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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】緩衝材、及び、梱包装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B65D81/05 521A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020119733
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016793
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】竹下 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】西牧 幸司
【審査官】永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-072828(JP,U)
【文献】実開昭48-010867(JP,U)
【文献】米国特許第06488153(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包対象物と梱包箱の内壁との間に配置され、前記梱包箱に加わる外力から前記梱包対
象物を保護する緩衝材であって、
第1の緩衝材と、
前記第1の緩衝材に嵌合する第2の緩衝材及び第3の緩衝材と、
前記第2の緩衝材及び前記第3の緩衝材に嵌合する第4の緩衝材と、
を備え、
前記緩衝材は前記第1ないし4緩衝材を組み立てた構成を有し、組み立て状態の前記緩
衝材は前記第1ないし4緩衝材が分解方向に移動することで分解可能であり、
前記第1の緩衝材に対する前記第2の緩衝材及び前記第3の緩衝材の分解方向は、第1
方向であり、
前記第2の緩衝材及び前記第3の緩衝材に対する前記第4の緩衝材の分解方向は、前記
第1方向に直交し、
前記緩衝材および前記梱包対象物が前記梱包箱に収納されたときに、前記第1ないし4
緩衝材は前記梱包対象物または前記梱包箱の前記内壁と接触し、前記分解方向への移動を
規制される、緩衝材。
【請求項2】
前記第1ないし4緩衝材の少なくとも1つは、板状部材を積層した積層構造を有してい
る、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記第1ないし4緩衝材は、前記梱包対象物の複数の面の境界に重なる位置に配置され
る、請求項1または2に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記第1ないし4緩衝材は、接着材料を使わずに組み立てて形成される、請求項1から
3のいずれか一項に記載の緩衝材。
【請求項5】
前記第1ないし4緩衝材の少なくとも1つは、他の前記緩衝材と嵌合する嵌合部を有し

前記嵌合部により前記緩衝材の移動が規制される、請求項1から4のいずれか一項に記
載の緩衝材。
【請求項6】
前記板状部材は面内に分散された繊維を含み、
積層構造を有する前記緩衝材は、前記外力が前記板状部材の面に沿った方向から入力さ
れる向きで配置される、請求項2に記載の緩衝材。
【請求項7】
積層構造を有する前記緩衝材は、前記板状部材の面に沿う方向が前記第1方向に指向す
る向きで立てて配置され、
積層構造を有する前記緩衝材は、前記梱包対象物と前記梱包箱との間で前記第1方向に
挟まれる第1支持部と、前記梱包対象物と前記梱包箱との間で、前記板状部材の面に沿う
方向で前記第1方向に直交する方向に挟まれる第2支持部とを備える、請求項6に記載の
緩衝材。
【請求項8】
梱包対象物を収容可能な梱包箱と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の緩衝材と、
を備える、梱包装置。
【請求項9】
梱包対象物と、
前記梱包対象物を収容可能な梱包箱と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の緩衝材と、
を備える、梱包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包箱と、梱包箱に収容される梱包対象物と梱包箱との間に配置される緩衝部と、を備える梱包装置が知られている。例えば、特許文献1では、緩衝部は、複数のブロック状の緩衝材からなり、これら緩衝材が、梱包箱と梱包対象物との間に挟まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-173667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の梱包装置のように、緩衝部を複数の緩衝材で構成することで、緩衝部を梱包対象物の形状に対応させ易く、梱包対象物を良好に保護できる。しかし、例えば、梱包装置の運搬時等に、複数の緩衝材が分解してしまうと、緩衝部の緩衝性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、梱包対象物と、前記梱包対象物を収容する梱包箱と、前記梱包対象物と前記梱包箱の内壁との間に配置され、前記梱包箱に加わる外力から前記梱包対象物を保護する緩衝部と、を備え、前記緩衝部は複数の緩衝材を組み立てた構成を有し、組み立て状態の前記緩衝部は前記緩衝材が分解方向に移動することで分解可能であり、前記緩衝部を構成する少なくとも1つの前記緩衝材は板状部材を積層した積層構造を有し、前記緩衝部を構成する各々の前記緩衝材は前記梱包対象物または前記梱包箱の前記内壁と接触し、前記分解方向への移動を規制される梱包装置である。
【0006】
上記梱包装置において、緩衝部は、梱包対象物の複数の面の境界に重なる位置に配置される、構成としてもよい。
上記梱包装置において、緩衝部は、接着材料を使わずに複数の緩衝材を組み立てて形成される、構成としてもよい。
【0007】
上記梱包装置において、緩衝部を構成する少なくとも1つの緩衝材は、他の緩衝材と嵌合する嵌合部を有し、嵌合部により緩衝材の移動が規制される、構成としてもよい。
上記梱包装置において、板状部材は面内に分散された繊維を含み、積層構造を有する緩衝材は、外力が板状部材の面に沿った方向から入力される向きで配置される、構成としてもよい。
【0008】
上記梱包装置において、緩衝材は、互いに嵌合して組み立てられて分解方向が第1方向である第1の緩衝材及び第2の緩衝材と、第1の緩衝材及び第2の緩衝材に嵌合する第3の緩衝材とを備え、第1の緩衝材及び第2の緩衝材に対する第3の緩衝材の分解方向は、第1方向に直交する、構成としてもよい。
