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特許7571379印刷装置、印刷制御システム、印刷制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御システム、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A45D29/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020048686
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021145893
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 保
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-000438(JP,A)
【文献】特開2017-136146(JP,A)
【文献】特開2017-056190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶手段と、
前記記憶された前記第1の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段と、
前記指保持手段にセットされる指の爪が撮影されている画像をライブビュー表示する表示手段と、
複数の前記印刷データによって構成される印刷データセットの中に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があるか否かを判定する第1の爪判定手段と、
前記第1の爪判定手段によって前記第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があると判定された場合に、前記表示手段にライブビュー表示する画面に、当該一致した前記第1の爪輪郭を重畳表示させるライブビュー表示手段と、
前記ライブビュー表示手段による重畳表示後に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭を再度取得し、前記印刷データに対応する前記第1の爪輪郭に一致するか否かを判定する第2の爪判定手段と、
前記第2の爪判定手段によって前記第2の爪輪郭が前記第1の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第1の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷手段と、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの指は、複数の指であり、
前記複数の指の各々の前記印刷データは予め定められた順序で前記印刷手段に出力され、
前記印刷手段は、出力された前記印刷データの順序にしたがって印刷を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの指は、複数の指であり、
前記爪判定手段は、前記爪情報記憶手段に記憶されている前記印刷データに含まれる複数の前記第1の爪輪郭のうちのいずれかが、前記指保持手段に保持された指の爪の前記第2の爪輪郭と一致するか否かを判定し、前記第1の爪輪郭と前記第2の爪輪郭が一致する前記印刷データがある場合には、当該印刷データを前記印刷手段に出力させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記爪判定手段は、前記第1の爪輪郭と前記第2の爪輪郭との重心位置の比較結果と、
前記第1の爪輪郭に外接する矩形の幅と前記第2の爪輪郭に外接する矩形の幅との比較結果と、前記第1の爪輪郭に外接する矩形の高さと前記第2の爪輪郭に外接する矩形の高さとの比較結果と、のうち少なくとも一つについて、所定の条件を満たしていれば一致、前記所定の条件をみたしていなければ不一致と判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記爪判定手段によって、前記指保持手段に保持された指の爪の前記第2の爪輪郭と前記印刷データに含まれる前記第1の爪輪郭とが不一致であると判定されると、その旨を報知する報知手段をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷装置及び印刷制御装置を含む印刷制御システムにおいて、
前記印刷装置は、
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段と、
前記指保持手段にセットされる指の爪が撮影されている画像をライブビュー表示する表示手段と、
を備え、
前記印刷装置及び前記印刷制御装置の一方は、
第1の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶手段を備え、
前記印刷制御装置は、
前記爪情報記憶手段に記憶された前記第1の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成手段を備え、
前記印刷装置及び前記印刷制御装置の一方は、
複数の前記印刷データによって構成される印刷データセットの中に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があるか否かを判定する第1の爪判定手段と、
前記第1の爪判定手段によって前記第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があると判定された場合に、前記表示手段にライブビュー表示する画面に、当該一致した前記第1の爪輪郭を重畳表示させるライブビュー表示手段と、
前記ライブビュー表示手段による重畳表示後に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭を再度取得し、前記印刷データに対応する前記第1の爪輪郭に一致するか否かを判定する第2の爪判定手段と、
前記第2の爪判定手段によって前記第2の爪輪郭が前記第1の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第1の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御システム。
【請求項7】
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段を備える印刷装置が行う印刷制御方法であって、
第1の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶工程と、
前記記憶された前記第1の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成工程と、
前記指保持手段にセットされる指の爪が撮影されている画像をライブビュー表示する表示工程と、
複数の前記印刷データによって構成される印刷データセットの中に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があるか否かを判定する第1の爪判定工程と、
前記第1の爪判定工程によって前記第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があると判定された場合に、前記表示工程でライブビュー表示する画面に、当該一致した前記第1の爪輪郭を重畳表示させるライブビュー表示工程と、
前記ライブビュー表示工程による重畳表示後に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭を再度取得し、前記印刷データに対応する前記第1の爪輪郭に一致するか否かを判定する第2の爪判定工程と、
前記第2の爪判定工程によって前記第2の爪輪郭が前記第1の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第1の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷工程と、
を含んでいることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段と表示手段とを備える印刷装置のコンピュータを、
第1の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶機能と、
前記記憶された前記第1の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
前記指保持手段にセットされる指の爪が撮影されている画像を前記表示手段にライブビュー表示する表示機能と、
複数の前記印刷データによって構成される印刷データセットの中に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があるか否かを判定する第1の爪判定機能と、
