNVM104にインポートすることである。一方、作業者が、ストップキー106aを操作せずに、USBメモリ200をUSBIF107に挿入すると、MFP100は、USBメモリ200に記憶された印字データを印刷する、あるいはスキャンしたデータをUSBメモリ200に記憶するなどの通常のUSBメモリモードの動作を実行する。
【0046】
設定情報をNVM104にインポートする際に、CPU101は、MFP100が認証省略条件を満たしているか否かを判断する。この判断において、MFP100が認証省略条件を満たしている場合、CPU101は、Import.txtファイルに含まれる認証用のデバイスパスワードをNVM104内のデバイスパスワードにより認証する認証処理を省略して、設定情報をNVM104にインポートすることを許可する。一方、MFP100が認証省略条件を満たしていない場合、CPU101は、上記認証処理を省略せずに行った後、設定情報をNVM104にインポートすることを許可する。ここで「認証省略条件」とは、図6に基づいて後述するように、MFP100が初期状態であることである。このように、MFP100が認証省略条件を満たしている場合に認証処理を省略するようにしたのは、1つのUSBメモリ200を用いて複数台のMFPに設定情報をインポートするときのインポート作業を簡略化するためである。つまり、インポート作業をする際に、各MFP毎に異なる認証情報での認証処理が常に必要であるとすれば、複数台のMFPへ同様の設定情報をインポートする作業であるにも拘わらず、認証処理の手間と時間が掛かり、効率的なインポート作業を行えないからである。なお「認証情報」は、本実施形態では、各MFPの、例えばNVM内に記憶されているデバイスパスワードである。
【0047】
そして、設定情報のNVM104へのインポートが終了すると、CPU101は、平文のインポート指示情報210を装置共通のパスワードで暗号化して、暗号化されたインポート指示情報215を生成する。さらに、CPU101は、平文のインポート指示情報210を削除することにより、平文のインポート指示情報210を暗号化されたインポート指示情報215で置換する。つまり、初回のインポート作業では、USBメモリ200内には平文のインポート指示情報210であるImport.txtファイルが記憶されているが、2回目以降のインポート作業では、USBメモリ200内に暗号化されたインポート指示情報215であるImport.binファイルが記憶されることになる。このように平文のインポート指示情報210を暗号化するのは、インポート指示情報のセキュリティを向上させるためである。また、暗号化に用いたパスワードは、装置間で同一のパスワードであり、装置毎に異なるパスワードによる復号処理を行わなくてもよいので、復号処理の手間と時間はあまり増加しない。なお、暗号化に用いる暗号方式は、平文のインポート用の設定情報220を暗号化するときに用いた暗号方式と同じものを用いればよいが、異なるものを用いてもよい。
【0048】
図4は、初回のインポート作業の例を示している。その後、1つのUSBメモリ200により設定情報をMFP100と同じ所定の基準に属する、別のMFPにインポートする場合(2回目以降のインポート作業)、USBメモリ200には、暗号化されたインポート用の設定情報225と暗号化されたインポート指示情報215とが記憶されているので、CPU101は、まず暗号化されたインポート指示情報215を装置共通のパスワードで復号して、平文のインポート指示情報210を生成する。これ以降の処理は、上述した処理と同様であるが、USBメモリ200内には、暗号化されたインポート指示情報215が既に記憶されているので、CPU101は、平文のインポート指示情報210を暗号化して置換する処理を行わない。
【0049】
平文のインポート用の設定情報220は、データ形式として、上述のようにJSON形式を採用している。但し、図5では、見易さのために、便宜的にJSON形式とは異なる表記としている。もちろん、設定情報のデータ形式は、これに限らず、例えばCSV(Comma-Separated Values)形式等の他の形式であってもよい。
【0050】
図5に示すインポート用の設定情報220は、MFP100の設置場所:Team1、MFP100の連絡先メールアドレス:team1@mail.co.jp、MFP100のIPアドレス:123.456.123.456、メールサーバのIPアドレス:123.123.123.456、スキャン設定及びコピー設定を含んでいる。また、インポート用の設定情報220は、MFP100に設定する設定用のデバイスパスワードを含んでいる。
【0051】
スキャン設定は、読取エンジン112に関連する処理の設定であり、表示名:ScanToMike、送信先情報:123.123.123.123、スキャン解像度:300dpi、両面スキャン:On及びカラー:Onを含んでいる。
【0052】
表示名とは、設定名をMFP100のパネル105に表示するための情報である。
【0053】
送信先情報は、スキャンした画像に係る画像データをネットワークIF108から通信ネットワークに送信する際の宛先である。送信先情報として、図5に示すIPアドレスに限らず、URLやメールアドレスを採用してもよい。