上記梱包装置において、緩衝材は、第1の緩衝材と、第1の緩衝材に嵌合して組み立てられて分解方向が第1方向である第2の緩衝材及び第3の緩衝材と、第2の緩衝材及び第3の緩衝材に嵌合する第4の緩衝材とを備え、第2の緩衝材及び第3の緩衝材に対する第4の緩衝材の分解方向は、第1方向に直交する、構成としてもよい。
【0009】
上記梱包装置において、積層構造を有する前記緩衝材は、前記板状部材の面に沿う方向が第1方向に指向する向きで立てて配置され、積層構造を有する前記緩衝材は、前記梱包対象物と前記梱包箱との間で前記第1方向に挟まれる第1支持部と、前記梱包対象物と前記梱包箱との間で、前記板状部材の面に沿う方向で前記第1方向に直交する方向に挟まれる第2支持部とを備える、構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】梱包装置の斜視図。
図2】緩衝部を梱包対象物の角部側から見た斜視図。
図3】緩衝部の分解斜視図。
図4】梱包箱の頂点部において、緩衝部による梱包対象物の支持状態を上方から見た平面図。
図5】緩衝部による梱包対象物の支持状態を示す斜視図。
図6】第2実施形態の梱包装置の斜視図である。
図7】緩衝部を梱包対象物の角部側から見た斜視図。
図8】緩衝部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、梱包装置1の斜視図である。
梱包装置1は、梱包対象物10と、梱包対象物10を収容する梱包箱11と、梱包対象物10と梱包箱11との間に配置される緩衝部12とを備える。
梱包対象物10は、電子機器である。梱包対象物としては、例えば、電子機器、家具、機械部品、食品、衣料品等が挙げられるが、梱包対象物の種類は特に限定されない。また、梱包対象物としての電子機器は、例えば、印刷装置、表示装置、コンピューター機器、プロジェクター等である。
【0013】
梱包対象物10は、略六面体であり、下面10a、上面10b、及び、下面10aと上面10bとを繋ぐ4つの側面10cとを備える。ここでは、略六面体の梱包対象物10を例に挙げて説明するが、梱包対象物は六面体に限定されない。
梱包対象物10は、下面10aの側に4つの角部10dを有し、上面10bの側に4つの角部10eを有する。角部10d及び角部10eは、六面体である梱包対象物10の頂点部である。
【0014】
梱包箱11は、六面体の中空の箱である。梱包箱11は、図1では仮想線で示される。梱包箱11は、一例として直方体であるが、立方体であっても良い。
梱包箱11は、下壁部11a、下壁部11aに対向する上壁部11b、及び下壁部11aと上壁部11bとを上下に繋ぐ4つの側壁部11cによって箱状に形成される。
以下の説明及び図面において、梱包箱11の幅方向をX軸方向と定義し、梱包箱11の奥行き方向をY方向と定義し、上下方向をZ軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。
【0015】
梱包対象物10は、梱包箱11よりもサイズが小さく、梱包箱11内に収容される。梱包対象物10は、梱包箱11の下壁部11a、上壁部11b、及び4つの側壁部11cによって覆われる。
梱包対象物10は、ビニール袋等の袋が被された状態で梱包箱11に収容されても良い。
【0016】
緩衝部12は、梱包箱11の内壁と梱包対象物10との間に配置され、梱包箱11に加わる外力から梱包対象物10を保護する。
緩衝部12は、梱包箱11内に複数設けられる。
詳細には、緩衝部12は、六面体である梱包箱11の8つの頂点部のうちの下壁部11a側の4つの頂点部11dの内側にそれぞれ設けられる。
また、緩衝部12は、梱包箱11の8つの頂点部のうちの上壁部11b側の4つの頂点部11eの内側にそれぞれ設けられる。すなわち、緩衝部12は、梱包箱11内の8か所に配置される。
【0017】
各緩衝部12は、同一の構造であるため、ここでは、梱包箱11の下壁部11a側の1つの頂点部11dの内側に配置される緩衝部12について詳細に説明する。
図1に示すように、梱包対象物10の側面10cは、梱包箱11の幅方向に延びる第1側面10c1と、梱包箱11の奥行き方向に延びる第2側面10c2とを備える。第1側面10c1と第2側面10c2とは、直交し、この直交する部分で互いに接続される。
【0018】
また、梱包箱11の側壁部11cは、梱包箱11の幅方向に延びる第1側壁部11c1と、梱包箱11の奥行き方向に延びる第2側壁部11c2とを備える。第1側壁部11c1と第2側壁部11c2とは、直交し、この直交する部分で互いに接続される。
【0019】
緩衝部12は、梱包対象物10の角部10dと梱包箱11の頂点部11dとの間に配置され、梱包対象物10と梱包箱11とに挟まれる。
詳細には、緩衝部12は、梱包箱11の頂点部11dの内側において、梱包箱11の下壁部11a、第1側壁部11c1、及び第2側壁部11c2と、梱包対象物10の下面10a、第1側面10c1、及び第2側面10c2との間に挟まれる。
梱包対象物10の角部10dは、梱包対象物10の複数の面である下面10a、第1側面10c1、及び第2側面10c2の3つの面同士の境界となる部分である。この境界に緩衝部12は重なる。
【0020】
図2は、緩衝部12を梱包対象物10の角部10d側から見た斜視図である。図3は、緩衝部12の分解斜視図である。
図1図3を参照し、緩衝部12は、第1の緩衝材21と、第2の緩衝材22と、第3の緩衝材23と、第4の緩衝材24とを組み立てて構成される。
第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24は、それぞれ板材であり、素材は紙である。この紙は、古紙を細かく裁断して綿状に解繊し、解繊された繊維を圧縮して結着させることで板状に形成された再生紙であり、紙の面内に分散された繊維を多数含む。
緩衝部12は、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を嵌合させる嵌合構造によって組み立てられており、接着材料を使わずに組み立てられる。
ここで、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を構成する板材の板面に沿う方向を面方向と呼ぶ。この面方向は、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を構成する板材の板厚方向にそれぞれ直交する。
【0021】
第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24は、外力に対し変形することで、衝撃を吸収する。第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24の衝撃吸収性は、板材の板厚方向よりも板材の面方向に大きい。
【0022】
第1の緩衝材21は、板材の面方向が水平方向を指向する向きで配置される。すなわち、第1の緩衝材21は、板厚方向が上下方向を指向するように寝かせて配置される。ここで、水平方向は、X軸方向及びY軸方向であり、上下方向は、Z軸方向である。
