(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータ、及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
H10N 30/87 20230101AFI20241016BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20241016BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20241016BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20241016BHJP
H10N 30/50 20230101ALI20241016BHJP
H10N 30/081 20230101ALI20241016BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H10N30/87
B41J2/14 305
B41J2/16 501
H10N30/20
H10N30/50
H10N30/081
H02N2/04
(21)【出願番号】P 2020059486
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】蔵 圭司
(72)【発明者】
【氏名】相羽 貴司
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054593(JP,A)
【文献】特開2010-201849(JP,A)
【文献】特開2005-096350(JP,A)
【文献】特開2006-110824(JP,A)
【文献】特開2007-130788(JP,A)
【文献】特開2010-027899(JP,A)
【文献】特開2018-034474(JP,A)
【文献】特開2013-077754(JP,A)
【文献】特開2010-260187(JP,A)
【文献】特開2002-036568(JP,A)
【文献】特開2003-008380(JP,A)
【文献】特開2012-080243(JP,A)
【文献】特開2012-080244(JP,A)
【文献】特開2005-093800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/87
B41J 2/14
B41J 2/16
H10N 30/20
H10N 30/50
H10N 30/081
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電層と、
前記圧電層の表面に配置された電極層と、を備え、
前記電極層は、幹部と、前記幹部から分岐した複数の枝部と、を含み、
前記幹部における、前記複数の枝部がそれぞれ分岐する複数の分岐部と、前記複数の分岐部から離隔した端部との間に、貫通孔が形成され、
前記貫通孔の内部に、
前記貫通孔に形成される滲みと離間して、マークが形成され、
前記マークの前記表面における面積が、前記貫通孔の前記表面における面積よりも小さいことを特徴とする、圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記マークの中心と、前記貫通孔の中心とが、互いに異なる位置にあることを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記電極層の一端に開口していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記幹部は、
前記複数の枝部が設けられ、前記表面に沿った第1方向に延びる第1延在部分と、
前記第1延在部分の前記第1方向の一端及び他端にそれぞれ接続し、前記表面に沿って前記第1方向と交差する第2方向に延びる一対の第2延在部分と、を含み、
前記一対の第2延在部分のそれぞれに、前記貫通孔と前記マークとが形成されており、
前記貫通孔は、
前記一対の第2延在部分の一方における、前記第1方向において前記第1延在部分から離隔した端部と、
前記一対の第2延在部分の他方における、前記第1方向において前記第1延在部分に近接した端部と、のそれぞれに開口していることを特徴とする、請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記幹部は、
前記複数の枝部が設けられ、前記表面に沿った第1方向に延びる第1延在部分と、
前記第1延在部分の前記第1方向の一端及び他端にそれぞれ接続し、前記表面に沿って前記第1方向と交差する第2方向に延びる一対の第2延在部分と、を含み、
前記一対の第2延在部分のそれぞれに、前記マークが形成されたことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記一対の第2延在部分のそれぞれにおける、前記第1方向の中心と、前記第1方向において前記第1延在部分から離隔した端部との間に、前記マークの中心が位置することを特徴とする、請求項5に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記一対の第2延在部分のそれぞれにおける、前記第2方向の一端であって、前記第1延在部分と接続する一端と、前記第2方向の中心との間に、前記マークが形成されたことを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
