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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241016BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/00 312
G03G15/16
G03G21/14
G03G21/00 384
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020032890
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2020160441
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019052177
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 祥一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正仁
(72)【発明者】
【氏名】春田 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】住田 純也
(72)【発明者】
【氏名】雨池 拓也
(72)【発明者】
【氏名】古川 利郎
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-345212(JP,A)
【文献】特開2012-203010(JP,A)
【文献】特開2009-276438(JP,A)
【文献】特開2005-250290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 21/16
G03G 15/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持可能な複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムに接触するように配置されたベルトと、
前記ベルトに接触して前記ベルトに付着した付着物を回収するクリーニングローラと、
モータと、
前記モータから前記クリーニングローラへ駆動力を伝達する伝達機構と、
シートにトナー像を形成する画像形成制御と、前記ベルトに付着した付着物を前記クリーニングローラで回収するベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能な制御装置と
を備え、
前記ベルトは、前記画像形成制御および前記ベルトクリーニング制御の実行時に前記クリーニングローラが接触する位置において第1移動方向に移動するよう駆動され、
前記クリーニングローラは、前記画像形成制御および前記ベルトクリーニング制御の実行時に外周面が、前記ベルトに接触する位置において、前記第1移動方向とは反対の第2移動方向に移動するように駆動され、
前記伝達機構は、
前記クリーニングローラを回転駆動する駆動力を出力する出力軸と、
前記モータの駆動力により第1速度で所定方向に回転駆動される第1ギヤを有する電磁クラッチであって、前記第1ギヤに入力された駆動力を前記出力軸に伝達するトルク伝達モードと、前記第1ギヤに入力された駆動力を前記出力軸に伝達しないトルク遮断モードとを選択的に切り替え可能な電磁クラッチと、
前記モータの駆動力により前記第1速度より遅い速度である第2速度で所定方向に回転駆動される第2ギヤを有するワンウェイクラッチであって、前記第2ギヤが前記出力軸に対して第1方向に回転するとき前記第2ギヤから前記出力軸に駆動力を伝達し、前記第2ギヤが前記出力軸に対して前記第1方向とは反対の第2方向に回転するとき前記第2ギヤから前記出力軸へ駆動力を伝達しないワンウェイクラッチと
を有し、
前記電磁クラッチが前記トルク伝達モードにあるとき、前記電磁クラッチは前記第1ギヤから前記出力軸へ駆動力を伝達し、前記ワンウェイクラッチは前記第2ギヤから前記出力軸へ駆動力を伝達せず、前記出力軸は前記第1ギヤから伝達される駆動力により所定方向に回転し、前記クリーニングローラは前記出力軸から伝達される駆動力により第1クリーニング速度で回転し、
前記電磁クラッチが前記トルク遮断モードにあるとき、前記電磁クラッチは前記第1ギヤから前記出力軸へ駆動力を伝達せず、前記ワンウェイクラッチは前記第2ギヤから前記出力軸へ駆動力を伝達し、前記出力軸は前記第2ギヤから伝達される駆動力により所定方向に回転し、前記クリーニングローラは前記出力軸から伝達される駆動力により前記第1クリーニング速度より遅い第2クリーニング速度で回転し、
前記制御装置は、前記画像形成制御を実行する場合、前記電磁クラッチを前記トルク遮断モードに設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ベルトクリーニング制御を実行する場合、前記電磁クラッチを前記トルク伝達モードに設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力軸と前記電磁クラッチと前記ワンウェイクラッチとが同軸に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電磁クラッチが前記トルク伝達モードのときの前記クリーニングローラの外周面の移動速度は、前記電磁クラッチがトルク遮断モードのときの前記クリーニングローラの外周面の移動速度よりも速く、前記ベルトの移動速度よりも遅いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の感光ドラムのそれぞれに接触させて一つずつ設けられた複数の回収部材であって、各回収部材がそれぞれ対応する感光ドラム上のトナーを回収して一時的に保持することが可能な複数の回収部材をさらに備え、
前記制御装置は、各回収部材に保持されたトナーを対応する感光ドラムに移動させ、前記ベルトを介して前記クリーニングローラで回収するとき、前記ベルトクリーニング制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御装置は、トナーパッチ読み取り処理終了後に前記ベルト上のトナーパッチを前記クリーニングローラで回収するとき、前記ベルトクリーニング制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記伝達機構は、前記モータによって一体に回転駆動される、第1出力ギヤ部と、当該第1出力ギヤ部よりも小径の第2出力ギヤ部と、を有する駆動ギヤをさらに備え、
前記第1ギヤは、前記第1出力ギヤ部から駆動力が伝達され、
前記第2ギヤは、前記第2出力ギヤ部から駆動力が伝達される
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1ギヤは、前記第1出力ギヤ部から、少なくとも1つのアイドルギヤを介して、駆動力が伝達されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2ギヤは、前記第2出力ギヤ部から、少なくとも1つのアイドルギヤを介して、駆動力が伝達されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ベルトは、シートにトナー像を形成するときに前記感光ドラムとの間にシートを挟んで搬送する搬送ベルトであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記画像形成制御と、前記電磁クラッチを前記トルク伝達モードに設定して前記ベルトに付着した付着物を前記クリーニングローラで回収する第1ベルトクリーニング制御と、前記電磁クラッチを前記トルク遮断モードに設定して前記ベルトに付着した付着物を前記クリーニングローラで回収する第2ベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能であり、
前記画像形成制御が終了した後、
前記画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合、前記第1ベルトクリーニング制御を実行し、
前記画像形成制御で使用したトナーの量が前記所定量未満であることを条件として、前記第2ベルトクリーニング制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記クリーニングローラに、前記ベルトに付着した付着物を引き寄せるためのバイアスを印加可能なバイアス印加装置を備え、
前記制御装置は、前記第1ベルトクリーニング制御を実行する場合、前記バイアス印加装置を制御して、前記第2ベルトクリーニング制御を実行する場合よりも、前記ベルトに付着した付着物を引き寄せる力が大きくなるバイアスを、前記クリーニングローラに印加することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御装置は、
前記モータを第3速度で回転させて前記感光ドラム、前記ベルトおよび前記クリーニングローラを駆動させる第1モータ制御と、前記モータを前記第3速度より遅い速度である第4速度で回転させて前記感光ドラム、前記ベルトおよび前記クリーニングローラを前記第1モータ制御の場合より遅い速度で駆動させる第2モータ制御とを選択的に実行可能であり、
前記画像形成制御が終了した後、前記画像形成制御で使用したトナーの量が前記所定量未満である場合において、
前記第1モータ制御が選択されている場合、前記第2ベルトクリーニング制御を実行し、
前記第2モータ制御が選択されている場合、前記第1ベルトクリーニング制御を実行することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記クリーニングローラに、前記ベルトに付着した付着物を引き寄せるためのバイアスを印加可能なバイアス印加装置を備え、
前記制御装置は、前記画像形成制御で使用したトナーの量が前記所定量未満である場合であって、前記第2モータ制御が選択されている場合に実行する前記第1ベルトクリーニング制御において、前記バイアス印加装置を制御して、前記画像形成制御で使用したトナーの量が前記所定量以上である場合に実行する前記第1ベルトクリーニング制御のときよりも、前記ベルトに付着した付着物を引き寄せる力が小さくなるバイアスを、前記クリーニングローラに印加することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御装置は、トナーパッチ読み取り処理終了後に前記ベルト上のトナーパッチを前記クリーニングローラで回収するとき、前記第1ベルトクリーニング制御を実行することを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記複数の感光ドラムのそれぞれに接触させて一つずつ設けられた複数の回収部材であって、各回収部材がそれぞれ対応する感光ドラム上のトナーを回収して一時的に保持することが可能な複数の回収部材をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1ベルトクリーニング制御および前記第2ベルトクリーニング制御において、各回収部材に保持されたトナーを対応する感光ドラムに移動させ、前記ベルトを介して前記クリーニングローラで回収することを特徴とする請求項11から請求項15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御装置は、前記画像形成制御を実行したときに連続して画像形成したシートの枚数が所定枚数以上の場合に、前記画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記制御装置は、前記画像形成制御を実行したときにシートに形成されたトナー像のドット数が所定ドット数以上の場合に、前記画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
