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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】光電変換素子および撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/60 20230101AFI20241016BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241016BHJP
   H10K 39/32 20230101ALI20241016BHJP
   H10K 39/38 20230101ALI20241016BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20241016BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20241016BHJP
【FI】
H10K30/60
H01L27/146 E
H10K39/32
H10K39/38
H10K85/10
H10K85/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020015676
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021125482
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 知佳
(72)【発明者】
【氏名】氏家 康晴
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】塩見 治典
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0060773(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109935700(CN,A)
【文献】特開2007-258235(JP,A)
【文献】特開平11-144773(JP,A)
【文献】特開2001-226331(JP,A)
【文献】特開2018-190755(JP,A)
【文献】特開2015-056554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233448(US,A1)
【文献】国際公開第2019/151049(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/178273(WO,A1)
【文献】MA, Xiaoling et al.,"Efficient Ternary Polymer Solar Cells with Two Well-Compatible Donors and One Ultranarrow Bandgap Nonfullerene Acceptor",ADVANCED ENERGY MATERIALS,2018年,Vol.8, Article Number 1702854,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 10/00-99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極と対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられると共に、下記式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または下記式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層と、
前記光電変換層と前記第2電極との間に設けられると共に、下記数式(1)を満たす、下記式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、下記式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、下記式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは下記式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層と
を備えた光電変換素子。
(数1)ELUMO(acceptor)+0.3eV<EHOMO(p-Buffer)<EHOMO(donor)+0.5eV・・・(1)
(donor:第1の有機半導体材料、acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【化1】
【化2】
【請求項2】
前記第2の有機半導体材料は、2,2′-((2Z,2′Z)-(((4,4,9,9-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-4,9-ジヒドロ-s-インダセノ[1,2-b:5,6-b′]ジチオフェン(-2,7-ジイル)ビス4-((2-エチルヘキシル)オキシ)チオフェン-5,2-ジイル))ビス(メタニリリデン))ビス(5,6-ディフロロ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル(IEICO-4F)である、請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記第1電極は、互いに独立する複数の電極からなる、請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記第1電極を構成する前記複数の電極は、それぞれ個別に電圧が印加される、請求項3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
半導体基板をさらに備え、
前記半導体基板の第1面側に、前記第1電極、前記光電変換層、前記pバッファ層および前記第2電極がこの順に設けられている、請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記半導体基板は駆動回路を有し、前記第1電極は互いに独立する複数の電極からなり、前記複数の電極は、それぞれ、前記駆動回路に接続されている、請求項5に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記半導体基板の前記第1面と対向する第2面側に多層配線層が形成されている、請求項5に記載の光電変換素子。
【請求項8】
1または複数の光電変換素子がそれぞれ設けられている複数の画素を備え、
前記光電変換素子は、
第1電極と、
前記第1電極と対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられると共に、下記式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または下記式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層と、
前記光電変換層と前記第2電極との間に設けられると共に、下記数式(1)を満たす、下記式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、下記式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、下記式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは下記式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層と
を有する撮像素子。
(数2)ELUMO(acceptor)+0.3eV<EHOMO(p-Buffer)<EHOMO(donor)+0.5eV・・・(1)
(donor:第1の有機半導体材料、acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【化3】
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、有機半導体材料を含む光電変換層を有する光電変換素子およびこれを備えた撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、陽極と陰極との間に2つの光電変換層を設け、そのうちの一方の電極側の光電変換層に1e16/cm3以上の不純物密度で不純物をドープすることで量子効率の向上を図った光電変換素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-98393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光電変換素子では、暗電流の発生の低減が求められている。
【0005】
高い外部量子効率を維持しつつ暗電流の発生を低減することが可能な光電変換素子および撮像素子を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の光電変換素子は、第1電極と、第1電極と対向配置された第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられると共に、後述する式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層と、光電変換層と第2電極との間に設けられると共に、下記数式(1)を満たす、後述する式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層とを備えたものであ
(数1)ELUMO(acceptor)+0.3eV<EHOMO(p-Buffer)<EHOMO(donor)+0.5eV・・・(1)
(donor:第1の有機半導体材料、acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【0007】