第1の緩衝材21は、平面視で略矩形の板材である。平面視における第1の緩衝材21の4つの角部のうちの1箇所には、梱包箱11の頂点部11dを避ける面取り部21aが設けられる。
【0023】
第1の緩衝材21は、第1の緩衝材21を上下方向に貫通する第1嵌合部31を備える。
第1嵌合部31は、梱包箱11の幅方向に延びる第1スリット部31aと、梱包箱11の奥行き方向に延びる第2スリット部31bとを備える。第1スリット部31aと第2スリット部31bとは直交する。平面視において、第1スリット部31aは、梱包箱11の第1側壁部11c1に平行であり、第2スリット部31bは、第2側壁部11c2に平行である。
第1嵌合部31は、第1スリット部31aと第2スリット部31bとが交差部31cで交差することでL字状に形成される孔である。交差部31cは、第1の緩衝材21の4つの角部において、面取り部21aに対し対角に位置する角部の近くに位置する。
【0024】
第2の緩衝材22は、板材の面方向が上下方向を指向する向きで配置される。すなわち、第2の緩衝材22は、板厚方向が水平方向を指向するように立てて配置される。第2の緩衝材22は、平面視で、面方向が梱包箱11の幅方向を指向する向きで配置される。
詳細には、第2の緩衝材22は、複数の板状部材32を板厚方向に積層した積層構造を有する板材である。複数の板状部材32は同一形状である。板状部材32の素材は紙である。板状部材32の面方向は、第2の緩衝材22の面方向と同一方向である。
【0025】
第2の緩衝材22は、梱包箱11の下壁部11aに沿って水平に延びる第1支持部33と、第1支持部33の長手方向の一端部から上方に延出する第2支持部34とを備え、略L字状に形成される。
第2の緩衝材22は、第2支持部34と第1支持部33の長手方向の他端部との間に、梱包対象物10を下方から支持する受け部33aを備える。受け部33aの上面は、水平である。
第1支持部33の他端部には、受け部33aの上面に対し下方に低くなった段部33bが設けられる。
【0026】
第2の緩衝材22は、第1の緩衝材21の第1嵌合部31に上方から差し込まれ、第1支持部33が第1スリット部31aに嵌合する。
第2の緩衝材22の第2支持部34は、第1の緩衝材21の上面に上方から当接する当接部34aを下端部に備える。
第2支持部34は、梱包箱11の第2側壁部11c2の内壁に沿って上下に延びる外側当接面34bと、第2支持部34において外側当接面34bの反対側の面である内側当接面34cとを備える。
外側当接面34b及び内側当接面34cは、第2支持部34の板厚を構成する面であり、鉛直に延びる。
第2支持部34の上部には、外側当接面34bの一部が内側当接面34c側に凹んだ凹部34dが設けられる。
【0027】
第3の緩衝材23は、板材の面方向が上下方向を指向する向きで配置される。すなわち、第3の緩衝材23は、板厚方向が水平方向を指向するように立てて配置される。第3の緩衝材23は、平面視で、面方向が梱包箱11の奥行き方向を指向する向きで配置される。
詳細には、第3の緩衝材23は、複数の板状部材35を板厚方向に積層した積層構造を有する板材である。複数の板状部材35は同一形状である。板状部材35の素材は紙である。板状部材35の面方向は、第3の緩衝材23の面方向と同一方向である。
【0028】
第3の緩衝材23は、梱包箱11の下壁部11aに沿って水平に延びる第1支持部36と、第1支持部36の長手方向の一端部から上方に延出する第2支持部37とを備え、略L字状に形成される。
第3の緩衝材23は、第2支持部37と第1支持部36の長手方向の他端部36bとの間に、梱包対象物10を下方から支持する受け部36aを備える。受け部36aの上面は、水平である。
第1支持部36の他端部36bの上面は、受け部36aの上面よりも低い位置にあり、他端部36bの下面は、受け部36aの下面よりも高い位置にある。
【0029】
第3の緩衝材23は、第1の緩衝材21の第1嵌合部31に上方から差し込まれ、第1支持部36が第2スリット部31bに嵌合する。
第3の緩衝材23の第2支持部37は、第1の緩衝材21の上面に上方から当接する当接部37aを下端部に備える。
第2支持部37は、梱包箱11の第1側壁部11c1の内壁に沿って上下に延びる外側当接面37bと、第2支持部37において外側当接面37bの反対側の面である内側当接面37cとを備える。
外側当接面37b及び内側当接面37cは、第2支持部37の板厚を構成する面であり、鉛直に延びる。
第2支持部37の上部には、外側当接面37bの一部が内側当接面37c側に凹んだ凹部37dが設けられる。
第3の緩衝材23の凹部37dと、第2の緩衝材22の凹部34dとは、同じ高さ位置にある。
【0030】
第4の緩衝材24は、板材の面方向が水平方向を指向する向きで配置される。すなわち、第4の緩衝材24は、板厚方向が上下方向を指向するように寝かせて配置される。
第4の緩衝材24は、水平方向に延びて第2の緩衝材22と第3の緩衝材23とを接続する板材である。
第4の緩衝材24は、平面視では、頂点部11dにおいて梱包箱11の第1側壁部11c1及び第2側壁部11c2に沿うようにL字状に形成される。
【0031】
第4の緩衝材24は、第1側壁部11c1及び第2側壁部11c2に面する外周面24aと、外周面24aの反対側の面である内周面24bとを備える。外周面24a及び内周面24bは、第4の緩衝材24の板厚を構成する面である。
第4の緩衝材24の一端部には、第2の緩衝材22の凹部34dに嵌合する第2嵌合部24cが設けられる。第4の緩衝材24の他端部には、第3の緩衝材23の凹部37dに嵌合する第2嵌合部24dが設けられる。
第2嵌合部24c及び第2嵌合部24dは、内周面24bの一部が外周面24a側に凹んだ部分である。
【0032】
第2の緩衝材22は、第1支持部33が第1スリット部31aに上方から嵌合することで第1の緩衝材21に組み付けられる。
第3の緩衝材23は、第1支持部36が第2スリット部31bに上方から嵌合することで第1の緩衝材21に組み付けられる。
すなわち、第1の緩衝材21に対する第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の組み付け方向は上下方向である。
また、第1の緩衝材21に対する第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の分解方向D1は上下方向である。第1の緩衝材21に対し、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23が上方に移動すると、第1嵌合部31に対する嵌合が解除され、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、及び第3の緩衝材23は分解される。