トナーを担持可能な複数の感光ドラムと、
前記複数の感光ドラムに接触するように配置されたベルトと、
前記ベルトに接触して前記ベルトに付着した付着物を回収するクリーニングローラと、
モータと、
前記モータから前記クリーニングローラへ駆動力を伝達する伝達機構と、
シートにトナー像を形成する画像形成制御と、前記ベルトに付着した付着物を前記クリーニングローラで回収するベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能な制御装置と
を備え、
前記ベルトは、前記画像形成制御および前記ベルトクリーニング制御の実行時に前記クリーニングローラが接触する位置において第1移動方向に移動するよう駆動され、
前記クリーニングローラは、前記画像形成制御および前記ベルトクリーニング制御の実行時に外周面が、前記ベルトに接触する位置において、前記第1移動方向とは反対の第2移動方向に移動するように駆動され、
前記伝達機構は、
前記クリーニングローラを回転駆動する駆動力を出力する出力軸と、
前記モータの駆動力により第1速度で所定方向に回転駆動される第1ギヤと、
前記第1ギヤに入力された駆動力を前記出力軸に伝達するトルク伝達モードと、前記第1ギヤに入力された駆動力を前記出力軸に伝達しないトルク遮断モードとを選択的に切り替え可能な第1クラッチと、
前記モータの駆動力により前記第1速度より遅い速度である第2速度で所定方向に回転駆動される第2ギヤと、
前記第1クラッチが前記トルク遮断モードであるとき前記第2ギヤに入力された駆動力を前記出力軸に伝達し、前記第1クラッチが前記トルク伝達モードであるとき前記第2ギヤに入力された駆動力を前記出力軸に伝達しない第2クラッチと
を有し、
前記制御装置は、前記画像形成制御を実行する場合、前記第1クラッチを前記トルク遮断モードに設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
前記制御装置は、前記ベルトクリーニング制御を実行する場合、前記第1クラッチを前記トルク伝達モードに設定することを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記第1クラッチは、通電することで前記トルク伝達モードに設定され、通電を遮断することで前記トルク遮断モードに設定される電磁クラッチであり、
前記第2クラッチは、前記第2ギヤが前記出力軸に対して第1方向に回転するとき前記第2ギヤから前記出力軸に駆動力を伝達し、前記第2ギヤが前記出力軸に対して前記第1方向とは反対の第2方向に回転するとき前記第2ギヤから前記出力軸へ駆動力を伝達しないワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項19または請求項20に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記ベルトは、シートにトナー像を形成するときに前記感光ドラムとの間にシートを挟んで搬送する搬送ベルトであることを特徴とする請求項19から請求項21のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記制御装置は、
前記画像形成制御と、前記第1クラッチを前記トルク伝達モードに設定して前記ベルトに付着した付着物を前記クリーニングローラで回収する第1ベルトクリーニング制御と、前記第1クラッチを前記トルク遮断モードに設定して前記ベルトに付着した付着物を前記クリーニングローラで回収する第2ベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能であり、
前記画像形成制御が終了した後、
前記画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合、前記第1ベルトクリーニング制御を実行し、
前記画像形成制御で使用したトナーの量が前記所定量未満であることを条件として、前記第2ベルトクリーニング制御を実行することを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトクリーニング機構を備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを搬送する搬送ベルトやトナー像をシートに転写する中間転写ベルトを備えた画像形成装置において、ベルトに付着したトナーや紙粉などの付着物を回収除去する機構が知られている。たとえば、特許文献1には、トナーを担持可能な複数の感光ドラムと、これら複数の感光ドラムに接触するように配置されたベルトと、ベルトに付着した付着物を回収するクリーニングローラとを備えた画像形成装置が開示されている。
【0003】
ここで、クリーニングローラは、その外周面が、ベルトに接触する位置において、クリーニング処理時にはベルトの移動方向と逆方向に移動するように回転駆動されることでベルトの外周面の付着物を掻き取るように構成されている。一方、画像形成処理時には、クリーニングローラは、ベルトに接触する外周面が、ベルトと同じ方向に同じ速度で移動するように回転駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-276438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、画像形成処理中のクリーニングローラの外周面が、接触するベルトと同じ方向に同じ速度で移動するので、印刷中に付着するトナーや紙粉等は、ベルトの外周面から回収されない。画像形成処理中にもクリーニング処理時と同様にクリーニングローラを回転駆動して印刷中に付着するトナーや紙粉等を回収することはできるが、そうすると、クリーニングローラの外周面は、ベルトと擦れあう時間が大幅に長くなって摩耗が早まり、トナーや紙粉等を回収する能力が短期間で低下してしまう。
【0006】
そこで、クリーニングローラによる適度なベルトクリーニング能力を維持することと、クリーニングローラのトナーや紙粉等を回収する能力を長期間維持することを両立するしくみが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
トナーを担持可能な複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムに接触するように配置されたベルトと、ベルトに接触してベルトに付着した付着物を回収するクリーニングローラと、モータと、モータからクリーニングローラへ駆動力を伝達する伝達機構と、制御装置と、を備える画像形成装置を提案する。伝達機構は、クリーニングローラを回転駆動する駆動力を出力する出力軸と、モータの駆動力により第1速度で所定方向に回転駆動される第1ギヤを有する電磁クラッチと、モータの駆動力により第1速度より遅い速度である第2速度で所定方向に回転駆動される第2ギヤを有するワンウェイクラッチとを有する。電磁クラッチは、第1ギヤに入力された駆動力を出力軸に伝達するトルク伝達モードと、第1ギヤに入力された駆動力を出力軸に伝達しないトルク遮断モードとを選択的に切り替え可能である。ワンウェイクラッチは、第2ギヤが出力軸に対して第1方向に回転するとき第2ギヤから出力軸に駆動力を伝達し、第2ギヤが出力軸に対して第1方向とは反対の第2方向に回転するとき第2ギヤから出力軸へ駆動力を伝達しない。電磁クラッチがトルク伝達モードにあるとき、電磁クラッチは第1ギヤから出力軸へ駆動力を伝達し、ワンウェイクラッチは第2ギヤから出力軸へ駆動力を伝達せず、出力軸は第1ギヤから伝達される駆動力により所定方向に回転し、クリーニングローラは出力軸から伝達される駆動力により第1クリーニング速度で回転する。電磁クラッチがトルク遮断モードにあるとき、電磁クラッチは第1ギヤから出力軸へ駆動力を伝達せず、ワンウェイクラッチは第2ギヤから出力軸へ駆動力を伝達し、出力軸は第2ギヤから伝達される駆動力により所定方向に回転し、クリーニングローラは出力軸から伝達される駆動力により第1クリーニング速度より遅い第2クリーニング速度で回転する。制御装置は、シートにトナー像を形成する画像形成制御を実行する場合、電磁クラッチをトルク遮断モードに設定する。
【0008】
この構成によれば、画像形成制御実行時に、電磁クラッチがトルク遮断モードに設定されることで、ワンウェイクラッチを介してクリーニングローラに駆動力が伝達されるので、シートにトナー像を形成する処理の間も、ベルトクリーニング能力が発揮される。また、このとき、クリーニングローラがベルトクリーニング制御実行時よりも低速で回転するので、クリーニングローラの摩耗を抑え耐用寿命を延ばすことができる。
【0009】
また、制御装置は、画像形成制御と、ベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収するベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能であり、ベルトクリーニング制御を実行する場合、電磁クラッチをトルク伝達モードに設定するものとしてもよい。
【0010】
前記画像形成装置は、出力軸と電磁クラッチとワンウェイクラッチとが同軸に配置されていてもよい。このように構成することで、伝達機構を小型化することができる。
【0011】
また、ベルトは、クリーニングローラが接触する位置において第1移動方向に移動するよう駆動され、クリーニングローラは、外周面が、ベルトに接触する位置において、第1移動方向とは反対の第2移動方向に移動するように駆動されるものとしてもよい。このように構成することで、クリーニングローラが、効果的に、接触するベルト上の付着物を回収することができる。
【0012】
このとき、好ましくは、電磁クラッチがトルク伝達モードのときのクリーニングローラの外周面の移動速度は、電磁クラッチがトルク遮断モードのときのクリーニングローラの外周面の移動速度よりも速く、ベルトの移動速度よりも遅い。これによれば、ベルトクリーニング制御実行時に、クリーニングローラが高速回転するので、接触するベルト上の付着物を効果的に回収することができる。
【0013】