本開示の一実施形態の撮像素子は、1または複数の光電変換素子がそれぞれ設けられている複数の画素を備えたものであり、光電変換素子として、上記一実施形態の光電変換素子を有する。
【0008】
本開示の一実施形態の光電変換素子および一実施形態の撮像素子では、第1電極と第2電極との間に、後述する式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層と、上記数式(1)を満たす、後述する式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層とを設けるようにした。これにより、pバッファ層が設けられた電極(例えば、第2電極)側からの電荷の注入が抑制されると共に、光電変換層で生じた電荷のpバッファ層が設けられた電極側への輸送効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態に係る光電変換素子の断面模式図である。
図2図1に示した光電変換部の断面模式図である。
図3図1に示した光電変換素子の等価回路図である。
図4図1に示した光電変換素子の下部電極および制御部を構成するトランジスタの配置を表す模式図である。
図5A図1に示した光電変換部の動作原理を説明する図である。
図5B図1に示した光電変換部の動作原理を説明する図である。
図5C図1に示した光電変換部の動作原理を説明する図である。
図6図1に示した光電変換部の各部に用いる材料のエネルギー準位を表す図である。
図7A図1に示した光電変換素子の製造方法を説明するための断面模式図である。
図7B図7Aに続く工程を表す断面模式図である。
図7C図7Bに続く工程を表す断面模式図である。
図7D図7Cに続く工程を表す断面模式図である。
図7E図7Dに続く工程を表す断面模式図である。
図8図1に示した光電変換部の一動作例を表すタイミング図である。
図9図1に示した光電変換素子を画素として用いた撮像素子の構成を表すブロック図である。
図10図9に示した撮像素子を用いた電子機器(カメラ)の一例を表す機能ブロック図である。
図11】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図12】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図13】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図14】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図15】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図16】実施例で作製したデバイスサンプルの断面模式図である。
図17】実験例1~実験例5の暗電流特性の結果を表す図である。
図18】実験例1~実験例5のEQE特性の結果を表す図である。
図19】実験例1~実験例5の応答特性の結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(光電変換層と上部電極との間に、所定のHOMO準位を有するp型の有機半導体材料を含むpバッファ層を設けた光電変換素子の例)
1-1.光電変換素子の構成
1-2.光電変換素子の製造方法
1-3.光電変換素子の制御方法
1-4.作用・効果
2.適用例
3.応用例
4.実施例
【0011】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る光電変換素子(光電変換素子1)の断面構成を模式的に表したものである。図2は、図1に示した光電変換素子1の要部(光電変換部10)の断面構成を拡大して模式的に表したものである。図3は、図1に示した光電変換素子1の等価回路図である。図4は、図1に示した光電変換素子1の下部電極11および制御部を構成するトランジスタの配置を模式的に表したものである。この光電変換素子1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像装置(撮像素子100、図9参照)において1つの画素(単位画素P)を構成するものである。
【0012】
(1-1.光電変換素子の構成)
光電変換素子1は、例えば、半導体基板30の第1面(裏面)30A側に光電変換部10が設けられたものである。光電変換部10は、対向配置された下部電極11(例えば、第1電極)と上部電極16(例えば、第2電極)との間に、p型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層14と、上記第1の有機半導体材料および第2の有機半導体材料に対して所定のエネルギー準位を有するp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層15とがこの順に積層されている。下部電極11と光電変換層14との間には、絶縁層12を介して半導体層13が設けられている。下部電極11は、互いに独立した複数の電極として読み出し電極11Aと、蓄積電極11Bとを有する。蓄積電極11Bは絶縁層12によって覆われ、読み出し電極11Aは絶縁層12に設けられた開口12Hを介して半導体層13と電気的に接続されている。
【0013】
なお、本実施の形態では、光電変換によって生じる電子および正孔の対(電子-正孔対)のうち、電子を信号電荷として読み出す場合について説明する。また、図中において、「p」「n」に付した「+(プラス)」は、p型またはn型の不純物濃度が高いことを表し、「++」はp型またはn型の不純物濃度が「+」よりも更に高いことを表している。
【0014】
光電変換素子1は、光電変換部10において選択的な波長域(例えば、700nm以上1600nm以下)の一部または全部の波長域に対応する光を吸収して、電子-正孔対を発生させる光電変換素子である。光電変換部10は、図2に示したように、例えば、半導体基板30の第1面30A側に下部電極11、絶縁層12、半導体層13、光電変換層14、pバッファ層15および上部電極16がこの順に積層された構成を有している。なお、図2では、固定電荷層17A、誘電体層17Bおよび層間絶縁層18等は省略して示している。下部電極11は、例えば、単位画素Pごとに分離形成されると共に、詳細は後述するが、絶縁層12を間に互いに分離された読み出し電極11Aおよび蓄積電極11Bを有している。半導体層13、光電変換層14、pバッファ層15および上部電極16は、図1では、光電変換素子1ごとに分離形成されている例を示したが、例えば、複数の光電変換素子1に共通した連続層として設けられていてもよい。
【0015】
下部電極11は、例えば、互いに独立する読み出し電極11Aと、蓄積電極11Bととから構成されている。下部電極11は、例えば、光透過性を有する導電性材料(透明導電性材料)を用いて形成することができる。透明導電材料のバンドギャップエネルギーは、例えば、2.5eV以上であることが好ましく、さらに3.1eV以上であることが望ましい。透明導電材料としては、金属酸化物を上げることができる。具体的には、酸化インジウム、インジウム-錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn23、結晶性ITOおよびアモルファスITOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、酸化ガリウムにドーパントとしてインジウムを添加したインジウム-ガリウム酸化物(IGO)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムとガリウムを添加したインジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO,In-GaZnO4)、酸化亜鉛にドーパントとしてインジウムと錫を添加したインジウム-錫-亜鉛酸化物(ITZO)、IFO(FドープのIn23)、酸化錫(SnO2)、ATO(SbドープのSnO2)、FTO(FドープのSnO2)、酸化亜鉛(他元素をドープしたZnOを含む)、酸化亜鉛にドーパントとしてアルミニウムを添加したアルミニウム-亜鉛酸化物(AZO)、酸化亜鉛にドーパントとしてガリウムを添加したガリウム-亜鉛酸化物(GZO)、酸化チタン(TiO2)、酸化チタンにドーパントとしてニオブを添加したニオブ-チタン酸化物(TNO)、酸化アンチモン、スピネル型酸化物、YbFe24構造を有する酸化物を例示することができる。この他、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物またはニッケル酸化物等を母層とする透明電極を挙げることができる。下部電極11のY軸方向の膜厚(以下、単に厚みとする)は、例えば、2×10-8m以上2×10-7m以下であり、好ましくは3×10-8m以上1×10-7m以下である。
【0016】
なお、下部電極11は、例えば金属材料を用いて形成することができる。例えば、光電変換部10が近赤外領域にて光電変換を行う場合は、上部電極16よりも仕事関数の小さく、近赤外領域の光に対して高い反射率を有する金属材料を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、チタン(Ti)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)および銅(Cu)等が挙げられる。下部電極11は、上記金属材料の中でも銀、アルミニウムおよび銅のいずれかを用いて形成することが好ましい。
【0017】
読み出し電極11Aは、光電変換層14内で発生した信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送するためのものである。読み出し電極11Aは、例えば、上部第1コンタクト18A、パッド部39A、貫通電極34、接続部41Aおよび下部第2コンタクト46を介して、半導体基板20の第2面(表面)30B側に設けられたフローティングディフュージョンFD(領域36B)に接続されている。
【0018】