前記一対の第2延在部分は、それぞれ、前記第1方向に前記第1延在部分と重なる第1領域と、前記第1方向に前記第1延在部分と重ならない第2領域と、を有し、
前記一対の第2延在部分のそれぞれにおける、前記第2領域に、前記マークが形成されたことを特徴とする、請求項4~7のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項9】
前記表面に前記電極層を介して配置された第1圧電層と、
前記表面と直交する直交方向において第1圧電層との間に前記圧電層を挟む第2圧電層と、
前記第1圧電層の表面に配置され、前記直交方向において前記電極層との間に前記圧電層を挟む第1電極層と、
前記直交方向において前記圧電層と前記第2圧電層との間に配置された第2電極層と、をさらに備え、
前記第1圧電層における前記直交方向において前記第1電極層と前記電極層とで挟まれた部分に、第1活性部が設けられ、
前記第1圧電層及び前記圧電層における前記直交方向において前記第1電極層と前記第2電極層とで挟まれた部分に、2つの第2活性部が設けられ、
前記2つの第2活性部は、前記表面に沿った方向において前記第1活性部を挟むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項10】
前記マークは、前記電極層と同じ材料からなることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項11】
圧電層と、前記圧電層の表面に配置された電極層とを備えた圧電アクチュエータの製造方法であって、
幹部と、前記幹部から分岐した複数の枝部とを含み、前記幹部における前記複数の枝部がそれぞれ分岐する複数の分岐部と前記複数の分岐部から離隔した端部との間に貫通孔が形成された電極層を、前記表面に沿った移動方向に沿ってスキージを移動させてスクリーン印刷により形成する、電極層形成工程と、
前記電極層形成工程の後、前記貫通孔の内部に、
前記貫通孔に形成される滲みと離間して、マークを形成するマーク形成工程と、を備え、
前記マークの前記表面における面積が、前記貫通孔の前記表面における面積よりも小さいことを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
前記マーク形成工程において、前記マークの中心が前記貫通孔の中心に対して前記移動方向の下流側に位置するように、前記マークを形成することを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電層と電極層とを備えた圧電アクチュエータ、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電層と、圧電層の表面に配置された電極層(駆動電極、高電位電極及び低電位電極)とを備えた圧電アクチュエータが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電アクチュエータを他の部材(流路部材等)に固定する際に、電極層に形成された貫通孔を検出し、当該貫通孔を基準として、圧電アクチュエータと他の部材との位置決めを行うことが考えられる。しかしながら、電極層における貫通孔の周縁は、特に電極層をスキージを用いたスクリーン印刷で形成する場合においては、スキージの移動方向の下流部分に、滲みが生じ易く、貫通孔(位置決め用のマーク)を精度よく検出できない。このため、圧電アクチュエータと他の部材(流路ユニット等)との位置決めを適切に行えない問題が生じ得る。
【0005】
本発明の目的は、位置決め用のマークの検出精度を高めることができる圧電アクチュエータ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る圧電アクチュエータは、圧電層と、前記圧電層の表面に配置された電極層と、を備え、前記電極層は、幹部と、前記幹部から分岐した複数の枝部と、を含み、前記幹部における、前記複数の枝部がそれぞれ分岐する複数の分岐部と、前記複数の分岐部から離隔した端部との間に、貫通孔が形成され、前記貫通孔の内部に、マークが形成され、前記マークの前記表面における面積が、前記貫通孔の前記表面における面積よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る圧電アクチュエータの製造方法は、圧電層と、前記圧電層の表面に配置された電極層とを備えた圧電アクチュエータの製造方法であって、幹部と、前記幹部から分岐した複数の枝部とを含み、前記幹部における前記複数の枝部がそれぞれ分岐する複数の分岐部と前記複数の分岐部から離隔した端部との間に貫通孔が形成された電極層を、前記表面に沿った移動方向に沿ってスキージを移動させてスクリーン印刷により形成する、電極層形成工程と、前記電極層形成工程の後、前記貫通孔の内部に、マークを形成するマーク形成工程と、を備え、前記マークの前記表面における面積が、前記貫通孔の前記表面における面積よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、滲みが生じ易い貫通孔ではなく、貫通孔の内部に形成されたマークを、位置決め用のマークとして検出することができ、位置決め用のマークの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る圧電アクチュエータを含むプリンタの全体構成図である。