前記画像形成装置は、複数の感光ドラムのそれぞれに接触させて一つずつ設けられた複数の回収部材であって、各回収部材がそれぞれ対応する感光ドラム上のトナーを回収して一時的に保持することが可能な複数の回収部材をさらに備えるものであってもよい。そして、制御装置は、各回収部材に保持されたトナーを対応する感光ドラムに移動させ、ベルトを介してクリーニングローラで回収するとき、ベルトクリーニング制御を実行するように構成されていてもよい。
【0014】
これによれば、回収部材により、感光ドラム上のトナーを回収することができるので、トナー像を転写した後の残存トナーを、逐次回収し、後続の形成画像品質を好適に維持することができる。また、回収部材に一時的に保持したトナーを感光ドラムとベルトを経由して回収するときに、電磁クラッチがトルク伝達モードに設定され、クリーニングローラを高速回転させるので、高いベルトクリーニング効果を実現することができる。
【0015】
また、制御装置は、トナーパッチ読み取り処理終了後にベルト上のトナーパッチをクリーニングローラで回収するとき、ベルトクリーニング制御を実行するように構成されていてもよい。これによれば、トナーパッチ読み取り処理終了後のトナーパッチ回収時においても、電磁クラッチがトルク伝達モードに設定されて、クリーニングローラを高速回転させるので、効率的にベルトをクリーニングすることができる。
【0016】
また、伝達機構は、モータによって一体に回転駆動される、第1出力ギヤ部と、当該第1出力ギヤ部よりも小径の第2出力ギヤ部と、を有する駆動ギヤをさらに備えるものとすることができる。第1ギヤは、第1出力ギヤ部から駆動力が伝達され、第2ギヤは、第2出力ギヤ部から駆動力が伝達される。これによれば、シンプルかつコンパクトな構成で減速比の異なる2系列のギヤ列を設けることができる。
【0017】
また、第1ギヤは、第1出力ギヤ部から、少なくとも1つのアイドルギヤを介して、駆動力が伝達されるものとしてもよい。また、第2ギヤは、第2出力ギヤ部から、少なくとも1つのアイドルギヤを介して、駆動力が伝達されるものとすることもできる。このようにアイドルギヤを用いることで、駆動力伝達経路の配置の自由度を高めることができる。
【0018】
また、ベルトは、シートにトナー像を形成するときに感光ドラムとベルトとの間にシートを挟んで搬送する搬送ベルトであってもよい。
【0019】
また、制御装置は、画像形成制御と、電磁クラッチをトルク伝達モードに設定してベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収する第1ベルトクリーニング制御と、電磁クラッチをトルク遮断モードに設定してベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収する第2ベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能であり、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合、第1ベルトクリーニング制御を実行し、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満であることを条件として、第2ベルトクリーニング制御を実行するように構成されていてもよい。
【0020】
これによれば、画像形成制御で使用したトナーの量が多く、ベルト上の付着物が多いときにクリーニングローラを高速回転させることで、ベルト上の付着物を効果的に回収することができる。また、画像形成制御で使用したトナーの量が少なく、ベルト上の付着物が少ないときにクリーニングローラを低速回転させることで、ベルト上の付着物を回収しつつも、クリーニングローラの摩耗を抑え耐用寿命を延ばすことができる。
【0021】
前記画像形成装置は、クリーニングローラに、ベルトに付着した付着物を引き寄せるためのバイアスを印加可能なバイアス印加装置を備えるものであってもよい。そして、制御装置は、第1ベルトクリーニング制御を実行する場合、バイアス印加装置を制御して、第2ベルトクリーニング制御を実行する場合よりも、ベルトに付着した付着物を引き寄せる力が大きくなるバイアスを、クリーニングローラに印加するように構成されていてもよい。これによれば、クリーニングローラを高速回転させる場合にベルト上の付着物をより効果的に回収することができる。
【0022】
また、制御装置は、モータを第3速度で回転させて感光ドラム、ベルトおよびクリーニングローラを駆動させる第1モータ制御と、モータを第3速度より遅い速度である第4速度で回転させて感光ドラム、ベルトおよびクリーニングローラを第1モータ制御の場合より遅い速度で駆動させる第2モータ制御とを選択的に実行可能であり、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満である場合において、第1モータ制御が選択されている場合、第2ベルトクリーニング制御を実行し、第2モータ制御が選択されている場合、第1ベルトクリーニング制御を実行するように構成されていてもよい。
【0023】
これによれば、感光ドラム、ベルトおよびクリーニングローラの回転速度が遅くなる場合に、クリーニングローラを低速回転させてベルトクリーニングを行うと、ベルトクリーニング能力が低下する可能性があるが、この場合に、クリーニングローラを高速回転させることで、ベルトクリーニング能力を確保することができる。
【0024】
前記画像形成装置は、クリーニングローラに、ベルトに付着した付着物を引き寄せるためのバイアスを印加可能なバイアス印加装置を備えるものであってもよい。そして、制御装置は、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満である場合であって、第2モータ制御が選択されている場合に実行する第1ベルトクリーニング制御において、バイアス印加装置を制御して、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合に実行する第1ベルトクリーニング制御のときよりも、ベルトに付着した付着物を引き寄せる力が小さくなるバイアスを、クリーニングローラに印加するように構成されていてもよい。
【0025】
これによれば、感光ドラム、ベルトおよびクリーニングローラの回転速度が遅くなる場合に、バイアスを強くすると、トナーがクリーニングローラからベルトに戻る可能性があるが、この場合に、バイアスを弱くすることで、ベルト上の付着物をより効果的に回収することができる。
【0026】
また、制御装置は、トナーパッチ読み取り処理終了後にベルト上のトナーパッチをクリーニングローラで回収するとき、第1ベルトクリーニング制御を実行するように構成されていてもよい。これによれば、トナーパッチ読み取り処理終了後のトナーパッチ回収時に、クリーニングローラを高速回転させることで、ベルト上の直接転写されたトナーパッチを効果的に回収することができる。
【0027】
前記画像形成装置は、複数の感光ドラムのそれぞれに接触させて一つずつ設けられた複数の回収部材であって、各回収部材がそれぞれ対応する感光ドラム上のトナーを回収して一時的に保持することが可能な複数の回収部材をさらに備えるものであってもよい。そして、制御装置は、第1ベルトクリーニング制御および第2ベルトクリーニング制御において、各回収部材に保持されたトナーを対応する感光ドラムに移動させ、ベルトを介してクリーニングローラで回収するように構成されていてもよい。
【0028】
これによれば、回収部材により、感光ドラム上のトナーを回収することができるので、トナー像を転写した後の残存トナーを、逐次回収し、後続の形成画像品質を好適に維持することができる。
【0029】
また、制御装置は、画像形成制御を実行したときに連続して画像形成したシートの枚数が所定枚数以上の場合に、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定するように構成されていてもよい。また、制御装置は、画像形成制御を実行したときにシートに形成されたトナー像のドット数が所定ドット数以上の場合に、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定するように構成されていてもよい。
【0030】
また、トナーを担持可能な複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムに接触するように配置されたベルトと、ベルトに接触してベルトに付着した付着物を回収するクリーニングローラと、モータと、モータからクリーニングローラへ駆動力を伝達する伝達機構と、制御装置とを備える画像形成装置を開示する。伝達機構は、クリーニングローラを回転駆動する駆動力を出力する出力軸と、モータの駆動力により第1速度で所定方向に回転駆動される第1ギヤと、第1ギヤに入力された駆動力を出力軸に伝達するトルク伝達モードと、第1ギヤに入力された駆動力を出力軸に伝達しないトルク遮断モードとを選択的に切り替え可能な第1クラッチと、モータの駆動力により第1速度より遅い速度である第2速度で所定方向に回転駆動される第2ギヤと、第1クラッチがトルク遮断モードであるとき第2ギヤに入力された駆動力を出力軸に伝達し、第1クラッチがトルク伝達モードであるとき第2ギヤに入力された駆動力を出力軸に伝達しない第2クラッチとを有する。制御装置は、シートにトナー像を形成する画像形成制御を実行する場合、第1クラッチをトルク遮断モードに設定する。
【0031】
また、制御装置は、画像形成制御と、ベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収するベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能であり、ベルトクリーニング制御を実行する場合、第1クラッチをトルク伝達モードに設定するものとしてもよい。
【0032】
第1クラッチは、通電することでトルク伝達モードに設定され、通電を遮断することでトルク遮断モードに設定される電磁クラッチであってもよい。また、第2クラッチは、第2ギヤが出力軸に対して第1方向に回転するとき第2ギヤから出力軸に駆動力を伝達し、第2ギヤが出力軸に対して第1方向とは反対の第2方向に回転するとき第2ギヤから出力軸へ駆動力を伝達しないワンウェイクラッチであってもよい。
【0033】
また、ベルトは、シートにトナー像を形成するときに感光ドラムとベルトとの間にシートを挟んで搬送する搬送ベルトであってもよい。
【0034】
また、制御装置は、画像形成制御と、第1クラッチをトルク伝達モードに設定してベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収する第1ベルトクリーニング制御と、第1クラッチをトルク遮断モードに設定してベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収する第2ベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能であり、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合、第1ベルトクリーニング制御を実行し、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満であることを条件として、第2ベルトクリーニング制御を実行するように構成されていてもよい。