蓄積電極11Bは、光電変換層14内で発生した電荷のうち、信号電荷(電子)を半導体層13内に蓄積するためのものである。蓄積電極11Bは、読み出し電極11Aよりも大きいことが好ましく、これにより、多くの電荷を蓄積することができる。
【0019】
絶縁層12は、蓄積電極11Bと半導体層13とを電気的に分離するためのものである。絶縁層12は、下部電極11を覆うように、例えば、層間絶縁層18上に設けられている。また、絶縁層12には、下部電極11のうち、読み出し電極11A上に開口12Hが設けられており、この開口12Hを介して、読み出し電極11Aと半導体層13とが電気的に接続されている。開口12Hの側面は、例えば、図2に示したように、光入射側S1に向かって広がる傾斜を有することが好ましい。これにより、半導体層13から読み出し電極11Aへの電荷の移動がより滑らかとなる。
【0020】
絶縁層12の材料としては、酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNx)、酸化アルミニウム(Al23)等の金属酸化物高誘電絶縁材料等の無機系絶縁材料が挙げられる。この他、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤)、ノボラック型フェノール樹脂、フッ素系樹脂、オクタデカンチオール、ドデシルイソシアネイト等の一端に制御電極と結合可能な官能基を有する直鎖炭化水素類にて例示される有機系絶縁材料(有機ポリマー)を挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。なお、酸化ケイ素系材料としては、酸化シリコン(SiOx)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマーおよびベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボンおよび有機SOG)が挙げられる。
【0021】
半導体層13は、光電変換層14内で発生した信号電荷を蓄積すると共に、読み出し電極11Aへ転送するためのものである。半導体層13のキャリア密度は、例えば1e+16/cm-3以下であることが好ましく、1e+15/cm-3以下であることがより好ましい。半導体層13は、光電変換層14よりも電荷の移動度が高く、且つ、バンドギャップが大きな材料を用いて形成されていることが好ましい。これにより、例えば電荷転送を高速化するとともに読み出し電極から半導体層への正孔注入を抑制することができる。
【0022】
半導体層13は、例えば、酸化物半導体材料を含んで構成されている。酸化物半導体材料としては、例えば、IGZO(In-Ga-Zn-O系酸化物半導体),ZTO(Zn-Sn-O系酸化物半導体;Zn2SnO4),IGZTO(In-Ga-Zn-Sn-O系酸化物半導体;InGaZnSnO)、GTO(Ga-Sn-O系酸化物半導体;Ga23:SnO2)およびIGO(In-Ga-O系酸化物半導体)が挙げられる。半導体層13は、上記酸化物半導体材料を少なくとも1種用いることが好ましく、なかでもIGZOが好適に用いられる。半導体層13の厚みは、例えば、30nm以上200nm以下であり、好ましくは60nm以上150nm以下である。
【0023】
光電変換層14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、例えば、700nm以上2500nm以下の波長域の光を吸収した際に生じる励起子が電子と正孔とに分離する場を提供するものである。光電変換層14は、例えば、p型の第1の有機半導体材料を含んで構成されている。第1の有機半導体材料としては、例えば、重量平均分子量が80000以上のポリマー有機半導体材料が挙げられる。具体的には、下記式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン][3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル])または下記式(2)で表されるポリ[2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン]が挙げられる。
【0024】
【化1】
【0025】
光電変換層14は、さらに、例えば、n型の第2の有機半導体材料を含んで構成されている。第2の有機半導体材料としては、例えば、例えば、2,2′-((2Z,2′Z)-(((4,4,9,9-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-4,9-ジヒドロ-s-インダセノ[1,2-b:5,6-b′]ジチオフェン(-2,7-ジイル)ビス4-((2-エチルヘキシル)オキシ)チオフェン-5,2-ジイル)) ビス(メタニリリデン))ビス(5,6-ディフロロ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル(IEICO-4F)が挙げられる。
【0026】
光電変換層14の厚みは、例えば、100nm以上1000nm以下であり、好ましくは300nm以上800nm以下である。
【0027】
pバッファ層15は、上部電極16側からの電荷(例えば、電子)の流入を防ぐためのものである。本実施の形態のpバッファ層15は、光電変換層14のHOMO準位と等しいまたは浅いHOMO準位を有することが好ましい。このようなpバッファ層15は、例えば、光電変換層14に含まれる第1の有機半導体材料(ドナー)のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が、下記数式(2)を満たすHOMO準位を有するp型の第3の有機半導体材料を用いることで形成することができる。ここで、0.5eVは絶対値である。即ち、第3の有機半導体材料のHOMO準位と第1の有機半導体材料のHOMO準位との差は、±0.5eV未満であることが好ましく、より好ましくは0eVである。これにより、光電変換層14で生じた電荷(例えば、正孔)の上部電極16側への輸送効率を向上させことが可能となる。

(数2)EHOMO(p-Buffer)-EHOMO(donor)<0.5eV・・・(2)

(donor:第1の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【0028】
更に、本実施の形態のpバッファ層15は、光電変換層14のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位よりも深いHOMO準位を有することが好ましい。このようなpバッファ層15は、例えば、光電変換層14に含まれる第2の有機半導体材料(アクセプタ)のLUMO準位との差が、下記数式(3)を満たすHOMO準位を有するp型の第3の有機半導体材料を用いることで形成することができる。

(数3)EHOMO(p-Buffer)-ELUMO(acceptor)>0.3eV・・・(3)

(acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【0029】
以上から、pバッファ層15は、下記式(1)を満たすp型の第3の有機半導体材料を用いることが好ましい。

(数4)(数1)ELUMO(acceptor)+0.3eV<EHOMO(p-Buffer)<EHOMO(donor)+0.5eV・・・(1)

(donor:第1の有機半導体材料、acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【0030】
図6は、下部電極11、半導体層13、光電変換層14、pバッファ層15および上部電極16の構成材料として用いられる各材料の一例のエネルギー準位を表したものである。上記数式(1)を満たす第3の有機半導体材料としては、例えば、下記式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、下記式(4)で表される4,4',4''-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン、下記式(5)で表される4,4',4''-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、下記式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H -フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7 -トリフェニル-9H -フルオレン-2,7-ジアミン)、下記式(7)で表されるペンタセン、下記式(8)で表されるα-セキシチオフェン、下記式(9)で表されるジナフト[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンまたは下記式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンが挙げられる。
【0031】
【化2】
【0032】
pバッファ層15の厚みは、例えば、5nm以上50nm以下であり、好ましくは5nm以上20nm以下である。
【0033】
上部電極16は、光透過性を有する導電性材料により構成されている。上部電極16は単位画素P毎に分離されていてもよいし、各単位画素Pに共通の電極として形成されていてもよい。上部電極16は、下部電極11よりも仕事関数の高い電極材料で形成されていることが好ましく、例えばチタン(Ti)、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)が挙げられる。この他、チタンとアルミニウムとを積層した積層膜(Ti/Al膜)として形成してもよい。上部電極16の厚みは、例えば、10nm~200nmである。
【0034】
なお、半導体層13と光電変換層14との間やpバッファ層15と上部電極16との間には、他の層が設けられていてもよい。例えば、本実施の形態のように、信号電荷として電子を読み出す場合には、pバッファ層15と上部電極16との間に、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)または酸化バナジウム(V25)のように仕事関数の大きな材料で構成される層(仕事関数調整層)を追加するようにしてもよい。これにより、下部電極11と上部電極16との間に発生する内部電界を強化することができる。