前記第1の爪判定機能によって前記第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があると判定された場合に、前記表示手段にライブビュー表示する画面に、当該一致した前記第1の爪輪郭を重畳表示させるライブビュー表示機能と、
前記ライブビュー表示機能による重畳表示後に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭を再度取得し、前記印刷データに対応する前記第1の爪輪郭に一致するか否かを判定する第2の爪判定機能と、
前記第2の爪判定機能によって前記第2の爪輪郭が前記第1の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第1の爪輪郭に合わせたデザインを印刷させるように印刷手段を制御する印刷制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御システム、印刷制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
こうした印刷装置では、予め印刷対象である爪の形状認識を行い、爪輪郭のデータを取得して指種(親指、人差し指、中指、薬指、小指)ごとに登録しておくことも行われる。
【0003】
このため、各指の爪に印刷したいデザインを爪輪郭に合わせ込んで各指の爪ごとのデザインの印刷データを生成しておけば、各印刷データに対応する指を印刷時に正しくセットすることにより、各指の爪にそれぞれ所望のデザインを印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、指種ごとにデザインを決めて印刷データを生成しても、印刷時にユーザが正しい指種の爪を印刷位置にセットしなかった場合には、本来ある指の爪(例えば左手薬指の爪)に印刷されるはずのデザインが、これとは異なる指の爪(例えば左手中指の爪)に間違って印刷されてしまう事態を生じる。
このため、ユーザが所望した仕上がりとならないという問題があった。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが所望した通りのデザインを各指の爪に印刷することのできる印刷装置、印刷制御システム、印刷制御方法及びプログラムを提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置の一態様は、
第1の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶手段と、
前記記憶された前記第1の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段と、
前記指保持手段にセットされる指の爪が撮影されている画像をライブビュー表示する表示手段と、
複数の前記印刷データによって構成される印刷データセットの中に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があるか否かを判定する第1の爪判定手段と、
前記第1の爪判定手段によって前記第2の爪輪郭と一致する前記第1の爪輪郭があると判定された場合に、前記表示手段にライブビュー表示する画面に、当該一致した前記第1の爪輪郭を重畳表示させるライブビュー表示手段と、
前記ライブビュー表示手段による重畳表示後に、前記指保持手段に保持された指の爪の第2の爪輪郭を再度取得し、前記印刷データに対応する前記第1の爪輪郭に一致するか否かを判定する第2の爪判定手段と、
前記第2の爪判定手段によって前記第2の爪輪郭が前記第1の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第1の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷手段と、
を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが所望した通りのデザインを各指の爪に印刷することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における印刷装置の要部構成を示す斜視図である。
図2】本実施形態における印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図3】本実施形態における爪輪郭データ登録処理を示すフローチャートである。
図4】本実施形態における印刷データ登録処理を示すフローチャートである。
図5】印刷データの構成を模式的に説明する説明図である。
図6】爪輪郭のデータセットが表示された爪輪郭選択画面の一例を示す図である。
図7】デザインを爪輪郭にフィッティングする様子を示す説明図であり、(a)は、爪輪郭にデザインをそのまま当てはめる様子を示し、(b)は、デザインを拡大して爪輪郭に当てはめる様子を示し、(c)は、デザインを回転させて爪輪郭に当てはめる様子を示し、(d)は、デザインを反転及び縮小して爪輪郭に当てはめる様子を示した図である。
図8】本実施形態における印刷処理を示すフローチャートである。
図9】印刷データセットが表示された印刷デザイン確認画面の一例を示す図である。
図10】指保持部に指をセットする様子を表示するライブビュー表示画面の一例を示した図である。
図11】指保持部に正しい指がセットされた状態の爪表示画面例を示した図である
図12】指保持部に予定と異なる指がセットされた状態の爪表示画面例を示した図である。
図13】本実施形態の一変形例における印刷処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から図12を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、人の爪以外の爪様のものを印刷対象としてもよい。
【0011】
図1は、本実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、図1に示した方向をいうものとする。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2は、前面側(印刷装置1の正面側、図1において前側)の下側部分に、左右方向(印刷装置1の横方向、図1において左右方向、X方向)のほぼ全面に亘って形成された開口部21を有している。また、筐体2の左右方向のほぼ中央部には、開口部21の上側に連続して切り欠き部22が形成されている。切り欠き部22は、後述する印刷ヘッド41を装置に対して着脱する際の出入口として機能する。
なお、図示はしないが、筐体2は、開口部21や切り欠き部22を覆うカバー部材等を備えていてもよい。カバー部材は、筐体2とは別体に分離されたものであってもよいし、例えば筐体2に対してヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられていてもよい。
【0013】
また、筐体2の上面(天板)には、印刷装置1の操作部12が設けられている。操作部12は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置30に出力され、制御装置30が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお、操作部12に代えて、後述する端末装置7の操作部71から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
筐体2各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、操作部12は、筐体2の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、筐体2にはその他各種の操作ボタンが操作部12として設けられていてもよいし、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0014】
筐体2の内部には、装置本体10が収容されている。
装置本体10は、基台11と、これに取り付けられた指保持部6、印刷部40等を備えている。
【0015】
指保持部6は、基台11における装置前面側の左右方向(X方向)のほぼ中央部に配置されており、本実施形態における印刷対象である爪Tを有する指Uを印刷に適した領域内に保持する指保持手段である。
指保持部6は、装置前面側に開口部61を有している。また指保持部6の内部には、指固定部材62が設けられている。指固定部材62は、開口部61から挿入された指Uを下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
指保持部6の上面には開口部61から挿入され指固定部材62により保持された指Uの爪T部分を露出させる窓部63が形成されている。
【0016】