【0035】
また、トナーを担持可能な複数の感光ドラムと、複数の感光ドラムに接触するように配置されたベルトと、ベルトに接触してベルトに付着した付着物を回収するクリーニングローラと、制御装置とを備える画像形成装置を提案する。制御装置は、シートにトナー像を形成する画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合、ベルトとクリーニングローラとが接触する位置でのベルトの移動速度とクリーニングローラの移動速度との速度差を第1速度差としてベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収する第1ベルトクリーニング制御を実行する。また、制御装置は、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満であることを条件として、前記速度差を第1速度差より小さい第2速度差としてベルトに付着した付着物をクリーニングローラで回収する第2ベルトクリーニング制御を実行する。
【0036】
この構成によれば、画像形成制御で使用したトナーの量が少なく、ベルト上の付着物が少ないときに、クリーニングローラによる適度なベルトクリーニング能力を維持することができるとともに、クリーニングローラの摩耗を抑えることができるので、クリーニングローラのベルトクリーニング能力を長期間維持することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、クリーニングローラによるベルトクリーニング能力を発揮することができるとともに、クリーニングローラのベルトクリーニング能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】クリーニングローラへ駆動力を伝達する伝達機構を示す斜視図である。
図3】(a)は電磁クラッチがONのとき、(b)は電磁クラッチがOFFのときのクリーニングローラへの駆動力伝達経路をそれぞれ示す側面図である。
図4】廃トナー回収処理を実行する際の制御フローを示すフローチャートである。
図5】トナーパッチ読み取り処理を実行する際の制御フローを示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図7】画像形成処理とクリーニング処理を実行する際の制御フローを示すフローチャートである。
図8】画像形成処理とクリーニング処理を実行する際の制御フローを示すフローチャートである。
図9】トナーパッチ読み取り処理を実行する際の制御フローを示すフローチャートである。
図10】ウォーミングアップ処理を実行する際の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、画像形成装置を使用するユーザを基準とする。具体的には、ユーザから見て手前側である図1の右側を「前」とし、ユーザから見て奥側である図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」、紙面奥側を「右」とする。また、図1における上側を「上」、下側を「下」とする。
【0040】
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体2と、本体筐体2内に配置されたシート供給部3と、画像形成部4と、シート排出部8と、クリーニングユニット90と、制御装置100とを主に備えている。本体筐体2は、その前側に、後述するプロセスユニット50を着脱するための開口を塞ぐ開閉可能なフロントカバー2Aを有する。フロントカバー2Aは、本体筐体2に対して下端部を中心に回動可能に設けられている。
【0041】
シート供給部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、シートSを収容するシート供給トレイ3Aと、シート押圧板3Bと、シート供給機構3Cとを主に備えている。シート供給部3は、シート供給トレイ3A内のシートSをシート押圧板3Bによって上方に寄せ、シート供給機構3Cによって1枚ずつ分離して画像形成部4に供給する。
【0042】
画像形成部4は、露光ユニット40と、プロセスユニット50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを主に備えている。
【0043】
露光ユニット40は、本体筐体2内の上部に設けられ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応した図示しないレーザ光源や、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光ユニット40は、一点鎖線で示すレーザ光を、感光ドラム52の表面で走査することで、感光ドラム52の表面を露光する。
【0044】
プロセスユニット50は、シート供給トレイ3Aと露光ユニット40の間に配置され、ドロワ51と、前後方向に配列された複数(本実施形態では4つ)の感光ドラム52と、各感光ドラム52に対して1つずつ設けられた複数の帯電装置53、保持ローラ54および現像カートリッジ60とを主に備えている。
【0045】
ドロワ51は、感光ドラム52などを保持する部材であり、フロントカバー2Aを開いた状態で開口を通して本体筐体2に対して着脱可能に構成されている。これにより、感光ドラム52は、ドロワ51を交換することで交換可能となっている。また、ドロワ51は、各現像カートリッジ60を着脱可能に支持している。これにより、現像カートリッジ60は、ドロワ51を本体筐体2内から引き出した状態で個別に交換可能となっている。
【0046】
感光ドラム52は、導電性を有する円筒状のドラム本体の外周面にトナーを担持可能な感光層が形成された部材であり、図1に示す矢印の方向に回転可能に設けられている。
帯電装置53は、符号を省略して示す帯電ワイヤやグリッド電極などを備え、感光ドラム52の表面を一様に帯電するように構成されている。
【0047】
保持ローラ54は、金属製の回転軸を導電性の発泡弾性体からなるローラ体で被覆した部材である。保持ローラ54は、複数の感光ドラム52のそれぞれに接触させて一つずつ設けられた回収部材の一例である。各保持ローラ54は、それぞれ、トナー像を感光ドラム52に形成するときには、所定の電圧(負極性のバイアス)が印加されることによって、対応する感光ドラム52上のトナー、詳しくは、転写後の感光ドラム52の表面に残ったトナーを回収して一時的に保持することが可能である。そして、感光ドラム52などをクリーニングするときには、所定の電圧(正極性のバイアス)が印加されることによって、保持していたトナーを感光ドラム52に移動させるように構成されている。感光ドラム52に戻されたトナーは、搬送ベルト73に転写されてクリーニングユニット90で回収される。
【0048】
現像カートリッジ60は、それぞれ、現像ローラ61と、供給ローラ62と、層厚規制ブレード63と、正帯電性の乾式トナーからなる現像剤が収容される収容部64と、アジテータ65とを主に備えている。現像ローラ61は、感光ドラム52にトナーを供給可能に構成されたローラであり、アジテータ65は、回転することで収容部64内のトナーを撹拌するように構成されている。収容部64内のトナーは、供給ローラ62から現像ローラ61に供給され、現像ローラ61と層厚規制ブレード63との間で一定の厚さに規制された上で、現像ローラ61上に担持される。
【0049】
本実施形態において、現像カートリッジ60は、ブラックのトナーを収容するもの、イエローのトナーを収容するもの、マゼンタのトナーを収容するもの、および、シアンのトナーを収容するものが前側からこの順で並んで配置されている。
【0050】
転写ユニット70は、シート供給トレイ3Aとプロセスユニット50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設された無端状のベルトであり、複数の感光ドラム52に接触するように配置されている。搬送ベルト73は、シートSにトナー像を形成するときに感光ドラム52との間にシートSを挟んで搬送する。転写ローラ74は、感光ドラム52に対応して4つ設けられ、対応する感光ドラム52との間で搬送ベルト73を挟むように配置されている。
【0051】
定着ユニット80は、プロセスユニット50および転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラHRと、加圧ローラPRとを主に備えている。
【0052】
画像形成部4は、感光ドラム52の表面を、帯電装置53により帯電し、露光ユニット40により露光することで、感光ドラム52上に静電潜像を形成する。次に、画像形成部4は、現像ローラ61が担持するトナーを感光ドラム52上に形成された静電潜像に供給することで、静電潜像を可視像化し、感光ドラム52上にトナー像を形成する。その後、画像形成部4は、シート供給部3から供給されたシートSを、感光ドラム52と転写ローラ74との間で搬送することで、感光ドラム52上に担持されたトナー像をシートSに転写する。このとき、駆動ローラ71に入力される駆動力により回転駆動される搬送ベルト73が、シートSを、感光ドラム52との間に挟んで搬送する。そして、トナー像が転写されたシートSを、加熱ローラHRと加圧ローラPRの間で搬送することで、トナー像を熱定着する。
【0053】
シート排出部8は、搬送ローラ8Aと、排出ローラ8Bとを備えている。シート排出部8は、画像を形成されたシートSを搬送ローラ8Aと排出ローラ8Bによって本体筐体2の外のシート排出トレイ2B上に排出する。
【0054】
クリーニングユニット90は、搬送ベルト73の下方に配置され、クリーニングローラ91と、回収ローラ92と、掻き取りブレード93と、貯留部94と、クリーニングローラ91との間で搬送ベルト73を挟持するバックアップローラ95とを主に備えている。
【0055】
クリーニングローラ91は、搬送ベルト73に接触して搬送ベルト73に付着した、トナーや紙粉等の付着物を回収する部材である。詳しくは、クリーニングローラ91は、金属製の回転軸をスポンジ製のローラ体で被覆した部材であり、スポンジが搬送ベルト73に接触して付着物を取り除くように構成されている。回収ローラ92は、クリーニングローラ91に圧接する金属等の硬質材料からなる部材である。掻き取りブレード93は、回収ローラ92に圧接して付着物を掻き落とす部材である。クリーニングユニット90は、搬送ベルト73の表面に付着した付着物を貯留部94に回収するように構成されている。
【0056】
搬送ベルト73の移動方向における画像形成部4の下流側かつクリーニングユニット90の上流側には、後述するトナーパッチ読み取り処理において使用されるパッチセンサPSが設けられている。パッチセンサPSは、発光素子と受光素子とから構成されており、たとえば画像濃度や各色間の色ずれなどを測定する。
【0057】