【0033】
第4の緩衝材24は、第2嵌合部24cが第2の緩衝材22の凹部34dに対し水平方向に嵌合するとともに、第2嵌合部24dが第3の緩衝材23の凹部37dに対し水平方向に嵌合することで、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23に組み付けられる。
すなわち、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23に対する第4の緩衝材24の組み付け方向は、水平方向である。
また、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23に対する第4の緩衝材24の分解方向D2は、水平方向である。第4の緩衝材24の組み付け方向とは逆方向に第4の緩衝材24が水平に移動すると、凹部34d及び凹部37dに対する嵌合が解除される。
上下方向である分解方向D1は、第1方向であり、水平方向である分解方向D2は、第2方向である。分解方向D1と分解方向D2とは、直交する。なお、分解方向D1と分解方向D2とは直交する関係に限られず、交差する関係であってもよい。
【0034】
図2のように緩衝部12が組み立てられた状態では、平面視において、第2の緩衝材22と第3の緩衝材23とは直交する。第2の緩衝材22の板厚方向と第3の緩衝材23の板厚方向とは直交する。
緩衝部12が組み立てられた状態では、第1嵌合部31の交差部31cにおいて、第3の緩衝材23の他端部36bが第2の緩衝材22の段部33bに上方から重なって、第2の緩衝材22を上方から押さえる。
また、緩衝部12が組み立てられた状態では、第2の緩衝材22の当接部34a及び第3の緩衝材23の当接部37aが、第1の緩衝材21に上方から重なって、第1の緩衝材21を上方から押さえる。
第2の緩衝材22の受け部33aと第3の緩衝材23の受け部36aとは、同じ高さ位置にある。
【0035】
図4は、梱包箱11の頂点部11dにおいて、緩衝部12による梱包対象物10の支持状態を上方から見た平面図である。図5は、緩衝部12による梱包対象物10の支持状態を示す斜視図である。図5では、梱包箱11は不図示である。図4及び図5では、図4中の左下の緩衝部12について説明する。
図1図5を参照し、緩衝部12は、頂点部11dの内側において、梱包箱11の下壁部11a上に配置される。梱包対象物10は、角部10dが緩衝部12上に載置される。
詳細には、角部10dは、第2の緩衝材22の第1支持部33の受け部33a、及び、第3の緩衝材23の第1支持部36の受け部36aによって下方から支持される。
【0036】
第1支持部33及び第1支持部36は、梱包箱11の下壁部11aと梱包対象物10の下面10aとの間で上下方向に挟まれ、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の面方向に外力を受ける。
第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23は、面方向に衝撃吸収性が高いため、効果的に外力を受けることができる。ここで、外力は、梱包箱11に外側から作用する力、及び梱包対象物10の重さによる負荷を含む。梱包箱11に作用する外力は、主に、梱包箱11の外面に略直交する向きの力として緩衝部12に作用する。
【0037】
また、梱包対象物10は、角部10dと梱包箱11の第2側壁部11c2との間において水平方向に挟まれる第2の緩衝材22の第2支持部34によって、水平方向に支持される。
第2支持部34は、外側当接面34bが第2側壁部11c2の内壁に当接し、内側当接面34cが梱包対象物10の第2側面10c2に当接する。
第2支持部34は、梱包箱11に作用する外力を、第2の緩衝材22の面方向に受ける。第2の緩衝材22は、面方向に衝撃吸収性が高いため、効果的に外力を受けることができる。
【0038】
さらに、梱包対象物10は、角部10dと梱包箱11の第1側壁部11c1との間において水平方向に挟まれる第3の緩衝材23の第2支持部37によって、水平方向に支持される。
第2支持部37は、外側当接面37bが第1側壁部11c1の内壁に当接し、内側当接面37cが梱包対象物10の第1側面10c1に当接する。
第2支持部37は、梱包箱11に作用する外力を、第3の緩衝材23の面方向に受ける。第3の緩衝材23は、面方向に衝撃吸収性が高いため、効果的に外力を受けることができる。
【0039】
第1の緩衝材21は、第1嵌合部31を介して第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23に嵌合することで、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の水平方向への移動を規制している。これにより、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23が水平方向に移動して分解されることが抑制される。このように、第1嵌合部31は、分解方向D1とは異なる方向への第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の移動を規制する。
また、第1の緩衝材21は、積層された複数の板状部材32を第1スリット部31aによって保持することで、板状部材32の積層構造を維持する。
さらに、第1の緩衝材21は、積層された複数の板状部材35を第2スリット部31bによって保持することで、板状部材35の積層構造を維持する。
【0040】
第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23は、第1支持部33及び第1支持部36が梱包対象物10と下壁部11aとの間に挟まれることで、分解方向D1への移動を規制される。
第1の緩衝材21は、第2の緩衝材22の当接部34a及び第3の緩衝材23の当接部37aと下壁部11aとの間に挟まれることで、分解方向D1への移動を規制される。
このため、梱包対象物10及び梱包箱11の内壁を利用して、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、及び第3の緩衝材23の分解を抑制できる。
【0041】
第4の緩衝材24は、第2の緩衝材22と第3の緩衝材23とを水平方向に接続することで、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の水平方向への移動を規制して、第2の緩衝材22と第3の緩衝材23との分解を抑制する。
また、第4の緩衝材24は、第2嵌合部24c内に複数の板状部材32を挟んで保持することで、板状部材32の積層構造を維持する。同様に、第4の緩衝材24は、第2嵌合部24d内に複数の板状部材35を挟んで保持することで、板状部材35の積層構造を維持する。