【0035】
光電変換部10では、上部電極16側から光電変換部10に入射した近赤外光Lは光電変換層14で吸収される。これによって生じた励起子は、例えば図5Aに示したように励起子分離して電子と正孔とに解離する。ここで発生した電荷(電子および正孔)は、キャリアの濃度差による拡散や、陽極(ここでは、上部電極16)と陰極(ここでは、下部電極11)との仕事関数の差による内部電界によって、例えば図5Bに示したように、それぞれ異なる電極へ運ばれる。電子および正孔の輸送方向は、下部電極11と上部電極16との間に電位を印加することによって制御される。ここでは、電子が信号電荷として下部電極11側に運ばれる。下部電極11側に運ばれた電子は、蓄積電極11B上の半導体層13内に蓄積されたのち、図5Cに示したように、読み出し電極11Aに向かって転送され、光電流として検出される。
【0036】
半導体基板30の第2面30Bには、例えば、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)FD(半導体基板30内の領域36B)と、アンプトランジスタ(変調素子)AMPと、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、多層配線層40とが設けられている。多層配線層40は、例えば、配線層41,42,43が絶縁層44内に積層された構成を有している。
【0037】
なお、図面では、半導体基板30の第1面30A側を光入射側S1、第2面30B側を配線層側S2と表している。
【0038】
半導体基板30の第1面30Aと下部電極11との間には、例えば、固定電荷を有する層(固定電荷層)17Aと、絶縁性を有する誘電体層17Bと、層間絶縁層18とが設けられている。上部電極16の上には、保護層19が設けられている。保護層19内には、例えば、読み出し電極11Aの上方に、例えば遮光膜21が設けられている。この遮光膜21は、少なくとも蓄積電極11Bにはかからず、少なくとも光電変換層14と直接接している読み出し電極11Aの領域を覆うように設けられていればよい。例えば、蓄積電極11Bと同じ層に形成されている読み出し電極11Aよりも一回り大きく設けられていることが好ましい。保護層19の上方には、平坦化層(図示せず)やオンチップレンズ22等の光学部材が配設されている。
【0039】
固定電荷層17Aは、正の固定電荷を有する膜でもよいし、負の固定電荷を有する膜でもよい。負の固定電荷を有する膜の材料としては、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化チタン等が挙げられる。また上記以外の材料としては酸化ランタン、酸化プラセオジム、酸化セリウム、酸化ネオジム、酸化プロメチウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化正孔ミウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜または酸窒化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0040】
固定電荷層17Aは、2種類以上の膜を積層した構成を有していてもよい。それにより、例えば負の固定電荷を有する膜の場合には正孔蓄積層としての機能をさらに高めることが可能である。
【0041】
誘電体層17Bの材料は特に限定されないが、例えば、シリコン酸化膜、TEOS、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等によって形成されている。
【0042】
層間絶縁層18は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンおよび酸窒化シリコン(SiON)等のうちの1種よりなる単層膜あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。
【0043】
保護層19は、光透過性を有する材料により構成され、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンおよび酸窒化シリコン等のうちのいずれかよりなる単層膜あるいはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。保護層19の厚みは、例えば、100nm~30000nmである。
【0044】
更に、保護層19内には、例えば、蓄積電極11Bの上方にカラーフィルタを設けるようにしてもよい。カラーフィルタは、例えば光電変換層14への可視光の入射を防ぐためのものであり、少なくとも蓄積電極11Bの領域を覆うように設けられていればよい。
【0045】
半導体基板30は、例えば、n型のシリコン(Si)基板により構成されている。半導体基板30の第2面30Bには、アンプトランジスタAMPと、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSEL等が設けられている。また、半導体基板30の周辺部には、ロジック回路等からなる周辺回路(図示せず)が設けられている。
【0046】
半導体基板30の第1面30Aと第2面30Bとの間には、貫通電極34が設けられている。貫通電極34は、光電変換部10とアンプトランジスタAMPのゲートGampおよびフローティングディフュージョンFDとのコネクタとしての機能を有すると共に、光電変換部10において生じた電荷(ここでは、電子)の伝送経路となるものである。換言すると、光電変換部10は、この貫通電極34を介して、アンプトランジスタAMPのゲートGampと、フローティングディフュージョンFDを兼ねるリセットトランジスタRST(リセットトランジスタTRrst)の一方のソース/ドレイン領域36Bに接続されている。これにより、光電変換素子1では、半導体基板30の第1面30A側の光電変換部10で生じた信号電荷を、貫通電極34を介して半導体基板30の第2面30B側に良好に転送し、特性を高めることが可能となっている。
【0047】
貫通電極34の下端は、配線層41内の接続部41Aに接続されており、接続部41Aと、アンプトランジスタAMPのゲートGampとは、下部第1コンタクト45を介して接続されている。接続部41Aと、フローティングディフュージョンFD(領域36B)とは、例えば、下部第2コンタクト46を介して接続されている。貫通電極34の上端は、例えば、パッド部39Aおよび上部第1コンタクト18Aを介して読み出し電極11Aに接続されている。
【0048】
フローティングディフュージョンFD(領域36B)の隣にはリセットトランジスタRSTのリセットゲートGrstが配置されている。これにより、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷を、リセットトランジスタRSTによりリセットすることが可能となる。
【0049】
リセットトランジスタRST(リセットトランジスタTRrst)は、光電変換部10からフローティングディフュージョンFDに転送された電荷をリセットするものであり、例えばMOSトランジスタにより構成されている。具体的には、リセットトランジスタTRrstは、リセットゲートGrstと、チャネル形成領域36Aと、ソース/ドレイン領域36B,36Cとから構成されている。リセットゲートGrstは、リセット線RST1に接続され、リセットトランジスタTRrstの一方のソース/ドレイン領域36Bは、フローティングディフュージョンFDを兼ねている。リセットトランジスタTRrstを構成する他方のソース/ドレイン領域36Cは、電源VDDに接続されている。
【0050】
アンプトランジスタAMPは、光電変換部10で生じた電荷量を電圧に変調する変調素子であり、例えばMOSトランジスタにより構成されている。具体的には、アンプトランジスタAMPは、ゲートGampと、チャネル形成領域35Aと、ソース/ドレイン領域35B,35Cとから構成されている。ゲートGampは、下部第1コンタクト45、接続部41A、下部第2コンタクト46および貫通電極34等を介して、読み出し電極11AおよびリセットトランジスタTRrstの一方のソース/ドレイン領域36B(フローティングディフュージョンFD)に接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域35Bは、リセットトランジスタTRrstを構成する他方のソース/ドレイン領域36Cと領域を共有しており、電源VDDに接続されている。
【0051】
選択トランジスタSEL(選択トランジスタTR1sel)は、ゲートGselと、チャネル形成領域34Aと、ソース/ドレイン領域34B,34Cとから構成されている。ゲートGselは、選択線SELに接続されている。また、一方のソース/ドレイン領域34Bは、アンプトランジスタAMPを構成する他方のソース/ドレイン領域35Cと、領域を共有しており、他方のソース/ドレイン領域34Cは、信号線(データ出力線)VSLに接続されている。
【0052】
リセット線RSTおよび選択線SELは、それぞれ、駆動回路を構成する行走査部131に接続されている。信号線(データ出力線)VSLは、駆動回路を構成する水平選択部133に接続されている。
【0053】
下部第1コンタクト45、上部第1コンタクト18Aおよび上部第2コンタクト18Bは、例えば、PDAS(Phosphorus Doped Amorphous Silicon)等のドープされたシリコン材料またはアルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等の金属材料により構成されている。
【0054】
(1-2.光電変換素子の製造方法)
本実施の形態の光電変換素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0055】