印刷部40は、後述する印刷データ生成部314(図2参照)において生成される印刷データにしたがって印刷対象である爪Tに印刷を施す印刷手段である。本実施形態において印刷部40は、後述する爪判定手段としての制御部31によって第二の爪輪郭Rが第一の爪輪郭Rに一致すると判定された場合に、指保持部6に保持された指Uの爪Tに第一の爪輪郭Rに合わせたデザインを印刷する。
印刷部40は、印刷動作を行う印刷ヘッド41及びこれを備えた印刷ヘッドユニット42を移動させるためのヘッド移動機構49(図2参照)を備えている。
【0017】
本実施形態の印刷ヘッド41は、爪表面に対向する面がインクを吐出させる複数のノズル口を備えたインク吐出面(いずれも図示せず)となっており、インクを微滴化し、インク吐出面から印刷対象(爪T)の被印刷面である爪表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の構成は特に限定されないが、例えばインク吐出面等の吐出機構部とインクカートリッジ(いずれも図示せず)とが一体となったカートリッジ一体型のヘッドである。
印刷ヘッド41は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)のインクを吐出可能となっている。なお、印刷ヘッド41に備えられるインクの種類はこれに限定されない。
【0018】
ヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるための図示しないX方向移動機構及び印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させるための図示しないY方向移動機構からなる。
X方向移動機構は、X方向移動モータ46を含んでおり、X方向移動モータ46が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させる。また、Y方向移動機構は、Y方向移動モータ48を含んでおり、Y方向移動モータ48が駆動することにより印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させる。
【0019】
ヘッド移動機構49のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及び印刷ヘッド41(印刷ヘッド41の吐出機構部)の動作は制御装置30の印刷制御部315(図2参照)によって制御される。
【0020】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、指保持部6の窓部63の上方位置には、窓部63から露出する爪T(爪Tを含む指U)を撮影して爪Tの画像(爪Tを含む指Uの画像、以下「爪画像」という。)を取得する撮影部50が設けられている。
撮影部50は、例えばカメラ等である撮影装置51と、撮影対象である爪Tを照明する白色LED等で構成された照明装置52とを備えている(図2参照)。
また、撮影部50は、後述する制御装置30の撮影制御部312(図2参照)に接続されており、該撮影制御部312によって制御されるようになっている。
撮影装置51によって撮影された爪画像は、撮影制御部312において取得される。
なお、撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部32に記憶されてもよい。
【0021】
また、本実施形態では、撮影装置51及び照明装置52が、筐体2の天面内側であって指保持部6に載置された指Uの爪T(爪Tの表面)と対向可能な位置に固定配置されている場合を例示したが、撮影部50は、指保持部6に載置された指Uの爪Tを撮影可能な位置に設けられていればよく、具体的な配置は特に限定されない。
例えば、撮影部50は、印刷ヘッド41を移動させるヘッド移動機構49によってXY方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0022】
制御装置30は、例えば筐体2の上面(天板)の内側(下面側)等に配置された図示しない基板等に搭載されている。
図2は、本実施形態の制御構成を示すブロック図である。
制御装置30は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部31と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部32とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部32は別構成とし、制御装置30の外部に設けるようにしてもよい。
【0023】
記憶部32は、印刷装置1を動作させるための各種プログラム等が格納されたプログラム記憶領域321を有している。
具体的には、記憶部32には、印刷処理を行うための印刷プログラム等の各種プログラムが格納されており、制御部31がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部31において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、記憶部32は、爪情報記憶領域322を有している。爪情報記憶領域322には、後述の爪情報検出部313によって検出された爪Tに関する各種の情報が記憶される。本実施形態では、特に、爪情報検出部313によって予め爪輪郭R(図6等参照)が検出されるようになっており、爪情報記憶領域322には、当該予め検出された爪輪郭Rと爪に対応する各指Uの指種とが対応付けられて記憶される。すなわち、爪情報記憶領域322は、第一の爪輪郭Rとして少なくとも1つの指Uの爪輪郭Rを少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している。
なお、記憶部32には、撮影部50によって取得された爪画像等のデータや爪画像等から検出された各種の情報等の爪情報が記憶されている。
上記、爪情報検出部313は後述する端末装置7側に設けてもよい。
【0024】
制御部31は、機能的に見た場合、通信制御部311、撮影制御部312、爪情報検出部313、印刷データ生成部314、印刷制御部315等を備えている。これら通信制御部311、撮影制御部312、爪情報検出部313、印刷データ生成部314、印刷制御部315等としての機能は、制御部31と記憶部32のプログラム記憶領域321に記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0025】
通信制御部311は、通信部13の動作を制御するものである。
通信部13は、端末装置7の通信部73との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、通信制御部311は、印刷装置1、端末装置7間で各種のデータ等を送受信する際に通信部13の動作を制御する。
本実施形態の印刷装置1は、後述する端末装置7と連携してネイルデザイン(以下単に「デザイン」ともいう。)の印刷を行うようになっている。例えば爪Tに印刷するデザインのデータは端末装置7側に記憶されており、通信制御部311は適宜通信部13による通信を制御し、通信部13を介して端末装置7側からデザインのデータを取得する。
【0026】
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、印刷装置1と端末装置7との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
なお、通信部13は、端末装置7との間で通信を行うことのできるものであればよく、端末装置7の通信部73の通信規格と合致するものが適用される。
【0027】
撮影制御部312は、撮影部50の撮影装置51及び照明装置52を制御して撮影装置51により、指保持部6に載置された指Uの爪Tの画像を含む指Uの画像(爪画像)を撮影させる。
本実施形態では、後述するように撮影部50は下地が塗布された状態の爪Tを撮影するようになっており、撮影部50により取得された当該爪Tの画像(爪画像)は、撮影制御部312に送られる。撮影制御部312は、こうした爪画像(爪Tの画像のデータ)を取得する画像取得手段として機能する。なお、撮影制御部312は爪画像を記憶部32に記憶させてもよい。
【0028】
爪情報検出部313は、爪Tの画像(爪画像)に基づいて、指Uの爪Tについての爪情報を検出する制御手段である。本実施形態において爪情報検出部313は、特に、各指Uの爪Tの領域を画する爪輪郭R(図6等参照)を検出する爪輪郭検出手段として機能する。
爪情報としての「爪輪郭R」のデータは、所定の矩形画像内での複数(例えば数十ポイントから数千ポイント)の輪郭点で表現される爪Tの輪郭形状(爪形状、爪Tの水平位置のXY座標等)である。
爪情報検出部313によって取得された爪Tの爪輪郭Rの情報は、当該爪Tを有する指Uの指種と対応付けられて、記憶部32の爪情報記憶領域322に記憶される。