さらに、第4の緩衝材24は、第2の緩衝材22と第3の緩衝材23との分解方向D1への分離を規制する。
【0042】
第4の緩衝材24は、第2嵌合部24cが第2の緩衝材22の凹部34dと第2側壁部11c2の内壁との間に挟まれることで、分解方向D2への移動を規制される。また、第4の緩衝材24は、第2嵌合部24dが第3の緩衝材23の凹部37dと第1側壁部11c1の内壁との間に挟まれることで、分解方向D2への移動を規制される。
このため、梱包箱11の内壁を利用して、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23からの第4の緩衝材24の分解を抑制できる。
【0043】
図1に示すように、梱包箱11の上壁部11b側の頂点部11eの内側では、緩衝部12は、頂点部11eの緩衝部12とは上下を逆向きにして配置される。この場合、緩衝部12は、梱包箱11の上壁部11bと梱包対象物10の上面10bとの間で上下方向に挟まれるとともに、梱包箱11の側壁部11cと梱包対象物10の側面10cとの間で水平方向に挟まれる。
【0044】
以上説明したように本第1実施形態の梱包装置1は、梱包対象物10と、梱包対象物10を収容する梱包箱11と、梱包対象物10と梱包箱11の内壁との間に配置され、梱包箱11に加わる外力から梱包対象物10を保護する緩衝部12とを備える。緩衝部12は、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を組み立てた構成を有する。組み立て状態の緩衝部12は、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24が分解方向D1,D2に移動することで分解可能である。緩衝部12を構成する第2の緩衝材22は、板状部材32を積層した積層構造を有し、緩衝部12を構成する第3の緩衝材23は、板状部材35を積層した積層構造を有する。
第1の緩衝材21は、梱包箱11の内壁と接触し、分解方向D1への移動を規制される。
第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23は、梱包箱11の内壁及び梱包対象物10に接触し、分解方向D1への移動を規制される。
第4の緩衝材24は、梱包箱11の内壁と接触し、分解方向D2への移動を規制される。
従って、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を組み立てた構成の緩衝部12は、梱包対象物10または梱包箱11の内壁に接触して分解方向D1,D2への移動を規制されることで、分解が抑制される。これにより、板状部材32を積層した積層構造を有する第2の緩衝材22の分解、及び、板状部材35を積層した積層構造を有する第3の緩衝材23の分解を抑制できる。さらに、第1の緩衝材21及び第4の緩衝材24の分解を抑制できる。このため、梱包装置1によって梱包対象物10を効果的に保護できる。
【0045】
緩衝部12は、梱包対象物10の複数の面である下面10a、第1側面10c1、及び第2側面10c2の境界に重なる位置に配置される。
従って、緩衝部12の分解を複数の方向に規制でき、緩衝部12の分解を効果的に抑制できるとともに、梱包対象物10を広い範囲に亘って緩衝部12で保護できる。
緩衝部12は、接着材料を使わずに複数の第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を組み立てて形成される。
従って、接着工程を省略でき、緩衝部12の製造が容易である。また、例えば、緩衝部12の廃棄の際に、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を分解方向D1,D2に移動させることで、緩衝部12を分解できるため、緩衝部12の廃棄が容易である。
【0046】
緩衝部12を構成する第1の緩衝材21は、他の緩衝材である第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23と嵌合する第1嵌合部31を有し、第1嵌合部31により第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の移動が規制される。
緩衝部12を構成する第4の緩衝材24は、他の緩衝材である第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23と嵌合する第2嵌合部24c及び第2嵌合部24dを有する。第2嵌合部24c及び第2嵌合部24dにより、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の移動が規制される。
従って、第1嵌合部31及び第2嵌合部24dによって、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の移動が規制されるため、緩衝部12の分解を効果的に抑制できる。
【0047】
板状部材32は面内に分散された繊維を含み、板状部材32による積層構造を有する第2の緩衝材22は、外力が板状部材32の面方向から入力される向きで配置される。従って、積層構造を有する第2の緩衝材22は、板状部材32の面方向で外力を受けることができるため、外力を効率良く吸収できる。
板状部材35は面内に分散された繊維を含み、板状部材35による積層構造を有する第3の緩衝材23は、外力が板状部材35の面方向から入力される向きで配置される。
従って、積層構造を有する第3の緩衝材23は、板状部材35の面方向で外力を受けることができるため、外力を効率良く吸収できる。
【0048】
緩衝材は、第1の緩衝材21と、第1の緩衝材21に嵌合して組み立てられて分解方向D1が第1方向である第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23と、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23に嵌合する第4の緩衝材24とを備える。第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23に対する第4の緩衝材24の分解方向D2は、第1方向に直交する。
この構成によれば、第4の緩衝材24は、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の第1方向への移動を規制できる。また、第1の緩衝材21は、第2の緩衝材及び第3の緩衝材の移動を規制できる。このため、緩衝部12の分解を抑制できる。
【0049】