【
図6】
図5の断面におけるアクチュエータ部の動作を示す図である。
【
図7】
図2の圧電アクチュエータを構成する3つの圧電層のうち、最も上方の圧電層の上面を示す平面図である。
【
図8】
図2の圧電アクチュエータを構成する3つの圧電層のうち、中間の圧電層の上面を示す平面図である。
【
図9】
図2の圧電アクチュエータを構成する3つの圧電層のうち、最も下方の圧電層の上面を示す平面図である。
【
図11】高電位電極をスクリーン印刷により形成する電極層形成工程を示す、
図10のXI-XI線に沿った断面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータを示す
図8相当の図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータの変形例を示す
図12の領域XIIIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、Z方向は鉛直方向であり、X方向及びY方向は水平方向である。X方向及びY方向は共にZ方向と直交する。X方向はY方向と直交する。Z方向は直交方向、X方向は第2方向、Y方向は第1方向に該当する。
【0011】
<プリンタの全体構成>
先ず、
図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る圧電アクチュエータを含むプリンタ1の全体構成について説明する。
【0012】
プリンタ1は、ヘッド3と、キャリッジ2と、2つの搬送ローラ対4とを備えている。
【0013】
キャリッジ2は、Y方向に延びる2本のガイドレール5に支持され、ガイドレール5に沿ってY方向に移動可能である。
【0014】
ヘッド3は、シリアル式であって、キャリッジ2に搭載され、キャリッジ2と共にY方向に移動可能である。ヘッド3の下面(Z方向において下方を向く面)には、複数のノズル15が形成されている。
【0015】
2つの搬送ローラ対4は、X方向にキャリッジ2を挟んで配置されている。搬送ローラ対4が用紙Pを挟持した状態で回転することで、用紙PがX方向に沿った搬送方向に搬送される。
【0016】
プリンタ1の制御部(図示略)は、キャリッジ2と共にヘッド3をY方向に移動させながらノズル15からインクを吐出させる吐出動作と、搬送ローラ対4によって用紙Pを搬送方向に所定量搬送する搬送動作とを、交互に行わせる。これにより、用紙Pに画像が記録される。
【0017】
<ヘッドの構成>
ヘッド3は、
図2に示すように、流路ユニット21と、圧電アクチュエータ22とを有する。
【0018】
<流路ユニットの構成>
流路ユニット21は、
図4に示すように、Z方向に積層された4枚のプレート31~34で構成されている。
【0019】
プレート31には、複数の圧力室10が形成されている。プレート32には、圧力室10毎に、連通路12,13が形成されている。連通路12,13は、それぞれ、対応する圧力室10のY方向の一端及び他端とZ方向に重なっている。プレート33には、連通路13毎に、連通路14が形成されている。連通路14は、対応する連通路13とZ方向に重なっている。プレート33には、さらに、12本のマニホールド流路11が形成されている。マニホールド流路11は、X方向に配列された圧力室10の列10R(
図2参照)毎に設けられている。各マニホールド流路11は、X方向に延び、対応する列10Rに属する複数の圧力室10と連通路12を介して連通している。プレート34には、複数のノズル15が形成されている。各ノズル15は、連通路14とZ方向に重なっている。
【0020】
プレート31の上面において、圧電アクチュエータ22が配置されない領域に、4つのインク供給口8が形成されている(
図2参照)。各インク供給口8は、インクカートリッジ(図示略)と連通し、かつ、3本のマニホールド流路11と連通している。インクカートリッジから各インク供給口8に供給されたインクは、3本のマニホールド流路11に供給される。各マニホールド流路11から、各列10Rに属する複数の圧力室10に、連通路12を介してインクが供給される。そして後述のように圧電アクチュエータ22が駆動することで、圧力室10内のインクに圧力が付与され、連通路13,14を通ってノズル15からインクが吐出される。
【0021】
<圧電アクチュエータの構成>
圧電アクチュエータ22は、
図4に示すように、流路ユニット21の上面に配置されている。圧電アクチュエータ22は、Z方向に積層された3つの圧電層41~43及びインク分離層44と、複数の駆動電極51と、高電位電極52と、低電位電極53とを有する。
【0022】
インク分離層44は、プレート31の上面に配置され、プレート31に形成された全ての圧力室10を覆っている。インク分離層44は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料、合成樹脂材料等からなる。