制御装置100は、カラープリンタ1において、画像形成部4やクリーニングユニット90などを駆動制御して、画像形成プロセスやベルトクリーニングプロセスを実行するよう構成されている。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、入出力インターフェースなどを備えて構成され、各種センサの出力やあらかじめ記憶された実行可能なプログラムなどに基づいて演算処理を行うことで制御を実行する。
【0058】
以下、クリーニングローラ91を駆動する駆動力を伝達する伝達機構96について、図2および図3を参照して詳細に説明する。図2は、伝達機構96をクリーニングローラ91の回転軸線方向外側から見た斜視図であり、図3(a)は、伝達機構96をクリーニングローラ91の回転軸線方向内側から見た側面図、図3(b)は、伝達機構96をクリーニングローラ91の回転軸線方向外側から見た側面図である。駆動力を発生する駆動源としてのモータMは、図3(a)に示されている。
【0059】
クリーニングローラ91は、クリーニングローラギヤ91Gを有し、回収ローラ92は回収ローラギヤ92Gを有する。クリーニングローラギヤ91Gと回収ローラギヤ92Gは互いに噛合し、クリーニングローラ91には、回収ローラギヤ92Gおよびクリーニングローラギヤ91Gを介して駆動力が伝達される。
【0060】
伝達機構96は、モータMからクリーニングローラ91へ駆動力を伝達する機構であり、第1クラッチの一例としての電磁クラッチ97と、第2クラッチの一例としてのワンウェイクラッチ98と、駆動ギヤ99とを主に有する。電磁クラッチ97とワンウェイクラッチ98は同軸に配置され、これらと同軸に配置された共通の出力軸SSに連結されている。出力軸SSは、クリーニングローラ91を回転駆動する駆動力を出力する軸である。駆動ギヤ99は、モータMのシャフトMSに設けられたモータギヤMG(図3参照)と噛合する入力ギヤ部G2と、モータMの駆動力を入力すると入力ギヤ部G2とともに一体に回転駆動される、第1出力ギヤ部DG1と、第2出力ギヤ部DG2とを有する。図3(a),(b)に示すように、第1出力ギヤ部DG1の径D1は、第2出力ギヤ部DG2の径D2よりも大きい(D1>D2)。すなわち、第2出力ギヤ部DG2は、第1出力ギヤ部DG1よりも小径のギヤである。
【0061】
伝達機構96は、さらに、駆動ギヤ99の第1出力ギヤ部DG1と噛合し、電磁クラッチ97に駆動力を伝達するアイドルギヤG3と、駆動ギヤ99の第2出力ギヤ部DG2と噛合してワンウェイクラッチ98に駆動力を伝達するアイドルギヤG4とを有する。
【0062】
電磁クラッチ97は、モータMの駆動力により所定方向に回転駆動される第1ギヤ97Gを有する。第1ギヤ97Gは、第1出力ギヤ部DG1から駆動力が伝達される。詳しくは、第1ギヤ97Gは、駆動ギヤ99に伝達されたモータMの駆動力が第1出力ギヤ部DG1から、1つのアイドルギヤG3を介して伝達される。
【0063】
ワンウェイクラッチ98は、モータMの駆動力により所定方向に回転駆動される第2ギヤ98Gを有する。第2ギヤ98Gは、第2出力ギヤ部DG2から駆動力が伝達される。詳しくは、第2ギヤ98Gは、駆動ギヤ99に伝達されたモータMの駆動力が第2出力ギヤ部DG2から、1つのアイドルギヤG4を介して伝達される。
【0064】
第1ギヤ97Gと第2ギヤ98Gとはほぼ同径のギヤである。したがって、第1出力ギヤ部DG1から駆動力が伝達される電磁クラッチ97の第1ギヤ97Gの回転速度を第1速度とすると、第1出力ギヤ部DG1より小径の第2出力ギヤ部DG2から駆動力が伝達されるワンウェイクラッチ98の第2ギヤ98Gの回転速度は、第1速度よりも遅い速度である第2速度となる。すなわち、第1ギヤ97Gは、第1速度で回転駆動され、第2ギヤ98Gは、第2速度で回転駆動される。
【0065】
また、駆動ギヤ99と電磁クラッチ97との間および駆動ギヤ99とワンウェイクラッチ98との間にそれぞれ1つずつアイドルギヤG3、G4を介在させているので、第1ギヤ97Gの回転方向(図3(a)の矢印97Dの方向)と第2ギヤ98Gの回転方向(図3(b)の矢印98Dの方向)は常に同じ所定方向である。なお、駆動ギヤ99と電磁クラッチ97またはワンウェイクラッチ98を連結するアイドルギヤの数は任意であり、アイドルギヤを介在させなくてもよい。
【0066】
電磁クラッチ97は、コネクタ97Cを介して制御装置100と電気的に接続されている。電磁クラッチ97は、第1ギヤ97Gに入力された駆動力を出力軸SSに伝達するトルク伝達モードと、第1ギヤ97Gに入力された駆動力を出力軸SSに伝達しないトルク遮断モードとを選択的に切り替え可能に構成されている。電磁クラッチ97は、通電することでトルク伝達モードに設定され、通電を遮断することでトルク遮断モードに設定される。
【0067】
制御装置100は、コネクタ97Cを介して電磁クラッチ97に通電する(ONにする)ことにより、電磁クラッチ97をトルク伝達モードとし、通電しない(OFFにする)ことで電磁クラッチ97をトルク遮断モードとする。以下の説明において、便宜的に、電磁クラッチ97がトルク伝達モードに設定されている状態を「ON」、トルク遮断モードに設定されている状態を「OFF」と略称することがある。
【0068】
ワンウェイクラッチ98は、電磁クラッチ97がOFFであるとき第2ギヤ98Gに入力された駆動力を出力軸SSに伝達し、電磁クラッチ97がONであるとき第2ギヤ98Gに入力された駆動力を出力軸SSに伝達しないように構成されている。具体的には、ワンウェイクラッチ98は、第2ギヤ98Gが出力軸SSに対して第1方向に回転するとき第2ギヤ98Gから出力軸SSに駆動力を伝達し、第2ギヤ98Gが出力軸SSに対して第1方向とは反対の第2方向に回転するとき第2ギヤ98Gから出力軸SSへ駆動力を伝達せず、第2ギヤ98Gが空回りするように構成されている。ワンウェイクラッチ98の機構は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0069】
ここで、電磁クラッチ97がOFFのとき、電磁クラッチ97は第1ギヤ97Gから出力軸SSへ駆動力を伝達せず、ワンウェイクラッチ98が第2ギヤ98Gから出力軸SSへ駆動力を伝達し、出力軸SSは第2ギヤ98Gから伝達される駆動力により所定方向に低速回転する。このときの第2ギヤ98Gの出力軸SSに対する相対回転の方向が前記した第1方向である。一方、電磁クラッチ97がONのとき、ワンウェイクラッチ98は第2ギヤ98Gから出力軸SSへ駆動力を伝達せず、電磁クラッチ97が第1ギヤ97Gから出力軸SSへ駆動力を伝達し、出力軸SSは第1ギヤ97Gから伝達される駆動力により所定方向に高速回転する。このとき、第2ギヤ98Gは、第1ギヤ97Gと同じ速度で高速回転する出力軸SSに対して相対的に第1方向とは反対の第2方向に回転していることになるので、第2ギヤ98Gから出力軸SSに対して第2方向の回転トルクは伝達されず、出力軸SSの回転は阻害されない。
【0070】
電磁クラッチ97がONのとき、高速回転する出力軸SSからギヤSG,G5,G6,G7、回収ローラギヤ92Gおよびクリーニングローラギヤ91Gを介して伝達される駆動力により、クリーニングローラ91は所定の第1クリーニング速度で回転する。電磁クラッチ97がOFFのときは、低速回転する出力軸SSからギヤSG,G5,G6,G7、回収ローラギヤ92Gおよびクリーニングローラギヤ91Gを介して伝達される駆動力により、クリーニングローラ91は第1クリーニング速度より遅い所定の第2クリーニング速度で回転する。
【0071】
搬送ベルト73は、クリーニングローラ91が接触する位置において、図3に矢印で示す第1移動方向73Dに移動するように駆動される。クリーニングローラ91は、外周面91Fが、搬送ベルト73に接触する位置において、第1移動方向73Dとは反対の第2移動方向に移動するように駆動される。
【0072】
そして、電磁クラッチ97がONのときのクリーニングローラ91の外周面91Fの移動速度は、電磁クラッチ97がOFFのときのクリーニングローラ91の外周面91Fの移動速度よりも速く、搬送ベルト73の移動速度よりも遅い。
【0073】
制御装置100は、シートSにトナー像を形成する画像形成制御と、搬送ベルト73に付着した付着物をクリーニングローラ91で回収するベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能である。制御装置100は、画像形成制御を実行する場合、電磁クラッチ97をトルク遮断モードに設定し、ベルトクリーニング制御を実行する場合、電磁クラッチ97をトルク伝達モードに設定するよう構成されている。
【0074】
ベルトクリーニング制御は、たとえば、紙詰まりがあった場合など搬送ベルト73が汚れている可能性が高いときのほか、保持ローラ54によって感光ドラム52上から回収して一時的に保持されたトナーを感光ドラム52から搬送ベルト73を介してクリーニングユニット90で回収する廃トナー回収処理や、トナー濃度や色ずれなどをチェックするためのパッチパターンを搬送ベルト73上にテスト印字してパッチセンサPSで読み取り、測定するトナーパッチ読み取り処理(濃度補正処理、色ずれ補正処理)に付随するパッチ回収プロセスにおいて実行される。
【0075】
すなわち、制御装置100は、各保持ローラ54に保持されたトナーを対応する感光ドラム52に移動させ、搬送ベルト73を介してクリーニングローラ91で回収するときや、トナーパッチ読み取り処理終了後に搬送ベルト73上のトナーパッチをクリーニングローラ91で回収するときに、ベルトクリーニング制御を実行する。以下、廃トナー回収処理およびトナーパッチ読み取り処理を例にあげて、ベルトクリーニング制御のプロセスを説明する。
【0076】
図4を参照して、廃トナー回収処理を実行する際の制御フローについて説明する。廃トナー回収処理は、たとえば、累積印字量(印刷枚数やトナー消費量)が所定量を超えたとき、カラープリンタ1の起動時や印刷終了時、消耗品交換後にフロントカバー2Aを閉じたときなど適切なタイミングで実行される。制御装置100は、廃トナー回収処理を開始するとき、まず、電磁クラッチ97をONに(すなわちトルク伝達モードに設定)して、クリーニングローラ91を高速回転させ(S110)、転写残トナー吐き出し・回収プロセスを実行する(S120)。
【0077】
ステップS120において、制御装置100は、保持ローラ54に対してトナーを感光ドラム52に戻す所定の電圧(正帯電性のトナーを感光ドラム52へ移動させる正極性のバイアス)を所定時間印加する。感光ドラム52に戻されたトナーは、トナーを搬送ベルト73に移動させる負極性の転写バイアスを転写ローラ74に印加することで、搬送ベルト73に排出される。その後、トナーは、搬送ベルト73の移動とともに、クリーニングローラ91に到達してクリーニングローラ91で回収される。回収されたトナーは、貯留部94に貯留される。
【0078】
このような、転写残トナー吐き出し・回収プロセス(S120)は、4つの感光ドラム52のそれぞれに付属する保持ローラ54について実行され、シートSの搬送方向において最も上流側の保持ローラ54から感光ドラム52に吐き出された転写残トナーが、搬送ベルト73を介してクリーニングローラ91で回収されるまで継続する(S130,No)。廃トナー回収が終了すると(S130,Yes)、電磁クラッチ97をOFFにして(S140)、廃トナー回収処理すなわちベルトクリーニング制御を終える。