積層構造を有する第2の緩衝材22は、板状部材32の面方向が第1方向に指向する向きで立てて配置される。第2の緩衝材22は、梱包対象物10と梱包箱11との間で第1方向に挟まれる第1支持部33と、梱包対象物10と梱包箱11との間で、板状部材32の面方向で第1方向に直交する方向に挟まれる第2支持部34とを備える。
積層構造を有する第3の緩衝材23は、板状部材35の面方向が第1方向に指向する向きで立てて配置される。第3の緩衝材23は、梱包対象物10と梱包箱11との間で第1方向に挟まれる第1支持部36と、梱包対象物10と梱包箱11との間で、板状部材35の面方向で第1方向に直交する方向に挟まれる第2支持部37とを備える。
従って、積層構造を有する第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23は、第1方向及び第1方向に直交する方向において、梱包対象物10と梱包箱11との間に挟まれて板状部材32,35の面方向に外力を受ける。このため、積層構造を有する第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23によって外力を効果的に吸収できる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、添付図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態において、上記第1実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第1実施形態では、第1の緩衝材21、第2の緩衝材22、第3の緩衝材23、及び第4の緩衝材24を組み立てて構成される緩衝部12について説明した。第2実施形態では、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223を組み立てて構成される緩衝部212について説明する。
【0051】
図6は、第2実施形態の梱包装置201の斜視図である。
梱包装置201は、梱包対象物10と、梱包箱11と、梱包対象物10と梱包箱11との間に配置される緩衝部212とを備える。
【0052】
緩衝部212は、下壁部11a側の4つの頂点部11dの内側にそれぞれ設けられる。
また、緩衝部212は、上壁部11b側の4つの頂点部11eの内側にそれぞれ設けられる。
【0053】
各緩衝部212は、同一の構造であるため、ここでは、梱包箱11の下壁部11a側の1つの頂点部11dの内側に配置される緩衝部212について詳細に説明する。
【0054】
緩衝部212は、梱包対象物10の角部10dと梱包箱11の頂点部11dとの間に配置され、梱包対象物10と梱包箱11とに挟まれる。
詳細には、緩衝部212は、梱包箱11の頂点部11dの内側において、梱包箱11の下壁部11a、第1側壁部11c1、及び第2側壁部11c2と、梱包対象物10の下面10a、第1側面10c1、及び第2側面10c2との間に挟まれる。
梱包対象物10の角部10dは、梱包対象物10の複数の面である下面10a、第1側面10c1、及び第2側面10c2の面同士の境界となる部分である。この境界に緩衝部212は重なる。
【0055】
図7は、緩衝部212を梱包対象物10の角部10d側から見た斜視図である。図8は、緩衝部212の分解斜視図である。
図6図8を参照し、緩衝部212は、第1の緩衝材221と、第2の緩衝材222と、第3の緩衝材223とを組み立てて構成される。
第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223は、それぞれ板材であり、素材は上記第1実施の形態と同じ紙である。
緩衝部212は、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223を嵌合させる嵌合構造によって組み立てられており、接着材料を使わずに組み立てられる。
ここで、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223を構成する板材の板面に沿う方向を面方向と呼ぶ。この面方向は、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223を構成する板材の板厚方向にそれぞれ直交する。
【0056】
第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223は、外力に対し変形することで、衝撃を吸収する。第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223の衝撃吸収性は、板材の板厚方向よりも板材の面方向に大きい。
【0057】
第1の緩衝材221は、板材の面方向が上下方向を指向する向きで配置される。すなわち、第1の緩衝材221は、板厚方向が水平方向を指向するように立てて配置される。第1の緩衝材221は、平面視で、面方向が梱包箱11の幅方向を指向する向きで配置される。
詳細には、第1の緩衝材221は、複数の板状部材232を板厚方向に積層した積層構造を有する板材である。複数の板状部材232は同一形状である。板状部材232の素材は紙である。板状部材232の面方向は、第1の緩衝材221の面方向と同一方向である。
【0058】
第1の緩衝材221は、梱包箱11の下壁部11aに沿って水平に延びる第1支持部233と、第1支持部233の長手方向の一端部から上方に延出する第2支持部234とを備え、略L字状に形成される。
第1支持部233の上面部は、梱包対象物10を下方から支持する受け部233aである。
第1の緩衝材221は、第1支持部233を第1支持部233の下面から上方に切り欠いた第1嵌合部233bを備える。第1嵌合部233bは、第1の緩衝材221の板厚方向に見ると下方に開放する矩形の凹部である。
【0059】
第1の緩衝材221の第2支持部234は、受け部233aに対し上方に延出する。
第2支持部234は、梱包箱11の第2側壁部11c2の内壁に沿って上下に延びる外側当接面234bと、第2支持部234において外側当接面234bの反対側の面である内側当接面234cとを備える。
外側当接面234b及び内側当接面234cは、第2支持部234の板厚を構成する面であり、鉛直に延びる。
第2支持部234には、外側当接面234bの一部が内側当接面234c側に凹んだ凹部234dが設けられる。
【0060】
第2の緩衝材222は、板材の面方向が上下方向を指向する向きで配置される。すなわち、第2の緩衝材222は、板厚方向が水平方向を指向するように立てて配置される。第2の緩衝材222は、平面視で、面方向が梱包箱11の奥行き方向を指向する向きで配置される。
詳細には、第2の緩衝材222は、複数の板状部材235を板厚方向に積層した積層構造を有する板材である。複数の板状部材235は同一形状である。板状部材235の素材は紙である。
【0061】