【0029】

また、本実施形態の爪情報検出部313は、実際に爪Tに対する印刷処理を行うにあたって、次に印刷を行う印刷対象として指保持部6に保持された指Uの爪T(爪Tの爪輪郭R)と、印刷データにおいて予定される爪輪郭R(印刷データに含まれる爪輪郭R)とが一致するか否かを判定する爪判定手段として機能する。すなわち、指保持部6に保持された指Uの爪Tの第二の爪輪郭Rを、印刷データに対応する第一の爪輪郭Rに一致するか否かを判定する。
例えば、本実施形態では、後述するように例えば左右の10本の指Uの爪Tに印刷する印刷データがセットで用意され、予めそれぞれ印刷順が規定されている。そして、印刷処理を行う際には、この印刷データが印刷順にしたがって順次印刷部40に出力される。そこで爪判定手段としての爪情報検出部313は、次に印刷が予定されている正しい順番の指Uが指保持部6に保持されているか否かを判断する。
爪判定手段としての爪情報検出部313によって第二の爪輪郭が第一の爪輪郭に一致すると判定された場合に、印刷部40によって、指保持部6に保持された指Uの爪Tに第一の爪輪郭Rに合わせたデザインが印刷される。
【0030】
なお、爪情報検出部313によって検出される爪情報はこれに限定されない。
爪情報検出部313によって検出される爪情報は、例えば、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)等を含んでいてもよい。また、撮影装置51によって撮影された画像等から爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置)を取得できる場合には、爪Tの高さも爪情報に含まれてよい。
【0031】
印刷データ生成部314は、爪情報記憶領域322に記憶された第一の爪輪郭Rに合わせたデザインである印刷データを生成する。
すなわち、印刷データ生成部314は、爪情報検出部313によって検出され爪情報記憶領域322に記憶された爪Tの爪輪郭R(図6等参照)に所望のデザインを合わせ込んで各指ごとの印刷データを生成する印刷データ生成手段である。
具体的には、印刷データ生成部314は、ユーザによって選択されたネイルデザイン(デザイン)の画像データを切り出し、適宜拡大縮小、配置の調整等を行うとともに、爪Tの画像から検出された爪輪郭にフィッティングする。
なお、爪情報検出部313において爪Tの曲率等が取得された場合には、印刷データ生成部314は、この爪Tの曲率等に基づいて、印刷データに適宜曲面補正を行ってもよい。曲面補正を行った場合には、より爪Tの形状に合った印刷データを生成することができる。
【0032】
印刷制御部315は、印刷データ生成部314において生成された印刷データにしたがって爪Tに印刷を施すように印刷部40を制御する。
具体的には、印刷制御部315は、印刷データに基づいて印刷部40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの印刷データにしたがった印刷を施すように印刷部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、印刷ヘッド41等を制御する。
【0033】
また、前述のように、本実施形態の印刷装置1は、端末装置7と連携して爪Tに対する印刷を行う。
端末装置7は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置である。なお、端末装置7はスマートフォンに限定されない。例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ(以下において「PC」とする。)やノート型のPC、据置型のPC、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図2に示すように、端末装置7は、操作部71、表示部72、通信部73及び制御装置80等を備えている。
【0034】
操作部71は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、例えば表示部72の表面に一体的に設けられたタッチパネルである。操作部71が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御部81に送信される。
表示部72に構成されるタッチパネルには、後述する表示制御部812の制御にしたがって各種の操作画面が表示され、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によって各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部71はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部71として設けられていてもよい。
【0035】
本実施形態では、ユーザが操作部71を操作することで、端末装置7から印刷装置1に対して印刷開始等の各種指示が出力されるようになっており、端末装置7は印刷装置1の操作部としても機能する。
また、ユーザが操作部71を操作することで、爪Tに印刷するネイルデザイン(デザインD)を選択すること等ができるようになっている。
【0036】
表示部72は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、前述のように、表示部72の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部71として機能する。
【0037】
本実施形態では、ユーザが操作部71から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部72に表示可能となっている。
また、本実施形態において端末装置7は、印刷装置1の撮影部50が指保持部6及びその周辺を連続する静止画像や動画像として撮影すると、その画像を逐次取得して表示部72においてライブビュー画像として表示させるようになっている。すなわち、本実施形態の表示部72は、指保持部6にセットされる指Uの爪Tを撮影する画像をライブビュー表示可能な表示手段として機能する。
さらに、本実施形態の表示部72は、このライブビュー表示画面72d(図10参照)に、印刷データにおいて次に印刷が予定される爪Tの爪輪郭Rを重畳表示させる。
【0038】
また、本実施形態では、後述する爪情報検出部313(爪判定手段)によって、指保持部6に保持された指Uの爪Tの爪輪郭Rと印刷データにおいて次に印刷処理を行うことが予定される爪輪郭Rとが不一致であると判定されると、その旨をメッセージとして表示部72に表示させるようになっており、表示部72は、爪輪郭Rが不一致であることを報知する報知手段としても機能する。
【0039】
通信部73は、印刷装置1の通信部13との間で通信可能に構成されたものである。
印刷装置1と端末装置7との間での通信は、前述のように、無線接続方式、有線接続方式のどちらでもよく、具体的な方式は限定されない。通信部73は印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部13の通信規格と合致するものが適用される。
通信部13は、後述する制御装置80の通信制御部811(図2参照)に接続され、該通信制御部811によって制御される。
【0040】
図2に示すように、本実施形態の端末装置7の制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部81と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0041】
記憶部82には、端末装置7の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、本実施形態のROM等には、端末装置7の各部を統括制御するための動作プログラム821aの他、印刷装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム821b(以下「ネイルプリントAP」とする。)等の各種プログラムが格納されており、制御部81がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部81において実行されることによって、端末装置7の各部が統括制御されるようになっている。
【0042】
また、本実施形態の記憶部82には、ネイルデザイン(デザイン)のデータを格納するデザイン記憶領域822等が設けられている。
なお、デザイン記憶領域822に格納されるネイルデザイン(デザイン)は、予め用意された既存のデザインであってもよいし、ユーザが自ら作成したデザインであってもよい。後述するように、ユーザによってデザインのデータセットが作成されると、デザイン記憶領域822に記憶される。この場合、デザインのデータセットには、ユーザ名等のユーザを識別するための情報が対応付けられることが好ましい(図9参照)。これにより、次回からはユーザが自分で作成したお気に入りのデザインのデータセットを容易に呼び出してネイルプリントに用いることができる。