【0079】
廃トナー回収処理後、制御装置100は、プリントキューに待機中の印刷ジョブがあれば、画像形成制御(すなわち、通常の印刷処理)を実行する。そして、プリントキューに印刷ジョブがなければ、制御装置100は処理を終了する。画像形成制御は、電磁クラッチ97をOFFにしたまま、クリーニングローラ91を低速回転させた状態で実行される。換言すれば、制御装置100は、通常の印刷処理中も、ベルトクリーニング制御中と同じ(すなわち、搬送ベルト73の移動方向とは反対に外周面91Fが移動する)向きに、ベルトクリーニング中よりも低速で回転するクリーニングローラ91により、ベルトクリーニングが継続する。
【0080】
指令された印刷ジョブに対応する印刷処理が完了すると、プリントキューに後続印刷ジョブがなければ、制御装置100は処理を終了し、スタンバイモードに入る。カラープリンタ1は、スタンバイの状態では、シート供給部3、画像形成部4、シート排出部8の駆動を停止し、クリーニングローラ91の回転も停止する。後続印刷ジョブが確認されれば、続けて画像形成制御を実行する。このように、画像形成制御は、プリントキューに待機中の印刷ジョブがなくなるまで繰り返し実行される。
【0081】
次に、図5を参照して、トナーパッチ読み取り処理を実行する際の制御フローについて説明する。制御装置100は、トナーパッチ読み取り処理を開始するとき、まず、電磁クラッチ97をOFFにした(すなわちトルク遮断モードに設定した)状態で、クリーニングローラ91を低速回転させ(S310)、パッチ形成プロセスを実行する(S320)。
【0082】
ステップS320において、制御装置100は、画像形成部4を制御し、露光ユニット40により感光ドラム52上に所定のパッチパターンの静電潜像を形成し、その静電潜像を現像ローラ61に担持されたトナーで現像する。そして、トナーで形成したパッチパターンを転写ローラ74に印加した転写バイアスにより搬送ベルト73の表面に転写する。
【0083】
搬送ベルト73の表面に形成されたパッチパターンは、駆動される搬送ベルト73の表面の移動にともない、パッチセンサPSに到達し、パッチセンサPSによりパッチ読み取りプロセスが実行され、各種の測定が行われる(S330)。ステップS340において、制御装置100は、パッチ形成プロセス(S320)終了後の経過時間等からパッチ読み取りが終了していないと判断されるうちはステップS330を継続する(S340,No)。このように、パッチ形成プロセス(S320)およびパッチ読み取りステップ(S330)の実行中は、電磁クラッチ97はOFFのままである。
【0084】
そして、制御装置100は、パッチ読み取りプロセス(S330)が終了したと判定すると(S340,Yes)、クリーニングローラ91を高速回転させるべく電磁クラッチ97をONに(すなわちトルク伝達モードに設定)して(S350)、パッチ回収プロセスを実行する(S360)。
【0085】
制御装置100は、パッチ回収が終了していないと判断されるうちはパッチ回収プロセス(S360)を継続する(S370,No)。そして、制御装置100は、パッチ回収プロセス(S360)が終了したと判定すると(S370,Yes)、電磁クラッチ97をOFFにして(S380)ベルトクリーニング制御を終了し、トナーパッチ読み取り処理を終える。
【0086】
以上に説明したカラープリンタ1の作用効果について説明する。
【0087】
ベルトクリーニング制御の実行時だけでなく、通常の画像形成制御の実行時に、クリーニングローラ91の外周面91Fが、搬送ベルト73に接触する位置において、搬送ベルト73が移動する方向とは反対の方向に移動するように駆動されるので、搬送ベルト73と同じ方向に同じ速度で移動させる従来の構成と異なり、通常画像形成制御実行時にも、搬送ベルト73のクリーニング性能を発揮させることができる。
【0088】
そして、電磁クラッチ97とワンウェイクラッチ98とを出力軸SSと同軸に配置するというコンパクトな機構で、ON/OFF切り替えというシンプルなオペレーションによるクリーニングローラ91の高速/低速の切り替えを可能としている。
【0089】
さらに、このような電磁クラッチ97とワンウェイクラッチ98の切り替え機構を、第1出力ギヤ部DG1と、当該第1出力ギヤ部DG1よりも小径の第2出力ギヤ部DG2とを有する駆動ギヤ99と組み合わせることで、切り替え可能な減速比の異なる2系列のギヤ列を備えるシンプルかつコンパクトな伝達機構96を構成可能としている。そして、アイドルギヤG3,G4を適宜設けることで、駆動伝達経路の設計上高い自由度を実現している。
【0090】
また、クリーニングローラ91が、画像形成制御実行時に、ベルトクリーニング制御実行時よりも低速で回転するよう構成しているので、クリーニングローラ91の摩耗を抑え耐用寿命を延ばすことができる。また、画像形成制御実行時、すなわち通常動作中に、電磁クラッチ97をOFFにし、ベルトクリーニング制御実行時にのみ、電磁クラッチ97をONにする制御を採用することで、消費電力の節約に寄与する構成となっている。
【0091】
また、ベルトクリーニング制御実行時には、クリーニングローラ91が、搬送ベルト73の移動方向とは反対方向に外周面91Fが移動するとともに、搬送ベルト73の移動速度を超えない速度で、画像形成制御実行時よりも高速に回転するので、接触する搬送ベルト73の付着物を効果的に回収することができる。
【0092】
特に、感光ドラム52上のトナーを回収して一時的に保持された転写残トナーを搬送ベルト73に吐き出させてクリーニングローラ91で回収する廃トナー回収処理時には、通常の画像形成制御時よりも高速回転するクリーニングローラ91により、効率的・効果的に搬送ベルト73をクリーニングすることができる。
【0093】
さらに、トナーパッチ読み取り処理において、パッチ読み取りプロセス実行時には、クリーニングローラ91を、通常の画像形成制御実行時と同じ速度で回転させるので、搬送ベルト73にかかる張力などの条件を変えずに、適正・精確なパッチパターンの測定が可能である。また、トナーパッチ読み取り処理終了後に搬送ベルト73上のトナーパッチをクリーニングローラ91で回収するときには、画像形成制御実行時よりも、クリーニングローラ91を高速回転させるので、効率的・効果的に搬送ベルト73をクリーニングすることができる。
【0094】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と同様の点については、たとえば、構成要素に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略し、第1実施形態と異なる点について詳細に説明する。
図6に示すように、カラープリンタ1は、離間機構160と、バイアス印加装置190とをさらに備えている。
【0095】
離間機構160は、現像カートリッジ60を、たとえば、上下や前後に移動させることで、現像ローラ61を、対応する感光ドラム52に接触する接触位置(図6(a)参照)と、対応する感光ドラム52から離間する離間位置(図6(b)参照)との間で移動させるための機構である。離間機構160は、ブラックに対応する現像ローラ61を、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する現像ローラ61とは独立して、接触位置と離間位置との間で移動可能に構成されている。離間機構160は公知の構成を採用できるので詳細な説明は省略する。
【0096】
離間機構160は、制御装置100によって制御される。画像形成制御を実行する前、すべての現像ローラ61が離間位置に位置している。制御装置100は、シートSにカラー画像を形成する場合には、離間機構160を制御して、すべての現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させる。制御装置100は、シートSにモノクロ画像を形成する場合には、ブラックに対応する現像ローラ61だけを離間位置から接触位置に移動させ、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する現像ローラ61は、離間位置に位置させたままとする。
【0097】
バイアス印加装置190は、クリーニングローラ91に、搬送ベルト73に付着した付着物、具体的には、トナーを電気的に引き寄せるためのバイアス(クリーニング電流)を印加可能な装置である。クリーニングローラ91の、回転軸を被覆するローラ体は導電性を有し、バイアス印加装置190は、クリーニングローラ91の回転軸に電気的に接続されている。バイアス印加装置190は、制御装置100によって制御される。
【0098】
本実施形態において、モータMは、クリーニングローラ91のほか、感光ドラム52および搬送ベルト73(駆動ローラ71)を駆動させる。モータMは、シャフトMS(図3参照)の回転速度を変更可能なモータである。
【0099】
制御装置100は、画像形成制御実行時に、モータMを第3速度で回転させて感光ドラム52、搬送ベルト73およびクリーニングローラ91を駆動させる第1モータ制御と、モータMを第3速度より遅い速度である第4速度で回転させて感光ドラム52、搬送ベルト73およびクリーニングローラ91を第1モータ制御の場合より遅い速度で駆動させる第2モータ制御とを選択的に実行可能である。一例として、第4速度は、第3速度の略半分の速度であり、以下では、第1モータ制御を「全速制御」と略称し、第2モータ制御を「半速制御」と略称することがある。
【0100】
なお、第1クリーニング速度は、全速制御の場合と半速制御の場合とで異なる速度となる。すなわち、半速制御の場合の第1クリーニング速度は、全速制御の場合の第1クリーニング速度より遅い速度である。第2クリーニング速度についても同様である。
【0101】
制御装置100は、画像形成制御と、電磁クラッチ97をONに設定して搬送ベルト73に付着した付着物をクリーニングローラ91で回収する第1ベルトクリーニング制御と、電磁クラッチ97をOFFに設定して搬送ベルト73に付着した付着物をクリーニングローラ91で回収する第2ベルトクリーニング制御とを選択的に実行可能である。
【0102】
第1ベルトクリーニング制御は、搬送ベルト73とクリーニングローラ91とが接触する位置での搬送ベルト73の移動速度と、電磁クラッチ97をONにして高速回転するクリーニングローラ91の移動速度との速度差を第1速度差として、搬送ベルト73に付着した付着物をクリーニングローラ91で回収する制御である。第2ベルトクリーニング制御は、搬送ベルト73とクリーニングローラ91とが接触する位置での搬送ベルト73の移動速度と、電磁クラッチ97をOFFにして低速回転するクリーニングローラ91の移動速度との速度差を第1速度差より小さい第2速度差として、搬送ベルト73に付着した付着物をクリーニングローラ91で回収する制御である。このため、クリーニングローラ91が搬送ベルト73から付着物を物理的に掻き取る力は、第1ベルトクリーニング制御を実行する場合の方が、第2ベルトクリーニング制御を実行する場合よりも大きくなる。