第2の緩衝材222は、梱包箱11の下壁部11aに沿って水平に延びる第1支持部236と、第1支持部236の長手方向の一端部から上方に延出する第2支持部237とを備え、略L字状に形成される。
第1支持部236の上面部は、梱包対象物10を下方から支持する受け部236aである。
第2の緩衝材222は、第1支持部236を第1支持部236の上面から下方に切り欠いた第2嵌合部236bを備える。第2嵌合部236bは、第2の緩衝材222の板厚方向に見ると上方に開放する矩形の凹部である。
【0062】
第2の緩衝材222の第2支持部237は、受け部236aに対し上方に延出する。
第2支持部237は、梱包箱11の第1側壁部11c1の内壁に沿って上下に延びる外側当接面237bと、第2支持部237において外側当接面237bの反対側の面である内側当接面237cとを備える。
外側当接面237b及び内側当接面237cは、第2支持部237の板厚を構成する面であり、鉛直に延びる。
第2支持部237には、外側当接面237bの一部が内側当接面237c側に凹んだ凹部237dが設けられる。
第2の緩衝材222の凹部237dと、第1の緩衝材221の凹部234dとは、同じ高さ位置にある。
【0063】
第3の緩衝材223は、板材の面方向が水平方向を指向する向きで配置される。すなわち、第3の緩衝材223は、板厚方向が上下方向を指向するように寝かせて配置される。
第3の緩衝材223は、水平方向に延びて第1の緩衝材221と第2の緩衝材222とを接続する板材である。
第3の緩衝材223は、平面視では、頂点部11dにおいて梱包箱11の第1側壁部11c1及び第2側壁部11c2に沿うようにL字状に形成される。
【0064】
第3の緩衝材223は、第1側壁部11c1及び第2側壁部11c2に面する外周面223aと、外周面223aの反対側の面である内周面223bとを備える。外周面223a及び内周面223bは、第3の緩衝材223の板厚を構成する面である。
第3の緩衝材223の一端部は、第1の緩衝材221の凹部234dに嵌合する第3嵌合部223cである。第3の緩衝材223の他端部は、第2の緩衝材222の凹部237dに嵌合する第3嵌合部223dである。
【0065】
第1の緩衝材221と第2の緩衝材222とは、第1嵌合部233bが第2嵌合部236bに上方から嵌合することで組み付けられる。
すなわち、第1の緩衝材21に対する第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23の組み付け方向は上下方向である。
また、第1の緩衝材221と第2の緩衝材222との分解方向D3は上下方向である。第2の緩衝材222に対し、第1の緩衝材221が上方に移動すると、第1嵌合部233bと第2嵌合部236bとの嵌合が解除され、第1の緩衝材221と第2の緩衝材222とは分解される。
【0066】
第3の緩衝材223は、第3嵌合部223cが第1の緩衝材221の凹部234dに対し水平方向に嵌合するとともに、第3嵌合部223dが第2の緩衝材222の凹部237dに対し水平方向に嵌合する。これにより、第3の緩衝材223は、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222に組み付けられる。
すなわち、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222に対する第3の緩衝材223の組み付け方向は、水平方向である。
また、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222に対する第3の緩衝材223の分解方向D4は、水平方向である。第3の緩衝材223の組み付け方向とは逆方向に第3の緩衝材223が水平に移動すると、凹部234d及び凹部237dに対する嵌合が解除される。
上下方向である分解方向D3は、第1方向であり、水平方向である分解方向D4は、第2方向である。分解方向D3と分解方向D4とは、直交する。なお、分解方向D3と分解方向D4とは直交する関係に限られず、交差する関係であってもよい。
【0067】
図7のように緩衝部212が組み立てられた状態では、平面視において、第1の緩衝材21と第2の緩衝材222とは直交する。第1の緩衝材221の板厚方向と第2の緩衝材222の板厚方向とは直交する。
緩衝部212が組み立てられた状態では、第1の緩衝材221の第1嵌合部233bが第2の緩衝材222の第2嵌合部236bに上方から重なって、第2の緩衝材222を上方から押さえる。この状態では、第1の緩衝材221の受け部233aと第2の緩衝材222の受け部236aとは、水平であるとともに同じ高さ位置にある。
【0068】
図6図8を参照し、緩衝部212は、頂点部11dの内側において、梱包箱11の下壁部11a上に配置される。梱包対象物10は、角部10dが緩衝部212上に載置される。
詳細には、角部10dは、第1の緩衝材221の第1支持部233の受け部233a、及び、第2の緩衝材222の第1支持部236の受け部236aによって下方から支持される。
【0069】
第1支持部233及び第1支持部236は、梱包箱11の下壁部11aと梱包対象物10の下面10aとの間で上下方向に挟まれ、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222の面方向に外力を受ける。
第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222は、面方向に衝撃吸収性が高いため、効果的に外力を受けることができる。
【0070】
また、梱包対象物10は、角部10dと梱包箱11の第2側壁部11c2との間において水平方向に挟まれる第1の緩衝材221の第2支持部234によって、水平方向に支持される。
第2支持部234は、外側当接面234bが第2側壁部11c2の内壁に当接し、内側当接面234cが梱包対象物10の第2側面10c2に当接する。
第2支持部234は、梱包箱11に作用する外力を、第1の緩衝材221の面方向に受ける。第1の緩衝材221は、面方向に衝撃吸収性が高いため、効果的に外力を受けることができる。
【0071】
さらに、梱包対象物10は、角部10dと梱包箱11の第1側壁部11c1との間において水平方向に挟まれる第2の緩衝材222の第2支持部237によって、水平方向に支持される。
第2支持部237は、外側当接面237bが第1側壁部11c1の内壁に当接し、内側当接面237cが梱包対象物10の第1側面10c1に当接する。
第2支持部237は、梱包箱11に作用する外力を、第2の緩衝材222の面方向に受ける。第2の緩衝材222は、面方向に衝撃吸収性が高いため、効果的に外力を受けることができる。
【0072】