【0023】
圧電層43は、インク分離層44の上面に配置されている。圧電層42は、圧電層43の上面に配置されている。圧電層41は、圧電層42の上面に配置されている。圧電層41~43は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料からなる。
【0024】
複数の駆動電極51は、
図3に示すように、圧電層41の上面に、圧力室10のそれぞれに対応して配置されている。各駆動電極51は、主部51aと、突出部51bとを有する。主部51aは、対応する圧力室10の略全域とZ方向に重なっている。突出部51bは、主部51aからY方向に突出し、対応する圧力室10とZ方向に重なっていない。突出部51bには、COF(Chip On Film)(図示略)の配線と電気的に接続される接点が設けられている。COFに実装されたドライバIC(図示略)は、制御部の制御により、COFの配線を介して各駆動電極51に対して個別に、高電位(VDD電位)及び低電位(GND電位)のいずれかを付与する。
【0025】
図7に示すように、圧電層41の上面には、複数の駆動電極51に加え、2つの高電位端子54と、2つの低電位端子55とが配置されている。ドライバICは、制御部の制御により、COFの配線を介して、各高電位端子54に高電位(VDD電位)を付与し、各低電位端子55に低電位(GND電位)を付与する。
【0026】
高電位電極52は、
図8に示すように、圧電層42の上面に配置されており、1つの幹部521と、幹部521から分岐した複数の枝部523と、X方向に配列されかつ枝部523によって連結された複数の個別部52aとを含む。各個別部52aは、各圧力室10のX方向の中央部とZ方向に重なる(
図5参照)。
【0027】
幹部521は、Y方向に延びる延在部分5211と、X方向に延びる一対の延在部分5212とを含む。一対の延在部分5212は、それぞれ、X方向の一端5212a及び他端5212bと、X方向の中心5212cとを有する。各延在部分5212の一端5212aは、延在部分5211に接続している。X方向及びY方向は、圧電層42の上面に沿った方向である。X方向は、Y方向と交差(本実施形態では直交)する。
【0028】
延在部分5211は、圧電層42のX方向の一端42aにおいて、Y方向に延びている。延在部分5211に、複数の枝部523が設けられている。複数の枝部523は、延在部分5211から、圧電層42のX方向の一端42aから他端42bに向かって、X方向に延びている。
【0029】
一対の延在部分5212のうち、一方は、圧電層42のY方向の一端42cにおいて、圧電層42のX方向の一端42aから中央に向かって、X方向に延びている。当該延在部分5212は、延在部分5211のY方向の一端5211a、及び、複数の枝部523のうちY方向において一端42cに最も近い枝部523に接続している。
【0030】
一対の延在部分5212のうち、他方は、圧電層42のY方向の他端42dにおいて、圧電層42のX方向の一端42aから中央に向かって、X方向に延びている。当該延在部分5212は、延在部分5211のY方向の他端5211b、及び、複数の枝部523のうちY方向において他端42dに最も近い枝部523に接続している。
【0031】
一対の延在部分5212は、それぞれ、圧電層41に形成された貫通孔41x(
図7参照)を介して、高電位端子54と電気的に接続されている。したがって、延在部分5212を含む高電位電極52は、高電位端子54と電気的に接続されている。
【0032】
圧電層42の上面には、高電位電極52に加え、2つの接続電極56と、複数の電極57とが配置されている。
【0033】
2つの接続電極56のうち、一方は、圧電層42のY方向の一端42cにおいて、一対の延在部分5212の一方とX方向に並び、X方向に延びている。2つの接続電極56のうち、他方は、圧電層42のY方向の他端42dにおいて、一対の延在部分5212の他方とX方向に並び、X方向に延びている。2つの接続電極56は、それぞれ、圧電層41に形成された貫通孔41y(
図7参照)を介して、低電位端子55と電気的に接続されている。
【0034】
複数の電極57は、圧電層42のX方向の他端42bにおいて、Y方向に並んでいる。複数の電極57は、高電位端子54及び低電位端子55のいずれとも電気的に接続されず、ドライバICから電荷が付与されない。
【0035】
低電位電極53は、
図9に示すように、圧電層43の上面に配置されており、1つの幹部531と、幹部531から分岐した複数の枝部533と、X方向に配列されかつ枝部533によって連結された複数の個別部53aとを含む。X方向に配列された複数の個別部53aのうち、X方向の一端及び他端に位置する個別部53aを除き、各個別部53aは、X方向に互いに隣接する2つの圧力室10に跨り、当該2つの圧力室10とZ方向に重なる部分を有する(
図5参照)。上記X方向の一端及び他端に位置する個別部53aは、1つの圧力室10とZ方向に重なる部分を有する。各圧力室10のX方向の一端及び他端とZ方向に重なる領域と、X方向に互いに隣接する2つの圧力室10の間とZ方向に重なる領域とに、個別部53aが配置されている。