また、端末装置7が各種ネットワークに接続可能である場合には、ネットワーク接続可能な図示しないサーバ装置等に記憶されているネイルデザイン(デザイン)を取り込むことが可能となっていてもよい。
【0043】
端末装置7の制御部81は、機能的に見た場合、通信制御部811、表示制御部812等を備えている。これら通信制御部811、表示制御部812等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。なお、端末装置7の制御部81が備える機能はこれに限定されず、その他各種の機能部を備えていてもよい。
通信制御部811は、通信部73の動作を制御するものである。
また、表示制御部812は、表示部72を制御して表示部72に各種の表示画面を表示させる。
特に本実施形態では、印刷装置1の撮影部50が指保持部6の上方から指保持部6に挿入される指Uの様子等を連続する静止画像や動画像として随時撮影している。本実施形態の表示制御部812は、撮影部50により撮影された複数の画像を所定の再生フレームレートで逐次更新しながら表示部72に表示させる。これにより表示部72にはユーザが指保持部6に指Uをセットする様子がライブビュー画像として逐次表示されるライブビュー表示画面72d(図10参照)が表示される。
【0044】
次に、図3から図10を参照しつつ、本実施形態の印刷制御方法について説明する。
本実施形態の印刷装置1を用いてネイルプリントを行う場合には、ユーザは、印刷装置1の操作部12(操作ボタン)等を操作して電源を入れ起動させる。
また、端末装置7についても電源を入れて端末装置7の操作部71からネイルプリント処理の実行を選択する。これによりネイルプリントAP821bが起動する。
図3は、本実施形態における爪輪郭登録処理を示すフローチャートである。図3に示すように、本件ではまず、印刷を予定するすべての指U(例えば左右の手の親指から小指までの全10本)について、予め爪輪郭Rを取得し登録しておく。具体的には以下のようにする。
【0045】
端末装置7においてネイルプリントAP821bが起動すると、端末装置7の表示制御部812は、印刷したい爪Tに対応する指Uを指保持部6にセットするよう促す(ステップS1)。具体的には、指Uをセットするよう促す指示画面を表示部72に表示させる。このとき、爪Tに下地を塗布してから指Uをセットするように促してもよい。
また、下地の塗布は、ユーザ等による手作業で行われても良いし、印刷装置1に下地塗布機能を設け、印刷装置1によって行われても良い。
【0046】
ユーザが指保持部6に指Uをセットする様子は、指位置の確認のためのライブビュー画像として表示部72のライブビュー表示画面72d(図10参照)に表示される(ステップS2)。これにより、ユーザは、表示部72を見ることで指Uをどこまで挿入し爪Tをどこに配置すればよいか等を確認することができる。
指Uが指保持部6にセットされると、指保持部6にセットされた指Uの爪Tを撮影部50が撮影し、撮影制御部312が爪画像を取得する(ステップS3)。そして爪情報検出部313が、爪画像から爪輪郭Rを検出する(ステップS4)。なお、爪画像を取得する(ステップS3)はライブビュー表示(ステップS2)の前に行ってもよい。
【0047】
制御部31は、すべての指Uについて爪輪郭Rの検出が完了したか否かを判断する(ステップS5)。すべての指Uについて爪輪郭Rの検出が完了していない場合(ステップS5;NO)には、制御部31は、次の指Uを指保持部6にセットするようにユーザに指示する(ステップS6)。具体的には例えば表示部72に次の指をセットするように促す指示画面を表示させる。そして、ステップS2に戻って処理を繰り返す。一方、すべての指Uについて爪輪郭Rが検出された場合(ステップS5;YES)には、制御部31は、一連の撮影で取得された爪輪郭データ(例えば当該ユーザの左右の手の親指から小指までの全10本の爪Tの爪輪郭Rのデータ)を全指分セットにして記憶部32に登録する(ステップS7)。すなわち、制御部31は、各爪輪郭データがそれぞれいずれの指Uの爪Tであるかの指種情報と対応付けて記憶部32の爪情報記憶領域322に記憶させる。これにより爪輪郭登録処理が終了する。
なお、爪輪郭のデータセットには、ユーザ名等のユーザを識別するための情報が対応付けられることが好ましい。これにより、次回からはユーザが自分の爪Tの爪輪郭Rのデータセットを容易に呼び出してネイルプリントに用いることができ、ネイルプリントに要する時間を短縮することができる。
【0048】
全指分の爪輪郭データが取得されると、各爪Tに印刷したいデザインを選んで編集し、全指分の印刷データを生成する。
図4は、印刷データを作成する処理を説明するフローチャートである。
図4に示すように、ユーザは、記憶部32に登録されている登録済みの爪輪郭データの中から、印刷データを作成したい爪輪郭データのセットを選択する(ステップS11)。
【0049】
図5は、図4で作成する印刷データの構成のイメージを示す説明図である。
印刷データは、爪輪郭のデータセットを構成する各爪Tについて適用したいデザインデータをユーザが選択し、これをそれぞれの爪Tの爪輪郭に合わせ込んで作成される。このため、図5に示すように、印刷データは、爪輪郭Rのデータセットに含まれるすべての爪輪郭に対応する複数のデータからなる印刷データセットとなる。
図6は、爪輪郭データ選択画面の一例を示す表示部の画面例である。
図6に示す爪輪郭データ選択画面72aには、タイトル「第1セット」について、左右の手の親指から小指までの全10本の爪Tの爪輪郭のデータのセットが表示されている。
例えばユーザが爪輪郭データ選択画面72aにおいて「第1セット」を選択すると、当該セットが印刷データを作成する爪輪郭のデータセットとして設定される。
【0050】
すなわち、爪輪郭データのセット(例えば図5及び図6に示す「第1セット」)が選択されると、n本目の指Uの爪Tについてデザインの作成を開始する(ステップS12)。
具体的には、まず、n本目の指Uの爪Tの爪輪郭R(爪Tの輪郭線)をデザイン編集画面72b(図7(a)から図7(d)参照)に表示させる(ステップS13)。
そして、デザイン記憶領域822に記憶されているデザインデータの中から所望のデザインを選択・設定する(ステップS14)。
図5に示すように、例えば、ユーザが所望のデザイン(デザイン基材)としてデザインAのデータを選択すると、デザインAを「第1セット」を構成する各爪Tの爪輪郭Rにそれぞれ合わせ込むことにより印刷データセット1Aが生成される。
デザインの爪輪郭Rへの合わせ込みは、デザイン編集画面72bにおいて選択されたデザインを爪輪郭に重畳表示させて行われる(ステップS15)。
具体的には、爪輪郭Rに合わせてデザインの大きさや向き等を調整し、爪Tに印刷されるデザインのレイアウトを設定する(ステップS16)。
【0051】
図7(a)から図7(d)は、デザイン編集画面の例を示したものである。
図7(a)は、デザイン編集画面に表示された爪輪郭RにデザインAのデータをそのまま重畳配置させたものである。デザイン(デザイン基材)のデータは、例えば図7(a)から図7(d)に示すように、爪輪郭Rより大きめに用意された矩形のデータである。図7(a)に示すように、デザインAのデータをそのまま適用した場合には、爪Tのほぼ下半分に細かい水玉模様が配置され、爪Tの上部(爪先側)に行くほど大きな水玉模様となるデザインが爪輪郭Rに適用される。
図7(b)は、デザインAのデータを拡大して爪輪郭Rに適用した場合を示しており、爪Tの全体に大きな水玉模様が配置される。
図7(c)は、デザインAのデータを、大きさは変えずに時計回りに回転させた場合を示しており、爪Tの全体に大きな水玉模様が配置される。左下に細かい水玉模様が配置され、右上に行くほど大きな水玉模様が配置される。
さらに、図7(d)は、もともとのデザインAのデータを上下反転させて縮小した場合を示しており、爪Tの上部(爪先側)に行くほど細かい水玉模様が配置され、爪Tの下部(爪Tの生え際側)ほど大きな水玉模様となるデザインが爪輪郭Rに適用される。
なお、デザインの編集はここに例示したものに限定されない。例えば、上下左右への移動や反転等ができてもよい。また、縮小しながら回転させる等、複数の編集処理を組み合わせてもよい。
なお、図7(a)から図7(d)の爪輪郭Rの内側が印刷データとなる。
【0052】
n本目の指Uの爪Tについてデザインの作成が完成すると(ステップS17)、制御部31は、すべての指Uについてデザインの作成が完了したか否かを判断する(ステップS18)。すなわち、全10指に印刷を予定している場合には、「n=10」であるか否かを判断する。