【0054】
「両面スキャン:On」は、原稿の両面から画像をスキャンする設定を有効化することを意味し、「両面スキャン:Off」は、原稿の両面から画像をスキャンする設定を無効化して、原稿の片面のみから画像をスキャンする設定とすることを意味する。
【0055】
「カラー:On」は、原稿からカラー画像を読取る設定を有効化することを意味し、「カラー:Off」は、原稿からカラー画像を読取る設定を無効化して、原稿からモノクロ画像を読取る設定とすることを意味する。
【0056】
CPU101は、“表示名:ScanToMike”に基づき、パネル105に、設定名として“ScanToMike”を表示する。ここで、“表示名:ScanToMike”に対応付けられた図5に示す上記設定情報は、作業者がパネル105上で複数の設定から選択可能な設定に係る設定情報を指す。但し、本実施形態は上記に関わらず、MFPに固定的に設定される設定に係る設定情報であってもよい。固定的とは、例えば、作業者が他の設定を選択することが制限される、又は不可とされることを指す。
【0057】
CPU101は、“スキャン送信先情報:123.123.123.123”に基づき、読取エンジン112に読み取られた画像に係る画像データを、IPアドレス:123.123.123.123へ送信する。CPU101は、“スキャン解像度:300dpi”に基づき、読取エンジン112を制御して、解像度300dpiで画像を読取る。CPU101は、“両面スキャン:On”に基づき、読取エンジン112を制御して、原稿の両面から画像を読取る。CPU101は、“カラー:On”に基づき、読取エンジン112を制御して、原稿の両面からカラー画像を読取る。
【0058】
コピー設定は、読取エンジン112及び印刷エンジン111に関連する処理の設定であり、表示名:Copy1、スキャン解像度:200dpi、両面スキャン:On、カラー:On及び両面印刷:Onを含んでいる。
【0059】
「カラー:On」は、シートにカラー画像を形成する設定を有効化することを意味し、「カラー:Off」は、シートにカラー画像を形成する設定を無効化して、シートにモノクロ画像を形成する設定とすることを意味する。
【0060】
「両面印刷:On」は、シートの両面に画像を形成する設定を有効化することを意味し、「両面印刷:Off」は、シートの両面に画像を形成する設定を無効化して、シートの片面のみに画像を形成する設定とすることを意味する。
【0061】
CPU101は、コピー設定の“カラー:On”に基づき、印刷エンジン111を制御して、カラー画像をシートに形成する。CPU101は、コピー設定の“両面印刷:On”に基づき、印刷エンジン111を制御して、画像をシートの両面に形成する。
【0062】
次に、MFP100、特にCPU101が実行するインポート処理を、図6図10を参照して説明する。なお、図6図8中の各処理の手順の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0063】
図6において、まずCPU101は、USBメモリ200がUSBIF107に挿入されたか否かを判断する(S10)。この判断において、USBメモリ200がUSBIF107に挿入されていないと判断された場合(S10:NO)、CPU101は、USBメモリ200がUSBIF107に挿入されるまで待機する。一方、USBメモリ200がUSBIF107に挿入されたと判断された場合(S10:YES)、CPU101は、ストップキー106aが操作されているか否かを判断する(S12)。
【0064】
S12の判断において、ストップキー106aが操作されていないと判断された場合(S12:NO)、CPU101は、MFP100に上記インポートモードの動作を実行させないので、インポート処理を終了する。一方、ストップキー106aが操作されていると判断された場合(S12:YES)、CPU101は、処理をS14に進める。なお、S14以降の処理がインポートモードの動作を実行させる処理である。
【0065】
このようにS10及びS12では、CPU101は、作業者がストップキー106aを操作しながら、USBメモリ200をUSBIF107に挿入したか否かを判断している。
【0066】
S14では、CPU101は、デバイスパスワードが初期値であるか否かを判断する。デバイスパスワードは、上述のように作業者により変更することができるので、初期値でない場合もあり得る。なお、図6図8において、パスワードをPWと略して表記する。
【0067】
S14の判断において、デバイスパスワードが初期値であると判断された場合(S14:YES)、CPU101はさらに、装置、つまりMFP100が初期状態であるか否かを判断する(S16)。ここで、「MFP100が初期状態である」ことは、具体的には、次の情報に基づいて判断する。つまり、
A.MFP100が使用されることに応じて増加する値が所定値以下であること、
B.上記プロセスユニット192がMFP100に装着されていないこと、