【0036】
幹部531は、Y方向に延びる延在部分5311と、X方向に延びる一対の延在部分5312とを含む。
【0037】
延在部分5311は、圧電層43のX方向の他端43bにおいて、Y方向に延びている。延在部分5311に、複数の枝部533が設けられている。複数の枝部533は、延在部分5311から、圧電層43のX方向の他端43bから一端43aに向かって、X方向に延びている。
【0038】
一対の延在部分5312のうち、一方は、圧電層43のY方向の一端43cにおいて、圧電層43のX方向の他端43bから中央に向かって、X方向に延びている。当該延在部分5312は、延在部分5311のY方向の一端5311aに接続している。
【0039】
一対の延在部分5312のうち、他方は、圧電層43のY方向の他端43dにおいて、圧電層43のX方向の他端43bから中央に向かって、X方向に延びている。当該延在部分5312は、延在部分5311のY方向の他端5311bに接続している。
【0040】
一対の延在部分5312は、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔42y(
図8参照)を介して、接続電極56と電気的に接続されている。接続電極56は、上述のように、圧電層41に形成された貫通孔41y(
図7参照)を介して、低電位端子55と電気的に接続されている。したがって、一対の延在部分5312を含む低電位電極53は、低電位端子55と電気的に接続されている。
【0041】
圧電層43の上面には、低電位電極53に加え、接続電極58が配置されている。
【0042】
接続電極58は、圧電層43のX方向の一端43aにおいてY方向に延びる延在部分581と、延在部分581のY方向の一端581a及び他端581bにそれぞれ接続し、X方向に延びる一対の延在部分582とを有する。
【0043】
一対の延在部分582は、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔42x(
図8参照)を介して、高電位電極52の一対の延在部分5212と電気的に接続されている。一対の延在部分5212は、上述のように、圧電層41に形成された貫通孔41x(
図7参照)を介して、高電位端子54と電気的に接続されている。したがって、一対の延在部分582を含む接続電極58は、高電位端子54と電気的に接続されている。
【0044】
高電位電極52の下方に、高電位電極52と電気的に接続される接続電極58を設けたことで、ドライバICから高電位端子54に付与された電荷を、高電位電極52に分配する経路を増やすことができ、電気的な信頼性を向上させることができる。
【0045】
<アクチュエータ部>
図5に示すように、圧電層41のうち、Z方向において駆動電極51と高電位電極52の個別部52aとに挟まれた部分を、第1活性部91という。圧電層42,43のうち、Z方向において駆動電極51と低電位電極53の個別部53aとに挟まれた部分を、第2活性部92という。第1活性部91は主に上向きに分極され、第2活性部92は主に下向きに分極されている。圧電アクチュエータ22は、圧力室10毎に、1つの第1活性部91と2つの第2活性部92とから構成されるアクチュエータ部90を有する。2つの第2活性部92は、X方向において第1活性部91を挟んでいる。
【0046】
ここで、
図6を参照し、あるノズル15からインクを吐出させる際の、当該ノズル15に対応するアクチュエータ部90の動作について説明する。
【0047】
プリンタ1が記録動作を開始する前は、
図6(a)に示すように、各駆動電極51に低電位(GND電位)が付与されている。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差によって、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向(X方向及びY方向に沿った方向)に収縮している。これにより、圧電層41~43及びインク分離層44からなる積層体における圧力室10とZ方向に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓んでいる。このとき圧力室10は、上記積層体がフラットな場合と比べ、容積が小さくなっている。
【0048】
プリンタ1が記録動作を開始し、あるノズル15からインクが吐出させる際には、先ず、
図6(b)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が低電位(GND電位)から高電位(VDD電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差がなくなることで、第1活性部91の収縮が解消される。一方、駆動電極51と低電位電極53との電位差が生じることで、第2活性部92にその分極方向に等しい下向きの電界が生じ、第2活性部92が面方向に収縮する。ただし、第2活性部92は、クロストーク(ある圧力室10におけるアクチュエータ部90の変形に伴う圧力変動が、当該圧力室10にX方向に隣接する別の圧力室10に伝わる現象)を抑制する機能を有するものであり、アクチュエータ部90の変形にほとんど寄与しない。つまり、このとき上記積層体は、圧力室10とZ方向に重なる部分が圧力室10から離れる方向に(上向きに)凸となるように撓まず、フラットな状態となる。これにより、圧力室10の容積は、