すべての指Uについてデザインの作成が完了していない場合(ステップS18;NO)には、次(n+1本目)の指をn本目とし(ステップS19)、ステップS12に戻って「n=10」となるまで処理を繰り返す。なお、所望の本数の指Uの爪Tに印刷する場合は、nは任意の数とすることが出来る。例えば、両手の人差し指から小指までの全8本の指Uの爪Tに印刷したい場合には、「n=8」とする。
【0053】
他方、すべての指Uについてデザインの作成が完了した場合(ステップS18;YES)には、印刷データ生成部314が、ユーザの作成したデザインを各爪Tに印刷するための印刷データを生成し、全指分セットにして記憶部32に登録する(ステップS20)。ここで印刷データ生成部314は、デザインをユーザの編集・設定した位置や向きにしたがって切り出し、適宜曲面補正等の補正処理を行う。これにより印刷データの生成処理が終了する。
なお、このようにして生成された印刷データ(複数指分の印刷データのセット)は、ユーザ名等のユーザを識別するための情報が対応付けられた状態で記憶(登録)されることが好ましい。これにより、次回からはユーザが所望のデザインの印刷データのデータセットを容易に呼び出してネイルプリントに用いることができ、ネイルプリントに要する時間を短縮することができる。
【0054】
実際にネイルプリントの印刷処理を行う場合には、図8に示すように、まず、ユーザが記憶部32に登録済みの印刷データのセットの中から所望のセットを選択する(ステップS31)。例えば、図9に示すデザイン確認画面72cを表示部72に表示させ、所望のデザインが各指Uの爪Tに爪輪郭Rに合わせ込まれた状態の印刷データセットをデザイン確認画面72cにおいて確認し、ユーザが印刷実行を入力(例えば図9に示す「このデザインをプリント」との指示釦を表示画面においてタッチ操作)すると、当該印刷データセットが印刷されるデータとして設定される。
【0055】
本実施形態において、印刷データセットを構成する印刷データは予め定められた順序で印刷部40に出力され、印刷部40は、出力された印刷データにしたがって印刷を行うようになっている。このため、何れかの印刷データのセットが選択されると、端末装置7の表示制御部812は、当該印刷データセットにおいて定められた順序において1番目に印刷される爪Tの表面に下地を塗布して当該爪Tに対応する指Uを指保持部6にセットするよう促す(ステップS32)。具体的には、当該指Uをセットするよう促す指示画面を表示部72に表示させる。
【0056】
ユーザが指保持部6に指Uをセットする様子は、指位置の確認のためのライブビュー画像として表示部72に表示される(ステップS33)。
このとき、表示制御部812は、当該爪Tの爪輪郭Rをガイドとしてライブビュー画像に重畳表示させる。
図10は、ライブビュー画像を表示させたライブビュー表示画面の一例を示す図である。
図10に示すように、ライブビュー表示画面72dには、指保持部6内であって印刷対象である爪Tを配置すべき位置(印刷に適した位置、印刷位置)に、印刷順序に従った爪T(例えば左手の親指から順に印刷を行う場合には、まず左手の親指の爪T)の爪輪郭Rがライブビュー画像に重畳表示される。なお、ライブビュー画像に爪輪郭Rを重畳表示させることは必須ではないが、ライブビュー画像に爪輪郭Rを重畳表示させることで、ユーザは、爪輪郭Rをガイドとして、爪Tを適切な位置に配置させることができる。
すなわち、ユーザは、表示部72を見ることで指Uをどこまで挿入し爪Tをどこに配置すればよいか等を容易に確認することができる。
また、ライブビュー画像に対して、印刷データに合わせ込まれているデザインデータを重畳表示させてもよい。
【0057】
指Uが指保持部6にセットされると、指保持部6にセットされた指Uの爪Tを撮影部50が撮影し、撮影制御部312が爪画像を取得する(ステップS34)。そして爪情報検出部313が、爪画像から爪輪郭Rを検出する(ステップS35)。
ここでは、ライブビュー画像を見ながらユーザが爪Tの位置を動かしている可能性があるため、爪画像を再度取得させることによって、最新の爪の輪郭を取得している。
指保持部6にセットされた爪Tの爪輪郭Rが検出されると、制御部31(爪情報検出部313)は、指保持部6に保持された指Uの爪T(爪Tの爪輪郭R)と、印刷データにおいて予定される爪輪郭R(印刷データに含まれる爪輪郭R)とを比較し(ステップS36)、爪輪郭Rが一致するか否かを判定する(ステップS37)。
図11は、爪輪郭Rが一致している場合の爪表示画面72eの例を示し、図12は、爪輪郭Rが一致していない場合の爪表示画面72eの例を示している。
【0058】
なお、ここで「一致」とは必ずしも完全一致でなくてもよい。爪輪郭Rの一致・不一致の判定は、例えば、各爪輪郭Rの重心位置のずれ量、爪輪郭R(爪Tの輪郭線)と外接する矩形の幅の比、爪輪郭R(爪Tの輪郭線)と外接する矩形の高さの比により所定の範囲内であれば一致、範囲外であれば不一致とする。
爪Tは指Uの延在方向には時間の経過とともに伸びていく(例えば1日程度の時間経過により長さ方向に0.1mm前後伸びると想定される。)。また爪先部分は、ユーザが適宜カットや整形を行うことが想定される。このため、予め爪輪郭Rを検出・登録して、これに対応した印刷データを生成しておいた場合、印刷データの生成から実際の印刷まである程度の時間が経過していると、爪輪郭Rが完全には一致しない可能性がある。
この場合、あまりにも爪Tの長さが異なるような場合には、そのまま印刷を行ってもきれいな仕上がりとならない可能性があるため、不一致であるとのエラー判定をしてもよいが、ある程度許容範囲内であればそのまま印刷を行っても問題がない。
また、爪Tは指Uの延在方向には長さが変化することが予想されるが、これと直交する指Uの幅方向の長さはほとんど変化しない。
このため、爪判定手段としての制御部31(爪情報検出部313)による爪輪郭Rの一致・不一致の判定は、指Uの幅方向の爪Tの長さ(すなわち爪幅)については厳密に、指Uの延在方向の爪Tの長さについては、ある程度幅を持たせた閾値を設定し、この閾値の範囲内のずれであれば、「一致」しているとの判定を行うことが好ましい。
具体的には、例えば、重心位置のずれ量に関しては指Uの延在方向では±0.1mm以内、爪幅方向では±0.2mm以内であれば「一致」とする。
また、例えば、爪輪郭R(爪Tの輪郭線)と外接する矩形の幅の比、爪輪郭R(爪Tの輪郭線)と外接する矩形の高さの比では、幅(爪幅方向)が±1%以内、高さ(指の延在方向)が±2%以内を「一致」とする。
【0059】
爪輪郭Rが一致しない場合(ステップS37;NO)には、「爪輪郭が一致しない」とのメッセージを報知手段としての表示部72に表示させる(ステップS38)。
なお、「爪輪郭が一致しない」ことを報知する手段は端末装置7の表示部72に限定されない。例えば、印刷装置1に表示部を設けて、ユーザに各種の警告や報知を行う報知手段として機能させてもよい。また、点滅等によって報知を行うランプや音声によって報知を行うスピーカ等を報知手段として備えてもよい。
そして、この場合にはさらに、爪Tの表面に下地を塗布した他の指U(指保持部6に入れたのとは異なる指U)を指保持部6にセットするよう指示する指示画面を表示部7に表示させ(ステップS39)、ステップS33以降の処理を繰り返す。
【0060】
一方爪輪郭Rが一致した場合(ステップS37;YES)には、検出された爪輪郭の内側領域を印刷領域として印刷データに基づいて爪Tにデザインを印刷する(ステップS40)。
制御部31は、印刷予定のすべての指Uについて印刷が終了したか否か(すなわち、予定されているセットの印刷データのすべてを印刷したか否か)を判断する(ステップS41)。そして、まだ印刷が終了していない指Uがある場合(ステップS41;NO)には、爪Tの表面に下地を塗布した次の指U(印刷データに予定されている次の印刷順の指U)を指保持部6にセットするよう指示する指示画面を表示部7に表示させる(ステップS42)。
一方印刷予定のすべての指Uについて印刷が終了した場合(ステップS41;YES)には、印刷処理を終了する。
これにより、各指Uの爪Tに、ユーザが所望したデザインが印刷される。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、爪情報検出部313が各指Uの爪Tの領域を画する爪輪郭Rを予め検出し、当該爪輪郭Rと各指Uの指種とを対応付けて爪情報記憶領域322に記憶させて、爪情報記憶領域322に記憶された爪輪郭Rに所望のデザインを合わせ込んで各指Uごとの印刷データを生成する。そして、指保持部6に保持された指Uの爪Tと、印刷データにおいて次に印刷が予定される爪Tの爪輪郭Rとが一致するか否かの判定を行った上で指保持部6に保持された指Uの爪Tに対して印刷を施す。
これにより、ユーザが各指ごとに作成したデザインを、各指Uの爪Tに正しく印刷することができる。
なお、爪Tに印刷するデザインは、ユーザが自ら作成したものに限定されない。例えば10本分等の指Uの爪Tに印刷するデザインがセットになった印刷データが予め用意され、ユーザがそのいずれかを選択すると、各指Uの爪Tの爪輪郭Rに合った印刷データが生成されて印刷を行うことが可能となってもよい。