図7A図7Eは、光電変換素子1の製造方法を工程順に表したものである。まず、半導体基板30の第1面30A近傍にはp+領域(図示せず)を形成する。半導体基板30の第2面30Bには、図7Aに示したように、例えば、素子分離領域31A,31Bとなるp+領域、例えばフローティングディフュージョンFDや各トランジスタのソース/ドレイン領域となるn+領域を形成したのち、ゲート絶縁層32と、選択トランジスタSEL、アンプトランジスタAMPおよびリセットトランジスタRSTの各ゲートを含むゲート配線層47とを形成する。これにより、選択トランジスタSEL、アンプトランジスタAMPおよびリセットトランジスタRSTを形成する。更に、半導体基板30の第2面30B上に、下部第1コンタクト45、下部第2コンタクト46および接続部41Aを含む配線層41~43および絶縁層44からなる多層配線層40を形成する。
【0056】
半導体基板30の基体としては、例えば、半導体基板30と、埋込み酸化膜(図示せず)と、保持基板(図示せず)とを積層したSOI(Silicon on Insulator)基板を用いる。埋込み酸化膜および保持基板は、図7Aには図示しないが、半導体基板30の第1面30Aに接合されている。
【0057】
次いで、半導体基板30の第2面30B側(多層配線層40側)に支持基板(図示せず)または他の半導体基体等を接合して、上下反転する。続いて、半導体基板30をSOI基板の埋込み酸化膜および保持基板から分離し、半導体基板30の第1面30Aを露出させる。以上の工程は、イオン注入およびCVD(Chemical Vapor Deposition)等、通常のCMOSプロセスで使用されている技術にて行うことが可能である。
【0058】
次いで、図7Bに示したように、例えばドライエッチングにより半導体基板30を第1面30A側から加工し、例えば環状の開口34Hを形成する。開口34Hの深さは、図7Bに示したように、半導体基板30の第1面30Aから第2面30Bまで貫通すると共に、例えば、接続部41Aまで達するものである。
【0059】
続いて、半導体基板30の第1面30Aおよび開口34Hの側面に、例えば負の固定電荷層17Aを形成する。負の固定電荷層17Aとして、2種類以上の膜を積層してもよい。それにより、正孔蓄積層としての機能をより高めることが可能となる。負の固定電荷層17Aを形成したのち、誘電体層17Bを形成する。次に、誘電体層17B上の所定の位置にパッド部39A,39Bを形成したのち、誘電体層17Bおよびパッド部39A,39B上に、層間絶縁層18を形成する。次いで、層間絶縁層18を成膜したのち、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて層間絶縁層18の表面を平坦化する。
【0060】
続いて、図7Cに示したように、パッド部39A,39B上の層間絶縁層18に、それぞれ開口18H1,18H2を形成したのち、この開口18H1,18H2に、例えばAl等の導電材料を埋め込み、上部第1コンタクト18Aおよび上部第2コンタクト18Bを形成する。
【0061】
続いて、図7Dに示したように、層間絶縁層18上に導電膜21xを成膜したのち、導電膜21xの所定の位置(例えば、パッド部39Aおよびパッド部39B上)にフォトレジストPRを形成する。その後、エッチングおよびフォトレジストPRを除去することで、図7Eに示した、読み出し電極Aおよび蓄積電極11Bがパターニングされる。
【0062】
次いで、層間絶縁層18および読み出し電極11Aおよび蓄積電極11B上に絶縁層12を成膜したのち、読み出し電極11A上に開口12Hを設ける。この後、層間絶縁層18上に、半導体層13、光電変換層14、pバッファ層15、上部電極16、保護層19および遮光膜21を形成する。最後に、平坦化層等の光学部材およびオンチップレンズ22を配設する。以上により、図1に示した光電変換素子1が完成する。
【0063】
なお、光電変換層14は、例えば、スピンコート技術やプリント技術等の塗布法を用いて形成することができる。pバッファ層15は、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。透明電極(下部電極11および上部電極16)や半導体層13を形成する方法としては、構成する材料にもよるが真空蒸着法や反応性蒸着法、各種のスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法といった物理的気相成長法(PVD法)、パイロゾル法、有機金属化合物を熱分解する方法、スプレー法、ディップ法、MOCVD法を含む各種の化学的気相成長法(CVD法)、無電解メッキ法および電解メッキ法を挙げることができる。
【0064】
(1-3.光電変換素子の制御方法)
(光電変換部による信号の取得)
本実施の形態の光電変換素子1では、光電変換部10へ入射した光のうち、例えば近赤外領域の光が光電変換部10において選択的に検出(吸収)され、光電変換される。
【0065】
光電変換部10は、貫通電極34を介して、アンプトランジスタAMPのゲートGampとフローティングディフュージョンFDとに接続されている。よって、光電変換部10で発生した電子-正孔対のうちの電子(信号電荷)が、下部電極11側から取り出され、貫通電極34を介して半導体基板30の第2面30B側へ転送され、フローティングディフュージョンFDに蓄積される。これと同時に、アンプトランジスタAMPにより、光電変換部10で生じた電荷量が電圧に変調される。
【0066】
また、フローティングディフュージョンFDの隣には、リセットトランジスタRSTのリセットゲートGrstが配置されている。これにより、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷は、リセットトランジスタRSTによりリセットされる。
【0067】
本実施の形態では、光電変換部10は、貫通電極34を介して、アンプトランジスタAMPだけでなくフローティングディフュージョンFDにも接続されているので、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷をリセットトランジスタRSTにより容易にリセットすることが可能となる。
【0068】
これに対して、貫通電極34とフローティングディフュージョンFDとが接続されていない場合には、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷をリセットすることが困難となり、大きな電圧をかけて上部電極16側へ引き抜くことになる。そのため、光電変換層14がダメージを受けるおそれがある。また、短時間でのリセットを可能とする構造は暗時ノイズの増大を招き、トレードオフとなるため、この構造は困難である。
【0069】
図8は、光電変換部10の一動作例を表したものである。(A)は、蓄積電極11Bにおける電位を示し、(B)は、フローティングディフュージョンFD(読み出し電極11A)における電位を示し、(C)は、リセットトランジスタTRrstのゲート(Gsel)における電位を示したものである。光電変換部10では、読み出し電極11Aおよび蓄積電極11Bは、それぞれ個別に電圧が印加されるようになっている。
【0070】
光電変換部10では、蓄積期間においては、駆動回路から読み出し電極11Aに電位V1が印加され、蓄積電極11Bに電位V2が印加される。ここで、電位V1,V2は、V1<V2とする。これにより、光電変換によって生じた信号電荷(ここでは、電子)は、蓄積電極11Bに引きつけられ、蓄積電極11Bと対向する半導体層13の領域に蓄積される(蓄積期間)。因みに、蓄積電極11Bと対向する半導体層13の領域の電位は、光電変換の時間経過に伴い、より負側の値となる。なお、正孔は上部電極16から駆動回路へと送出される。
【0071】
光電変換部10では、蓄積期間の後期においてリセット動作がなされる。具体的には、タイミングt1において、走査部は、リセット信号RSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる。これにより、単位画素Pでは、リセットトランジスタTR1rstがオン状態になり、その結果、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDの電圧がリセットされる(リセット期間)。
【0072】
リセット動作の完了後、電荷の読み出しが行われる。具体的には、タイミングt2において、駆動回路から読み出し電極11Aには電位V3が印加され、蓄積電極11Bには電位V4が印加される。ここで、電位V3,V4は、V4<V3とする。これにより、蓄積電極11Bに対応する領域に蓄積されていた信号電荷は、蓄積電極11B上から読み出し電極11Aに移動し、読み出し電極11AからフローティングディフュージョンFDへと読み出される。即ち、半導体層13に蓄積された電荷が制御部に読み出される(転送期間)。
【0073】
読み出し動作完了後、再び、駆動回路から読み出し電極11Aに電位V1が印加され、蓄積電極11Bに電位V2が印加される。これにより、光電変換によって生じた信号電荷は、蓄積電極11Bに引きつけられ、蓄積電極11Bと対向する半導体層13の領域に蓄積される(蓄積期間)。
【0074】
(1-4.作用・効果)
本実施の形態の光電変換素子1では、下部電極11と上部電極16との間に、p型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層14と、上記数式(1)および数式(2)を満たすp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層15とをこの順に積層するようにした。これにより、上部電極16側からの電荷の注入が抑制されると共に、光電変換層14で生じた電荷(例えば、正孔)の上部電極16側への輸送効率が向上する。以下、これについて説明する。
【0075】
CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子では、低暗電流化、外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)の向上および応答時間の短縮が求められている。