第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222は、第1嵌合部233bと第2嵌合部236bとが嵌合することで、水平方向への移動を互いに規制している。これにより、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222が水平方向に移動して分解されることが抑制される。このように、第1嵌合部233b及び第2嵌合部236bは、分解方向D3とは異なる方向への第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222の移動を規制する。
また、第1の緩衝材221は、積層された複数の板状部材235を、凹状の第1嵌合部233bによって板厚方向に挟んで保持することで、板状部材235の積層構造を維持する。
さらに、第2の緩衝材222は、積層された複数の板状部材232を、凹状の第2嵌合部236bによって板厚方向に挟んで保持することで、板状部材232の積層構造を維持する。
【0073】
第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222は、第1支持部233及び第1支持部236が梱包対象物10と下壁部11aとの間に上下に挟まれることで、分解方向D3への移動を規制される。
このため、梱包対象物10及び梱包箱11の内壁を利用して、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222の分解を抑制できる。
【0074】
第3の緩衝材223は、第1の緩衝材221と第2の緩衝材222とを水平方向に接続することで、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222の水平方向への移動を規制して、第1の緩衝材221と第2の緩衝材222との分解を抑制する。
また、第3の緩衝材223は、第1の緩衝材221と第2の緩衝材222との分解方向D3への分離を規制する。
【0075】
第3の緩衝材223は、第3嵌合部223cが第1の緩衝材221の凹部234dと第2側壁部11c2の内壁との間に挟まれることで、分解方向D4への移動を規制される。
また、第3の緩衝材223は、第3嵌合部223dが第2の緩衝材222の凹部237dと第1側壁部11c1の内壁との間に挟まれることで、分解方向D4への移動を規制される。
このため、梱包箱11の内壁を利用して、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222からの第3の緩衝材223の分解を抑制できる。
【0076】
以上説明したように本第2実施形態の梱包装置201は、梱包対象物10と、梱包対象物10を収容する梱包箱11と、梱包対象物10と梱包箱11の内壁との間に配置され、梱包箱11に加わる外力から梱包対象物10を保護する緩衝部212とを備える。緩衝部212は、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223を組み立てた構成を有する。組み立て状態の緩衝部212は、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223が分解方向D3,D4に移動することで分解可能である。緩衝部212を構成する第1の緩衝材221は、板状部材232を積層した積層構造を有し、緩衝部212を構成する第2の緩衝材222は、板状部材235を積層した積層構造を有する。
第1の緩衝材21は、梱包対象物10と接触し、分解方向D3への移動を規制される。
第2の緩衝材222は、梱包箱11の内壁に接触し、分解方向D3への移動を規制される。
第3の緩衝材223は、梱包箱11の内壁と接触し、分解方向D4への移動を規制される。
従って、第1の緩衝材221、第2の緩衝材222、及び第3の緩衝材223を組み立てた構成の緩衝部212は、梱包対象物10または梱包箱11の内壁に接触して分解方向D3,D4への移動を規制されることで、分解が抑制される。これにより、板状部材232を積層した積層構造を有する第1の緩衝材221の分解、及び、板状部材235を積層した積層構造を有する第2の緩衝材222の分解を抑制できる。さらに、第3の緩衝材223の分解を抑制できる。このため、梱包装置201によって梱包対象物10を効果的に保護できる。
【0077】
緩衝材は、互いに嵌合して組み立てられて分解方向D3が第1方向である第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222と、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222に嵌合する第3の緩衝材223とを備える。第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222に対する第3の緩衝材223の分解方向D4は、第1方向に直交する。
この構成によれば、第3の緩衝材223は、第1の緩衝材221及び第2の緩衝材222の第1方向への移動を規制できる。このため、緩衝部212の分解を抑制できる。
【0078】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の形態である。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上述した説明では、第2の緩衝材22及び第3の緩衝材23が積層構造を有するが、例えば、第1の緩衝材21及び第4の緩衝材24も、板状部材を積層した積層構造をそれぞれ有してもよい。
また、上述した説明では、緩衝部12は、角部10dに配置されるが、本発明はこれに限定されない。緩衝部は、2つの面の境界に配置されてもよく、例えば、緩衝部は、梱包対象物の下面10aと側面10cとが接続される稜線部に配置されても良い。この稜線部は、下面10aと側面10cとの境界である。
【符号の説明】
【0079】
1、201…梱包装置、10…梱包対象物、10a…下面、10b…上面、10c…側面、10c1…第1側面、10c2…第2側面、10d、10e…角部、11…梱包箱、11a…下壁部、11b…上壁部、11c…側壁部、11c1…第1側壁部、11c2…第2側壁部、11d、11e…頂点部、12、212…緩衝部、21…第1の緩衝材(緩衝材)、22…第2の緩衝材(緩衝材)、23…第3の緩衝材(緩衝材)、24…第4の緩衝材(緩衝材)、24c、24d…第2嵌合部(嵌合部)、32、35、232、235…板状部材、33、36、233、236…第1支持部、34、37、234、237…第2支持部、D1、D2、D3、D4…分解方向、31…第1嵌合部(嵌合部)、221…第1の緩衝材、222…第2の緩衝材、223…第3の緩衝材、233b…第1嵌合部(嵌合部)、236b…第2嵌合部(嵌合部)、223c、223d…第3嵌合部(嵌合部)。
図1
図2
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図8