【0062】
特に本実施形態では、印刷データは予め定められた順序で印刷部40に出力されるようになっており、印刷部40は、出力された印刷データにしたがって印刷を行う。
そして、爪判定手段としての制御部31(爪情報検出部313)は、印刷部40に出力される印刷データにおいて次に印刷が予定される爪Tの爪輪郭Rと指保持部6に保持された指Uの爪Tとが一致するか否かを判定する。
このため、ユーザが間違えて印刷順とは異なる指Uを指保持部6にセットしてしまった場合でも印刷前にチェックすることができる。
【0063】
そして、爪判定手段としての制御部31(爪情報検出部313)によって、印刷部40に出力される印刷データにおいて次に印刷が予定される爪Tの爪輪郭Rと指保持部6に保持された指Uの爪Tとが不一致であると判定されると、その旨を表示部72に表示させる等によってユーザに報知する。
このため、デザインが予定と異なる指Uの爪Tに誤って印刷されるのを防止して、ユーザ所望の仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、指保持部6にセットされる指Uの爪Tを撮影する画像を、ライブビュー画像として表示部72に表示させることが可能となっている。
これにより、ユーザは表示部の表示を確認しながら指保持部6内の適切な位置に指Uを配置することができる。
また、表示部72のライブビュー表示画面72dには、印刷データにおいて次に印刷することが予定される爪Tの爪輪郭Rが重畳表示させる。
このように、爪輪郭Rによってガイドされることで、爪Tを配置すべき位置が分かりやすく、ユーザが適切な位置に爪Tを配置することができる。
また、印刷順序とは異なる誤った指Uが挿入された場合には、表示画面に表示されている爪輪郭Rと、自分が挿入しようとしている指Uの爪Tの輪郭形状が違うことで、ユーザが誤りに気付きやすい。このため、印刷を行う前に、正しい指Uを入れ直すことができ、デザインが予定と異なる指Uの爪Tに誤って印刷されてしまうことを事前に回避することができる。
【0065】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0066】
例えば、本実施形態では、印刷データが、予め定められた順序(例えば、左手の親指、人差し指、中指、薬指、小指、右手の親指、人差し指、中指、薬指、小指の順等)で印刷部40に出力され、印刷部40が出力された印刷データにしたがって順番通りに各指Uの爪Tに印刷を行う場合を例示したが、印刷データの構成、印刷の順序等はこれに限定されない。
【0067】
例えば印刷データには特に印刷順序が定められておらず、ユーザが指保持部6に保持させた指Uの爪Tに合う印刷データが順次印刷部40に出力されるようにしてもよい。
この場合には、爪判定手段としての制御部31(爪情報検出部313)は、爪情報記憶領域322に記憶されている印刷データのうちのいずれかが、指保持部6に保持された指Uの爪Tの爪輪郭Rと一致する爪輪郭Rを含むか(対応するか)否かを判定し、爪輪郭R一致する印刷データがある場合には、当該印刷データを次に印刷する爪Tの印刷データとして印刷40に出力させる。
【0068】
図13は、このような手法で印刷を行う場合の印刷処理のフローチャートである。
図13に示すように、まず、ユーザが記憶部32に登録済みの印刷データのセットの中から所望のセットを選択する(ステップS51)。ユーザがいずれかの印刷データセットを選択する入力操作を行うと、当該印刷データセットが爪Tに印刷されるデータとして設定される。
いずれかの印刷データのセットが選択されると、端末装置7の表示制御部812は、爪Tの表面に下地を塗布して当該爪Tに対応する指Uを指保持部6にセットするよう促す(ステップS52)。具体的には、当該指Uをセットするよう促す指示画面を表示部72に表示させる。
【0069】
ユーザが指保持部6に指Uをセットする様子は、指位置の確認のためのライブビュー画像として表示部72に表示される(ステップS53)。
このとき、表示制御部812は、当該爪Tの爪輪郭Rをガイドとしてライブビュー画像に重畳表示させることが好ましい(図10参照)。
【0070】
爪Tが指保持部6の窓部63から露出する位置に配置されると、制御部31(爪情報検出部313)は、ライブビュー画像に基づいて爪輪郭Rを検出する(ステップS54)。
そして、爪判定手段としての制御部31(爪情報検出部313)は、ユーザによって選択された印刷データセットの中に、検出された爪T(爪Tの爪輪郭R)、すなわち次に印刷を行う印刷対象として指保持部6にセットされた指Uの爪Tと一致する爪輪郭R(印刷データに含まれる爪輪郭R)があるか否かを判断する(ステップS55)。
なお、ここでいう「一致」も上記実施形態において説明したものと同様であるため、説明を省略する。
一致する爪輪郭Rがない場合(ステップS55;NO)には、「爪輪郭が一致しない」とのメッセージを報知手段としての表示部72に表示させる(ステップS56)。この場合にはさらに、爪Tの表面に下地を塗布した他の指U(指保持部6に入れたのとは異なる指U)を指保持部6にセットするよう指示する指示画面を表示部7に表示させる(ステップS57)。そして、ステップS53に戻って処理を繰り返す。
【0071】
一方爪輪郭Rがいずれかの印刷データに含まれる爪輪郭Rと一致した場合(ステップS55;YES)には、ライブビュー画像に当該一致した爪輪郭Rを印刷部40による印刷に適した位置(印刷位置)に重畳表示させる(ステップS58)。ライブビュー画像に爪輪郭Rを重畳表示させることは必須ではないが、爪輪郭Rを表示させた場合には、ユーザは、爪輪郭Rをガイドとして、爪Tを適切な位置に配置させることができる。
また、ライブビュー画像に対して、印刷データに合わせ込まれているデザインデータを重畳表示させてもよい。
【0072】
指Uが指保持部6にセットされると、指保持部6にセットされた指Uの爪Tを撮影部50が撮影し、撮影制御部312が爪画像を取得する(ステップS59)。そして爪情報検出部313が、爪画像から爪輪郭Rを検出する(ステップS60)。
ここでは、ライブビュー画像を見ながらユーザが爪Tの位置を動かしている可能性があるため、爪画像を再度取得させることによって、最新の爪Tの輪郭を取得している。
指保持部6にセットされた爪Tの爪輪郭Rが検出されると、制御部31(爪情報検出部313)は、指保持部6に保持された指Uの爪T(爪Tの爪輪郭R)と、印刷データに含まれる爪輪郭Rとを比較し(ステップS61)、爪輪郭Rが一致するか否かを判定する(ステップS62)。
そして、爪輪郭Rが一致しない場合(ステップS62;NO)には、前述のステップS56、ステップS57の処理を行い、ステップS53に戻って処理を繰り返す。
【0073】
なお、ライブビュー画像に基づく爪輪郭Rの検出(すなわち、ステップS54)及び一致する爪輪郭Rがあるか否かの判定(すなわち、ステップS55)に十分な精度がある場合には、爪輪郭Rの比較(すなわち、ステップS61)及び爪輪郭Rが一致するか否かの判定(すなわち、ステップS62)を省略して、ステップS62の判定処理に進んでもよい。
一方、爪輪郭Rが一致した場合(ステップS62;YES)には、爪Tに印刷処理を行う。なお、爪輪郭Rが一致した場合におけるステップS63~ステップS65の処理は、図8におけるステップS40~ステップS42の処理と同様であるためその説明を省略する。
【0074】
図13に示す手法で印刷処理を行った場合には、ユーザがいずれの指Uを指保持部6にセットした場合にも、セットされた指Uの爪Tの爪輪郭Rに一致する爪輪郭Rを含む印刷データを装置側で検索し、爪Tに適合する印刷データで印刷を行う。
このため、ユーザは印刷順序等を気にせずに指Uを指保持部6にセットすることができ、指Uの入れ間違いによる印刷ミスを防止することができる。
【0075】
また、本実施形態では、印刷装置1の印刷ヘッド41として、インクジェット方式の印刷ヘッド41を備える構成としたが、印刷ヘッド41の構成はこれに限定されない。
シリンジ型のヘッドやペン型のヘッド等、インクジェット方式の印刷ヘッド41とは異なる構成のものを備えてもよい。
この場合には、ある程度粘度の高いインクや液剤を印刷することも可能となる。このため、例えば、白色インク等の下地用のインクを、印刷装置1を用いて爪Tに印刷するように構成してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、印刷装置1が端末装置7と連携して爪に印刷を行う場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、単体で印刷動作が完結するように構成されたものであってもよい。