【0076】
ところで、近年、光電変換層の材料としてp型のポリマー半導体を用いた光電変換素子が開発されている。p型のポリマー半導体を用いた光電変換素子では、暗電流が大きいという課題がある。これは、光電変換層と電極との間に設けられる仕事関数調整層からの電荷の注入が原因と考えられる。
【0077】
これに対して本実施の形態では、p型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層14と上部電極16との間に、第1の有機半導体材料のHOMO準位との差が±0.5eV未満、且つ、第2の有機半導体材料のLUMO準位との差が0.3eVよりも大きなHOMO準位を有するp型の第3有機半導体材料を含むpバッファ層15を設けるようにした。これにより、上部電極16側からの電荷の注入が抑制されると共に、光電変換層14で生じた電荷(例えば、正孔)の上部電極16側への輸送効率を向上させることが可能となる。
【0078】
以上により、本実施の形態の光電変換素子1では、高い外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)を維持しつつ暗電流の発生を低減することが可能となる。
【0079】
また、本実施の形態の光電変換素子1では、pバッファ層15を、第1の有機半導体材料のHOMO準位との差が0eV(EHOMO(p-Buffer)-EHOMO(donor)=0eV)となる第3の有機半導体材料を用いて形成することにより、さらに応答時間を低減することが可能となる。
【0080】
<2.適用例>
(適用例1)
図9は、上記実施の形態において説明した光電変換素子1を各画素に用いた撮像素子(撮像素子100)の全体構成を表したものである。この撮像素子100は、CMOSイメージセンサであり、半導体基板30上に、撮像エリアとしての画素部100Aを有すると共に、この画素部100Aの周辺領域に、例えば、行走査部131、水平選択部133、列走査部134およびシステム制御部132からなる周辺回路部130を有している。
【0081】
画素部100Aは、例えば、行列状に2次元配置された複数の単位画素Pを有している。この単位画素Pには、例えば、画素行ごとに画素駆動線Lread(具体的には行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列ごとに垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素からの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、行走査部131の各行に対応した出力端に接続されている。
【0082】
行走査部131は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素部100Aの各単位画素Pを、例えば、行単位で駆動する画素駆動部である。行走査部131によって選択走査された画素行の各単位画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通して水平選択部133に供給される。水平選択部133は、垂直信号線Lsigごとに設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0083】
列走査部134は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、水平選択部133の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この列走査部134による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線135に出力され、当該水平信号線135を通して半導体基板30の外部へ伝送される。
【0084】
行走査部131、水平選択部133、列走査部134および水平信号線135からなる回路部分は、半導体基板30上に直に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、それらの回路部分は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0085】
システム制御部132は、半導体基板30の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像素子100の内部情報等のデータを出力するものである。システム制御部132はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部131、水平選択部133および列走査部134等の周辺回路の駆動制御を行う。
【0086】
(適用例2)
上記撮像素子100等は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話等、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。図10に、その一例として、電子機器200(カメラ)の概略構成を示す。この電子機器200は、例えば、静止画または動画を撮影可能なビデオカメラであり、撮像素子100と、光学系(光学レンズ)210と、シャッタ装置211と、撮像素子100およびシャッタ装置211を駆動する駆動部213と、信号処理部212とを有する。
【0087】
光学系210は、被写体からの像光(入射光)を撮像素子100の画素部100Aへ導くものである。この光学系210は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置211は、撮像素子100への光照射期間および遮光期間を制御するものである。駆動部213は、撮像素子100の転送動作およびシャッタ装置211のシャッタ動作を制御するものである。信号処理部212は、撮像素子100から出力された信号に対し、各種の信号処理を行うものである。信号処理後の映像信号Doutは、メモリ等の記憶媒体に記憶されるか、あるいは、モニタ等に出力される。
【0088】
<3.応用例>
(体内情報取得システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0089】
図11は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0090】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0091】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0092】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0093】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0094】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0095】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0096】
光源部10111は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0097】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0098】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0099】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0100】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0101】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。図11では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0102】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0103】
外部制御装置10200は、CPU、GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0104】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0105】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部10112に適用され得る。これにより、検出精度が向上する。
【0106】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0107】
図12は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0108】
図12では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0109】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0110】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0111】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0112】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0113】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0114】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0115】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0116】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0117】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0118】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0119】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0120】