図6(a)に比べて大きくなる。
【0049】
その後、
図6(a)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が高電位(VDD電位)から低電位(GND電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と低電位電極53との電位差がなくなることで、第2活性部92の収縮が解消される。一方、駆動電極51と高電位電極52との電位差が生じることで、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向に収縮する。これにより、上記積層体における圧力室10とZ方向に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓む。このとき、圧力室10の容積が大きく減少することで、圧力室10内のインクに大きな圧力が付与され、ノズル15からインクが吐出される。
【0050】
<本発明の特徴>
【0051】
本実施形態において、圧電層42が、本発明の「圧電層」に該当し、圧電層42の上面(表面)に配置された高電位電極52が、本発明の「電極層」に該当する。延在部分5211が本発明の「第1延在部分」に該当し、延在部分5212が本発明の「第2延在部分」に該当する。圧電層42の上面(表面)に高電位電極52を介して配置された圧電層41が、本発明の「第1圧電層」に該当する。Z方向において圧電層41との間に圧電層42を挟む圧電層43が、本発明の「第2圧電層」に該当する。圧電層41の上面(表面)に配置され、Z方向において高電位電極52との間に圧電層42を挟む駆動電極51が、「第1電極層」に該当する。Z方向において圧電層42と圧電層43との間に配置された低電位電極53が、「第2電極層」に該当する。
【0052】
高電位電極52において、幹部521は、
図8に示すように、複数の枝部523がそれぞれ分岐する複数の分岐部Bと、複数の分岐部Bから離隔した一対の端部521aとを有する。複数の分岐部Bは、延在部分5211に設けられている。一対の端部521aは、一対の延在部分5212のX方向の他端5212bに該当する。
【0053】
幹部521における、複数の分岐部Bと各端部521aとの間(具体的には、一対の延在部分5212)には、それぞれ、貫通孔71が形成されている。各貫通孔71の内部には、マーク72が形成されている。マーク72は、高電位電極52や、その他各電極(駆動電極51、低電位電極53等)と、互いに同じ材料(例えば、銀、ニッケル、金等)からなる。
【0054】
貫通孔71及びマーク72は、一対の延在部分5212のそれぞれにおける、X方向の一端5212aと中心5212cとの間に形成されている。
【0055】
一対の延在部分5212は、それぞれ、Y方向に延在部分5211と重なる第1領域R1と、Y方向に延在部分5211と重ならない第2領域R2とを有する。貫通孔71及びマーク72は、一対の延在部分5212の第2領域R2に形成されている。
【0056】
また、貫通孔71及びマーク72は、各延在部分5212のY方向の外側部分(
図8の左側及び右側)に形成されている。具体的には、
図10に示すように、一対の延在部分5212のそれぞれにおける、Y方向の中心Oと、Y方向において延在部分5211から離隔した端部5212eとの間に、貫通孔71の中心71xとマーク72の中心72xとが位置する。
【0057】
貫通孔71及びマーク72は、共にZ方向から見て円形であるが、マーク72の中心72xと貫通孔71の中心71xとは、互いに異なる位置にある。具体的には、一対の延在部分5212のそれぞれに設けられたマーク72の中心72xは、対応する貫通孔71の中心71xに対して、後述するスキージ100の移動方向Dの下流側に位置する。移動方向Dは、Y方向と平行であり、
図8において左から右に向かう方向である。
【0058】
ここで、圧電アクチュエータ22の製造方法について説明する。
【0059】
本実施形態では、インク分離層44(
図5参照)の上面に、圧電層41~43及び各電極(駆動電極51、高電位電極52、低電位電極53等)を順次形成することにより、圧電アクチュエータ22を製造する。各電極は、当該電極が形成される圧電層の上面にマスク101を配置し、スキージ100(
図11参照)を移動させ、スクリーン印刷により形成する。
【0060】
高電位電極52を形成する工程(電極層形成工程)では、
図11に示すように、圧電層42の上面に、貫通孔71に対応する部分101aを含むマスク101を配置し、移動方向Dに沿ってスキージ100を移動させて、スクリーン印刷により高電位電極52を形成する。このときスキージ100は、その移動方向Dの下流側に電極の材料(例えば、銀、ニッケル、金等)110を保持しつつ、移動する。当該材料110がマスク101に形成された孔101xに入り込むことで、高電位電極52が形成される。しかしこのとき、高電位電極52における貫通孔71の周縁において、移動方向Dの
下流部分Aに、材料110が流れ込むことで、滲みが生じ易い。