C.上記ネットワークIF108を介してMFP100がネットワークに接続された履歴がないこと、
D.MFP100が工場出荷後最初に使用されたときに1回のみ表示される画面が表示されていないこと、
である。
【0068】
情報A.において、「MFP100が使用されることに応じて増加する値」とは、例えば、印刷エンジン111により印刷された枚数や、読取エンジン112により読み取られた原稿の枚数などを挙げることができる。
【0069】
情報D.において、「1回のみ表示される画面」は、例えば、図9に示す操作ガイダンス画面105aである。操作ガイダンス画面105aは、工場出荷後最初にMFP100の電源を入れたときに、パネル105上にHOME画面が表示される過程で1回だけ表示され、その後表示されない画面である。操作ガイダンス画面105aがパネル105上に表示されると、CPU101は、例えば、操作ガイダンス画面表示フラグを“1”にセットするので、CPU101は、操作ガイダンス画面表示フラグの値により、操作ガイダンス画面105aが表示されているかどうかを判断することができる。
【0070】
なお、上記情報A.~D.は、いずれか1つのみ用いて「MFP100が初期状態である」ことを判断してもよいし、いくつか選択したものの論理積により「MFP100が初期状態である」ことを判断してもよい。また、「MFP100が初期状態である」ことは、上記S16を省略して、上記S14を満たすこと、つまり、デバイスパスワードが初期値であることのみにより判断してもよい。
【0071】
上記S16の判断において、装置が初期状態であると判断された場合(S16:YES)、CPU101は、初期状態フラグを“1”にセットし(S18)、装置共通のパスワードを暗号鍵として設定した(S20)後、処理をS24に進める。初期状態フラグは、デバイスパスワードによる認証を省略してもよいと判断される場合に“1”にセットされるフラグである。
【0072】
一方、上記S14の判断において、デバイスパスワードが初期値でないと判断された場合(S14:NO)、あるいは、上記S16の判断において、装置が初期状態でないと判断された場合(S16:NO)、CPU101は、デバイスパスワードを暗号鍵として設定した(S22)後、処理をS24に進める。
【0073】
上記S14及びS16では、CPU101は、MFP100が上記認証省略条件を満たしているか否かを判断している。認証省略条件は、本実施形態では、デバイスパスワードが初期値であること、かつ、MFP100が初期状態であることである。このように本実施形態では、デバイスパスワードが初期値であることと、MFP100が初期状態であることとを別々に判断するようにしたが、これに限らず、MFP100が初期状態であることに、デバイスパスワードが初期値であることを含ませるようにして、認証省略条件をMFP100が初期状態であることとしてもよい。つまり、デバイスパスワードが初期値であることを満たしている場合に、MFP100が認証省略条件を満たしていると判断してもよい。
【0074】
上記S24では、CPU101は、USBメモリ200内に平文のインポート指示情報210であるImport.txtファイルが記憶されているか否かを判断する。この判断において、USBメモリ200内にImport.txtファイルが記憶されていると判断された場合(S24:YES)、CPU101は、Import.txtファイルからデータパスワードとデバイスパスワードを取得した(S26)後、処理を図7のS40に進める。図4の例では、Import.txtファイルは、データパスワードとデバイスパスワードを含んでいる。しかし、デバイスパスワードは、作業者がパネル105から入力する場合や、認証省略条件が満たされる前提でUSBメモリに記憶するデータを作成する場合などがあるので、Import.txtファイル内に含まれていないことがある。そのため、S26の処理内に「あれば」のかっこ書きが挿入されている。
【0075】
一方、上記S24の判断において、USBメモリ200内にImport.txtファイルが記憶されていないと判断された場合(S24:NO)、CPU101は、USBメモリ200内に暗号化されたインポート指示情報215であるImport.binファイルが記憶されているか否かを判断する(S28)。この判断において、USBメモリ200内にImport.binファイルが記憶されていると判断された場合(S28:YES)、CPU101は、上記S20あるいはS22で設定した暗号鍵でImport.binファイルを復号する(S30)。
【0076】
そして、CPU101は、復号が成功した(OK)か否かを判断する(S32)。この判断において、復号が成功したと判断された場合、つまり、Import.txtファイルが正しく生成された場合(S32:YES)、CPU101は、処理を上記S26に進める。
【0077】
一方、上記S28の判断において、USBメモリ200内にImport.binファイルが記憶されていないと判断された場合(S28:NO)、あるいは上記S32の判断において、復号が失敗したと判断された場合(S32:NO)、CPU101は、インポート処理を終了する。