図13は、図12に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0121】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0122】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0123】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0124】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0125】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0126】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0127】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0128】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0129】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0130】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0131】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0132】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0133】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0134】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0135】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0136】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0137】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、検出精度が向上する。
【0138】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0139】
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0140】
図14は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0141】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図14に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0142】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0143】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0144】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0145】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0146】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0147】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0148】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0149】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0150】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図14の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0151】
図15は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0152】
図15では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0153】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0154】
なお、図15には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0155】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0156】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0157】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0158】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0159】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0160】
<4.実施例>
次に、本開示の実施例について詳細に説明する。実験例1~実験例5では図16に示したデバイスサンプルを作製し、その電気特性を評価した。なお、本実施例におけるデバイスサンプルの電気特性は、上記光電変換素子1における絶縁層12を省いた構造で行ったものである。
【0161】
以下の方法を用いて電気特性評価用のデバイスサンプルを作製し、その暗電流、EQEおよび応答時間を評価した。なお、EQEは波長940nmの光を強度1.0×10-5W・cm-2で照射することで測定を行った。
【0162】
(実験例1)
まず、実験例1として、ガラス基板上に、スパッタリンング法を用いて膜厚100nmのAlからなるカソード111を形成し、カソード111上に酸化亜鉛(ZnOx)からなる厚さ30nmの半導体層112を成膜した。続いて、この基板を大気中において110℃、20minの熱処理を施すことで半導体層112を成膜した。次に、光電変換層113として、上記式(1)に示したPTB7-ThおよびIEICO-4Fを含むインクを用いて、スピンコート法にて2500rpmの回転数で半導体層112上に塗布し厚さ約90nmの光電変換層を成膜した。続いて、不活性ガス雰囲気下において120℃、5分の熱処理を行い、残留溶媒の除去を行った。次に、光電変換層113上に、式(6)に示したLT-N2002(EHOMO(p-Buffer)-EHOMO(p-donor)=0eV)を、真空蒸着法を用いて厚さ20nmのpバッファ層114を成膜したのち、MoO3を、真空蒸着法を用いて仕事関数調整層115を厚さ10nmで成膜した。最後に、スパッタリング法を用いて50nmのITO膜を積層することでアノード116を形成した。以上により、1mm×1mmの光電変換領域を有するデバイスサンプルを作製した。
【0163】
(実験例2)
実験例1と同様に光電変換層113を成膜したのち、式(5)に示した2-TNATA(EHOMO(p-Buffer)-EHOMO(p-donor)=0.2eV)を、真空蒸着法を用いて厚さ20nmのpバッファ層114を成膜した。その後は実験例1と同様に仕事関数調整層115およびアノード116をこの順に積層した。以上により、1mm×1mmの光電変換領域を有するデバイスサンプルを作製した。
【0164】
(実験例3)
実験例1と同様に光電変換層113を成膜したのち、下記式(11)に示したTAPC(4,4′-シクロヘキシリデンビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン]、EHOMO(p-Buffer)-EHOMO(p-donor)=0.5eV)を、真空蒸着法を用いて厚さ20nmのpバッファ層114を成膜した。その後は実験例1と同様に仕事関数調整層115およびアノード116をこの順に積層した。以上により、1mm×1mmの光電変換領域を有するデバイスサンプルを作製した。
【0165】
【化3】
【0166】
(実験例4)
実験例1と同様に光電変換層113を成膜したのち、上記式(9)に示したDNTT(EHOMO(p-Buffer)-EHOMO(p-donor)=0.3eV)を、真空蒸着法を用いて厚さ20nmのpバッファ層114を成膜した。その後は実験例1と同様に仕事関数調整層115およびアノード116をこの順に積層した。以上により、1mm×1mmの光電変換領域を有するデバイスサンプルを作製した。
【0167】
(実験例5)
実験例1と同様に光電変換層113を成膜したのち、pバッファ層114を設けずに、光電変換層113上に、実験例1と同様に仕事関数調整層115およびアノード116をこの順に積層した。以上により、1mm×1mmの光電変換領域を有するデバイスサンプルを作製した。
【0168】