【0061】
そこで本実施形態では、上記のようにして貫通孔71が形成された高電位電極52を形成した後、貫通孔71の内部にマーク72を形成する(マーク形成工程)。マーク形成工程では、高電位電極52と同じ材料110を用い、高電位電極52の形成時と同様にスクリーン印刷により、マーク72の中心72xが貫通孔71の中心に対して移動方向Dの下流側に位置するように(
図10参照)、マーク72を形成する。
【0062】
以上に述べたように、本実施形態の圧電アクチュエータ22によれば、高電位電極52は、幹部521と、幹部521から分岐した複数の枝部523とを含む。幹部521は、複数の枝部523がそれぞれ分岐する複数の分岐部Bと、複数の分岐部Bから離隔した一対の端部521aとを有する。幹部521における複数の分岐部Bと端部521aとの間に貫通孔71が形成され、貫通孔71の内部にマーク72が形成されている。
本実施形態の圧電アクチュエータ22の製造方法では、貫通孔71が形成された高電位電極52を、移動方向Dに沿ってスキージ100を移動させて、スクリーン印刷により形成した後、貫通孔71の内部にマーク72を形成する。
本実施形態によれば、滲み(
図11参照)が生じ易い貫通孔71ではなく、貫通孔71の内部に形成されたマーク72を、位置決め用のマークとして検出することができ、位置決め用のマークの検出精度を高めることができる。
【0063】
また、マーク72を貫通孔71の内部に形成したことで、マーク72を貫通孔71の内部ではなく高電位電極52の側方(例えば、延在部分5212に対してY方向の外側)等に設けた場合に比べ、圧電アクチュエータ22のサイズ(Y方向の長さ等)を抑えることができる。
【0064】
本実施形態の圧電アクチュエータ22によれば、マーク72の中心72xと貫通孔71の中心71xとが、互いに異なる位置にある(
図10参照)。マーク72の中心72xと貫通孔71の中心71xとが互いに同じ位置にある場合、マーク72が貫通孔71の滲みと接続してマーク72を検出し難くなる問題を抑制するため、貫通孔71の周縁とマーク72との距離を確保しようとすると、貫通孔71を大きくする必要が生じる。貫通孔71が大きくなると、電気抵抗が増大し得る(ひいては、幹部521から複数の枝部523への電荷供給不足により、アクチュエータ部90の変形が阻害されるという問題が生じ得る)。この点、本実施形態では、マーク72の中心72xと貫通孔71の中心71xとが互いに異なる位置にあるため、貫通孔71を大きくしなくとも、貫通孔71の周縁とマーク72との距離を確保できる。したがって、貫通孔71が大きくなることで電気抵抗が増大するという問題を抑制できる。
【0065】
本実施形態の圧電アクチュエータ22の製造方法では、マーク72の中心72xが貫通孔71の中心に対して移動方向Dの下流側に位置するように(
図10参照)、マーク72を形成する。この場合、より確実に、滲みが生じやすい部分Aを避けて、マーク72を形成することができる。したがって、マーク72が貫通孔71の滲みと接続してマーク72を検出し難くなる問題を、より確実に抑制できる。
【0066】
Y方向に互いに離隔した一対の延在部分5212のそれぞれに、マーク72が形成されている(
図8参照)。この場合、一対のマーク72を検出し、位置決めを精度よく行うことができる。
【0067】
一対の延在部分5212のそれぞれにおける、Y方向の中心Oと、Y方向において延在部分5211から離隔した端部5212eとの間に、マーク72の中心72xが位置する(
図10参照)。この場合、一対のマーク72(
図8参照)のY方向の間隔を大きくでき、位置決めをより精度よく行うことができる。
【0068】
一対の延在部分5212のそれぞれにおける、X方向の一端5212aと中心5212cとの間に、マーク72が形成されている(
図8参照)。このように、コの字状の幹部521の角部に近い部分にマーク72を設けたことで、位置決めをより精度よく行える。
【0069】
一対の延在部分5212のそれぞれにおける、第2領域R2に、マーク72が形成されている(
図8参照)。第1領域R1は、コの字状の幹部521の角部に該当し、反りが生じ易い。第1領域R1にマーク72を形成し、マーク72を検出して位置決めを行う場合、反りの影響でマーク72の検出精度が悪化し、位置決めを適切に行えない問題が生じ得る。この点、本実施形態では、第1領域R1ではなく、第2領域R2に、マーク72を形成したことで、上記のような位置決めを適切に行えない問題を抑制できる。
【0070】
本実施形態のアクチュエータ部90の構成では、高電位電極52の位置によって、第1活性部91の位置が規定される。第1活性部91の位置は、アクチュエータ部90の変形特性に大きく影響するため、高電位電極52の位置決めが重要になる。この点、本実施形態では、マーク72によって高電位電極52の位置決めを精度よく行えることから、第1活性部91の位置が精確に規定され、アクチュエータ部90の所望の変形特性を得ることができる。
【0071】
マーク72は、高電位電極52と同じ材料からなる。この場合、製造が容易である。
【0072】
<第2実施形態>
続いて、
図12を参照し、本発明の第2実施形態に係る圧電アクチュエータについて説明する。