【0078】
図7のS40では、CPU101は、初期状態フラグが“1”であるか否を判断する。この判断において、初期状態フラグが“1”でない、つまり初期状態フラグが“0”であると判断された場合(S40:NO)、CPU101は、取得したデバイスパスワードで認証を実行する(S42)。デバイスパスワードは、上記S26で取得したものを用いるか、あるいは、作業者にデバイスパスワードの入力を要求し、これに応じて作業者が入力したデバイスパスワードを取得して用いる。
【0079】
そして、CPU101は、認証が成功した(OK)か否かを判断する(S44)。この判断において、認証が成功した、すなわち作業者がMFP100にログインしたと判断された場合(S44:YES)、CPU101は、処理をS46に進める。一方、認証が失敗したと判断された場合(S44:NO)、CPU101は、インポート処理を終了する。
【0080】
一方、上記S40において、初期状態フラグが“1”であると判断された場合(S40:YES)、CPU101は、上記S42及びS44をスキップして、処理をS46に進める。このように初期状態フラグが“1”である場合、CPU101は、デバイスパスワードによる認証を省略する。
【0081】
S46では、CPU101は、設定情報書込処理を実行する。図8は、この設定情報書込処理の詳細な手順を示している。
【0082】
図8において、まずCPU101は、USBメモリ200内に暗号化されたインポート用の設定情報225であるBackup.binファイルが記憶されているか否かを判断する(S60)。この判断において、USBメモリ200内にBackup.binファイルが記憶されていると判断された場合(S60:YES)、CPU101は、データパスワードで復号した(S62)後、処理をS64に進める。データパスワードは、Import.txtファイルあるいはImport.binファイル内に記載されているので、CPU101は、データパスワードを取得して、Backup.binファイルを復号することができる。
【0083】
一方、S60の判断において、USBメモリ200内にBackup.binファイルが記憶されていないと判断された場合(S60:NO)、CPU101は、S62をスキップして、処理をS64に進める。
【0084】
S64では、CPU101は、平文のインポート用の設定情報220であるBackup.jsonファイルに記載の設定情報をNVM104内の所定領域に書き込む(S64)。この設定情報220の書込みによって、Backup.jsonファイルに記載のデバイスパスワードをNVM104の所定領域に書き込むようにしてもよい。これにより、NVM104に記憶されているデバイスパスワードが初期値からインポート用の設定情報220に含まれるデバイスパスワードに置換されるので、MFP100のセキュリティが向上する。
【0085】
なお、本実施形態では、USBメモリ200を用いて設定情報のインポートをする場合、USBメモリ200内には必ず、Backup.binファイル及びBackup.jsonファイルのいずれか一方が記憶されていることを前提としている。一方、この場合でも、USBメモリ200内には必ず、Import.txtファイル及びImport.binファイルのいずれか一方が記憶されているとは限らず、両ファイルとも記憶されていないことがあることを前提としている。これに限らず、この場合には、USBメモリ200内には必ず、Import.txtファイル及びImport.binファイルのいずれか一方が記憶されているとしてもよい。あるいは、この場合でも、USBメモリ200内には必ず、Backup.binファイル及びBackup.jsonファイルのいずれか一方が記憶されているとは限らず、両ファイルとも記憶されていないことがあるとしてもよい。
【0086】
次に、CPU101は、Import.txtファイルからIPアドレスと装置毎の固有情報との対応リストを取得する(S66)。
【0087】
図10(a)は、平文のインポート指示情報210であるImport.txtファイルの記載例を示している。Import.txtファイルには、上記デバイスパスワード(DEVICEPASSWORD=nimda)及び上記データパスワード(DATAPASSWORD=abcdefg)に加え、IPアドレスの設定としてIPアドレスと装置毎の固有情報との対応リスト(REPLACED=・・)が記載されている。この対応リストにおいて、“192.168.1.0”,“192.168.1.1”及び“192.168.1.2”がIPアドレスであり、“%S%”以下の“X12345J5N790125”,“X12345J5N790143”及び“X12345J5N790188”が装置毎に異なる固有情報の一例としての製造番号である。ここで、“%S%”は、これに続く値が製造番号であることを示す識別子である。すなわち、Import.txtファイルには、製造番号に対応するIPアドレス値が記憶されている。なお、装置毎に異なる固有情報は、製造番号に限らず、MAC(Media Access Control)アドレス等、各装置を識別できる情報であればよい。また、IPアドレスは、ネットワークにおいてMFP100を識別する識別情報である。このような識別情報は、IPアドレスの他に、ノードネームなどを挙げることができる。