表1は、実験例1~実験例5の光電変換層113に用いた第1の有機半導体材料およびpバッファ層114に用いた第3の有機半導体材料のHOMO準位の差と、暗電流、EQEおよび応答時間の結果をまとめたものである。なお、実験例1~実験例4の数値は、実験例5を基準(1.0)とした場合の相対値である。図17は、実験例1~実験例5の暗電流の結果を表したものである。図18は、実験例1~実験例5のEQEの結果を表したものである。図19は、実験例1~実験例5の応答時間の結果を表したものである。
【0169】
【表1】
【0170】
表1および図17から、光電変換層113と仕事関数調整層115との間にpバッファ層114を設けなかった場合(実験例5)と比較して、pバッファ層114を設けた実験例1~実験例4では、暗電流が低減することがわかった。また、表1および図18から、光電変換層113と仕事関数調整層115との間にpバッファ層114を設けた場合でも、pバッファ層114を設けなった場合と同等のEQEが得られることがわかった。更に、表1および図19から、光電変換層113に用いたp型の有機半導体材料とのHOMO準位の差が0.5eVのp型の有機半導体材料を用いてpバッファ層114を成膜した場合(実験例3)、その他の場合と比較して応答時間が悪化した。このことから、光電変換層113に用いる第1の有機半導体材料およびpバッファ層114に用いる第3のバッファ有機半導体材料のHOMO準位の差は、0.5eV未満とすることが好ましいことがわかった。
【0171】
以上、実施の形態および適用例ならびに実施例を挙げて説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、光電変換素子1内に近赤外領域の波長の光を光電変換する光電変換部10を単独で用いた例を示したが、例えば可視光等、近赤外領域以外の波長の光を光電変換する他の光電変換素子と組み合わせて用いてもよい。他の光電変換素子としては、例えば、半導体基板30内に埋め込み形成される、所謂無機光電変換素子や、有機半導体材料を用いて光電変換層を形成した、所謂有機光電変換素子が挙げられる。
【0172】
また、上記実施の形態等では、裏面照射型の撮像素子1の構成を例に挙げて説明したが、表面照射型の撮像素子にも適用可能である。更に、上記のように、他の光電変換素子と組み合わせて用いる場合には、所謂縦方向分光型の撮像素子として構成してもよいし、半導体基板上に、他の波長域の光を光電変換する光電変換素子を2次元配列(例えばベイヤー配列)させたものであってもよい。更にまた、例えば、多層配線側にメモリ素子等の他の機能素子が設けられた基板が積層されていてもよい。
【0173】
また、本開示の光電変換部10および光電変換素子1ならびに撮像素子100では、上記実施の形態等で説明した各構成要素を全て備えている必要はなく、また逆に他の層を備えていてもよい。例えば、上記実施の形態では、下部電極11が読み出し電極11Aおよび蓄積電極11Bの2つの電極を有する例を示したが、例えば、読み出し電極11Aと蓄積電極11Bとの間に、各々独立して電圧を印加可能な、電極(例えば転送電極)を別途設けるようにしてもよい。これにより、蓄積電極11Bで蓄積された電荷の読み出し電極11Aへの転送の効率を向上させることが可能となる。
【0174】
更にまた、本開示の技術は、撮像装置だけでなく、例えば太陽電池にも適用することが可能である。
【0175】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0176】
なお、本開示は、以下のような構成であってもよい。以下の構成の本技術によれば、上記式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含むを含む光電変換層と第2電極との間に、上記数式(1)を満たす、上記式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層とを設けるようにしたので、pバッファ層が設けられた電極(第2電極)側からの電荷の注入が抑制されると共に、光電変換層で生じた電荷の第2電極への輸送効率を向上させることができる。よって、高い外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)を維持しつつ暗電流の発生を低減することが可能となる。
[1]
第1電極と、
前記第1電極と対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられると共に、下記式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または下記式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層と、
前記光電変換層と前記第2電極との間に設けられると共に、下記数式(1)を満たす、下記式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、下記式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、下記式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは下記式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層と
を備えた光電変換素子。
(数1)ELUMO(acceptor)+0.3eV<EHOMO(p-Buffer)<EHOMO(donor)+0.5eV・・・(1)
(donor:第1の有機半導体材料、acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【化1】
【化2】
[2]
前記第2の有機半導体材料は、2,2′-((2Z,2′Z)-(((4,4,9,9-テトラキス(4-ヘキシルフェニル)-4,9-ジヒドロ-s-インダセノ[1,2-b:5,6-b′]ジチオフェン(-2,7-ジイル)ビス4-((2-エチルヘキシル)オキシ)チオフェン-5,2-ジイル))ビス(メタニリリデン))ビス(5,6-ディフロロ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2,1-ジイリデン))ジマロノニトリル(IEICO-4F)である、前記[1]に記載の光電変換素子。
[3]
前記第1電極は、互いに独立する複数の電極からなる、前記[1]または[2]に記載の光電変換素子。
[4]
前記第1電極を構成する前記複数の電極は、それぞれ個別に電圧が印加される、前記[3]に記載の光電変換素子。
[5]
半導体基板をさらに備え、
前記半導体基板の第1面側に、前記第1電極、前記光電変換層、前記pバッファ層および前記第2電極がこの順に設けられている、前記[1]乃至[4]のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子。
[6]
前記半導体基板は駆動回路を有し、前記第1電極は互いに独立する複数の電極からなり、前記複数の電極は、それぞれ、前記駆動回路に接続されている、前記[5]に記載の光電変換素子。
[7]
前記半導体基板の前記第1面と対向する第2面側に多層配線層が形成されている、前記[5]または[6]に記載の光電変換素子。
[8]
1または複数の光電変換素子がそれぞれ設けられている複数の画素を備え、
前記光電変換素子は、
第1電極と、
前記第1電極と対向配置された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられると共に、下記式(1)で表されるポリ([2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,3-b]ジチオフェン]{3-フルオロ-2[(2-エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4-b]チオフェンジイル})または下記式(2)で表されるポリ{2,6′-4,8-ジ(5-エチルヘキシルチエニル)ベンゾ[1,2-b;3,4-b]ジチオフェン-オルト-5,5‘-ジブチルオクチル-3,6-ビス(5-チオフェン-2-yl)ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン}であるp型の第1の有機半導体材料およびn型の第2の有機半導体材料を含む光電変換層と、
前記光電変換層と前記第2電極との間に設けられると共に、下記数式(1)を満たす、下記式(3)で表されるN,N,N',N'-テトラフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、下記式(6)で表されるN2,N2‘-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(9,9-ジメチル-N2,N7,N7-トリフェニル-9H-フルオレン-2,7-ジアミン)、下記式(8)で表されるα-セキシチオフェンまたは下記式(10)で表されるジアントラ[2,3-b:2‘,3’-f]チエノ[3,2-b]チオフェンであるp型の第3の有機半導体材料を含むpバッファ層と
を有する撮像素子。
(数2)ELUMO(acceptor)+0.3eV<EHOMO(p-Buffer)<EHOMO(donor)+0.5eV・・・(1)
(donor:第1の有機半導体材料、acceptor:第2の有機半導体材料、p-Buffer:第3の有機半導体材料)
【化3】
【化4】
【符号の説明】
【0177】
1…光電変換素子、10…光電変換部、11…下部電極、11A…読み出し電極、11B…蓄積電極、12…絶縁層、13…半導体層、14…光電変換層、15…pバッファ層、16…上部電極、17A…固定電荷層、17B…誘電体層、18…層間絶縁層、18A…上部第1コンタクト、18B…上部第2コンタクト、19…保護層、21…遮光膜、22…オンチップレンズ、30…半導体基板、31…pウェル、32…ゲート絶縁層、34…貫通電極、37…ゲート配線層、40…多層配線層、41,42,43…配線層、44…絶縁層、45…下部第1コンタクト、46…下部第2コンタクト、47…ゲート配線層、100…撮像素子。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19