【0103】
制御装置100は、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合、第1ベルトクリーニング制御を実行する。また、制御装置100は、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満であることを条件として、第2ベルトクリーニング制御を実行する。詳しくは、制御装置100は、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満である場合においては、全速制御が選択されている場合に、第2ベルトクリーニング制御を実行し、半速制御が選択されている場合には、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合と同様に、第1ベルトクリーニング制御を実行する。
【0104】
制御装置100は、半速制御が選択されている場合は、画像形成制御で使用したトナーの量に関わらず、クリーニングローラ91を高速回転させる第1ベルトクリーニング制御を実行する。なお、高速回転するクリーニングローラ91の回転速度は、全速制御の場合と半速制御の場合とで異なる速度となる。すなわち、半速制御の場合に高速回転するクリーニングローラ91の回転速度は、全速制御の場合に高速回転するクリーニングローラ91の回転速度より遅い速度である。
【0105】
制御装置100は、画像形成制御を実行したときに連続して画像形成したシートSの枚数が所定枚数以上の場合に、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定する。逆の言い方をすれば、制御装置100は、画像形成制御を実行したときに連続して画像形成したシートSの枚数が所定枚数未満の場合に、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満であると判定する。なお、カラープリンタ1がシートSの表裏の両面に画像形成可能な構成である場合には、シートSの表面への画像形成を1枚目、シートSの裏面への画像形成を2枚目というようにカウントしてもよい。一例として、所定枚数は、5枚である。
【0106】
制御装置100は、トナーパッチ読み取り処理終了後に搬送ベルト73上のトナーパッチをクリーニングローラ91で回収するときにも、第1ベルトクリーニング制御を実行する。
【0107】
制御装置100は、第1ベルトクリーニング制御を実行する場合、バイアス印加装置190を制御して、第2ベルトクリーニング制御を実行する場合よりも、搬送ベルト73に付着した付着物を引き寄せる力が大きくなるバイアス(クリーニング電流)を、クリーニングローラ91に印加する。具体的には、制御装置100は、第2ベルトクリーニング制御を実行する場合、バイアス印加装置190を制御して、第1クリーニング電流A1をクリーニングローラ91に印加する。制御装置100は、第1ベルトクリーニング制御を実行する場合、バイアス印加装置190を制御して、第1クリーニング電流A1よりも大きい、第2クリーニング電流A2または第3クリーニング電流A3をクリーニングローラ91に印加する。
【0108】
制御装置100は、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満である場合であって、半速制御が選択されている場合に実行する第1ベルトクリーニング制御において、バイアス印加装置190を制御して、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合に実行する第1ベルトクリーニング制御のときよりも、搬送ベルト73に付着した付着物を引き寄せる力が小さくなるバイアス(クリーニング電流)を、クリーニングローラ91に印加する。具体的には、制御装置100は、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合に実行する第1ベルトクリーニング制御において、バイアス印加装置190を制御して、第2クリーニング電流A2をクリーニングローラ91に印加する。制御装置100は、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満である場合であって、半速制御が選択されている場合に実行する第1ベルトクリーニング制御において、バイアス印加装置190を制御して、第2クリーニング電流A2よりも小さい第3クリーニング電流A3をクリーニングローラ91に印加する(A1<A3<A2)。
【0109】
制御装置100は、画像形成制御が終了した後に実行する、第1ベルトクリーニング制御および第2ベルトクリーニング制御において、各保持ローラ54に保持されたトナーを対応する感光ドラム52に移動させ、搬送ベルト73を介してクリーニングローラ91で回収する処理を実行する。なお、制御装置100は、トナーパッチ読み取り処理終了後に実行する第1クリーニング制御において、同様の処理を実行するように構成されていてもよい。
【0110】
制御装置100は、ウォーミングアップ処理を実行する場合、電磁クラッチ97をOFFに設定して搬送ベルト73に付着した付着物をクリーニングローラ91で回収する。この場合、制御装置100は、バイアス印加装置190を制御して、第2クリーニング電流A2をクリーニングローラ91に印加する。ウォーミングアップ処理では、たとえば、定着ユニット80(加熱ローラHR)の温度を所定の温度まで上昇させる動作や、アジテータ65を回転させて収容部64内のトナーを撹拌する動作などが実行される。
【0111】
次に、図7および図8を参照して、画像形成処理とクリーニング処理を実行する際の制御フローについて説明する。図7に示すように、制御装置100は、画像形成の指示を受信すると、電磁クラッチ97をOFFとしてクリーニングローラ91を低速回転させる(S211)。このとき、制御装置100は、クリーニングローラ91にクリーニング電流を印加しない(クリーニング電流OFF)。
【0112】
その後、制御装置100は、現像ローラ圧接プロセスを実行する(S212)。ステップS212において、制御装置100は、離間機構160を制御して画像形成に使用する現像ローラ61を離間位置から接触位置に移動させる。画像形成に使用する現像ローラ61が接触位置に移動して現像ローラ圧接が終了すると(S213,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとしたまま、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第1クリーニング電流A1を印加する(S214)。
【0113】
その後、制御装置100は、回収プロセスを実行する(S215)。ステップS215において、制御装置100は、搬送ベルト73に付着した廃トナーをクリーニングローラ91で回収する。廃トナー回収が終了すると(S216,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとしたまま、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91へのクリーニング電流の印加を停止してOFFにする(S217)。
【0114】
その後、制御装置100は、シートSへの画像形成プロセスを実行する(S218)。画像形成が終了すると(S219,Yes)、制御装置100は、現像ローラ離間プロセスを実行する(S220)。ステップS220において、制御装置100は、離間機構160を制御して接触位置にある現像ローラ61を離間位置に移動させる。
【0115】
現像ローラ61が離間位置に移動して現像ローラ離間が終了すると(S221,Yes)、制御装置100は、図8に示すように、画像形成プロセスにおいて、シートSに5枚以上連続して画像形成したか否かを判定する(S230)。
【0116】
5枚以上連続して画像形成した場合(S230,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をONにしてクリーニングローラ91を高速回転させるとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第2クリーニング電流A2を印加する(S251)。その後、制御装置100は、転写残トナー吐き出し・回収プロセスを実行する(S252)。廃トナー回収が終了すると(S253,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとし、クリーニングローラ91の回転を停止するとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニング電流をOFFとし(S280)、処理を終える。
【0117】
ステップS230において、5枚以上連続して画像形成しなかった場合(S230,No)、制御装置100は、画像形成プロセスが半速制御により実行される半速モードであるか否かを判定する(S240)。
【0118】
半速モードでない場合(S240,No)、すなわち、画像形成プロセスが全速制御により実行される全速モードである場合、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとしたまま、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第1クリーニング電流A1を印加する(S261)。その後、制御装置100は、転写残トナー吐き出し・回収プロセスを実行する(S262)。廃トナー回収が終了すると(S263,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとしたまま、クリーニングローラ91の回転を停止するとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニング電流をOFFとし(S280)、処理を終える。
【0119】
ステップS240において、半速モードである場合(S240,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をONにしてクリーニングローラ91を高速回転させるとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第3クリーニング電流A3を印加する(S271)。なお、この場合のクリーニングローラ91の回転速度自体は、半速モードであるので、全速モードの場合のクリーニングローラ91の回転速度より遅い速度である。その後、制御装置100は、転写残トナー吐き出し・回収プロセスを実行する(S272)。廃トナー回収が終了すると(S273,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとし、クリーニングローラ91の回転を停止するとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニング電流をOFFとし(S280)、処理を終える。