【0073】
第1実施形態(
図8)では、貫通孔71及びマーク72は、各延在部分5212のY方向の外側部分(
図8の左側及び右側)に形成されているが、第2実施形態(
図12)では、貫通孔71及びマーク72は、各延在部分5212のY方向の外側及び内側(共に
図12の左側)に形成されている。
【0074】
また、第1実施形態(
図8)では、貫通孔71は、高電位電極52の一端に開口せず、全周縁が高電位電極52により画定されているが、第2実施形態(
図12)では、貫通孔71は、高電位電極52の一端に開口している。
【0075】
具体的には、一方(
図12の左側)の延在部分5212において、貫通孔71は、Y方向において延在部分5211から離隔した端部5212eに開口している。他方(
図12の右側)の延在部分5212において、貫通孔71は、Y方向において延在部分5211に近接した端部5212fに開口している。
【0076】
なお、本実施形態では、第1実施形態(
図8)における複数の枝部523のうち、Y方向において一端42cに最も近い枝部523と、Y方向において他端42dに最も近い枝部523とが、省略されている。
【0077】
本実施形態において、高電位電極52を形成する工程(電極層形成工程)では、第1実施形態と同様、移動方向Dに沿ってスキージ100(
図11参照)を移動させ、スクリーン印刷により高電位電極52を形成する。貫通孔71は、各延在部分5211における移動方向Dの上流側の端部5212e,5212fに、開口している。
【0078】
以上に述べたように、本実施形態によれば、貫通孔71が、高電位電極52の一端に開口している。これにより、貫通孔71が大きくなること、ひいては電気抵抗が増大することを抑制できる。
【0079】
貫通孔71は、一方(
図12の左側)の延在部分5212における、Y方向において延在部分5211から離隔した端部5212eと、他方(
図12の右側)の延在部分5212における、Y方向において延在部分5211に近接した端部5212fと、のそれぞれに開口している。この場合、スキージ100の移動方向Dを、Y方向に沿って、各延在部分5212において貫通孔71が開口した端部5212e,5212fから貫通孔71が開口していない端部に向かう方向とすることで、貫通孔71の周縁において滲みが生じ易い部分A(
図10及び
図11参照:移動方向Dの
下流部分A)がなくなる。これにより、マーク72が貫通孔71の滲みと接続してマーク72を検出し難くなる問題を抑制できる。
【0080】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0081】
貫通孔及びマークの形状は、上述の実施形態では直交方向(Z方向)から見て円形であるが、任意の形状(例えば、矩形等)であってよい。
【0082】
貫通孔及びマークの位置は、一対の第2延在部分の第2領域R2(
図8参照)に限定されず、一対の第2延在部分の第1領域R1であってもよい。また、貫通孔及びマークの中心が、第2延在部分の第1方向の中心と一致してもよい。一対の第2延在部分の一方のみに、貫通孔及びマークが形成されてもよい。
【0083】
マークは、スクリーン印刷以外の手法で形成されてもよい。また、マークは、電極層と異なる材料からなってもよい。
【0084】
マークの中心と貫通孔の中心とが、互いに同じ位置にあってもよい。特に第2実施形態(
図12参照)では、貫通孔71の周縁において滲みが生じ易い部分A(
図10及び
図11参照:移動方向Dの
下流部分A)がなく、マーク72が貫通孔71の滲みと接続し難くなることから、マークの中心と貫通孔の中心とが、互いに同じ位置にあってもよい。また例えば、
図13の変形例のように、マーク72の中心72xが、対応する貫通孔71の中心71xに対して、スキージ100の移動方向Dの上流側に位置してもよい。本変形例において、貫通孔71は矩形状である。
【0085】
上述の実施形態では、3つの圧電層41~43のうち中間の圧電層42の表面に形成された高電位電極52を「電極層」として説明したが、これに限定されない。例えば、最も下方の圧電層43に形成された低電位電極53を「電極層」とし、低電位電極53に貫通孔71及びマーク72を形成してもよい。
【0086】
圧電アクチュエータを構成する圧電層の数は、上述の実施形態では3つであるが、これに限定されず、任意の数であってよい。
【0087】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。さらに、本発明に係る圧電アクチュエータは、液体吐出装置以外の任意の装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
22 圧電アクチュエータ
41 圧電層(第1圧電層)
42 圧電層
43 圧電層(第2圧電層)
51 駆動電極(第1電極層)
52 高電位電極(電極層)
521 幹部
521a 端部
5211 延在部分(第1延在部分)
5212 延在部分(第2延在部分)
5212a 一端
523 枝部
53 低電位電極(第2電極層)
71 貫通孔
72 マーク
91 第1活性部
92 第2活性部
100 スキージ
B 分岐部
D 移動方向
R1 第1領域
R2 第2領域