【0088】
次に、CPU101は、対応リスト内に一致する固有情報があるか否かを判断する(S68)。つまり、S68では、CPU101は、MFP100の製造番号と一致する製造番号が対応リスト内にあるか否かを判断する。この判断において、対応リスト内に一致する固有情報、つまり製造番号があると判断された場合(S68:YES)、CPU101は、一致した製造番号に対応したIPアドレスをNVM104の所定領域に書き込んだ(S70)後、設定情報書込処理を終了する。IPアドレスは、MFP毎に異なる値を書き込む(インポートする)必要がある。したがって、USBメモリ200内に記憶された設定情報をそのままインポートすると、MFP毎に異なる値をインポートできないので、上記S66~S70の処理により、MFP毎に異なる値をインポートするようにしている。
【0089】
図5の設定情報220には、IPアドレスが含まれているので、設定情報220に含まれるすべての項目の値をインポートすると、複数のMFPに対して同一のIPアドレスがインポートされることになる。しかし、上記S64の処理により一旦、設定情報220に含まれるIPアドレスがインポートされたとしても、上記S66~S70の処理により、MFP毎に異なるIPアドレスが上書きされるので、複数のMFPに対して同一のIPアドレスがインポートされることはない。
【0090】
なお、S70の処理後、書き込んだIPアドレスが対応リスト中のどれであるか分かるように、CPU101は、Import.txtファイルに記載されたIPアドレスを削除したり、そのIPアドレスに対して特定の印を付けたりして、そのIPアドレスの記憶状態を変更して記録するようにしてもよい。これにより、既に書込み済み、つまり使用済みのIPアドレスが分かるので、IPアドレスを複数のMFPに対して重複して付与することを防止できる。
【0091】
一方、S68の判断において、対応リスト内に一致する製造番号がないと判断された場合(S68:NO)、CPU101は、S70をスキップして、設定情報書込処理を終了する。
【0092】
図8の設定情報書込処理は、IPアドレスと装置毎の固有情報との対応リストがImport.txtファイルあるいはImport.binファイル内に記載されていることを前提にしている。しかし、対応リストは、図10(b)に示すように、独立したファイル、例えば、テキスト形式のIplist.txtファイルとしてもよい。図10(b)の対応リスト230には、IPアドレスに加えて、ノード名(“alpha”,“beta”,“gamma”)も含まれている。したがって、対応リスト230を用いれば、CPU101は、MFP100に対応するノード名をNVM104の所定領域に書き込むことができる。
【0093】
図7に戻り、S48では、CPU101は、上記S20あるいは上記S22で設定した暗号鍵で、平文のインポート指示情報210であるImport.txtファイルを暗号化し、暗号化されたインポート指示情報215であるImport.binファイルを生成し、USBメモリ200に記憶する(S48)。
【0094】
そして、CPU101は、USBメモリ200に記憶されたImport.txtファイルを削除する(S50)。すなわち、平文のインポート指示情報210を暗号化されたインポート指示情報215で置換する。さらに、CPU101は、初期状態フラグを“0”にリセットした(S52)後、インポート処理を終了する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態のMFP100は、MFP100の動作設定を含む設定情報を記憶するNVM104と、設定情報に基づき動作するCPU101と、USBIF107と、を備えている。
【0096】
そして、CPU101は、設定情報のIPアドレスの設定について個々のMFP毎に異なる固有情報に対応する値が設定されたインポート指示情報を記憶したUSBメモリ200がUSBIF107に接続されているとき、MFP100の固有情報に対応するIPアドレス値をNVM104にインポートする。
【0097】
このように、本実施形態のMFP100では、MFP100の固有情報に対応するIPアドレス値をNVM104にインポートするので、1つのUSBメモリ200を使用して、複数のMFPに対して個別のIPアドレスをインポートすることができる。
【0098】
ちなみに、本実施形態において、MFP100は、「情報処理装置」の一例である。NVM104は、「記憶部」の一例である。CPU101は、「制御部」の一例である。USBIF107は、「I/Oインタフェース」の一例である。USBメモリ200は、「記憶メディア」の一例である。IPアドレスの設定は、「所定の項目」の一例である。IPアドレス値は、「値」の一例である。
【0099】
また、USBメモリ200は、インポート用の設定情報を記憶し、CPU101は、インポート用の設定情報のIPアドレスの設定について、インポート指示情報に基づいて個々のMFP毎に異なるIPアドレス値をインポートする。