【0120】
次に、図9を参照して、トナーパッチ読み取り処理を実行する際の制御フローについて説明する。制御装置100は、トナーパッチ読み取り処理を開始すると、電磁クラッチ97をONにしてクリーニングローラ91を高速回転させるとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第2クリーニング電流A2を印加する(S301)。
【0121】
その後、制御装置100は、回収プロセスを実行する(S302)。廃トナー回収が終了すると(S303,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFにしてクリーニングローラ91を低速回転させるとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニング電流をOFFとする(S311)。
【0122】
その後、制御装置100は、パッチ形成プロセスを実行し(S320)、そして、パッチ読み取りプロセス(濃度補正、色ずれ補正)を実行する(S330)。パッチ読み取りが終了すると(S340,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をONにしてクリーニングローラ91を高速回転させるとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第2クリーニング電流A2を印加する(S351)。
【0123】
その後、制御装置100は、パッチ回収プロセスを実行する(S360)。パッチ回収が終了すると(S370,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとし、クリーニングローラ91の回転を停止するとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニング電流をOFFとし(S381)、処理を終える。
【0124】
次に、図10を参照して、ウォーミングアップ処理を実行する際の制御フローについて説明する。制御装置100は、ウォーミングアップ処理を開始すると、電磁クラッチ97をOFFにしてクリーニングローラ91を低速回転させるとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニングローラ91に第2クリーニング電流A2を印加する(S410)。
【0125】
その後、制御装置100は、ウォーミングアッププロセスを実行する(S420)。ウォーミングアッププロセスにおいて、制御装置100は、たとえば、定着ユニット80の温度を所定の温度まで上昇させる動作や、現像カートリッジ60内のトナーを撹拌する動作などを実行する。ウォーミングアップが終了すると(S430,Yes)、制御装置100は、電磁クラッチ97をOFFとし、クリーニングローラ91の回転を停止するとともに、バイアス印加装置190を制御してクリーニング電流をOFFとし(S381)、処理を終える。
【0126】
以上に説明したカラープリンタ1の作用効果について説明する。
【0127】
画像形成制御で使用したトナーの量が多く、搬送ベルト73上の付着物が多いときにクリーニングローラ91を高速回転させるので、搬送ベルト73上の付着物を効果的に回収することができる。また、画像形成制御で使用したトナーの量が少なく、搬送ベルト73上の付着物が少ないときにクリーニングローラ91を低速回転させることで、搬送ベルト73上の付着物を回収しつつも、クリーニングローラ91の摩耗を抑え耐用寿命を延ばすことができる。詳しくは、クリーニングローラ91による適度なベルトクリーニング能力を維持することができるとともに、クリーニングローラ91の摩耗を抑えることができるので、クリーニングローラ91のベルトクリーニング能力を長期間維持することができる。
【0128】
また、クリーニングローラ91を高速回転させる、第1ベルトクリーニング制御を実行する場合に、第2ベルトクリーニング制御を実行する場合よりも、搬送ベルト73上の付着物を引き寄せる力が大きくなるバイアスを、クリーニングローラ91に印加するので、付着物を物理的に掻き取る力が大きい、クリーニングローラ91を高速回転させる場合に搬送ベルト73上の付着物、特に、転写残トナーをより効果的に回収することができる。
【0129】
ここで、感光ドラム52、搬送ベルト73およびクリーニングローラ91の回転速度が遅くなる半速モードの場合に、クリーニングローラ91を低速回転させてベルトクリーニングを行うと、ベルトクリーニング能力が低下する可能性がある。本実施形態では、この場合に、クリーニングローラ91を高速回転させる第1ベルトクリーニング制御を実行するので、ベルトクリーニング能力を確保することができる。
【0130】
また、半速モードの場合に、クリーニングローラ91に印加するバイアスを強くすると、トナーがクリーニングローラ91から搬送ベルト73に戻る可能性がある。本実施形態では、この場合に、クリーニングローラ91に印加するバイアスを弱くするので、搬送ベルト73上の付着物、特に、トナーをより効果的に回収することができる。
【0131】
また、トナーパッチ読み取り処理終了後に搬送ベルト73上のトナーパッチをクリーニングローラ91で回収するとき、クリーニングローラ91を高速回転させる、第1ベルトクリーニング制御を実行するので、トナーパッチ読み取り処理終了後のトナーパッチ回収時に、搬送ベルト73上の直接転写されたトナーパッチを効果的に回収することができる。
【0132】
また、保持ローラ54により、感光ドラム52上の転写残トナーを回収することができるので、トナー像を転写した後の残存トナーを、逐次回収し、後続の形成画像品質を好適に維持することができる。
【0133】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0134】
前記第2実施形態では、制御装置100は、画像形成制御を実行したときに連続して画像形成したシートSの枚数が所定枚数以上の場合に、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定する構成であったが、これに限定されない。たとえば、制御装置は、画像形成制御を実行したときにシートSに形成されたトナー像のドット数が所定ドット数以上の場合に、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上であると判定する構成であってもよい。
【0135】
前記第2実施形態では、回転速度を変更可能なモータMを採用し、全速制御と半速制御とを選択に実行可能であったが、これに限定されず、回転速度を変更できないモータを採用してもよい。この場合、制御装置は、画像形成制御が終了した後、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量以上である場合に第1ベルトクリーニング制御を実行し、画像形成制御で使用したトナーの量が所定量未満である場合に第2ベルトクリーニング制御を実行する構成としてもよい。
【0136】
前記第2実施形態では、第1クリーニング制御と第2クリーニング制御とで、搬送ベルト73とクリーニングローラ91とが接触する位置での搬送ベルト73の移動速度とクリーニングローラ91の移動速度との速度差を変更するため、クリーニングローラ91の回転速度を変更する伝達機構96を採用したが、これに限定されない。たとえば、クリーニングローラの回転速度は変更せず、搬送ベルトの駆動速度を変更する機構を採用してもよい。また、クリーニングローラの回転速度を変更する機構と、搬送ベルトの駆動速度を変更する機構の両方を採用してもよい。また、速度差ができれば、搬送ベルトとクリーニングローラとが接触する位置での、ベルトの移動方向と、クリーニングローラの外周面の移動方向は、同じであってもよい。
【0137】
前記実施形態では、出力軸SSと電磁クラッチ97とワンウェイクラッチ98とが同軸に配置されている構成を例示したが、出力軸は、電磁クラッチおよび/またはワンウェイクラッチと同軸に配置されていなくてもよく、電磁クラッチとワンウェイクラッチも同軸でなくてよい。
【0138】
前記実施形態では、電磁クラッチ97の第1ギヤ97Gの回転方向と、ワンウェイクラッチ98の第2ギヤ98Gの回転方向とが、出力軸SSの回転方向と常に同じ所定方向である構成を例示したが、出力軸を電磁クラッチおよびワンウェイクラッチと同軸に配置しない構成を採用する場合など、出力軸が、第1ギヤおよび第2ギヤとは反対方向に回転するものであってもよい。また、アイドルギヤの配置構成を変更することで、第1ギヤが回転する方向と第2ギヤが回転する方向とが異なる方向となるようにしてもよい。
【0139】
前記実施形態では、駆動ギヤ99が、第1出力ギヤ部DG1と第1出力ギヤ部DG1より小径の第2出力ギヤ部DG2を有し、電磁クラッチ97の第1ギヤ97Gと、ワンウェイクラッチ98の第2ギヤ98Gとがほぼ同径のギヤである場合を例示したが、これに限定されない。第1ギヤが、モータの駆動力により第1速度で回転駆動され、第2ギヤが、同じモータの駆動力により第1速度よりも遅い第2速度で回転駆動される構成となるように、さまざまなギヤの組み合わせを採用することができる。
【0140】
前記実施形態では、ベルトがシートSを搬送する搬送ベルト73であったが、感光ドラムに接触するように配置されるベルトであれば、たとえば、トナー像を感光ドラムからシートに転写する中間転写ベルトであってもよい。
【0141】
前記実施形態では、画像形成装置として、感光ドラム52と現像カートリッジ60とをそれぞれ複数備え、カラー画像を形成可能なカラープリンタ1を例示したが、これに限定されず、たとえば、感光ドラムと現像装置を1つずつ備え、モノクロ画像のみを形成可能なプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限らず、たとえば、複写機や複合機などであってもよい。
【0142】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 カラープリンタ
52 感光ドラム
54 保持ローラ
70 転写ユニット
71 駆動ローラ
72 従動ローラ
73 搬送ベルト
73D 第1移動方向
74 転写ローラ
90 クリーニングユニット
91 クリーニングローラ
91F 外周面
91G クリーニングローラギヤ
92 回収ローラ
92G 回収ローラギヤ
93 掻き取りブレード
94 貯留部
95 バックアップローラ
96 伝達機構
97 電磁クラッチ
97G 第1ギヤ
98 ワンウェイクラッチ
98G 第2ギヤ
99 駆動ギヤ
DG1 第1出力ギヤ部
DG2 第2出力ギヤ部
100 制御装置
G2 入力ギヤ部
G3 アイドルギヤ
G4 アイドルギヤ
G5 ギヤ
G6 ギヤ
G7 ギヤ
M モータ
MG モータギヤ
MS シャフト
PS パッチセンサ
S シート
SS 出力軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10