例えば、本実施形態では、印刷開始指示の入力やネイルデザイン(デザイン)の選択等を端末装置7側の操作部71から行う場合を例としたが、各種指示の入力等を印刷装置1側の操作部12において行う構成としてもよい。この場合、印刷装置1にタッチパネル式の操作部を備えてもよい。また、印刷装置1に表示部を備えてもよく、この場合には当該表示部にタッチパネルが一体的に設けられていてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、ネイルデザイン(デザイン)のデータを格納するネイルデザイン記憶領域822が端末装置7の記憶部82に設けられている場合を例示したが、ネイルデザインのデータは端末装置7の記憶部82に保存されている場合に限定されず、印刷装置1の記憶部32に保存されていてもよい。
また、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインのデータを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、記憶部82等の容量を大きくしなくても、より多くのネイルデザインの中から印刷するデザインを選択することが可能となる。
【0078】
なお、本実施形態では、爪情報検出部313及び印刷データ生成部314が印刷装置1に設けられており、印刷装置1の制御装置30において、爪画像からの爪情報の検出や印刷データの生成を行う構成である場合を例示したが、印刷装置1の構成はこれに限定されない。
例えば、印刷装置1が印刷部40及び撮影部50のみを備え、爪情報の検出や印刷データの生成は、外部端末(例えばスマートフォン等である端末装置7)において行われる構成としてもよい。
この場合には、撮影部50の撮影装置51により爪Tが撮影され爪画像(指Uを含む爪Tの画像)が取得されると、撮影部50によって取得された爪画像は、通信部13を介して端末装置7の制御装置80に送られる。この場合、端末装置7の制御装置80が、画像取得手段となる。
そして、端末装置7側の制御装置80において、爪画像から爪Tの爪輪郭R等を検出し、爪輪郭Rの内側領域に印刷するように印刷データを生成する。この場合には、端末装置7側の記憶部82等に対応するプログラムが組み込まれる。
端末装置7側で印刷データが生成されると、当該印刷データが印刷装置1側に送信され、印刷データにしたがった印刷が行われる。
【0079】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
第一の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶手段と、
前記記憶された前記第一の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段と、
前記指保持手段に保持された指の爪の第二の爪輪郭を、前記印刷データに対応する前記第一の爪輪郭に一致するか否かを判定する爪判定手段と、
前記爪判定手段によって前記第二の爪輪郭が前記第一の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第一の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷手段と、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記少なくとも1つの指は、複数の指であり、
前記複数の指の各々の前記印刷データは予め定められた順序で前記印刷手段に出力され、
前記印刷手段は、出力された前記印刷データの順序にしたがって印刷を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記少なくとも1つの指は、複数の指であり、
前記爪判定手段は、前記爪情報記憶手段に記憶されている前記印刷データに含まれる複数の前記第一の爪輪郭のうちのいずれかが、前記指保持手段に保持された指の爪の前記第二の爪輪郭と一致するか否かを判定し、前記第一の爪輪郭と前記第二の爪輪郭が一致する前記印刷データがある場合には、当該印刷データを前記印刷手段に出力させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記爪判定手段によって、前記指保持手段に保持された指の爪の前記第二の爪輪郭と前記印刷データに含まれる前記第一の爪輪郭とが不一致であると判定されると、その旨を報知する報知手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記指保持手段にセットされる指の爪が撮影されている画像をライブビュー表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、ライブビュー表示する画面に、前記印刷データに含まれる前記第一の爪輪郭を重畳表示させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記第一の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶手段に記憶された前記第一の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
印刷対象となる爪に対応する指を保持する印刷装置の指保持手段に保持された指の爪の第二の爪輪郭を、前記印刷データに対応する前記第一の爪輪郭に一致するか否かを判定する爪判定手段と、
前記爪判定手段によって前記第二の爪輪郭が前記第一の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第一の爪輪郭に合わせたデザインを前記印刷装置によって印刷させるように前記印刷データを出力する出力手段と、
を備えていることを特徴とする印刷制御装置。
<請求項7>
印刷装置及び印刷制御装置を含む印刷制御システムにおいて、
前記印刷装置は、
印刷対象となる爪に対応する指を保持する指保持手段と、
前記指保持手段に保持された指の爪にデザインを印刷する印刷手段と、
を備え、
前記印刷装置及び前記印刷制御装置の一方は、
前記第一の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶手段を備え、
前記印刷制御装置は、
前記爪情報記憶手段に記憶された前記第一の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成手段を備え、
前記印刷装置及び前記印刷制御装置の一方は、
前記指保持手段に保持された指の爪の第二の爪輪郭を、前記印刷データに対応する前記第一の爪輪郭に一致するか否かを判定する爪判定手段と、
を備え、
前記印刷手段は、前記爪判定手段によって前記第二の爪輪郭が前記第一の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第一の爪輪郭に合わせたデザインを印刷することを特徴とする印刷制御システム。
<請求項8>
印刷装置が行う印刷制御方法であって、
第一の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶工程と、
前記記憶された前記第一の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成工程と、
前記指保持手段に保持された指の爪の第二の爪輪郭を、前記印刷データに対応する前記第一の爪輪郭に一致するか否かを判定する爪判定工程と、
前記爪判定手段によって前記第二の爪輪郭が前記第一の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第一の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷工程と、
を含んでいることを特徴とする印刷制御方法。
<請求項9>
コンピュータに、
第一の爪輪郭として少なくとも1つの指の爪輪郭を前記少なくとも1つの指の種類に対応付けて記憶している爪情報記憶機能と、
前記記憶された前記第一の爪輪郭に合わせたデザインである印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
前記指保持手段に保持された指の爪の第二の爪輪郭を、前記印刷データに対応する前記第一の爪輪郭に一致するか否かを判定する爪判定機能と、
前記爪判定手段によって前記第二の爪輪郭が前記第一の爪輪郭に一致すると判定された場合に、前記指保持手段に保持された指の爪に前記第一の爪輪郭に合わせたデザインを印刷する印刷機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0080】
1 印刷装置
6 指保持部
7 端末装置
31 制御部
32 記憶部
40 印刷部
41 印刷ヘッド
313 爪情報検出部
314 印刷データ生成部
315 印刷制御部
322 爪情報記憶領域
R 爪輪郭
T 爪
U 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13