【0100】
これにより、1つのUSBメモリ200を使用して、複数のMFPに共通の項目とMFP毎に異なる項目とを一括して設定することが可能となる。
【0101】
また、MFP100は、さらに、シートに画像を印刷する印刷エンジン111を備え、インポート用の設定情報は、IPアドレスの設定以外の項目として、印刷エンジン111の印刷の設定の情報を含む。
【0102】
また、NVM104は、MFP100の製造番号を記憶し、インポート指示情報の固有情報は、製造番号である。
【0103】
これにより、製造番号はMFP毎に固有の情報であるので、MFP毎に異なったIPアドレス値をインポートすることができる。
【0104】
また、MFP100は、さらに、ネットワークインタフェース108を備えるとともに、ネットワークインタフェース108のMACアドレスを記憶し、インポート指示情報の固有情報は、MACアドレスである。
【0105】
これにより、MACアドレスは、ネットワークインタフェース108毎、つまりMFP毎に固有の情報であるので、MFP毎に異なったIPアドレス値をインポートすることができる。
【0106】
また、MFP100は、さらに、ネットワークインタフェース108を備え、IPアドレスの設定は、ネットワークにおいてMFP100を識別する識別情報である。
【0107】
これにより、MFP毎に異なったIPアドレス値をインポートすることができる。
【0108】
また、識別情報は、IPアドレス又はノードネームである。
【0109】
また、CPU101は、インポートの完了後、インポート指示情報中、MFP100の固有情報に対応するIPアドレス値を変更して記録する。
【0110】
これにより、IPアドレス値の変更記録から既にインポートしたIPアドレス値がどれであるかを知ることができる。
【0111】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0112】
(1)上記実施形態では、情報処理装置の一例として、MFP100を例に挙げて説明したが、MFP100に限らず、情報処理装置は、単体のプリンタやスキャナ、コピー機であってもよい。
【0113】
(2)上記実施形態では、MFP100の一例として、FAX機能を備えていないものを例に挙げて説明したが、これに限らず、MFP100は、FAX機能を備えていてもよい。
【0114】
(3)上記実施形態では、制御部の一例として、CPU101を挙げて説明したが、制御部は、CPUと専用回路とを有していてもよい。専用回路としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。
【0115】
(4)上記実施形態では、I/OIFの一例として、USBIF107を挙げている。I/OIFは、接続された記憶メディアと一対一で情報の読み書きを行うインタフェースである。そして、記憶メディアは、I/OIFを介してMFP100から情報の読み書きが可能な可搬記憶メディアである。したがって、記憶メディアとしては、USBメモリ200の他に、メモリカード等を挙げることができる。また、I/OIFとしては、USBIF107の他に、メモリカードリーダ/ライタや、NFC(Near Field Communication)インタフェース、Bluetooth(登録商標)インタフェース等の無線インタフェースを挙げることができる。また、I/OIFとして、SDIO(Secure Digital Input/Output)を採用してもよい。
【0116】
(5)上記実施形態では、インポート用の設定情報220のMFP100へのインポートは、作業者がストップキー106aの操作を行っている状態で、USBメモリ200をMFP100に接続したときとしたが、操作するキーは、ストップキー106aに限らず、単一又は複数の特定のキーの操作であってもよい。また、パネル105に表示された特定のキーやアイコンであってもよい。
【0117】
(6)上記実施形態では、暗号化されたインポート用の設定情報225(Backup.binファイル)をUSBメモリ200に記憶し、データパスワードで復号して平文のインポート用の設定情報220(Backup.jsonファイル)をMFP100にインポートしたが、これに限らず、平文のインポート用の設定情報220をUSBメモリ200に記憶してインポート処理を実行してもよい。
【0118】
(7)上記実施形態では、デバイスパスワードは、NVM104に記憶されているとしたが、これに限らず、ROM102に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0119】
100 MFP
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 NVM
105 パネル
106 キー
107 USBIF
110 エンジンIF
111 印刷エンジン
112 読取エンジン
120 画像処理回路
200 USBメモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10